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○人工心肺装置の安全使用について(周知徹底)

(平成21年10月8日)

(/医政総発1008第1号/薬食安発1008第1号/)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医政局総務課長・厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)

今般、日本心臓血管外科学会及び日本人工臓器学会から、人工心肺の取扱いについて注意喚起がなされましたのでお知らせします(別添1、2)。

その中で、人工心肺装置の安全使用のため、「人工心肺装置の標準的接続方法およびそれに応じた安全教育等に関するガイドライン」及び「人工心肺における安全装置設置基準」(別添3)の確認と徹底を行うよう提言されていますので、その内容につき、貴管内の心臓血管手術を実施する医療機関に対し周知方御協力をお願いします。

なお、「人工心肺装置の標準的接続方法およびそれに応じた安全教育等に関するガイドライン」については、頁数が多いため本通知には添付いたしませんが、厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/04/dl/tp0427-10-1.pdf)から参照可能であることを申し添えます。

(留意事項)本通知の内容については、貴管内の人工心肺装置を用いた心臓血管手術を実施する医療機関の医療安全管理者、心臓血管手術担当部の責任者、医療機器の安全使用のための責任者等に対しても周知されるよう御配慮願います。

(別添1)

日本心臓血管外科学会会員各位

特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会理事長

医療安全管理委員会委員長

・人工心肺における安全装置設置基準

・人工心肺装置の標準的接続方法およびそれに応じた安全教育等に関するガイドラインの確認と徹底のお願い

2009年9月10日開催の日本心臓血管外科学会理事会で,最近の人工心肺関連の医療事故に関して検討した結果,再発防止策(添付文書)を会員各位に安全情報として周知することを決定しました。さらに,2007年4月に日本体外循環技術医学会から発表された「人工心肺における安全装置設置基準」の勧告を会員各位に改めて周知し,必須項目(別記に抜粋)については迅速に導入し,安全装置の設置徹底を勧告します。また,本学会が中心となって作成しました,「人工心肺装置の標準的接続方法およびそれに応じた安全教育等に関するガイドライン」はすでに学会ホームページから,リンク先(厚労省)を掲載していましたが,今回,このガイドラインのPDFを本会ホームページにアップロードしました。各施設で採用されている回路・機器の関連項目については,是非ともご一読の上,人工心肺の安全管理の徹底をお願いします。

なお,3学会構成心臓血管外科専門医認定機構とも協議の上,数年後には専門医研修指定施設の認定条件として,[臨床工学技士に加え体外循環技術認定士の資格所得者が1名以上常勤していること]が加わる見込みです。この資格は学会認定であり,これまでは東京でのセミナー参加には地域により費用負担に大きな差を生じていましたが,今後は関連学会の開催に合わせてセミナーを行うなど改善に努めますので,資格取得に向けて,臨床工学技士の方々への支援をお願いします。

人工心肺中の空気誤送事故の原因調査結果および再発防止策が公表され,複数の要因が判明しました。

http://com4.kufm.kagoshima-u.ac.jp/news/news.php?eid=00058

このうち,使用機器,器材に関する重要な要因についてのみ抜粋し,下記に列挙します。

・静脈リザーバにレベルセンサーを用いていなかった。また,レベルの低下に気づいていなかった。

・吸引回路にカルディオトミーリザーバを別個に使用しており,通常はローラーポンプで吸引していたが,大動脈遮断時のみ壁吸引でカルディオトミーリザーバを陰圧にして回収していた。なお,この間は陰圧となったカルディオトミーリザーバと静脈リザーバの接続ラインはクランプしていた。

大動脈遮断解除時には,壁吸引をはずして,カルディオトミーリザーバと静脈リザーバの接続ラインのクランプを解除するところをしなかった。

・このためカルディオトミーリザーバの血液量(ベント血の回収など)が増加し,静脈リザーバが空となった。

以上を踏まえて,会員各位には下記のように勧告をします。

・ポンプシステムを複雑にするのは危険で、カルディオトミーリザーバはポンプ吸引だけで操作すべきである。

・壁吸引が必要な時は人工心肺とは独立したシステムとして(例えば、自己血回収装置など)使用する。

日本体外循環技術医学会勧告:人工心肺における安全装置設置基準より必須項目抜粋

1.レベルセンサー(アラーム付き)を貯血槽に設置することを必須とする

4.送血圧力計は人工肺の手前で常時モニターすることを必須とする

4―5.フィルター入口圧は切り替えもしくは追加的にモニターできることを必須とする

4―6.フィルターと送血圧カニューレの間の圧を追加的にモニターできることを必須とする

5.遠心ポンプ送血では流量計の取り付けを必須とする

7.送血フィルターもしくはエアトラップの送血回路へ取り付けを必須とする

10.心筋保護液の注入圧力のモニターを必須とする

日本体外循環技術医学会勧告:人工心肺における安全装置設置基準

http://jasect.umin.ac.jp/safety/anzenkankoku070427.pdf

(別添2)

2009年9月18日

日本人工臓器学会会員各位

日本人工臓器学会

教育担当理事

臨床工学[体外循環]担当理事

「人工心肺装置の標準的接続方法およびそれに応じた安全教育等に関するガイドライン」および「人工心肺における安全装置設置基準」の確認と徹底のお願い

最近の人工心肺関連の医療事故に関して検討致しましたところ、再発防止のために、会員各位に安全情報として上記を再度、周知することが必要と思いました。

また、人工心肺中の空気誤送事故の原因調査結果および再発防止策が公表されています。原因として複数の要因が判明しており、自施設での安全対策に役に立つと思われます。

是非、一読していただき、人工心肺の安全管理の徹底をお願い致します。

http://com4.kufm.kagoshima-u.ac.jp/news/news.php?eid=00058

以上、取り急ぎ、ご連絡・ご案内致します。

一般社団法人 日本人工臓器学会

〒112―0012 東京都文京区大塚5―3―13

小石川アーバン4階 学会支援機構内

(別添3)

2007年04月27日

会員各位

日本体外循環技術医学会

理事長

教育委員長

安全対策委員長

勧告

日本体外循環技術医学会は、定款の活動目的「体外循環技術の進歩」の一環として、体外循環技術の領域に関して学術的な研究成果の報告だけにとどまらず、臨床時における安全の確保と技術の向上を目的として活動する国内第一の学術団体を目指しております。そのため、学術団体として科学的裏づけに基づいたガイドラインなどを、時期を逸することなく早期に提示し、医療事故を減らす努力をしております。これらの活動が患者様の安全を確保し、また、本学会の会員をも守ることができるのではないかと考えております。

このたびの人工心肺における安全装置の設置基準の勧告は、上記に掲げた「安全の確保」を目指した活動の一つです。本来ならば、他のどの団体よりも厳しい安全基準を示すべき立場であると思いますが、今回の勧告は、実現可能な最小限の必須事項と項目について記載しました。会員の皆様には、本内容をご理解いただき、できる限り今回の勧告を参考に安全装置の設置をお願いしたいと思います。

日本体外循環技術医学会勧告

人工心肺における安全装置設置基準

2007/04/20

1.静脈血酸素飽和度(SVO2)をモニターすることを強く推奨する。

1―1.動脈血連続ガスモニターを推奨する。

2.レベルセンサー(アラーム付き)を貯血槽に設置することを必須とする。

2―1.レベルセンサーによる送血ポンプの制御を強く推奨する。

3.気泡検出器(アラーム付き)を送血回路に設置することを強く推奨する。

3―1.気泡検出による送血ポンプの制御も強く推奨する。

4.送血圧力計は送血ポンプと人工肺の間に設置し常時モニターすることを必須とする。

4―1.高圧時のアラーム機能を強く推奨する。

4―2.ローラーポンプ送血では高圧時の制御を強く推奨する。

4―3.遠心ポンプも高圧時の制御を推奨する。

4―4.送血圧とは別に送血フィルターの入口圧の常時モニターも推奨する。

4―5.フィルター入口圧は切り替えもしくは追加的にモニターできることを必須とする。

4―6.フィルターと送血カニューレの間の圧を追加的にモニターできることを推奨する。

5.遠心ポンプ送血では流量計の取り付けを必須とする。

5―1.低流量アラームの設定を推奨する。

6.遠心ポンプでは逆流防止策を推奨する。

7.送血フィルターもしくはエアトラップの送血回路へ取り付けを必須とする。

7―1.送血フィルターの取り付けを強く推奨する。

8.ポンプベントではベント回路への逆流防止弁の取り付けを推奨する。

9.送血フィルター、人工肺の気泡抜き回路には逆流防止弁の取り付けを推奨する。

10.心筋保護液の注入圧力のモニターを必須とする。

10―1.設定圧を超えた場合のアラーム機能を強く推奨する。

10―2.高圧時の注入ポンプの制御を推奨する。

11.心筋保護液回路への気泡検出器の取り付けを強く推奨する。

注意

● 必須:安全を確保する上で遵守しなければならない。

● 強く推奨:安全上、可能な限り遵守すべきである。

本学会としては近い将来必須となるように検討する。

● 推奨:理想的には遵守したほうが良い。

(以上)