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水 液体クロマトグラフ用に製造したものを用いる。

トリブロムサラン標準品 本品はトリブロムサラン98.0%以上を含み、融点は227~228℃である。

ビチオノール標準品 本品はビチオノール98.0%以上を含み、融点は184~187℃である。

4.試験溶液調製法

1) 乳の場合

試料5.0gを量り採り、アセトニトリル20mL及びアセトニトリル飽和n―ヘキサン20mLを加えてホモジナイズした後、毎分3,000回転で5分間遠心分離する。アセトニトリル層及びn―ヘキサン層を綿栓ろ過して分液ロートに移し、アセトニトリル層を採る。これにn―プロパノール10mLを加え40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にアセトニトリル1mLを加えて溶解した後、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過して、これを試験溶液とする。

2) 筋肉、脂肪、肝臓、腎臓及びその他の食用部分の場合

試料5.0gを量り採り、1mol/L塩酸10mL及び酢酸エチル50mLを加えてホモジナイズした後、毎分3,000回転で5分間遠心分離し、酢酸エチル層をすり合わせ減圧濃縮器中に採る。残留物に酢酸エチル20mLを加えて5分間激しく振り混ぜた後、上記と同様に遠心分離し、得られた酢酸エチル層をその減圧濃縮器中に合わせ、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にアセトニトリル20mL及びアセトニトリル飽和n―ヘキサン20mLを加え5分間激しく振り混ぜた後、アセトニトリル層を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にアセトニトリル1.0mLを加えて溶解した後、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過して、これを試験溶液とする。

5.検量線の作成

トリブロムサラン標準品について、0.006~0.1mg/Lのアセトニトリル溶液を数点調製する。

ビチオノール標準品について、0.002~0.1mg/Lのアセトニトリル溶液を数点調製する。

それぞれLC/MS/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。

6.定量

試験溶液をLC/MS/MSに注入し、5の検量線でトリブロムサラン及びビチオノールの含量を求める。

7.確認試験

LC/MS/MSにより確認する。

8.測定条件

LC/MS/MS

カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル 内径2.0~6.0mm、長さ50~250mm、粒子径2~5μm

カラム温度:40℃

移動相:アセトニトリル、水及びギ酸(500:500:1)混液

主なイオン(m/z):ESI(-)トリブロムサラン251/448、ビチオノール 161/335

保持時間の目安:7~10分

9.定量限界

トリブロムサラン 0.005mg/kg

ビチオノール 0.002mg/kg

10.留意事項

1) 試験法の概要

トリブロムサラン及びビチオノールを乳の場合はアセトニトリルで、その他の場合は酢酸エチルで抽出し、アセトニトリル/ヘキサン分配により脱脂した後、それぞれLC/MS/MSで測定する方法である。

2) 注意点

試験溶液をLC/MS/MSに注入した際に、ピーク高さ又はピーク面積の増強又は抑制が認められる場合には、以下の操作に準じて定量を行うこと。

試験溶液Ⅰ:4で得られた試験溶液0.1mLに、基準値相当濃度の標準品のアセトニトリル溶液0.1mLを加える。

試験溶液Ⅱ:4で得られた試験溶液0.1mLに、基準値の2倍相当濃度の標準品のアセトニトリル溶液0.1mLを加える。

本試験法において検体5.0gから試験溶液1.0mLが得られるので、基準値相当濃度の標準品のアセトニトリル溶液は、次の通り計算する。

基準値相当濃度(mg/L)=基準値(ppm)×5.0(g)÷1.0(mL)

試験溶液Ⅰ及びⅡをそれぞれHPLCに注入し、ピーク高さ又はピーク面積を求め、次式により含量を計算する。

含量(ppm)=基準値(ppm)×(2a-b)÷(b-a)

a:試験溶液Ⅰのピーク高さ又はピーク面積

b:試験溶液Ⅱのピーク高さ又はピーク面積

含量が基準値の2倍を超える場合は、試験溶液をアセトニトリルで希釈して、基準値相当濃度以上、基準値の2倍相当濃度以下となるように調製した後、試験溶液Ⅰ及びⅡを調製し、上記と同様に操作して求めた含量に希釈倍率を乗じて、希釈前の含量を求める。

11.参考文献

なし

12.類型

C

ニコチン試験法(農産物)

1.分析対象化合物

ニコチン

2.装置

ガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS)

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。

酢酸ブチル 酢酸ブチル(特級)

ニコチン標準品 本品はニコチン99%以上を含む。

2H3]メチルニコチン標準品 本品は[2H3]メチルニコチン98%以上を含む。

4.試験溶液の調製

試料3~5gを正確に量り採り、内標準物質として[2H3]メチルニコチン82ngを添加し、よく混和する。これに、アンモニア水1mLを加えて、pH12に調整し、トルエン3mLを加え、15時間振とう抽出する。4,200回転で遠心分離し、トルエン層2mLを採る。これに0.05mol/L塩酸1mLを加え、1分間激しく混合し、水層0.7~0.8mLを採り、これに5mol/L水酸化ナトリウム溶液3滴及びトルエン0.5mLを加え、1分間激しく混合する。トルエン層を採り、これを試験溶液とする。

5.検量線の作成

ニコチン標準品及び[2H3]メチルニコチンを0.01%トリエチルアミン含有酢酸ブチルに溶解し、それぞれ100mg/L溶液を調製する。これらの溶液を混合し、0.01%トリエチルアミン含有酢酸エチルで希釈して、ニコチン12~240ng/mL([2H3]メチルニコチン各82ng/mL含有)溶液を数点調製する。標準原液は暗所に冷凍保存し、使用の直前に希釈する。それぞれ2μLをGC/MSに注入し、ニコチンと[2H3]メチルニコチンのピーク高比又はピーク面積比を求め、検量線を作成する。

6.定量

試験溶液2μLをGC/MSに注入し、5の検量線でニコチンの含量を求める。

7.確認試験

GC/MSにより確認する。

8.測定条件

GC/MS

カラム:5%フェニル―メチルシリコン、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm

カラム温度:70℃(1分)-25℃/分-280℃(3分)

注入口温度:235℃

検出器温度:280℃

イオン化モード(電圧):EI(70eV)

主なイオン(m/z):ニコチン162、133、84、[2H3]メチルニコチン165、136、87

保持時間の目安:6分(ニコチン及び[2H3]メチルニコチンの保持時間はほぼ同じ)

9.定量限界

0.01mg/kg

10.留意事項

1) 試験法の概要

内標準物質として[2H3]メチルニコチンを添加した試料から、塩基性条件下でニコチンをトルエンで抽出し、酸性条件下で水に転溶する。再度塩基性条件下でトルエンに転溶し、GC/MSで測定及び確認する方法である。

2) 注意点

① 遠心分離を行ってもトルエン層が分離しにくい場合は、塩化ナトリウムを少量加えて混ぜ、再度遠心分離する。

② 夾雑物が少ない試料では、遠心分離後の液々分配による精製を省略することができる。

③ 液々分配において、水層の分離が悪い場合は、遠心分離を行うとよい。

④ 不活性化処理したライナーに、不活性化処理したガラスウールを詰めて使用する。ライナーを交換した後は、120ng/mLのニコチンと82ng/mLの内標準を含む標準溶液を10~15回注入することにより装置を安定化させる必要がある。

⑤ 環境中のニコチンによる試薬や装置の汚染の可能性があるので、事前に確認する必要がある。

11.参考文献

なし

12.類型

D(Siegmund, B., et.al., Development of a simple sample preparation technique for gas chromatographic-mass spectrometric determination of nicotine in edible nightsha des (Solanaceae), Journal of Chromatography A, 840, 249-260, 1999)

ピリチオバックナトリウム塩試験法(農産物)

1.分析対象化合物

ピリチオバックナトリウム塩

2.装置

カラムスイッチングシステム及び紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC―UV(カラムスイッチング))

液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)又は液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計(LC/MS/MS)

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。

0.03mol/Lリン酸緩衝液(pH3.0) リン酸二水素カリウム7.21g、アジ化ナトリウム0.2g及びリン酸0.40mLに水を加えて2,000mLとし、リン酸又は50%水酸化ナトリウム溶液を加えてpH3.00に調整する。

水(pH2.4) 水にリン酸を加えてpH2.40(±0.05)に調整する。

オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(2,000mg) 内径12~13mmのポリエチレン製のカラム管に、オクタデシルシリル化シリカゲル2,000mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離性能を有するものを用いる。

トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(5,000mg) 内径19mmのポリエチレン製のカラム管に、トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲル5,000mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離性能を有するものを用いる。

4.試験溶液の調製

1) 抽出

試料5.00gにアセトニトリル及び0.01mol/L炭酸アンモニウム溶液(2:1)混液100mLを加え、ホモジナイズした後、3,000回転で15分間遠心分離する。

上澄液60mLを採り、これにジクロロメタン50mLを加え、振とうした後、ジクロロメタン層は捨てる。水層に塩化ナトリウム0.05g及びジクロロメタン50mLを加え、振とうした後、ジクロロメタン層は捨てる。

2) 精製

① トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー

トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(5,000mg)にメタノール20mL、水20mL及び0.01mol/L炭酸アンモウム溶液20mLを順次注入し、各流出液は捨てる。このカラムに1)で得られた水層を注入した後、0.01mol/L炭酸アンモニウム溶液5mLを注入し、各流出液は捨てる。

② オクタデシルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー

オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(2,000mg)にメタノール5mL及び水10mLを順次注入し、各流出液は捨てる。次いで1mol/Lクエン酸カリウム溶液及びメタノール(3:1)混液20mLを注入し、カラムの上に同混液約10mLが残るまで流出させ、流出液は捨てる。このカラムを、①のミニカラムの下に連結し、①のミニカラムに1mol/Lクエン酸カリウム溶液及びメタノール(3:1)混液20mLを注入し、流出液を捨て、更に10分間通気して脱水する。

①のミニカラムを捨て、オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムに水10mL、水(pH2.4)10mL及び30%メタノール含有水(pH2.4)10mLを順次注入し、各流出液を捨て、更に15分間通気して脱水する。次いで、メタノール10mLを注入し、溶出液を50℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリル及び0.03mol/Lリン酸緩衝液(28:72)混液0.5mLに溶解したものを試験溶液とする。

5.検量線の作成

ピリチオバックナトリウム塩標準品をメタノールに溶解して標準原液を調製し、アセトニトリル及び0.03mol/Lリン酸緩衝液(28:72)混液で希釈して、0.03~0.8mg/Lの標準溶液を数点調製し、それぞれ100μLをHPLCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法により検量線を作成する。

6.定量

試験溶液100μLをHPLC又はLC/MS(LC/MS/MS)に注入し、5の検量線でピリチオバックナトリウム塩の含量を求める。

7.確認試験

LC/MS(LC/MS/MS)により確認する。

8.測定条件

HPLC(カラムスイッチング方式)

検出器:UV(波長254nm)

カラム①:シアノプロピルシリル化シリカゲル(粒径5μm) 内径4.0mm、長さ150mm

カラム②:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)、内径4.6mm、長さ250mm

カラム温度:40℃

移動相:

A:アセトニトリル、B:0.03mol/Lリン酸緩衝液(pH3.0)、C:水

カラム①とカラム②を離した状態で、試験溶液を注入後、A28%、B72%、流速1mL/分で操作し、ピリチオバックナトリウム塩の保持時間直前(注入から8~10分後)にカラム①とカラム②をつなぎ、ピリチオバックナトリウム塩をカラム①からカラム②に移す。

ピリチオバックナトリウム塩がカラム②に移動した後、カラム①とカラム②を切り離し、カラム①をA75%、C25%、流速2mL/分で5分間洗浄する。次いで、A43%、B57%、流速2mL/分で10分間調整した後、同移動相、流速1mL/分で1分間調整する。

再びカラム①とカラム②をつなぎ、A43%、B57%、流速1mL/分で操作し、ピリチオバックナトリウム塩を溶出させる。

次いで、両カラムをA75%、C25%、流速1mL/分で15分間洗浄した後、A43%、B57%、流速1mL/分で調整する。

カラム①とカラム②を離し、カラム①をA28%、B72%、流速2mL/分で5分間調整した後、流速1mL/分で1分間調整する。

注入量:100μL

保持時間の目安:37分

LC/MS/MS

カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm) 内径4.6mm、長さ150mm

カラム温度:30℃

移動相:A液及びB液について下の表の濃度勾配で送液する。

A液:1%酢酸

B液:アセトニトリル

時間(分)

A液(%)

B液(%)

0

85

15

1

85

15

17

40

60

18

10

90

25

10

90

35

終了

 

流量:1.0mL/分

イオン化モード:APCI

主なイオン(m/z):正イオンモード 親イオン327、子イオン309

注入量:100μL

保持時間の目安:15分

9.定量限界

0.01mg/kg

10.留意事項

1) 試験法の概要

試料からピリチオバックナトリウム塩をアセトニトリル及び0.01mol/L炭酸アンモニウム溶液(2:1)混液で抽出し、ジクロロメタンで洗浄した後、トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム及びオクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムで精製し、カラムスイッチングシステム付きHPLC―UV又はLC/MS(LC/MS/MS)で測定し、LC/MS(LC/MS/MS)で確認する方法である。

2) 注意点

① 本法はDuPont社が開発した、綿実を対象とした試験法である。Sumpter,S.R.らの方法ではカラムスイッチングシステム付きHPLCで測定している。LC/MS/MSの条件は、Bramble,F.Q.らの報告を引用した。

② 0.03mol/Lリン酸緩衝液(pH3.0)は毎日使用前に0.45μmのフィルターでろ過する

③ 試験溶液の調製時は、アセトニトリル及び0.03mol/Lリン酸緩衝液(28:72)混液に溶解する前の状態で冷蔵保存可能である。

11.参考文献

1) Bramble,F.Q.ら, Analytical method for the determination of pyrithiobac sodium in cotton gin trash using ASE extraction and LC/MS/MS analysis,DuPont社報告、

http://www.epa.gov/oppbead1/methods/rammethods/2001_035M.tif

12.類型

D(Sumpter,S.R.ら, Improved analytical enforcement method for the determination of KIH-2031(DPX-PE350) residues in cottonseed using column-switching liquid chromatography、 DuPont社報告、

http://www.epa.gov/oppbead1/methods/rammethods/1994_001M.tif)

フルカルバゾンナトリウム塩試験法(農産物)

1.分析対象化合物

フルカルバゾンナトリウム塩

2.装置

液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)

高速溶媒抽出(ASE)装置

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。

フルカルバゾンナトリウム塩標準品 本品はフルカルバゾンナトリウム塩99%以上を含む。

4.試験溶液の調製

1) 抽出

試料1.00gにケイソウ土4gを混合し、これをASE装置の22mL容抽出管(あらかじめろ紙とケイソウ土0.5gを入れておく)に入れ、抽出溶媒として0.05mol/Lアンモニア水を用いてASE装置で抽出する。抽出条件は、温度70℃、圧力1,500psi、サイクル回数3回,各5分間(フラッシュ容量60%)、パージ時間150秒とする。抽出物はケイソウ土0.2gを入れた容器に集める。

2) 精製

抽出物に酢酸0.5mLを加え、これをオクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(1,000mg)に注入し、流出液は捨てる。さらに、0.1%酢酸5mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、アセトニトリル及び0.1%酢酸(3:1)混液5mLを注入し、溶出液を採る。

これに0.1%酢酸を加えて10mLとし、エチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)に注入し、流出液は捨てる。さらに、0.1%酢酸5mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、0.5mol/Lアンモニア水5mLを注入し、溶出液を採る。これに測定の直前に酢酸0.15mLを加え、水を加えて正確に6mLとしたものを試験溶液とする。

5.検量線の作成

フルカルバゾンナトリウム塩標準品を一定濃度含む溶液を数点調製し、それぞれ200μLをLC/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。

6.定量

試験溶液200μLをLC/MSに注入し、5の検量線でフルカルバゾンナトリウム塩の含量を求める。

7.確認試験

LC/MSにより確認する。

8.測定条件

LC/MS

カラム:オクチルシリル化シリカゲル(粒径3.5μm)内径4.6mm、長さ150mm

移動相:0.1%ギ酸及びメタノール混液(68:32)から(35:65)までの濃度勾配を10分間で行い、さらに(5:95)までの濃度勾配を0.5分間で行い、そのまま3分間保持する。

主なイオン(m/z):395、381、負イオンモード

9.定量限界

0.01mg/kg

10.留意事項

1) 試験法の概要

フルカルバゾンナトリウム塩を試料からASE装置(抽出溶媒は0.05mol/Lアンモニア水)を用いて抽出し、オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム及びエチレンジアミン―N―プロピルシリル化シリカゲルミニカラムで精製した後、LC/MSで測定及び確認する方法である。

2) 注意点

① 本法は小麦を対象とした試験法である。類型に示した文献は、安定同位体を用いた内部標準法を採用しており、タンデム型質量分析計(LC/MS/MS)で測定する方法である。また、代謝物(N―脱メチルフルカルバゾン)も対象とした分析法である。

② フルカルバゾンナトリウム塩は、中性~塩基性溶液中では安定であるが、酸性溶液中では不安定である。溶解度は、水:44g/L,アセトニトリル:6.4g/Lである。

11.参考文献

なし

12.類型

D(Lee, P.W. et.al. ed., Handbook of Residue Analytical Methods for Agrochemicals Volume 1、 p489-497、 John Wiley & Sons Ltd.(2003))

リン化水素試験法(農産物)

1.分析対象化合物

リン化水素

リン化亜鉛

リン化アルミニウム

リン化マグネシウム

2.装置

分光光度計

分解吸収装置 図に示すものを用いる。

3.試薬、試液

吸収液 水で冷却しながら飽和するまで水に臭素を溶かしたもの

硫酸ヒドラジン 硫酸ヒドラジン(特級)

4.試験溶液の調製

試料200gを分解吸収装置のフラスコに量り採り、水2Lを加える。別に同装置の第一吸収管及び第二吸収管に、それぞれ吸収液100mLを入れ、外部を氷水で冷却しておく。送気孔から窒素を200mL/分の流速で30分間通した後、フラスコを加熱しながら同様の通気の操作を2時間行う。第一吸収管及び第二吸収管の吸収液を少量の水で500mLのビーカーに洗い入れ、ホットプレートを用いて10mLに濃縮し、ガラスフィルターを用いてろ過する。使用したビーカーを少量の水で洗い、その洗液でガラスフィルター上の残留物を洗い、洗液をろ液に合わせ、更に、5mol/L硫酸5mL、2.5%モリブデン酸アンモニウム溶液5mL及び0.15%硫酸ヒドラジン溶液2mLを加えた上、水を加えて正確に50mLとしたものを試験溶液とする。

5.検量線の作成

110℃で4時間加熱したリン酸一カリウム0.4394gを水に溶かして1Lとし、その10mLを採り、水で1Lに希釈する。その1、2、3、4及び5mLを採り、それぞれに5mol/L硫酸5mL、2.5%モリブデン酸アンモニウム溶液5mL及び0.15%硫酸ヒドラジン溶液2mLを加えた上、水を加えて正確に50mLとする。これらを100mLの容器に移し、密栓して沸騰水浴中で10分間加熱する。冷後それぞれの溶液を、1cmのセルに採り、5mol/L硫酸、2.5%モリブデン酸アンモニウム溶液、0.15%硫酸ヒドラジン溶液及び水(5:5:2:38)混液を対照として分光光度計により波長820nmにおける吸光度を測定し、縦軸に吸光度、横軸にリンの重量をとってリンの検量線を作成する。

6.定量

試験溶液を100mLの容器に移し、密栓して沸騰水浴中で10分間加熱する。冷後、溶液を1cmのセルに採り、5mol/L硫酸、2.5%モリブデン酸アンモニウム溶液、0.15%硫酸ヒドラジン溶液及び水(5:5:2:38)混液を対照として分光光度計により波長820nmにおける吸光度を測定し、5の検量線により、リンの重量を求める。別に分解吸収装置を用い、試料をフラスコ中に加えないで4と同様の操作を行って得た溶液について、試験溶液と同様の操作を行ってリンの重量を求め、この値を試験溶液について得られたリンの重量の値から減じて補正重量を求める。これに係数1.097を乗じてリン化水素の重量に換算し、これに基づき、試料中のリン化水素の濃度を算出する。

図 分解吸収装置の一例

7.定量限界

0.01mg/kg

8.留意事項

1) 試験法の概要

試料を加熱し、リン化水素を蒸発させて飽和臭素水で捕集、酸化し、リン酸とする。リン酸イオンをモリブデン酸と反応させ、さらに還元して生成するモリブデンブルーを吸光光度法で測定する。

2) 注意点

① リン酸一カリウム0.4394gを水に溶かして1Lとし、その10mLを採り、水で1Lに希釈した溶液は、リンとして1mg/Lの溶液である。

9.類型

A(環境省告示第55号「リン化アルミニウム試験法」昭和53年9月22日)