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○石綿による疾病の認定基準の一部改正について

(平成22年7月1日)

(基発0701第10号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

石綿による疾病の認定基準(以下「認定基準」という。)については、平成18年2月9日付け基発第0209001号をもって示しているところであるが、今般、「石綿による疾病の認定基準に関する検討会」第一次報告書(別添)の内容を踏まえ、下記のとおり改めることとしたので、今後の取扱いに遺漏のないよう万全を期されたい。

また、労災保険指定医療機関等の関係機関への周知についても格別の配慮を願いたい。

1 改正の要旨

(1) 石綿によるびまん性胸膜肥厚が業務上の疾病として保険給付の対象となる要件としての著しい肺機能障害について、その判定方法等を最新の医学的知見に基づき見直したものであること。

(2) 「肺機能障害」について、関係医学会における最新の用語例に従い、「呼吸機能障害」を用いることとしたこと。

2 改正の内容

(1) 認定基準の記の第2の5の(1)のアを次のように改める。

ア 胸部エックス線写真で、肥厚の厚さについては、最も厚いところが5mm以上あり、広がりについては、片側にのみ肥厚がある場合は側胸壁の1/2以上、両側にある場合は側胸壁の1/4以上あるものであって、著しい呼吸機能障害を伴うこと。

この著しい呼吸機能障害とは、次の(ア)又は(イ)に該当する場合をいうものであること。

(ア) パーセント肺活量(%VC)が60%未満である場合

(イ) パーセント肺活量(%VC)が60%以上80%未満であって、次の①又は②に該当する場合

① 1秒率が70%未満であり、かつ、パーセント1秒量が50%未満である場合

② 動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下である場合又は肺胞気動脈血酸素分圧較差(AaDO2)が別表の限界値を超える場合

(2) 認定基準の記の第3の2のイを次のように改める。

イ びまん性胸膜肥厚について、著しい呼吸機能障害を伴うものであるか否かを判定する際に、「パーセント肺活量(%VC)」並びに「1秒率」、「パーセント1秒量」、「動脈血酸素分圧(PaO2)」及び「肺胞気動脈血酸素分圧較差(AaDO2)」(以下「1秒率等」という。)の各指標を用いる意義は、それぞれ次のとおりであること。

(ア) パーセント肺活量(%VC)

「パーセント肺活量(%VC)」は、肺活量の正常予測値に対する実測値の割合(%)で示される指標である。

びまん性胸膜肥厚による呼吸機能障害が、通常、拘束性換気障害を呈するものであることから、拘束性換気障害の程度を評価する指標としてこれを用いる。

なお、肺活量の正常予測値は、2001年に日本呼吸器学会が提案した次の予測式により算出する。

[予測式]

男性:0.045×身長(cm)-0.023×年齢-2.258 (L)

女性:0.032×身長(cm)-0.018×年齢-1.178 (L)

(イ) 1秒率等

「1秒率」は、努力肺活量に対する1秒間の呼出量(1秒量)の割合(%)で示される指標であり、また、「パーセント1秒量」は、1秒量の正常予測値に対する実測値の割合(%)で示される指標である。

現段階では、びまん性胸膜肥厚による呼吸機能障害について、拘束性換気障害に閉塞性換気障害が合併することがあり得ることも否定できないことから、閉塞性換気障害の程度を評価する指標としてこれらを用いる。

なお、1秒量の正常予測値は、2001年に日本呼吸器学会が提案した次の予測式により算出する。

[予測式]

男性:0.036×身長(cm)-0.028×年齢-1.178 (L)

女性:0.022×身長(cm)-0.022×年齢-0.005 (L)

さらに、「動脈血酸素分圧(PaO2)」は、低酸素血症の程度を示す指標であり、「肺胞気動脈血酸素分圧較差(AaDO2)」は、ガス交換障害の程度を示す指標であり、びまん性胸膜肥厚による呼吸機能障害の程度を判定するための補完的な指標として用いる。

「石綿による疾病の認定基準に関する検討会」

第一次報告書

~石綿によるびまん性胸膜肥厚による呼吸機能障害について~

平成22年6月

石綿による疾病の認定基準に関する検討会

「石綿による疾病の認定基準に関する検討会」参集者名簿(五十音順)

氏名

所属・役職 (専門)

審良あきら正則まさのり

近畿中央胸部疾患センター放射線科部長 (放射線)

岸本きしもと卓巳たくみ

岡山労災病院副院長 (臨床)

三浦みうら溥太郎ひろたろう

横須賀市立うわまち病院副院長 (臨床)

宮本みやもと顕二けんじ

北海道大学大学院保健科学研究院教授 (臨床)

(座長)森永もりなが謙二けんじ

中央労災医員 (疫学)

「石綿による疾病の認定基準に関する検討会」開催状況

第1回 平成22年5月26日

第2回 平成22年6月22日

目次

1.はじめに

2.石綿によるびまん性胸膜肥厚による呼吸機能障害について

3.びまん性胸膜肥厚による著しい呼吸機能障害の評価について

4.その他

1.はじめに

環境省においては、石綿による健康被害の救済に関する法律(平成18年法律第4号。以下「石綿救済法」という。)に基づく救済給付の対象となる指定疾病の考え方等について検討を行うため、平成21年10月に環境大臣から中央環境審議会に諮問が行われ、平成22年5月に石綿健康被害救済制度の在り方についての一次答申が「石綿健康被害救済制度における指定疾病に関する考え方について」(以下「一次答申」という。)として出された。

この一次答申において、「石綿を取り扱う作業に3年以上従事し、石綿を吸入することにより発症したびまん性胸膜肥厚については、著しい呼吸機能障害をきたしている場合には、救済の対象とすることが適当」とされ、「著しい呼吸機能障害の有無を判定する考え方」が示されたところである。

一方、上記の環境省における検討を踏まえ、厚生労働省労働基準局安全衛生部では、じん肺法(昭和35年法律第30号)に基づくじん肺健康診断の在り方について検討を行うため、「じん肺法におけるじん肺健康診断等に関する検討会」が開催され、平成22年5月に同検討会の報告書が取りまとめられた。

この報告書において、じん肺の“肺機能検査”の結果において、「著しい肺機能障害と判定する基準」が示されたところである。

当検討会においては、これらの検討会報告書を参考にしつつ、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号。以下「労災保険法」という。)に基づく保険給付又は石綿救済法に基づく特別遺族給付金の対象となるびまん性胸膜肥厚(以下「労災保険におけるびまん性胸膜肥厚」という。)を認定する際に用いる著しい呼吸機能障害(肺機能障害と同義であり、以下「呼吸機能障害」という。)の判定方法について検討を行ったので、その結果をここに報告する。

2.石綿によるびまん性胸膜肥厚による呼吸機能障害について

びまん性胸膜肥厚の定義はMcCloudら(1985)1、Lynchら(1989)2、Peacockら(2000)3により試みられているが、まだ国際的な合意が得られるには至っていない(Light RW,2007、Adams H & Crane MD,2008)4,5。また、これまでに報告された石綿ばく露者の呼吸機能検査成績については、びまん性胸膜肥厚及び胸膜プラークの両者を含む、胸膜肥厚について検討されたものが多い。ここでは、びまん性胸膜肥厚の定義を明らかにした上で呼吸機能との関連を検討した論文についてレビュウする。

Lumley(1977)6は28歳から64歳までの造船労働者(退職者2名を含む)194人を対象に、呼吸器症状等の質問票、胸部エックス線及び呼吸機能調査を行い、石綿肺(1/1以上)、びまん性胸膜肥厚、胸膜プラーク(石灰化、非石灰化)、胸膜異常所見なし別の呼吸機能検査成績を比較検討した。異常所見なし群(41人)と比べて、びまん性胸膜肥厚群(48人)は、1秒量(FEV1)、努力性肺活量(FVC)、1秒率(FEV1/FVC,%)、全肺気量(TLC)、肺拡散能(画像1 (1KB)別ウィンドウが開きます
)のいずれも有意の差が認められた。びまん性胸膜肥厚群を、さらに石綿肺(1/0以下)の所見あるいはチアノーゼ、ラ音、バチ指等、肺線維化の可能性のある者を除外したびまん性胸膜肥厚群でも、石綿肺有所見群に次いで、1秒量、努力性肺活量、1秒率、全肺気量のいずれもさらに悪い結果を示した。結論として、びまん性胸膜肥厚は胸膜プラーク(非石灰化、石灰化)に比べて呼吸機能障害と関連しているものと思われる、と述べている。

McGavinら(1984)7は胸部エックス線で石綿肺所見(1/1以上)のないびまん性胸膜肥厚を呈する37人の造船労働者(全員石綿ばく露歴あり)の呼吸困難度(Medical Research Council質問票による)、呼吸機能検査、胸部エックス線におけるびまん性胸膜肥厚の拡がりと肋横角の消失について検討した結果、肺活量の低下は有意に呼吸困難度及び胸膜異常所見の程度と相関が見られた、と報告している。

Keeら(1996)8は石綿の職業ばく露を受けた1,150人のうち、胸部CTでびまん性胸膜肥厚所見を確認した84人中の53人と、年齢をあわせた同集団の中からCTでびまん性胸膜肥厚の所見のない53人を対照に選び、呼吸機能検査成績を比較した結果、努力性肺活量の有意の低下、並びに肺拡散能の有意(p=0.002)の低下を認めたが、1秒率の差は認めなかった、と報告している。

Yatesら(1996)9は、石綿ばく露歴のあるびまん性胸膜肥厚症例の平均8年間の呼吸機能検査成績の変化を観察した結果を報告している。対象はロンドン呼吸器疾患医学委員会(London Medical Boarding Center for Respiratory Disease、以前の中央じん肺審査会Central Pneumoconiosis Panel)で中等度以上のびまん性胸膜肥厚と診断された64人で、そのうち36人については平均8.9年後の呼吸機能検査も調べることができた。64人の初回の呼吸機能検査では、%努力性肺活量は77%、%全肺気量71%、対標準1秒量62%で有意(p<0.001)に予測値より低く、残気量(RV)は90%、肺拡散能は74%でやや低かった(p<0.05)ものの、測定時の肺胞気量で補正すると104%となり低下はみられなかった。追跡調査ができた36人を喫煙別に年当たりの変化をみると、1秒率及び肺活量の減少は現喫煙者及び過去喫煙者の方が非喫煙者に比べて大きかった。著者らは石綿によるびまん性胸膜肥厚は、努力性肺活量と対標準1秒量のみが有意に減少すると結論している。

石綿ばく露労働者に発生した疾病の認定基準に関する検討会(2003)10において検討された15例のびまん性胸膜肥厚症例の呼吸機能検査では、%肺活量は平均値57.7%、中央値61.5%(20.0%~96.7%)であったが、1秒率は平均値76.8%、中央値74.6%(58.3%~100%)であった。

ヘルシンキで開催された専門家会議のコンセンサスレポート(1997)11では、「びまん性胸膜肥厚は軽度の、稀には中等度若しくは重症の拘束性呼吸機能障害と関連する。」、「びまん性胸膜肥厚は高濃度のばく露レベルが必要だろう。」とも述べている。

アメリカ胸部学会(American Thoracic Society)の2003年12月12日の公式声明(2004)12でも、石綿によるびまん性胸膜肥厚は胸膜プラークに比べて呼吸機能の有意な影響を及ぼしうるとし、努力性肺活量の低下は壁側胸膜と臓側胸膜の癒着によるものであり、比較的肺拡散能が維持されたままの拘束性換気障害は特徴的である、と述べている。

これまでの諸家の見解をとりまとめると、石綿によるびまん性胸膜肥厚(diffuse pleural thickening)の呼吸機能検査では、拘束性換気障害を呈するとされる。

3.びまん性胸膜肥厚による著しい呼吸機能障害の評価について

(1) 肺活量及び1秒率の正常予測値について

肺活量及び1秒率の正常予測値については、「じん肺法におけるじん肺健康診断等に関する検討会」報告書(2010)13で述べられているように、これまで外国人のデータを基にしたBaldwinらによる予測式が用いられてきた。しかし、80歳以上の高齢者が含まれないこと、用いられた背臥位の肺活量は座位又は立位の肺活量に対して低いことから、労災保険におけるびまん性胸膜肥厚による著しい呼吸機能障害の判定においても、80歳以上を含めた日本人データを基に日本呼吸器学会が2001年に提案した予測式を用いることが適当である(日本呼吸器学会肺生理専門委員会,2001、じん肺法におけるじん肺健康診断等に関する検討会,2010、中央環境審議会,2010、木村ら,2006、青木ら,2010)14,13,15,16,17

日本呼吸器学会が提案した肺活量及び1秒量の正常予測値の予測式とは以下のとおりである。

① 肺活量

男性:0.045×身長(cm)-0.023×年齢-2.258 (L)

女性:0.032×身長(cm)-0.018×年齢-1.178 (L)

② 1秒量

男性:0.036×身長(cm)-0.028×年齢-1.178 (L)

女性:0.022×身長(cm)-0.022×年齢-0.005 (L)

最近では閉塞性換気障害の重症度判定は1秒率と、対標準1秒量の両者をもって行うのが一般的である(日本呼吸器学会COPDガイドライン第3版作成委員会,2009)18

(2) 石綿によるびまん性胸膜肥厚による呼吸機能障害の判定方法について

びまん性胸膜肥厚による呼吸機能障害は、上記で述べたとおり、拘束性換気障害を呈するものであることから、労災保険におけるびまん性胸膜肥厚による著しい呼吸機能障害の判定についても%肺活量が60%未満である場合をもって、著しい呼吸機能障害があると判定することが適当である。

石綿によるびまん性胸膜肥厚では、拘束性換気障害に閉塞性換気障害を合併(混合性換気障害)するかどうかについては統一した見解は出ていない。Cotesら(1988)19は172名の石綿関連疾患及び疑い例の胸部エックス線検査と呼吸機能検査所見から胸膜肥厚は努力性肺活量と1秒量の低下を伴うが、閉塞性換気障害の指標である1秒率は関連しないと報告している。しかし、対象者全員の1秒率の平均値が65.3%と正常下限の70%より低く、閉塞性換気障害を合併した者が対象に多く含まれているものと思われる。Schwartzら(1993)20もばく露歴のある60人を対象に、胸部エックス線所見から、異常所見なし、石綿肺、胸膜線維化、石綿肺+胸膜線維化の4群で呼吸機能を比較しているが、胸膜線維化は拘束性換気障害が有意であるが、1秒率は4群で差を認めなかったと述べている。しかし、対象の多くは喫煙者であり、かつ、胸膜線維化と診断した群の1秒率の平均値は68.0%であった。このことは、Cotesら(1988)19の報告同様に閉塞性換気障害の者が対象に多く含まれていたことを意味している。石綿ばく露労働者に発生した疾病の認定基準に関する検討会(2003)10においても15例のびまん性胸膜肥厚症例の1秒率は平均76.8%(58.3%~100%)であったことから(既述)、びまん性胸膜肥厚症例の中に1秒率が70%未満の閉塞性換気障害の者がいると思われる。

胸膜肥厚と呼吸機能に関するその他の研究報告をみると、はじめから閉塞性換気障害患者を除外して、胸膜病変の程度と拘束性換気障害の程度を比較検討している場合が多い。すなわち、Al Jaradら(1991)21は1秒率が70%以上でかつCTで胸膜病変のみを確認した症例で呼吸機能検査を行い、努力性肺活量や全肺気量の低下、すなわち拘束性換気障害が胸膜病変の程度と相関することを提示した。当然ながら閉塞性換気障害の有無についての記載はない。同様にMcGavinら(1984)7やYatesら(1996)9も1秒率の低下した症例を除いて検討している。ただし、Yatesら(1996)9は8~9年の経過で1秒率は変化しなかったと報告していることから、閉塞性換気障害がこの観察期間内に進行しなかったことは興味深い。また、Bourbeauら(1990)22も拘束性換気障害のみに着目し、1秒率については一切検討していない。

進行した珪肺症については肺気腫が合併症のひとつであることは知られている(Kinsellaら,1990、Weilら,1994、Parkes,1994)23,24,25。しかし、石綿によるびまん性胸膜肥厚の場合に石綿ばく露が肺気腫の危険因子のひとつであるという報告はこれまでのところないようである。石綿ばく露によってsmall airway diseaseとの関連は指摘されているが、臨床における有意な影響はこれまでのところ不明である(Churg,1998)26。ところで、Beginら(1995)27は生涯非喫煙者の石綿労働者で石綿肺所見(1/0以上)のない8人の中に肺気腫の者が1人いたと報告している。またHuuskonenら(2004)28は高濃度石綿ばく露者(石綿吹付け作業者、石綿含有断熱材の除去作業者)は喫煙量喫煙量に差がないのにもかかわらず他の石綿ばく露者に比べて胸部CTでの肺気腫所見の頻度及び程度が高いことを報告しており、肺気腫における石綿の役割については更に調査が必要と述べている。

このように、石綿によるびまん性胸膜肥厚については、閉塞性換気障害の合併、すなわち混合性換気障害の有無については、今のところ定まった知見はないと思われる。

以上のことから、石綿によるびまん性胸膜肥厚の事案には、石綿肺の所見もなく、%肺活量がそれほど低下していないにもかかわらず呼吸機能が低下する場合も想定される。したがって、%肺活量が60%を超えている場合であっても、%肺活量が80%未満である場合のうち、一定の閉塞性換気障害や低酸素血症の状態が認められるものについては、現時点では暫定的に著しい呼吸機能障害があると判定することが望ましい。

具体的な判定方法をまとめると以下のとおりである。

ここで、「%VCが60%未満」、「%VCが60%以上80%未満」及び「画像2 (2KB)別ウィンドウが開きます

の著しい開大」はじん肺法で用いられている基準13を、「1秒率が70%未満」は閉塞性換気障害の一般的基準を、「かつ、%1秒量が50%未満」はCOPDの病期分類で「重症」に相当する基準18を、「画像3 (1KB)別ウィンドウが開きます
が60Torr以下」(室内空気吸入下)は呼吸不全に相当する基準29を意味する。

なお、上記(2)の①又は②については、実際の検査数値がそれらにわずかに満たないものである場合であっても、その他の呼吸機能検査の結果(運動負荷時の呼吸困難を評価する指標、自覚的呼吸困難度を評価する指標等)が提出された場合や、これまでの経過等総合的な評価でもって著しい呼吸機能障害の判定を行う運用が望ましい。

(3) 著しい呼吸機能障害の判定に当たっての留意点

びまん性胸膜肥厚の著しい呼吸機能障害の判定に当たっては、以下の点に留意することが必要である。

・ 一般に、呼吸機能障害(スパイロメトリーによる検査、フローボリューム曲線の検査)は、検者が適切に指示を行い、被検者の十分な理解と協力を得なければならない。検査結果の妥当性と再現性を確保するためには、日本呼吸器学会のガイドライン30,31に従い、検査は最低3回実施し、このうち最も良好な結果を採用することが必要である。さらに、判定の際は、呼吸機能検査や血液ガス測定の結果が記録されたグラフ、検査報告書等の提出を求めて、これを確認することが必要である。

・ びまん性胸膜肥厚以外の他の疾病が合併することにより呼吸機能が修飾されている可能性がある場合には、医療機関において得られた呼吸機能検査結果だけでなく、胸部CT等の諸検査の成績も含めて総合判断し、当該疾病による著しい呼吸機能障害があると判断される場合は補償・救済の対象とする。ただし、気胸や良性石綿胸水など急性の疾病が合併している場合は、状態が落ち着いた後に行われた呼吸機能検査結果を評価すること。

・ びまん性胸膜肥厚の所見が認められる場合であっても、第1型以上のじん肺(石綿肺を含む。)の所見が認められる場合には、じん肺法に基づいた取り扱いをすることとなること。

4.その他

石綿によるびまん性胸膜肥厚については、胸部CTの有用性を含めて、最近の医学的知見等を踏まえ、厚さや広がりに関する要件、呼吸困難度の評価方法等、今後、本検討会において更に検討すべきと考える。

参考文献

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