添付一覧
○「対EU輸出水産食品の取扱いについて」の一部改正について
(平成22年10月14日)
(/食安発1014第1号/22消安第5965号/22水漁第1363号/)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部長・農林水産省消費・安全局長・水産庁長官通知)
EU向けに輸出される水産食品の取扱いについては、「対EU輸出水産食品の取扱いについて」(平成21年6月4日付け食安発第0603001号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、21消安第2148号農林水産省消費・安全局長通知、21水漁第175号水産庁長官通知)中の別紙「対EU輸出水産食品の取扱要領」(以下「本要領」という。)に基づき取り扱っているところである。
今般、欧州委員会から、衛生証明書の魚病に関する証明事項の記載方法及びEU向け冷凍船の監視方法について指摘があったことを踏まえ、本要領を別添新旧対照表のとおり改正することとしたので、御了知いただくとともに、貴管下関係営業者等への指導方お願いする。
別添
○対EU輸出水産食品の取扱いについて
(平成21年6月4日)
(/食安発第0603001号/21消安第2148号/21水漁第175号/)
標記については、「対EU輸出水産食品の取扱いについて」(平成19年4月12日付け食安発第0412001号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、18消安第15038号農林水産省消費・安全局長通知、18水漁第3077号水産庁漁政部長通知。以下「旧通知」という。)により対EU輸出水産食品加工施設に関する認定等を行っているところであるが、先般、EUにおける食品衛生及び水産動物衛生に関する規則の一部が改正され、昨年10月及び12月に施行されたところである。
これに伴い、新様式の衛生証明書が本年7月1日より必要となることから、別添のとおり取扱要領を改正し、本日付けで施行することとしたので、貴管下関係営業者等への指導方お願いする。
また、旧通知により既に認定されている施設及びそれに関連して登録されている施設については、本通知施行後も引き続き本通知に基づく認定施設及び関連する登録施設として取り扱うこととする。
なお、旧通知は本日をもって廃止する。
別紙
対EU輸出水産食品の取扱要領
1.目的
本要領は、欧州連合(以下「EU」という。)域内に輸入される水産食品については、輸出国の管轄当局が発行した食品・動物衛生証明書(以下「衛生証明書」という。)の添付が求められていることから、関係事業者が遵守すべき必要な衛生要件及び衛生証明書発行の手続並びに衛生当局及び水産当局の監視等について定めるものである。
2.用語の定義
本要領において使用する用語の定義は、以下のとおりとする。
(1) 「水産食品」とは、海水産又は淡水産の動物(ただし、水棲哺乳類、蛙及び別に定める水生生物を除く。)及びその卵並びにこれらを含む食品をいう。
(2) 「対EU輸出水産食品」とは、日本からEU向けに輸出する水産食品をいう。
(3) 「一次生産」とは、漁業生産活動並びにそれに関連する輸送及び貯蔵をいう。
(4) 「一次生産の関連作業」とは、漁船上で行われる活じめ、放血、頭・内臓・鰭の除去、冷凍・冷蔵及び包装をいう。養殖場内での輸送及び性質を大きくは変えていない水産物の生産現場における貯蔵又は生産地から最初の目的地となる施設までの輸送を含む。
(5) 「清浄海水」とは、食品の衛生状態に直接又は間接の影響を与える量の微生物、有害物質及び有毒海洋プランクトンを含んでいない海水及び汽水(天然、人工又は精製)をいう。
(6) 「清浄水」とは、清浄海水及びこれと同様の衛生水準の淡水をいう。
(7) 「包装」とは、食品を直接包むこと及び入れること並びにそのために用いる容器等をいう。
(8) 「梱包」とは、一つ以上の包装された食品をさらに別の箱や容器等に入れること及びその容器等をいう。
(9) 「食品事業」とは、EUへ輸出する目的で、食品の生産、加工又は流通等に関連する何らかの活動を実施する事業をいう。
(10) 「食品事業者」とは、自らが管理する食品事業において、本要領の要件が遵守されていることに責任を負う個人又は法人をいう。
(11) 「養殖場等」とは、養殖用のいけす等、養殖場で使用される漁船及び陸揚げ地をいう。
(12) 「製造者」とは、食品事業者が管理する施設等において水産食品の処理、加工又は製造等(船上における場合を含む。)を行おうとする者をいう。
(13) 「都道府県知事等」とは、都道府県知事、保健所設置市長及び特別区長をいう。
(14) 「都道府県等衛生部局」とは、都道府県、保健所設置市及び特別区における衛生主務部局をいう。
(15) 「衛生当局」とは、厚生労働省、地方厚生局及び都道府県等衛生部局をいう。
(16) 「都道府県水産部局」とは、都道府県における水産主務部局をいう。
(17) 「水産当局」とは、水産庁、農林水産省消費・安全局(養殖場等に関する場合に限る。以下同じ。)及び都道府県水産部局をいう。
(18) 「漁船」とは、水産物を漁獲する船及び漁獲物を洋上転載し、搬送する船をいう。
(19) 「冷凍船」とは、船上で水産物の冷凍を行う漁船をいう。この冷凍には、放血、頭・内臓・鰭の除去の後、必要に応じて包装又は梱包した後の冷凍を含む。
(20) 「EU向け冷凍船」とは、冷凍船のうち、漁獲物を日本で陸揚げせずに直接EUに輸出する又はEU以外の海外に漁獲物を輸出するために水産物を漁獲する漁船(加工船及び養殖場で使用される漁船を除く。)をいう。
(21) 「加工船」とは、船上で水産物を切り身、薄切り、皮剥、殻剥、細切等の加工をした後、包装又は梱包し、必要に応じて冷蔵又は冷凍を行う船をいう。
(22) 「生産漁船」とは、対EU輸出水産食品を取り扱う漁船のうち、EU向け冷凍船、加工船及び養殖場で使用される漁船以外のものをいう。
(23) 「認定施設」とは、食品事業者の施設について、都道府県知事等がその構造設備、施設の衛生管理等を審査し、EUに水産食品を輸出することが可能な施設として認定した加工船及び処理、加工、製造又は保管を行う陸上の施設((24)の登録施設等及び温度管理を必要としない製品の保管のみを行う施設を除く。)をいう。
(24) 「登録施設等」とは、食品事業者の施設について、都道府県知事等がその構造設備、施設の衛生管理等を審査し、EUに水産食品を輸出することが可能な施設として登録した産地市場、消費地市場、養殖場等、EU向け冷凍船及び生産漁船をいう。
(25) 「二枚貝」とは、濾過摂食する弁鰓(さい)類の軟体動物をいう。
(26) 「マリンバイオトキシン(海洋性生物毒素)」とは、毒素を有するプランクトンを摂食した二枚貝に蓄積された毒性物質をいう。
(27) 「調整保管」とは、Aクラスの生産海域、浄化センター又は出荷センターからの二枚貝について、砂、泥若しくは粘着物を除去すること、官能的な質を維持若しくは向上すること又は包装若しくは梱包前に鮮度を良好な状態に保つことを目的として、清浄海水を入れたタンク若しくはその他の設備又は自然の区画で保管することをいう。
(28) 「採捕者」とは、EUへ輸出する目的で生産海域から何らかの方法によって活二枚貝を採捕する個人又は法人をいう。
(29) 「生産海域」とは、活二枚貝が採捕される二枚貝の天然生息地又は養殖に利用される海域を含む全ての海、河口又は潟(海と隔てられた海水の湖)をいう。
(30) 「中継」とは、活二枚貝について、汚染を食用に適するレベルまで低減させるために必要な時間、都道府県知事等の監視の下に、認定された海域、河口又は潟に移動する操作をいう。これには、二枚貝をさらに養殖するために適した海域に移動することは含まれない。
(31) 「中継海域」とは、ブイ、柱、その他の固定物で明確に示された境界線を有し、活二枚貝の自然浄化のためにのみ使用される都道府県等によって認定された海、河口又は潟をいう。
(32) 「出荷センター(dispatch center)」とは、食用の活二枚貝の受入、調整保管、洗浄、格付け、包装又は梱包を行う陸上又は海上の施設をいう。
(33) 「浄化センター」とは、清浄海水を満たす槽を有し、食用に適するレベルまで汚染を低減させるために必要な時間、活二枚貝を入れておく施設をいう。
(34) 「バッチ」とは、生産海域から採捕され、その後認定された出荷センター、浄化センター、中継海域又は加工施設に適切に配送されることとなっている活二枚貝の一定量のことをいう。
3.対EU輸出水産食品を取り扱う施設等の要件
(1) 認定施設
ア 認定施設は、施設の区分に応じ、別添1の基準を満たすこと。
イ 製造者は、別添1の第6に基づく検査を行うこと。
ウ 製造者は、別添1の第9及び第10に定めるHACCPを用いた自主衛生管理を実施すること。
(2) 認定施設以外の施設
ア 認定施設以外の対EU輸出水産食品を取り扱う施設は、施設の区分に応じ、別添1の基準を満たすこと。
イ 一次生産の関連作業以降の段階で水産食品の生産、加工及び流通等に携わる食品事業者は、別添1の第9及び第10に定めるHACCPを用いた自主衛生管理を実施すること。
(3) 共通事項
ア 各施設において取り扱われる個別の生鮮品、冷凍品、解凍品及び加工品は、それぞれ別添1に適合すること。
イ 対EU輸出水産食品の運搬、包装及び梱包、保管並びに表示は、それぞれ、別添1の第2の3.、9.、10.及び第7に定める基準に適合すること。
4.本要領の所掌
本要領の中で、認定施設並びに産地市場及び消費地市場に関する事務は衛生当局が、登録施設(産地市場及び消費地市場を除く。)に関する事務は水産当局が行う。
なお、衛生証明書の発行、10.及び11.については衛生当局と水産部局が協力して行うものとする。
また、必要に応じて衛生当局と水産部局は協力を行う。
5.指名食品衛生監視員の指名等
厚生労働省医薬食品局食品安全部長は、都道府県知事等から推薦された食品衛生監視員について、別添2の厚生労働省が実施する講習会を受講させた上で、適当と認めた場合、対EU輸出水産食品に係る指名食品衛生監視員として指名する。
なお、厚生労働省医薬食品局食品安全部長は、指名食品衛生監視員について適当でないと判断した場合は、その指名を取り消すものとする。
6.認定施設の認定に係る手続等
(1) 申請
認定施設としての認定を受けようとする施設における製造者は、別紙様式1の施設認定申請書により都道府県知事等あて関係書類を添付して申請すること。なお、製造者は、認定後、欧州委員会及び厚生労働省ホームページに施設名等が掲載されることを了承すること。
(2) 書類審査及び現地調査
ア 都道府県知事等は、施設認定申請書について指名食品衛生監視員に書類審査を行わせるとともに、問題がないと判断した場合には、施設の現地調査を行わせること。
イ 指名食品衛生監視員が行う施設の調査については、別添3のチェックリストにより実施すること。
(3) 地方厚生局との協議及び認定
ア 都道府県知事等は、指名食品衛生監視員の書類審査及び現地調査結果に基づき、施設が3.の認定要件を満たしていると認めた場合は、当該施設がある地域を所管する地方厚生局(以下「地方厚生局」という。)の長に別紙様式2により当該施設が3.の要件を満たしていることを示し、地方厚生局長の了解を得た上で、当該施設を認定施設として別紙様式3の施設認定書により認定番号を付して認定すること。
イ この場合において地方厚生局長は、都道府県知事等から示された書類を審査し、指名食品衛生監視員と共に現地調査を実施の上、3.の要件を満たしていると認めた場合は、都道府県知事等に別紙様式4により通知すること。
ウ なお、認定番号は、施設ごとに「都道府県別市町村符号及び保健所符号一覧」(厚生労働省統計情報部)を活用し、上2桁は都道府県符号、次の2桁は保健所符号、5桁目以降に施設の番号を001から付すこと。
(4) 地方厚生局への報告等
都道府県知事等は、申請のあった施設について認定した場合は、別紙様式5の認定報告書により地方厚生局長に報告すること。また、地方厚生局長は、当該報告を厚生労働省医薬食品局食品安全部長に報告すること。
(5) 変更の届出
ア 製造者は、(1)の申請事項について変更しようとするときは、別紙様式6により予め都道府県知事等の承認を得るものとすること。都道府県知事等は、変更内容が3.の要件を満たしていることを認めた場合、別紙様式7により申請者あて通知すること。
イ この場合、都道府県知事等は、HACCPプランの変更を伴う変更にあっては、別紙様式8により予め地方厚生局長の了解を得た上で、承認すること。HACCPプランの変更を伴わない場合は、承認後速やかに別紙様式9により地方厚生局長に報告すること。
ウ 地方厚生局長は、都道府県知事等から示された書類を審査の上、3.の要件を満たしていると認めた場合は、都道府県知事等に別紙様式10により通知すること。
(6) 認定の取消し
都道府県知事等は、製造者から認定の取消しの申出があった場合は、認定を取消すとともに、取消した施設の名称、所在地及び認定番号を地方厚生局長に報告すること。
(7) 認定施設リストの変更に係る報告
都道府県知事等は、認定施設の名称、所在地又は輸出品目の変更を承認した場合には、新旧対照表を添付し、地方厚生局長に報告すること。また、地方厚生局長は、当該報告を厚生労働省医薬食品局食品安全部長に報告をすること。
7.認定後の事務
(1) 衛生証明書の発行手続
ア 都道府県知事等は、製造者より別紙様式11の衛生証明書発行申請書が予め提出された場合、輸出のつど指名食品衛生監視員が、荷口と申請内容を確認した上で、別途欧州委員会から示される様式により衛生証明書を発行すること。なお、記載事項については、別添4に掲げる方法によること。
また、衛生証明書の印章は保健所長等の公印を用い、署名者は、荷口を確認した指名食品衛生監視員とすること。
イ 衛生証明書は、原本及びその写しを一部ずつ申請者に発行するとともに、別の原本の写し一部を都道府県知事等が保管すること。
ウ 製造者は、衛生証明書の原本を付して水産食品を輸出すること。
(2) 指名食品衛生監視員による施設の監視等
都道府県知事等は、認定施設及び認定施設が関連する施設等(登録施設等を除く。)について、別添1の第8に定める基準により、指名食品衛生監視員を施設の状況に応じて定期的に派遣し、監視及び検査等を実施すること。
なお、指名食品衛生監視員の監視及び検査等が拒否された場合には、速やかに認定を取り消すものとすること。
また、都道府県知事等は(1)アの荷口と申請内容の確認の際にも、必要に応じて監視及び検査等を実施すること。
ア 監視項目
指名食品衛生監視員は、認定施設について、3.の認定要件が適正に実施されていることの確認を、4か月に1回以上、別添3のチェックリストにより行うこと。
イ 監視結果等の報告
都道府県等衛生部局の長は、指名食品衛生監視員の監視結果について、4か月に1回、地方厚生局食品衛生課長あてチェックリストの写し及び指摘事項・改善状況の一覧をもって報告すること。
また、前回報告時以降に衛生証明書を発行した場合には、衛生証明書の発行件数等について、上記報告と併せて別紙様式12により報告すること。
ウ 認定の取消し等
都道府県知事等は、監視等の結果、3.の認定要件が適正に実施されていないと判断した場合は、施設に対して、その旨を文書により通知し、改善指導、衛生証明書発行の停止、認定の取消し等の措置をとるとともに、速やかに地方厚生局長に報告すること。
(3) 地方厚生局の現地査察等
地方厚生局長は、輸出水産食品検査担当官を6か月に1回以上、認定施設に派遣し、査察等を実施すること。
ア 査察内容
輸出水産食品検査担当官は、3.の認定要件及び7.(1)及び(2)が適正に実施されていることを確認すること。
イ 査察結果等の報告
地方厚生局長は、(2)イで報告を受けた指名食品衛生監視員の監視結果等及び輸出水産食品検査担当官の査察結果について、6か月に1回、厚生労働省医薬食品局食品安全部長あて報告すること。
ウ 認定の取消し等
地方厚生局長は、輸出水産食品検査担当官の査察の結果、3.の認定要件及び7.(1)及び(2)が適正に実施されていないと判断した場合は、都道府県知事等に対し、その旨を文書により通知し、都道府県知事等はこれを踏まえ、改善指導、衛生証明書の発行停止、認定の取消し等必要な措置をとること。
(4) 認定取消しの報告
上記6.(6)、7.(2)及び(3)に基づき施設認定を取消した場合には、地方厚生局長は、速やかに厚生労働省医薬食品局食品安全部長に報告すること。
8.登録施設等の登録に係る手続等
(1) 申請先
食品事業者は、産地市場及び消費地市場の登録については、都道府県等衛生部局に申請を行い、養殖場等、EU向け冷凍船及び生産漁船の登録については、都道府県水産部局に申請を行うこと。
(2) 産地市場及び消費地市場の登録手続等
ア 産地市場及び消費地市場の登録
認定施設に関連する産地市場及び消費地市場は、対EU輸出水産食品を取り扱う前に市場を所管する都道府県知事等の登録を受けなければならない。
イ 申請
食品事業者は、別紙様式13の市場登録申請書により市場を所管する都道府県知事等あて関係書類を添付して申請すること。なお、食品事業者は登録後、欧州委員会及び厚生労働省ホームページに登録番号、施設名等が掲載されることを了承すること。
ウ 書類審査及び現地調査
都道府県知事等は、市場登録申請書について指名食品衛生監視員に書類審査を行わせるとともに、問題がないと判断した場合には、別添3のチェックリストにより施設の現地調査を行わせること。
エ 登録
都道府県知事等は、上記ウの結果、申請のあった市場が3.(2)及び(3)の登録要件を満たしていると認めた場合は、当該市場を登録施設として別紙様式14により登録番号を付して登録すること。なお、登録番号は、施設ごとに「都道府県別市町村符号及び保健所符号一覧」(厚生労働省統計情報部)を活用し、上2桁は都道府県符号、次の2桁は保健所符号、5桁目以降に施設の番号を001から付し、末尾にAMを付すこと。
オ 報告
都道府県知事等は、申請のあった市場について登録した場合は、別紙様式15により地方厚生局長に報告すること。また、地方厚生局長は、当該報告を厚生労働省医薬食品局食品安全部長に報告すること。
カ その他
厚生労働省医薬食品局食品安全部長又は地方厚生局長は当該登録に問題があると判断した場合は、都道府県知事等に対し、その旨を文書により通知し、都道府県知事等はこれを踏まえ必要な措置をとること。
(3) 養殖場等、EU向け冷凍船及び生産漁船の登録手続等
ア 養殖場等、EU向け冷凍船及び生産漁船の登録
認定施設に関連する養殖場等、EU向け冷凍船及び生産漁船は、対EU輸出水産食品を取り扱う前に養殖場等、EU向け冷凍船及び生産漁船を所管する都道府県知事の登録を受けなければならない。
イ 申請
EUに水産食品を輸出しようとする養殖場等、EU向け冷凍船又は生産漁船を管理する食品事業者は、別紙様式16又は別紙様式17により登録申請書を都道府県知事あて関係書類を添付して申請すること。なお、EUに水産食品を輸出しようとする養殖場等、EU向け冷凍船又は生産漁船を管理する食品事業者は、登録後農林水産省ホームページに登録番号、施設名等が掲載されることを了承すること。また、EU向け冷凍船を管理する食品事業者は、登録後欧州委員会ホームページに登録番号、船名等が掲載されることを了承すること。
ウ 書類審査及び現地調査
都道府県知事は、登録申請書類について都道府県水産部局に書類審査を行わせるとともに、問題がないと判断した場合には、養殖場等については別添5、EU向け冷凍船及び生産漁船については別添6のチェックリストにより現地調査を行わせること。
エ EU向け冷凍船及び生産漁船が他県へ帰港する場合の現地調査
EU向け冷凍船又は生産漁船の登録を希望する食品事業者は、EU向け冷凍船又は生産漁船を所管する都道府県において現地調査を受けることを原則とするが、当該都道府県に帰港できない等のやむを得ない事由がある場合には、EU向け冷凍船又は生産漁船を所管する都道府県と協議の上、入港先の都道府県において現地調査を受けることができる。
入港先の都道府県において現地調査を受ける場合は、EU向け冷凍船又は生産漁船を所管する都道府県から入港先の都道府県に対して現地調査依頼を行い、入港先の都道府県水産部局が現地調査を行った後、その結果をEU向け冷凍船又は生産漁船を所管する都道府県水産部局に報告すること。
オ 登録
EU向け冷凍船又は生産漁船を所管する都道府県知事は、書類審査及び現地調査の結果、申請のあった養殖場等、EU向け冷凍船又は生産漁船が3.(2)及び(3)の登録要件を満たしていると認めた場合は、養殖場等、EU向け冷凍船又は生産漁船を登録施設として、別紙様式14により登録番号を付して登録すること。なお、登録番号は、養殖場等については養殖場等ごとに漁業法(昭和24年法律第267号)に基づく免許番号とし、EU向け冷凍船及び生産漁船については漁船法(昭和25年法律第178号)に基づく登録番号とすること。
カ 外国で現地調査する場合の取扱い
EU向け冷凍船又は生産漁船の食品事業者は、原則として、日本国内において登録を受けるものとするが、1年以上日本に寄港しない等のやむを得ない理由で、外国での現地調査等を希望する場合には、理由書を添付の上、当該EU向け冷凍船又は生産漁船を所管する都道府県に提出すること。都道府県は、その理由が妥当と認める場合には、水産庁漁政部加工流通課に外国における現地調査等を要請することができる。
キ 報告
都道府県知事は、申請のあった養殖場等、EU向け冷凍船又は生産漁船について登録した場合は、別紙様式15により水産庁長官及び農林水産省消費・安全局長に報告すること。
ク その他
水産庁長官及び農林水産省消費・安全局長は当該登録に問題があると判断した場合は、都道府県知事に対し、その旨を文書により通知し、都道府県知事はこれを踏まえ必要な措置をとること。
(4) 登録変更の手続
ア 変更の申請
上記(2)及び(3)に基づき登録された施設を管理する食品事業者(以下「登録食品事業者」という。)は、申請事項を変更しようとするときは、別紙様式18により都道府県知事等に変更登録を申請すること。都道府県知事等は、(2)及び(3)に準じて書類審査等を行い、別紙様式19により変更登録すること。
イ 厚生労働省及び地方厚生局への報告
都道府県知事等は、アに基づき産地市場及び消費地市場の変更登録をした場合は、別紙様式20により、地方厚生局長に速やかに報告すること。
地方厚生局長は、当該変更登録が問題ないと認めた場合には、厚生労働省医薬食品局食品安全部長に報告すること。
ウ 水産庁及び農林水産省への報告
都道府県知事は、アに基づき養殖場等、EU向け冷凍船及び生産漁船の変更登録をした場合は、別紙様式20により、水産庁長官及び農林水産省消費・安全局長に速やかに報告すること。
エ その他
厚生労働省医薬食品局食品安全部長、地方厚生局長、水産庁長官及び農林水産省消費・安全局長は、当該変更登録に問題があると判断した場合は、都道府県知事等に対し、その旨を文書により通知し、都道府県知事等はこれを踏まえ必要な措置をとること。
(5) 登録取消しの手続
ア 登録の取消しの申出
食品事業者は、EUへの輸出を取りやめる場合若しくは食品製造者の死亡若しくは解散等の事由により登録の必要が無くなった場合は、ただちに都道府県知事等あて別紙様式21により登録の取消しを申し出ること。製造者の死亡の場合は代理人が行うこと。
イ 登録取消通知書の発行
都道府県知事等は、アの申出を受けた場合は、別紙様式22により登録取消通知書を発行すること。
ウ 厚生労働本省、地方厚生局、水産庁及び農林水産省への報告等
都道府県知事等は、イの登録取消通知書の発行を行った場合は、別紙様式23により地方厚生局長又は水産庁長官及び農林水産省消費・安全局長に報告を行うこと。地方厚生局長は、厚生労働省医薬食品局食品安全部長に報告すること。
9.登録後の事務
(1) 産地市場及び消費地市場
ア 指名食品衛生監視員による施設の監視等
都道府県知事等は、8.(2)エにより登録された産地市場及び消費地市場について、別添1の第8の基準に基づき年に1回以上指名食品衛生監視員を派遣し、3.(2)及び(3)の登録要件が適正に実施されていることの確認を別添3のチェックリストにより行うこと。なお、指名食品衛生監視員の監視が拒否された場合には、速やかに登録を取り消すとともに地方厚生局長に報告すること。地方厚生局長は、これを速やかに厚生労働省医薬食品局食品安全部長に報告すること。
イ 監視結果等の報告
都道府県等衛生部局の長は、指名食品衛生監視員の監視結果について別紙様式24により、年に1回、地方厚生局食品衛生課長あてチェックリストの写し並びに指摘事項及び改善状況の一覧をもって報告すること。
ウ 監視結果を踏まえた登録の取消等
都道府県知事等は、監視の結果、3.(2)及び(3)の登録要件が満たされていないと判断した場合は、当該施設に対して、文書により、改善指導又は登録の取消の措置をとるとともに、速やかに地方厚生局長に報告すること。地方厚生局長は、これを速やかに厚生労働省医薬食品局食品安全部長に報告すること。
エ 地方厚生局の現地査察
地方厚生局長は、必要と認める場合、輸出水産食品検査担当官を登録を受けた市場に派遣し、3.(2)及び(3)の要件及びアからウまでが適正に実施されていることを確認すること。
オ 査察結果等の報告
地方厚生局長は、イで報告を受けた指名食品衛生監視員の監視結果及びエによる輸出水産食品検査担当官の査察結果について、年に1回、厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長あて報告すること。
カ 査察結果を踏まえた登録の取消し等
地方厚生局長は、輸出水産食品検査担当官の査察の結果、3.(2)及び(3)の要件及びアからウまでが適正に実施されていないと判断した場合は、都道府県知事等に対し、その旨を文書により通知し、都道府県知事等はこれを踏まえて改善指導、登録の取消し等必要な措置をとること。
(2) 養殖場等、EU向け冷凍船及び生産漁船
ア 都道府県水産部局による施設等の監視等
都道府県知事は、登録した養殖場等、EU向け冷凍船又は生産漁船に、別添1の第8の基準に基づき原則として年に1回以上、都道府県水産部局の担当職員を派遣し、監視を行うこと。その際、別添5又は別添6のチェックリストにより、3.(2)及び(3)の登録要件が満たされていることの確認を行うこと。なお、監視が拒否された場合には、都道府県知事は速やかに養殖場等、EU向け冷凍船又は生産漁船の登録を取り消すとともに、速やかに水産庁長官及び農林水産省消費・安全局長に報告をすること。
イ 監視結果等の報告
都道府県水産部局の長は、当該年度のアの監視結果を別紙様式24により、毎年3月中に水産庁漁政部加工流通課長及び農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課長あてにチェックリストの写し並びに指摘事項及び改善状況の一覧をもって報告をすること。
ウ 登録の取消し等
都道府県知事は、監視の結果、登録した養殖場等、EU向け冷凍船及び生産漁船が3.(2)及び(3)の登録要件を満たしていないと判断した場合は、当該施設に対して、文書により、改善指導又は登録の取消しの措置をとるとともに、速やかに水産庁長官及び農林水産省消費・安全局長に報告すること。
エ EU向け冷凍船及び生産漁船が他県へ帰港する場合の監視等
登録したEU向け冷凍船又は生産漁船の食品事業者は、登録を行った都道府県(以下「登録都道府県」という。)において監視を受けることを原則とするが、当該都道府県に帰港できない等のやむを得ない事由の場合には、入港先の都道府県において監視を受けることができる。
入港先の都道府県において監視を受ける場合は、登録を行った都道府県から入港先の都道府県に対して別紙様式25により監視依頼を行い、入港先の都道府県水産部局がアの監視を行った後、その結果を別紙様式26により登録を行った都道府県水産部局に報告すること。
オ EU向け冷凍船及び生産漁船の食品事業者による帰港予定日の報告
EU向け冷凍船又は生産漁船を管理する食品事業者は、登録を受けたEU向け冷凍船又は生産漁船が帰港する予定日の情報について、登録都道府県に対して別紙様式27により報告すること。また、都道府県は水産庁漁政部加工流通課に対して報告内容について報告すること。なお、当該EU向け冷凍船又は生産漁船を管理する食品事業者が帰港予定日について虚偽の連絡を行った場合は、登録都道府県は登録を取消すこと。
カ 外国で監視する場合の取扱い
EU向け冷凍船又は生産漁船の食品事業者は、原則として、日本国内においてアの監視を受けるものとするが、1年以上日本に帰港しない等のやむ得ない理由で、外国での監視等を希望する場合は、理由書を添付の上、当該EU向け冷凍船及び生産漁船を所管する都道府県と相談を行うこと。都道府県は、その理由が妥当と認める場合は、水産庁漁政部加工流通課に外国における監視等を要請することができる。
キ EU向け冷凍船の運航計画の報告
EU向け冷凍船を管理する食品事業者は、登録を受けたEU向け冷凍船の運航計画について、登録都道府県に対して別紙様式28により毎年4月の第1週までに報告すること。また、都道府県は水産庁漁政部加工流通課に対して報告内容について報告すること。
ク 水産庁漁政部加工流通課の現地査察
水産庁漁政部加工流通課長は、必要と認める場合、輸出水産食品検査担当官を登録を受けた養殖場等、EU向け冷凍船及び生産漁船に派遣し、3.(2)及び(3)の要件を満たしていることを確認することができる。
ケ 査察結果を踏まえた登録の取消等
水産庁漁政部加工流通課長は、輸出水産食品検査担当官の査察の結果、3.(2)及び(3)の要件を満たしていないと判断した場合は、都道府県知事等に対し、その旨を文書により通知し、都道府県知事等はこれを踏まえて改善指導、登録の取消等必要な措置をとるものとする。
10.養殖魚介類を使用した水産食品等の残留動物医薬品等の取扱い
(1) 対象
EU指令96/23/ECに基づき、対EU輸出水産食品(その原材料を含む。)のうち養殖魚介類を使用したものについて、都道府県知事等及び食品事業者は、養殖中に使用されるおそれのある動物用医薬品等の残留モニタリング検査を実施する。
(2) モニタリング計画及び実施要領の策定
ア 養殖魚介類を使用した水産食品(その原材料を含む。ただし、輸入された原材料は除く。)をEUに輸出する加工施設を認定する都道府県知事等は、養殖魚介類に関する残留動物医薬品等のモニタリング計画及び実施要領を策定すること。
イ モニタリング計画は、養殖場や加工施設において動物用医薬品等の残留による危害の可能性についてモニタリング検査を行うに当たって、対象とする魚介類の種類、化学物質、検査頻度等について暦年単位(1~12月)での実施計画を定めたものであること。
ウ 実施要領は、イのモニタリング検査を実施するに当たってのサンプリング、検査実施機関までの輸送、検査の実施等に関する手順を定めたものであること。
エ 都道府県知事等は、別添7に示すモニタリング対象物質に関して、未承認の動物用医薬品等の不正使用、動物用医薬品等の残留基準への適合状況、環境汚染物質による汚染状況などに関する実態調査(検査を含む。)を行い、その結果を踏まえ、モニタリング計画を策定すること。
オ 都道府県知事等は、モニタリング計画及び実施要領の策定に当たって、輸出を希望する食品事業者のほか、養殖業者、検査実施機関等モニタリング事業に関係する全ての関係者と十分協議し、円滑にモニタリングが実施できる体制を構築すること。
また、事前に地方厚生局の了解をとること。
(3) モニタリング検査の実施
ア 養殖魚介類を用いて対EU輸出水産食品の加工・製造を行おうとする者(以下、「養殖魚介類加工・製造者」という。)は、都道府県知事等が定めたモニタリング計画及び実施要領に従い、残留動物用医薬品等のモニタリング検査を実施すること。
イ モニタリング検査の実施に当たっては、登録養殖場の所在地を所轄する都道府県知事等が指名する指名食品衛生監視員がサンプリングを行い、検査は都道府県、保健所設置市又は特別区の試験検査機関若しくは食品衛生法に定める登録検査機関により実施すること。
(4) サンプリングの頻度等
ア 検体は、対象魚介類の大きさや試験検査に必要な量を考慮し、1尾以上の魚介類とすること。
イ サンプリングは、食品事業者に実施日時を事前に予告することなく行うこと。
また、特定の日時や曜日に偏らないよう計画すること。
ウ 登録養殖場の生産量に応じてサンプリング検体数、頻度を決めることとするが、毎年、生産量100トンにつき、少なくとも1検体以上をサンプリングすること。
エ 検査に資する検査対象物質及び検体は、化学物質の使用の可能性に基づいて選択すること。
オ 別添7のⅠに掲げる物質は、総サンプリング数の1/3の検体について検査を行うこととし、サンプリングは、登録養殖場の段階で行うこと。(養殖場からの出荷段階にあるものを含む。)
カ 別添7のⅡからⅣに掲げる物質は、総サンプリング数の2/3の検体について検査を行うこととし、次のいずれかの段階でサンプリングを行うこと。
(ア) 登録養殖場における出荷段階。
(イ) 加工施設又は卸売り市場の段階。ただし、この場合、鮮魚介類の状態で、かつ、結果が陽性の場合に生産した登録養殖場への遡り調査が可能であることが要件となる。
キ サンプリングは、登録養殖場内の全ての養殖ポイントの10%以上のポイントから行うこと。
(5) モニタリング検査結果の取りまとめ
都道府県知事等は、モニタリング検査結果を、暦年単位(1月~12月)で取りまとめ年報を作成すること。
(6) 厚生労働省への報告
都道府県知事等は、モニタリング計画及び検査結果を、毎年1月末までに地方厚生局を経由して、厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課あて報告すること。なお、モニタリング計画についてはその年の実施計画を、モニタリング結果については前年に実施した結果をそれぞれ別途指定された様式にて報告すること。
(7) その他
ア 原料となる養殖魚介類を生産する養殖施設が、加工施設を認定する都道府県、保健所設置市又は特別区の管轄外の地域にある場合は、加工施設を認定した都道府県、保健所設置市又は特別区が当該養殖施設のある都道府県、保健所設置市又は特別区に動物用医薬品等の使用に関する実態調査及び検体採取等について協力を求めること。
イ 都道府県知事等は、別添7に掲げるモニタリング対象物質について、汚染・残留防止措置を講ずるよう養殖に関連する食品事業者を指導すること。
ウ 都道府県知事等は、輸入された養殖魚介類を原材料として水産食品を加工・製造する食品事業者に対し、輸出国における当該原料に関する残留動物用医薬品等のモニタリング状況について情報を得るよう指導すること。
エ 都道府県知事等は、モニタリング検査において、基準を超える等の異常値を確認した場合、速やかにその旨を地方厚生局を経由して厚生労働省に報告するとともに、食品事業者に対し、当該魚介類の原材料への使用を中止するよう指導し、原因究明を行い必要な改善措置を講ずること。
オ 都道府県知事等は、養殖魚介類を使用した水産食品を取り扱う施設の認定に係る申請があった場合には、加工場の認定までにモニタリング計画及び実施要領を策定し、地方厚生局を経由し、厚生労働省に提出すること。また、既存の認定施設で、新たな養殖魚介類を使用する等モニタリング計画を変更又は策定する場合においても、当該施設の変更承認までにモニタリング計画及び実施要領を策定し、地方厚生局を経由し、厚生労働省に提出すること。
11.ホタテガイ等二枚貝の取扱い
(1) 対象
EUに輸出されるホタテガイ等二枚貝(以下「対EU輸出ホタテガイ等二枚貝」という。)に必要な衛生要件等を以下に規定する。
(2) 対EU輸出ホタテガイ等二枚貝の生産海域及び中継海域の指定等
ア 都道府県知事等は、別添8の第9の1.の区分に応じて、あらかじめ地方厚生局長の承認を得た上で、生産海域を指定し、又は境界の変更を行うこと。
イ 都道府県知事等は、別添8の第2の3.の規定に従って、あらかじめ地方厚生局長の承認を得た上で、中継海域を認定し、又は境界の変更を行うこと。
ウ 地方厚生局長は、必要に応じて、生産海域又は中継海域について、輸出水産食品検査担当官を派遣し、査察させ、生産海域の指定及び中継海域の認定が適切に行われていないと判断した場合には、それらの取消等の必要な措置をとること。
エ 報告
都道府県知事等は、生産海域の指定、中継海域の認定又はこれらの取り消し等を行った場合は、地方厚生局長に報告し、地方厚生局長は、当該報告を厚生労働省医薬食品局食品安全部長に報告する。
(3) 生産海域及び中継海域のモニタリング並びに施設の監視
ア 都道府県知事等は、別添8の第9の2.の規定に従って、生産海域及び中継海域のモニタリングを実施すること。
イ 都道府県知事等は、都道府県等衛生部局及び都道府県水産部局の職員であってあらかじめ地方厚生局長が承認した委員で構成された「貝類衛生対策委員会」を設置すること。
なお、都道府県等衛生部局の委員は、主として貝毒、微生物、環境汚染物質等の検査に関することを担当し、都道府県水産部局の委員は、主として生産海域等の管理に関することを担当すること。
また、貝類衛生対策委員会の委員に対して、地方厚生局は必要な研修を実施すること。
ウ 貝類衛生対策委員会は、あらかじめ地方厚生局長の承認を得た上で、アのモニタリングのためのサンプリング計画書を作成すること。
エ 貝類衛生対策委員会は、都道府県等衛生部局又は都道府県水産部局に所属する獣医学又は水産学等の課程を卒業した技術系職員(水産業改良普及員を含む。)であって、かつ、貝類衛生対策委員会が実施する研修を受けた者の中から、サンプリングを行う者を指名すること。地方厚生局長は、当該指名を受けた者が適当でないと判断した場合は、貝類衛生対策委員会に対し、その旨通知し、貝類衛生対策委員会は必要な措置をとること。
オ 都道府県知事等は、別添8の第5に規定する基準に適合していることを確認するために、都道府県、保健所設置市又は特別区の試験検査機関又は食品衛生法に定める登録検査機関にて検査を実施すること。麻痺性貝毒(PSP)、下痢性貝毒(DSP)及び記憶喪失性貝毒(ASP)の検査を行う検査機関については、標準検査機関として国立医薬品食品衛生研究所が実施する検証を受けることを前提にすること。
カ 都道府県知事等は、定期的に施設の監視を実施し、別添8の規定に従っていることを確認すること。また、保管及び輸送の状態を監視すること。
キ 上記アからカの他、7.及び9.により、地方厚生局長は認定施設等の査察、都道府県知事等は認定施設等の監視を実施すること。
(4) 施設の認定
ア 対EU輸出ホタテガイ等二枚貝を処理加工する施設については、都道府県知事等により、別添1の基準に適合している施設として認定を受けなければならないこと。ただし、浄化センター及び出荷センターの基準については、別添8の第4によること。
イ 都道府県知事等は、対EU輸出ホタテガイ等二枚貝を処理加工する施設、浄化センター及び出荷センターの認定に当たって、あらかじめ地方厚生局長と協議し、地方厚生局長は現地調査を実施の上、認定の可否について文書により通知することとする。
ウ その他認定の手続については、6.によること。
(5) 輸出手続
衛生証明書の発行手続等輸出のための手続については、7.によることとする。
(6) その他
地方厚生局長は、必要に応じて、生産海域、中継海域、漁船、浄化センター、出荷センター、加工施設及び輸送手段等の関連施設について、輸出水産食品検査担当官を派遣し、現地査察等を実施するものとし、その方法等については、7.(3)によること。
別添1
施設の構造設備及び衛生管理等に関する基準
第1 一次生産及びその関連作業における構造設備及び衛生管理等に関する基準
1.衛生管理基準
(1) 食品事業者は、一次産品がその後に受ける加工についても考慮した上で、可能な限り一次産品の汚染を防ぐように努めること。
(2) (1)に定める一般的な義務の規定とは別に、食品事業者は一次生産及び関連事業における危害の管理に関係する国内法等の関連規定を遵守すること。これには、以下を含む。
ア 空気・土・水・飼料・肥料・動物用医薬品・農薬・殺虫剤等から生じる汚染及び廃棄物の保管・取扱い・処理から発生する汚染を抑制するための措置
イ 人畜共通感染症及び人畜共通感染症病原体のモニタリングと管理のプログラムを含めた人の健康と密接に関係する動物の衛生及び福祉に関する措置
(3) 魚介類の養殖、捕獲又は魚介類由来の一次産品の製造に携わる食品事業者は、必要に応じて以下の目的のために十分な措置を講ずること。
ア 飼料の保管・取扱いに使用される施設を含め、一次生産及びその関連事業との関わりで使用される全ての施設を清潔に保つこと。また、必要に応じて清掃後に適切な方法で消毒すること。
イ 装置、容器、枠箱、車両及び船を清潔に保ち、必要に応じて清掃後に適切な方法で消毒すること。
ウ 汚染防止に必要な場合は必ず飲用適の水又は清浄水を使用すること。
エ 食品を取り扱う職員の健康状態が良好であることを確認し、健康状態が公衆衛生に及ぼすリスクに関する研修を受けさせること。
オ 可能な限り動物や害虫が汚染の原因にならないよう努めること。
カ 汚染を防止できるように廃棄物及び有害物資の保管及び取扱を行うこと。
キ 食品を通じて人に感染する感染症の発生及び伝播を防ぐこと。また、新たな魚介類を導入する際には予防的な措置を講じ、感染症の流行が疑われるときには都道府県知事等に報告すること。
ク 魚介類から採取したサンプル又はその他のサンプルで行った分析で人の健康に重大な意味を持つ分析結果を十分考慮すること。
ケ 飼料添加物や動物用医薬品は関連法規で定められたとおり正しく使用すること。
(4) 食品事業者は、監視の中で確認された問題を通知された場合、適切な改善措置を講ずること。
2.記録の管理
(1) 食品事業者は、食品事業の性質及び規模に応じて、適切な期間、適切な方法で、危害を管理するために講じた措置に関する記録を維持管理すること。食品事業者は、都道府県知事等及び納入先の食品事業者等の要請に応じて、これらの記録等の情報を提供すること。
(2) 魚介類の養殖又は魚介類由来の一次産品の製造に携わる食品事業者は、特に以下の記録を管理すること。
ア 魚介類に与えた飼料の種類及び原産地
イ 魚介類に投与した動物用医薬品及びその他の処置内容、投与日、休薬期間
ウ 魚介類由来の製品の安全性に影響を及ぼす可能性のある疾病の発生
エ 診断目的で魚介類から採取したサンプル又はその他のサンプルについて行った分析の結果で人の健康に重要な意味を持つもの
オ 魚介類又は魚介類由来の製品について行った検査に関連する報告書
(3) 食品事業者は、記録管理に関して獣医師及び漁業技術者等の助言を受けることができる。
3.漁船の構造設備に関する基準
(1) 漁船に関する一般基準
ア 漁船は、船底の汚水(ビルジ)、汚水、煙、燃料、油、グリス及びその他好ましくない物質による製品の汚染が発生しない設計及び構造でなければならない。
イ 水産物が接触する表面は、滑らかで洗浄しやすく、耐腐食性の適切な材質を用いること。また、表面のコーティングは堅牢で、毒性がないこと。
ウ 水産物の作業に使用される機器の材質は、耐腐食性で洗浄及び消毒が容易なものであること。
エ 水産物に使用する水の取水口が漁船にある場合、取水口は水供給時の汚染を引き起こさないような位置にあること。
(2) 水産物を24時間以上船内に保存する漁船の個別基準
ア 水産物を24時間以上保存できるよう設計された漁船は、第2の10.に定める温度で水産物を保管できる魚倉、タンク又は容器を備えなければならない。
イ 魚倉は、保管された水産物の汚染が防止できるよう機関室及び乗務員の居住区域から間仕切りで区画されていなければならない。水産物の保管に用いられる魚倉及び容器等は、衛生的な条件下で水産物の保存ができ、必要に応じて氷解水が製品と接触し続けることのない構造であること。
ウ 冷却した清浄海水で水産物を冷却する装置を有している漁船では、タンク全体が均一の温度となるような装置を備えていなければならない。その装置は、魚介類と清浄海水の混合物が、魚介類を収容してから6時間後に3℃以下、さらに16時間後に0℃以下に達するような冷却速度であり、温度の監視及び必要に応じて温度の記録ができること。
(3) 冷凍船に関する個別基準
ア 中心温度を-18℃以下にまで急速に下げる十分な能力のある冷凍設備を有すること。
イ 魚倉の水産物を-18℃以下に保持できる十分な能力のある冷凍設備を有すること。魚倉には、読みやすい位置に温度記録計が設けられること。温度計の温度感知器は、魚倉内で温度が最も高い場所に設置すること。
ウ 上記(2)イの要件を満たすこと。
(4) 加工船に関する個別基準
① 加工船は、少なくとも以下を満たさなければならない。
ア 漁獲物受入れ区域は、
(ア) 連続的に漁獲操業を行う船にあっては、各操業ごとの漁獲物の区分けが可能であること。
(イ) 受入れ区域及びその設備は清掃が容易な構造であること。
(ウ) 日光、塵埃等の影響及び汚染を受けない構造であること。
イ 受入れ区域から作業区域への搬入設備は、衛生的であること。
ウ 処理・加工・製造区域は、
(ア) 衛生的な処理・加工・製造が可能な十分な広さを有すること。
(イ) 清掃が容易な構造であること。
(ウ) 水産物(処理・加工・製造工程のものを含む。以下同じ。)が汚染を受けないような構造であること。
エ 水産物保管区域は、
(ア) 規模に応じた十分な広さを有し、清掃が容易な構造であること。
(イ) 船上において廃棄物処理を行う場合にあっては、廃棄物等の保管場所とは隔壁により区分されていること。
オ 包装資材の保管場所は、処理・加工・製造区域とは隔壁により区画されていること。
カ 廃棄物及び食用に供さない漁獲物等は専用の耐水性材料で作られた設備に保管すること。
キ 取水口は、水供給時に汚染されないような位置にあること。
ク 水産物を取り扱う従業員が使用する手洗設備を有すること。手洗設備は自動式又は足踏式蛇口を有する等、汚染の拡大を防止するよう設計されたものであること。
② 船上で甲殻類及び軟体動物の調理・冷却・包装を行う加工船は、その他の魚介類の取扱いが船上で行われなければ、①の要件を満たす必要はない。
③ 水産物を冷凍する加工船にあっては、(3)ア及びイの要件を満たす設備を有すること。
4.漁船の衛生管理に関する基準
(1) 水産物の保管用に区画された場所や保管容器は、清潔に保たれ、補修や維持管理が適切であるとともに、特に、漁船の燃料やビルジによって汚染されないよう配慮すること。
(2) 水産物が船上に揚げられた場合、直ちに汚染を防止するとともに、日光等の熱による影響を避けること。
(3) 水産物の洗浄に使用する水は、飲用適の水又は清浄水を使用すること。
(4) 水産物は魚体に傷が付かないよう適切に取り扱うとともに保管しなければならない。取扱者は、製品の肉を傷付けない限り大型魚類又は怪我の危険性のある魚類を移動させる目的でスパイク付き器具を使用することができる。
(5) 活のまま保管する場合を除き、水産物は漁獲後、迅速に冷却すること。ただし、冷却が困難な漁船の場合にあっては、速やかに陸揚げすること。
(6) 水産物を冷却するために使用する氷は、飲用適の水又は清浄水から製造されたものであること。
(7) 船上で魚類の頭や内臓を除去する場合、その作業は漁獲後、迅速かつ衛生的に行うこと。除去後、速やかに飲用適の水又は清浄水で十分に水産物を洗浄すること。
また、公衆衛生上問題が生じるおそれのある内臓及びその他の部位は、速やかに除去し、食用に供される製品とは隔離して保管すること。
なお、食用に供される肝臓及び魚卵は、氷温付近の温度になるよう氷漬けにして保存又は冷凍すること。
(8) 缶詰製造用の丸のままの原料魚類を塩水中で冷凍する場合、-9℃以下に保持すること。また、塩水によって魚類が汚染されないよう配慮すること。
5.養殖場等における魚病の衛生管理に関する基準
(1) 出血や潰瘍等の臨床的な病変が確認された魚類及び甲殻類を出荷しないこと。
(2) 水揚げから加工施設まで輸送の間に、魚類及び甲殻類の健康状態が損なわれることのないよう、水揚げ後に速やかに水氷に漬けられる等の処理がなされていること。
(3) 輸送に使用される容器等は輸送前に洗浄・消毒されている又は未使用のものを使用すること。
(4) 養殖場で出荷される魚類及び甲殻類が、次のいずれかを満たすこと。
ア 別添4(注)の感受性魚種の場合は、水揚げ後殺処理され内臓が除去されていること。
イ 甲殻類の場合は、殺処理されていること。
第2 食品事業者(第1で規定されている一次生産及びその関連作業を除く。)における構造設備及び衛生管理等に関する基準
1.食品施設に関する一般基準
(1) 食品施設は、清潔に保たれ、手入れが行き届き、良好な状態に維持管理されること。
(2) 食品施設のレイアウト、設計、構造、立地及び規模は、以下を満たすこと。
ア 適切な維持管理、洗浄及び消毒を行うとともに、汚染区域と清潔区域を壁等を用いて分け、空気を経由した汚染を防ぐこと。また、全ての作業を衛生的に行うための適切な広さを有すること。
イ 塵埃の蓄積、有害物質との接触、剥離片の食品への混入、結露やカビの発生を防止できること。
ウ 汚染防止及び特に害虫の駆除を含む適正な食品衛生管理ができること。
エ 食品を適温に保つ機能を十分に備え、必要に応じて、適切な温度管理下で取扱い及び保管ができる環境が確保されること。また、これらの温度の監視及び必要に応じて温度の記録ができる設計であること。
(3) 下水施設に接続された適切な数の水洗トイレが備えられていること。また、水洗トイレの開口部は、食品を取り扱う部屋に直接つながっていてはならない。
(4) 自動式又は足踏式蛇口を有する等、適切に設計された給湯付き手洗設備が、適切な場所に十分な数、備えられていること。そこには、手指の洗浄剤及び衛生的に乾燥させる器具又は用品を備えなければならない。必要に応じて、食品を洗浄する設備と手洗設備は分離させなければならない。
(5) 適切かつ十分な自然又は機械式の換気手段を有すること。汚染区域から清潔区域への機械的な通風は避けること。換気システムは、フィルター等の洗浄又は交換のために必要な部品が容易に取り外せる構造であること。
(6) トイレは自然又は機械式の換気が十分に行われること。
(7) 食品施設は自然光又は人工光により十分な照度が得られること。
(8) 排水施設はその目的を十分果たすものであり、汚染を避けるような設計及び構造であること。排水溝が完全又は部分的に開放している場合、汚水が汚染区域から清潔区域、特に最終消費者へのリスクが高い状態で食品が取り扱われる区域へ流れ込まないように設計しなければならない。
(9) 必要に応じて、従業員用の適切な更衣室を有すること。
(10) 洗浄剤及び消毒剤等は、鍵付の棚等、食品を取り扱う区域とは分離して保管すること。
(11) 洗浄剤及び消毒剤等は、別添10に掲げられているもののみを機器及び水産物に悪影響を与えないように使用すること。
2.食品の処理・加工等を行う区画に関する個別基準
(1) 食品の取扱い、処理、加工及び製造等を行う区画は、作業中及び作業の合間における汚染を防ぐことを含め、適正な食品衛生管理ができるような設計・レイアウトでなければならない。特に、以下が満たされていること。
ア 床の表面は良好な状態に維持管理し、洗浄及び必要に応じて消毒が容易でなければならない。このために床は不浸透性・非吸収性の洗浄可能で無害な材質を使用すること。ただし、都道府県知事等が、その材質が適切であることを認めた場合は、別の材質を使用することができる。また、必要に応じて、床の表面は適切に排水できるようにすること。
イ 壁の表面は良好な状態に維持管理し、清掃及び必要に応じて消毒が容易でなければならない。このために壁は不浸透性・非吸収性の洗浄可能で無害な材質を使用し、作業に適切な高さまで表面が平滑であること。ただし、都道府県知事等が、その材質が適切であることを認めた場合は、別の材質を使用することができる。
ウ 天井(天井がない場合は屋根の内側の面)及び頭上の設備は、塵埃の蓄積を防ぎ、結露、カビの増殖及び小片の剥落を減少させるような構造・仕上りでなければならない。
エ 窓及びその他の開口部は、塵埃の蓄積を防ぐ構造でなければならない。屋外の環境に開放できる窓及びその他の開口部は、必要に応じて虫除けの網戸を設置し、網戸は洗浄のために容易に取り外せるものであること。窓の開放により汚染の原因となる可能性がある場合には、製造中、窓は締切りとすること。
オ ドアは清掃及び必要に応じて消毒が容易でなければならない。このために、ドアの表面は平滑で非吸収性の材質を使用すること。ただし、都道府県知事等が、その材質が適切であることを認めた場合は、別の材質を使用することができる。
カ 食品を取り扱う区域、特に食品と接触する区域の表面(装置の表面を含む。)は、清掃及び必要に応じて消毒が容易でなければならない。このために表面は平滑で洗浄可能な耐腐食性の無害な材質を使用すること。ただし、都道府県知事等が、その材質が適切であることを認めた場合は、別の材質を使用することができる。
(2) 作業用器具・装置の洗浄、消毒、保管のために、必要に応じて適切な設備を有すること。これらの設備は、耐腐食性材質を使用し清掃が容易で温水・冷水が適切に供給されること。
(3) 食品の洗浄のために必要に応じて適切な設備を有すること。食品の洗浄に使用されるシンクその他の設備は、6.の要件に合致した飲用適等の温水又は冷水が適切に供給され、清潔に保たれ、必要に応じて消毒されなければならない。
3.運搬に関する基準
(1) 一般基準
ア 食品の輸送に使用される運搬車両又はコンテナは、食品の汚染を防ぐために、清潔に保たれ、手入れが行き届き、良好な状態に維持管理されていること。必要に応じて、洗浄又は消毒が適切に実施できるよう設計・製造されなければならない。
イ 運搬車両内の容器又はコンテナは、汚染のおそれがある場合には、食品以外の輸送に使用してはならない。
ウ 運搬車両又はコンテナは、食品と食品以外のものを一緒に輸送したり別の食品を同時に輸送したりする場合には、必要に応じて製品を有効に分離する手段を講じなければならない。
エ 液状、粒状又は粉状の食品をバルク輸送する場合には、食品の輸送用の容器、コンテナ又はタンカーで輸送しなければならない。これら容器には、食品の輸送に使用されることを示す表示をすること。
オ 運搬車両又はコンテナが、食品以外の製品の輸送又は異なる食品の輸送に使用された場合、新たな荷積みの前に汚染のリスクを避けるために十分な清掃を行わなければならない。
カ 運搬車両又はコンテナの中の食品は、汚染のリスクを最小限にとどめるように配置、保護されなければならない。
キ 食品の輸送に使用する運搬車両又はコンテナは、必要に応じて食品を適温に保ちその温度を監視できるものであること。
(2) 個別基準
ア 水産物は輸送中、義務付けられた温度に維持されること。特に、
(ア) 生鮮水産物、解凍した未加工の水産物、甲殻類・軟体動物を調理・冷蔵した製品は、氷温付近の温度に維持しなければならない。
(イ) 冷凍の水産物は、缶詰製造用に丸のまま塩水中で冷凍した魚類を除き、製品温度を-18℃以下に保つこと。なお、輸送途中において、3℃以内の変動は差し支えないものとすること。
イ 冷凍の水産物が冷凍倉庫から認定施設まで輸送され、到着直後に処理・加工の目的で解凍される場合で、その輸送が短時間で、かつ都道府県知事等が許可する限り、製造者は、ア(イ)の要件を満たす必要はない。
ウ 水産物を氷漬けにして保管する場合、氷解水が製品と接触し続けることのない構造であること。
エ 活で出荷される水産物は、食品の安全性及びその生存に悪影響を与えない方法で輸送しなければならない。
4.機器等に関する基準
(1) 食品が接触する全ての用具、備品及び機器は、以下を満たさなければならない。
ア 十分な洗浄が行われ、必要に応じて消毒されること。洗浄及び消毒は汚染のリスクを防止するために十分な頻度で行うこと。
イ 汚染のリスクを最小限にするため、適切な材質を使って製造され、適切な整頓や修理を行い、適切な状態で保たれること。
ウ 再利用できない容器・包装を除き、清潔かつ必要に応じて無菌の状態に保てるよう適切な材質を使って製造され、適切な整頓や修理を行い、適切な状態で保たれること。
エ 機器及び周辺区域の清掃が十分に行えるように設置すること。
(2) 本基準が達成されるよう、必要に応じて機器に制御装置を備えること。
(3) 機器及びコンテナの腐食を防ぐために化学添加剤を使用しなければならない場合、適正な管理基準に従って使用すること。
5.食品廃棄物に関する基準
(1) 食品廃棄物、食用に適さない副製品及びその他の廃棄物は、できるだけ速やかに移動し、食品が置かれている部屋に貯まらないようにすること。
(2) 食品廃棄物、食用に適さない副製品及びその他の廃棄物は、有蓋の容器に集めること。ただし、その容器又は排出システムが適切であることを都道府県知事等が認めた場合は、別の容器又は排出システムを使用することができる。これらの容器等は、適切な構造を有し、良好な状態で保たれ、清掃及び必要に応じて消毒が容易にできるものであること。
(3) 食品廃棄物、食用に適さない副製品及びその他の廃棄物の保管と処理について、十分な配慮がされなければならない。廃棄物置場は、清潔に保ち、必要に応じて容易に動物及び害虫を駆除できるように設計、管理しなければならない。
(4) 全ての廃棄物は、関連法規等に従って、衛生的かつ環境に配慮した方法で処分しなければならない。また、食品の直接又は間接的な汚染源となってはならない。
6.使用水に関する基準
(1) 給水設備は、以下の要件を満たすこと。
ア 十分な飲用適の水が供給されなければならない。食品の汚染を防ぐために必要な場合には必ず飲用適の水を使用しなければならない。
イ 丸のまま及び除頭や内臓除去をした水産物並びに切り身や薄切りの水産物には、清浄水を使用することができる。活二枚貝・棘皮動物・被嚢動物・海洋性腹足類動物には、清浄海水を使用することができる。外部の洗浄には、清浄水を使用することができる。これらの水を用いる場合は、適切に供給できる設備を備えなければならない。
(2) 例えば消火、蒸気発生、冷蔵又はその他類似の目的で飲用に適さない水を使用する場合、明確に分離された循環システムであること。飲用に適さない水が飲用水と接触したり、逆流したりしてはならない。
(3) 再利用水を加工に使用したり原材料として使用する場合、汚染のリスクが生じてはならない。都道府県知事等が最終製品としての食品の安全性に影響を与えないと認めない限り、飲用適の水と同じ基準を満たすものでなければならない。
(4) 食品と接触する氷又は食品を汚染するおそれのある氷は、飲用適の水から作られたものでなければならない。ただし、生鮮水産物を冷却するために使用する氷は清浄水から作られたものでもよい。氷は汚染を防ぐ条件下で製造、取扱い及び保管をすること。
(5) 食品と直接接触する蒸気は、健康への危害となったり食品を汚染するおそれのある物質を含んでいてはならない。
(6) 密閉容器に入れた食品を加熱処理する場合、加熱処理後の容器を冷却するために使用する水は食品の汚染源とならないようにすること。
(7) 水産物の処理、加工及び製造について使用する水の残留遊離塩素濃度は2ppm以下であること。
7.従事者の衛生管理に関する基準
(1) 食品を取り扱う区域で作業する全ての従事者は、高い清潔水準の維持に努め、適切で清潔な作業着を着用すること。作業着は、必要に応じて防護機能のあるものでなければならない。
(2) 食品を通じて感染するおそれのある疾病に罹患している従事者、そのキャリア又は細菌感染した傷・皮膚感染・腫れ・下痢のある従事者等は、直接又は間接的な汚染の可能性が少しでもある場合、食品を取り扱ったり、食品を取り扱う区域に入ってはならない。食品に接触する可能性のある従事者は、疾病に感染したら直ちに、その疾病名、症状及び可能な場合はその原因を食品事業者に報告しなければならない。
8.食品の取扱いに関する基準
(1) 製造者が通常の分別、分離又は加工処理を衛生的に行ったとしても、最終製品が食用に適さない程度まで原材料(活の魚介類を除く。)又はその他製品の加工に用いる原材料が寄生虫、病原微生物、有害物質、腐敗物質又は異物に汚染されていることが判明した場合又は合理的に予想される場合、製造者はこれらを受け入れてはならない。
(2) 食品取扱施設において保管される全ての原材料は、有害な品質劣化を避け、汚染を防ぐように設計された適切な条件下で保管されなければならない。
(3) 食品は、製造、加工及び流通の全ての段階で食用に適さなくなる又は公衆衛生上問題となるような汚染から保護されなければならない。
(4) 鼠族・害虫駆除のための適切な措置が講じられなければならない。
(5) 病原微生物の増殖又は毒素の産生につながる可能性のある原材料、中間製品及び最終製品は、公衆衛生上の危害となりうる温度のままにしておいてはならない。また、コールドチェーンは途切れてはならない。ただし、食品の調理、輸送、保管、陳列の間の実際の取扱いを考慮して、公衆衛生上の危害とならない限り短時間だけ温度管理からはずれる場合はこの限りでない。加工食品の製造、取扱い又は包装をする製造者は、原材料と加工品を分別して保管するのに十分な広さの部屋と分別して冷蔵・冷凍保存するのに十分な施設を備えなければならない。
(6) 低温で保管される食品の場合、加熱処理段階の後又は加熱処理が行われない場合は最終調理段階の後、可能な限り速やかに公衆衛生上の危害とならない温度にまで冷却しなければならない。
(7) 食品の解凍は、食品中の病原微生物の増殖又は毒素産生のリスクを最小限にするような方法で行わなければならない。食品は解凍中も公衆衛生上の危害とならない温度に保たれなければならない。解凍工程で発生する液体が公衆衛生上の危害となりうる場合は十分な排水を行うこと。食品は解凍後病原微生物の増殖又は毒素産生のリスクを最小限にするような方法で取り扱わなければならない。
(8) 動物用飼料を含む有害物質又は非食用物質は、適切な表示を行い分別して容器に入れて保管すること。
9.包装及び梱包に関する基準
(1) 一般基準
ア 包装及び梱包に使用する材質は、汚染源とならないものであること。
イ 包装資材は、汚染リスクに曝露しない方法で保管しなければならない。
ウ 包装及び梱包作業は、製品の汚染を生じさせないように実施しなければならない。必要に応じて、特に缶やガラス瓶を使用する場合、容器の構造及び清潔度を確認しなければならない。
エ 食品用に再利用される包装及び梱包の材質は、洗浄及び必要に応じて消毒が容易にできるものでなければならない。
(2) 個別基準
ア 生鮮の水産物を氷漬けにして保存する容器は、耐水性を有し、氷解水が製品と接触し続けることのない構造であること。
イ 船上で加工した冷凍ブロックは、陸揚げ前に適切に包装しなければならない。
10.水産物の保存基準
(1) 生鮮の水産物、解凍した未加工の水産物、調理や冷蔵をした甲殻類や軟体動物の製品は、氷温付近の温度で保存しなければならない。
(2) 冷凍の水産物は、製品温度-18℃以下で保存しなければならない。ただし、缶詰製造用に丸のまま塩水中で冷凍する魚類は、-9℃以下で保存すればよい。
(3) 活で保存される水産物は、食品の安全性又はその生存に悪影響を与えない温度及び方法で保存しなければならない。
11.加熱処理に関する個別基準
缶詰等の密閉容器に入った食品は、以下の要件を遵守すること。
(1) 未加工の製品の加工又は加工製品にさらなる加工を行う際の加熱処理工程は以下の条件を満たさなければならない。
ア 処理する製品の中心温度が、所定の時間内に所定の温度まで上昇すること。
イ 工程中に発生しうる製品の汚染を防止すること。
(2) 製造者は、工程に求められる目標が達成されていることを確認するため、関係する主要な指標(特に温度、圧力、密閉度、微生物)を定期的に確認しなければならない。これは自動記録装置による確認でもよい。
(3) 使用する工程は、国際的に認められた基準(例えば、低温殺菌法、UHT法、滅菌法等)に準拠していなければならない。
12.研修
食品事業者は、以下を遵守すること。
(1) 食品事業者は従業員を監督下に置き、その業務に見合った食品衛生の問題について指導又は研修を受けさせなければならない。
(2) 施設のHACCP担当者等は、HACCP原則の適用に関して適切な研修を受けなければならない。
第3 陸揚げ時及びその後の水産物を取り扱う施設に関する個別基準
1.水産物の積卸し及び陸揚げに関する基準
(1) 積卸し及び陸揚げに用いる機器で水産物に接触するものは、洗浄及び消毒が容易な材質を用い、補修等の維持管理が適切で清潔な状態に保たれていること。
(2) 特に以下に留意して、積卸し及び陸揚げの際の水産物の汚染を避けること。
ア 積卸し及び陸揚げ作業は速やかに行うこと。
イ 水産物は、遅滞なく第2の10.に定める温度に保たれた環境におくこと。
ウ 水産物の可食部分に不要な損傷を与えるような機器の使用、取扱い等を避けること。
2.産地市場及び消費地市場に関する基準
(1) 保留となった水産物の冷蔵保管のための施錠可能な施設を備え、食用となった水産物の保管には別途施錠できる施設を用意すること。
(2) 都道府県知事等が必要とした場合は、指名食品衛生監視員が使用する適切な器具を備えた施錠可能な設備又は必要に応じて部屋を備えること。
(3) 水産物の陳列又は保管においては、
ア 施設を他の目的に使用してはならない。
イ 水産物の品質を損うおそれのある排気ガスを放出する車両は施設内に入れてはならない。
ウ 施設に入場する人は動物を入れてはならない。
エ 施設は監視が容易に行えるよう十分な照度が確保されていること。
3.船上での冷却が不可能な場合、活で保管される以外の生鮮水産物は陸揚げ後できるだけ速やかに冷却し、氷温付近の温度に維持して保管すること。
4.食品事業者は、都道府県知事等が第8に従って監視を実施することができるよう協力しなければならない。
第4 水産物を取り扱う施設(漁船を含む。)に関する個別基準
食品事業者は、水産物を取り扱う施設において以下の要件を遵守しなければならない。
1.生鮮水産物に関する基準
(1) 冷蔵状態の未包装製品は、陸上の施設に到着後すぐに流通、輸送、調整保管、加工されない場合、適切な設備の中で氷漬けにして保存しなければならない。必要に応じて氷を追加すること。包装された水産物は氷温付近の温度に冷却しなければならない。
(2) 除頭、内臓除去等の処理は、衛生的に行わなければならない。内臓除去が技術的及び商業的な観点から可能な場合、漁獲後又は陸揚げ後できるだけ速やかに内臓を除去しなければならない。この作業の後、清浄水で製品を十分に洗浄すること。
(3) 切り身や薄切り等の作業は、汚染や腐敗を起こさないように行わなければならない。切り身や薄切りにしたものは、調製に必要な時間以上は作業台に放置してはならず、これらは包装し、必要に応じて梱包しなければならない。また、調製後できるだけ速やかに冷却すること。
(4) 未包装の調製済み水産物で氷漬けにして保存するものを輸送又は保管するために使用する容器は、氷解水が製品と接触し続けることのない構造であること。
(5) 丸のままの水産物及び内臓を除去した水産物は、船上では冷水の中で輸送、保管することができ、陸揚げ後もそのまま冷水中で輸送できる。また、養殖施設から輸送、分別以外の作業が行われる最初の陸上の施設に到着するまでは、同様に輸送できる。
2.冷凍水産物に関する基準
水産物を冷凍する陸上の施設は、第1の3.(3)ア及びイに定めた要件を満たさなければならない。
3.機械を使用して分離する水産物に関する基準
「機械を使用して分離する水産物」とは、筋肉構造の損失又は変形を伴う機械的手段を用いて、水産物から肉を除去することにより得られる製品をいう。本製品を製造する場合は、以下の要件を遵守しなければならない。
(1) 使用する原材料は、以下の要件を満たさなければならない。
ア 機械を使用して分離する水産物の製造に使用できるのは、丸のままの魚類及び切り身をとった後の骨のみであること。
イ 全ての原材料に内臓が含まれていてはならないこと。
(2) 製造工程は、以下の要件を満たさなければならない。
ア 機械による分離は切り身をとる作業の後、遅滞なく行うこと。
イ 丸のままの魚類を使用する場合には、分離の前に内臓を除去して十分に洗浄すること。
ウ 機械を使用して分離する水産物は、製造後できるだけ速やかに冷凍するか、冷凍品又は安定化処理される製品と同様に取り扱うこと。
4.寄生虫に関する基準
(1) 以下に掲げる水産物は、-20℃以下で24時間以上冷凍処理を行うこと。この処理は、未加工の製品又は加工済み製品に適用される。
ア 生食又は生食に近い状態で消費される水産物。
イ 以下の種類に由来する水産物で、製品の中心温度が60℃以下の低温で燻煙を行うもの。
(ア) ニシン
(イ) サバ
(ウ) ニシン属の小魚
(エ) (天然の)太平洋及び大西洋のサケ属
ウ 線虫類の幼虫を死滅させるには不十分なマリネード漬け又は塩漬けを施される水産物。
(2) 以下の場合には、(1)の処理を行う必要はない。
ア 漁場について、寄生虫の健康危害がないことを証明する疫学データがある場合
イ 都道府県等衛生部局が認める場合
(3) 上記(1)に掲げる水産物を出荷するときには、行った処理の種類を記載した文書を添付しなければならない。
5.魚油に関する基準
食用に供する魚油の原材料は以下の要件を満たさなければならない。
ア 本要領の規定を満たす食用に適した水産食品に由来すること。
イ 本要領に基づいて登録された漁船および認定された施設を経由すること。
ウ 加工に至るまで、衛生的な条件下で輸送及び保存されること。
エ 可能な限り迅速に冷却し、本要領別添1の第2の10に定めた温度で保管すること。
ただし、下記の条件全てを満たす場合は、この限りではない。
1) 原材料が、本要領に定める基準を満たす場合
2) 全揮発性塩基性窒素(TVB―N)の数値が、本要領第6の3.で定める上限値を超えない場合
3) 丸のままの水産食品を原材料とする場合
4) 陸揚げ後、36時間以内に加工する場合
オ 魚油を最終製品として輸出する場合にあっては、全ての原材料に対し、加熱、圧搾、分離、遠心分離、加工、精製、および浄化の製造行程を施すこと。
第5 加工水産物に関する個別基準
甲殻類及び軟体動物の調理を行う場合は、以下の要件を遵守しなければならない。
1.調理後、清浄水を用いて急速に冷却すること。また、何らかの保存方法を用いない場合にあっては、温度が氷温付近に達するまで冷却し続けなければならない。
2.殻剥き及び殻取りは、衛生的に行い、製品の汚染を防がなければならない。これらの作業を人手によって行う場合には、作業員は手洗いに十分注意をすること。
3.殻剥き又は殻取り後、調理済み製品は速やかに冷凍するか、第2の10.に定める温度にできるだけ速やかに冷却しなければならない。
第6 水産物の衛生基準
製造者等は、製品又は魚種に応じて食用として出荷する水産物が基準を満たすことを、以下により確認しなければならない。ただし、食用に供する魚油の原材料については、2.、4.の基準は適用しない。
また、2.、3.、5.、6.及び7.の検査については、製造者が、製品検査の信頼性確保(GLP)が行われている検査施設にて行うこと。
1.水産物の官能検査
製造、加工、流通の全ての段階で任意に検体を採取し、食用に適するか否かを検査すること。
(1) 陸揚げ後、販売前の生鮮、冷蔵の製品については食用に適するか否かを任意に検体を採取して検査すること。
(2) 上記(1)の検査の際に本基準に適合しないと判断された場合等必要と認める場合には、販売先において再度検査を実施すること。
(3) 食用に適さないと判断された場合にあっては、販売を禁止し、食用を目的として販売ができないよう措置すること。
(4) 検査の際に製品の鮮度に問題がある場合にあっては、必要に応じて理化学的検査又は微生物学的検査を実施すること。
2.ヒスタミン
サバ科、ニシン科、カタクチイワシ科、シイラ科、ムツ科、サンマ科及びアジ科等、ヒスチジン含有量が多い魚種由来の水産食品について検査すること。試験法は、食品衛生検査指針等にあるHPLC等既に広く適用されている科学的検査方法によるものとする。
(1) サンプリング頻度は、製品の特性や生産量等を踏まえ、HACCPや適正衛生規範(GHP)に基づいて適切に設定すること。
(2) 1ロット当たり任意に採取した9検体について検査を実施し、次により判定すること。
(3) 全ての検体の平均値が100ppmを超えないこと。
(4) 2検体が100ppm以上200ppm未満であれば差し支えない。
(5) 全ての検体が200ppmを超えないこと。
(6) 塩漬け等の発酵処理を行ったものにあっては、(2)から(4)の基準を2倍にして適用するものとする。
3.全揮発性窒素
未加工の以下の表に掲げる魚種について、官能検査の結果、鮮度が疑われた場合は、TVB―N(全揮発性塩基性窒素)又はTMA―N(トリメチルアミン窒素)の検査を行い、限界値を超えている場合には製品を市場に出してはならない。
(1) サンプリング頻度は、製品の特性や生産量等を踏まえ、HACCPや適正衛生規範(GHP)に基づいて適切に設定すること。
(2) TVB―Nの検査は、コンウェイの微量拡散法その他別に定められた方法により行うこと。