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○出産育児一時金等の支給の取扱い等について〔国民健康保険法〕

(平成23年9月26日)

(/保保発0926第1号/保国発0926第1号/)

(全国健康保険協会理事長・都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長あて厚生労働省保険局保険課長・厚生労働省保険局国民健康保険課長通知)

平成21年10月1日から、出産育児一時金等の医療機関及び助産所(以下「医療機関等」という。)への直接支払制度(以下「直接支払制度」という。)の運用が開始されております。

健康保険の資格喪失日(以下「健康保険資格喪失日」という。)の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者であって、健康保険資格喪失日から6月以内に出産したものが、当該出産時に国民健康保険の被保険者である場合の直接支払制度の取扱いについては、「健康保険法第106条の規定に基づく出産育児一時金の支給の取扱い等について」(平成23年6月3日付け保保発0603第2号・保国発0603第2号厚生労働省保険局保険課長及び国民健康保険課長連名通知)によりお示ししたところです。

この度、船員保険、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合及び私立学校教職員共済制度(以下「船保等」という。)の被保険者、組合員又は加入者(以下「被保険者等」という。)の資格喪失日(以下「船保等資格喪失日」という。)の前日までに引き続き1年以上被保険者等であった者(船員保険においては、被保険者(疾病任意継続被保険者を除く。)であった期間が、船保等資格喪失日(疾病任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)前1年間において3月以上又は船保等資格喪失日前3年間において1年以上であったもの)であって、船保等資格喪失日後6月以内に出産したもの(以下「対象者」という。)が、当該出産時に国民健康保険の被保険者である場合の直接支払制度の取扱いについて、下記のとおり整理しましたので、貴管下の保険者等への周知等をお願いいたします。

なお、この通知については、財務省主計局給与共済課、総務省自治行政局福利課及び文部科学省高等教育局私学部私学行政課と協議済みであることを申し添えます。

1 関連する条文等について

船員保険法(昭和14年法律第73号)第73条第1項及び第2項、国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)第61条第2項において準用する同条第1項(私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)第25条において準用する場合を含む。)並びに地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)第63条第2項において準用する同条第1項(以下「船保法等の規定」という。)において、船保等の保険者が、請求を行った対象者に対し、出産育児一時金又は出産費(以下「出産育児一時金等」という。)を「支給する」ことと規定されている。

一方、国民健康保険条例参考例第8条第2項及び国民健康保険組合規約例第11条第2項において、「出産育児一時金の支給は、同一の出産につき、健康保険法、船員保険法(昭和14年法律第73号)、国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。第9条第2項において同じ。)又は地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)の規定によって、これに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。」と規定されている。

これらの規定の意味するところは、対象者については、一般的には、船保法等の規定に基づき、船保等の保険者に対して請求を行い船保等の保険者から出産育児一時金等の支給を受けることとなり、対象者が、船保等の保険者から出産育児一時金等の支給を受けるための請求をして船保等の保険者から出産育児一時金等の支給を受ける場合には、「これに相当する給付を受けることができる場合」に該当し、国民健康保険の保険者(以下「国保保険者」という。)からは出産育児一時金の支給を行わないというものである。

2 関連する条文等の運用に当たっての留意事項について

(1) 国保保険者及び船保等の保険者並びに医療機関等においては、出産育児一時金等の二重払いや、3において示す支給調整をせざるを得ない事例を減らすため、対象者の属する世帯の世帯主若しくは国保組合の組合員又は対象者本人に対し、船保等の保険者から出産育児一時金等の支給を受けられることを十分に説明されたい。なお、船保等の保険者は、付加給付がある場合にはその内容を含め説明されたい。

(2) 船保等の保険者は、対象者から証明書類の交付依頼があった場合や、資格喪失手続等の際に当該対象者が資格喪失後6月以内に出産予定であることを把握できた場合には、当該対象者に対して「資格喪失等を証明する書類」を交付することを徹底されたい。

3 船保等の保険者から出産育児一時金等の支給を受けられることについて、対象者への十分な説明や対象者の認識がなかった場合の取扱いについて

直接支払制度においては、被保険者等の負担の軽減を図るため、医療機関等が被保険者等に代わって出産育児一時金等の支給申請及び受取の手続を直接保険者との間で行うこととしている。したがって医療機関等は、合意文書の締結に当たって、対象者に対し、退職時に加入していた船保等の保険者から出産育児一時金等を受給できることを十分に説明する必要があるが、仮に対象者への十分な説明や対象者の認識がないまま合意文書が締結された場合であっても、国民健康保険団体連合会(以下「連合会」という。)から直接支払制度による出産育児一時金の請求がなされたときは、国保保険者は、いったんその請求に係る支払を連合会に対し行うこととなる。

しかし、船員保険法第142条第1項、国家公務員共済組合法第111条第1項(私立学校教職員共済法第25条において準用する場合を含む)及び地方公務員等共済組合法第144条の23第1項においては、被保険者等は、保険給付を受ける権利の消滅時効が完成する日(出産育児一時金等については出産の日の翌日から起算して2年を経過する日)までの間、受け取ることができるはずであった保険給付の請求を行うことができることとされていることから、これらの規定に基づき、対象者が、十分な説明や認識がなかったことを理由として出産育児一時金等の請求先を変更する場合には、既に締結した合意文書において合意の意思表示がなされていることや退職時に加入していた船保等の保険者から受取ができることが記載されていること等を踏まえれば、本来ならば合意文書を再度作成することが求められるが、直接支払制度の目的である被保険者等の負担の軽減等の観点から特例的に、以下の手続により、合意文書を再度作成せず、既に締結した合意文書のまま、保険者間で出産育児一時金等の支給の調整を行うことも差し支えないこととする。

(1) 支給調整の方法について

① 国保保険者は、対象者に「出産育児一時金等支給申請書」(別紙1。以下「支給申請書」という。)及び「出産育児一時金等支給申請書(国保連控)」(別紙2。以下「国保連控」という。)の必要事項の記入を依頼すること。

国保保険者は、提出を受けた記載済みの支給申請書に、未記入の「出産育児一時金等支給報告書」(別紙3。以下「報告書」という。)を同封の上、医療機関等からの出産育児一時金の請求方法に応じて、次のイ又はロに掲げる書類をそれぞれ添付して、調整対象の船保等の保険者(船員保険分については全国健康保険協会船員保険部)に送付すること。

イ 紙媒体により請求された場合 専用請求書の写し

ロ 光ディスク等によるCSV情報により請求された場合 対象者分の「出産育児一時金等連名簿」の写し(紙で、対象者欄に「支給調整」と朱書きしたもの。以下「連名簿(写)」という。)

また、支給すべき出産育児一時金等の金額と医療機関等に対する支払額との差額を既に国保保険者から当該対象者に支給している場合には、当該差額を確認できる書類を、併せて調整対象の船保等の保険者に送付すること。

② 国保保険者から支給申請書等の送付を受けた船保等の保険者は、申請者が船保法等の規定に基づく出産育児一時金等の受給要件を満たすかどうかと、申請者が当該船保等の被保険者等であった時の被保険者証(組合員証、加入者証)の記号番号とを、報告書を用いて、当該国保保険者に対して伝えること。

③ 国保保険者は、船保等の保険者から受給要件を満たすとの回答があった申請者に係る「出産育児一時金等過誤申出書」、「出産育児一時金等過誤依頼書」、連名簿(写)及び国保連控を、当該国保保険者の加入する連合会に送付すること。

④ 船保等の保険者は、国保保険者が既に連合会に支払った出産育児一時金の金額(連合会から請求のあったものに限る。)について、連合会を通じて国保保険者に支払うこと。

⑤ 船保等の保険者は、支給すべき出産育児一時金等の金額と④の金額とに差額がある場合には、当該差額について対象者に支払うこと。ただし、当該差額が国保保険者から対象者に既に支払われている場合は、当該差額を、連合会を通じた過誤調整の方法によらず、国保保険者に直接支払うこと。

(2) 直接支払制度の運用開始以降、既に国保保険者が給付した出産育児一時金についても、(1)において示す支給調整が可能であること。

(3) (1)において示す船保等の保険者に対する出産育児一時金等の請求は、当該出産育児一時金等の給付を受ける権利の消滅時効が完成する日(出産の日の翌日から起算して2年を経過する日)までの間に限って、可能であること。

(4) 連合会においては、平成23年10月以降、(1)において示す支給調整を行うこと。また、都道府県の区域を越える支給調整においては、関係する連合会も協力すること。

別紙1

別紙2

別紙3

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参照条文

○船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)(抄)

(出産育児一時金)

第七十三条 被保険者又は被保険者であった者(後期高齢者医療の被保険者等である者を除く。以下この条及び次条において同じ。)が出産したときは、出産育児一時金として、政令で定める金額を支給する。

2 被保険者であった者がその資格を喪失した日後に出産したことにより前項の規定による出産育児一時金の支給を受けるには、被保険者であった者がその資格を喪失した日より六月以内に出産したこと及び被保険者であった期間が支給要件期間であることを要する。

(時効)

第百四十二条 保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、葬祭料、出産育児一時金、出産手当金、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族葬祭料、家族出産育児一時金、高額療養費、高額介護合算療養費、休業手当金、行方不明手当金又は第三十条の規定による給付を受ける権利は二年を経過したとき、その他の保険給付を受ける権利は五年を経過したときは、時効によって消滅する。

2 (略)

○国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)(抄)

(出産費及び家族出産費)

第六十一条 組合員が出産したときは、出産費として、政令で定める金額を支給する。

2 前項の規定は、組合員の資格を喪失した日の前日まで引き続き一年以上組合員であつた者(以下「一年以上組合員であつた者」という。)が退職後六月以内に出産した場合について準用する。ただし、退職後出産するまでの間に他の組合の組合員の資格を取得したときは、この限りでない。

3 (略)

(時効)

第百十一条 この法律に基く給付を受ける権利は、その給付事由が生じた日から、短期給付については二年間、長期給付については五年間行わないときは、時効によつて消滅する。

2・3 (略)

○地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)(抄)

(出産費及び家族出産費)

第六十三条 組合員が出産したときは、出産費として、政令で定める金額を支給する。

2 前項の規定は、組合員の資格を喪失した日の前日まで引き続き一年以上組合員であつた者(以下「一年以上組合員であつた者」という。)が退職後六月以内に出産した場合について準用する。ただし、退職後出産するまでの間に他の組合の組合員の資格を取得したときは、この限りでない。

3 (略)

(時効)

第百四十四条の二十三 この法律に基づく給付を受ける権利は、その給付事由が生じた日から、短期給付については二年間、長期給付については五年間行わないときは、時効によつて消滅する。

2~4 (略)

○私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)(抄)

(国家公務員共済組合法の準用)

第二十五条 この節に規定するもののほか、短期給付及び長期給付については、国家公務員共済組合法第二条(第一項第一号及び第五号から第七号までを除く。)、第四章(第四十一条第二項、第四十二条、第四十二条の二、第四十六条第一項、第五十条から第五十二条まで、第六十八条の二、第六十八条の三、第七十二条、第九十六条及び第九十七条第四項を除く。)、第百十一条第一項及び第三項・・(略)・・の規定を準用する。(以下略)

○国民健康保険条例参考例(抄)

(出産育児一時金)

第八条 (略)

2 前項の規定にかかわらず、出産育児一時金の支給は、同一の出産につき、健康保険法(大正十一年法律第七十号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。第九条第二項において同じ。)又は地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)の規定によって、これに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。

○国民健康保険組合規約例(抄)

(出産育児一時金)

第十一条 組合は、被保険者が出産したときは、当該被保険者の属する世帯の組合員に対し、出産育児一時金として三十九万円(〇円)を支給する。ただし、健康保険法施行令(大正十五年勅令第二百四十三号)第三十六条の規定を勘案し、必要であると認めるときは、別に定めるところにより、これに三万円を上限として加算するものとする。

2 前項の規定にかかわらず、出産育児一時金の支給は、同一の出産につき、健康保険法、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)又は地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)の規定によって、これに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。