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○軽微変更届出の範囲の明確化に関する検討結果について

(平成22年6月28日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

標記について、今般、独立行政法人医薬品医療機器総合機構より、別紙のとおり報告がありました。

この内容については適当と考えるので、今後の業務の参考としてご活用下さい。

(別紙)

○軽微変更届出の範囲の明確化に関する検討結果について(報告)

(平成22年6月17日)

(厚生労働省医薬食品局審査管理課あて独立行政法人医薬品医療機器総合機構通知)

承認事項の軽微な変更の範囲については、薬事法第14条第9項に基づく同法施行規則第47条で規定され、その具体的な範囲については平成17年2月10日薬食審査発第0210001号「改正薬事法に基づく医薬品等の製造販売承認申請書記載事項に関する指針について」等で示されているところである。

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、「総合機構」という。)では、軽微な変更としての届出(以下、「軽微変更届出」という。)で対応可能な変更の範囲をより明確化するため、これまで日本製薬団体連合会の関係者との間で議論検討を重ねてきたところであるが、今般、下記のとおり検討結果を取り纏めたので報告する。

1.成分及び分量又は本質欄並びに化学薬品原薬及び製剤に係る製造方法欄における承認事項の変更のうち、別添で規定された前提条件のもとで例示された変更内容については、軽微変更届出として扱うことができると考えられること

2.別添の新旧対照表で示された事例はあくまでも例示であり、軽微変更届出の対象はこれらの事例に限定されるものでは必ずしもなく、前提条件も含めた別添の個別事例を参考としながら、個別承認品目の特徴に合わせて、軽微変更届出での対応可能性について各製造販売業者自らにおいて適切に判断されるべきものであること

3.変更案件に関し疑義がある場合には、総合機構に相談することができるものであること

(別添)

A.成分及び分量又は本質欄に関する変更

A.成分及び分量又は本質欄に関する変更

変更内容1:カプセル原料の起源・由来を、ウシ等由来物(ゼラチン等)から他の動物由来物又は非動物由来物に変更する事例

1.本変更事例が軽微変更で扱える場合の条件

原則として、以下に示す全ての条件を満たしている場合、成分及び分量又は本質欄に係るカプセル原料の起源・由来をウシ等由来物(ゼラチン等)から他の動物由来物(ゼラチン等)又は非動物由来物へ変更・追加する場合は軽微変更として扱うことができる。

(1) 成分及び分量又は本質に係るカプセル原料の起源・由来に関連する記載の変更のみであり、製造方法欄など他の承認事項を連動して変更する必要がないこと

(2) 変更前後のカプセル原料の実測値(ロット分析)、相対比較試験データ及び動物由来物の場合には生物由来原料基準への適合性確認によって、カプセルの品質に影響がないことが確認されていること

(3) 製品における製剤化適性、溶出性、安定性等に影響がないことが事前に確認されていること。特に、溶出性の確認においては、平成18年11月24日事務連絡「「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正について」別添2 含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン経口固形製剤の処方変更の生物学的同等性試験ガイドラインQ&A(Q―25)も参考に、溶出挙動の経時的影響について十分に確認されていること

2.その他(補足説明など)

(1) 非動物由来物等からウシ等由来物(ゼラチン等)に変更(切替え)又は追加する場合は、現時点では原則一変である。

(2) 具体的な例示については、以下の新旧対照表を参照のこと

変更内容1 新旧対照表

変更箇所

備考

成分及び分量又は本質

1製剤単位 ○○mg中

1製剤単位 ○○mg中

 

構成1

構成1

 

有効成分

日局

XXX

○mg

有効成分

日局

XXX

○mg

 

 

賦形剤

日局

◆◆◆

適量

賦形剤

日局

◆◆◆

適量

 

 

崩壊剤

日局

△△△

○mg

崩壊剤

日局

△△△

○mg

 

 

滑沢剤

日局

▲▲▲

○mg

滑沢剤

日局

▲▲▲

○mg

 

 

構成2

構成2

 

 

 

日局

カプセル

1個

 

日局

カプセル

1個

 

 

ウシ等由来原材料

(削除)

 

 

原材料

ウシ等

動物名

使用部位

原産国

 

 

 

ゼラチン

ウシ

(使用禁止部位を除く)

ブラジル

 

 

 

ゼラチン

ウシ

皮膚

ウルグアイ

 

 

 

1) 1製剤単位は1カプセル

1) 1製剤単位は1カプセル

カプセル原料の起源・由来をウシ等由来物(ゼラチン)から非動物由来物に変更した.

 

2) カプセルの原料のゼラチンはウシ(ブラジル)の骨,ウシ(ウルグアイ)の皮に由来する.製造方法は,日本薬局方 ゼラチンによるほか,健康な動物に由来する原料を使用し,BSEに感染している動物由来の原料及び生物由来原料基準反芻動物由来原料基準に定める使用してはならない部位が製造工程中で混入しないよう,採取した骨及び皮を原料として製する.

(削除)

変更理由

カプセル原料の起源・由来を、ウシ等由来物(ゼラチン)からより安全性が高いとされている非動物由来物に変更する。

変更内容2:原薬(生物学的製剤等の原薬を除く)製造時の培養工程における培地成分に添加しているウシ等由来物(ペプトン)を非動物由来物(酵母エキス又は大豆ペプトン)に変更

1.本変更事例が軽微変更で扱える場合の条件

原則として、以下に示す全ての条件を満たしている場合、培地成分に添加しているウシ等由来物を非動物由来物へ変更する場合は軽微変更として扱うことができる。

(1) 成分及び分量又は本質に係るウシ等由来物の起源・由来に関連する記載に関する変更のみであり、製造方法欄など他の承認事項を連動して変更する必要がないこと(製造方法欄に、培地組成としてペプトンが示されているケースでは不可であること)

(2) 生物学的製剤基準に収載されている医薬品、遺伝子組換え医薬品、細胞培養医薬品、生物起源由来医薬品は除かれること。したがって、それらに該当しない製品の製造工程で発酵や培養が使用されているものに限られること

(3) 変更前後の原薬の実測値(ロット分析)及び相対比較試験データより、品質に影響がないことが確認されていること

2.その他(補足説明など)

(1) 非動物由来物からウシ等由来物に変更(切替え)又は追加する場合は、現時点では原則一変である。

(2) 具体的な例示については、以下の新旧対照表を参照のこと

変更内容2 新旧対照表

変更箇所

備考

成分及び分量又は本質

1製剤単位○○mg中

1製剤単位○○mg中

 

有効成分

局外規

XXX

○mg

有効成分

局外規

XXX

○mg

 

賦形剤

日局

◆◆◆

適量

賦形剤

日局

◆◆◆

適量

 

 

崩壊剤

日局

△△△

○mg

崩壊剤

日局

△△△

○mg

 

 

滑沢剤

日局

▲▲▲

○mg

滑沢剤

日局

▲▲▲

○mg

 

 

コーティング剤

日局

●●●

○mg

コーティング剤

日局

●●●

○mg

 

 

1) 1製剤単位は1錠

1) 1製剤単位は1錠

 

 

2) ×××を製造する際の培地に使用されるペプトンは,ウシ(ニュージーランド)の乳,ブタの膵臓に由来する.ペプトンの製造においては,健康な動物に由来する原料を使用し,ウシについてはBSEに感染している動物由来の原料及び生物由来原料基準反芻動物由来原料基準に定める使用してはならない部位が製造工程中で混入しないよう,採取したウシの乳を原料として製する.また,当該成分は,高圧蒸気滅菌(121℃20分)の方法により病原体の不活化/除去処理を行ったものである.

2) (削除)

原薬製造時の培養工程における培地成分をウシ等由来物(ペプトン)から非動物由来物(酵母エキス又は大豆ペプトン)に変更する.

変更理由

原薬製造時の培養工程中の培地成分としてウシ等由来物(ペプトン)を使用していたが、原料の見直しを行い、非動物性由来物(酵母エキス又は大豆ペプトン)に変更する。

変更内容3:成分及び分量又は本質欄において、個々に成分記載していたものをプレミックスの記載へ変更する事例

1.本変更事例が軽微変更で扱える場合の条件

原則として、以下に示す全ての条件を満たしている場合、成分及び分量又は本質欄の個々に成分記載していたものをプレミックス記載にする変更は軽微変更として扱うことができる。

(1) 製造方法の実態及び製造所に変更がなく、承認書の個々の成分記載をプレミックス記載に整備する場合

(2) 平成12年2月8日医薬審第39号「医薬品の承認申請書の記載事項について」の記の1.の(1)のオ)の②の但し書に規定された「新たな別紙規格を設けるものの、規格及び試験方法の設定が必要ない」場合

2.その他(補足説明など)

(1) 具体的な例示については、以下の新旧対照表を参照のこと

変更内容3 新旧対照表

変更箇所

備考

成分及び分量又は本質

1g中

1g中

 

有効成分

別紙規格

XXX

100mg

有効成分

別紙規格

XXX

100mg

 

賦形剤

日局

トウモロコシデンプン

適量

賦形剤

日局

トウモロコシデンプン

適量

 

 

滑沢剤

日局

△△△

○mg

滑沢剤

日局

△△△

○mg

 

 

滑沢剤

日局

▲▲▲

□mg

滑沢剤

日局

▲▲▲

□mg

 

 

香料

日局

フレバABC

3mg

香料

別紙規格

プレミックスWWW

5mg

各香料成分をプレミックス成分名とする変更

 

香料

日局

バニラDEF

1.5mg

(プレミックスWWW中の個々の成分)

 

香料

 

香料

微量

 

香料

日局

フレバABC

3mg

 

 

 

香料

日局

バニラDEF

1.5mg

 

 

 

香料

 

香料

微量

 

 

 

合計

1000mg

 

合計

1000mg

 

別紙規格

(設定なし)

別紙規格

【名称】:プレミックスWWW

【連番】:001

【製造所の名称】:記載省略

【製造方法】:

以下の配合比率で混合する.

日局フレバABC 60%,日局バニラDEF 30%,香料 10%

各香料成分をプレミックス成分名とする変更に伴う別紙規格の設定

製造方法

<第一工程>混合工程

XXX『10.0kg』,トウモロコシデンプン『80.0kg』,香料成分『0.5kg』を撹拌混合機“(500L)”に入れ,『5分間』混合する.

<第一工程>混合工程

XXX『10.0kg』,トウモロコシデンプン『80.0kg』,プレミックスWWW『0.5kg』を撹拌混合機“(500L)”に入れ,『5分間』混合する.

各香料成分をプレミックス成分名とする変更に伴う変更

 

用語の説明 香料成分:

フレバABC『0.3kg』,バニラDEF『0.15kg』,香料『0.05kg』を混合した粉末

(削除)

変更理由

承認書に各々の香料の成分名を記載していたものを、別紙規格を項立てしたプレミックス名とする変更。本件は、製造方法の実態や製造所の変更は伴わない成分及び分量又は本質欄の記載のみの変更である。

B.化学薬品原薬の製造方法に関する変更

B.化学薬品原薬の製造方法に関する変更

1.共通の前提条件

化学薬品原薬の製造方法に係る変更が軽微変更で対応できる2.で示す各事例については、事例毎に示した条件等のほか、共通の前提条件として、原則として、以下に示す全ての条件が満たされている必要がある。

(1) 承認書の変更箇所は製造方法(原薬)のみであること。したがって、他の承認事項を連動して変更する必要がないこと

(2) 変更内容に応じ、当該変更が製品の品質・有効性・安全性に影響を及ぼさないことを示す合理的な根拠(バリデーション、予備安定性試験、相対比較試験、加速試験等)があり、当局の求めに応じて提出できるようにされていること

(3) 製造方法が変更されても、最終原薬の品質特性は次の条件を満たすこと

1) 最終原薬の規格に影響しない。

2) 最終原薬の不純物プロファイルに影響しない。

3) 製剤特性(例えば溶出性)に影響を与える最終原薬の結晶形などの物理化学的性質に影響しない。

(4) 管理項目及びその試験方法に関する変更が、製造における不測の事態に起因したものではないこと

(5) 生物学的製剤基準に収載されている医薬品、遺伝子組換え医薬品、細胞培養医薬品、生物起源由来医薬品ではないこと

2.各事例

各軽微事例に示した例示(新旧対照表)は、変更に係る箇所以外の製造方法(管理項目を含む)が変更されていないことを示すために、一貫した製造工程として記載した。

変更内容1:中間体、出発物質及び原材料の管理項目に関する変更

変更事例1―1:

変更前後で製造プロセスが変更されていない場合における中間体、出発物質及び原材料の管理項目の追加又は削除に関する事例

1.本変更事例が軽微変更で扱える場合の条件

B.1共通の前提条件に加えて、原則として、以下に示す全ての条件を満たしている場合、本変更事例は軽微変更として扱うことができる。

① 管理項目の追加の場合

当該管理項目の試験方法について分析法がバリデートされていること。バリデーションの程度は、当該分析法の目的及び当該分析法に係る工程の段階を勘案したものであること

② 管理項目の削除の場合

(1) 平成17年2月10日薬食審査発第0210001号で言及されている特別な管理が必要な管理項目の削除ではないこと

(2) 最終原薬の品質確認に影響を与えない管理項目であること。また、削除するための合理的な根拠の検討及びリスク評価が行われ、それらが適切に文書化されていること

以下に例示する。

1) 中間体の一部管理項目について、最終原薬の規格項目との相関性が確認されているケース

・中間体で管理項目として設定されている残留溶媒が、最終原薬の規格でも設定されている。(注釈)

(注釈)

製造開始時には乾燥結晶の工程管理及び原薬の規格として、同一の残留溶媒項目が設定されていたが、その後製造実績が蓄積され、工程管理と出荷試験の結果に相関が確立される等、工程の理解が進み、また十分なリスク評価が行われた結果、工程管理としての残留溶媒を削除できると判断されるようなケース

2) 試験者の安全性に配慮し、においなどの官能性試験を削除するケース

3) 管理項目を削除しても、別に設定された管理項目がその目的を兼ねることができるケース

・液体クロマトグラフィー若しくはガスクロマトグラフィーによる定量試験により確認試験が兼ねられることがある。これは定量試験における保持時間の比較により、目的物質の確認を行うことができるため。

4) 削除する管理項目が、変更される以後の工程(以下、下流工程とする)の試験検査で確認でき、その合理的な根拠(バリデーションデータ等)があるケース

2.その他(補足説明など)

(1) 管理項目の変更が、製造における不測の事態に起因するものである場合には、一変対応となる。

(2) 軽微変更届出を行う際には、管理項目の追加・削除の理由と妥当性を具体的かつ明確に記載すること

(3) 過去の製造実績を基に恒常的に製造できることのみを根拠として、設定していた管理項目を削除しようとするケースがあると考えられる(総合機構としては、単に過去の製造実績のみを理由に管理項目の削除を軽微変更で取扱うことは問題と認識しているので、慎重に検討すること)。削除理由が単に実績によるものであれば、製造所が変更された場合には削除した管理項目を再設定することもありうることに留意する必要がある。

(4) 具体的な例示については、以下に示す新旧対照表を参照のこと