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○平成22年度地域別最低賃金額改定の目安について

(平成22年8月6日)

(基発0806第13号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

[5年保存]

標記については、本年7月2日に厚生労働大臣から中央最低賃金審議会に対し諮問が行われたところであるが、8月6日、同審議会から別添のとおり答申がなされたので、下記事項に留意の上、貴職から地方最低賃金審議会に対し本答申を伝達されたい。

1 本答申は、目安について労使の合意が得られず、目安を定めるに至らなかったが、地方最低賃金審議会における円滑な審議に資するため、目安に関する公益委員見解を地方最低賃金審議会に提示するものとされたものであること。

2 地方最低賃金審議会における今後の審議においては、上記の経緯を十分考慮した上で、公益委員見解を十分参酌し、また、賃金実態調査、参考人からの意見聴取、実地視察等の結果を活用し、適正な最低賃金額の改定が行われるよう配慮すること。

(別添)

○平成22年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)

(平成22年8月6日)

(厚生労働大臣あて中央最低賃金審議会会長答申)

平成22年7月2日に諮問のあった平成22年度地域別最低賃金額改定の目安について、下記のとおり答申する。

1 平成22年度地域別最低賃金額改定の目安については、その金額に関し意見の一致をみるに至らなかった。

2 地方最低賃金審議会における審議に資するため、上記目安に関する公益委員見解(別紙1)及び中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告(別紙2)を地方最低賃金審議会に提示するものとする。

3 地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることとし、同審議会において、別紙1の2以下に示されている公益委員の見解を十分参酌され、自主性を発揮されることを強く期待するものである。

4 本年6月の雇用戦略対話の最低賃金引上げの合意において、当該合意における最低賃金引上げの目標の円滑な達成を支援するため、最低賃金引上げにより最も影響を受ける中小企業に対する支援等の取組を講じることを検討すべきとされており、政府において必要な検討が行われることを要望する。また、行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。

別紙1

平成22年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解

1 平成22年度地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安は、表1中で下線が付されていない県については、同表に掲げる金額とし、下線が付された都道府県(利用可能な直近の平成20年度データに基づく生活保護水準との乖離額から、平成21年度の地域別最低賃金引上げ額を控除してもなお生活保護水準を下回っている都道府県)については、以下に掲げる金額と、表1に掲げる金額とを比較して大きい方の金額とする。

(1) 表2中の下線が付されていない都道府県(昨年度の地方最低賃金審議会において、今年度以降も引き続き乖離額を解消することとされていた都道府県)については、原則として、それぞれ同表のC欄に掲げる乖離額を、昨年度において乖離額を解消するための期間として同審議会が定めた予定解消年数(以下「予定解消年数」という。)から1年を控除した年数(以下「乖離解消予定残年数」という。)で除して得た金額とする。ただし、そうした場合に、今年度の引上げ額がこれまでに例を見ないほどに大幅になるケースや、地域別最低賃金と実際の賃金分布との関係等を勘案して地域の経済や雇用に著しい影響を及ぼすと考えられるケースについては、当該金額を原則としつつ、同表のC欄に掲げる乖離額を乖離解消予定残年数に1年を加えた年数で除して得た金額も踏まえて、地方最低賃金審議会において審議を行うものとする。

(2) 表2中の下線が付された県(昨年度に乖離額を一旦解消したが、最新のデータに基づいて比較を行った結果、新たに乖離額が生じた県)については、それぞれ同表のC欄に掲げる乖離額を、当該乖離額を解消するための期間として地方最低賃金審議会で定める年数で除して得た金額とする。

(表1)

ランク

都道府県

金額

A

千葉、東京、神奈川、愛知、大阪

10円

B

栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島

10円

C

北海道、宮城、福島、茨城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡

10円

D

青森、岩手、秋田、山形、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

10円

(表2)

都道府県

平成20年度データに基づく乖離額

(A)

平成21年度地域別最低賃金引上げ額

(B)

残された乖離額

(C)

(=A-B)

北海道

50円

11円

39円

青森

9円

3円

6円

宮城

23円

9円

14円

秋田

8円

3円

5円

埼玉

27円

13円

14円

千葉

10円

5円

5円

東京

65円

25円

40円

神奈川

70円

23円

47円

京都

32円

12円

20円

大阪

31円

14円

17円

兵庫

22円

9円

13円

広島

22円

9円

13円

2(1) 目安小委員会は本年の目安の審議に当たっては、平成16年12月15日に中央最低賃金審議会において了承された「中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関する全員協議会報告」を踏まえ、特に地方最低賃金審議会における合理的な自主性発揮が確保できるよう整備充実に努めてきた資料を基にするとともに、「雇用戦略対話における最低賃金の引上げに関する合意(平成22年6月3日雇用戦略対話第4回会合)を踏まえた」調査審議が求められたことに特段の配慮をした上で、諸般の事情を総合的に勘案して審議してきたところである。

目安小委員会の公益委員としては、地方最低賃金審議会においては最低賃金の審議に際し、上記資料を活用されることを希望する。

(2) 昨年度の地方最低賃金審議会において、今年度以降も引き続き乖離額を解消することとされていた都道府県については、今年度の解消額は、これまでの公益委員見解で示した考え方に基づけば、本来、最新のデータに基づいて算出された乖離額を、乖離解消予定残年数で解消することを前提に定められるものである。

しかし、最低賃金と生活保護の比較について、最新のデータに基づいてこれを行った結果、昨年度の地方最低賃金審議会において最低賃金が生活保護水準を下回っているとされた都道府県の大部分において、乖離額が昨年度と比較して拡大するといった状況が見られるところである。

このため、最低賃金額は、労働者の生計費なかんずく生活保護のみによって定められるものではなく、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力も含めて総合的に勘案して決定されるべきであることにかんがみ、各地域の経済・企業・雇用動向等の実態を踏まえ、今年度においては、上記のこれまでの公益委員見解で示した考え方に基づく解消方法を見直すこともやむを得ないものと考える。

具体的には、今年度の解消額の目安については、乖離額を乖離解消予定残年数で除して得た金額を原則とすることが適当である。ただし、そうした場合に、今年度の引上げ額がこれまでに例を見ないほどに大幅になるケースや、地域別最低賃金と実際の賃金分布との関係等を勘案して地域の経済や雇用に著しい影響を及ぼすと考えられるケースについては、当該金額を原則としつつ、乖離解消予定残年数に1年を加えた年数で除して得た金額も踏まえて、地方最低賃金審議会において審議を行うことが適当である。

(3) 上記の見直しに伴い、残された乖離額を解消するための期間について、昨年度の地方最低賃金審議会の答申において、原則として今年度で乖離額を解消するとしたケース(埼玉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫、広島)のうち、今年度で乖離額を解消するとした場合、引上げ額がこれまでに例を見ないほどに大幅になるものや、地域別最低賃金と実際の賃金分布との関係等を勘案して地域の経済や雇用に著しい影響を及ぼすと考えられるものについては、乖離解消予定残年数に1年を加えた年数までと見直すことが適当と考える。

一方、昨年度の地方最低賃金審議会の答申において、昨年度で乖離額を解消するとしたケース(秋田、千葉)については、今年度新たに発生した乖離額について、これまでの公益委員見解で示した考え方を踏まえると原則として2年以内で解消することになるが、できるだけ速やかな解消を図ることが適当と考える。

なお、具体的な解消期間については、地域の経済・企業・雇用動向等も踏まえ、地方最低賃金審議会がその自主性を発揮することを期待する。

(4) また、今後の最低賃金と生活保護の具体的な比較については、その時点における最新のデータに基づいて行うことが適当と考える。ただし、解消すべき生活保護との乖離額が年々大きく変動しうるという問題については、別途対応を検討することが適当である。

(5) 目安小委員会の公益委員としては、中央最低賃金審議会が本年度の地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることを要望する。

別紙2

中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告

平成22年8月4日

1 はじめに

平成22年度の地域別最低賃金額改定の目安については、累次にわたり会議を開催し、目安額についてそれぞれ真摯な議論が展開されるなど、十分審議を尽くしたところである。

2 労働者側見解

労働者側委員は、勤労者の所得格差が拡大し、生活そのものに困難を極める人たちが拡大していることを指摘し、ナショナルミニマムとして「生活できる最低賃金水準」を早急に確立することが必要不可欠と指摘した。

また、日本経済は、アジアを中心とした輸出入の回復によって景気回復の兆しが見られるものの、配分構造は歪んだままであり、雇用や消費関連の指標の改善は見られず、内需は弱いままとなっている。今後、日本経済が回復へと向かうためには、勤労者生活の安心・安定を確保し、個人消費の落込みに歯止めをかけ、消費拡大へ反転させる必要があると主張した。

さらに、最低賃金の水準は一般労働者の賃金実態からみて依然として低く、先進国の中ではもっとも低い水準となっており、賃金の底上げにつながる最低賃金を確立することが急務となっていると主張した。

次に、雇用戦略対話において、最低賃金の具体的な目標金額の水準について合意がなされたことを高く評価し、政労使による初めての目標金額の水準の確認であり、極めて重い合意であると主張した。

こうした状況を踏まえれば、雇用戦略対話の合意に掲げられた目標の達成に向け、着実な一歩となる目安を具体的に示すことが必要であると主張した。具体的には、勤労者生活や最低賃金の現状を踏まえれば、本年度をスタートとして3年程度でこの目標を実現することが必要であり、とりわけ800円との乖離が大きいC、Dランクについて、この目標を踏まえた大幅な引上げを行うべきであると最後まで強く主張した。

また、生活保護との乖離解消については、最低賃金法上も要請されており、生活保護との乖離がある地域においては、一気に解消することを強く求めると主張した。

3 使用者側見解

使用者側委員は、日本経済は、着実に持直しの動きが続いているが、設備投資に力強さが見られないなど、民間主導の自律的な景気回復過程に入っているとは言い難い状況にあり、とりわけ、中小零細企業の多くは、いまだに景気回復の実感すら持てないところが多いのが実態であると主張した。

また、完全失業率は4カ月連続の上昇となり、有効求人倍率も依然として低水準であり、雇用情勢も依然として厳しい状況が続いていると主張した。

さらに、雇用戦略対話における合意については、数値目標の部分だけでなく、その前提条件である事項(経済成長、中小企業の生産性、中小企業支援策)のすべてをパッケージとして合意されたものであり、数値目標だけ取り出して検討できない。とりわけ、「2020年度までの平均で、名目3%、実質2%を上回る成長」が重要であるが、当面、この達成は極めて困難である。また、中小企業の生産性は停滞ないしマイナス傾向にあり、中小企業の具体的な支援策は未だ決まっていない。こうした状況の中で、最低賃金だけを引き上げれば、中小零細企業にもたらす影響は測りしれず、企業の存続をおびやかすだけでなく、地域の雇用情勢の更なる悪化を招くおそれがあると最後まで強く主張した。

以上の点を踏まえれば、今年度の目安審議に当たっては、全てのランクでマイナスとなっている賃金改定状況調査結果を十分に踏まえて議論を行うべきであり、経済成長の前提を満たしていないだけでなく、パッケージとして合意された事項のいずれも達成されていない現状においては、とりわけCDランクの大幅な引上げは困難であると主張した。

また、生活保護との乖離解消については、生活保護の基準年度の変更により、乖離額が拡大し、再び乖離が生じた。乖離額が拡大した地域については、地域の経済状況や賃金の分布状況を踏まえながら、昨年同様に乖離解消の方法について見直しが必要と主張した。また、乖離額の変動問題については、今後、早急に検討を行うべきと主張した。

4 意見の不一致

本小委員会としては、これらの意見を踏まえ目安を取りまとめるべく努めたところであるが、労使の意見の隔たりが大きく、遺憾ながら目安を定めるに至らなかった。

5 公益委員見解及びこれに対する労使の意見

公益委員としては、賃金改定状況調査結果を重要な参考資料とするとともに、地域別最低賃金と実際の賃金分布との関係にも配慮しつつ、加えて、生活保護に係る施策との整合性にも配慮することとする規定が新たに加えられた最低賃金法改正法の趣旨及び雇用戦略対話における最低賃金の引上げに関する合意(平成22年6月3日 雇用戦略対話第4回会合。以下「雇用戦略対話合意」という。)を踏まえ、平成20年度の公益委員見解で示した、一定の前提の下での生活保護と最低賃金との比較(直近データによる比較は、別添グラフ参照。)を行い、また、上記の労使の小規模企業の経営実態等への配慮及びそこに働く労働者の労働条件の改善の必要性に関する意見等にも表れた諸般の事情を総合的に勘案し、公益委員による見解を下記1のとおり取りまとめた。なお、公益委員としては、雇用戦略対話合意については、できる限り早期に全国最低800円を確保すること、経済成長、中小企業の生産性、中小企業支援策の実施状況に配慮すべきものと考える。

本小委員会としては、地方最低賃金審議会における円滑な審議に資するため、下記1を公益委員見解として同審議会に示すよう総会に報告することとした。

また、審議の際の留意点等に関し、下記2以下のとおり示し、併せて総会に報告することとした。

なお、下記の公益委員見解については、労使双方ともそれぞれ主張と離れた内容となっているとし、不満の意を表明した。また、使用者側の全部は、下記1の公益委員見解を地方最低賃金審議会に示すよう総会に報告することは適当でないとの意見を表明した。

さらに、雇用戦略対話合意において、当該合意における最低賃金引上げの目標の円滑な達成を支援するため、最低賃金引上げにより最も影響を受ける中小企業に対する支援等の取組を講じることを検討すべきとされており、本小委員会としては、政府において必要な検討が行われることを要望する。また、行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。

(以下、別紙1と同じ)

[別添]

生活保護(生活扶助基準(1類費+2類費+期末一時扶助費)+住宅扶助)と最低賃金