○使用薬剤の薬価(薬価基準)等の一部改正について
(平成22年6月11日)
(保医発0611第1号)
(地方厚生(支)局医療課長・都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長・都道府県後期高齢者医療主管部(局)後期高齢者医療主管課(部)長あて厚生労働省保険局医療課長通知)
使用薬剤の薬価(薬価基準)(平成20年厚生労働省告示第60号。以下「薬価基準」という。)については、平成22年厚生労働省告示第240号をもって改正されるとともに、グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニストが薬価基準に収載されたことと合わせて、「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」(平成18年厚生労働省告示第107号。以下「掲示事項等告示」という。)及び「特掲診療料の施設基準等」(平成20年厚生労働省告示第63号)が、平成22年厚生労働省告示第241号及び第242号をもって改正され、同日付けで適用されたところですが、その概要は下記のとおりですので、貴管下の保険医療機関、審査支払機関等に対して周知徹底をお願いします。
記
1 薬価基準の一部改正について
(1) 薬事法(昭和35年法律第145号)の規定に基づき製造販売承認され、薬価基準への収載希望があった医薬品(内用薬11品目、注射薬11品目及び外用薬7品目)について、薬価基準の別表に収載したものであること。
(2) (1)により薬価基準の別表に収載されている全医薬品の品目数は、次のとおりであること。
区分 |
内用薬 |
注射薬 |
外用薬 |
歯科用薬剤 |
計 |
品目数 |
8,812 |
4,085 |
2,786 |
36 |
15,719 |
2 掲示事項等告示及び特掲診療料の施設基準等の一部改正について
(1) グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニストについて、掲示事項等告示第十第一号の「療担規則第二十条第二号ト及び療担基準第二十条第三号トの厚生労働大臣が定める保険医が投与することができる注射薬」として定めたものであること。
(2) グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニストについて、特掲診療料の施設基準等別表第九「在宅自己注射指導管理料、注入器加算、間歇注入シリンジポンプ加算及び注入器用注射針加算に規定する注射薬」として定めたものであること。
3 薬価基準等の一部改正に伴う留意事項について
(1) メタクト配合錠HD及びメタクト配合錠LD
① 効能又は効果
2型糖尿病(ただし、ピオグリタゾン塩酸塩及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る。)であること。
② 保険適用上の取扱い
ア 糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。また、糖尿病以外にも、耐糖能異常、尿糖陽性等を呈する病態や糖尿病類似の症状(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)を呈する疾患があることに留意すること。
イ 本製剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
ウ 原則として、既にピオグリタゾン塩酸塩(ピオグリタゾンとして1日15mg又は30mg)及びメトホルミン塩酸塩(メトホルミン塩酸塩として1日500mg)を併用し状態が安定している場合、又はピオグリタゾン塩酸塩(ピオグリタゾンとして1日15mg又は30mg)単剤又はメトホルミン塩酸塩(メトホルミン塩酸塩として1日500mg)単剤の治療により効果不十分な場合に、本製剤の使用を検討すること。
エ 本製剤の投与中においては、本製剤の投与がピオグリタゾン塩酸塩及びメトホルミン塩酸塩の併用よりも適切であるかについて慎重に判断すること。
オ 本製剤を使用する場合は、対象患者はインスリン抵抗性が推定される患者に限ること。また、インスリン抵抗性の目安は、肥満度(BMI:kg/m2)が24以上又はインスリン分泌状態について空腹時血中インスリン値が5μU/mL以上であること。
カ 投与する場合には血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、効果が不十分な場合には、速やかに他の治療薬への切り替えを行うこと。
キ 投与の継続中に、投与の必要性がなくなる場合や減量する必要がある場合、患者の不養生、感染症の合併等により効果がなくなったり、不十分となる場合があるため、食事摂取量、体重の推移、血糖値、感染症の有無等に留意の上、常に投与継続の可否、投与量、薬剤の選択等に注意すること。
(2) ビクトーザ皮下注18mg
① 本製剤はグルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニストであり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、「診療報酬の算定方法」(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
② 本製剤は注入器一体型のキットであるため、在宅自己注射指導管理料を算定する患者に対して処方した場合には、注入器加算は算定できないものであること。
③ 本製剤の自己注射を行っている者に対して、血糖自己測定値に基づく指導を行うために血糖自己測定器を使用した場合には、インスリン製剤の自己注射を行っている者に準じて、「C150」血糖自己測定器加算を算定すること。
(3) ネスプ注射液10μg/1mLプラシリンジ、同15μg/1mLプラシリンジ、同20μg/1mLプラシリンジ、同30μg/1mLプラシリンジ、同40μg/1mLプラシリンジ、同60μg/0.6mLプラシリンジ、同120μg/0.6mLプラシリンジ及び同180μg/0.9mLプラシリンジ
本製剤はダルベポエチン製剤であり、医科点数表区分番号「J038」人工腎臓等における保険上の取扱いは、既存のダルベポエチン製剤と同様であること。
(4) ソリリス点滴静注300mg
① 発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制
本製剤の効能又は効果に関連する注意において「フローサイトメトリー法等により検査を行い、発作性夜間ヘモグロビン尿症と確定診断された患者に投与を開始すること。」とされているので、発作性夜間ヘモグロビン尿症の確定診断が行われた場合にのみ投与すること。
② 非典型溶血性尿毒症症候群における血栓性微小血管障害の抑制
本製剤の効能又は効果に関連する注意において「補体制御異常による非典型溶血性尿毒症症候群の患者に使用すること。」とされているので、補体制御異常による非典型溶血性尿毒症症候群以外の患者に投与しないこと。
③ 全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)
本製剤の効能又は効果に関連する注意に次のように記載があるので、使用に当たっては十分留意すること。
ア 本剤は、抗アセチルコリン受容体抗体陽性の患者に投与すること。
イ 本剤は、ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に、以下に示す患者への投与を考慮すること。
・免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法を施行しても症状の管理が困難な患者
・合併症や副作用等により、免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法の施行が困難な患者
④ 視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防
本製剤の効能又は効果に関連する注意において「本剤は、抗アクアポリン4抗体陽性の患者に投与すること。」及び「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の患者に使用すること。」とされているので、抗アクアポリン4抗体陽性で、視神経脊髄炎スペクトラム障害の確定診断が行われた場合にのみ投与すること。
4 関係通知の一部改正について
「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(平成22年3月5日保医発0305第1号)の一部を次のように改正する。
・ 別添1第2章第2部第2節第2款C150に次のように加える。
(4) グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニストの自己注射を行っている者に対して、血糖自己測定値に基づく指導を行うために血糖自己測定器を使用した場合には、インスリン製剤の自己注射を行っている者に準じて、所定点数を算定する。
・ 別添1第2章第2部第3節C200(1)及び別添3区分01(5)イ中「グルカゴン製剤」の下に「、グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト」を加える。
・ 別添3別表1中「グルカゴン製剤」の下に「、グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト」を加え、「及びグリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L―システイン塩酸塩配合剤」を「、グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L―システイン塩酸塩配合剤及びアダリムマブ製剤」に改める。
・ 別添3別表2中「グルカゴン製剤」を「/グルカゴン製剤/グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニニスト/」に改め、同表に次のように加える。
アダリムマブ製剤
(参考)
(参考)
薬価基準告示
No |
薬価基準名 |
成分名 |
規格単位 |
薬価(円) |
|
1 |
内用薬 |
ネシーナ錠6.25mg |
アログリプチン安息香酸塩 |
6.25mg1錠 |
60.20 |
2 |
内用薬 |
ネシーナ錠12.5mg |
アログリプチン安息香酸塩 |
12.5mg1錠 |
112.20 |
3 |
内用薬 |
ネシーナ錠25mg |
アログリプチン安息香酸塩 |
25mg1錠 |
209.40 |
4 |
内用薬 |
メタクト配合錠HD |
ピオグリタゾン塩酸塩・メトホルミン塩酸塩 |
1錠 |
158.00 |
5 |
内用薬 |
メタクト配合錠LD |
ピオグリタゾン塩酸塩・メトホルミン塩酸塩 |
1錠 |
84.60 |
6 |
内用薬 |
ユニシア配合錠HD |
カンデサルタン シレキセチル・アムロジピンベシル酸塩 |
1錠 |
150.30 |
7 |
内用薬 |
ユニシア配合錠LD |
カンデサルタン シレキセチル・アムロジピンベシル酸塩 |
1錠 |
150.30 |
8 |
内用薬 |
リリカカプセル25mg |
プレガバリン |
25mg1カプセル |
100.50 |
9 |
内用薬 |
リリカカプセル75mg |
プレガバリン |
75mg1カプセル |
167.10 |
10 |
内用薬 |
リリカカプセル150mg |
プレガバリン |
150mg1カプセル |
229.00 |
11 |
内用薬 |
ロゼレム錠8mg |
ラメルテオン |
8mg1錠 |
82.60 |
12 |
注射薬 |
ソリリス点滴静注300mg |
エクリズマブ(遺伝子組換え) |
300mg30mL1瓶 |
577,229 |
13 |
注射薬 |
ネスプ注射液10μg/1mLプラシリンジ |
ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え) |
10μg1mL1筒 |
3,086 |
14 |
注射薬 |
ネスプ注射液15μg/1mLプラシリンジ |
ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え) |
15μg1mL1筒 |
4,358 |
15 |
注射薬 |
ネスプ注射液20μg/1mLプラシリンジ |
ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え) |
20μg1mL1筒 |
5,564 |
16 |
注射薬 |
ネスプ注射液30μg/1mLプラシリンジ |
ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え) |
30μg1mL1筒 |
7,823 |
17 |
注射薬 |
ネスプ注射液40μg/1mLプラシリンジ |
ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え) |
40μg1mL1筒 |
9,966 |
18 |
注射薬 |
ネスプ注射液60μg/0.6mLプラシリンジ |
ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え) |
60μg0.6mL1筒 |
14,031 |
19 |
注射薬 |
ネスプ注射液120μg/0.6mLプラシリンジ |
ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え) |
120μg0.6mL1筒 |
24,865 |
20 |
注射薬 |
ネスプ注射液180μg/0.9mLプラシリンジ |
ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え) |
180μg0.9mL1筒 |
35,343 |
21 |
注射薬 |
ビクトーザ皮下注18mg |
リラグルチド(遺伝子組換え) |
18mg3mL1キット |
9,960 |
22 |
注射薬 |
ベクティビックス点滴静注100mg |
パニツムマブ(遺伝子組換え) |
100mg5mL1瓶 |
75,567 |
23 |
外用薬 |
コソプト配合点眼液 |
ドルゾラミド塩酸塩・チモロールマレイン酸塩 |
1mL |
668.00 |
24 |
外用薬 |
デュオトラバ配合点眼液 |
トラボプロスト・チモロールマレイン酸塩 |
1mL |
1,360.00 |
25 |
外用薬 |
((麻))フェントステープ1mg |
フェンタニルクエン酸塩 |
1mg1枚 |
570.60 |
26 |
外用薬 |
((麻))フェントステープ2mg |
フェンタニルクエン酸塩 |
2mg1枚 |
1,063.60 |
27 |
外用薬 |
((麻))フェントステープ4mg |
フェンタニルクエン酸塩 |
4mg1枚 |
1,982.40 |
28 |
外用薬 |
((麻))フェントステープ6mg |
フェンタニルクエン酸塩 |
6mg1枚 |
2,853.60 |
29 |
外用薬 |
((麻))フェントステープ8mg |
フェンタニルクエン酸塩 |
8mg1枚 |
3,695.10 |