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エ リスク管理は財産的基礎から適正なものとなっているか。

④ 金融先物取引

ア 金融先物取引を行う目的、限度、契約内容等を明確にした適正な管理が行われているか。

イ リスク管理を行うための措置が講じられているか。

ウ 適時にリスク量が把握できる体制となっているか。

エ リスク管理は財産的基礎から適正なものとなっているか。

⑤ その他の取引

ア 未上場の株式等を取得する場合は、流動性リスク等に特に留意しているか。

イ 組合が行う取引については、必要に応じその目的、実行限度、収支に与える影響を勘案した内部規程が整備されているか。また、社会的信用の維持等について配慮されたものとなっているか。例えば、現金担保付債券貸借取引において内部規程は整備されているか。また、現金担保に当たっては適正な付利が行われているか。

Ⅱ―2―10―3 監督手法・対応

資産運用リスク管理態勢について問題があると認められる場合には、必要に応じて生協法第93条の3に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、生協法第94条の2に基づき業務改善命令又は生協法第95条に基づき必要措置を採るべき旨の命令を発出するものとする。

Ⅱ―2―11 出資の安定性・適格性等の確認

出資等の調達を行った組合が、当該出資等の出資者等に対して迂回融資等により、その原資となる貸付けを行っていないかに留意する。

Ⅱ―3 業務の適切性

Ⅱ―3―1 法令等遵守

Ⅱ―3―1―1 意義

組合の業務の公共性を十分に認識し、法令や業務上の諸規則等を厳格に遵守し、健全かつ適切な業務運営に努めることが利用者からの信頼を確立するためにも重要である。

Ⅱ―3―1―2 主な着眼点

(1) 代表理事、理事及び理事会は法令等遵守を経営の最重要課題の一つとして位置付け、法令等遵守に取り組んでいるか。(「経営管理」の項目参照)

(2) 法令等遵守に係る基本方針及び遵守基準が理事会において策定されているか。

(3) コンプライアンスを実現するための具体的な手引書(コンプライアンス・マニュアル)を策定しているか。また、役職員及び共済代理店における共済募集従事者に対して周知徹底されているか。

(4) コンプライアンスを実現させるための具体的な実践計画(コンプライアンス・プログラム)を適時、合理的なものとして策定しているか。

(5) コンプライアンス等の法務問題を一元管理する体制として、コンプライアンスに関する統括部門を設置しているか。また、その機能が十分発揮されているか。

(6) 各業務部門及び事務所等毎に、適切にコンプライアンス担当者を配置しているか。

(7) コンプライアンスに対する内部監査態勢は十分整備されているか。

Ⅱ―3―1―3 監督手法・対応

コンプライアンス態勢について問題があると認められる場合には、必要に応じて生協法第93条の3の規定に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、生協法第94条の2の規定に基づき行政処分を行うものとする。

Ⅱ―3―1―4 不祥事件等に対する監督上の対応

不祥事件等に対する監督上の対応については以下のとおり取扱うこととする。

(1) 不祥事件等の発覚の第一報

組合において不祥事件等が発覚し、第一報があった場合は、以下の点を確認するものとする。

① 本部等の事務部門、内部監査部門への迅速な報告及びコンプライアンス規定等に則った理事会等への報告

② 刑罰法令に抵触しているおそれのある事実については、警察等関係機関等への通報

③ 事件とは独立した部署(内部監査部門等)での事件の調査・解明の実施

(2) 行政庁への届出

規則第254条第3項第5号に該当するものとしては、例えば次のようなものが考えられる。

① 生協法以外の法令に違反する行為を行った場合。例えば、Ⅱ―3―4に規定する保険代理店業務を行っている組合又はその子会社において、無届募集、無登録募集など保険業法(平成7年法律第105号)に違反する行為を行った、又は同法第307条第1項第3号に該当する行為を行った場合。

② 架空契約(実在しない契約者・被共済者名義を使って作成している契約をいう。以下同じ。)及び名義借契約(組合の役職員が、利用者から名義使用だけの了解を取り付け、共済掛金は当該役職員が支払って作成している契約をいう。)が発生した場合。

③ 1件当たりの金額が100万円未満の現金等の盗難が短期間に連続して発生した場合

(3) 不祥事件等届出書の受理

規則第254条第4項に基づき、組合が不祥事件の発生を知った日から1月以内に不祥事件等届出書が提出されることとなるが、当該届出書の受理時においては、法令の規定に基づき報告が適切に行われているかを確認する。

なお、組合から第一報がなく届出書の提出があった場合は、(1)の点も併せて確認するものとする。

(4) 主な着眼点

不祥事件と業務の適切性の関係については、以下の着眼点に基づき検証する。

① 当該事件への役員の関与はないか、組織的な関与はないか。

② 事実関係の真相究明、同様の問題が他の部門で生じていないかのチェック及び監督者を含めた責任の追及が適切に行われているか。

③ 事実関係を踏まえた原因分析により、実効性のある再発防止への取組みが適時適切に行われているか。

④ 当該事件の内容が組合の経営等に与える影響はどうか。

⑤ 内部牽制機能が適切に発揮されているか。

⑥ 当該事件の発覚後の対応が適切か。

(5) 監督上の措置

不祥事件等届出書の提出があった場合には、事実関係、発生原因分析、改善・対応策等についてヒアリングを実施するとともに、必要に応じて生協法第93条の3に基づき報告を求めるものとし、さらに、重大な問題があるときは、生協法第94条の2に基づき業務改善命令又は生協法第95条に基づき必要措置を採るべき旨の命令を発出するものとする。

(6) 標準処理期間

不祥事件等届出書に係る生協法第93条の3に基づく報告徴求や生協法第94条の2に基づき業務改善命令又は生協法第95条に基づき必要措置を採るべき旨の命令を発出する場合は、当該届出書(生協法第93条の3に基づく報告徴求を行った場合は、当該報告書)の受理の日から原則としておおむね1月(本省への協議を要するものはおおむね2月)以内を目途に行うものとする。

Ⅱ―3―2 共済募集態勢

Ⅱ―3―2―1 適正な共済募集態勢の確立

(1) 生協法第12条の2第3項において準用する保険業法第300条第1項第1号関係

① 共済契約の契約条項のうち重要な事項を告げる場合は、共済契約の種類及び性質等に応じて適正に行われているか。

② 重要な事項を告げるに当たっては、重要な事項のうち利用者が共済商品の内容を理解するために必要な情報(以下「契約概要」という。)と利用者に対して注意喚起すべき情報(以下「注意喚起情報」という。)について、分類のうえ告げられているか。

なお、「契約概要」と「注意喚起情報」の主な項目は以下のとおりとする。

ア 「契約概要」の項目

(ア) 当該情報が「契約概要」であること

(イ) 共済商品の仕組み

(ウ) 保障の内容

(注) 共済金等の支払事由、支払事由に該当しない場合及び免責事由等の共済金等を支払わない場合について、それぞれ主なものを記載すること。共済金等を支払わない場合が通例でないときは、特に記載すること。

(エ) 付加できる主な特約及びその概要

(オ) 共済期間

(カ) 引受条件(共済金額等)

(キ) 共済掛金に関する事項

(ク) 共済掛金払込みに関する事項(共済掛金払込方法、共済掛金払込期間)

(ケ) 契約者割戻しに関する事項(契約者割戻しの有無、割戻方法、割戻金額の決定方法)

(コ) 解約返戻金等の有無及びそれらに関する事項

イ 「注意喚起情報」の項目

(ア) 当該情報が「注意喚起情報」であること

(イ) クーリング・オフ(生協法第12条の2第3項において準用する保険業法第309条第1項に規定する共済契約の申込みの撤回等)

(ウ) 告知義務等の内容

(注) 危険増加によって共済掛金を増額しても共済契約が継続できない(共済期間の中途で終了する)場合がある旨の共済約款等の定めがあるときは、それがどのような場合であるか、記載すること。

(エ) 責任開始期

(オ) 支払事由に該当しない場合及び免責事由等の共済金等を支払わない場合のうち主なもの

(注) 通例でないときは、特に記載すること

(カ) 共済掛金の支払猶予期間、共済契約の失効、復活等

(キ) 解約と解約返戻金の有無

(ク) 特に法令等で注意喚起することとされている事項

③ 利用者から重要な事項を了知した旨を十分に確認し、事後に確認状況を検証できる態勢にあるか。

(2) 生協法第12条の2第3項において準用する保険業法第300条第1項第4号関係

一定金額の金銭をいわゆる解約控除等として共済契約者が負担することとなる場合があること、被共済者の健康状態の悪化等のため新たな共済契約を締結できないこととなる場合があることなど、不利益となる事実を告げているか。また、利用者からの確認印を取り付ける等の方法により利用者が不利益となる事実を了知した旨を十分確認しているか。

(3) 生協法第12条の2第3項において準用する保険業法第300条第1項第5号関係

① 特別利益の提供について

組合又は共済代理店が、共済募集に関し、共済契約者又は被共済者に対して、各種のサービスや物品を提供する場合においては、以下のような点に留意して、「特別利益の提供」に該当しないものとなっているか。

ア 当該サービス等の経済的価値及び内容が、社会相当性を超えるものとなっていないか。

イ 当該サービス等が、換金性の程度と使途の範囲等に照らして、実質的に共済掛金の割引・割戻しに該当するものとなっていないか。

ウ 当該サービス等の提供が、共済契約者間の公平性を著しく阻害するものとなっていないか。

なお、生協法第10条第3項の規定に該当する組合は、当該サービス等の提供を通じ、他業禁止に反する行為を行っていないかについても留意する。

(注) 組合が、共済契約者又は被共済者に対し、共済契約の締結によりポイントを付与し、当該ポイントに応じた生活関連の割引サービス等を提供しているような事例においては、その際、ポイントに応じてキャッシュバックを行うことは、共済掛金の割引・割戻しに該当し、共済事業規約に基づいて行う場合を除き、禁止されていることに留意する。

(4) 生協法第12条の2第3項において準用する保険業法第300条第1項第6号関係

① 共済契約に関する表示(告げることを含む。以下同じ。)に関し、共済契約者の十分な理解が得られるような措置が講じられているか。共済商品の特性に応じた表示となっているか。なお、表示には次に掲げる方法により行われるものを含むものとする((5)において同じ。)。

ア パンフレット、ご契約のしおり等共済募集のために使用される文書及び図面

イ ポスター、看板その他これらに類似する物による広告

ウ 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送、映写、演劇又は電光による広告

エ インターネット等による広告

オ その他情報を提供するための媒体

② 次に掲げるような比較表示を行っていないかどうか。

ア 客観的事実に基づかない事項又は数値を表示すること。

イ 共済契約の契約内容について、正確な判断を行うに必要な事項を包括的に示さず一部のみを表示すること。

ウ 共済契約の契約内容について、長所のみをことさらに強調したり、長所を示す際にそれと不離一体の関係にあるものを併せて示さないことにより、あたかも全体が優良であるかのように表示すること。

エ 社会通念上又は取引通念上同等の共済の種類として認識されない共済契約又は保険契約(以下「共済契約等」という。)の比較について、あたかも同等のものとの比較であるかのように表示すること。

オ 現に提供されていない共済契約等の契約内容と比較して表示すること。

カ 他の共済契約等の内容について、具体的な情報を提供する目的ではなく、当該共済契約等を誹謗・中傷する目的で、その短所を不当に強調して表示すること。

③ 他の共済商品又は保険商品(以下「他の共済商品等」という。)との比較表示を行う場合には、書面等を用いて次の事項を含めた表示が行われ、かつ、他の共済商品等の特性等について不正確なものとならないための措置が講じられているか。

ア 共済期間

イ 保障内容(共済金等を支払う場合、主な免責事由等)

ウ 引受条件(共済金額等)

エ 各種特約の有無及びその内容

オ 共済掛金率・共済掛金(なるべく同一の条件での事例設定を行い、算出条件を併記する。)

カ 共済掛金の払込方法

キ 払込共済掛金と満期共済金との関係

ク その他共済契約者等の保護の観点から重要と認められるもの

④ 共済掛金に関する比較表示を行う場合は、共済掛金に関して共済契約者が過度に注目するよう誘導したり、保障内容等の他の重要な要素を看過させるような表示を行うことがないよう配慮されているか。

また、共済契約者が共済掛金のみに注目することを防ぐため、共済掛金だけではなく保障内容等の他の要素も考慮に入れた上で比較・検討することが必要である旨の注意喚起を促す文言を併せて記載すること等、比較表の構成や記載方法等を共済契約者が誤解を招かないように工夫がされているか。

(注1) 契約条件や保障内容の概要等共済掛金に影響を与えるような前提条件を併せて記載することが適切な表示として最低限必要と考えられる。

(注2) 共済契約者の年齢や性別等の前提条件に応じ適用される共済掛金の相違が顕著である場合には、前提条件の相違により共済掛金が異なる場合があるので、実際に適用される共済掛金について組合等に問い合わせたうえで商品選択を行うことが必要である旨の注意喚起を促す文言を併せて記載することが適当と考えられる。

⑤ 比較表示を行う主体がどのような者か(組合、共済代理店)、比較の対象となった共済商品等を提供する組合等との間に、提供する比較情報の中立性・公正性を損ない得るような特別の利害関係(例えば、強い資本関係が存在する等)を有していないか、どのような情報を根拠として比較情報を提供するのか、等について、比較表示を行う際に共済契約者に対して明示することが望ましい。

(5) 生協法第12条の2第3項において準用する保険業法第300条第1項第7号関係

生協法第12条の2第3項において準用する保険業法第300条第1項第7号に抵触する次に掲げるような行為を行っていないかどうか。

① 予想契約者割戻しに関し生協法第12条の2第3項において準用する保険業法第300条第1項第7号に抵触する行為には、次のような行為が考えられる。

ア 実際の契約者割戻額が、表示された予想契約者割戻額から変動し、ゼロとなる年度もあり得る旨を予想契約者割戻しと併記して表示しないこと。

イ 表示された予想契約者割戻額が、将来の受領額の目安として一定の条件下での計算例を示すものであるにもかかわらず、その旨及び当該一定の条件の内容を表示しないこと。

ウ 契約者割戻しの仕組み(契約者割戻しは支払時期の前年度決算により確定する旨等)、支払方法(据置割戻方式、共済掛金相殺方式、共済金買増方式、現金支払方式等の別)その他予想契約者割戻しの前提又は条件となる事項について表示しないこと。

エ 特別割戻し(ミュー割戻し)を表示する場合に、普通割戻しと区別しないで表示すること。

② 予想契約者割戻しの表示を行う場合には、割戻率が直近決算の実績割戻率(確定するまでの間は、その直前の実績割戻率又は合理的かつ客観的なもので、保守的に算出された割戻率とする。以下同じ。)で推移すると仮定して算定した割戻額を表示し、さらに、少なくとも合理的な一時点においては、利差割戻(ラムダ割戻しを含む。)率(契約者割戻しを積み立てる場合は、契約者割戻しの据置利率も含む。)が、直近決算の実績割戻しの利差割戻率から上方には1%以内、下方には上方への幅以上(ただし、実績割戻率を下回る利差割戻率の下限は0%)の範囲内で推移すると仮定して算定した契約者割戻額も併せて表示しているか。

③ ②の場合において、予想契約者割戻し及び上記①の要件を満たした書面等が共済契約者等に提示されているか。

(6) 規則第18条第1項第2号関係

① 共済募集に当たって、共済契約者又は被共済者を威迫する行為その他これに類似する行為として次に掲げる行為等を行っていないかどうか。

ア 利用者に対し、威圧的な態度や乱暴な言葉等をもって著しく困惑させること。

イ 共済募集に対する拒絶の意思を明らかにした利用者に対し、その業務若しくは生活の平穏を害するような時間帯に執拗に訪問し又は電話をかける等社会的批判を招くような方法により共済募集を行うこと。

② 「業務上の地位等を不当に利用」とは、例えば、職務上の上下関係等に基づいて有する影響力をもって、利用者の意思を拘束する目的で利益又は不利益を与えることを明示することをいう。

(7) 規則第18条第1項第4号関係

次に掲げるような組合の信用又は支払能力等の表示を行っていないかどうか。

① 生協法第53条の2に規定する業務及び財産の状況に関する説明書類に記載された数値若しくは生協法第92条の2に規定する決算関係書類に記載された数値又は信用ある格付機関の格付(以下「客観的数値等」という。)以外のものを用いて、組合の資力、信用又は支払能力等に関する事項を表示すること。

② 使用した客観的数値等の出所、付された時点、手法等を示さず、また、その意味について、十分な説明を行わず又は虚偽の説明を行うこと。

③ 表示された客観的数値等が優良であることをもって、当該組合の共済契約の支払が保証されていると誤認させること。

④ 一部の数値のみを取り出して全体が優良であるかのように表示すること。

⑤ 他の共済団体又は保険会社を誹謗・中傷する目的で、当該共済団体等の信用又は支払能力等に関してその劣後性を不当に強調して表示すること。

(8) 生協法第12条の2第3項において準用する保険業法第307条第1項第3号関係

生協法第12条の2第3項において準用する保険業法第307条第1項第3号で規定する「その他共済契約の募集に関し著しく不適当な行為」に抵触する行為を排除する措置が講じられているか。

(9) 告知事項・告知書

① 平成22年4月に施行された保険法において、告知義務が自発的申告義務から質問応答義務となったことの趣旨を踏まえ、共済契約者等に求める告知事項は、共済契約者等が告知すべき具体的内容を明確に理解し告知できるものとなっているか。例えば、「その他、健康状態や病歴など告知すべき事項はないか。」といったような告知すべき具体的内容を共済契約者等の判断に委ねるようなものとなっていないか。

② 告知書の様式は、共済契約者等に分かりやすく、必要事項を明確にしたものとなっているか。

(10) 保険法対応

平成22年4月に施行された保険法については、共済契約に係る規定が設けられており、組合の役職員が当該規定に適切に対応できる態勢を整備しているか。

(11) その他

① 本人確認等の措置

共済募集(名義変更等による契約の変更を含む。)に関して、架空契約や共済金詐取を目的とする契約等の不正な共済契約の発生を防止するために、以下の措置がとられているか。

ア 挙績を指向するあまり、共済事業規約の規定による貸付けを不正に利用した共済募集、特定の共済代理店に対する過度の便宜供与等の過当競争の弊害を招きかねない行為のほか、作成契約、超過共済契約等の不適正な行為の防止

イ 架空契約や共済金詐取を目的とする契約等の不正な共済契約の発生を防止するための次の措置

(ア) 共済契約者について、運転免許証やパスポート等の本人を特定し得る書類による確認、共済証書を郵送し、当該郵便物が返戻されなかったことをもってする確認、本人確認を行った共済掛金収納機関からの確認、役員等(組合の役員若しくは使用人又は共済代理店の役員若しくは使用人をいう。以下同じ。)の訪問や組合が電話等の通信機器・情報処理機器を利用し共済契約者と交信することによる確認その他適切な方法により、本人確認又は実在の確認の措置が講じられているか。

(イ) 共済契約申込みや契約変更時の健康診査において、医師による運転免許証やパスポート等の本人を特定し得る書類による確認、役員等の訪問や役員等が直接面接することによる確認その他適切な方法による被共済者の本人確認の措置が講じられているか。

② 当初から短期の中途解約を前提とした共済契約等の共済事業本来の趣旨を逸脱するような共済募集を行わせないなど、それぞれの共済商品の商品特性に応じ、その本来の目的に沿った利用が行われるための適切な共済募集に対する措置が講じられているか。

③ 支払能力の充実の状況に関する基準

生協法第50条の5により、所管行政庁は支払能力の充実の状況に関する基準を定めることができるとされているところである。組合によっては、これまで「ソルベンシー・マージン比率」という用語を用いてこれを算出し公表してきた経過があるが、組合は、生命共済・損害共済を兼営している点で保険会社とは財務内容が異なっていることから、保険会社が算出する「ソルベンシー・マージン比率」と単純に比較することは利用者に誤解を与えるおそれがあり適当ではない。このため、今後、法に基づき算出された数値を組合が独自に公表・活用するに当たっては、次の点を指導するものとする。

ア ディスクロージャー誌等においては「支払余力比率」との用語を使用するとともに、当該数値が保険会社のソルベンシー・マージン比率と単純に比較できない旨の脚注を記載すること。

イ 共済募集に当たって支払余力比率を使用する場合においては、保険会社の「ソルベンシー・マージン比率」と組合の「支払余力比率」を明確に区分して説明すること。

ウ 「支払余力比率」を用いる場合においては、常に、当該数値が保険会社の「ソルベンシー・マージン比率」と単純に比較できない旨を説明するなど、利用者に誤解を与えることがないよう適切な措置を講ずること。

④ 共済契約の締結の申込みがあったにもかかわらず、締結しないこととする場合は、可能な限り合理的な理由を説明するなど、利用者の理解が得られるよう努めているか。

Ⅱ―3―2―2 団体扱契約関係

団体扱契約の監督事務に当たっての留意点として、組合の経営の健全性の確保及び共済契約者等の保護の観点から、団体の代表者に支払う集金手数料については、経営の健全性及び契約者間の公平性の確保並びに公正な競争の促進等並びに実費相当額を勘案した適正な水準になっているか。

Ⅱ―3―3 共済代理店関係

共済代理店において共済契約を締結する場合に共済契約者保護を図るためには、組合が共済代理店の適正な業務運営を確保する必要がある。このため、次のような点について、組合の取組状況等を確認することとする。

Ⅱ―3―3―1 適正な共済代理店体制の確立

(1) 共済代理店の委託・届出

① 共済代理店の委託に当たって、その適格性が審査されているか。審査基準が整備されているか。

② 生協法第96条の2に規定する届出が行われているか。

③ 共済代理店の委託に当たって、共済契約の締結の代理又は媒介に関する法令や共済契約に関する知識、共済契約の締結の代理又は媒介に関する業務遂行能力(組合員資格の確認能力、員外利用制限の遵守能力を含む。)、本来業務の事業内容、事業目的等が審査されているか。

(注) 共済代理店の委託先は、以下の者に限定されていることに留意する必要がある。

ア 消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会

イ 労働金庫(共済契約の締結の代理又は媒介の業務を委託する組合が会員となっているものに限る。)

ウ 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)に規定する自動車分解整備事業者(責任共済の契約及び自動車共済の契約に限る。)

(2) 共済代理店の教育・管理・指導

① 共済契約の締結の代理又は媒介に関する法令等の遵守(組合員資格の確認、員外利用禁止の遵守を含む。)、共済契約に関する知識、内部事務管理体制の整備(利用者情報の適切な管理を含む。)等について、指導基準が明確化され、共済代理店に対して教育、管理、指導が適切に行われているか。また、育成、資質の向上を図るための措置が講じられ制度化されているか。

② 消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会以外の共済代理店では組合への加入の勧誘及び加入承認は行えないことを指導しているか。

(注) 消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会以外の共済代理店において、以下の行為は勧誘とはならない。

ア 任意に提出された組合員加入申込書及び出資金を組合へ取次ぐこと。

イ 求めに応じて組合加入手続きの説明を組合員以外の者に行うこと。

ウ 組合員加入申込書を当該代理店に備え置くこと又は求めに応じて組合員以外の者に交付すること。

③ 組合の役職員が自ら募集した共済契約を共済代理店に付け替える(いわゆる付績契約)等の行為を排除するための措置が講じられているか。また実行されているか。

④ 共済代理店に対して、収受した共済掛金を自己の財産と明確に区分し、共済掛金等の収支を明らかにする書類等を備え置かせているか。

⑤ 共済掛金の領収に当たって、次のような行為を行わせないよう指導、管理しているか。

ア 共済掛金の全部又は一部の支払いを受けずに領収証を交付していないか。

イ 領収は組合所定の領収証に限定されているか。

ウ 手形による共済掛金の領収が行われていないか。

⑥ 共済代理店に対して、受領した共済掛金等を受領後遅滞なく組合に納付するよう指導、管理しているか。

⑦ 共済代理店への共済契約の締結の代理又は媒介に関する業務内容について監査等を適切に実施しているか。

⑧ 監査等において内部事務管理が不適切な共済代理店に対し、改善に向けた厳正な対処がなされているか。また、法令違反等著しく不適切な行為が認められる共済代理店について、委託契約の解除等の対処がなされているか。

Ⅱ―3―3―2 共済代理店における員外利用の管理等

組合が員外利用禁止を遵守するためには、共済代理店を含めた管理が必要である。このため、共済代理店においても組合員資格を確認し、共済代理店委託契約を締結している組合(以下「所属組合」という。)の員外利用である可能性がある場合等は引受けを行わない等の対応が適切に行われているか確認するものとする。

なお、共済代理店が組合の指示に従わない場合等には、組合は共済代理店との委託契約を解除できることとされているかどうか確認するものとする。

Ⅱ―3―3―3 自動車損害賠償責任共済

自動車損害賠償責任共済は、自動車の登録・車検制度と密接に関連しており、契約者に対して速やかに自動車損害賠償責任共済証明書を交付する必要があることから、特に資力、信用及び業務遂行能力等を備えた共済代理店に証明書の発行権限を付与する。これらの共済代理店に対して、共済掛金の精算を迅速・確実に行うなど適正な業務運営を行うよう指導するものとする。

Ⅱ―3―3―4 共済代理店の届出関係

共済代理店の届出事務(届出書の受理)に当たっては、以下の点に留意して行うこととする。

(1) 届出

規則第249条による届出は、所属組合が行うこととする。

(2) 届出書の添付書類

規則第249条に規定する「その他の参考となるべき事項を記載した書類」は、設置の場合にあっては、

① 共済代理店委託契約書案

② 労働金庫又は自動車分解整備事業者を共済代理店として設置しようとする場合にあっては、共済代理店において共済募集に従事する者の名簿

とする。

Ⅱ―3―3―5 労働金庫に対する共済契約の募集の委託

(1) 労働金庫に対する共済契約の募集の委託・管理

① 労働金庫に対して共済契約の募集の委託を行うに当たり、組合において、その業務の健全かつ適切な運営及び共済契約の募集の公正を確保する観点から、以下の措置が講じられているか。

ア 労働金庫への委託に関して、以下の内容を含む方針を定め、これを踏まえて委託の内容を定めること。

(ア) 労働金庫への委託の考え方

(イ) 委託する共済種目及び想定される販売量(その達成を委託の条件とするものではないことに留意すること。)

(ウ) 労働金庫に対する販売支援(研修等)に関し組合が行う業務の内容

イ 募集手数料について、組合の経営の健全性の確保及び労働金庫による共済契約の募集の公正の確保の見地からみて妥当な設定を行うこと。

② 労働金庫に対する共済契約の募集の委託を行っている組合は、自らの経営管理の一環として、その業務の健全かつ適切な運営を確保する観点から、以下の措置を講じているか。

ア 労働金庫による共済契約の募集の状況を的確に把握すること。

イ 労働金庫による共済契約の募集が組合のリスク管理能力を超えて著しく増大した場合には、その原因について検討し、必要に応じて適切な対応を行うための態勢を整備していること。

③ 共済契約締結後に行うことが必要となる業務(注)について、労働金庫と組合との間の委託契約等において、その業務分担が明確に定められ、顧客に明示されているか。

(注) 例えば、契約内容に関する照会への対応、顧客からの苦情・相談への対応、共済金等の支払手続に関する照会等を含む各種手続方法に関する案内等といった業務をいう。

④ 組合においては、共済契約締結後の業務の健全かつ適切な運営を確保するために、例えば、労働金庫が契約の締結の代理又は媒介を行った契約量に応じた当該業務を行うための十分な要員の確保に努める等、必要な態勢を構築しているか。

⑤ 労働金庫においては、共済契約締結後の業務の健全かつ適切な運営を確保するために、例えば、委託契約等に基づき労働金庫が行う共済契約締結後の業務の性質及び量に応じた当該業務を行うための十分な要員の確保に努める等、必要な態勢を構築しているか。

(2) 非公開金融情報・非公開共済情報の取扱い

① 共済代理店である労働金庫が、非公開金融情報(規則第14条第2項第1号イに規定する非公開金融情報をいう。以下同じ。)を共済契約の募集に係る業務に利用する場合には、例えば以下の方法のような適切な方法により事前に顧客の同意を得なければ共済契約の締結の代理又は媒介ができないようにするための必要な措置(注)を講じているか。

(注) 例えば、非公開金融情報を利用しようとする場合には事前に同意をとらなければ商品説明を行えない、さらに書面による同意がなければ契約申込み・締結を行えないような事務手続を整備することが考えられる。

ア 対面の場合

非公開金融情報の共済契約の募集に係る業務への利用について、当該業務に先立って書面による説明を行い、同意を得た旨を記録し、契約申込みまでに書面による同意を得る方法

イ 郵便による場合

非公開金融情報の共済契約の募集に係る業務への利用について、当該業務に先立って説明した書面を送付し、契約申込書の送付等共済契約の募集の前に、同意した旨の返信を得る方法

ウ 電話による場合

非公開金融情報の共済契約の募集に係る業務への利用について、当該業務に先立って口頭による説明を行い、同意を得た旨を記録し、その後速やかに当該利用について説明した書面を送付(電話での同意取得後対面にて顧客と応接する場合には交付でも可とする。)し、契約申込みまでに書面による同意を得る方法

エ インターネット等による場合

非公開金融情報の共済契約の募集に係る業務への利用について、当該業務に先立って電磁的方法による説明を行い、電磁的方法による同意を得る方法

(注) 顧客の属性に関する情報(氏名、住所、電話番号、性別、生年月日及び職業)は非公開金融情報又は非公開共済情報に含まれない。

② 共済代理店である労働金庫が、非公開共済情報(規則第14条第2項第1号ロに規定する非公開共済情報をいう。以下同じ。)を資金の貸付け等の共済契約の募集に係る業務以外の業務に利用する場合には、例えば①アからエまでに掲げる方法に準じた適切な方法により事前に顧客の同意を得るための措置を講じているか。

(3) 労働金庫の共済契約募集指針

共済契約の募集の公正を確保するために労働金庫が定める共済契約募集指針には、以下の事項が定められているか。また、共済契約の募集指針の内容について、顧客に周知するため、共済契約の募集指針の書面による交付又は説明、店頭掲示、インターネットホームページの活用等の必要な措置が講じられているか。

① 顧客に対し、募集を行う共済契約の引受組合の名称を明示するとともに、共済契約を引き受けるのは組合であること、共済金等の支払いは組合が行うことその他の共済契約に係るリスクの所在について適切な説明を行うこと。

② 複数の共済契約の中から顧客の自主的な判断による選択を可能とするための情報の提供を行うこと。

③ 労働金庫が法令に違反して共済契約の募集につき顧客に損害を与えた場合には、当該労働金庫に募集代理店としての販売責任があることを明示すること。

④ 労働金庫における苦情・相談の受付先及び労働金庫と組合の間の委託契約等に基づき共済契約締結後に労働金庫が行う業務内容を顧客に明示するとともに、募集を行った共済契約に係る顧客からの、例えば、委託契約等に則して、共済金等の支払手続に関する照会等を含む苦情・相談に適切に対応する等契約締結後においても必要に応じて適切な顧客対応を行うこと。

⑤ 上記①から④までに掲げる顧客に対する共済契約の募集時の説明や苦情・相談に係る顧客対応等について、顧客との面談内容等を記録するなど顧客対応等の適切な履行を管理する体制を整備するとともに、共済契約の募集時の説明に係る記録等については、共済期間が終了するまで保存すること。

(4) 労働金庫共済募集制限先の確認等

① 労働金庫は、労働金庫共済募集制限先(規則第14条第3項第1号に規定する労働金庫共済募集制限先をいう。以下同じ。)を共済契約者又は被共済者とする共済契約(規則第14条第1項第4号、又は第9号から第11号までに掲げるもの及び既に締結されている共済契約(その締結の代理又は媒介を当該労働金庫が手数料その他の報酬を得て行ったものに限る。)の更改(共済金額その他の給付の内容の拡充(当該共済契約の目的物の価値の増加その他これに準ずる事情に基づくものを除く。)又は共済期間の延長を含むものを除く。)又は更新に係るものを除く。)の締結の代理又は媒介を手数料その他の報酬を得て行わないことを確保するため、以下の措置を講じているか。

ア 共済契約の募集に際して、あらかじめ、顧客に対し、労働金庫共済募集制限先に該当するかどうかを確認する業務に関する説明を書面の交付により行った上で、当該顧客が労働金庫共済募集制限先に該当するかどうかを顧客の申告により確認するための措置

イ 募集を行った共済契約に係る契約申込書その他の書類を引受組合に送付する時までに、共済契約の募集の過程で顧客から得た当該顧客の勤務先等の情報を当該労働金庫の貸付先に関する情報と照合し、当該顧客が労働金庫共済募集制限先に該当しないことを確認するための措置

ウ 上記の措置によって、顧客が労働金庫共済募集制限先に該当することが確認された場合に、当該共済契約に係る募集手数料その他の報酬について、所属組合から受領せず、又は事後的に返還するための態勢の整備

(注1) ア及びイの措置については、顧客に勤務先等の情報提供等を強制することのないよう留意すること。

なお、ア及びイの措置による確認によっても当該顧客が労働金庫共済募集制限先に該当するかどうかを確認できなかった場合は、特段の事情のない限り、該当しないものとみなす。

(注2) 上記イの労働金庫の貸付先に関する情報との照合による確認については、貸付先に関するデータベース(少なくとも年1回の更新が必要。既存のものが存在する場合はそれを活用することも可。)と照合する方法や、本部等で融資情報を一元管理して各支店からの照合依頼を受ける方法その他の労働金庫の規模や特性を踏まえた方法によることもできる。

② 労働金庫は、組合から共済契約の募集の委託を受けるに当たっては、当該労働金庫のその他の業務(他の組合から受託した業務を含む。)の健全かつ適切な運営に支障を及ぼさないよう、例えば、当該組合の業務又は財務の健全性や募集代理店である労働金庫に対する販売管理態勢の整備状況、当該労働金庫が募集を行うこととなる共済契約の内容に十分留意して当該業務の受託の可否を決定しているか。

(5) 規則第14条第3項第1号関係

規則第14条第3項第1号に規定する「共済契約の目的物の価値の増加その他これに類する事情」には、例えば、次に掲げるものが含まれる。

① 共済契約の目的物の価値の増加(建物の増改築による火災共済契約の共済金額の増額等)

② 共済契約の目的物の入替(車両入替による自動車共済契約の共済金額の増額等)

③ 被共済範囲の拡大(年齢条件の変更による自動車共済契約の保障範囲の拡大等)

(6) 規則第18条第1項第10号関係

顧客に資金需要があるにもかかわらず、共済契約の募集を行うために意図的に貸付申込みをさせない場合については、「顧客が当該労働金庫に対し資金の貸付けの申込みを行って」いる場合とみなされる。

(7) 労働金庫の共済契約の募集に係る法令等遵守責任者等

労働金庫は、規則第14条第2項第3号に規定する共済契約の募集に係る法令等の遵守を確保する業務が確実に実施されるよう、同号に規定する法令等の遵守を確保する業務に係る責任者(当該責任者を指揮し保険募集に係る法令等の遵守を確保する業務を統括管理する統括責任者を含む)について、共済契約の募集に関する法令や保険契約に関する知識等を有する人材を配置しているか。

(8) 労働金庫の共済契約の募集に係る内部監査

労働金庫は、共済契約の募集に係る業務の健全かつ適切な運営を確保する観点から、当該労働金庫の内部監査が確実に実施されるよう、当該部門に共済契約の募集に関する法令や共済契約に関する知識等を有する人材を配置しているか。

(9) 公正取引委員会ガイドライン関係

労働金庫は、「金融機関の業態区分の緩和及び業務範囲の拡大に伴う不公正な取引方法について」(平成16年12月1日 公正取引委員会)における「第2部第2.2 銀行等の保険募集業務に係る不公正な取引方法」を準じた取扱いを共済契約の募集に関して行い、十分留意した業務運営を行っているか。

Ⅱ―3―4 保険会社の業務の代理を行う場合における募集等の適正化

Ⅱ―3―4―1 意義

組合が保険募集(保険業法第2条第26項に規定する保険募集をいう。以下同じ。)を行うに当たっては、同法第276条に規定する登録等が必要であるだけでなく、同法第300条、第305条等の規制の下に行われることとなる。

Ⅱ―3―4―2 保険募集を行う場合における員外利用の管理

生協法第12条第3項及び第4項等により、保険募集は組合員員外の者に行うことができないこととされているが、組合員資格の確認及び員外利用禁止の遵守に当たっては、Ⅱ―3―3―2に定めるところにより指導するものとする。

Ⅱ―3―4―3 監督手法・対応

員外利用が判明した場合には、員外利用に至った事由及び是正計画について深度あるヒアリングを行い、必要に応じて生協法第93条の3に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、生協法第94条の2に基づき業務改善命令又は生協法第95条に基づき必要措置を採るべき旨の命令を発出するものとする。

Ⅱ―3―5 苦情等への対処

Ⅱ―3―5―1 意義

(1) 相談・苦情・紛争等(苦情等)対処の必要性

利用者からの相談、苦情、紛争等(苦情等)に迅速かつ適切に対応し、利用者の理解を得ようとすることは、利用者に対する説明責任を事後的に補完する意味合いを持つ重要な活動の一つである。

近年、利用者の保護を図り共済商品・サービスへの利用者の信頼性を確保する観点から、苦情等への事後的な対処の重要性はさらに高まっている。

このような観点を踏まえ、組合においては、適切に苦情等に対処していく必要がある。

(2) 対象範囲

組合の業務に関する申出としては、相談のほか、いわゆる苦情・紛争などの利用者からの不満の表明など、様々な態様のものがありうる。組合には、これらの様々な態様の申出に対して適切に対処していくことが重要であり、かかる対処を可能とするための適切な内部管理態勢を整備することが求められる。

Ⅱ―3―5―2 苦情等対処に関する内部管理態勢の確立

Ⅱ―3―5―2―1 意義

苦情等への迅速・公平かつ適切な対処は、利用者に対する説明責任を事後的に補完する意味合いを持つ重要な活動の一つでもあり、共済商品・サービスへの利用者の信頼性を確保するため重要なものである。組合は、利用者から申出があった苦情等に対し、自ら迅速・公平かつ適切に対処すべく内部管理態勢を整備する必要がある。

Ⅱ―3―5―2―2 主な着眼点

組合が、苦情等対処に関する内部管理態勢を整備するに当たり、業務の規模・特性に応じて、適切かつ実効性ある態勢を整備しているかを検証する。その際、機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮しつつ、例えば、以下の点に留意することとする。

(1) 経営陣の役割

理事会は、苦情等対処機能に関する組織全体的な内部管理態勢の確立について、適切に機能を発揮しているか。

(2) 内部規則等

① 内部規則等において、苦情等に対し迅速・公平かつ適切な対応・処理を可能とするよう、苦情等に係る担当部署、その責任・権限及び苦情等の処理手続(事務処理ミスがあった場合等の対応も含む。)を定めるとともに、利用者の意見等を業務運営に反映するよう、業務改善に関する手続を定めているか。

② 苦情等対処に関し内部規則等に基づいて業務が運営されるよう、研修その他の方策(マニュアル等の配布を含む。)により、内部規則等を組織内に周知・徹底をする等の態勢を整備しているか。特に利用者からの苦情等が多発している場合には、まず内部規則等(苦情等対処に関するものに限らない。)の支所・支店(事務所)に対する周知・徹底状況を確認し、実施態勢面の原因と問題点を検証することとしているか。

(3) 苦情等対処の実施態勢

① 苦情等への対処に関し、適切に担当者を配置しているか。

② 利用者からの苦情等について、関係部署が連携の上、速やかに処理を行う態勢を整備しているか。特に、苦情等対処における主管部署及び担当者が、個々の職員が抱える利用者からの苦情等の把握に努め、速やかに関係部署に報告を行う態勢を整備しているか。

③ 特に、共済金等の不払いに関する苦情等については、当該不払いを決定した支払担当部門のみで対処するのではなく、最終的にはコンプライアンス担当部門などの他の部門で適切に対処されたかどうかを検証する態勢となっているか。

④ 苦情等の解決に向けた進捗管理を適切に行い、長期未済案件の発生を防止するとともに、未済案件の速やかな解消を行う態勢を整備しているか。

⑤ 苦情等の発生状況に応じ、受付窓口における対応の充実を図るとともに、利用者利便に配慮したアクセス時間・アクセス手段(例えば、電話、手紙、FAX、eメール等)を設定する等、広く苦情等を受け付ける態勢を整備しているか。また、これら受付窓口、申出の方式等について広く公開するとともに、利用者の多様性に配慮しつつ分かりやすく周知する態勢を整備しているか。

⑥ 苦情等対処に当たっては、個人情報について、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)その他の法令に沿った適切な取扱いを確保するための態勢を整備しているか(Ⅱ―3―7参照)。

⑦ 共済代理店を含め、業務の外部委託先が行う委託業務に関する苦情等について、組合自身への直接の連絡体制を設けるなど、迅速かつ適切に対処するための態勢を整備しているか(Ⅱ―4―1(2)①カ参照)。

⑧ 反社会的勢力による苦情等を装った圧力に対しては、通常の苦情等と区別し、断固たる対応をとるため関係部署に速やかに連絡し、必要に応じ警察等関係機関との連携を取った上で、適切に対処する態勢を整備しているか。

(4) 利用者への対応

① 苦情等への対処について、単に処理の手続の問題と捉えるにとどまらず事後的な説明態勢の問題として位置付け、苦情等の内容に応じ利用者から事情を十分にヒアリングしつつ、可能な限り利用者の理解と納得を得て解決することを目指しているか。

② 苦情等を申し出た利用者に対し、申出時から処理後まで、利用者特性にも配慮しつつ、必要に応じて、苦情等対処の手続の進行に応じた適切な説明(例えば、苦情等対処手続の説明、申出を受理した旨の通知、進捗状況の説明、結果の説明等)を行う態勢を整備しているか。

③ 申出のあった苦情等について、自ら対処するばかりでなく、苦情等の内容や利用者の要望等に応じて適切な外部機関等を利用者に紹介するとともに、その標準的な手続の概要等の情報を提供する態勢を整備しているか。

なお、複数ある苦情処理・紛争解決の手段は任意に選択しうるものであり、外部機関等の紹介に当たっては、利用者の選択を不当に制約していないか留意することとする。

④ 外部機関等において苦情等対処に関する手続が係属している間にあっても、当該手続の他方当事者である利用者に対し、必要に応じ、適切な対応(一般的な資料の提供や説明など利用者に対して通常行う対応等)を行う態勢を整備しているか。

(5) 情報共有・業務改善等

① 苦情等及びその対処結果等が類型化の上で内部管理部門や営業部門に報告されるとともに、重要案件は速やかに監査部門や経営陣に報告されるなど、事案に応じ必要な関係者間で情報共有が図られる態勢を整備しているか。

② 苦情等について、自ら対処したものに加え、外部機関が介在して対処したものを含め、適切かつ正確に記録・保存しているか。また、その分析結果を活用し、継続的に利用者対応・事務処理についての態勢の改善や苦情等の再発防止策・未然防止策に活用する態勢を整備しているか。

③ 苦情等対処機能の実効性を確保するため、検査・監査等の内部けん制機能が十分発揮されるよう態勢を整備しているか。

④ 苦情等対処の結果を業務運営に反映させる際、業務改善・再発防止等必要な措置を講じることの判断並びに苦情等対処態勢の在り方についての検討及び継続的な見直しについて、経営陣が指揮する態勢を整備しているか。

(6) 外部機関等との関係

① 苦情等の迅速な解決を図るべく、外部機関等に対し適切に協力する態勢を整備しているか。

② 外部機関等に対して、自ら紛争解決手続の申立てを行う際、自らの手続を十分に尽くさずに安易に申立てを行うのではなく、利用者からの苦情等の申出に対し、十分な対応を行い、かつ申立ての必要性につき組織内で適切な検討を経る態勢を整備しているか。

Ⅱ―3―5―3 監督手法・対応

苦情等対処態勢が構築され機能しているかどうかは、利用者保護・組合への信頼性確保の観点も含め、組合の健全かつ適切な業務運営の基本にかかわることから、関係する内部管理態勢は高い実効性が求められる。行政庁としては、組合の対応を全体的・継続的にみて、業務の健全かつ適切な運営を確保するため問題があると認められる場合は、必要に応じ、生協法第93条の3に基づき報告を求め、また、重大な問題があると認められる場合は、生協法第94条の2に基づく業務改善命令の発出を検討するものとする。さらに、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、業務停止命令等の発出も含め、必要な行政処分を検討するものとする。

なお、一般に利用者と組合との間で生じる個別の紛争は、私法上の契約に係る問題であり、基本的に司法の場を含め当事者間で解決されるべき事柄であることに留意する必要がある。

Ⅱ―3―6 利用者の保護等

Ⅱ―3―6―1 利用者に対する説明責任、適合性原則

Ⅱ―3―6―1―1 利用者保護を図るための留意点

組合は共済募集に当たって利用者保護を図るため、以下の項目に留意する必要がある。

(1) 利用者に対して公正な事務処理を行っているか。

(2) 共済契約者との取引に当たっては、取引の内容等を共済契約者に対し、適切かつ十分な説明を行っているか。

(3) 利用者情報は法的に許される場合及び利用者自身の同意がある場合を除き、第三者に開示していないか。

Ⅱ―3―6―1―2 共済事業の運営に関する措置等

(1) 規則第167条から第174条までに規定する措置等が適正に実施されているか。

(2) 規則第167条、第171条及び第173条に規定する措置(以下「当該措置」という。)について、職員及び共済代理店に対する教育、指導を行う体制が整備されているか。

(3) 当該措置について、職員及び共済代理店の実施状況を調査・把握する体制が整備されているか。

(4) 規則第167条第1項第3号に規定する「被共済者のために積み立てられている額」には、規則第55条第1項第3号ハに規定する契約者価額の計算の基礎とする額並びに第189条第1項(契約者割戻準備金)等が含まれる。

(5) 規則第167条第1項第3号に規定する「既契約と新契約が対比できる方法」が次のとおりとなっているか。

① 同号イに規定する事項について、書面に既契約及び新契約に関して記載項目ごとに対比して記載する。

② 上記①にかかわらず、次に掲げる場合には、既契約及び新契約に関して同号イに規定する事項が記載されたそれぞれの書面を交付して対比することも可能とする。

ア 共済の種類が異なり、かつ、既契約及び新契約(いずれも特約を含む。)の保障内容又は担保内容が全く異なるもの。

イ 複数の既契約を一の新契約にする場合等既契約及び新契約の契約内容やシステム上の問題等により、記載項目ごとに対比して記載(上記①をいう。)しない合理的な理由があるもの。

③ 上記②の書面により代替する場合には、当該書面の交付に当たって既契約と新契約の対比説明を徹底する等、共済契約者等の保護に欠けることのないよう措置を講じる。

(6) 規則第167条第1項第3号に規定する既契約と新契約の対比が適切に行われているか。

なお、同号ロに規定する「その他共済契約に関して重要な事項」とは、共済掛金の払込方法、契約者割戻しの有無その他共済契約の特性から重要と認められる事項のうち該当する事項をいう。

(7) 規則第167条第1項第3号ハに規定する「保障内容を見直す方法」が交付する書面に適切に記載されているか。

なお、同号に規定する「既契約を継続したまま保障内容を見直す方法」とは、次に掲げる方法をいう。

① 既契約に特約を中途付加する方法

② 既契約に追加して、他の共済契約を締結する方法等

(8) 規則第167条第1項第1号から第3号までに規定する書面の交付に関して、共済契約者から書面を受領した旨の確認を得ることについて、職員に対する教育、指導を行う体制が整備されているか。

また、職員による受領確認の実施状況を調査・把握する体制が整備されているか。

(9) 規則第167条に規定する措置に関して、当該書面等に記載又は説明すべき事項及び共済契約申込書等における当該書面の受領確認に関する文言の表示に当たっては、文字の大きさ等に留意して、その平明性及び明確性が確保されているか。

(10) 規則第174条第1項及び第2項に規定する措置に関し、人の生存又は死亡(当該人の余命が一定の期間内であると医師により診断された身体の状態を含む。)に関して給付をなすことを約し、共済掛金を収受する共済(年金共済及び生存共済を除く。)及び人の傷害又は疾病に関して給付をなすことを約し、共済掛金を収受する共済(損害をてん補することを約した共済を除く。)の契約について、

① 共済契約の引受基準が内部規則等に定められ、組合が知り得た他の生命保険契約又は損害保険契約(以下「他の保険契約」という。)を含む共済金額等が当該引受基準に比し過大である場合には、より慎重な引受判断を行うなどモラルリスク排除・抑制のための十分な体制が整備されているか。

② 共済契約者又は被共済者の収入、資産、逸失利益等の計数に基づき算定した額と共済金額等(組合が知り得た他の保険契約に係る保険金額を含む。)との比較などにより、共済金額の妥当性(過分でないこと)を判断・確認する方法を含む内部規則等が適切に定められ、それに基づき業務が運営されるための十分な体制が整備されているか。

(注) 内部規則等を定めるに当たって、次の点に留意しているか。

ア 組合の定める一定金額(以下「共済金の限度額」という。)を超える共済契約の引受審査を行う場合には、共済契約者又は被共済者の収入、資産、逸失利益等の計数を客観的かつ合理的な方法により確認する等、適切な審査を行う旨を定めているか。

また、客観的かつ合理的な方法により確認できない場合には、モラルリスク排除・抑制の観点から、より慎重な対応を要する旨を定めているか。

イ 死亡共済(規則第174条第2項に規定する死亡共済をいう。)の引受けについて

(ア) 共済の不正な利用を防止することにより被共済者を保護するため、死亡共済に係る共済金の限度額を具体的に定め、これを超える共済金額による共済の引受けを行わないものと定めているか。また、この限度額は、同一被共済者の他の死亡共済に係る共済金額(組合が知り得た他の死亡保険に係る保険金額を含む。)と通算する旨を定めているか。

(イ) その他、共済の不正な利用を防止することにより被共済者を保護するため、利用者ニーズの確認等を通じ、適切な引受審査を行う旨を定めているか。

(注) 規則第174条第2項に規定する「不正な利用のおそれが少ないと認められるもの」とは、例えば一時払終身共済、一時払養老共済のほか、既払込共済掛金相当額に運用益等を加えた金額程度の共済金を被共済者の死亡時に支払う個人年金共済等の不正な利用が発生するおそれが少ないことを合理的に説明可能なものをいう。

③ 共済金の限度額を内部規則等で定めている場合には、当該限度額以内で共済が引き受けられているかを検証するシステムを構築しているか。また、共済の不正な利用を防止することにより被共済者を保護するため、適切な引受審査が行われていることを検証する体制を構築しているか。

④ 共済金額等(組合が知り得た他の保険契約に係る保険金額を含む。)の妥当性を判断・確認する方法等について、職員に対して適正な教育・指導を行うための体制が整備されているか。

⑤ 共済金額の決定に際し、モラルリスク排除・抑制のため効果がある方法を採用する体制が整備され、他の保険契約に係る保険金額を勘案した結果が適切に記録されているか。

(11) 規則第174条第1項に規定する措置に関し、共済契約について、共済契約者又は被共済者本人が、所定の欄に署名又は記名押印することを確保するための方法を含む内部規則等が適切に定められ、それに基づき業務が運営されるための十分な体制が整備されているか。

なお、本人以外の者に押印を行わせる場合には、内部規則等に本人以外の者が押印を行える場合を限定して規定するとともに、その場合における取扱いを規定しているか。

(12) 規則第174条第1項に規定する措置に関し、「契約概要」、「注意喚起情報」を記載した書面を交付するために、以下のような体制が整備されているか。

① 当該書面において、利用者に対して、組合における苦情・相談の受付先が明示されているか。

② 当該書面に記載すべき事項について、以下の点について留意した記載とされているか。(「Ⅱ―3―10 適切な表示の確保」も参照のこと。)

ア 文字の大きさや記載事項の配列等について、利用者にとって理解しやすい記載とされているか。

(注) 例えば、文字の大きさを8ポイント以上とすること、文字の色、記載事項について重要度の高い事項から配列する、グラフや図表の活用などの工夫。

イ 記載する文言の表示に当たっては、その平明性及び明確性が確保されているか。

(注) 例えば、専門用語について利用者が理解しやすい表示や説明とされているか。利用者が共済商品の仕組み内容を誤解するおそれがないような明確な表示や説明とされているか。

ウ 利用者に対して具体的な数値等を示す必要がある事項(共済期間、共済金額、共済掛金等)については、その具体的な数値が記載されているか。

(注) 具体的な数値等を記載することが困難な場合は、利用者に誤解を与えないよう配慮のうえ、例えば、代表例、利用者の選択可能な範囲、他の書面の当該数値等を記載した箇所の参照等の記載を行うこと。

エ 当該書面に記載する情報量については、利用者が理解しようとする意欲を失わないよう配慮するとともに、共済商品の特性や複雑性にあわせて定められているか。

(注) 通常は利用者が理解しようとする意欲を失わない程度の情報量としては、例えば、「契約概要」・「注意喚起情報」を併せてA3両面程度のものが考えられる。

オ 当該書面は他の書面とは分離・独立した書面とする、又は同一の書面とする場合は、他の情報と明確に区別し、重要な情報であることが明確になるように記載されているか。

③ 利用者に当該書面の交付に加えて、以下のような情報の提供及び説明が口頭により行われているか。

ア 当該書面を読むことが重要であること。

イ 主な免責事由など利用者にとって特に不利益な情報が記載された部分を読むことが重要であること。

ウ 特に、乗換(生協法第12条の2第3項において準用する保険業法第300条第1項第4号に規定する既契約を消滅させて新たな共済契約の申込をさせ、又は新たな共済契約の申込をさせて既に成立している共済契約を消滅させること)、転換(規則第167条第1項第3号に規定する既契約を消滅させると同時に、既契約の責任準備金、返戻金の額その他の被共済者のために積み立てられている額を、新契約の責任準備金又は共済掛金に充当することによって共済契約を成立させること)の場合は、これらが利用者に不利益になる可能性があること。

④ 当該書面の交付に当たって、共済契約締結に先立ち利用者が当該書面の内容を理解するための十分な時間が確保されているか。

(注1) 「注意喚起情報」については、利用者に対して効果的な注意喚起を行うため、共済契約の申込時に説明・交付することでも足りる。

(注2) 利用者に対する十分な時間の確保に当たっては、共済商品の特性や共済募集方法を踏まえる一方、利用者の理解の程度やその利便性が損なわれないかについて考慮するものとする。

⑤ 郵便・電話・インターネット等のような非対面の方式による情報の提供及び説明を行う場合は、上記①から④に規定する内容と同程度の情報の提供及び説明が行われているか。例えば、次のような方法により利用者に対して適切な情報の提供や説明が行われているか。

ア 郵便による場合

当該書面を読むことが重要であることを利用者が十分認識できるような記載を行ったうえで、当該書面を利用者に送付する方法

イ 電話による場合

組合又は共済代理店が利用者に対して口頭にて説明すべき事項を定めて、当該書面の内容を適切に説明するとともに、当該書面を読むことが重要であることを口頭にて説明のうえ、郵便等の方法により遅滞なく当該書面を交付する方法

ウ インターネット等による場合

当該書面の記載内容、記載方法等に準じて電磁的方法による表示を行ったうえで、当該書面を読むことが重要であることを利用者が十分認識できるよう電磁的方法による説明を行う方法

(注1) 上記③に規定する内容と同程度とは、例えば、郵便の場合は書面への記載、インターネット等の場合は、電磁的方法による表示により、口頭による情報の提供及び説明にかえることが考えられる。

(注2) 郵便による場合、当該書面を読むことが重要であることを利用者が十分認識できるような書面を合わせて送付することでも足りる。

(注3) インターネット等による場合、当該書面の郵送等にかえて、印刷や電磁的方法による保存などの手段が考えられる。

(13) 規則第174条第1項に規定する措置に関し、契約の申込みを行おうとする共済商品の仕組みが利用者のニーズに合致した内容であることを利用者が確認する機会を確保し、利用者が共済商品の仕組みを適切に選択することを可能とするため、以下のような体制が整備されているか。

① 意向確認書面の作成・交付

契約の申込みを行おうとする共済商品の仕組みが利用者のニーズに合致した内容であることを、利用者が契約締結前に最終的に確認する機会を確保するために、利用者のニーズに関して情報を収集し、共済商品の仕組みが利用者のニーズに合致することを確認する書面(以下「意向確認書面」という。)を作成し、利用者に交付するとともに、組合において保存するものとされているか。

② 意向確認書面の記載事項

意向確認書面には、以下の事項が記載されているか。

ア 利用者のニーズに関する情報

契約の申込みを行おうとする共済商品の仕組みが利用者のニーズに合致した内容であることを確認するために、必要と考えられる利用者のニーズに関する情報を収集の上、記載するものとする。例えば、記載すべき利用者のニーズに関する情報としては、以下のようなものが考えられる。

(ア) どのような分野の保障(補償)を望んでいるか。

(死亡した場合の遺族保障、医療保障、医療保障のうちがんや三大疾病に備えるための保障、傷害に備えるための保障、介護保障、老後生活資金の準備、資産運用など。)

(イ) 貯蓄部分を必要としているか。

(ウ) 共済期間、共済掛金、共済金額に関する範囲の希望、優先する事項がある場合にはその旨

イ 当該共済商品の仕組みが利用者のニーズに合致すると考えた主な理由

ウ その他利用者のニーズに関して特に記載すべき事項

例えば、特記事項欄を設け、以下のような情報を記載することが考えられる。

(ア) 当該共済商品の仕組みでは、利用者のニーズを全部又は一部を満たさない場合はその旨

(イ) 特に利用者から強く要望するニーズがあった場合や個別性の強いニーズを利用者が有する場合はそのニーズに関する情報

(ウ) 当該共済商品の仕組みが利用者のニーズに合致することを確認するために必要な情報が提供されなかった場合はその旨

エ 共済募集人の氏名・名称

利用者に対して当該書面の作成責任者を明らかにするために、共済募集人の氏名・名称が記載されているか。

オ 利用者に対する契約概要・注意喚起情報の交付状況

役員等が、契約概要・注意喚起情報を利用者に対し書面で交付しているか。

③ 利用者のニーズに関する情報の収集

共済募集人は、意向確認書面を作成するために必要となる利用者のニーズに関する情報(上記②ア及びウ(イ))の収集に、できる限り努めることとされているか。

(注) 利用者のニーズに関する情報については、個人情報の保護に関する法律など関係法令等を遵守すること。

④ 意向確認書面の記載方法

意向確認書面は利用者にとって分かりやすい記載とされているか。

なお、利用者のニーズに関する情報については、例えば、当該書面に予め想定される利用者のニーズに関する情報の項目を列挙するといった方法も認められるが、その場合は、予め想定できない利用者のニーズに関する情報(上記②ウ)を記載するため、特記事項欄等を設けるものとする。

⑤ 意向確認書面の確認・交付時期

意向確認書面により共済契約を締結するまでに、利用者が申込みを行おうとしている共済商品の仕組みが利用者のニーズと合致しているか否かの確認を行っているか。

また、利用者が確認した意向確認書面は、利用者が確認後、遅滞なく利用者へ交付しているか。

なお、利用者が即時の契約締結を求めている場合など当該書面の即時の交付が困難な場合は、利用者の利便性を考慮し、意向確認書面に記載すべき内容を口頭にて確認の上、意向確認書面を事後に遅滞なく交付することでも足りる。

⑥ 意向確認書面の記載内容の確認・修正

意向確認書面の記載内容のうち、特に利用者のニーズに関する情報(上記②ア及びウ)については、利用者に対して事実に反する記載がないかを確認するとともに、利用者から当該部分の記載の修正を求められた場合には、速やかに対応を行うこととされているか。

⑦ 仕組内容に関するニーズの確認

利用者が申込みを行おうとする契約内容のうち、利用者が自らのニーズに合致しているかの確認を特に必要とする事項(主契約や特約ごとの具体的な保障(補償)内容、共済掛金(共済掛金払込方法、共済掛金払込期間を含む。)及び共済金額、共済期間など)については、意向確認書面に確認のための設問を設ける等の方法により、利用者に対して再確認を促すような工夫がされているか。

⑧ 意向確認書面の媒体等

意向確認書面については、利用者における保存の必要性を考慮し、原則として書面により交付することとされているか。なお、必ずしも独立した書面とする必要はないが、他の書面と同一の書面とする場合には、意向確認書面に該当する部分を明確に区別して記載する必要があることに留意すること。

また、当該書面は共済募集人と利用者の双方が確認するために交付される書面であることから、組合においても当該書面等を事後的に確認できる方法により保存することとされているか。

(注) 電子メール等の電磁的方法による交付を行う場合は、利用者の了解を得ていること並びに印刷又は電磁的方法による保存が可能であることが必要である。

⑨ 利用者が意向確認書面の作成及び交付を希望しない場合の対応

利用者が当該書面の作成及び交付を希望しない場合は、利用者に対して、当該書面の役割(契約の申込みを行おうとする共済商品の仕組みが利用者のニーズに合致するか否かを共済募集人・利用者の双方が確認するための書面であること等)を書面等により説明するとともに、事後に利用者が意向確認書面の作成・交付を希望しなかったことが検証できる態勢となっているか。

⑩ 意向確認書面の作成及び交付については、共済商品の仕組みの特性や共済

募集方法の状況の変化に応じて、また、利用者からの苦情・相談の内容を踏まえながら、その記載事項や記載方法、収集すべき利用者のニーズに関する情報及びその収集方法等について検証のうえ、必要に応じ見直しを行うこと等適切な措置が講じられているか。

⑪ 意向確認書面の適用

意向確認書面については、

ア 特に利用者のニーズを確認する必要性が高いと考えられる共済商品の仕組みであって、

イ かつ、共済募集人が共済募集を行うに際し、共済募集人と利用者が共同のうえ相互に利用者のニーズに関する情報の交換をする共済募集

に該当する場合について適用される。

(注1) 上記アに該当する共済商品の仕組みとしては、以下のものが考えられる。

・ 生命共済

・ 傷害共済(共済期間が1年を超えるもの(契約締結に際し、共済契約者又は被共済者が告知すべき重要な事実若しくはその事項に被共済者の過去における健康状態その他心身の状況に関する事実・事項を含まないものを除く。))

(注2) 上記イに該当しない共済募集とは、例えば、共済商品の仕組みの特性からその仕組みが極めて単純であることにより、共済募集人と利用者が共同のうえ相互に利用者のニーズに関する情報の交換をしなくとも、契約概要・注意喚起情報等の書面における記載及び共済募集人による当該共済商品の仕組みの説明により、利用者が自らニーズに合致するか否かを判断できる共済募集形態をいう。

⑫ 上記⑪以外の共済商品の仕組みにおける利用者のニーズの確認

必ずしも意向確認書面の作成・交付を要しない場合についても、以下のような措置により利用者のニーズに合致した共済商品の仕組みの共済募集が行われているか。

ア 契約の申込みを行おうとする共済商品の仕組みが利用者のニーズに合致しているものかどうかを、利用者が契約締結前に確認する機会を確保するために、内部規則等が適切に定められているか。

(注) 内部規則等を定めるに当たって、次の点に留意しているか。

(ア) 共済商品の仕組みの複雑性、共済期間の長短、共済掛金や共済金額の多寡、共済募集方法等を考慮した内部規則等となっているか。

(イ) 利用者が申込みを行おうとする契約内容のうち、利用者自らのニーズに合致しているかの確認を特に必要とする事項について、利用者に対して、再確認を促すような方法が定められているか。利用者が自らのニーズに合致しているかの確認を特に必要とする事項とは、共済種類ごとに、例えば、以下の項目が考えられる。

・ 自動車共済

運転者年齢限定保障特約、車両条項の契約条件など

・ 火災共済、風水害等共済

共済の目的、保障(補償)対象の評価方法(新価・時価)など

(ウ) 事後的に共済募集の適切性を検証しうるものとなっているか。

イ アの内部規則等に基づいて業務が運営されるための十分な体制が整備されているか。

⑬ 利用者が、共済商品の仕組みの内容を誤解していること等が明らかな場合の対応

利用者が共済商品の仕組みの内容等について、理解していない又は誤解していることが明らかである場合は、より分かりやすい説明又は誤解の解消に努めることとされているか。

(14) 規則第174条第1項に規定する措置に関し、共済契約の申込みを受けるに当たり、利用者に対して契約内容の確認を求めるとともに、例えば、申込書の写しや申込内容を記載した書面等を利用者に交付する等の体制が整備されているか。

(注) 非対面の方式により共済契約の申込みを受ける場合は、次のような点に留意すること。

① 例えば、郵便の場合は書面への記載、電話の場合は口頭、インターネット等の場合は電磁的方法による表示により、利用者に対して共済契約の内容の確認を求めること。

② 申込書の写しや申込内容を記載した書面等を利用者に交付することが困難な場合は、申込後遅滞なく郵送等の方法により交付すること。

(15) 規則第174条第1項に規定する措置に関し、トンチン性の高い共済商品については、組合が利用者に対して、その仕組みの特性について十分説明を行うための体制が整備されているか。

(注) トンチン性とは、死亡者の持分が生存者に移ることにより、生存者により多くの給付が与えられる割合のこと。

Ⅱ―3―6―2 共済金等支払管理態勢

(1) 意義

共済金等の支払いは、組合の基本的かつ最も重要な機能であることから、共済金等支払事務が適時・適切に実施できるための支払管理態勢を構築しておくことが重要である。

(2) 主な着眼点

① 共済金等の支払いに係る理事の認識及び理事会の役割

ア 理事会は、適切な共済金等支払管理態勢の構築に係る方針を明確に定めているか。

イ 理事は、適時・適切な共済金等の支払いが健全かつ適切な事業運営の確保に重大な影響を与えることを十分認識しているか。

ウ 理事会は、共済金等の支払いに係る業務全般を管理する部門(以下「支払管理部門」という。)を設置するなど、共済金等支払管理を統合的に管理できる体制を整備しているか。また、上記の体制においては、例えば共済金等支払管理に関連する各部門の間で相互牽制等の機能が十分発揮されるものとなっているか。

なお、組織体制については、必要に応じ随時見直し、支払管理態勢の構築に係る方針の変更や支払管理手法にあわせて改善を図っているか。

エ 理事会は、共済金等の支払査定基準の改廃などの共済契約者等の保護に重大な影響を与えるものについて、十分な検討を行っているか。

また、上記以外の支払管理のための規定についても理事会等への報告が行われた上で整備しているか。

オ 理事会は、点検・内部監査等を適切に活用し、支払いに係る苦情情報や訴訟事案など共済契約者等の利益に重大な影響を与える事案を含めた共済金等の支払及び不払状況(件数、内容等を含む。)について定期的に報告を受け、原因分析に基づいた必要な意思決定や指示を行うなど、把握された支払関係情報を業務の執行及び管理態勢の整備等に活用しているか。

また、理事は、利用者からの支払関係の苦情への対応について、支払管理部門任せとするのではなく、適時・適切に報告を受けることなどにより実態把握を行い、必要な意思決定や指示によって対策を講じることとしているか。

カ 理事は、適切な共済金等の支払管理態勢を構築するため、業務に精通した人材を所要の部署に確保するための人事及び人材育成並びにシステムの構築、規程・マニュアル・帳票類等の支払事務に係る手続・書式の整備等についての方針を明確に定めているか。

キ 理事会は、共済金等の支払いに係る適切な業務運営が行われるよう、経営資源の配分を適切に行っているか。また、共済金等の支払管理が適切に行われているかどうか確認しているか。

② 共済金等支払管理に関与する管理者の認識及び役割

ア 支払管理部門の長及び支払管理に責任を有する理事(以下「共済金等支払管理者」という。)は、適切な支払管理態勢の構築の重要性を理解・認識しているか。

また、共済金等支払管理者は、部門の担当者に適切な支払管理態勢の構築の重要性を理解・認識させるための適切な方策を講じているか。

イ 支払管理部門は、仕組開発部門、事業推進部門やシステム部門等の関連する部門(以下「関連部門」という。)や事業拠点等に対して適切な支払管理態勢を構築するために必要な管理・指導を行っているか。

ウ 共済金等支払管理者は、支払管理に係る規程・マニュアル・帳票類・支払査定基準等の支払事務に係る手続・書式について、見直し・改善するよう適切な方策を講じているか。

エ 共済金等の支払事由が発生した場合には、利用者保護、利用者利便の視点に立った迅速かつ適切な共済金等請求手続の説明、共済金等請求書類の交付、損害調査、事実の確認や利用者対応等が行われるような態勢が整備されているか。

特に、損害調査に際しては、関係当事者及び第三者の名誉、信用、プライバシー等の権利が不当に損なわれることのないような態勢が整備されているか。

オ 共済金等支払管理者は、職員を長期間にわたり同一部署の同一業務に従事させることのないよう、人事ローテーションを確保しているか。やむを得ない理由により、長期間にわたり同一部署の同一業務に従事している場合は、事故防止のためその他の適切な方策を講じているか。

カ 支払管理部門は、共済金等の支払いに係る問題を把握した場合に、関連部門と連携し、十分な原因分析を踏まえた適切な改善策を講じているか。また、その状況について理事会等に報告しているか。

③ 支払査定担当者の人材育成及び査定能力の維持・向上

ア 共済金等支払管理者は、専門性を持った支払査定担当者の確保のための長期的な展望に基づく人材育成策を策定しているか。

イ 共済金等支払管理者は、支払査定能力を維持・向上させるための方法・体制を整備しているか。

特に、適切な支払査定を支払査定担当者が行えるよう、医学的知識の習得、共済事業規約・特約条項の理解の向上等を図ることを確保するために、一定の研修及び効果測定等の義務付けその他の方策を講じているか。

また、医学の進歩や医療の変化等に対応して、教育・研修内容の見直しを適時・適切に行っているか。

④ 関連部門との連携

ア 支払管理部門と関連部門は密接な連携を図ることによって、支払時のみならず、共済募集や苦情・紛争処理への適切な対応が行われるような態勢となっているか。

イ 共済商品の仕組みの開発・改訂に当たっては、仕組開発部門をはじめとする関連部門は、支払管理部門と適切なスケジュール管理のもと、検討事項を十分に確認した上で、遺漏を防止するためのチェックシート等を活用し、検討を行っているか。特に、共済事業規約の解釈について、仕組開発部門、支払管理部門、コンプライアンス担当部門等において十分な検討が行われているか。また、その結果が、支払査定基準、査定マニュアル、パンフレット等に適切に反映されているか。

なお、検討内容等について、理事会等及び共済金等支払管理者に対して、必要に応じ随時報告を行っているか。

ウ 支払管理部門は、支払査定を行う過程において把握したコンプライアンス上の問題について、コンプライアンス担当部門に報告する態勢となっているか。

また、支払管理部門は、必要に応じて、コンプライアンス担当部門及び関連部門から共済募集時の説明状況等について情報を取得する態勢となっているか。

エ 共済事業規約所定の支払事由に該当しないケース、例えば、支払対象外の手術や1回の入院についての支払日数の限度超過等の請求に関する苦情に対しては、支払管理部門と関連部門は相互連携して、苦情の発生原因を分析した上で防止するような対応策を検討しているか。

オ 共済金等支払いに係るシステム構築においては、以下の点に留意した態勢が整備されているか。

(ア) 支払管理部門及びシステム部門をはじめとする関連部門は、連携の上、理事会で定められた方針に基づき、適切な共済金等支払管理態勢の確立に向けてのシステム構築を行っているか。

(イ) 共済商品の仕組みの開発・改訂時において、支払管理部門及び関連部門は相互連携して、適切に支払いが行えるようシステム設計、プログラム設計及びテストを実施しているか。また、システム開発後において、当該システムが問題なく機能しているか確認する態勢となっているか。

上記のほか、共済商品の仕組みの開発等に係る支払システム開発時のチェック及びシステム開発後のチェック・管理については、「Ⅱ―3―12 システムリスク管理態勢」も参照すること。

カ 支払管理部門及び仕組開発部門をはじめとする関連部門は、理事会等及び共済金等支払管理者に対して、支払管理に関わる経営に重大な影響を与える情報を網羅し、分かりやすくかつ正確に報告しているか。

⑤ 支払管理部門における態勢整備

ア 支払管理部門の職員は、共済金等の支払いが組合の基幹業務であることを理解・認識し、適切な共済金等支払管理態勢の構築及び確立に向けた取組を不断に行う態勢となっているか。

また、支払管理部門は、共済金等支払業務のみならず、例えば共済募集、事故連絡受付及び請求手続並びに苦情・相談への対応などを含むすべての利用者対応を踏まえた取組が必要であることに留意しているか。

イ 支払管理部門においては、支払査定の判断や査定結果の妥当性の事後検証に当たって、必要に応じて外部の専門家の意見を反映させているか。また、利用者からの苦情について、利用者の視点に立った分析を行うことなどにより、適切な支払管理態勢の構築及び確立に役立てているか。

ウ 支払管理部門の職員それぞれの役割及び権限は明確となっているか。例えば、決裁権限規定においては、共済金等の金額や支払い又は支払い否とで合理的な差異が設けられているか。

エ 共済金等の支払事由が発生した場合には、利用者保護、利用者利便の視点に立った迅速かつ適切な共済金等請求手続の説明、共済金等請求書類の交付、損害調査、事実の確認や利用者対応等が行われるような態勢が整備されているか。

特に、損害調査に際しては、関係当事者及び第三者の名誉、信用、プライバシー等の権利が不当に損なわれることのないような態勢が整備されているか。

オ 反社会的勢力などからの不当な請求等に対しては、ゆるぎない対応に遺漏ないようにしているか。

また、モラルリスク排除・抑制のため効果がある方法を採用する体制の整備により、契約審査及び支払審査態勢の強化を図っているか。

カ 共済金等の請求及び支払いに当たっては、センシティブ情報を取り扱うことを踏まえ、利用者に関する情報の管理について、具体的な取扱基準を定めた上で役員等に周知徹底しているか。

キ 共済募集、事故連絡受付、共済金等請求時においては、以下の点に留意した態勢が整備されているか。

(ア) 支払管理部門は関連部門と連携して、共済募集や事故連絡受付などのそれぞれの利用者対応時において、共済金等の請求手続き等に関して、十分かつ分かりやすい説明や請求漏れを未然に防止するための方策を講じているか。例えば、ホームページへの掲載のほか、共済金等の支払いに関する説明資料を作成し、共済契約者又は共済金受取人等へ配付することによる情報提供の充実を図っているか。

なお、当該説明資料の記載内容については、少なくとも利用者からの照会に対応する窓口が明記される必要があるほか、共済金等が支払いとなる場合や支払われない場合の具体的事例などが記載されることが望ましい。

(イ) 共済契約者等に対して支払われる共済金等の種類について、書面等で分かりやすく案内が行われているか。また、満期共済金、解約返戻金(消滅時に支払われることとなる返戻金を含む。)等に関する共済契約者等への適切な通知が行われているか。

(ウ) 共済金請求書等の帳票類については、共済商品の仕組みが多様化していることなどを踏まえ請求漏れを未然に防止するとともに、分かりやすい内容となるよう見直しを適時・適切に行っているか。

(エ) 共済金受取人等が共済金等の請求を行えない場合、当該受取人等に代わる代理人等が請求することができるような手続を整備しているか。

ク 総支払額が確定する前に共済金の一部を支払う、いわゆる内払いを行う場合の組合の対応について、被共済者間や被害者間の公平性の確保の観点から、マニュアル・規程等に、内払いに係る手続きを定め、内払いを行う場合を例示するなど、被共済者のニーズのみならず被害者のニーズにも留意し、適切に対応する態勢整備を図っているか。

ケ 支払査定時においては、以下の点に留意した態勢が整備されているか。

(ア) 共済金等の支払可否の判断に当たっては、立証責任が組合側にあるか、請求者側にあるかにかかわらず、事実関係の調査・確認を十分に行う態勢となっているか。

(イ) 高度な法的判断又は医的判断を要するものについては、支払管理部門の担当者のみで判断せず、必要に応じて外部の専門家の見解を求める態勢となっているか。

(ウ) 支払査定基準や支払事務に係る手続等を規定したマニュアル・規程等に基づいて、適切な支払査定が行われる態勢となっているか。

(エ) 示談交渉サービスを行う場合には、共済契約者保護のみならず被害者保護にも留意し、特に交渉相手が個人である場合には、相手方の主張をよく聞くとともに、丁寧かつ分かりやすい説明を行う等、十分に配慮して交渉を行うような態勢となっているか。

(オ) 同一の共済事故において、支払事務を異なる職員が担当する場合に、職員間の相互連携が図られる態勢となっているか。

(カ) 共済金等の支払可否の判断に影響を与える判例等の動向を遺漏なく把握すべく態勢を整備しているか。

(キ) 支払査定マニュアルの内容は体系的・網羅的なものとなっているか。

(ク) 管理者等が行う二次的なチェック態勢は十分なものとなっているか。

(ケ) 共済金等の支払い漏れ等をチェック・防止したり、支払いを促すようなシステム対応は十分なものとなっているか。

(コ) 共済契約者等保護の観点から、例えば、遅延利息の起算日や解除期限日などの期限の管理は適切に行われているか。

(サ) 支払管理部門は、共済金等の支払い漏れが無く迅速な共済金等の支払いが行われるよう、適切に進捗管理を行っているか。また、支払査定に際して確認を要する事項に関する調査を適切かつ遅滞なく行う等、共済金受取人等から請求を受けてから支払い(支払わないこととなる場合にはその旨の通知)に至るまでの所要日数の短縮を図るための方策を講じているか。

(シ) 支払管理部門は、共済金等を請求した共済金受取人等に対して、支払い(支払わないこととなる場合にはその旨の通知)までに時間を要する場合には、日数を要する理由、支払いの目途等について分かりやすく説明するなどの方策を講じているか。

コ 支払査定後においては、以下の点に留意した態勢が整備されているか。

(ア) 支払いに関する照会や不払い時の苦情申し出に対して、迅速かつ正確な対応を行う観点から、職員による適切な対応が行われるための方策を講じているか。

(イ) 共済金受取人等から支払査定の結果に関し苦情申し出があった場合等については、支払可否の判断の根拠となった事実関係等について再度の事実確認を実施する態勢となっているか。

(ウ) 例えば支払査定基準に基づき共済金等の算定を行っている場合に支払査定基準の内容に則して説明する等、利用者等の問い合わせに応じて共済金等の算定根拠を丁寧かつ分かりやすく説明しているか。また、算定根拠が明確なものとなっているか。

(エ) 支払い否となる場合については、共済約款等の根拠条文の記載を含めその理由となる説明が、共済金受取人等に対して分かりやすいものとなっているか。

(オ) 共済金を被共済者や損害賠償請求権者等ではなく修理業者や医療機関等に直接支払うこととしたが、組合の支払査定額と当該修理業者や医療機関等の請求額との間に差がある場合において、被共済者や損害賠償請求権者等の保護のために必要がある場合には、被共済者や損害賠償請求権者等にその事実を説明しているか。

(カ) 苦情等の受付及びその解決に向けた迅速な手続を規定した処理規程を整備しているか。

(キ) 共済金を被共済者や損害賠償請求権者等ではなく、物損に対して修理を行った事業者や、傷害に対して治療を行った医療機関等に直接支払う場合、これらの者からの照会や苦情に対しても、適切な対応に努めているか。

サ 支払管理部門においては、以下のような事後的なチェック態勢が整備されているか。

(ア) 共済金等支払管理者から権限委任されている事項について、適切な権限行使が行われているかを定期的に点検・監査するなどの管理が行われているか。

(イ) 複数の支払部門にまたがるような共済金等の支払いについて、支払い漏れ防止の観点から、各支払部門が相互に確認する体制を整備するなど、定期的にチェックを行う態勢となっているか。

(ウ) 支払共済金等について、共済金受取人等からの申し出により請求放棄等の処理がなされた事案が、真に適正な事務処理が行われたかどうかを事後的に検証できる態勢を整備しているか。

(エ) 支払い否とした理由を共済金受取人等に対して説明するためのモデル文書については、苦情・問い合わせ等を通じて把握した課題を踏まえ見直し・改善するような態勢となっているか。また、実際に送付された支払を否とする通知について、当該内容について検証する態勢となっているか。

(オ) 支払い否とした事例について内容を分析し、分析結果を共済金等の支払いを適切に行うための対応策や態勢整備等に役立てているか。

(カ) 不払いに関する苦情については、当該不払いを決定した支払担当部門のみで処理するのではなく、最終的にはコンプライアンス担当部門などの他部門で当該苦情処理が適切に処理されたかどうかを検証する態勢となっているか。

(キ) 支払管理態勢の一層の強化の観点から、例えば、外部専門家による支払査定の妥当性の事後検証の仕組み等を整備しているか。

シ 共済契約者その他の利用者が、組合の業務状況を適切に判断できるように、共済金等を支払い否とした件数・内容や苦情等に関する情報等の積極的な情報開示に取り組むことが望ましい。

ス 共済約款等に定めた重大事由による解除を行う場合には、当該重大事由を知り、又は知り得るに至った後は、合理的な期間内に共済契約者に通知が行われるような態勢が支払管理部門又は関連部門において整備されているか。

⑥ 内部監査

ア 理事会は、内部監査が適切な共済金等支払管理態勢を確立することに重大な影響を与えることを十分認識しているか。

イ 内部監査部門は、支払管理部門をはじめとする被監査部門等に対して十分牽制機能が働く独立した体制となっているか。また、被監査部門等から不当な制約を受けることなく監査を実施しているか。