添付一覧
○「経口血糖降下薬の臨床評価方法に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)について
(平成22年7月9日)
(事務連絡)
(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)
「経口血糖降下薬の臨床評価方法に関するガイドライン」の策定については、平成22年7月9日付け薬食審査0709発第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知にて通知したところであるが、今般、「経口血糖降下薬の臨床評価方法に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)を別添のとおりとりまとめたので、貴管内関係業者に対し周知方よろしくご配慮願いたい。
(別添)
「経口血糖降下薬の臨床評価方法に関するガイドライン」に関するQ&A
全般
Q1 ブリッジング開発、国際共同治験による開発における考え方・留意点について、明確にしていただきたい。 |
A1
ブリッジング開発や国際共同治験による開発における考え方については、経口血糖降下薬の分野においてもICH E5ガイドラインや「国際共同治験に関する基本的考え方」(平成19年9月28日付、薬食審査発第0928010号、審査管理課長通知)が適用される。なお、個別の事例については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「機構」という。)に相談されたい。
Q2 本ガイドラインの適用範囲は、経口血糖降下薬のみであるのか、インスリン製剤やGLP―1アナログ等の注射剤も含まれるのか明確にしていただきたい。 |
A2
経口血糖降下薬以外の薬剤(インスリン製剤を除く)については、本ガイドラインに準じて、適切な開発計画を立案する必要がある。なお、インスリン製剤については、本ガイドラインの適用範囲には含まれない。
経口血糖降下薬の有効性の評価方法
Q3 「標準食」の定義又は考え方を示してほしい。 |
A3
標準食としては、適切な評価を行うために、少なくとも同一試験の中では、同じ組成・熱量の食事を用いて実施していただきたい。日本人の標準的な食事内容を反映したものが望ましいが、試験の目的や薬剤の特性に応じて組成を決定しても差し支えない。
第Ⅲ相試験
Q4 「6ヵ月以上投与された症例が300例以上、1年以上投与された症例が100例以上の長期投与が求められる」と記載されているが、これは単独療法長期投与試験と併用療法長期投与試験の症例数を合算した症例数と考えてよいか。 |
A4
原則として、単独療法において、必要とされる長期投与の症例数を確保する必要がある。
Q5 「低血糖リスクが他の経口血糖降下薬より高いと考えられる薬剤(SU薬など)と併用投与する場合は、薬物間相互作用試験を実施し、併用投与による血中濃度等への影響について検討することが推奨される。」と記載されているが、その他の経口血糖降下薬との薬物間相互作用試験は実施しなくてもよいと考えて差し支えないか。 |
A5
他の経口血糖降下薬と併用投与する場合には、「薬物相互作用の検討方法について」(平成13年6月4日付、医薬審第813号)に準じて、薬物間相互作用の有無について検討する必要がある。
単独療法試験(無作為化二重盲検群間比較試験)
Q6 投与期間は「少なくとも12週、原則24週が望ましい」とされているが、既承認薬を対照とする場合は24週でも問題ないと考えるが、プラセボ対照試験であっても、HbA1cの評価期間や6ヵ月投与での安全性評価の観点から、24週投与を推奨しているか確認したい。 |
A6
様々な特性を有する薬剤が開発されていることから、薬剤の特性により考慮すべき点はあるものの、有効性と安全性を確認するためには、24週間が望ましい。なお、個別の事例については、機構に相談されたい。
併用療法長期投与試験(非盲検併用療法長期投与試験)
Q7 「実臨床において併用が想定される全ての被併用薬群との組み合わせ」において、全ての被併用薬群を例示ではなく具体的に提示してほしい。また、被併用薬について、同じ作用機序を有する薬剤のなかでは、特定の薬剤に限定せずに実施することで差し支えないか確認したい。 |
A7
現時点では、SU薬、グリニド薬、ビグアナイド薬、α―グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、DPP―Ⅳ阻害薬等が考えられるが、今後の状況により、適宜判断していただきたい。また、それぞれの被併用薬群について、特に1種類に限るものではないが、それぞれの被併用薬群毎に安全性及び有効性が適切に評価できるよう、ある程度背景因子を揃えることが必要であり、薬剤の種類は、2~3種類以内が望ましい。
Q8 併用療法長期投与試験における「低血糖リスクが他の経口血糖降下薬より高いと考えられる薬剤(SU薬など)」について、SU薬とグリニド薬をあわせて100例と考えてよいか。 |
A8
併用療法長期投与試験において、SU薬又はグリニド薬との併用については個別に判断することが適切であり、低血糖リスク等の観点から、原則としてSU薬で100例の症例数を集積する必要がある。
効能・効果の記載
Q9 「効能・効果の記載は『2型糖尿病』とするのが適当である」とあるが、本ガイドラインに沿って実施した併用療法試験の結果は、使用上の注意や臨床試験の項に記載し、効能・効果は「2型糖尿病」とのみ記載することを意図したものであることを確認したい。 |
A9
本ガイドラインに従って、併用される可能性のある薬剤すべてとの組み合わせの併用試験が実施された場合には、効能・効果を「2型糖尿病」とし、添付文書の臨床成績の項において臨床試験成績を記載し、その結果によっては使用上の注意等で注意喚起するということを意図している。
Q10 効能・効果の考え方として、単独療法が基本であるように思われるが、単独療法の効能取得が必須と考えるべきであるか。併用療法のみの効能取得も可能であるか。 |
A10
本邦における糖尿病治療のための薬物療法については、単独療法が基本とされており、原則として単独療法の試験を実施することが必要である。
Q11 効能・効果は「2型糖尿病」が適当としているが、薬剤特性等を考慮し、併用が適切ではないと判断される経口血糖降下薬群に関する注意喚起は、例えば使用上の注意の項に「・・・との使用経験はない」等の記載を行うことでよいか。 |
A11
「実臨床において併用が想定される全ての被併用薬群との組み合わせ」については、併用療法長期投与試験を実施した上で、効能・効果を「2型糖尿病」と設定することが原則であるが、薬剤特性等により、併用が適切ではないと判断される経口血糖降下薬群については、添付文書において併用禁忌等の適切な注意喚起を行うことが必要である。
Q12 効能・効果の記載は、「2型糖尿病」とするのが適当とされているが、今後、従来のような効能・効果の記載は認められず、併用療法長期投与試験成績の提出が必須と考えるのか。また、その場合の併用療法長期投与試験成績の提出時期はどのように考えたらよいか。 |
A12
本ガイドラインに従って新規の経口血糖降下薬の臨床開発を行い承認申請する場合には、併用療法長期投与試験を含めて必要な臨床試験を実施した上で、効能・効果を「2型糖尿病」と設定することが原則であり、当該試験成績を含めた臨床データパッケージで承認申請する必要がある。また、併用療法長期投与試験では、既承認の経口血糖降下薬と治験薬を長期間併用した場合の安全性及び有効性を評価することを目的としていることから、当該試験が終了し、当該試験の成績が揃った時点でなければ、その安全性及び有効性を評価することはできないため、最初に併用療法長期投与試験以外のデータを用いて申請し、申請後に当該長期試験のデータを追加提出することは受け入れられない。
Q13 α―グルコシダーゼ阻害薬のような「2型糖尿病における食後血糖の改善」の効能を有する薬剤であっても、本ガイドラインに従って、同様の評価が必要となるのか。 |
A13
経口血糖降下薬の一つとして、同様に取り扱われる。
Q14 本ガイドラインを受け、既承認薬の添付文書への記載方針は変わるのか、既承認薬へのガイドラインの適用を確認したい。 |
A14
既承認の経口血糖降下薬について、一律に添付文書の記載を改める予定はない。なお、併用効能が承認されていない組み合わせについて新たに併用療法長期投与試験を実施し、効能・効果の一部変更承認申請を行うことは可能であるが、個別の事例については、機構に相談されたい。
配合剤に関する考え方について
Q15 新規有効成分の併用療法長期投与試験では安全性の確認が主目的であるが、当該有効成分を含む配合剤の開発では、改めて有効性の検証が必要であるか確認したい。 |
A15
配合剤については、配合の意義及び有効性・安全性を支持する根拠が求められることになるが、併用療法長期投与試験は安全性の確認が主目的であることから、配合剤の有効性を確認する検証試験とは認められない。別途、適切なデザインによる検証試験が必要である。