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○「民法等の一部を改正する法律」の施行について

(平成23年6月3日)

(雇児発0603第1号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各児童相談所設置市市長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

「民法等の一部を改正する法律(平成23年法律第61号。以下「改正法」という。)」については、本年3月4日に第177回国会に提出され、5月27日に成立し、6月3日に公布されたところである。改正法は、養育里親の欠格条項に関する改正規定については公布日より施行、その他の規定については一部を除き公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日より施行されることとなっている。

ついては、改正の内容は下記のとおりであるので、御了知の上、その運用に遺漏なきを期されるとともに、児童相談所等の関係機関、管内市町村及び関係団体等に対する周知を図られたく通知する。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言である。

第1 改正の趣旨

児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から、親権の停止制度を新設し、法人又は複数の未成年後見人を選任することができるようにすること等の措置を講ずるため、民法の改正を行い、これに伴い家事審判法及び戸籍法について所要の改正を行うとともに、里親委託中等の親権者等がいない児童の親権を児童相談所長が行うこととする等の措置を講ずるため、児童福祉法の改正を行うものである。

第2 児童福祉法の一部改正

1 一時保護

(1) 都道府県児童福祉審議会の意見の聴取

引き続き一時保護を行うことが児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反する場合においては、児童相談所長又は都道府県知事が引き続き一時保護を行おうとするとき、及び引き続き一時保護を行った後二月を経過するごとに、都道府県知事は、都道府県児童福祉審議会の意見を聴かなければならないものとする。ただし、第28条第1項による当該児童に係る施設入所等の措置の承認の申立て又は当該児童の親権者に係る2による親権喪失若しくは親権停止の審判の請求がされている場合は、この限りでないものとする。(第33条第5項関係)

(2) 児童相談所長の権限等

イ 児童相談所長は、一時保護を加えた児童で親権を行う者又は未成年後見人のないものに対し、親権を行う者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行うものとする。ただし、当該児童が15歳未満であるときにおいて、当該児童を養子とする縁組について、当該児童に代わって縁組の承諾をするには、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県知事の許可を得なければならないものとする。(第33条の2第1項関係)

ロ 児童相談所長は、一時保護を加えた児童で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒に関し、その児童の福祉のため必要な措置をとることができるものとし、当該児童の親権を行う者又は未成年後見人は、当該措置を不当に妨げてはならないものとする。(第33条の2第2項及び第3項関係)

ハ ロによる措置は、児童の生命又は身体の安全を確保するため緊急の必要があると認めるときは、その親権を行う者又は未成年後見人の意に反しても、これをとることができるものとする。(第33条の2第4項関係)

2 児童相談所長による親権喪失の審判等の請求

児童又は児童以外の満20歳に満たない者(以下「児童等」という。)の親権者に係る親権喪失、親権停止若しくは管理権喪失の審判の請求又はこれらの審判の取消しの請求は、民法に定める者のほか、児童相談所長も、これを行うことができるものとする。(第33条の7関係)

3 児童相談所長による未成年後見人の選任の請求

児童相談所長は、親権を行う者のない児童等について、その福祉のため必要があるときは、未成年後見人の選任の請求をしなければならないものとする。(第33条の8第1項関係)

4 養育里親の欠格条項

養育里親の欠格条項から、本人の同居人が成年被後見人又は被保佐人であることを除くものとする。(第34条の19第1項関係)

5 児童福祉施設の長等の権限等

(1) 児童福祉施設の長は、入所中の児童等で親権を行う者又は未成年後見人のないものに対し、親権を行う者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行うものとする。ただし、当該児童が15歳未満であるときにおいて、当該児童を養子とする縁組について、当該児童に代わって縁組の承諾をするには、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県知事の許可を得なければならないものとする。(第47条第1項関係)

(2) 児童相談所長は、小規模住居型児童養育事業を行う者又は里親に委託中の児童等で親権を行う者又は未成年後見人のないものに対し、親権を行う者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行うものとする。ただし、当該児童が15歳未満であるときにおいて、当該児童を養子とする縁組について、当該児童に代わって縁組の承諾をするには、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県知事の許可を得なければならないものとする。(第47条第2項関係)

(3) 児童福祉施設の長、小規模住居型児童養育事業においてその住居において養育を行う者又は里親((4)において「児童福祉施設の長等」という。)は、入所中又は受託中の児童等で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒に関し、その児童等の福祉のため必要な措置をとることができるものとし、当該児童等の親権を行う者又は未成年後見人は、当該措置を不当に妨げてはならないものとする。(第47条第3項及び第4項関係)

(4) (3)による措置は、児童等の生命又は身体の安全を確保するため緊急の必要があると認めるときは、その親権を行う者又は未成年後見人の意に反しても、これをとることができるものとする。この場合において、児童福祉施設の長等は、速やかに、そのとった措置について、都道府県又は市町村の長に報告しなければならないものとする。(第47条第5項関係)

6 その他

その他所要の規定の整備を行う。

第3 児童福祉法以外の改正について

児童福祉法以外の改正点については、別添の法案要綱を参照されたい。

第4 施行期日

第2の4は公布の日から施行するものとする。第2の1~3、5、6については、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとする。(附則第1条関係)

(別添)

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