アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○健康保険組合における会計及び財産管理事務の取扱いについて

(平成19年2月1日)

(保保発第0201001号)

(健康保険組合理事長あて厚生労働省保険局保険課長通知)

標記については、「健康保険組合の事業運営について」(平成19年2月1日保発第0201001号)により「健康保険組合の事業運営基準について」(昭和35年11月7日保発第70号)が廃止されたことに伴い、今後は、本通知によることとしたので、適宜、組合諸規程の整備等の措置を講じたうえで、組合財政の健全な運営に努められたい。

また、「健康保険組合の事業運営基準について」(昭和35年11月7日保発第70号)の廃止に伴い、「健康保険組合の準備金及び任意積立金の保有形態等について」(平成6年11月24日保文発第904号)を廃止するので、併せて通知する。

なお、平成19年度税制改正大綱において廃止の方針が示されている減価償却における残存価格等については、関係法令の改正等所要の措置が講じられる際に、改めて通知する予定であることを申し添える。

健康保険組合における会計及び財産管理事務の取扱いについて

1.管理責任

理事長及びこれらの補助者たる財務を担当する役職員は、健康保険組合(以下「組合」という。)の行う経理について、善良な管理者としての注意を払うこと。

2.実行計画とその統制

理事長は、組合事業の合理的かつ能率的な運営を図るため、各事務所における予算の実行計画を定め、その統制を図ること。

3.従たる事務所における予算及び資金の調整

組合の従たる事務所を設置する場合でその事務所において予算の執行がなされるときは、理事長は、各事務所における予算の執行の実態を掌握し、配布予算及び支払資金等に過不足を生じた場合における予算額の追加交付及び資金の調整等が円滑に行われ、各事務所において、支出の遅延等経理上の混乱が生じないようにすること。

4.契約の方式

売買、請負その他の契約をする場合には、あらかじめ、契約しようとする事項の予定価格を定め、競争入札に付すること。

ただし、競争入札によることが明らかに不利と認められる場合のほか、次に掲げる事例のような場合には随意契約としても差し支えないこと。

また、随意契約においては、なるべく2者以上から見積書を徴するようにすることとし、この場合は、当該見積書を併せて保管すること。

(1) 契約の性質又は目的が競争を許さないとき。

(2) 急迫の際で競争入札に付する時間的な余裕がないとき。

(3) 予定価格が250万円を超えない工事又は製造をさせるとき。

(4) 予定価格が160万円を超えない財産を買い入れるとき。

(5) 予定賃借料の年額又は総額が80万円を超えない物件を借り入れるとき。

(6) 予定価格が50万円を超えない財産を売り払うとき。

(7) 予定賃貸料の年額又は総額が30万円を超えない物件を貸し付けるとき。

(8) 財産の売買及び物件の賃貸以外の契約でその予定価格が100万円を超えないものをするとき。

(9) 競争に付しても入札者がないとき、再度の入札に付しても落札者がないとき、又は落札者が契約を結ばないとき。

なお、上記(4)及び(6)に該当する財産には、消耗品その他の物品であっても、一括での購入及び売払の場合は準用するものであること。

5.前金払

(1) 前金払をすることができる経費の範囲

支払うべき金額の確定しているもので、一般の商慣習上及び経費の性質上前金をもって支払をしなければ組合の事務処理に支障を及ぼすような次に掲げる経費については、その支払うべき事実が完成する前に一定の額を支払うことができるものとすること。

なお、前金払は、支払先の義務履行又は給付すべき時期の到来前に支払いを行うという支出の特例であるので、支払先の義務履行又は給付が、その会計年度内に得られるものに限られるものであり、翌年度以降に得られるものについては原則認められないこと。

① 外国から購入する機械及び図書等の代価

② 定期刊行物の代価及び日本放送協会に対して支払う受信料

③ 土地又は家屋の借料

④ 運賃

⑤ 委託費

⑥ 補助金

⑦ 諸謝金

⑧ 電話、電気、ガス及び水道の引込工事並びにこれらの料金

⑨ 公共工事の前払金保証事業に関する法律(昭和27年法律第184号)第2条第4項に規定する保証事業会社により、同条第2項に規定する前払金の保証された工事の代価に10分の4以内の割合を乗じた額

⑩ 前各号に準じるものとして組合の規程で定める経費

(2) 前金払の事後整理

前金払を行ったものについては、別添の様式例を参考に、組合の実情及び経費の種類に応じた的確な整理簿を備え、その状況を明らかにしておくことが必要であること。

6.概算払

(1) 概算払をすることができる経費の範囲

支払うべき金額が確定していないもので、経費の性質上概算をもって支払をしなければ組合の事務処理に支障を及ぼすような次に掲げる経費については、その支払うべき事実が完成する前に概算額を支払うことができるものとすること。

なお、概算払は、債務金額の確定、支払先の義務履行又は給付すべき時期の到来前に支払いを行うという支出の特例であるので、支払先の義務履行又は給付が、その会計年度内に得られるものに限られるものであり、翌年度以降に得られるものについては原則認められないこと。

① 旅費

② 社会保険診療報酬支払基金又は指定医療機関に対して支払う診療費

③ 官公署に対し支払う経費

④ 委託費

⑤ 海外に在住する被保険者及び被扶養者に係る健康診査費

⑥ 補助金

⑦ 前各号に準じるものとして組合の規程で定める経費

(2) 概算払の精算

概算払を行ったものについては、別添の様式例を参考に、組合の実情及び経費の種類に応じた的確な整理簿を備え、その状況を明らかにしておくことが必要であること。

また、概算払については、事実が完成されたときに必ず精算を行うこと。したがって、概算払を行った結果、過払となったときは返納を、不足になったときは追加支払を行うこと。

7.保養所等に対する前渡金

保養所、病院等の施設を運営するに当たり、その管理責任者等にその施設に係る経理を担当させる場合は、その事務の範囲を定め、当該施設で資金を必要とする場合には、前渡金を交付することができるものとすること。

なお、前渡金は、交付した時点で支出となるものであるから、一般の支出と同様、歳出簿に記帳する必要があること。

また、前渡金を受けて経理を行う施設の管理責任者等は、別添の様式例を参考に、組合の実情等に応じた的確な整理簿を備え、その状況を明らかにしておくことが必要であること。

8.減価償却

組合で保有する固定資産の減価償却については、次に掲げる方法により行うこととし、その具体的な方法は、組合会の議決を経て明確に定めること。

なお、準備金以外の固定資産の減価償却については、組合の実情等に応じ、法人税法(昭和40年法律第34号)及び同法施行令(昭和40年政令第97号)に定める償却方法を用いても差し支えないこと。

(1) 準備金を、健康保険法(大正11年法律第70号)第150条の規定に基づく施設である建物で保有している場合においては、毎年度定額法により減価償却すること。なお、この場合における減価償却額については、これを毎年度の支出予算に計上して、準備金に繰り入れること。

(2) 準備金以外の固定資産のうち、耐用年数が1年以上かつ取得価格が10万円以上のもの(償却資産)については、減価償却を行い、減価償却後の価格をもって帳簿価格とし財産管理すること。

耐用年数が1年未満又は取得価額が10万円未満のもの(少額資産)については、取得時に取得価格の全額を償却すること。

(3) 減価償却の方法は、残存価格を取得価格の10%とし、毎年度定額法による減価償却とする。なお、この場合における減価償却額の計算は、次の算式によること。

減価償却額=(取得価格-残存価格)/耐用年数

残存価格=取得価格の10%

(4) 前(3)により減価償却をする場合における耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)の定めるところによること。

(5) 耐用年数の一部を経過した建物(中古建物)を取得し、その将来の残存耐用年数が明らかでない場合には、前(4)で定める耐用年数から経過年数を控除した年数を当該建物の耐用年数とみなし、償却額を計算すること。

9.土地の帳簿価格

(1) 土地の帳簿価格は、取得価格とし、取得価格には、土地の購入代金の他、売買仲介手数料などの付随費用も含むものとすること。

(2) 準備金として保有している土地の帳簿価格が、時価と著しく乖離していると認められるときは、不動産鑑定士による鑑定等により、再評価を行い、台帳及び財産目録の価格を修正して差し支えないこと。

(参考)

―平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産の場合―

(下線は、改正部分)

8.減価償却

(3) 減価償却の方法は、毎年度定額法による減価償却とする。なお、この場合における減価償却額の計算は、次の算式によることとし、耐用年数経過時点に1円まで償却すること。

減価償却額=取得価格/耐用年数