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○児童扶養手当の支給対象となる場合における障害基礎年金の子の加算の支給事務の取扱いについて

(平成23年1月26日)

(年管管発0126第2号)

(日本年金機構事業管理部門担当理事あて厚生労働省年金局事業管理課長通知)

これまで、障害基礎年金の子の加算については、受給権発生時に生計を維持している子がある場合に行うこととしていたが、国民年金法等の一部を改正する法律(平成22年法律第27号。以下「法」という。)及び国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令(平成22年政令第194号)が公布され、平成23年4月1日より、受給権発生後に子を持ち、その子との間で生計維持関係がある場合にも子の加算を行うこととされた。

一方、児童扶養手当(両親がいる場合で、父又は母が障害(1級相当)の状態にあることにより支給される児童扶養手当)については、児童の父又は母が児童扶養手当法施行令に定める程度の障害の状態にあっても、当該児童が当該父又は母に支給される公的年金給付の額の加算の対象になっている場合には支給されないこととなっている。これにより、これまで児童扶養手当の支給対象となっていた児童について、法により新たに障害基礎年金の子の加算の対象となった場合には、児童扶養手当が支給されない取扱いとなる。

障害者の生活状況の変化に応じたきめ細かな対応を図り、障害者に対する所得保障の一層の充実を図るという、法の趣旨に鑑みれば、障害者世帯の所得が減少するような取り扱いは適当ではないことから、平成22年5月26日に成立した児童扶養手当法の一部を改正する法律(平成22年法律第40号)の附帯決議においては、「障害基礎年金について、受給後に有した子に係る加算制度が設けられたことにより、これまで支給されていた児童扶養手当が支給されなくなる場合があることを踏まえ、受給世帯に不利な取扱いとならないよう、運用の改善等適切な措置を講ずること」とされたところである。

このため、障害基礎年金の子の加算に係る生計維持について、『「国民年金法等の一部を改正する法律」及び「国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」の公布について』(平成22年9月14日付け厚生労働省年金局長通知)において、児童扶養手当額が障害基礎年金の子の加算額を上回る場合には、当該子と障害基礎年金の受給権者である父又は母との間には生計維持関係がないものと取り扱って差し支えないものとされた。

これを踏まえ、障害基礎年金の子の加算と児童扶養手当の支給事務の取扱いについては下記のとおりとするので、内容について御了知いただくとともに、その取扱いに遺漏のないよう取り計らわれたい。

なお、本取扱いについては、厚生労働省雇用均等・児童家庭局と協議済であるので念のため申し添える。

1.障害基礎年金の子の加算の生計維持の認定の時期

児童扶養手当の額については、毎年8月の現況確認の際に所得額等に応じて改定されることから、その際に当該改定後の額と障害基礎年金の子の加算額とを比較して、子の加算の生計維持関係の認定を行うことが基本となる。

ただし、それ以外の時期にも子の加算の生計維持関係の認定は可能であり、特に改正法の施行当初は、新たに加算の対象となり得る者が一斉に額の比較を行うことから、相当数の認定が発生することが想定されることに留意されたい。

また、障害基礎年金の子の加算に係る生計維持関係については、遡及して認定することができるが、児童扶養手当については、原則として申請日の翌月からの支給となるので、事務の遅れによって受給世帯に不利な取扱いとならないよう留意されたい。なお、今般の改正に関し、児童扶養手当の認定請求に係る広報等を知り得ない場合や長期間の不在などにより平成23年3月31日までに児童扶養手当の認定請求等を行うことが出来ない特別な事情が認められる場合においては、平成23年8月31日までに認定請求等が行われた場合には、児童扶養手当法(昭和36年法律第238号)第7条第2項に規定する「災害その他やむを得ない理由」に該当するものとして取り扱って差し支えないものとされていることに留意されたい。

2.子が複数いる場合の取扱い

障害基礎年金の子の加算及び児童扶養手当ともに、支給対象となる子の数に応じて支給額が決定されるところである。子が複数いる場合には子ごとに障害基礎年金の子の加算額と児童扶養手当額との多寡を比較して生計維持関係を認定し、障害基礎年金の子の加算と児童扶養手当とのいずれかを受給することとなるので留意されたい。

3.児童扶養手当から障害基礎年金の子の加算に受給変更する場合の対応

① 児童扶養手当から障害基礎年金の子の加算へ受給変更する場合は、受給権者に対し「障害給付加算額・加給年金額加算開始事由該当届(様式第229―1)」(以下「障害年金 加算事由該当届」という。)の提出及び市区町村(児童扶養手当担当(課)係をいう。以下同じ。)が発行する「児童扶養手当証書」又は「児童扶養手当認定通知書」(以下「児童扶養手当証書等」という。)の提示を求め、障害基礎年金の子の加算額が児童扶養手当額より高額となることの確認を行うこと。

② 「障害年金 加算事由該当届」を受理する際、受給者に「子の加算請求にかかる確認書」の提出を求めること。

③ ②で提出された、「障害年金 加算事由該当届」の写しを市町村へ情報提供すること。

④ 「障害年金 加算事由該当届」の認定を行い、加算する場合は「支給額変更通知書」を受給権者へ通知すること。

⑤ 「障害年金 加算事由該当届」の認定において、不該当となる場合は「加算事由不該当通知書」を受給権者あて通知すること。

⑥ 障害年金の新規裁定請求時に、児童扶養手当から障害基礎年金の子の加算へ受給変更する場合は、上記③の「障害年金 加算事由該当届」の写しに代えて「障害給付裁定請求書」の写しを市町村へ情報提供すること。

4.障害基礎年金の子の加算から児童扶養手当に受給変更する場合の対応

① 障害基礎年金の子の加算から児童扶養手当へ受給変更する場合は、受給権者に対し「加算額・加給年金額対象者不該当届(様式第205号)」の提出及び市区町村が発行する「児童扶養手当調書等」の提示を求め、児童扶養手当額が障害基礎年金の子の加算額より高額となることの確認を行うこと。

② 不該当処理後、「支給額変更通知書」を受給権者へ通知すること。

5.障害基礎年金における子の加算状況にかかる市町村からの照会対応

市町村から、児童扶養手当の認定に当たり、適宜「障害年金の子の加算状況について(照会・回答)」の照会文書が管轄の年金事務所に送付されるので、照会があった場合は、障害基礎年金の子の加算等を確認し、速やかに市町村に対して回答を行うこと。

6.その他

本通知による障害基礎年金の子の加算と児童扶養手当の支給事務の取扱いについては、平成23年4月1日から開始することとなっており、受給世帯への周知を行うこと。