添付一覧
○内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書の公表について(周知依頼)
(平成22年1月29日)
(/医政発0129第3号/薬食発0129第5号/)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医政局長・厚生労働省医薬食品局長通知)
医療行政の推進につきましては、平素から格別の御高配を賜り厚く御礼申し上げます。
標記につきましては、平成21年5月に厚生労働省に設置されました「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会」において、医療安全の観点から、内服薬処方せんの記載方法に係る課題やその標準化等、今後の処方せんの記載方法の在り方について、これまで5回にわたり幅広く検討が行われ、今般、別添のとおり報告書が公表されたところです。
本報告書では、処方せんの記載方法が統一されていないことに起因した記載ミス、情報伝達エラーを防止する観点から、「内服薬処方せん記載の在るべき姿」が取りまとめられ、今後、本報告書を基に、内服薬処方せんの記載方法の標準化に向けた取組について関係者に協力を求めることとしています。
貴職におかれましては、本報告書の内容を御確認の上、管下関係機関等に対し、周知方お願いいたします。
(留意事項)本通知の内容については、貴管下医療機関等の医療に係る安全管理のための委員会の関係者、医療安全管理者、医薬品の安全使用のための責任者等に対しても周知されるよう御配慮願います。 |
[別添]
内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会
報告書
平成22年1月
厚生労働省
1.内服薬処方せんの記載に関する現状と課題
我が国において、医師及び歯科医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要がある場合には、患者等に対して処方せんを交付する義務があり、処方せんに記載すべき事項は関係法令において一定程度示されている(参考1)。しかしながら、医師、医療機関の間で統一された記載がなされておらず、多様な記載がなされているのが現状である(参考2)。
このため、平成14年度より、厚生労働科学研究において、処方せん記載方法の標準化に向けた検討がなされ、あわせて、財団法人日本医療機能評価機構が行っている医療事故情報収集等事業において、薬剤に関する医療事故並びに与薬準備及び処方・与薬に関するヒヤリ・ハット事例の具体例を収集し、必要に応じて個別事例について注意喚起が行われてきたところである(参考3)。
また、平成17年6月に、医療安全に関する対策の企画、立案等の審議を行い、医療安全の推進を図ることを目的として設置された医療安全対策検討会議において、「処方せんの記載方法等に関する意見」が医政局長あてに提出された(参考4)。その中で、医師、医療機関の間で処方せんの記載方法等が統一されていないことに起因した処方せんの記載ミス、記載漏れ、指示受け間違い等のヒヤリ・ハット事例や医療事故は後を絶たない状況にあり、記載方法、記載項目の標準化を含めた処方せんの記載等に関する検討を早急に行うべきとの指摘がなされた。
さらに、平成17年度厚生労働科学研究において、「情報伝達エラー防止のための処方に関する記載についての標準案」が示され、引き続き、平成20年度まで調査・検討が重ねられてきたところである。
これらを受け、平成21年5月に、厚生労働省に「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会」(以下「本検討会」という。)を設置し、医療安全の観点から、内服薬処方せんの記載方法に係る課題やその標準化等、今後の処方せんの記載方法の在り方ついて、これまでに5回にわたり幅広く検討を行ってきたところである。
2.本検討会における主な議論
本検討会は、平成20年度厚生労働科学研究「処方せんの記載方法に関する医療安全対策の検討」において公表された「情報伝達エラー防止のための処方に関する記載についての標準案」(以下「標準案」という。)を議論のたたき台として検討を行ってきた(参考5)。
標準案の中で、「薬名」については、販売名又は一般名(原薬名)とされ、「分量」については、1回内服量(以下「1回量」という。)で記載し、用法・用量として1日服用回数、服薬時期及び服用日数を記載するとされている。
「分量」については、これまで、内服薬のように1日分の服用量を表す場合と、頓服薬のように1回分の服用量を表す場合とがあり、また、「用量」については、薬剤の服用日数を意味する場合や、薬剤の服用総量を意味する場合があるとの議論がなされた。現行の法令等の規定においても、内服薬の「分量」については、1日内服量(以下「1日量」という。)を記載することとされているが、「用法」及び「用量」については、「用法」と「用量」とを明確に分けた定義がなされていないとの議論がなされた。その上で、処方せんには服用回数、服用のタイミング、服用日数等の「用法・用量」1を記載することが確認された。
内服薬処方せん記載の実態としては、「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和51年8月7日保険発第82号)において、処方せんの記載事項は1日量と1回量との両方を記載することとされているが、実際には、この規定は必ずしも遵守されておらず、多様な記載がなされている現状が確認された。
このため、現行の法令等の意義を認識しつつも、将来的には、「薬名」については、薬価基準に記載されている製剤名2を記載することを基本とすべきであること、「分量」については、注射薬等と同様に、内服薬についても1回量を記載することを基本とすべきであること、1日量から1回量による記載方法へと変更する際の移行期間には、処方時、調剤時及び与薬時の過誤に対する懸念があり、医療事故を防ぐための取組が必要であること等が議論された。
散剤3及び液剤4の「薬名」及び「分量」については、従来「g(mL)記載は製剤5量、mg記載は原薬6量」のように、慣例的に重量(容量)単位により判別・記載している例もあったが、薬名は製剤名、分量は製剤量を記載することを基本とすべきであり、例外的に、分量を原薬量で記載した場合には、必ず【原薬量】と明示することとすべきとの議論がなされた。
「用法・用量」における服用回数・服用のタイミングについては、「×3」、「3×」等の情報伝達エラーを惹起する可能性のある紛らわしい表現を排除し、「1日3回朝昼夕食後」のように、日本語で明確に記載することにより標準化を図るべきとの議論がなされた。
その他、医療従事者の教育や薬剤の添付文書等の記載等についても対応が必要であるとの議論がなされた。また、医療システムメーカーの立場である保健医療福祉情報システム工業会に対してヒアリングを行い、処方せんの記載方法の標準化に向けた協力を得られることとなった。
さらに、現行の処方せん様式について、特に手書きで処方せんを記載する場合、情報伝達エラーを防止するため、医療機関の実情に即し、罫線を設ける等により、必要な事項を網羅的に記載する工夫が必要であるとの提言がなされた(参考6)。
本報告書では、これらの議論を踏まえ、内服薬処方せんの記載方法を標準化することが必要であるとの考えから「内服薬処方せん記載の在るべき姿」を取りまとめ、可及的速やかに着手し、その後も継続的に実施すべき方策については、「短期的方策」として示し、全ての医療機関において速やかに対応することが困難な場合があることも踏まえ、長期的な視点に立って取り組むべき方策については「長期的方策」として示すとともに、「移行期間における対応」についても整理した。
3.内服薬処方せん記載の在るべき姿
処方せんの記載方法が統一されていないことに起因した記載ミス、情報伝達エラーを防止する観点から、患者、医療従事者を含め、誰が見ても記載内容を理解できる処方せんの記載方法を標準化し、医師法、歯科医師法等の関連法規との整合性を含め、我が国の全ての医療機関において統一された記載方法による処方せんが発行されることが望ましい。
最も望ましいのは、処方せんに、薬名、1回量、1日量、1日の服用回数、服用のタイミング及び服用日数等の事項を全て記載することであるが、現状では限られた時間で全て記載することは困難であるとの指摘もある。
このため、「内服薬処方せん記載の在るべき姿」として、以下のような基準を示すものとする。
1) 「薬名」については、薬価基準に記載されている製剤名を記載することを基本とする。
2) 「分量」については、最小基本単位である1回量を記載することを基本とする。
3) 散剤及び液剤の「分量」については、製剤量(原薬量ではなく、製剤としての重量)を記載することを基本とする。
4) 「用法・用量」における服用回数・服用のタイミングについては、標準化を行い、情報伝達エラーを惹起する可能性のある表現方法を排除し、日本語で明確に記載することを基本とする。
5) 「用法・用量」における服用日数については、実際の投与日数を記載することを基本とする。7
4.内服薬処方せんの記載方法の標準化に至る短期的方策
「3.内服薬処方せん記載の在るべき姿」に基づき、まず、可及的速やかに着手すべき方策として実施すべきものを示す。
1) 処方オーダリングシステム、電子カルテシステム等(以下「処方オーダリングシステム等」という。)の処方入力画面については、1回量又は1日量のいずれを基本とした入力方法であっても、同一画面上において、1回量と1日量とを同時に確認できることとする。なお、処方入力画面への入力方法については、現行は医療システムメーカーによって入力方法が異なるが、今後は医療システムメーカーによらず標準的な入力方法になるよう、保健医療福祉情報システム工業会等の業界団体に協力を求めていく。
2) 処方オーダリングシステム等により出力された処方せんには、1回量及び1日量の両方が併記されることとする。
3) 散剤及び液剤の「薬名」及び「分量」については、従来「g(mL)記載は製剤量、mg記載は原薬量」のように、慣例的に重量(容量)単位により判別・記載している例もあったが、薬名を製剤名で記載し、分量は製剤量を記載することを基本とする。例外的に、分量を原薬量で記載した場合には、必ず【原薬量】と明示する。
4) 「用法・用量」における服用回数・服用のタイミングについては、「×3」、「3×」等の情報伝達エラーを惹起する可能性のある紛らわしい表現を、「1日3回朝昼夕食後」のように日本語で明確に記載することにより、紛らわしい記載を速やかに是正する。なお、当分の間、1回量と1日量を併記する場合には、「分3」等の1日量を前提とした表現も許容する。
5) 「用法・用量」における服用回数・服用のタイミングについては、処方オーダリングシステム等において用いられる1回量による処方を前提とした標準用法マスタを作成し公表を行う。
6) 入院患者用の薬剤を調剤する際に、賦形8を行った場合には、薬剤師が、与薬する看護師等に対し、賦形後の調剤量及び1回量を明確に伝達する必要がある。
7) 医師、歯科医師、薬剤師及び看護師の養成機関においては、内服薬処方せんの標準的な記載方法に関する教育を実施し、内服薬処方せんの標準的な記載方法を基に国家試験等へ積極的に出題する。9
8) 医師、歯科医師、薬剤師及び看護師の臨床研修等の卒後の教育においても、上記養成機関における対応等を踏まえ、医師臨床研修指導ガイドライン等に内服薬処方せんの標準的な記載方法を明記し、内服薬処方せんの標準的な記載方法に関する教育を可及的速やかに実施する。
9) 薬剤に関する書籍や医薬品の添付文書の記載については、本検討会の議論を踏まえ、分量、用法・用量等の記載方法について、関係団体等と協力の下に改訂を進める。
10) 手書きで処方せんを記載する場合には、現行の法令等の規定において、1日量及び1回量の両方を記載することとされていることに留意し、上記3)の散剤及び液剤における「分量」の記載並びに4)の「用法・用量」における服用回数・服用のタイミングを日本語で明確に記載する対応を関係者に依頼し、調剤に際しては、薬剤師は疑義照会を徹底する。
5.内服薬処方せんの記載方法の標準化に至る長期的方策
次に、長期的な視点に立って取り組むべき方策として、実施すべきものを示す。なお、長期的方策とは、可及的速やかに着手すべきであるが、全ての医療機関において対応するには時間を要するため、各医療機関や各調剤薬局において計画的に実施していく必要があるものである。
1) 「分量」については、処方オーダリングシステム等の処方入力画面において、1回量を基本とした入力方法に対応できる処方入力画面を装備し、かつ1回量と1日量についても同一画面で確認できることとする。また、処方オーダリングシステム等には、原則として服用回数・服用のタイミングに関する標準用法マスタを使用することとする。
2) 与薬の実施記録としての院内の看護システムにおいては、処方せんによる与薬の指示が患者に確実に実施されるために、最小基本単位である1回量を基本単位とすることを推進する。
3) 調剤薬局において処方内容を再入力することによる情報伝達エラーを防止するとともに、院外処方せんの利便性の向上に資するような、情報技術等(二次元バーコード等)の導入について検討する。
6.移行期間における対応
内服薬処方せんの記載方法の標準化にかかる移行期間は短い方が望ましいが、中長期的な視点に立ち、計画的に実施していく必要がある。
厚生労働省は、関係者に対し本報告書の内容を周知するとともに、移行期間における留意事項に関する取組についても関係者に協力を求める。さらに、「内服薬処方せん記載の在るべき姿」の移行状況について、適宜、中間評価を行い具体的な対策を再検討しながら進めていくべきである。
移行期間において厚生労働省が実施すべきものを次に示す。
1) 本報告書に基づき、関係者に対し可及的速やかに各方策に着手するよう周知する。
2) 全ての医療機関等に対し、処方オーダリングシステム等の更新のタイミングに合わせて、1回量を基本とした入力方法に対応できる処方入力画面を装備したシステムに切り換えていくよう促す。
3) 本報告書に準拠した処方オーダリングシステム等を可及的速やかに、全ての医療機関等に提供するべく、医療システムメーカーに協力を求める。
4) 内服薬処方せんの記載方法の標準化の進捗状況について、財団法人日本医療機能評価機構が実施している医療事故情報収集等事業及び薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の情報等を用いて、2~3年のうちに中間評価を行う。
5) 遅くとも5年後に、内服薬処方せんの記載方法の標準化の進捗状況等についての調査・研究を行い、対策について再検討する。
7.処方例
1) 実際の処方例
フロモックス錠100mg、メジコン錠15mg、ムコソルバン錠15mg各3錠を1日3回に分けて朝昼夕食後に服用するように処方する場合 |
2) 不均等投与の場合
プレドニン錠5mgを1日量として全7錠を朝4錠、昼2錠、夕1錠の3回に分けて食後に服用するように不均等の量で処方する場合 |
3) 内服薬(散剤)の場合
テグレトール細粒50%を1日量として1.6g(原薬量として800mg)を1日2回に分けて朝夕食後に服用するように処方する場合 |
4) 内服薬(液剤)の場合
ジゴシンエリキシル0.05mg/mLを1日量として6mL(原薬量として0.3mg)を1日3回に分けて朝昼夕食後に服用するように処方する場合 |
5) 休薬期間のある場合
リウマトレックスカプセル2mgを日曜9時、21時及び月曜9時に1回1カプセル服用し、翌週の日曜9時に服用するまでを休薬期間とする処方(4週間分)をする場合 |
6) その他(1日量1.0g又は2.0gを1日3回に分けて処方する場合)
【注】現状においてもマーズレンS配合顆粒、沈降炭酸カルシウム、(0.67g分包)、重質酸化マグネシウム(0.33g分包)等があり、0.01gの差が薬効等において問題となる例は見受けられない。
――――――――――
1本報告書における「用法・用量」は、処方せんの記載に不可欠な服用回数、服用のタイミング、服用日数等をいうのであって、医薬品の添付文書の記載に見られる「用法・用量」とは必ずしも一致しない。
2薬価基準に収載されていない医薬品については、販売名又は原薬名に剤形・規格を付記した名称。
3原薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤等の添加剤を加えて粉末又は微粒状に製したもの。
4原薬をそのまま用いるか、又は溶剤に溶解して用いる、液状の内用液又は外用液。
5医薬品の原薬に賦形剤等を加え、使用するのに適当な形にしたもの。
6医薬品に含まれる物質のうち、生体の生理的調節機能に対して作用する物質。有効成分。
7休薬期間のある場合、それが一意的に解釈できるように明示する。
8医薬品の取扱いや服用を容易にするために添加剤を加えること。乳糖やデンプンがよく用いられる。
97)及び8)の「内服薬処方せんの標準的な記載方法」とは、「3.内服薬処方せん記載の在るべき姿」に示した1)~5)及び「7.処方例」の(在るべき姿)を意味する。
(参考1)
処方せんに関する法令の規定について
医師法(昭和23年法律第201号)
第20条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。
第22条 医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当つている者に対して処方せんを交付しなければならない。ただし、患者又は現にその看護に当つている者が処方せんの交付を必要としない旨を申し出た場合及び次の各号の一に該当する場合においては、この限りでない。
(略)
医師法施行規則(昭和23年省令第47号)
第21条 医師は、患者に交付する処方せんに、患者の氏名、年齢、薬名、分量、用法、用量、発行の年月日、使用期間及び病院若しくは診療所の名称及び所在地又は医師の住所を記載し、記名押印又は署名しなければならない。
歯科医師法(昭和23年法律第202号)
第20条 歯科医師は、自ら診察しないで治療をし、又は診断書若しくは処方せんを交付してはならない。
第21条 歯科医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当つている者に対して処方せんを交付しなければならない。ただし、患者又は現にその看護に当つている者が処方せんの交付を必要としない旨を申し出た場合及び次の各号の一に該当する場合においては、その限りでない。
(略)
歯科医師法施行規則(昭和23年省令第48号)
第20条 歯科医師は、患者に交付する処方せんに、患者の氏名、年齢、薬名、分量、用法、用量、発行の年月日、使用期間及び病院若しくは診療所の名称及び所在地又は歯科医師の住所を記載し、記名押印又は署名しなければならない。
薬剤師法(昭和35年法律第146号)
第23条 薬剤師は、医師、歯科医師又は獣医師の処方せんによらなければ、販売又は授与の目的で調剤してはならない。
2 薬剤師は、処方せんに記載された医薬品につき、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師の同意を得た場合を除くほか、これを変更して調剤してはならない。
第24条 薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。
保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年省令第15号)
第23条第1項 保険医は、処方せんを交付する場合には、様式第2号又はこれに準ずる様式の処方せんに必要な事項を記載しなければならない。
保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和32年省令第16号)
第8条第1項 保険薬局において健康保険の調剤に従事する保険薬剤師(以下「保険薬剤師」という。)は、保険医等の交付した処方せんに基いて、患者の療養上妥当適切に調剤並びに薬学的管理及び指導を行わなければならない。
診療報酬請求書等の記載要領等について(昭和51年8月7日保険発第82号保険局医療課長、歯科医療管理官通知)
別紙1 診療報酬請求書等の記載要領
Ⅳ 調剤報酬請求書及び調剤報酬明細書に関する事項
第2 調剤報酬明細書の記載要領(様式第5)
2 調剤報酬明細書に関する事項
(21) 「処方」欄について
ア 所定単位(内服薬(浸煎薬、湯薬及び一包化薬を除く。以下同じ。)及び一包化薬にあっては1剤1日分、内服用滴剤、屯服薬、浸煎薬、湯薬、注射薬及び外用薬にあっては1調剤分)ごとに調剤した医薬品名、用量(内服薬については、1日用量、内服用滴剤、注射薬及び外用薬については、投薬全量、屯服薬については1回用量及び投薬全量)、剤形及び用法(注射薬及び外用薬については、省略して差し支えない。)を記載し、次の行との間を線で区切ること。
なお、浸煎薬及び湯薬の用量については、投薬全量を記載し、投薬日数についても併せて記載すること。
(後略)
ウ 医薬品名は原則として調剤した薬剤の名称、剤形及び含量を記載すること。
(22) 「単位薬剤料」欄について
「処方」欄の1単位(内服薬及び一包化薬にあっては1剤1日分、内服用滴剤、屯服薬、浸煎薬、湯薬、注射薬及び外用薬にあっては1調剤分)当たりの薬剤料を記載すること。(後略)
(23) 「調剤数量」欄について
ア 「処方」欄記載の処方内容に係る調剤の単位数(内服薬及び一包化薬にあっては投薬日数、内服用滴剤、浸煎薬、湯薬、屯服薬、注射薬及び外用薬にあっては調剤回数)を調剤月日ごとに記載すること。
別紙2 診療録等の記載上の注意事項
第5 処方せんの記載上の注意事項
7 「処方」欄について
投薬すべき医薬品名、分量、用法及び用量を記載し、余白がある場合には、斜線等により余白である旨を表示すること。
(1) 医薬品名は、原則として薬価基準に記載されている名称を記載することとするが、一般名による記載でも差し支えないこと。
なお、当該医薬品が、薬価基準上、2以上の規格単位がある場合には、当該規格単位をも記載すること。
また、保険医療機関と保険薬局との間で約束されたいわゆる約束処方による医薬品名の省略、記号等による記載は認められないものであること。
(2) 分量は、内服薬については1日分量、内服用滴剤、注射薬及び外用薬については投与総量、屯服薬については1回分量を記載すること。
(3) 用法及び用量は、1回当たりの服用(使用)量、1日当たり服用(使用)回数及び服用(使用)時点(毎食後、毎食前、就寝前、疼痛時、○○時間毎等)、投与日数(回数)並びに服用(使用)に際しての留意事項等を記載すること。
(参考2)
(参考3)
(参考4)
平成17年6月8日
厚生労働省医政局長
処方せんの記載方法等に関する意見
医療安全対策検討会議座長
本検討会議は、医療安全対策について議論を重ね、今般、処方せんの記載方法等に関し、別添のとおり意見をとりまとめたので、これを報告する。
処方せんの記載方法等に関する意見
当検討会議においては、医療安全対策について検討を行ってきたところであるが、ヒューマンエラー部会から処方せんの記載方法等についての意見が提出されたため、これに基づき議論を行ったところである。
処方せんについては、医師法等に基づき記載が行われているが、記載方法、記載項目等については、医師、医療機関の間で統一されておらず、そのことに起因した処方せんの記載ミス、記載漏れ、指示受け間違い等のヒヤリ・ハット事例や医療事故が後を絶たない状況にある。
このような認識の下、当検討会議としては、医療安全の観点からも、記載方法、記載項目の標準化を含めた処方せんの記載等に関する検討を早急に行うべきであるという結論に達したところである。
厚生労働省においては、本件について適切に対応されることを強く期待するものである。
(参考5)
情報伝達エラー防止のための処方に関する記載についての標準案(平成20年度研究)
1 「薬名」について
薬名は販売名または一般名(原薬名)を記載する。
ブランドを指定する場合においては、「ブランド名」、「剤形」、「規格・含量(配合剤の場合を除く)」の3要素を必ず含むように記載する。
2 「分量」「用法」「用量」について
(1) 内用薬
分量は1回服用量で記載し、用法・用量として1日服用回数、服薬時期、服用日数を記載する。
散剤、液剤において薬名を販売名で記載した場合には、分量は製剤量(薬剤としての重量)で記載する。
散剤、液剤において薬名を一般名(原薬名)で記載した場合には、分量は原薬量で記載する。
尚、ラキソベロン液等については総量(本数等)も記載する。
(例外)漢方生薬(浸煎剤、湯剤)の分量については1日量を記載する。
(2) 外用薬
分量は原則として1回量を記載し、「用法」「用量」として1日の使用回数、使用時期、使用部位、使用日数を記載する。
坐薬等の分量は1回量を記載し、用法(回数・使用時期・使用方法)、投与日数を記載して最後に全量を記載する。
外用液剤の分量は1回量を記載し、用法(回数、使用時期、使用方法)、投与日数を記載して最後に全量を記載する。
(3) 注射薬
分量は1回量を記載する。
(4) 在宅自己注射薬
分量は原則として1回量を記載し、「用法」「用量」として1日の使用回数、使用時期、使用日数を記載する(使用量が使用時期により異なる場合には使用量を使用時期毎に定めて記載する)とともに、総量(本数等)も記載する。
尚、過渡期においては1回量で記載しているのか1日量で記載しているのかを明示することが必要である。また、現状で1日量を記載している場合の用法として「1日3回」等の表現は不適切である。「分3」あるいは「1日3回に分けて」と表記することが必要である。
(参考6)
(別紙)
内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会委員名簿
(五十音順/○:座長)
飯沼 雅朗 日本医師会常任理事
岩月 進 日本薬剤師会常務理事
江里口 彰 日本歯科医師会常務理事
大原 信 筑波大学附属病院医療情報部長
○楠岡 英雄 国立病院機構大阪医療センター院長
隈本 邦彦 江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授
齊藤 壽一 社会保険中央総合病院名誉院長
佐相 邦英 電力中央研究所社会経済研究所
ヒューマンファクター研究センター上席研究員
嶋森 好子 慶応義塾大学看護医療学部教授
土屋 文人 日本病院薬剤師会常務理事
永池 京子 日本看護協会常任理事
花井 十伍 特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権理事
伴 信太郎 名古屋大学医学部附属病院総合診療部教授
望月 正隆 東京理科大学薬学部薬学科教授
森山 寛 東京慈恵会医科大学附属病院長