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○食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について(一部改正)

(平成18年3月15日)

(食安発第0315001号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)

食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成17年厚生労働省告示第499号)が平成17年11月29日公布され、その内容については、同日付け食安発第1129001号当職通知をもって通知したところである。

これに関連して、今般、「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について」(平成17年1月24日付け食安発第0124001号当職通知)の別添の一部を下記のとおり改正することとしたので、関係者への周知方よろしくお願いする。

なお、本通知による改正内容は、平成18年5月29日より適用されるものであることを申し添える。

1.前文及び目次を別紙1のとおり改める。なお、改正部分を下線で示す。

2.「第3章 個別試験法」に別紙2の試験法を追加する。

3.「第3章 個別試験法」の「BHC、DDT、アルドリン、ジコホール、ディルドリン、テフルトリン、トリフルラリン、ハルフェンプロックス及びフェンプロパトリン試験法」を「BHC、γ―BHC、DDT、アルドリン、エタルフルラリン、エトリジアゾール、キントゼン、クロルデン、ジコホール、ディルドリン、テクナゼン、テトラジホン、テフルトリン、トリフルラリン、ハルフェンプロックス、フェンプロパトリン、ヘキサクロロベンゼン、ヘプタクロール、ベンフルラリン及びメトキシクロール試験法」として別紙3のとおり改め、「2,4―D試験法」を「2,4―D、2,4DB及びクロプロップ試験法」として別紙4のとおり改め、「アセフェート及びメタミドホス試験法」を「アセフェート、オメトエート及びメタミドホス試験法」として別紙5のとおり改める。

[別紙1]

食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法

厚生労働省医薬食品局食品安全部

平成18年3月

食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法

食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の第1食品の部A食品一般の成分規格の6の(1)の表の第1欄、7の(1)の表の第1欄及び9の(1)の表の第1欄に掲げる農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質(その物質が化学的に変化して生成した物質を含む。)の試験法(同表第3欄に「不検出」と定めているものに係るものを除く。)について、次のとおり定める。

第1章 総則

第2章 一斉試験法

第3章 個別試験法

※ 「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について」(平成17年1月24日付け食安発第0124001号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)別添

目次

第1章 総則

第2章 一斉試験法

・GC/MSによる農薬等の一斉試験法(農産物)

・LC/MSによる農薬等の一斉試験法Ⅰ(農産物)

・LC/MSによる農薬等の一斉試験法Ⅱ(農産物)

・GC/MSによる農薬等の一斉試験法(畜水産物)

・HPLCによる動物用医薬品等の一斉試験法Ⅰ(畜水産物)

・HPLCによる動物用医薬品等の一斉試験法Ⅱ(畜水産物)

第3章 個別試験法

・ BHC、γ―BHC、DDT、アルドリン、エタルフルラリン、エトリジアゾール、キントゼン、クロルデン、ジコホール、ディルドリン、テクナゼン、テトラジホン、テフルトリン、トリフルラリン、ハルフェンプロックス、フェンプロパトリン、ヘキサクロロベンゼン、ヘプタクロール、ベンフルラリン及びメトキシクロール試験法

・ 2,4―D、2,4―DB及びクロプロップ試験法

・ DCIP試験法

・ DBEDC試験法

・ EPN、エディフェンホス、エトプロホス、エトリムホス、カズサホス、キナルホス、クロルピリホス、クロルフェンビンホス、ジメチルビンホス、ジメトエート、ダイアジノン、チオメトン、テルブホス、トリアゾホス、トルクロホスメチル、パラチオン、パラチオンメチル、ピラクロホス、ピリミホスメチル、フェニトロチオン、フェンスルホチオン、フェンチオン、フェントエート、ブタミホス、プロチオホス、ホキシム、ホサロン、ホスチアゼート及びマラチオン試験法

・ EPTC試験法

・ MCPA及びジカンバ試験法

・ アクリナトリン、シハロトリン、シフルトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、ピレトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート及びペルメトリン試験法

・ アシベンゾラルSメチル試験法

・ アジムスルフロン、ハロスルフロンメチル及びフラザスルフロン試験法

・ アシュラム試験法

・ アセキノシル試験法

・ アセタミプリド試験法

・ アセフェート、オメトエート及びメタミドホス試験法

・ アゾキシストロビン試験法

・ アニラジン試験法

・ アミトラズ試験法

・ アラクロール、イソプロカルブ、クレソキシムメチル、ジエトフェンカルブ、テニルクロール、テブフェンピラド、パクロブトラゾール、ビテルタノール、ピリプロキシフェン、ピリミノバックメチル、フェナリモル、ブタクロール、フルトラニル、プレチラクロール、メトラクロール、メフェナセット、メプロニル及びレナシル試験法

・ アラニカルブ試験法

・ アルジカルブ、エチオフェンカルブ、オキサミル、カルバリル、ピリミカーブ、フェノブカルブ及びベンダイオカルブ試験法

・ イオドスルフロンメチル、エタメツルフロンメチル、エトキシスルフロン、シノスルフロン、スルホスルフロン、トリアスルフロン、ニコスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、プリミスルフロンメチル、プロスルフロン及びリムスルフロン試験法

・ イソフェンホス試験法

・ イソメタミジウム試験法

・ イナベンフィド試験法

・ イプロジオン試験法

・ イベルメクチン、エプリノメクチン及びモキシデクチン試験法

・ イマザモックスアンモニウム塩試験法

・ イマザリル試験法

・ イマゾスルフロン及びベンスルフロンメチル試験法

・ イミノクタジン試験法

・ イミベンコナゾール試験法

・ インダノファン試験法

・ ウニコナゾールP試験法

・ エスプロカルブ、クロルプロファム、チオベンカルブ、ピリブチカルブ及びペンディメタリン試験法

・ エチクロゼート試験法

・ エチプロール試験法

・ エトキサゾール試験法

・ エトキシキン試験法

・ エトフェンプロックス試験法

・ エトベンザニド試験法

・ エマメクチン安息香酸塩試験法

・ オキサジクロメホン及びフェノキサニル試験法

・ オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン及びテトラサイクリン試験法

・ オキソリニック酸試験法

・ オクスフェンダゾール、フェバンテル及びフェンベンダゾール試験法

・ カフェンストロール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、シメトリン、チフルザミド、テトラコナゾール、テブコナゾール、トリアジメノール、フルジオキソニル、プロピコナゾール、ヘキサコナゾール及びペンコナゾール試験法

・ カルタップ、ベンスルタップ及びチオシクラム試験法

・ カルプロパミド試験法

・ カルベンダジム、チオファネート、チオファネートメチル及びベノミル試験法

・ カルボスルファン、カルボフラン、フラチオカルブ及びベンフラカルブ試験法

・ カンタキサンチン試験法

・ キザロホップエチル試験法

・ キノメチオネート試験法

・ キャプタン、クロルベンジレート、クロロタロニル及びホルペット試験法

・ キンクロラック試験法

・ クミルロン試験法

・ グリホサート試験法

・ グルホシネート試験法

・ クレトジム試験法

・ クロサンテル試験法

・ クロチアニジン試験法

・ クロフェンテジン試験法

・ クロリムロンエチル及びトリベヌロンメチル試験法

・ クロルスルフロン及びメトスルフロンメチル試験法

・ クロルフェナピル及びビフェノックス試験法

・ クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、テブフェノジド、テフルベンズロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン及びルフェヌロン試験法

・ クロルメコート試験法

・ ゲンタマイシン試験法

・ サラフロキサシン及びダノフロキサシン試験法

・ 酸化フェンブタスズ試験法

・ シアゾファミド試験法

・ シアナジン試験法

・ ジアフェンチウロン試験法

・ シアン化水素試験法

・ ジクラズリル及びナイカルバジン試験法

・ シクロキシジム試験法

・ ジクロシメット試験法

・ シクロスルファムロン試験法

・ ジクロフルアニド試験法

・ ジクロメジン試験法

・ ジクロルボス及びトリクロルホン試験法

・ ジノカップ試験法

・ シハロホップブチル及びジメテナミド試験法

・ ジヒドロストレプトマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシン及びネオマイシン試験法

・ ジフェンゾコート試験法

・ ジフルフェニカン試験法

・ シプロジニル試験法

・ ジメチピン試験法

・ ジメトモルフ試験法

・ シモキサニル試験法

・ 臭素試験法

・ シラフルオフェン試験法

・ シロマジン試験法(農産物)

・ シロマジン試験法(畜産物)

・ シンメチリン試験法

・ スピノサド試験法

・ スピラマイシン試験法

・ スルファジミジン試験法

・ セトキシジム試験法

・ セフチオフル試験法

・ ゼラノール試験法

・ ダイムロン試験法

・ ダゾメット、メタム及びメチルイソチオシアネート試験法

・ ターバシル試験法

・ チアベンダゾール及び5―プロピルスルホニル―1H―ベンズイミダゾール―2―アミン試験法

・ チオジカルブ及びメソミル試験法

・ チルミコシン試験法

・ テクロフタラム試験法

・ デスメディファム試験法

・ テプラロキシジム試験法

・ テレフタル酸銅試験法

・ トリクラベンダゾール試験法

・ トリクラミド試験法

・ トリシクラゾール試験法

・ トリネキサパックエチル試験法

・ トリフルミゾール試験法

・ トルフェンピラド試験法

・ 鉛試験法

・ ニテンピラム試験法

・ ノバルロン試験法

・ バミドチオン試験法

・ ビオレスメトリン試験法

・ ピクロラム試験法

・ ビスピリバックナトリウム塩試験法

・ ヒ素試験法

・ ビフェナゼート試験法

・ ヒメキサゾール試験法

・ ピメトロジン試験法

・ ピラゾキシフェン試験法

・ ピラフルフェンエチル試験法

・ ピリダベン試験法

・ ピリダリル試験法

・ ピリデート試験法

・ ピリフェノックス試験法

・ ピリミジフェン試験法

・ ピリメタニル試験法

・ ピルリマイシン試験法

・ ファモキサドン試験法

・ フィプロニル試験法

・ フェノキサプロップエチル試験法

・ フェンアミドン試験法

・ フェントラザミド試験法

・ フェンピロキシメート試験法

・ フェンヘキサミド試験法

・ フェンチン試験法

・ ブチレート試験法

・ フラメトピル試験法

・ フルアジナム試験法

・ フルアジホップ試験法

・ フルオルイミド試験法

・ フルシラゾール試験法

・ フルスルファミド試験法

・ フルベンダゾール試験法

・ フルミオキサジン試験法

・ プロクロラズ試験法

・ プロシミドン試験法

・ プロパモカルブ試験法

・ プロヒドロジャスモン試験法

・ プロヘキサジオンカルシウム塩試験法

・ ヘキシチアゾクス試験法

・ ペンシクロン試験法

・ ベンジルペニシリン試験法

・ ベンゾビシクロン試験法

・ ペンタゾン試験法

・ ペントキサゾン試験法

・ ベンフレセート試験法

・ ボスカリド試験法(農産物)

・ ボスカリド試験法(畜産物)

・ ホセチル試験法

・ マレイン酸ヒドラジド試験法

・ ミクロブタニル試験法

・ メタベンズチアズロン試験法

・ メタミトロン試験法

・ メチオカルブ試験法

・ メトプレン試験法

・ メトリブジン試験法

・ メパニピリム試験法

・ モリネート試験法

・ レバミゾール試験法

(参考) 食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)に規定する試験法

・ 2,4,5―T試験法

・ アゾシクロチン及びシヘキサチン試験法

・ アミトロール試験法

・ アルドリン、エンドリン及びディルドリン試験法

・ カプタホール試験法

・ カルバドックス試験法

・ クマホス試験法

・ クレンブテロール試験法

・ クロラムフェニコール試験法

・ クロルプロマジン試験法

・ ジエチルスチルベストロール試験法

・ ジメトリダゾール、メトロニダゾール及びロニダゾール試験法

・ ダミノジッド試験法

・ デキサメタゾン試験法

・ トリアゾホス及びパラチオン試験法

・ α―トレンボロン及びβ―トレンボロン試験法

・ 二臭化エチレン試験法

・ ニトロフラン類試験法

・ プロファム試験法

[別紙2]

第3章 個別試験法

(追加:DBEDC試験法、アシュラム試験法、アニラジン試験法、アラニカルブ試験法、イオドスルフロンメチル、エタメツルフロンメチル、エトキシスルフロン、シノスルフロン、スルホスルフロン、トリアスルフロン、ニコスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、プリミスルフロンメチル、プロスルフロン及びリムスルフロン試験法、オキソリニック酸試験法、カルタップ、ベンスルタップ及びチオシクラム試験法、カルベンダジム、チオファネート、チオファネートメチル及びベノミル試験法、カルボスルファン、カルボフラン、フラチオカルブ及びベンフラカルブ試験法、シアン化水素試験法、ジノカップ試験法、ダゾメット、メタム及びメチルイソチオシアネート試験法、チオジカルブ及びメソミル試験法、ヒメキサゾール試験法、フェンチン試験法、ベンゾビシクロン試験法、メタミトロン試験法)

DBEDC試験法(農作物)

1.分析対象化合物

DBEDC

2.装置

蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC-FL)

液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。

グラファイトカーボンミニカラム(1,000mg) 内径12~13mmのポリエチレン製のカラム管に、グラファイトカーボン1,000mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離特性を有するもの。

メチレンブルー溶液 メチレンブルー(三水和物)0.29g及びリン酸一ナトリウム(二水和物)65gを水に溶かし、硫酸6.8mLを加え、水で全量を1Lとし、ジクロロメタン200mLずつで3回洗浄したもの。

DBEDC標準品 本品はDBEDC99%以上を含む。

4.試験溶液の調製

1) 抽出

穀類、豆類及び種実類の場合は、試料10.0gを量り採り、0.6mol/L水酸化ナトリウム溶液20mLを加え、2時間放置する。

茶及びホップの場合は、試料5.00gを量り採り、0.6mol/L水酸化ナトリウム溶液20mLを加え、2時間放置する。

果実、野菜及びハーブの場合は、試料20.0gを量り採り、2mol/L水酸化ナトリウム溶液20mLを加える。

これにメタノール150mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物に、メタノール50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過を行う。得られたろ液を合わせ、40℃以下で約20mLに減圧濃縮する。これに0.5mol/L硫酸を加え、pH7に調整した後、水を加えて100mLとする。

抽出液の20mLを正確に量り採り、メチレンブルー溶液40mLを加え、ジクロロメタン50mLずつで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物に水5mLを加えて溶かす。

2) 精製

グラファイトカーボンミニカラム(1,000mg)にジクロロメタン、メタノール及び水各10mLを順次注入し、各流出液は捨てる。このカラムに1)で得られた抽出溶液を注入し、流出液は捨てる。さらに、抽出溶液が入っていた容器を水5mL及びメタノール2mLで順次洗い、各洗液をカラムに注入し、流出液は捨てる。次いで、ジクロロメタン及びメタノール(7:3)混液7mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、25mmol/Lギ酸含有ジクロロメタン及びメタノール(9:1)混液7mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、10mmol/L水酸化テトラメチルアンモニウム含有ジクロロメタン及びメタノール(9:1)混液7mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物に水及びメタノール(1:4)混液を加えて溶かし、穀類、豆類及び種実類の場合は正確に2mL、茶及びホップの場合は正確に1mL、果実、野菜及びハーブの場合は正確に4mLとする。

5.検量線の作成

DBEDC標準品について、標準原液をメタノールで調製し、水及びメタノール(1:4)混液で希釈して0.5~4mg/Lの標準溶液を数点調製し、100μLをHPLCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。

6.定量

試験溶液100μLをHPLCに注入し、5の検量線でDBEDCの含量を求める。

7.確認試験

LC/MSにより確認する。

8.測定条件

1) HPLC

検出器:FL(励起波長225nm,蛍光波長295nm)

カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径3μm)、内径4.6mm、長さ150mm

カラム温度:40℃

移動相:酢酸、10mmol/L酢酸アンモニウム及びメタノール(0.1:20:80)混液

注入量:100μL

保持時間の目安:6分

2) LC/MS

カラム:オクチルシリル化シリカゲル(粒径3μm)、内径2.0mm、長さ150mm

カラム温度:40℃

移動相:10mmol/L酢酸アンモニウム及びメタノール(1:3)混液

イオン化モード:ESI(-)

主なイオン(m/z):325

注入量:2μL

保持時間の目安:7分

9.定量限界

0.5mg/kg

10.留意事項

1) 試験法の概要

DBEDCを塩基性下で試料からメタノールで抽出し、中性下でジクロロメタンに転溶する。グラファイトカーボンミニカラムで精製した後、HPLC―FLで測定し、LC/MSで確認する方法である。

2) 注意点

① 精製が不足する場合は、精製を追加する。

グラファイトカーボンミニカラムからの溶出液を濃縮し、水10mLに溶かす。ジエチルアミノプロピルシリカゲルミニカラム(500mg)をメタノール5mL及び水5mLで順次洗浄したものに溶液を注入し、次いでメタノール1mLを注入し、流出液は捨てる。アンモニア水及びメタノール(1:49)混液10mLを注入し、溶出液を濃縮して溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルに溶かして試験溶液とする。

② HPLCのカラムはオクタデシルシリル化シリカゲルよりオクチルシリル化シリカゲルの方がピークの形状は良好だが、妨害ピークとの分離はオクタデシルシリル化シリカゲルが優れている。

③ LC/MSの移動相はメタノールの組成比を上げて(1:4)混液とした方がピーク形状は良好であるが、試料成分によるイオン化阻害が起きやすい。

④ LC/MSではHPLCより高感度分析が可能である。

11.参考文献

1) 環境省告示第21号「DBEDC試験法」(昭和60年3月27日)

12.類型

C

アシュラム試験法(農産物)

1.分析対象化合物

アシュラム

アシュラムナトリウム塩

2.装置

アルカリ熱イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(GC―FTD)又は高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ(GC―NPD)及びガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS)

メチル化装置 図に示したもの

A:エーテル管

B:ジアゾメタン発生管

C:反応管

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。

凝固液 塩化アンモニウム5g及びリン酸10mLを水に溶かし、100mLとしたもの。

メチル化試薬 水酸化カリウム6gに水及びメタノール(2:7)混液45mLを加えて溶かし、その10mLをジアゾメタン発生管に採った上、使用の直前に2%N―メチル―N―ニトロソ―4―トルエンスルホン酸アミド・エーテル溶液を加える。

アシュラム標準品 本品はアシュラム99%以上を含み、融点は143~144℃である。

4.試験溶液の調製

1) 抽出

穀類、豆類及び種実類の場合は試料10.0g、果実、野菜及びハーブの場合は試料20.0g、茶及びホップの場合は5.00gを量り採る。これにメタノール100mLを加え、30分間振とうした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にメタノール50mLを加え、上記と同様に振とう及びろ過を行う。得られたろ液を合わせ、40℃以下で約20mLに濃縮する。

これに1mol/L塩酸を加えてpH2~3に調整し、凝固液5mL及びケイソウ土2gを加え、緩やかに振り混ぜ、5分間放置した後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を、水で10倍に希釈した凝固液25mLで洗い、全ろ液を合わせ、酢酸エチル30mLずつで3回抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、メチル化装置の反応管に移す。

2) メチル化

反応管をジアゾメタン発生管に接続し、窒素ガスを穏やかに通じて反応させる。反応液が微黄色を呈するまで通気し、室温で15分間放置した後、反応液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物を酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:1)混液10mLに溶かす。

3) 精製

クロマトグラフ管(内径15mm)にカラムクロマトグラフィー用合成ケイ酸マグネシウム5gを酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:1)混液に懸濁させて充てんし、無水硫酸ナトリウム約5gを積層する。このカラムに2)で得られた溶液を注入し、流出液は捨てる。さらに酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:1)混液20mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、同混液60mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をメタノールに溶解し、正確に4mL(穀類、豆類及び種実類の場合は2mL、茶及びホップの場合は1mL)としたものを試験溶液とする。

5.検量線の作成

アシュラム標準品の100mg/Lメタノール溶液を調製し、その1mLをメチル化装置の反応管に移し、酢酸エチル100mLを加えてジアゾメタン発生管に接続する。以下、4.2)メチル化と同様に操作する。残留物をメタノールに溶解し、正確に10mLとする。この溶液をメタノールで希釈し0.1~3mg/Lの溶液を調製し、それぞれ2μLをGCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。

6.定量

試験溶液2μLをGCに注入し、5の検量線でアシュラムの含量を求める。

7.確認試験

GC/MSにより確認する。

8.測定条件

GC

検出器:FTD又はNPD

カラム:メチルシリコン 内径0.2mm、長さ10m

カラム温度:100℃-30℃/分-280℃

注入口温度:250℃

検出器温度:280℃

キャリヤーガス:窒素ガス又はヘリウム

保持時間の目安:5分

9.定量限界

0.02mg/kg

10.留意事項

1) 試験法の概要

アシュラムを試料からメタノールで抽出したのち、塩酸酸性下で凝固液を加え、酢酸エチルで抽出する。ジアゾメタンでメチル化したのち、合成ケイ酸マグネシウムカラムで精製し、GC―FTD又はGC―NPDで定量し、GC/MSで確認する方法である。

2) 注意点

① メチル化反応はジアゾメタンが過剰になり、溶液が微黄色を呈するまで通気する。

11.参考文献

1) 上路雅子ら、2002年度版「残留農薬分析法」39頁、ソフトサイエンス社

2) 今月の農業編集室編 改定4版「農薬登録保留基準ハンドブック」p.32―34、化学工業日報社 (2003)

12.類型

A(環境省告示第45号「アシュラム試験法」昭和61年10月28日)

アニラジン試験法(農産物)

1.分析対象化合物

アニラジン

2.装置

電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフ(GC―ECD)

ガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS)

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。

アニラジン標準品 本品はアニラジン99%以上を含み、融点は159~160℃である。

4.試験溶液の調製

1) 抽出

① 種実類の場合

試料10.0gを量り採り、10%リン酸溶液20mLを加え、2時間放置する。

これにアセトン100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせ、40℃以下で約30mLに濃縮する。

これに10%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、n―ヘキサン100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。

この残留物にn―ヘキサン30mLを加え、n―ヘキサン飽和アセトニトリル30mLずつで3回振とう抽出する。抽出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサン2mLを加えて溶かす。

② 果実、野菜及びハーブの場合

検体約1kgを精密に量り、10~20%リン酸溶500mLを加え、細切均一化する。検体20.0gに相当する試料にアセトン100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り、アセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせ、40℃以下で約30mLに濃縮する。

これに10%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、n―ヘキサン100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサン2mLを加えて溶かす。

2) 精製

クロマトグラフ管(内径15mm)に、カラムクロマトグラフィー用合成ケイ酸マグネシウム5gをn―ヘキサンに懸濁させて充てんし、無水硫酸ナトリウム約5gを積層する。このカラムに1)で得られた溶液を注入した後、流出液は捨てる。さらに、n―ヘキサン100mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、アセトン及びn―ヘキサン(1:99)混液70mLを注入する。溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をn―ヘキサンに溶解し、正確に5mL(種実類の場合は2mL)としたものを試験溶液とする。

5.検量線の作成

アニラジン標準品の0.1~2mg/Ln―ヘキサン溶液を数点調製し、それぞれ2μLをGCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。

6.定量

試験溶液2μLをGCに注入し、5の検量線でアニラジンの含量を求める。

7.確認試験

GC/MSで確認する。

8.測定条件

1) GC

検出器:ECD

カラム:5%フェニル―メチルシリコン、内径0.32mm、長さ30m、膜厚0.25μm

カラム温度:60℃(2分)-10℃/分-180℃(5分)-6℃/分-250℃(1分)-10℃/分-300℃(10分)

注入口温度:250℃

検出器温度:310℃

キャリヤーガス:窒素ガス

保持時間の目安:24分

2) GC/MS

カラム:5%フェニル―メチルシリコン、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm

カラム温度:60℃(2分)-10℃/分-180℃(5分)-6℃/分-250℃(1分)-10℃/分-300℃(10分)

注入口温度:250℃

キャリヤーガス:ヘリウム

イオン化モード(電圧):EI(70eV)

主なイオン(m/z):241、239

9.定量限界

0.01mg/kg

10.留意事項

1) 試験法の概要

リン酸溶液を加えて細切均一化した試料から、アニラジンをアセトンで抽出し、n―ヘキサンに転溶する。次いで、果実、野菜及びハーブについてはそのまま、種実類についてはアセトニトリル/ヘキサン分配で脱脂する。合成ケイ酸マグネシウムカラムで精製した後、GC―ECDで測定し、GC/MSで確認する方法である。

2) 注意点

① アニラジンはキャベツ、大根などの作物中で分解されやすいため、リン酸溶液を加えて速やかに細切均一化する。

11.参考文献

辻正彦 他 兵庫県衛生研究所年報、32,140,1997

月岡忠 他 長野県衛生公害研究所、26,23,2003

12.類型

C

アラニカルブ試験法(農産物)

1.分析対象化合物

アラニカルブ

2.装置

紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC―UV)

液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。

0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH8)

第1液:pH測定用リン酸一カリウム13.61gを水に溶かし、500mLとする。

第2液:水酸化ナトリウム4.0gに新たに煮沸して冷却した水を加えて溶かし、500mLとする。用時調製する。

第1液250mLに第2液231mLを混和し、水を加えて1,000mLとする。

アラニカルブ標準品 本品はアラニカルブ99%以上を含み、融点は47℃である。

4.試験溶液の調製

1) 抽出

① 種実類の場合

試料10.0gを量り採り、0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH8)20mLを加え、2時間放置する。

これにアセトン100mLを加えてホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせ、40℃以下で約30mLに濃縮する。

これに10%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、酢酸エチル100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。

この残留物にn―ヘキサン30mLを加え、n―ヘキサン飽和アセトニトリル30mLずつで3回振とう抽出する。抽出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて正確に1mLとする。

② 果実、野菜、ハーブ及び抹茶の場合

果実の場合は、検体約1kgを精密に量り、0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH8)400mL及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液100mLを加えて、細切均一化する。検体20.0gに相当する量を量り採る。

野菜及びハーブの場合は、検体約1kgを精密に量り、0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH8)500mLを加えて、細切均一化する。検体20.0gに相当する量を量り採る。

抹茶の場合は、試料5.00gに0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH8)20mLを加え、2時間放置する。

これにアセトン100mLを加えてホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせ、40℃以下で約30mLに濃縮する。

これに10%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、酢酸エチル100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて正確に2mLとする。

③ 抹茶以外の茶の場合

試料5.00gに100℃の水300mLを加え、室温で5分間放置した後、ろ過する。冷後、ろ液120mLを採り、塩化ナトリウム40gを加えて、酢酸エチル150mLずつで2回抽出する。抽出液を合わせ、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて正確に1mLとする。

2) 精製

エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)にアセトン及びn―ヘキサン(1:19)混液10mL及びn―ヘキサン10mLを順次注入し、各流出液は捨てる。次いで、このカラムに1)で得られた溶液0.5mLを注入し、流出液は捨てる。さらに、アセトン及びn―ヘキサン(1:49)混液20mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、アセトン及びn―ヘキサン(1:19)混液25mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。残留物をアセトニトリルに溶解して正確に0.5mLとしたものを試験溶液とする。

5.検量線の作成

アラニカルブ標準品の0.1~2mg/Lアセトニトリル溶液を数点調製する。それぞれ10μLをHPLCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。

6.定量

試験溶液10μLをHPLCに注入し、5の検量線でアラニカルブの含量を求める。

7.確認試験

LC/MSにより確認する。

8.測定条件

HPLC

検出器:UV(波長230nm)

カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)、内径4.6mm、長さ150mm

カラム温度:50℃

移動相:アセトニトリル及び水(1:1)混液

注入量:10μL

保持時間の目安:10分

LC/MS

カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)、内径2.0~4.6mm、長さ150~250mm

カラム温度:40~50℃

移動相:アセトニトリル及び水(1:1)混液

イオン化モード:ESI(+)

主なイオン(m/z):400

注入量:5~10μL

保持時間の目安:11分

9.定量限界

0.01mg/kg(茶は0.1mg/kg)

10.留意事項

1) 試験法の概要

アラニカルブを試料からアセトンで抽出し、酢酸エチルに転溶する。果実、野菜、ハーブ及び抹茶はそのまま、種実類はアセトニトリル/ヘキサン分配で脱脂する。エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラムで精製した後、HPLC―UVで測定し、LC/MSで確認する方法である。

2) 注意点

① アラニカルブは、酸性及びアルカリ性で速やかにメソミル及びメチルチオアセトヒドロキシマートに変化する。酸性の強い試料では、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、抽出時の液性をpH8付近に保つ必要がある。

② エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラムによる精製でアラニカルブとともに溶出されたメソミルは、HPLCで分離できる。

11.参考文献

伊藤正子ら,食品衛生学雑誌,39,218―224(1998)

12.類型

C

イオドスルフロンメチル、エタメツルフロンメチル、エトキシスルフロン、シノスルフロン、スルホスルフロン、トリアスルフロン、ニコスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、プリミスルフロンメチル、プロスルフロン及びリムスルフロン試験法(農産物)

1.分析対象化合物