添付一覧
○最低賃金法第7条の減額の特例許可事務マニュアルの一部改正について
(平成22年3月24日)
(基勤勤発0324第1号)
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局勤労者生活部勤労者生活課長通知)
(契印省略)
平成20年7月1日付け基勤勤発第0701002号「最低賃金法第7条の減額の特例許可事務マニュアルの作成について」については、関係事務のより円滑な処理を図るため、下記のとおり一部を改正することとしたので、了知の上、的確な事務処理に遺漏のなきようお願いする。
記
1 Ⅱの1関係
(1) 改正の趣旨
派遣労働者については、特定最低賃金が適用となる可能性があることにもかんがみ、派遣先事業場の業種も把握しなければならないことを定めることとしたものであること。
(2) 改正の内容
(4)中「派遣先事業場の名称、所在地」の次に「及び業種」を加える。
2 Ⅳの1関係
(1) 改正の趣旨
精神又は身体の障害により著しく労働能力が低い者について、減額対象労働者の労働能率が一定している場合に、当該者の作業実績を把握するための期間を短縮することを可能とするとともに、減額率の上限となる数値の算出に当たって配慮すべき事項を具体的に記載することとしたものであること。
(2) 改正の内容
(4)のイ中「このため、実地調査時には労働能率が劣る事実を客観的に証明する資料として使用者から過去2週間程度の減額対象労働者及び比較対象労働者の作業実績に関する資料の提出を求めるとともに、その内容を確認すること。」を次のように改める。
「このため、実地調査時には労働能率が低い事実を客観的に証明する資料として使用者から過去2週間程度の減額対象労働者及び比較対象労働者の作業実績に関する資料の提出を求めるとともに、その内容を確認すること。ただし、減額対象労働者の労働能率が一定している場合には、当該者の作業実績を把握するための期間を短縮しても差し支えないこと。
また、比較対象労働者の作業実績を把握するための期間については、1日として差し支えないこと。
なお、減額対象労働者と比較対象労働者の労働能率を比較するに際しては、例えば、物品の製造、修理又は加工の場合には、1日の作業終了後に合格水準に到達しているものの個数の割合、また、清掃等の役務の提供の場合には、その内容が一定水準に到達するまでに要する時間数(例:清掃等が完了したと認められるまでの時間数)等を勘案すること。」
3 Ⅳの2関係
(1) 改正の趣旨
試の使用期間中の者について、「当該地域」の範囲を具体的に記載することとしたものであること。
(2) 改正の内容
(3)のアの末尾に次のように加える。
「なお、上記の「当該地域」とは、最低賃金の減額の特例許可を受けようとする最低賃金が設定されている地域のことであり、単に申請事業場周辺の限られた地域をいうものではないことに留意すること(例:東京都最低賃金が適用される場合においては、「当該地域」は「東京都」となること。)。」
4 Ⅳの5関係
(1) 改正の趣旨
断続的労働に従事する者について、日によって実作業時間数と手待ち時間数が異なる場合における減額率の算出方法を具体的に記載することとしたものであること。
(2) 改正の内容
(3)中「当該者の労働実態が適切に踏まえられた一定期間により平均実作業時間数を算定し」を「一定期間ごとに区分した期間のうちのどの期間を取っても当該者の所定労働日数、総所定労働時間数、総実作業時間数及び総手待ち時間数がそれぞれ一律となる一定期間を特定し、その期間を平均して1日当たりの所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数を算定し、その数値により」に改め、同項目の末尾に次のように加える。
「なお、このような一定期間が特定できない場合には、就業規則、勤務割表等により当該者の所定労働日数並びに各労働日ごとの所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数が確定している期間を平均して1日当たりの所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数を算出し、その数値を則第5条の表の減額率の上限となる数値の算出に用いること。この場合の許可期間は、就業規則、勤務割表等により当該者の所定労働日数並びに各労働日ごとの所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数が確定している期間内とし、3年を限度とすること。」
新旧対照表
(参考)
○最低賃金法第7条の減額の特例許可事務マニュアルの作成について
(平成20年7月1日)
(基勤勤発第0701002号)
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局勤労者生活部勤労者生活課長通知)
(契印省略)
改正 平成21年 1月20日基勤勤発第0120001号
同 22年 3月24日同0324 第 1号
最低賃金法第7条の減額の特例許可事務については、最低賃金法の一部を改正する法律(平成19年法律第129号)、最低賃金法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整理に関する政令(平成20年政令第151号)、最低賃金法施行規則等の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第101号)が本日施行されることに伴い、昭和34年10月28日付け基発第747号(改正:平成16年3月16日付け基発第0316002号、改正:平成20年6月1日付け基発第0601001号)「最低賃金法第5条の現物給与等の適正評価基準及び同法第7条の減額の特例許可基準について」に基づき実施することとしたところであるが、関係事務の円滑な処理を図るため、最低賃金法第7条の減額の特例許可事務マニュアルを別添のとおり定めたので、今後、これに基づいた事務処理の運用に遺漏のなきようお願いする。
最低賃金法第7条の減額の特例許可事務マニュアル
平成20年7月
一部改正 平成21年1月
一部改正 平成22年3月
厚生労働省労働基準局勤労者生活部
勤労者生活課
凡例
本マニュアル中の略称については、次のとおり。
改正法 最低賃金法の一部を改正する法律(平成19年法律第129号)
新法 改正法による改正後の最低賃金法(昭和34年法律第137号)
旧法 改正法による改正前の最低賃金法
則 最低賃金法施行規則等の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第101号)による改正後の最低賃金法施行規則(昭和34年労働省令第16号)
許可基準 昭和34年10月28日付け基発第747号(改正:平成16年3月16日付け基発第0316002号、改正:平成20年6月1日付け基発第0601001号)「最低賃金法第5条の現物給与等の適正評価基準及び同法第7条の適用除外の許可基準について」
旧許可基準 平成20年6月1日付け基発第0601001号による改正前の許可基準
局 都道府県労働局
局長 都道府県労働局長
署 労働基準監督署
署長 労働基準監督署長
減額率 則第5条に定める最低賃金の減額率
目次
Ⅰ 最低賃金の減額の特例制度について
1 適用除外制度(旧法第8条)から減額の特例制度(新法第7条)への移行について
2 減額の特例許可に係る調査に当たっての考え方
3 減額率について
4 最低賃金額の改定の際の考え方
5 許可の効果
Ⅱ 許可申請書の受付
1 申請書の審査等
(1) 記載内容の点検・審査
(2) 特定最低賃金の適用の有無の確認
(3) 複数の労働者を包括して許可申請する場合
(4) 派遣労働者について申請する場合
(5) 許可申請書の部数
(6) 許可申請書の様式
2 不備・返戻
3 取下げ
4 受付・処理経過簿の記載事項
5 標準処理期間
Ⅲ 調査
1 調査に当たって
2 調査の実施
(1) 実地調査の原則
(2) 事前準備
(3) 減額対象労働者等の面接
(4) その他の留意事項
Ⅳ 減額対象労働者の区分別の調査に当たっての留意事項
1 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者(新法第7条第1号関係)
(1) 趣旨
(2) 「精神又は身体の障害」の有無の判断
(3) 「著しく労働能力が低い」ことの判断
(4) 最低賃金の減額の率(則第5条)
(5) 最低賃金の減額後の額(法第7条)
(6) 許可の判断
(7) その他の留意事項
2 試の使用期間中の者(新法第7条第2号)
(1) 趣旨
(2) 「試の使用期間中の者」の判断
(3) 「当該業種、職種等の実情に照らし必要と認められる期間」の判断
(4) 最低賃金の減額の率(則第5条)
(5) 最低賃金の減額後の額(法第7条)
(6) 許可の判断
(7) その他の留意事項
3 職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であって厚生労働省令で定めるもの(法第7条第3号、則第3条第1項関係)
(1) 趣旨
(2) 認定職業訓練を受ける者の判断
(3) 減額率の算定(則第5条)
(4) 最低賃金の減額後の額(法第7条)
(5) 許可の判断
(6) その他の留意事項
4 軽易な業務に従事する者(法第7条第4号、則第3条第2項)
(1) 趣旨
(2) 「軽易な業務に従事する者」について
(3) 減額率を定める方法(則第5条)
(4) 最低賃金の減額後の額(法第7条)
(5) 許可の判断
(6) その他の留意事項
5 断続的労働に従事する者(法第7条第4号、則第3条第2項関係)
(1) 趣旨
(2) 「常態として作業が間欠的である」等の判断
(3) 申請時及び調査時の留意事項
(4) 最低賃金の減額の率(則第5条)
(5) 最低賃金の減額後の額(法第7条、則第5条)
(6) 許可の判断
(7) その他の留意事項
6 経過措置について
(1) 経過措置の趣旨
(2) 軽易な業務に従事する者に係る経過措置ついて
(3) 断続的労働に従事する者に係る経過措置について
Ⅴ 許可書、不許可通知書の作成、交付について
1 許可書等の様式
(1) 許可書
(2) 不許可通知書
(3) 許可取消通知書
2 許可書の作成要領
(1) 許可の番号
(2) 許可書の日付
(3) 「平成 年 月 日付けをもって最低賃金法第7条の規定に基づく申請のあった○○○○に対する最低賃金の減額については、下記の附款を付し、次のとおり許可する。」について
(4) 減額の特例を許可する最低賃金件名
(5) 減額対象労働者の氏名等
(6) 「従事させようとする業務の種類」及び「労働の態様」の欄
(7) 最低賃金法第4条の適用を受ける減額後の最低賃金額
(8) 支払い賃金額
(9) 許可の有効期間
(10) 許可書の交付方法
3 不許可通知書の作成要領
(1) 不許可の番号
(2) 不許可の理由
(3) 不許可通知書の交付方法
Ⅵ 許可の取消しについて
1 許可時に遡って取消しを行う場合
2 将来にわたって取消しを行う場合
3 聴聞手続
4 許可取消通知書の作成要領
(1) 許可取消通知書の番号
(2) 許可取消しの理由
5 許可取消通知書の交付方法
(1) 交付方法
(2) 遠隔地間の交付方法
(3) 行政不服審査制度等の教示
Ⅶ 様式
1 最低賃金の減額の特例許可申請書(様式第1号~第5号)
2 最低賃金の減額の特例許可書(様式第1号の1~第1号の3)
3 最低賃金の減額の特例許可申請に係る不許可通知書(様式第2号)
4 最低賃金の減額の特例許可取消通知書(様式第3号)
Ⅰ 最低賃金の減額の特例制度について
1 適用除外制度(旧法第8条)から減額の特例制度(新法第7条)への移行について
最低賃金はできるだけ広範囲の労働者に適用することが望ましいが、旧法第8条各号に掲げる者については、最低賃金を適用することとすると、かえって雇用の機会が失われるおそれがあり、また、一般労働者の保護にとっては極めて低額な最低賃金額を定めざるを得ないこととなるので、旧法においては、個別の許可を条件として適用除外を認めてきたものである。
使用者がこの規定による適用除外の許可を受けた場合には、旧法第5条の規定が適用されないことから、許可を受けた労働者に対して、最低賃金額に達しない賃金を支払うことが認められることとなるものであった(ただし、適用除外の許可の附款において支払下限額を定めるという運用をしてきたところである。)。
しかしながら、第168回臨時国会において成立した改正法により、最低賃金のセーフティネットとしての機能を強化する観点から、最低賃金の適用対象をなるべく広範囲なものとすることが望ましく、減額措置が可能であるならば、適用除外とするよりも最低賃金を適用した方が労働者保護に資することから、今般、適用除外規定を廃止し、減額の特例規定とすることとしたものである。
この減額の特例規定は、新法第7条各号に掲げる労働者について、最低賃金額から当該最低賃金額に則第5条で定める減額率を乗じて得た額を減額した額により、新法第4条の規定を適用するものである。当該減額した額は、減額対象労働者についての最低賃金額となるものであり、当該額(地域別最低賃金額に係るものに限る。)を下回る額の支払いについては、新法第40条の罰則の適用があるものとなる。
2 減額の特例許可に係る調査に当たっての考え方
新法第7条に基づく減額の特例許可は、新法第7条各号に掲げる労働者についても原則として減額されることなく適用されるべき最低賃金について、特例として減額を許可するものである。このため、減額後の最低賃金額については、減額対象労働者の提供している労働の質及び量から見て、社会的に適正かつ妥当な水準となることが強く要請されており、いやしくも減額対象労働者が不当な低賃金で働くことのないよう厳正に取扱う必要がある。このような制度の趣旨にかんがみ、申請者は、減額の特例許可の必要性があるか、また、支払おうとする賃金額が適正であるかといった観点から、適切な申請をすることが求められる。また、調査官は、調査においてできる限り具体的かつ客観的に事実を把握し、その上で、法令及び許可基準に基づいて慎重に判断することが必要である。
なお、申請と異なる事実が判明した場合であっても、調査を中断することなく、当該労働者についての許可に当たって必要となる事項についての調査を十分に行うこと。
調査の手順については、まず、形式的な不備がないか等を点検したのち、次いで、申請者から関係資料の提出を求める等により申請書の記載事項について確認を行い、さらに、調査官による実地調査によって、申請書の記載事項について実地調査現場において事実に相違ないか確認することにより、当該労働者の労働実態を十分に把握することとなるが、必要に応じ、同僚労働者、家族等の関係者からも意見を聴取する等により慎重に事務処理を行うこと。なお、この際、関係者に無用の誤解を与えることのないよう言動には十分に配慮すること。
3 減額率について
新法第7条に規定する減額率は、減額対象労働者の固有の事情に着目して定めるものであるが、賃金は一般的に、労働能率や労働時間だけを基準に決定されるものではないことから、則第5条の表下欄に定める率を基に、個々の減額対象労働者の「職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等」を総合的に勘案し、一般労働者との比較において相対的に定めることとしているものである。
4 最低賃金額の改定の際の考え方
新法第7条の許可に当たっては、減額率に加えて減額後の最低賃金額を明示することとしているが、許可の有効期間中に最低賃金額が改定された場合においても、減額率は変わらないものであること。したがって、最低賃金額の改定の発効日以後は、改定後の最低賃金額について当該減額率が適用されるものであり、当該減額後の最低賃金額を下回る賃金の支払いは、最低賃金法違反(減額後の地域別最低賃金額を下回る場合は、新法第40条に規定する罰則の適用がある。)となることはいうまでもないことである。
5 許可の効果
減額の特例許可は、減額対象労働者の労働実態等を前提として行われるものであることから、減額対象労働者が許可の前提を欠くこととなった場合、すなわち、減額対象労働者の従事する業務、労働の態様等に変更があった場合は、許可の効果は及ばないものとなること。この場合、使用者は、改めて、変更後の業務、労働の態様等について減額の特例許可申請を行わなければならないものであること。
なお、変更後の業務について改めて許可を受けなかった場合は、当該労働者に対しては、一般労働者に適用される最低賃金額が適用されることとなり、当該最低賃金額以上の賃金の支払いがなされていない場合は、法第4条違反となるものであること。
Ⅱ 許可申請書の受付
1 申請書の審査等
(1) 記載内容の点検・審査
ア 共通的事項
(ア) 申請書について、全ての欄に記入がなされていることを確認すること。
(イ) 申請書に添付資料がある場合は、その資料により申請者が疎明しようとする事項を確認すること。また、後日の調査の参考とするため、事業場等にその他の資料があるか否かを確認し、ある場合は資料項目を聴き取り、記録しておくこと。
(ウ) 「減額の特例許可を必要とする理由等」欄については、新法第7条各号及び則第3条第2項に定める5つの区分(以下「減額対象労働者の区分」という。)に応じた理由が記入されていること。
(エ) 「減額の特例許可を受けようとする最低賃金」欄の「件名」欄及び「最低賃金額」欄には、許可を受けようとする全ての最低賃金の件名及び最低賃金額が記入されていること(なお、特定最低賃金の取扱いについては、下記「(2) 特定最低賃金の適用の有無の確認」を参照のこと。)。
(オ) 「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された額(許可を受けようとする最低賃金が複数ある場合は、そのうち減額後の「支払おうとする賃金」が最も高いもの)が、「減額率」欄に記入された率に対応した額となっているか検算を行うこと。また、「金額」欄に記載された額が、新法第4条第3項各号に規定する最低賃金に算入しない賃金を除外したものとなっていることを確認すること。
(カ) 「支払おうとする賃金」欄の「減額率」欄には、減額特例の許可を受けようとする最低賃金の額に対する支払おうとする賃金の額の減額率が記入されていること。この場合、許可を受けようとする最低賃金が複数ある場合であっても同じ率であることに留意すること。
(キ) 審査の結果、許可基準に合致しない場合は、許可できないことを教示すること。
イ 様式第1号(「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」に係る申請)に係る事項
様式第1号の注意事項及び上記アの共通的事項のほか、次によること。
(ア) 包括申請となっていないことを確認すること。
(イ) 「精神又は身体の障害の態様」欄には、個々の減額対象労働者の精神又は身体の障害の態様について具体的に記入されているか確認するとともに、後記Ⅳの1の(2)の客観的な確認資料の写しが添付されていることを確認すること。
(ウ) 「減額の特例許可を必要とする理由等」欄には、減額対象労働者の精神又は身体の障害が、減額対象労働者の就こうとする業務にどのように影響するのか等が具体的に記入されているか確認すること。
ウ 様式第2号(「試の使用期間中の者」に係る申請)に係る事項
様式第2号の注意事項及び上記アの共通的事項のほか、次によること。
(ア) 「減額の特例許可を受けようとする理由等」欄には、試の使用期間であることを理由として許可を受けようとする必要性が具体的に記入されているか確認すること。
(イ) 「支払おうとする賃金」欄の「減額率」欄に記載されている率が、則第5条の表によって減額率の上限とされている20%を超えていないことを確認すること。20%を超えている場合は許可することができないことを教示し、減額率を見直させる等の指導を行うこと。
エ 様式第3号(「基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者」に係る申請)に係る事項
様式第3号の注意事項及び上記アの共通的事項のほか、次によること。
(ア) 減額対象労働者が受ける職業訓練が、則第3条第1項で定める職業訓練であることを確認すること。
(イ) 「減額の特例許可を必要とする理由等」欄には、許可基準の記の第2の3に定める生産活動に従事する時間数及び当該申請を行おうとする職業訓練期間の訓練年度が記入されているか確認すること。
(ウ) 「職業訓練時間数と所定労働時間数」欄の「1日当たりの職業訓練時間数」欄及び「1日当たりの所定労働時間数」欄には、「減額の特例許可を受けようとする訓練期間」欄に記載された期間を通じての1日当たりの平均時間数が記入されているか確認すること。
(エ) 「支払おうとする賃金」欄の「減額率」欄に記入されている率が、「職業訓練時間数と所定労働時間数」欄の「1日当たりの職業訓練時間数」欄に記入された時間数を「1日当たりの所定労働時間数」欄に記入された時間数で除した率以下となっていることを確認すること。当該除した率を超えている場合は、上記ウの(イ)に準じて取り扱うこと。
オ 様式第4号(「軽易な業務に従事する者」に係る申請)に係る事項
様式第4号の注意事項及び上記アの共通的事項のほか、「減額の特例許可を必要とする理由等」欄には、他の一般労働者の従事する業務と比較した減額対象労働者の業務の負担の程度等が記入されているか確認すること。
カ 様式第5号(「断続的労働に従事する者」に係る申請)に係る事項
様式第5号の注意事項及び上記アの共通的事項のほか、次によること。
(ア) 「実作業時間数と手待ち時間数」欄の「実作業時間数」欄に記入された時間数が「手待ち時間数」欄に記入された時間数未満となっているか確認すること。実作業時間数が手待ち時間数以上となっている場合は、上記ウの(イ)に準じて取り扱うこと。
(イ) 「支払おうとする賃金」欄の「減額率」欄に記入された率については、以下の計算式で算出される率以下となっているか確認すること。当該算出される率を超えている場合は、上記ウの(イ)に準じて取り扱うこと。
実作業時間数:a 手待ち時間数:b
減額率=0.4b/(a+b)
(2) 特定最低賃金の適用の有無の確認
ア 地域別最低賃金のみに係る許可申請である場合
申請事業場について、特定最低賃金が適用される事業場でないこと、又は特定最低賃金が適用される事業場であっても、適用除外業務に従事している等の理由によって減額対象労働者には当該特定最低賃金の適用がないことを確認すること。減額対象労働者に特定最低賃金が適用されることが判明した場合は、申請書は受理せず、当該特定最低賃金についても減額の特例許可の申請を行う必要があることを教示すること。
イ 特定最低賃金に係る許可申請である場合
(ア) 地域別最低賃金及び特定最低賃金の双方に係る申請の場合
減額対象労働者に特定最低賃金が適用されることを確認すること。特に特定最低賃金については、年齢、業務内容等で適用が除外される場合があることに留意すること。
(イ) 特定最低賃金のみに係る申請の場合
特定最低賃金のみに係る申請の場合は、許可となった場合であっても特定最低賃金のみについての許可となり、地域別最低賃金については減額を許可することができないものであることを教示すること。
具体的には、以下のとおり行うこと。
a 減額の特例許可申請書の支払おうとする賃金の金額が、地域別最低賃金を下回る申請の場合
たとえ特定最低賃金の減額の特例許可を受けたとしても、法第6条第1項に基づき地域別最低賃金額以上の賃金を支払う必要があることを説明した上で、地域別最低賃金の減額の特例許可申請を行うように教示し、地域別最低賃金について申請を行うか否かの判断を求め、その上で受理すること。
b 減額の特例許可申請書の支払おうとする賃金の金額が、地域別最低賃金以上である場合
次の点を説明の上、地域別最低賃金の減額の特例許可申請を行うか否かを確認すること。
(a) 申請労働者には地域別最低賃金の適用もあり、地域別最低賃金が改定された結果、減額された特定最低賃金を上回った場合には、法第6条第1項に基づき改定された地域別最低賃金が適用されること。
(b) 減額後の特定最低賃金が地域別最低賃金を上回っていても、地域別最低賃金の減額の特例許可申請は可能であること。
(c) 地域別最低賃金の減額の特例許可を受けた場合には、新法第6条第2項の規定に基づき新法第4条第1項違反の罰則は地域別最低賃金の減額の特例許可を受けた額を下回ったときに適用されること。
(3) 複数の労働者を包括して許可申請する場合
「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」に係る申請を除き、複数の労働者を包括して許可申請することができること。ただし、その場合には、減額対象労働者を特定するため、減額対象労働者全員の氏名と生年月日を記載した名簿が許可申請書に添付されていることを確認すること。
また、包括申請が行えるのは、業務の種類、労働の態様が減額対象労働者すべてについて同一である場合であるので、包括申請の場合はこの点を申請者に確認すること。
(4) 派遣労働者について申請する場合
派遣労働者に適用する最低賃金については、派遣先事業場に適用される最低賃金であることから、派遣労働者について許可申請する場合は、申請書の提出先都道府県労働局長名に当該派遣先事業場を管轄する都道府県労働局長を記入させ、派遣元事業場を管轄する労働基準監督署に2部提出させるものであること。
この場合、派遣先事業場の名称、所在地及び業種を申請書の「労働の態様」欄に記入させるとともに、減額の特例許可事務は、派遣先事業場を管轄する労働基準監督署及びそれを管轄する都道府県労働局で実施すること、調査に協力すること等を教示すること。
(5) 許可申請書の部数
許可申請書は2通(局分、許可書又は不許可通知書を申請者に交付する際に添付する分各1通)提出させること(則第17条)。
(6) 許可申請書の様式
則第18条により様式の任意性が認められていることから、定められている様式以外の様式を用いても差し支えないこと。ただし、その場合は必要項目がすべて記載されている必要があること。
また、旧法第8条の許可申請書の様式が現に存する場合、当分の間はこれに必要な修正を施した上で使用して差し支えないこと(最低賃金法施行規則等の一部を改正する省令附則第5条)。
2 不備・返戻
申請書の形式審査の結果、様式に必要記載事項が記入されていない場合は、必要記載事項が記入されていないことから受理できない旨伝え、返戻すること。なお、この場合、リーフレットによる記入例を示すなどして、記入要領等を適宜説明すること。
また、法令及び許可基準に照らし許可できない内容が記入されている場合は、当該内容では法令及び許可基準に照らして許可できない旨教示し、内容の見直しを指導した上で返戻すること。指導を行ってもなお同様の内容での申請を行う意思を申請者が示した場合は受理することとし、指導の内容及び経過について下記4の受付・処理経過簿に記載しておくこと。
3 取下げ
申請取下げの申し出がなされた場合は、申請者に取下げ書の提出を求め、それと引き換えに申請書を返戻すること。また、その内容及び経緯について下記4の受付・処理経過簿に記載しておくこと。
4 受付・処理経過簿の記載事項
許可申請書の受付・処理経過を明らかにしておくため、受付・処理経過簿を作成し、①許可申請書の受付年月日、②申請事業場名、③減額対象労働者名、④減額対象労働者の区分、⑤許可書又は不許可通知書の番号、⑥許可書又は不許可通知書の交付年月日、⑦許可の有効期間、⑧許可した減額率及び金額、⑨新規許可又は再許可の別、⑩受領者の氏名、⑪教示事項等のその他必要事項を記録しておくこと。
5 標準処理期間
行政手続法(平成5年法律第88号)第6条の「標準処理期間」については、平成6年9月30日付け基発第612号・婦発第273号(改正:平成11年3月31日付け基発第179号・女発第109号)「行政手続法の施行について」により、正当な理由がある場合を除き原則として15日以内とされていることに留意すること。
Ⅲ 調査
1 調査に当たって
調査は、申請者に対して、減額の特例許可事由に該当する事実を申請書によってできる限り具体的かつ客観的に明らかにさせた上で、当該申請内容の事実確認を行うものであり、下記「2 調査の実施」で示しているとおり、原則として全数実地調査を実施し、減額対象労働者の労働実態を十分に把握するとともに、必要に応じ同僚労働者、家族等の関係者からも意見を聴取する等慎重に処理を行うこと。
2 調査の実施
(1) 実地調査の原則
ア 申請内容の事実確認は原則として全数実地調査によること。
ただし、次の場合は実地調査を省略して差し支えないこと。
(ア) 「基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者」又は「断続的労働に従事する者」に係る許可の有効期間の満了に伴う再許可申請であって、許可申請書の添付資料その他により、「支払おうとする賃金」の額以外の事項に変更がないと判断される場合。
(イ) 「断続的労働に従事する者」に係る許可を受けている使用者が、当該減額対象労働者の人事異動等に伴い新たに申請を行うものであって、「労働の態様」に変化がなく、減額対象労働者のみの変更であると認められる場合。
イ 「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」に係る許可申請については、次のとおり取り扱うこと。
(ア) 新規の申請については、全数実地調査を行うこと。
(イ) 2回目の申請(初回の再許可申請)についても全数実地調査とすること。
(ウ) 3回目の申請(2回目の再許可申請)については、2回目の申請時の調査において減額対象労働者の労働能力の向上が認められなかった場合で、「支払おうとする賃金」の額以外の事項に変更がないと判断されるものについて、実地調査を省略することも可とすること。
(2) 事前準備
実地調査を実施する際は、予め申請者に調査項目、調査内容、必要な資料等を連絡し、調査が円滑に実施できるよう配慮すること。
(3) 減額対象労働者等の面接
実地調査に当たっては、減額対象労働者又は同僚労働者等に面接し、実情を把握すること。
(4) その他の留意事項
実地調査終了後に使用者等から意見を求められた場合は、処分についての予断を与えるような発言を行わないこと。また、特に「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」に係る申請の調査に当たっては、減額対象労働者のプライバシーに十分配慮し、誤解を与えるような言動がないよう留意すること。
Ⅳ 減額対象労働者の区分別の調査に当たっての留意事項
減額対象労働者の区分別に法令及び許可基準に基づいた調査を実施するに当たっての留意事項は次のとおりである。
1 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者(新法第7条第1号関係)
【許可基準】 1 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者(新法第7条第1号関係) (1) 精神又は身体の障害がある労働者であっても、その障害が当該労働者に従事させようとする業務の遂行に直接支障を与えることが明白である場合のほかは許可しないこと。 (2) 当該業務の遂行に直接支障を与える障害がある場合にも、その支障の程度が著しい場合にのみ許可すること。この場合に、支障の程度が著しいとは、当該労働者の労働能率の程度が当該労働者と同一又は類似の業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、最低位の能力を有するものの労働能率の程度にも達しないものであること。 【則第5条で定める減額率】 減額対象労働者と「同一又は類似の業務に従事する労働者であつて、減額しようとする最低賃金と同程度以上の賃金が支払われているもののうち、最低位の能力を有するものの労働能率の程度に対する」当該減額対象労働者の「労働能率の程度に応じた率を百分の百から控除して得た率」以下の率であって、「当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を勘案して」減額率を定めること。 |
(1) 趣旨
「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い」労働者についても最低賃金を適用することとすると、これらの労働者の雇用の機会が阻害され、かえって労働者に不利な結果を招くおそれがあることから、これを減額の特例許可の対象としたものである。
したがって、精神又は身体の障害があることのみを理由に減額の特例許可を行うものではなく、それらの障害が原因で、就労しようとする業務を行う能力が著しく低い場合にのみ許可するものであること。
(2) 「精神又は身体の障害」の有無の判断
ア 「精神の障害」としては、精神障害又は知的障害が、また、「身体の障害」としては身体障害者福祉法施行規則別表第5号(第5条関係)の「身体障害者障害程度等級表」に掲げられている障害が対象になると考えられるが、これらに該当しない「精神又は身体の障害」についても、それが原因となって従事する業務に直接著しい支障を与えることが明白な場合は、許可の対象となり得るものであるので、個々の実態に応じて慎重に判断すること。
なお、高齢労働者の加齢による心身の衰えについては、「精神又は身体の障害」には該当しないものであることに留意すること。
イ 減額対象労働者の「精神又は身体の障害」の有無についての判断に当たっては、原則として、次に例示するような客観的資料によること。
なお、これらの資料(写しを含む。)の提出を求めるに際しては、個人情報保護の観点から、申請者から減額対象労働者又はその親権者、後見人等の了解を得るなど、その取扱に慎重を期すこと。
(ア) 精神の障害の場合
a 精神障害
・ 都道府県知事(政令指定都市では市長)が発行する「精神障害者保健福祉手帳」
・ 精神保健指定医その他精神障害者の診断又は治療に従事する医師の「診断書」、「意見書」
・ 公共職業安定所長が発行する「特定求職者雇用開発助成金支給決定通知書」
b 知的障害
・ 都道府県知事(政令指定都市では市長)が発行する「療育手帳」
・ 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医、又は障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)第19条第1項の障害者職業センターによる知的障害があるとの「判定書」
・ 公共職業安定所長が発行する「特定求職者雇用開発助成金支給決定通知書」
(イ) 身体の障害の場合
・ 都道府県知事(政令指定都市では市長)が発行する「身体障害者手帳」
・ 公共職業安定所長が発行する「特定求職者雇用開発助成金支給決定通知書」
ウ 上記イで示した客観的資料の提出を求めること又は入手することが困難な場合は、使用者が把握している事項(言語、動作等の状況、産業医の意見、労働能率の低さがいわゆる不器用等に起因したものではないことの証明等)を詳細に聴取するほか、実地調査等により減額対象労働者の状態を十分観察するとともに、減額対象労働者の同僚労働者、家族、施設関係者、医師等からも幅広く意見を聴取して「精神又は身体の障害」の有無の判断をすること。
エ これらの資料の提出を求める場合、関係者からの事情聴取を行う場合等に当たっては、減額対象労働者のプライバシーの保護に十分に配慮し、慎重を期すこと。
(3) 「著しく労働能力が低い」ことの判断
「著しく労働能力が低い」とは、上記(2)により「精神又は身体の障害」を有すると判断された減額対象労働者について、その障害が当該労働者に従事させようとする業務の遂行に直接著しい支障を与えることが明白である場合のことであり、それ以外は許可しないこと。
この場合に、支障の程度が著しいとは、当該労働者の労働能率の程度が当該労働者と同一又は類似の業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、最低位の能力を有するものの労働能率の程度にも達しないものであることから、それに該当する場合は、「著しく労働能力が低い」と判断するものであること。
(4) 最低賃金の減額の率(則第5条)
上記(2)、(3)により減額対象労働者が「精神又は身体の障害により著しく労働能力が低い者」と判断された場合は、則第5条の減額率を算定すること。
減額率は、則第5条の表による率を上限と算定し、同条柱書の当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等の要素を総合的に勘案して定めることになるので、次の手順で調査、審査すること。
ア 比較対象労働者の選定
減額対象労働者と労働能率の程度を比較する労働者(以下「比較対象労働者」という。)は、原則として申請事業場の他の労働者のうち減額対象労働者と同一又は類似の業務に従事する労働者であって、かつ、減額の特例の許可を受けようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているものの中から、最低位の能力を有するものを選定すること。
なお、特定最低賃金及び地域別最低賃金の双方について減額特例の許可を受けようとする場合、同一又は類似の業務に従事する比較対象労働者は、特定最低賃金及び地域別最低賃金の双方の適用を受ける基幹的労働者の中から選定することになり、結果的に比較対象労働者は二つの最低賃金とも同一人物になることに留意すること(当該事業場で地域別最低賃金のみが適用される労働者は基幹的労働者に該当せず、減額対象労働者と同一又は類似の業務に従事する労働者に該当しないことから、比較対象労働者とならないこと。)。
また、上記に該当する労働者がいない場合は、当該事業場の無技能者、未熟練者等の中から適当な者を選定し、同一又は類似の業務に試験的に従事させて比較することとしても差し支えないこと。
イ 則第5条の表による率の算出
減額対象労働者及び比較対象労働者の労働能率は、従事させる作業の実績により数量的に把握し、当該数値をもって比較判断すること。
このため、実地調査時には労働能率が低い事実を客観的に証明する資料として使用者から過去2週間程度の減額対象労働者及び比較対象労働者の作業実績に関する資料の提出を求めるとともに、その内容を確認すること。ただし、減額対象労働者の労働能率が一定している場合には、当該者の作業実績を把握するための期間を短縮しても差し支えないこと。
また、比較対象労働者の作業実績を把握するための期間については、1日として差し支えないこと。
なお、減額対象労働者と比較対象労働者の労働能率を比較するに際しては、例えば、物品の製造、修理又は加工の場合には、1日の作業終了後に合格水準に到達しているものの個数の割合、また、清掃等の役務の提供の場合には、その内容が一定水準に到達するまでに要する時間数(例:清掃等が完了したと認められるまでの時間数)等を勘案すること。
以上の調査結果に基づいて、上記アで選定した比較対象労働者の労働能率の程度を100分の100としたときの、減額対象労働者の労働能率の程度に応じた率を算出し、当該算出された率を100分の100から控除して得た率を則第5条の表による率とすること。
【則第5条の表による率の算出例】
比較対象労働者の労働能率の程度を100分の100とした場合、減額対象労働者の労働能率の程度が100分の60であるときは、則第5条の表による率は、次のとおり40%となる。
(100/100-60/100)×100=40(%)
ウ 職務の内容等の勘案(則第5条柱書)
上記ア及びイにより則第5条の表による率を上限として算出した後、個々の減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等の要素を総合的に勘案して減額率を定めること。
なお、これらの要素の内容としては、次のものが例として考えられること。
(ア) 職務の内容
職務の困難度、責任の度合い等。
(イ) 職務の成果
一定時間当たりの労働によって得られる成果等。
(ウ) 労働能力
指示の必要性、複数業務の遂行の可否等。
(エ) 経験
これまでの経験と、その経験を生かしてどのような能力を発揮することが期待できるか等。
そのため、これらの要素について使用者からの資料の提出、意見の聴取、実地調査等を行って確認すること。
また、減額率は小数点第2位を切り捨て、小数点第1位までとすること。
ところで、則第5条の柱書において、減額率の上限は、上記イにより算出した率であるとされていることから、減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を理由に減額率を引き上げること、即ち、最低賃金額を引き下げることはできないことに留意すること。
更に、減額対象労働者の労働能力の向上についてフォローアップを図るため、今後の労働能力等の向上の可能性等についても調査しておくこと。
(5) 最低賃金の減額後の額(法第7条)
ア 減額後の最低賃金額の算出
減額の特例許可申請があった件名の最低賃金額に上記(4)により定めた減額率を乗じて減額する額を算出し、その減額する額を当該最低賃金額から減じて減額後の最低賃金額を算出すること。
また、当該最低賃金額に減額率を乗じることにより、1円未満の端数が生じることがあるが、許可する減額率を上回る減額が行われてはならないことから、この場合は全て切捨てとなることに留意すること。
【減額した額の端数の切捨て例】 地域別最低賃金が703円の場合において、審査の結果、減額率を20%と定めたとき、減額する額は、703円×0.2=140.6円である。 この場合、減額する額を141円とすると減額率は20.06%、減額する額を140円とすると19.92%となる。許可する減額率を上回る減額が行われてはならないことから、減額する額の1円未満を切り捨てて、140円が減額する額となり、減額後の最低賃金額は563円となる。 |
イ 「支払おうとする賃金」の「金額」との比較
上記アにより算出した減額後の最低賃金額を、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額と比較し、支払おうとする賃金額が減額後の最低賃金額を下回らないことを確認すること。
「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄の金額が、時間額である場合にはそのまま比較し、日、月などの時間以外の期間又は出来高払制その他の請負制によって定められている場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
比較に当たっては、次の事項に留意すること。
・ 法第4条第3項各号の最低賃金に算入しない賃金が含まれていないこと。
・ 当該賃金が含まれていた場合は、申請書の注意書を教示し、申請書を補正させること。
・ 当該賃金が含まれていなかった場合、又は含まれていても申請書を補正させた場合は、「金額」欄に記入された金額が時間額である場合にはそのまま比較することとし、時間額以外の場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
(6) 許可の判断
減額の特例許可申請について、上記により調査、審査した結果を法令及び許可基準に当てはめて、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額及び「減額率」欄に記入された率について許可してよいかを判断すること。
(7) その他の留意事項
ア 特定最低賃金の減額特例の許可の申請がなされた場合の留意事項
精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者が、「雇い入れ後6月未満(又は3月未満)の者であって、技能習得中のもの」に該当する場合は、特定最低賃金が適用されず、地域別最低賃金のみが適用される。
ついては、特定最低賃金について減額の特例許可申請がなされた場合は、減額対象労働者が「雇い入れ後6月未満(又は3月未満)の者であって、技能習得中のもの」かどうかを確認すること。
「雇い入れ後6月未満(又は3月未満)の者であって、技能習得中のもの」でないと確認された場合は、地域別最低賃金の減額の特例許可申請とともに受理すること。なお、特定最低賃金の減額の特例許可のみの申請の場合は、Ⅱの1の(2)のイに基づき対応すること。
「雇い入れ後6月未満(又は3月未満)の者であって、技能習得中のもの」であると確認された場合は、地域別最低賃金のみが適用されることを説明し、特定最低賃金に係る減額の特例許可申請は受理せず、地域別最低賃金に係る減額の特例許可申請のみを受理すること。
この場合の比較対象労働者は、地域別最低賃金のみが適用される同一又は類似の業務に従事している基幹的労働者で、「雇い入れ後6月未満(又は3月未満)の者であって、技能習得中のもの」の中から減額の特例の許可を受けようとする地域別最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、最低位の能力を有するものを選定すること。
該当する労働者がいない場合は、当該事業場の特定最低賃金が適用されている同一又は類似の業務に従事している基幹的労働者を選定して比較することとしても差し支えないが、その場合は、当該比較対象労働者と地域別最低賃金しか適用されない「雇い入れ後6月未満(又は3月未満)の者であって、技能習得中のもの」との間には、労働能率の差があることを勘案して比較すること。
この場合の地域別最低賃金の減額の特例許可の有効期間は、雇い入れ後6月未満(又は3月未満)までとすること。
許可書を交付する際は、次の事項を教示すること。
・ 雇い入れ後6月(又は3月)から特定最低賃金も適用されること。
・ 次回、減額の特例許可申請をする時は、特定最低賃金、地域別最低賃金双方について申請すること。
・ 申請に当たり、当該特定最低賃金が適用される基幹労働者の中で、減額特例の許可を受けようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているものの中から、最低位の能力を有するものを比較対象労働者として選定すること。
イ 減額対象労働者への使用者からの説明
最低賃金を減額することについての減額対象労働者の同意は減額の特例の許可の要件ではないが、当該労働者に対して説明等がないままに申請がなされ、許可が行われた場合には労使のトラブルが懸念されることから、使用者に対して、減額対象労働者又はその後見人等へ減額の特例の許可の申請を行うこと及び支払おうとする賃金額について説明を行っておくことを指導すること。なお、減額対象労働者等からの同意書等を申請書に添付する必要はないものであること。
ウ 周知義務及び周知方法上の留意点
法第8条で最低賃金の適用を受ける使用者は当該最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならないとされている。
そのため、使用者は、減額の特例の許可を受けた労働者に対し、減額した最低賃金の概要を周知するための措置を取らなければならないが、個人名を明記して減額された最低賃金額を掲示することは、個人情報の漏洩に当たるため、本人にのみ通知することを許可書交付時に教示し、記録しておくこと。
エ 許可期間
減額対象労働者の能力の向上についてフォローアップを図るため、最初の許可申請に係る許可期間は1年以内とすること。同一労働者及び同一業務に係る第2回目以降の許可申請に係る許可期間は、減額対象労働者の能力の向上等の可能性の余地がある場合には1年以内とし、それ以外の場合は最長3年までとする。
オ 調査
申請内容の確認及び調査官の判断根拠を得るために実地調査を行うこと。
なお、許可の有効期間の満了に伴う同一労働者、同一業務に係る再申請の場合は、当該申請が3回目以降のもので、かつ、前回許可から減額対象労働者の能力の向上等の実績がないことが申請書等で明らかであり、支払おうとする賃金額以外の事項に変更がないと判断される場合は、実地調査を省略することも可とする。ただし、その場合であっても、減額対象労働者の労働能率の程度を判断する必要があることに留意すること。
カ 就労継続支援A型事業の労働者について
障害者自立支援法(平成17年法律第123号)に基づき就労継続支援A型事業を行う事業場から、「【障害者自立支援法に基づく就労継続支援A型事業所用】最低賃金の減額の特例許可作業実績、作業能力に関する資料」が提出された場合は、上記(4)の「イ 則第5条の表による率」の算出の際の資料として活用すること。
2 試の使用期間中の者(新法第7条第2号)
【許可基準】 2 試の使用期間中の者(法第7条第2号関係) (1) 試の使用期間とは、当該期間中又は当該期間の後に本採用をするか否かの判断を行うための試験的な使用期間であって、労働協約、就業規則又は労働契約において定められているものをいうこと。したがって、その名称の如何を問わず、実態によって本号の適用をするものであること。 (2) 当該業種、職種等の実情に照らし必要と認められる期間に限定して許可すること。この場合、その期間は最長6か月を限度とすること。 【則第5条で定める減額率】 100分の20以下の率であって、「当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を勘案して」減額率を定めること。 |
(1) 趣旨
本採用をするか否かの「試の使用期間中の者」は、その事業又は職業に必要な知識や技能等が十分とは言えず、他の労働者と比較して十分な労働成果が期待されないことから、減額の特例許可の対象としているところである。ただし、これらの者は、試験的な期間の終了後は当然に本採用へ移行して一般の労働者とほぼ同様の労務を提供することが予定されていることから、単に試の使用期間であるというだけで許可するものではなく、「当該業種、職種等の実情に照らして必要と認められる期間」に限定して許可するものとしているものである。
(2) 「試の使用期間中の者」の判断
「試の使用期間中の者」は、次のすべての要件を満たしている者とする。
ア 試の使用期間の後に本採用が予定されていること。すなわち、試の使用期間後にそのまま本採用に自動的に移行する場合もあれば、本採用の契約を新たに締結する場合もありえるが、試の使用期間のみが定まっていて当該期間の経過後の扱いがどうなるかが明確でないものは、試の使用期間ではないこと。
イ 試験的な使用期間であること。すなわち、試の使用期間中又はその満了後に、使用者が本採用するかどうかを決定し、不適格の場合には解雇し得ることとなっているいわば労働者の身分の不安定な時期であること。
(3) 「当該業種、職種等の実情に照らし必要と認められる期間」の判断
「当該業種、職種等の実情に照らし必要と認められる期間」とは、次のいずれかの要件を満たす場合において、その実情に照らし必要と認められる期間で、最長6か月を限度とすること。
ア 当該地域における当該業種又は職種の本採用労働者の賃金水準が最低賃金額と同程度であること。
イ 当該地域における当該業種又は職種の本採用労働者に比較して、試の使用期間中の労働者の賃金を著しく低額に定める慣行が存在する等減額対象労働者の賃金を最低賃金額未満とすることに合理性があること。
なお、上記の「当該地域」とは、最低賃金の減額の特例許可を受けようとする最低賃金が設定されている地域のことであり、単に申請事業場周辺の限られた地域をいうものではないことに留意すること(例:東京都最低賃金が適用される地域においては、「当該地域」は「東京都」となること。)。
(4) 最低賃金の減額の率(則第5条)
減額率は、則第5条の表による率を上限とし、個々の減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等の要素を総合的に勘案して定めること。
なお、これらの要素の内容としては、次のものが例として考えられること。
ア 職務の内容
職務の困難度、責任の度合い等。
イ 職務の成果
一定時間当たりの労働によって得られる成果等。
ウ 労働能力
指示の必要性、複数業務の遂行の可否等。
エ 経験
これまでの経験と、その経験を生かしてどのような能力を発揮することが期待できるか等。
また、減額率は小数点第2位を切り捨て、小数点第1位までとすること。
なお、減額率の上限は、100分の20と則第5条の表で定められていることから、減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を理由に、100分の20の減額率を引き上げること(最低賃金額を引き下げること)はできないことに留意すること。
(5) 最低賃金の減額後の額(法第7条)
ア 「減額最低賃金額」の算出
減額の特例許可申請があった件名の最低賃金額に上記(4)により定めた減額率を乗じて減額する額を算出し、その減額する額を当該最低賃金額から減じて減額後の最低賃金額を算出すること。
減額する額については、適用される最低賃金額に減額率を乗じるため、1円未満の端数が生じることがある減額する額が減額率を超えることは出来ないことから、1円未満の端数は、全て切捨てとなることに留意すること。
【減額した額の端数の切捨て例】 地域別最低賃金が703円の場合において、審査の結果、減額率を15%と定めたとき、減額する額は、703円×0.15=105.5円である。 この場合、減額する額を106円とすると減額率は15.07%、減額する額を105円とすると14.93%となる。許可する減額率を上回る減額が行われてはならないことから、算出額の1円未満を切り捨てて、105円が減額する額となり、減額後の最低賃金額は598円となる。 |
イ 「支払おうとする賃金の金額」との比較
上記アにより算出した減額後の最低賃金額を、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額と比較し、支払おうとする賃金額が減額後の最低賃金額を下回らないことを確認すること。
「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄の金額が、時間額である場合にはそのまま比較し、日、月などの時間以外の期間又は出来高払制その他の請負制によって定められている場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
比較に当たっては、次の事項に留意すること。
・ 法第4条第3項各号の最低賃金に算入しない賃金が含まれていないこと。
・ 当該賃金が含まれていた場合は、申請書の注意書を教示し、申請書を補正させること。
・ 当該賃金が含まれていなかった場合、又は含まれていても申請書を補正させた場合は、「金額」欄に記入された金額が時間額である場合にはそのまま比較することとし、時間額以外の場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
(6) 許可の判断
減額の特例許可申請について、上記により調査、審査した結果を法令及び許可基準に当てはめて、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額及び「減額率」欄に記入された率について許可してよいかを判断すること。
(7) その他の留意事項
ア 特定最低賃金の減額の特例許可申請がなされた場合の留意事項
試の使用期間中の者が、「雇い入れ後6月未満(又は3月未満)の者であって、技能習得中のもの」に該当する場合は、当該特定最低賃金を適用せず、地域別最低賃金のみが適用される。
ついては、特定最低賃金について減額の特例許可申請がなされた場合は、減額対象労働者である試の使用期間中の者が、「雇い入れ後6月未満(又は3月未満)の者であって、技能習得中のもの」かどうかを確認すること。
「雇い入れ後6月未満(又は3月未満)の者であって、技能習得中のもの」でないと確認された場合は、地域別最低賃金の減額の特例許可申請とともに受理すること。なお、特定最低賃金の減額の特例許可のみの申請の場合は、Ⅱの1の(2)のイに基づき対応すること。
「雇い入れ後6月未満(又は3月未満)の者であって、技能習得中のもの」であると確認された場合は、地域別最低賃金のみが適用されることを説明し、特定最低賃金に係る減額の特例許可申請は受理せず、地域別最低賃金に係る減額の特例許可申請のみを受理すること。
この場合、地域別最低賃金の減額の特例許可の期間は、雇い入れ後6月未満(又は3月未満)とすること。
イ 減額対象労働者への使用者からの説明
最低賃金を減額することについての減額対象労働者の同意は減額許可の要件ではないが、減額対象労働者に対して説明等がないままに申請がなされ、許可が行われた場合には労使のトラブルが懸念されることから、使用者に対して、減額対象労働者へ減額許可申請を行うこと及び支払おうとする賃金額について説明を行っておくよう求めること。なお、減額対象労働者からの同意書を申請書に添付する必要はないものである。
ウ 周知義務及び周知方法上の留意点
法第8条で最低賃金の適用を受ける使用者は当該最低賃金額等の概要を常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならないとされている。
そこで、減額の特例を受けた労働者に対し、その概要を周知するための措置を取らなければならないが、個人名を明記して減額の特例された最低賃金の概要を掲示することは、個人情報の漏洩に当たるため、使用者から本人にのみ通知することを許可書交付時に教示し、記録しておくこと。
エ 許可期間
上記2の(3)により必要と認められる期間とすること。
3 職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であって厚生労働省令で定めるもの(法第7条第3号、則第3条第1項関係)
【許可基準】 3 職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であって厚生労働省令で定めるもの(新法第7条第3号、則第3条第1項関係) 職業訓練中であっても、訓練期間を通じて1日平均の生産活動に従事する時間(所定労働時間から認定を受けて行われる職業訓練の時間(使用者が一定の利益を受けることとなる業務の遂行の過程内において行う職業訓練の時間を除く。)を除いた時間)が、所定労働時間の3分の2程度以上である訓練年度については、許可しないこと。 なお、訓練期間が2年又は3年であるものの最終年度については、原則として許可しないこと。 【則第3条第1項】 法第7条第3号の厚生労働省令で定める者は、職業能力開発促進法施行規則(昭和44年労働省令第24号)第9条に定める普通課程若しくは短期課程(職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させるためのものに限る。)の普通職業訓練又は同条に定める専門課程の高度職業訓練を受ける者であって、職業を転換するために当該職業訓練を受けるもの以外のものとする。 【則第5条で定める減額率】 「当該者の所定労働時間のうち、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練の時間(使用者が一定の利益を受けることとなる業務の遂行の過程内において行う職業訓練の時間を除く。)の1日当たりの平均時間数を当該者の1日当たりの所定労働時間数で除して得た率」以下の率であって、「当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を勘案して」減額率を定めること。 |
(1) 趣旨
「職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であって厚生労働省令で定めるもの」(以下「認定職業訓練を受ける者」という。)は、その作業が訓練の一部であることから、必ずしも十分な労働成果が期待されず、一律に最低賃金を適用すれば、訓練、ひいては雇用の機会を阻害するおそれがあることから、これを減額の特例許可の対象としたものである。
(2) 認定職業訓練を受ける者の判断
ア 職業能力開発促進法第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練には、普通職業訓練と高度職業訓練とがあり、これらの訓練課程を区分すると次の表のとおりである。
職業訓練の種類 |
長期間の訓練課程 |
短期間の訓練課程 |
普通職業訓練 |
普通課程 |
短期課程 |
高度職業訓練 |
専門課程 |
専門短期課程 |
|
応用課程 |
応用短期仮過程 |
そのうち、許可の対象となる労働者は、職業能力開発促進法施行規則(昭和44年労働省令第24号)第9条に定める
① 普通課程の普通職業訓練
② 短期課程(職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させるためのものに限る)の普通職業訓練
③ 専門課程の高度職業訓練
を受ける者であって、「職業を転換するために当該職業訓練を受けるもの以外のもの」のみに限っていること。(則第3条第1項)
イ いわゆる見習工、養成工等として訓練を受けている者であっても、認定職業訓練を受ける者でなければ、許可の対象とならないこと。
ウ 調査に当たっての留意事項
職業訓練の内容を把握するに当たっては、必要に応じて、訓練実施計画、就業規則等の確認を行うこと。
なお、職業訓練を行っている施設は、都道府県職業能力開発主管課において把握していることから、必要に応じて確認すること。
(3) 減額率の算定(則第5条)
ア 則第5条の表による率
則第5条の表に定めた「当該者の所定労働時間のうち、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練の時間(使用者が一定の利益を受けることとなる業務の遂行の過程内において行う職業訓練の時間を除く。)の1日当たりの平均時間数を当該者の1日当たりの所定労働時間数で除して得た率」は、次により算出すること。
(ア) 1日平均の所定労働時間数(A)の算出方法
1日平均の所定労働時間数は、職業訓練期間中の所定労働日ごとの所定労働時間数が同一である場合には、1日の所定労働時間数とする。
また、職業訓練期間中の所定労働日ごとの所定労働時間数が異なる場合は、訓練期間中の総所定労働時間数を算出し、それを職業訓練期間中の所定労働日数で除して算出すること。
(イ) 1日平均の職業訓練時間数(B)の算出方法
1日平均の職業訓練時間数は、職業訓練期間中の総職業訓練時間数を算出し、それから、使用者が一定の利益を受けることとなる業務の遂行の過程内において行う職業訓練の時間数を減じたものを、職業訓練期間中の所定労働日数で除して算出すること。
(ウ) 則第5条の表による率の算出方法
次の算式で算出するが、少数点以下第2位以下の端数が生じるときは、これを切り捨て、少数点以下第1位とすること。
則第5条の表による率=(1日平均の職業訓練時間数(B)/1日平均の所定労働時間数(A))×100
【則第5条の表による率の算出例】
1日平均の所定労働時間数(A)が8時間、1日平均の職業訓練時間数(B)が3時間とした場合、則第5条の表による率は、次のとおり37.5%となる。
3時間÷8時間×100=37.5%
イ 職務の内容等の勘案(則第5条柱書)
上記アにより則第5条の表の規定による率を上限として算出した後、個々の減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等の要素を総合的に勘案して減額率を定めること。
なお、これらの要素の内容としては、次のものが例として考えられること。
(ア) 職務の内容
職務の困難度、責任の度合い等。
(イ) 職務の成果
一定時間当たりの労働によって得られる成果等。
(ウ) 労働能力
指示の必要性、複数業務の遂行の可否等。
(エ) 経験
これまでの経験と、その経験を生かしてどのような能力を発揮することが期待できるか等。
また、減額率は小数点第2位を切り捨て、小数点第1位までとすること。
なお、則第5条の柱書において、減額率の上限は、上記アの(ウ)により算出した率であるとされていることから、減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を理由に減額率を引き上げること、即ち、最低賃金額を引き下げることはできないことに留意すること。
(4) 最低賃金の減額後の額(法第7条)
ア 減額した最低賃金額の算出
減額の特例許可申請があった件名の最低賃金額に上記(3)により定めた減額率を乗じて減額する額を算出し、その減額する額を当該最低賃金額から減じて減額後の最低賃金額を算出すること。
減額する額については、適用される最低賃金額に減額率を乗じるため、1円未満の端数が、生じることがある。この場合、減額した額が、減額率を超えることは出来ないことから、1円未満の端数は、全て切捨てとなることに留意すること。
【減額した額の端数の切捨て例】 地域別最低賃金が702円の場合、審査の結果、減額率37.5%と定めた場合、減額額は、702円×0.375=263.25円である。 この場合、減額額を264円とすると減額率は37.6%、減額額を263円とすると37.46%となる。減額率は上限であることから、37.5%以下とするためには、算出額の1円未満を切り捨てて、263円が減額する額になり、減額した最低賃金は439円となる。 |
イ 「支払おうとする賃金の金額」との比較
上記アにより算出した減額後の最低賃金額を、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額と比較し、支払おうとする賃金額が減額後の最低賃金額を下回らないことを確認すること。
「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄の金額が、時間額である場合にはそのまま比較し、日、月などの時間以外の期間又は出来高払制その他の請負制によって定められている場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
比較に当たっては、次の事項に留意すること。
・ 法第4条第3項各号の最低賃金に算入しない賃金が含まれていないこと。
・ 当該賃金が含まれていた場合は、申請書の注意書を教示し、申請書を補正させること。
・ 当該賃金が含まれていなかった場合、又は含まれていても申請書を補正させた場合は、「金額」欄に記入された金額が時間額である場合にはそのまま比較することとし、時間額以外の場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
(5) 許可の判断
減額の特例許可申請について、上記により調査、審査した結果を法令及び許可基準に当てはめて、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額及び「減額率」欄に記入された率について許可してよいかを判断すること。
(6) その他の留意事項
ア 特定最低賃金の減額の特例許可申請がなされた場合の留意事項
認定訓練中の者が、「雇い入れ後6か月未満(又は3か月未満)の者であって、技能習得中のもの」に該当する場合は、当該特定最低賃金を適用せず、地域別最低賃金のみが適用される。
ついては、特定最低賃金について減額の特例許可申請がなされた場合は、減額対象労働者である認定訓練中の者が、「雇い入れ6か月未満(又は3か月未満)の者であって、技能習得中のもの」かどうかを確認すること。
「雇い入れ後6か月未満(又は3か月未満)の者であって、技能習得中のもの」でないと確認された場合は、地域別最低賃金の減額の特例許可申請とともに受理すること。なお、特定最低賃金の減額の特例許可のみの申請の場合は、Ⅱの1の(2)のイに基づき対応すること。
「雇い入れ後6か月未満(又は3か月未満)の者であって、技能習得中のもの」であると確認された場合は、地域別最低賃金のみが適用されることを説明し、特定最低賃金に係る減額の特例許可申請は受理せず、地域別最低賃金に係る減額の特例許可申請のみを受理すること。
この場合、地域別最低賃金の減額の特例許可の期間は、雇い入れ後6月未満(又は3月未満)とすること。
許可書を交付する際は、次の事項を教示すること。
・ 雇い入れ後6月(又は3月)から特定最低賃金も適用されること。
・ 次回、減額の特例許可申請をする時は、特定最低賃金、地域別最低賃金双方について申請すること。
イ 減額対象労働者への使用者からの説明
最低賃金を減額することについての減額対象労働者の同意は減額許可の要件ではないが、減額対象労働者に対して説明等がないままに申請がなされ、許可が行われた場合には労使のトラブルが懸念されることから、使用者に対して、減額対象労働者へ減額許可申請を行うこと及び支払おうとする賃金額について説明を行っておくよう求めること。なお、減額対象労働者からの同意書を申請書に添付する必要はないものである。
ウ 周知義務及び周知方法上の留意点
第8条で最低賃金の適用を受ける使用者は当該最低賃金額等の概要を常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならないとされている。
そこで、減額の特例を受けた労働者に対し、その概要を周知するための措置を取らなければならないが、個人名を明記して減額の特例された最低賃金の概要を掲示することは、個人情報の漏洩に当たるため、使用者から本人にのみ通知することを許可書交付時に教示し、記録しておくこと。
エ 許可期間
許可基準に基づき認定職業訓練期間中の必要と認められる期間とすること。
4 軽易な業務に従事する者(法第7条第4号、則第3条第2項)
【許可基準】 4 軽易な業務に従事する者(法第7条第4号、則第3条第2項関係) 軽易な業務に従事する者として法第7条の許可申請の対象となる労働者は、その従事する業務の負担の程度が当該労働者と異なる業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、業務の負担の程度が最も軽易なものの当該負担の程度と比較してもなお軽易である者に限られること。 なお、常態として身体又は精神の緊張の少ない監視の業務に従事する者は、軽易な業務に従事する者に該当すること。 【則第3条第2項】 法第7条第4号の厚生労働省令で定める者は、軽易な業務に従事する者及び断続的労働に従事する者とする。ただし、軽易な業務に従事する者についての同条の許可は、当該労働者の従事する業務が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の従事する業務と比較して特に軽易な場合に限り、行うことができるものとする。 【則第5条で定める減額率】 減額対象労働者と「異なる業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、業務の負担の程度が最も軽易なものの当該負担の程度に対する」減額対象労働者の「業務の負担の程度に応じた率を100分の100から控除して得た率」以下の率であって、「当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を勘案して」減額率を定めること。 |
(1) 趣旨
「軽易な業務に従事する」労働者とは、一般労働者の従事する業務と比較して特に軽易な業務に従事する者のことであるが、このような労働者に一般労働者に適用される最低賃金を適用することとすると、これらの労働者の雇用の機会が阻害され、かえって労働者に不利な結果を招くおそれがあることから、減額の特例許可の対象としたものである。
したがって、業務それ自体が軽易である場合に、減額の特例許可を認めようとする趣旨ではないことに留意すること。
(2) 「軽易な業務に従事する者」について
ア 業務の進行や能率についてほとんど規制を受けない物の片付け、清掃等の本来の業務には一般的に属さない例外的なごく軽易な業務であって、かつ、当該事業場において従事する労働者数が極めて少数である業務に従事する労働者がこれに該当するものであること。
イ 特定最低賃金では、一定の「軽易な業務」を定め、当該業務に従事する者について当該特定最低賃金の適用を除外しているが、この場合の「軽易な業務」に従事する者と則第3条第2項の「軽易な業務に従事する者」とは同一のものではないことに留意すること。
ウ 当該業務が上記アの軽易な業務に該当する場合であって、次の(ア)~(オ)までに掲げるすべての項目に該当するときは許可の対象として差し支えないこと。
なお、これらの項目に該当するかどうかについては、個々の事案の実情により総合的に判断するものとし、拡大解釈して適用することは避けること。
(ア) 拘束時間が9時間以内であること。
(イ) 当該事業場における本来の業務に専ら従事するものではないこと。
「本来業務」とは、例えば、縫製工場のミシン工、電機工場の組立工、小売店の販売員等であること。
(ウ) 業務の内容が他の労働者に比べて明らかに軽易であること。
例えば、次に掲げる業務が該当する。
a 倉庫、駐車場、事務所等における物品等の監視、電話受付、伝票受付等の業務
b 事務所内の植物の手入れ、家庭用電気掃除機又は簡単な用具を用いて行う清掃又は片付け等の業務
c 手工具による簡単な加工の業務
d aからcまでの業務を時間帯に応じ、又は気がついた都度、交互に行う業務
(エ) 業務の進行及び能率について、ほとんど規制を受けていないこと。
(オ) 当該事業場に他に同種の労働者がほとんどいないこと。
エ 常態として身体又は精神の緊張の少ない監視の業務に従事する者」の判断
「常態として身体又は精神の緊張の少ない監視の業務に従事する者」とは、労働基準法第41条第3号に規定する「監視に従事する者」と同義である。ただし、当該軽易な業務と異なる業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、業務の負担の程度が最も軽易なものの当該負担の程度に対しても、なお、当該軽易な業務に従事する者の業務の負担の程度が下回るものである場合に、許可の対象となるものであること。
即ち、監視の業務に従事する者が、労働基準法第41条第3号に該当し、同法の労働時間等に関する規定の適用除外許可を受けていたとしても、法第7条の減額の特例許可を自動的に受けられるものではなく、申請に基づき調査を行った結果、許可の可否を判断するものであること。
オ 「常態として身体又は精神の緊張の少ない監視の業務」の労働態様が、実地調査等により、常態として作業が間欠的であり、則第3条第2項に規定する「断続的労働」に該当する場合は、当該「断続的労働」に係る減額の特例許可の申請に改めさせ、審査すること。
カ 「軽易な業務」については、作業能率又は作業量の把握が困難な場合が多いと思われるが、実作業時間、作業内容、作業頻度等の労働の態様を十分調査し、その業務の負担の程度を確認するとともに、同僚労働者等の意見も聴取し、その業務の負担の程度を総合的に判断すること。
(3) 減額率を定める方法(則第5条)
減額率は、則第5条の表による率を上限と算定し、当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等の要素を総合的に勘案して定めることになるので、次の手順で調査、審査すること。
ア 比較対象労働者の選定
減額対象労働者と比較すべき労働者は、原則として申請事業場の他の労働者のうち、異なる業務に従事する労働者であって、当該最低賃金額と同程度以上の額が支払われているもののうち、業務の負担の程度が最も軽易な者から選定すること。
したがって、減額対象労働者及び比較対象労働者の負担の程度について使用者及び当該労働者等から聴取する等労働実態を十分に調査すること。
イ 負担の程度の調査
減額対象労働者及び比較対象労働者の負担の程度について使用者及び当該労働者等から聴取する等調査すること。
ウ 則第5条の表による減額率
アで選定し、イで測定した比較対象労働者の当該負担の程度に対する、減額対象労働者の業務の負担の程度に応じた率を100分の100から控除して得た率を算出する。
【則第5条の表による率の算出例】
比較対象労働者の負担の程度を100分の100とした場合、減額対象労働者の負担の程度が100分の80だったときは、則第5条の表による減額率は、次のとおり20%となる。
(100÷100-80÷100)×100=20%
エ 職務の内容等の勘案(則第5条柱書)
減額率は、上記ウにより算出された減額率を上限とし、個々の減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等の減額率を引き下げる要素を勘案して減額率を定めること。
なお、これらの要素の内容としては、次のものが例として考えられること。
(ア) 職務の内容
職務の困難度、責任の度合い等。
(イ) 職務の成果
一定時間当たりの労働によって得られる成果等。
(ウ) 労働能力
指示の必要性、複数業務の遂行の可否等。
(エ) 経験
これまでの経験と、その経験を生かしてどのような能力を発揮することが期待できるか等。
また、減額率は小数点第2位を切り捨て、小数点第1位までとすること。
なお、既に減額率の上限は、上記ウにより算出されていることから、減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を理由に、減額率を引き上げること、即ち最低賃金額を引き下げることはできないことに留意すること。
(4) 最低賃金の減額後の額(法第7条)
ア 減額した最低賃金額の算出
減額の特例許可申請があった件名の最低賃金額に上記(3)により定めた減額率を乗じて減額する額を算出し、その減額する額を当該最低賃金額から減じて減額後の最低賃金額を算出すること。
減額する額については、適用される最低賃金額に減額率を乗じるため、1円未満の端数が、生じることがある。この場合、減額した額が、減額率を超えることは出来ないことから、1円未満の端数は、全て切捨てとなることに留意すること。
【減額した額の端数の切捨て例】 地域別最低賃金が702円の場合、審査の結果、減額率20%と定めた場合、減額額は、702円×0.2=140.4円である。 この場合、減額額を141円とすると減額率は20.09%、、減額額を140円とすると19.94%となる。減額率は上限であることから、20%以下とするためには、算出額の1円未満を切り捨てて、140円が減額する額になり、減額した最低賃金は562円となる。 |
イ 「支払おうとする賃金の金額」との比較
上記アにより算出した減額後の最低賃金額を、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額と比較し、支払おうとする賃金額が減額後の最低賃金額を下回らないことを確認すること。
「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄の金額が、時間額である場合にはそのまま比較し、日、月などの時間以外の期間又は出来高払制その他の請負制によって定められている場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
比較に当たっては、次の事項に留意すること。
・ 法第4条第3項各号の最低賃金に算入しない賃金が含まれていないこと。
・ 当該賃金が含まれていた場合は、申請書の注意書を教示し、申請書を補正させること。
・ 当該賃金が含まれていなかった場合、又は含まれていても申請書を補正させた場合は、「金額」欄に記入された金額が時間額である場合にはそのまま比較することとし、時間額以外の場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
(5) 許可の判断
減額の特例許可申請について、上記により調査、審査した結果を法令及び許可基準に当てはめて、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額及び「減額率」欄に記入された率について許可してよいかを判断すること。
(6) その他の留意事項
ア 特定最低賃金の減額の特例許可申請がなされた場合の留意事項
「軽易な業務に従事する者」が、特定最低賃金の適用される事業場で勤務していたとしても、それぞれの特定最低賃金において適用が除外されている清掃又は片付けの業務等の軽易な業務に従事する者に該当する場合は、地域別最低賃金のみが適用される。
従って、特定最低賃金の減額の特例許可申請がなされた場合は、その旨を説明し受理しないこと。
イ 減額対象労働者への使用者からの説明
最低賃金を減額することについての減額対象労働者の同意は減額許可の要件ではないが、減額対象労働者に対して説明等がないままに申請がなされ、許可が行われた場合には労使のトラブルが懸念されることから、使用者に対して、減額対象労働者へ減額許可申請を行うこと及び支払おうとする賃金額について説明を行っておくよう求めること。なお、減額対象労働者からの同意書を申請書に添付する必要はないものである。
ウ 周知義務及び周知方法上の留意点
法第8条で最低賃金の適用を受ける使用者は当該最低賃金額等の概要を常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならないとされている。
そこで、減額の特例を受けた労働者に対し、その概要を周知するための措置を取らなければならないが、個人名を明記して減額の特例された最低賃金の概要を掲示することは、個人情報の漏洩に当たるため、使用者から本人にのみ通知することを許可書交付時に教示し、記録しておくこと。
エ 許可期間
必要と認められる期間とすること。ただし、3年を限度とすること。
5 断続的労働に従事する者(法第7条第4号、則第3条第2項関係)
【許可基準】 5 断続的労働に従事する者(法第7条第4号、則第3条第2項) 断続的労働に従事する者として法第7条の許可申請の対象となる労働者は、常態として作業が間欠的であるため労働時間中においても手待ち時間が多く実作業時間が少ない者であること。 【則第3条第2項】 法第7条第4号の厚生労働省令で定める者は、軽易な業務に従事する者及び断続的労働に従事する者とする。~略~ 【則第5条で定める減額率】 減額対象労働者の「1日当たりの所定労働時間数から1日当たりの実作業時間数を控除して得た時間数に100分の40を乗じて得た時間数を当該所定労働時間数で除して得た率。」以下の率であって、「当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を勘案して」減額率を定めること。 |
(1) 趣旨
断続的労働とは、労働基準法第41条第3号に規定する「断続的労働」と同意であり、作業が間欠的に行われるもので、作業時間が長く継続することなく中断し、しばらくして再び同じような態様の作業が行われ、また中断するというように繰り返されるもののことである。
このような断続的労働は、実作業時間と手待ち時間とが繰り返されて一体として成り立っている労働形態であり、手待ち時間が多く実作業時間が少ない労働に従事する者について最低賃金の減額の特例許可を認めないこととすると、これらの労働者の雇用の機会が阻害され、かえって労働者に不利な結果を招くおそれがあることから、断続的労働を減額の特例許可の対象としたものである。
なお、当該者の賃金を考えるに当たっては、労働者保護の観点及び実作業時間割合の異なる他の断続的労働に従事する者との公平性の観点から、実作業時間と手待ち時間の割合に応じて減額率を算定することとしたものである。
(2) 「常態として作業が間欠的である」等の判断
ア 「常態として作業が間欠的である」とは、労働時間中の実作業時間と手待ち時間が交互に繰り返されることが常態であり、本来継続的に作業するものであるにもかかわらず、労働の途中に休憩時間、手待ち時間を何回も入れる等人為的に断続的な労働形態を採用したものは該当しないこと。
したがって、労働時間中の実作業時間と手待ち時間が交互に繰り返されない場合又は人為的に断続的な労働形態を採用した場合は、許可しないこと。
イ 許可対象となる労働者は、断続的労働に従事しているだけではなく、「労働時間中においても手待ち時間が多く実作業時間が少ない者」であることが必要である。したがって、手待ち時間が、実作業時間を上回る時にのみ許可すること。
(3) 申請時及び調査時の留意事項
許可申請書の「労働の態様」欄に、1週間の所定労働日数、所定休日数、各労働日ごとの始業・終業時刻、休憩時間数、実作業時間数、手待ち時間数及び常態として断続的労働が行われていることを詳細に記述させ、それに基づき調査すること。
特に、減額率の算定に当たっては、実作業時間数と手待ち時間数の確認が重要であることから、申請書に記入された実作業時間数と手待ち時間数について申請者から記入の根拠を確認するとともに、減額対象労働者からの聴取、日報等の資料を確認する等して、許可の可否を判断すること。
日によって実作業時間数と手待ち時間数が異なる場合には、一定期間ごとに区分した期間のうちのどの期間を取っても当該者の所定労働日数、総所定労働時間数、総実作業時間数及び総手待ち時間数がそれぞれ一律となる一定期間を特定し、その期間を平均して1日当たりの所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数を算定し、その数値により減額率等の許可内容を判断すること。
なお、このような一定期間が特定できない場合には、就業規則、勤務割表等により当該者の所定労働日数並びに各労働日ごとの所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数が確定している期間を平均して1日当たりの所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数を算出し、その数値を則第5条の表の減額率の上限となる数値の算出に用いること。この場合の許可期間は、就業規則、勤務割表等により当該者の所定労働日数並びに各労働日ごとの所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数が確定している期間内とし、3年を限度とすること。
(4) 最低賃金の減額の率(則第5条)
減額率は、則第5条の表による率を上限と算定し、当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等の要素を総合的に勘案して定めることになるので、次の手順で調査、審査すること。
ア 所定労働時間、実作業時間及び手待ち時間の特定
始業時刻、終業時刻及び休憩時間を調査し、拘束時間数及び所定労働時間数を特定すること。
次に所定労働時間の内、実作業時間及び手待ち時間を特定し、実作業時間数及び手待ち時間数を算出すること。
イ 則第5条の表による減額率
アにより得た1日当たりの所定労働時間数(A)から1日当たりの実作業時間数(B)を控除して得た時間数(C。手待ち時間数)の100分の40を乗じて得た時間数を当該所定労働時間数で除して得た率を算出する。
【則第5条の表による率の算出例】
1日当たりの所定労働時間数(A)は16時間、1日当たりの実作業時間数(B)は7時間であった場合、次の算式により減額率の上限は22.5%となる。
(16時間-7時間)×40÷100÷16時間×100=22.5%
ウ 職務の内容等の勘案(則第5条柱書)
減額率は、上記イにより算出された減額率を上限とし、個々の減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等の減額率を引き下げる要素を勘案して減額率を定めること。
なお、これらの要素の内容としては、次のものが例として考えられること。
(ア) 職務の内容
職務の困難度、責任の度合い等。
(イ) 職務の成果
一定時間当たりの労働によって得られる成果等。
(ウ) 労働能力
指示の必要性、複数業務の遂行の可否等。
(エ) 経験
これまでの経験と、その経験を生かしてどのような能力を発揮することが期待できるか等。
また、減額率は小数点第2位を切り捨て、小数点第1位までとすること。
なお、既に減額率の上限は、上記イにより算出されていることから、減額対象労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を理由に、減額率を引き上げること、即ち最低賃金額を引き下げることはできないことに留意すること。
(5) 最低賃金の減額後の額(法第7条、則第5条)
ア 減額した最低賃金額の算出
減額の特例申請のあった最低賃金に上記(4)により定めた減額率を乗じて減額する額を算出し、その減額する額を当該最低賃金額から減じて減額後の最低賃金額を算出すること。
減額する額については、適用される最低賃金額に減額率を乗じるため、1円未満の端数が、生じることがある。この場合、減額する額が、減額率を超えることはできないことから、1円未満の端数は、全て切捨てとなることに留意すること。
【減額した額の端数の切捨て例】 地域別最低賃金が702円の場合、審査の結果、減額率19.90%と定めた場合、減額する額は、702円×0.199=139.70円である。 この場合、減額する額を140円とすると減額率は19.94%、減額する額を139円とすると19.80%となる。減額する額が、減額率を超えることはできないことから、19.90%以下とするためには、算出額の1円未満を切り捨てて、139円が減額する額になり、減額した最低賃金額は563円となる。 |
イ 「支払おうとする賃金の金額」との比較
上記アにより算出した減額後の最低賃金額を、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額と比較し、支払おうとする賃金額が減額後の最低賃金額を下回らないことを確認すること。
「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄の金額が、時間額である場合にはそのまま比較し、日、月などの時間以外の期間又は出来高払制その他の請負制によって定められている場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
比較に当たっては、次の事項に留意すること。
・ 法第4条第3項各号の最低賃金に算入しない賃金が含まれていないこと。
・ 当該賃金が含まれていた場合は、申請書の注意書を教示し、申請書を補正させること。
・ 当該賃金が含まれていなかった場合、又は含まれていても申請書を補正させた場合は、「金額」欄に記入された金額が時間額である場合にはそのまま比較することとし、時間額以外の場合は、則第2条に定める換算式によって時間額に換算して比較すること。
(6) 許可の判断
減額の特例許可申請について、上記により調査、審査した結果を法令及び許可基準に当てはめて、申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄に記入された金額及び「減額率」欄に記入された率について許可してよいかを判断すること。
(7) その他の留意事項
ア 特定最低賃金の減額の特例許可申請がなされた場合の留意事項
「断続的労働に従事する者」が、特定最低賃金の適用される事業場で勤務していたとしても、それぞれの特定最低賃金において適用が除外されている清掃又は片付けの業務等の軽易な業務に従事する者に該当する場合があることから、特定最低賃金の減額の特例許可申請がなされた場合は、減額対象労働者が特定最低賃金の適用を受けるか確認すること。
特定最低賃金の適用を受けると確認された場合は、地域別最低賃金の減額の特例許可申請とともに受理すること。なお、特定最低賃金の減額の特例許可のみの申請の場合は、Ⅱの1の(2)のイに基づき対応すること。
特定最低賃金の適用を受けないと確認された場合は、地域別最低賃金のみが適用されることを説明し、特定最低賃金に係る減額の特例許可申請は受理せず、地域別最低賃金に係る減額の特例許可申請のみを受理すること。
イ 減額対象労働者への使用者からの説明
最低賃金を減額することについての減額対象労働者の同意は減額許可の要件ではないが、減額対象労働者に対して説明等がないままに申請がなされ、許可が行われた場合には労使のトラブルが懸念されることから、使用者に対して、減額対象労働者へ減額許可申請を行うこと及び支払おうとする賃金額について説明を行っておくよう求めること。なお、減額対象労働者からの同意書を申請書に添付する必要はないものである。
ウ 周知義務及び周知方法上の留意点
法第8条で最低賃金の適用を受ける使用者は当該最低賃金額等の概要を常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならないとされている。
そこで、減額の特例を受けた労働者に対し、その概要を周知するための措置を取らなければならないが、個人名を明記して減額の特例された最低賃金の概要を掲示することは、個人情報の漏洩に当たるため、使用者から本人にのみ通知することを許可書交付時に教示し、記録しておくこと。
エ 許可期間
必要と認められる期間とすること。ただし、3年を限度とすること。
6 経過措置について
【許可基準】 6 最低賃金法の一部を改正する法律(平成19年法律第129号。以下「改正法」という。)の施行に伴う経過措置 (1) 改正法の施行の日(平成20年7月1日)以後最初に改正法による改正後の法第15条第2項の規定による改正又は廃止の決定が効力を生ずるまでの間における改正法附則第5条第2項に規定する最低賃金の適用を受ける労働者に対する4の適用については、当該労働者について最低賃金額が時間によって定められている場合は、許可の対象として差し支えないものの、最低賃金額が日、週又は月によって定められている場合において、当該労働者の所定労働時間が、当該最低賃金の適用を受ける他の労働者に比して相当長いときは、許可の限りではないこととする。 (2) 改正法の施行の日(平成20年7月1日)以後最初に改正法による改正後の法第15条第2項の規定による改正又は廃止の決定が効力を生ずるまでの間における改正法附則第5条第2項に規定する最低賃金の適用を受ける労働者に対する5の適用については、最低賃金の時間額が適用される場合を除き、当該労働者の実作業時間数が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の実作業時間数の2分の1程度以上であるときは許可しないこととする。 |
(1) 経過措置の趣旨
平成20年7月1日現在、北海道労働局外13府県労働局※の14の産業について、平成13年度以前に決定又は改正された日額表示の産業別最低賃金が、平成14年度以降改正決定されず、かつ、地域別最低賃金を上回っているために、引き続き効力を有している。
これら日額表示の産業別最低賃金を改正法施行後に直ちに無効とすることは、当該最低賃金の適用を受ける労使に混乱をもたらすおそれがあることから、改正法及び最低賃金法施行規則等の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第101号)において次の経過措置規定を設けたところである。
ア 改正法の施行の際に効力を有する産業別最低賃金は、新法第15条第2項の規定により決定された最低賃金とみなすこと。(改正法附則第5条第1項)
イ 上記アの最低賃金について、最初の改正が行われるまでの間は、最低賃金額は時間額のみと定めた法第3条の規定は適用しないこと。(改正法附則第5条第2項)
ウ 最低賃金額の換算式を定めた旧則第3条の規定は、日額表示の産業別最低賃金については、なおその効力を有すること。(改正則附則第3条)
また、改正法により廃止されることとなった旧法第11条又は第13条の規定に基づく労働協約拡張方式による最低賃金については、改正法附則第3条により、改正法の施行(平成20年7月1日)の際に現に効力を有するものは、改正法施行後2年間は旧法第5条の効力を有するものとされたところである。(なお、平成20年7月1日現在、これに該当する最低賃金は、滋賀県塗料製造業地域的最低賃金及び広島県広島市・東広島市塗料製造業地域的最低賃金の2件である。)
今後、該当労働局においては、日額表示の産業別最低賃金が適用される労働者について、減額の特例許可の申請がなされる場合があることから、これらの経過措置に留意して適切に判断すること。
※ 北海道、岩手、山形、茨城、富山、石川、静岡、岐阜、三重、滋賀、京都、奈良、広島、熊本の各労働局。
(2) 軽易な業務に従事する者に係る経過措置ついて
軽易な業務に従事する者について、許可基準の経過措置により読み替えて適用される旧許可基準の規定は、次の下線部分である。
旧許可基準 5 軽易な業務に従事する者(法第8条第4号、則第4条第2項第2号関係) (1) 軽易な業務に従事する者として法第8条の許可申請の対象となる労働者は、その従事する業務が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者のうち最も軽易な業務に従事する層の労働者の業務と比較してもなお軽易であるものに限られること。 (2) 常態として身体又は精神の緊張の少ない監視の少ない業務に従事する者は、軽易な業務に従事する者に該当するが、これらの者について、最低賃金額が時間によって定められている場合は、許可の対象として差し支えないものの、最低賃金額が日、週又は月によって定められている場合において、当該労働者の所定労働時間が、当該最低賃金の適用を受ける他の労働者に比して相当長いときは、許可の限りではないこと。 |
下線部については、次の点に留意して前記4に基づき法第7条の減額の特例許可審査を行うこと。
最低賃金額が日、週又は月によって定められている場合の「当該労働者の所定労働時間が、当該最低賃金の適用を受ける他の労働者に比して相当長いとき」とは、減額対象労働者の1日の所定労働時間が当該事業場の一般労働者の1日の所定労働時間と比較して相当長いときであるが、所定拘束時間が1日11時間程度以上となるものについては、最低賃金の時間額が適用される場合を除き、原則として、許可の対象とはしないこと。
(3) 断続的労働に従事する者に係る経過措置について
断続的労働に従事する者について、改正則附則第4条の規定により、読み替えて適用される旧則第3条第2項の規定は、次の下線部分であること。
則第3条第2項 法第7条第4号の厚生労働省令で定める者は、軽易な業務に従事する者及び断続的労働に従事する者とする。ただし、軽易な業務に従事する者についての同条の許可は、当該労働者の従事する業務が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の従事する業務と比較して特に軽易な場合に限り、断続的労働に従事する者についての同条の許可は、最低賃金額が時間によって定められた場合及び最低賃金額が日、週又は月によって定められた場合で当該労働者の実作業時間が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の実作業時間数と比較して特に短い場合に限り、行うことができるものとする。 |
また、断続的労働に従事する者について、改正基準の経過措置により読み替えて適用される旧基準の規定は、次の下線部分であること。
旧許可基準 6 断続的労働に従事する者(法第8条第4号、則第4条第2項第3号関係) (1) 断続的労働に従事する者として法第8条の許可申請の対象となる労働者は、常態として作業が間欠的であるため労働時間中においても手待ち時間が多く実作業時間が少ない者であること。 (2) 最低賃金の時間額が適用される場合を除き、当該労働者の実作業時間数が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の実作業時間数の2分の1程度以上であるときは許可しないこと。 |
下線部については、次の点に留意して前記5に基づき新法第7条の減額の特例許可審査を行うこととする。
① 「他の労働者の実作業時間数の2分の1程度以上」とは、減額対象労働者の1日の実作業時間数が当該事業場の一般労働者の2分の1程度以上であること。
② この場合、減額対象労働者と比較すべき一般労働者がいない場合には、「他の労働者の実作業時間数」を1日8時間と考えて差し支えないこと。
なお、所定拘束時間が1日11時間程度以上となるものについては、原則として許可の対象としないこと。
Ⅴ 許可書、不許可通知書の作成、交付について
1 許可書等の様式
(1) 許可書
様式第1号の1(「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」、「試の使用期間中の者」及び「軽易な業務に従事とする者」に係る様式)
様式第1号の2(「基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者」に係る様式)
様式第1号の3(「断続的労働に従事する者」に係る様式)
(2) 不許可通知書
様式第2号
(3) 許可取消通知書
様式第3号
2 許可書の作成要領
(1) 許可の番号
許可の番号は、次の例のとおり局ごとの一連番号として欠番が生じないように振り出すものとすること。
局略字は、平成13年3月28日付け地発第138号「都道府県労働局における文書管理規程の策定について」の別表第1に定めるところによること。
暦年については、許可の決裁の日の属する年とすること。
一連番号については、暦年のものとし、原則として決裁順とすること。
(例) 東京局の場合 |
|||
東労 局略字 |
許可第 |
20 暦年 |
01号 一連番号 |
(2) 許可書の日付
許可書の日付は、許可の決裁の日付を記載すること。
(3) 「平成 年 月 日付けをもって最低賃金法第7条の規定に基づく申請のあった○○○○に対する最低賃金の減額については、下記の附款を付し、次のとおり許可する。」について
ア 日付は、許可申請書を受理した日を記載すること。
イ ○○○○には、減額対象労働者の区分(様式第1号の1にあっては、「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」、「試の使用期間中の者」、又は「軽易な業務に従事する者」、様式第1号の2にあっては「基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者」、様式第1号の3にあっては「断続的労働に従事する者」)を記載すること。
(4) 減額の特例を許可する最低賃金件名
「減額の特例を許可する最低賃金件名」は、減額の特例許可申請書において、「減額の特例許可を受けようとする最低賃金」欄に記入された全ての最低賃金の件名を記載すること。
(例) 「○○県最低賃金」 (例) 「○○県○○業最低賃金」 |
(5) 減額対象労働者の氏名等
「減額対象労働者の氏名等」欄は、減額対象労働者氏名及び生年月日を記載すること。ただし、複数の労働者を包括的に許可する場合は、「別紙の減額対象労働者名簿のとおり」と記載し、減額対象労働者の氏名、性別及び生年月日を記載した減額対象労働者名簿を許可書に添付し契印をすること。
(6) 「従事させようとする業務の種類」及び「労働の態様」の欄
「従事させようとする業務の種類」の欄は、許可の効力の範囲を特定する上で重要であるので、次のとおり記載すること。
ア 様式第1号の1について
(ア) 「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」又は「試の使用期間中の者」に係る許可については、減額対象労働者が当該事業場において従事しようとする業務の種類を列挙すること。
この場合、単に「雑役」、「手伝い」など業務内容が判然としない記載ではなく、「製品の運搬」、「作業場内の清掃片付けの業務」のように許可する業務の種類が特定されるよう具体的に記載すること。
(イ) 「軽易な業務に従事する者」に係る許可については、減額対象労働者が当該事業場において従事する業務の種類及び労働の態様を記載すること。
(軽易な業務に従事する者についての例) 「従事業務の種類」 工場・事務所内の清掃、ゴミの分別の業務 「労働の態様」 業務の進行及び能率についてほとんど規制を受けない。所定労働時間は1日7時間。 |
イ 様式第1号の2について
「基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者」に係る許可については、減額対象労働者が受ける職業訓練において従事する業務の種類を列挙すること。
また、「3 減額対象労働者が受ける職業訓練」欄は、職業訓練の種類、訓練課程及び訓練科を記載すること。
(基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者の例) 「職業訓練の種類」 高度職業訓練 「訓練課程」 専門課程 「訓練科」 機械システム系生産技術科 |
さらに、「職業訓練時間数と所定労働時間数」欄は、申請書の「1日当たりの職業訓練時間数」欄及び「1日当たりの所定労働時間数」欄の時間数を記載すること。
ウ 様式第1号の3について
「断続的な労働に従事する者」に係る許可については、減額対象労働者の業務の種類及び労働の態様について記載すること。
(断続的な労働に従事する者の例) 「従事業務の種類」 寮の管理人の業務 「労働の態様」 ゴミ置場及び寮内の清掃、寮内外の巡回、郵便物、宅配物、夕刊の配布 |
また、「所定労働時間数うち実作業時間数と手待ち時間数」欄は、申請書の「実作業時間数」欄及び「手待ち時間数」欄の時間数を記載すること。
(7) 最低賃金法第4条の適用を受ける減額後の最低賃金額
「最低賃金法第4条の適用を受ける減額後の最低賃金額」欄は、減額の特例の許可のあった最低賃金について、1つの最低賃金について許可がなされた場合は当該最低賃金について、複数の最低賃金について許可がなされた場合はそれぞれの最低賃金について、当該最低賃金額からその額に減額率を乗じて得た額(1円未満の端数を生じた場合は、これを切り捨てること。)を減じた額を、それぞれ整数値で記載すること。
許可期間中に当該許可のあった最低賃金が改定された場合については、前記Ⅰの4のとおり減額率は変わらないことから、次の例のとおり記載すること。
(例)
「ただし、○○県○○業最低賃金が改定された場合は、改定後の額に減額率○○%を乗じて得た額を当該改定後の最低賃金額から減じたとする。
なお、減額率を乗じて得た額に1円未満の端数が生じた場合は、1円未満を切り捨てること。」
(8) 支払い賃金額
次の例のとおり記載すること。
なお、この金額は申請書の「支払おうとする賃金」欄の「金額」欄の金額と同額であることに留意すること。
(例)
「上記○記載の金額(複数ある場合はそのうち最も金額の高いもの)以上の額とすること。
なお、上記△以外に適用される最低賃金がある場合は、当該最低賃金額と上記○の減額後の最低賃金額を比較し、そのうち最も金額の高いものの額以上の額とすること。」
(上記△は、減額の特例を許可する最低賃金件名が記載されている項番号である。)
(9) 許可の有効期間
ア 許可の有効期間の起算日は、許可書の決裁の日付を記載すること。
なお、許可の効力は申請者に伝達され、申請者がこれを了知したときに発効することから、必ず、決裁後、同日中に電話により申請者又は労務担当者に通知し、受付・処理経過簿の備考欄にその日付及び相手方の職氏名を記載すること。
また、同一労働者についての許可の更新の場合であって、許可書の決裁の日が前回の許可期間内となる場合は、前回の許可期間の満了の日の翌日を起算日とすること。
イ 「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」については、労働能力の向上が見込まれることがあることから、初回の申請に対する許可の有効期間は、1年以内とすること。2回目以降の申請に対する許可の有効期間は、労働能力向上の可能性、使用者の遵法態度、作業施設の改善予定等の状況を総合的に勘案し、3年以内の必要な期間とすること。
ウ 「試の使用期間中の者」に係る許可の有効期間は、前記Ⅳの2の(3)による必要と認められる期間とすること。
エ 「基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者」に係る許可の有効期間については、前期Ⅳの3による必要と認められる期間とすること。
オ 「軽易な業務に従事する者」及び「断続的労働に従事する者」に係る許可の有効期間は、前記Ⅳの4及び5により必要と認められる期間とすること。ただし、3年を限度とすること。
カ 満18歳未満の者を許可対象労働者とする場合において、当該労働者が満18歳となった時点で新たに特定(産業別)最低賃金が適用されることとなる可能性があるときは、許可の有効期間を当該労働者が満18歳に達しない期間(満18歳の誕生日前日までの期間)とすること。
キ 雇入れ後6ヶ月(3ヶ月)未満の者であって、技能習得中のものを許可対象労働者とする場合において、当該労働者が雇入れ後6ヶ月(3ヶ月)を経過する日の前日までの期間とすること。
(10) 許可書の交付方法
ア 許可に当たっては、許可書を使用者(労務担当者を含む。)に直接交付すること。
なお、許可書の交付の際には、書式は任意とするが、必ず、許可書を受領した旨並びに行政不服審査制度及び取消訴訟制度について教示を受けた旨を記した書面に受領年月日、受領者の職氏名を記載させ、署名又は記名押印を得るものとする。
イ ただし、使用者が離島、遠隔地にいる等の許可書を使用者に直接交付できないことについてやむを得ない事情がある場合に限り、電話により使用者に許可の内容等を説明の上、許可書を使用者に郵送することとして差し支えないこと。なお、この場合、事前に電話により許可書を郵送する旨を伝えた者を宛先とした親展とし、配達証明等により確実に使用者に配達されたことを確認できるようにすること。
ウ 許可書の交付に当たっては、許可書に許可申請書を綴じ込み、許可書と許可申請書との間に契印を押すこと。
エ 許可書の備考欄に記載されている不服申立てに関する教示文については、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第57条第1項、取消訴訟に関する教示文については、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第46条第1項の規定に基づき、それぞれの相手方に「書面で教示」しているものであり、その効果は許可書交付時に生じることに留意すること。
なお、教示の結果、不服申立て等に関し特記事項がある場合には、受付・処理経過簿に記載しておくこと。
3 不許可通知書の作成要領
(1) 不許可の番号
不許可の番号は、次の例のとおり局ごとの一連番号として欠番が生じないように振り出すものとすること。
局略字は、平成13年3月28日付け地発第138号「都道府県労働局における文書管理規程の策定について」の別表第1に定めるところによること。
暦年については、不許可の決裁の日の属する年とすること。
一連番号については、暦年のものとし、原則として決裁順とすること。
(例) 北海道局の場合 |
|||
北労 局略字 |
不許可第 |
20 暦年 |
01号 一連番号 |
(2) 不許可の理由
不許可の理由は、許可基準に適合しない事実を端的かつ明確に記載すること。
(3) 不許可通知書の交付方法
ア 不許可に当たっては、不許可通知書(様式第2号)を使用者(労務担当者を含む。)に直接交付すること。
なお、不許可通知書の交付の際には、書式は任意とするが、必ず、不許可通知書を受領した旨並びに行政不服審査制度及び取消訴訟制度について教示を受けた旨を記した書面に受領年月日、受領者の職氏名を記載させ、署名又は記名押印を得るものとする。
イ ただし、使用者が離島、遠隔地にいる等の不許可通知書を使用者に直接交付できないことについてやむを得ない事情がある場合に限り、電話により使用者に不許可の内容等を説明の上、不許可通知書を使用者に郵送することとして差し支えないこと。なお、この場合、事前に電話により不許可通知書を郵送する旨を伝えた者を宛先とした親展とし、配達証明等により確実に使用者に配達されたことを確認できるようにすること。
ウ 不許可通知書の交付に当たっては、不許可通知書に許可申請書(使用者控え)を綴じ込み、不許可通知書と許可申請書との間に契印を押すこと。
エ 不許可通知書の備考欄に記載されている不服申立てに関する教示文については、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第57条第1項、取消訴訟に関する教示文については、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第46条第1項の規定に基づき、それぞれの相手方に「書面で教示」しているものであり、その効果は不許可通知書交付時に生じることに留意すること。
なお、教示の結果、不服申立て等に関し特記事項がある場合には、受付・処理経過簿に記載しておくこと。
Ⅵ 許可の取消しについて
許可の取消しは、減額対象労働者の雇用機会が失われるおそれがあるので、慎重を期すこと。なお、署において許可の取消しを理由とする解雇等の事案を把握した場合は速やかに局に連絡し、局署連携して処理を行うこととし、局は必要に応じて本省に協議を行うこと。
1 許可時に遡って取消しを行う場合
使用者から虚偽の内容に基づく申請がなされ、申請内容が当初から法令、許可基準に適合しないものであったことが判明した場合においては、行政手続法に基づく聴聞手続きを経て許可時に遡り当該許可を取り消すこと。
2 将来にわたって取消しを行う場合
許可の後において、法第7条の許可の要件を全く満たさなくなった場合(例えば、「軽易な業務に従事する者」に係る許可を受けている労働者を常時一般の業務に配置転換させているとき等)においては、行政手続法に基づく聴聞手続きを経て将来にわたって当該許可を取り消すこと。ただし、事前に十分な指導を行ったにもかかわらず、使用者がこれに従わない場合に限るものとすること。
なお、許可した業務と異なる業務に減額対象労働者を従事させている場合は、許可の取消しが行われなくとも、一般労働者に適用される最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないことに留意すること。
3 聴聞手続
聴聞を実施するに当たっては、厚生労働省聴聞手続規則(平成12年厚生労働省令第2号)に則り適切に行うこと。
4 許可取消通知書の作成要領
(1) 許可取消通知書の番号
許可取消通知書の番号は、次の例のとおり局ごとの一連番号として欠番が生じないように振り出すものとすること。
局略字は、平成13年3月28日付け地発第138号「都道府県労働局における文書管理規程の策定について」の別表第1に定めるところによること。
暦年については、許可取消の決裁の日の属する年とすること。
一連番号については、暦年のものとし、原則として決裁順とすること。
(例) 秋田局の場合 |
|||
秋労 局略字 |
消許可第 |
20 暦年 |
01号 一連番号 |
(2) 許可取消しの理由
「許可取消しの理由」は、許可の取消しとなる事実を端的かつ明確に記載すること。
5 許可取消通知書の交付方法
(1) 交付方法
許可取消通知書は、使用者(労務担当者を含む。)に直接交付すること。
なお、許可取消通知書の交付の際には、書式は任意とするが、必ず、許可取消通知書を受領した旨並びに行政不服審査制度及び取消訴訟制度について教示を受けた旨を記した書面に受領年月日、受領者の職氏名を記載させ、署名又は記名押印を得るものとする。
(2) 遠隔地間の交付方法
使用者が離島、遠隔地にいる等のため許可取消通知書を使用者に直接交付できないことについてやむを得ない場合に限り、電話により使用者に許可取消しの理由等を説明の上、許可取消通知書を使用者に郵送することとして差し支えないこと。なお、この場合、事前に電話により許可取消通知書を郵送する旨を伝えた者を宛先とした親展とし、配達証明等により確実に使用者に配達されたことを確認できるようにすること。
(3) 行政不服審査制度等の教示
許可取消通知書の備考欄に記載されている不服申立てに関する教示文については、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第57条第1項、取消訴訟に関する教示文については、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第46条第1項の規定に基づき、それぞれの相手方に「書面で教示」しているものであり、その効果は許可取消通知書交付時に生じることに留意すること。
なお、教示の結果、不服申立て等に関し特記事項がある場合には、受付・処理経過簿に記載しておくこと。
Ⅶ 様式
1 最低賃金の減額の特例許可申請書(様式第1号~第5号)
2 最低賃金の減額の特例許可書(様式第1号の1~第1号の3)
3 最低賃金の減額の特例許可申請に係る不許可通知書(様式第2号)
4 最低賃金の減額の特例許可取消通知書(様式第3号)
様式第1号(第4条関係)
様式第2号(第4条関係)
様式第3号(第4条関係)
様式第4号(第4条関係)
様式第5号(第4条関係)
様式第1号の1
様式第1号の2
様式第1号の3
様式第2号
様式第3号