添付一覧
① 穀類、種実類、果実、野菜、ハーブ及び抹茶の場合
試料50.0g(抹茶の場合は10.0g)をディーン・スターク蒸留装置の丸底フラスコに量り採り、水500mL、酢酸エチル20mL及び消泡剤1mLを加え、40分間加熱還流する。終了後、トラップ内の水層及び酢酸エチル層を分液ロートに採り、塩化ナトリウム15gを加えて振とうする。静置した後、酢酸エチル層を採り、液相分離ろ紙を用いてろ過する。ろ液に酢酸エチルを加えて正確に20mLとしたものを試験溶液とする。
② 抹茶以外の茶の場合
試料12.0gを100℃の水720mLに浸し、室温で5分間放置した後、ろ過する。冷後ろ液540mLをディーン・スターク蒸留装置の丸底フラスコに量り採り、酢酸エチル20mL及び消泡剤1mLを加え、40分間加熱還流する。終了後、トラップ内の水層及び酢酸エチル層を採り、塩化ナトリウム15gを加えて振とうする。静置した後、酢酸エチル層を採り、液相分離ろ紙を用いてろ過する。ろ液に酢酸エチルを加えて正確に20mLとしたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
メチルイソチオシアネート標準品を酢酸エチルに溶解して調製した標準原液を酢酸エチルで希釈し、0.01~0.5mg/Lの標準溶液を数点調製する。それぞれ5μLをGCに注入し、ピーク高法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液5μLをGCに注入し、5の検量線でメチルイソチオシアネートの含量を求める。
7.確認試験
GC/MSにより確認する。
8.測定条件
1) GC
検出器:FTD又はNPD
カラム:ポリエチレングリコール又はトリフルオロプロピルメチルシリコン 内径0.53mm、長さ30m、膜厚1.0μm
カラム温度:60℃
注入口温度:250℃
検出器温度:250℃
注入量:5μL
保持時間の目安:ポリエチレングリコールカラムの場合は4分、トリフルオロプロピルメチルシリコンカラムの場合は1.5分
2) GC/MS
カラム:ポリエチレングリコール 内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm
カラム温度:60℃(1分)-15℃/分-220℃(2分)
イオン化モード(電圧):EI(70eV)
主なイオン(m/z):73、72
注入量:2μL
保持時間の目安:5分
9.定量限界
0.01mg/kg (茶は0.05mg/kg)
10.留意事項
1) 試験法の概要
ダゾメット、メタム及びメチルイソチオシアネートを試料からディーン・スターク蒸留装置を用いて抽出し、GC―FTD又はGC―NPDで定量し、GC/MSで確認する方法である。加熱還流中にダゾメット及びメタムはメチルイソチオシアネートに変化する。
2) 注意点
① 試料に水を加えた状態でpHを調べ、酸性またはアルカリ性に偏っている場合は、あらかじめ中和してから、蒸留操作を行う。
② GC―FPD(S)では、メチルイソチオシアネートの検出感度が低いので、FTD又はNPDを用いる。
③ オレンジの測定には、トリフルオロプロピルメチルシリコンカラムが適している。ポリエチレングリコールカラムでは、メチルイソチオシアネートの前に負のピークが出現し、定量に影響する。
11.参考文献
1) 環境省告示第35号「メチルイソチオシアネート試験法」(平成2年4月10日)
2) 環境省告示第93号「ダゾメット試験法」(平成2年11月7日)
3) 環境省告示第73号「カーバムナトリウム塩試験法」(平成7年11月28日)
12.類型
C
チオジカルブ及びメソミル試験法(農産物)
1.分析対象化合物
チオジカルブ
メソミル
メチルチオアセトヒドロキサマート(メソミルオキシム)
2.装置
アルカリ熱イオン型検出器付きガスクロマトグラフ(GC―FTD)、高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ(GC―NPD)又は炎光光度型検出器付きガスクロマトグラフ(GC―FPD(S))及びガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いる。
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。
メソミルオキシム標準品 本品は、メソミルオキシム98%以上を含み、融点は93.5℃である。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
① 穀類、豆類、種実類、果実、野菜及びハーブの場合
穀類、豆類及び種実類の場合は、試料20.0gに水40mLを加え、2時間放置する。
果実、野菜及びハーブの場合は、試料20.0gを量り採る。
これにアセトン100mLを加え、30分間振とうした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加え、上記と同様に振とう及びろ過を行う。得られたろ液を合わせ、40℃以下で40mLに濃縮する。
これに水50mL、0.5mol/L硫酸5mL、塩化ナトリウム20g及びn―ヘキサン50mLを加え、5分間振とうした後、水層を分取する。この水層にn―ヘキサン50mLを加え、上記と同様に振とう及び分取を行う。
分取した水層を酢酸エチル100mLずつで3回振とう抽出する。酢酸エチル層を合わせ、2%ジエチレングリコール・アセトン溶液0.1mLを加え、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。
② 茶の場合
試料5.00gに水20mLを加え、2時間放置する。これにアセトン100mLを加え、30分間振とうした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加え、上記と同様に振とう及びろ過を行う。得られたろ液を合わせ、40℃以下で30mLに濃縮する。
これに水50mL及び飽和酢酸鉛溶液2mLを加え、軽く振り混ぜた後、吸引ろ過する。水50mLでろ紙上の残留物を洗い、吸引ろ過する。得られたろ液を合わせ、0.5mol/L硫酸5mL、塩化ナトリウム30g及びn―ヘキサン50mLを加え、5分間振とうした後、水層を分取する。この水層にn―ヘキサン50mLを加え、上記と同様に振とう及び分取を行う。
分取した水層を酢酸エチル100mLずつで3回振とう抽出する。酢酸エチル層を合わせ、2%ジエチレングリコール・アセトン溶液0.1mLを加え、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。
2) 加水分解
1)で得られた残留物に4mol/L水酸化ナトリウム溶液20mLを加えて溶かし、空冷管を付して85℃で30分間加熱する。冷後、0.5mol/L硫酸100mLを加え、酢酸エチル100mLで1回、50mLずつで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液に2%ジエチレングリコール・アセトン溶液0.1mLを加え、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にアセトンを加えて溶かし、正確に2mLとしたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
メソミルオキシム標準品の0.05~1mg/Lアセトン溶液を数点調製する。それぞれ2μLをGCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液2μLをGCに注入し、5の検量線でメソミルオキシムの含量を求める。
メソミルオキシムの含量に1.54を掛けたものをチオジカルブ及びメソミルオキシムを含むメソミルの含量とする。
7.確認試験
GC/MSにより確認する。
8.操作条件
GC
検出器:FTD、NPD又はFPD(S)
カラム:ポリエチレングリコール、内径0.2~0.7mm、長さ10~30m、膜厚0.1~1.5μm
カラム温度:50℃(2分)-2~20℃/分-280℃
注入口温度:200~270℃
検出器温度:280~300℃
キャリヤーガス:窒素又はヘリウム、線速度20~40cm/秒
9.定量限界
0.01mg/kg (茶は0.04mg/kg)
10.留意事項
1) 試験法の概要
チオジカルブ、メソミル及びメソミルオキシムを試料からアセトンで抽出し、酸性下でn―ヘキサンで洗浄した後、酢酸エチルで抽出する。抽出物をアルカリで加水分解し、チオジカルブ及びメソミルをメソミルオキシムに変換した後、GC―FTD、GC―NPD又はGC―FPD(S)で定量し、GC/MSで確認する方法である。なお、メソミルオキシムの含量に係数を掛けてメソミルに換算した値を分析値とする。
2) 注意点
11.参考文献
1) 上路雅子ら、2002年度版「残留農薬分析法」487頁、ソフトサイエンス社
12.類型
A(環境省告示第27号「チオジカルブ試験法」平成7年4月26日)
ヒメキサゾール試験法(農産物)
1.分析対象化合物
ヒメキサゾール
2.装置
アルカリ熱イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(GC―FTD)又は高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ(GC―NPD)
ガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。
ヒメキサゾール標準品 本品はヒメキサゾール99%以上を含み、融点は86~87℃である。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
① 穀類、豆類及び種実類の場合
試料10.0gを量り採り、水20mLを加え、2時間放置する。
これにアセトニトリル50mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトニトリル20mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせ、アセトニトリルを加え、正確に100mLとする。この20mLを採り、n―ヘキサン30mLを加え、n―ヘキサン飽和アセトニトリル30mLずつで3回振とう抽出する。抽出液を合わせ、40℃以下で約20mLに濃縮する。
これに塩化ナトリウム10g及び0.01mol/L塩酸15mLを加え、10分間激しく振り混ぜた後、静置し、アセトニトリル層と水層をそれぞれ分取する。アセトニトリル層に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別する。一方の水層を多孔性ケイソウ土カラム(20mL保持用)に注入し、15分間放置した後、酢酸エチル100mLを注入する。溶出液を先のアセトニトリル層と合わせ、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物を酢酸エチルに溶解し、正確に1mLとする。
② 果実、野菜、ハーブ、茶及びホップの場合
果実、野菜及びハーブの場合は、試料20.0gを量り採る。茶及びホップの場合は、5.00gを量り採り、水20mLを加え、2時間放置する.
これにアセトニトリル50mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトニトリル20mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせ、アセトニトリルを加え、正確に100mLとする。この20mLを採り、塩化ナトリウム10g及び0.01mol/L塩酸15mLを加えて10分間激しく振り混ぜた後、静置し、アセトニトリル層と水層をそれぞれ分取する。アセトニトリル層に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別する。一方の水層を多孔性ケイソウ土カラム(20mL保持用)に注入し、15分間放置した後、酢酸エチル100mLを注入する。溶出液を先のアセトニトリル層と合わせ、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物を酢酸エチルに溶解し、果実、野菜及びハーブの場合は、正確に2mL、茶及びホップの場合は、正確に0.5mLとする。
2) 精製
オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)に、酢酸エチル10mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに1)で得られた溶液0.5mLを注入した後、酢酸エチル5mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、正確に0.5mLとしたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
ヒメキサゾール標準品の0.02~1mg/L酢酸エチル溶液を数点調製し、それぞれ1μLをGCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液1μLをGCに注入し、5の検量線でヒメキサゾールの含量を求める。
7.確認試験
GC/MSにより確認する。
8.測定条件
1) GC
検出器:FTD又はNPD
カラム:ニトロテレフタル酸修飾ポリエチレングリコール、内径0.32mm、長さ15m、膜厚0.50μm
カラム温度:60℃(2分)-20℃/分-180℃(0分)-5℃/分-200℃
注入口温度:230℃
検出器温度:230℃
キャリヤーガス:ヘリウム
保持時間の目安:7.5分
2) GC/MS
カラム:5%フェニル―メチルシリコン、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm
カラム温度:50℃(1分)-25℃/分-125℃(0分)-10℃/分-250℃
注入口温度:250℃
キャリヤーガス:ヘリウム
イオン化モード(電圧):EI(70eV)
主なイオン(m/z):99
注入量:1μL
保持時間の目安:6.5分
9.定量限界
0.02mg/kg
10.留意事項
1) 試験法の概要
ヒメキサゾールを試料からアセトニトリルで抽出し、塩析する。アセトニトリル層と水層に分け、水層を多孔性ケイソウ土カラムに負荷して酢酸エチルでヒメキサゾールを溶出する。酢酸エチル溶出液とアセトニトリル層を合わせて、オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムで精製し、GC―FTD又はGC―NPDで測定し、GC/MSで確認する方法である。
2) 注意点
① GC測定において試料注入口での吸着・転移が起こりやすいので、ガラスインサートは不活性度が高いものを使用する。また、油脂を多く含む試料の場合は特に吸着が起こりやすいので、これらの試料を測定した場合は感度低下に注意し、必要に応じてガラスインサートを交換する等の措置を施す。
② ヒメキサゾールは揮発性が高いので、減圧濃縮は溶液が数mL程度残る程度で止め、その後窒素気流下で溶媒を除去する。このとき乾固させないよう十分注意する。また、キーパーを使用してもよいが、ポリエチレングリコールはGC注入口での吸着を起こす原因となることがあるので使用を避けた方がよい。
③ 窒素気流下における濃縮操作では、損失の原因となるので溶液に渦ができるほど窒素を吹きつけたり、乾固させないようにすること。
④ オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムによる精製後の濃縮操作は窒素気流下で行う。
⑤ 8の2)GC/MSに示した条件では、濃度が低い時、トータルイオンクロマトグラム上でピークが確認できない場合があるので、試験溶液をさらに濃縮するか又は1)GCに示したカラムで測定する等の方法で対応する。
11.参考文献
1) 環境庁告示第28号「ヒメキサゾール試験法」(昭和53年5月12日)
2) 中村ら 三共研究所年報、28、130―141(1976)
12.類型
C
フェンチン試験法(農産物)
1.分析対象化合物
フェンチン(トリフェニルスズ)
水酸化トリフェニルスズ
酢酸トリフェニルスズ
塩化トリフェニルスズ
2.装置
炎光光度型検出器(スズ用干渉フィルター)付きガスクロマトグラフ(GC―FPD(Sn))
ガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。
フェンチン標準品 本品は水酸化トリフェニルスズ98%以上を含み、融点は123℃である。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
① 豆類及び種実類の場合
試料10.0gを量り採り、水20mLを加え、2時間放置する。
これに6mol/L塩酸1mL及びアセトン100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加え、ホモジナイズした後、上記と同様にろ過する。ろ液を合わせ、40℃以下で約30mLに濃縮する。
これに10%塩化ナトリウム溶液200mLを加え、n―ヘキサン100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。
この残留物にn―ヘキサン20mLを加え、n―ヘキサン飽和アセトニトリル40mLずつで3回振とう抽出する。抽出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物に酢酸及びn―ヘキサン(3:97)混液を加えて溶かし、正確に10mLとする。
② 穀類、果実、野菜、ハーブ、茶及びホップの場合
穀類の場合は、試料10.0gを量り採り、水20mLを加え、2時間放置する。
果実、野菜及びハーブの場合は、試料20.0gを量り採る。
茶及びホップの場合は、試料5.00gを量り採り、水20mLを加え、2時間放置する。
これに6mol/L塩酸1mL及びアセトン100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。ろ液を合わせ、40℃以下で約30mLに濃縮する。
これに10%塩化ナトリウム溶液200mLを加え、n―ヘキサン100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物に酢酸及びn―ヘキサン(3:97)混液を加えて溶かし、正確に10mLとする。
2) エチル化
1)で得られた溶液1mL(茶の場合は2mL)を採り、3mol/Lエチルマグネシウムブロミド・エーテル溶液1mL(茶の場合は2mL)を加え、室温で20分間放置する。
これに0.5mol/L硫酸10mLを徐々に加え、次いで水10mLを加えて混和する。この溶液をn―ヘキサン10mL、5mL及び5mLで3回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で2mLに濃縮する。
3) 精製
クロマトグラフ管(内径15mm)に、カラムクロマトグラフィー用合成ケイ酸マグネシウム5gをn―ヘキサンに懸濁させて充てんし、無水硫酸ナトリウム約5gを積層する。このカラムに2)で得られた溶液を注入した後、n―ヘキサン15mLをカラムに注入する。次いで、エーテル及びn―ヘキサン(1:99)混液50mLを注入し、全溶出液を合わせ、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて溶かし、正確に1mL(果実、野菜及びハーブの場合は2mL)としたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
酢酸及びn―ヘキサン(3:97)混液を用いて、フェンチン標準品の0.02~1mg/L溶液を数点調製し、4の2)エチル化と同様に操作した後、2μLをGCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液2μLをGCに注入し、5の検量線で水酸化トリフェニルスズの含量を求める。水酸化トリフェニルスズの含量に係数0.95を掛けてフェンチンに換算したものを分析値とする。
7.確認試験
GC/MSにより確認する。
8.測定条件
GC
検出器:FPD(Sn)
カラム:メチルシリコン 内径0.32mm、長さ25m、膜厚1.0μm
カラム温度:120℃(1分)-10℃/分-200℃-20℃/分-300℃(5分)
注入口温度:280℃
検出器温度:300℃
キャリヤーガス:ヘリウム
保持時間の目安:12~15分
9.定量限界
0.02mg/kg
10.留意事項
1) 試験法の概要
フェンチンを試料から、塩酸酸性下でアセトンで抽出し、n―ヘキサンに転溶する。次いで、穀類、果実、野菜、ハーブ、茶及びホップについてはそのまま、豆類及び種実類についてはアセトニトリル/ヘキサン分配で脱脂した後、エチルマグネシウムブロミドでエチル化する。合成ケイ酸マグネシウムカラムで精製した後、GC―FPD(Sn)で測定し、GC/MSで確認する方法である。
2) 注意点
① フェンチンの標準品としては、水酸化トリフェニルスズ以外に、酢酸トリフェニルスズ及び塩化トリフェニルスズが市販されている。標準品として酢酸トリフェニルスズ又は塩化トリフェニルスズを使用した場合にもそれぞれ係数を掛けてフェンチンの含量に換算する。
② エチルマグネシウムブロミドによるエチル化の後、硫酸を加える際には、激しく発泡するため、徐々に加える。
③ 本試験法は、酸化フェンブタスズにも適用可能である。但し、抹茶以外の茶については熱湯抽出を行う必要があるため、本法は適用できない。
11.参考文献
厚生労働省監修、食品衛生検査指針 残留農薬編、392~401、2003、(社)日本食品衛生協会
12.類型
C
ベンゾビシクロン試験法
1.分析対象化合物
ベンゾビシクロン
2.装置
紫外分光光度型検出器付高速液体クロマトグラフ(HPLC―UV)
液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。
スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラム(500mg) 内径8~9mmのポリエチレン製のカラム管に、スチレンジビニルベンゼン共重合体500mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離特性を有するものを用いる。
ベンゾビシクロン標準品 本品はベンゾビシクロン99%以上を含み、融点は188~189℃である。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
試料10.0gに0.15mol/Lリン酸溶液20mLを加え、2時間放置する。これにアセトニトリル100mLを加え、30分間振とう抽出した後、ガラス繊維ろ紙を用いて吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトニトリル50mLを加え、振とう及びろ過の操作を繰り返す。得られたろ液を合わせて、40℃以下で約20mLに濃縮する。
2) 精製
①スチレンジビニルベンゼン共重合体カラムクロマトグラフィー
スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラム(500mg)にアセトニトリル5mL及び水5mLを順次注入し、各流出液は捨てる。このカラムに1)で得られた溶液を注入し、流出液は捨てる。さらに、アセトニトリル及び水(2:3)混液10mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、アセトニトリル及び水(4:1)混液10mLを注入し、溶出液に水10mLを加える。
②多孔性ケイソウ土カラムクロマトグラフィー
多孔性ケイソウ土カラム(20mL保持用)に①で得られた溶出液を注入し、次いで、酢酸エチル120mLを注入する。溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトン、酢酸及びn―ヘキサン(1:0.2:19)混液5mLに溶かす。
③シリカゲルカラムクロマトグラフィー
シリカゲルミニカラム(690mg)にアセトン、酢酸及びn―ヘキサン(1:0.2:19)混液5mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに②で得られた溶液を注入し、流出液は捨てる。さらに同混液10mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、アセトン、酢酸及びn―ヘキサン(2:0.05:3)混液20mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリル5mLに溶かす。
④トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー
トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(1,000mg)にアセトニトリル5mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに③で得られた溶液を注入し、アセトニトリル10mLを注入する。溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリル及び水(1:1)混液に溶かし、正確に2mLとしたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
ベンゾビシクロン標準品の500mg/Lアセトニトリル溶液を調製し、アセトニトリル及び水(1:1)混液で希釈し、0.05~1mg/L溶液を数点調製する。それぞれ20μLをHPLCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液20μLをHPLCに注入し、5の検量線でベンゾビシクロンの含量を求める。
7.確認試験
LC/MSにより確認する。
8.測定条件
HPLC
検出器:波長320nm
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル、内径2~6mm、長さ150~300mm
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル、水及びリン酸(3:2:0.005)混液
流量:1mL/min
保持時間の目安:10~15分
9.定量限界
0.01mg/kg
10.留意事項
1) 試験法の概要
ベンゾビシクロンを試料から酸性下でアセトニトリル抽出し、スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラム、多孔性ケイソウ土カラム、シリカゲルミニカラム及びトリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムで精製する。HPLC―UVで測定し、LC/MSで確認する方法である。
2) 注意点
① 本法は玄米を対象とした試験法である。
② ベンゾビシクロンは加水分解されやすいので、試料は出来るだけ保存しないで直ちに分析すること。
11.参考文献
12.類型
A(環境省告示第31号「ベンゾビシクロン試験法」平成13年4月26日)
メタミトロン試験法(農産物)
1.分析対象化合物
メタミトロン
2.装置
紫外分光光度型検出器付液体クロマトグラフ(HPLC―UV)
液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。
メタミトロン標準品 本品はメタミトロン98%以上を含み、融点は167℃である。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
試料20.0gに1mol/L塩酸1mL及びアセトン100mLを添加し、30分間振とう抽出する。ガラス繊維ろ紙を用いて吸引ろ過し、ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加えて、上記と同様に操作する。得られたろ液を合わせ、40℃以下で20mL以下に濃縮する。
この溶液を多孔性ケイソウ土カラム(20mL保持用)に注入し、10分間放置する。n―ヘキサン50mLをカラムに注入し、流出液は捨てる。次いで、酢酸エチル120mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物を酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:4)混液5mLに溶かす。
2) 精製
アミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)に酢酸エチル5mL及びn―ヘキサン5mLを順次注入し、流出液は捨てる。このカラムに1)で得られた溶液を注入する。酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:4)混液5mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、酢酸エチル及びn―ヘキサン(3:2)混液20mLを注入する。溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリル及び水(1:4)混液に溶かし、正確に4mLとしたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
メタミトロン標準品の100mg/Lアセトニトリル溶液を調製し、これをアセトニトリル及び水(1:4)混液で希釈し、0.05~1mg/L溶液を数点調製する。それぞれ20μLをHPLCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液20μLをHPLCに注入し、5の検量線でメタミトロンの含量を求める。
7.確認試験
LC/MSにより確認する。
8.測定条件
HPLC
検出器:UV(波長310nm)
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル、内径2~6mm、長さ150~300mm
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル及び水(1:4)混液
保持時間の目安:10~15分
9.定量限界
0.01mg/kg
10.留意事項
1) 試験法の概要
試料中のメタミトロンをアセトンで抽出し、多孔性ケイソウ土カラム及びアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムで精製する。HPLC―UVで測定し、LC/MSで確認する方法である。
2) 注意点
① 本法はてんさいを対象とした試験法である。
② メタミトロンは塩基性条件下では不安定なので、抽出時に酸を添加する。
11.参考文献
1) 今月の農業編集室編 改定4版「農薬登録保留基準ハンドブック」p.915、化学工業日報社(2003)
12.類型
A(環境省告示第83号「メタミトロン試験法」平成14年12月24日)
[別紙3]
γ―BHC(リンデン)、BHC、DDT、アルドリン、エタルフルラリン、エトリジアゾール、エンドリン、キントゼン、クロルデン、ジコホール、ディルドリン、テクナゼン、テトラジホン、テフルトリン、トリフルラリン、ハルフェンプロックス、フェンプロパトリン、ヘキサクロロベンゼン、ヘプタクロール、ベンフルラリン及びメトキシクロール試験法(農産物)
1.分析対象化合物
農薬等の成分である物質 |
分析対象化合物 |
γ―BHC(リンデン) |
γ―BHC(リンデン) |
BHC(α―BHC、β―BHC、γ―BHC及びδ―BHCの総和をいう。) |
α―BHC、β―BHC、γ―BHC、δ―BHC |
DDT(DDD及びDDEを含む。) |
pp′―DDD、pp′―DDE、pp′―DDT、op′―DDT |
アルドリン及びディルドリン(総和をいう。) |
アルドリン、ディルドリン |
エタルフルラリン |
エタルフルラリン |
エトリジアゾール |
エトリジアゾール |
エンドリン |
エンドリン |
キントゼン |
キントゼン |
クロルデン |
trans―クロルデン、cis―クロルデン |
ジコホール |
ジコホール |
テクナゼン |
テクナゼン |
テトラジホン |
テトラジホン |
テフルトリン |
テフルトリン |
トリフルラリン |
トリフルラリン |
ハルフェンプロックス |
ハルフェンプロックス |
フェンプロパトリン |
フェンプロパトリン |
ヘキサクロロベンゼン |
ヘキサクロロベンゼン |
ヘプタクロール |
ヘプタクロール、ヘプタクロールエポキシド |
ベンフルラリン |
ベンフルラリン |
メトキシクロール |
メトキシクロール |
2.装置
電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ・質量分析計を用いる。
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。
α―BHC標準品 本品はα―BHC99%以上を含む。
融点 本品の融点は157~159℃である。
β―BHC標準品 本品はβ―BHC98%以上を含む。
融点 本品の融点は308~310℃である。
γ―BHC標準品 本品はγ―BHC99%以上を含む。
融点 本品の融点は112~114℃である。
δ―BHC標準品 本品はδ―BHC95%以上を含む。
融点 本品の融点は137~140℃である。
pp′―DDD標準品 本品はpp′―DDD98%以上を含む。
融点 本品の融点は108~110℃である。
pp′―DDE標準品 本品はpp′―DDE99%以上を含む。
融点 本品の融点は88~90℃である。
op′―DDT標準品 本品はop′―DDT98%以上を含む。
融点 本品の融点は73~75℃である。
pp′―DDT標準品 本品はpp′―DDT99%以上を含む。
融点 本品の融点は108~110℃である。
アルドリン標準品 本品はアルドリン97%以上を含む。
融点 本品の融点は102~104℃である。
エタルフルラリン標準品 本品はエタルフルラリン98%以上を含む。
融点 本品の融点は55~56℃である。
エトリジアゾール標準品 本品はエトリジアゾール98%以上を含む。
融点 本品の融点は20℃である。
キントゼン標準品 本品はキントゼン98%以上を含む。
融点 本品の融点は143~144℃である。
trans―クロルデン標準品 本品はtrans―クロルデン98%以上を含む。
融点 本品の融点は104~105℃である。
cis―クロルデン標準品 本品はcis―クロルデン98%以上を含む。
融点 本品の融点は106~107℃である。
ジコホール標準品 本品はジコホール95%以上を含む。
融点 本品の融点は73~76℃である。
ディルドリン標準品 本品はディルドリン98%以上を含む。
融点 本品の融点は177~179℃である。
テクナゼン標準品 本品はテクナゼン98%以上を含む。
融点 本品の融点は98℃である。
テトラジホン標準品 本品はテトラジホン98%以上を含む。
融点 本品の融点は146℃である。
テフルトリン標準品 本品はテフルトリン98%以上を含む。
融点 本品の融点は44~45℃である。
トリフルラリン標準品 本品はトリフルラリン98%以上を含む。
融点 本品の融点は46~50℃である。
ハルフェンプロックス標準品 本品はハルフェンプロックス99%以上を含む。
沸点 本品の沸点は291℃である。
フェンプロパトリン標準品 本品はフェンプロパトリン99%以上を含む。
融点 本品の融点は45~50℃である。
ヘキサクロロベンゼン標準品 本品はヘキサクロロベンゼン98%以上を含む。
融点 本品の融点は226℃である。
ヘプタクロール標準品 本品はヘプタクロール98%以上を含む。
融点 本品の融点は95~96℃である。
ヘプタクロールエポキシド標準品 本品はヘプタクロールエポキシド98%以上を含む。
ベンフルラリン標準品 本品はベンフルラリン98%以上を含む。
融点 本品の融点は65~67℃である。
メトキシクロール標準品 本品はメトキシクロール98%以上を含む。
融点 本品の融点は89℃である。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
① 穀類、豆類及び種実類の場合
検体を420μmの標準網ふるいを通るように粉砕した後、その10.0gを量り採り、水20mLを加え、2時間放置する。
これにアセトン100mLを加え、3分間細砕した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン50mLを加え,3分間細砕した後、上記と同様に操作して、ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で約30mLに濃縮する。
これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100mLを入れた300mLの分液漏斗に移す。n―ヘキサン100mLを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い、洗液を分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、n―ヘキサン層を300mLの三角フラスコに移す。水層にn―ヘキサン50mLを加え、上記と同様に操作して、n―ヘキサン層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。n―ヘキサン20mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下でn―ヘキサンを除去する。
この残留物にn―ヘキサン20mLを加え、100mLの分液漏斗に移す。これにn―ヘキサン飽和アセトニトリル40mLを加え、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、アセトニトリル層をすり合わせ減圧濃縮器中に移す。n―ヘキサン層にn―ヘキサン飽和アセトニトリル40mLを加え、上記と同様の操作を2回繰り返し、アセトニトリル層をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下でアセトニトリルを除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて溶かし、正確に5mLとする。
② 果実、野菜、ハーブ、抹茶及びホップの場合
果実、野菜及びハーブの場合は、検体約1kgを精密に量り、必要に応じ適量の水を量つて加え、細切均一化した後、検体20.0gに相当する量を量り採る。
抹茶の場合は、検体5.00gを量り採り、水20mLを加えて2時間放置する。
ホップの場合は、検体を粉砕した後、その5.00gを量り採り、水20mLを加え、2時間放置する。
これにアセトン100mLを加え、3分間細砕した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン50mLを加え、3分間細砕した後、上記と同様に操作して、ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で約30mLに濃縮する。
これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100mL入れた300mLの分液漏斗に移す。n―ヘキサン100mLを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い、洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、n―ヘキサン層を300mLの三角フラスコに移す。水層にn―ヘキサン50mLを加え、上記と同様に操作して、n―ヘキサン層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いでn―ヘキサン20mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下でn―ヘキサンを除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて溶かし、正確に10mLとする。
③ 抹茶以外の茶の場合
検体9.00gを100℃の水540mLに浸し、室温で5分間放置した後、ろ過し、冷後ろ液360mLを500mLの三角フラスコに移す。これにアセトン100mL及び飽和酢酸鉛溶液2mLを加え、室温で1時間静置した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いて吸引ろ過し、ろ液を1,000mLの分液漏斗に移す。次いでアセトン50mLを用いて上記の三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う。洗液を上記の分液漏斗に合わせる。
これに塩化ナトリウム30g及びn―ヘキサン100mLを加え、振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後、静置し、n―ヘキサン層を300mLの三角フラスコに移す。水層にn―ヘキサン100mLを加え、上記と同様に操作して、n―ヘキサン層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え、時々振り混ぜながら15分間放置した後、すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いでn―ヘキサン20mLを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下でn―ヘキサンを除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて溶かし、正確に5mLとする。
2) 精製
内径15mm、長さ300mmのクロマトグラフ管に、カラムクロマトグラフィー用合成ケイ酸マグネシウム10gをn―ヘキサンに懸濁させたもの、次いでその上に無水硫酸ナトリウム約5gを入れ、カラムの上端に少量のn―ヘキサンが残る程度までn―ヘキサンを流出させる。このカラムに1)抽出で得られた溶液2mLを注入した後、エーテル及びn―ヘキサン(3:17)混液200mLを注入し、溶出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40℃以下でエーテル及びn―ヘキサンを除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて溶かし、正確に2mLとして、これを試験溶液とする。
5.操作法
1) 定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果がいずれの操作条件においても標準品と一致しなければならない。ただし、ジコホールの試験を行う場合においては、次の操作条件1で試験を行う。
操作条件1
カラム 内径0.25mm、長さ10~30mのケイ酸ガラス製の細管に、ガスクロマトグラフィー用メチルシリコンを0.25μmの厚さでコーティングしたもの。
カラム温度 50℃で1分間保持し、その後毎分25℃で昇温する。175℃に到達後、毎分10℃で昇温し、300℃に到達後5分間保持する。
試験溶液注入口温度 230℃
検出器 300℃で操作する。
ガス流量 キャリヤーガスとしてヘリウムを用いる。アルドリンが約10分で流出する流速に調整する。
操作条件2
カラム 内径0.25mm、長さ10~30mのケイ酸ガラス製の細管に、ガスクロマトグラフィー用14%シアノプロピルフェニル―メチルシリコンを0.25μmの厚さでコーティングしたもの。
カラム温度 80℃で2分間保持し、その後毎分30℃で昇温する。190℃に到達後、毎分3.6℃で昇温し、250℃に到達後8分間保持する。
試験溶液注入口温度 230℃
検出器 300℃で操作する。
ガス流量 キャリヤーガスとしてヘリウムを用いる。アルドリンが約10分で流出する流速に調整する。
2) 定量試験
1)定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
3) 確認試験
1)定性試験と同様の操作条件でガスクロマトグラフィー・質量分析を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。また、必要に応じ、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
6.定量限界
γ―BHC(リンデン)0.01mg/kg
アルドリン0.005mg/kg
エタルフルラリン0.01mg/kg
エトリジアゾール0.01mg/kg
エンドリン 0.005mg/kg
キントゼン0.01mg/kg
クロルデン0.01mg/kg
ディルドリン0.005mg/kg
テクナゼン0.01mg/kg
テトラジホン0.01mg/kg
テフルトリン0.01mg/kg
ヘキサクロロベンゼン0.01mg/kg
ヘプタクロール0.01mg/kg
ベンフルラリン0.01mg/kg
メトキシクロール 0.01mg/kg
トリフルラリン0.005mg/kg
ハルフェンプロックス0.02mg/kg(茶にあっては0.1mg/kg)
フェンプロパトリン 0.01mg/kg
7.留意事項
BHCは、α―BHC、β―BHC、γ―BHC及びδ―BHCのそれぞれについて定量を行い、これらの和を分析値とすること。
DDTは、pp′―DDD、pp′―DDE、pp′―DDT、op′―DDTのそれぞれについて定量を行い、これらの和を分析値とすること。
アルドリン及びディルドリンは、アルドリン及びディルドリンのそれぞれについて定量を行い、これらの和を分析値とすること。
クロルデンはtrans―クロルデン及びcis―クロルデンのそれぞれについて定量を行い、これらの和を分析値とすること。
ヘプタクロールはヘプタクロール及びヘプタクロールエポキシドのそれぞれについて定量を行い、これらの和を分析値とすること。
抹茶以外の茶について、テトラジホンの試験を行う場合は、4.試験溶液の調製、③抹茶以外の茶の場合 に従う。それら以外の農薬の試験を行う場合は、抹茶以外の茶を粉砕したものについて②果実、野菜、ハーブ、抹茶及びホップの場合 の抹茶に従って操作する。
なお、定量限界は、使用する装置、試験溶液の濃縮倍率及び試験溶液注入量により異なるので、必要に応じて最適条件を検討する。
8.参考文献
なし
9.類型
A
[別紙4]
2,4―D、2,4―DB及びクロプロップ試験法(農産物)
1.分析対象化合物