添付一覧
イオン化モード:ESI
主なイオン(m/z):別表参照
保持時間の目安:別表参照
9.定量限界
別表参照
ただし、別表は測定限界(ng)の例を示したものである。
10.留意事項
1) 試験法の概要
各農薬等を試料からアセトニトリルで抽出し、酸性条件下で塩析する。水を除いた後、果実、野菜等についてはそのまま、穀類、豆類及び種実類についてはオクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムで精製後、いずれもシリカゲルミニカラムで精製し、LC/MS又はLC/MS/MSで測定及び確認する方法である。
2) 注意点
①別表は本法を適用できる化合物を五十音順に示したものであるが、規制対象となる品目には本法を適用できない代謝物等の化合物が含まれる場合があるので留意すること。また、保持時間の異なる異性体は、化合物名欄に個別に示した。
②本試験法は別表に示した全ての化合物の同時分析を保証したものではない。化合物同士の相互作用による分解等及び測定への干渉等のおそれがあるため、分析対象とする化合物の組み合わせにおいてあらかじめこれらの点を検証する必要がある。
③アセトニトリル抽出液に添加する塩化ナトリウム(10g)が多すぎる場合は、減らしてもよいが、十分に飽和する量を加える。また、極性が高い農薬を対象とするため、十分に振とうして塩化ナトリウムを溶解させる。
④濃縮し、溶媒を完全に除去する操作は、窒素気流を用いて穏やかに行う。
⑤アセトン、トリエチルアミン及びn―ヘキサン(20:0.5:80)混液に溶けにくい農薬があるため、シリカゲルミニカラムによる精製においては洗浄操作の後、溶出溶媒であるアセトン及びメタノール(1:1)混液2mLでカラムに洗い込む。
⑥LC/MS又はLC/MS/MSの感度によっては、試験溶液をさらにメタノールで希釈する。
⑦特にメタノール溶液中では不安定な農薬等があるため、測定は試験溶液の調製後速やかに行う。検量線用溶液は用時調製する。常温のオートサンプラーラック中に試験溶液を長時間置かない。
⑧正確な測定値を得るためには、マトリックス添加標準溶液又は標準添加法を用いることが必要な場合がある。
⑨定量限界は、使用する機器、試験溶液の濃縮倍率及び試験溶液注入量により異なるので、必要に応じて最適条件を検討する。
11.参考文献
なし
12.類型
C
(別表)LC/MSによる農薬等の一斉試験法Ⅱ(農産物)
[別添4]
シアゾファミド試験法(農産物)
1.分析対象化合物
シアゾファミド
2.装置
紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC―UV)
液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。
シアゾファミド標準品 本品はシアゾファミド99%以上を含み、融点は152~153℃である。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
穀類及び豆類の場合は、試料10.0gに水20mLを加え、2時間放置する。種実類及び茶の場合は、試料5.00gに水20mLを加え、2時間放置する。果実及び野菜の場合は、試料20.0gを量り採る。その他のハーブの場合は、試料5.00gを量り採る。
これにアセトニトリル100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物に、アセトニトリル50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせて、40℃以下で約30mLまで濃縮する。これに10%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、n―ヘキサン100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサン5mLを加えて溶かす。
2) 精製
①合成ケイ酸マグネシウムカラムクロマトグラフィー
クロマトグラフ管(内径15mm)に、カラムクロマトグラフィー用合成ケイ酸マグネシウム5gをn―ヘキサンに懸濁させて充てんし、無水硫酸ナトリウム約5gを積層する。このカラムに1)で得られた溶液を注入した後、アセトン及びn―ヘキサン(1:19)混液50mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、アセトン及びn―ヘキサン(3:17)混液50mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にアセトン5mLを加えて溶かす。
②グラファイトカーボンカラムクロマトグラフィー
グラファイトカーボンミニカラム(500mg)にアセトン10mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに①で得られた溶液を注入した後、アセトン5mLを注入する。全溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にエーテル及びn―ヘキサン(3:17)混液5mLを加えて溶かす。
③シリカゲルカラムクロマトグラフィー
シリカゲルミニカラム(690mg)にエーテル及びn―ヘキサン(3:17)混液10mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに1)で得られた溶液を注入した後、さらに、エーテル及びn―ヘキサン(3:17)混液10mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、エーテル及びn―ヘキサン(3:7)混液20mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリルに溶解し、種実類、茶及びその他のハーブの場合は正確に1mL、穀類及び豆類の場合は正確に2mL、果実及び野菜の場合は正確に4mLとしたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
シアゾファミド標準品の0.05~1mg/Lアセトニトリル溶液を数点調製し、それぞれ20μLをHPLCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液20μLをHPLCに注入し、5の検量線でシアゾファミドの含量を求める。
7.確認試験
LC/MSにより確認する。
8.測定条件
1) HPLC
検出器:UV(波長280nm)
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)、内径4.6mm、長さ250mm
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル及び水(3:2)混液
保持時間の目安:12分
2) LC/MS
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)、内径2~2.1mm、長さ150mm
カラム温度:40℃
移動相:0.002mol/L酢酸アンモニウム溶液及びメタノール混液(7:3)から(1:9)までの濃度勾配を8分間で行い、(1:9)で6分間保持する。
イオン化モード:ESI
主なイオン(m/z):正イオンモード325、負イオンモード216
注入量:1μL
保持時間の目安:14分
9.定量限界
0.01mg/kg
10.留意事項
1) 試験法の概要
シアゾファミドを試料からアセトニトリルで抽出し、n―ヘキサンに転溶する。合成ケイ酸マグネシウムカラム、グラファイトカーボンミニカラム及びシリカゲルミニカラムにより精製し、HPLC―UVで測定し、LC/MSで確認する方法である。
2) 注意点
①標準溶液及び試料溶液中のシアゾファミドは、室温で徐々に分解するため、冷蔵で保存する。
②HPLC測定時において試料由来の夾雑成分のピークが、シアゾファミドの溶出位置に認められた場合、HPLCのカラムを変更することにより、シアゾファミドを試料由来の夾雑成分のピークから分離することができる。通常用いているオクタデシルシリル化シリカゲルからトリアコンチルシリル化シリカゲル(C30)あるいはフェニルシリル化シリカゲル(Ph)などの充てん剤を用いたカラムに変更することが有効である。
③グラファイトカーボンミニカラムクロマトグラフィーは、夾雑物の少ない試料では、省略することもできる。
④精製が不十分な場合、アミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(360mg)による追加精製が可能である。
酢酸及びn―ヘキサン(0.1:100)混液10mLで予備洗浄を行う。試料溶液を酢酸及びn―ヘキサン混液(0.1:100)10mLで負荷し、流出液を捨てた後、エーテル、酢酸及びn―ヘキサン(10:0.1:90)混液30mLで溶出させる。
⑤シアゾファミドはLC/MSでの測定において正イオンm/z:325[M+H]+または負イオンm/z:216[M-SO2N(CH3)2]-で測定が可能であるが、後者の方が感度も良く、選択性に優れている。
⑥HPLC分析において、試料由来の妨害成分の影響等で定量が困難な場合はLC/MSを用いて測定を行う。
11.参考文献
平成13年環境省告示第31号「シアゾファミド試験法」
12.類型
A
[別添5]
オキシテトラサイクリン試験法(農産物)
1.分析対象化合物
オキシテトラサイクリン
2.装置
蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC―FL)
液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。
メタノール 高速液体クロマトグラフ用に製造されたもの。
イミダゾール イミダゾール(特級)
イミダゾール緩衝液 イミダゾール68.08g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.37g及び酢酸マグネシウム10.72gを水に溶かして800mLとする。これに酢酸を加えてpH7.2に調整し、水を加えて1,000mLとする。
エチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液 第1液:クエン酸21.0gを水に溶かして1,000mLとする。第2液:リン酸二ナトリウム71.6gを水に溶かして1,000mLとする。エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム1.86gに第1液307mLと第2液193mLを混和したものを加えて溶かす。
塩酸オキシテトラサイクリン標準品 本品1.000mgはオキシテトラサイクリン0.850mg力価以上を含む。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
①穀類、豆類及び種実類の場合
試料10.0gを量り採り、水20mLを加え、2時間放置する。これにエチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液50mLを加え、3分間ホモジナイズした後、毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い、水層を採る。残留物にエチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液20mLを加え、1分間ホモジナイズした後、上記と同様に遠心分離を行い、水層を採り、先の水層に合わせ、吸引ろ過し、ろ液にエチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液を加え、正確に100mLとする。
②果実及び野菜の場合
試料20.0gを量り採り、エチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液50mLを加え、3分間ホモジナイズした後、毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い、水層を採る。残留物にエチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液20mLを加え、1分間ホモジナイズした後、上記と同様に遠心分離を行い、水層を採り、先の水層に合わせ、吸引ろ過し、ろ液にエチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液を加え、正確に100mLとする。
2) 精製
スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラム(500mg)に、メタノール10mL、水10mL、飽和エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム溶液5mLを順次注入し、各流出液は捨てる。また、カルボキシメチルシリル化シリカゲルミニカラム(250mg)に、メタノール10mL、2%ギ酸溶液10mL、水20mL、メタノール5mLを順次注入し、各流出液は捨てる。スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラムに1)で得られた溶液20mLを注入した後、流出液は捨てる。さらに、水30mLを注入し、流出液は捨てる。その後、スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラムの下にカルボキシメチルシリル化シリカゲルミニカラムを接続し、メタノール5mLを注入し、流出液は捨てる。スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラムを分離し、カルボキシメチルシリル化シリカゲルミニカラムにギ酸及びメタノール(1:1)混液5mLを注入し、溶出液を窒素気流下で濃縮し溶媒を除去する。この残留物に1.36%リン酸一カリウム溶液を加えて溶かし、1.0mLとしたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
オキシテトラサイクリン10.0mg(力価)に相当する標準品をメタノールに溶解して10mLとしたものを標準原液とする。これを1.36%リン酸一カリウムで希釈して、0.02~1mg/L溶液を数点調製し、それぞれ10μLをHPLCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液10μLをHPLCに注入し、5の検量線でオキシテトラサイクリンの含量を求める。
7.確認試験
LC/MSにより確認する。
8.測定条件
1) HPLC
検出器:FL(励起波長380nm、蛍光波長520nm)
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)内径4.6mm、長さ150~250mm
カラム温度:30℃
移動相:イミダゾール緩衝液及びメタノール(17:3)混液
保持時間の目安:5分
2) LC/MS
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径3~5μm)内径2.0~4.6mm、長さ150~250mm
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル、0.1%ギ酸溶液及び水(4:15:1)混液
イオン化モード:ESI(+)
主なイオン(m/z):461、443
保持時間の目安:2.5分
9.定量限界
0.01mg/kg
10.留意事項
1) 試験法の概要
オキシテトラサイクリンを試料からエチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液で抽出し、スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラム及びカルボキシメチルシリル化シリカゲルミニカラムにより精製して、HPLC―FLで測定、LC/MSで確認する方法である。
2) 注意点
① 遠心分離は、4℃で行う。
② カラム溶出液の濃縮操作はドラフトなどの排気設備内で行う。
③ キウイーなど抽出液の粘性が高い試料については、セライトを5gほど添加して抽出操作を行うことで、回収率を向上させることが出来る場合がある。
④ 妨害が見られる時は、カラム温度を40℃にするなど、同じ移動相でもカラム温度を変えることで分離測定ができる。
⑤ 8の2)に示した測定条件では、低濃度時においてトータルイオンクロマトグラム上でピークが確認できない場合があるので、試験溶液をさらに濃縮して測定する等の方法で対応する。
11.参考文献
1) 厚生労働省通知第0124001号「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について」(オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン及びテトラサイクリン試験法)(平成17年1月24日)
2) Yoshida K.,Uemori H.,Chromatography,26,67-69(2005)
12.類型
C
ジヒドロストレプトマイシン及びストレプトマイシン試験法(農産物)
1.分析対象化合物
ジヒドロストレプトマイシン
ストレプトマイシン
2.装置
液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。
クエン酸緩衝液(pH3)クエン酸(一水和物)16.6gとリン酸二ナトリウム(十二水和物)14.8gを量り、水を加えて1,000mLとする。
リン酸緩衝液(pH7)リン酸一カリウム2.713gを量り、水を加えて1,000mLとし、1mol/L水酸化ナトリウム溶液を加えてpH7に調整する。
硫酸ジヒドロストレプトマイシン標準品 本品1.000mgはジヒドロストレプトマイシン0.720mg力価以上を含む。
硫酸ストレプトマイシン標準品 本品1.000mgはストレプトマイシン0.718mg力価以上を含む。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
試料20.0gを量り採り、1%メタリン酸溶液100mL及びジクロロメタン50mLを加え、ホモジナイズした後、毎分3,000回転で遠心分離を行う。水層を採り、ジクロロメタン層及び残留物に1%メタリン酸溶液50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様に遠心分離を行う。よく振り混ぜた後、上記と同様に遠心分離を行う。得られた水層を先の水層に合わせ、これをろ過した後、1%メタリン酸溶液を加えて正確に200mLとする。
2) 精製
①オクタデシルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー
オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(360mg)にメタノール及び1%メタリン酸溶液各5mLを順次注入し、各流出液は捨てる。このカラムに1)で得られた抽出溶液の20mLを注入した後、1%メタリン酸溶液5mLを注入する。全溶出液に1mol/L水酸化ナトリウム溶液を加えてpH7に調整する。
②カルボキシジビニルベンゼン―N―ビニルピロリドン共重合体カラムクロマトグラフィー
カルボキシジビニルベンゼン―N―ビニルピロリドン共重合体ミニカラム(150mg)にn―ヘキサン、メタノール及びリン酸緩衝液(pH7)各5mLを順次注入し、各流出液は捨てる。このカラムに①で得られた溶液を注入した後、さらにリン酸緩衝液(pH7)及びメタノール各10mLを順次注入し、各流出液は捨てる。次いでクエン酸緩衝液(pH3)10mLを注入する。この溶出液に0.1mol/Lヘプタンスルホン酸ナトリウム溶液2mLを加える。
③オクタデシルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー
オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(360mg)にメタノール5mLを注入し、流出液は捨てる。次いで0.1mol/Lヘプタンスルホン酸ナトリウム溶液及び水(1:5)混液6mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに②で得られた溶液を注入した後、水10mLを注入し、流出液は捨てる。次いでメタノール10mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリル及び0.005mol/Lヘプタフルオロ酪酸溶液(1:9)混液に溶解し、正確に1mLとしたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
ジヒドロストレプトマイシン10.0mg(力価)に相当する硫酸ジヒドロストレプトマイシン標準品及びストレプトマイシン10.0mg(力価)に相当する硫酸ストレプトマイシン標準品をそれぞれ水に溶解して100mLとしたものを標準原液とする。これらをアセトニトリル及び0.005mol/Lヘプタフルオロ酪酸溶液(1:9)混液で希釈し、0.02~0.4mg/L混合溶液を数点調製し、それぞれ5μLをLC/MSに注入し、ピ―ク高法又はピ―ク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液5μLをLC/MSに注入し、5の検量線でジヒドロストレプトマイシン及びストレプトマイシンの含量を求め、両者の和を分析値とする。
7.確認試験
LC/MSにより確認する。
8.測定条件
LC/MS
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)、内径2mm、長さ100mm、
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル及び0.005mol/Lヘプタフルオロ酪酸溶液(1:9)混液
イオン化モード:ESI(+)
主なイオン(m/z):
ジヒドロストレプトマイシン 584、263
ストレプトマイシン 582、263
保持時間の目安:
ジヒドロストレプトマイシン 18分
ストレプトマイシン 17分
9.定量限界
各0.01mg/kg
10.留意事項
1) 試験法の概要
ジヒドロストレプトマイシン及びストレプトマイシンを試料からメタリン酸で抽出すると同時にジクロロメタンで洗浄する。オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム、カルボキシジビニルベンゼン―N―ビニルピロリドン共重合体ミニカラム及びオクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムにより精製した後、LC/MSで測定及び確認する方法である。
2) 注意点
①カルボキシジビニルベンゼン―N―ビニルピロリドン共重合体カラムクロマトグラフィーでは試料溶液注入前に、n―ヘキサン、メタノール及びリン酸緩衝液(pH7)各5mLをあらかじめ流下させ洗浄したものを使用するが、n―ヘキサンを流下させた後に十分吸引を行い、n―ヘキサンを除去した後にメタノールを流下させる。
②LC/MSにおいてフラグメントイオンであるm/z=263で測定する場合、機種によっては親イオン(m/z=582、584)に比べ低感度になることがある。その場合はフラグメンテーションを促進させるパラメータを変更する、注入量を増やす等の対応を行う。
11.参考文献
厚生労働省通知第0124001号「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について」(ジヒドロストレプトマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシン及びネオマイシン試験法)(平成17年1月24日)
12.類型
C
メトコナゾール試験法(農産物)
1.分析対象化合物
メトコナゾール(シス体及びトランス体)
2.装置
アルカリ熱イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(GC―FTD)又は高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ(GC―NPD)
ガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。
メトコナゾール(シス体)標準品 本品はメトコナゾール(シス体)98%以上を含み、融点は110~113℃である。
メトコナゾール(トランス体)標準品 本品はメトコナゾール(トランス体)98%以上を含み、融点は110~113℃である。
4.試験溶液の調製
1) 抽出
①穀類の場合
試料10.0gを量り採り、水20mLを加え、2時間放置する。
これにアセトン100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物に、アセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせて40℃以下で約30mLまで濃縮する。これに10%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:1)混液100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。
この残留物にn―ヘキサン50mLを加え、n―ヘキサン飽和アセトニトリル50mLずつで3回振とう抽出する。抽出液を合わせ、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にアセトン5mLを加えて溶かす。
②果実の場合
果実(みかんの果皮を除く)の場合は、試料20.0gを量り採る。みかんの果皮の場合は、試料10.0gを量り採る。
これにアセトン100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物に、アセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせて40℃以下で約30mLまで濃縮する。これに10%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:1)混液100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にアセトン5mLを加えて溶かす。
2) 精製
①グラファイトカーボンカラムクロマトグラフィー
グラファイトカーボンミニカラム(500mg)にアセトン10mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに、1)で得られた溶液を注入した後、さらにアセトン15mLを注入する。全溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物に酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:9)混液5mLを加えて溶かす。
②アミノプロピルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー
アミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(360mg)に酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:9)混液10mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに①で得られた溶液を注入し、流出液は捨てる。さらに、酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:9)混液10mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、酢酸エチル及びn―ヘキサン(1:1)混液15mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトンに溶解し、正確に2mL(穀類の場合は1mL、みかんの果皮の場合は10mL)としたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
メトコナゾール(シス体)標準品及びメトコナゾール(トランス体)標準品の各0.05~1.0mg/Lアセトンの混合標準溶液を数点調製し、それぞれ2μLをGCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液2μLをGCに注入し、5の検量線でメトコナゾール(シス体)及びメトコナゾール(トランス体)の含量を求め、メトコナゾール(シス体)及びメトコナゾール(トランス体)の和としてメトコナゾールの含量を求める。
7.確認試験
GC/MSにより確認する。
8.測定条件
1) GC
検出器:FTD又はNPD
カラム:メチルシリコン、内径0.53mm、長さ30m、膜厚1μm
カラム温度:150℃(1分)-10℃/分-280℃(1分)
注入口温度:280℃
検出器温度:320℃
キャリヤーガス:ヘリウム
保持時間の目安:メトコナゾール(シス体)11.4分、メトコナゾール(トランス体)11.7分
2) GC/MS
カラム:5%フェニル―メチルシリコン 内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm
カラム温度:150℃(1分)-10℃/分-300℃(1分)
注入口温度:250℃
キャリヤーガス:ヘリウム
イオン化モード(電圧):EI(70eV)
主なイオン(m/z):319、250、125(シス体及びトランス体とも共通)
注入量:1μL
保持時間の目安:メトコナゾール(シス体)13.5分、メトコナゾール(トランス体)13.8分
9.定量限界
メトコナゾール(シス体)及びメトコナゾール(トランス体)の総和として0.01mg/kg(みかんの果皮の場合は、0.1mg/kg)
10.留意事項
1) 試験法の概要
メトコナゾール(シス体)及びメトコナゾール(トランス体)を試料からアセトンで抽出し、酢酸エチル及びn―ヘキサン混液に転溶する。果実はそのまま、穀類はアセトニトリル/ヘキサン分配で脱脂した後、グラファイトカーボンミニカラム及びアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムで精製した後、GC(FTD又はNPD)で測定し、GC/MSで確認する方法である。
2) 注意点
①液々分配においてエマルジョン等により分配が不良となる場合は、多孔性ケイソウ土カラム(試料20mL用)を利用する方法に変更するとよい。操作概要:試料抽出液を約20mLまで濃縮し、カラムに負荷した後、n―ヘキサン120mLで溶出する。
②精製が不十分な場合は、フロリジルミニカラム(910mg)による精製を追加するとよい。操作概要:残留物をアセトン及びn―ヘキサン(1:9)混液5mLに溶解し、カラムに負荷した後、アセトン及びn―ヘキサン(1:9)混液10mLで洗浄、アセトン及びn―ヘキサン(3:7)混液15mLで溶出する。
11.参考文献
なし
12.類型
C