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○ICHQ4Bガイドラインに基づく事項別付属文書(溶出試験法)について

(平成23年7月26日)

(薬食審査発0726第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)

今般、日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)において、「ICHQ4Bガイドライン(平成21年5月26日付け薬食審査発第0526001号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)」の事項別付属文書として、別添のとおり溶出試験法について、付属文書(以下「本文書」という。)がとりまとめられましたので、下記について御了知の上、貴管下関係業者等に対して周知方御配慮願います。

1.溶出試験法の取扱い

日本薬局方(日局)、米国薬局方(USP)及び欧州薬局方(EP)(以下「三極薬局方」という。)に規定されている溶出試験法に関して、本文書の第2章に示される条件に従い、ICH地域において相互利用が可能なものであること。

なお、規格値/判定基準は本試験法の調和の範囲外である。

2.本文書に基づく医薬品製造販売承認申請の取扱い

(1) 本文書に基づき、相互利用が可能とされた三極薬局方の溶出試験法を適用する場合は、承認申請書に日局、USP又はEPのうち、いずれかの試験法を参照したものかを記載し、試験方法及び規格値/判定基準を記載すること。

(参考)記載例

1) 日局収載品

【規格及び試験法】

【試験名】 :日本薬局方

【規格及び試験方法】

日本薬局方「○○」による。ただし、溶出性で行うパドル法は、USP試験法による。

【規格及び試験法】

【試験名】 :備考

【規格及び試験方法】

別に規定するもののほか、規格及び試験方法は日局の通則、製剤総則及び一般試験法による。

2) 日局未収載品

【規格及び試験法】

【試験名】 :溶出性

【規格及び試験方法】

本試験で行うフロースルーセル法は、EP試験法(装置3)による。

(以下、試験操作、規格値/判定基準、試薬・試液を記載)

【規格及び試験法】

【試験名】 :備考

【規格及び試験方法】

別に規定するもののほか、規格及び試験方法は日局の通則、製剤総則及び一般試験法による。

(2) 医薬品製造販売承認書中「日局試験法による」旨を記載して承認されている品目について、本文書に基づき参照する試験法を「USP試験法による」又は「EP試験法による」旨の記載に変更する場合にあっては、また、USP試験法又はEP試験法を全文記載して承認されている品目について、試験方法を変更することなく上記(1)の記載を行う場合にあっては、改めて薬事法第14条第9項の規定に基づく承認事項の一部変更承認申請(以下「一変申請」という)又は薬事法第14条第10項の規定に基づく承認事項の軽微変更に係る届出(以下「軽微変更届出」という)を行う必要はないが、特段の理由により記載の変更が必要な場合には、他の理由による一変申請又は軽微変更届出の機会に併せて行う他、当該変更のみの軽微変更届出を行うことは差し支えないこと。

(3) 操作方法の変更及び試験に用いる試薬・試液の変更等、上記(2)以外の変更を行う場合にあっては、一変申請により対応すること。

(4) 新規に製造販売承認申請を行う場合には、上記(1)の記載を行った場合であっても、記載した試験法による試験成績資料を提出すること。

3.適用時期

本通知は、平成23年7月26日より適用すること。

〔別添〕

Q4B―事項別付属文書(ANNEX) 7(R2)

薬局方テキストをICH地域において相互利用するための評価及び勧告

溶出試験法

目次

第1章 序文

第2章 Q4B評価結果

2.1 試験方法

2.2 規格値/判定基準

第3章 施行時期

第4章 施行に当たっての留意事項

4.1 全般的な事項

4.2 米国(FDA)の場合

4.3 EUの場合

4.4 日本(厚生労働省)の場合

4.5 カナダ(保健省)の場合

第5章 Q4B評価に用いた参照資料

5.1 PDG調和文書(PDGステージ5B合意署名文書)

5.2 三極薬局方における参照資料

第1章 序文

本文書は、溶出試験法についてQ4B専門家作業部会で評価された結果を示したものである。本試験法は三極薬局方検討会議(PDG)から提出されたものである。

第2章 Q4B評価結果

2.1.試験方法

ICH運営委員会は、Q4B専門家作業部会の評価に基づいて、欧州薬局方収載の2.9.3.Dissolution Test for Solid Dosage Forms、日本薬局方収載の6.10溶出試験法、及び米国薬局方収載の<711>DissolutionがICH地域内において相互利用できるものとして勧告する。

2.1.1.回転バスケット法の装置(装置1)、パドル法の装置(装置2)、及びフロースルーセル法の装置は、相互利用できる。フロースルーセル法の装置は、装置番号が三薬局方で一致していないため、承認申請資料に装置の名称を明記するか、又は薬局方名と装置番号を併記する。

2.1.2.試験液に酵素を使用する溶出試験法は、三地域内で相互利用できない。

2.1.3.溶出試験装置の校正については、各地域のGMPの要件に適合するように適切に行う。例えば、適切と考えられる機械的校正方法を適切に実施すれば、GMPを満足する。

2.1.4 各地域の薬局方で、腸溶性(delayed-release、gastro-resistant、又はenteric-coated)と記載されている製剤に対する溶出試験法は、三地域内で相互利用できない。

2.1.5 各地域のGMPに則って温度計を溶出試験液中に挿入させた状態で溶出試験を行う場合は、そのことが溶出試験結果に影響を及ぼさないことをバリデートする。

2.1.6 日局の‘判定法2’は、三地域内で相互利用できない。

2.1.7 容量1Lを超える溶出試験容器を用いる溶出試験法は、三地域内で相互利用できない。

2.1.8 品目固有の試験条件、例えば、試験液、回転数、試験液採取時間、シンカーの使用及び種類については、承認申請資料に規定し、妥当性を記述する。

2.2.規格値/判定基準

規格値/判定基準は、承認申請資料に規定する。

第3章 施行時期

本文書は各々の規制地域で施行された時点(ICHステップ5)で、当該地域で使用可能となる。施行時期は各地域で異なる場合がある。

第4章 施行に当たっての留意事項

4.1 全般的な事項:本文書の施行後、製造販売業者等が、従前の方法をQ4B専門家作業部会が評価した本文書の第2.1章に参照されている薬局方テキストに変更する場合、いかなる変更(届出、申請)、及び/又は事前承認の手続きも、各規制地域の薬局方の改正に関する取扱いに従う。

4.2 米国(FDA)の場合:上記の勧告に基づき、そして、本文書に示された条件に従い、第2.1章に参照されている薬局方テキストは相互利用できる。しかしながら、どの薬局方を用いるかにかかわらず、企業が選択した試験方法が個別の品目に対して適用できるかどうか説明を求める場合がある。

適切と考えられる厳密な機械的校正方法を適切に実施すれば1、溶出試験装置の校正に対するcGMPを満足する(§ 211.160(b)(4) of Title 21 of the Code of Federal Regulations)。

4.3 EUの場合:欧州連合では、規制当局は、上記の相互利用の宣言に基づき、本文書に示される条件に従い、欧州薬局方収載の2.9.3.Dissolution Test for Solid Dosage Formsの適合性の必要条件を満たしているとして、販売承認申請、更新、変更申請において本文書の第2.1章で参照されている他の薬局方テキストを利用することを受け入れることができる。

欧州連合は、delayed-release製剤に対する米国薬局方の溶出試験法の手順を、欧州薬局方の基準に適合しているものとして受け入れることができる。本文書の第2.1.5章に示されているバリデーションの検討結果は、販売承認申請資料に記載して提出する。

4.4 日本(厚生労働省)の場合:本文書の第2.1章に参照されている薬局方テキストは、本文書に示される条件に従い、相互利用が可能なものとして利用することができる。施行の要件については、本文書を施行する際に厚生労働省より通知される。

日本(厚生労働省)は、バリデーションの検討結果が製造販売承認申請資料に記載され提出される場合は、欧州薬局方及び米国薬局方収載の‘Reciprocating Cylinder’を用いる溶出試験法を受け入れることができる。

4.5 カナダ(保健省)の場合:カナダでは、本文書の第2.1章に参照されている薬局方テキストを本文書に示される条件に従って利用した場合は、相互利用できる。

カナダでは、delayed-release製剤(enteric-coated製剤)に対する米国薬局方及び欧州薬局方の溶出試験法は、相互利用できる。

第5章 Q4B評価に用いた参照資料

5.1 PDG調和文書(PDGステージ5B(Rev.2)合意署名文書):日本薬局方フォーラムVol.18,No.1 (2009年4月発行)

5.2 三極薬局方における参照資料

5.2.1.欧州薬局方:

Supplement 6.6(2010年1月発効)

Dissolution Test for Solid Dosage Forms(reference 01/2010: 20903)

5.2.2.日本薬局方:

第十五改正日本薬局方第一追補(2007年9月28日 厚生労働省告示第316号)

第十五改正日本薬局方一部改正(2009年3月31日 厚生労働省告示第190号)

第十五改正日本薬局方一部改正(2010年7月30日 厚生労働省告示第322号)

一般試験法 6.10 溶出試験法

5.2.3.米国薬局方:

USP33再発行(2010年10月1日発効)

Pharmacopeial Forum,Vol.35,No.3、5/6月号、2009年<711>Dissolution

――――――――――

1 企業向けのFDAガイダンス‘The Use of Mechanical Calibration of Dissolution Apparatus 1 and 2―Current Good Manufacturing Practice (CGMP)’は、インターネットで利用できる。

http://www.fda.gov/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/default.htm.