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○介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律等の公布について

(平成23年6月22日)

(老発第0622第1号)

(都道府県知事あて厚生労働省老健局長通知)

「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律(平成23年法律第72号)」については、本年4月5日に第177回通常国会に提出され、6月15日に可決成立し、本日公布されたところである。

この法律は平成24年4月1日から施行することとしている。ただし、介護療養型医療施設の転換期限の延長(健康保険法等の一部を改正する法律の一部改正)、介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期(社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律の一部改正)、指定法人に係る規定の削除(老人福祉法の一部改正のうち第4章の2を削除する改正規定等及び福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律の一部改正)等については、公布日(本日)から施行されたところである。

また、公布日施行の指定法人に係る規定の削除について、「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整理に関する政令(平成23年政令第173号)」及び「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整理に関する省令(平成23年厚生労働省令第73号)」が本日公布され、施行されたところである。

さらに、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成23年法律第37号)」が平成23年5月2日に公布されているところであるが、この法律により、介護保険法及び老人福祉法について、所要の改正が行われているところである。この法律のうち介護保険法及び老人福祉法に係る部分は、平成24年4月1日から施行することとしている。

これらの改正の趣旨及び主な内容は下記のとおりであるので、十分御了知の上、管内市町村(特別区を含む。)を始め、関係者、関係団体等に対し、その周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏のないようにされたい。

第一 介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律

第1 改正の趣旨

我が国の介護保険制度については、制度施行後10年が経過し、サービスの利用者数が施行当初の約3倍となるなど、高齢者の暮らしを支える制度として定着している。一方で、今後の急速な高齢化の進行に伴い、医療ニーズの高い高齢者や重度の要介護者の増加、単身・高齢者のみ世帯の増加への対応、介護人材の確保等が喫緊の課題となっている。

このような中で、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるようにするためには、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の構築が必要である。

このため、24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の新たなサービスの創設、介護福祉士や研修を受けた介護職員によるたんの吸引等の実施、介護療養型医療施設の転換期限の延長、保険料率の増加の抑制のための財政安定化基金の取崩し、介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期、有料老人ホーム等における利用者保護規定の創設、市民後見人の育成の推進等の所要の改正を行うこととした。

第2 介護保険法の一部改正【平成24年4月1日施行】

一 国及び地方公共団体の責務

国及び地方公共団体は、被保険者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、介護サービスに関する施策、介護予防のための施策及び地域における自立した日常生活の支援のための施策を、医療及び居住に関する施策との有機的な連携を図りつつ包括的に推進するよう努めなければならないものとすること。(第5条第3項関係)

二 認知症に関する調査研究の推進等

国及び地方公共団体は、被保険者に対して認知症に係る適切な保健医療サービス及び福祉サービスを提供するため、認知症の予防、診断及び治療並びに認知症である者の心身の特性に応じた介護方法に関する調査研究の推進並びにその成果の活用に努めるとともに、認知症である者の支援に係る人材の確保及び資質の向上を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。(第5条の2関係)

三 新たなサービスの創設

1 地域密着型サービスへの追加

地域密着型サービスに「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」及び「複合型サービス」を追加するものとすること。指定地域密着型サービス事業者から、これらのサービスを受けたときは、地域密着型介護サービス費を支給するものとすること。(第8条第14項及び第42条の2第2項関係)

2 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」とは、次のいずれかに該当するものをいうものとすること。(第8条第15項関係)

(1) 居宅要介護者について、定期的な巡回訪問により、又は随時通報を受け、その者の居宅において、介護福祉士その他第8条第2項の政令で定める者により行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって、厚生労働省令で定めるものを行うとともに、看護師その他厚生労働省令で定める者により行われる療養上の世話又は必要な診療の補助を行うこと。ただし、療養上の世話又は必要な診療の補助にあっては、主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めた居宅要介護者についてのものに限る。

(2) 居宅要介護者について、定期的な巡回訪問により、又は随時通報を受け、訪問看護を行う事業所と連携しつつ、その者の居宅において介護福祉士その他第8条第2項の政令で定める者により行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって、厚生労働省令で定めるものを行うこと。

3 複合型サービス

「複合型サービス」とは、居宅要介護者について、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護又は小規模多機能型居宅介護を二種類以上組み合わせることにより提供されるサービスのうち、訪問看護及び小規模多機能型居宅介護の組合せその他の居宅要介護者について一体的に提供されることが特に効果的かつ効率的なサービスの組合せにより提供されるサービスとして厚生労働省令で定めるものをいうものとすること。(第8条第22項関係)

四 指定都道府県事務受託法人に関する制度の創設

都道府県は、居宅サービスを行った者等に対して行う質問等について、当該事務を適正に実施することができると認められるものとして都道府県知事が指定する指定都道府県事務受託法人に委託できるものとすること。(第24条の3関係)

五 市町村及び都道府県による主体的な取組の推進

1 地域密着型介護サービス費及び地域密着型介護予防サービス費の支給に関する事項

(1) 市町村は、地域密着型サービスの種類その他の事情を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した額を限度として、当該市町村が定める額を当該市町村における地域密着型介護サービス費の額とすることができるものとすること。(第42条の2第4項関係)

(2) 地域密着型介護予防サービス費についても、(1)と同様の取扱いとすることができるものとすること。(第54条の2第4項関係)

2 指定居宅サービス事業者の指定に係る市町村長との協議に関する事項

(1) 市町村長は、次のア及びイのいずれにも該当する場合は、都道府県知事に対し、訪問介護、通所介護その他の厚生労働省令で定める居宅サービスの指定について、市町村介護保険事業計画で定める定期巡回・随時対応型訪問介護看護等(認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護以外の地域密着型サービスであって、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護その他の厚生労働省令で定めるものをいう。以下この2において同じ。)の見込量の確保のため必要な協議を求めることができるものとし、当該都道府県知事は、その求めに応じるものとすること。(第70条第7項関係)

ア 指定地域密着型サービス事業者の指定に係る定期巡回・随時対応型訪問介護看護等を行う事業所が当該市町村の区域にある場合その他の厚生労働省令で定める場合

イ 訪問介護、通所介護その他の厚生労働省令で定める居宅サービスの量が市町村介護保険事業計画で定める見込量に既に達している等の場合

(2) 都道府県知事は、市町村長との協議の結果に基づき、厚生労働省令で定める基準に従って、当該居宅サービスの指定をしないこととし、又は指定を行うに当たって、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の事業の適正な運営を確保するために必要と認める条件を付することができるものとすること。(第70条第8項関係)

3 他市町村に所在する地域密着型サービス事業所及び地域密着型介護予防サービス事業所の指定手続の簡素化に関する事項

(1) 市町村長間の協議により事前の同意があるときは、他市町村に所在する地域密着型サービス事業所の指定に当たって、第78条の2第4項第4号の所在地市町村長の同意を要しないものとすること。(第78条の2第9項関係)

(2) (1)により第78条の2第4項第4号の所在地市町村長の同意が不要とされた場合であって、第78条の2第1項の申請に係る事業所について、次のア又はイに掲げるときは、それぞれア又はイに定める時に、当該申請者について、第78条の2第1項の申請を受けた市町村長(以下「被申請市町村長」という。)による指定があったものとみなすものとすること。(第78条の2第10項関係)

ア 所在地市町村長が指定をしたとき 当該指定がされた時

イ 所在地市町村長による指定がされているとき 被申請市町村長が申請を受けた時

(3) 地域密着型介護予防サービス事業所の指定手続についても、(1)及び(2)と同様の取扱いとすることができるものとすること。(第115条の12第7項関係)

4 定期巡回・随時対応型訪問介護看護等に係る公募指定に関する事項

(1) 市町村長は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等(認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護以外の地域密着型サービスであって、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護その他の厚生労働省令で定めるものをいう。以下この4において同じ。)の見込量の確保及び質の向上のために特に必要があると認めるときは、その定める期間(以下「市町村長指定期間」という。)中は、公募により指定を行うことが適当な区域として定める区域に所在する事業所(定期巡回・随時対応型訪問介護看護等のうち当該市町村長が定めるもの(以下「市町村長指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護等」という。)の事業を行う事業所に限る。以下「市町村長指定区域・サービス事業所」という。)に係る指定地域密着型サービス事業者の指定を、公募により行うものとすること。(第78条の13第1項関係)

(2) 市町村長指定期間中における市町村長指定区域・サービス事業所に係る指定地域密着型サービス事業者の指定については、第78条の2の規定は適用しないものとすること。(第78条の13第2項関係)

(3) 公募指定((1)により行われる指定をいう。以下同じ。)は、市町村長指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の種類及び当該種類に係る事業を行う事業所ごとに行い、当該公募指定をする市町村の被保険者に対する地域密着型介護サービス費及び特例地域密着型介護サービス費の支給について、その効力を有するものとすること。(第78条の14第1項関係)

(4) 市町村長は、公募指定に当たっては、厚生労働省令で定める基準に従い、公正な方法で選考をし、指定地域密着型サービス事業者を決定するものとすること。(第78条の14第2項関係)

(5) 第78条の2第4項(第4号、第6号の2、第10号及び第12号を除く。)、第6項(第1号の2、第3号の2、第3号の4及び第4号を除く。)等の規定は、公募指定について準用するものとすること。(第78条の14第3項関係)

(6) 公募指定の有効期間は、6年を超えない範囲内で市町村長が定める期間とすること。(第78条の15第1項関係)

六 介護サービス事業者の労働法規の遵守に関する事項

1 都道府県知事又は市町村長は、次のいずれかに該当する者については、介護サービス事業者の指定等をしてはならないものとすること。(第70条第2項、第78条の2第4項、第79条第2項、第86条第2項、第94条第3項、第115条の2第2項、第115条の12第2項及び第115条の22第2項関係)

(1) 労働に関する法律の規定であって政令で定めるものにより罰金刑に処せられ、その執行を終わるまでの者、又は執行を受けることがなくなるまでの者

(2) 労働保険の保険料の徴収等に関する法律により納付義務を負う保険料等の滞納処分を受け、引き続き滞納している者

2 都道府県知事又は市町村長は、介護サービス事業者が1(1)に該当するに至った場合には、指定の取消し等を行うことができるものとすること。(第77条第1項、第78条の10、第84条第1項、第92条第1項、第104条第1項、第115条の9第1項、第115条の19、第115条の29関係)

七 介護サービス情報の公表に関する事項

1 都道府県知事は、介護サービス事業者から報告された介護サービス情報を公表するとともに、必要と認める場合に調査を行うことができるものとすること。(第115条の35第2項及び第3項関係)

2 調査事務及び情報公表事務に係る手数料について、指定調査機関及び指定情報公表センターに納めさせ、その収入とすることができる旨の規定を削除すること。(第115条の36第3項及び第115条の42第3項関係)

3 都道府県知事は、介護サービスの質及び介護サービスに従事する従業者に関する情報であって厚生労働省令で定めるものの提供を希望する介護サービス事業者から提供を受けた当該情報について、公表を行うよう配慮するものとすること。(第115条の44関係)

八 介護予防・日常生活支援総合事業の創設

1 市町村は、介護予防及び日常生活支援のための施策を総合的かつ一体的に行うため、地域支援事業として、介護予防・日常生活支援総合事業(介護予防事業(第115条の45第1項第1号に掲げる事業をいう。以下同じ。)、介護予防ケアマネジメント事業(同項第2号に掲げる事業)及び(1)から(3)までに掲げる事業をいう。以下同じ。)を行うことができるものとすること。(1)から(3)までに掲げる事業は、厚生労働省令で定める基準に従って行うものとし、実施する場合には、(1)から(3)までに掲げる事業の全てにつき一括して行わなければならないものとすること。(第115条の45第2項等関係)

(1) 居宅要支援被保険者に対して、介護予防サービス又は地域密着型介護予防サービスのうち市町村が定めるもの(指定介護予防サービス、指定地域密着型介護予防サービス等を受けている居宅要支援被保険者については、当該指定介護予防サービス等と同じ種類の介護予防サービス等を除く。)を行う事業

(2) 被保険者(第1号被保険者及び要支援者である第2号被保険者に限る。)の地域での自立した日常生活の支援のための事業であって、介護予防事業及び(1)に掲げる事業と一体的に行われる場合に効果があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの

(3) 居宅要支援被保険者(指定介護予防支援等を受けている者を除く。)の介護予防のため、(1)及び(2)に掲げる事業等が包括的かつ効率的に提供されるよう必要な援助を行う事業

2 厚生労働大臣は、介護予防・日常生活支援総合事業に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとすること。(第115条の45第6項関係)

3 市町村は、介護予防・日常生活支援総合事業のうち1の(1)から(3)までに掲げる事業については、当該事業を適切に実施できるものとして厚生労働省令で定める基準に適合する者((3)に掲げる事業については、地域包括支援センターの設置者に限る。)に対して、当該事業の実施を委託することができるものとすること。(第115条の47第5項関係)

4 3により1の(3)に掲げる事業の実施の委託を受けた者は、その事業の一部を、厚生労働省令で定める者に委託することができるものとすること。(第115条の47第6項関係)

5 市町村長は、介護予防・日常生活支援総合事業について、その実施を委託した場合には、受託者に対する当該実施に必要な費用の支払決定に係る審査及び支払の事務を国民健康保険団体連合会に委託することができるものとすること。(第115条の47第7項並びに第176条第1項第2号及び第2項第3号関係)

6 介護予防・日常生活支援総合事業に係る費用負担は、予防給付(介護予防特定施設入居者生活介護に係るものを除く。)及び介護予防事業と同様とすること。(第122条の2、第126条等関係)

※ 地域支援事業における介護予防・日常生活支援総合事業の位置づけのイメージについては、別添を参照。

九 地域包括支援センターの機能強化

1 地域包括支援センターの設置者は、包括的支援事業の効果的な実施のために、介護サービス事業者、医療機関、民生委員、ボランティアその他の関係者との連携に努めなければならないものとすること。(第115条の46第5項関係)

2 市町村は、包括的支援事業の実施に係る方針を示して、当該事業を委託するものとすること。(第115条の47第1項関係)

十 市町村介護保険事業計画及び都道府県介護保険事業支援計画の見直し

1 市町村介護保険事業計画において、認知症である被保険者の地域における自立した日常生活の支援に関する事項、医療との連携に関する事項、高齢者の居住に係る施策との連携に関する事項等について定めるよう努めるものとすること。(第117条第3項関係)

2 市町村は、当該市町村が定める区域ごとにおける被保険者の心身の状況、その置かれている環境等を正確に把握した上で、これらの事情を勘案して、市町村介護保険事業計画を作成するよう努めるものとすること。(第117条第5項関係)

3 市町村介護保険事業計画は、居住に関する事項を定める計画と調和が保たれたものでなければならないものとし、都道府県介護保険事業支援計画は、高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定する高齢者居住安定確保計画と調和が保たれたものでなければならないものとすること。(第117条第7項及び第118条第6項関係)

十一 財政安定化基金の特例

1 都道府県は、平成24年度に限り、財政安定化基金の一部を取り崩すことができるものとすること。(附則第10条第1項関係)

2 都道府県は、財政安定化基金を取り崩したときは、保険料率の増加の抑制を図るため、その取り崩した額の3分の1に相当する額を市町村に交付しなければならないものとすること。また、取り崩した額の3分の1に相当する額については、国に納付しなければならないものとすること。(附則第10条第2項及び第3項)

3 国は納付された額に相当する額を、都道府県はその取り崩した額から市町村に交付した額及び国に納付した額の合計額を控除した額に相当する額を、それぞれ介護保険に関する事業に要する経費に充てるよう努めるものとすること。(附則第10条第4項及び第5項)

十二 その他

1 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の趣旨に沿って、申請者の法人格の有無に係る基準の条例委任、指定介護老人福祉施設等の入所定員に係る基準の条例委任及び市町村介護保険事業計画等の記載事項の努力義務化等を行うこと。(詳細は第二において記載)

2 その他所要の規定の整備を行うこと。

第3 老人福祉法の一部改正【平成24年4月1日施行。ただし、四の1については、公布日施行。】

一 事業及び市町村老人福祉計画等に関する事項

1 老人居宅生活支援事業、市町村老人福祉計画等に関する規定を介護保険法の改正内容に沿って整理すること。(第5条の2、第20条の8第3項等関係)

2 複合型サービス福祉事業を老人居宅生活支援事業に位置付けること。(第5条の2第7項関係)

二 有料老人ホーム等の利用者保護

1 認知症対応型老人共同生活援助事業を行う者及び有料老人ホームの設置者は、家賃、敷金及び介護等その他の日常生活上必要な便宜の供与の対価として受領する費用を除くほか、権利金その他の金品を受領してはならないものとすること。(第14条の4第1項及び第29条第6項関係)

2 認知症対応型老人共同生活援助事業を行う者及び有料老人ホームの設置者は、前払金を受領する場合においては、入居日から厚生労働省令で定める一定の期間を経過する日までの間に、契約が解除され、又は入居者の死亡により終了した場合に当該前払金の額から厚生労働省令で定める方法により算定される額を控除した額に相当する額を返還する旨の契約を締結しなければならないものとすること。(第14条の4第3項及び第29条第8項関係)

三 後見等に係る体制の整備等

1 市町村は、後見、保佐及び補助の業務を適正に行うことができる人材の育成等及び活用を図るために必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。(第32条の2第1項関係)

2 都道府県は、市町村の措置の実施に関し助言その他の援助を行うよう努めるものとすること。(第32条の2第2項関係)

四 その他

1 老人健康保持事業の助成の業務等を行う指定法人に係る規定を削除すること。(第4章の2関係)

これに伴い、介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整理に関する政令(以下「整理政令」という。)において、厚生労働省組織令(平成12年政令第252号)について所要の改正を行うとともに、介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整理に関する省令(以下「整理省令」という。)において、老人福祉法施行規則(昭和38年厚生省令第28号)等について所要の改正を行った。

2 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の趣旨に沿って、市町村老人福祉計画等の記載事項の努力義務化等を行うこと。(詳細は第二において記載)

3 その他所要の規定の整備を行うこと。

第4 社会福祉法の一部改正【平成24年4月1日施行】

複合型サービス福祉事業を第2種社会福祉事業とすること。(第2条第3項第4号関係)

第5 健康保険法等の一部を改正する法律の一部改正【公布日施行】

一 介護療養型医療施設について、平成24年4月1日の時点で指定を受けているものについては、平成30年3月31日までの間、介護療養型医療施設に係る規定は、なおその効力を有するものとすること。(附則第130条の2関係)

二 その他所要の規定の整備を行うこと。

※ なお、平成24年度以降も存続する介護療養型医療施設について、以下に掲げる改正を行うこととしたこと。(介護保険法等改正法附則第37条関係)【平成24年4月1日施行】

・指定都道府県事務受託法人に関する制度の創設(第24条の3、第205条、第208条及び第213条)

・指定の欠格事由への労働法規及び労働保険料に係る事項の追加(第107条第3項)

・市町村介護保険事業計画及び都道保険介護保険事業支援計画の見直し(第117条及び第118条)

・介護サービス情報の報告及び公表に関する事項の見直し(第115条の35、第115条の36、第115条の42及び第115条の44)

・大都市特例の創設(第203条の2)

第6 社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正【平成24年4月1日施行】

一 介護福祉士による喀痰吸引等の実施

1 介護福祉士は、喀痰吸引その他の身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者が日常生活を営むのに必要な行為であって、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。)を行うことを業とするものとすること。(第2条第2項関係)

なお、厚生労働省令においては、喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)及び経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養)を定める予定であること。

2 介護福祉士は、保健師助産師看護師法の規定にかかわらず、診療の補助として喀痰吸引等を行うことを業とすることができるものとすること。(第48条の2第1項関係)

二 認定特定行為業務従事者による特定行為の実施

1 介護の業務に従事する者(介護福祉士を除く。)のうち、認定特定行為業務従事者認定証の交付を受けている者は、保健師助産師看護師法の規定にかかわらず、診療の補助として、医師の指示の下に、特定行為(喀痰吸引等のうち当該認定特定行為業務従事者が修了した喀痰吸引等研修の課程に応じて厚生労働省令で定める行為をいう。以下同じ。)を行うことを業とすることができるものとすること。(附則第3条第1項関係)

2 認定特定行為業務従事者認定証は、介護の業務に従事する者に対して認定特定行為業務従事者となるのに必要な知識及び技能を修得させるため、都道府県知事又はその登録を受けた者が行う喀痰吸引等研修の課程を修了したと都道府県知事が認定した者でなければ、その交付を受けることができないものとすること。(附則第4条第2項関係)

三 登録研修機関

都道府県知事は、登録を申請した者が喀痰吸引等に関する法律制度及び実務に関する科目について喀痰吸引等研修の業務を実施するものであること等の要件の全てに適合しているときは、登録研修機関の登録をしなければならないものとすること。(附則第8条第1項関係)

四 喀痰吸引等業務等の登録

1 自らの事業又はその一環として、喀痰吸引等又は特定行為の業務を行おうとする者は、その事業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならないものとすること。(第48条の3第1項及び附則第20条第1項関係)

2 都道府県知事は、登録を申請した者が医療関係者との連携が確保されているものとして厚生労働省令で定める基準に適合していること等の要件の全てに適合しているときは、登録喀痰吸引等事業者又は登録特定行為事業者の登録をしなければならないものとすること。(第48条の5及び附則第20条第2項関係)

五 その他

1 この法律の施行の際現に介護の業務に従事する者であって、この法律の施行の際必要な知識及び技能の修得を終えている特定行為について、喀痰吸引等研修の課程を修了した者と同等以上の知識及び技能を有する旨の都道府県知事の認定を受けた者に対しては、認定特定行為業務従事者認定証を交付することができるものとすること。(改正法附則第14条関係)

2 登録研修機関及び登録特定行為事業者の登録並びに喀痰吸引等研修の課程を修了した者と同等以上の知識及び技能を有する旨の都道府県知事の認定の手続については、施行日前においても行うことができるものとすること。(改正法附則第15条関係)

六 その他所要の規定の整備を行うこと。

第7 社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律の一部改正【公布日施行】

一 介護福祉士の資格取得方法の見直しに係る改正規定の施行期日を、平成24年4月1日から平成27年4月1日に変更すること。(附則第1条関係)

二 その他所要の規定の整備を行うこと。

第8 福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律の一部改正【公布日施行】

福祉用具の研究開発及び普及に係る助成の業務等を行う指定法人に係る規定を削除すること。(第3章関係)

なお、これに伴い、整理政令において、所得税法施行令(昭和40年政令第96号)及び法人税法施行令(昭和40年政令第97号)について条ずれ等の措置を行うとともに、整理省令において、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律施行規則(平成5年厚生省令第43号)等について所要の規定の整理を行った。

第9 経過措置等

この法律の施行に関し、必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の規定の整備を行うこと。

第二 地域の自主性及び自立性を高めるための改革関連の介護保険法及び老人福祉法の改正

第1 介護保険法の一部改正【平成24年4月1日施行】

※ 条例の制定が必要となる改正事項(一から三まで)については、平成24年4月1日から1年を超えない期間内において、条例が制定施行されるまでの間は、厚生労働省令で定める基準を、当該条例で定める基準とみなす旨の経過措置が置かれている。

一 申請者の法人格の有無に係る基準の条例委任《介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律(以下「介護保険法等改正法」という。)により改正》

指定居宅サービス事業者、指定地域密着型サービス事業者、指定介護予防サービス事業者及び指定地域密着型介護予防サービス事業者の指定に関する基準のうち、申請者の法人格の有無に係る基準を、条例(制定主体は指定権者)に委任すること。条例については、厚生労働省令で定める基準に従い定めるものとすること。(第70条第2項第1号及び第3項、第78条の2第4項第1号及び第5項、第115条の2第2項第1号及び第3項並びに第115条の12第2項第1号及び第3項)

二 事業者及び施設の指定基準の条例委任《地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(以下「地域の自主性及び自立性を高めるための改革整備法」という。)により改正》

1 指定居宅サービス、指定地域密着型サービス、指定介護予防サービス、指定地域密着型介護予防サービス、基準該当居宅サービス及び基準該当介護予防サービスの人員基準及び設備・運営に関する基準を条例(制定主体は指定権者)に委任すること。

条例を定めるに当たっては、(1)から(4)までの事項については厚生労働省令で定める基準に従い定めるものとし、(5)については厚生労働省令で定める基準を標準として定めるものとし、その他の事項については厚生労働省令で定める基準を参酌して定めるものとすること。(第42条第1項及び第2項、第54条第1項及び第2項、第74条第1項から第3項まで、第78条の4第1項から第3項まで、第115条の4第1項から第3項まで並びに第115条の14第1項から第3項まで関係)

(1) 指定居宅サービス等に従事する従業者に係る基準及び当該従業者の員数

(2) 指定居宅サービス等の事業に係る居室、療養室及び病室の床面積

(3) 小規模多機能型居宅介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、認知症対応型通所介護及び介護予防認知症対応型通所介護の事業に係る利用定員

(4) 指定居宅サービス等の事業の運営に関する事項であって、利用又は入所する要介護者等のサービスの適切な利用、適切な処遇及び安全の確保並びに秘密の保持等に密接に関連するものとして厚生労働省令で定めるもの

(5) 指定居宅サービス等の事業((3)に規定する事業を除く。)に係る利用定員

2 指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び指定介護療養型医療施設の人員基準(介護老人保健施設の医師及び看護師に係るものを除く。)及び設備・運営基準(介護老人保健施設の療養室、診察室及び機能訓練室に係るものを除く。)を条例(制定主体は指定権者)に委任すること。

条例を定めるに当たっては、(1)から(3)までの事項については厚生労働省令で定める基準に従い定めるものとし、その他の事項については厚生労働省令で定める基準を参酌して定めるものとすること。(第88条第1項から第3項まで、第97条第1項から第4項まで及び第110条第1項から第3項まで関係)

(1) 指定介護福祉施設サービス等に従事する従業者及びその員数

(2) 指定介護老人福祉施設等に係る居室又は病室の床面積

(3) 指定介護老人福祉施設等の運営に関する事項であって、入所又は入院する要介護者のサービスの適切な利用、適切な処遇及び安全の確保並びに秘密の保持に密接に関連するものとして厚生労働省令で定めるもの

三 指定介護老人福祉施設等の入所定員に係る基準の条例委任《介護保険法等改正法により改正》

1 指定地域密着型介護老人福祉施設の入所定員を、29人以下であって市町村の条例で定める数とすること。(第78条の2第1項関係)

2 指定介護老人福祉施設の入所定員を、30人以上であって指定権者の条例で定める数とすること。(第86条第1項関係)

四 市町村介護保険事業計画等の記載事項の努力義務化等《介護保険法等改正法により改正》

1 市町村介護保険事業計画の記載事項のうち「日常生活圏域における各年度の認知症対応型共同生活介護等に係る必要利用定員総数その他の介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み」及び「各年度における地域支援事業の量の見込み」以外の事項の記載については、努力義務とすること。努力義務化された計画記載事項を定め、又は変更しようとする際の、都道府県への事前の意見聴取を廃止すること。(第117条第2項、第3項及び第9項関係)

2 都道府県介護保険事業支援計画の記載事項のうち「都道府県知事が定める区域における各年度の介護専用型特定施設入居者生活介護等に係る必要利用定員総数、介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数その他の介護給付等対象サービスの量の見込み」以外の事項の記載については、努力義務とすること。(第118条第2項及び第3項関係)

五 大都市特例の創設《介護保険法等改正法により改正》

都道府県知事が処理している指定居宅サービス事業者、指定居宅介護支援事業者、指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び指定介護予防サービス事業者の指定等、報告命令、立入検査等について、指定都市及び中核市へ移譲すること。これに伴い、一から三までの条例の制定の権限を、都道府県から指定都市及び中核市へ移譲すること。なお、介護専用型特定施設入居者生活介護及び混合型特定施設入居者生活介護に係る指定居宅サービス事業者、介護老人保健施設の指定等に際して都道府県知事の同意を要することとすること。(第203条の2及び地方自治法第252条の19第1項第7号の2関係。具体的な事務等は、政令で定める予定。)

第2 老人福祉法の一部改正【平成24年4月1日施行】

※ 一については、平成24年4月1日から1年を超えない期間内において、条例が制定施行されるまでの間は、厚生労働省令で定める基準は、当該条例で定める基準とみなす旨の経過措置が置かれている。

一 養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備・運営基準の条例委任《地域の自主性及び自立性を高めるための改革整備法により改正》

養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を、条例(制定主体は都道府県、指定都市及び中核市)に委任すること。

条例を定めるに当たっては、(1)から(3)までの事項は厚生労働省令で定める基準に従い定めるものとし、(4)の事項については厚生労働省令で定める基準を標準として定めるものとし、その他の事項については厚生労働省令で定める基準を参酌して定めるものとする。(第17条関係)

(1) 養護老人ホーム及び特別養護老人ホームに配置する職員及びその員数

(2) 養護老人ホーム及び特別養護老人ホームに係る居室の床面積

(3) 養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの運営に関する事項であって、入所する老人の適切な処遇及び安全の確保並びに秘密の保持に密接に関連するものとして厚生労働省令で定めるもの

(4) 養護老人ホームの入所定員

二 市町村老人福祉計画等の記載事項の努力義務化等《介護保険法等改正法により改正》

1 市町村老人福祉計画の記載事項のうち「老人福祉事業の量の確保のための方策」の記載については、努力義務とすること。努力義務化された計画記載事項を定め、又は変更しようとする際の、都道府県への事前の意見聴取を廃止すること。市町村老人福祉計画を策定する場合における勘案すべき事情に係る規定を、努力義務規定とすること。(第20条の8第2項、第3項、第6項及び第9項関係)

2 都道府県老人福祉計画の記載事項のうち、「都道府県が定める区域における養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの必要入所定員総数その他老人福祉事業の量の目標」以外の事項の記載については、努力義務とすること。(第20条の9第2項及び第3項関係)

三 大都市特例の拡充

都道府県知事が処理している有料老人ホーム設置の届出の受理、報告の徴収及び立入検査並びに改善命令について、指定都市及び中核市へ移譲すること。(政令改正による対応を予定)

(別添)