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b.記入要項

ア.疼痛・歩行能

・歩行はすべて連続歩行(休まずに一気に歩ける距離)を意味する。

・疼痛は歩行時痛とする(疼痛は鈍痛、軽度痛、中等度痛をふくむ)。

・ある距離までしか歩けないが、その範囲では疼痛ない時は、その1段上のクラスの疼痛・歩行能とする。

・ある距離で激痛が現れる時、その1段下のクラスの疼痛・歩行能とする。

・「通常疼痛ないが、動作時たまに疼痛あってもよい」は買物後、スポーツ後、仕事後、長距離歩行後、歩き初めなどに疼痛がある状態をいう。

・「1km以上の歩行」はバスの2~3停留所間隔以上歩ける、あるいは15分以上の連続歩行可能をいう。

・「500m以上、1km未満の歩行」は買物が可能な程度の連続歩行をいう。

・「100m以上、500m未満の歩行」は近所づきあい程度の連続歩行をいう。

・「室内歩行又は100m未満の歩行」は室内又は家の周囲、庭内程度の連続歩行をいう。

・「歩行不能」は起立はできるが歩けない、歩行出来ても激痛のある場合をいう。

イ.疼痛・階段昇降能

・疼痛は階段昇降時痛をいう。

・疼痛は鈍痛、軽度痛、中等度痛をいう。

・激痛があるときはその1段下のランクとする。

・筋力低下などで「出来ない」状態であるが疼痛のない時は「手すりを使い一歩一歩(1段2足昇降)で疼痛あり」とする。

ウ.屈曲角度及び強直・高度拘縮

・「110°以上屈曲可能」は110°以上屈曲可能であるが、正座、横座り、胡座は出来ない状態をいう。

・「75°以上屈曲可能」は75°以上110°未満の屈曲可能をいう。

・「35°以上屈曲可能」は35°以上75°未満の屈曲可能をいう。

・「高度拘縮」は肢位の如何にかかわらずarc of motionで35°以下をいう。

エ.腫脹

・「時に穿刺必要」:最近時に穿刺を受けている、又は時にステロイドの注入を受けている、など。

・「頻回に穿刺必要」:常に水腫がある。

(2) 両側の股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

両側の股関節にX線所見上、関節裂隙の不整狭小化、軟骨下骨梁の骨硬化、骨棘形成、骨嚢胞の形成、骨頭変形等の著しい変形を伴い、日本整形外科学会股関節機能判定基準において何らかの障害が認められるもの。

a.股関節機能判定基準

 

①疼痛

 

 

1) 股関節に関する愁訴が全くない。

40

40

2) 不定愁訴(違和感、疲労感)があるが、痛みはない。

35

35

3) 歩行時痛みはない(ただし歩行開始時あるいは長距離歩行後疼痛を伴うことがある)。

30

30

4) 自発痛はない。歩行時疼痛はあるが、短時間の休息で消退する。

20

20

5) 自発痛はときどきある。歩行時疼痛があるが、休息により軽快する。

10

10

6) 持続的に自発痛又は夜間痛がある。

0

0

具体的表現

②可動域(記入要項を参照)

角度

屈曲

 

 

伸展

 

 

外転

 

 

内転

 

 

点数

屈曲

 

 

外転

 

 

③歩行能力

 

1) 長距離歩行、速歩が可能、歩容は正常。

20

2) 長距離歩行、速歩は可能であるが、軽度の跛行を伴うことがある。

18

3) 杖なしで、約30分又は2km歩行可能である。跛行がある。日常の屋外活動にはほとんど支障がない。

15

4) 杖なしで、10―15分程度、あるいは約500m歩行可能であるが、それ以上の場合、1本杖が必要である。跛行がある。

10

5) 屋内で活動はできるが、屋外活動は困難である。屋外では2本杖を必要とする。

5

6) ほとんど歩行不能。

0

具体的表現

 

 

容易

困難

不能

④日常生活動作

 

 

 

1) 腰掛け

4

2

0

2) 立ち仕事(家事を含む)

4

2

0

※持続時間約30分。休息を要する場合、困難とする。5分くらいしかできない場合、不能とする。

 

 

 

3) しゃがみこみ・立ち上がり

4

2

0

※支持が必要な場合、困難とする。

 

 

 

4) 階段の昇り降り

4

2

0

※手すりを要する場合は困難とする。

 

 

 

5) 車、バスなどの乗り降り

4

2

0

b.総計評価:

右、左/両側の機能:((( )+( ))/( ))

c.股関節機能診断基準の記入要項

ア.疼痛について

・左右別々に記入する。

・40点は全く正常な股関節を対象とするので注意を要する。

・記載に際しては欄外に「具体的表現」の項があるので、ここに患者の表現をできるだけ記入する。

イ.可動域について

・可動域は5°刻みで記載する。配点は下表の通り外転の10°未満を除き、10°刻みとする。

・拘縮のある場合はこれを引き、可動域で評価する。

 

屈曲

配点

0°~10°未満

0点

10°~20°未満

1点

110°~120°未満

11点

120°~

12点

 

 

外転

配点

0°~5°未満

0点

5°~10°未満

2点

10°~20°未満

4点

20°~30°未満

6点

30°~

8点

 

*拘縮のない場合

 

 

 

(例)屈曲 100°、伸展0°→10点

外転 20°→6点

 

計16点

 

 

 

*拘縮のある場合

(例)屈曲拘縮20°、外転拘縮5°で屈曲100°、外転20°可能な場合

 

 

 

屈曲 100°-20°=80°→8点

外転 20°-5°=15°→4点

 

計12点

 

 

 

ウ.歩行能力について

・両側の機能として記入する。

・20点、18点の項に表記される「速歩」とは「小走り」と理解する。これと同類の動作はすべて速歩とする。

・内容に関しては欄外の具体的表現の所に記入する。

エ.日常生活動作について

・両側の機能として記入する。

・立ち仕事、しゃがみこみ・立ち上がり、階段の昇り降りについては注に準じて困難を判断する。

・車、バスなどの乗り降りについては本人の訴えで判断する。

オ.表記法について

・両側機能と片側機能に分けられる項目で得点をそれぞれ記載して見られるようにした。

右、左/両側の機能:疼痛と可動域の合計/歩行能力と日常生活動作の合計とし、満点は、60、60/40となる。

・たとえば、人工股関節置換術の両側例(あるいはカテゴリーB)で、左のみ手術が施行された場合、評価点が35、48/28であったなら、カテゴリーBで左術前××点が術後76点になった、という表現となる。

参考にした診断基準:

日本整形外科学会 評価基準・ガイドライン・マニュアル集に基づき、平成18年に日本整形外科学会において一部修正