添付一覧
注意 ・手数料について
手数料は変更になることがありますので、あらかじめ都道府県薬務主管課又は保健所に確認してください。
薬局における麻薬管理マニュアル
平成23年4月
厚生労働省医薬食品局
監視指導・麻薬対策課
[薬局における麻薬管理マニュアル]
第1 麻薬小売業者の免許
薬局で麻薬を調剤するには、麻薬小売業者の免許を取得することが必要です。
1 麻薬小売業者(麻薬及び向精神薬取締法(以下「法」という。)第2条)
麻薬小売業者とは、都道府県知事の免許を受けて麻薬施用者が発行した麻薬を記載した処方せん(以下「麻薬処方せん」という。)に基づき調剤した麻薬を譲り渡すことを業とする者です。
麻薬施用者:都道府県知事の免許を受けて、疾病の治療の目的で、業務上麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付する者です。
(1) 免許の申請(法第3条)
麻薬小売業者の免許申請を行う際には、次の書類等が必要です。
① 麻薬小売業者免許申請書
② 心身の障害があっても麻薬小売業者の業務を適正に行うことができ、麻薬中毒者又は覚せい剤の中毒者ではない旨の診断書(法人の場合は、業務を行う役員全員の診断書)
③ 薬局開設許可証の写し
④ 申請者が法人又は団体であるときは、麻薬関係業務を行う役員についての組織図(代表者の記名押印により証明されたもの)
[麻薬関係業務を行う役員について(例)]
ア 合名会社…定款に別段の定めのないときは社員全員
イ 合資会社…定款に別段の定めのないときは無限責任社員全員
ウ 株式会社(特例有限会社を含む。)…代表取締役及び「麻薬及び向精神薬取締法」の免許に係る業務を担当する取締役
エ 民法法人…理事全員
(2) 免許の有効期間(法第4条・第5条)
免許の有効期間は、免許の日から翌年の12月31日までです。
免許証を他人に譲渡し、又は貸与することはできません。
引き続き業務を行う場合は、事前に申請を受け付けします。
(3) 業務廃止等の届出(法第7条)
免許証の有効期間中に麻薬に関する業務を廃止したとき、又は薬局の廃止等で麻薬免許の絶対的要件(法第3条第2項第5号)となる資格を失ったときは、15日以内に麻薬小売業者免許証を添えて「麻薬小売業者業務廃止届」により都道府県知事に届け出なければなりません。また、開設者が死亡、又は法人が解散した場合の「麻薬小売業者業務廃止届」は、相続人等届出義務者が都道府県知事に届け出なければなりません。
(4) 免許証の返納(法第8条)
免許証の有効期間が満了したとき、又は免許を取り消されたときは、15日以内に「麻薬小売業者免許証返納届」により免許証を都道府県知事に返納しなければなりません。
(5) 免許証の記載事項の変更届(法第9条)
免許証の記載事項に変更が生じたときは、免許証を書き換える必要がありますので、15日以内に「麻薬小売業者免許証記載事項変更届」により、麻薬小売業者免許証を添えて、都道府県知事に届け出なければなりません。
※ 記載事項変更届は、住所、氏名、業務所の名称の変更に限られます。業務所(薬局)の移転や法人化する場合には、いったん、業務を廃止し、新たに免許を取得する必要があります。
※ 地番変更や市町村の合併、分割などに伴う住所の変更について届は必要ありません。
(6) 免許証の再交付(法第10条)
麻薬小売業者は、免許証をき損し、又は亡失したときは15日以内に「麻薬小売業者免許証再交付申請書」により、その事由を記載し、かつ、き損した場合にはその免許証を添えて都道府県知事に、免許証の再交付を申請しなければなりません。
また、免許証の再交付を受けた後、亡失した免許証を発見したときは、15日以内に「麻薬小売業者免許証返納届」によりその免許証を添えて返納しなければなりません。
なお、再交付の申請時に、手数料が必要です。
第2 譲受け・譲渡し
1 譲受け(法第24条・法第26条・法第32条)
① 麻薬小売業者が麻薬を購入できる相手先は、同一都道府県内の麻薬卸売業者に限定されています。
② 麻薬卸売業者から麻薬を譲り受けるときには、麻薬譲渡証及び麻薬譲受証の交換が必要です。麻薬譲受証をあらかじめ麻薬卸売業者に交付するか、あるいは麻薬譲渡証と同時交換でなければ麻薬を受け取ることはできません。
③ 麻薬譲受証には、免許番号、免許の種類、譲受人の氏名(法人にあっては名称、代表者の職名及び氏名)、麻薬業務所の所在地・名称、譲り受けようとする麻薬の品名・数量等必要事項を記載し、押印(法人にあっては代表者印又は麻薬専用印(他の用務と併用する印は認められません。ただし、覚せい剤原料の印を除く。)してください。
また、余白部分には、斜線を引くか又は「以下余白」と記載してください。
④ 麻薬譲受証は、麻薬小売業者の責任において作成してください。
⑤ 麻薬卸売業者から麻薬を受ける場合は、麻薬卸売業者の立会いの下に、
◎ 麻薬譲渡証の記載事項及び押印等に不備はないか。
◎ 麻薬譲渡証の品名、数量、製品番号と現品が相違しないか。
麻薬の数量の確認は必ずしも開封して行う必要はありません。実際に使用する段階で開封した時には数量を確認し、不足、破損等を発見した場合は、麻薬小売業者が麻薬事故届を都道府県知事に提出してください。
◎ 麻薬の容器には証紙による封が施されているか。
を確認してください。
両者立会いで証紙を開封し、麻薬の破損等を発見した場合は、麻薬小売業者は麻薬譲渡証を返し、麻薬卸売業者から麻薬譲受証の返納を受け、譲渡の対象となった麻薬を麻薬卸売業者が持ち帰りますが、この場合、麻薬卸売業者が麻薬事故届を提出することになります。
⑥ 麻薬譲渡証の保存は交付を受けた日から2年間です。麻薬譲渡証を万一紛失又はき損した場合は、理由書等(き損した場合は、麻薬譲渡証を添付)を取引のあった麻薬卸売業者に提出し、再交付を受けてください。
なお、紛失した麻薬譲渡証を発見したときは、すみやかに麻薬卸売業者に返納してください。
⑦ 麻薬小売業者が麻薬卸売業者の業務所から遠隔地にある場合等は、麻薬を麻薬卸売業者から書留便等の郵送により譲り受けることは差し支えありません。麻薬卸売業者の業務所に直接出向いて麻薬を購入することは、事故等を生じ易いのでできるだけ避けてください。緊急時等やむを得ず麻薬卸売業者の業務所に直接出向いて麻薬を購入する時は、必ず互いに麻薬取扱者免許証等を提示して、身分確認を行ってください。
⑧ 麻薬の交付を受けた患者、又は患者の家族から不要になった麻薬を譲り受けた場合、譲り受けた麻薬をその都度、若しくはある程度まとまった段階で、管理薬剤師が他の従事者の立ち会いの下で廃棄し、廃棄後30日以内に「調剤済麻薬廃棄届」を都道府県知事に提出してください。(法第24条第1項・第35条第2項)
2 譲渡し<患者への交付>(法第24条第10項・法第25条)
麻薬小売業者は、麻薬処方せんの交付を受けた者に対し、その処方せんにより調剤した麻薬を交付する以外に麻薬を譲渡することはできません。また、麻薬卸売業者へ返品することもできません。
※ 次項の麻薬小売業者間譲渡許可(法第24条第11項)による麻薬小売業者への譲渡しは可能です。しかし、薬局、病院、診療所等の間の貸し借りは絶対にしてはいけません。譲渡・譲受違反となります。(同一開設者が開設する薬局間においても同様です。)
麻薬小売業者は、患者の病状等の事情により、患者が麻薬を受領することが困難と認める場合には、麻薬処方せんの交付を受けた患者又はその看護に当たる家族等の意を受けた患者の看護にあたる看護師、ホームヘルパー、ボランティア等に麻薬を手渡すことができます。その際、不正流通等防止のため、看護師等が患者等の意を受けた者であることを書面、電話等で確認してください。
さらに、患者が交付された麻薬を指示どおり服薬していることを、患者又は患者の家族等を通じて随時確認してください。
また、麻薬注射剤を患者に交付するときで、患者又は患者の看護に当たる家族等に直接手渡す際には、薬液を取り出せない構造で麻薬施用者が指示した注入速度(麻薬施用者が指示した量及び頻度の範囲内で患者が痛みの程度に応じた追加投与を選択できる「レスキュー・ドーズ」として注入できる設定を含む。)を変更できないものにしてください。ただし、患者等の意を受け、さらに麻薬施用者から医療上の指示を受けた看護師が患者宅へ麻薬注射剤を持参し、患者に施用を補助する場合(麻薬小売業者が患者宅へ麻薬注射剤を持参し、麻薬施用者から医療上の指示を受けた看護師に手渡す場合を含む。)はこの限りではありません。
なお、麻薬小売業者が患者等の意を受けた看護師等に麻薬を手渡した時点で、患者へ麻薬を交付したことになります。
3 麻薬小売業者間譲渡許可(法第24条第11項)
2以上の麻薬小売業者は、次に掲げるすべての要件を満たす場合に限り、共同して、麻薬の譲渡しの許可を申請することができます。
① いずれの麻薬小売業者も、共同して申請する他の麻薬小売業者がその在庫量の不足のため麻薬処方せんにより調剤することができない場合に限り、当該不足分を補足するために麻薬を譲り渡そうとする者であること
② いずれの麻薬小売業者も、当該免許に係る麻薬業務所の所在地が同一の都道府県の区域内にあること
なお、許可業者にあっては、麻薬施用者が発行する麻薬処方せんによる調剤を円滑に行うことができるよう、地域の実情に応じ、それぞれ必要な麻薬を備蓄してください。
(1) 許可の申請
麻薬小売業者間譲渡許可の申請にあたっては、次の事項を記載した申請書を、当該麻薬小売業者の麻薬業務所の所在地を管轄する地方厚生(支)局麻薬取締部に共同で提出してください。
① 申請者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地)
② 免許証の番号及び免許年月日
③ 麻薬業務所の名称及び所在地
④ 期間を限定して許可を受けようとする場合には、その期間
⑤ いずれの申請者も、他の申請者がその在庫量の不足のため、麻薬処方せんにより調剤することができない場合に限り、当該不足分を補足するために麻薬を譲り渡す旨
(2) 許可の有効期間
許可の有効期間は、許可の日からその日の属する年の12月31日か、又は期間を限定して許可をした場合には当該期間の最後の日の、いずれか早い日までです。有効期間が満了したときに、許可は失効します。有効期間内においては、譲渡の回数に制限はありません。
(3) 許可の変更届
許可業者は、許可の有効期間内において、許可業者のいずれかに係る麻薬小売業者の免許が失効した時、又は許可業者の氏名(法人にあっては、その名称)、住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)若しくは麻薬業務所の名称等に変更を生じたときは、速やかに、その旨を記載した「麻薬小売業者間譲渡許可変更届」に麻薬小売業者間譲渡許可書を添えて、当該麻薬小売業者の麻薬業務所の所在地を管轄する地方厚生(支)局麻薬取締部に共同して届け出なければなりません。
また、許可の有効期間内に、許可業者以外の麻薬小売業者を含め、麻薬小売業者間で麻薬の譲渡・譲受を行おうとする場合は、新たな麻薬小売業者間譲渡許可を共同して申請しなければなりません。
なお、いずれかの許可業者が業務所の所在地を変更したこと等により、麻薬小売業者の免許が失効し、新たな麻薬小売業者の免許を受け、かつ、同じ麻薬小売業者間で麻薬の譲渡・譲受を行おうとする場合も同様です。
(4) 許可書の再交付
許可業者は許可書を毀損し、又は亡失したときは、速やかに、「麻薬小売業者間譲渡許可書再交付申請書」により、その事由を記載し、かつ、毀損した場合には当該許可書を添えて、当該麻薬小売業者の麻薬業務所の所在地を管轄する地方厚生(支)局麻薬取締部に許可書の再交付を申請しなければなりません。
また、許可書の再交付を受けた後、亡失した許可書を発見したときは、その発見した許可書を、速やかに地方厚生(支)局長に返還しなければなりません。
(5) 許可書の返納
許可業者は、麻薬小売業者間譲渡許可に基づく譲渡・譲受を行わない場合には、「麻薬小売業者間譲渡許可書返納届」により、当該麻薬小売業者の麻薬業務所の所在地を管轄する地方厚生(支)局麻薬取締部に、麻薬小売業者間譲渡許可書を共同して返納してください。
(6) 留意事項
① 許可業者は、麻薬小売業者間譲渡許可書を、許可を受けた日から3年間保存してください。
② 本許可に基づく譲渡にあっては、証紙による封が施されているか否かを問わず、譲渡が可能です。
③ 許可業者は、当該許可により他の許可業者に麻薬を譲り渡す場合には、麻薬処方せんの写し及び譲受人が作成した譲受確認書の交付を受けた後、又はこれと引換えに麻薬を交付し、同時に自らが作成した譲渡確認書を麻薬の譲受人に交付してください。
④ 麻薬処方せんの写し及び譲渡確認書又は譲受確認書は、交付を受けた日から2年間保存してください。
⑤ 同時期に2以上の麻薬小売業者間譲渡許可を受けないでください(ただし、許可書を返納した場合を除く)。
⑥ 麻薬の交付は、事故の未然防止の観点から適切と考えられる場所で行ってください。
⑦ 麻薬の運搬は、それぞれの管理薬剤師又はその管理の下で業務に従事する者が行ってください。
⑧ 麻薬の交付を行う際は、譲渡側・譲受側の許可業者の双方が立ち会い、品名・数量、破損等の有無を直接確認してください。
⑨ 譲渡側の許可業者は、譲受側の許可業者が受領した麻薬処方せんに基づく予製行為を行うことはできません。
4 業務廃止に伴う譲渡し等(法第7条・法第36条)
業務を廃止したり、法人が解散した際に所有している麻薬は、業務廃止後50日以内であれば同一都道府県内の他の麻薬営業者、麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者に譲り渡すことができます。この場合、譲り渡した日から15日以内に「麻薬譲渡届」を都道府県知事に提出することが必要です。
また、譲り渡さない場合は、50日以内に「麻薬廃棄届」を都道府県知事に提出して、麻薬取締職員又は保健所職員(麻向法第50条の38に規定する職員)の立会いの下に廃棄しなければなりません。
薬局の開設者が死亡した場合、相続人等の届出義務者が同様に届け出なければなりません。
第3 管理・保管(法第34条)
(1) 麻薬小売業者は、その業務所における麻薬の譲受け、保管、交付等の管理を薬剤師である麻薬小売業者(薬局開設者)が自ら行うか、若しくは管理薬剤師に行わせる必要があります。
(2) 麻薬小売業者が所有する麻薬は、薬局内に設けた鍵をかけた堅固な設備内に保管しなければなりません。
なお、「鍵をかけた堅固な設備」とは、麻薬専用の固定した金庫又は容易に移動できない金庫(重量金庫)で、施錠設備のあるものをいいます。(手提げ金庫、スチール製のロッカー、事務机の引き出し等は麻薬の保管庫とはなりません。)
(3) 麻薬の保管庫の設置場所は、薬局、調剤室、薬品倉庫等のうち、盗難防止を考慮し、人目につかず、関係者以外の出入がない場所を選ぶことが望まれます。
(4) 麻薬保管庫内には、麻薬以外の他の医薬品、現金及び書類(麻薬帳簿を含む)等を一緒に入れることはできません。(麻薬の出し入れを頻回に行う施設等にあって、1日の間の麻薬の出し入れを管理するための書類を除く。)
(5) 麻薬保管庫は、出し入れのとき以外は必ず施錠し、鍵を麻薬保管庫につけたままにしないでください。
(6) 定期的に帳簿残高と在庫現品を照合し、在庫の確認を行ってください。
第4 麻薬処方せんの受付(法第27条第6項)
(1) 麻薬処方せんの記載事項
① 患者の氏名、年齢(又は生年月日)、住所
② 麻薬の品名、分量、用法用量
③ 処方せんの使用期間(有効期間)
④ 処方せんの発行年月日
⑤ 麻薬施用者の記名押印又は署名
⑥ 麻薬施用者の免許番号
⑦ 麻薬施用者が処方を行った医療機関の名称及び所在地
※ ①患者の住所及び⑥麻薬施用者の免許番号については、一般の処方せんにはない項目ですので、麻薬処方せんを受け付ける場合は、必ず当該項目が記載されていることを確認してください。
(2) ファクシミリによる処方せんの取り扱いについて
ファクシミリにより送信された麻薬処方せんの処方内容に基づき麻薬の調製等を開始することは、一般薬と同じようにできます。後刻、実物の麻薬処方せんを受領し、内容を確認してから麻薬を交付してください。(患者等が受け取りに来ない場合、調剤前の麻薬として再利用できます。また、液剤等で再利用できず廃棄する場合は事前に麻薬廃棄届を都道府県知事に提出してください。)
(3) 不備又は不審な処方せんの取り扱い(薬剤師法第24条)
処方せん中に疑義がある場合、処方せんを交付した医師等に問い合わせ、疑義を確認した後でなければ、調剤できません。最近、処方せんをカラーコピーして偽造し薬局に持ち込むといった事件が頻発しており、注意が必要です。
(4) 麻薬処方せんの保存(薬剤師法第27条)
薬局開設者は、一般の処方せんと同様に、当該薬局で調剤済みとなった日から3年間保存してください。麻薬処方せんを一般の処方せんと分けて保存すると便利です。
(5) フェンタニル経皮吸収型製剤の慢性疼痛患者への処方
患者から麻薬処方せんと共に確認書の提示を受け調剤してください。確認書が確認できない場合には、処方医が講習を終了した医師であることを確認した上で調剤してください。
※ 医師は製造販売業者の提供する講習を受講
製造販売業者は講習を終了した医師に対し当該医師専用の確認書を発行
医師及び患者は処方時に確認書に署名
第5 記録・帳簿の記載(法第38条)
(1) 薬局に帳簿を備え、麻薬の受払いについて、次の事項を記載する必要があります。
① 譲り受け又は廃棄した麻薬の品名、数量及びその年月日
② 譲り渡した麻薬の品名、数量及びその年月日
(コデイン、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ及びこれらの塩類については、記載する必要はありません。)
③ 麻薬事故届を提出した場合は、届け出た麻薬の品名、数量及び事故年月日(届出年月日については備考欄に記載)
④ 廃棄した麻薬については、備考欄に届出年月日
(2) 帳簿の記載に当たっては、次の事項に注意する必要があります。
① 帳簿は、品名、剤型、規格別に口座を設けて記載してください。
例えば、麻薬の原末から10%散を予製した場合においては、10%散の口座を新たに作成して記載してください。
② 帳簿の形式としては、金銭出納簿形式のものが便利です。
なお、脱着式(ルーズリーフ等)の帳簿を使用しても差し支えありません。
③ 帳簿の記載には、万年筆、サインペン、ボールペン等の字が消えないものを使用してください。
④ 麻薬の受け払い等をコンピュータを用いて処理し、帳簿とする場合は、帳簿に麻薬取締職員等の立会署名等を必要とすることもありますので、原則として定期的に出力された印刷物を1ヶ所に整理し、立入検査等の際に提示できるようにしてください。
⑤ 帳簿の訂正は、訂正すべき事項を二本線等により判読可能なように抹消し、その脇に正しい数字等を書いてください。訂正した箇所に管理者等の訂正印を押してください。修正液や修正テープは使用しないでください。
(3) 記載の方法
譲受け又は譲渡しがあった都度記載することが原則です。記載内容等は、下記の項に従って記入してください。
① 麻薬卸売業者から譲り受けた麻薬の受入年月日は、麻薬卸売業者が作成した麻薬譲渡証に記載された年月日としてください。このほか備考欄には、購入先の麻薬卸売業者の名称及び製品の製品番号を記載してください。また、譲渡証の日付と納品日(到着日)が異なる場合、納品日(到着日)を備考欄に記載してください。
② 患者等からの譲受け
患者の死亡等の理由により患者の家族等から返却された麻薬についても品名、数量、年月日を帳簿、若しくは補助簿を作成して記載してください。
また、同じ日に複数の患者から返却があった場合は、個々に返却された数量が分かるように記載してください。
譲り受けた麻薬を廃棄する場合は、備考欄に廃棄年月日、調剤済麻薬廃棄届の提出年月日を記載し、廃棄の立会者が署名又は記名押印してください。
※ 外来患者から返却された麻薬はすべて廃棄してください。
③ 処方せんによる譲渡し
麻薬処方せんにより調剤した患者の氏名を備考欄に記載してください。(コデイン、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ及びこれらの塩類は、記載する必要はありません。)
④ 麻薬小売業者間譲渡許可による譲渡・譲受
麻薬小売業者間譲渡・譲受の相手方の名称を備考欄に記載してください。
⑤ 慢性疼痛患者へのフェンタニル経皮吸収型製剤の交付
慢性疼痛緩和の目的でフェンタニル経皮吸収型製剤を払い出す際には、麻薬帳簿の備考欄に、「画像15 (1KB)
」などと記載することにより、慢性疼痛緩和の目的での受け払いであることを明確にしてください。
(4) その他
定期的に帳簿残高と在庫現品との確認をすることが必要です。
なお、アヘンチンキ等の自然減量及びモルヒネ原末等の秤量誤差については、帳簿にその旨を記載し、備考欄に立会人が署名又は記名押印してください。
麻薬小売業者は、帳簿を最終の記載の日から2年間保存することが義務付けられています。
[様式ダウンロード]
第6 廃棄(法第29条・法第35条第2項)
麻薬を廃棄する場合は、麻薬の品名、数量等について、都道府県知事に「麻薬廃棄届」により届け出て、麻薬取締員等の立会いの下に行なわなければなりません。また、麻薬処方せんにより調剤された麻薬については、廃棄後30日以内に都道府県知事に「調剤済麻薬廃棄届」により届け出なければなりません。
1 廃棄の手続き
(1) 陳旧麻薬等の廃棄(法第29条)
古くなったり、変質等により使用しない麻薬、調剤ミスにより使えなくなった麻薬等を廃棄しようとするときは、あらかじめ「麻薬廃棄届」により、都道府県知事に届け出た後でなければ廃棄することはできません。廃棄は麻薬取締員等の指示に従ってください。
(2) 麻薬処方せんにより調剤された麻薬の廃棄(法第35条第2項)
麻薬処方せんにより交付された麻薬を、患者の死亡等により遺族等から譲り受けた場合は、麻薬小売業者(薬局開設者)自ら、若しくは管理薬剤師が、他の薬剤師又は職員の立会いの下に廃棄してください。
廃棄は、焼却、放流、酸・アルカリによる分解、希釈、他の薬剤との混合等、麻薬の回収が困難で適切な方法によってください。
また、廃棄後30日以内に「調剤済麻薬廃棄届」により都道府県知事に届け出てください。
なお、30日以内であればその間の複数の廃棄をまとめて一つの届出書で提出しても差し支えありません。
さらに、麻薬帳簿にその旨を記載するか、廃棄用の補助簿を作成して記録する必要があります。
第7 麻薬の事故届(法第35条)
麻薬小売業者が所有している麻薬が、滅失、盗取、破損、流失、所在不明その他の事故が生じたときは、すみやかにその麻薬の品名及び数量その他事故の状況を明らかにするために必要な事項を「麻薬事故届」により都道府県知事に届け出てください。
届出に当たっては、次の事項に留意してください。
① 麻薬を盗取された場合には、すみやかに警察署にも届け出てください。
② 麻薬事故届を提出した場合には、帳簿(受払簿)の備考欄にその旨記載し、麻薬事故届の写しを保管してください。
③ アンプル注射剤の事故に伴い、廃棄する必要がある場合、麻薬事故届にその経過を詳細に記入することで麻薬廃棄届、調剤済麻薬廃棄届の提出は必要ありません。
④ 麻薬小売業者間譲渡許可による譲渡・譲受において、麻薬の交付時までに破損等が確認された場合は、譲渡側の許可業者において事故届を提出することとし、交付後に破損等が確認された場合は、譲受側の許可業者において事故届を提出してください。
第8 年間報告(法第47条)
麻薬小売業者は、毎年11月30日までに、次の事項を「年間麻薬譲渡・譲受届」により都道府県知事に届け出なければなりません。
◎ 前年の10月1日に麻薬小売業者(薬局開設者)が所有していた麻薬の品名及び数量
◎ 前年の10月1日からその年の9月30日までの間に当該麻薬小売業者が譲り受け、譲り渡した麻薬の品名及び数量
◎ その年の9月30日に麻薬小売業者が所有していた麻薬の品名及び数量
届出に当たっては、次の事項に留意してください。
① 届出期間中に麻薬を所有していなかった場合であっても、「在庫なし」と届け出る必要があります。
② 年間報告の記載は、同じ品名のものでも含有量、剤型が異なれば、別品目として記載してください。
③ 譲り受け欄には、麻薬卸売業者から譲り受けた麻薬の数量と麻薬小売業者間譲渡許可に基づいて譲り受けた麻薬の数量の合計を記載してください。また、麻薬小売業者間譲渡許可に基づいて譲り受けた麻薬の数量の合計を内数として括弧書きで併記してください。
④ 譲り渡し欄には、麻薬処方せんを所持した者に譲り渡した麻薬の数量と麻薬小売業者間譲渡許可に基づいて譲り渡した麻薬の数量の合計を記載してください。また、麻薬小売業者間譲渡許可に基づいて譲り渡した麻薬の数量の合計を内数として括弧書きで併記してください。
⑤ 麻薬廃棄届により廃棄した数量及び事故のあった数量を備考欄に記載してください。
調剤済麻薬廃棄届により廃棄した数量は記載する必要はありません。
⑥ 年間届に誤りを発見した場合は、訂正する必要がありますので、早急に都道府県薬務主管課又は保健所に問い合わせてください。
第9 携帯輸出入(法第13条・法第17条)
患者が、自己の疾病の治療の目的で、麻薬を携帯して輸入若しくは輸出する場合は、事前に、次の事項を記載した申請書に疾病名、治療経過及び麻薬の施用を必要とする旨を記載した医師の診断書を添えて地方厚生(支)局長に提出しあらかじめ許可を受ける必要があります。
① 申請者の氏名、住所
② 携帯して輸入し、又は輸出しようとする麻薬の品名及び数量
③ 入国し、又は出国する理由
④ 麻薬の施用を必要とする理由
⑤ 入国又は出国の期間
⑥ 入国又は出国の港
詳細については、地方厚生局麻薬取締部「麻薬取締官」のホームページ等をご確認ください。
「麻薬取締官」のホームページアドレス http://www.nco.go.jp/shinsei5.html
なお、渡航先においては日本と異なる法規制を行っている場合があります。当該国への麻薬等の携帯輸入若しくは当該国からの携帯輸出の可否等不明な点がありましたら、各国の在日大使館等にお問い合わせ頂き、事前に許可等が必要な場合には、その許可等取得の手続きについても併せて問い合わせ、トラブル等の発生のないようご留意してください。
第10 手続き・事務処理便覧(詳細については解説を確認してください。)
事項 |
提出書類の名称 |
添付書類 |
備考 |
免許申請 |
麻薬小売業者免許申請書 |
①診断書(法人の場合は業務を行う役員全員分) ②業務を行う役員の範囲を示す書類(法人の場合のみ) ③薬局開設証の写 |
(1) 診断書 心身の障害があっても、麻薬小売業者の業務を適正に行うことができ、麻薬中毒者又は覚せい剤の中毒者でない旨の内容 (2) 手数料 (3) 免許の有効期間 免許を受けた日の属する年の翌年の12月31日まで (4) 免許の有効期間満了に伴い、引続き免許を受ける者については、毎年11月頃から受け付ける。 |
業務廃止 |
①麻薬小売業者業務廃止届 ②所有麻薬届 麻薬の在庫がある場合 ③免許失効による麻薬譲渡届又は麻薬廃棄届 |
麻薬小売業者免許証 |
(1) 提出期限 取扱いをやめた日から15日以内に届け出ること。 (2) やめた場合の麻薬の所持 廃止後50日以内に譲渡又は廃棄しなければならない。 譲渡した場合は、譲渡の日から15日以内に届け出ること。 |
免許証返納 |
麻薬小売業者免許証返納届 |
麻薬小売業者免許証 |
免許証の有効期間が満了し、又は免許を取り消されたとき、若しくは亡失した免許証を発見したときは、15日以内に届け出ること。 |
記載事項変更 |
麻薬小売業者免許証記載事項変更届 |
麻薬小売業者免許証 |
(1) 提出期限 変更を生じた日から15日以内に届け出ること。 (2) 住所、氏名、業務所の名称変更に限られます。 (3) 地番変更等の行政区画整理の場合は、必要ありません。 (4) 営業所の移転の場合は現麻薬小売業者免許証を廃止し、新規免許申請をすること。 |
免許証再交付 |
麻薬小売業者免許証再交付申請書 |
き損した場合 麻薬小売業者免許証 |
(1) 提出期限 麻薬小売業者免許証のき損又は亡失を発見したときは、15日以内に届け出ること。 (2) 手数料 |
麻薬小売業者間譲渡許可申請 |
麻薬小売業者間譲渡許可申請書 |
申請書の副本(申請者の数に1を加えた部数) 各麻薬小売業者の免許証の写し |
(1) 3以上の麻薬小売業者が共同して申請する場合、申請書の欄が不足するため、別紙(様式あり)を設けて記載すること。 (2) 許可の有効期間 許可の日からその日の属する年の12月31日か、又は期間を限定して許可をした場合には当該機関の最後の日の、いずれか早い日まで (3) 許可の有効期間満了に伴い、引続き許可を受ける者については、毎年11月頃から受け付ける。 |
麻薬小売業者間譲渡許可変更 |
麻薬小売業者間譲渡許可変更届 |
申請書の副本(申請者の数に1を加えた部数) 変更届書を提出すべき事由の発生を証明する書面 麻薬小売業者間譲渡許可書 |
(1) 3以上の麻薬小売業者が共同して申請する場合、申請書の欄が不足するため、別紙(様式あり)を設けて記載すること。 (2) 許可の有効期間内において、許可業者のいずれかに係る麻薬小売業者の免許が失効したとき、又は許可業者の氏名、住所若しくは麻薬業務所の名称等に変更を生じたとき、速やかに届け出ること。 (3) 許可の有効期間内において、許可業者以外の麻薬小売業者を含め、麻薬小売業者間で麻薬の譲渡・譲受を行おうとする場合、新たな麻薬小売業者間譲渡許可を共同して申請すること。 (4) いずれかの許可業者に係る麻薬小売業者の免許が失効し、新たな麻薬小売業者免許を受け、かつ同じ麻薬小売業者間で麻薬の譲渡・譲受を行おうとする場合も同様。 |
麻薬小売業者間譲渡許可書再交付申請 |
麻薬小売業者間譲渡許可書再交付申請書 |
き損した場合 麻薬小売業者間譲渡許可書 |
麻薬小売業者免許証のき損又は亡失を発見したときは、速やかに届け出ること。 |
麻薬小売業者間譲渡許可書返納 |
麻薬小売業者間譲渡許可書返納届 |
麻薬小売業者間譲渡許可書 |
麻薬小売業者間譲渡許可に基づく譲渡・譲受を行わない場合、麻薬小売業者間譲渡許可書を共同して返納。 |
不良・不要麻薬等の廃棄 |
麻薬廃棄届 |
なし |
(1) 陳旧麻薬、誤調整した麻薬等(処方せんにより払い出された麻薬以外のもの)を廃棄するとき届け出ること。 (2) 届を提出してから麻薬取締員等の立会いの下で廃棄すること。 |
麻薬の廃棄 処方せんにより払い出された麻薬 |
調剤済麻薬廃棄届 |
なし |
処方せんにより払い出された麻薬を廃棄した場合は、30日以内に届け出ること。 |
破損等の事故 |
麻薬事故届 |
なし |
(1) 麻薬が流失し、盗取され、所在不明等になったときはすみやかに届け出ること。 (2) 事故届を提出する際、特にアンプル注射剤の事故による残余麻薬があり残余麻薬の廃棄を必要とする時は、麻薬小売業者の他の職員の立会の下に廃棄して、麻薬事故届にその経過を記載すれば麻薬廃棄届等の提出は不要。 (3) 盗難の場合は、同時に警察にも届け出て、現場保存に努めること。 |
年間報告 |
麻薬年間届 |
なし |
(1) 毎年11月30日までに、前年10月1日から本年9月30日までの受け払いおよび本年9月30日現在の所有量について届け出ること。 (2) 毎年10月頃から受け付ける。 |
麻薬譲渡証・麻薬譲受証 |
麻薬卸売業者から麻薬を購入するときは麻薬譲渡証・麻薬譲受証を交換する。 |
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麻薬小売業者間譲渡許可による譲渡・譲受 |
麻薬処方せんの写し及び譲受人が作成した麻薬譲受確認書と譲渡人が作成した麻薬譲渡確認書を交換する。 |
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患者等へ交付 |
麻薬を患者等へ交付する時の注意事項 |
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麻薬処方せんの受付 |
麻薬処方せん(ファックス処方せん)の受付についての注意事項 |
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麻薬帳簿 |
麻薬帳簿の記載方法 |
注意 ・手数料について
手数料は変更になることがありますので、あらかじめ都道府県薬務主管課又は保健所に確認してください。