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ウ 理事会等は、支払管理態勢に対する内部監査が有効に機能するよう、内部監査部門において支払実務に精通した人材を適切な規模で配置しているか。また、内部監査部門は、適切な支払管理態勢の検証を行うような十分な権能を付与されているか。

エ 支払管理部門の役職員は、内部監査が適切な支払管理態勢を確立することに重要な役割を果たすことを十分認識しているか。

オ 内部監査部門は、適切な支払管理態勢を検証するための内部監査業務の実施要領等を作成し、理事会等による承認を受けているか。また、内部監査部門の長は、実施要領等の適切性・有効性を確認しているか。

カ 内部監査部門は、適切な支払管理態勢を検証するため、頻度・深度等に配慮した効率的かつ実効性のある監査計画を策定しているか。

キ 内部監査部門は、内部監査業務の実施要領等に基づき、支払管理部門及び関連部門の全ての業務に対する内部監査を定期的に実施しているか。

ク 内部監査部門は、理事会に対して、支払管理態勢に係る内部監査の結果、その他重要な事項を適時・適切に報告しているか。特に経営に重大な影響を与える問題点については、速やかに報告しているか。

ケ 内部監査部門は、検査の結果を分析し、これを的確に支払管理部門をはじめとする被監査部門等へ遅滞なく通知しているか。さらに、内部監査部門は、支払管理部門における改善状況を適切に管理し、その後の内部監査に反映させているか。また、共済金等支払管理者は、内部監査の結果等を適切な共済金等支払管理態勢の確立に役立てているか。

⑦ 監事による監査

ア 共済金等支払いに関する監事による監査については、業務執行体制の適否を監査する視点で実施しているか。例えば、募集管理関係からみた問題等と利用者からの苦情の状況等から窺える利用者サービスの問題等を関連づけて総合的に監査することとしているか。

イ 共済金等支払実務に関する体系的な監査手法を確立しているか。

ウ 監事は、共済金等支払管理者等に対するヒアリングや支払管理部門に対する往査など、共済金等の支払実務そのものに対する直接的な監査を実施しているか。

エ 監事は、理事会に対して、共済金等の支払いに関する監査結果、その他重要な事項を適時・適切に報告しているか。

(3) 監督手法・対応

共済金等支払管理態勢について問題があると認められる場合には、必要に応じて生協法第93条の3に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、生協法第94条の2に基づき業務改善命令又は生協法第95条に基づき必要措置を採るべき旨の命令を発出するものとする。

Ⅱ―3―7 利用者情報管理

(1) 意義

利用者に関する情報は、共済契約の基礎をなすものである。したがって、その適切な管理が確保されることが極めて重要であり、利用者情報の適切な取扱いが確保される必要がある。

特に、個人利用者に関する情報については、個人情報の保護に関する法律の規定に基づく適切な取扱いが確保される必要がある。このため、利用者に関する情報の管理に関し、以下の点を確認するものとする。

(2) 主な着眼点

① 利用者に関する情報の管理について、具体的な取扱基準を定めた上で役職員に周知徹底しているか。特に、当該情報の他者への伝達については、利用者に対する守秘義務、説明責任及び信頼性の確保の観点から検討を行った上で取扱基準を定めているか。

② 利用者情報へのアクセス管理の徹底、内部関係者による利用者情報の持ち出しの防止に係る対策、外部からの不正アクセスの防御等情報管理システムの堅牢化等の対策を含め、利用者に関する情報の管理が適切に行われているかを検証できる体制となっているか。

③ 個人利用者に関する情報については、規則第175条に基づき、その安全管理及び従業者の監督について、当該情報の漏えい、滅失又はき損の防止を図るために必要かつ適切な措置が講じられているか。

④ 信用情報に関する機関(資金需要者の借入金返済能力に関する情報の収集及び組合に対する当該情報の提供を行うものをいう。)から提供を受けた情報であって個人である資金需要者の借入金返済能力に関するものを、規則第176条に基づき、資金需要者の返済能力の調査以外の目的のために利用しないことを確保するための措置が講じられているか。

⑤ 個人利用者に関する政治的見解、信教(宗教、思想及び信条をいう。)、労働組合への加盟、人種及び民族、門地及び本籍地、保健医療及び性生活、並びに犯罪歴に関する情報(以下「機微(センシティブ)情報」という。)を、規則第177条に基づき、以下に掲げる場合を除き、利用しないことを確保するための措置が講じられているか。

ア 法令に基づく場合

イ 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。

ウ 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。

エ 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

オ 源泉徴収事務等の遂行上必要な範囲において、機微(センシティブ)情報を取得、利用又は第三者提供する場合

カ 相続手続による権利義務の移転等の遂行に必要な限りにおいて、機微(センシティブ)情報を取得、利用又は第三者提供する場合

キ 共済事業の適切な運営を確保する必要性から、本人の同意に基づき業務遂行上必要な範囲で機微(センシティブ)情報を取得、利用又は第三者提供する場合

ク 機微(センシティブ)情報に該当する生体認証情報を本人の同意に基づき、本人確認に用いる場合

⑥ 利用者情報の漏えい等が発生した場合に、行政庁への報告が迅速かつ適切に行われる体制が整備されているか。

⑦ 共済代理店及び外部委託先

ア 共済代理店及び外部委託先の責任

(ア) 共済契約に関する個人情報について、委託契約等に基づき当該委託先が取扱う個人情報の性質及び量等に応じた取扱ルール及び責任が明確に定められているか。

(イ) 必要に応じてシステム上必要な保護措置を講じているか。

イ 共済代理店及び外部委託先の管理

(ア) 共済代理店及び外部委託先の管理について責任部署が明確にされているか。

(イ) 個人情報保護のための施策の伝達及び事故等の報告についてレポーティングラインが構築されているか。

(ウ) 個人情報保護に関する事務取扱等を周知徹底するため、研修の計画や通知文書の発出など具体的な施策を講じているか。

(エ) 個人情報を適切に管理し、事故発生時においても適切に所定の対応をしているかどうかを把握しているか。

(オ) 共済代理店・外部委託先を契約解除する場合の個人情報の取扱いルールが整備されているか。

⑧ 事後対応の管理状況

ア 事後対応

(ア) 個人情報の漏えいが発生した場合、各責任部署は直ちに知覚しているか。

(イ) 個人情報の漏えいが発生した場合、報告ラインが有効に機能して必要に応じたホストコンピュータへのアクセス制限や利用者への説明など所定の対応を適切に行っているか。

イ 監査及びモニタリング

(ア) 個人情報の管理態勢が有効に機能しているか内部監査の対象項目として定期的に検証しているか。

(イ) 理事等は、個人情報の管理状況を評価し、必要に応じて体制やルールの見直しを指示するなど内部統制を適切に行っているか。

(3) 監督手法・対応

個人情報保護態勢について問題があると認められる場合には、必要に応じて生協法第93条の3に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、生協法第94条の2に基づき業務改善命令又は生協法第95条に基づき必要措置を採るべき旨の命令を発出するものとする。

Ⅱ―3―8 利用者等の誤認防止等

Ⅱ―3―8―1 意義

利用者等に対する利便性の向上や事務の合理化の観点から、当該組合が、その事業所を他者の営業所と同一の建物内に設置するなどの場合があるが、その際、利用者等に対する弊害防止措置が講じられていることが重要である。

Ⅱ―3―8―2 主な着眼点

組合が、その事業所を他者の本支店等と同一建物、同一フロアに設置する場合には、利用者等の誤認防止、利用者等情報の保護及び防犯上の観点から、適切な措置が講じられているか。また、コンピュータ設備を共用する場合に組合自らの情報管理規定が遵守できるよう体制が整備されているか。

Ⅱ―3―9 反社会的勢力による被害の防止

Ⅱ―3―9―1 意義

反社会的勢力を社会から排除していくことは、社会の秩序や安全を確保する上で極めて重要な課題であり、反社会的勢力との関係を遮断するための取組を推進していくことは、企業にとって社会的責任を果たす観点から必要かつ重要なことである。特に、公共性を有し、経済的に重要な機能を営む組合においては、組合自身や役職員のみならず、利用者等の様々な利害関係者(ステークホルダー)が被害を受けることを防止するため、反社会的勢力を金融取引から排除していくことが求められる。

もとより組合として公共の信頼を維持し、業務の適切性及び健全性を確保するためには、反社会的勢力に対して屈することなく法令等に則して対応することが不可欠であり、組合においては、政府指針の趣旨を踏まえ、平素より、反社会的勢力との関係遮断に向けた態勢整備に取り組む必要がある。

特に、近時反社会的勢力の資金獲得活動が巧妙化しており、関係企業を使い通常の経済取引を装って巧みに取引関係を構築し、後々トラブルとなる事例も見られる。こうしたケースにおいては経営陣の断固たる対応、具体的な対応が必要である。

なお、職員の安全が脅かされる等不測の事態が危惧されることを口実に問題解決に向けた具体的な取組を遅らせることは、かえって組合や役職員自身等への最終的な被害を大きくし得ることに留意する必要がある。

(参考) 「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合わせ)

(1) 反社会的勢力による被害を防止するための基本原則

・ 組織としての対応

・ 外部専門機関との連携

・ 取引を含めた一切の関係遮断

・ 有事における民事と刑事の法的対応

・ 裏取引や資金提供の禁止

(2) 反社会的勢力のとらえ方

暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標榜ゴロ、政治活動標榜ゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である。

Ⅱ―3―9―2 主な着眼点

反社会的勢力との関係を遮断するための態勢整備の検証については、個々の取引状況等を考慮しつつ、例えば以下のような点に留意することとする。

(1) 反社会的勢力とは一切の関係をもたず、反社会的勢力であることを知らずに関係を有してしまった場合には、相手方が反社会的勢力であると判明した時点で可能な限り速やかに関係を解消できるよう、以下の点に留意した取組を行うこととしているか。

① 反社会的勢力との取引を未然に防止するための適切な事前審査の実施や必要に応じて契約書等に暴力団排除条項を導入するなど、反社会的勢力が取引先となることを防止すること。

② いかなる理由であれ、反社会的勢力であることが判明した場合には資金提供や不適切・異例な取引を行わないこと。

(2) 反社会的勢力による不当要求が発生した場合の対応を総括する部署(以下「反社会的勢力対応部署」という。)を整備し、反社会的勢力による被害を防止するための一元的な管理態勢が構築され、機能しているか。

特に、一元的な管理態勢の構築に当たっては、以下の点に十分留意しているか。

① 反社会的勢力による不当要求がなされた場合等に、当該情報を反社会的勢力対応部署へ報告・相談する体制となっているか。また、反社会的勢力対応部署において実際に反社会的勢力に対応する担当者の安全を確保し担当部署を支援する体制となっているか。

② 反社会的勢力対応部署において反社会的勢力に関する情報が一元的に管理・蓄積され、当該情報を分析・整理したデータベースを構築する体制となっているか。また、当該情報を取引先の審査や当該組合における組合員又は会員の属性判断等を行う際に、活用する体制となっているか。

③ 反社会的勢力対応部署において対応マニュアルの整備や継続的な研修活動、警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関と平素から緊密な連携体制の構築が行われるなど、反社会的勢力との関係を遮断するための取組の実効性を確保する体制となっているか。特に、日常時より警察とのパイプを強化し、組織的な連絡体制と問題発生時の協力体制を構築することにより、脅迫・暴力行為の危険性が高く緊急を要する場合には直ちに警察に通報する体制となっているか。

(3) 反社会的勢力から不当要求がなされた場合には、担当者や担当部署だけに任せることなく理事等の経営陣が適切に関与し、組織として対応することとしているか。また、その際の対応は、以下の点に留意したものとなっているか。

① 反社会的勢力により不当要求がなされた旨の情報が反社会的勢力対応部署を経由して速やかに理事等の経営陣に報告され、経営陣の適切な指示・関与のもと対応を行うこと。

② 積極的に警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関に相談するとともに、暴力追放運動推進センター等が示している不当要求対応要領等を踏まえた対応を行うこと。特に、脅迫・暴力行為の危険性が高く緊急を要する場合には直ちに警察に通報を行うこと。

③ あらゆる民事上の法的対抗手段を講ずるとともに、積極的に被害届を提出するなど、刑事事件化も躊躇しない対応を行うこと。

(4) 反社会的勢力からの不当要求が、事業活動上の不祥事や職員の不祥事を理由とする場合には、反社会的勢力対応部署の要請を受けて、不祥事案を担当する部署が速やかに事実関係を調査することとしているか。

Ⅱ―3―9―3 監督手法・対応

検査結果、不祥事件届出書等により、反社会的勢力との関係を遮断するための態勢に問題があると認められる場合には、必要に応じて生協法第93条の3に基づき報告を求め、当該報告を検証した結果、業務の健全性・適切性の観点から重大な問題があると認められる場合等には、生協法第94条の2に基づく業務改善命令又は生協法第95条に基づき必要措置を採るべき旨の命令の発出を検討するものとする。その際、反社会的勢力への資金提供や反社会的勢力との不適切な取引関係を認識しているにもかかわらず関係解消に向けた適切な対応が図られないなど、内部管理態勢が極めて脆弱であり、その内部管理態勢の改善等に専念させる必要があると認められるときは、生協法第94条の2に基づく業務改善に要する一定期間に限った業務の一部停止命令の発出を検討するものとする。

また、反社会的勢力であることを認識しながら組織的に資金提供や不適切な取引関係を反復・継続するなど、重大性・悪質性が認められる法令違反又は公益を害する行為などに対しては、生協法第94条の2に基づく厳正な処分について検討するものとする。

Ⅱ―3―10 適切な表示の確保

(1) 情報開示の趣旨を十分踏まえて適切に開示を行う体制を確立しているか。

(2) 共済募集用の資料等(広告も含む。)について、表示媒体や共済商品の特性に応じた適正な表示を確保するための措置が講じられているか。

(3) 適正な表示を確保するための内部規定が適切に策定されているか。

(注) 内部規定は、次の事項等を踏まえ、共済期間、保障、引受条件及び共済掛金率・共済掛金等が適切に表示されるよう留意して策定されているか。

① 共済商品の保障内容に関する優良性を示す際に、それと不離一体の関係にあるものを併せてわかりやすく示さないことなどにより、共済契約者等に著しく優良との誤解を与える表示となっていないか。

例えば、共済契約の保障内容に以下の例示のような一定の制限条件があるにもかかわらず、当該条件が表示されていない場合、又は著しく小さな文字で表示されている、著しく短い時間で表示されている、参照先を明瞭にすることなく保障内容を強調した表示から離れたところに表示されている等により当該条件表示を共済契約者等が見落とすような表示方法となっている場合には、当該共済商品の仕組みの内容が、実際のものよりも著しく優良であるとの誤解を与えるおそれがあることに留意する必要がある。

ア 支払事由の全部又は一部について、契約後一定の不担保期間がある場合

イ 共済金(給付金)額等が被共済者の年齢、契約後の年数、入院日数、対象疾病等の条件により減額又は消滅する場合

また、共済商品の仕組みの保障内容に関する優良性と直接関係のない情報を表示し、あたかも優良であるかのごとき表示をなしている場合には、実際のものよりも著しく優良であるとの誤解を与えるおそれがあることに留意する必要がある。

② 共済商品の取引条件の有利性を示す際に、制限条件等を併せてわかりやすく示さないことなどにより、共済契約者等に著しく有利との誤解を与える表示となっていないか。

例えば、共済掛金の表示に関して、主たる共済契約者層とは考えられない若年層等の共済掛金を用例とし、その適用年齢等の条件表示を著しく小さく表示しているため、共済契約者等が見落とすような表示となっている場合には、他の年齢層等の共済契約者等についても当該共済掛金が適用され、実際のものよりも著しく安いとの誤解を与えるおそれがあることに留意する必要がある。

また、共済商品の仕組みの取引条件に関する有利性と直接関係のない情報を表示し、あたかも有利であるかのごとき表示をなしている場合には、実際のものよりも著しく有利であると誤解を与えるおそれがあることに留意する必要がある。

③ 共済商品・サービス等に関する表示が客観的事実に基づくものとなっているか。

例えば、業界における最上級その他の序列を直接に意味する用語、唯一性を直接に意味する用語又は相対的な優位性があることを意味する用語を使用する場合は、その主張する内容が客観的に実証されているか。

④ 共済商品・サービス等に関する表示に業界における最上級その他の序列を直接に意味する用語、唯一性を直接に意味する用語又は相対的な優位性があることを意味する用語を使用する場合は、その主張する内容の根拠についても明確に表示しているか。

例えば、「最高」、「最低」、「日本一」、「ナンバーワン」、「唯一」、「業界初」、「ワイド」、「最低水準」、「割安」等の用語を使用する場合は、その用語の根拠となった調査方法、出典又は前提条件を表示する必要がある。

⑤ 労働金庫で募集する共済商品について表示を行う場合(労働金庫が行う表示を含む。)には、例えば、定期積金など労働金庫の商品であるかのような誤解を招かないように、当該商品が組合の共済商品であることを適切に表示しているか。

(4) 表示媒体や表示内容に応じ、「契約概要」、「注意喚起情報」を読むことの重要性を喚起するための表示を行うための措置を講じているか。

(5) 適正な表示がなされるよう、コンプライアンス担当部門によるリーガルチェック等を含めた十分な審査体制が整備されているか。

なお、審査については、以下の点に留意したものとなっているか。

① 共済募集用の資料等について、組合本部で集中管理するなどの方法により、表示内容に係る審査が漏れなく行われる体制となっているか。

② 共済約款等、「契約概要」、「注意喚起情報」、パンフレット、契約のしおり等について、それぞれの表示内容の整合性を確保するためのチェックがなされる体制となっているか。

③ 共済契約者等からの苦情において表示上の問題等が指摘されている場合には、その内容について分析し、問題が認められた場合には、改善のための適切な対応がとられる体制となっているか。

(6) 共済商品の仕組みの説明(比較広告等を含む)に係る生協法第12条の2第3項において準用する保険業法第300条第1項第6号及び保険業法第300条第1項第7号については、以下の点に留意するものとする。

① 共済契約に関する表示については、「Ⅱ―3―2―1(4)」に準じて取り扱うものとする。

② 予想契約者割戻額の表示については、「Ⅱ―3―2―1(5)」に準じて取り扱うものとする。

Ⅱ―3―11 事務リスク管理態勢

Ⅱ―3―11―1 意義

事務リスクとは、組合の役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより、組合が損失を被るリスクをいうが、組合は当該リスクに係る内部管理態勢を適切に整備し、業務の健全かつ適切な運営により信頼性の確保に努める必要がある。

Ⅱ―3―11―2 主な着眼点

(1) 事務リスク管理態勢

① 全ての業務に事務リスクが所在していることを理解し、適切な事務リスク管理体制が整備されているか。

② 事務リスクを軽減することの重要性を認識し、事務リスク軽減のための具体的な方策を講じているか。

③ 事務部門は、十分に牽制機能が発揮されるよう体制が整備されているか。また、事務に係る諸規定が明確に定められているか。

(2) 内部監査態勢

内部監査部門は、事務リスク管理態勢を監査するため、内部監査を適切に実施しているか。

(3) 支所(事務所)のリスク管理態勢

事務部門は、支所(事務所)における事務リスク管理態勢をチェックする措置を講じているか。

(4) 人事管理態勢

人事管理に当たっては、事故防止等の観点から職員を長期間にわたり同一業務に従事させることなくローテーションを確保するよう配慮されているか。年一回以上1週間以上の職場離脱をさせているか。職員教育において、職業倫理が盛り込まれているか。

Ⅱ―3―11―3 監督手法・対応

検査結果及び不祥事件報告等により、事務リスクの管理態勢に問題があると認められる場合には、必要に応じて生協法第93条の3に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、生協法第94条の2に基づき業務改善命令又は生協法第95条に基づき必要措置を採るべき旨の命令を発出するものとする。

Ⅱ―3―12 システムリスク管理態勢

Ⅱ―3―12―1 意義

システムリスクとは、コンピュータシステムのダウン又は誤作動等のシステムの不備等に伴い、利用者や組合が損失を被るリスクやコンピュータが不正に使用されることにより利用者や組合が損失を被るリスクをいうが、新たな共済商品の仕組み・サービスの拡大等に伴い、組合の情報システムは一段と高度化・複雑化し、さらにコンピュータのネットワーク化の拡大に伴い、重要情報に対する不正なアクセス、漏えい等のリスクが大きくなっている。システムが安全かつ安定的に稼動することは、組合に対する信頼性を確保するための大前提であり、システムリスク管理態勢の充実強化は極めて重要である。

Ⅱ―3―12―2 主な着眼点

(1) システムリスクに対する認識等

システムリスクについて十分認識し、全体的なリスク管理の基本方針が策定されているか。

(2) システムリスク管理態勢

システムリスク管理の基本方針が定められているか。システムリスク管理態勢の整備に当たっては、その内容について客観的な水準が判定できるものを根拠としているか。

また、システムリスク管理態勢は、システム障害等の把握・分析、リスク管理の実施結果や技術進展等に応じて、不断に見直しを実施しているか。

(3) 安全対策

① 安全対策の基本方針が策定されているか。

② 定められた方針、基準及び手順に従って安全対策を適正に管理する安全管理者を設置しているか。安全管理者は、システム、データ、ネットワークの管理体制を統括しているか。

(4) システム監査

① システム部門から独立した内部監査部門が定期的にシステム監査を行っているか。

② システム監査を行う者は、システム監督に精通しているか。

③ 監査対象はシステムリスクに関する業務全体をカバーしているか。

④ システム監査の結果は適切に理事等に報告されているか。

(5) プログラムミスの発生防止

組合におけるシステム不備により共済契約者等に対し不利益を及ぼすことを防ぐため、共済商品の開発や改定等に際してのシステム開発においては、次の点に留意して、プログラムミスの発生防止のための措置を講じているか。

① システム開発時の連携

共済契約に係る新しい商品や仕組みを導入する場合(これらを変更する場合を含む。)に、仕組開発部門、事務設計部門及びシステム部門の間の連携が十分図られているか。

連携に当たっては、以下の点に留意する。

ア 関係する部門間での連携のためのルール・責任範囲が明確化されているか。

イ 共済掛金・契約者割戻金等の重要な事項に関する計算結果についてのシステム機能のチェックに、仕組開発部門、事務設計部門が主体的に関与しているか。

ウ 関係する部門間で、必要な情報が共有されているか。

エ 関係する部門の責任者や担当者が明確にされているか。

オ システムの開発や変更の記録が、保存期間を定めて文書等で保管されているか。

② システム開発時のチェック

ア 仕組開発部門、事務設計部門及びシステム部門で連携して、商品や仕組みの内容に照らして取扱いの差異が生じる場合を網羅する適切かつ十分なケースを想定し、システム設計、プログラム設計及びテストを実施しているか。

イ 共済掛金・契約者割戻金等の重要な事項に関する計算結果については、特に重点的にチェックを実施しているか。また、システムの稼動に先立ち、チェックの実施状況を確認しているか。

ウ 各部門におけるチェックについては、具体的な内容毎に、十分な検証能力を有する者によって実施されているか。

エ チェックの方法が適切に選択されているか。

③ システム開発後のチェック・管理

ア 仕組開発部門及び事務設計部門は、新しい商品や仕組みの導入後においても、必要に応じてサンプルチェック等を実施しているか。

イ 新しい商品や仕組みの導入に当たり、システム開発の一部について実施時期を先延ばしした場合、その後のシステム開発における管理主体を明確にした上で、仕組開発部門、事務設計部門及びシステム部門で連携してスケジュールを適切に管理しているか。

(6) 外部委託管理

システムに係る外部委託業務について、委託先からの監査報告等により、リスク管理が適切に行われているか。

(7) データ管理態勢

① データについて機密性等の確保のためデータ管理者を置いているか。

② データ保護、データ不正使用防止、不正プログラム防止策等について、適切かつ十分な管理態勢を整備しているか。

(8) コンティンジェンシープラン(緊急事態が発生した場合の対応手順)

① コンティンジェンシープランが策定され、緊急時体制が構築されているか。

② コンティンジェンシープランの策定に当たっては、その内容について客観的な水準が判断しうるものを根拠としているか。

(9) システム統合リスク

① 組合の役職員は、システム統合に係るリスクについて十分認識し、そのリスク管理態勢を整備しているか。

② テスト体制を整備しているか。また、テスト計画は、客観的な基準が判断できるものを踏まえた、システム統合に伴う開発内容に適合したものとなっているか。

③ 業務を外部委託する場合であっても、委託者自らが主体的に関与する体制を構築しているか。

④ システム統合に係る重要事項の判断に際して、システム監査人による監査等の第三者機関による評価を活用しているか。

⑤ 不測の事態へ対応するため、コンティンジェンシープラン等を整備しているか。

(10) 障害発生時の対応

① 利用者に対し、無用の混乱を生じさせないよう適切な措置を講じているか。

② 障害が発生した場合、組合において速やかに障害原因、復旧見込等の公表を行っているか。

Ⅱ―3―12―3 監督手法・対応

(1) 問題認識時

検査結果等により、システムリスクに係る管理態勢に問題があると認められる場合には、必要に応じ生協法第93条の3に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、生協法第94条の2に基づき業務改善命令又は生協法第95条に基づき必要措置を採るべき旨の命令を発出するものとする。

(2) システム統合時

① 組合が経営再編に伴いシステム統合等を公表したとき、又はシステム統合等を公表した場合には、システム統合に向けたスケジュール等及びその進捗状況について、必要に応じて生協法第93条の3に基づく報告等により把握を行うものとする。

② 組合が、合併等の経営再編に伴いシステム統合等を行う場合にあっては、当該合併等の認可において、システム統合等を円滑に実施するための具体的な計画、システム統合リスクに係る内部管理体制(内部監査を含む)、その他の事項について資料の提出を求めるとともに、合併等の認可後から当該システム統合完了までの間、必要に応じ、生協法第93条の3に基づく報告を定期的に求めるものとする。

(3) 障害発生時

① コンピュータ・システムの障害の発生を認識次第、直ちに、その事実を行政庁あて報告を求めるとともに、「障害等発生報告書」(様式編 その他報告等様式参照。)にて行政庁あて報告を求めるものとする。また、復旧時、原因解明時には改めてその旨報告を求めることとする。ただし、復旧原因の解明がされていない場合でも1月以内に現状について行うこととする。

(注) 報告すべきシステム障害等

その原因の如何を問わず、組合が現に使用しているシステム・機器(ハードウェア、ソフトウェア共)に発生した障害であって、

・ 共済金等の支払いに遅延、停止等が生じているもの又はそのおそれがあるもの

・ 資金繰り、財務状況把握等に影響があるもの又はそのおそれがあるもの

・ その他業務上、上記に類すると考えられるものをいう。ただし、一部のシステム・機器にこれらの影響が生じても他のシステム・機器が速やかに交替することで実質的にはこれらの影響が生じない場合を除く。

なお、障害が発生していない場合であっても、サイバー攻撃の予告がなされ又はサイバー攻撃が検知される等により、上記のような障害が発生する可能性が高いと認められる時は、報告を要するものとする。

② 必要に応じて生協法第93条の3に基づき追加の報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、生協法第94条の2に基づき業務改善命令又は生協法第95条に基づき必要措置を採るべき旨の命令を発出するものとする。

Ⅱ―3―13 危機管理体制

Ⅱ―3―13―1 意義

近年、組合が抱えるリスクは多様化・複雑化しており、情報化の進展など組合を取り巻く経営環境の変化も相俟って、通常のリスク管理だけでは対処できないような危機が発生する可能性は否定できず、危機管理の重要性が高まっている。安全・安心や多様なリスク管理のニーズに応える役割を担う組合においては、危機発生時における初期対応や情報発信等の対応が極めて重要であることから、平時より業務継続体制を構築し、危機管理マニュアル及び業務継続計画の策定等を行っておくことが必要である。

なお、風評リスク等に係る危機管理については、組合の資金繰りや社会に対して特に大きな影響を与える可能性があることから、別途監督上の留意点を定めることとする。

(注) 「危機」とは、例えば、(i)そのまま放置すると回復困難になりかねないほど、財務内容が悪化するような事態、(ii)風評等により共済契約の解約が急増する等により、対応が困難なほど流動性に問題が生じるような事態、(iii)システムトラブルや不祥事件等により信用を著しく失いかねないような事態、のほか、(iv)大規模自然災害や大規模テロなどの災害・事故等により損害を被り、業務の継続的遂行が困難となるような事態などをいう。

Ⅱ―3―13―2 平時における対応

(1) 対応

危機管理は平時における未然防止に向けた取組みが重要との認識の下、早期警戒制度等のオフサイト・モニタリングや不祥事件等届出書のヒアリングを行う中で、又は組合に関する苦情・情報提供等を受けた場合などにおいて、組合における危機管理体制に重大な問題がないか検証する。また、業務継続計画についても、ヒアリングを通じて、その適切性を検証する。その際、特に以下の点に留意する。

(2) 主な着眼点

① 何が危機であるかを認識し、可能な限りその回避に努める(不可避なものは予防策を講じる)よう、平時より、定期的な点検・訓練を行うなど未然防止に向けた取組みに努めているか。

② 危機管理マニュアルを策定しているか。また、危機管理マニュアルは、自らの業務の実態やリスク管理の状況等に応じ、不断の見直しが行われているか。なお、危機管理マニュアルの策定に当たっては、客観的な水準が判定されるものを根拠として設計されていることが望ましい。

(参考) 想定される危機の事例

・ 自然災害(地震、風水害、異常気象、伝染病等)

・ テロ・戦争

・ 事故(大規模停電、コンピュータ事故等)

・ 風評(口コミ、インターネット、電子メール、憶測記事等)

・ 対企業犯罪(脅迫、反社会的勢力の介入、データ盗難、役職員の誘拐等)

・ 事業上のトラブル(苦情・相談対応、データ入力ミス等)

・ 人事上のトラブル(役職員の事故・犯罪、内紛、セクシャルハラスメント等)

・ 労務上のトラブル(内部告発、過労死、職業病、人材流出等)

③ 危機管理マニュアルには、危機発生の初期段階における的確な状況把握や客観的な状況判断を行うことの重要性や情報発信の重要性など、初期対応の重要性が盛り込まれているか。

④ 危機発生時における責任体制が明確化され、危機発生時の組織内及び関係者(関係行政庁を含む)への連絡体制等が整備されているか。危機発生時の体制整備は、危機のレベル・類型に応じて、組織全体を統括する対策本部の下、部門別等の事業拠点別に想定していることが望ましい。

⑤ 業務継続計画においては、テロや大規模な災害等の事態においても早期に被害の復旧を図り、共済契約者等の保護上、必要最低限の業務の継続が可能となっているか。

例えば、

ア 災害等に備えたコンピューターシステム、利用者データ等の安全対策(紙情報の電子化、電子化されたデータファイルやプログラムのバックアップ等)は講じられているか。

イ これらのバックアップ体制は、地理的集中を避けているか。

ウ 共済契約に基づく共済金等の適切な支払など共済契約者等の保護の観点から重要な業務を、暫定的な手段(バックアップデータに基づく手作業等)で対応する準備が整っているか。

エ 業務継続計画の策定及び重要な見直しを行うに当たっては、理事会による承認を受けているか。また、業務継続体制が、内部監査、外部監査など独立した主体による検証を受けているか。

⑥ 大規模自然災害等の危機発生時において、共済金支払業務を継続・復旧させていくべき機能と明確に位置付けた上で、日頃から、災害発生時に支払業務の継続・復旧が図られるような体制が整備されているか。また、共済契約者等に対して、共済金等の支払い等について便宜措置(「Ⅲ―1―3災害における金融に関する措置」参照)が図られるような体制が整備されているか。

⑦ 日頃からきめ細かな情報発信及び情報の収集に努めているか。また、危機発生時においては、危機のレベル・類型に応じて、情報発信体制・収集体制が十分なものとなっているか。

Ⅱ―3―13―3 危機発生時における対応

(1) 危機的状況の発生又はその可能性が認められる場合には、事態が沈静化するまでの間、当該組合における危機対応の状況(危機管理体制の整備状況、関係者への連絡状況、情報発信の状況等)が危機のレベル・類型に応じて十分なものになっているかについて、定期的にヒアリング又は現地の状況等を確認するなど実態把握に努めるとともに、必要に応じ、生協法第93条の3に基づき報告徴求することとする。

(2) 上記(1)の場合には、速やかに行政庁に報告するなど、関係部局間における連携を密接に行うものとする。

Ⅱ―3―13―4 事態の沈静化後における対応

組合における危機的状況が沈静化した後、危機発生時の対応状況を検証する必要があると認められる場合には、当該組合に対して、生協法第93条の3に基づき、事案の概要と組合の対応状況、発生原因分析及び再発防止に向けた取組みについて報告徴求することとする。

Ⅱ―3―13―5 風評に関する危機管理体制

(1) 風評リスクへの対応に係る体制が整備されているか。また、風評発生時における組合本部の各部門及び事務所等の対応方法に関する規定を設けているか。なお、他の金融機関や取引先等に関する風評が発生した場合の対応方法についても、検討しておくことが望ましい。

(2) 風評が伝達される媒体(例えば、インターネット、憶測記事等)に応じて、定期的に風評のチェックを行っているか。

(3) 風評が共済契約の解約に結びついた場合の対応方法について、事務所等の状況把握、利用者対応、対外説明等、初動対応に関する規定を設けているか。

(4) 上記(3)のような状況になった場合、行政庁、提携先、警備会社等へ、速やかに連絡を行う体制になっているか。

Ⅱ―4 その他

Ⅱ―4―1 組合の共済事業に係る事務の外部委託

(1) 意義

組合が事務の外部委託を行うに際しては、利用者を保護し経営の健全性を確保するため、以下の点に留意する必要がある。なお、以下に示す観点は、あくまで一般的な着眼点であり、委託事務の内容等に応じ、追加的に検証を必要とする場合がある点に留意する。

(注1) 上記における事務の外部委託とは、組合が、その業務を営むために必要な事務の一部又は全部を、当該組合以外の者(共済代理店を除く。)に委託することをいう。

(注2) 当該外部委託が、組合と子会社等(生協法第53条の2第2項に規定する子会社等をいう。)との間で行われる場合には、Ⅲ―2―1も参照のこと。

(2) 主な着眼点

① 利用者保護の観点から以下の態勢整備(委託契約等において外部委託先に対して態勢整備を求めることを含む。)が図られているか。

ア 委託契約によっても当該組合と利用者との間の権利義務関係に変更がなく、利用者に対しては、当該組合自身が事務を行ったのと同様の権利が確保されていることが明らかか。

イ 委託事務に関して契約どおりサービスの提供が受けられないときに、組合において利用者利便に支障が生じることを未然に防止するための態勢整備が行われているか。

ウ 損害調査を委託する場合に、外部委託先において、利用者保護、利用者利便の視点に立った適切な損害調査が行われるような態勢が整備されているか。

特に、損害調査に際しては、関係当事者及び第三者の名誉、信用、プライバシー等の権利が不当に損なわれることのないような態勢が整備されているか。

エ 委託先における目的外使用の禁止も含めて利用者情報管理が整備されており、委託先に守秘義務が課せられているか。

オ 個人利用者に関する情報の取扱いを委託する場合には、その委託先の監督について、当該情報の漏えい、滅失又はき損の防止を図るために必要かつ適切な措置が講じられているか。

カ 苦情等について利用者から組合への直接の連絡体制を設けるなど適切な苦情相談態勢が整備されているか。

② 組合は、以下に示す点など、その経営の健全性の確保の観点から総合的な検証を行い、必要な態勢整備(委託契約等において外部委託先に対して態勢整備を求めることを含む。)を図っているか。

ア リスク管理

組合は、当該委託契約に沿ってサービスの提供を受けなかった場合の組合の業務への影響等外部委託に係るリスクを総合的に検証し、リスクが顕在化した場合の対応策等を検討しているか。

イ 委託先の選定

組合の経営の合理性の観点からみて十分なレベルのサービスの提供を行いうるか、契約に沿ったサービス提供や損害等負担が確保できる財務・経営内容か、組合の評価等の観点から問題ないか等の観点から、委託先の選定を行っているか。

ウ 契約内容

契約内容は、委託事務の内容等に応じ、例えば以下の項目について明確に示されるなど十分な内容となっているか。

(ア) 委託先において提供されるサービスの内容及びレベル並びに委託契約の解約等の手続

(イ) 委託契約に沿ってサービスが提供されない場合における委託先の責任及び委託事務の遂行に関連して損害が発生した場合における負担の関係(必要に応じて、担保提供等による損害負担の履行確保等を含む。)

(ウ) 組合が、当該委託事務及び委託先の経営状況に関して委託先より受ける報告の内容

(エ) 行政庁の組合に対する検査・監督上の要請に沿って、委託先が対応を行う際の取決め

エ 組合に課せられた法令上の義務等

当該委託事務を組合自身が行った場合に課せられる法令上の義務等の履行に支障が生じる外部委託となっていないか。

オ 組合側の管理態勢

委託事務に関する管理者の設置、モニタリング、検証態勢(委託契約において、組合が委託先に対して事務処理の適切性に係る検証を行うことができる旨の規定を盛り込む等の対応を含む。)等の内部管理態勢が整備されているか。

カ 情報提供

委託事務の履行状況等に関し委託先から組合への定期的な報告に加え、必要に応じ適切な情報が迅速に得られる態勢となっているか。

キ 監査

組合において、外部委託事務についても監査の対象となっているか。

ク 緊急対応

委託契約に沿ったサービスの提供が行われない場合にも、組合の業務に大きな支障が生じないよう対応が検討されているか。また、利用者に対して委託先に代わりサービス提供が可能な態勢等が整備されているか。

ケ 子会社等への外部委託

委託契約が組合と子会社等との間において締結される場合に、契約の内容が実質的に委託先への支援となっていないか。

Ⅱ―4―2 CSRについての情報開示等

Ⅱ―4―2―1 意義

(1) CSR(企業の社会的責任)は、一般的に、企業が多様なステークホルダーとの関係の中で認識する経済・環境・社会面の責任と、それに基づく取組と解されており、それを通じて企業の持続可能性を高めることにその意義があると考えられている。

(2) 組合は、メンバーシップによる相互扶助の精神に基づき事業運営が行われているが、組合として多様なステークホルダーに対する社会的影響力があるため、組合にあってもCSRについて情報開示を行う意義がある。

(3) 組合のCSRについては、その取組はもとより、情報開示についても、本来、組合が自己責任原則に則った経営判断に基づき行うものであり、その評価も市場規律の下、利用者を含む多様なステークホルダーに委ねられているものである。

(4) しかしながら、CSRについての情報開示が分かりやすい形で適時適切に行われることは、利用者が組合を選択する際、その組合及び提供されている共済商品・サービスの持続可能性等を判断する上での有用な情報を得やすくなることに繋がると考えられる。そのような観点から、組合がCSRについての情報開示を行う場合の着眼点を明らかにし、最低限の枠組みを示すことで、利用者にとって有益かつ適切な情報開示を促すこととする。

Ⅱ―4―2―2 主な着眼点

組合のCSRについて、利用者を含む多様なステークホルダーが適切に評価でき、組合の利用者の利便性の向上に資するよう、以下のような点から適切な情報開示がなされているか。

(1) 目的適合性

CSR報告が、経済・環境・社会の各分野にわたる包括的なものであり、記述内容についても網羅的かつ社会的背景等を反映しているなど、利用者を含む多様なステークホルダーのニーズに的確に対応するという目的に適合したものとなっているか。また、適切なタイミングで効果的な開示がなされているか。

(2) 信頼性

CSR報告が、透明性が高いプロセスを通じて作成され、データや情報が正確かつ中立的で検証可能なものとなっているなど、多くのステークホルダーに受け入れられる信頼性の高いものとなっているか。

(3) 分かりやすさ

CSR報告が、利用者を含む多様なステークホルダーに理解されるよう、可能な限り分かりやすいものとなっているか。また、内容の一貫性が維持されるなど、当該組合の過去の報告との比較可能性に十分留意したものとなっているか。

Ⅱ―4―2―3 監督手法・対応

組合によるCSRを重視した取組やその情報開示は、組合が自己責任原則に則った経営判断に基づき任意に行うものであり、上記着眼点を踏まえた報告がなされていない場合においても、監督上の措置を講ずることはない。

ただし、利用者の誤解を招きかねないような、不正確かつ不適切な情報開示を行っている場合については、業務の適切性の観点から検証することとする。

Ⅲ 組合の監督に係る事務処理上の留意点

Ⅲ―1 監督事務の流れ

Ⅲ―1―1 オフサイト・モニタリングの主な留意点

(1) 財務会計情報・リスク情報等の蓄積・分析

組合に対し継続的に財務会計情報や市場リスク、流動性リスク等のリスク情報等について報告を求め、組合の経営の健全性等の状況を常時把握する。また、徴求した各種情報の蓄積及び分析を行い、経営の健全性の確保に向けた取組みを促すものとする。

(2) 定期的なヒアリング

オフサイト・モニタリングの一環として、定期的に以下のヒアリングを実施することとする。

① 決算ヒアリング

決算期毎に、決算の状況や財務上の課題についてヒアリングを実施することとする。

② 総合的なヒアリング

組合の決算状況等を踏まえ、収益管理態勢の整備や業務再構築に向けた取組み状況、経営管理の状況等についてヒアリングを実施することとする。

③ 共済計理人ヒアリング

毎決算期において、共済計理人に対して生協法第50条の12に基づく意見書に関するヒアリングを実施し、責任準備金の積立や契約者割戻しに関する意見を聴取することとする。

④ 内部監査ヒアリング等

内部監査の機能発揮状況等を把握する観点から、必要に応じ、組合の内部監査部門に対し経営管理の状況等についてヒアリングを実施することとする。また、特に必要があると認められる場合には、組合の監事に対してもヒアリングを実施することとする。

⑤ 上半期末における財務内容ヒアリング

組合は法令上中間業務報告が義務付けられていないが、必要に応じ、組合が自ら実施する上半期の状況等をヒアリングすることにより、上半期末における財務内容を把握するとともに、収益管理態勢の向上に向けた取組等を促すこととする。

Ⅲ―1―2 検査担当者との連携

検査担当者との連携を以下のとおり行うものとする。

Ⅲ―1―2―1 検査着手前

検査着手に当たって監督担当者は、検査担当者に対し組合の現状等(注)についての説明を行うものとする。

(注) 組合の現状等

組合の現状等についての説明に当たっては、以下の事項の説明を行うものとする。

(1) 前回検査から当該時点までの当該組合の主な動き(他法人との連携、増資、役員の交替等)

(2) 直近決算の分析結果

(3) リスク情報等に係るオフサイト・モニタリングに関する分析結果

(4) 総合的なヒアリングの結果

(5) 監督上の措置(報告徴求、行政処分等)の発動及びフォローアップの状況

(6) 監督担当者として検査で重視すべきと考える点

(7) その他

Ⅲ―1―2―2 検査担当者による検査結果通知後

(1) 検査結果通知書において指摘された事項についての事実認識、発生原因分析、改善策、その他をとりまとめた報告書を検査担当者が求めることとなるが、監督担当者としても報告書が提出された段階で、組合から十分なヒアリングを行うこととする。ヒアリングに当たっては、検査担当者とも緊密な連携を図るものとし、立入りを行った検査担当者等の出席を原則として確保するものとする。

(2) 検査結果及び上記報告書の内容等により、法令等遵守態勢又はリスク管理態勢の改善に一定の期間を要すると認められる場合には、生協法第93条の3に基づき次回検査までの間定期的に報告を求めるものとする。

また、正当な理由がないにもかかわらず当該組合の自己査定と検査結果の格差が是正されない場合など、自主的な改善努力に委ねたのでは当該組合の法令等遵守態勢やリスク管理態勢の整備に支障を来すと認められる場合には、生協法第94条の2に基づき業務改善命令又は生協法第95条に基づき必要措置を採るべき旨の命令を発出するものとする。

Ⅲ―1―2―3 検査担当者と監督担当者の連携

監督担当者と検査担当者との間の適切な連携を図るため、必要に応じて適宜意見交換等を行うこととする。

Ⅲ―1―3 災害における金融に関する措置

Ⅲ―1―3―1 災害地に対する金融上の措置

政府は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)によりその目的を達成するために必要な金融上の措置等を講じなければならないこととされている(同法第9条第1項)。こうしたことから、災害発生の際は、現地における災害の実情、資金の需要状況等に応じ、関係機関と緊密な連絡を取りつつ、組合に対し、機を逸せず必要と認められる範囲内で、以下に掲げる措置を適切に運用するものとする。

(1) 共済金の支払、共済掛金の払込猶予等に関する措置

① 組合において、共済証書等を焼失又は流失した共済契約者については、り災証明書の呈示その他実情に即した簡易な確認方法をもって災害被災者の共済金の支払、共済事業規約に基づく貸付け等(以下「共済金の支払等」という。)の利便を図ることを要請する。

② 共済金の支払等については、できる限り迅速に行うよう配慮するとともに、共済掛金の払込みについては、共済契約者のり災の状況に応じて猶予期間の延長を行う等適宜の措置を講ずることを要請する。

(2) 業務停止等における対応に関する措置

組合において、共済事業に関する業務停止等(以下「業務停止等」という。)の措置を講じた場合、業務停止等を行う店舗名等を、ポスターの店頭掲示等の手段を用いて告示するとともに、その旨を新聞やインターネットのホームページに掲載し、取引者に周知徹底するよう要請する。

Ⅲ―1―3―2 東海地震の地震防災対策強化地域内外における金融上の諸措置

大規模地震対策特別措置法(昭和53年法律第73号)により地震防災対策強化地域の指定が行われると、指定行政機関は、事前に地震災害及び2次災害の発生を防止し災害の拡大を防ぐための措置を定めなければならないこととされている。

しかし、金融機関業務の事務処理の機械化とその無人サービス網の普及等により、地域的に分断して対応することが困難であることから、東海地震への対応については、現地における資金の需要状況等に応じ、関係機関と緊密な連絡を取りつつ、組合に対し、以下に掲げる措置を適切に運用するものとする。

(1) 東海地震の地震防災対策強化地域内に事務所等を置く組合の警戒宣言時の対応について

① 業務時間中に警戒宣言が発せられた場合には、組合において、共済事業に関する業務を停止するとともに、業務停止等の措置を講じた旨を取引者に周知徹底するよう要請する。

② 業務停止等を取引者に周知徹底させる方法として、組合において、業務停止等を行う店舗名等のポスターの店頭掲示、新聞やインターネットのホームページへの掲載等を要請する。

③ 休日、開店前又は閉店後に警戒宣言が発せられた場合には、発災後の共済事業の円滑な遂行の確保を期するため、組合において共済事業に係る業務の開始又は再開は行わないよう要請する。

④ その他

ア 警戒宣言が解除された場合には、組合において、可及的速やかに平常の業務を行うよう要請する。

イ 発災後の組合の応急措置については、「Ⅲ―1―3―1災害地に対する金融上の措置」に基づき、適時、的確な措置を講ずることを要請する。

(2) 当該強化地域外に事務所等を置く組合の警戒宣言時の対応について

組合において、地震防災対策強化地域内の事務所等が業務停止等の措置をとった場合であっても、当該業務停止等の措置をとった当該強化地域外の事務所等においては平常どおり業務を行うよう要請する。

Ⅲ―1―3―3 行政庁報告

以上のような共済事業上の諸措置をとったときは、遅滞なく行政庁に報告するものとする。

Ⅲ―1―4 事業の休廃止等の場合の措置

組合は、その共済事業の全部又は一部を休止若しくは廃止しようとするとき又は解散しようとするときは、あらかじめ、その理由及び当該共済事業の休止若しくは廃止又は組合の解散に伴う共済契約の処理方針を明らかにした書面をもつてその旨を行政庁に届け出ることを求め、届出を受けた行政庁は、当該組合に対して、今後の方針についてヒアリングを行うものとする。

Ⅲ―1―5 組合に関する苦情・情報提供等

Ⅲ―1―5―1 相談・苦情等を受けた場合の対応

(1) 組合に関する相談・苦情等を受けた場合には、申出人に対し、行政庁は個別取引に関してあっせん等を行う立場にないことを説明する。

その上で、必要に応じ、組合及び共済関係団体の相談窓口を紹介するものとする。

また、寄せられた相談・苦情等のうち、申出人が組合側への情報提供について承諾している場合には、原則として、当該組合側への情報提供を行うこととする。

(2) 組合に対する監督上、参考になると考えられるものについては、その内容を記録するものとする。

Ⅲ―1―6 法令解釈等の照会を受けた場合の対応

Ⅲ―1―6―1 照会を受ける内容の範囲

生協法等その執行権限を有する法令に関するものとする。なお、照会が権限外の法令等に係るものであった場合には、コメント等は厳に慎むものとする。

Ⅲ―1―6―2 照会に対する回答方法

(1) 本監督指針等の既存資料により回答可能なものについては、適宜回答する。

(2) 行政庁は、生協法等その執行権限を有する法令に関し、当該法令の直接の適用を受ける組合等その他団体(注)から、次の①及び②の項目で定める要件を満たす一般的な照会であって、書面による回答及び公表を行うことが法令適用の検討・照会に際しての判断能力の向上等の観点から適切と認められるものについては、これに対する回答を書面により行い、その内容を公表することとする。

(注) その他団体とは、生協法等その執行権限を有する法令の直接の適用を受ける、業種等を同じくする事業者が、共通の利益を増進することを主たる目的として、相当数結合した団体又はその連合体(当該団体に連合会等の上部団体がある場合には、原則として、最も上部の団体に限る。)をいう。

① 本手続きの対象となる照会の範囲

本手続きの対象となる照会は、以下の要件の全てを満たすものとする。

ア 特定の事業者の個別の取引等に係るものではない一般的な法令解釈に係るものであること(Ⅲ―1―6―3の法令適用事前確認手続(以下「ノーアクションレター制度」という。)の利用が可能でないこと)

イ 事実関係の認定を伴う照会でないこと

ウ 組合においては、照会内容が、組合に共通する取引等に係る照会であって、他の組合からの照会が予想される事項であること

エ 過去に公表された通知等により明らかになっているものでないこと

② 照会書面(電子的方法によるものも含む。)

本手続きの利用を希望する照会者からは、以下の内容が記載された照会書面の提出を受けるものとする。また、照会書面のほかに、照会内容及び上記①に記載した事項を判断するために、記載事項や資料の追加を要する場合には、照会者に対して照会書面の補正及び追加資料の提出を求めることとする。

ア 照会の対象となる法令の条項及び具体的な論点

イ 照会に関する照会者の見解及び根拠

ウ 照会及び回答内容が公表されることに関する同意

③ 照会窓口

照会組合を所管する行政庁とする。

④ 回答

ア 行政庁は、照会者からの照会書面が照会窓口に到達してから原則として2ヶ月以内に、照会者に対して回答を行うよう努めることとし、2ヶ月以内に回答できない場合には、照会者に対してその理由を説明するとともに、回答時期の目途を伝えることとする。

イ 回答書面には、以下の内容を付記することとする。「本回答は、照会対象法令を所管する立場から、照会書面に記載された情報のみを前提に、照会対象法令に関し、現時点における一般的な見解を示すものであり、個別具体的な事例への適用を判断するものではなく、また、もとより捜査機関の判断や司法判断を拘束しうるものではない。」

ウ 本手続きによる回答を行わない場合には、行政庁は、照会者に対し、その旨及び理由を説明することとする。

⑤ 公表

上記④の回答を行った場合には、行政庁は、速やかに照会及び回答内容をホームページ上に掲載して、公表することとする。

(3) (2)に該当するもの以外のもので照会頻度が高いものなどについては、必要に応じ応接箋を作成した上で、関係部局に回覧し、担当課の各担当係に保存するものとする。

(4) 照会者が照会事項に関し、行政庁からの書面による回答を希望する場合であって、Ⅲ―1―6―3(3)に照らしノーアクションレター制度の利用が可能な場合には、照会者に対し、ノーアクションレター制度を利用するよう伝えることとする。

Ⅲ―1―6―3 法令適用事前確認手続(ノーアクションレター制度)

ノーアクションレター制度とは、民間企業等が実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して、当該行為が特定の法令の規定の適用対象となるかどうかを、あらかじめ当該規定を所管する行政機関に確認し、その機関が回答を行うとともに、当該回答を公表する制度であり、厚生労働省では、厚生労働省における法令適用事前確認手続に関する訓令(平成14年3月28日厚生労働省訓第29号)を定めている。本項は、ノーアクションレター制度における事務手続を規定するものである。

(1) 照会窓口

照会窓口は、照会案件に係る法令を所管する行政庁とする。

(2) 照会書面受領後の流れ

照会書面を受領後は、回答を行う事案か否か、特に、以下の①ないし③について確認し、当制度の利用ができない照会の場合には、照会者に対しその旨を連絡する。また、照会書面の補正及び追加書面の提出等が必要な場合には、照会者に対し所要の対応を求めることができる。ただし、追加書面は必要最小限とし、照会者の過度な負担とならないよう努めることとする。

① 照会の対象

民間企業等が、新規の事業や取引を具体的に計画している場合において、行政庁が本手続の対象としてホームページに掲げた所管の法律及びこれに基づく政省令等(以下「対象法令(条項)」という。)に関し、以下のような照会を行うものとする。

ア その事業や取引を行うことが、法令に基づく認可等を受ける必要があるかどうか。

イ その事業や取引を行うことが、法令に基づく届出等の必要があるかどうか。

ウ その事業や取引を行うことによって、法令に基づく不利益処分の適用の可能性があるかどうか。

エ その事業や取引を行うことに関し、直接に義務を課され又は権利を制限されることがないかどうか。

② 照会者の範囲

照会者は、実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して、対象法令(条項)の適用に係る照会を行う者及び当該者から依頼を受けた弁護士等であって、下記③の記載要領を満たした照会書面を提出し、かつ、照会内容及び回答内容が公表されることに同意しているか。

③ 照会書面の記載要領

照会書面(電子的方法を含む。)は、下記の要件を満たしているものか。

ア 将来自らが行おうとする行為に係る個別具体的な事実が記載されていること。

イ 対象法令(条項)のうち、適用対象となるかどうかを確認したい法令の条項が特定されていること。

ウ 照会及び回答内容が公表されることに同意していることが記載されていること。

エ 上記イにおいて特定した法令の条項の適用に関する照会者の見解及びその根拠が明確に記述されていること。

④ 回答及び公表

ア 回答

照会を受けた課の長は、照会者からの照会書面が照会窓口に到達してから原則として30日以内に照会者に対する回答を行うものとする。ただし、次に掲げる場合には、照会者又はその代理人に対して、遅延なく、その理由及び回答時期の見通しを書面により通知するものとする。

(ア) 慎重な判断を要する場合

(イ) 事務処理能力を超える多数の照会がある等正当な理由がある場合。また、照会書面の記載について補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、回答期間に含まれないものとする。

イ 公表

行政庁は、照会及び回答の内容を、原則として回答を行ってから30日以内に全てホームページに掲載して公表する。ただし、照会者が、照会書に、公表の延期を希望する旨及びその理由並びに公表を希望する時期を付記している場合であって、その理由が合理的であると認められる等の場合には、回答から30日を超えて公開することができる。また、照会及び回答の内容のうち、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)に定める不開示事由に該当しうる情報が含まれている場合、必要に応じ、これを除いて公表することができる。

Ⅲ―2 生協法等に係る事務処理

Ⅲ―2―1 子会社等

組合の子会社(生協法第28条第5項に規定する子会社(同項の規定により子会社とみなされる会社を含む。)をいう。以下同じ。)、子法人等(規則第210条第2項に規定する子法人等(子会社を除く。)をいう。以下同じ。)及び関連法人等(同条第3項に規定する関連法人等をいう。以下同じ。)(以下「子会社等」という。)の業務範囲等については、以下のとおりとする。

(注1) 組合又はその子会社が、国内の会社(当該組合の子会社を除く。)の株式等について、合算して、その基準議決権数(生協法第53条の17第1項又は第53条の19第1項に規定する基準議決権数をいう。以下同じ。)を超えて所有している場合の当該国内の会社(以下「特定出資会社」という。)が営むことができる業務は、共済事業兼業組合(生協法第53条の16第1項に規定する共済事業兼業組合をいう。以下同じ。)にあっては生協法第53条の16第1項第1号又は第2号、共済事業専業組合(生協法第53条の18第1項に規定する共済事業専業組合をいう。以下同じ。)にあっては、生協法第53条の18第1項第1号イ又はロに規定する業務を専ら営む会社及び同項第2号に掲げる会社が行うことができる業務の範囲内であり、かつ、規則、消費生活協同組合法施行規程(平成20年3月厚生労働省告示第319号。以下「告示」という。)及び本指針に関する規準等を満たす必要があることに留意する。

(注2) 子法人等及び関連法人等の判定に当たり、当該組合が、規則及び日本公認会計士協会監査委員会報告第60号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の取扱い」(平成10年12月8日付け)その他の一般に公正妥当と認められる会計の基準に従っているかにも留意する。

(注3) 生協法第53条の16、生協法第53条の17、生協法第53条の18及び生協法第53条の19に規定する「会社」には、特別目的会社(例えば、資産の流動化、自己資本の調達を目的とするもの等)、組合、証券投資法人、パートナーシップ、LLCその他の会社に準ずる事業体(以下「会社に準ずる事業体」という。)を含まないが、会社に準ずる事業体を通じて子会社等の業務範囲規制、他業禁止の趣旨が潜脱されていないかに留意する。

Ⅲ―2―1―1 子会社等の業務の範囲

子会社等の業務の範囲については、以下の点に留意するものとする。

(1) 組合の子会社が営む従属業務(生協法第53条の16第1項第1号又は生協法第53条の18第1項第1号イに規定する従属業務をいう。)については、Ⅱ―4―1等に沿って適切な対応を行っているか。

(注) 従属業務を営む組合の子法人等又は関連法人等についても、告示第18条又は第21条に定める基準を満たす必要があることに留意する。なお、この場合において、「収入の額」は、告示と同様であることに留意する。

(2) 共済事業兼業組合の子会社が営む付随・関連業務(生協法第53条の16第1項第2号に規定する業務をいう。)、共済事業専業組合の子会社が営む関連業務(生協法第53条の18第1項第1号ロに規定する業務をいう。)については、以下の範囲となっているか。

① 健康・福祉関連業務

健康関連業務は、例えば、屋内運動設備等の施設を備え、専門指導員、医療専門者等を配置し、当該施設利用者に対し健康の維持・向上に寄与する業務がある。福祉関連業務は、例えば、有料老人ホーム、老人ホーム入居者に対する給食業務等、高齢者福祉関連施設の運営・管理、リハビリテーション機関(アスレチッククラブを含む。)の運営・管理、介護機器の開発、コンサルティング、取次ぎ及び介護者の研修に関する業務、在宅サービスに関する業務、健康・福祉に関する調査・研究がある。

② コンピューターソフトの販売

ソフトは主に(おおむね5割以上)当該組合の業務及び企業の財務、年金事務等に関連したものとなっているか。当該組合の業務と著しく乖離したソフトの販売が行われていないか(親組合が自己のために開発したソフトを他の事業者に提供すること(ソフトの一部の加工を含む。)は差し支えない。)。

③ あっせん・紹介業務

あっせん又は紹介の業務の範囲が共済事業と関連のない業務となっていないか。あっせん・紹介の業務の範囲としては、例えば、主として自動車共済の共済契約者等を対象として行う自動車修理業者等のあっせん・紹介・手配、主として共済契約者等を対象として行う医療機関等のあっせん・紹介・手配がある。

④ リース業務

不動産を対象としたリース契約に当たっては、融資と同様の形態(いわゆるファイナンスリース)に限ることとし、一般向け不動産業務等の子会社対象会社が営むことができる業務以外の業務を行っていないか。

⑤ 投資顧問業務

業務の特殊性、投資家保護の観点から、投資助言の範囲は、不動産、骨董品等は対象とせず、有価証券、金融商品としているか。

(3) 組合の特定子法人等(特定出資会社でない子法人等をいう。以下同じ。)及び特定関連法人等(特定出資会社でない関連法人等をいう。以下同じ。)については、以下のとおりとなっているか。ただし、会社に準ずる事業体については、この限りでない。

① 組合の特定子法人等及び特定関連法人等の業務の範囲については、子会社対象会社(生協法第53条の16第1項及び生協法第53条の18第1項に規定する子会社対象会社をいう。以下同じ。)の営むことができる業務の範囲内であり、かつ、規則、告示及び本指針に定める子会社に関する基準等を満たしているか。

② 従属業務を専ら営む組合の特定子法人等又は特定関連法人等であって、主として当該組合の特定出資会社又は他の特定子法人等若しくは特定関連法人等(以下「従属先法人等」という。)の営む業務のためにその業務を営んでいるものについて、従属先法人等からの収入の額の総収入の額に占める割合が100分の50を上回っている場合には、上記①に反しないものとして取り扱って差し支えない。

Ⅲ―2―1―2 組合の貸付金等に係る担保不動産の保有・管理会社(いわゆる自己競落会社)の取扱い

いわゆる自己競落会社について、以下の点に留意した取扱いとなっているか。

(1) 当該会社の業務は、以下に限られているか。

① 組合が貸付金等の回収のために担保権を実行する必要がある場合(組合に係る担保不動産について第三者が競売の申立てを行う場合を含む。)に行う当該貸付金等に係る担保不動産の取得(競落による取得に限る。)

② 買取会社が買い取った不動産担保付債権の回収のために担保権を実行する必要がある場合(買取会社に係る担保不動産について第三者が競売の申立てを行う場合を含む。)に、出資組合(会社の親組合をいう。)が買取会社に譲渡した不動産担保付債権に係る担保不動産の取得(競落による取得に限る。)

③ 取得した不動産の保有・管理及び売却

(2) 競落対象物件は出資組合又は買取会社の貸付金等に係る担保不動産であり、当該不動産の競落により組合又は買取会社に配当が見込まれるか。

(注) 貸付金等には、組合が保証の履行により取得した求償権等の債権で当該不動産の被担保債権となっているもの及び買取会社の不動産担保付債権を含む。

(3) その他

① 会社は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)の規定により、同法第3条の免許を取得しているか。

② 会社は取得した不動産ごとに収支・損益の分別管理を行っているか。

③ 組合及び会社は、会社の財務の健全性が確保されるよう必要な措置を講じているか。

Ⅲ―2―1―3 組合の海外における子会社等の業務の範囲

(1) 組合の海外における子会社等の業務の範囲についても、国内の子会社等と同様の業務範囲の考え方を適用し、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を営むことのないよう留意する必要がある。

(注) 海外における貸出債権回収のために担保権を実行する必要がある場合で、現地市場の状況から担保資産の売却が極めて困難であり、かつ、現地法制上、他に適切な処理方法が存在しないときに、管理子会社を設立して担保流れ資産の保有・管理を行うことは、この限りではない。

また、保険業を行う外国の会社が行う業務については、現地監督当局が容認するものは、保険業法の趣旨を逸脱しない限り原則として容認する。

(2) 出資先外国法人として報告がなされたもの(当該出資先外国法人がその業務を行わせるために設立した会社及びこれらと同様の業務を営む会社を含む。)で、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を現に営む子法人等又は関連法人等については、Ⅲ―2―1―1(3)①に準じて取り扱う。

(注) 出資先外国法人とは、組合が海外の外国法人に経営支配又は経営参画の形態をもって出資するものをいう。

経営支配とは、組合が外国法人における議決権の過半数を実質的に所有(議決権のある株式又は出資の所有の名義が役員等組合以外の者となっていても、組合が自己の計算で所有している場合を含む。)している場合(組合及び当該外国法人が他の外国法人における議決権の過半数を実質的に所有する場合又は当該外国法人が他の外国法人における議決権の過半数を実質的に所有している場合を含む。)をいう。

経営参画とは、組合が外国法人における議決権の100分の50以下を実質的に所有し、かつ、人事、資金、取引等の関係を通じて外国法人の財務及び営業の方針に対し重要な影響を与えることができる場合をいう。なお、「重要な影響を与えることができる場合」とは、当該外国における議決権の過半数を実質的に所有している出資者が他にいる場合は原則として該当しない。

Ⅲ―2―2 弊害防止措置

規則第171条に掲げる書面には、適正な共済募集を確保する観点から、以下の内容についての記載が含まれる必要がある。

(1) 当該組合とその特定関係者に該当する保険会社とは別法人であること。

(2) 当該組合が引き受ける共済契約は、当該保険会社が引き受ける保険契約ではなく、また保険契約者保護制度の対象となるものではないこと。

(3) 当該組合は、その特定関係者に該当する保険会社の役職員に対して、組合が提供する共済商品の仕組み若しくは役務に関する評価、意見等を表明し、又はその共済商品の仕組み若しくは利点を強調すること等によって当該組合と共済契約者との間の契約の締結を補助させることはできないこと。

(4) 共済代理店において、組合との間で共済契約を締結することを条件として当該組合の特定関係者が当該共済契約に係る共済契約者又は被共済者に対して信用を供与し又は信用の供与を約していることを知りながら、当該共済契約者に対して当該共済契約の申込みをさせる行為は、規則第18条第3号により禁止されていること。

(5) 当該組合は、当該保険会社の顧客に関する非公開情報が当該組合が行う共済募集に利用されないことを確保するための措置を講じなければならない(当該非公開情報が共済契約の募集に利用されることにつき事前に当該顧客の書面による同意がある場合を除く。)とされていること。

Ⅲ―2―3 契約条件の変更

Ⅲ―2―3―1 契約条件の変更の申出

(1) 契約条件の変更の申出の承認

生協法第53条の4第3項に基づく契約条件の変更の申出の承認に当たっては、以下の点に留意することとする。

① 現時点では共済事業の継続が困難である状況にはないこと

② 将来の業務及び財産の状況を予測した場合に、契約条件の変更を行わなければ、当該組合の財産をもって債務を完済することができない等、共済事業の継続が困難となりうることが合理的に予測できること

なお、このうち、上記②の予測に当たっては、

ア.

(ア) 金利、株価、為替レート等、金融経済動向に関わる事項

(イ) 新契約進展率、共済契約継続率、共済事故発生率等、共済契約に関わる事項

(ウ) 資産配分等、運用に関わる事項

等について客観的かつ妥当な前提を置くこと

イ.合併、事業譲渡、事業費削減、業務の再編成等、共済事業の継続のために取りうる経営改善方策の効果を織り込むこととする。

(2) 申出書の記載内容

生協法第53条の4第1項の規定による申出を行おうとするときに添付する規則第214条に規定する書類のうち、同条第3号に規定する「その他参考となるべき事項を記載した書類」には、上記(1)②に示された方法により作成された将来の業務及び財産の状況の予測、並びに当該予測に織り込まれた経営改善方策の内容に係る事項を含むものとする。

Ⅲ―2―3―2 共済調査人の選任

生協法第53条の4第3項の承認をした場合には、契約条件の変更の内容その他の事項を調査させるため、原則として、速やかに共済調査人を選任することとする。

共済調査人は、原則として、①アクチュアリー(法人を含む。)、②公認会計士、③弁護士のそれぞれから選任することとする。

Ⅲ―2―3―3 組合の対応

組合が、契約条件の変更の手続を進める場合には、以下の点に留意して、適切な対応が取られているか。

(1) 経営改善の取組み

契約条件の変更に当たっては、契約条件の変更に至った経緯に加え、契約条件の変更後に共済契約の確実な履行が行えるよう、合併、事業譲渡、事業費削減、業務の再編成等を含め経営改善方策を幅広く検討し、その結果講じることとした方策及びそれを織り込んだ将来の業務及び財産の状況の予測について、総会(又は総代会)及び共済契約者に明確かつ平易に説明を行っているか。

(2) 出資金の取扱い

契約条件の変更の対象となる共済契約者のみに負担を強いることのないよう、出資金の削減、金利減免、あるいは増額その他の方策を検討し、その結果講じることとした方策について、総会(又は総代会)及び共済契約者に明確かつ平易に説明を行っているか。

(3) 経営責任に関する事項

契約条件の変更後における経営体制について、その理由を含め、総会(又は総代会)及び共済契約者に明確かつ平易に説明を行っているか。

(4) 契約者割戻し等に関する方針

契約条件の変更に係る共済契約に関する契約者割戻しその他の金銭の支払いに関する方針がある場合には、その内容について、総会(又は総代会)及び共済契約者に明確かつ平易に説明を行っているか。

Ⅲ―2―3―4 契約条件の変更に係る承認

(1) 契約条件の変更の承認

生協法第53条の13第1項に基づく契約条件の変更の承認に当たっては、以下の点に留意することとする。

① 総会(又は総代会)に係る手続が適正に実施されたか。

② Ⅲ―2―3―3で示したそれぞれの事項について、共済契約者に対して明確かつ平易に説明が行われることとなっているか。

③ 当該組合において、十分な経営改善方策が講じられ、当該方策及び総会(又は総代会)において議決された契約条件の変更により、共済事業の継続が困難となる蓋然性が解消される見込みとなっているか。

④ 契約条件の変更が、特定の共済契約者にとって著しく公平性を欠くことその他共済契約者等の保護の見地から問題がないか。

(2) 申出書の記載内容

生協法第53条の13第1項による承認を受けようとするときに添付する規則第218条に規定する書類のうち、同条第5号に規定する「その他参考となるべき事項を記載した書類」には、契約条件の変更と併せて講じられる経営改善方策の内容に係る事項を含むものとする。

Ⅲ―2―4 議決権の取得制限

(1) 組合の子会社である金融商品取引業者が投資一任契約に基づき利用者のために議決権を行使し又は議決権の行使について指図を行う株式等に係る議決権は、生協法第53条の19において組合の子会社が取得し又は保有する議決権に含まれないことに留意する。

(2) 生協法第53条の19において読み替えて準用する生協法第53条の17第2項ただし書の承認を行う場合で、その議決権の取得理由が規則第229条第3号に定める場合(いわゆるデット・エクィティ・スワップによる場合)には、生協法第53条の19において読み替えて準用する生協法第53条の17第3項に定める承認の条件である当該議決権のうち基準議決権数を超える部分の議決権を「速やかに処分すること」とは、「遅くとも当該会社の経営改善のための計画終了後速やかに処分すること」との趣旨であることに留意する。

(注) 「計画終了」とは、当該計画期間を満了した場合、当該計画を計画期間よりも早期に達成した場合、当該会社が破綻又は実質的に破綻した場合及び当該計画を見直した場合をいう。

(3) 生協法第53条の19において読み替えて準用する生協法第53条の17第2項の承認に当たっては、基準議決権数を超過し、かつ、1年を超えて保有しようとする場合には、その都度承認申請が必要であるが、その超過理由が規則第229条第9号の「元本補てんのない信託に係る信託財産以外の財産における議決権数が基準議決権数以内となる場合における株式又は持分の取得」の場合は、インデックス運用等の実態及び私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)上の運営との平仄も踏まえ、原則として以下の手続により、その届出受理、承認を行うこととする。なお、以下の取扱いについては、元本補てんのない信託に係る信託以外の財産において保有する議決権数が10%以内の保有となっている場合にのみ適用することに留意する。

① 届出

規則第254条第1項第17号に基づく届出(以下「17号届出」という。)は、毎事業年度の属する月の2月前の月の末日までに、当該事業年度の末日が属する月の3月前の月の末日時点の保有株数をもとに、翌事業年度に基準議決権数を超えて取得し、又は保有しようとする議決権について別紙様式32により行うものとする。また、規則第254条第1項第19号に基づく届出は、毎事業年度の開始日が属する月の末日までに、前事業年度の末日時点の保有株数をもとに、前事業年度に基準議決権数を超えて保有しなくなった議決権のうち当該事業年度に基準議決権数を超えて保有しようとしない議決権について同様式により行うものとする。

② 承認(生協法第53条の19において読み替えて準用する生協法第53条の17第2項ただし書)

承認申請は、17号届出を行った議決権のうち、その取得し、又は保有することとなった日から1年を超えて保有しようとするもの及び承認期限が到来するものについて、当該届出を行った事業年度の末日が属する月の前月の第10営業日までに申請を受理し、その翌月の第7営業日までに承認を行うものとする。承認に当たっては、原則として当該届出を行った事業年度の翌々事業年度の末日を期限とするものとする。

申請書の添付書類は、規則第230条によるものとする。

(注) 17号届出の後承認申請までの間に、当該届出を行わなかった国内の会社の議決権を翌年度に基準議決権数を超えて取得し、又は保有しようとすることとなった場合には、当該届出書に追記して再度17号届出を行えば当該申請の際に併せて申請を行うことができることとし、その他の議決権についてはその都度17号届出及び承認申請を行うよう求めることとする。

Ⅲ―2―5 責任準備金対応債券

責任準備金対応債券は、日本公認会計士協会業種別監査委員会報告第21号『保険業における「責任準備金対応債券」に関する当面の会計上及び監査上の取扱い』(平成12年11月16日)に準じたものであるか。

Ⅲ―2―6 説明書類の作成・縦覧等

Ⅲ―2―6―1 記載項目についての留意事項

規則第209条第1項第2号及び同第211条に規定する記載項目についての留意事項は、次のとおりとする。

(1) 一般的な留意事項

① 各記載項目については、本指針に定めるもののほか、企業内容等の開示に関する内閣府令(昭和48年大蔵省令第5号)等も参考として、適切かつ分かりやすい表示がなされているか。

② 各記載項目について該当がない場合、注釈が必要な場合等には、その旨適切な表示がなされているか。

③ 規則に定められた義務的な開示項目以外の情報を自主的・積極的に開示することは、何ら差し支えないことに留意する。

(2) 個別の記載項目についての留意事項

① 「業務の運営の組織」については、組織図等を用いて系統的に分かりやすい説明がなされているか。

② 「組合の主要な業務の内容」には、共済事業、保険募集業務、生協法第10条第1項各号に規定する区分ごとにその内容が記載されているか。

③ 「直近の事業年度における事業の概況」には、業況、事業実績、資産運用、損益の状況等についての概括的な説明、組合が対処すべき課題等について説明されているか。

④ 「保有契約高又は正味収入共済掛金の額」については、共済の種類ごとに記載されているか。

⑤ 「リスク管理の体制」には、リスク内容、リスク管理に対する基本方針及び審査体制・内部監査体制・資産負債の総合的な管理体制等のリスク管理体制等について記載されているか。

⑥ 「法令遵守の体制」には、法令遵守(コンプライアンス)に対する基本方針及び運営体制について記載されているか。

⑦ 「貸倒引当金」については、一般貸倒引当金及び個別貸倒引当金に区別して記載されているか。

⑧ 「組合及びその子会社等の主要な事業の内容及び組織の構成」については、主要な事業の内容、当該事業を構成しているグループ会社の当該事業における位置付け等について系統的に分かりやすい説明がなされるとともに、その状況が事業系統図等によって示されているか。

Ⅲ―2―6―2 リスク管理債権の開示及び債務者区分に基づいて区分された債権の額の開示

(1) 開示区分

① 破綻先債権

規則第209条第1項第6号ロ(1)の「元本又は利息の支払の遅延が相当期間継続していることその他の事由により元本又は利息の取立て又は弁済の見込みがないものとして未収利息を計上しなかった貸付金」については、「金融機関の未収利息の取扱いについて」(昭和41年9月5日付け国税庁長官通達)に基づき未収利息を益金に算入しなかった場合等をいう。

② 延滞債権

ア 規則第209条第1項第6号ロ(2)の「債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として利息の支払を猶予したもの」については、「金利棚上げにより未収利息を不計上とした貸付金」を指すものとする。

イ 「延滞債権」に「金利減免」が含まれるかどうかについては、金利減免後の利息回収状況により判断するものとし、金利減免後の未収利息について収益不計上が認められる場合には、「延滞債権」として開示対象債権に含まれることに留意する。

③ 貸付条件緩和債権

ア 規則第209条第1項第6号ロ(4)の「債務者に有利となる取決め」とは、債権者と債務者の合意によるものか法律や判決によるものであるかは問わないことに留意する。

また、その具体的な事例としては、例えば、次のような債権又はその組み合わせが考えられるが、これらに関わらず規則の定義に合致する貸付金は開示の対象となることに留意する。

(ア) 金利減免債権

約定条件改定時において、当該債務者と同等な信用リスクを有している債務者に対して、通常適用される新規貸出金利(以下「基準金利」という。)を下回る水準まで当初約定期間中の金利を引き下げた貸付金

(イ) 金利支払猶予債権

利息の支払を猶予した債権

(ウ) 経営支援先に対する債権

債権放棄などの支援を実施し、今後も再建計画の実施に際し必要となる支援の決定を行う方針を固めている債務者に対する貸付金

(エ) 元本返済猶予債権