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○地域支援事業の実施について

(平成18年6月9日)

(老発第0609001号)

(各都道府県知事あて厚生労働省老健局長通知)

標記については、介護保険制度の円滑な実施の観点から、被保険者が要介護状態等となることを予防するとともに、要介護状態等となった場合においても、可能な限り、地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援するため、今般、別紙のとおり、「地域支援事業実施要綱」を定め、平成18年4月1日から適用することとしたので通知する。

ついては、本事業の実施に努められるよう特段の御配慮をお願いするとともに、管内市町村に対して、周知徹底を図る等、本事業の円滑な実施について御協力を賜りたい。

別紙

地域支援事業実施要綱

1 目的及び趣旨

地域支援事業は、被保険者が要介護状態又は要支援状態(以下「要介護状態等」という。)となることを予防し、社会に参加しつつ、地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的とし、地域における包括的な相談及び支援体制、多様な主体の参画による日常生活の支援体制、在宅医療と介護の連携体制及び認知症高齢者への支援体制の構築等を一体的に推進するものである。

2 事業構成及び事業内容

(1) 介護予防・日常生活支援総合事業(介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第115条の45第1項に規定する介護予防・日常生活支援総合事業をいう。以下「総合事業」という。)を実施する市町村(特別区、一部事務組合、広域連合等を含む。以下同じ。)の事業構成及び事業内容は、別記1のとおりとする。

(2) 旧介護予防・日常生活支援総合事業(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第83号)附則第14条第1項により、なおその効力を有するものとされた同法第5条の規定による改正前の法(以下「旧法」という。)第115条の45第1項第1号及び第2号並びに第2項各号に掲げる事業をいう。以下「旧総合事業」という。)を実施する市町村の事業構成及び事業内容は、別記2のとおりとする。

(3) 旧介護予防事業(旧法第115条の45第1項第1号に掲げる事業をいう。以下同じ。)を実施する市町村(旧総合事業を実施する市町村を除く。以下同じ。)の事業構成及び事業内容は、別記3のとおりとする。

(4) 包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)(法第115条の46第1項に規定する包括的支援事業のうち法第115条の45第2項第4号から第6号に掲げる事業を除く。以下同じ。)の事業構成及び事業内容は、別記4のとおりとする。

(5) 包括的支援事業(社会保障充実分)(包括的支援事業のうち在宅医療・介護連携推進事業、生活支援体制整備事業、認知症総合支援事業及び地域ケア会議推進事業(法第115条の45第2項第4号から6号までに掲げる事業及び同項第3号を効果的に実施するために、法第115条の48第1項に基づき設置される会議(以下「地域ケア会議」という。)を開催する事業をいう。以下同じ。)の事業構成及び事業内容は、別記5のとおりとする。

(6) 任意事業(法第115条の45第3項各号に掲げる事業をいう。以下同じ。)の事業構成及び事業内容は、別記6のとおりとする。

3 実施方法

(1) 地域支援事業は、法、介護保険法施行令(平成10年政令第412号。以下「政令」という。)、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号。以下「省令」という。)、介護予防・日常生活支援総合事業の円滑な実施を図るための指針(平成27年厚生労働省告示第196号。以下「実施指針」という。)の規定及び介護予防・日常生活支援総合事業のガイドラインについて(平成27年6月5日老発0605第5号厚生労働省老健局長通知)(以下「ガイドライン」という。)によるほか、この実施要綱の定めるところによる。

(2) 地域支援事業の実施に当たっては、高齢者のニーズや生活実態に基づいて総合的な判断を行い、高齢者に対し、自立した日常生活を営むことができるよう、継続的かつ総合的なサービスが提供されるよう実施することとする。

(3) 地域包括支援センター(法第115条の46第1項に規定する地域包括支援センターをいう。以下同じ。)は地域包括ケアを有効に機能させるために、保健師、主任介護支援専門員、社会福祉士等の各々の専門職の知識を活かしながら、常に情報を共有し、互いに業務の理念、基本的な骨格を理解した上で、連携・協働の体制を作り、業務全体を「チーム」として支えていく必要がある。

また、法第115条の46第7項に規定しているとおり、地域包括支援センター内にとどまることなく、地域での各種サービス、保健・医療・福祉の専門職、専門機関相互の連携、ボランティア等の住民活動等インフォーマルな活動を含めた、地域における様々な社会資源の有効活用を図り、ネットワークを構築していく必要がある。さらに、地域支援事業の円滑な実施、地域包括支援センターの適切、公正かつ中立な運営を確保する観点から、地域包括支援センター運営協議会等を積極的に活用されたい。

また、法第115条の47第1項の規定により、市町村は委託型の地域包括支援センターに対して運営方針を明示しなければならないこととされている。明示する方針の内容としては、省令第140条の67の2の各号に掲げる内容を勘案して示すものとされているが、市町村の地域包括ケアシステムの構築方針、区域ごとのニーズに応じて重点的に行うべき業務に関する方針、介護事業者・医療機関・民生委員・ボランティア等の関係者とのネットワーク構築の方針、第1号介護予防支援事業の実施方針、介護支援専門員に対する支援・指導の実施方針、地域ケア会議の運営方針、市町村との連携方針、公正・中立性確保のための方針等、具体的な方針については、地域の実情に応じて、市町村において定めるものとする。

(4) 過去に国庫補助金等から一般財源化された事業(「介護予防・地域支え合い事業における一般財源化された事業について」(平成23年10月21日事務連絡)に掲載した生きがい活動支援通所事業、緊急通報体制等整備事業、外出支援サービス事業、寝具類等洗濯乾燥消毒サービス事業、軽度生活援助事業、訪問理美容サービス事業、日常生活用具給付等事業、高齢者に関する介護知識・技術等普及促進事業、福祉用具・住宅改修研修事業、福祉用具・住宅改修活用広域支援事業、サービス事業者振興事業、高齢者自身の取り組み支援事業及び高齢者訪問支援活動推進事業。なお、高齢者に関する介護知識・技術等普及促進事業、福祉用具・住宅改修研修事業、福祉用具・住宅改修活用広域支援事業、サービス事業者振興事業、高齢者自身の取り組み支援事業及び高齢者訪問支援活動推進事業については、指定都市(平成18年度以降に指定都市へ移行した自治体も含む。)では一般財源化されているため実施不可であるが、指定都市を除く市町村は実施可能。)については、地域支援事業として実施できないことに留意する。

4 実施主体

(1) 実施主体は、市町村とし、その責任の下に地域支援事業を実施するものとする。

(2) 市町村は、地域の実情に応じ、利用者、サービス内容及び利用料の決定を除き、包括的支援事業の実施について、適切、公正、中立かつ効率的に実施することができると認められる老人介護支援センターの設置者(市町村社会福祉協議会、社会福祉法人等)、一部事務組合若しくは広域連合等を組織する市町村、医療法人、当該事業を実施することを目的として設立された民法法人、特定非営利活動法人その他市町村が適当と認める法人に委託することができるものとする。この委託は、包括的支援事業の実施に係る方針を示した上で、包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)についてはその全てにつき一括して行わなければならない。なお、市町村は、包括的支援事業(社会保障充実分)の実施については、地域包括支援センター以外に委託することも可能であり、地域の実情に応じてそれぞれの事業の実施要綱に定めるところによるものとする。

なお、委託した場合においても、市町村と委託先は密に連携を図りつつ、事業を実施しなければならない。

(3) 市町村は、地域の実情に応じ、利用者、サービス内容及び利用料の決定を除き、総合事業について、省令第140条の69に定める基準に適合する者(第1号介護予防支援事業(法第115条の45第1項第1号ニに規定する第1号介護予防支援事業をいう。以下同じ。)については、地域包括支援センターの設置者に限る。)に対して、事業の実施を委託することができるものとする。また、総合事業のうち、介護予防・生活支援サービス事業(法第115条の45第1項第1号に規定する第1号事業をいう。以下同じ。)については、市町村が事業者を指定して事業を実施することができるものとする。

(4) 市町村は、地域の実情に応じ、利用者、サービス内容及び利用料の決定を除き、旧介護予防事業及び任意事業の全部又は一部について、老人介護支援センターの設置者その他市町村が適当と認める者に対し、その実施を委託することができるものとする。二次予防事業対象者(第1号被保険者のうち要介護者又は要支援者以外の者であって、要介護状態等となるおそれの高い状態にあると認められるものをいう。以下同じ。)の把握事業のうち二次予防事業対象者に関する情報の収集及び二次予防事業対象者の決定に係る業務については、地域包括支援センターにおいて実施する介護予防ケアマネジメント業務と一体的に実施することが望ましい。

(5) 市町村は、地域の実情に応じ、利用者、サービス内容及び利用料の決定を除き、旧総合事業について、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(平成27年厚生労働省令第57号)附則第4条の規定によりなおその効力を有するものとされた同令第2条の規定による改正前の省令(以下「旧省令」という。)第140条の69に定める基準に適合する者(ケアマネジメント事業については、地域包括支援センターの設置者に限る。)に対して、事業の実施を委託することができるものとする。二次予防事業対象者の把握事業のうち二次予防事業対象者に関する情報の収集及び二次予防事業対象者の決定に係る業務については、地域包括支援センターにおいて実施する介護予防ケアマネジメント業務と一体的に実施することが望ましい。

(6) (2)から(5)までの受託者に対して市町村が支払う費用の額については、市町村において、地域の実情に応じて柔軟に決定するものとする。

なお、総合事業及び旧総合事業については、受託者に対する費用の審査・支払に係る事務を国民健康保険団体連合会に委託することが可能である。

(7) 法第13条第3項に規定する住所地特例適用被保険者に対する地域支援事業の実施に関しては、法第115条の45第1項により、当該住所地特例適用被保険者が入所又は入居する施設が所在する市町村(以下「施設所在市町村」という。)が行うものとしている。

ただし、任意事業については、転居前の市町村(以下「保険者市町村」という。)も行うことができる仕組みとなっており、事業の内容によっては、引き続き、保険者市町村が行うことができる。

(8) 地域包括支援センターの設置者(法人である場合は、その役員)若しくはその職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由なしに、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(9) 総合事業は、市町村が実施主体となり、保健所その他の関係行政機関、医師会、歯科医師会その他の保健医療関係団体、社会福祉協議会その他の福祉関係団体、介護関係事業者その他の民間事業者、ボランティアを含む地域住民等の協力を得て推進するものとする。

5 利用料

市町村及び地域支援事業の実施について市町村から委託を受けた者又は第一号事業の指定事業者は、地域支援事業の利用者に対し、介護予防把握事業に係る費用を除いて、利用料を請求することができる。

利用料に関する事項は、地域の実情や各事業の内容に応じて、市町村において決定する。また、利用料の額の設定に当たっては、予防給付及び総合事業(旧総合事業又は旧介護予防事業を含む。)との均衡等を勘案しながら、適切に設定することとする。

なお、市町村が地域支援事業の実施について委託する場合は、地方自治法第210条で規定される総計予算主義の原則等を踏まえ、利用料を直接委託先の歳入とすることを前提に利用料を控除した額を委託費とすることは適当ではなく、会計上、委託料と利用料をそれぞれ計上することが適当であることについて、留意する必要がある。

別記1 (総合事業を実施する市町村における地域支援事業の事業構成及び事業内容)

第1 事業構成

総合事業を実施する市町村における地域支援事業の構成は、次のとおりとする。

1 総合事業

(1) 介護予防・生活支援サービス事業

ア 訪問型サービス(第1号訪問事業)

イ 通所型サービス(第1号通所事業)

ウ その他生活支援サービス(第1号生活支援事業)

エ 介護予防ケアマネジメント(第1号介護予防支援事業)

(2) 一般介護予防事業

ア 介護予防把握事業

イ 介護予防普及啓発事業

ウ 地域介護予防活動支援事業

エ 一般介護予防事業評価事業

オ 地域リハビリテーション活動支援事業

2 包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)

(1) 総合相談支援業務

(2) 権利擁護業務

(3) 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務

3 包括的支援事業(社会保障充実分)

(1) 在宅医療・介護連携推進事業

(2) 生活支援体制整備事業

(3) 認知症総合支援事業

(4) 地域ケア会議推進事業

4 任意事業

(1) 介護給付等費用適正化事業

(2) 家族介護支援事業

(3) その他の事業

第2 事業内容

1 総合事業

総合事業は、要支援者等に対して必要な支援を行う法第115条の45第1項第1号に規定する第1号事業(以下「介護予防・生活支援サービス事業」という。)と、住民主体の介護予防活動の育成及び支援等を行う法第115条の45第1項第2号に規定する事業(以下「一般介護予防事業」という。)からなる。

総合事業では、従来、介護予防訪問介護及び介護予防通所介護(以下「旧介護予防訪問介護等」という。)により提供されていた専門的なサービスに加え、住民主体の支援等の多様なサービス、一般介護予防事業の充実を図り、市町村の独自施策や市場において民間企業により提供される生活支援サービスも活用することにより、要支援者等の能力を最大限いかしつつ、要支援者等の状態等に応じたサービスが選択できるようにすることが重要である。その際、新たに総合事業によるサービスを利用する要支援者等については、住民主体の支援等の多様なサービスの利用が可能となるよう体制を整えた上で、その利用促進を図っていくことが重要である。

具体的には以下のとおり事業を実施するものとする。

(1) 介護予防・生活支援サービス事業(法第115条の45第1項第1号に基づく事業)

ア 総則

(ア) 目的

介護予防・生活支援サービス事業は、要支援者等に対して、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止及び地域における自立した日常生活の支援を実施することにより、一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組を支援し、活動的で生きがいのある生活や人生を送ることができるように支援することを目的として実施する。また、要支援者等の多様な生活支援のニーズに対して、旧介護予防訪問介護等により提供されていた専門的なサービスに加え住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することにより、要支援者等に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とし、地域の支え合いの体制づくりを推進することを目的とする。

その目的を達成するため、事業の実施に際しては、法第115条の45第1項第1号ニに規定する第1号介護予防支援事業(以下「介護予防ケアマネジメント」という。)により、個々の要支援者等の心身の状況、その置かれている環境その他の状況(以下「心身の状況等」という。)に応じて、要支援者等の選択に基づき、適切な事業を包括的かつ効率的に実施するものとする。

介護予防・生活支援サービス事業については、介護サービス事業者、ボランティア、地縁組織、NPO法人、民生委員、シルバー人材センター等、地域における多様な主体を積極的に活用するとともに、公民館、自治会館、保健センター等、地域の多様な社会資源を積極的に活用しながら実施するものとする。

(イ) 介護予防・生活支援サービス事業の構成

介護予防・生活支援サービス事業は、法第115条の45第1項第1号イに規定する第1号訪問事業(以下「訪問型サービス」という。)、同号ロに規定する第1号通所事業(以下「通所型サービス」という。)、同号ハに規定する第1号生活支援事業(以下「その他生活支援サービス」とう。)及び介護予防ケアマネジメントから構成される。

(ウ) 対象者

法第115条の45第1項第1号に規定する居宅要支援被保険者等(居宅要支援被保険者及び介護保険法施行規則第140条の62の4第2号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第197号)に掲げる様式第1(以下「基本チェックリスト」という。)の記入内容が同基準様式第2に掲げるいずれかの基準に該当した者(以下「事業対象者」という。)を対象に実施する。

なお、基本チェックリストについては別添3を参照のこと。

(エ) サービスの提供

① 提供方法

以下の形態のいずれかによって提供するものとする。

(a) 市町村の直接実施

市町村の職員が直接要支援者等に対して支援等を実施するもの。

(b) 市町村が省令第140条の69に定める基準に適合する者に対して委託して実施

法第115条の47第4項の規定により、省令第140条の69に定める基準に適合する者に対して、市町村が総合事業の実施を委託して実施するもの。

(c) 指定事業者(法第115条の45の3第1項に規定する指定事業者をいう。以下同じ。)による実施

法第115条の45の3第1項に基づき、市町村長が指定した事業者が要支援者等にサービスを提供した場合に、その要した費用について当該要支援者等に対して第1号事業支給費を支給するもの。

(d) 補助(助成)の方法による実施

地域において活動しているNPO法人やボランティア等に対して、要支援者等に対するサービス提供等を条件として、その立ち上げ経費や活動に要する費用に対して補助(助成)することにより事業を実施するもの。

② サービス提供の留意事項

上記の(b)から(d)までについては以下の点に留意するものとする。

・ (b)について

介護予防・生活支援サービス事業の委託に当たっては、市町村が省令第140条の69に定める基準に適合する者に委託しなければならないため、事業の実施に当たっては、法第115条の45第1項第1号イからニまでを省令第140条の62の3第2項に規定する基準に基づき、実施する必要がある(他の実施方法においても同様。)。また、委託の場合には、市町村は受託者より実績報告を受けたうえで、委託料を支払うこととなる。その際、受託者はサービス利用者の人数、利用者の氏名、被保険者番号、要支援者・事業対象者の別、提供したサービスの内容等を市町村が定める様式により報告する必要がある。

・ (c)について

指定の有効期間は、省令第140条の63の7に基づき、給付における指定期間である6年を勘案して市町村が定めるものとする。

なお、市町村境に所在する事業所等他市町村の被保険者が利用する場合には、他市町村による事業者の指定について配慮すること。

事業者が指定の申請をする際に市町村長に提出する申請書又は書類については、当該市町村長が認める場合はその一部を省略できることとしている。

また、指定事業者に対しては国民健康保険団体連合会(以下「国保連」という。)経由で第1号事業支給費を支給することができる。

・ (d)について

補助(助成)の方法で事業を実施する場合について、当該補助(助成)の対象経費や額等については、立ち上げ支援や活動場所の借り上げの費用、間接経費(光熱水費、サービスの利用調整等を行う人件費等)等、様々な経費について、市町村がその裁量により対象とすることを可能とするが、ボランティアがサービス提供する場合には、その人件費等は補助の対象とすることはできない。また、施設整備の費用(軽微な改修は除く。)、直接要支援者等に対する支援等と関係ない従業員の募集・雇用に要する費用、広告・宣伝に要する費用等も対象とすることはできない。運営費の一部を補助するものであるが、例えば補助率を設定せずに年定額での補助を行うことも可能である。

なお、住民主体の自主的な取組や活動を阻害しないよう、実施主体の活動内容については、過去に国庫補助金等から一般財源化された事業も含めて実施を妨げるものではない。

ただし、地域の多様な社会資源を積極的に活用しながら多様な通いの場を創出する観点から、例えばイ(イ)に定める通所型サービスを、空き家を活用した事業として実施する場合等において、階段の手すりやスロープの設置、トイレの改修等高齢者が利用するに当たって必要な軽微な改修を行う場合は、当該費用を対象として差し支えない。

また、サービスを提供するのは補助(助成)を受けたNPO法人やボランティア等となるが、総合事業の実施に当たっては、法第115条の45第1項第1号イからハまでを省令第140条の62の3第2項に基づき実施する必要があることから、補助金(助成金)の交付条件等として当該基準を遵守するよう定める必要がある。補助(助成)による実績報告を求める際、どのような報告を求めるかについては、その補助(助成)の方法やサービス内容を踏まえて、市町村が定める。

(オ) 人員・設備・運営基準

① 旧介護予防訪問介護等に相当するサービスの場合

旧介護予防訪問介護等に相当するサービスに係る人員・設備・運営の基準については、省令第140条の63の6第1号イに規定する介護保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成27年厚生労働省令第4号)附則第2条第3号の規定によりなおその効力を有するものとされた指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等にかかる介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第35号。以下「旧介護予防サービス等の基準」という。)に規定する旧介護予防訪問介護等に係る規定の例により、市町村が定める基準によること。

② 旧介護予防訪問介護等に相当するサービス以外の場合

旧介護予防訪問介護等に相当するサービス以外の指定事業者等によるサービスに係る人員・設備・運営の基準については、地域の実情に応じて市町村が定めること。なお、市町村が当該基準を定める際に、法令により必ず遵守すべき事項については、以下のとおりである。

(a) 従事者の清潔の保持・健康状態の管理

(b) 従事者又は従事者であった者の秘密保持等

(c) 事故発生時の対応

(d) 廃止・休止の届出と便宜の提供

(カ) 単価

① 指定事業者による実施の場合

(a) 単価設定について

旧介護予防訪問介護等に相当するサービスに係る第1号事業支給費の額(以下「サービス単価」という。)は、市町村において国が定める額(旧介護予防訪問介護等に係る単価(以下「介護予防訪問介護等の単価」という。))(別添1に定める単位。以下同じ。)を上限として定めることとしており、市町村は、サービス単価を設定するに当たって、訪問介護員等による専門的サービスであること等を踏まえ、地域の実情に応じ、ふさわしい単価を定めること。

また、旧介護予防訪問介護等に相当するサービス以外の指定事業者によるサービスに係る第1号事業支給費の額は、市町村において、旧介護予防訪問介護等の単価を下回る額でふさわしい単価を定めることとしており、市町村は、サービス内容や時間、基準等を踏まえ単価を定めること。

なお、別添1のとおり、月当たりの包括単位とする場合のほか、旧介護予防訪問介護等に相当するサービスや旧介護予防訪問介護等に相当するサービス以外の指定事業者等によるサービスを組み合わせながら自立支援につなげられるよう、利用1回ごとの出来高で定めることができるが、この場合、月の合計単位が包括単位以下となるようにすること。

(b) 加算・減算について

旧介護予防訪問介護等に相当するサービスの加算・減算については、別添1に定める加算・減算について算定することが可能であり、その算定の要件は旧介護予防訪問介護等の例による。また、旧介護予防訪問介護等に相当するサービス以外の指定事業者によるサービスについては、別添1に定める加算・減算以下の単位を定められるほか、市町村独自で加算・減算を定めることができる。なお、市町村独自で加算を定める場合にあっては、加算も含めて介護予防訪問介護等の単価以下とすること。

(c) 1単位当たりの単価設定

旧介護予防訪問介護等に相当するサービスに係る1単位当たりの単価は、介護給付の訪問介護及び通所介護の地域区分の1単位当たりの単価を用いること。また、旧介護予防訪問介護等に相当するサービス以外の指定事業者によるサービスに係る1単位当たりの単価は、旧介護予防訪問介護等に相当するサービスに係る1単位当たりの単価又は10円で市町村が定めること。

② 直接実施、委託及び補助(助成)の場合

①の指定事業者による実施との整合性の観点から、直接実施における費用の額、委託実施における委託費、補助(助成)実施における補助額は、それぞれの利用者見込み数で除して得た額が、介護予防訪問介護等の単価以下の額(利用者数に応じて設定する単価にあっては、利用者1人当たりの単価が介護予防訪問介護等の単価以下の額)となるように設定すること。

ただし、保健・医療の専門職により提供される3~6か月の短期間で行われるサービスについては、この限りではない。

(キ) 利用者負担

市町村がサービス内容や時間、基準等を踏まえ、要綱等において定めるものとする。

ただし、住民主体の支援等、事業への補助の形式で実施されるサービスは、当該支援の提供主体より自主的に実施されるものであることから、当該支援の提供主体が定めることも可能である。

また、旧介護予防訪問介護等に相当するサービスについては、介護給付の利用者負担割合(原則1割、一定所得以上の場合は2割)等を勘案して市町村が定めるが、その下限は介護給付の利用者負担割合とする。旧介護予防訪問介護等に相当するサービス以外の指定事業者によるサービスの利用者負担についても、その下限は介護給付の利用者負担割合とする。

なお、以下の点に留意すること。

① 利用者負担は、介護給付と同様に事業費用に対して定率とするほか、1回当たりの定額の負担とすることも可能である。

② 食材料費及び調理費相当分については、介護給付と同様に利用者負担とすること。

③ 指定事業者によって提供されるサービスについては(コ)に定める高額介護予防サービス費相当事業の対象となる。それ以外のサービスについては利用料の設定に当たり低所得者への配慮を行うこと。

(ク) 給付管理

要支援者が総合事業を利用する場合には、予防給付の区分支給限度額の範囲内で予防給付と総合事業を一体的に給付管理する。一方、事業対象者については、指定事業者のサービスを利用する場合にのみ、原則給付管理を行うものとすること。

事業対象者に係る給付管理の上限額の設定については、市町村が事業の実施要綱等において、以下の点に留意しつつ定めること。

事業対象者について給付管理を行う際は、予防給付の要支援1の区分支給限度額を目安として行うこと。ただし、退院直後で集中的にサービス利用することが自立支援につながると考えられるケース等、利用者の状態によって、区分支給限度額を超える場合においては、要支援者2の区分支給限度額を上限とすること。

(ケ) 住所地特例適用被保険者に係る費用負担

法第115条の45第1項の規定により、法第13条第3項に規定する住所地特例適用被保険者(以下「住所地特例適用被保険者」という。)に対する総合事業については、より円滑にサービスを受けることができるよう、保険者市町村ではなく、施設所在地市町村が、総合事業を含めた地域支援事業を実施し、事業の費用の負担は当該被保険者の保険者市町村が負担するものである。

このため、保険者市町村は施設所在地市町村に対して、総合事業のうち(エ)①(c)に定める指定事業者による提供サービスと、イ(エ)に定める介護予防ケアマネジメントに要する費用額を支払うものとすること。

(エ)①(c)に定める指定事業者による提供サービス分についての費用の支払いは、国保連経由で行うことを原則とし、国保連を通じて指定事業者が保険者市町村に請求し、保険者市町村が支払うこととなるため、省令第140条の72の3第2項の規定により財政調整はこれをもって行われたものとして取り扱う。

イ(エ)に定める介護予防ケアマネジメントの費用については、市町村の事務負担軽減の観点から、国保連において全国の市町村と一括して財政調整することができる仕組みがある。この仕組みを利用して、市町村においては財源調整を円滑に実施するためには、国保連と委託契約を締結することが必要である。具体的には、政令第37条の16第2項第2号及び省令第140条の72の3第3項に定める算定方法により、別途、住所地特例適用被保険者の利用者数に別添1に定める単価をかけた金額の支払い・請求により財政調整を行うものとする。具体的には、施設所在地市町村が介護予防ケアマネジメント負担金調整依頼書にて、全国の保険者の住所地特例適用被保険者をとりまとめ、年に1回国保連に提出し、国保連が全国全ての市町村から受けた人数を整理して、各市町村に対して対象となる住所地特例適用被保険者の数に別添1の単価をかけた金額を負担金として、支払い又は請求をするものとする。

(コ) 高額介護予防サービス費相当事業

① 目的

市町村は、総合事業によるサービス利用に係る利用者負担の家計に与える影響を考慮し、高額介護予防サービス費に相当する事業を実施することができる。

② 対象

対象となるサービスは、(エ)①(c)に定める指定事業者によるサービスである。

③ 実施内容

市町村が地域の実情に応じて実施するものとするが、給付と事業の両方を利用している場合は、法第51条又は法第61条に基づく給付の高額介護(予防)サービス費の支給を算定した後、高額介護予防サービス費相当の事業による支給を算定することとし、高額介護(予防)サービス費の支給計算にあたって、事業の利用による影響は与えないことに留意すること。なお、給付における高額介護(予防)サービス費との一体実施の観点から、所得判定及び自己負担限度額等は給付と同様に設定すること。

④ 住所地特例適用被保険者に対する事業の実施者

住所地特例適用被保険者は、引き続き保険者市町村の被保険者として、保険料も保険者市町村に納めていることから、当該被保険者に対する地域支援事業の費用は保険者市町村が負担することになるため、住所地特例適用被保険者の高額介護予防サービス費相当事業は保険者市町村が実施する。

(サ) 高額医療合算介護予防サービス費相当事業

① 目的

市町村は、総合事業によるサービス利用に係る利用者負担の家計に与える影響を考慮し、医療保険の自己負担額を合算した額を考慮した高額医療合算介護予防サービス費に相当する事業を実施することができる。

② 対象サービス

対象となるサービスは、(エ)①(c)に定める指定事業者によるサービスである。

③ 実施内容

市町村が地域の実情に応じて実施するものとするが、給付と事業の両方を利用している場合は、法第51条の2又は法第61条の2に基づく給付の高額医療合算介護(予防)サービス費の支給を算定した後、高額医療合算介護予防サービス費相当の事業による支給を算定することとし、高額医療合算介護(予防)サービス費の支給計算にあたって、事業の利用による影響は与えないことに留意すること。なお、給付における高額医療合算介護(予防)サービス費との一体実施の観点から、所得判定及び自己負担限度額等は給付と同様に設定すること。

④ 住所地特例適用被保険者に対する事業の実施者

(コ)④と同様、保険者市町村が実施する。

(シ) その他の制度における総合事業の取扱について

生活保護法における介護扶助、原子爆弾被爆者に対する公費助成、障害給付における介護優先の取扱いについては別途、ガイドラインを参照のこと。

イ 各論

要支援者等の多様な生活支援のニーズに対して、総合事業により多様なサービスを提供していくためには、市町村が中心となって、その地域の実情に応じて、総合事業によるサービスを類型化し、それに合わせた基準や単価等を定めることが必要である。以下のとおり、旧介護予防訪問介護等に相当するサービスのほか、多様なサービスの典型的な例を参考として示すので、市町村においては、これらを参考にしつつ、その地域の実情に応じて、サービスの内容を定めるものとする。ただし、旧介護予防訪問介護等との整合性の観点から、訪問型サービス及び通所型サービスのサービス内容は、保健・医療の専門職により提供される3~6か月の短期間で行われるサービスを除いて、旧介護予防訪問介護等のサービス内容の範囲内で実施するものとする。

(ア) 訪問型サービス

主に①から⑤までのようなサービス類型が想定される。

① 旧介護予防訪問介護に相当するサービス(以下「訪問介護員等によるサービス」という。)

(a) 定義

以下の3つのサービスをいう。

a 省令第140条の63の6第1号イに規定するサービス(旧介護予防訪問介護に相当するサービス)

b 省令第140条の63の6第1号ロに規定するサービス(旧介護予防訪問介護における基準該当サービスに相当するサービス)

c 省令第140条の63の6第1号ハに規定するサービス(旧介護予防訪問介護における離島等におけるサービスに相当するサービス)

(b) サービス内容

要支援者等の居宅において、介護予防を目的として、訪問介護員等により行われる入浴、排せつ、食事等の身体介護や生活援助を行うものである。また、短時間の身体介護といったサービス内容も含まれる。

(c) 実施方法

ア(エ)①(c)に定める事業者指定の方法とする。

(d) 人員・設備・運営基準

ア(オ)①による。

(e) 単価

ア(カ)①による。

② 主に雇用されている労働者により提供される、旧介護予防訪問介護に係る基準よりも緩和した基準によるサービス(以下「訪問型サービスA」という。)

(a) 定義

省令第140条の63の6第2号に規定する基準又は市町村の定める基準に基づき、実施指針第2の4(1)に規定する主に雇用されている労働者により提供される旧介護予防訪問介護に係る基準よりも緩和した基準によるサービス

(b) サービス内容

要支援者等の居宅において、介護予防を目的として、主に雇用される労働者(訪問介護員又は一定の研修受講者)が行う生活援助等のサービス。

「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(平成12年3月17日老計第10号)等旧介護予防訪問介護等のサービス内容の範囲内で、利用者の状態や地域の実情等に応じて柔軟にサービスを提供することが可能であり、サービスの具体例としては、以下のようなものが考えられる。

(例)

・ 調理、掃除等やその一部介助

・ ゴミの分別やゴミ出し

・ 重い物の買い物代行や同行

(c) 実施方法

原則として、ア(エ)①(b)に定める委託又は同①(c)に定める事業者指定による方法とする。

(d) 人員・設備・運営基準

ア(オ)②による。

(e) 単価

事業者指定による場合は、ア(カ)①による。

委託による方法の場合はア(カ)②により、市町村が定める金額とする。委託の場合の単価については、必ずしも市町村において要支援者等個々人に対する個別のサービス単価を設定するものではないことが多いと考えられるため、指定事業者の場合に国が定める上限単価と厳密に比較することになじまないと考えられる。しかしながら、事業の実施に当たって、市町村は利用者1人当たりに要する費用が、国が定める上限単価を上回らないよう事業を計画して実施する(参加者が予定より少なかった等により、結果的に利用者1人当たりに要する費用が国が定める上限単価を上回ることは生じ得る。)。

③ 有償・無償のボランティア等により提供される住民主体による支援(以下「訪問型サービスB」という。)

(a) 定義

市町村の定める基準に基づき、実施指針第2の4(1)に規定する有償・無償のボランティア等により提供される住民主体による支援

(b) 支援内容

要支援者等の居宅において、介護予防を目的として、主に住民ボランティア等、住民主体の自主活動として行う生活援助等の多様な支援。例えば以下のような支援等が考えられる。

(例)

・ 買い物代行、調理、ゴミ出し、電球の交換

・ 布団干し、階段の掃除

なお、訪問型サービスBの実施に当たっては、多様な高齢者の生活上の困りごとへの支援を柔軟に行うことが重要である。また、住民相互による支え合いの支援を基本とする観点及び高齢者の社会参加を促進していく観点から、積極的に地域の高齢者自身が支援の担い手として参加できるような取組を行うことが望ましい。

(c) 実施方法

原則として、ア(エ)①(d)に定める補助(助成)による方法とする。

(d) 人員・設備・運営基準

ア(オ)②による。

(e) 単価

ア(エ)②の留意事項及びア(カ)②を踏まえながら、支援の内容に応じ、市町村が適切な補助単価の設定を行うものとする。

④ 保健・医療の専門職により提供される、3~6か月の短期間で行われるサービス(以下「訪問型サービスC」という。)

(a) 定義

市町村の定める基準に基づき、実施指針第2の4(1)に規定する保健・医療の専門職により提供される支援で、3~6か月の短期間で行われるサービス

(b) サービス内容

特に閉じこもり等の心身の状況のために通所による事業への参加が困難で、訪問による介護予防の取り組みが必要と認められる者を対象に、保健・医療専門職がその者の居宅を訪問して、その生活機能に関する問題を総合的に把握、評価し、社会参加を高めるために必要な相談・指導等を実施する短期集中予防サービスである。その際、サービス終了後も引き続き活動や参加が維持されるよう、地域の通いの場や通所型サービス等社会参加に資する取組に結びつくよう配慮すること。また、当該サービスは、効果的な取り組みができると判断される場合には、通所型サービスCと組み合わせて実施することができる。

なお、当該サービスにおける保健・医療専門職とは、保健師、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、歯科衛生士等である。

(c) 実施方法

ア(エ)①(a)に定める直接実施又は同①(b)に定める委託による方法とする。

(d) 人員・設備・運営基準

ア(オ)②による。

(e) 単価

サービスの内容に応じ、市町村が適切な単価の設定を行うものとする。なお、当該サービスについては、保健・医療の専門職が関与するものであることから、別添1に規定する国が定める単位を上限とするものではない。

(f) 留意事項

a 訪問型サービスCは、保健・医療専門職による短期集中予防サービスであることから、実績を確認しながら効果的かつ効率的な事業運営に努めること。

b 対象者自身が自身の生活機能の低下等について自覚を持ち、介護予防に意欲的に取り組めるように支援すること。

c 対象者がしたい、又はできるようになりたい生活行為を、興味・関心チェックシート(別添4)等を活用し、具体的な目標として明確化すること。

d 個別的な支援を中心とする短期集中予防サービスであることから、3か月を経過した時点で評価を行い、例えばサービス担当者会議等のカンファレンスを開催し、サービス終了後も引き続き社会参加に資する取組が維持されるよう配慮すること。ただし、カンファレンスの結果、サービスの継続が生活行為の改善に効果的であると判断された場合には、最大6か月までサービスを継続することができる。

e サービス終了後は、余暇やボランティア活動、地域の通いの場等の社会参加、一般介護予防事業、通所型サービスB等の社会参加に資する取組を継続できるよう配慮すること。

f 生活機能が低下した場合再び相談できるよう、相談先を伝えること。

⑤ 介護予防・生活支援サービス事業と一体的に行われる移動支援や移送前後の生活支援(以下「訪問型サービスD」という。)

(a) 定義

市町村の定める基準に基づき、実施指針第2の4(1)に規定する介護予防・生活支援サービス事業と一体的に行われる移動支援や移送前後の生活支援

(b) サービス内容

a 通院等をする場合における送迎前後の付き添い支援

b (イ)に定める通所型サービスや(2)に定める一般介護予防事業における送迎を別主体が実施する場合の送迎

(c) 実施方法

訪問型サービスBに準じる。

(d) 人員・設備・運営基準

訪問型サービスBに準じる。

(e) 単価

訪問型サービスBに準じる。なお、(b)aの支援については、通院等をする場合における送迎前後の付き添い支援であるので、移送に関する直接経費は対象とならず、サービスの利用調整の人件費等の間接経費のみが対象となる。また、(b)bの支援の対象経費については、間接経費のほか、ガソリン代等送迎にかかる実費、車両購入費等に対する補助等、具体的な対象経費について費用の効率性の観点から市町村において判断するものである。

(イ) 通所型サービス

主に①から④までのようなサービス類型が想定される。

① 旧介護予防通所介護に相当するサービス(以下「通所介護事業者の従事者によるサービス」という。)

(a) 定義

以下の3つのサービスをいう。

a 省令第140条の63の6第1号イに規定するサービス(旧介護予防通所介護に相当するサービス)

b 省令第140条の63の6第1号ロに規定するサービス(旧介護予防通所介護における基準該当サービスに相当するサービス)

c 省令第140条の63の6第1号ハに規定するサービス(旧介護予防通所介護における離島等におけるサービスに相当するサービス)

(b) サービス内容

要支援者等について、介護予防を目的として、施設に通わせ、当該施設において、一定の期間、入浴、排せつ、食事等の介護等の日常生活上の支援及び機能訓練を行うものである。

(c) 実施方法

ア(エ)①(c)に定める事業者指定の方法とする。

(d) 人員・設備・運営基準

ア(オ)①による。

(e) 単価

ア(カ)①による。

② 主に雇用されている労働者により又は労働者とともにボランティアが補助的に加わった形により提供される旧介護予防通所介護に係る基準よりも緩和した基準によるサービス(以下「通所型サービスA」という。)

(a) 定義

省令第140条の63の6第2号に規定する基準又は市町村の定める基準に基づき、実施指針第2の4(2)に規定する主に雇用されている労働者により又は労働者とともにボランティアが補助的に加わった形により提供される旧介護予防通所介護に係る基準よりも緩和した基準によるサービス

(b) サービス内容

高齢者の閉じこもり予防や自立支援に資する通所事業。例えば以下のようなサービスが考えられる。

(例)

・ ミニデイサービス

・ 運動、レクリエーション活動

(c) 実施方法

原則として、ア(エ)①(b)に定める委託又は同①(c)に定める事業者指定による方法とする。

(d) 人員・設備・運営基準

ア(オ)②による。

(e) 単価

(ア)②(e)に準じる。

③ 有償・無償のボランティア等により提供される住民主体による支援(以下「通所型サービスB」という。)

(a) 定義

市町村の定める基準に基づき、実施指針第2の4(2)に規定する有償・無償のボランティア等により提供される住民主体による支援

(b) 支援内容

住民主体による要支援者等を中心とした定期的な利用が可能な自主的な通いの場づくり。例えば以下のようなサービスが考えられる。

(例)

・ 体操、運動等の活動

・ 趣味活動等を通じた日中の居場所づくり

・ 定期的な交流会、サロン

・ 会食

なお、通所型サービスBは、障害者や子ども、要支援者等以外の高齢者等も加わる形(共生型)で実施することが可能である。また、通所型サービスBとして送迎を実施することも可能であるが、(ア)⑤(b)bに定める訪問型サービスDを組み合わせ、送迎を別主体が行うといった形態も可能である。

(c) 実施方法

原則として、ア(エ)①(d)に定める補助(助成)による方法とする。

(d) 人員・設備・運営基準

ア(オ)②による。

(e) 単価

ア(エ)②の留意事項及びア(カ)②を踏まえながら、支援の内容に応じ、市町村が適切な補助単価の設定を行うものとする。

④ 保健・医療の専門職により提供される、3~6か月の短期間で行われるサービス(以下「通所型サービスC」という。)

(a) 定義

市町村の定める基準に基づき、実施指針第2の4(2)に規定する保健・医療の専門職により提供される支援で、3~6か月の短期間で行われるサービス

(b) サービス内容

個人の活動として行う排泄、入浴、調理、買物、趣味活動等の生活行為に支障のある者を対象に、保健・医療の専門職が、居宅や地域での生活環境を踏まえた適切な評価のための訪問を実施した上で、おおよそ週1回以上、生活行為の改善を目的とした効果的な介護予防プログラムを実施する、短期集中予防サービスである。単に高齢者の運動機能や栄養といった心身機能にだけアプローチするのではなく、高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めたバランスのとれたものとすることにより、サービス利用の結果、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加につなげるものであること。その際、サービス終了後も引き続き活動や参加が維持されるよう、地域の通いの場等への参加に結びつくよう配慮すること。また、当該事業は、効果的な取り組みができると判断される場合には、訪問型サービスCと組み合わせて実施することができる。

なお、当該サービスにおける保健・医療専門職とは、保健師、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、歯科衛生士等である。

(c) 実施方法

ア(エ)①(a)に定める直接実施又は同①(b)に定める委託による方法とする。

(d) 人員・設備・運営基準

ア(オ)②による。

(e) 単価

サービスの内容に応じ、市町村が適切な単価の設定を行うものとする。なお、当該サービスについては、保健・医療の専門職が関与するものであることから、別添1に規定する国が定める単価を上限とするものではない。

(f) 留意事項

a 通所型サービスCは、保健・医療専門職による短期集中予防サービスであることから、実績を確認しながら効果的かつ効率的な事業運営に努めること。

b 対象者自身が自身の生活機能の低下等について自覚を持ち、介護予防に意欲的に取り組めるように支援すること。

c 対象者がしたい又はできるようになりたい生活行為を、興味・関心チェックシート(別添4)等を活用し、具体的な目標として明確化すること。

d 居宅を訪問し、支障をきたしている生活行為の原因を、居宅や地域での生活環境を踏まえ、適切にアセスメントし、課題抽出すること。

e 支障をきたしている生活行為の改善のための運動器の機能向上・栄養改善・口腔機能向上等のプログラム、ADLやIADLの動作練習、集団的に取り組むことにより効果を増す介護予防教育等を必要に応じて組み合わせて実施すること。また、適切な段階において居宅を訪問しADLやIADLの実施状況をモニタリングすること。

f 個別的な支援を中心とする短期集中予防サービスであることから、3か月を経過した時点で評価を行い、たとえばサービス担当者会議等のカンファレンスを開催し、サービス終了後も引き続き社会参加に資する取組が維持されるよう配慮すること。ただし、カンファレンスの結果、サービスの継続が生活行為の改善に効果的であると判断された場合には、最大6か月までサービスを継続してもよい。

g サービス終了後は、余暇やボランティア活動、地域の通いの場等の社会参加、一般介護予防事業、通所型サービスB等の社会参加に資する取組を継続できるよう配慮すること。

h 生活機能が低下した場合再び相談できるよう、相談先を伝えること。

(ウ) その他生活支援サービス

① 定義

法第115条の45第1号ハに規定するサービス。

② サービス内容

要支援者等の地域における自立した日常生活の支援のための事業であって、訪問型サービスや通所型サービスと一体的に行われる場合に効果があると認められるものとし、具体的には、以下のサービスとする。

(a) 栄養改善を目的とした配食や一人暮らし高齢者に対する見守りとともに行う配食等

(b) 定期的な安否確認及び緊急時の対応、住民ボランティア等が行う訪問による見守り

(c) その他、訪問型サービス及び通所型サービスの一体的提供等地域における自立した日常生活の支援に資するサービスとして市町村が定める生活支援

③ 実施方法

原則として、ア(エ)①(a)に定める市町村による直接実施、同①(b)に定める委託又は同①(d)に定める補助(助成)によるものとする。

④ 人員・設備・運営基準

ア(オ)②による。

⑤ 単価

市町村がサービスの内容に応じて適切に定めるものとする。

(エ) 介護予防ケアマネジメント

① 定義

法第115条の45第1号ニに規定するサービス

② 事業内容

介護予防ケアマネジメントは、要支援者等から依頼を受けて、介護予防及び日常生活支援を目的として、その心身の状況、置かれている環境その他の状況に応じて、その選択に基づき、訪問型サービス、通所型サービス、その他生活支援サービスのほか、一般介護予防や市町村の独自施策、市場において民間企業により提供される生活支援サービスも含め、要支援者等の状態等にあった適切なサービスが包括的かつ効率的に提供されるよう必要な援助を行う事業とする。

③ 基本的な考え方

介護予防ケアマネジメントは、介護予防の目的である「高齢者が要介護状態になることをできる限り防ぐ」「要支援・要介護状態になっても状態がそれ以上に悪化しないようにする」ために、高齢者自身が地域における自立した日常生活を送ることができるよう支援するものであり、基本的なケアマネジメントのプロセスに基づくものである。

地域において、高齢者が健康を維持し、改善可能な場合は適切な支援を受けて改善に向かい、医療や介護、生活支援等を必要とする状態になっても住み慣れた地域で暮らし、その生活の質を維持・向上させるためには、高齢者一人一人が自分の健康増進や介護予防についての意識を持ち、自ら必要な情報にアクセスするとともに、介護予防、健康の維持・増進に向けた取組を行うことが重要となる。

介護予防ケアマネジメントは、介護予防支援と同様、地域包括支援センターが要支援者等に対するアセスメントを行い、その状態や置かれている環境等に応じて、目標を設定し、その達成に向けて介護予防の取り組みを生活の中に取り入れ、自ら実施、評価できるよう支援する。また、高齢者自身が、地域で何らかの役割を果たせる活動を継続することにより、日常生活上の何らかの困りごとに対して、心身機能の改善だけではなく、地域の中で生きがいや役割を持って生活できるような居場所に通い続ける等、「心身機能」「活動」「参加」の視点を踏まえた内容となるよう要支援者等の選択を支援していくことも重要である。

介護予防ケアマネジメントについては、適切なアセスメントの実施により、利用者の状況を踏まえた目標を設定し、利用者本人がそれを理解した上で、その達成のために必要なサービスを主体的に利用して、目標の達成に取り組んでいけるよう、具体的に介護予防・生活支援サービス事業等の利用について検討し、ケアプランを作成するものとする。

④ 介護予防ケアマネジメントの類型と考え方

介護予防ケアマネジメントのプロセスについては、利用者の状態等に応じ、以下のような類型が想定される。

(a) ケアマネジメントA(介護予防支援と同様のケアマネジメント)

主に訪問型サービス又は通所型サービスにおいて、指定事業者のサービスを利用するケースや、訪問型サービスC、通所型サービスCを組み合わせた複数のサービスを利用するケース等に対して地域包括支援センターが、アセスメント(課題分析)によってケアプラン原案を作成し、サービス担当者会議を経て決定する。利用者との面接によるモニタリングについては、少なくとも3か月毎に行い、利用者の状況等に応じてサービスの変更も行うことが可能な体制をとっておく。

(b) ケアマネジメントB(サービス担当者会議やモニタリングを省略したケアマネジメント)

ケアマネジメントAやC以外のケースであって、緩和した基準によるケアマネジメントとして、サービス担当者会議等を省略したもの。地域包括支援センターがケアマネジメントを行うが、アセスメント(課題分析)からケアプラン原案作成までは、ケアマネジメントAと同様に実施しつつ、サービス担当者会議を省略したケアプランの作成と、間隔をあけて必要に応じてモニタリング時期を設定し、評価及びケアプランの変更等を行う簡略化したケアマネジメントを実施する。

(c) ケアマネジメントC(基本的にサービス利用開始時のみ行うケアマネジメント)

主に、ケアマネジメントの結果、事業の実施方法が補助に該当するようなサービスや配食等のその他生活支援サービス又は一般介護予防事業の利用につなげるケースであって、緩和した基準によるケアマネジメントとして、基本的にサービス利用開始時のみケアマネジメントを行うもの。ケアマネジメントの結果、利用者本人が自身の状況、目標の達成等を確認し、住民主体のサービス等を利用する場合に実施する。初回のみ、簡略化したケアマネジメントのプロセスを実施し、ケアマネジメントの結果(「本人の生活の目標」「維持・改善すべき課題」「その課題の解決への具体的対策」「目標を達成するための取組」等を記載)を利用者に説明し、理解を得た上で、住民主体の支援の利用等を継続する。その後は、地域包括支援センターによるモニタリングは行わない。利用者の状況の悪化や、利用者からの相談があった場合に、地域包括支援センターによるケアマネジメントに移行する。

⑤ 実施方法

原則として、ア(エ)①(a)に定める直接実施又は同①(b)に定める委託による方法とする。

⑥ 実施担当者(実施体制)

介護予防ケアマネジメントは、利用者本人が居住する地域包括支援センターにおいて、実施するものとする。地域包括支援センターに配置されている3職種(保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員)のほか、介護支援専門員等の指定介護予防支援業務を行っている職員により実施することができ、これらの職員が相互に協働しながら行うものである。ただし、包括的支援事業全体の円滑な実施を考えた上で、地域包括支援センターが介護予防ケアマネジメントの一部を指定居宅介護支援事業所に委託し、当該事業所の介護支援専門員によって実施することもできる。

介護予防ケアマネジメントの実施に当たっては、地域包括支援センターの実施件数、指定居宅介護支援事業所の受託件数の制限は設けておらず、居宅介護支援費の逓減制には含めていないが、地域包括支援センターにおける包括的支援事業の実施状況や介護予防ケアマネジメントと介護予防支援事業を合わせた全体の業務量等を考慮して人員配置等の体制整備をしていただきたい。

介護予防ケアマネジメントの実施体制としては、以下のような体制が考えられる。

(a) 地域包括支援センターが、すべての介護予防ケアマネジメントを行う。

(b) 居宅介護支援事業所に委託する場合において、初回の介護予防ケアマネジメントは、地域包括支援センターが行い、(1クール終了後の)ケアプランの継続、変更の時点以後は、居宅介護支援事業所が行い、適宜地域包括支援センターが関与する。

(c) 居宅介護支援事業所が多くのケースについて介護予防ケアマネジメントを行う場合も、初回の介護予防ケアマネジメント実施時に地域包括支援センターが立ち会うよう努めるとともに、地域ケア会議等を活用しつつ、その全てに関与する。

⑦ 単価

(a) ケアマネジメントA

ケアマネジメントAは省令第140条の63の2第1号ロに規定する額を単価とし、指定介護予防支援と同様に別添1に定める単位を踏まえて市町村が設定する。

(b) ケアマネジメントB

ケアマネジメントBは別添1の単位を下回る単位を市町村が定めることができる。

(c) ケアマネジメントC

ケアマネジメントCは初回のみのケアマネジメントであるため、サービス提供開始月についてのみ、ケアマネジメントAの単価を踏まえた単価を市町村が定めるものとし、これ以降の費用は発生しないものとする。

⑧ 加算・減算

ア(カ)①(b)に準じる。

⑨ 実施の手順

介護予防ケアマネジメントは、「指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」(平成18年厚生労働省令第37号)の「第4章 介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」及び「介護予防・日常生活支援総合事業における介護予防ケアマネジメント(第1号介護予防支援事業)の実施及び介護予防手帳の活用について」(平成27年6月5日厚生労働省老健局振興課長通知)を参照の上、実施するものとする。なお、具体的な事業の実施に当たっては、別添2の様式1から様式4までの様式のほか、市町村で定める様式を活用し、適切にケアマネジメントを実施するものとする。

(2) 一般介護予防事業

ア 総則

(ア) 目的

一般介護予防事業は、市町村の独自財源で行う事業や地域の互助、民間サービスとの役割分担を踏まえつつ、高齢者を年齢や心身の状況等によって分け隔てることなく、住民主体の通いの場を充実させ、人と人とのつながりを通じて、参加者や通いの場が継続的に拡大していくような地域づくりを推進するとともに、地域においてリハビリテーションに関する専門的知見を有する者を活かした自立支援に資する取組を推進し、要介護状態になっても生きがい・役割をもって生活できる地域を構築することにより、介護予防を推進することを目的として実施する。

その目的を達成するため、市町村は、一般介護予防事業を構成する介護予防把握事業、介護予防普及啓発事業、地域介護予防活動支援事業、一般介護予防事業評価事業及び地域リハビリテーション活動支援事業の5事業のうち必要な事業を組み合わせて、地域の実情に応じて効果的かつ効率的に実施するものとする。

(イ) 対象者

一般介護予防事業は、当該市町村の第1号被保険者の全ての者及びその支援のための活動に関わる者を対象に実施するものとするが、住民主体の通いの場に65歳未満の住民が参加し、ともに介護予防に取組むことを妨げるものではない。

なお、介護予防に資する住民主体の通いの場への参加者数は、高齢者人口の概ね1割を目安として、地域の実情に応じて定めるものとする。

イ 各論

(ア) 介護予防把握事業

介護予防把握事業は、例えば、次に掲げる方法等により、地域の実情に応じ、効果的かつ効率的に収集した情報等を活用して、閉じこもり等の何らかの支援を要する者を早期に把握し、住民主体の介護予防活動へつなげることを目的とする。

① 要介護認定及び要支援認定の担当部局との連携による把握

② 訪問活動を実施している保健部局との連携による把握

③ 医療機関からの情報提供による把握

④ 民生委員等地域住民からの情報提供による把握

⑤ 地域包括支援センターの総合相談支援業務との連携による把握

⑥ 本人、家族等からの相談による把握

⑦ 特定健康診査等の担当部局との連携による把握

⑧ その他市町村が適当と認める方法による把握

なお、閉じこもり等の何らかの支援を要する者を把握するために、訪問することも可能である。

(イ) 介護予防普及啓発事業

介護予防普及啓発事業は、概ね次のものが考えられるが、市町村が介護予防に資すると判断した内容を地域の実情に応じて効果的かつ効率的に実施するものとする。なお、実施に際しては、特に必要と認められる場合、リフトバス等による送迎を行うことができるものとする。

① 介護予防に資する基本的な知識を普及啓発するためのパンフレット等の作成及び配布

② 介護予防に資する基本的な知識を普及啓発するための有識者等による講演会や相談会等の開催

③ 介護予防の普及啓発に資する運動、栄養、口腔等に係る介護予防教室等の開催

④ 介護予防に関する知識又は情報、各対象者の介護予防事業の実施の記録等を管理するための媒体(介護予防手帳等)の配布

(ウ) 地域介護予防活動支援事業

地域介護予防活動支援事業は、年齢や心身の状況等によって高齢者を分け隔てることなく、誰でも一緒に参加することのできる介護予防活動の地域展開を目指して、市町村が介護予防に資すると判断する住民主体の通いの場等の活動を地域の実情に応じて効果的かつ効率的に支援することを目的とする。

なお、介護予防に資する住民主体の通いの場は、週1回以上の開催を基本とし、開催箇所数は人口1万人に概ね10か所を目標として、地域の実情に応じて定めるものとする。

また、以上の取組に加え、概ね次のようなものも組み合わせて支援することが考えられる。

① 介護予防に関するボランティア等の人材を育成するための研修

② 介護予防に資する多様な地域活動組織の育成及び支援

③ 社会参加活動を通じた介護予防に資する地域活動の実施

例えば、要介護者等に対する介護予防に資する介護支援ボランティア活動を行った場合に、当該活動実績を評価した上で、ポイントを付与する活動等が考えられる。

(エ) 一般介護予防事業評価事業

① 事業内容

一般介護予防事業評価事業は、介護保険事業計画において定める目標値の達成状況等の検証を通じ、一般介護予防事業を含め、地域づくりの観点から総合事業全体を評価し、その評価結果に基づき事業全体の改善を目的とする。

ただし、地域の実情を把握するための調査の実施にあたっては、介護保険事業計画の評価等を行う上で必要な項目を適切に選定し、調査結果に基づいて評価を行い、計画の見直しを行うこと。また、調査結果について、介護予防普及啓発事業の活用をする等、住民への情報提供に留意すること。

② 実施方法

事業評価は、年度ごとに、別添5の「総合事業の事業評価」により、プロセス評価を中心に実施するとともに、アウトカム指標について評価することが望ましい。

(オ) 地域リハビリテーション活動支援事業

① 事業内容

事業内容としては、概ね次のものが考えられるが、市町村が地域における介護予防の取組を機能強化する効果があると判断した内容を地域の実情に応じて効果的かつ効率的に実施するよう努めるものとする。実施に際しては、リハビリテーションに関する専門的知見を有する者が、高齢者の有する能力を評価し改善の可能性を助言する等、地域包括支援センターと連携しながら、通所、訪問、地域ケア会議、サービス担当者会議、住民運営の通いの場等の介護予防の取組を総合的に支援する。

(a) 住民への介護予防に関する技術的助言

(b) 介護職員等(介護サービス事業所に従事する者を含む。)への介護予防に関する技術的助言

(c) 地域ケア会議やサービス担当者会議におけるケアマネジメント支援

② 実施担当者

リハビリテーションの理念を踏まえて、「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランス良くアプローチすることのできる能力を有する者が実施する。このような能力を有する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が想定されるが、職種を限定するものではない。

2 包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)

別記4に基づき実施するものとする。

3 包括的支援事業(社会保障充実分)

別記5に基づき実施するものとする。

4 任意事業

別記6に基づき実施するものとする。

別記2 (旧総合事業を実施する市町村における地域支援事業の事業構成及び事業内容)

第1 事業構成

旧総合事業を実施する市町村における地域支援事業の構成は、次のとおりとする。

1 旧総合事業

(1) 要支援・二次予防事業

(ア) 予防サービス事業

(イ) 生活支援サービス事業

(ウ) ケアマネジメント事業

(エ) 二次予防事業対象者の把握事業

(オ) 要支援・二次予防事業評価事業

(2) 一次予防事業

(ア) 介護予防普及啓発事業

(イ) 地域介護予防活動支援事業

(ウ) 一次予防事業評価事業

(エ) 地域リハビリテーション活動支援事業

2 包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)

(1) 介護予防ケアマネジメント業務(介護予防ケアマネジメント業務は、旧総合事業のケアマネジメント事業の中で実施する。)

(2) 総合相談支援業務

(3) 権利擁護業務

(4) 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務

3 包括的支援事業(社会保障充実分)

(1) 在宅医療・介護連携推進事業

(2) 生活支援体制整備事業

(3) 認知症総合支援事業

(4) 地域ケア会議推進事業

4 任意事業

(1) 介護給付等費用適正化事業

(2) 家族介護支援事業

(3) その他の事業

第2 事業内容

1 旧総合事業

(1) 要支援・二次予防事業

ア 総則

(ア) 目的

要支援・二次予防事業は、要支援者及び二次予防事業対象者に対して、要介護状態等となることの予防又は要支援状態の軽減若しくは悪化の防止及び地域における自立した日常生活の支援を実施することにより、一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組を支援し、活動的で生きがいのある生活や人生を送ることができるよう支援することを目的として実施する。その目的を達成するため、事業の実施に際しては、ケアマネジメント事業により、個々の要支援者又は二次予防事業対象者の心身の状況、その置かれている環境その他の状況(以下「心身の状況等」という。)に応じて、要支援者又は二次予防事業対象者の選択に基づき、適切な事業を包括的かつ効率的に実施するものとする。

要支援・二次予防事業については、介護サービス事業者、ボランティア、地域活動組織、NPO法人、民生委員、シルバー人材センター等、地域における多様な主体を積極的に活用するとともに、公民館、自治会館、保健センター等、地域の多様な社会資源を積極的に活用しながら実施するものとする。

(イ) 対象者

予防サービス事業、生活支援サービス事業及びケアマネジメント事業は、要支援者及び二次予防事業対象者を対象に実施し、二次予防事業対象者の把握事業は、当該市町村の要介護者及び要支援者を除く第1号被保険者を対象に実施する。

なお、予防サービス事業及び生活支援サービス事業の対象者は、指定介護予防支援若しくは特例介護予防サービス計画費に係る介護予防支援又はケアマネジメント事業の対象者(以下「介護予防支援・ケアマネジメント事業の対象者」という。)である要支援者及び二次予防事業対象者に限る。ただし、要支援者又は二次予防事業対象者が自らケアプランを作成し、市町村又は地域包括支援センターが適当と認めた場合は、介護予防支援・ケアマネジメント事業の対象者でなくとも、予防サービス事業及び生活支援サービス事業の対象者となることができる。

予防サービス事業及び生活支援サービス事業の対象者となる要支援者については、市町村又は地域包括支援センターが、当該要支援者の意思を最大限に尊重しつつ、当該要支援者の心身の状況、その置かれている環境に応じて、適切なケアマネジメントを行うことにより、決定することとする。

また、二次予防事業対象者の名称については、「健康づくり高齢者」や「元気向上高齢者」等、各市町村において、地域の特性や実情に合った親しみやすい通称を設定することが望ましい。

イ 各論

(ア) 予防サービス事業

① 事業内容

予防サービス事業は、要支援者及び二次予防事業対象者に対して、訪問型予防サービス、通所型予防サービス等のうち市町村が定めるサービスを行う事業とする。

要支援者に対しては、訪問型予防サービス(旧介護予防訪問介護)及び通所型予防サービス(旧介護予防通所介護)以外の介護予防サービス(法第8条の2第1項に規定する介護予防サービスをいう。以下同じ。)又は地域密着型介護予防サービス(同条第14項に規定する地域密着型介護予防サービスをいう。以下同じ。)のうち市町村が定めるサービスを行うことができる。なお、予防給付を受けている要支援者が、当該予防給付の支給対象となった介護予防サービス又は地域密着型介護予防サービス(以下「支給対象サービス」という。)とは異なる種類のサービスを予防サービス事業に基づいて利用することは可能であるが、支給対象サービスと同じ種類のサービスを予防サービス事業に基づいて利用することはできない。

(例:予防給付において旧介護予防訪問介護を利用している要支援者が、旧総合事業において旧介護予防訪問介護を利用することはできないが、旧介護予防通所介護を利用することは可能である。)

二次予防事業対象者に対しては、自立支援の効果を高める観点から、可能な限り通所型予防サービスによって対応することを基本とする。一方、要介護状態等から改善した二次予防事業対象者であって特に必要があると認められる者に対しては、訪問型予防サービスを実施するとともに、うつ、認知症、閉じこもり等のおそれがある二次予防事業対象者又は既にこうした状況にある二次予防事業対象者等、通所型予防サービスへの参加が困難である二次予防事業対象者に対しては、保健師等が居宅を訪問して、日常生活で必要となる機能(以下「生活機能」という。)に関する問題を総合的に把握及び評価し、必要な相談や指導を実施するものとする。

各利用者に対する予防サービス事業の実施は、介護予防支援又はケアマネジメント事業で実施されるケアマネジメントに基づいて行うものとする。

② 事業の実施方法

市町村又は受託事業者(市町村から旧総合事業の実施を委託された者をいう。以下同じ。)は、旧省令第140条の62の3第2号から第4号までに掲げる基準又は第140条の69各号に掲げる基準を遵守した上で、地域の実情等に応じつつ、サービス提供に支障が生じないよう、人員、設備等の体制を確保するものとする。

③ 予防サービス事業によって提供される各サービスの内容

(a) 訪問型予防サービス

a サービス内容

訪問型予防サービスは、要支援者又は二次予防事業対象者の居宅において、介護予防を目的として、介護福祉士又はホームヘルパーにより行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の支援とする。

b サービスの提供

市町村又は受託事業者は、利用者の状態像や地域の実情等に応じて、aに合致するサービスを柔軟に提供することが可能である。こうしたサービスの具体例としては、例えば、以下のようなサービス等が考えられる。

・ 利用者の居宅において、介護予防・生活機能向上を目的として、介護福祉士又はホームヘルパーによって行われる身体介護

・ 利用者の居宅において、介護予防を目的として、介護福祉士又はホームヘルパーによって行われる生活援助

(b) 通所型予防サービス

a サービス内容

通所型予防サービスは、介護予防を目的として、適切な施設又は事業所において、介護等(入浴、排せつ、食事等の介護、生活等に関する相談及び助言、健康状態の確認その他の必要な日常生活上の支援をいう。)及び機能訓練を行うこととする。

適切な施設又は事業所とは、旧介護予防通所介護事業所等の介護サービス事業所、市町村保健センター、健康増進センター、老人福祉センター、介護保険施設、公民館等、市町村が適当と認める施設又は事業所とする。

b サービスの提供

市町村又は受託事業者は、利用者の状態像や地域の実情等に応じて、aに合致するサービスを柔軟に提供することが可能である。こうしたサービスの具体例としては、例えば、以下のようなサービス等が考えられる。

・ 介護サービス事業所、市町村保健センター、公民館等で行われる機能訓練並びに生活等に関する相談及び助言

・ 介護サービス事業所、市町村保健センター、公民館等で行われる機能訓練及び健康状態の確認

・ 介護サービス事業所、市町村保健センター、公民館等で行われる機能訓練及び身体介護

c 留意事項

通所型予防サービスは、要支援者又は二次予防事業対象者の心身の状況等を踏まえ、運動器の機能向上、栄養改善、口腔機能の向上に係るサービス等、市町村において介護予防の観点から効果が認められると判断されるサービスを提供するものとする。

通所型予防サービスの実施に当たっては、適宜、別記3の第2の1(1)イの(イ)を参照しながら実施するものとする。

この場合において、別記3の第2の1(1)の(イ)⑤中「介護予防ケアマネジメント業務」とあるのは「ケアマネジメント事業」と読み替える。

なお、1つの旧介護予防通所介護事業所等において、通所型予防サービス、旧介護予防通所介護及び通所介護を同時に提供することは、各サービスの提供に支障がない限り、可能とする。その場合には、通所型予防サービスの利用者も定員に含めた上で、旧介護予防通所介護及び通所介護の人員・設備基準を満たしていることが必要である。

通所型予防サービスにおいて、栄養改善に係るサービスにより調理実習等を実施する場合、食材料費及び調理費相当分については利用者負担とすることを基本とするが、利用料の設定に当たっては、低所得者への配慮を考慮すること。なお、サービスの対象者・利用の負担額等については、あらかじめ要綱等において明確に規定しておくこと。

(c) その他のサービス

a (a)及び(b)以外の介護予防サービス又は地域密着型介護予防サービス

要支援者に対して提供することが可能な介護予防サービス((a)及び(b)を除く。)は、介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防通所リハビリテーション、介護予防短期入所生活介護、介護予防短期入所療養介護、介護予防特定施設入居者生活介護、介護予防福祉用具貸与及び特定介護予防福祉用具販売のうち市町村が定めるサービスとする。

要支援者に対して提供することが可能な地域密着型介護予防サービスは、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護及び介護予防認知症対応型共同生活介護のうち市町村が定めるサービスとする。

予防サービス事業においてこれらのサービスを提供する場合には、法第8条の2各項に規定するそれぞれのサービスの定義に沿って、市町村において、地域の実情等に応じて、具体的なサービス内容等を定めるものとする。

b 通所型予防サービスへの参加が困難である二次予防事業対象者に対する訪問相談・指導

通所型予防サービスへの参加が困難である二次予防事業対象者に対する訪問相談・指導は、別記3の第2の1(1)イの(ウ)に基づき、実施するものとする。

(イ) 生活支援サービス事業

① 事業内容

生活支援サービス事業は、要支援者及び二次予防事業対象者に対して、次に掲げる事業のうち市町村が定めるものを実施する事業とする。

(a) 栄養の改善を目的として、配食を行う事業

(b) 要支援者及び二次予防事業対象者が自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として、定期的な安否確認及び緊急時の対応を行う事業

(c) その他地域の実情に応じつつ、予防サービス事業と一体的に行われることにより、介護予防及び日常生活支援に資する事業

なお、(c)に掲げる事業において提供するサービスは、地域の実情に応じて、市町村において独自に定めるものであり、複数のサービスを実施することが可能である。

② 事業の実施方法

市町村又は受託事業者は、旧省令第140条の62の3第2号から第4号までに掲げる基準又は第140条の69各号に掲げる基準を遵守した上で、地域の実情等に応じつつ、サービス提供に支障が生じないよう、人員、設備等の体制を確保するものとする。

③ 留意事項

①の(a)に掲げる事業を実施する場合は、食材料費及び調理費相当分については利用者負担とすることを基本とするが、利用料の設定に当たっては、低所得者への配慮を考慮すること。なお、事業の対象者・利用の負担額等については、予め要綱等において明確に規定しておくこと。

(ウ) ケアマネジメント事業

① 事業内容

ケアマネジメント事業は、要支援者(指定介護予防支援又は特例介護予防サービス計画費に係る介護予防支援を受けている者を除く。以下この(ウ)において同じ。)及び二次予防事業対象者に対して、介護予防及び日常生活支援を目的として、その心身の状況、その置かれている環境その他の状況に応じて、その選択に基づき、予防サービス事業、生活支援サービス事業その他の適切な事業が包括的かつ効率的に提供されるよう必要な援助を行う事業とする。

ケアマネジメント事業については、市町村又は地域包括支援センターにおいて実施する。

② 実施担当者

ケアマネジメント事業は、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員等が相互に協働しながら実施するものとする。

③ 実施の際の考え方

ケアマネジメント事業の実施に当たっては、今後、要支援者又は二次予防事業対象者がどのような生活をしたいかという具体的な日常生活上の目標を明確にし、その目標を要支援者又は二次予防事業対象者、家族、事業実施担当者が共有するとともに、要支援者又は二次予防事業対象者自身の意欲を引き出し、自主的に取組を行えるよう支援するものとする。

④ 実施の手順

ケアマネジメント事業は、次の手順により実施するものとする。なお、具体的な事業の実施に当たっては、必要に応じて、別添2の様式1から様式4までの様式(以下「標準様式例」という。)の活用等を図ることにより、適切にケアマネジメントを実施するものとする。

(a) 課題分析(アセスメント)

基本チェックリストの結果の情報の把握や、要支援者又は二次予防事業対象者及び家族との面接による聞き取り等を通じて、次に掲げる各領域ごとに、要支援者又は二次予防事業対象者の日常生活の状況、生活機能の低下の原因や背景等の課題を明らかにする。

a 運動及び移動

b 家庭生活を含む日常生活

c 社会参加並びに対人関係及びコミュニケーション

d 健康管理

その際、生活機能の低下について要支援者又は二次予防事業対象者の自覚を促すとともに、介護予防に取り組む意欲を引き出すため、要支援者又は二次予防事業対象者や家族との信頼関係の構築に努めるものとする。

(b) 目標の設定

課題分析の結果、個々の要支援者又は二次予防事業対象者にとって最も適切と考えられる目標を設定する。目標は、単に運動器の機能や栄養改善、口腔機能といった特定の機能の改善だけを目指すものではなく、これらの機能改善や環境の調整等を通じて、生活の質の向上を目指すものとする。課題分析(アセスメント)の結果、地域包括支援センターは、要支援者又は二次予防事業対象者及びその家族の同意を得て、支援の内容や目標とその達成時期等を含むケアプランを作成する。その際、要支援者又は二次予防事業対象者、家族及び事業の実施担当者等が共通の認識を得られるよう情報の共有に努めるものとする。

なお、二次予防事業対象者については、介護予防ケアプランの作成の必要がない場合には、地域包括支援センターは、事業の実施前に事業実施担当者に対し参加するプログラムの種類を含む個々の対象者の支援の内容等を伝え、事業の実施後に事業実施担当者から事前・事後アセスメント及び個別サービス計画に係る情報を収集することにより、介護予防ケアプランの作成に代えることができる。

介護予防ケアプランにおいては、要支援者又は二次予防事業対象者自身による取組、家族や地域住民等による支援等を、積極的に位置づけるとともに、ボランティアや地域活動組織の育成・支援等を実施する一次予防事業と十分に連携し、地域における社会資源の活用に努めることとする。

(c) モニタリングの実施

旧総合事業が実施される間、地域包括支援センターは、必要に応じて、その実施状況を把握するとともに、当該事業の実施担当者等の関係者の調整を行う。また、当該事業の実施担当者に対し、旧総合事業による目標の達成状況等の評価を行わせ、その結果の報告を受ける。

(d) 評価

地域包括支援センターでは、事業の実施担当者からの事後アセスメント等の結果報告を参考にしつつ、要支援者又は二次予防事業対象者及び家族との面接等によって、個々の要支援者又は二次予防事業対象者の心身の状況等を再度把握し、適宜、ケアプランの見直し等を行う。

⑤ 留意事項

(a) ケアマネジメント事業は、(エ)の二次予防事業対象者の把握事業と密に連携を図り、実施するものとする。

(b) 標準様式例は、別記3の第2の2(1)の介護予防ケアマネジメント業務の実施に当たって必要と思われる標準的な項目を示したものであり、標準様式例の活用に当たっては、ケアマネジメントに必要な情報について個別に吟味した上で、適宜、項目を追加または簡略化する等、工夫して用いるものとする。

(c) ケアマネジメント事業においては、介護保険における居宅介護支援及び介護予防支援との一貫性や連続性の確保に配慮するものとする。

(d) ケアマネジメント事業においては、多くの専門職や地域住民等の積極的な参画を求めるものとする。

(e) ケアマネジメント事業においては、要支援者若しくは二次予防事業対象者又はその家族の秘密が第三者に漏れることのないよう、必要な措置を講じるものとする。

(f) 要支援者又は二次予防事業対象者が自らケアプランを作成し、市町村又は地域包括支援センターが適当と認めた場合は、介護予防支援・ケアマネジメント事業の対象者でなくとも、予防サービス事業及び生活支援サービス事業の対象者となることができる。

(g) 委託型の地域包括支援センターについては、要支援者に係るケアマネジメント事業の一部を指定居宅介護支援事業者に委託することができる。この場合には、地域包括支援センターは、あらかじめ、旧省令第140条の70各号に掲げる事項を市町村長に届け出なければならない。

なお、市町村は、委託型の地域包括支援センターが、要支援者に係るケアマネジメント事業の一部を指定居宅介護支援事業者に委託する際には、正当な理由なく特定の指定居宅介護支援事業者に偏らないこと及び委託先の指定居宅介護支援事業所の業務に支障のない範囲で委託することについて、留意することとする。

(エ) 二次予防事業対象者の把握事業

二次予防事業対象者の把握事業(以下別記2において「把握事業」という。)は、要介護状態等となるおそれの高い状態にある二次予防事業対象者を早期に発見し、介護予防に資する取組につなぐことを目的として、次の取組を実施する。

なお、生活機能の確認は、別添3の基本チェックリストで行う。

① 二次予防事業対象者に関する情報の収集

次に掲げる方法等により、二次予防事業対象者に関する情報の収集に努めるものとする。情報の収集は、地域の実情に応じ、効果的・効率的に実施すること。

なお、他部局と経年的な情報を共有し、データベース化する等により、対象者把握の効率化を図ることも考えられる。

また、閉じこもり、うつ、認知機能の低下等により日常の生活動作が困難な者については、早期発見・早期対応に努めること。

a 要介護認定及び要支援認定(以下「要介護認定等」という。)の担当部局との連携による把握

b 訪問活動を実施している保健部局との連携による把握

c 医療機関からの情報提供による把握

d 民生委員等地域住民からの情報提供による把握

e 地域包括支援センターの総合相談支援業務との連携による把握

f 本人、家族等からの相談による把握

g 特定健康診査等の担当部局との連携による把握

h その他市町村が適当と認める方法による把握

なお、閉じこもり等の何らかの支援を要する者を把握するために、訪問することも可能である。

② 二次予防事業対象者の決定等

①により把握した者に対して、基本チェックリストを実施する。基本チェックリストにおいて、次のiからivまでのいずれかに該当する者を、要介護状態等となるおそれの高い状態にあると認められる者として、二次予防事業対象者とする。

i 1から20までの項目のうち10項目以上に該当する者

ii 6から10までの5項目のうち3項目以上に該当する者

iii 11及び12の2項目全てに該当する者

iv 13から15までの3項目のうち2項目以上に該当する者

なお、上記に該当する者のうち、基本チェックリストの16の項目に該当する者、18から20のいずれかに該当する者、21から25までの項目のうち2項目以上に該当する者については、うつ・閉じこもり・認知機能の低下予防や支援にも考慮する必要がある。

③ 要介護認定等において非該当と判定された者の取扱いについて

(a) 要介護認定等を受けていた者が非該当と判定された場合、二次予防事業対象者とし、適切にフォローするものとする。

(b) 新たに要介護認定等の申請を行った者が非該当と判定された場合については、基本チェックリストの実施等により、二次予防事業への参加が必要と認められた者について二次予防事業対象者とする。

④ 二次予防事業対象者として取り扱う期間

二次予防事業対象者として取り扱う期間は、基本チェックリストの結果や個々の状態等を勘案して市町村が設定する期間とする。

(オ) 要支援・二次予防事業評価事業

① 事業内容

介護保険事業計画において定める目標値の達成状況等の検証を通じ、要支援・二次予防事業の事業評価を行い、その結果に基づき事業の実施方法等の改善を図る。

② 実施方法

事業評価は、年度ごとに、別添6の「旧総合事業の事業評価」により、ストラクチャー評価、プロセス評価、アウトカム評価をそれぞれ実施する。

③ 留意事項

事業評価を実施するため、旧総合事業の対象者数、参加者数、事業参加前後のQOL指標の変化、主観的健康感の変化等のデータ等について、常に収集・整理するものとする。

(2) 一次予防事業

ア 総則

(ア) 目的

一次予防事業は、市町村の独自財源で行う事業や地域の互助、民間サービスとの役割分担を踏まえつつ、高齢者を年齢や心身の状況等によって分け隔てることなく、住民主体の通いの場を充実させ、人と人とのつながりを通じて、参加者や通いの場が継続的に拡大していくような地域づくりを推進するとともに、地域においてリハビリテーションに関する専門的知見を有する者を活かした自立支援に資する取組を推進し、要介護状態になっても生きがい・役割をもって生活できる地域を構築することにより、介護予防を推進することを目的として実施する。

その目的を達成するため、市町村は、一次予防事業を構成する介護予防普及啓発事業、地域介護予防活動支援事業、一次予防事業評価事業及び地域リハビリテーション活動支援事業の4事業のうち必要な事業を組み合わせて、地域の実情に応じて効果的かつ効率的に実施するものとする。

なお、新しい総合事業の実施を猶予する市町村においても、早期に地域づくりによる介護予防の推進に取り組むことが重要であることから、二次予防事業を実施せずに、一次予防事業に専念することも可能である。

(イ) 対象者

一次予防事業は、当該市町村の第1号被保険者の全ての者及びその支援のための活動に関わる者を対象に実施するものとする。

なお、介護予防に資する住民主体の通いの場への参加者数は、高齢者人口の概ね1割を目安として、地域の実情に応じて定めるものとする。

イ 各論

(ア) 介護予防普及啓発事業

事業内容としては、概ね次のものが考えられるが、市町村が介護予防に資すると判断した内容を地域の実情に応じて効果的かつ効率的に実施するものとする。なお、実施に際しては、特に必要と認められる場合、リフトバス等による送迎を行うことができるものとする。

① 介護予防に資する基本的な知識を普及啓発するためのパンフレット等の作成及び配布

② 介護予防に資する基本的な知識を普及啓発するための有識者等による講演会や相談会等の開催

③ 介護予防の普及啓発に資する運動教室等の介護予防教室等の開催

④ 介護予防に関する知識又は情報、各対象者の介護予防事業の実施の記録等を管理するための媒体の配布

(イ) 地域介護予防活動支援事業

事業内容としては、概ね次のものが考えられるが、高齢者を年齢や心身の状況等によって分け隔てることなく誰でも一緒に参加することのできる住民主体の通いの場等の介護予防活動の地域展開を目指して、市町村が介護予防に資すると判断した内容を地域の実情に応じて効果的かつ効率的に実施するものとする。

① 介護予防に関するボランティア等の人材を育成するための研修

② 介護予防に資する多様な地域活動組織の育成及び支援

③ 社会参加活動を通じた介護予防に資する地域活動の実施

例えば、要介護者等に対する介護予防に資する介護支援ボランティア活動を行った場合に、当該活動実績を評価した上で、ポイントを付与する活動等が考えられる。

(ウ) 一次予防事業評価事業

① 事業内容

介護保険事業計画において定める目標値の達成状況等の検証を通じ、一次予防事業の事業評価を行い、その結果に基づき事業の改善を図る。

② 実施方法

事業評価は、年度ごとに、別添6の「旧総合事業の事業評価」により、プロセス評価を中心に実施するとともに、アウトカム指標について評価することが望ましい。

(エ) 地域リハビリテーション活動支援事業

① 事業内容

事業内容としては、概ね次のものが考えられるが、市町村が地域における介護予防の取組を機能強化する効果があると判断した内容を地域の実情に応じて効果的かつ効率的に実施するよう努めるものとする。実施に際しては、リハビリテーションに関する専門的知見を有する者が、高齢者の有する能力を評価し改善の可能性を助言する等、地域包括支援センターと連携しながら、通所、訪問、地域ケア会議、サービス担当者会議、住民運営の通いの場等の介護予防の取組を総合的に支援する。

a 住民への介護予防に関する技術的助言

b 介護職員等(介護サービス事業所に従事する者を含む。)への介護予防に関する技術的助言

c 地域ケア会議やサービス担当者会議におけるケアマネジメント支援

② 実施担当者

リハビリテーションの理念を踏まえて、「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランス良くアプローチすることのできる能力を有する者が実施する。このような能力を有する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が想定されるが、職種を限定するものではない。

(3) 旧総合事業の実施に際しての留意事項

ア 旧総合事業の実施に当たっては、地域の医師会、歯科医師会等の協力を得るとともに、保健、精神保健福祉等の関係課部局、保健所、医療機関等の関係機関と十分に調整を図るものとする。

イ 一次予防事業と要支援・二次予防事業の実施に当たっては、介護予防に関するボランティアの有効的な活用や、参加者数を十分に確保し事業を実施するための開催場所の検討及び会場の集約を図る等の効果的・効率的な運営に留意すること。

ウ 一次予防事業と要支援・二次予防事業は、相互に密に連携を図って、効果的な事業の実施に努めるものとする。特に、要支援・二次予防事業の終了者については、主体的かつ継続的に取組を実施できるよう、(2)イの(イ)地域介護予防活動支援事業における地域活動組織やボランティア育成研修等へとつなげるケアマネジメントが重要である。なお、両施策については、各事業への参加状況等を勘案し、同じ会場で実施する等の創意工夫を図り実施できるものとする。ただし、その場合、要支援者及び二次予防事業対象者については、ケアマネジメントに基づきプログラムを補足する等、適切にフォローするとともに、事業参加前後のQOL指標の変化、主観的健康感の変化等のデータ等に基づく評価を行い、対象者の状態像に即した支援につなげるものとする。

また、(1)イの(オ)要支援・二次予防事業評価事業と同様、要支援者及び二次予防事業対象者については参加者数、事業参加前後のQOL指標の変化、主観的健康感の変化等のデータについて、常に収集・整理し、必要に応じて継続的な支援を行うものとする。

2 包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)

別記4及に基づき実施するものとする。

3 包括的支援事業(社会保障充実分)

別記5に基づき実施するものとする。

4 任意事業

別記6に基づき実施するものとする。

別記3 (旧介護予防事業を実施する市町村における地域支援事業の事業構成及び事業内容)

第1 事業構成

旧介護予防事業を実施する市町村における地域支援事業の構成は、次のとおりとする。

1 介護予防事業

(1) 二次予防事業

(ア) 二次予防事業対象者の把握事業

(イ) 通所型介護予防事業

(ウ) 訪問型介護予防事業

(エ) 二次予防事業評価事業

(2) 一次予防事業

(ア) 介護予防普及啓発事業

(イ) 地域介護予防活動支援事業

(ウ) 一次予防事業評価事業

(エ) 地域リハビリテーション活動支援事業

2 包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)

(1) 介護予防ケアマネジメント業務

(2) 総合相談支援業務

(3) 権利擁護業務

(4) 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務

3 包括的支援事業(社会保障充実分)

(1) 在宅医療・介護連携推進事業

(2) 生活支援体制整備事業

(3) 認知症総合支援事業

(4) 地域ケア会議推進事業

4 任意事業

(1) 介護給付等費用適正化事業

(2) 家族介護支援事業

(3) その他の事業

第2 事業内容

1 介護予防事業

(1) 二次予防事業

ア 総則

(ア) 目的

二次予防事業は、二次予防事業対象者に対して実施することを基本とし、二次予防事業対象者が要介護状態等となることを予防することを通じて、一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組を支援し、活動的で生きがいのある生活や人生を送ることができるよう支援することを目的として実施する。その目的を達成するため、事業の実施に際しては、介護予防ケアマネジメント業務により、個々の対象者の心身の状況等に応じて、対象者の選択に基づき、適切な事業を包括的かつ効率的に実施するものとする。

(イ) 対象者

二次予防事業対象者の把握事業は、当該市町村の要介護者及び要支援者を除く第1号被保険者を対象に実施し、通所型介護予防事業及び訪問型介護予防事業は、当該市町村の第1号被保険者である二次予防事業対象者に実施するものとする。

通所型介護予防事業及び訪問型介護予防事業においては現に要介護状態等にある者に対しては原則として事業を実施しないが、心身の状況等により通所形態による事業への参加が困難な者であって、低栄養状態を改善するために必要と認められるものに対しては、二次予防事業において配食の支援を実施して差し支えない。なお、低栄養状態を改善することを目的としない配食の支援については本事業の対象とならない。

二次予防事業対象者の名称については、「健康づくり高齢者」や「元気向上高齢者」等、各市町村において、地域の特性や実情に合った親しみやすい通称を設定することが望ましい。

イ 各論

(ア) 二次予防事業対象者の把握事業

二次予防事業対象者の把握事業は、別記2の第2の1(1)イの(エ)に基づき、実施するものとする。

(イ) 通所型介護予防事業

① 事業内容

通所型介護予防事業においては、二次予防事業対象者に、次の(a)から(e)までに掲げるプログラム(機能訓練、健康教育等)を実施し、対象者本人が掲げる日常生活上の目標達成を図り、自立した生活の確立と自己実現の支援を行う。

なお、二次予防事業対象者が参加するプログラムは、基本チェックリストで該当する項目や、対象者の意向を踏まえて選択するものとする。

(a) 運動器の機能向上プログラム

二次予防事業対象者と決定した者のうち、運動器の機能が低下している又は市町村が運動器の機能が低下しているおそれがあると判断した者に対し、理学療法士等を中心に看護職員、介護職員等が協働して運動器の機能向上に係る個別の計画を作成し、当該計画に基づき有酸素運動、ストレッチ、簡易な器具を用いた運動等を実施し、運動器の機能を向上させるための支援を行う。

(b) 栄養改善プログラム

二次予防事業対象者と決定した者のうち、低栄養状態にある又は市町村が低栄養状態のおそれがあると判断した者に対し、管理栄養士が看護職員、介護職員等と協働して栄養状態を改善するための個別の計画を作成し、当該計画に基づき個別的な栄養相談や集団的な栄養教育等を実施し、低栄養状態を改善するための支援を行う。

(c) 口腔機能の向上プログラム

二次予防事業対象者と決定した者のうち、口腔機能が低下している又は市町村が口腔機能が低下しているおそれがあると判断した者に対し、歯科衛生士等が看護職員、介護職員等と協働して口腔機能の向上に係る個別の計画を作成し、当該計画に基づき摂食・嚥下機能訓練、口腔清掃の自立支援等を実施し、口腔機能を向上させるための支援を行う。

(d) その他のプログラム

上記(a)から(c)までに掲げるプログラムのほか、膝痛・腰痛対策のためのプログラム、閉じこもり予防・支援又は認知機能の低下予防・支援若しくはうつ予防・支援に関するプログラム等、市町村において介護予防の観点から効果が認められると判断されるプログラムを実施する。

(e) 複合プログラム

上記(a)から(d)までに掲げるプログラムを複合的に実施することにより、効果的・効率的な実施が可能となると判断される場合には、複数のプログラムを組み合わせた個別の計画を作成し、当該計画に基づき複合プログラムを実施する。

② 実施場所

通所介護事業所等の介護サービス事業所、市町村保健センター、健康増進センター、老人福祉センター、介護保険施設、公民館等、市町村が適当と認める施設で実施するものとする。

③ 実施担当者

医師、歯科医師、保健師、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、歯科衛生士、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年3月31日厚生省令第37号)第93条第4項に規定する機能訓練指導員、経験のある介護職員等が実施する。

④ プログラムに参加する場合の医師の判断

例えば、心臓疾患、骨折等の傷病を有している者については、運動器の関連のプログラムの実施により、病状悪化のおそれがあることから、プログラム参加の適否について医師の判断を求めること。

⑤ 実施の手順

通所型介護予防事業は、次の手順により実施するものとする。以下(a)から(d)までに掲げる実施状況については、介護予防ケアマネジメント業務を実施する地域包括支援センターに必ず報告するものとする。なお、地域包括支援センターにより介護予防ケアプランが作成されている場合は、これを踏まえ実施するものとする。

(a) 事前アセスメントの実施

実施担当者は、個別サービス計画を作成するために必要となる課題を把握するとともに、事業終了後にその効果を評価するための基準値を得るために、事前アセスメントを実施する。

(b) 個別サービス計画の作成

実施担当者は、事前アセスメントの結果や対象者の意向を踏まえて、プログラムの目標、プログラムの内容、家庭や地域での自発的な取組の内容、実施期間、実施回数等を記載した個別サービス計画を作成する。実施期間は、プログラムの内容に応じて、概ね3か月から6か月程度とし、実施回数は、対象者の過度な負担とならず、かつ効果が期待できる回数を設定するものとする。

(c) プログラムの実施

実施担当者は、個別サービス計画に基づき、プログラムを実施する。

なお、概ね1か月ごとに個別サービス計画で定めた目標の達成状況について評価を実施し、適宜、プログラムの実施方法等について見直しを行うものとする。

(d) 事後アセスメントの実施

実施担当者は、事業終了後、事後アセスメントとして、再度、事前アセスメントと同様の評価を実施し、目標の達成状況やその後の支援方法について検討を行う。

⑥ 留意事項

安全に事業を実施するために、事故発生時の対応を含む安全管理マニュアルを整備し、常に安全管理に配慮するものとする。

なお、実施に際しては、二次予防事業対象者の心身の状況等に応じて、リフトバス等による送迎を行うことができるものとする。

また、通所型介護予防事業において、栄養改善プログラムにより調理実習事業等を実施する場合、食材料費及び調理費相当分については利用者負担とすることを基本とするが、利用料の設定に当たっては、低所得者への配慮を考慮すること。なお、事業の対象者・利用の負担額等については、予め要綱等において明確に規定しておくこと。

二次予防事業の終了者については、一次予防事業において継続して介護予防に取り組むことができるようにすることが重要である。

(ウ) 訪問型介護予防事業

① 事業内容

二次予防事業対象者であって、特に閉じこもり、うつ、認知機能の低下のおそれがある等、心身の状況等により通所形態による事業への参加が困難なものであり、市町村が訪問型介護予防事業の実施が必要と認められるものを対象に、保健師等がその者の居宅を訪問して、その生活機能に関する問題を総合的に把握・評価し、必要な相談・指導等を実施する。

また、訪問型介護予防事業の対象者であって、低栄養状態を改善するために特に必要と認められるものに対しては、栄養改善プログラムの一環として配食の支援を実施する。

② 実施担当者

保健師、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、歯科衛生士等が実施する。

③ プログラムに参加する場合の医師の判断

通所型介護予防事業における取扱いと同様、必要と認められる場合は、プログラム参加の適否について医師の判断を求めること。

④ 実施の手順

訪問型介護予防事業は、次の手順により実施するものとする。以下の(a)から(d)までに掲げる実施状況については、介護予防ケアマネジメント業務を実施する地域包括支援センターに必ず報告するものとする。なお、地域包括支援センターにより介護予防ケアプランが作成されている場合は、これを踏まえ実施するものとする。

(a) 事前アセスメントの実施

実施担当者は、対象者の居宅を訪問し、個別サービス計画を作成するために必要となる課題を把握するとともに、事業終了後にその効果を評価するための基準値を得るために、事前アセスメントを実施する。事前アセスメントでは、主治医とも連携しつつ、対象者の心身の状況等について、地域包括支援センターの作成した課題分析・目標設定を踏まえ、包括的な評価を行う。その際、認知機能の低下やうつが疑われる者については、適宜、医療機関への受診を勧奨するとともに、精神保健福祉センター等の専門機関との連携を図る。

(b) 個別サービス計画の作成

実施担当者は、事前アセスメントの結果や対象者の意向を踏まえて、個別の対象者ごとに支援方法を検討し、概ね3か月から6か月までを実施期間とする個別サービス計画を作成する。

(c) 支援の実施

実施担当者は、個別サービス計画に基づき、定期的に対象者の居宅を訪問し、対象者の心身の状況等を確認するとともに、必要な相談・指導等を実施する。併せて、対象者の心身の状況等を踏まえつつ、対象者の関心や興味に応じて、通所型介護予防事業の各種プログラムや地域における自発的な活動等への参加を促すものとする。

(d) 事後アセスメントの実施

実施担当者は、事業終了後、事後アセスメントとして、再度、事前アセスメントと同様の評価を実施し、目標の達成状況やその後の支援方法について検討を行う。

⑤ 留意事項

安全に事業を実施するために、事故発生時の対応を含む安全管理マニュアルを整備し、常に安全管理に配慮し実施するものとする。

また、訪問型介護予防事業において、低栄養状態の改善のため特に必要であると判断し配食の支援を実施する場合は、食材料費及び調理費相当分については利用者負担とすることを基本とするが、利用料の設定に当たっては、低所得者への配慮を考慮すること。なお、事業の対象者・利用の負担額等については、予め要綱等において明確に規定しておくこと。

二次予防事業の終了者については、一次予防事業において継続して介護予防に取り組むことができるようにすることが重要である。

(エ) 二次予防事業評価事業

① 事業内容

介護保険事業計画において定める目標値の達成状況等の検証を通じ、二次予防事業の事業評価を行い、その結果に基づき事業の実施方法等の改善を図る。

② 実施方法

事業評価は、年度ごとに、別添7の「介護予防事業の事業評価」により、プロセス評価、アウトプット評価、アウトカム評価をそれぞれ実施する。

③ 留意事項

事業評価を実施するため、介護予防事業の対象者数、参加者数、基本チェックリストの該当項目、事業参加前後のQOL指標の変化、主観的健康感の変化等のデータ等について、常に収集・整理するものとする。

(2) 一次予防事業

一次予防事業は、別記2の第2の1(2)に基づき、実施するものとする。

この場合において、別記2の第2の1(2)イの(ウ)②中「別添6の「旧総合事業の事業評価」」とあるのは、「別添7の「旧介護予防事業の事業評価」」と読み替える。

(3) 介護予防事業の実施に際しての留意事項

ア 介護予防事業の実施に当たっては、地域の医師会、歯科医師会等の協力を得るとともに、保健、精神保健福祉等の関係課部局、保健所、医療機関等の関係機関と十分に調整を図るものとする。

イ 一次予防事業と二次予防事業の実施に当たっては、介護予防に関するボランティアの有効的な活用や、参加者数を十分に確保し事業を実施するための開催場所の検討及び会場の集約を図る等の効果的・効率的な運営に留意すること。

ウ 一次予防事業と二次予防事業は、相互に密に連携を図って、効果的な事業の実施に努めるものとする。特に、二次予防事業の終了者については、主体的かつ継続的に取組を実施できるよう、別記2の第2の1(2)イの(イ)地域介護予防活動支援事業における地域活動組織やボランティア育成研修等へとつなげるケアマネジメントが重要である。なお、両施策については、各事業への参加状況等を勘案し、同じ会場で実施する等の創意工夫を図り実施できるものとする。ただし、その場合、二次予防事業対象者については、基本チェックリストの該当項目に基づきプログラムを補足する等、適切にフォローするとともに、事業参加前後の基本チェックリストの該当項目やQOL指標の変化、主観的健康感の変化等のデータ等に基づく評価を行い、対象者の状態像に即した支援につなげるものとする。

また、(1)イの(エ)二次予防事業評価事業と同様、二次予防事業対象者については参加者数、事業参加前後の基本チェックリストの該当項目やQOL指標の変化、主観的健康感の変化等のデータについて、常に収集・整理し、必要に応じて継続的な支援を行うものとする。

2 包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)

別記4に基づき実施するものとする。

3 包括的支援事業(社会保障充実分)

別記5に基づき実施するものとする。

4 任意事業

別記6に基づき実施するものとする。

別記4 包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)

1 包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)の内容

(1) 第1号介護予防支援事業(第115条の45第1項第1号ニ)

法第115条の46第1項に規定する包括的支援事業のうち、第1号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものを除く。)は、法第115条の45第1項第1号ニに基づき、別記1の第2の1(1)イ(エ)の介護予防ケアマネジメントとして実施するものとし、費用についても、総合事業として賄われるものとする。

また、第1号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものを除く。)の一部について、指定居宅介護支援事業所に委託ができるものとする。

総合事業の実施を猶予する市町村については、従前の例により、旧総合事業を実施する場合は別記2の第2の1(1)イ(ウ)のケアマネジメント事業として、旧介護予防事業を実施する場合は改正前の本実施要綱別記2の第2の2(1)の介護予防ケアマネジメント業務として取り扱うこととする。

(2) 総合相談支援業務(法第115条の45第2項第1号)

ア 目的

総合相談支援業務は、地域の高齢者が住み慣れた地域で安心してその人らしい生活を継続していくことができるよう、地域における関係者とのネットワークを構築するとともに、高齢者の心身の状況や生活の実態、必要な支援等を幅広く把握し、相談を受け、地域における適切な保健・医療・福祉サービス、機関又は制度の利用につなげる等の支援を行うことを目的とする。

イ 事業内容

(ア) 地域におけるネットワークの構築

地域包括支援センターは、支援を必要とする高齢者を見い出し、保健・医療・福祉サービスをはじめとする適切な支援へのつなぎ、継続的な見守りを行い、更なる問題の発生を防止するため、介護サービス事業者、医療機関、民生委員、高齢者の日常生活支援に関する活動に携わるボランティア等、地域における様々な関係者のネットワークの構築を図る。

(イ) 実態把握

(ア)で構築したネットワークを活用するほか、様々な社会資源との連携、高齢者世帯への戸別訪問、同居していない家族や近隣住民からの情報収集等により、高齢者や家族の状況等についての実態把握を行うものとする。特に、地域から孤立している要介護(支援)者のいる世帯や介護を含めた重層的な課題を抱えている世帯等、支援が必要な世帯を把握し、当該世帯の高齢者や家族への支援につなげることができるように留意するものとする。

(ウ) 総合相談支援

① 初期段階の相談対応

本人、家族、近隣の住民、地域のネットワーク等を通じた様々な相談を受けて、的確な状況把握等を行い、専門的・継続的な関与又は緊急の対応の必要性を判断する。

適切な情報提供を行うことにより相談者自身が解決することができると判断した場合には、相談内容に即したサービス又は制度に関する情報提供、関係機関の紹介等を行う。

② 継続的・専門的な相談支援

①の対応により、専門的・継続的な関与又は緊急の対応が必要と判断した場合には、より詳細な情報収集を行い、個別の支援計画を策定する。

支援計画に基づき、適切なサービスや制度につなぐとともに、定期的に情報収集を行い、期待された効果の有無を確認する。

(3) 権利擁護業務(法第115条の45第2項第2号)

ア 目的

権利擁護業務は、地域の住民、民生委員、介護支援専門員等の支援だけでは十分に問題が解決できない、適切なサービス等につながる方法が見つからない等の困難な状況にある高齢者が、地域において尊厳のある生活を維持し、安心して生活を行うことができるよう、専門的・継続的な視点から、高齢者の権利擁護のため必要な支援を行うことを目的とする。

イ 事業内容

日常生活自立支援事業、成年後見制度等の権利擁護を目的とするサービスや制度を活用する等、ニーズに即した適切なサービスや機関につなぎ、適切な支援を提供することにより、高齢者の生活の維持を図る。

特に、高齢者の権利擁護の観点からの支援が必要と判断した場合には、次のような諸制度を活用する。

(ア) 成年後見制度の活用促進

成年後見制度の利用が必要と思われる高齢者の親族等に対して、成年後見制度の説明や申立てに当たっての関係機関の紹介等を行う。

申立てを行える親族がないと思われる場合や、親族があっても申立てを行う意思がない場合で、成年後見の利用が必要と認める場合、速やかに市町村の担当部局に当該高齢者の状況等を報告し、市町村申立てにつなげる。

(イ) 老人福祉施設等への措置の支援

虐待等の場合で、高齢者を老人福祉施設等へ措置入所させることが必要と判断した場合は、市町村の担当部局に当該高齢者の状況等を報告し、措置入所の実施を求める。

(ウ) 高齢者虐待への対応

虐待の事例を把握した場合には、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成17年法律第124号)等に基づき、速やかに当該高齢者を訪問して状況を確認する等、事例に即した適切な対応をとる(詳細の業務については、「市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について」(平成18年4月厚生労働省老健局)を参照のこと)。

(エ) 困難事例への対応

高齢者やその家庭に重層的に課題が存在している場合、高齢者自身が支援を拒否している場合等の困難事例を把握した場合には、地域包括支援センターに配置されている専門職が相互に連携するとともに、地域包括支援センター全体で対応を検討し、必要な支援を行う。

(オ) 消費者被害の防止

訪問販売によるリフォーム業者等による消費者被害を未然に防止するため、消費者センター等と定期的な情報交換を行うとともに、民生委員、介護支援専門員、訪問介護員等に必要な情報提供を行う。

ウ 留意事項

イの(ア)の成年後見制度の円滑な利用に向けて次のことに留意する。

(ア) 市町村、地方法務局等と連携し、成年後見制度を幅広く普及させるための広報等の取組を行う。

(イ) 鑑定又は診断書の作成手続きに速やかに取り組むことができるよう、地域で成年後見人となるべき者を推薦する団体等を、高齢者又はその親族に対して紹介する。

(4) 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務(法第115条の45第2項第3号)

ア 目的

包括的・継続的マネジメント支援業務は、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、介護支援専門員、主治医、地域の関係機関等の連携、在宅と施設の連携等、地域において、多職種相互の協働等により連携し、個々の高齢者の状況や変化に応じて、包括的かつ継続的に支援していく包括的・継続的ケアマネジメントが重要であり、地域における連携・協働の体制づくりや個々の介護支援専門員に対する支援等を行うことを目的とする。

イ 事業内容

(ア) 包括的・継続的なケア体制の構築

在宅・施設を通じた地域における包括的・継続的なケアを実施するため、医療機関を含めた関係機関との連携体制を構築し、地域の介護支援専門員と関係機関の間の連携を支援する。

また、地域の介護支援専門員が、地域における健康づくりや交流促進のためのサークル活動、老人クラブ活動、ボランティア活動等介護保険サービス以外の地域における様々な社会資源を活用できるよう、地域の連携・協力体制を整備する。

(イ) 地域における介護支援専門員のネットワークの活用

地域の介護支援専門員の日常的な業務の円滑な実施を支援するために、介護支援専門員相互の情報交換等を行う場を設定する等介護支援専門員のネットワークを構築したり、その活用を図る。

(ウ) 日常的個別指導・相談

地域の介護支援専門員の日常的業務の実施に関し、介護支援専門員に対する個別の相談窓口の設置、居宅(介護予防)・施設サービス計画の作成技術の指導、サービス担当者会議の開催支援等、専門的な見地からの個別指導、相談への対応を行う。

また、地域の介護支援専門員の資質向上を図る観点から、必要に応じて、地域包括支援センターの各専門職や関係機関とも連携の上、事例検討会や研修の実施、制度や施策等に関する情報提供等を行う。

(エ) 支援困難事例等への指導・助言

地域の介護支援専門員が抱える支援困難事例について、適宜、地域包括支援センターの各専門職や地域の関係者、関係機関との連携の下で、具体的な支援方針を検討し、指導助言等を行う。

ウ 留意事項

包括的・継続的ケアマネジメント支援業務は、地域包括支援センターにおいて実施する総合事業の介護予防ケアマネジメント、介護予防支援、介護給付のケアマネジメントの相互の連携を図り、包括的・継続的なケアが提供されるよう配慮するものとする。

2 包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)の実施に際しての留意事項

地域包括支援センターの運営に当たっては、「地域包括支援センターの設置運営について」(平成18年10月18日厚生労働省老健局計画課、振興課、老人保健課通知)を参照するとともに、以下の点に留意すること。また、実施を委託する場合においては、法第115条の47第1項の規定を遵守すること。

(1) 地域包括支援ネットワークの構築について

1の(1)から(4)までに掲げる事業を効果的に実施するためには、介護サービスに限らず、地域の保健・福祉・医療サービスやボランティア活動、インフォーマルサービス等の様々な社会的資源が有機的に連携することができる環境整備を行うことが重要である。このため、こうした連携体制を支える共通的基盤として多職種協働による「地域包括支援ネットワーク」を構築することが必要であり、地域包括支援センターは、これらの関係者との連携に努めていくことが求められている。(法第115条の46第7項)

そのための手段の一つとして、別記5の1の(2)の生活支援体制整備事業において、地域の多様な関係者の参画による協議体を設置することとされており、地域包括支援センターにおいてもこの協議体に積極的に参加していくことを通じて、地域包括支援センターが構築すべき地域包括支援ネットワークの充実にもつながることが考えられる。

(2) 地域ケア会議の実施について

市町村は、1の(4)の包括的・継続的ケアマネジメント業務の効果的な実施のために、介護支援専門員、保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者、民生委員その他の関係者、関係機関及び関係団体(以下「関係者等」という。)により構成される会議(以下「地域ケア会議」という。)の設置に努めなければならないこととされている。(法第115条の48第1項)

個別ケースを検討する地域ケア会議(地域ケア個別会議)は、地域包括支援センター等が主催し、医療、介護等の専門職をはじめ、民生委員、自治会長、NPO法人、社会福祉法人、ボランティア等地域の多様な関係者が協働し、介護支援専門員のケアマネジメント支援を通じて、介護等が必要な高齢者の住み慣れた住まいでの生活を地域全体で支援していくことを目的とするものである。なお、介護支援専門員の資質向上に資するよう、市町村内の全ての介護支援専門員が年に1回は地域ケア会議での支援が受けられるようにする等、その効果的な実施に努めること。

また、市町村は、個別ケースの検討により共有された地域課題を地域づくりや政策形成に着実に結びつけていくことで、市町村が取り組む地域包括ケアシステムの構築に向けた施策の推進にもつながることから、市町村と地域包括支援センターが緊密に連携し、かつ役割分担を行いながら、取組を推進していくことが求められる。(法第115条の48第2項)

このように、地域ケア会議は個別ケースを検討する会議から地域課題の解決を検討する場まで一体的に取組んでいくことが重要であり、市町村等が開催する地域ケア会議(地域ケア推進会議)についても包括的支援事業の対象となる。また、個別ケースの検討に当たっては、必ずしも直接のサービス提供に関わっていない第三者を含めた多職種が協働する場であることから、当該第三者等の参加に係る旅費及び謝金等についても対象経費として差し支えない。これらの取扱いも含め、地域ケア会議の組織及び運営に必要な事項については、地域ケア会議において定める。(法第115条の48第6項)

なお、地域ケア会議の実施にかかる費用については、本事業ではなく、別記5の包括的支援事業(社会保障充実分)の「4 地域ケア会議推進事業」に係る費用として計上し実施を行うこと。

別記5 包括的支援事業(社会保障充実分)

1 在宅医療・介護連携推進事業(法第115条の45第2項第4号)

(1) 目的

医療と介護の両方を必要とする状態の高齢者が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、在宅医療と介護を一体的に提供するために、医療機関と介護事業所等の関係者の連携を推進することを目的とする。

(2) 実施主体

市町村。ただし、実施主体は、アからクまでの事業の全部又は一部について、省令第140条の67に基づき、市町村が適当と認める者に委託することができる。

(3) 事業内容

ア 地域の医療・介護の資源の把握

地域の医療機関、介護事業所等の住所、機能等を把握し、これまでに自治体等が把握している情報と合わせて、リスト又はマップを作成する。作成したリスト等は、地域の医療・介護関係者間の連携等に活用する。

イ 在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討

地域の医療・介護関係者等が参画する会議を開催し、在宅医療・介護連携の現状の把握と課題の抽出、解決策等の検討を行う。

ウ 切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進

地域の医療・介護関係者の協力を得ながら、切れ目なく在宅医療と介護が一体的に提供される体制の構築に向けて必要となる具体的取組を企画・立案する。

なお、本事業では、切れ目なく在宅医療と在宅介護が一体的に提供される体制の構築に向けて必要となる取組についての検討の費用を対象とする。(取組の一つとして考えられる主治医・副主治医の仕組みの運営のための経費(医師への手当て等)、夜間・休日に医療機関が診療体制を確保するための経費(医療機関の協力金等)は、本事業の対象とならない。)

エ 医療・介護関係者の情報共有の支援

情報共有の手順等を定めた情報共有ツールを整備する等、地域の医療・介護関係者の情報共有を支援する。

なお、本事業では、情報共有の方法やツール等を検討する際の会議、情報共有ツールの使用方法等の説明会の開催、情報共有の使用状況の把握と改善の検討に係る費用を想定しており、情報共有のためのパソコンやモバイル機器等の購入費用、システム使用料等のいわゆるランニングコストについては対象にならない。

オ 在宅医療・介護連携に関する相談支援

地域の在宅医療・介護連携を支援する相談窓口の運営を行うために、在宅医療・介護の連携を支援する人材を配置し、地域の医療・介護関係者、地域包括支援センター等からの、在宅医療・介護連携に関する事項の相談を受け付ける。また、必要に応じて、退院の際の地域の医療関係者と介護関係者の連携の調整や、患者、利用者又は家族の要望を踏まえた、地域の医療機関等・介護事業者相互の紹介を行う。

カ 医療・介護関係者の研修

地域の医療・介護関係者の連携を実現するために、多職種でのグループワーク等の研修を行う。また、必要に応じて、地域の医療関係者に介護に関する研修、介護関係者に医療に関する研修を行う。

キ 地域住民への普及啓発

在宅医療・介護連携に関する講演会の開催、パンフレットの作成・配布等により、地域住民の在宅医療・介護連携の理解を促進する。

ク 在宅医療・介護連携に関する関係市町村の連携

複数の関係市町村が連携して、広域連携が必要な事項について協議する。

(4) 留意事項

ア (3)のアからクまでの事業全てを行うものとする。

イ (3)のアからクまでの事業全て又は一部の事業を、委託することにより実施することも可能である。

ウ (3)のアからクまでの事業について、本事業開始前に、関係機関・団体が既に行っている同様の取組がある場合は、本事業を行うに当たって、これを活用して差し支えない。

エ 近隣市町村が連携又は共同して、(3)のアからクまでの事業全て又はその一部を実施することも可能である。

オ 本事業の実施については、参考として、「在宅医療・介護連携推進事業の手引き(厚生労働省老健局老人保健課)がある。

カ 在宅医療・介護連携の形態は、地域の人口、医療・介護資源等に応じて様々であることから、(3)のアからクまでの事業の実施に当たっては、介護・医療関連情報の「見える化」の取組、先行地域の事例等を踏まえつつ、柔軟に検討することが望ましい。

キ (3)のアからクまでの事業の実施に併せて、都道府県、郡市区医師会等の関係団体等と、将来的な在宅医療と介護の連携の在り方について検討を行うことが望ましい。

2 生活支援体制整備事業(法第115条の45第2項第5号)

(1) 目的

単身や夫婦のみの高齢者世帯、認知症の高齢者が増加する中、医療、介護のサービス提供のみならず、地域住民に身近な存在である市町村が中心となって、NPO法人、民間企業、協同組合、ボランティア、社会福祉法人、社会福祉協議会、地縁組織、介護サービス事業所、シルバー人材センター、老人クラブ、家政婦紹介所、商工会、民生委員等の生活支援サービスを担う事業主体と連携しながら、多様な日常生活上の支援体制の充実・強化及び高齢者の社会参加の推進を一体的に図って行くことを目的とする。

(2) 実施主体

市町村。ただし、市町村は、(3)の事業の全部又は一部について省令第140条の67に基づき、市町村が適当と認める者に委託することができる。

(3) 実施内容

ア 生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)の配置

高齢者の生活支援・介護予防サービス(以下「生活支援等サービス」という。)の体制整備を推進していくため、以下のとおり、生活支援等サービスの提供体制の構築に向けて、以下の(ア)に掲げるコーディネート機能を有する者を「生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)」(以下「コーディネーター」という。)とし、市町村区域(第1層)及び日常生活圏域(中学校区域等)(第2層)に配置する。ただし、指定都市における第1層は行政区単位とし、広域連合における第1層は構成市町村単位とする。

(ア) コーディネート機能

市町村が定める活動区域ごとに、以下のaからcまでの内容を踏まえ、多様な主体による多様な取組のコーディネート業務を実施することにより、地域における一体的な生活支援等サービスの提供体制の整備を推進する。

a 資源開発(地域に不足するサービスの創出、サービスの担い手の養成、高齢者等が担い手として活動する場の確保等)

b ネットワーク構築(関係者間の情報共有、サービス提供主体間の連携の体制づくり等)

c ニーズと取組のマッチング(地域の支援ニーズとサービス提供主体の活動のマッチング等)

(イ) 活動範囲

コーディネートを実施する範囲としては、第1層の市町村区域、第2層の日常生活圏域(中学校区域等)、サービス提供主体の活動圏域(第3層)があるが、本事業の対象となるのは、以下のa及びbとする。

a 第1層 市町村区域で、以下の①から⑤までを中心に行う機能

b 第2層 日常生活圏域(中学校区域等)で、第1層の機能の下、以下の①から⑥までを行う機能

① 地域のニーズと資源の状況の見える化、問題提起

② 地縁組織等多様な主体への協力依頼等の働きかけ

③ 関係者のネットワーク化

④ 目指す地域の姿・方針の共有、意識の統一

⑤ 生活支援の担い手の養成やサービスの開発(担い手を養成し、組織化し、担い手を支援活動につなげる機能)

⑥ ニーズとサービスのマッチング

注1 第3層では、個々の生活支援等サービスの事業主体において、利用者と具体的なサービスをマッチングする機能があるが、これはサービス提供主体が本来的に有している機能であるため、本事業の対象外である。

注2 基本的には第2層は、第1層の一部という関係にあるが、市町村内に日常生活圏域が1つである場合は、第1層と第2層を区別する必要はない。

(ウ) 配置

地域包括支援センターとの連携を前提とした上で、配置先や市町村ごとの配置人数等は限定せず、地域の実情に応じた多様な配置を可能とする。

(エ) 資格・要件

地域における助け合いや生活支援等サービスの提供実績のある者又は中間支援を行う団体等であって、地域でコーディネート機能を適切に担うことができる者とする。

このように、特定の資格要件は定めるものでないが、市民活動への理解があり、多様な理念をもつ地域のサービス提供主体と連絡調整できる立場の者であって、国や都道府県が実施する研修を修了した者が望ましい。

なお、コーディネーターが属する組織の活動の枠組みを超えた視点、地域の公益的活動の視点、公平中立な視点を有することが必要である。

イ 協議体の設置

(ア) 目的

生活支援等サービスの体制整備に向けて、多様な主体の参画が効果的な取組につながることから、市町村が主体となって、コーディネーターと生活支援等サービスの多様な提供主体等が参画する定期的な情報の共有・連携強化の場を設置することにより、多様な主体間の情報共有及び連携・協働による体制整備を推進することを目的とする。

(イ) 役割

・ コーディネーターの組織的な補完

・ 地域ニーズ、既存の地域資源の把握、情報の見える化の推進(実態調査の実施や地域資源マップの作成等)

・ 企画、立案、方針策定を行う場(生活支援等サービスの担い手養成に係る企画等を含む。)

・ 地域づくりにおける意識の統一を図る場

・ 情報交換の場、働きかけの場等

(ウ) 設置主体

設置主体は市町村であり、地域の関係者のネットワーク化を図りながら設置することが重要である。

なお、地域の実情に応じた様々なネットワーク化の手法が考えられるため、既に類似の目的を持ったネットワーク会議等が開催されている場合は、その枠組みを活用することも可能である。例えば、既存の地域の住民会議を活用する等、市町村に事務局をおかないことも考えられ、地域の実情に応じた形で実施が可能である。

(エ) 構成団体

協議体は、市町村、地域包括支援センター等の行政機関、コーディネーターのほか、NPO法人、社会福祉法人、社会福祉協議会、地縁組織、協同組合、民間企業、ボランティア団体、介護サービス事業者、シルバー人材センター等の地域の関係者で構成され、この他にも地域の実情に応じて適宜参画者を募ることが望ましい。

また、本事業は、市町村の生活支援等サービスの体制整備を目的としており、介護保険制度でのサービスのみならず、市町村実施事業や民間市場、あるいは地域の支え合いで行われているサービスを含めて市町村内の資源を把握し、保険外のサービスの活用を促進しつつ、互助を基本とした生活支援等サービスが創出されるような取組を積極的に進める必要があることから、地域の実情、ニーズに応じて配食事業者、移動販売事業者、移動支援団体等、地域の高齢者の生活を支える上で必要不可欠な民間企業等も参画することが望ましい。

なお、協議体の早期設置を推進する観点から、まずは協議体の機能を有するような既存の会議等も積極的に活用しつつ、最低限必要な参画者で協議体を立ち上げ、徐々に参画者を増やしていく等といった方法も有効である。

ウ 留意事項

(ア) 本事業を、効果的に実施するため、企画段階や支援の担い手として、積極的に高齢者を含めた地域住民の参加を促していくことが重要である。

(イ) 本事業に関連して、以下のような取組を実施することも可能である。

a 協議体の設置に向けた生活支援等サービスの充実に関する研究会等の立ち上げや開催

b 研究会や協議体等が中心となって実施する地域資源の実態調査等の情報収集

c 生活支援等サービスに係るボランティア等の担い手を養成するための研修等実施

なお、当該研修は市町村が単独で実施する研修を対象としている。一定程度専門的な生活支援等サービスや市町村をまたぐ広域的な活動の場合、例えば、広域的な移動(輸送)サービス従事者養成研修や広域的な配食サービスの調理・配送に係る従事者養成研修等、単独の市町村だけでは養成が困難なものについて、広域的な観点から都道府県が実施する場合は、「地域医療介護総合確保基金」の活用が可能である。

(ウ) コーディネーターは、生活困窮者対策の相談支援員、主任相談支援員や、社会福祉協議会のコミュニティーソーシャルワーカー(地域福祉コーディネーター)等他の職種とも連携し、地域のネットワークを活かして、取り組むものであるが、経験や実績のある人材の確保・活用の観点や小規模な市町村等地域の状況に応じた取組の推進の観点から、必要に応じて他の職種と兼務することも可能である。

なお、この場合にその人件費にそれぞれの補助金・負担金を財源として充当することは差し支えないが、それぞれの補助目的にそった支出が求められることとなるため、業務量等により按分し、区分経理を行えるようにすることが必要である。

(エ) 協議体の設置については、コーディネーターと同様、市町村の実情に応じて様々な手法により設置することが可能であるが、協議体の運営手法については、あらかじめ要綱等で定められていることが必要である。

ただし、今後とも、地域の生活支援等サービスのニーズ等に臨機応変に対応していくため、協議体の構成参画者については、柔軟に変更できる仕組みとすることが望ましい。

(オ) 本事業については、市町村が中心となって生活支援等サービスに係る体制整備の進捗状況を把握しながら計画的に取り組んでいく必要があることから、必要に応じて事業の評価や効果測定を実施すること。

3 認知症総合支援事業(法第115条の45第2項第6号)

(1) 認知症初期集中支援推進事業

ア 目的

認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けられるために、認知症の人やその家族に早期に関わる「認知症初期集中支援チーム」(以下「支援チーム」という。)を配置し、早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築することを目的とする。

イ 実施主体

市町村。ただし市町村は、ウの事業の全部又は一部について、省令第140条の67に基づき、市町村が適当と認める者(地域包括支援センター、認知症疾患医療センター、診療所等)に委託することができる。

ウ 事業内容

(ア) 実施体制

a 支援チームの配置と役割

支援チームは、地域包括支援センター、認知症疾患医療センターを含む病院・診療所等に配置することとし、認知症に係る専門的な知識・技能を有する医師の指導の下、複数の専門職が家族の訴え等により認知症が疑われる人や認知症の人(以下「訪問支援対象者」という。)及びその家族を訪問、観察・評価、家族支援等の初期の支援を包括的、集中的に行い、自立生活のサポートを行うものとする。また、地域包括支援センター職員や市町村保健師、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、認知症サポート医、認知症に係る専門的な知識・技能を有する医師、認知症疾患医療センター職員、介護事業者との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保すること。

b 認知症初期集中支援チーム員の構成

認知症初期集中支援チーム員(以下「チーム員」という。)は、以下の①を満たす専門職2名以上、②を満たす専門医((ウ)b④において単に「専門医」という。)1名の計3名以上の専門職にて編成する。

① 以下の要件をすべて満たす者2名以上とする。

・ 「保健師、看護師、准看護師、作業療法士、歯科衛生士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士」等の医療保健福祉に関する国家資格を有する者

・ 認知症ケアや在宅ケアの実務・相談業務等に3年以上携わった経験がある者

また、チーム員は国が別途定める「認知症初期集中支援チーム員研修」を受講し、必要な知識・技能を修得するものとする。

ただし、やむを得ない場合には、国が定める研修を受講したチーム員が受講内容をチーム内で共有することを条件として、同研修を受講していないチーム員の事業参加も可能とする。

② 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかに該当し、かつ認知症サポート医である医師1名とする。

ただし、上記医師の確保が困難な場合には、当分の間、以下の医師も認めることとする。

・ 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定のあるもの

・ 認知症サポート医であって、認知症疾患の診断・治療に5年以上従事した経験を有するもの(認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている場合に限る。)

c チーム員の役割

bの①を満たす専門職は、目的を果たすために訪問支援対象者の認知症の包括的観察・評価に基づく初期集中支援を行うために訪問活動等を行う。

bの②を満たす専門医は、他のチーム員をバックアップし、認知症に関して専門的見識から指導・助言等を行う。また、必要に応じてチーム員とともに訪問し相談に応需する。

なお、訪問する場合のチーム員数は、初回の観察・評価の訪問は原則として医療系職員と介護系職員それぞれ1名以上の計2名以上で訪問することとする。また、観察・評価票の記入は、チーム員である保健師又は看護師の行うことが望ましいが、チーム員でない地域包括支援センター、認知症疾患医療センター等の保健師又は看護師が訪問した上で行っても差し支えない。

d 認知症初期集中支援チーム検討委員会の設置等

市町村は、実施主体として、以下の体制を講じること。

① 医療・保健・福祉に携わる関係者等から構成される「認知症初期集中支援チーム検討委員会」(以下「検討委員会」という。)を設置するとともに、検討委員会が関係機関・団体と一体的に当該事業を推進していくための合意が得られる場となるよう努めること。

② 支援チームと医療関係者との連携を図るため、認知症疾患医療センターや地元医師会との事前協議や主治医(かかりつけ医)に対する連絡票等情報の共有化に向けたツールの作成やそれを用いた地域の連携システムの構築を図ること。

(イ) 訪問支援対象者

訪問支援対象者は、原則として、40歳以上で、在宅で生活しており、かつ認知症が疑われる人又は認知症の人で以下のa、bのいずれかの基準に該当する者とする。なお、訪問支援対象者の選定の際には、bに偏らないよう留意すること。

a 医療サービス、介護サービスを受けていない者、または中断している者で以下のいずれかに該当する者

① 認知症疾患の臨床診断を受けていない者

② 継続的な医療サービスを受けていない者

③ 適切な介護サービスに結び付いていない者

④ 介護サービスが中断している者

b 医療サービス、介護サービスを受けているが認知症の行動・心理症状が顕著なため、対応に苦慮している者

(ウ) 事業の実施内容

以下のaからcまでについていずれも実施するものとする。なお、cについては市町村が自ら実施すること。

a 支援チームに関する普及啓発

地域住民や関係機関・団体に対し、支援チームの役割や機能について広報活動や協力依頼を行う等、各地域の実情に応じた取り組みを行うものとする。

b 認知症初期集中支援の実施

① 訪問支援対象者の把握

訪問支援対象者の把握については、支援チームが必ず地域包括支援センター及び認知症疾患医療センター経由で訪問支援対象者に関する情報を入手できるように配慮すること。チーム員が直接訪問支援対象者に関する情報を知り得た場合においても、地域包括支援センター及び認知症疾患医療センターと情報共有を図ること。

② 情報収集及び観察・評価

本人のほか家族等のあらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い、本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等を情報収集すること。

また、信頼性・妥当性の検証がされた観察・評価票を用いて、認知症の包括的観察・評価を行うこと。

③ 初回訪問時の支援

初回訪問時に、認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門的医療機関への受診や介護保険サービスの利用の効果に関する説明及び訪問支援対象者やその家族の心理的サポートや助言等を行う。(おおむね2時間以内)

④ 専門医を含めたチーム員会議の開催

初回訪問後、訪問支援対象者毎に、観察・評価内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、専門医も含めたチーム員会議を行う。必要に応じて、訪問支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、市町村関係課職員等の参加も依頼する。

⑤ 初期集中支援の実施

医療機関への受診が必要な場合の訪問支援対象者への動機付けや継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨・誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境等の改善等の支援を行う。(訪問支援対象者が医療サービスや介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし、概ね最長で6か月)

⑥ 引き継ぎ後のモニタリング

初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、認知症疾患医療センター、地域包括支援センターの職員や担当介護支援専門員等と同行訪問を行う等の方法で円滑に引き継ぎを行うこと。

また、チーム員会議において、引き継ぎの2か月後に、サービスの利用状況等を評価し、必要性を判断の上、随時モニタリングを行うこと。

なお、訪問支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した書類は5年間保管しておくこと。

⑦ 支援実施中の情報の共有について

訪問支援対象者の情報を地域包括支援センター等の関係機関が把握した場合には、認知症初期集中支援チーム及び認知症疾患医療センターに情報を提供する等して情報共有を図り、事業実施すること。

c 認知症初期集中支援チーム検討委員会の設置

検討委員会において、支援チームの設置及び活動状況を検討する。

エ 留意事項

(ア) チーム員は、個人情報保護法の規定等を踏まえ、訪問支援対象者及び対象者世帯の個人情報やプライバシーの尊重、保護に万全を期すものとし、正当な理由がなくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(イ) 実施主体は、(2)認知症地域支援・ケア向上事業を実施する場合においては、認知症地域支援推進員等と支援チームが効率的かつ有機的に連携できるように調整を行い、定期的な情報交換ができるような環境をつくるように努めること。

(ウ) 実施主体は、地元医師会、認知症疾患医療センターその他の認知症に関する専門的な医療を提供する医療機関、認知症専門医、認知症サポート医等との連携に努めること。

(エ) 事業の実施区域外の情報提供を得た場合においても、当該訪問支援対象者の支援に関わる情報提供について同意を得た上で、当該訪問支援対象者が居住する日常生活圏域を担当する地域包括支援センター及び認知症疾患医療センターに情報を提供する等の連携を図ること。

(オ) 実施主体は、本事業に係る経理と他の事業に係る経理を明確に区分すること。

(カ) 実施主体は、本事業の実施に当たって、「認知症初期集中支援チーム員研修テキスト」(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)を参考とすること。

(キ) 近隣市町村が連携又は共同して、ウの事業全て又はその一部を実施することも可能である。

(2) 認知症地域支援・ケア向上事業

ア 目的

認知症の人が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、認知症の容態の変化に応じ、すべての期間を通じて、必要な医療、介護及び生活支援を行うサービスが有機的に連携したネットワークを形成し、認知症の人に対して効果的な支援が行われる体制を構築するとともに、地域の実情に応じて、認知症ケアの向上を図るための取組を推進することが重要である。

このため、市町村において認知症疾患医療センターを含む医療機関や介護サービス及び地域の支援機関の間の連携を図るための支援や認知症の人やその家族を支援する相談業務等を行う認知症地域支援推進員(以下「推進員」という。)を配置し、当該推進員を中心として、医療・介護等の連携強化等による、地域における支援体制の構築と認知症ケアの向上を図ることを目的とする。

イ 実施主体

市町村。ただし、市町村は、ウの事業の全部又は一部について省令第140条の67に基づき、市町村が適当と認める者に委託することができる。

ウ 事業内容

(ア) 実施体制

a 推進員の配置

推進員は、地域包括支援センター、市町村本庁、認知症疾患医療センター等に配置することとし、以下のいずれかの要件を満たす者を1人以上配置するものとする。

① 認知症の医療や介護における専門的知識及び経験を有する医師、保健師、看護師、作業療法士、歯科衛生士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士

② 上記①以外で認知症の介護や医療における専門的知識及び経験を有する者として市町村が認めた者(例:准看護師、認知症介護指導者養成研修修了者等)

また、市町村は、必要に応じて都道府県と連携しながら、研修会や関係者によるネットワーク会議等の機会を通じて、推進員の活動を行う上で有すべき知識の確認と資質の向上に取り組むものとする。

b 嘱託医の配置

医療と介護の連携を図るため、認知症サポート医養成研修修了者(以下「認知症サポート医」という。)、認知症疾患医療センターの専門医等の医師を地域包括支援センター、市町村本庁等に配置し、以下の活動等を実施することが望まれる。

・ 推進員等からの相談に対する医療的見地からの助言

・ 認知症の人を専門医療機関につなぐための関係機関との調整

・ 地域において認知症の人への支援を行う関係者の会議への出席・助言

(イ) 推進員の業務内容

以下のa及びbを実施するとともに、地域の実情に応じて、cも実施するものとする。

a 認知症の人に対し、状態に応じた適切なサービスが提供されるよう、地域包括支援センター、認知症疾患医療センターを含む医療機関や、介護サービス事業者や認知症サポーター等地域において認知症の人を支援する関係者の連携を図るための取組

(具体例)

・ 認知症の人やその家族が状況に応じて必要な医療や介護等のサービスが受けられるような関係機関との連携体制を構築する。

・ 地元医師会や認知症サポート医、認知症疾患医療センターの専門医等とのネットワークを形成する。

・ 認知症ケアパス(状態に応じた適切な医療や介護サービス提供の流れ)の作成・普及における主導的役割を担う。

・ 推進員が配置されていない他の地域包括支援センターに対する認知症対応力向上のための支援を行う。

b 認知症地域支援推進員を中心に地域の実情に応じて、地域における認知症の人とその家族を支援する相談支援や支援体制を構築するための取組

(具体例)

・ 認知症の人やその家族等から相談があった際、その知識・経験を活かした相談支援を実施する。

・ 「認知症初期集中支援推進事業」で設置する「認知症初期集中支援チーム」と連携を図る等により、状況に応じた必要なサービスが提供されるよう調整

c 以下の①から④までの事業実施に関する企画及び調整

① 病院・介護保険施設等で認知症対応力向上を図るための支援事業

病院や介護保険施設等の職員の認知症への理解を深め、対応力を高めるために、認知症疾患医療センター等の専門医等が処遇困難事例に対しては事例検討を行い個別支援を実施する。

② 地域密着型サービス事業所・介護保険施設等での在宅生活継続のための相談・支援事業

認知症の人が可能な限り住み慣れた地域で生活を続けていくために、認知症対応型共同生活介護事業所、小規模多機能型居宅介護事業所、特別養護老人ホーム等が、相談員を配置し、当該事業所等が有する知識・経験・人材を活用し、在宅で生活する認知症の人やその家族に対して効果的な介護方法等の専門的な相談支援等を行う。

③ 認知症の人の家族に対する支援事業

市町村又は市町村が適当と認める者が、「認知症カフェ」等を開設することにより、認知症の人とその家族、地域住民、専門職が集い、認知症の人を支えるつながりを支援し、認知症の人の家族の介護負担の軽減等を図る。

④ 認知症ケアに携わる多職種協働のための研修事業

医療も介護も生活支援の一部であることを十分に意識し、医療と介護等が相互の役割・機能を理解しながら、統合的なケアにつなげていくため、認知症ケアにおける多職種協働の重要性等を修得する認知症多職種協働研修を実施する。

エ 留意事項

(ア) 推進員及び嘱託医は、個人情報保護法の規定等を踏まえ、利用者及び利用者の世帯の個人情報やプライバシーの尊重、保護に万全を期すものとし、正当な理由がなくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(イ) 本事業の実施に当たって、地域包括支援センター、認知症疾患医療センターを含む医療機関、介護サービス事業者等の関係機関での情報共有を図り、連携に努めること。

(ウ) 実施主体は、(1)認知症初期集中支援推進事業を実施する場合においては、推進員等と認知症初期集中支援チームが効率的かつ有機的に連携できるように調整を行い、定期的な情報交換ができるような環境をつくるように努めること。

(エ) 実施主体は、本事業の実施に当たって、地元医師会や医療機関、認知症サポート医、認知症疾患医療センターの専門医等との連携に努めること。

(オ) 認知症疾患医療センターを含む医療機関等、地域包括支援センターを含む社会福祉協議会等から本事業の実施市町村の区域外に居住する者に関する情報提供を受けた場合においても、当該者の支援に関わる情報提供について同意を得た上で、当該者が居住する区域を担当する地域包括支援センターや認知症疾患医療センターに情報を提供する等の連携を図ること。

(カ) 市町村は、「都道府県認知症施策推進事業」の都道府県認知症施策推進会議を通じ、本事業の実施状況等の情報提供について協力すること。

(キ) 市町村は、本事業に係る経理と他の事業に係る経理を明確に区分すること。

(ク) 近隣市町村が連携又は共同して、ウの事業全て又はその一部を実施することも可能である。

4 地域ケア会議推進事業

地域ケア会議推進事業の内容については、別記4の2(2)に記載する内容のとおりとするが、当該地域ケア会議にかかる費用については、包括的支援事業(地域包括支援センター運営)ではなく、本事業において計上して実施することとする。

別記6 任意事業

1 目的

地域の高齢者が、住み慣れた地域で安心してその人らしい生活を継続していくことができるようにするため、介護保険事業の運営の安定化を図るとともに、被保険者及び要介護被保険者を現に介護する者等に対し、地域の実情に応じた必要な支援を行うことを目的とする。

2 対象者

被保険者、要介護被保険者を現に介護する者その他個々の事業の対象者として市町村が認める者とする。

ただし、住宅改修費の支給の申請に係る必要な理由がわかる書類を作成する事業又は必要な理由がわかる書類を作成した場合の経費を助成する事業については、住宅改修の活用を希望する要介護(支援)被保険者で居宅介護(介護予防)支援の提供を受けていない者に対して当該者の住宅改修費の支給の申請に係る必要な書類を作成した者に限る。

3 事業内容

任意事業は、法第115条の45第3項各号において、介護給付等費用適正化事業、家族介護支援事業、その他介護保険事業の運営の安定化及び被保険者の地域における自立した日常生活の支援のため必要な事業が規定されているが、地域の実情に応じ、創意工夫を生かした多様な事業形態が可能であり、具体的には、次に掲げる事業を対象とする。

(1) 介護給付等費用適正化事業

介護(予防)給付について真に必要な介護サービス以外の不要なサービスが提供されていないかの検証、本事業の趣旨の徹底や良質な事業展開のために必要な情報の提供、介護サービス事業者間による連絡協議会の開催等により、利用者に適切なサービスを提供できる環境の整備を図るとともに、介護給付等(指定事業者による介護予防・生活支援サービス事業も含む。)に要する費用の適正化のための事業を実施する。なお、介護給付等(指定事業者による介護予防・生活支援サービス事業も含む。)に要する費用の適正化のための事業のうち、主要な適正化事業は次のとおり。

・ 主要介護給付等費用適正化事業(厚生労働大臣が定める主要介護給付等費用適正化事業を定める件(平成20年厚生労働省告示第31号))

① 認定調査状況チェック

② ケアプランの点検

③ 住宅改修等の点検

④ 医療情報との突合・縦覧点検

⑤ 介護給付費通知

・ 上記の主要5事業のほか、以下の事業を実施することができる。

⑥ 給付実績を活用した分析・検証事業

国保連合会で実施する審査支払いの結果から得られる給付実績を活用して、不適切な給付や事業者を発見し、適正なサービス提供と介護費用の効率化、事業者の指導育成を図るもの。

⑦ 介護サービス事業者等への適正化支援事業

介護給付費の適正な執行は、受給者に対して真に必要とする過不足のないサービスを実施することを通じて、受給者や地域からの事業者の信頼を高め、事業者自身の健全な発展を推進することが重要である。このことから、研修や説明会等を通じて事業者と適正化事業の目的を共有し、その実現に向けて協働して取り組むよう事業者や事業者団体に対して働きかけるもの。

(2) 家族介護支援事業

介護方法の指導その他の要介護被保険者を現に介護する者の支援のため必要な事業を実施する。

ア 介護教室の開催

要介護被保険者の状態の維持・改善を目的とした、適切な介護知識・技術の習得や、外部サービスの適切な利用方法の習得等を内容とした教室を開催する。

イ 認知症高齢者見守り事業

地域における認知症高齢者の見守り体制の構築を目的とした、認知症に関する広報・啓発活動、徘徊高齢者を早期発見できる仕組みの構築・運用、認知症高齢者に関する知識のあるボランティア等による見守りのための訪問等を行う。

ウ 家族介護継続支援事業

家族の身体的・精神的・経済的負担の軽減を目的とした以下の事業とする。

(ア) 健康相談・疾病予防等事業

要介護被保険者を現に介護する者に対するヘルスチェックや健康相談の実施による疾病予防、病気の早期発見等を行うための事業

(イ) 介護者交流会の開催

介護から一時的に解放するための介護者相互の交流会等を開催するための事業

(ウ) 介護自立支援事業

介護サービスを受けていない中重度の要介護者を現に介護している家族を慰労するための事業

なお、上記アからウのほか、平成26年度に、任意事業において介護用品の支給に係る事業を実施している場合は、当分の間実施して差し支えないこととする。

(3) その他の事業

次のアからカまでに掲げる事業その他の介護保険事業の運営の安定化及び被保険者の地域における自立した日常生活の支援のため必要な事業を実施する。

ア 成年後見制度利用支援事業

市町村申立て等に係る低所得の高齢者に係る成年後見制度の申立てに要する経費や成年後見人等の報酬の助成等を行う。

なお、本事業は、市町村申立てに限らず、本人申立て、親族申立て等についてもその対象となりうるものであることに留意されたい。

イ 福祉用具・住宅改修支援事業

福祉用具・住宅改修に関する相談・情報提供・連絡調整等の実施、福祉用具・住宅改修に関する助言、住宅改修費の支給の申請に係る必要な理由がわかる書類の作成及び必要な理由がわかる書類を作成した場合の経費の助成を行う。

ウ 認知症対応型共同生活介護事業所の家賃等助成事業

認知症対応型共同生活介護事業所において、要介護者及び要支援2の認定を受けた者を受け入れ、家賃、食材料費及び光熱水費の費用負担が困難な低所得者に対し利用者負担の軽減を行っている事業者を対象として助成を行う。

エ 認知症サポーター等養成事業

認知症サポーター養成講座の企画・立案及び実施を行うキャラバン・メイトを養成するとともに、地域や職域において認知症の人と家族を支える認知症サポーターを養成する。具体的には、「認知症サポーター等養成事業の実施について」(平成18年7月12日老計発0712001号厚生労働省老健局計画課長通知)に基づき事業を実施する。

オ 重度のALS患者の入院におけるコミュニケーション支援事業

重度のALS患者の入院において、入院前から支援を行っている等、当該重度のALS患者とのコミュニケーションについて熟知している支援者が、当該重度のALS患者の負担により、その入院中に付き添いながらコミュニケーション支援を行う。具体的には、「重度のALS患者の入院におけるコミュニケーションに係る支援に関する地域支援事業の取扱いについて」(平成23年7月1日厚生労働省老健局振興課長通知)に基づき事業を実施。

カ 地域自立生活支援事業

次の①から④までに掲げる高齢者の地域における自立した生活を継続させるための事業を実施する。

① 高齢者の安心な住まいの確保に資する事業

市町村が運営する高齢者世話付住宅(シルバーハウジング)や、サービス付き高齢者向け住宅、多くの高齢者が居住する集合住宅等を対象に、日常生活上の生活相談・指導、安否確認、緊急時の対応や一時的な家事援助等を行う生活援助員を派遣し、関係機関・関係団体等による支援体制を構築する等、地域の実情に応じた、高齢者の安心な住まいを確保するための事業を行う。

② 介護サービスの質の向上に資する事業

地域で活躍している高齢者や民生委員等が、介護サービス利用者のための相談等に応じるボランティア(介護相談員)として、利用者の疑問や不満、不安の解消を図るとともに、サービス担当者と意見交換等(介護相談員派遣等事業)を行う。

③ 地域資源を活用したネットワーク形成に資する事業

栄養改善が必要な高齢者(旧介護予防・日常生活支援総合事業、介護予防・日常生活支援総合事業において、配食の支援を受けている者を除く。)に対し、地域の社会福祉法人等が実施している配食の支援を活用し、高齢者の状況を定期的に把握するとともに、必要に応じ、地域包括支援センター等に報告する。

④ 家庭内の事故等への対応の体制整備に資する事業

高齢者のいる世帯における家庭内の事故等による通報に随時(24時間・365日)対応するための体制整備(電話を受け付け、適切なアセスメントを行う専門的知識を有するオペレーターの配置等)を行う。

4 留意事項

(1) 任意事業の実施に当たっては、包括的支援事業の円滑な実施に資するネットワークの構築や地域のコミュニティの形成を踏まえる等、地域における社会資源の活用に留意しながら、事業ごとの実施目標の設定や実施後の効果検証等を行いながら、効果的・効率的な実施に努めること。

(2) 特に、包括的支援事業(地域包括支援センターの運営等)及び任意事業の実施に必要な上限額について、平成27年度以降は、原則の上限額と特例の上限額を定めて、一定の条件を満たす場合に特例の上限額を選択できることとされているが、当該条件に定められる、介護給付費適正化主要5事業の実施に当たっては、「第3期介護給付適正化計画」に関する指針(平成26年8月29日老介発0829第1号厚生労働省老健局介護保険計画課長通知)に基づき策定された都道府県の第3期適正化計画及び市町村の実施目標と整合性を図りながら、5つの事業ごとに目標の設定、実施後の分析・評価、課題の整理及び改善策の検討を行い、効果的な事業実施に努めること。

(3) 住宅改修費の支給の申請に係る必要な理由がわかる書類を作成する事業及び必要な理由がわかる書類を作成した場合の経費を助成する事業の実施に当たっては、介護支援専門員又は作業療法士、福祉住環境コーディネーター検定試験二級以上その他これに準ずる資格等を有する者等、居宅介護住宅改修費又は介護予防住宅改修費の支給の対象となる住宅改修について十分な専門性があると認められる者が作成者であること。

(4) 認知症対応型共同生活介護事業所を利用している低所得の要介護者及び要支援2の認定を受けた者に対し、家賃等の利用者負担の軽減を行っている事業者へ助成をする事業を実施する場合、低所得者の範囲や助成対象経費等を、予め要綱等において明確に規定しておくこと。

(5) 3の(3)のカの③のような、配食の支援を活用した事業を実施する場合、食材料費及び調理費相当分は利用者負担とすることを基本とするが、利用料の設定に当たっては、低所得者への配慮や市町村における財源等を考慮すること。なお、事業の対象者・利用の負担額等については、予め要綱等において明確に規定しておくこと。

(6) 任意事業については、他の国庫補助事業の対象となる場合は、当該他の補助事業を優先すること。

(7) 実施する事業の目的が介護予防に資するものであって、例えば介護予防教室や高齢者の介護予防に係る指導者の養成、高齢者の生きがいや健康づくり、介護予防・社会参加を目的とした場づくり、介護支援ボランティアポイント等、介護予防の取組として実施することが適切な場合は、任意事業ではなく、総合事業(総合事業の実施を猶予する市町村の場合は、旧総合事業又は旧介護予防事業)において実施すること。

別添1

訪問介護員等によるサービス費(訪問介護現行相当サービス費)及び通所介護事業者の従事者によるサービス費(通所介護現行相当サービス費)は、それぞれ以下に掲げる費用を算定するものとする。なお、当該費用の算定にあたっては、以下に掲げる他は、指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号)及び指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成18年3月17日老計発第0317001号・老振発第0317001号・老老発第0317001号、厚生労働省老健局計画・振興・老人保健課長連名通知)に準ずるものとする。

1 訪問介護員等によるサービス費(訪問介護現行相当サービス費)

イ 訪問型サービス費Ⅰ 1,168単位

(事業対象者・要支援1・2 1月につき・週1回程度の訪問)

ロ 訪問型サービス費Ⅱ 2,335単位

(事業対象者・要支援1・2 1月につき・週2回程度の訪問)

ハ 訪問型サービス費Ⅲ 3,704単位

(事業対象者・要支援2 1月につき・週2回を超える程度の訪問)

ニ 訪問型サービス費Ⅳ 266単位

(事業対象者・要支援1・2 1回につき・1月の中で全部で4回までのサービスを行った場合)

ホ 訪問型サービス費Ⅴ 270単位

(事業対象者・要支援1・2 1回につき・1月の中で全部で5回から8回までのサービスを行った場合)

ヘ 訪問型サービス費Ⅵ 285単位

(事業対象者・要支援2 1回につき・1月の中で全部で9回から12回までのサービスを行った場合)

ト 訪問型サービス費(短時間サービス) 165単位

(事業対象者・要支援1・2 1回につき 主に身体介護を行う場合 1月につき22回まで算定可能)

チ 初回加算 200単位(1月につき)

リ 生活機能向上連携加算 100単位(1月につき)

ヌ 介護職員処遇改善加算

(1) 介護職員処遇改善加算(Ⅰ) +所定単位×86/1000

(2) 介護職員処遇改善加算(Ⅱ) +所定単位×48/1000

(3) 介護職員処遇改善加算(Ⅲ) +(2)の90/1000

(4) 介護職員処遇改善加算(Ⅳ) +(2)の80/1000

注1 イからトまでについて、介護職員初任者研修課程を修了したサービス提供責任者を配置している場合は、所定単位数に70/100を乗じる。

注2 イからトまでについて、事業所と同一建物の利用者又はこれ以外の同一建物の利用者20人以上にサービスを行う場合は、所定単位数に90/100を乗じる。

注3 イからトまでについて、特別地域加算を算定する場合は、所定単位数に15/100を乗じた単位を足す。

注4 イからトまでについて、中山間地域等における小規模事業所加算を算定する場合は、所定単位数に10/100を乗じた単位を足す。

注5 イからトまでについて、中山間地域に居住する者へのサービス提供加算を算定する場合は、所定単位数に5/100を乗じた単位を足す。

注6 ヌについて、所定単位はイからリまでにより算定した単位数の合計。

注7 特別地域加算、中山間地域等における小規模事業所加算、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算及び介護職員処遇改善加算は、支給限度額管理の対象外の算定項目である。

2 通所介護事業者の従事者によるサービス費(通所介護現行相当サービス費)

イ 通所型サービス費

(1) 事業対象者・要支援1 1,647単位(1月につき)

(2) 事業対象者・要支援2 3,377単位(1月につき)

(3) 事業対象者・要支援1 378単位(1回につき・1月の中で全部で4回までのサービスを行った場合)

(4) 事業対象者・要支援2 389単位(1回につき・1月の中で全部で5回から8回までのサービスを行った場合)

ロ 生活機能向上グループ活動加算 100単位(1月につき)

ハ 運動器機能向上加算 225単位(1月につき)

ニ 栄養改善加算 150単位(1月につき)

ホ 口腔機能向上加算 150単位(1月につき)

ヘ 選択的サービス複数実施加算

(1) 選択的サービス複数実施加算(Ⅰ)

① 運動器機能向上及び栄養改善 480単位(1月につき)

② 運動器機能向上及び口腔機能向上 480単位(1月につき)

③ 栄養改善及び口腔機能向上 480単位(1月につき)

(2) 選択的サービス複数実施加算(Ⅱ)

運動器機能向上、栄養改善及び口腔機能向上 700単位(1月につき)

ト 事業所評価加算 120単位(1月につき)

チ サービス提供体制強化加算

(1) サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イ

① 事業対象者・要支援1 72単位(1月につき)

② 事業対象者・要支援2 144単位(1月につき)

(2) サービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロ

① 事業対象者・要支援1 48単位(1月につき)

② 事業対象者・要支援2 96単位(1月につき)

(3) サービス提供体制強化加算(Ⅱ)

① 事業対象者・要支援1 24単位(1月につき)

② 事業対象者・要支援2 48単位(1月につき)

リ 介護職員処遇改善加算

(1) 介護職員処遇改善加算(Ⅰ) +所定単位×40/1000

(2) 介護職員処遇改善加算(Ⅱ) +所定単位×22/1000

(3) 介護職員処遇改善加算(Ⅲ) +(2)の90/1000

(4) 介護職員処遇改善加算(Ⅳ) +(2)の80/1000

注1 イについて、利用者の数が利用定員を超える場合は、所定単位数に70/100を乗じる。

注2 イについて、看護・介護職員の員数が基準に満たない場合は、所定単位数に70/100を乗じる。

注3 イについて、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算を算定する場合は、所定単位数に5/100を乗じた単位を足す。

注4 イについて、若年性認知症利用者受入加算を算定する場合は、所定単位数に1月につき240単位を足す。

注5 イについて、事業所と同一建物に居住する者又は同一建物から利用する者に通所型サービスを行う場合は、それぞれ以下のとおり減算する。

イ(1)及び(3)376単位

イ(2)及び(4)752単位

注6 リについて、所定単位はイからチまでによる算定した単位数の合計。

注7 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算、サービス提供体制強化加算及び介護職員処遇改善加算は、支給限度額管理の対象外の算定項目である。

3 介護予防ケアマネジメント費

イ 介護予防ケアマネジメント費 430単位(1月につき)

ロ 初回加算 300単位(1月につき)

ハ 介護予防小規模多機能型居宅介護事業所連携加算 300単位

注1 介護予防ケアマネジメント費の算定は、要支援1及び要支援2を対象とする。

注2 住所地特例による財政調整においては、1件あたり430単位とする。

算定にあたっては、住所地特例対象者の数に430単位をかけた金額の支払い・請求により財政調整を行うものとする。

別添2

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別添3

別添4

別添5

総合事業の事業評価

総合事業の実施に当たっては、ボランティア活動と有機的な連携を図る等、地域の人材を活用していくことが重要である。60歳代、70歳代を始めとした高齢者の多くは、要介護状態や要支援状態に至っていないことから、こうした高齢者が地域で社会参加できる機会を増やしていくことが、高齢者の介護予防にもつながることとなる。併せて、できる限り多くの高齢者が、地域で支援を必要とする高齢者の支え手となっていくことで、より良い地域づくりにつながることとなる。

このため、地域づくりの視点から、事業全体を評価した上で、要支援者等に対する介護予防・生活支援サービス事業について事業評価を行うこととする。事業評価をする際には、以下の3段階の評価指標を活用することとする。

① ストラクチャー指標:事業を効果的かつ効率的に実施するための実施体制等に関する指標

② プロセス指標:事業を効果的かつ効率的に実施するための企画立案、実施過程等に関する指標

③ アウトカム指標:事業成果の目標に関する指標

なお、評価の実施に当たっては、関係者間での議論が重要であることから、各市町村で開催している介護保険運営協議会や地域包括支援センター運営協議会等において議論することが重要である。また、地域の特性を活かしながら事業を運営することが重要であることから、以下の評価指標の視点を活かしながら、それぞれの地域の実情を踏まえたふさわしい評価指標へと内容を修正した上で、事業評価を実施することが重要である。

1 総合事業

<ストラクチャー指標>

以下の4項目について、事業を効果的かつ効率的に実施するための実施体制を整備できているかどうかを年度ごとに評価する。(4段階で評価する場合の例:「1.できている、2.ある程度できている、3.あまりできていない、4.できていない」)この際、評価した具体的理由についても整理しておくことが望ましい。

① 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的について、分かりやすく説明することのできる職員の養成や、説明資料の整備ができているか。

② 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)し、総合事業を実施する上で、介護保険、高齢者福祉、地域福祉、健康増進、企画、市民活動推進、自治会支援、社会教育等の担当部署と広く連携する体制を構築できているか。

③ 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)し、総合事業を実施する上で、地域包括支援センターと連携する体制を構築できているか。

④ 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)し、総合事業を実施する上で、協議体を設置し、住民主体の活動、NPO法人、社会福祉法人、社会福祉協議会、地縁組織、協同組合、民間企業、シルバー人材等の多様な主体による多様なサービスの提供体制を構築できているか。

<プロセス指標>

以下の7項目について、事業を効果的かつ効率的に実施するための企画立案、実施過程等のプロセスについて、適切にできているかどうかを年度ごとに評価する。(4段階で評価する場合の例:「1.できている、2.ある程度できている、3.あまりできていない、4.できていない」)この際、評価した具体的理由についても整理しておくことが望ましい。

① 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)できるよう、総合事業の企画・実施・評価のプロセスの中で、地域住民の意見収集や協議への住民参画が行われているか。

② 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)できるよう、介護サービス事業者、医療機関、民間企業、NPO法人、社会福祉法人、社会福祉協議会、地縁組織、協同組合、住民等のあらゆる関係者に働きかけを行っているか。

③ 自治会、社会福祉協議会、民生委員、老人クラブ、ボランティア、NPO法人、社会教育関係者の活動状況等について地域資源として適切に把握できているか。

④ 介護予防の推進、生活支援の充実に関する行政課題を整理できているか。

⑤ 介護予防の推進、生活支援の充実を図っていく上で、長期的な視点をもって具体的な戦略を立てられているか。

⑥ 総合事業に関する苦情や事故を把握しているか。

⑦ 関係機関(地域包括支援センター、医療機関、民生委員等)において情報を共有するため、共有する情報の範囲、管理方法及び活用方法に関する取り決めをしているか。

以上の定性評価に加えて、以下の定量的指標を用いて総合事業の実施状況の評価を行う。

指標

評価方法

① 介護予防に資する住民主体の通いの場への65歳以上参加者数及び割合

※ 介護予防・日常生活支援総合事業実施状況調査を活用

年度ごとに任意の時点の介護予防に資する住民主体の通いの場への参加者の状況を集計し、時系列評価や地域間比較や他市町村と比較することで、住民主体の介護予防活動の取組状況を評価する。性別、前期高齢者・後期高齢者別の参加者の状況を集計することが望ましい。

(参加者割合=参加者数÷高齢者数)

② 介護予防に資する住民主体の通いの場の状況

年度ごとに任意の時点の介護予防に資する住民主体の通いの場を地図上にマッピングする等して、住民主体の介護予防活動の地域の展開状況を評価する。

その他の定量的指標の例を以下に示す。

① 介護予防に関する講演会、相談会等の開催回数・参加者数

② 介護予防に関するイベント等の開催回数

③ 介護予防に関するボランティア育成のための研修会の開催回数・育成数

<アウトカム指標>

以下の定量的指標を用いて総合事業による効果の評価を行う。

指標

評価方法

① 65歳以上新規認定申請者数及び割合

※ 介護予防・日常生活支援総合事業実施状況調査を活用

年度ごとに年間の新規認定申請者の状況を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の推進状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

(新規認定申請者割合=新規認定申請者数÷高齢者数)

② 65歳以上新規認定者数及び割合(要支援・要介護度別)

※ 介護予防・日常生活支援総合事業実施状況調査を活用

年度ごとに年間の新規認定者の状況(要支援・要介護度別)を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

(新規認定者割合=新規認定者数÷高齢者数)

③ 65歳以上要支援・要介護認定率(要支援・要介護度別)

※ 介護保険事業状況報告を活用

年度ごとに任意の時点の要支援・要介護認定率(要支援・要介護度別)を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

(認定率=認定者数÷高齢者数)

④ 日常生活圏域ニーズ調査等による健康に関連する指標の状況

複数年度ごとに任意の時点における地域の健康に関連する指標を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

健康関連指標の例:主観的健康観(※)、社会参加の状況、運動機能、口腔機能、栄養状態、認知機能、閉じこもり、うつ、健康寿命等

⑤ 介護予防・日常生活支援総合事業の費用額

年度ごとに年間の介護予防・日常生活支援総合事業の費用総額の伸び率と、後期高齢者の伸び率との関係等について、時系列評価や他市町村等と比較することで、事業の効率性の評価に活用する。

⑥ 予防給付と介護予防・日常生活支援総合事業の費用総額

年度ごとに年間の予防給付と介護予防・日常生活支援総合事業の費用総額の伸び率と、後期高齢者の伸び率との関係等について、時系列評価や他市町村等と比較することで、事業の効率性の評価に活用する。

※)主観的健康感は、国民生活基礎調査の以下の質問により評価する。

「あなたの現在の健康状態はいかがですか。当てはまる番号1つに○をつけてください。

1 よい 2 まあよい 3 ふつう 4 あまりよくない 5 よくない」

2 総合事業(介護予防・生活支援サービス事業)

<ストラクチャー指標>

以下の1項目について、事業を効果的かつ効率的に実施するための実施体制を整備できているかどうかを年度ごとに評価する。(4段階で評価する場合の例:「1.できている、2.ある程度できている、3.あまりできていない、4.できていない」)この際、評価した具体的理由についても整理しておくことが望ましい。

介護予防ケアマネジメントの実施に当たり、市町村、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所及びサービス事業提供者が、総合事業の趣旨や自立支援の重要性を共有し、連携する体制を構築できているか。

<プロセス指標>

以下の6項目について、事業を効果的かつ効率的に実施するための企画立案、実施過程等のプロセスについて、適切にできているかどうかを年度ごとに評価する。(4段階で評価する場合の例:「1.できている、2.ある程度できている、3.あまりできていない、4.できていない」)この際、評価した具体的理由についても整理しておくことが望ましい。

① 窓口に相談にきた高齢者に対し、総合事業の目的、内容、サービスメニュー及び手続方法について十分な説明を行っているか。

② 介護予防ケアマネジメントに関する様式が統一されているか。

③ 介護予防・生活支援サービス事業の実施状況を把握しているか。

④ 介護予防・生活支援サービス事業の実施量と需要量の関係を的確に把握しているか。

⑤ 介護予防・生活支援サービス事業の実施状況の検証に基づき、次年度以降の実施計画の見直しを行っているか。

⑥ 要支援者及び介護予防・生活支援サービス事業対象者の個人情報が共有されることについて、十分な説明を行い、同意を得ているか。

以上の定性評価に加えて、以下の定量的指標を用いて介護予防・生活支援サービス事業の実施状況の評価を行う。

指標

評価方法

① 介護予防ケアマネジメント依頼書受理件数

※ 介護予防・日常生活支援総合事業実施状況調査を活用

年度ごとに年間の介護予防ケアマネジメント依頼書受理件数を集計し、実施状況を評価する。

② 介護予防・生活支援サービス事業の実施状況

年度ごとに年間の各種事業の実施状況を集計し、実施回数及び利用者数により実施状況を評価する。

訪問型サービス、通所型サービス、生活支援サービス別に実施回数及び利用者数(要支援1、要支援2、介護予防・生活支援サービス事業対象者別)を集計することが望ましい。

<アウトカム指標>

以下の定量的指標を用いて総合事業による効果の評価を行う。

指標

評価方法

① 主観的健康感(※)

年度ごとに年間の介護予防・生活支援サービス事業の利用者について、利用前後の主観的健康感の変化を集計し、維持・改善割合(事業利用者のうち利用後に主観的健康感が維持・改善された者の割合)により介護予防・生活支援サービス事業の効果を評価する。

別添6

旧総合事業の事業評価

旧総合事業の実施に当たっては、ボランティア活動と有機的な連携を図る等、地域の人材を活用していくことが重要である。60歳代、70歳代を始めとした高齢者の多くは、要介護状態や要支援状態に至っていないことから、こうした高齢者が地域で社会参加できる機会を増やしていくことが、高齢者の介護予防にもつながることとなる。併せて、できる限り多くの高齢者が、地域で支援を必要とする高齢者の支え手となっていくことで、より良い地域づくりにつながることとなる。

このため、地域づくりの視点から、事業評価を行うこととする。事業評価をする際には、以下の3段階の評価指標を活用することとする。

① ストラクチャー指標:事業を効果的かつ効率的に実施するための実施体制等に関する指標

② プロセス指標:事業を効果的かつ効率的に実施するための企画立案、実施過程等に関する指標

③ アウトカム指標:事業成果の目標に関する指標

なお、評価の実施に当たっては、関係者間での議論が重要であることから、各市町村で開催している介護保険運営協議会や地域包括支援センター運営協議会等において議論することが重要である。また、地域の特性を活かしながら事業を運営することが重要であることから、以下の評価指標の視点を活かしながら、それぞれの地域の実情を踏まえたふさわしい評価指標へと内容を修正した上で、事業評価を実施することが重要である。

<ストラクチャー指標>

以下の4項目について、事業を効果的かつ効率的に実施するための実施体制を整備できているかどうかを年度ごとに評価する。(4段階で評価する場合の例:「1.できている、2.ある程度できている、3.あまりできていない、4.できていない」)この際、評価した具体的理由についても整理しておくことが望ましい。

① 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的について、分かりやすく説明することのできる職員の養成や、説明資料の整備ができているか。

② 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)し、旧総合事業を実施する上で、介護保険、高齢者福祉、地域福祉、健康増進、企画、市民活動推進、自治会支援、社会教育等の担当部署と広く連携する体制を構築できているか。

③ 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)し、旧総合事業を実施する上で、地域包括支援センターと連携する体制を構築できているか。

④ 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)し、旧総合事業を実施する上で、協議体を設置し、住民主体の活動、NPO法人、社会福祉法人、社会福祉協議会、地縁組織、協同組合、民間企業、シルバー人材等の多様な主体による多様なサービスの提供体制を構築できているか。

<プロセス指標>

以下の7項目について、事業を効果的かつ効率的に実施するための企画立案、実施過程等のプロセスについて、適切にできているかどうかを年度ごとに評価する。(4段階で評価する場合の例:「1.できている、2.ある程度できている、3.あまりできていない、4.できていない」)この際、評価した具体的理由についても整理しておくことが望ましい。

① 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)できるよう、旧総合事業の企画・実施・評価のプロセスの中で、地域住民の意見収集や協議への住民参画が行われているか。

② 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)できるよう、介護サービス事業者、医療機関、民間企業、NPO法人、社会福祉法人、社会福祉協議会、地縁組織、協同組合、住民等のあらゆる関係者に働きかけを行っているか。

③ 自治会、社会福祉協議会、民生委員、老人クラブ、ボランティア、NPO法人、社会教育関係者の活動状況等について地域資源として適切に把握できているか。

④ 介護予防の推進、生活支援の充実に関する行政課題を整理できているか。

⑤ 介護予防の推進、生活支援の充実を図っていく上で、長期的な視点をもって具体的な戦略を立てられているか。

⑥ 旧総合事業に関する苦情や事故を把握しているか。

⑦ 関係機関(地域包括支援センター、医療機関、民生委員等)において情報を共有するため、共有する情報の範囲、管理方法及び活用方法に関する取り決めをしているか。

以上の定性評価に加えて、以下の定量的指標を用いて旧総合事業の実施状況の評価を行う。

指標

評価方法

① 介護予防に資する住民主体の通いの場への65歳以上参加者数及び割合

※ 介護予防・日常生活支援総合事業実施状況調査を活用

年度ごとに任意の時点の介護予防に資する住民主体の通いの場への参加者の状況を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況を評価する。性別、前期高齢者・後期高齢者別の参加者の状況を集計することが望ましい。

(参加者割合=参加者数÷高齢者数)

② 介護予防に資する住民主体の通いの場の状況

年度ごとに任意の時点の介護予防に資する住民主体の通いの場を地図上にマッピングする等して、住民主体の介護予防活動の地域の展開状況を評価する。

その他の定量的指標の例を以下に示す。

① 介護予防に関する講演会、相談会等の開催回数・参加者数

② 介護予防に関するイベント等の開催回数

③ 介護予防に関するボランティア育成のための研修会の開催回数・育成数

<アウトカム指標>

以下の定量的指標を用いて旧総合事業による効果の評価を行う。

指標

評価方法

① 65歳以上新規認定申請者数及び割合

※ 介護予防・日常生活支援総合事業実施状況調査を活用

年度ごとに年間の新規認定申請者の状況を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の推進状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

(新規認定申請者割合=新規認定申請者数÷高齢者数)

② 65歳以上新規認定者数及び割合(要支援・要介護度別)

※ 介護予防・日常生活支援総合事業実施状況調査を活用

年度ごとに年間の新規認定者の状況(要支援・要介護度別)を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

(新規認定者割合=新規認定者数÷高齢者数)

③ 65歳以上要支援・要介護認定率(要支援・要介護度別)

※ 介護保険事業状況報告を活用

年度ごとに任意の時点の要支援・要介護認定率(要支援・要介護度別)を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

(認定率=認定者数÷高齢者数)

④ 日常生活圏域ニーズ調査等による健康に関連する指標の状況

複数年度ごとに任意の時点における地域の健康に関連する指標を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

健康関連指標の例:主観的健康感(※)、社会参加の状況、運動機能、口腔機能、栄養状態、認知機能、閉じこもり、うつ、健康寿命等

⑤ 旧総合事業の費用額

年度ごとに年間の旧総合事業の費用総額の伸び率と、後期高齢者の伸び率との関係等について、時系列評価や他市町村との比較を行うことで、事業の効率性の評価に活用する。

⑥ 予防給付と旧総合事業の費用総額

年度ごとに年間の予防給付と旧総合事業の費用総額の伸び率と、後期高齢者の伸び率との関係等について、時系列評価や他市町村との比較を行うことで、事業の効率性の評価に活用する。

※)主観的健康感は、国民生活基礎調査の以下の質問により評価する。

「あなたの現在の健康状態はいかがですか。当てはまる番号1つに○をつけてください。

1 よい 2 まあよい 3 ふつう 4 あまりよくない 5 よくない」

別添7

旧介護予防事業の事業評価

旧介護予防事業の実施に当たっては、ボランティア活動と有機的な連携を図る等、地域の人材を活用していくことが重要である。60歳代、70歳代を始めとした高齢者の多くは、要介護状態や要支援状態に至っていないことから、こうした高齢者が地域で社会参加できる機会を増やしていくことが、高齢者の介護予防にもつながることとなる。併せて、できる限り多くの高齢者が、地域で支援を必要とする高齢者の支え手となっていくことで、より良い地域づくりにつながることとなる。

このため、地域づくりの視点から、事業評価を行うこととする。事業評価をする際には、以下の3段階の評価指標を活用することとする。

① ストラクチャー指標:事業を効果的かつ効率的に実施するための実施体制等に関する指標

② プロセス指標:事業を効果的かつ効率的に実施するための企画立案、実施過程等に関する指標

③ アウトカム指標:事業成果の目標に関する指標

なお、評価の実施に当たっては、関係者間での議論が重要であることから、各市町村で開催している介護保険運営協議会や地域包括支援センター運営協議会等において議論することが重要である。また、地域の特性を活かしながら事業を運営することが重要であることから、以下の評価指標の視点を活かしながら、それぞれの地域の実情を踏まえたふさわしい評価指標へと内容を修正した上で、事業評価を実施することが重要である。

<ストラクチャー指標>

以下の4項目について、事業を効果的かつ効率的に実施するための実施体制を整備できているかどうかを年度ごとに評価する。(4段階で評価する場合の例:「1.できている、2.ある程度できている、3.あまりできていない、4.できていない」)この際、評価した具体的理由についても整理しておくことが望ましい。

① 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的について、分かりやすく説明することのできる職員の養成や、説明資料の整備ができているか。

② 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)し、旧介護予防事業を実施する上で、介護保険、高齢者福祉、地域福祉、健康増進、企画、市民活動推進、自治会支援、社会教育等の担当部署と広く連携する体制を構築できているか。

③ 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)し、旧介護予防事業を実施する上で、地域包括支援センターと連携する体制を構築できているか。

④ 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)し、旧介護予防事業を実施する上で、協議体を設置し、住民主体の活動、NPO法人、社会福祉法人、社会福祉協議会、地縁組織、協同組合、民間企業、シルバー人材等の多様な主体による多様なサービスの提供体制を構築できているか。

<プロセス指標>

以下の7項目について、事業を効果的かつ効率的に実施するための企画立案、実施過程等のプロセスについて、適切にできているかどうかを年度ごとに評価する。(4段階で評価する場合の例:「1.できている、2.ある程度できている、3.あまりできていない、4.できていない」)この際、評価した具体的理由についても整理しておくことが望ましい。

① 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)できるよう、旧介護予防事業の企画・実施・評価のプロセスの中で、地域住民の意見収集や協議への住民参画が行われているか。

② 地域包括ケアシステムの構築に向けた基本方針及び目的を共有(規範的統合)できるよう、介護サービス事業者、医療機関、民間企業、NPO法人、社会福祉法人、社会福祉協議会、地縁組織、協同組合、住民等のあらゆる関係者に働きかけを行っているか。

③ 自治会、社会福祉協議会、民生委員、老人クラブ、ボランティア、NPO法人、社会教育関係者の活動状況等について地域資源として適切に把握できているか。

④ 介護予防の推進、生活支援の充実に関する行政課題を整理できているか。

⑤ 介護予防の推進、生活支援の充実を図っていく上で、長期的な視点をもって具体的な戦略を立てられているか。

⑥ 旧介護予防事業に関する苦情や事故を把握しているか。

⑦ 関係機関(地域包括支援センター、医療機関、民生委員等)において情報を共有するため、共有する情報の範囲、管理方法、活用方法に関する取り決めをしているか。

以上の定性評価に加えて、以下の定量的指標を用いて旧介護予防事業の実施状況の評価を行う。

指標

評価方法

① 介護予防に資する住民主体の通いの場への65歳以上参加者数及び割合

※ 介護予防・日常生活支援総合事業実施状況調査を活用

年度ごとに任意の時点の介護予防に資する住民主体の通いの場への参加者の状況を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況を評価する。性別、前期高齢者・後期高齢者別の参加者の状況を集計することが望ましい。

(参加者割合=参加者数÷高齢者数)

② 介護予防に資する住民主体の通いの場の状況

年度ごとに任意の時点の介護予防に資する住民主体の通いの場を地図上にマッピングする等して、住民主体の介護予防活動の地域の展開状況を評価する。

その他の定量的指標の例を以下に示す。

① 介護予防に関する講演会、相談会等の開催回数・参加者数

② 介護予防に関するイベント等の開催回数

③ 介護予防に関するボランティア育成のための研修会の開催回数・育成数

<アウトカム指標>

以下の定量的指標を用いて総合事業による効果の評価を行う。

指標

評価方法

① 65歳以上新規認定申請者数及び割合

※ 介護予防・日常生活支援総合事業実施状況調査を活用

年度ごとに年間の新規認定申請者の状況を集計し、時系列評価や地域間比較や他市町村と比較することで、住民主体の介護予防活動の推進状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

(新規認定申請者割合=新規認定申請者数÷高齢者数)

② 65歳以上新規認定者数及び割合(要支援・要介護度別)

※ 介護予防・日常生活支援総合事業実施状況調査を活用

年度ごとに年間の新規認定者の状況(要支援・要介護度別)を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

(新規認定者割合=新規認定者数÷高齢者数)

③ 65歳以上要支援・要介護認定率(要支援・要介護度別)

※ 介護保険事業状況報告を活用

年度ごとに任意の時点の要支援・要介護認定率(要支援・要介護度別)を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

(認定率=認定者数÷高齢者数)

④ 日常生活圏域ニーズ調査等による健康に関連する指標の状況

複数年度ごとに任意の時点における地域の健康に関連する指標を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。

健康関連指標の例:主観的健康感(※)、社会参加の状況、運動機能、口腔機能、栄養状態、認知機能、閉じこもり、うつ、健康寿命等

⑤ 旧介護予防事業の費用額

年度ごとに年間の旧介護予防事業の費用総額の伸び率と、後期高齢者の伸び率との関係等について、時系列評価や他市町村との比較を行うことで、事業の効率性の評価に活用する。

⑥ 予防給付と旧介護予防事業の費用総額

年度ごとに年間の予防給付と旧介護予防事業の費用総額の伸び率と、後期高齢者の伸び率との関係等について、時系列評価や他市町村との比較を行うことで、事業の効率性の評価に活用する。

※)主観的健康感は、国民生活基礎調査の以下の質問により評価する。

「あなたの現在の健康状態はいかがですか。当てはまる番号1つに○をつけてください。

1 よい 2 まあよい 3 ふつう 4 あまりよくない 5 よくない」