④ エネルギー関連装置の性能、安全性、信頼性
a) 体内電池を含めた電池容量、電池寿命及び再充電回数の限界の妥当性
b) 電池の充放電時、経皮エネルギー伝送装置の伝送時の発熱
c) 電池破裂や腐食による液漏れ等に対する安全対策
対象患者の特性を考慮し、特に総論の以下の項目に関して十分な対策と評価を行うこと。
⑤ その他、装置全体に求められる性能、安全性、信頼性
a) 緊急時セーフガード機構の妥当性
b) 可視光及び電磁気の放射、MRI適合性
MRIに対する適合性については、植込み部分に関してのみ適用され、体外部分には適用されない。
植込み電極を利用した刺激を行わない場合、in vitro評価に特に総論の以下の項目を含める必要はない。
② 神経系に作用する装置部分の性能、安全性、信頼性
a) 治験において計画している刺激値の範囲
b) 刺激方向の設定
c) パルスの各フェーズにおける注入密度、注入量、周波数、波形とduration等
③ 刺激制御装置の性能、安全性、信頼性
a) 患者の状態に応じた刺激制御機構
b) ホットスポットを含めて生体組織に火傷を与える発熱の有無
c) 信頼性及び安全性を確保するための具体的な対策
d) 患者への負荷を計測又は推定出来るシステムの付与
e) パルス制御のロジックの有無とその妥当性の確認
f) 目的に応じて設定した装置制御プログラムの妥当性
但し、項目③に関しては、計測装置・体内外のデータ通信装置としての性能、安全性、信頼性を確保するため以下の項目を新たに設定する。
③' 計測装置・体内外のデータ通信装置の性能、安全性、信頼性
a) 生体組織に火傷を与える発熱の有無
b) 信頼性及び安全性を確保するための具体的な対策
c) 計測精度の妥当性
d) データ通信の信頼性と通信エラーが生じた際の対策
2) In vivo評価
原則的に総論に準じて行う。
植込み電極を利用した刺激を行わない場合、動物試験のレポートに特に以下の項目を含める必要はない。
・刺激レベルとレート
・刺激効果確認試験
① 短期試験
電極に対して刺激を行わない場合、短期の電極テストを省略できる。
② 長期試験
原則的に総論に準じて行う。
(4) 臨床試験(治験)
原則的に総論に準じて行う。
治験計画書について
① 基本的な事項
・対象患者に対する他の治療法との違い
現時点での代替治療法とその問題点、BMI装置の必要性は、適応疾患と症状によって異なる。運動機能を補助・代行するための器具としては車いす・杖や義手・義足・装具等は広く普及しているが、全て運動機能の一部が失われた場合の補助・代行機器であり、運動機能が完全に廃絶した場合には活用できず、またその補助・代行機能も本来の身体機能と比較すると十分でない面がある。意志伝達を補助・代行するための機器はいまだスタンダードなものはなく、筋電信号、簡易脳波、脳血流、呼気を利用したもの等種々のものが存在するが、精度や性能面で不十分である。総じて言えることは現在の代替治療法は患者のトレーニングを必要とし、本来の身体機能と比較すると劣る。
治験計画書には以上の点を踏まえて、対象患者に対する他の治療法との違いを明確に説明することが望まれる。
② 治験対象、及び、③ 使用目的と適応条件
環境制御や運動・意志伝達機能の補助・代行が必要とされる主な適応疾患を以下に列挙する。
a) 筋萎縮性側索硬化症(ALS)、筋ジストロフィー等の神経筋難病
b) 脊髄損傷
c) 切断肢
d) 腕神経叢損傷等の重度末梢神経障害
e) 脳卒中
基本的には大脳皮質機能は大部分残存しているが、それより末梢の基底核、脊髄、末梢神経、身体の障害により大脳皮質の情報が身体に伝達されない状態が治療の対象となりうる。体内植込み型BMIの技術が初期段階では、筋萎縮性側索硬化症や脊髄損傷等により運動機能が廃絶し、身体が完全麻痺で発話もできない閉じこめ症候群の状態もしくはそれに近い状態にある患者が対象となる。技術が進歩して性能が向上すれば、障害のより軽い患者も対象となり、脊髄損傷、切断肢、腕神経叢損傷、脳卒中も漸次治療対象となると考えられる。
治験計画書には以上の点を踏まえて、目標とする装置の性能(エンドポイント)と適応基準の関係を明確に記述することが望ましい。
対象患者は意思疎通が困難な場合もある。そのような場合には治験に関する説明や治験への参加意志の確認は慎重に行うこと。(医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令第4章第4節 被験者の同意を参照すること。)
④ 症例数と実施期間
原則として治験の目的に応じた科学的な根拠がある数が求められるが、希少疾患で十分な症例数が確保できない場合には、適応患者数と他の代替治療法に比較して有用性が優れているという根拠を示すことが望ましい。
計測安定性、習熟・訓練効果等長期留置による変化についても評価すること。
⑤ エンドポイント設定
原則的に総論に準じて行うが、今後急速な進歩が予想される分野であること、適応疾患により装置構成も異なること等を考慮すると、審査時点で必要に応じて、より詳細かつ具体的なエンドポイントを設定し、その根拠を説明することが望ましい。
a) 安全性
原則的に総論に準じて行う。
・外部装置の安全性については個々の装置の特性を考慮して個別に評価することが望ましい。
・神経倫理学的問題の評価
脳の可塑性に基づく予期せぬ脳活動の変調、及びそれに伴う副作用の有無個人の脳活動が外部に出力されることに起因する個人情報への影響や不利益
b) 有効性
有効性に関する諸要因(対象疾患、年齢、重症度、罹患期間等)についても検討することが望ましい。
主要エンドポイント
外部制御機器の操作性能を客観的に示す評価項目を外部制御機器毎に設定し、装置を利用しなかった場合、装置の各種パラメータをランダムに設定した場合等と比較する。また代替治療法がある場合にはそれと比較することが望ましい。
・ロボットアーム:操作精度、操作速度、一定の作業の所要時間・精度等
・電動車いす:停止・移動の正解率、方向変換の正解率等
・意志伝達補助・代行:カーソル移動の精度・速度、文字表示の正解率・速度等
・環境制御:機能選択の正解率、速度等
副次エンドポイント
生活の質(QOL)に関するアンケート調査やQOL尺度等にて、QOLの改善を証明することが望ましい。QOL尺度としてはSEIQoL DW(Schedule for the Evaluation of Individual QoL-Direct Weighting)やALSSQOL等が挙げられる。
5.試験結果の報告(構成内容)
原則的に総論に準じて行う。
(別添3)
整形外科用骨接合材料カスタムメイドインプラントに関する評価指標
1.はじめに
整形外科領域においては、生体植え込み型のインプラントは、薬事法上の医療機器として一定の幅、長さ、厚さ等が規定され、力学的安全性や生物学的安全性が確認された既製品として広く臨床応用され、我が国の医療及び国民の生活の質の向上に貢献している。しかし、患者の骨格及び骨形状には個体差があり、また患者個々の骨格構造及び症状等によっては既製品のインプラントでは対応できない場合がある。このような場合において、優れた個体適応性を有するインプラント、いわゆるカスタムメイドインプラントが必要とされる。カスタムメイドインプラントを臨床応用することは、優れた固定性、機能再建が可能となり手術成績の向上、低侵襲手術の実現、再手術の減少、早期リハビリテーションの実現、早期社会復帰等患者や医療関係者にとって有益である。
骨接合材料カスタムメイドインプラントが求められている背景には、インプラント製品の用途の多様化、開発コンセプトの複合化、製品の構造、表面処理等技術の高度化等から生体親和性の高いインプラントの開発が可能となってきていることがある。また臨床的にも通常のインプラントより医学的に優れた生体適合性を有するインプラントが求められている。特に、症例に応じて個別の要求を満足するインプラント、すなわち症例に必要とされた加工を加えた個体適応性に優れたカスタムメイドインプラントの臨床応用を通じて、患者、医療関係者の必要性を満たすことで、長期にわたり優れた臨床成績を獲得することは、患者及び医療関係者のみならず医療経済上も有益であると考える。
カスタムメイドインプラントの対象としては、骨接合材料、人工関節等が考えられるが、本評価指標におけるカスタムメイドインプラントの範囲は、臨床的必要性が高い骨接合材料を中心に行い、基本的なカスタムメイドインプラントの必要事項を定めた。
また、人工股関節、人工骨頭、人工膝関節、人工肩関節、人工肘関節といった人工関節において様々な関節の骨形状に適応し、重大な骨欠損及び変形骨等に対して最適に成形されたインプラントが必要とされているため、これらの適応範囲、構造学的、力学的観点及び三次元構造等未解決の諸問題について今後さらなる検討が必要であると考えられた。
2.本評価指標の対象
本評価指標は、整形外科用インプラントのうち、金属製骨接合材料(骨プレート、骨端プレート、髄内釘、Compression Hip Screw (CHS)、ショートフェモラルネイル及び骨ねじ等)を対象とする。
本評価指標においてカスタムメイドインプラントとは、患者個々の骨形状にあわせて基礎となる既製品の形状の一部変更したインプラントであって、承認書にその旨が記載されたものを対象とする。したがって、特定保険医療材料として、悪性腫瘍や再置換用等に用いられるカスタムメイド人工関節、カスタムメイド人工骨とは異なるものである。
なお、製造方法が基礎となる既製品と異なる場合については、本評価指標の対象としない。
3.本評価指標の位置づけ
本評価指標は、技術開発の著しい整形外科用インプラントを対象とするものであることを勘案し、問題点、留意すべき事項を網羅的に示したものではなく、現時点で考えられる点について示したものである。よって、今後の更なる技術革新や知見の集積等を踏まえ改定されるものであり、申請内容等に関して拘束力を有するものではない。
カスタムメイドインプラントの評価にあたっては、個別の製品の特性を十分理解した上で、科学的な合理性を持って柔軟に対応することが必要である。
また、本評価指標の他、国内外のその他の関連ガイドラインを参考にすることも考慮すべきである。
4.カスタムメイドインプラントの承認申請書の記載事項
(1) 形状、構造及び原理
「形状、構造及び原理」に、カスタムメイドインプラントを作成し得る範囲を基礎となる既製品と区別し、明確に記載すること。
(2) 使用目的、効能又は効果
カスタムメイドインプラントは、次の場合に使用することができることとする旨を「使用目的、効能又は効果」に記載しておくこと。
① 医師が、既製品では十分な治療効果が得られないと判断した場合
② 医師が、既製品を使用した場合に比べ、大きな治療効果が得られると判断した場合
(3) その他
備考欄に「カスタムメイドインプラントを含む」と記載すること。
5.カスタムメイドインプラントの評価
(1) 製造技術の評価
基礎となる既製品での製造方法により製造可能であることを示すこと。
(2) 安全性の評価
カスタムメイドインプラントに必要な素材の基礎的な安全性(生物学的安全性等)を示すこと。既承認品のデータを用いることで省略する場合はその旨を説明すること。
(3) 力学的安全性の評価
力学的安全性は、基礎となる既製品に比べて劣らないことを示すこと。その方法として、以下に事例を示す。
① 各製品のガイドライン等に従い、力学試験又はFinite Element Analysis(FEA)により力学的安全性を示す。
② カスタムメイドインプラントの寸法が基礎となる既製品の範囲内である場合は、その旨を説明することにより、力学的安全性に関する資料は省略できる。
③ カスタムメイドインプラントが基礎となる既製品より、力学的に安全側への変更であることが明らかである場合は、その旨を以下の事例を参考に説明することにより、力学的安全性に関する資料は省略できる。
a) 骨プレート
イ 幅の増加
ロ 厚さの増加
ハ 長さの変更
ニ 穴数の減少
ホ 穴位置の変更(長軸方向の変更は、両端方向。短軸方向は、中心へよせる。穴間距離は変更しない。)
b) 骨端プレート
イ 幅の増加
ロ 厚さの増加
ハ 長さの変更
ニ 穴数の減少
ホ 穴位置の変更(長軸方向の変更は、両端方向。短軸方向は、中心へよせる。穴間距離は変更しない。)
c) 髄内釘
イ 長さの減少
ロ 直径の増加
ハ 湾曲の曲率の減少
ニ 回旋防止横止めスクリュー穴の減少
d) CHS
イ 幅の増加
ロ 厚さの増加
ハ 長さの変更
ニ 穴数の減少
ホ 穴位置の変更(長軸方向の変更は、両端方向。短軸方向は、中心へよせる。穴間距離は変更しない。)
e) ショートフェモラルネイル
イ 長さの減少
ロ 直径の増加
ハ ネイル部の曲率の減少(最大適合)
ニ 回旋防止横止めスクリュー穴の減少
6.製造販売業者による準備と対応
製造販売業者は、医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第169号、QMS省令)、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第136号、GQP省令)、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第135号、GVP省令)又は医療機器の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令(平成17年厚生労働省令第38号、GPSP省令)に基づく文書に、以下の事項を適切に記載し、これを遵守すること。
(1) カスタムメイドインプラントの設計
製造販売業者は、医師が作成した仕様書に基づいて承認の範囲内でカスタムメイドインプラントの設計を行うこと。
(2) 製造販売業者が保管すべき資料
製造販売業者は、カスタムメイドインプラントを製造し、仕様を作成した医師に販売・授与するに当たり以下の資料を保管しておくこと。
① 仕様を作成した医師名
② 医師が作成した仕様書(患者の骨形状のデータを含む。)
③ 骨形状のデータに適合した設計になっていることを確認できる資料
④ 設計段階又は最終製品において、製品の形状が仕様書を満たすことを医師が確認したことを示す資料
(3) 有効性の評価
製造販売業者は、医師が作成した仕様書に基づきカスタムメイドインプラントを臨床応用するにあたり、使用の前後において、医師の協力を得て設計したカスタムメイドインプラントと患者の骨形状を比較検討し、臨床的有効性について評価すること。
(4) 市販後調査
製造販売業者は、医師の協力を得てカスタムメイドインプラントの臨床使用後、その適応性の評価及び不具合情報等を収集し、必要に応じて承認事項一部変更承認申請や安全対策措置等を行うこと。
7.使用上の注意
製造販売業者は、使用上の注意等に以下のことを記載すること。
① カスタムメイドインプラントは、既製品では十分な治療効果が得られない又は既製品を使用した場合に比べ、大きな治療効果が得られると医師が判断した場合のみに使用できること。
② カスタムメイドインプラントを使用する際にはあらかじめ担当医が仕様書を作成すること。
③ 医師は、仕様書を作成する際には、承認の範囲内で骨形状に適合させることで、カスタムメイドインプラントが軟部組織(神経、血管、筋肉等)と干渉しないよう及び関節周囲では関節の可動域制限の原因とならないよう考慮すること。
④ 医師は、仕様書を製造販売業者に提供すること。
⑤ 医師は、カスタムメイドインプラントを使用する前に、設計段階及び最終段階において、当該カスタムメイドインプラントが仕様書の内容を満たしていることを確認すること。
⑥ 医師は、製品の不具合や術中の臨床上の問題等により、カスタムメイドインプラントが使用できない事態に備え、既製品での対応を考慮した手術計画を準備する等あらかじめ対策を施すこと。
⑦ カスタムメイドインプラントは、患者個々に適合するよう設計されているため、使用しなかった場合でも他の患者に流用しないこと。
⑧ 医師は、カスタムメイドインプラントを使用するにあたり、使用の前後において、設計したカスタムメイドインプラントと患者の骨形状を比較検討し、臨床的有効性について評価すること。
⑨ 医師は、カスタムメイドインプラントの臨床使用後、その適合性の評価及び不具合情報等を収集し、製造販売業者に速やかに報告すること。
⑩ 医師は、仕様書を診療録等の患者記録とともに適切に保管すること。
