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【許可基準】 3 職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であって厚生労働省令で定めるもの(新法第7条第3号、則第3条第1項関係) 職業訓練中であっても、訓練期間を通じて1日平均の生産活動に従事する時間(所定労働時間から認定を受けて行われる職業訓練の時間(使用者が一定の利益を受けることとなる業務の遂行の過程内において行う職業訓練の時間を除く。)を除いた時間)が、所定労働時間の3分の2程度以上である訓練年度については、許可しないこと。 なお、訓練期間が2年又は3年であるものの最終年度については、原則として許可しないこと。 【則第3条第1項】 法第7条第3号の厚生労働省令で定める者は、職業能力開発促進法施行規則(昭和44年労働省令第24号)第9条に定める普通課程若しくは短期課程(職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させるためのものに限る。)の普通職業訓練又は同条に定める専門課程の高度職業訓練を受ける者であって、職業を転換するために当該職業訓練を受けるもの以外のものとする。 【則第5条で定める減額率】 「当該者の所定労働時間のうち、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練の時間(使用者が一定の利益を受けることとなる業務の遂行の過程内において行う職業訓練の時間を除く。)の1日当たりの平均時間数を当該者の1日当たりの所定労働時間数で除して得た率」以下の率であって、「当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を勘案して」減額率を定めること。 |
(1) 趣旨
「職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であって厚生労働省令で定めるもの」(以下「認定職業訓練を受ける者」という。)は、その作業が訓練の一部であることから、必ずしも十分な労働成果が期待されず、一律に最低賃金を適用すれば、訓練、ひいては雇用の機会を阻害するおそれがあることから、これを減額の特例許可の対象としたものである。
(2) 認定職業訓練を受ける者の判断
ア 職業能力開発促進法第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練には、普通職業訓練と高度職業訓練とがあり、これらの訓練課程を区分すると次の表のとおりである。
職業訓練の種類 |
長期間の訓練課程 |
短期間の訓練課程 |
普通職業訓練 |
普通課程 |
短期課程 |
高度職業訓練 |
専門課程 |
専門短期課程 |
|
応用課程 |
応用短期仮過程 |
そのうち、許可の対象となる労働者は、職業能力開発促進法施行規則(昭和44年労働省令第24号)第9条に定める
① 普通課程の普通職業訓練
② 短期課程(職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させるためのものに限る)の普通職業訓練
③ 専門課程の高度職業訓練
を受ける者であって、「職業を転換するために当該職業訓練を受けるもの以外のもの」のみに限っていること。(則第3条第1項)
イ いわゆる見習工、養成工等として訓練を受けている者であっても、認定職業訓練を受ける者でなければ、許可の対象とならないこと。
ウ 調査に当たっての留意事項
職業訓練の内容を把握するに当たっては、必要に応じて、訓練実施計画、就業規則等の確認を行うこと。
なお、職業訓練を行っている施設は、都道府県職業能力開発主管課において把握していることから、必要に応じて確認すること。
(3) 減額率の算定(則第5条)
ア 則第5条の表による率
則第5条の表に定めた「当該者の所定労働時間のうち、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練の時間(使用者が一定の利益を受けることとなる業務の遂行の過程内において行う職業訓練の時間を除く。)の1日当たりの平均時間数を当該者の1日当たりの所定労働時間数で除して得た率」は、次により算出すること。
(ア) 1日平均の所定労働時間数(A)の算出方法
1日平均の所定労働時間数は、職業訓練期間中の所定労働日ごとの所定労働時間数が同一である場合には、1日の所定労働時間数とする。
また、職業訓練期間中の所定労働日ごとの所定労働時間数が異なる場合は、訓練期間中の総所定労働時間数を算出し、それを職業訓練期間中の所定労働日数で除して算出すること。
(イ) 1日平均の職業訓練時間数(B)の算出方法
1日平均の職業訓練時間数は、職業訓練期間中の総職業訓練時間数を算出し、それから、使用者が一定の利益を受けることとなる業務の遂行の過程内において行う職業訓練の時間数を減じたものを、職業訓練期間中の所定労働日数で除して算出すること。
(ウ) 則第5条の表による率の算出方法
次の算式で算出するが、少数点以下第2位以下の端数が生じるときは、これを切り捨て、少数点以下第1位とすること。
則第5条の表による率=(1日平均の職業訓練時間数(B)/1日平均の所定労働時間数(A))×100
【則第5条の表による率の算出例】
1日平均の所定労働時間数(A)が8時間、1日平均の職業訓練時間数(B)が3時間とした場合、則第5条の表による率は、次のとおり37.5%となる。
3時間÷8時間×100=37.5%
イ 職務の内容等の勘案(則第5条柱書)
上記アにより則第5条の表の規定による率を上限として算出した後、個々の減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等の要素を総合的に勘案して減額率を定めること。
なお、これらの要素の内容としては、次のものが例として考えられること。
(ア) 職務の内容
職務の困難度、責任の度合い等。
(イ) 職務の成果
一定時間当たりの労働によって得られる成果等。
(ウ) 労働能力
指示の必要性、複数業務の遂行の可否等。
(エ) 経験
これまでの経験と、その経験を生かしてどのような能力を発揮することが期待できるか等。
また、減額率は小数点第2位を切り捨て、小数点第1位までとすること。
なお、則第5条の柱書において、減額率の上限は、上記アの(ウ)により算出した率であるとされていることから、減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を理由に減額率を引き上げること、即ち、最低賃金額を引き下げることはできないことに留意すること。
(4) 最低賃金の減額後の額(法第7条)
ア 減額した最低賃金額の算出
減額の特例許可申請があった件名の最低賃金額に上記(3)により定めた減額率を乗じて減額する額を算出し、その減額する額を当該最低賃金額から減じて減額後の最低賃金額を算出すること。
減額する額については、適用される最低賃金額に減額率を乗じるため、1円未満の端数が、生じることがある。この場合、減額した額が、減額率を超えることは出来ないことから、1円未満の端数は、全て切捨てとなることに留意すること。
【減額した額の端数の切捨て例】 地域別最低賃金が702円の場合、審査の結果、減額率37.5%と定めた場合、減額額は、702円×0.375=263.25円である。 この場合、減額額を264円とすると減額率は37.6%、減額額を263円とすると37.46%となる。減額率は上限であることから、37.5%以下とするためには、算出額の1円未満を切り捨てて、263円が減額する額になり、減額した最低賃金は439円となる。 |
イ 「支払おうとする賃金の金額」との比較
上記アにより算出した減額後の最低賃金額を、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額と比較し、支払おうとする賃金額が減額後の最低賃金額を下回らないことを確認すること。
「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄の金額が、時間額である場合にはそのまま比較し、日、月などの時間以外の期間又は出来高払制その他の請負制によって定められている場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
比較に当たっては、次の事項に留意すること。
・ 法第4条第3項各号の最低賃金に算入しない賃金が含まれていないこと。
・ 当該賃金が含まれていた場合は、申請書の注意書を教示し、申請書を補正させること。
・ 当該賃金が含まれていなかった場合、又は含まれていても申請書を補正させた場合は、「金額」欄に記入された金額が時間額である場合にはそのまま比較することとし、時間額以外の場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
(5) 許可の判断
減額の特例許可申請について、上記により調査、審査した結果を法令及び許可基準に当てはめて、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額及び「減額率」欄に記入された率について許可してよいかを判断すること。
(6) その他の留意事項
ア 特定最低賃金の減額の特例許可申請がなされた場合の留意事項
認定訓練中の者が、「雇い入れ後6か月未満(又は3か月未満)の者であって、技能習得中のもの」に該当する場合は、当該特定最低賃金を適用せず、地域別最低賃金のみが適用される。
ついては、特定最低賃金について減額の特例許可申請がなされた場合は、減額対象労働者である認定訓練中の者が、「雇い入れ6か月未満(又は3か月未満)の者であって、技能習得中のもの」かどうかを確認すること。
「雇い入れ後6か月未満(又は3か月未満)の者であって、技能習得中のもの」でないと確認された場合は、地域別最低賃金の減額の特例許可申請とともに受理すること。なお、特定最低賃金の減額の特例許可のみの申請の場合は、Ⅱの1の(2)のイに基づき対応すること。
「雇い入れ後6か月未満(又は3か月未満)の者であって、技能習得中のもの」であると確認された場合は、地域別最低賃金のみが適用されることを説明し、特定最低賃金に係る減額の特例許可申請は受理せず、地域別最低賃金に係る減額の特例許可申請のみを受理すること。
この場合、地域別最低賃金の減額の特例許可の期間は、雇い入れ後6月未満(又は3月未満)とすること。
許可書を交付する際は、次の事項を教示すること。
・ 雇い入れ後6月(又は3月)から特定最低賃金も適用されること。
・ 次回、減額の特例許可申請をする時は、特定最低賃金、地域別最低賃金双方について申請すること。
イ 減額対象労働者への使用者からの説明
最低賃金を減額することについての減額対象労働者の同意は減額許可の要件ではないが、減額対象労働者に対して説明等がないままに申請がなされ、許可が行われた場合には労使のトラブルが懸念されることから、使用者に対して、減額対象労働者へ減額許可申請を行うこと及び支払おうとする賃金額について説明を行っておくよう求めること。なお、減額対象労働者からの同意書を申請書に添付する必要はないものである。
ウ 周知義務及び周知方法上の留意点
第8条で最低賃金の適用を受ける使用者は当該最低賃金額等の概要を常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならないとされている。
そこで、減額の特例を受けた労働者に対し、その概要を周知するための措置を取らなければならないが、個人名を明記して減額の特例された最低賃金の概要を掲示することは、個人情報の漏洩に当たるため、使用者から本人にのみ通知することを許可書交付時に教示し、記録しておくこと。
エ 許可期間
許可基準に基づき認定職業訓練期間中の必要と認められる期間とすること。
4 軽易な業務に従事する者(法第7条第4号、則第3条第2項)
【許可基準】 4 軽易な業務に従事する者(法第7条第4号、則第3条第2項関係) 軽易な業務に従事する者として法第7条の許可申請の対象となる労働者は、その従事する業務の負担の程度が当該労働者と異なる業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、業務の負担の程度が最も軽易なものの当該負担の程度と比較してもなお軽易である者に限られること。 なお、常態として身体又は精神の緊張の少ない監視の業務に従事する者は、軽易な業務に従事する者に該当すること。 【則第3条第2項】 法第7条第4号の厚生労働省令で定める者は、軽易な業務に従事する者及び断続的労働に従事する者とする。ただし、軽易な業務に従事する者についての同条の許可は、当該労働者の従事する業務が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の従事する業務と比較して特に軽易な場合に限り、行うことができるものとする。 【則第5条で定める減額率】 減額対象労働者と「異なる業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、業務の負担の程度が最も軽易なものの当該負担の程度に対する」減額対象労働者の「業務の負担の程度に応じた率を100分の100から控除して得た率」以下の率であって、「当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を勘案して」減額率を定めること。 |
(1) 趣旨
「軽易な業務に従事する」労働者とは、一般労働者の従事する業務と比較して特に軽易な業務に従事する者のことであるが、このような労働者に一般労働者に適用される最低賃金を適用することとすると、これらの労働者の雇用の機会が阻害され、かえって労働者に不利な結果を招くおそれがあることから、減額の特例許可の対象としたものである。
したがって、業務それ自体が軽易である場合に、減額の特例許可を認めようとする趣旨ではないことに留意すること。
(2) 「軽易な業務に従事する者」について
ア 業務の進行や能率についてほとんど規制を受けない物の片付け、清掃等の本来の業務には一般的に属さない例外的なごく軽易な業務であって、かつ、当該事業場において従事する労働者数が極めて少数である業務に従事する労働者がこれに該当するものであること。
イ 特定最低賃金では、一定の「軽易な業務」を定め、当該業務に従事する者について当該特定最低賃金の適用を除外しているが、この場合の「軽易な業務」に従事する者と則第3条第2項の「軽易な業務に従事する者」とは同一のものではないことに留意すること。
ウ 当該業務が上記アの軽易な業務に該当する場合であって、次の(ア)~(オ)までに掲げるすべての項目に該当するときは許可の対象として差し支えないこと。
なお、これらの項目に該当するかどうかについては、個々の事案の実情により総合的に判断するものとし、拡大解釈して適用することは避けること。
(ア) 拘束時間が9時間以内であること。
(イ) 当該事業場における本来の業務に専ら従事するものではないこと。
「本来業務」とは、例えば、縫製工場のミシン工、電機工場の組立工、小売店の販売員等であること。
(ウ) 業務の内容が他の労働者に比べて明らかに軽易であること。
例えば、次に掲げる業務が該当する。
a 倉庫、駐車場、事務所等における物品等の監視、電話受付、伝票受付等の業務
b 事務所内の植物の手入れ、家庭用電気掃除機又は簡単な用具を用いて行う清掃又は片付け等の業務
c 手工具による簡単な加工の業務
d aからcまでの業務を時間帯に応じ、又は気がついた都度、交互に行う業務
(エ) 業務の進行及び能率について、ほとんど規制を受けていないこと。
(オ) 当該事業場に他に同種の労働者がほとんどいないこと。
エ 常態として身体又は精神の緊張の少ない監視の業務に従事する者」の判断
「常態として身体又は精神の緊張の少ない監視の業務に従事する者」とは、労働基準法第41条第3号に規定する「監視に従事する者」と同義である。ただし、当該軽易な業務と異なる業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、業務の負担の程度が最も軽易なものの当該負担の程度に対しても、なお、当該軽易な業務に従事する者の業務の負担の程度が下回るものである場合に、許可の対象となるものであること。
即ち、監視の業務に従事する者が、労働基準法第41条第3号に該当し、同法の労働時間等に関する規定の適用除外許可を受けていたとしても、法第7条の減額の特例許可を自動的に受けられるものではなく、申請に基づき調査を行った結果、許可の可否を判断するものであること。
オ 「常態として身体又は精神の緊張の少ない監視の業務」の労働態様が、実地調査等により、常態として作業が間欠的であり、則第3条第2項に規定する「断続的労働」に該当する場合は、当該「断続的労働」に係る減額の特例許可の申請に改めさせ、審査すること。
カ 「軽易な業務」については、作業能率又は作業量の把握が困難な場合が多いと思われるが、実作業時間、作業内容、作業頻度等の労働の態様を十分調査し、その業務の負担の程度を確認するとともに、同僚労働者等の意見も聴取し、その業務の負担の程度を総合的に判断すること。
(3) 減額率を定める方法(則第5条)
減額率は、則第5条の表による率を上限と算定し、当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等の要素を総合的に勘案して定めることになるので、次の手順で調査、審査すること。
ア 比較対象労働者の選定
減額対象労働者と比較すべき労働者は、原則として申請事業場の他の労働者のうち、異なる業務に従事する労働者であって、当該最低賃金額と同程度以上の額が支払われているもののうち、業務の負担の程度が最も軽易な者から選定すること。
したがって、減額対象労働者及び比較対象労働者の負担の程度について使用者及び当該労働者等から聴取する等労働実態を十分に調査すること。
イ 負担の程度の調査
減額対象労働者及び比較対象労働者の負担の程度について使用者及び当該労働者等から聴取する等調査すること。
ウ 則第5条の表による減額率
アで選定し、イで測定した比較対象労働者の当該負担の程度に対する、減額対象労働者の業務の負担の程度に応じた率を100分の100から控除して得た率を算出する。
【則第5条の表による率の算出例】
比較対象労働者の負担の程度を100分の100とした場合、減額対象労働者の負担の程度が100分の80だったときは、則第5条の表による減額率は、次のとおり20%となる。
(100÷100-80÷100)×100=20%
エ 職務の内容等の勘案(則第5条柱書)
減額率は、上記ウにより算出された減額率を上限とし、個々の減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等の減額率を引き下げる要素を勘案して減額率を定めること。
なお、これらの要素の内容としては、次のものが例として考えられること。
(ア) 職務の内容
職務の困難度、責任の度合い等。
(イ) 職務の成果
一定時間当たりの労働によって得られる成果等。
(ウ) 労働能力
指示の必要性、複数業務の遂行の可否等。
(エ) 経験
これまでの経験と、その経験を生かしてどのような能力を発揮することが期待できるか等。
また、減額率は小数点第2位を切り捨て、小数点第1位までとすること。
なお、既に減額率の上限は、上記ウにより算出されていることから、減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を理由に、減額率を引き上げること、即ち最低賃金額を引き下げることはできないことに留意すること。
(4) 最低賃金の減額後の額(法第7条)
ア 減額した最低賃金額の算出
減額の特例許可申請があった件名の最低賃金額に上記(3)により定めた減額率を乗じて減額する額を算出し、その減額する額を当該最低賃金額から減じて減額後の最低賃金額を算出すること。
減額する額については、適用される最低賃金額に減額率を乗じるため、1円未満の端数が、生じることがある。この場合、減額した額が、減額率を超えることは出来ないことから、1円未満の端数は、全て切捨てとなることに留意すること。
【減額した額の端数の切捨て例】 地域別最低賃金が702円の場合、審査の結果、減額率20%と定めた場合、減額額は、702円×0.2=140.4円である。 この場合、減額額を141円とすると減額率は20.09%、、減額額を140円とすると19.94%となる。減額率は上限であることから、20%以下とするためには、算出額の1円未満を切り捨てて、140円が減額する額になり、減額した最低賃金は562円となる。 |
イ 「支払おうとする賃金の金額」との比較
上記アにより算出した減額後の最低賃金額を、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額と比較し、支払おうとする賃金額が減額後の最低賃金額を下回らないことを確認すること。
「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄の金額が、時間額である場合にはそのまま比較し、日、月などの時間以外の期間又は出来高払制その他の請負制によって定められている場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
比較に当たっては、次の事項に留意すること。
・ 法第4条第3項各号の最低賃金に算入しない賃金が含まれていないこと。
・ 当該賃金が含まれていた場合は、申請書の注意書を教示し、申請書を補正させること。
・ 当該賃金が含まれていなかった場合、又は含まれていても申請書を補正させた場合は、「金額」欄に記入された金額が時間額である場合にはそのまま比較することとし、時間額以外の場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
(5) 許可の判断
減額の特例許可申請について、上記により調査、審査した結果を法令及び許可基準に当てはめて、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額及び「減額率」欄に記入された率について許可してよいかを判断すること。
(6) その他の留意事項
ア 特定最低賃金の減額の特例許可申請がなされた場合の留意事項
「軽易な業務に従事する者」が、特定最低賃金の適用される事業場で勤務していたとしても、それぞれの特定最低賃金において適用が除外されている清掃又は片付けの業務等の軽易な業務に従事する者に該当する場合は、地域別最低賃金のみが適用される。
従って、特定最低賃金の減額の特例許可申請がなされた場合は、その旨を説明し受理しないこと。
イ 減額対象労働者への使用者からの説明
最低賃金を減額することについての減額対象労働者の同意は減額許可の要件ではないが、減額対象労働者に対して説明等がないままに申請がなされ、許可が行われた場合には労使のトラブルが懸念されることから、使用者に対して、減額対象労働者へ減額許可申請を行うこと及び支払おうとする賃金額について説明を行っておくよう求めること。なお、減額対象労働者からの同意書を申請書に添付する必要はないものである。
ウ 周知義務及び周知方法上の留意点
法第8条で最低賃金の適用を受ける使用者は当該最低賃金額等の概要を常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならないとされている。
そこで、減額の特例を受けた労働者に対し、その概要を周知するための措置を取らなければならないが、個人名を明記して減額の特例された最低賃金の概要を掲示することは、個人情報の漏洩に当たるため、使用者から本人にのみ通知することを許可書交付時に教示し、記録しておくこと。
エ 許可期間
必要と認められる期間とすること。ただし、3年を限度とすること。
5 断続的労働に従事する者(法第7条第4号、則第3条第2項関係)
【許可基準】 5 断続的労働に従事する者(法第7条第4号、則第3条第2項) 断続的労働に従事する者として法第7条の許可申請の対象となる労働者は、常態として作業が間欠的であるため労働時間中においても手待ち時間が多く実作業時間が少ない者であること。 【則第3条第2項】 法第7条第4号の厚生労働省令で定める者は、軽易な業務に従事する者及び断続的労働に従事する者とする。~略~ 【則第5条で定める減額率】 減額対象労働者の「1日当たりの所定労働時間数から1日当たりの実作業時間数を控除して得た時間数に100分の40を乗じて得た時間数を当該所定労働時間数で除して得た率。」以下の率であって、「当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を勘案して」減額率を定めること。 |
(1) 趣旨
断続的労働とは、労働基準法第41条第3号に規定する「断続的労働」と同意であり、作業が間欠的に行われるもので、作業時間が長く継続することなく中断し、しばらくして再び同じような態様の作業が行われ、また中断するというように繰り返されるもののことである。
このような断続的労働は、実作業時間と手待ち時間とが繰り返されて一体として成り立っている労働形態であり、手待ち時間が多く実作業時間が少ない労働に従事する者について最低賃金の減額の特例許可を認めないこととすると、これらの労働者の雇用の機会が阻害され、かえって労働者に不利な結果を招くおそれがあることから、断続的労働を減額の特例許可の対象としたものである。
なお、当該者の賃金を考えるに当たっては、労働者保護の観点及び実作業時間割合の異なる他の断続的労働に従事する者との公平性の観点から、実作業時間と手待ち時間の割合に応じて減額率を算定することとしたものである。
(2) 「常態として作業が間欠的である」等の判断
ア 「常態として作業が間欠的である」とは、労働時間中の実作業時間と手待ち時間が交互に繰り返されることが常態であり、本来継続的に作業するものであるにもかかわらず、労働の途中に休憩時間、手待ち時間を何回も入れる等人為的に断続的な労働形態を採用したものは該当しないこと。
したがって、労働時間中の実作業時間と手待ち時間が交互に繰り返されない場合又は人為的に断続的な労働形態を採用した場合は、許可しないこと。
イ 許可対象となる労働者は、断続的労働に従事しているだけではなく、「労働時間中においても手待ち時間が多く実作業時間が少ない者」であることが必要である。したがって、手待ち時間が、実作業時間を上回る時にのみ許可すること。
(3) 申請時及び調査時の留意事項
許可申請書の「労働の態様」欄に、1週間の所定労働日数、所定休日数、各労働日ごとの始業・終業時刻、休憩時間数、実作業時間数、手待ち時間数及び常態として断続的労働が行われていることを詳細に記述させ、それに基づき調査すること。
特に、減額率の算定に当たっては、実作業時間数と手待ち時間数の確認が重要であることから、申請書に記入された実作業時間数と手待ち時間数について申請者から記入の根拠を確認するとともに、減額対象労働者からの聴取、日報等の資料を確認する等して、許可の可否を判断すること。
日によって実作業時間数と手待ち時間数が異なる場合には、一定期間ごとに区分した期間のうちのどの期間を取っても当該者の所定労働日数、総所定労働時間数、総実作業時間数及び総手待ち時間数がそれぞれ一律となる一定期間を特定し、その期間を平均して1日当たりの所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数を算定し、その数値により減額率等の許可内容を判断すること。
なお、このような一定期間が特定できない場合には、就業規則、勤務割表等により当該者の所定労働日数並びに各労働日ごとの所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数が確定している期間を平均して1日当たりの所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数を算出し、その数値を則第5条の表の減額率の上限となる数値の算出に用いること。この場合の許可期間は、就業規則、勤務割表等により当該者の所定労働日数並びに各労働日ごとの所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数が確定している期間内とし、3年を限度とすること。
(4) 最低賃金の減額の率(則第5条)
減額率は、則第5条の表による率を上限と算定し、当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等の要素を総合的に勘案して定めることになるので、次の手順で調査、審査すること。
ア 所定労働時間、実作業時間及び手待ち時間の特定
始業時刻、終業時刻及び休憩時間を調査し、拘束時間数及び所定労働時間数を特定すること。
次に所定労働時間の内、実作業時間及び手待ち時間を特定し、実作業時間数及び手待ち時間数を算出すること。
イ 則第5条の表による減額率
アにより得た1日当たりの所定労働時間数(A)から1日当たりの実作業時間数(B)を控除して得た時間数(C。手待ち時間数)の100分の40を乗じて得た時間数を当該所定労働時間数で除して得た率を算出する。
【則第5条の表による率の算出例】
1日当たりの所定労働時間数(A)は16時間、1日当たりの実作業時間数(B)は7時間であった場合、次の算式により減額率の上限は22.5%となる。
(16時間-7時間)×40÷100÷16時間×100=22.5%
ウ 職務の内容等の勘案(則第5条柱書)
減額率は、上記イにより算出された減額率を上限とし、個々の減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等の減額率を引き下げる要素を勘案して減額率を定めること。
なお、これらの要素の内容としては、次のものが例として考えられること。
(ア) 職務の内容
職務の困難度、責任の度合い等。
(イ) 職務の成果
一定時間当たりの労働によって得られる成果等。
(ウ) 労働能力
指示の必要性、複数業務の遂行の可否等。
(エ) 経験
これまでの経験と、その経験を生かしてどのような能力を発揮することが期待できるか等。
また、減額率は小数点第2位を切り捨て、小数点第1位までとすること。
なお、既に減額率の上限は、上記イにより算出されていることから、減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を理由に、減額率を引き上げること、即ち最低賃金額を引き下げることはできないことに留意すること。
(5) 最低賃金の減額後の額(法第7条、則第5条)
ア 減額した最低賃金額の算出
減額の特例申請のあった最低賃金に上記(4)により定めた減額率を乗じて減額する額を算出し、その減額する額を当該最低賃金額から減じて減額後の最低賃金額を算出すること。
減額する額については、適用される最低賃金額に減額率を乗じるため、1円未満の端数が、生じることがある。この場合、減額する額が、減額率を超えることはできないことから、1円未満の端数は、全て切捨てとなることに留意すること。
【減額した額の端数の切捨て例】 地域別最低賃金が702円の場合、審査の結果、減額率19.90%と定めた場合、減額する額は、702円×0.199=139.70円である。 この場合、減額する額を140円とすると減額率は19.94%、減額する額を139円とすると19.80%となる。減額する額が、減額率を超えることはできないことから、19.90%以下とするためには、算出額の1円未満を切り捨てて、139円が減額する額になり、減額した最低賃金額は563円となる。 |
イ 「支払おうとする賃金の金額」との比較
上記アにより算出した減額後の最低賃金額を、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額と比較し、支払おうとする賃金額が減額後の最低賃金額を下回らないことを確認すること。
「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄の金額が、時間額である場合にはそのまま比較し、日、月などの時間以外の期間又は出来高払制その他の請負制によって定められている場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
比較に当たっては、次の事項に留意すること。
・ 法第4条第3項各号の最低賃金に算入しない賃金が含まれていないこと。
・ 当該賃金が含まれていた場合は、申請書の注意書を教示し、申請書を補正させること。
・ 当該賃金が含まれていなかった場合、又は含まれていても申請書を補正させた場合は、「金額」欄に記入された金額が時間額である場合にはそのまま比較することとし、時間額以外の場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
(6) 許可の判断
減額の特例許可申請について、上記により調査、審査した結果を法令及び許可基準に当てはめて、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額及び「減額率」欄に記入された率について許可してよいかを判断すること。
(7) その他の留意事項
ア 特定最低賃金の減額の特例許可申請がなされた場合の留意事項
「断続的労働に従事する者」が、特定最低賃金の適用される事業場で勤務していたとしても、それぞれの特定最低賃金において適用が除外されている清掃又は片付けの業務等の軽易な業務に従事する者に該当する場合があることから、特定最低賃金の減額の特例許可申請がなされた場合は、減額対象労働者が特定最低賃金の適用を受けるか確認すること。
特定最低賃金の適用を受けると確認された場合は、地域別最低賃金の減額の特例許可申請とともに受理すること。なお、特定最低賃金の減額の特例許可のみの申請の場合は、Ⅱの1の(2)のイに基づき対応すること。
特定最低賃金の適用を受けないと確認された場合は、地域別最低賃金のみが適用されることを説明し、特定最低賃金に係る減額の特例許可申請は受理せず、地域別最低賃金に係る減額の特例許可申請のみを受理すること。
イ 減額対象労働者への使用者からの説明
最低賃金を減額することについての減額対象労働者の同意は減額許可の要件ではないが、減額対象労働者に対して説明等がないままに申請がなされ、許可が行われた場合には労使のトラブルが懸念されることから、使用者に対して、減額対象労働者へ減額許可申請を行うこと及び支払おうとする賃金額について説明を行っておくよう求めること。なお、減額対象労働者からの同意書を申請書に添付する必要はないものである。
ウ 周知義務及び周知方法上の留意点
法第8条で最低賃金の適用を受ける使用者は当該最低賃金額等の概要を常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならないとされている。
そこで、減額の特例を受けた労働者に対し、その概要を周知するための措置を取らなければならないが、個人名を明記して減額の特例された最低賃金の概要を掲示することは、個人情報の漏洩に当たるため、使用者から本人にのみ通知することを許可書交付時に教示し、記録しておくこと。
エ 許可期間
必要と認められる期間とすること。ただし、3年を限度とすること。
6 経過措置について
【許可基準】 6 最低賃金法の一部を改正する法律(平成19年法律第129号。以下「改正法」という。)の施行に伴う経過措置 (1) 改正法の施行の日(平成20年7月1日)以後最初に改正法による改正後の法第15条第2項の規定による改正又は廃止の決定が効力を生ずるまでの間における改正法附則第5条第2項に規定する最低賃金の適用を受ける労働者に対する4の適用については、当該労働者について最低賃金額が時間によって定められている場合は、許可の対象として差し支えないものの、最低賃金額が日、週又は月によって定められている場合において、当該労働者の所定労働時間が、当該最低賃金の適用を受ける他の労働者に比して相当長いときは、許可の限りではないこととする。 (2) 改正法の施行の日(平成20年7月1日)以後最初に改正法による改正後の法第15条第2項の規定による改正又は廃止の決定が効力を生ずるまでの間における改正法附則第5条第2項に規定する最低賃金の適用を受ける労働者に対する5の適用については、最低賃金の時間額が適用される場合を除き、当該労働者の実作業時間数が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の実作業時間数の2分の1程度以上であるときは許可しないこととする。 |
(1) 経過措置の趣旨
平成20年7月1日現在、北海道労働局外13府県労働局※の14の産業について、平成13年度以前に決定又は改正された日額表示の産業別最低賃金が、平成14年度以降改正決定されず、かつ、地域別最低賃金を上回っているために、引き続き効力を有している。
これら日額表示の産業別最低賃金を改正法施行後に直ちに無効とすることは、当該最低賃金の適用を受ける労使に混乱をもたらすおそれがあることから、改正法及び最低賃金法施行規則等の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第101号)において次の経過措置規定を設けたところである。
ア 改正法の施行の際に効力を有する産業別最低賃金は、新法第15条第2項の規定により決定された最低賃金とみなすこと。(改正法附則第5条第1項)
イ 上記アの最低賃金について、最初の改正が行われるまでの間は、最低賃金額は時間額のみと定めた法第3条の規定は適用しないこと。(改正法附則第5条第2項)
ウ 最低賃金額の換算式を定めた旧則第3条の規定は、日額表示の産業別最低賃金については、なおその効力を有すること。(改正則附則第3条)
また、改正法により廃止されることとなった旧法第11条又は第13条の規定に基づく労働協約拡張方式による最低賃金については、改正法附則第3条により、改正法の施行(平成20年7月1日)の際に現に効力を有するものは、改正法施行後2年間は旧法第5条の効力を有するものとされたところである。(なお、平成20年7月1日現在、これに該当する最低賃金は、滋賀県塗料製造業地域的最低賃金及び広島県広島市・東広島市塗料製造業地域的最低賃金の2件である。)
今後、該当労働局においては、日額表示の産業別最低賃金が適用される労働者について、減額の特例許可の申請がなされる場合があることから、これらの経過措置に留意して適切に判断すること。
※ 北海道、岩手、山形、茨城、富山、石川、静岡、岐阜、三重、滋賀、京都、奈良、広島、熊本の各労働局。
(2) 軽易な業務に従事する者に係る経過措置ついて
軽易な業務に従事する者について、許可基準の経過措置により読み替えて適用される旧許可基準の規定は、次の下線部分である。
旧許可基準 5 軽易な業務に従事する者(法第8条第4号、則第4条第2項第2号関係) (1) 軽易な業務に従事する者として法第8条の許可申請の対象となる労働者は、その従事する業務が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者のうち最も軽易な業務に従事する層の労働者の業務と比較してもなお軽易であるものに限られること。 (2) 常態として身体又は精神の緊張の少ない監視の少ない業務に従事する者は、軽易な業務に従事する者に該当するが、これらの者について、最低賃金額が時間によって定められている場合は、許可の対象として差し支えないものの、最低賃金額が日、週又は月によって定められている場合において、当該労働者の所定労働時間が、当該最低賃金の適用を受ける他の労働者に比して相当長いときは、許可の限りではないこと。 |
下線部については、次の点に留意して前記4に基づき法第7条の減額の特例許可審査を行うこと。
最低賃金額が日、週又は月によって定められている場合の「当該労働者の所定労働時間が、当該最低賃金の適用を受ける他の労働者に比して相当長いとき」とは、減額対象労働者の1日の所定労働時間が当該事業場の一般労働者の1日の所定労働時間と比較して相当長いときであるが、所定拘束時間が1日11時間程度以上となるものについては、最低賃金の時間額が適用される場合を除き、原則として、許可の対象とはしないこと。
(3) 断続的労働に従事する者に係る経過措置について
断続的労働に従事する者について、改正則附則第4条の規定により、読み替えて適用される旧則第3条第2項の規定は、次の下線部分であること。
則第3条第2項 法第7条第4号の厚生労働省令で定める者は、軽易な業務に従事する者及び断続的労働に従事する者とする。ただし、軽易な業務に従事する者についての同条の許可は、当該労働者の従事する業務が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の従事する業務と比較して特に軽易な場合に限り、断続的労働に従事する者についての同条の許可は、最低賃金額が時間によって定められた場合及び最低賃金額が日、週又は月によって定められた場合で当該労働者の実作業時間が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の実作業時間数と比較して特に短い場合に限り、行うことができるものとする。 |
また、断続的労働に従事する者について、改正基準の経過措置により読み替えて適用される旧基準の規定は、次の下線部分であること。
旧許可基準 6 断続的労働に従事する者(法第8条第4号、則第4条第2項第3号関係) (1) 断続的労働に従事する者として法第8条の許可申請の対象となる労働者は、常態として作業が間欠的であるため労働時間中においても手待ち時間が多く実作業時間が少ない者であること。 (2) 最低賃金の時間額が適用される場合を除き、当該労働者の実作業時間数が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の実作業時間数の2分の1程度以上であるときは許可しないこと。 |
下線部については、次の点に留意して前記5に基づき新法第7条の減額の特例許可審査を行うこととする。
① 「他の労働者の実作業時間数の2分の1程度以上」とは、減額対象労働者の1日の実作業時間数が当該事業場の一般労働者の2分の1程度以上であること。
② この場合、減額対象労働者と比較すべき一般労働者がいない場合には、「他の労働者の実作業時間数」を1日8時間と考えて差し支えないこと。
なお、所定拘束時間が1日11時間程度以上となるものについては、原則として許可の対象としないこと。
Ⅴ 許可書、不許可通知書の作成、交付について
1 許可書等の様式
(1) 許可書
様式第1号の1(「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」、「試の使用期間中の者」及び「軽易な業務に従事とする者」に係る様式)
様式第1号の2(「基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者」に係る様式)
様式第1号の3(「断続的労働に従事する者」に係る様式)
(2) 不許可通知書
様式第2号
(3) 許可取消通知書
様式第3号
2 許可書の作成要領
(1) 許可の番号
許可の番号は、次の例のとおり局ごとの一連番号として欠番が生じないように振り出すものとすること。
局略字は、平成13年3月28日付け地発第138号「都道府県労働局における文書管理規程の策定について」の別表第1に定めるところによること。
暦年については、許可の決裁の日の属する年とすること。
一連番号については、暦年のものとし、原則として決裁順とすること。
(例) 東京局の場合 |
|||
東労 局略字 |
許可第 |
20 暦年 |
01号 一連番号 |
(2) 許可書の日付
許可書の日付は、許可の決裁の日付を記載すること。
(3) 「平成 年 月 日付けをもって最低賃金法第7条の規定に基づく申請のあった○○○○に対する最低賃金の減額については、下記の附款を付し、次のとおり許可する。」について
ア 日付は、許可申請書を受理した日を記載すること。
イ ○○○○には、減額対象労働者の区分(様式第1号の1にあっては、「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」、「試の使用期間中の者」、又は「軽易な業務に従事する者」、様式第1号の2にあっては「基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者」、様式第1号の3にあっては「断続的労働に従事する者」)を記載すること。
(4) 減額の特例を許可する最低賃金件名
「減額の特例を許可する最低賃金件名」は、減額の特例許可申請書において、「減額の特例許可を受けようとする最低賃金」欄に記入された全ての最低賃金の件名を記載すること。
(例) 「○○県最低賃金」 (例) 「○○県○○業最低賃金」 |
(5) 減額対象労働者の氏名等
「減額対象労働者の氏名等」欄は、減額対象労働者氏名及び生年月日を記載すること。ただし、複数の労働者を包括的に許可する場合は、「別紙の減額対象労働者名簿のとおり」と記載し、減額対象労働者の氏名、性別及び生年月日を記載した減額対象労働者名簿を許可書に添付し契印をすること。
(6) 「従事させようとする業務の種類」及び「労働の態様」の欄
「従事させようとする業務の種類」の欄は、許可の効力の範囲を特定する上で重要であるので、次のとおり記載すること。
ア 様式第1号の1について
(ア) 「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」又は「試の使用期間中の者」に係る許可については、減額対象労働者が当該事業場において従事しようとする業務の種類を列挙すること。
この場合、単に「雑役」、「手伝い」など業務内容が判然としない記載ではなく、「製品の運搬」、「作業場内の清掃片付けの業務」のように許可する業務の種類が特定されるよう具体的に記載すること。
(イ) 「軽易な業務に従事する者」に係る許可については、減額対象労働者が当該事業場において従事する業務の種類及び労働の態様を記載すること。
(軽易な業務に従事する者についての例) 「従事業務の種類」 工場・事務所内の清掃、ゴミの分別の業務 「労働の態様」 業務の進行及び能率についてほとんど規制を受けない。所定労働時間は1日7時間。 |
イ 様式第1号の2について
「基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者」に係る許可については、減額対象労働者が受ける職業訓練において従事する業務の種類を列挙すること。
また、「3 減額対象労働者が受ける職業訓練」欄は、職業訓練の種類、訓練課程及び訓練科を記載すること。
(基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者の例) 「職業訓練の種類」 高度職業訓練 「訓練課程」 専門課程 「訓練科」 機械システム系生産技術科 |
さらに、「職業訓練時間数と所定労働時間数」欄は、申請書の「1日当たりの職業訓練時間数」欄及び「1日当たりの所定労働時間数」欄の時間数を記載すること。
ウ 様式第1号の3について
「断続的な労働に従事する者」に係る許可については、減額対象労働者の業務の種類及び労働の態様について記載すること。
(断続的な労働に従事する者の例) 「従事業務の種類」 寮の管理人の業務 「労働の態様」 ゴミ置場及び寮内の清掃、寮内外の巡回、郵便物、宅配物、夕刊の配布 |
また、「所定労働時間数うち実作業時間数と手待ち時間数」欄は、申請書の「実作業時間数」欄及び「手待ち時間数」欄の時間数を記載すること。
(7) 最低賃金法第4条の適用を受ける減額後の最低賃金額
「最低賃金法第4条の適用を受ける減額後の最低賃金額」欄は、減額の特例の許可のあった最低賃金について、1つの最低賃金について許可がなされた場合は当該最低賃金について、複数の最低賃金について許可がなされた場合はそれぞれの最低賃金について、当該最低賃金額からその額に減額率を乗じて得た額(1円未満の端数を生じた場合は、これを切り捨てること。)を減じた額を、それぞれ整数値で記載すること。
許可期間中に当該許可のあった最低賃金が改定された場合については、前記Ⅰの4のとおり減額率は変わらないことから、次の例のとおり記載すること。
(例)
「ただし、○○県○○業最低賃金が改定された場合は、改定後の額に減額率○○%を乗じて得た額を当該改定後の最低賃金額から減じたとする。
なお、減額率を乗じて得た額に1円未満の端数が生じた場合は、1円未満を切り捨てること。」
(8) 支払い賃金額
次の例のとおり記載すること。
なお、この金額は申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄の金額と同額であることに留意すること。
(例)
「上記○記載の金額(複数ある場合はそのうち最も金額の高いもの)以上の額とすること。
なお、上記△以外に適用される最低賃金がある場合は、当該最低賃金額と上記○の減額後の最低賃金額を比較し、そのうち最も金額の高いものの額以上の額とすること。」
(上記△は、減額の特例を許可する最低賃金件名が記載されている項番号である。)
(9) 許可の有効期間
ア 許可の有効期間の起算日は、許可書の決裁の日付を記載すること。
なお、許可の効力は申請者に伝達され、申請者がこれを了知したときに発効することから、必ず、決裁後、同日中に電話により申請者又は労務担当者に通知し、受付・処理経過簿の備考欄にその日付及び相手方の職氏名を記載すること。
また、同一労働者についての許可の更新の場合であって、許可書の決裁の日が前回の許可期間内となる場合は、前回の許可期間の満了の日の翌日を起算日とすること。
イ 「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」については、労働能力の向上が見込まれることがあることから、初回の申請に対する許可の有効期間は、1年以内とすること。2回目以降の申請に対する許可の有効期間は、労働能力向上の可能性、使用者の遵法態度、作業施設の改善予定等の状況を総合的に勘案し、3年以内の必要な期間とすること。
ウ 「試の使用期間中の者」に係る許可の有効期間は、前記Ⅳの2の(3)による必要と認められる期間とすること。
エ 「基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者」に係る許可の有効期間については、前期Ⅳの3による必要と認められる期間とすること。
オ 「軽易な業務に従事する者」及び「断続的労働に従事する者」に係る許可の有効期間は、前記Ⅳの4及び5により必要と認められる期間とすること。ただし、3年を限度とすること。
カ 満18歳未満の者を許可対象労働者とする場合において、当該労働者が満18歳となった時点で新たに特定(産業別)最低賃金が適用されることとなる可能性があるときは、許可の有効期間を当該労働者が満18歳に達しない期間(満18歳の誕生日前日までの期間)とすること。
キ 雇入れ後6ヶ月(3ヶ月)未満の者であって、技能習得中のものを許可対象労働者とする場合において、当該労働者が雇入れ後6ヶ月(3ヶ月)を経過する日の前日までの期間とすること。
(10) 許可書の交付方法
ア 許可に当たっては、許可書を使用者(労務担当者を含む。)に直接交付すること。
なお、許可書の交付の際には、書式は任意とするが、必ず、許可書を受領した旨並びに行政不服審査制度及び取消訴訟制度について教示を受けた旨を記した書面に受領年月日、受領者の職氏名を記載させ、署名又は記名押印を得るものとする。
イ ただし、使用者が離島、遠隔地にいる等の許可書を使用者に直接交付できないことについてやむを得ない事情がある場合に限り、電話により使用者に許可の内容等を説明の上、許可書を使用者に郵送することとして差し支えないこと。なお、この場合、事前に電話により許可書を郵送する旨を伝えた者を宛先とした親展とし、配達証明等により確実に使用者に配達されたことを確認できるようにすること。
ウ 許可書の交付に当たっては、許可書に許可申請書を綴じ込み、許可書と許可申請書との間に契印を押すこと。
エ 許可書の備考欄に記載されている不服申立てに関する教示文については、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第57条第1項、取消訴訟に関する教示文については、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第46条第1項の規定に基づき、それぞれの相手方に「書面で教示」しているものであり、その効果は許可書交付時に生じることに留意すること。
なお、教示の結果、不服申立て等に関し特記事項がある場合には、受付・処理経過簿に記載しておくこと。
3 不許可通知書の作成要領
(1) 不許可の番号
不許可の番号は、次の例のとおり局ごとの一連番号として欠番が生じないように振り出すものとすること。
局略字は、平成13年3月28日付け地発第138号「都道府県労働局における文書管理規程の策定について」の別表第1に定めるところによること。
暦年については、不許可の決裁の日の属する年とすること。
一連番号については、暦年のものとし、原則として決裁順とすること。
(例) 北海道局の場合 |
|||
北労 局略字 |
不許可第 |
20 暦年 |
01号 一連番号 |
(2) 不許可の理由
不許可の理由は、許可基準に適合しない事実を端的かつ明確に記載すること。
(3) 不許可通知書の交付方法
ア 不許可に当たっては、不許可通知書(様式第2号)を使用者(労務担当者を含む。)に直接交付すること。
なお、不許可通知書の交付の際には、書式は任意とするが、必ず、不許可通知書を受領した旨並びに行政不服審査制度及び取消訴訟制度について教示を受けた旨を記した書面に受領年月日、受領者の職氏名を記載させ、署名又は記名押印を得るものとする。
イ ただし、使用者が離島、遠隔地にいる等の不許可通知書を使用者に直接交付できないことについてやむを得ない事情がある場合に限り、電話により使用者に不許可の内容等を説明の上、不許可通知書を使用者に郵送することとして差し支えないこと。なお、この場合、事前に電話により不許可通知書を郵送する旨を伝えた者を宛先とした親展とし、配達証明等により確実に使用者に配達されたことを確認できるようにすること。
ウ 不許可通知書の交付に当たっては、不許可通知書に許可申請書(使用者控え)を綴じ込み、不許可通知書と許可申請書との間に契印を押すこと。
エ 不許可通知書の備考欄に記載されている不服申立てに関する教示文については、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第57条第1項、取消訴訟に関する教示文については、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第46条第1項の規定に基づき、それぞれの相手方に「書面で教示」しているものであり、その効果は不許可通知書交付時に生じることに留意すること。
なお、教示の結果、不服申立て等に関し特記事項がある場合には、受付・処理経過簿に記載しておくこと。
Ⅵ 許可の取消しについて
許可の取消しは、減額対象労働者の雇用機会が失われるおそれがあるので、慎重を期すこと。なお、署において許可の取消しを理由とする解雇等の事案を把握した場合は速やかに局に連絡し、局署連携して処理を行うこととし、局は必要に応じて本省に協議を行うこと。
1 許可時に遡って取消しを行う場合
使用者から虚偽の内容に基づく申請がなされ、申請内容が当初から法令、許可基準に適合しないものであったことが判明した場合においては、行政手続法に基づく聴聞手続きを経て許可時に遡り当該許可を取り消すこと。
2 将来にわたって取消しを行う場合
許可の後において、法第7条の許可の要件を全く満たさなくなった場合(例えば、「軽易な業務に従事する者」に係る許可を受けている労働者を常時一般の業務に配置転換させているとき等)においては、行政手続法に基づく聴聞手続きを経て将来にわたって当該許可を取り消すこと。ただし、事前に十分な指導を行ったにもかかわらず、使用者がこれに従わない場合に限るものとすること。
なお、許可した業務と異なる業務に減額対象労働者を従事させている場合は、許可の取消しが行われなくとも、一般労働者に適用される最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないことに留意すること。
3 聴聞手続
聴聞を実施するに当たっては、厚生労働省聴聞手続規則(平成12年厚生労働省令第2号)に則り適切に行うこと。
4 許可取消通知書の作成要領
(1) 許可取消通知書の番号
許可取消通知書の番号は、次の例のとおり局ごとの一連番号として欠番が生じないように振り出すものとすること。
局略字は、平成13年3月28日付け地発第138号「都道府県労働局における文書管理規程の策定について」の別表第1に定めるところによること。
暦年については、許可取消の決裁の日の属する年とすること。
一連番号については、暦年のものとし、原則として決裁順とすること。
(例) 秋田局の場合 |
|||
秋労 局略字 |
消許可第 |
20 暦年 |
01号 一連番号 |