添付一覧
(3) TVB―Nの検査に供する検体は、異なる3か所以上の部位から魚肉を約100g採取し、これを細切、混合したものとすること。
(4) なお、(1)により行われた検査結果に疑いがある場合等にあっては、別に定められた標準法により確認すること。
(5) 検査の結果、以下のTVB―Nに関する個別基準を超えるTVB―Nが検出された場合、当該検体と同一ロットの水産物が輸出されないような措置を講ずること。
| 魚種 | 基準値 | 
| メヌケ類、ユメカサゴ、メバル | 25mg/100g | 
| カレイ類(オヒョウを除く) | 30mg/100g | 
| 大西洋サケ、メルルーサ類、タラ類 | 35mg/100g | 
| 食用に供する魚油原材料 | 60mg/100g | 
4.寄生虫
水産物を出荷する前に、寄生虫の目視検査を行わなければならない。
(1) 食用に供するために販売される前に、未加工の製品について、任意に検体採取して寄生虫感染の有無を視覚により検査すること。
(2) 寄生虫の感染が明らかなものにあっては、当該製品を除去し、食用に供されないように措置すること。
(3) 寄生虫の検査は、以下の視覚検査により行う。
ア 視覚検査は、製品を傷付けずに、また、拡大鏡を使用し、又は使用せずに目視で検査できるよう充分に明るい状態のもとで行うこととするが、必要があれば、キャンドリングにより行うこともできる。
イ 視覚検査は、当該ロットを代表する十分な検体数で行うこと。
ウ 検査の頻度及び検査率については、当該製品の特性、漁獲海域及びその使用方法により、食品事業者が決定すること。
エ 内臓を除去した魚類の視覚検査は、教育された相応しい者により、腹腔内面及び食用に供される肝臓、卵巣について行うこと。なお、検査は、内臓を除去する方法により、次のとおり行うこと。
(ア) 内臓の除去が手作業で行われている場合には、その除去や洗浄時に継続的に行うこと。
(イ) 機械的に除去が行われている場合には、1ロット毎に少なくとも10検体以上行うこと。
オ 魚類のフィレやスライスの視覚検査は、フィレやスライスの後のトリミングの際に行うこと。なお、フィレのサイズやフィレにする作業工程が原因で、個々の検査が不可能な場合、適切なサンプリング計画を策定すること。
5.鉛、カドミウム及び水銀
(1) 認定施設において取り扱われる各々の魚介類について、種類毎、漁獲地域毎に漁獲期間を勘案のうえ、年1回以上検査を実施すること。
(2) 検体採取については、1ロットの重量に応じて、以下の表のサンプル数を無作為に選び、その可食部から同量ずつ、合計が1kg以上となるように採取し混和したものを1検体とすること。
| ロットの重量(kg) | 最小サンプル数 | 
| <50 | 3 | 
| 50~500 | 5 | 
| >500 | 10 | 
(3) 検査法及び基準値
検査は公定法に準じて行うこととし、検査結果の評価は、試行数2回の平均値がEU規則(EC)No 466/2001の基準値を超えないこと。
6.調理済み甲殻類及び軟体動物の微生物学的検査
(1) サンプリング頻度は、製品の特性や生産量等を踏まえ、HACCPや適正衛生規範(GHP)に基づいて適切に設定すること。
(2) 検査の結果、サルモネラ属菌、コアグラーゼ陽性ブドウ球菌又は大腸菌が別添11に示す基準を満たさない場合には、EUに輸出されないような措置を講ずること。
(3) 検査の結果、不合格又は条件付き合格で、製造工程中等で非衛生的な取扱いがあることが判明した場合にあっては、当該施設で実施されているHACCPについて、早急に見直しを行い、改善すること。
7.施設における使用水の検査
(1) 水産物の処理、加工及び製造(船上における場合も含む。)において使用する水については、少なくとも年1回以上、水道法の規定に適合していること及び腸球菌が検出されないことを確認するための検査を行うこと。また、水道水を受水槽に受けている場合及び井戸水にあっては、一般生菌数及び大腸菌について、月1回以上、検査を実施すること。
(2) 海水を使用する場合にあっては、大腸菌及び腸球菌について、年1回以上検査を行うこと。
第7 表示基準
1.製造者は、水産食品を認定施設から出荷する前に、表示をしなければならない。
2.製造者は、原材料の仕入元及び水産食品の出荷先について、特定できるシステムを構築しなければならない。
3.読みやすく消えない表示とすること。
4.出荷国名及び施設認定番号を明示すること。
5.表示は、製品、包装又は梱包に直接印刷するか、印刷したラベルを貼付することにより行うこと。また、耐久性のある材質を使った取り外しできないタグでもよい。
6.輸送用コンテナや大型の梱包に入れられ、別の施設での取扱い、加工、包装、梱包が行われる水産食品については、そのコンテナ又は梱包の外面に添付してもよい。
7.大量輸送される液状、顆粒状、粉状の水産食品の場合や大量輸送される水産物の場合、添付の文書に4.の情報が含まれていれば、表示は必要ない。
第8 都道府県知事等による監視等の基準
1.水産食品の製造及び流通に関する監視
(1) 陸上げと最初の販売の衛生状態についての定期的検査
(2) 漁船及び陸上施設(産地市場及び消費地市場を含む。)の次の事項についての定期的検査:
ア 定められた要件を満たしているか
イ 魚介類が適切に取り扱われているか
ウ 衛生、温度基準の遵守
エ 施設等(漁船を含む。)及びその機器・設備の清潔さ並びに従業員の衛生
(3) 保存、輸送状態の検査
2.水産食品等の検査
(1) 指名食品衛生監視員は、年1回以上、第6の2.、3.、5.、6.及び7.の検査のための検体採取及び梱包を行い、製造者に対して、都道府県、保健所設置市、特別区の試験検査機関又は食品衛生法に定める登録検査機関(ただし、使用水の検査については、水道法に定める登録検査機関)にて検査を行うよう指示をすること。検体の採取及び梱包の際には、指名食品衛生監視員は、別紙様式29の検体送付票の検査員の記入欄に必要事項を記入し、2重にした合成樹脂製袋の間に入れて、封を閉じ、別紙様式30の封印シールを用いて封印し、凍結状態(ただし第6.7.の検体のみ冷蔵状態)とし、検体の品質保持のため、断熱材を備えた厚手の段ボール箱を用い、十分な量の冷媒とともに検体を梱包すること。ただし、梱包については、製造者が指名食品衛生監視員の監督下で行うことも可とするが、封印は指名食品衛生監視員が行うこと。
(2) 指名食品衛生監視員は、記録等客観的に判断できる資料をもとに、製造者が行った第6の検査及び管理が適切に行われていることを確認すること。
3.その他
監視等の結果、水産食品が以下のいずれかに該当する場合には、遅滞なく厚生労働省に報告するとともに当該検体と同一ロットの水産物がEUに輸出されないような措置を講ずること。
(1) 官能、化学、物理、微生物学的検査又は寄生虫検査から、基準を満たしていないことが明らかになった場合。
(2) 汚染物質又は残留物質が基準を超えて可食部分に含まれる場合、若しくは推定摂取量がヒトの1日又は週間許容摂取量を超える場合。
(3) 以下に由来する場合。
ア 別添12の有毒魚等
イ 含有生物毒素総量が規則(EC)No.853/2004に示す限度を超える二枚貝、棘皮動物、被嚢動物及び海洋性腹足類動物
(4) 都道府県知事等が、公衆衛生又は動物衛生に対するリスクとなる可能性がある、若しくは食品として不適格である他の理由があると判断した場合。
第9 HACCPの実施
1.HACCPは、次の原則に従って実施すること。
(1) 製造者は、水産食品の製造のあらゆる段階で本要領の規定が順守されるよう「自主衛生管理」を次の事項に従って実施すること。
ア 施設における処理、加工等の工程をもとに、重要管理点を確定すること。
イ 各重要管理点における監視及び確認の方法を設定し、これを実施すること。
ウ 施設の洗浄消毒方法が適切かどうか確認すること。その他施設等の基準に定められた基準に適合していることを確認するための検査を実施すること。
エ 消去できない方法で記載された手書きの記録又は自動記録機による記録を少なくとも2年間保管し、指名食品衛生監視員から提示を求められた場合はただちに提示すること。
(2) 製造者の実施する検査において衛生上の危害又はその疑いが判明した場合は、指名食品衛生監視員の指示を受けて適切に対応すること。
2.1.(1)に規定する「自主衛生管理」とは、水産物が基準を満足するものであることを保証し、実証することを目的とする全ての対策のことをいう。
(1) これらの対策はその製造工場の社内規範に準拠したものでなくてはならず、それぞれの製造部門に対する責任者又は責任者の監督のもとに開発され、実施されるものでなくてはならないこと。
(2) 認定施設の責任者は、自主衛生管理制度に携わる全ての担当者がその責務を効果的に果たせるように、十分に訓練を受けさせなくてはならないこと。
3.1.(1)に規定する「重要管理点」とは、管理を行うことにより食品の安全性に対する危害の発生を防止し、排除し、又は許容範囲に収めることのできる全ての管理項目、ステップ又は工程のことをいう。
(1) 対EU輸出水産食品の取扱要領に規定する衛生基準に適合していることを保証するために役立つ全ての重要管理点を、第10の1.に基づいて確定すること。
(2) 重要管理点は、使用する原材料をはじめ、製造工程、施設及び設備、最終製品、流通の方法等によって決まるものであるので、各々の施設に対して各々確定すること。
4.1.(1)に掲げる「各重要管理点における監視及び確認の方法」には、個々の重要管理点が正常な管理状態にあることを保証するために必要な全ての肉眼的観察及び測定の方法が含まれていること。なお、最終製品が施設等の基準に規定する基準に適合していることを確認することは含まれない。監視及び確認の方法を設定し、実施する場合には、第10の10.に基づいて実施すること。
5.1.(1)に規定する検査とは、自主衛生管理制度が、2.、3.及び4.の規定に関して効果的に機能していることを確認するためのものである。
(1) 施設の責任者が製造バッチ毎に体系的に試験を行うこととは別に、以下の要件に基づくサンプリング計画を定めなければならないこと。
ア 自主衛生管理制度を最初に設定した時に、検証すること。
イ 製品又は製造工程に何らかの変更があった時に、必要に応じて、制度の有効性について確認すること。
ウ 一定の期間ごとに、全ての計画が有効なものであり、かつ、適正に運用されていることを検証すること。
エ 自主衛生管理制度については、第10の11.に掲げる基準に従って検証を行うこと。
6.1.(1)に掲げる「消去できない方法で記載された手書きの記録又は自動記録機による記録」を取るため、施設の責任者は自主衛生管理制度の実施及びその確認に関する全ての情報を文書化しなくてはならない。また、この文書は、次の(1)及び(2)の要件を満たし、求めに応じて都道府県知事等に提出しなくてはならない。
(1) 詳細かつ分かりやすい文書であって、次の項目を含んでいること。
ア 製品についての記述
イ 製造工程及びその重要管理点についての記述
ウ 標準作業手順書
エ 個々の重要管理点についての、確定された危害、危険度の評価及び防止措置
オ 全ての重要管理点における監視及び確認の方法並びにそれぞれの重要管理点における管理基準の設定
カ 管理基準から逸脱が認められた際にとられる改善措置
キ 現行の自主衛生管理制度自体の検証と見直しの方法
(2) 4.に掲げる肉眼的観察及び測定の記録、5.に掲げる検証作業の結果並びに改善措置を行った場合の報告及び経過の記録文書をとり、適切な文書管理規定を設けて、特に、問題が発生したそれぞれの製造バッチに関係する全ての文書を容易に取り出せるようにしておかなくてはならない。
第10 HACCPの具体的実施基準
1.一般原則
自主衛生管理制度の策定においては、次に示す基本原則に基づく理論的なモデルに従わなくてはならない。
(1) 危害を確定し、危険度を分析するとともに、それらを管理するための方法を設定すること。
(2) 重要管理点を確定すること。
(3) 全ての重要管理点に対する基準を設定すること。
(4) モニタリング及び測定の方法を設定すること。
(5) 必要に応じてとるべき改善措置を設定すること。
(6) 検証及び見直しの方法を設定すること。
(7) 全ての手順並びに記録に関する文書規定を作成すること。
このようなモデル又は根拠となる諸原則については、個別の状況に応じて、柔軟性をもって運用しなくてはならない。
2.重要管理点の確定
重要管理点の確定に当たっては、次の作業を順番に従って進めること。
(1) 専門家チームの編成
ア 構成は対象となる製品に関連する全ての企業スタッフが参加すること。
イ チームにおいては、検討すべき製品並びにその製造、加工、保管、流通及び消費に関連する潜在的危害に関して十分かつ広範囲な専門的知識及び技術を有すること。
また、このチームは、重要管理点の評価及び管理に関して、チーム内では困難な問題を解決するために、必要に応じて外部から専門家の援助を得なくてはならない。
ウ このチームは、次のスタッフで構成すること。
(ア) 担当する製品群に関する生物学的、化学的又は物理学的危害要因について理解している品質管理の専門技術者
(イ) 対象となる製品の製造における技術的な側面に対して責任があるか、又は密接に関与している製造の専門技術者
(ウ) 工場の施設及び設備に関する衛生並びに運転について、実際的な知識を有する技術者
(エ) その他、微生物学、食品衛生学及び食品工学に関する専門的知識を有する技術者。なお、一人の担当者が上記のうちの複数の役割を兼ねることが可能である。また、工場内に、関連する問題に対する経験がない場合にあっては、外部の機関(コンサルタント等)から助言を得なければならない。
3.製品の記述
最終製品に関しては、次の項目について記述すること。
(1) 組成(例えば、原材料、各種副原材料、添加物)
(2) 性状及び物理学的、化学的特性(例えば、固体、液体、ゲル又は乳状液、水分活性、pH)
(3) 加工工程(例えば、加熱、凍結、乾燥、加塩等、及びこれらの程度)
(4) 包装(例えば、密封式、真空式、ガス置換式)
(5) 保管及び流通の条件
(6) 消費期限又は賞味期限
(7) 使用方法
(8) 適用し得る全ての微生物学的又は化学的指標
4.意図される使用方法の確定
専門家チームは、製品について、消費者による通常の使用方法及びその製品の販売対象消費者層を定義しなくてはならない。食品の種類により、例えば給食、旅行者等の特定の消費者グループ又は体の弱い人々等を対象とする製品の場合は、その品質特性についても考慮しなくてはならない。
5.工程一覧表の作成(製造工程の記述)
工程中の全てのステップ(各ステップ又は各ステップ間の製品の滞留時間を含む。)を網羅し、原材料の受け入れから最終製品の市場への流通までの間を、前処理、加工、包装、保管及び流通のステップに分けて順番に検討し、十分な技術データに基づく詳細な一覧表を作成しなくてはならない。データの種類には、例えば次のようなものがある。
(1) 作業場及び付随する施設の見取図
(2) 機械、設備の配置及び性能
(3) 全ての一連の製造工程(原材料、各種材料及び添加物の受け入れ並びに各ステップにおける又は各ステップの間の製品の滞留時間を含むこと。)
(4) 各工程に対する技術的なパラメーター(特に、時間及び温度の条件。滞留する場合は、その時間を含むこと。)
(5) 製品の流れ(潜在的な交叉汚染を含むこと。)
(6) 清潔な区域と汚染された区域との分離(又は危険度の高低による区分)
(7) 洗浄及び消毒の方法
(8) 施設の衛生基準
(9) 作業員の行動範囲及び衛生規範
(10) 製品の保管及び流通の基準
6.実際の操業中における工程一覧図の確認
工程一覧図が完成した後、専門家チームは実際の操業中の作業現場において、工程一覧表の確認を行い、当初机上で作成した工程一覧表より正確なものになるように、明らかになった全ての不十分な点についての修正を行わなくてはならない。
7.危害及び管理方法のリストの作成
確認できた工程一覧表に基づいて、専門家チームは次の作業を実施すること。
(1) 個々の製造加工ステップ(原材料及び各種材料の受入れ及び保管並びに工程中の製品の滞留を含む。)において、合理的な根拠のもとに発生することが想定される全ての潜在的な生物学的、化学的又は物理学的危害のリストを作成すること。ここでいう危害とは、人の健康を害するおそれがあり、対EU輸出水産食品の取扱要領において食品衛生の対象とされている全てのものをいう。具体的には、次の場合のいずれかをいう。
ア 原材料、中間品又は最終製品に対する、許容できない生物学的(微生物、寄生虫)、化学的又は物理学的性質の汚染若しくはこれらの2次汚染
イ 中間品、最終製品の製造工程又は製造ラインの周囲において、病原微生物の生存又は増殖する許容できないレベル及び許容できない化学物質の存在
ウ 毒素又は微生物の代謝によるその他の好ましからざる物質が許容できないレベルにまで生産されたり、残存したりすること。これらについては、除去し、又は許容できるレベルにまで減少させるため、安全な食品を製造する上で必須であるような性質の危害のみを、リストに入れるものとする。
(2) 個々の危害に対して適用し得る管理方法について検討し、文書化すること。
ア 管理方法とは、危害を防止するため、除去するため、又はその影響若しくは発生頻度を許容できるレベルにまで低下させるための方法及び一連の作業をいう。
イ 工程管理において、一つの危害を管理するためには複数の管理方法が必要になることがあり得る一方、一つの管理方法で複数の危害を管理できることもある。例えば、低温殺菌又は所定の加熱処理を行うことによって、サルモネラとリステリアとの両方の菌数のレベルを十分に低下させることが可能である。
ウ 管理が効果的に行われていることを保証するためには、詳細な手順及び仕様書によって制度を文書化する必要がある。例えば、詳細な清掃の計画、正確な加熱処理の仕様書、添加物に関する関連の欧州委員会規則等に適合するように定めた最大添加物濃度等について記述しなくてはならない。
8.重要管理点の確定方法
危害を管理するための重要管理点の確定に当たっては、論理的な取組みが必要であって、この取組みには判断図(別添13)を利用すると分かりやすい(ただし、チームの知識と技術力の程度によっては、他の方式を採用してもかまわない)。判断図を利用するに際しては、工程一覧表において確定された各工程のステップを順番に検討しなければならない。すなわち判断図は、各工程のステップごとに、合理的な根拠のもとに危害が発生することが判明しているか、並びに将来において原因となることが想定される、全ての危害及びそれらに対する管理方法について検討を加えなくてはならない。判断図を利用するに当たっては、不必要な重要管理点を設けないようにするために、製造の過程全般について広く検討するとともに、柔軟性及び常識的な配慮をもって対処すること。
9.重要管理点の確定に続いて行うべき作業
重要管理点の確定に続いて、専門家チームは次の2つの作業を行わなくてはならない。
(1) 全てのステップにおいて、適正かつ効果的な管理方法が設けられ、実施されていることを保証しなくてはならないこと。特に、ある製造のステップについて、危害のあることが確定されており、製品の安全性確保のために何らかの管理が必要となっていながら、なんら当該ステップにおいて(又はその他のステップも含め)管理方法が設定されていないような場合にあっては、製品そのもの又はその製造工程を、当該製造ステップ又はその前後のステップで修正し、適正な管理方法を確立しておくようにしておかなくてはならないこと。
(2) 全ての重要管理点について、モニタリング及び測定の方法を設定し、管理を実施すること。
10.重要管理点の監視及び確認方法の設定並びにその実施
全ての重要管理点が効果的に管理されていることを保証するためには、適正な監視(monitoring)及び確認方法(checking)を設定することが必須である。これらの方法を開発するため、次の作業を進めること。
(1) 全ての重要管理点についての管理基準の設定
全ての重要管理点についての管理基準を設定しておかなくてはならない。管理基準とは、製品の安全性を確保するために許容できる限界値のことであり、許容できる範囲とそうでない範囲を区分するためのものである。管理基準については、肉眼的な観察によって、又は機器による測定によって判定できるようなパラメーターに基づくべきであって、重要管理点が管理されていることを即座に検証できるものでなくてはならない。すなわち、測定値は、その管理点の管理の結果を直接的に反映したものであることが必要である。これらのパラメーターの例としては、温度、時間、pH、水分含量、添加物・保存料・塩分の濃度、外観あるいは肉質等の官能による指標、その他がある。場合によっては、工程がばらつくことによっていきなり管理基準を超えてしまう危険性があり、そのことを低減するために、より高い基準(例えば、目標レベル)を設定し、その場合であっても本来の基準が維持できるように保証する必要がある。管理基準は種々の根拠のもとに設定することができる。
(2) 全ての重要管理点に対する監視及び確認方法の設定
全ての管理基準が守られていることを保証するため、個々の重要管理点において行うべき肉眼的観察及び測定の計画を設定することが、自主衛生管理制度における必須の部分となっている。従って、この計画においては、その手順、観察及び測定の頻度並びに記録の方法について文書化しておかなくてはならないこと。
監視及び確認の方法は、重要管理点において基準を逸脱していることを検出できるものであって、さらに改善措置をとるための情報をリアルタイムで得られるものでなくてはならないこと。
監視及び確認は連続的又は断続的のどちらでもかまわないが、監視及び確認が連続的でない場合であっても、十分に信頼性のある情報を得ることができるような頻度で作業を行う必要がある。
監視及び確認においては、全ての重要管理点に対して、次の事項について適正な基準を設定しておかなくてはならないこと。
ア 誰が監視及び確認を担当するのか。
イ いつ監視及び確認を行うのか。
ウ どの様な方法で監視及び確認を実施するのか。
(3) 改善措置の設定
監視及び確認を行った結果について、次の措置を行うこと。
ア 監視の結果、設定された管理基準から逸脱しつつあり、管理状態を失う傾向にあることが明らかになったときには、危害が発生する前に、管理状態を維持するために適正な改善措置がとられなければならないこと。
イ 監視の結果、設定された管理基準から逸脱しており、管理状態にないことが明らかとなったときには、もとの管理状態に復帰させるために適正な改善措置を講じなくてはならないこと。
ウ 改善措置は、前もって専門家チームが各々の重要管理点に対して設定しておき、逸脱が確認されたときには、速やかに対処できるようにしておかなくてはならないこと。
エ 改善措置には以下の要件を含めること。
(ア) 改善措置を実施させるために適切な責任者を指名すること。
(イ) 確認された逸脱を修正するために必要な方法及び措置を文書化しておくこと。
(ウ) 製造工程が管理状態になかった期間に製造された製品に対して採るべき措置を決めておくこと。
(エ) 実施した全ての措置の内容を文書に記録すること。
11.自主衛生管理制度の検証
自主衛生管理制度が効果的に機能していることを保証するためには、自主衛生管理制度に対する検証(verification)を行うことが必要である。そのために、専門家チームがその方法を定めておかなくてはならないこと。
(1) サンプリングに基づく最終製品の試験、特定の重要管理点における重点的な分析又は検査、中間品及び最終製品についての特定の項目に関する分析、保管・流通・販売時点における実態調査、並びに製品の実際的な使われ方に関する調査等があること。
(2) 検証の手順には、製造工程の点検、管理基準の確認、逸脱時の改善措置及び製品に対して行った措置の評価、自主衛生管理制度及びその記録に対する監査が含まれていなければならないこと。
(3) 検証の方法については、設定されている自主衛生管理制度が適切なものであることを確認することができるものであるとともに、定められている管理基準が適正に運用されていることを、十分な頻度のもとに保証するものでなくてはならないこと。さらに、検証そのものについても検討を行い、自主衛生管理制度において何らかの変更があった場合にあっても、効果的に機能していること(将来的にも機能し得ること。)を保証する必要があること。
(4) 自主衛生管理制度を変更しなければならない事例としては、次のようなものが考えられる。
ア 原材料及び製品の変更、加工条件(工場の配置及び周辺環境、加工設備、洗浄及び殺菌の方法等)の変更
イ 包装、保管又は流通条件の変更
ウ 消費者による使用方法の変更
エ 製品に関連する新たな危害に関する情報を入手した場合
これらの検討結果をもとにして、必要に応じて、定められている管理基準を修正しなくてはならないこと。
(5) 自主衛生管理制度に関する全ての変更事項は、委細漏らさず文書化し、正確かつ最新の情報が得られるように、記録及び保管の方法にも反映させること。欧州委員会の諸規則で基準が設定されている場合にあっては、これらの基準を自社施設における検証手順における基準値として使用しなくてはならないこと。
別添2
指名食品衛生監視員講習プログラム
1.目的
この研修は、対EU輸出水産食品の監視等に従事する食品衛生監視員に対し、必要な知識等を修得させることを目的とするものである。
2.研修期間(3日以上)
3.研修構成
1.EU規則に基づく水産食品の衛生管理について(講義)
2.HACCPについて(講義)
3.HACCP計画の策定(実地研修)
4.研修内容
| 日程 | 研修内容 | 
| 第1日目 | 1.EU規則に基づく水産食品の衛生管理について(講義) (1) 構造設備基準 (2) 衛生管理基準 (3) 自主検査体制 (4) 水質基準 (5) 規格基準等 (6) その他 | 
| 第2日目 | 2.HACCPについて(講義) (1) HACCPの目的 (2) HACCP適用のガイドラインについて 1) HACCPの7原則 2) HACCP計画策定手続とは ① HACCPチームの編成 ② 製品の特性等の記載 ③ 意図される使用方法の確認 ④ フローダイヤグラム及び施設内見取図の作成 ⑤ フローダイヤグラム及び施設内見取図の現場確認 ⑥ 危害(HA)の分析 (原則1) ⑦ 重要管理点(CCP)の決定 (原則2) ⑧ 管理基準(Critical Limit)の設定 (原則3) ⑨ モニタリング方法の策定 (原則4) ⑩ 逸脱が認められた際の改善措置の設定 (原則5) ⑪ 検証方法の設定 (原則6) ⑫ 記録保存及び文書保管方法の設定 (原則7) (3) HACCP計画策定の実際 (4) HACCP適用のための行政機関の役割について 1) 策定されたHACCP計画の確認方法 2) 査察について 3) その他 | 
| 第3日目 | 3.HACCP計画の策定(実地研修) | 
別添3
チェックリスト(陸上で処理、加工等を行う施設の一般基準等)
1 構造設備基準
| 項目 | 事項 | 小事項 | 結果 | 評価 | 備考 | 
| 一般基準 | メンテナンス | 清潔に保たれ、手入れが行き届き、良好な状態に維持管理されているか。 | 
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 | 作業区域の広さ | 作業をするに機器等の配置が混みすぎていないか(機械設備と壁との間を人が通れる空間があること)。 | 
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 | 区画 | 作業(原料受入、加工処理等)の段階(汚染度の段階)に応じ、壁で仕切られた区画で行われ、空気を経由した汚染が防止されているか。 | 
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 | 
 | 国内向けの製品と同一の区画で処理されているか。 その場合は、国内向けの製品もEU向けの基準に適合しているか。 | 
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 | 汚染防止 | 塵埃の蓄積、有害物質との接触、剥離片の食品への混入、結露やカビの発生が防止されているか。 | 
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 | 汚染防止及び特に害虫の駆除を含む適正な食品衛生管理がされているか。 | 
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 | 温度管理 | 食品を適温に保つ機能を備え、必要に応じて温度記録が可能であるか。 | 
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 | トイレ | 下水施設に接続された適切な数の水洗トイレが備えられており、水洗トイレの開口部は、食品を取り扱う部屋に直接つながってはいないか。 | 
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 | 自然又は機械式の換気が十分に行われているか。 | 
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 | 手洗設備 | 自動式又は足踏式蛇口を有する等、適切に設計された給湯付き手洗設備が、適切な場所に十分な数、備えられているか。 | 
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 | 手指の洗浄剤及び衛生的に乾燥させる器具又は用品を備えているか。 | 
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 | 必要に応じて、食品を洗浄する設備と手洗設備は分離しているか。 | 
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 | 換気 | 適切かつ十分な自然又は機械式の換気手段を有し、汚染区域から清潔区域への機械的な通風がないか。また、換気システムは、フィルター等の洗浄又は交換のために必要な部品が容易に取り外せる構造であるか。 | 
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 | 
| 
 | 照度 | 自然光又は人工光により十分な照度が得られているか。 | 
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| 
 | 排水施設 | 排水施設はその目的を十分果たすものであり、汚染を避けるような設計及び構造であるか。 | 
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 | 
 | 排水溝が完全又は部分的に開放している場合、汚水が汚染区域から清潔区域、特に最終消費者へのリスクが高い状態で食品が取り扱われる区域へ流れ込まないように設計されているか。 | 
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 | 更衣室 | 必要に応じて、従業員用の適切な更衣室を有するか。 | 
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 | 洗浄剤、消毒剤等の薬剤 | 殺鼠剤、殺虫剤、消毒剤等の薬剤は施錠可能で食品を取り扱う区域とは分離した場所(室又は棚)に保管されているか。 | 
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 | 種類、成分、商品名(別添10に掲げられているものか)。 | 
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 | 
| 個別基準(処理、加工等を行っている区画) | 床 | 床の表面は良好な状態に維持管理し、洗浄及び必要に応じて消毒が容易な構造であるか(隅にはアールが設けられているか。)。 | 
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 | 床は不浸透性・非吸収性の洗浄可能で無害な材質であるか。 | 
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 | |
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 | 必要に応じて、床の表面は適切に排水できるか。 | 
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 | 壁 | 壁の表面は良好な状態に維持管理し、清掃及び必要に応じて消毒が容易な構造であるか(床との間にアールが設けられているか。)。 | 
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 | 壁は不浸透性・非吸収性の洗浄可能で無害な材質を使用し、作業に適切な高さまで表面が平滑であるか(壁にひび割れ等がないか。)。 | 
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 | 天井・屋根の裏張り | 天井(天井がない場合は屋根の内側の面)及び頭上の設備は、塵埃の蓄積を防ぎ、結露、カビの増殖及び小片の剥落を減少させるような構造か(天井はカビがついていないか、梁は埃がたまっていないか。)。 | 
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 | 窓等の開口部 | 塵埃の蓄積しやすい構造ではないか。 | 
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 | 屋外に開放できる場合、とりはずし可能な網戸があるか。 | 
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 | ドア | 清掃及び必要に応じて消毒が容易な構造か(平滑で汚れがついていないか。)。 | 
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 | 表面は平滑で非吸収性の材質か(ステンレス等か。)。 | 
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 | 食品と接触する区域 | 食品を取り扱う区域、特に食品と接触する区域の表面(装置の表面を含む。)は、清掃及び必要に応じて消毒が容易な構造か。 | 
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 | 表面は平滑で洗浄可能な耐腐食性の無害な材質を使用しているか。 | 
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 | 洗浄、消毒、保管設備 | 必要に応じて、器具、装置の洗浄、消毒、保管のための設備があるか。 | 
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 | それらは耐腐食性材質を使用し清掃が容易で温水・冷水が適切に供給されているか。 | 
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 | 洗浄設備 | 必要に応じて、食品の洗浄のための設備があるか。 | 
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 | 適切な水の供給があるか。 | 
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 | 清潔に保たれ、必要に応じて消毒されているか。 | 
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