添付一覧
○診療報酬明細書等の審査及び支払に係る事務の委託先の変更について
(平成22年12月28日)
(保発1228第4号)
(都道府県知事あて厚生労働省保険局長通知)
健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)の一部施行により、平成19年4月から健康保険及び船員保険の保険者(以下「被用者保険保険者」という。)、国民健康保険の保険者(以下「国保保険者」という。)並びに平成20年4月から後期高齢者医療広域連合(以下「広域連合」という。)は、社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)及び各都道府県における国民健康保険団体連合会(以下「国保連」という。)のいずれに対しても診療報酬明細書の審査及び支払に関する事務を委託できることとされたところである。
「規制改革推進のための3か年計画」(平成19年6月22日閣議決定)(別添1)において、審査支払機関間の受託競争環境の整備を行うこととされたことを踏まえ、当該計画に盛り込まれた事項について、別紙のとおり参考としてお示しすることとしたので、その旨御了知の上、貴管内保険者、広域連合及び国民健康保険団体連合会に対し周知徹底を図られたい。
【別紙】
診療報酬明細書等の審査及び支払に係る事務の委託先の変更の取扱いについて
第1 趣旨
被用者保険保険者、国保保険者及び広域連合が、支払基金及び国保連のいずれの審査支払機関に対しても、審査及び支払に関する事務を円滑に委託することが可能となるよう、委託先の変更に当たって必要な事務を明らかにするものである。
第2 診療報酬明細書等の審査支払事務の委託先の変更について
1 対象となる診療報酬明細書等
保険者(被用者保険保険者、国保保険者及び広域連合をいう。以下同じ。)が当該事務の委託先を変更する場合には、当該保険者の被保険者等(被用者保険保険者においては、被保険者及び被扶養者とし、国保保険者及び広域連合においては、被保険者とする。)に係るすべての診療報酬明細書等(医科・歯科・調剤及び訪問看護ステーションにおける診療等に係る明細書並びに請求書であって、医療保険及び公費負担医療(療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和51年厚生省令第36号)第1条第1項各号に掲げるものをいう。)の併用に係るもののうち生活保護(中国残留邦人を含む。)に係るものを除く。以下同じ。)を対象とすること。
2 委託先の変更時期について
委託先の変更は、関係機関の事務負担等を軽減するため、毎年4月1日と10月1日の年2回の時期に行うこととし、それぞれ4月、10月の診療分から委託先を変更することとすること。
3 委託先を変更する保険者における事務
(1) 保険者は、診療報酬明細書等の審査及び支払に関する事務の委託先を変更する場合は、保険医療機関等(保険医療機関、保険薬局及び訪問看護ステーションをいう。以下同じ。)が変更後の審査支払機関に当該保険者に係る診療報酬等の請求を行う予定月の少なくとも4か月前の末日までに審査支払機関に通知した上で、当該事務に係る従前の審査支払機関との委託契約を変更し、新たに審査支払機関との委託契約を締結すること。
(2) 健康保険組合は、委託契約の内容につき組合会に諮るとともに、新たな委託先の審査支払機関の名称を規約に明記すること。(別添2の「健康保険組合規約例(昭和36年6月23日保発第38号)」の改正を参照のこと。)
全国健康保険協会は、委託契約の内容について運営委員会の議を経て、新たな委託先の審査支払機関の名称を運営規則に明記すること。
市町村及び広域連合は、地方自治法(昭和22年法律第67号)及び地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)で定める契約の方法により新たな委託契約を締結し、委託先を新たな審査支払機関に変更する旨を公示すること。
国民健康保険組合は、委託契約の内容につき組合会に諮るとともに、新たな審査支払機関に委託する旨を規約に明記すること。(別添3の「国民健康保険組合規約例(昭和34年2月20日保発第13号)」の改正を参照のこと。)
(3) 審査支払事務の委託先を変更する保険者は、委託先の変更に先立ち、審査支払機関を変更したことを保険医療機関等が識別できるよう、被保険者の有する被保険者証の保険者番号を修正すること。
なお、委託先を変更する保険者に係る新たな保険者番号は、厚生労働省保険局において付番することとし、これに伴い「保険者番号等の設定について」(昭和51年8月7日保発第45号)の一部を改正する予定である(改正通知は追って送付する予定。)。
(4) 審査支払事務の委託先を変更する保険者は、新たな委託先に対して、保険者記号・番号、住所、連絡先を届け出るとともに、旧委託先に対して、これまで提出していた保険者届の取消を行うこと。なお、被用者保険保険者が国保連に委託先を変更する場合には、当該保険者の主たる事業所の所在する都道府県の国保連との間で委託契約を締結し、当該国保連は国民健康保険中央会との間で全国決済を行うこととすること。
また、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会等の医療関係団体に、委託先を変更した旨を通知すること。
4 審査支払機関における事務
(1) 審査支払機関は、診療報酬明細書等の審査及び支払に関する事務の委託先を変更する保険者と、委託契約を締結すること。
また、円滑に契約の締結がなされるよう、支払基金は国保保険者と契約する場合の契約書例、国保連は被用者保険保険者と契約する場合の契約書例を、それぞれ支払基金及び国民健康保険中央会のホームページ上に公開すること。
(2) 審査支払機関は、保険者との間で当該事務に係る委託契約を新たに締結した旨を、それぞれのホームページ上に公開すること。
(3) 年度途中に、保険者が支払基金から国保連へ審査支払事務に関する委託を変更した場合、支払基金は、当該保険者が納付した委託金を当該保険者へ返還すること。
5 保険医療機関等における事務
(1) 保険医療機関等は、変更された被保険者証の「保険者番号」を確認し、当該保険者番号に基づき、審査支払機関に診療報酬明細書等を送付すること。
(2) 保険医療機関等は、審査支払機関に診療報酬明細書等を送付するに当たって、委託先を変更した保険者に係るものについては別に編綴して審査支払機関に提出すること。その際、診療報酬請求書及び総括票については、現行どおり各保険者の様式によるものとすること。
第3 審査支払機関における審査及び支払に関する情報の公開等について
1 審査支払機関は、保険者が審査支払事務の委託先を変更するに際して参考となるよう、審査及び支払に関する情報(手数料、審査取扱件数、再審査率、審査支払部門のコストを示す財務情報)をそれぞれの審査支払機関のホームページに公開すること。
2 1の支払基金又は国保連が公開する情報の定義は、以下のとおりであること。
(1) 手数料
支払基金においては、社会保険診療報酬支払基金法(昭和23年法律第129号)第26条に基づき、当該年度において支払基金の業務運営に要する費用を、取り扱う診療報酬明細書等の見込件数で除した額。
国保連においては、国保保険者分の県内保険者手数料額及び県外保険者手数料額並びに被用者保険保険者分の手数料額。
(2) 審査取扱件数
支払基金においては、審査委員会において審査決定した診療報酬明細書等から「保険者等からの申出による調整件数」を除いた診療報酬明細書等の件数(なお、当該件数については、これまで支払基金において「確定件数」として定義づけているものであり、下記の国保連の「確定件数」と定義上は同じものである)。
国保連においては、審査委員会において審査決定した診療報酬明細書等の件数(請求件数)から、「過誤整理件数」を差し引いた件数(なお、当該件数については、これまで国保連において「確定件数」と定義づけているものであり、上記の支払基金の「確定件数」と定義上は同じものである)。
なお、調剤報酬の支払に係るものについては他のものと区分すること。
(3) 再審査件数率
支払基金及び国保連のいずれにおいても、保険者又は保険医療機関等からの再審査申出の処理件数を、医科・歯科・調剤に係る審査取扱件数で除した数値。
(4) 審査支払部門のコストを示す財務情報
支払基金においては、毎年度の各会計に係る財務諸表。
国保中央会及び各都道府県国保連においては、毎年度の各会計に係る予算・決算状況及び財産目録(年度末時点)。
3 審査支払機関は、保険者から、審査支払事務の委託先審査支払機関を変更する際に必要な情報の提供が求められた場合には、適切に対応するとともに、保険者あてに提供した情報を広く公表するよう努めること。
第4 審査支払機関における審査ロジックの公開について
審査支払機関は、「事務点検ASPサービス」に係るチェックロジックをホームページ上に公開することにより、保険医療機関等が自ら請求前に記録条件の不備等請求誤りを発見し、正しい請求を行うことができる環境を整備すること。
また、審査の透明性を高めるため、審査上の一般的な取扱いに係る事例について、「審査情報提供事例」として広く情報提供を行い、ホームページ上に公開すること。
第5 実施状況に応じた見直し
本通知の取扱いは、第2の3(3)の保険者における対応も含めて、その施行状況を踏まえ、必要に応じて見直しを行うものであること。
(別添1)
規制改革推進のための3か年計画(抄)
(平成19年6月22日閣議決定)
7 医療分野
(2) レセプトの審査・支払に係るシステムの見直し
② 審査支払機関間における受託競争の促進【平成19年度末までに結論】
審査・支払業務のオンライン化による効率化は、国民が負担する医療保険事務費用を大いに軽減させるという点で極めて重要であり、その確実な遂行のためには審査支払機関間において競争原理を導入することが必須条件である。規制改革・民間開放推進会議から、審査・支払業務の受託競争環境を整備する施策として、健康保険の保険者及び国民健康保険の保険者が支払基金・各都道府県国保連のいずれに対しても審査・支払を委託できる仕組みとするとの提言がなされ、平成19年度から実現化されたところである。
今後更なる受託競争の促進による審査・支払業務の効率化を図るため、厚生労働省は、保険者が他の都道府県の国保連を含むいずれの審査支払機関にも、医療機関側が十分な準備ができる期間を置いた上で、審査・支払を委託することができる旨、周知徹底する。また審査支払機関の公正な受託競争環境を整備するためには、各審査支払機関における手数料、審査取扱い件数、再審査率、審査・支払部門のコストを示す財務情報など、一定の情報については公開させるとともに、支払基金と各都道府県国保連の審査・支払部門のコストが比較できるよう、それらを示す財務情報を公開する際の統一的なルールを設定する。
あわせて、保険者・審査支払機関間の契約モデルの提示、保険者が指定した審査支払機関にレセプトが請求されるようなインフラの整備、診療報酬点数表等に基づいたレセプトを照合する等の審査ロジックの公開、紛争処理のあり方の見直しを行う。
(別添2)
(健康保険組合規約記載例)
新 |
旧 |
第1条~第40条の2 (略) |
第1条~第40条の2 (略) |
(組合の委託する審査支払機関) 第40条の3 この組合が法第76条第5項の規定により審査及び支払に関する事務を委託する審査支払機関は、次のとおりとする。 ○○県(都道府)国民健康保険団体連合会 |
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第41条~第65条 (略) |
第41条~第65条 (略) |
(別添3)
○国民健康保険組合規約例(昭和34年2月20日保発第13号)
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旧 |
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第1条~第10条 (略) |
第1条~第10条 (略) |
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(組合の委託する審査支払機関) |
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第10条の2 この組合が法第45条第5項の規定により審査及び支払に関する事務を委託する審査支払機関は、次のとおりとする。 社会保険診療報酬支払基金 |
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第11条~第65条 (略) |
第11条~第65条 (略) |