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○有料老人ホームの設置運営標準指導指針について
(平成14年7月18日)
(老発第0718003号)
(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省老健局長通知)
有料老人ホームにおいては、介護保険における「特定施設入居者生活介護(地域密着型特定施設入居者生活介護、介護予防特定施設入居者生活介護を含む。)」の給付を受けることができる「指定特定施設」として、自ら介護を提供する役割を有している施設がある一方で、訪問介護や通所介護などの外部の居宅サービス等との連携を強化している施設も増えているなど、その内容は多様化している。
一方で、従来「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」(以下「標準指導指針」という。)の対象から除外しているサービス付き高齢者向け住宅について、その位置づけの明確化が求められていること、有料老人ホームの届出規定が適切に遵守されていない事例が増加していること、入居者が自由に居宅サービス等を選ぶことを阻害していると疑われる事例が見られることなど、有料老人ホームの運営に対する課題が生じている実態もある。
このため、今般、別添のとおり標準指導指針を改正することとしたので、次の事項に留意の上、貴管内の有料老人ホームに対して適切な指導を行われたい。なお、サービス付き高齢者向け住宅においては、有料老人ホームに該当するものが多いという実態もあるため、貴職においては、有料老人ホームに該当するサービス付き高齢者向け住宅についても適確に把握の上、必要に応じて、適切な指導を行われたい。
なお、本通知は、地方自治法第245条の4第1項に規定する技術的な助言に該当するものである。
1 標準指導指針の性格
有料老人ホームは民間の活力と創意工夫により高齢者の多様なニーズに応えていくことが求められるものであり、一律の規制には馴染まない面があるが、一方、高齢者が長年にわたり生活する場であり、入居者の側からも介護を始めとするサービスに対する期待が大きいこと、入居に当たり前払金を支払う場合を含めて大きな金銭的な負担を伴うことから、行政としても、サービス水準の確保等のため十分に指導を行う必要がある。特に、有料老人ホーム事業は、設置者と入居者との契約が基本となることから、契約の締結及び履行に必要な情報が、入居者に対して十分提供されることが重要である。
このような事業の性格を踏まえ、各都道府県、指定都市又は中核市(以下「都道府県等」という。)は、本標準指導指針を参考として、地域の状況に応じて指導指針(以下「指導指針」という。)を定め、これに基づき設置前及び事業開始後において継続的な指導を行われたい。なお、指導指針を作成していない場合は、本標準指導指針に基づき指導を行うこととして差し支えないが、できる限り速やかに指導指針を作成されたい。
2 指導上の留意点
(1) 有料老人ホームの定義の周知
老人福祉法(昭和38年法律第133号)第29条第1項において、有料老人ホームとは、①老人を入居させ(以下「入居サービス」という。)、②当該老人に対して「入浴、排せつ又は食事の介護」、「食事の提供」、「洗濯、掃除等の家事」又は「健康管理」の少なくとも一つのサービス(以下「介護等サービス」という。)を供与する施設として定義されている。
従って、同項の規定に基づく「届出」の有無にかかわらず、入居サービス及び介護等サービスの実施が認められるものは、すべて有料老人ホームに該当するものとして取り扱うこととなる。
また、「届出」とは、一定の基準に該当するかどうかを判断した上で実施する「認可」や「指定」とは異なるものであるため、入居サービス及び介護等サービスの実態が認められるものについて事業者から届出があった場合に、都道府県等において受理を拒否することの裁量の余地はない。
なお、平成18年の改正老人福祉法の施行により、有料老人ホームの定義においては、入居人数の多寡による判断基準は置かれていないため、共同住宅や寄宿舎のように複数の者が入居する施設で、老人とそれ以外の者が混在して入居しているものであっても、老人が1人でも入居サービス及び介護等サービスを受けている場合には、当該老人が利用している部分は有料老人ホームとして取り扱うこととなる。
以上の内容を事業者に対して周知し、必要に応じて届出を求めることをお願いしたい。
(2) 有料老人ホームに該当することの判断
老人福祉法第29条第1項において、委託契約により第三者が介護等サービスを提供する場合についても、有料老人ホーム事業に該当することを明確化しているところであるが、同項の規定は、入居サービス提供者と介護等サービス提供者との間に直接の委託契約がない場合を一律に排除しているものではない。介護等サービス提供者には、入居サービス提供者と委託契約をした者から再委託をされた者など、すべての第三者のうち、実質的にサービスの提供を行なっている者を含むと解するものである。
従って、入居者に対して、入居サービス又は介護等サービスのいずれかの提供者がもう一方の提供者を紹介・斡旋するなどにより、入居サービスと介護等サービスが一体的に提供されていることが認められる事業については、有料老人ホーム事業として取り扱って差し支えない。
(3) 有料老人ホームの届出の徹底
老人福祉法に規定する有料老人ホームに該当するにもかかわらず、廊下の幅員等が指導指針に適合しないことを理由に有料老人ホームの届出が行われない場合があるが、指導指針に適合しなくとも届出義務がある。
また、届出を行っていない有料老人ホームに対する指導に際して、複数の法人が協同して一体的な経営を行っている場合については、必ずしも特定の一の法人を設置者として扱わなければならないものではなく、複数の法人がいずれも設置者に該当するものとして取り扱って差し支えない。
老人福祉法の観点からは、重要事項の説明や情報開示など有料老人ホームの運営が適切に行われることが重要であり、事業者に対して指導の徹底をお願いしたい。
(4) 有料老人ホームの特定
有料老人ホームの届出が行われていない場合にあっては、都道府県等においては、その施設が有料老人ホームに該当する旨を設置者に対して通知するなどの方法により、有料老人ホームであることを特定した上で、指導を行うことも有効である。届出が行われていない場合であっても、有料老人ホームに該当する事業については、老人福祉法に基づく命令や罰則の適用が可能であるため、設置者に対してその理解を促す観点からも、有料老人ホームであることの特定は必要である。
また、介護保険法の住所地特例の規定など、他の法律においても、有料老人ホームであることを前提とした制度があることから、これらの業務の明確化を図る上でも、適切に有料老人ホームの特定を行うことが必要である。
(5) 地域の状況に応じた指導指針の策定
標準指導指針においては、介護居室の床面積等について規定しているが、本来これらは地域の状況に応じて求められる水準が異なる場合も想定され、必ずしも全国一律に適用しなければならないものではない。このため、指導指針の策定又は変更に当たっては、地域の状況に応じて規定することも差し支えない。
(6) 情報開示、報告の徴収等
有料老人ホーム事業は、設置者と入居者の契約が基本となることから、できる限り多くの情報が開示されることが重要である。特に、高齢者の多くは有料老人ホームにおいて提供される介護サービスに対して大きな期待を寄せていることから、当該有料老人ホームにおいて提供される介護サービスの内容、費用負担等について、重要事項説明書等において明確にするよう指導するとともに、重要事項説明書の交付及び説明の徹底、体験入居制度の実施、財務諸表及び事業収支計画書の開示等について、設置者に対し十分な指導を行われたい。
また、必要に応じて、貸借対照表、損益計算書等の財務諸表の提出を求めること等により、経営状況の把握を行い、届出時の事業収支計画と財務諸表に乖離がある場合には対処方針等を報告させるなど、適切な措置を講ずるよう指導するとともに、重要事項説明書、入居契約書、管理規程、入居案内パンフレット等について、定期的に又は変更の都度、提出を求め、表示と実態が乖離することのないよう指導されたい。
さらに、各都道府県においても、各有料老人ホーム情報開示等一覧表を作成し、公開するとともに、重要事項説明書等についても公開するよう努められたい。
(7) 立入調査の定期的実施等
管内の有料老人ホームについて、定期的な立入調査を実施するほか、必要に応じ適宜調査を実施されたい。立入調査に当たっては、介護保険担当部局とも連携を図り、重要事項説明書の記載内容等に照らしつつ、居室の状況や介護サービスの実施状況等について調査し、必要に応じ、指導指針に基づく指導を行うとともに、入居者の処遇に関する不当な行為が認められたときは、入居者の保護を図る観点から、迅速にその改善に必要な措置をとることを指導し、又は命じられたい。
(8) 全国有料老人ホーム協会との連携
有料老人ホームに対する指導及び協議に当たっては、必要に応じ、公益社団法人全国有料老人ホーム協会と連携を図ることとし、同協会への入会や同協会に設けられている有料老人ホーム入居者生活保証制度の加入についても十分配慮するよう指導されたい。
(9) 介護サービスに係る表示の留意事項
介護が必要となった場合に、介護保険の訪問介護等を利用することとなっている有料老人ホームについては、当該有料老人ホームが自ら介護サービスを提供しているとは認められないため、重要事項説明書等における職員数の表示に訪問介護事業所等の勤務時間を重複して計上することや、広告等において「介護付終身利用型有料老人ホーム」、「ケア付き高齢者住宅」、「終身介護マンション」等の表示を行うことは不当表示となるおそれがあるので留意されたい。
(10) 関係機関との連携
有料老人ホームの指導に当たっては、以下の関係機関と十分な連携を図られたい。
①介護保険担当部局(管内の市町村を含む。)
・介護サービス基盤の整備等について
②住宅担当部局
・サービス付き高齢者向け住宅の運用について
③開発許可・建築確認担当部局(管内の市町村を含む。)
・有料老人ホームの設置計画の事前把握について
④消防担当部局(所轄の消防署を含む。)
・有料老人ホームの防火安全対策の推進について
⑤景品表示法担当部局
・有料老人ホームの表示の適正化について
⑥消費生活センター、国民健康保険団体連合会等
・苦情対応、入居者保護等について
3 指導指針の取扱いと届出の関係について
(1) 「届出」に対する適切な理解の促進
有料老人ホームにおいては、高齢者福祉に大きく関わる住まいの場であることを踏まえて、地域に開かれた存在であることが求められる。また、必要に応じて行政庁が適切に関与するための前提として、その設置者に対して「届出」を義務付けている。
一部において、届出を行うことで指導指針等による行政指導の対象となるかのような誤解もあるが、食事の提供など有料老人ホームの要件に該当する事業であれば、届出の有無にかかわらず、老人福祉法上の有料老人ホームとして取り扱われる。つまり、有料老人ホームとして取り扱われることを回避するために届出を行わないという行為には合理性がないことから、設置者に対しては、その旨を丁寧に説明し、自ら届出を行うよう促していただきたい。
なお、有料老人ホームの届出は、老人福祉法上の定義に適合する場合に必要となる手続に過ぎず、これを行うことによって「有料老人ホーム」という名称を使用しなければならないわけではないところであり、その点についても適切に説明していただきたい。
(2) 指導指針の適切な運用
一方で、有料老人ホームの設置者が、「届出」の趣旨や効果について誤解をしていることの一因は、これまでの行政指導において、あたかも指導指針が届出基準であるかのように扱ったり、その規定の内容に強制力があるかのような指導を行ってきたりした経緯にある、という可能性にも目を向ける必要がある。行政指導を行う側と受ける側では違った受け止め方をする可能性があることに留意し、丁寧な制度説明が必要である。
有料老人ホーム制度が「届出」に基づくものになっているのは、民間の創意工夫を尊重し、高齢者の多様なニーズに応じた取組を進めやすくするためのものであるとともに、高齢者の福祉を損なうものであると認められるときには行政庁が介入する必要があるためである。仮に、届出を行いにくいような環境を現出させた場合、民間の創意工夫を阻害するだけでなく、結果として、届出が行われない物件が増えることとなり、そのような物件の把握や、届出を促すための指導に関する業務が拡大し、本来の福祉的な観点での指導等を行うことが困難になることも懸念されるため、二重の意味で制度の趣旨を損なうことになりかねない。
従って、有料老人ホームの設置者が自ら届出を行いやすくなる環境を構築することは、地方公共団体における届出促進に関する業務を軽減し、結果的には、入居者の適切な処遇を確保するための施策に注力することが可能になると期待できることから、今回の標準指導指針の改正を機会に、各地方公共団体においては、指導指針の内容の見直しだけでなく、その運用の方法についても見直しを行い、有料老人ホームの設置者が自ら届出を行うことを促すような取組を進めるよう、お願いする。
(3) 既存建築物や小規模建築物を活用する取組への対応
有料老人ホームにおける居住の質を確保するためには、指導指針への適合が一つの目安となるところである。その一方で、指導指針への適合を画一的に求めることは、事業者による有料老人ホームの届出意欲を削ぎ、結果として、都道府県等が把握できない有料老人ホームを増加させることにもつながりかねず、入居している高齢者に対する不適切な処遇や虐待などの発見が遅れる可能性も生じる。
特に、住宅の転用など既存建築物を活用する場合や小規模な建築物で運営を行う場合については、標準指導指針で示している設備基準への適合を求めることは困難であることも多いと考えられるため、民間の活力と創意工夫を取り入れた取組を行っている事業者自らの届出を促す観点から、入居者への十分な説明を前提に、
① 標準指導指針で示している規定の趣旨を満たすような代替の方法によること
② 将来的な改善に向けた計画を策定していること
などの方法により、標準指導指針上も差し支えのないものとする旨を明記しているため、指導指針の策定や運用においても、個別具体の内容を吟味した上で、適切な指導を行うように留意されたい。
4 主要な改正点
(1) 届出の促進に向けた規定の適正化
廊下幅や居室の広さ等について、標準指導指針への適合を義務と解釈し、既存建築物等を利用した取組が困難になることを懸念した事業者が、本来の義務である有料老人ホームとしての届出を行わないことについての指摘があることから、既存建築物等の取扱いについて、その特性に応じた見直し等を行ったこと。
(2) 外部サービスを利用者が自ら選択できる環境の構築
医療・介護等のサービスの自由な選択と決定を妨げるような囲い込みが行われているとの指摘があることから、入居者に近隣の介護サービス事業所に関する情報提供を行うことを求める見直しや、入居者によるサービスの選択と自己決定を阻害してはならない旨を明確化したこと。
(3) サービス付き高齢者向け住宅の取扱いの見直し
サービス付き高齢者向け住宅のうち、老人福祉法の規定において有料老人ホームに該当するものを、標準指導指針の対象に追加したこと。
5 その他
(1) 本通知の適用
本通知及び標準指導指針は、平成27年7月1日から適用する。
ただし、各都道府県等が指導指針を別に定めている場合は、当該指導指針が適用される。従って、各都道府県等において本標準指導指針を参考に指導指針を改正しようとする場合にあっては、できる限り速やかに改正を行うこととし、その適用日についても、平成27年7月1日以前とすることが可能であるので、念のため申し添える。
(2) 経過措置
本標準指導指針の適用の際現に存する有料老人ホーム、既に着工している有料老人ホーム等については、構造設備に係る規定を満たさない場合、従前の規定によることとして差し支えない。
有料老人ホーム設置運営標準指導指針
目次
1 用語の定義
2 基本的事項
3 設置者
4 立地条件
5 規模及び構造設備
6 規模及び構造設備の特則
7 職員の配置、研修及び衛生管理
8 有料老人ホーム事業の運営
9 サービス等
10 事業収支計画
11 利用料等
12 契約内容等
13 情報開示
老人福祉法(昭和38年法律第133号)第29条第1項に規定する有料老人ホームの設置・運営に関して、標準となる指導指針については以下のとおり定める。
1 用語の定義
この指導指針において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 有料老人ホーム 老人福祉法第29条第1項に規定する施設
二 有料老人ホーム事業 老人を入居させ、次のイからニまでのいずれかをする事業
イ 入浴、排せつ又は食事の介護
ロ 食事の提供
ハ 洗濯、掃除等の家事の供与
ニ 健康管理の供与
三 サービス付き高齢者向け住宅 高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年法律第26号)第5条第1項の登録を受けている高齢者向けの賃貸住宅又は有料老人ホーム
四 サービス付き高齢者向け住宅事業 高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項の規定に基づき、高齢者を入居させ、状況把握サービス、生活相談サービスその他の高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスを提供する事業として登録を受けている事業
五 設置者 有料老人ホームの設置者(複数の事業者が協同して有料老人ホーム事業を運営する場合の各事業者及び委託を受けた事業者を含む。)
六 管理者 職員の管理、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行う立場にある者(有料老人ホームの施設長、サービス付き高齢者向け住宅の責任者など、その呼称に関わらない)
七 特定施設入居者生活介護等 次のイ、ロ及びハに掲げるサービス
イ 介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第11項に規定する特定施設入居者生活介護
ロ 介護保険法第8条第20項に規定する地域密着型特定施設入居者生活介護
ハ 介護保険法第8条の2第11項に規定する介護予防特定施設入居者生活介護
八 介護サービスを提供する有料老人ホーム 次のイ及びロに掲げる有料老人ホーム
イ 特定施設入居者生活介護等を提供する有料老人ホーム
ロ 設置者が、介護サービス(介護保険法第40条に規定する介護給付又は同法第52条に規定する予防給付に係る介護サービス以外の介護サービス)を提供する有料老人ホーム
2 基本的事項
有料老人ホームの事業を計画するに当たっては、次の事項に留意すること。
(1) 有料老人ホーム経営の基本姿勢としては、入居者の福祉を重視するとともに、安定的かつ継続的な事業運営を確保していくことが求められること。特に、介護サービスを提供する有料老人ホームにあっては、より一層、入居者の個人としての尊厳を確保しつつ福祉の向上を図ることが求められること。
(2) 老人福祉法の帳簿の作成及び保存、情報の開示、権利金等の受領の禁止並びに前払金の保全措置及び返還に関する規定を遵守するとともに、入居者等に対し、サービス内容等の情報を開示するなどにより施設運営について理解を得るように努め、入居者等の信頼を確保することが求められること。
(3) 本指針を満たすだけでなく、より高い水準の施設運営に向けて努力することが期待されること。
(4) 特定施設入居者生活介護等の事業者の指定を受けた有料老人ホームにあっては、本指針に規定することのほか、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)、「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第34号)又は「指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」(平成18年厚生労働省令第35号)のうち当該施設に該当する基準を遵守すること。
(5) 高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針(平成21年厚生労働省・国土交通省告示第1号)の五の4「高齢者居宅生活支援サービスの提供」を参考に、特定の事業者によるサービスを利用させるような入居契約を締結することなどの方法により、入居者が希望する医療・介護サービスを設置者が妨げてはならないこと。
(6) 都市計画法(昭和43年法律第100号)による開発許可又は建築許可申請が必要な場合にあっては当該申請を行う前、開発許可対象外の場合にあっては建築基準法(昭和25年法律第201号)に基づく建築確認の申請を行う前から、地元市町村及び都道府県と十分な事前協議を行うこと。
(7) 建築確認後速やかに、有料老人ホームの設置を行う前に、都道府県知事(地方自治法(平成22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第252条の22第1項の中核市(以下「中核市」という。)においては、指定都市又は中核市の市長。以下同じ。)に、老人福祉法第29条第1項の規定に基づく届出を行うこと。
(8) 都道府県知事への届出後(サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けている場合は、登録後)に入居募集を行うこと。
(9) 本指針に基づく指導を受けている場合は、本指針の遵守に向け計画的に運営の改善を図ること。
(10) サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けているものにあっては、3、4、5、6及び10の規定は適用せず、高齢者の居住の安定確保に関する法律第7条第1項に定める登録基準によること。
3 設置者
(1) 設置者は、老人福祉施設の場合と異なり、地方公共団体及び社会福祉法人に限定されるものではないこと。
(2) 公益法人にあっては、有料老人ホーム事業を行うに当たって主務官庁の承認を得ていること。
(3) 事業を確実に遂行できるような経営基盤が整っているとともに、社会的信用の得られる経営主体であること。
(4) 個人経営でないこと。また少数の個人株主等による独断専行的な経営が行われる可能性のある体制でないこと。
(5) 他業を営んでいる場合には、その財務内容が適正であること。
(6) 役員等の中には、有料老人ホーム運営について知識、経験を有する者等を参画させること。さらに、介護サービスを提供する有料老人ホームの場合は、役員等の中に高齢者の介護について知識、経験を有する者を参画させるなど介護サービスが適切に提供される運営体制が確保されていること。
4 立地条件
(1) 入居者が健康で安全な生活を維持できるよう、交通の利便性、地域の環境、災害に対する安全性及び医療機関等との連携等を考慮して立地すること。特に、有料老人ホームは、入居者である高齢者が介護等のサービスを受けながら長期間にわたり生活する場であることから、住宅地から遠距離であったり、入居者が外出する際に不便が生じたりするような地域に立地することは好ましくないこと。
(2) 有料老人ホームの事業の用に供する土地及び建物については、有料老人ホーム事業以外の目的による抵当権その他の有料老人ホームとしての利用を制限するおそれのある権利が存しないことが登記簿謄本及び必要に応じた現地調査等により確認できること。
(3) 借地による土地に有料老人ホームを設置する場合又は借家において有料老人ホーム事業を実施する場合には、入居契約の契約期間中における入居者の居住の継続を確実なものとするため、契約関係について次の要件を満たすこと。
一 借地の場合(土地の所有者と設置者による土地の賃貸借)
イ 有料老人ホーム事業のための借地であること及び土地の所有者は有料老人ホーム事業の継続について協力する旨を契約上明記すること。
ロ 建物の登記をするなど法律上の対抗要件を具備すること。
ハ 入居者との入居契約の契約期間の定めがない場合には、借地借家法(平成3年法律第90号)第3条の規定に基づき、当初契約の借地契約の期間は30年以上であることとし、自動更新条項が契約に入っていること。
ニ 無断譲渡、無断転貸の禁止条項が契約に入っていること。
ホ 設置者による増改築の禁止特約がないこと、又は、増改築について当事者が協議し土地の所有者は特段の事情がない限り増改築につき承諾を与える旨の条項が契約に入っていること。
ヘ 賃料改定の方法が長期にわたり定まっていること。
ト 相続、譲渡等により土地の所有者が変更された場合であっても、契約が新たな所有者に承継される旨の条項が契約に入っていること。
チ 借地人に著しく不利な契約条件が定められていないこと。
二 借家の場合(建物の所有者と設置者による建物の賃貸借)
イ 有料老人ホーム事業のための借家であること及び建物の所有者は有料老人ホーム事業の継続について協力する旨を契約上明記すること。
ロ 入居者との入居契約の契約期間の定めがない場合には、当初契約の契約期間は20年以上であることとし、更新後の借家契約の期間(極端に短期間でないこと)を定めた自動更新条項が契約に入っていること。
ハ 無断譲渡、無断転貸の禁止条項が契約に入っていること。
ニ 賃料改定の方法が長期にわたり定まっていること。
ホ 相続、譲渡等により建物の所有者が変更された場合であっても、契約が新たな所有者に承継される旨の条項が契約に入っていること。
ヘ 建物の賃借人である設置者に著しく不利な契約条件が定められていないこと。
ト 入居者との入居契約の契約期間の定めがない場合には、建物の優先買取権が契約に定められていることが望ましいこと。
(4) 借地・借家等の契約関係が複数になる場合にあっては、土地信託方式、生命保険会社による新借地方式及び実質的には二者間の契約関係と同一視できる契約関係であって当該契約関係が事業の安定に資する等やむを得ないと認められるものに限られること。
(5) 定期借地・借家契約による場合には、入居者との入居契約の契約期間が当該借地・借家契約の契約期間を超えることがないようにするとともに、入居契約に際して、その旨を十分に説明すること。なお、入居者との入居契約の契約期間の定めがない場合には、定期借地・借家契約ではなく、通常の借地・借家契約とすること。
5 規模及び構造設備
(1) 建物は、入居者が快適な日常生活を営むのに適した規模及び構造設備を有すること。
(2) 建物は、建築基準法に規定する耐火建築物又は準耐火建築物とすること。
(3) 建物には、建築基準法、消防法(昭和23年法律第186号)等に定める避難設備、消火設備、警報設備その他地震、火災、ガスもれ等の防止や事故・災害に対応するための設備を十分設けること。また、緊急通報装置を設置する等により、入居者の急病等緊急時の対応を図ること。
(4) 建物の設計に当たっては、「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」(平成13年国土交通省告示第1301号)を踏まえて、入居者の身体機能の低下や障害が生じた場合にも対応できるよう配慮すること。
(5) 建物の配置及び構造は、日照、採光、換気等入居者の保健衛生について十分考慮されたものであること。
(6) 次の居室を設けること。
一 一般居室
二 介護居室
設置者が自ら介護サービスを提供するための専用の居室であり、入居者の状況等に応じて適切な数を確保すること。なお、一般居室で介護サービスが提供される場合又は有料老人ホームが自ら介護サービスを提供しない場合は介護居室を設置しなくてもよいこと。
三 一時介護室
設置者が自ら一時的な介護サービスを提供するための居室であり、入居者の状況等に応じて適切な数を確保すること。なお、一般居室又は介護居室で一時的な介護サービスを提供することが可能である場合は一時介護室を設置しなくてもよいこと。
(7) 次の設備について、居室内に設置しない場合は、全ての入居者が利用できるように適当な規模及び数を設けること。
一 浴室
二 洗面設備
三 便所
(8) 設置者が提供するサービス内容に応じ、次の共同利用の設備を設けること。
一 食堂
二 医務室又は健康管理室
三 看護・介護職員室
四 機能訓練室(専用室を確保する場合に限らず、機能訓練を行うために適当な広さの場所が確保できる場合を含む。)
五 談話室又は応接室
六 洗濯室
七 汚物処理室
八 健康・生きがい施設(スポーツ、レクリエーション等のための施設、図書室その他の施設)
九 前各号に掲げるもののほか、事務室、宿直室その他の運営上必要な設備
(9) (6)、(7)及び(8)に定める設備の基準は、次によること。
一 一般居室、介護居室及び一時介護室は次によること。
イ 個室とすることとし、入居者1人当たりの床面積は13平方メートル以上とすること。
ロ 各個室は、建築基準法第30条の規定に基づく界壁により区分されたものとすること。
二 医務室を設置する場合には、医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第16条に規定する診療所の構造設備の基準に適合したものとすること。
三 要介護者等が使用する浴室は、身体の不自由な者が使用するのに適したものとすること。
四 要介護者等が使用する便所は、居室内又は居室のある階ごとに居室に近接して設置することとし、緊急通報装置等を備えるとともに、身体の不自由な者が使用するのに適したものとすること。
五 介護居室のある区域の廊下は、入居者が車いす等で安全かつ円滑に移動することが可能となるよう、次のイ又はロによること。
イ すべての介護居室が個室で、1室当たりの床面積が18平方メートル(面積の算定方法はバルコニーの面積を除き、壁芯(へきしん)方法による。)以上であって、かつ、居室内に便所及び洗面設備が設置されている場合、廊下の幅は1.4メートル以上とすること。ただし、中廊下の幅は1.8メートル以上とすること。
ロ 上記以外の場合、廊下の幅は1.8メートル以上とすること。ただし、中廊下の幅は2.7メートル以上とすること。
6 既存建築物等の活用の場合等の特例
(1) 既存の建築物を転用して開設される有料老人ホーム又は定員9人以下の有料老人ホームについて、建物の構造上5(9)に定める基準を満たすことが困難である場合においては、次のいずれかの基準を満たす場合、当該基準に適合することを要しない。
一 次のイ、ロ及びハの基準を満たすもの
イ すべての居室が個室であること。
ロ 5(9)に定める基準を満たしていない事項について、重要事項説明書又は管理規程に記入し、その内容を適切に入居者又は入居希望者に対して説明すること。
ハ 次の①又は②のいずれかに適合するものであること。
① 代替の措置(入居者が車いす等で安全かつ円滑に移動することが可能となる廊下幅を確保できない場合において、入居者の希望に応じて職員が廊下の移動を介助することなど)を講ずること等により、5(9)の基準を満たした場合と同等の効果が得られると認められるものであること。
② 将来において5(9)に定める基準に適合させる改善計画を策定し、入居者への説明を行っていること。
二 建物の構造について、文書により適切に入居者又は入居希望者に対して説明しており、外部事業者によるサービスの受入や地域との交流活動の実施などにより、事業運営の透明性が確保され、かつ、入居者に対するサービスが適切に行われているなど、適切な運営体制が確保されているものとして都道府県知事が個別に認めたもの
(2) 都道府県知事が、火災予防、消火活動等に関し専門的知識を有する者の意見を聴いて、次の各号のいずれかの要件を満たす木造かつ平屋建ての有料老人ホームであって、火災に係る入居者の安全性が確保されていると認めたものについては、5(2)の規定にかかわらず、耐火建築物又は準耐火建築物とすることを要しない。
一 スプリンクラー設備の設置、天井等の内装材等への難燃性の材料の使用、調理室等火災が発生するおそれがある箇所における防火区画の設置等により、初期消火及び延焼の抑制に配慮した構造であること。
二 非常警報設備の設置等による火災の早期発見及び通報の体制が整備されており、円滑な消火活動が可能なものであること。
三 避難口の増設、搬送を容易に行うために十分な幅員を有する避難路の確保等により、円滑な避難が可能な構造であり、かつ、避難訓練を頻繁に実施すること、配置人員を増員すること等により、火災の際の円滑な避難が可能なものであること。
(3) 高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法律(平成23年法律第74号。以下「改正法」という。)の施行(平成23年10月20日)の際現に改正法による改正前の高齢者の居住の安定確保に関する法律第4条に規定する高齢者円滑入居賃貸住宅の登録を受けている高齢者専用賃貸住宅であった有料老人ホームについては、5(2)、(3)、(6)、(7)、(8)及び(9)の基準を適用しない。ただし、建築基準法、消防法等に定める避難設備、消火設備、警報設備その他地震、火災、ガスもれ等の防止や事故、災害に対応するための設備を十分に設けるとともに、緊急通報装置を設置する等により、入居者の急病等緊急時の対応を図ること。
7 職員の配置、研修及び衛生管理
(1) 職員の配置
一 職員の配置については、入居者の数及び提供するサービス内容に応じ、その呼称にかかわらず、次の職員を配置すること。
イ 管理者
ロ 生活相談員(サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けている場合は、国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則(平成23年厚生労働省・国土交通省令第2号)第11条第1号の規定に基づく状況把握サービス及び生活相談サービスを提供する職員)
ハ 栄養士
ニ 調理員
二 介護サービスを提供する有料老人ホームの場合は、上記の他、提供する介護サービスの内容に応じ、次によること。
イ 要介護者等を直接処遇する職員(介護職員及び看護職員をいう。以下「直接処遇職員」という。)については、介護サービスの安定的な提供に支障がない職員体制とすること。
ロ 看護職員については、入居者の健康管理に必要な数を配置すること。ただし、看護職員として看護師の確保が困難な場合には、准看護師を充てることができる。
ハ 機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者を配置すること。
ニ 管理者その他の介護サービスの責任者の地位にある者は、高齢者の介護について知識、経験を有する者を配置すること。
三 入居者の実態に即し、夜間の介護、緊急時に対応できる数の職員を配置すること。
(2) 職員の研修
職員に対しては、採用時及び採用後において定期的に研修を実施すること。特に、生活相談員及び直接処遇職員については、高齢者の心身の特性、実施するサービスのあり方及び内容、介護に関する知識及び技術、作業手順等について研修を行うこと。
(3) 職員の衛生管理
職員の心身の健康に留意し、職員の疾病の早期発見及び健康状態の把握のために、採用時及び採用後において定期的に健康診断を行うとともに、就業中の衛生管理について十分な点検を行うこと。
8 有料老人ホーム事業の運営
(1) 管理規程の制定
入居者の定員、利用料、サービスの内容及びその費用負担、介護を行う場合の基準、医療を要する場合の対応などを明示した管理規程を設けること。なお、上記内容を含み、入居者に対する説明事項を適切に提示している資料であれば、その呼称にかかわらず、管理規程として扱って差し支えない。
(2) 名簿の整備
緊急時において迅速かつ適切に対応できるようにする観点から、入居者及びその身元引受人等の氏名及び連絡先を記載した名簿を整備しておくこと。
(3) 帳簿の整備
老人福祉法第29条第4項の規定を参考に、次の事項を記載した帳簿を作成し、2年間保存すること。
イ 有料老人ホームの修繕及び改修の実施状況
ロ 老人福祉法第29条第7項に規定する前払金、利用料その他の入居者が負担する費用の受領の記録
ハ 入居者に供与した次のサービス(以下「提供サービス」という。)の内容
① 入浴、排せつ又は食事の介護
② 食事の提供
③ 洗濯、掃除等の家事の供与
④ 健康管理の供与
⑤ 安否確認又は状況把握サービス
⑥ 生活相談サービス
ニ 緊急やむを得ず入居者に身体的拘束を行った場合にあっては、その態様及び時間、その際の入居者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由
ホ 提供サービスに係る入居者及びその家族からの苦情の内容
ヘ 提供サービスの供与により入居者に事故が発生した場合は、その状況及び事故に際して採った処置の内容
ト 提供サービスの供与を委託により他の事業者に行わせる場合にあっては、当該事業者の名称、所在地、委託に係る契約事項及び業務の実施状況
チ 設備、職員、会計及び入居者の状況に関する事項
(4) 個人情報の取り扱い
(3)の名簿及び(4)の帳簿における個人情報に関する取り扱いについては、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)及び同法に基づく「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン(平成16年12月24日・厚生労働省)」を遵守すること。
(5) 緊急時の対応
事故・災害及び急病・負傷に迅速かつ適切に対応できるよう具体的な計画を立てるとともに、避難等必要な訓練を定期的に行うこと。
(6) 医療機関等との連携
イ 入居者の病状の急変等に備えるため、あらかじめ、医療機関と協力する旨及びその協力内容を取り決めておくこと。
ロ あらかじめ、歯科医療機関と協力する旨及びその協力内容を取り決めておくよう努めること。
ハ 協力医療機関及び協力歯科医療機関との協力内容、協力医療機関及び協力歯科医療機関の診療科目等について入居者に周知しておくこと。
ニ 入居者が適切に健康相談や健康診断を受けられるよう、協力医療機関による医師の訪問や、嘱託医の確保などの支援を行うこと。
ホ 入居者が、医療機関を自由に選択することを妨げないこと。協力医療機関及び協力歯科医療機関は、あくまでも、入居者の選択肢として設置者が提示するものであって、当該医療機関における診療に誘引するためのものではない。
ヘ 医療機関から入居者を患者として紹介する対価として金品を受領することその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を受けることにより、入居者が当該医療機関において診療を受けるように誘引してはならないこと。
(7) 介護サービス事業所との関係
イ 近隣に設置されている介護サービス事業所について、入居者に情報提供すること。
ロ 入居者の介護サービスの利用にあっては、設置者及び当該設置者と関係のある事業者など特定の事業者からのサービス提供に限定又は誘導しないこと。
ハ 入居者が希望する介護サービスの利用を妨げないこと。
(8) 運営懇談会の設置等
有料老人ホーム事業の運営について、入居者の積極的な参加を促し、かつ、外部の者等との連携により透明性を確保する観点から、運営懇談会を設置し、その運営に当たっては、次の事項について配慮すること。ただし、入居定員が少ないなどの理由により、運営懇談会の設置が困難なときは、地域との定期的な交流が確保されていることや、入居者の家族との個別の連絡体制が確保されていることなどの代替となる措置があり、かつ、当該措置が運営懇談会の代替になるものとして入居者への説明を行っている場合にあっては、この限りでない。
イ 運営懇談会は、管理者、職員及び入居者によって構成されること。
ロ 運営懇談会の開催に当たっては、入居者(入居者のうちの要介護者等についてはその身元引受人等)に周知し、必要に応じて参加できるように配慮すること。
ハ 有料老人ホーム事業の運営について外部からの点検が働くよう、職員及び入居者以外の第三者的立場にある学識経験者、民生委員などを加えるよう努めること。
ニ 運営懇談会では、次に掲げる事項を定期的に報告し、説明するとともに、入居者の要望、意見を運営に反映させるよう努めること。
① 入居者の状況
② サービス提供の状況
③ 管理費、食費その他の入居者が設置者に支払う金銭に関する収支等の内容
9 サービス等
(1) 設置者は、入居者に対して、契約内容に基づき、次に掲げるサービス等を自ら提供する場合にあっては、それぞれ、その心身の状況に応じた適切なサービスを提供すること。
一 食事サービス
イ 高齢者に適した食事を提供すること。
ロ 栄養士による献立表を作成すること。
ハ 食堂において食事をすることが困難であるなど、入居者の希望に応じて、居室において食事を提供するなど必要な配慮を行うこと。
二 生活相談・助言等
イ 入居時には、心身の健康状況等について調査を行うこと。
ロ 入居後は入居者の各種の相談に応ずるとともに適切な助言等を行うこと。
三 健康管理と治療への協力
イ 入居時及び定期的に健康診断(歯科に係るものを含む。)の機会を設けるなど、入居者の希望に応じて健康診断が受けられるよう支援するとともに、常に入居者の健康の状況に注意し、必要に応じて健康保持のための適切な措置をとること。
ロ 入居者の意向を確認した上で、入居者の希望に応じて、健康診断及び健康保持のための措置の記録を適切に保存しておくこと。
ハ 入居者が一時的疾病等のため日常生活に支障がある場合には介助等日常生活の世話を行うこと。
ニ 医療機関での治療が必要な場合には適切な治療が受けられるよう医療機関への連絡、紹介、受診手続、通院介助等の協力を行うこと。
四 介護サービス
イ 介護サービスを提供する有料老人ホームにあっては、契約に定めるところにより、当該有料老人ホーム又はその提携有料老人ホーム(一定限度以上の要介護状態になった場合に入居者が住み替えてそこで介護サービスを行うことが入居契約書に明定されているものに限る。)において行うこととし、当該有料老人ホームが行うべき介護サービスを介護老人保健施設、病院、診療所又は特別養護老人ホーム等に行わせてはならないこと。なお、この場合の介護サービスには、医療行為は含まれないものであること。
ロ 契約内容に基づき、入居者を一般居室、一時介護室又は介護居室において入居者の自立を支援するという観点に立って処遇するとともに、常時介護に対応できる職員の勤務体制をとること。
ハ 介護記録を作成し、保管するとともに、主治医との連携を十分図ること。
五 安否確認又は状況把握
入居者の安否確認又は状況把握については、安全・安心の確保の観点のみならず、プライバシーの確保について十分に考慮する必要があることから、その方法等については、運営懇談会その他の機会を通じて入居者の意向の確認、意見交換等を行い、できる限りそれを尊重したものとすること。
六 機能訓練
介護サービスを提供する有料老人ホームにあっては、要介護者等の生活の自立の支援を図る観点から、その身体的、精神的条件に応じた機能訓練等を実施すること。
七 レクリエーション
入居者の要望を考慮し、運動、娯楽等のレクリエーションを実施すること。
八 身元引受人への連絡等
イ 入居者の生活において必要な場合には、身元引受人等への連絡等所要の措置をとるとともに、本人の意向に応じ、関連諸制度、諸施策の活用についても迅速かつ適切な措置をとること。
ロ 要介護者等については、入居者の生活及び健康の状況並びにサービスの提供状況を身元引受人等へ定期的に報告すること。
九 金銭等管理
イ 入居者の金銭、預金等の管理は入居者自身が行うことを原則とすること。ただし、入居者本人が特に設置者に依頼した場合、又は入居者本人が認知症等により十分な判断能力を有せず金銭等の適切な管理が行えないと認められる場合であって、身元引受人等の承諾を得たときには、設置者において入居者の金銭等を管理することもやむを得ないこと。
ロ 設置者が入居者の金銭等を管理する場合にあっては、依頼又は承諾を書面で確認するとともに、金銭等の具体的な管理方法、本人又は身元引受人等への定期的報告等を管理規程等で定めること。
十 家族との交流・外出の機会の確保
常に入居者の家族との連携を図り、入居者とその家族との交流等の機会を確保するよう努めるとともに、入居者の外出の機会を確保するよう努めること。
(2) 設置者は、(1)各号に掲げるサービス等の提供に係る入居者との契約を締結する場合、その職員に対して、提供するサービス等の内容を十分に周知徹底すること。
(3) 有料老人ホームの職員が、介護保険サービスその他の業務を兼ねる場合にあっては、各職員について、それぞれが従事する業務の種別に応じた勤務状況を明確にする観点から、適切に勤務表の作成及び管理を行うこと。
(4) 設置者は、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)に基づき、次の事項を実施すること。
イ 同法第5条の規定に基づき、高齢者虐待を受けた入居者の保護のための施策に協力すること。
ロ 同法第20条の規定に基づき、研修の実施、苦情の処理の体制の整備その他の高齢者虐待の防止等のための措置を講ずること。
(5) 入居者に対するサービスの提供に当たっては、当該入居者又は他の入居者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入居者の行動を制限する行為(以下「身体的拘束等」という。)を行ってはならないこと。
(6) 緊急やむを得ず身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入居者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこと。
10 事業収支計画
(1) 市場調査等の実施
構想段階における地域特性、需要動向等の市場分析や、計画が具体化した段階における市場調査等により、相当数の者の入居が見込まれること。
(2) 資金の確保等
初期総投資額の積算に当たっては、開設に際して必要となる次に掲げる費用を詳細に検討し積み上げて算定し、必要な資金を適切な方法で調達すること。また、資金の調達に当たっては主たる取引金融機関等を確保しておくこと。
一 調査関係費
二 土地関係費
三 建築関係費
四 募集関係費
五 開業準備関係費
六 公共負担金
七 租税公課
八 期中金利
九 予備費
(3) 資金収支計画及び損益計画
次の事項に留意し、長期の資金収支計画及び損益計画を策定すること。
一 長期安定的な経営が可能な計画であること。
二 最低30年以上の長期的な計画を策定し、少なくとも3年ごとに見直しを行うこと。
三 借入金の返済に当たっては、資金計画上無理のない計画となっていること。
四 適切かつ実行可能な募集計画に基づいていること。
五 長期推計に基づく入居時平均年齢、男女比、単身入居率、入退去率、入居者数及び要介護者発生率を勘案すること。
六 人件費、物件費等の変動や建物の修繕費等を適切に見込んでいること。
七 前払金(入居時に老人福祉法第29条第7項に規定する前払金として一括して受領する利用料)の償却年数は、入居者の終身にわたる居住が平均的な余命等を勘案して想定される期間(以下「想定居住期間」という。)とすること。
八 常に適正な資金残高があること。
(4) 経理・会計の独立
有料老人ホーム以外にも事業経営を行っている経営主体については、当該有料老人ホームについての経理・会計を明確に区分し、他の事業に流用しないこと。
11 利用料等
(1) 有料老人ホームは、契約に基づき入居者の負担により賄われるものであり、その支払方法については、月払い方式、前払い方式又はこれらを組み合わせた方式等多様な方法が考えられるが、いずれの場合にあっても、設置者が次に掲げる費用を受領する場合の取扱いについては、それぞれ次によること。
一 家賃(賃貸借契約以外の契約で受領する利用料のうち、部屋代に係る部分を含む。)
当該有料老人ホームの整備に要した費用、修繕費、管理事務費、地代に相当する額等を基礎として合理的に算定したものとし、近傍同種の住宅の家賃から算定される額を大幅に上回るものでないこと。
二 敷金
敷金を受領する場合には、その額は6か月分を超えないこととし、退去時に居室の原状回復費用を除き全額返還すること。なお、原状回復の費用負担については、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月国土交通省住宅局)を参考にすること。
三 介護等その他の日常生活上必要な便宜の供与の対価(以下「サービス費用」という。)
イ 入居者に対するサービスに必要な費用の額(食費、介護費用その他の運営費等)を基礎とする適切な額とすること。
ロ 多額の前払金を払えば毎月の支払は一切なく生涯生活を保証するという終身保証契約は、その後において入居者の心身の状況や物価、生活費等の経済情勢が著しく変化することがあり得るので、原則として好ましくないこと。
ハ 設置者が、サービスを提供した都度個々にそのサービス費用を受領する場合については、提供するサービスの内容に応じて人件費、材料費等を勘案した適切な額とすること。
ニ 介護付有料老人ホームにおいて、手厚い職員体制又は個別的な選択による介護サービスとして介護保険外に別途費用を受領できる場合は、「特定施設入居者生活介護事業者が受領する介護保険の給付対象外の介護サービス費用について」(平成12年3月30日付け老企第52号厚生省老人保健福祉局長企画課長通知)の規定によるものに限られていることに留意すること。
(2) 前払い方式(終身にわたって受領すべき家賃又はサービス費用の全部又は一部を前払金として一括して受領する方式)によって入居者が支払を行う場合にあっては、次の各号に掲げる基準によること。
一 受領する前払金が、受領が禁止されている権利金等に該当しないことを入居契約書等に明示し、入居契約に際し、入居者に対して十分に説明すること。
二 老人福祉法第29条第7項の規定に基づき、前払金の算定根拠を書面で明示するとともに、前払金に係る銀行の債務の保証等の「厚生労働大臣が定める有料老人ホームの設置者等が講ずべき措置」(平成18年厚生労働省告示第266号)に規定する必要な保全措置を講じなければならないこと。なお、平成18年3月31日までに届出がされた有料老人ホームについては、保全措置の法的義務付けはないが、入居者の利益を保護する観点から、前払金の算定根拠を書面で明示するとともに、適切な保全措置を講じるよう努めること。
三 前払金の算定根拠については、想定居住期間を設定した上で、次のいずれかにより算定することを基本とすること。
①期間の定めがある契約の場合
(1ヶ月分の家賃又はサービス費用)×(契約期間(月数))
②終身にわたる契約の場合
(1ヶ月分の家賃又はサービス費用)×(想定居住期間(月数))+(想定居住期間を超えて契約が継続する場合に備えて受領する額)
四 サービス費用の前払金の額の算出については、想定居住期間、開設後の経過年数に応じた要介護発生率、介護必要期間、職員配置等を勘案した合理的な積算方法によるものとすること。ただし、サービス費用のうち介護費用に相当する分について、介護保険の利用者負担分を、設置者が前払金により受け取ることは、利用者負担分が不明確となるので不適当であること。
五 前払金の算定根拠とした想定居住期間を超えて契約が継続する場合に備えて受領する額については、具体的な根拠により算出された額とすること。
六 老人福祉法第29条第8項の規定に基づき、前払金を受領する場合にあっては、前払金の全部又は一部を返還する旨の契約を締結することになっていることから、その返還額については、入居契約書等に明示し、入居契約に際し、入居者に対して十分に説明するとともに、前払金の返還を確実に行うこと。
七 入居契約において、入居者の契約解除の申し出から実際の契約解除までの期間として予告期間等を設定し、老人福祉法施行規則(昭和38年厚生省令第28号)第21条第1項第1号に規定する前払金の返還債務が義務づけられる期間を事実上短縮することによって、入居者の利益を不当に害してはならないこと。
八 着工時において、相当数の者の入居が見込まれない場合については、十分な入居者を確保し安定的な経営が見込まれるまでの間については、前払金の返還金債務について銀行保証等が付されていること。
12 契約内容等
(1) 契約締結に関する手続等
一 契約に際して、契約手続、利用料等の支払方法などについて事前に十分説明すること。特定施設入居者生活介護等の指定を受けた設置者にあっては、入居契約時には特定施設入居者生活介護の提供に関する契約を締結しない場合であっても、入居契約時に、当該契約の内容について十分説明すること。
二 前払金の内金は、前払金の20%以内とし、残金は引渡し日前の合理的な期日以降に徴収すること。
三 入居開始可能日前の契約解除の場合については、既受領金の全額を返還すること。
(2) 契約内容
一 入居契約書において、有料老人ホームの類型(サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けていないものに限る。)、サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けている場合は、その旨、利用料等の費用負担の額及びこれによって提供されるサービス等の内容、入居開始可能日、身元引受人の権利・義務、契約当事者の追加、契約解除の要件及びその場合の対応、前払金の返還金の有無、返還金の算定方式及びその支払時期等が明示されていること。
二 介護サービスを提供する場合にあっては、心身の状態等に応じて介護サービスが提供される場所、介護サービスの内容、頻度及び費用負担等を入居契約書又は管理規程上明確にしておくこと。
三 利用料等の改定のルールを入居契約書又は管理規程上明らかにしておくとともに、利用料等の改定に当たっては、その根拠を入居者に明確にすること。
四 入居契約書に定める設置者の契約解除の条件は、信頼関係を著しく害する場合に限るなど入居者の権利を不当に狭めるものとなっていないこと。また、入居者、設置者双方の契約解除条項を入居契約書上定めておくこと。
五 要介護状態になった入居者を一時介護室において処遇する場合には、医師の意見を聴いて行うものとし、その際本人の意思を確認するとともに、身元引受人等の意見を聴くことを入居契約書又は管理規程上明らかにしておくこと。
六 一定の要介護状態になった入居者が、一般居室から介護居室若しくは提携ホームに住み替える契約の場合、入居者が一定の要介護状態になったことを理由として契約を解除する契約の場合、又は、介護居室の入居者の心身の状況に著しい変化があり介護居室を変更する契約の場合にあっては、次の手続を含む一連の手続を入居契約書又は管理規程上明らかにしておくこと。また、一般居室から介護居室若しくは提携ホームに住み替える場合の家賃相当額の差額が発生した場合の取扱いについても考慮すること。
イ 医師の意見を聴くこと。
ロ 本人又は身元引受人等の同意を得ること。
ハ 一定の観察期間を設けること。
(3) 消費者契約の留意点
消費者契約法(平成12年法律第61号)第二節(消費者契約の条項の無効)の規定により、事業者の損害賠償の責任を免除する条項、消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項及び消費者の利益を一方的に害する条項については無効となる場合があることから、入居契約書の作成においては、十分に留意すること。
(4) 重要事項の説明等
老人福祉法第29条第5項の規定に基づく情報の開示において、老人福祉法施行規則第20条の5第14号に規定する入居契約に関する重要な事項の説明については、次の各号に掲げる基準によること。
一 入居契約に関する重要な事項を説明するため、別紙様式に基づき「重要事項説明書」(以下「重要事項説明書」という。)を作成するものとし、入居者に誤解を与えることがないよう必要な事項を実態に即して正確に記載すること。なお、同様式の別添1「事業者が運営する介護サービス事業一覧表」及び別添2「入居者の個別選択によるサービス一覧表」は、重要事項説明書の一部をなすものであることから、重要事項説明書に必ず添付すること。
二 重要事項説明書は、老人福祉法第29条第5項の規定により、入居相談があったときに交付するほか、求めに応じ交付すること。
三 入居希望者が、次に掲げる事項その他の契約内容について十分理解した上で契約を締結できるよう、契約締結前に十分な時間的余裕をもって重要事項説明書及び実際の入居契約の対象となる居室に係る個別の入居契約書について説明を行うこととし、その際には説明を行った者及び説明を受けた者の署名を行うこと。
イ 設置者の概要
ロ 有料老人ホームの類型(サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けていないものに限る。)
ハ サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けている場合、その旨
ニ 有料老人ホームの設置者又は当該設置者に関係する事業者が、当該有料老人ホームの入居者に提供することが想定される介護保険サービスの種類
ホ 入居者が希望する介護サービスの利用を妨げない旨
四 有料老人ホームの設置時に老人福祉法第29条第1項に規定する届出を行っていない場合や、本指針に基づく指導を受けている場合は、重要事項説明書にその旨を記載するとともに、入居契約に際し、入居希望者に対して十分に説明すること。
(5) 体験入居
既に開設されている有料老人ホームにおいては、体験入居を希望する入居希望者に対して、契約締結前に体験入居の機会の確保を図ること。
(6) 入居者募集等
一 入居募集に当たっては、パンフレット、募集広告等において、有料老人ホームの類型(サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けていないものに限る。)、サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けている場合は、その旨及び特定施設入居者生活介護等の種類を明示すること。
二 誇大広告等により、入居者に不当に期待を抱かせたり、それによって損害を与えたりするようなことがないよう、実態と乖離のない正確な表示をするとともに、「有料老人ホーム等に関する不当な表示」(平成16年公正取引委員会告示第3号。以下「不当表示告示」という。)を遵守すること。特に、介護が必要となった場合の介護を行う場所、介護に要する費用の負担、介護を行う場所が入居している居室でない場合の当該居室の利用権の存否等については、入居者に誤解を与えるような表示をしないこと。
(7) 苦情解決の方法
入居者の苦情に対し迅速かつ円滑な解決を図るため、設置者において苦情処理体制を整備するとともに、外部の苦情処理機関について入居者に周知すること。
(8) 事故発生の防止の対応
有料老人ホームにおける事故の発生又はその再発を防止するため、次の措置を講じること。
一 事故が発生した場合の対応、次号に規定する報告の方法等が記載された事故発生の防止のための指針を整備すること。
二 事故が発生した場合又はそれに至る危険性がある事態が生じた場合に、当該事実が報告され、その分析を通した改善策について、職員に周知徹底を図る体制を整備すること。
三 事故発生の防止のための委員会及び職員に対する研修を定期的に行うこと。
(9) 事故発生時の対応
有料老人ホームにおいて事故が発生した場合にあっては、次の措置を講じること。
一 入居者に対するサービスの提供により事故が発生した場合は、速やかに都道府県、指定都市又は中核市及び入居者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じること。
二 前号の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録すること。
三 入居者に対するサービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、入居者に対しての損害賠償を速やかに行うものとすること。
13 情報開示
(1) 有料老人ホームの運営に関する情報
設置者は、老人福祉法第29条第5項の情報開示の規定を遵守し、入居者又は入居しようとする者に対して、重要事項説明書を書面により交付するとともに、パンフレット、重要事項説明書、入居契約書(特定施設入居者生活介護等の提供に関する契約書を含む。)、管理規程等を公開するものとし、求めに応じ交付すること。
(2) 前払金を受領する有料老人ホームに関する情報
前払金を受領する有料老人ホームにあっては、次の事項に留意すること。
イ 前払金が将来の家賃、サービス費用に充てられるものであることから、貸借対照表及び損益計算書又はそれらの要旨についても、入居者及び入居希望者の求めに応じ閲覧に供すること。
ロ 有料老人ホームの経営状況・将来見通しに関する入居者等の理解に資する観点から、事業収支計画についても閲覧に供するよう努めるとともに、貸借対照表等の財務諸表について、入居者等の求めがあればそれらの写しを交付するよう配慮すること。
(3) 有料老人ホーム類型の表示
サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けていない有料老人ホームの設置者は、有料老人ホームの類型を、別表「有料老人ホームの類型」のとおり分類し、パンフレット、新聞等において広告を行う際には、施設名と併せて表示することとし、同別表中の表示事項についても類型に併記すること。ただし、表示事項については、同別表の区分により難いと特に認められる場合には、同別表の区分によらないことができること。
(4) 介護の職員体制に関する情報
有料老人ホームの類型の表示を行う場合、介護に関わる職員体制について「1.5:1以上」、「2:1以上」又は「2.5:1以上」の表示を行おうとする有料老人ホームにあっては、介護に関わる職員の割合を年度ごとに算定し、表示と実態の乖離がないか自ら検証するとともに、入居者等に対して算定方法及び算定結果について説明すること。
別紙様式
別表
有料老人ホームの類型
類型 |
類型の説明 |
介護付有料老人ホーム (一般型特定施設入居者生活介護) |
介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。 介護が必要となっても、当該有料老人ホームが提供する特定施設入居者生活介護を利用しながら当該有料老人ホームの居室で生活を継続することが可能です。(介護サービスは有料老人ホームの職員が提供します。特定施設入居者生活介護の指定を受けていない有料老人ホームについては介護付と表示することはできません。) |
介護付有料老人ホーム (外部サービス利用型特定施設入居者生活介護) |
介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。 介護が必要となっても、当該有料老人ホームが提供する特定施設入居者生活介護を利用しながら当該有料老人ホームの居室で生活を継続することが可能です。(有料老人ホームの職員が安否確認や計画作成等を実施し、介護サービスは委託先の介護サービス事業所が提供します。特定施設入居者生活介護の指定を受けていない有料老人ホームについては介護付と表示することはできません。) |
住宅型有料老人ホーム(注) |
生活支援等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。 介護が必要となった場合、入居者自身の選択により、地域の訪問介護等の介護サービスを利用しながら当該有料老人ホームの居室での生活を継続することが可能です。 |
健康型有料老人ホーム(注) |
食事等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。介護が必要となった場合には、契約を解除し退去しなければなりません。 |