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○特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法等の公布について

(平成23年12月16日)

(健発第1216第1号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各中核市市長・各保健所設置市市長・各特別区区長あて厚生労働省健康局長通知)

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法(以下「法」という。)案については、本年10月28日に国会に提出され、審議が重ねられてきたところであるが、一部修正の上12月9日に成立し、本日平成23年法律第126号として公布されたところである。法は、一部の規定を除き、平成24年1月13日から施行される。

また、法の公布と同日、「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の施行期日を定める政令」(平成23年政令第398号。以下「施行日政令」という。)、「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法施行令」(平成23年政令第399号。以下「令」という。)、「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法施行規則」(平成23年厚生労働省令第144号。以下「規則」という。)が公布された。

これらの主たる内容は下記のとおりであるので、貴職におかれては、その趣旨について十分御了知の上、各都道府県におかれては、管内市町村を始め、管内の肝疾患診療連携拠点病院、肝疾患専門医療機関、がん診療連携拠点病院、県医師会等の関係団体等に対する周知について、特段の御配慮をお願いする。

なお、B型肝炎訴訟については、現在、電話相談窓口(03―3595―2252。年末年始を除く平日9時から17時まで。)を設置するとともに、厚生労働省のホームページにおいて、B型肝炎訴訟で救済を希望される方々に対し、和解の仕組みを分かりやすくお知らせするための「B型肝炎訴訟の手引き」を掲載しているところであるので、必要に応じて参照されたい。

第1 法の内容

1 目的

この法律は、集団予防接種等の際の注射器の連続使用により、多数の者にB型肝炎ウイルスの感染被害が生じ、かつ、その感染被害が未曽有のものであることに鑑み、特定B型肝炎ウイルス感染者及びその相続人に対し、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等を支給するための措置を講ずることにより、この感染被害の迅速かつ全体的な解決を図ることを目的とするものとすること。(第1条関係)

2 定義

(1) 「集団予防接種等の際の注射器の連続使用」とは、昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間において、法律の規定に基づく予防接種又はツベルクリン反応検査が行われた際に、注射針その他医療機器を予防接種又はツベルクリン反応検査を受ける者ごとに取り替えることなく、使用したことをいうものとすること。(第2条第1項関係)

(2) 「特定B型肝炎ウイルス感染者」とは、7歳に達するまでの間における集団予防接種等の際の注射器の連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染した者であって当該B型肝炎ウイルスが持続的に生体内に存在する状態(以下「持続感染の状態」という。)になったもの及びその者の胎内又は産道においてB型肝炎ウイルスに感染した者(以下「母子感染者」という。)その他母子感染者に類する者であって持続感染の状態になったものをいうものとすること。(第2条第2項関係)

(3) 「確定判決等」とは、7歳に達するまでの間における集団予防接種等の際の注射器の連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染した者が持続感染の状態になったこと又は母子感染者その他母子感染者に類する者が持続感染の状態になったことによって生じた損害の賠償に係る確定判決又は和解若しくは調停であって、その相手方に国が含まれるものをいうものとすること。(第2条第3項関係)

3 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等

(1) 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金

① 社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)は、特定B型肝炎ウイルス感染者又はその相続人に対し、その者の請求に基づき、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金を支給するものとすること。(第3条関係)

② 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給の請求をするには、特定B型肝炎ウイルス感染者であること及びその者が④イからトまでのいずれかに該当する者であることを証する確定判決等の判決書又は調書を提出しなければならないものとすること。(第4条関係)

③ 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給の請求は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに行わなければならないものとすること。(第5条関係)

イ この法律の施行の日(平成24年1月13日)から起算して5年を経過する日(ロにおいて「経過日」という。)

ロ 訴えの提起又は和解若しくは調停の申立てを経過日以前にした場合における当該訴えに係る判決が確定した日又は当該和解若しくは調停が成立した日から起算して一月を経過する日

④ 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の額は、次に掲げる特定B型肝炎ウイルス感染者の区分に応じ、それぞれ次に定める額とするものとすること。(第6条関係)

イ 重度の肝硬変若しくは肝がんにり患し、又は死亡した者 3,600万円

ロ 軽度の肝硬変にり患した者 2,500万円

ハ 慢性B型肝炎にり患した者 1,250万円

ニ 慢性B型肝炎にり患した者のうち、発症から20年を経過した後にされた訴えの提起又は和解若しくは調停の申立てに係る者であって、現に慢性B型肝炎にり患しているもの又は現に慢性B型肝炎にり患していないが、慢性B型肝炎の治療を受けたことのあるもの 300万円

ホ 慢性B型肝炎にり患した者のうち、発症から20年を経過した後にされた訴えの提起又は和解若しくは調停の申立てに係る者であって、ニに掲げる者以外のもの 150万円

ヘ イからホまでに掲げる者以外の者(集団予防接種等の際の注射器の連続使用の時(母子感染者については出生時)から20年を経過した後にされた訴えの提起又は和解若しくは調停の申立てに係る者を除く。) 600万円

ト イからヘまでに掲げる者以外の者 50万円

(2) 訴訟手当金

支払基金は、特定B型肝炎ウイルス感染者又はその相続人が、確定判決等に係る訴訟又は和解若しくは調停に関し、特定B型肝炎ウイルス感染者であることを確認するための検査費用を支出したとき又は弁護士若しくは弁護士法人に報酬を支払うべきときは、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給を請求する者に対し、その者の請求に基づき、訴訟手当金を支給するものとすること。(第7条関係)

(3) 追加給付金

① 支払基金は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給を受けた者であって、新たに(1)④イからハまでのいずれかに該当するに至ったものに対し、その者の請求に基づき、追加給付金を支給するものとすること。(第8条関係)

② 追加給付金の支給の請求をするには、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給を受けた特定B型肝炎ウイルス感染者がB型肝炎ウイルスに起因して、(1)④イからハまでのいずれかに該当していることを証明する医師の診断書を提出しなければならないものとすること。(第9条関係)

③ 追加給付金の支給の請求は、その請求をする者が、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給を受けた特定B型肝炎ウイルス感染者がB型肝炎ウイルスに起因して新たに(1)④イからハまでのいずれかに該当するに至ったことを知った日から起算して3年以内に行わなければならないものとすること。(第10条関係)

④ 追加給付金の額は、(1)④イからハまでに定める額から、既に支給された特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の額を控除した額とするものとすること。(第11条関係)

(4) 定期検査費

① 支払基金は、(1)④トに該当することを証された特定B型肝炎ウイルス感染者(以下「特定無症候性持続感染者」という。)が、慢性B型肝炎又は肝がんの発症を確認するための定期的な検査を受けたときは、その者の請求に基づき、定期検査費を支給するものとすること。(第12条第1項関係)

② 定期検査費の支給の請求は、その請求をすることができる時から5年を経過したときは、することができないものとすること。(第12条第2項関係)

③ 定期検査費の額は、定期検査に要する費用の額から、健康保険法その他の法律の規定による定期検査に関する給付の額を控除した額とし、定期検査に要する費用の額は、健康保険の療養に要する費用の額の算定方法の例により算定するものとすること。(第12条第3項及び第4項関係)

(5) 母子感染防止医療費

① 支払基金は、特定無症候性持続感染者が出産した場合において、当該特定無症候性持続感染者又はその子(以下「特定無症候性持続感染者の子」という。)が、当該特定無症候性持続感染者の子がB型肝炎ウイルスに感染することを防止するための検査又は血液製剤若しくはワクチンの投与(以下「母子感染防止医療」という。)を受けたときは、当該特定無症候性持続感染者に対し、その者の請求に基づき、母子感染防止医療費を支給するものとすること。(第13条第1項関係)

② 母子感染防止医療費の額は、母子感染防止医療に要する費用の額から、健康保険法その他の法律の規定による母子感染防止医療に関する給付の額を控除した額とすること。(第13条第2項関係)

③ 母子感染防止医療費の支給の請求は、その請求をすることができる時から5年を経過したときは、することができないものとし、母子感染防止医療に要する費用の額は、健康保険の療養に要する費用の額の算定方法の例により算定するものとすること。(第13条第3項関係)

(6) 世帯内感染防止医療費

① 支払基金は、特定無症候性持続感染者と同一の世帯に属する者が、B型肝炎ウイルスに感染することを防止するための検査又はワクチンの投与(以下「世帯内感染防止医療」という。)を受けたときは、当該特定無症候性持続感染者に対し、その者の請求に基づき、世帯内感染防止医療費を支給するものとすること。(第14条第1項関係)

② 世帯内感染防止医療費の額は、世帯内感染防止医療に要する費用の額から、健康保険法その他の法律の規定による世帯内感染防止医療に関する給付の額を控除した額とするものとすること。(第14条第2項関係)

③ 世帯内感染防止医療費の支給の請求は、その請求をすることができる時から五年を経過したときは、することができないものとし、世帯内感染防止医療に要する費用の額は、健康保険の療養に要する費用の額の算定方法の例により算定するものとすること。(第14条第3項関係)

(7) 定期検査手当

① 支払基金は、特定無症候性持続感染者が定期検査を受けたときは、その者の請求に基づき、年を単位として定期検査2回までに限り、定期検査手当を支給するものとすること。(第15条第1項関係)

② 定期検査手当の額は、定期検査一回につき15,000円とし、定期検査手当の支給の請求は、その請求をすることができる時から5年を経過したときは、することができないものとすること。(第15条第2項及び第3項関係)

(8) 定期検査費及び母子感染防止医療費の支給の特例

① 支払基金は、特定無症候持続感染者に対し、その者の請求に基づき、特定B型肝炎ウイルス感染者定期検査費等受給者証(以下「受給者証」という。)を交付するものとすること。(第16条第1項関係)

② 特定無症候性持続感染者が、受給者証を提示して、定期検査又は母子感染防止医療を受けた場合においては、支払基金は、当該特定無症候性持続感染者に支給すべき額の限度において、その者が保険医療機関その他病院又は診療所に支払うべき費用を、当該特定無症候性持続感染者に代わり、当該保険医療機関その他病院又は診療所に支払うことができるものとすること。(第16条第2項及び第17条関係)

(9) 損害賠償との調整、他の法令による給付との調整、非課税措置その他特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等について所要の規定を設けるものとすること。(第18条から第25条まで関係)

4 社会保険診療報酬支払基金の特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務

(1) 支払基金の業務

支払基金は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等を支給すること及びこれに附帯する業務(以下「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務」という。)を行うものとすること。(第26条関係)

(2) 業務方法書等

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務に関し、業務方法書、区分経理、予算の認可、財務諸表、利益及び損失の処理並びに短期借入金について定めるものとすること。(第27条から第32条まで関係)

(3) その他

その他特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務について所要の規定を設けるものとすること。(第33条から第36条まで関係)

5 費用

(1) 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給基金

支払基金は、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務に要する費用に充てるための特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給基金を設けるものとすること。(第37条関係)

(2) 交付金

政府は、支払基金に対し、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務に要する費用に充てるための資金を交付するものとすること。(第38条関係)

6 罰則

罰則について、所要の規定を設けるものとすること。(第42条から第45条まで関係)

7 施行期日等

(1) 施行期日

この法律は、公布の日から起算して1月を超えない範囲内において政令で定める日(平成24年1月13日)から施行するものとすること。ただし、1、2、4、5、6の一部及び7の一部は、公布の日(平成23年12月16日)から施行するものとすること。(附則第1条関係)

(2) 検討

政府は、この法律の施行後5年を目途として、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給の請求の状況を勘案し、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の請求期限及び特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に要する費用の財源について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。(附則第2条関係)

(3) 長期借入金

長期借入金及びそれに係る債務保証について規定するものとすること。(附則第4条関係)

(4) 交付金の財源

政府は、平成24年度から平成28年度までの各年度において5の(2)の規定により支払基金に対して交付する資金については、平成24年度において必要な財政上及び税制上の措置を講じて、確保するものとすること。(附則第5条関係)

(5) 経過措置及び住民基本台帳法の一部改正

この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定めるものとするほか、住民基本台帳法について所要の規定の整備を行うものとすること。(附則第6条及び附則第7条関係)

第2 令の内容

1 法第12条第3項の政令で定める法律

法第12条第3項の政令で定める法律は、次のとおりとすること。(第1条関係)

(1) 健康保険法

(2) 船員保険法

(3) 国家公務員共済組合法(他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)

(4) 国民健康保険法

(5) 地方公務員等共済組合法

(6) 高齢者の医療の確保に関する法律

2 医療に関する審査機関等

法第17条第1項の政令で定める医療に関する審査機関は、社会保険診療報酬支払基金法に定める特別審査委員会、国民健康保険法第45条第6項に規定する厚生労働大臣が指定する法人に設置される診療報酬の審査に関する組織とすること。(第2条関係)

3 支払基金への資金の交付

法第38条の規定により政府が社会保険診療報酬支払基金に交付する資金は、法第18条に規定する特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給の請求の状況及びその見込みを勘案して、交付するものとすること。(第3条関係)

4 施行期日等

(1) この政令は、法の施行の日(平成24年1月13日)から施行するものとすること。ただし、3並びに4(2)の一部は、公布の日(平成23年12月16日)から施行するものとすること。(附則第1条関係)

(2) 法及びこの政令の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係政令について所要の改正を行うものとすること。(附則第2条から附則第7条まで関係)

第3 施行日政令の内容

法の施行期日は、平成24年1月13日とすること。

第4 規則の内容

1 予防接種又はツベルクリン反応検査を行った者

法第2条第1項に規定する厚生労働省令で定める者は、次のとおりとすること。(第1条関係)

(1) 地方自治法等の一部を改正する法律(昭和39年法律第169号。以下「昭和39年地方自治法改正法」という。)第11条の規定による改正前の予防接種法(昭和23年法律第68号)第5条の規定及び昭和39年地方自治法改正法第12条の規定による改正前の廃止前結核予防法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律(平成18年法律第106号)附則第2条の規定により廃止された廃止前の結核予防法(昭和26年法律第96号)をいう。)第4条第3項の規定に基づき、東京都の区の存する区域において、予防接種又はツベルクリン反応検査を行った保健所長

(2) 昭和39年地方自治法改正法第11条の規定による改正後の予防接種法第5条及び昭和39年地方自治法改正法第12条の規定による改正後の廃止前結核予防法第4条第3項の規定に基づき、昭和63年1月27日までの間、東京都の区の存する区域において、予防接種又はツベルクリン反応検査を行った特別区の区長

(3) 廃止前結核予防法第4条第1項の規定に基づき、昭和63年1月27日までの間、定期の健康診断を行った学校の長

2 予防接種又はツベルクリン反応検査が実施された日において施行されていた法律

法第2条第1項に規定する厚生労働省令で定める法律は、予防接種法及び廃止前結核予防法とすること。(第2条関係)

3 医療機器

法第2条第1項に規定する厚生労働省令で定める医療機器は、種痘針、乱刺針及び多圧針とすること。(第3条関係)

4 持続感染の状態

法第2条第2項に規定する厚生労働省令で定める状態は、次のいずれかの場合に該当する状態とすること。(第4条関係)

(1) 6月以上の間隔をおいて2回の血液学的検査を行った結果、いずれの検査結果においてもHBs抗原陽性、HBV―DNA陽性、HBe抗原陽性のいずれかに該当すると認められる場合(当該2回の血液学的検査の間隔が相当程度長い場合又は当該2回の血液学的検査の間にB型肝炎ウイルスが持続的に生体内に存在していないことを疑わせる検査結果がある等の特段の事情がある場合を除く。)

(2) 血液学的検査の結果、HBc抗体陽性(高力価に限る。)に該当すると認められる場合

(3) 上記に掲げる場合のほか、一般に認められている医学的知見に基づきB型肝炎ウイルスが持続的に生体内に存在する状態であると認められる場合

5 施行期日

この省令は公布の日(平成23年12月16日)から施行するものとすること。(附則関係)