(1) 訓練実施経費
イ 委託先機関の請求により、訓練の行われた期間について、訓練修了後に支払いを行う。ただし、訓練期間が3月を超える場合、必要に応じ、修了した3月間を単位として支払いを行うことができることとする(例:訓練期間6月間の場合は、3月と3月に分割してそれぞれの期間修了後に請求)。
なお、年度をまたぐ訓練実施に伴い、債務負担行為を活用した複数年度契約を行う場合、契約書に記載された年度毎の契約額の範囲内において、年度毎に要した委託費について委託先機関の請求に基づき支払うものであること。
その場合、委託書に記載された複数年契約のうち初年度分に要した経費に関しては、その訓練期間、訓練が終了しているか否かに関わらず、当該年度末をもって委託先機関から請求させる必要があるものであること。
ロ 訓練の開始日に応当する日の前日より前に訓練が終了した場合、受講者が中途退所した場合、又は委託契約を解除した場合は、委託費の額は、第1章第7の1ニを準用することによって得た額とする。
(2) 就職支援経費
イ 対象者
就職支援経費の対象となる就職者は、訓練修了後3カ月以内(この場合の「訓練修了後3カ月以内」とは、「訓練修了日の翌日から起算して90日以内」とする。以下同じ。)に就職(中退就職を含む。)又は内定した者のうち、「雇用期間の定め無し」又は「4カ月以上」の雇用期間により雇い入れられた者(この場合の「4カ月以上」とは、「雇い入れの日から起算して120日以上」とする。)及び自営を開始した者(以下「対象就職者」という。)とする。
なお、就職した者のうち、一般労働者派遣事業(登録型派遣事業)により派遣される場合は、就職者は訓練修了後3カ月以内に派遣先に就業(就業予定は除く)した者に限ることとし、自営業の場合は、訓練終了後3カ月以内に設立又は開業し、かつ法人設立届出書又は個人事業開廃届出書の写しを提出した者に限るものとする。
また、委託先機関又はその関連事業主に雇用された又は内定した場合は、雇用保険の加入者又は加入予定者に限ることとし、委託先機関は下記ロの報告の際に、雇用保険被保険者資格取得確認通知書(雇用保険被保険者資格取得届等受理後に安定所長から事業主に交付)の写しを提出するものとする。
(注) 「内定」は、下記ハの訓練修了者等からの書面に就職予定日を記載した場合のみ可とする。
ロ 就職支援経費就職率
就職支援経費就職率の算定方法は以下のとおりとする。
(注) 「訓練修了者」からは、下記ハの報告の日以前に、複数の職業訓練に係る受講指示を受けたことにより、再度の訓練受講中である又は予定している者を除くものとする。
ハ 就職者の把握及び報告
委託先機関は、訓練修了者及び就職のための中退者(以下「訓練修了者等」という)の訓練修了後3カ月以内の就職状況(就職のための中退者の場合は、中退時の就職状況)について、訓練修了者等からの書面(別紙2)の提出により把握を行うとともに、委託者に対し当該把握結果を報告するものとする。また、報告の際には、訓練修了者等からの書面を添付するものとする。
なお、委託者への報告は、訓練修了日の翌日から起算して100日以内を報告期限とする(ただし、訓練修了後3カ月以内に委託先機関又は関連事業主に内定した訓練修了者等に関しては、訓練修了日の翌日から起算して120日以内を報告期限とする。)。
ニ 支給額
(イ) 上記ハの報告に基づく請求により、受講者数×対象月数(3月を超える訓練であっても修了月を含む直近3月のみ)×就職支援経費(2万円)によって計算される額を支給する。ただし、下記の基準に従って就職支援経費の支給額の減額を行う。
①就職支援経費就職率 75%以上 減額なし
②就職支援経費就職率 55%以上75%未満 50%減額
③就職支援経費就職率 55%未満 支給なし
(注)「受講者数」は、訓練修了者数と中退者数の合計である。
(ロ) 訓練の開始日に応当する日の前日より前に訓練が終了した場合、受講者が中途退所した場合、又は委託契約を解除した場合は、委託費の額は、第1章第7の1ニを準用することによって得た額とする。
(ハ) 上記(イ)の基準となる就職支援経費就職率については、前々年度の実績に基づき、毎年度見直しを行うこととする(例:17年度の実績をもとに、19年度の基準となる就職支援経費就職率を見直し)。
(3) 委託費の返還
委託先機関が委託契約の内容又はこれに付した条件に違反した場合については、第1章第7の1へを準用するものとする。
(4) 実施状況報告及び調査
実施状況報告及び調査については、第1章第7の1チを準用するものとする。
第4 就職実績低調な訓練コースに対する措置
委託先機関において実施した訓練コースの就職率が初めて30%未満となった場合、当該委託先機関がその後当該訓練コースと同一又は類似の訓練コース(以下「同種の訓練コース」という。)の実施を希望する場合(2回目)には、委託者は、就職実績が向上するよう、訓練内容の見直し、就職支援体制の整備等に関して改善指導・助言を行うものとする。
その後、当該委託先機関が、2回目の同種の訓練コースを実施して就職率が30%未満となった場合、それ以後直近の委託者が行う委託先機関選定に当たって、当該委託先機関が2回目と同種の訓練コースの設定を希望する場合には、当該訓練コースは委託の対象としないものとする。
ただし、この場合において、2回目の訓練コースを実施して就職率が30%未満となった場合以後、直近の委託先機関選定までの間において、その後に2回目と同種の訓練コースの実施に関して既に委託契約を締結又は締結を予定している場合には、委託者による改善指導・助言を受けることを前提に3回目の訓練コースを実施又は委託契約の締結、訓練実施を認めることとする。この際、以後直近の委託先機関選定までの間に、実施した3回目の訓練コースの就職率が30%以上となった場合に限り、当該選定に当たって、当該委託先が3回目と同種の訓練コースの設定を希望する場合、委託の対象として差し支えない。
(注) 就職者は第3の2(2)イの者に限定しない。
第5 確認調査等
1 就職状況等に係る確認調査
第1章第7の1チに基づき随時出欠状況を確認し不正行為等の有無を確認するとともに、上記第3の2(2)ハの報告に基づき、委託者は、就職状況等について一定数の確認調査を行うものとする。
なお、確認調査の具体的な実施については、平成16年9月24日付け能能発第0924002号「「就職状況に係る確認調査実施マニュアル」等について」別添「就職状況に係る確認調査実施マニュアル」に基づくこと。
2 不正受給に対する措置
偽りその他不正の行為により就職支援経費の支給を受けたこと、又は受けようとしたことが明らかとなった委託先機関については、委託者は、その事実が明らかになった日から2年間、受託機会を与えないこととするほか、必要な措置を講ずるものとする。
第6 その他
能開施設の長は、上記第2に該当する訓練コースを委託する場合には、別紙4の「委託訓練契約書(参考)」により、契約を締結するものとする。
第3章 特別な機関を活用する委託訓練等に関する事項
第1 大学等委託訓練実施
大学等を活用した委託訓練について、第1章によるほか、以下の実施方針・方法に基づき実施する。
1 目的
中高年ホワイトカラー等職業資産を有効に活用し、起業家を直接補佐する高度人材、管理職、高度な専門職等としての再就職を促進する上で必要な、高度な職業能力開発機会の提供を図るため、大学等を活用した委託訓練を実施する。
2 本事業の対象となる委託先機関
大学等。
3 主な対象者
(1) 安定所求職者のうち、管理職、比較的高度な専門職等としての職業経験を有する者であって、
① 技術革新等により、知識・技能のレベルアップ・幅の拡大、問題発見・解決(危機管理等)能力の習得等が必要であり、これら企業の人材ニーズに即した、より高度で実践的な職業能力開発等を通じ、再就職の促進を図ることが期待される者
② 起業家を直接補佐する高度人材等を目指す者
等を対象とすること。
(2) 大学等における正規の教育課程や、これを活用した科目等履修コースについては、必要な場合、委託先機関が試験等による選考を実施し、安定所長が、その選考結果を踏まえ、受講指示等を行うものとすること。
(3) 訓練期間1年以上の長期訓練コースについては、本訓練の目的、求職者間の公平性の確保等の観点から、原則として、
① 訓練コースに対応する一定の職務経験を有すること
② 訓練コースに対応する能力を有することを確認する委託先機関が行う選考(筆記試験等)に合格すること
の条件を満たす者の中から、安定所長が受講指示等を行うものとすること。
また、都道府県等は、訓練受講期間中に、受講者の能力習得状況の確認を行い(原則半年単位で、委託先機関の協力を得て行うもの)、その結果、都道府県等が当該受講者の職業訓練の受講を打ち切ることとした場合には、その旨を安定所に連絡すること。
4 主な教育訓練内容及び受講修了時の能力習得の達成度合
(1) 経営、法務、国際ビジネス、介護・福祉等、ホワイトカラー系の職務に関連する学術、実践両面で特に高度な分野
(2) バイオ、化学、環境等、技術系の職務に関連する学術、実践両面で特に高度な分野等について、訓練を実施すること。
こうした訓練受講を通じ、受講者に、起業家を直接補佐する高度人材、管理職、高度専門職等として必要な職業能力を習得させ、再就職に結び付けることを目標とすること。
なお、歴史、文学、芸術等、それを応用することによっても職業に活かすことが通常困難な分野の訓練コースについては、対象から除外すること。
5 訓練コース設定の形態等
(1) 訓練コースの種類
原則、第1章の第4の2(1)の中核人材育成コースとして設定する。
(2) 訓練コース設定の種類
① あらかじめ求職者を対象とした公共職業訓練コースとして設定するもの
エクステンションコース(公開講座、セミナー等)に相当する訓練コースとして設定。
② 学校教育法上の教育課程として既に設置されている科目を活用し自主選択訓練コースとして設定するもの
イ 大学院修士・博士課程
ロ 大学等における正規の教育課程に係る科目等履修コース
ハ エクステンションコース(公開講座、セミナー等)
ニ 上記イ、ロ、ハの2以上を組み合わせて設定
(3) 修了要件
上記(2)②の各訓練コースの場合、通常の公共職業訓練の修了要件に加え、学校教育法上の当該課程(訓練コース)の修了(科目等履修コースの場合、設定単位の8割以上の単位の取得)を修了要件とすること。
(4) 訓練コース設定に係る周知
設定した訓練コース(自主選択訓練コースとして設定し得るものとして事前に要件を確認したものを含む。)の教育訓練内容・水準、就職に資するものとして受講の対象とする単位(講座)等、受講要件、期待される就職分野、自己負担の内容・金額の目途(受験料、自己の所有に帰属する教材費、補習・追試の経費等)、図書館の利用等の付随的なサービス内容、交通の便等について、安定所等を通じ、正確かつ幅広い周知に努める。
なお、当該訓練コースは、その訓練内容が専門・分化されたものであり、受講希望者の期待した内容・水準と実際内容等とが異なった場合には、再就職に資する職業能力の習得の効果が希薄となるため、教育訓練内容・水準等について、特に充分な周知に配慮すること。
(5) 訓練コース設定に当たっての留意事項
訓練コースの設定に当たっては、大学等委託訓練が、専門学校等では実施できない高度な訓練を実施するものであることに鑑み、受講者の要件、訓練カリキュラム、出来上がり像等を精査し、訓練内容が大学等で実施すべき高度なものであることを確認すること。なお、訓練コースを設定するに当たっては、当該訓練コースを受講することにより習得する能力を必要とする具体的な人材ニーズが生じていることも併せて確認すること。
また、既存の訓練コースについては、就職状況、受講者へのアンケート調査等の結果を精査の上、就職状況が悪い、大学等委託訓練として実施すべき高度な内容と認められないコースについては、原則再度のコース設定を行わないこと(訓練内容・カリキュラムを再構築する等により、就職状況、コース内容等の改善が明らかに図られると認められる場合においては、再度のコース設定を行っても差し支えない)。
6 委託要件の特例
(1) 訓練期間
3月ないし6月を標準とする。
(2) 月当たりの訓練時間数
大学等が実施する訓練については、受講効果を上げる上で、予復習(文献講読等)に相当の時間を費やすことが必須であることを勘案し、訓練(講義)時間数について、第1章の第4の2(1)の規定にかかわらず、上記5の(2)②イの訓練コースの場合毎月30時間以上、上記5の(2)①又は②ロの訓練コースの場合毎月50時間以上である場合、訓練コース設定を認めること(ハの訓練コースの場合、各月についてコースの種別ごとの基準を満たしているか否かにより判定。)。
ただし、一般の訓練コースとの訓練時間の整合性を図る観点より、当該訓練コースの時間数と当該訓練コース受講者が通常予復習で必要となる時間数の合計が100時間を超えるものであることを訓練コース内容等より確認すること。なお、既実施コースについては、訓練修了者の予復習時間実績等も併せて確認すること。
(3) 委託費
委託費の単価は、15万円(外税)/人月を上限に、通常の入学者の授業料を勘案し、実費の範囲内で設定すること。
なお、委託費の単価設定に当たっては、一般の訓練コースに比し、単価上限を大幅に緩和しているものであることより、経費内容について充分精査を行うこと。
7 受講指示の特例等
大学等委託訓練においては、6(2)を満たし、さらに訓練期間が2月以上でかつ訓練時間が150時間以上の要件を満たさない場合、受講指示の対象にならないものであることに留意すること。
8 委託先機関の開拓等
(1) 中央における取組
厚生労働省は、文部科学省、大学団体等との緊密な連携の下、幅広く大学等に、本事業にかかる周知浸透を図るものとする。
(2) 各地域における取組
① 都道府県等は、地域の大学等に幅広く協力を求めるほか、連携、調整して必要な訓練コースの設定に努めること。
② 都道府県等は、各大学等とより緊密な連携をとり得ることから、地域の人材ニーズを的確に捉え、真に就業に資する内容、水準等のものであって、地域の発意に基づくものについて実施すること。
第2 NPO法人等委託訓練実施
NPO法人等を活用した委託訓練について、第1章によるほか、以下の実施方針・方法に基づき実施する。
1 目的
介護、福祉等、今後の有力な雇用創出分野に係る事業形態の一つであり、かつ、地域貢献、生き甲斐探索等の意味付けも持ち、新たな働き方として期待される、NPO法人の管理者等としての再就職、起業その他の就業に資する実践的職業能力開発、また、実習等を通じた、職業能力開発の動機付けを強め、これを踏まえた効果的な技能等の習得に資するため、NPO法人等を活用した委託訓練を実施する。
2 本事業の対象となる委託先機関
NPO法第2条第2項に規定するNPO法人又はNPO法人の事業活動支援等を主たる事業内容とする公益法人(以下「NPO法人等」という。)。
3 主な対象者
(1) ホワイトカラー等としての職務経験を活かし、NPO法人の管理者等としての再就職、将来のNPO法人の起業等を希望する求職者
(2) 概ね30歳未満で、職業経験に乏しく、就職に当たりNPO法人等における実習等を通じた効果的な技能等の習得が有効と判断される求職者を対象とすること。
4 主な教育訓練内容及び受講修了時の能力習得の達成度合
(1) 中高年齢者等を対象とするNPO法人の管理者等を目指す訓練コース
NPO法人の運営・活動に関する連絡、助言、援助等を主たる事業内容とするNPO法人等(以下「NPO支援センター」という。)などを活用した、
① NPO法人の起業・運営に係る全般的知識(財務、税務、ボランティア人材確保等)習得のための講義主体の訓練
② 特定事業分野のNPO法人の運営に係る知識習得のための講義主体の訓練
③ NPO法人の事業資源を有効活用した実習等による訓練
の組み合わせを標準とする。その場合、必要に応じ、NPO支援センターから、個別NPO法人に②及び③の訓練部分を再委託することとする。
①のみ又は、①及び②による訓練コース編成もあり得るものとする。
この実施により、NPO法人の管理者等としての再就職、将来のNPO法人の起業を目指す者を養成する。
(2) 若年者を対象とした実習型訓練コース
個別NPO法人を活用した、実習等を主体とする訓練内容とし、実践的な技能等の習得に加え、職業能力開発の動機付けを強めることを目指すこととし、併せて職業意識の啓発にも配慮する。
5 訓練実施の手続
(1) 本事業の目的に沿った教育訓練実施能力を有する機関を選定するため、都道府県は、指導者、施設・設備の整備状況、訓練計画、カリキュラム、訓練受託が受講者を労働力として活用することを目的としたものではないこと等をあらかじめ確認する。
(2) その上で、都道府県等は、地域における本事業の受講ニーズや、受講後の就職見込み等を勘案し、必要な訓練コースを設定し、安定所長による受講指示等の手続を経て、委託訓練を実施する。
6 訓練コース設定の形態
各NPO支援センター及び個別NPO法人において、都道府県等の支援の下に訓練コースを設定する。なお、実習等主体の訓練に係る各個別NPO法人の受講者受入数は、訓練効果、実施能力等を勘案し、1人単位で調整する。
7 委託要件の特例
(1) 訓練期間
早期に就職に結びつけることを目的としていることにかんがみ、3月を標準とする。
(2) 委託費
月単位で委託単価を設定することとし、6万円(外税)/人月を上限とする。
(3) 労災保険の特別加入
第1章第8の3(2)ロについては、当該訓練においてこれを準用するものとする。
8 委託先機関の開拓等
(1) 中央における取組
厚生労働省は、NPO法人等関係団体との緊密な連携の下、幅広い地域のNPO法人等に本事業に係る周知浸透を図るものとする。
(2) 各地域における取組
① 都道府県等は、地域のNPO法人等に幅広く協力を求めるほか、連携調整して必要な訓練コースの設定に努めること。
② 都道府県等は、各NPO法人等とより緊密な連携をとり得ることから、地域の人材ニーズを的確に捉え、真に就業に資する内容、水準等のものであって、地域の発意に基づくものについて実施すること。
③ NPO支援センター等に都道府県等からの委託により「委託先開拓員」を配置し、地域のNPO法人等に対し、本事業の周知、委託訓練実施体制の確立、カリキュラムの編成等に係る技術的指導を行い、適切な委託先機関の開拓を効果的に行うこと。
9 訓練受講を確実に起業等就職に結び付けるための措置
都道府県等は、起業等を希望する者については、NPO支援センターの協力を得、これに係る情報提供、相談等の支援を実施する。
第3 求人セット型訓練制度に係る事項
事前に把握した求人者の具体的な人材ニーズに即して設定・実施する委託訓練を、第1章によるほか、以下の方針・方法により行う。
1 目的
求人セット型訓練とは、求職者が職業訓練の受講により職業能力を習得することを条件に当該求職者の採用の意向を有する求人者の要望に応じ、当該求職者を対象として実施する職業訓練をいい、同訓練修了後に当該求人者の採用に結びつけることを目的とするものである。
2 求人セット型訓練の形態
求人セット型訓練は、求人者のニーズに即した職業訓練を、当該求人者への委託により実施するもの(以下「求人者委託訓練」という。)、民間教育訓練機関への個別の委託により実施するもの(以下「オーダーメイド型訓練」という。)及び能開施設等が行う既存の訓練コースを活用して実施するものとする。
3 主な対象者
特定の求人事業主に、求人者委託訓練又は他の方法による委託訓練等を通じた一定の能力習得を前提に、雇用されることを希望する求職者。
4 訓練実施に至る手続等(求人者委託訓練及びオーダーメイド型訓練共通)
(1) 能開施設は、安定所から、事業主が求人申込みに際し求人セット型訓練の活用を希望している旨の連絡を受けた場合及び訓練実施事業主を開拓した場合等には、当該求人者の人材ニーズに即した訓練コースの設定を行い、さらに、受講指示等が行われた場合、委託先機関との間で委託契約の締結等を行う。
(2) 受講者の職業紹介を実施することのできる能開施設は、求人者の意向を踏まえつつ、訓練受講後の当該訓練の受講者の数に応じて採用を希望する事業主に係る求人について、求人公開の対象から除外する、又は求人数を減じることを勧奨する等により、受講者の訓練修了後の就職機会を確保した上で職業紹介を行う。
(3) 能開施設は、受講者の求人事業主への就職促進に資するため、巡回就職支援指導員の活用等により、受講者の能力習得状況を的確に把握するとともに、これを安定所に連絡する。
(4) 委託先機関の開拓方法
① 中央における取組
厚生労働省は、中央の事業主団体との緊密な連携の下、幅広い地域、業種の事業主に、本事業に係る周知浸透、協力要請を行う。
② 各地域における取組
各地域における取組については以下により実施することとする。なお、開拓した委託先機関については、職業分野毎等に分類の上リスト化すること。
・ 都道府県等は、安定機関と連携し、地域の事業主・事業主団体等が参加する会議等を活用し、本事業の周知浸透を図るものとする。
・ 都道府県等は、能開施設、都道府県センター及び商工会議所等に配置した委託先開拓員等を活用し、委託先の効果的な開拓を行うこと。
なお、委託先開拓員等は、事業主・事業主団体等に事業の周知を実施するとともに、訓練実施体制の確立、訓練内容・カリキュラムの編成等に係る技術的指導も併せて行うこと。
・ 都道府県等は、安定所と連携の上、能力のミスマッチが原因と判断される未充足求人事業主に対し制度の周知及び活用の促進を図ること。
5 求人者委託訓練実施に係る事項
(1) 求人者委託訓練の委託先機関
委託先訓練機関である事業所は、次のいずれの条件も満たすものとする。ただし、国、地方公共団体は除くものとする。
イ 安定所に求人申込を行い、かつ委託訓練実施計画を作成し、能開施設に登録した事業所であること。
ロ 委託訓練を実施後、一定の能力習得が図られ、求める職務を遂行することが可能であると認められることを前提に、求職者を採用する希望を有する事業所であること。
ハ 雇用保険の適用事業の事業主であること。
また、事業主団体が委託先機関となり、傘下事業主に訓練の一部を再委託する形態も認めることとする。
なお、能開施設は、指導者、施設・設備の整備状況、訓練計画、カリキュラム、訓練受託が受講者を労働力として活用することを目的とするものではないこと、修了後の採用計画(一定基準の具体的な能力習得が図られ、求める具体的な職務を遂行することが可能であると認められる者を採用すること等)等をあらかじめ確認する。
(2) 主な教育訓練内容及び受講修了時の能力習得の達成度合
当該事業所の事業資源を有効活用し、実習等による訓練実施により、特に実践的な能力習得を図り、当該事業所の人材ニーズに即した人材養成を図る。
(3) 訓練コース設定方法
① 就職促進コースとして実施する。
② 各事業所において、能開施設が提示する代表的な職種に係るモデルカリキュラム等を参考に、訓練コースを編成する。各事業所の受講者受入数は、訓練効果、実施能力等を勘案し、1人単位で調整する。
(4) 設定期間
3月を標準とする。ただし、訓練コース期間は、求人者の採用予定時期、習得が必要な技能の内容等に応じ設定するものとする。また、第4の「組み合わせ訓練」の実習訓練部分を求人セット型訓練で実施する場合は、1月以上6月以下の範囲で機動的なコース設定を行うこととする。
(5) 受講者数
受講者数については、当該訓練実施求人者の採用予定人数と原則同数とする。
(6) 受講者の取扱い
委託先事業主は、次に定めるところにより、受講者を取り扱うこととする。
イ 訓練に関係のない作業に従事させないこと。
ロ 訓練が作業を伴う場合には、安全、衛生、その他の作業条件について、労働基準法(昭和22年法律第49号)及び労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)の規定に準ずる取扱いとすること。
ハ 時間外、夜間、泊まり込み等による訓練を実施しないこと(ただし、当該職種において、夜間の就業が通常である等特に必要である場合を除く。)。
6 オーダーメイド型訓練に係る事項
(1) 訓練コースの設定方法
オーダーメイド型訓練コースは、以下の方法により、求人者の希望等に従い、能開施設において設定し、安定所において求人を受理する(設定された訓練コースについては、通常の求人受理後、これに追加する形態も可とする。)。
① 安定所における訓練コースの決定
訓練を受講した求職者の採用を希望する求人者について、求人者が習得を希望する技能等に関し、安定所において把握する既存の公共職業訓練で適切な訓練コースが存在する場合には、当該訓練コースを活用し求人セット型訓練コースとして設定する。
② 能開施設における訓練コースの設定
能開施設は、一定の能力習得が図られ、求める職務を遂行することが可能であると認められることを前提に、求職者の採用を希望する求人者であって、既存の公共職業訓練では適切な訓練コースが存在しない事例について、上記①の方法によっては、訓練コースの設定を行えないとの安定所からの連絡、求人者からの申し出、その他の方法により把握した場合は、それぞれの事例の性格、求人者の希望等に応じ、求人者が自ら民間教育訓練機関等と交渉し、求人者が自主的に選択した訓練コース(民間教育訓練機関が実施している講座(公共職業訓練コースの全部又は一部を含む。))について、委託訓練としての要件を満たすことの確認等を行った上で、委託を行う。なお、求人者が訓練コースを選択するに当たって、能開施設は求人者の求めに応じ、民間教育訓練機関等で実施している講座の情報等を随時提供すること。また、公共職業訓練として設定されている訓練コースの一部を活用することにより対応可能な場合には、これを活用することとする。
第4 組み合わせ訓練に関する事項
座学型訓練と実習型訓練を組み合わせる実践的な能力を習得する委託訓練を、第1章によるほか、以下の方針・方法により実施する。
1 目的
公共職業安定所に求職申し込みを行った求職者であって既存の訓練コースの受講では再就職が困難と思われる者に対し、能開施設及び民間教育訓練機関等での座学型訓練と事業所等での実習型訓練を組み合わせた実践的な職業訓練を実施し、離職者の早期の再就職及び将来的な開業に資することとする。
2 訓練コースの設定について
(1) 訓練コース設定の概要
都道府県等は、訓練コースの設定に当たって、訓練コースの一部について、能開施設、民間教育訓練機関及び事業主団体等での座学型訓練と事業所等での実習型訓練を組み合わせ、一つの訓練コースとして設定する。当該訓練コースを設定することにより、座学型訓練により習得した知識・技能を、実習型訓練を併せて受講し、実際の職場での経験も有する実践的な能力を習得することを可能とする。
なお、当該訓練コースは、早期の再就職に資するものとするが、求職者の希望・適性等に応じ将来的な開業も視野に入れた訓練コースも併せて設定するものとする。
(2) 訓練コース設定方法
① 設定訓練コース
都道府県等は、設定する訓練コースについて、座学型訓練及び実習型訓練コースを組み合わせ、一つの訓練コースとして設定すること。
なお、組み合わせに当たっては、主として知識を座学型訓練で、実践力を実習型訓練で効果的に習得できるようにすること。また、実習型訓練を求人セット型で行う場合には、当該求人事業主から必要な能力要件等を聴取した上で、それを習得するに必要な座学型訓練を組み合わせること。
また、設定方法は座学訓練・実習訓練の順でも実習訓練・座学訓練の順でもよく、さらに、座学訓練・実習訓練を同一の機関で実施することとして差し支えない。
② 訓練実施主体
訓練実施主体については、以下のとおりとする。
・ 座学型訓練部分
能開施設、民間教育訓練機関、労働者派遣元事業所、NPO及び事業主団体等座学における訓練を実施できる機関。
・ 実習型訓練部分
事業主、事業主団体、NPO及び労働者派遣元事業所又は派遣先事業所等実際の職場を活用した実習等による訓練を実施できる機関。
なお、事業主等を活用して実習型訓練を設定する場合においては、第3の求人セット型訓練としての設定が望ましいものであるが、組み合わせ訓練においては、必ずしも求人セット型訓練とする必要はない。
③ 訓練コース設定期間
訓練コースの設定期間については、座学型訓練部分、実習型訓練部分ともに、それぞれ概ね6ヶ月以内(座学型訓練の委託訓練については原則3ヶ月以内)で、訓練内容、委託先機関等の事情等を勘案して設定すること。なお、当該訓練は実践能力の付与を目的としていることより、実習型訓練に重点が置かれるよう配慮すること。
④ 訓練実施主体の開拓
都道府県等は、訓練実施主体、特に実習型訓練を実施する事業主の開拓に当たっては、事業主委託訓練の委託先開拓員を活用するほか、各種助成金を利用して従業員の職業訓練を行う事業主にも周知する等により積極的な開拓に努めること。また、訓練実施機関の開拓に当たっては、認定職業訓練の実施主体及びその関係事業主、労働者派遣事業所及びその派遣先事業所等についても積極的な開拓の上、活用を図ること。
⑤ 開業に向けた訓練コースの開拓設定
都道府県等は、将来的な開業も視野に入れた訓練コースを設定する場合においては、座学型訓練部分については、起業・新分野展開支援センター(創業サポートセンター)の活用及び起業に関するセミナー等を実施している民間機関を積極的に開拓の上、活用を図ること。また、実習型訓練部分を実施する事業主等の開拓に当たっては、地方経済産業局(沖縄総合事務局を含む。以下同じ。)や都道府県商工主管部局、商工会議所等と連携し、起業ニーズの高い分野や、起業経験があり後継者育成に熱意のある事業主を開拓すること。また、フランチャイズチェーンや暖簾分け制度がある等既に開業支援のノウハウがある事業主の積極的な活用を図ること。
3 委託先機関における能力修得状況の評価の実施
組み合わせ訓練においては、必要に応じ受講者の訓練修了後の能力習得状況の評価を必要に応じ委託先機関において実施すること。なお、委託先機関において能力習得状況の評価を実施するに際しては、能開施設は委託先機関に対し、評価事項、評価方法等の必要事項を明確に示すこと。
4 委託費の特例
委託費については、第1章第7によるが、実習等訓練コースの委託先機関が上記3の能力習得状況の評価を実施する場合においては、その上限を6万円(外税)/人月とする。
また、別に定めるところにより、都道府県が開業に向けた訓練を実施する場合であって、専門家のアドバイスの下、起業・独立のための具体的な事業計画の作成等を行う講習を実施する場合は、その上限を9万円(外税)/人とする。
第4章 実績報告、予算措置等
第1 訓練実績の報告
毎月の実施状況を厚生労働省職業能力開発局能力開発課あて報告するものとする。なお、具体的な報告内容については別途定めるものとする。
第2 予算措置等
都道府県等が行う委託訓練等の訓練のうち、国が都道府県等に委託して実施するものについては、この委託訓練実施要領に定めるほか、「離職者等再就職訓練事業委託要綱」により行うものとする。
また、国は別に定める基準に従い、訓練の実施に要する経費を、都道府県等に対しては「生涯職業能力開発事業等委託費(労働保険特別会計雇用勘定)」として交付するものとする。