アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○ノボリの適正使用について

(平成23年3月9日)

(/薬食審査発0309第1号/薬食安発0309第1号/)

(テルモ株式会社代表取締役あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長・厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)

本年3月に新たな薬剤溶出型冠動脈ステント「ノボリ:承認番号22300BZX00141000」(以下「本件ステント」という。)が承認されたところですが、本件ステントを留置された患者には、抗血小板療法として、無期限のアスピリンの投与及び術後少なくとも6ヶ月間のクロピドグレル硫酸塩製剤又はチクロピジン塩酸塩製剤の投与が推奨されています。

本件ステントの適正使用はもとより、ステント血栓症及び併用されるクロピドグレル硫酸塩製剤又はチクロピジン塩酸塩製剤(以下「抗血小板剤」という。)による血栓性血小板減少性紫斑病、無顆粒球症、重篤な肝障害等の重大な副作用の発現防止のため、患者、医療関係者等に対し一層の注意喚起を行う必要がありますので、本件ステントの販売にあたり、医薬関係者等の協力を得つつ、下記のとおり薬事法第77条の3第1項に基づく情報の収集及び提供等をお願いします。

1.講習会等の開催について

最新の添付文書の警告欄及び禁忌・禁止欄の内容(別紙参照)を網羅した本件ステントの適正使用のための講習会又は医局説明会(以下「講習会等」という。)を開催し、講習会等へ参加した医療機関のみに本件ステントの販売を限定すること。

2.患者に対する重要な説明事項を記載した文書、患者手帳等の整備等について

(1) 本件ステント治療における重要な説明事項に関する患者への周知の徹底を図るため、患者に対する重要な説明事項を記載した文書、患者手帳等(以下「患者説明文書等」という。)を整備し、これらを用いて患者への説明が適切に行われるよう、本件ステント納入先医療機関への情報提供を徹底すること。

なお、以下の事項については、特に説明を受ける者の目に付くよう、文書作成上特段の配慮を行うこと。

1) 本件ステントの使用における利点及びリスク

2) 本件ステント留置術と併せて使用される抗血小板剤については、本件ステント留置後少なくとも6ヶ月間の投与が推奨されたこと

3) 抗血小板剤の投与開始後2ヶ月間、原則として2週間に1回、血球算定等の臨床検査が必要となること

4) 転院等の都合により、万が一当該血液検査が実施されていない場合には、医師に申し出ること

5) 自覚症状があった場合には、直ちに医師に連絡すること

(2) 患者説明文書等については、本件ステント納入先医療機関に配布するとともに、不足の生じないよう注意すること。また、当該医療機関に対し、以下の点について定期的に注意喚起すること。

1) 患者説明文書等を用いて適切な説明を実施されたいこと

2) 必要な血液検査を実施されたいこと

3) ステント血栓症の発症又は抗血小板剤の副作用の発生に十分注意し、発生した場合には直ちに連絡されたいこと

(3) 患者の転院時の迅速な安全確保措置の実施等に資するため、患者の同意が得られた場合には、以下の患者情報の入手に努めること。また、医療機関に対し、患者同意の取得につき定期的に協力依頼を行うこと。

1) 患者イニシャル

2) 抗血小板剤の投与開始日

3) 本件ステント留置日

4) 転院情報

3.抗血小板剤製造販売業者との連携による医療機関への情報提供等の実施について

(1) 本件ステント留置術を行った医療機関に引き続き患者が入通院する場合には、抗血小板剤製造販売業者と連携し、抗血小板剤については、本件ステント留置後少なくとも6ヶ月間の投与が推奨されたこと、及び、投与開始後2ヶ月間は、原則として2週間に1回、血球算定等の臨床検査が実施されるべきことなど、抗血小板剤の適正使用のために必要な情報提供を速やかに行うこと。

(2) 患者が転院した場合には、2.(3)で入手した患者情報につき、速やかに抗血小板剤製造販売業者に対し提供すること。

4.患者転院時における医療機関間の情報提供に対する協力依頼について

患者が転院する際、本件ステント留置術を行った医療機関の主治医から転院先医療機関の主治医に対し以下の情報が的確に提供されるよう、必要な協力依頼を行うこと。また、以下の内容を記載した文書を作成し、本件ステント納入先医療機関に配布すること。

1) 患者が本件ステントを用いた治療中であること

2) 本件ステント治療において併用される抗血小板剤は、本件ステント留置後少なくとも6ヶ月間の投与が推奨されたこと、及び、投与開始後2ヶ月間は、原則として2週間に1回、血球算定(白血球分画を含む)が必要となること

3) 自覚症状があった場合には、ただちに医師に連絡することを患者に指導すること

5.抗血小板剤製造販売業者と連携して行う安全対策の期限について

3.(2)に掲げる抗血小板剤製造販売業者と連携して行う安全対策の期限については、当面平成24年3月末日までとするが、期間終了後においても、抗血小板剤製造販売業者と連携し、本件ステント及び抗血小板剤に関する適正使用情報を収集し、本件ステント納入先医療機関等に対する適切な情報提供の実施に努めるものとする。