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○生薬及び漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する基準(日本製薬団体連合会自主基準)について

(平成24年2月16日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)あて厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課通知)

漢方製剤及び生薬製剤については、製造等に係る適合性確認の基準及びその製造業者等に対する遵守事項として「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第179号、以下「GMP省令」という。)を適用し、また、平成19年3月30日付け事務連絡「漢方製剤・生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する自主基準について」(以下「旧事務連絡」という。)により日本漢方生薬製剤協会が作成した自主基準(以下「日本漢方生薬製剤協会自主基準」という。)を周知し、その品質の確保を図ってきたところである。

一方、薬事法施行令(昭和36年政令第11号)第20条第1項及び薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第96条の規定に示すとおり、生薬を粉末にし、又は刻む工程のみを行う製造所等については、GMPの適用外とされている。

今般、日本製薬団体連合会から、別添のとおり、従前の日本漢方生薬製剤協会自主基準を改訂し、生薬を粉末にし、又は刻む工程のみを行う製造業者についても自主基準の対象に含めた上で、新たに日本製薬団体連合会として「生薬及び漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する基準」(以下「日本製薬団体連合会自主基準」という。)を作成し、傘下の会員業者に対し同基準に従い製造管理及び品質管理を行わせる旨の報告があったところであるが、検討の結果、生薬を粉末にし、又は刻む工程及びそれ以降の業務について、日本製薬団体連合会自主基準を適用することは、生薬及び漢方生薬製剤の品質確保を図る上で適当と考えられたので、当該団体に加盟していない貴管下の関係業者に対しても、同基準の周知徹底方、御配慮願いたい。

なお、本事務連絡の発出をもって、旧事務連絡は廃止する。

また、本事務連絡の写しについては、別記に記載の関連団体等あてにも送付することを念のため申し添える。

別記

独立行政法人医薬品医療機器総合機構

日本製薬団体連合会

日本漢方生薬製剤協会

日本製薬工業協会

日本医薬品原薬工業会

日本OTC医薬品協会

社団法人東京医薬品工業協会

大阪医薬品協会

社団法人日本薬業貿易協会

米国研究製薬工業協会在日技術委員会

在日米国商工会議所製薬小委員会

欧州製薬団体連合会在日執行委員会

○生薬及び漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する基準について

(平成24年2月15日)

(日薬連発第95号)

(厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長あて日本製薬団体連合会会長通知)

日頃よりご指導・ご鞭撻を賜りまして厚くお礼申し上げます。

さて、平成19年3月30日付厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長の事務連絡により「漢方製剤・生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する自主基準(日本漢方生薬製剤協会自主基準)」の作成及び平成19年5月1日からの運用が連絡されております。

今般のPIC/SのGMPガイドラインの活用にあたり、現在、薬事法施行令第20条第1項及び薬事法施行規則第96条の規定に示されるとおり「生薬を粉末にし、又は刻む工程のみを行う製造所において製造される医薬品」についてはGMP適用除外になっておりますが、当該工程以降の業務に関してGMPを遵守するために、当該製造所において必要と考えられる文書及び記録等の作成を求めることにより、医薬品の品質を確保することを目的とし、また、医薬品業界全体に周知徹底を図るために、従前の日本漢方生薬製剤協会自主基準から日本製薬団体連合会自主基準とした改訂基準(別添資料)を作成しましたのでご報告いたします。

本基準につきましては、当連合会傘下団体を通じて加盟会社に対して周知徹底を図ります。

【別添資料】

・生薬及び漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する基準(日本製薬団体連合会自主基準)

・「生薬及び漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する基準(日本製薬団体連合会自主基準)」の質疑応答集(Q&A)

以上

生薬及び漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する基準

(日本製薬団体連合会自主基準)

目次

1.総則

(目的)

(定義)

(適用範囲)

2.生薬を管理する責任者

(1) 資格要件

(2) 業務

3.生薬の製造管理及び品質管理

(適用範囲)

(製品標準書)

(1) 製造手順に関する事項

(2) 規格及び試験方法に関する事項

(3) 切断及び粉末生薬を購入する場合の注意事項

(4) 輸送に関する事項

(製造管理)

(1) ロット管理に関する事項

(2) 保管管理に関する事項

(品質管理)

(1) 検体の採取方法に関する事項

(2) 生薬保管品の試験検査に関する事項

(3) 生薬参考品の保管に関する事項

(4) 記録の保管に関する事項

4.原料エキスの製造管理及び品質管理

(適用範囲)

(製品標準書)

(1) 製造手順に関する事項

(2) 収量と収率に関する事項

(3) 規格及び試験方法に関する事項

(製造管理)

(品質管理)

(1) 試験項目に関する事項

(2) 原料エキス参考品の保管に関する事項

5.漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理

(適用範囲)

(製造管理及び品質管理)

6.生薬の刻み又は粉末工程のみを行う製造所における製造管理及び品質管理

(製造管理及び品質管理)

(1) 製造管理者

(2) 職員

(3) 製品標準書

(4) 手順書等

(5) 構造設備

(6) 製造管理

(7) 品質管理

(8) 製造所からの出荷の管理

(9) バリデーション

(10) 変更の管理

(11) 逸脱の管理

(12) 品質等に関する情報及び品質不良等の処理

(13) 自己点検

(14) 教育訓練

(15) 文書及び記録の管理

7.実施

漢方製剤、生薬製剤のGMPについては、昭和62年8月5日薬監第72号にて日本漢方生薬製剤協会(以下「日漢協」という。)の作成した「医療用漢方エキス製剤の製造管理及び品質管理に関する基準(自主基準)」、平成4年3月31日薬監第23号にて「一般用漢方・生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する自主基準」が通知された。「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成16年12月24日厚生労働省令第179号)(以下、「GMP省令」という。)に合わせ、日漢協では上記自主基準の改訂を行い、平成19年3月30日に監視指導・麻薬対策課より「漢方製剤・生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する自主基準」改訂についての事務連絡が発出されている。

近年の医薬品の品質確保に対する国際的な動向にともない、GMPの国際整合等の観点から医薬品査察協定及び医薬品査察協同スキーム(以下「PIC/S」という。)のGMPガイドラインを参考として活用する際の考え方が平成24年2月1日に監視指導・麻薬対策課より事務連絡として発出された。

一方、薬事法施行令(昭和36年政令第11号)及び薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)に示されるとおり、生薬を粉末にし、又は刻む工程のみを行う製造所にはGMP省令は適用されていない。しかし、日本製薬団体連合会(以下「日薬連」という。)としては、医薬品の品質保証により患者からの信頼を得る立場から、生薬を粉末にし、又は刻む工程以降の工程においてGMPを遵守するために、必要と考えられる文書作成及びそれに係る記録等を当該対象製造所に対しても求めることとし、「生薬及び漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する基準(日本製薬団体連合会自主基準)」を定め、傘下団体を通じて加盟会社に周知徹底を図り、より一層の品質確保及び品質向上に努めることとした。

1.総則

(目的)

本基準は生薬及び漢方生薬製剤の製造に関してGMP省令及び薬局等構造設備規則(昭和36年2月1日厚生省令第2号)による他、生薬の管理及び製造工程における製造管理及び品質管理に関する事項を定め、医薬品の品質確保を図るとともに国際的整合性を高めることを目的とする。

(定義)

本基準で用いる用語は、日本薬局方、GMP省令、及び薬局等構造設備規則で定められた用語の他、以下の用語を定める。

・漢方生薬製剤:漢方製剤と生薬製剤を包含した名称。漢方製剤とは漢方理論に基づき、生薬からの抽出物(エキス剤)あるいは生薬の刻み、粉末を一種類以上使用して製した製剤で、添加剤が含有されることもある。一方、生薬製剤とは、生薬からの抽出物(エキス剤、チンキ剤、流エキス剤等)あるいは生薬の刻み、粉末を一種類以上使用して製した製剤で、化学医薬品や添加剤が含有されることもある。

・生薬原料:生薬を製するための原料となる動植物、鉱物をいう。

・原料生薬:漢方生薬製剤の原料として用いる生薬をいう。

・原料エキス:漢方生薬製剤の原料となる抽出物であり、エキス剤(軟エキス剤及び乾燥エキス剤)、チンキ剤、流エキス剤等がある。

・漢方生薬製剤製造所:漢方生薬製剤を製造する製造所をいう。

・漢方生薬エキス製剤製造所:生薬を用いず、原料エキスを有効成分として配合した漢方生薬製剤を製造する製造所をいう。

・エキス原薬製造所:原料エキスを製造する製造所をいう。

・全形・切断・粉末生薬製造所:生薬を原料とし、全形生薬・切断生薬・粉末生薬を製品として出荷する製造所をいう。

・生薬最終製品製造所:全形生薬・切断生薬・粉末生薬を包装・表示した最終製品を製造する製造所をいう。

・生薬の刻み又は粉末工程のみを行う製造所:薬事法施行令第二十条第一項第四号に定める生薬を粉末にし、又は刻む工程のみを行う製造所をいう。

・鑑定:鏡検を用いた形態学的試験、目視検査や色・味・においなど官能試験により、生薬の真偽、優劣などを判断・評価することをいう。

・鑑別:鑑定を基に判別することをいう。

(適用範囲)

本基準は、全形・切断・粉末生薬製造所、エキス原薬製造所、生薬最終製品製造所、漢方生薬製剤製造所及び漢方生薬エキス製剤製造所に適用する。

なお、生薬の刻み又は粉末工程のみを行う製造所においては、「6.生薬の刻み又は粉末工程のみを行う製造所における製造管理及び品質管理」を参考にすること。

2.生薬を管理する責任者

生薬(全形、切断、粉末)を取扱う全形・切断・粉末生薬製造所、エキス原薬製造所、生薬最終製品製造所、及び漢方生薬製剤製造所については、製造所ごとに品質部門に生薬を管理する責任者を置かなければならない。

(1) 資格要件

① 生薬についての専門知識を有し、生薬の鑑別能力を有すること。

② 実務経験により生薬の取扱い方法を熟知していること。

(2) 業務

生薬の品質確保に関する事項を管理するために次に定める業務を責任者自ら行い、又必要に応じて指定した者に行わせること。

① 生薬原料に関する事項

② 原料生薬の供給源等に関する事項

③ 生薬の検体採取方法に関する事項

④ 生薬の試験検査のうち、鑑定(形態学的品質を含む)結果の評価に関する事項

⑤ 生薬取扱いについての教育訓練実施に関する事項

⑥ その他生薬の品質確保に関する事項

3.生薬の製造管理及び品質管理

(適用範囲)

全形・切断・粉末生薬製造所、エキス原薬製造所、生薬最終製品製造所、及び漢方生薬製剤製造所に適用する。

(製品標準書)

製品標準書には以下の事項を定めること。

(1) 製造手順に関する事項

全形・切断・粉末生薬製造所においては生薬の刻み及び粉末加工条件等を記載する。

(2) 規格及び試験方法に関する事項

公定書で定められた試験項目の他、生薬の特性、形態(刻み、粉末等)により、必要に応じ以下の項目を設定する。

① 成分又は特性を確認する試験

② 切断生薬の粒度試験

③ 鑑定試験

④ 純度試験(異物、残留農薬試験、重金属試験、ヒ素試験、アリストロキア酸等)

⑤ その他必要な試験

(3) 切断及び粉末生薬を購入する場合の注意事項

全形生薬に対する鑑定を含めた品質管理が適正に実施されていることを確認する。

(4) 輸送に関する事項

① 容器及び包装の材質・形態

② 輸送中の品質劣化の防止に配慮する。

(製造管理)

製造管理基準書には以下の事項を定めること。

(1) ロット管理に関する事項

産地、梱包形態、生薬の外観等の相違によりロットを管理する。

(2) 保管管理に関する事項

① 保管中にカビ、昆虫、鼠等による汚染及び品質劣化をきたさない様、適切な設備、方法及び条件を定め管理する。

② 薫蒸を行う場合には、日局生薬総則に準拠して行い、その内容を記録する。

(品質管理)

品質管理基準書には以下の事項を定めること。

(1) 検体の採取方法に関する事項

試験検査のための検体採取は、日局一般試験法<5.01>生薬試験法の1.試料の採取に準拠する。

(2) 生薬保管品の試験検査に関する事項

(3) 生薬参考品の保管に関する事項

(4) 記録の保管に関する事項

4.原料エキスの製造管理及び品質管理

(適用範囲)

エキス原薬製造所に適用する。

(製品標準書)

製品標準書には以下の事項を定めること。

(1) 製造手順に関する事項

① 製造規模(標準的仕込量)

② 生薬混和の順序

③ 抽剤比、溶媒

④ 昇温速度

⑤ 抽出温度

⑥ 抽出時間

⑦ 抽出回数

⑧ 固液分離方式

⑨ 濃縮方式

⑩ 乾燥方式

⑪ その他特殊な方法を用いる場合にはその詳細

(2) 収量と収率に関する事項

原料生薬、製造規模等を配慮して、標準的な収量及び収率の範囲を定める。

(3) 規格及び試験方法に関する事項

(製造管理)

生薬、原料エキスが微生物にとって富栄養源であることを踏まえ、特に微生物汚染防止を考慮した製造管理を行うものとする。

製造指図及び製造記録に関してはGMP省令に定められた事項に加え、特に下記事項を記載するものとする。

① 秤量工程

② 抽出工程

抽出機番号、仕込量、抽出溶媒量、昇温時間、抽出温度、抽出時間

③ 濃縮工程

濃縮機番号、濃縮温度、濃縮時間

④ 乾燥工程

乾燥機番号、乾燥温度、乾燥時間、乾燥エキス量

⑤ その他製造管理に必要な事項

(品質管理)

承認書記載の規格及び試験方法のほか、必要に応じて以下の品質管理項目を設定し、品質の保証を行うものとする。

(1) 試験項目に関する事項

① 新たに管理可能となった成分の定量試験

② 微生物限度試験

③ 物性試験

④ その他必要な試験

(2) 原料エキス参考品の保管に関する事項

5.漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理

(適用範囲)

生薬最終製品製造所、漢方生薬製剤製造所及び漢方生薬エキス製剤製造所に適用する。

(製造管理及び品質管理)

生薬、原料エキスが微生物にとって富栄養源であることを踏まえ、特に微生物汚染防止を考慮した製造管理を行うものとする。

承認書記載の規格及び試験方法のほか、必要に応じて以下の品質管理項目を設定し、品質の保証を行うものとする。

① 新たに管理可能となった成分の定量試験

② 微生物限度試験

③ 物性試験

④ その他必要な試験

6.生薬の刻み又は粉末工程のみを行う製造所における製造管理及び品質管理

(製造管理及び品質管理)

生薬の刻み又は粉末工程のみを行う製造業者は、必要に応じ以下の事項について、基準・手順書等を作成し、製造管理及び品質管理を行うこと。

(1) 製造管理者

製造管理者は、製造管理及び品質管理に係る業務を統括し、その適正かつ円滑な実施が図れるよう管理すること。

(2) 職員

製造業者は、製造管理及び品質管理業務に従事する職員の責務及び管理体制を文書により適切に定めること。

(3) 製品標準書

製造業者は、製品ごとに、製品標準書を当該製品の製造に係る製造所ごとに作成し、保管すること。製品標準書には、下記項目を含むものとする。

① 品名

② 製造方法及び製造手順

③ 製品の規格及び試験検査の方法

④ 包装・表示内容

⑤ 保管方法及び保管条件

⑥ その他必要な事項

(4) 手順書等

① 製造業者は、構造設備の衛生管理、職員の衛生管理その他必要な事項について記載した衛生管理基準書を作成し、これを保管すること。

② 製造業者は、製品等の保管、製造工程の管理その他必要な事項について記載した製造管理基準書を作成し、これを保管すること。

③ 製造業者は、検体の採取方法、試験検査結果の判定方法その他必要な事項を記載した品質管理基準書を作成し、これを保管すること。

④ 製造業者は、前三項に定めるもののほか、必要な手順書を定める。

(5) 構造設備

製造業者は、薬局等構造設備規則に基づく管理がなされている他、手順書等に基づき、適切に清掃及び保守が行われ、必要に応じ、薫蒸され、また、その記録を作成し、これを保管すること。

(6) 製造管理

製造業者は、手順書等に基づき、次に掲げる製造管理に係る業務を適切に行うこと。

① 刻み又は粉末工程における指示事項、注意事項その他必要な事項を記載した製造指図書を作成し、これを保管すること。

② 製造指図書に基づき製品を製造すること。

③ 製品の製造に関する記録をロットごとに作成し、これを保管すること。

④ 製品についてはロットごとに、出納を行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

⑤ 構造設備の清浄を確認し、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。

⑥ 職員の衛生管理を行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

⑦ 構造設備を定期的に点検整備するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

⑧ その他製造管理のために必要な業務

(7) 品質管理

製造業者は、手順書等に基づき、次に掲げる製品の品質管理に係る業務を適切に行うこと。

① 製品についてはロットごとに、試験検査を行うのに必要な検体を採取するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

② 採取した検体について、ロットごとに試験検査を行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

③ 試験検査に関する設備及び器具を定期的に点検整備するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

④ 試験検査の結果の判定を行い、その結果を製造管理者に対して文書により報告すること。

⑤ その他品質管理のために必要な業務

(8) 製造所からの出荷の管理

製造業者は、あらかじめ指定した者に、製造管理及び品質管理の結果を適切に評価し、製品の製造所からの出荷の可否を決定する業務を行わせること。

(9) バリデーション

製造業者は、あらかじめ指定した者に、当該製造所において新たに生薬の刻み又は粉末の製造を開始する場合、又は品質に大きな影響を及ぼす変更がある場合に、バリデーション業務を行わせるとともに、その記録を作成し、これを保管させること。

(10) 変更の管理

製造業者は、製造手順等について、製品の品質に影響を及ぼすおそれのある変更を行う場合においては、あらかじめ指定した者に、当該変更による製品の品質への影響を評価し、その評価の結果をもとに変更を行うことについて製造管理者の承認を受けるとともに、その記録を作成し、これを保管させること。また、製造管理者の承認を受けて変更を行うときは、関連する文書の改訂、職員の教育訓練その他所要の措置を採らせること。

(11) 逸脱の管理

製造業者は、製造手順等からの逸脱が生じた場合においては、あらかじめ指定した者に、当該逸脱による製品の品質への影響を評価し、その評価の結果をもとに措置することについて製造管理者の承認を受けるとともに、その記録を作成し、これを保管させること。また、関連する文書の改訂、職員の教育訓練その他所要の措置を採らせること。

(12) 品質等に関する情報及び品質不良等の処理

製造業者は、製品に係る品質等に関する情報(以下「品質情報」という。)を得たときは、その品質情報に係る事項が当該製造所に起因するものでないことが明らかな場合を除き、あらかじめ指定した者に、次に掲げる業務を行わせること。

① 当該品質情報に係る事項の原因を究明し、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合においては、所要の措置を採ること。

② 当該品質情報の内容、原因究明の結果及び改善措置を記載した記録を作成し、保管するとともに、製造管理者に対して文書により速やかに報告すること。

(13) 自己点検

製造業者は、あらかじめ指定した者に、次に掲げる業務を行わせること。

① 当該製造所における製品の製造管理及び品質管理について定期的に自己点検を実施し、その記録を作成し、保管すること。

② 自己点検の結果を製造管理者に対して文書により報告すること。

③ 改善が必要な場合においては、所要の措置を採るとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管すること。

(14) 教育訓練

製造業者は、あらかじめ指定した者に、次に掲げる業務を行わせること。

① 製造・品質管理業務に従事する職員に対して、製造管理及び品質管理に関する必要な教育訓練を実施し、その記録を作成し、保管すること。

② 教育訓練の実施状況を製造管理者に対して文書により報告すること。

(15) 文書及び記録の管理

製造業者は、あらかじめ指定した者に、次に掲げる事項を行わせること。

① 文書を作成し、又は改訂する場合においては、承認、配付、保管等を適切に行うこと。

② 手順書等を作成し、又は改訂するときは、当該手順書等にその日付を記載するとともに、それ以前の改訂に係る履歴を保管すること。

③ 文書及び記録を、作成の日から5年間保管すること。

7.実施

本基準は平成24年10月1日より実施する。

「生薬及び漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する基準(日本製薬団体連合会自主基準)」の質疑応答集(Q&A)

1.総則

(定義)

Q1

PIC/SのGMPガイドライン アネックス7に示されている“crude plants”は、本基準において何に相当するのか。

A1

生薬原料に相当すると考えてよい。

(適用範囲)

Q2

本基準の適用範囲内の製造所を示されたい。

A2

全形・切断・粉末生薬製造所、生薬最終製品製造所、エキス原薬製造所、漢方生薬製剤製造所、漢方生薬エキス製剤製造所及び生薬の刻み又は粉末工程のみを行う製造所である。別表及び別図を参照。

Q3

本基準は漢方生薬製剤を輸入する場合にも適用されるか。

A3

適用される。

Q4

原料エキス配合の医薬品を製造するために、原料エキスをエキス原薬製造所から購入している製造所には、本基準は適用されないと理解してよいか。

また、前記の場合に、原料エキスでなく、粉末生薬を購入して使用している場合はどう考えたらよいか。

A4

原料エキス又は粉末生薬が当該最終製剤の有効成分である場合には適用される。

2.生薬を管理する責任者

Q5

生薬を管理する責任者は他の責任者と兼務することは可能か。

A5

業務上支障がない場合には、品質部門の責任者との兼務は可能である。

Q6

同一法人であっても、生薬を取扱う製造所が複数ある場合、それぞれに生薬を管理する責任者は必要か。

A6

生薬の鑑定を行う製造所には生薬を管理する責任者の設置が必要である。鑑定済みの生薬のみを受入れる製造所においては、取扱う生薬の性状確認ができる能力を有する責任者の設置は必要である。

Q7

取扱う生薬の品目が少数であっても、生薬を管理する責任者を置かなければならないのか。

A7

品目が少数であっても、当該生薬のみの鑑別能力を有する責任者の設置が必要である。

Q8

実務経験とは具体的にどのようなことか。

A8

例えば、生薬若しくは漢方生薬製剤の製造管理又は品質管理に関する業務に従事し、生薬を直接取扱う実務(品質評価、保管、加工等)に、原則として3年以上経験を有すること。ただし、生薬の研究、栽培、購買又は販売において2年以上の経験を有した者であれば、上記経験が1年以上でも差し支えない。

Q9

生薬を管理する責任者は生薬の試験検査のうち鑑別結果の評価に関し適否の判定を行い、生薬の品質の総合判定は品質部門が行うと考えてよいか。

A9

よい。ただし、生薬を管理する責任者の判定は尊重されなければならない。

Q10

生薬を管理する責任者は生薬の品質確保に関する事項を実地に管理するために次に定める業務を自ら行い、又必要に応じて指定した者に行わせることがあるが、指定される者に資格要件があるか。

A10

生薬を管理する責任者と同等又はそれに準ずる知識と経験があること。ただし、その結果については、生薬を管理する責任者の確認を受けること。

Q11

外国製造所においても生薬を管理する責任者は必要か。

A11

外国製造所であっても、対象となる製造所であれば資格要件を持つ者にその業務を担当させること。

Q12

生薬原料に関する事項とは、どのような項目が考えられるか。

A12

基原の学名、使用部位が考えられる。また、栽培地、採取地の情報を入手することが望ましい。

Q13

原料生薬の供給源等に関する事項とは、どのような項目が考えられるか。

A13

産出国/地域の他、収穫時期、採取手順、使用された可能性のある農薬、乾燥方法、真菌/微生物汚染やその他の生物の汚染を抑制するために対応した処置等の情報も可能な限り収集すること。

Q14

生薬の取扱いに関する教育訓練の実施については、具体的な内容は各社で定めるということでよいか。

A14

基準、手順等の他、当該作業に必要な内容を定め、定期的に実施すること。また、その記録を残すこと。

Q15

その他生薬の品質確保に関する事項としては、どのようなものが考えられるか。

A15

該当する生薬の特性に応じて定めること。例えば、鑑別をもとにした使用方法の決定と指示等が考えられる。

3.生薬の製造管理及び品質管理

(製品標準書)

Q16

「成分又は特性を確認する試験」とあるが、成分又は特性を確認する試験とは具体的にはどのようなことをいうのか。

A16

原料生薬の品質確保のために必要な性状試験(外観、鏡検等)、確認試験、定量試験等をいう。

Q17

切断生薬の粒度試験とはどのような方法か。

A17

例えば、日局・一般試験法<3.04>粒度測定法の「2.第2法ふるい分け法」である。

Q18

鑑定試験において切断生薬(刻み)の場合は具体的にはどの程度のことを実施するのか。

A18

全形生薬の鑑定試験に準ずる。

Q19

その他必要な試験とは具体的にどのような試験が考えられるか。

A19

生薬の特性に応じて実施される。例えば、以下のような試験が考えられる。

①日局、局外生規、承認書別紙規格以外の成分、エキス含量、乾燥減量、灰分及び酸不溶性灰分試験等

②生薬の処理法や修治法の確認

③生薬個々の特性を踏まえた試験(微生物限度試験、アフラトキシン試験、生薬末における粉体物性試験、茜草根(茜根、茜草等と呼ばれるものを含む)のlucidin及びlucidin―3―O―primeverosideに関する試験)等

Q20

切断及び粉末生薬を購入する場合、全形生薬に対する品質管理の実施状況を確認するとなっているが、なぜ必要なのか。また、どのようにして確認するのか。

A20

切断及び粉末生薬の鑑定は難しいことから、全形生薬の結果を確認することが望ましい。また、粉末生薬で求められる試験項目が全形生薬と異なる場合には、全形生薬の試験結果を確認する必要があるが、購入元の品質管理の実施状況を定期的に確認することでも差し支えない。

(製造管理)

Q21 全形生薬と切断生薬のロットは必ずしも同一ロットでなく、新たにロットを発生させることが可能か。

A21

切断生薬のロットから全形生薬のロットが確認(追跡)できれば可能である。

Q22

生薬参考品の適切な保管条件を示されたい。

A22

日局生薬総則に準じ、密閉容器等に入れ、湿気及び虫害等を避けて保管すること。

4.原料エキスの製造管理及び品質管理

(製造管理)