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○医療用ガスに関する製造管理及び品質管理の基準(自主基準)について

(平成24年2月13日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)あて厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課通知)

医薬品及び医薬部外品の製造等に係る適合性確認の基準並びに医薬品及び医薬部外品の製造業者等に対する遵守事項は、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第179号、以下「GMP省令」という。)等により示しているところであるが、医療用に供するガス類のうち厚生労働大臣が指定するもの(以下「医療用ガス」という。)に関する製造管理及び品質管理については、薬事法施行令(昭和36年政令第11号)第20条第1項及び薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第96条の規定に示すとおり、医療用ガスを製造する製造所等には適用していない。今般、一般社団法人日本産業・医療ガス協会から別添のとおり、医療用ガスの品質確保のため「医療用ガスに関する製造管理及び品質管理に関する当協会の自主基準について」を作成し、傘下の会員業者に対しこの自主基準に従い医療用ガスにおける製造管理及び品質管理を行わせる旨の報告があった。

本基準の内容は、医療用ガスの品質確保を図る上で適当と考えられるので、当該団体に加盟していない貴管下の関係業者に対しても周知徹底方、御配慮願いたい。

なお、本事務連絡の写しについては、別記に記載の関連団体等あてにも送付することを念のため申し添える。

別記

独立行政法人医薬品医療機器総合機構

一般社団法人日本産業・医療ガス協会

日本製薬団体連合会

日本製薬工業協会

社団法人東京医薬品工業協会

大阪医薬品協会

社団法人日本薬業貿易協会

米国研究製薬工業協会在日技術委員会

在日米国商工会議所製薬小委員会

欧州製薬団体連合会在日執行委員会

○医療用ガスの製造管理及び品質管理に関する当協会の自主基準について

(JIMGA発第24001号)

(平成24年2月10日)

(厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課課長あて一般社団法人日本産業・医療ガス協会会長通知)

謹啓 益々ご健勝にてご活躍の段、お慶び申し上げます。

平素は、医療用ガスの品質についてご指導賜り厚く御礼申し上げます。

当協会では、医療用ガスのより一層の品質確保及び品質向上を目的としてこの度、医療用ガスの製造管理及び品質管理に関する基準を制定致しましたので、ご連絡申し上げます。

今後ともご指導、ご協力の程よろしくお願い申し上げます。

敬具

1.添付書類

医療用ガスに関する製造管理及び品質管理の基準

(別添)

医療用ガスに関する製造管理及び品質管理の基準

平成24年1月25日 制定

一般社団法人 日本産業・医療ガス協会

医療用ガスに関する製造管理及び品質管理の基準

目次

1.対象範囲

2.目的

3.定義

4.医療用ガスの製造管理及び品質管理基準

5.組織及び職員

5.1 組織とその責務

5.2 職員とその責務

6.構造設備

6.1 原則

6.2 ローリーへの液移充てん

6.3 容器への充てん

7.文書及び記録の管理

7.1 文書の作成及び保管

7.2 手順書等

8.製造管理

8.1 原則

8.2 製造管理に係る文書等

8.3 出発原料及び資材の管理

9.品質管理

9.1 品質管理に係る文書等

9.2 製造所からの出荷の管理

10.製品の品質等に関するその他事項

10.1 変更の管理

10.2 逸脱の管理

10.3 品質等に関する情報及び品質不良等の処理

10.4 回収処理

11.自己点検

11.1 原則

11.2 自己点検の結果に基づく措置

12.教育訓練

12.1 原則

1.対象範囲

本基準は、製造業者が医療用ガスの製造を行う際に適用されるものである。

医療機関における取扱いは、本基準の対象としない。

対象ガス:酸素・窒素・液体酸素・液体窒素・二酸化炭素・亜酸化窒素(笑気)・亜酸化窒素と酸素の混合ガス

2.目的

本基準の目的は、製造業者が、薬事法、薬局等構造設備規則に基づき実施する医療用ガスの製造管理及び品質管理に対する具体的な内容を定めるものである。

3.定義

3.1 製造管理及び品質管理:品質保証の一部であり、医療用ガスの製造販売承認事項、製造販売届書または医薬品製造業許可の基準に従い、医療用ガスの適切な製造及び品質を確保することをいう。

3.2 医療用ガス:人又は動物の疾患の治療又は予防を目的として、又は医学的診断を行い、あるいは人の生理的機能の回復、矯正、修正等を行うことを目的として使用されるガスをいう。

3.3 試験:特に指定のない限り、製造工程あるいは容器充てんのさまざまな段階における医療用ガスのサンプリングおよび分析、あるいは製品が製造販売承認事項、製造販売届書あるいは製品仕様の要件に準拠していることを確認する工程のいずれかを意味する。

3.4 CE:Cold Evaporatorの略称。「定置式超低温液化ガス貯槽」をいう。

3.5 医療用バルクガス:医療機関等のCEに供給するガスをいう。

3.6 中間製品:医療用ガスを容器に充てんする製造所に出荷する場合の医療用ガスをいう。「出発原料」の項も参照のこと。

3.7 表示物:医療用ガス容器に貼付するラベル等及び添付文書をいう。

3.8 出発原料:医療用ガスを容器に充てんする製造所において、医療用ガス及び医療用ガス以外の原料を「出発原料」という。液体酸素及び液体窒素の場合、「中間製品」が出発原料になる。

3.9 ロット:ひとつの製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品及び原料(「以下「製品等」という。」)の一群をいう。

3.10 交叉汚染:医療用ガスに非医療用ガスが混ざること、又は医療用ガスに混合を意図しない他のガスが混ざることをいう。

3.11 非医療用ガス:医療用に使用されない全てのガスをいう。

3.12 最終製品:本基準に基づき製造され、品質管理上の手続が完了し、記録され、出荷可能と判定された医療用ガスをいう。

3.13 トレーサビリティ:原料から製造された最終製品の出荷時まで、任意のロットに関する記録を追跡できる状態にあることをいう。

3.14 製造所:医薬品製造業許可を取得した施設をいう。

3.15 製品標準書:製品(中間製品を除く)ごとに、製造販売承認事項、法令の品質事項、製造手順等を記載したものをいう。製造業者が製造所ごとに作成し、保有する。

3.16 LGC:Liquid Gas Containerの略称。「可搬式超低温液化ガス容器」のことをいう。

3.17 資材:医療用ガスの容器、被包及び表示物をいう。

3.18 管理単位:同一性が確認された資材の一群をいう。

3.19 手順書等:製品標準書、製造管理及び品質管理に関する基準及び手順に関する文書をいう。

3.20 バリデーション:製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法が期待される結果を与えることを検証し、これを文書化することによって、目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造できるようにすることをいう。

4.医療用ガスの製造管理及び品質管理基準

製造業者の製造管理及び品質管理基準は、製造販売承認事項、製造販売届書、製造販売業者との取り決め書(品質標準書等)、製造業許可内容の要求事項を取り込んだものであること。

医薬品としての品質の要件に適合するために、製造業者は、本基準に基づく製造管理及び品質管理基準を制定し、製造管理者に薬事法に基づく要求事項を遵守・実行させ、それらを確認することが必要である。

5.組織及び職員

5.1 組織とその責務

製造業者は、製造所ごとに製造管理者の監督の下に、その人員に応じて製造管理に係る責務及び品質管理に係る責務を担当する者又は組織を置くこと。

製造管理者は、製造管理及び品質管理にかかる業務を統括し、その適正かつ円滑な実施が図れるよう管理監督すること。品質不良その他製品の品質に重大な影響が及ぶおそれがある場合においては、所要の措置が速やかに採られていること及びその進捗状況を確認し、必要に応じ、改善等所要の措置を採るよう指示すること。

製造業者に対する本基準の基本的要求事項を次の通りとする。

① 薬事法に規定されている資格要件を有する製造管理者を配置すること。

② 製造管理者が業務を行うに当たって支障を生ずることがないようにすること。

③ 製造所の組織、規模及び業務の種類に応じ、責任者を適切な人数置くこと。

④ 製造業者は、製造・品質管理業務を適切に実施しうる能力を有する人員を適切に確保すること。

⑤ 職員の製造・品質管理業務内容とその責務と権限及び管理体制(組織図、製造(担当)責任者・品質(担当)責任者等の一覧表)を文書により適切に定めること。

⑥ 職員に対し、本基準に定める教育訓練を定期的に実施すること。

5.2 職員とその責務

職員とは、医療用ガスの製造管理及び品質管理に係る業務(以下「製造・品質管理業務」という。)を統括する「製造管理者」、業務を適正かつ円滑に実施しうる能力を有する「責任者」、及び業務を適切に実施しうる能力を有する「人員」をいう。職員は、基本的に製造・品質管理業務を主としていること。

6.構造設備

6.1 原則

一般に、医療用ガスは、ガス毎に専用の配管、容器、貯槽からなり、それらが大気と遮断された状態で製造される。周囲から異物が混入する等の製品の汚染防止の観点からも、装置が手順書にしたがって適切に運転及び保守点検される必要がある。

医療用ガスの製造所は、薬局等構造設備規則に構造設備を適合させるとともに適切に維持させる必要があるが、上記理由から設備の特性に応じて適用が考慮される項目がある。

6.2 ローリーへの液移充てん

6.2.1 液体酸素及び液体窒素

a) 製造設備

1) 空気液化分離装置

原料空気を取り込み、圧縮工程、不純物除去工程、温度により工程を管理する冷却・精留工程を経て液体酸素又は液体窒素を製造し、貯蔵工程にしたがって貯蔵すること。

工程において冷却用の水が出発原料又は医療用ガスに接する場合、工程の特性を踏まえ水の管理を実施すること。

設備の保守又は消耗品の交換等は、設備の適格性確認、バリデーション結果又はモニタリング結果に基づいて計画的に実施すること。

2) 貯蔵タンク

単一のガス専用の製品貯蔵タンクであること。

医療用ガスをローリーに移し替えるときにはガス別特定された接続継手を使用するものとし、誤ったガスが充てんされることを防止すること。

3) ローリー

① 単一のガス専用のローリーであり、積載されたガスの品質は医療用ガスの品質を満たすこと。

② 医療用バルクガスをCEに移し替えるときにはガス別特定された接続継手を使用するものとし、誤ったガスが充てんされることを防止すること。

③ 医療用バルクガスの移送作業は、汚染を防止する手順を定め管理すること。

b) 試験室

医療用ガス及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。ただし、当該製造業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であって、支障がないと認められるときは、この限りでない。

6.2.2 その他医療用ガス

前記6.2.1以外の医療用ガスについては、次の施設を備えておくこと。また、その製品標準書に施設に関する必要な事項を明記しておくこと。

① 製造設備

② 試験室

6.3 容器への充てん

a) 充てん設備

1) 設備の配置

充てん設備は、充てん作業工程にしたがって順次進行するよう配置することが望ましい。充てん設備は、取り違え防止及び交叉汚染をおこさないよう対策を講じること。また、設備は床への線引き、パーテーション(壁面)、障壁、ラベル、看板等の適切な手段を用いて工程を識別すること。

2) 原料

①CE:製造販売承認事項及び/又は製造販売届書に記載整備された製造所から送られた出発原料は、CEに貯蔵することができる。

②LGC:製造販売承認事項及び/又は製造販売届書に記載整備された製造所から送られたLGCを受け入れ、使用する。

③圧縮ガス:製造販売承認事項及び/又は製造販売届書に記載整備された製造所から送られた圧縮ガスを受け入れ、使用する。

3) 充てんライン

① 医療用充てんラインと非医療用充てんラインを併用しないこと。設備の都合上、医療用充てんラインと非医療用充てんラインとを連通させる場合は、非医療用ラインから医療用ラインへの汚染ガス混入を防止できる構造とすること。

② 医療用混合ガスの自動充てんシステムがない場合、混合ガスが正しく充てんされ、充てんに一貫性があり、他の充てん工程からの逆流がないこと。

4) 充てん架台

① 医療用ガスの充てん架台は、単一の医療用ガスにあっては専用とすること、又異なる種類の医療用ガスの混合にあっては、交叉汚染を防ぎ決められた種類の医療用ガス毎に専用架台とすること。

② 充てんするガスまたは混合ガスの名称は、それぞれの充てん架台に表示すること。

③ 同じ架台で医療用と非医療用の充てんを使い分けたり、同じ架台に医療用容器と非医療用容器を混在させて充てんすることは禁止する。

5) 製品の汚染

医療用の品質と非医療用の品質のガスが混合されることがないよう、医療用容器は医療用ガス専用とし、非医療用ガスと共用しないこと。

b) 保管設備

設備は、床への線引き、パーテーション(壁面)、障壁、ラベル、看板等の適切な手段を用い明確に識別すること。

1) 容器の保管

① 容器置場の設置

受入れ容器(残ガス容器を含む。)置場及び最終製品置場を備えること。

② 不適合品の保管

出荷可否判定により拒否された不適合品、一旦出荷された後回収され又は返却された不適合品の保管を適切な手段を用いて実施すること。

2) 資材の保管

容器以外の資材について適切に保管する設備を有すること。

c) 試験室

医療用ガス及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。ただし、当該製造業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であって、支障がないと認められるときは、この限りでない。

7.文書及び記録の管理

7.1 文書の作成及び保管

製造業者は、次に掲げる事項を実施し文書を作成、保管すること。

① 文書は、その性質および目的が明確に定義できるように定め、固有の表題、限定された内容とすること。

② 文書は、内容の確認が容易に実施できるようにしておくこと。

③ 文書は定期的に見直しを行い、製造販売業者からの最新の情報の内容を反映させること。

④ 文書を作成し、または改訂する場合においては、手順書等に基づき、承認、配布、保管等を行うこと。

⑤ 手順書等を作成し、又は改訂するときは、当該手順書等にその日付を記載するとともに、それ以前の改訂に係る履歴を保管すること。

⑥ 文書及び記録を、作成の日(手順書等については使用しなくなった日)から5年間保管すること。

7.2 手順書等

製造業者は、次に定める手順書等を製造所ごとに作成し、保管させること。

a) 製品標準書

製品(中間製品を除く)ごとに、次に掲げる事項について記載すること。及び、製造管理者の承認を受けること。

① 製造販売承認事項あるいは製造販売届出事項

② 製造手順

③ その他の必要な事項

b) 衛生管理に関する基準

構造設備の衛生管理、職員の衛生管理、及びその他必要な事項について記載すること。

c) 製造管理に関する基準

医療用ガスの保管、製造工程の管理、バリデーションに関すること、及びその他必要な事項について記載すること。

d) 品質管理に関する基準

検体の採取方法、試験検査の方法、試験検査結果の判定方法、及びその他必要な事項を記載すること。

e) 手順に関する文書

製造管理及び品質管理を適正かつ円滑に実施するための、次に掲げる文書を作成し保管すること。

① 製造所からの出荷の管理に関する手順

② 10.1の変更の管理に関する手順

③ 10.2の逸脱の管理に関する手順

④ 品質等に関する情報及び品質不良等の処理に関する手順

⑤ 回収処理に関する手順

⑥ 自己点検に関する手順

⑦ 教育訓練に関する手順

⑧ 文書及び記録の管理に関する手順

⑨ その他製造管理及び品質管理を適正かつ円滑に実施するために必要な手順

8.製造管理

8.1 原則

a) 医療用ガスの製造は、本基準に適合する手順に従って行うこと。

b) 医療用ガスは、化学合成により製造又は天然資源から取得し、例えば空気液化分離装置等を用い必要に応じて精製する医療用バルクガスと、これを出発原料とし医療用ガス容器に充てんしたものがある。製造管理は、それぞれの製品ごとに実施されなければならない。

c) 製造業者は、製造にあたって、製造(担当)責任者に、次に掲げる事項を行わせること。

① 製造管理に係る文書等の作成及び保管

② 原料、資材の管理

③ 手順書記載事項の遵守

d) 製造業者は、製造設備ごとに品質に大きな影響を及ぼす重要な工程に関し、製造業者があらかじめ指定した者に手順書に基づきバリデーションを実施させ、記録を作成し、保管すること。その結果の記録については、製造管理者に対し文書にて報告すること。また、医療用バルクガスの製造工程については、バリデーションの結果に基づき工程の日常管理を実施すること。

8.2 製造管理に係る文書等

製造業者は、製造(担当)責任者に、手順書等に基づき、次に掲げる製造管理に係る業務を計画的かつ適切に行わせること。

① 製造工程における指示事項、注意事項その他必要な事項を記載した製造指図書等に基づき製品を製造すること。

② 医療用ガスの製造に関する記録をロットごとに作成し、これを保管すること。

③ 医療用ガスの資材について管理単位ごとにそれが適正である旨を確認するとともに、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。

④ 医療用ガスについてはロットごとに、資材については管理単位ごとに適正に保管し、出納を行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

⑤ 構造設備の清浄を確認し、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。

⑥ 職員の衛生管理を行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

⑦ 構造設備を定期的に点検整備するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。また、計器の校正を適切に行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

⑧ 製造、保管及び出納並びに衛生管理に関する記録により製造管理が適切に行われていることを確認し、その結果を品質(担当)責任者に対して文書により報告すること。

⑨ 使用を目的として医療機関のCEに供給された医療用バルクガス、あるいは医療用ガス容器充てんの出発原料として供給された医療用バルクガスにつき、ロット追跡のためのシステムを構築しておくこと。医療用ガス供給に使用された容器の追跡を可能にしておくこと。

⑩ 医療用ガス容器への充てんにおいては、不純物等の汚染を防止するために   決められた方法にて洗浄を実施し、記録を作成すること。

⑪ 医療用ガス容器への充てん後、封を実施する前に適切な漏れ検査を実施し、記録を作成すること。

⑫ 医療用ガス容器への充てん記録については、製品の名称、充てん日、使用した充てん架台の名称、充てん前操作の内容、充てん者名、製造番号のサンプル、充てん作業中の逸脱の有無、製造(担当)責任者の確認等を含めて必要な事項を記載すること。

8.3 出発原料及び資材の管理

8.3.1 出発原料

医療用ガスを容器に充てんする製造所は、出発原料に係る受け入れ、保管、検体の採取(サンプリング)、貯蔵、表示を手順書に従って実施し、記録するとともに、適切に保管管理すること。

8.3.2 資材

容器及び医療用ガス容器に貼付または添付する表示物であるラベル、添付文書の受け入れ、保管、発行、使用、管理を行うこと。

a) 容器

容器は、医療用ガスを充てんするための容器でもあり、被包でもある。容器は適切な方法で洗浄し、試験し、保管しなければならない。新品の容器および法令が定める試験を実施した容器については、汚染がないこと等を容器の使用に先立って確認すること。

b) 容器バルブ

容器バルブが装備された高圧ガス容器が、医療用ガスの被包として使用される。容器バルブのトレーサビリティは、高圧ガス容器の記号・番号により管理すること。

c) ラベルと添付文書

① 薬事法を満たすラベルと添付文書を使用すること。

② ラベルと添付文書は、保管して、不正な取り扱いを防止すること。

③ 使用できなくなったラベル/添付文書又は、記載内容が変更となったラベル/添付文書は、廃棄すること。

d) 封

薬事法にて規定される封は、封を開かなければ医療用ガスを使用することができず、かつ、その封を開いた後には、容易に原状に復することができないような封にすること。

9.品質管理

9.1 品質管理に係る文書等

製造業者は、品質(担当)責任者に、手順書等に基づき、次に掲げる製品の品質管理に係る業務を計画的かつ適切に行わせること。また、ロットの定義を文書にて定めること。

① 医療用ガスについてはロットごとに、資材については管理単位ごとに試験検査を行うのに必要な検体を採取するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

② 採取した検体について、ロットごと又は管理単位ごとに自己の責任において試験検査を行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

③ 医療用ガスについて、ロットごとの参考品の保管は、不要である。

④ 試験検査に関する設備及び器具を定期的に点検整備するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。また、試験検査に関する計器の校正を適切に行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

⑤ ②で採取した検体の試験検査の結果の判定を行い、その結果を製造(担当)責任者に文書により報告すること。

⑥ 同一の充てん設備にて複数品目の医療用ガスを充てんする場合、充てん毎に試験検査を実施すること。

⑦ その他品質管理のために必要な業務

9.2 製造所からの出荷の管理

① 製造業者は、品質(担当)責任者に、手順書等に基づき、製造管理及び品質管理の結果を適切に評価し、製品の製造所からの出荷の可否を決定する業務を行わせること。また、出荷判定の期間を文書にて定めること。

② 出荷の可否を決定する業務を行う者は、当該業務を適正かつ円滑に実施しうる能力を有する者でなければならない。

③ 製造業者は、出荷の可否を決定する業務を行う者が当該業務を行うに当たって、支障が生ずることがないようにしなければならない。

④ 製造業者は、出荷の可否の決定が適正に行われるまで製造所から製品を出荷してはならない。

10.製品の品質等に関するその他事項

10.1 変更の管理

製造業者は、製造手順等について、製品の品質に影響を及ぼすおそれのある変更を行う場合においては、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせること。

a) 変更の記録と保管

当該変更による製品の品質への影響を評価し、その評価の結果をもとに変更を行うことについて品質(担当)責任者の承認を受けるとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

b) 変更に伴う措置

10.1a)において品質(担当)責任者の承認を受けて変更が実施される前までに、関連する文書の改訂、職員の教育訓練、及びその他所要の措置を採ること。

10.2 逸脱の管理

製造業者は、製造手順等からの逸脱が生じた場合においては、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせること。

a) 逸脱の記録

逸脱の内容を記録すること。

b) 重大な逸脱

1) 実施する業務

重大な逸脱が生じた場合においては、次に掲げる業務を行うこと。

① 逸脱による製品の品質への影響を評価し、所要の措置を採ること。

② ①に規定する評価の結果及び措置について記録を作成し、保管するとともに、品質(担当)責任者に対して文書により報告すること。

③ ②の規定により報告された評価の結果及び措置について、品質(担当)責任者の確認を受けること。

2) 評価結果及び措置の製造管理者への報告

製造業者は、品質(担当)責任者に、手順書等に基づき、10.2b)1)の③により確認した記録を作成させ、保管させるとともに、10.2b)1)の②の記録とともに、製造管理者に対して文書により適切に報告させなければならない。

10.3 品質等に関する情報及び品質不良等の処理

製造業者は、製品に係る品質等に関する情報(以下「品質情報」という。)を得たときは、その品質情報に係る事項が当該製造所に起因するものでないことが明らかな場合を除き、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせること。

a) 原因究明と改善措置

当該品質情報に係る事項の原因を究明し、品質に与える影響を適切に評価すること。また、その原因究明の結果に基づき、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合においては、所要の措置を採ること。

b) 記録の作成と報告

当該品質情報の内容、原因究明の結果及び改善措置を記載した記録を作成し、保管するとともに、品質(担当)責任者に対して文書により速やかに報告すること。

c) 品質(担当)責任者の確認

10.3b)の報告により、品質(担当)責任者の確認を受けること。

d) 製造管理者への報告

製造業者は、10.3c)の確認により品質不良又はそのおそれが判明した場合には、品質(担当)責任者に、当該事項を製造管理者に対して文書により報告させること。

10.4 回収処理

製造業者は、製品の品質等に関する理由により回収が行われるときは、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせること。

a) 回収品の処理

回収した製品を保管する場合は、その製品を区分して一定期間保管した後、適切に処理すること。

b) 回収の記録と品質(担当)責任者及び製造管理者への報告

回収の内容を記載した回収処理記録を作成し、保管するとともに、品質(担当)責任者及び製造管理者に対して文書により報告すること。ただし、当該回収に至った理由が当該製造所に起因するものでないことが明らかな場合においては、この限りでない。

11.自己点検

11.1 原則

製造業者は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせること。

a) 自己点検の実施

当該製造所における製品の製造管理及び品質管理について定期的に自己点検を行うこと。

b) 点検結果の報告

自己点検の結果を製造管理者に対して文書により報告すること。

c) 点検結果の記録

自己点検の結果の記録を作成し、これを保管すること。

11.2 自己点検の結果に基づく措置

製造業者は、11.1a)の自己点検の結果に基づき、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合においては、所要の措置を採るとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管すること。

12.教育訓練

12.1 原則

製造業者は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせること。

a) 教育訓練の実施

医療用ガスの製造・品質管理業務に従事する職員に対して、製造管理及び品質管理に関する必要な教育訓練を計画的に実施すること。

b) 教育訓練の報告

教育訓練の実施状況を製造管理者に対して文書により報告すること。

c) 教育訓練実施の記録

教育訓練の実施の記録を作成し、これを保管すること。

以上