○中国残留邦人等に対する支援策に係る問答集について
(平成21年7月7日)
(社援対発0707第8号)
(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局援護企画課中国孤児等対策室長通知)
中国残留邦人等に対する援護施策につきましては、平素から格段のご配慮を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、標記につきまして、各都道府県等から質疑、照会が寄せられたもののうち、「支援給付」、「支援給付施行事務監査」、「支援・相談員」及び「地域における生活支援」について、最近の実施要領等の改正を踏まえ、別添のとおり「中国残留邦人等に対する支援策問答集」を新たに作成いたしましたので、管内の援護担当課及び支援給付の実施機関に対する周知方、よろしくお願いいたします。
中国残留邦人等に対する支援策問答集
平成21年7月7日
厚生労働省社会・援護局
援護企画課中国孤児等対策室
目次
Ⅰ 支援給付制度について
1.対象者
2.基準
3.実施機関・実施責任
4.費用負担
5.収入認定の取扱い
6.資産の取扱い
7.扶養義務の取扱い
8.世帯認定、2世等と同居している場合の取扱い
9.医療支援給付及び介護支援給付
10.調査、指導指示、返還徴収等
11.申請手続き
12.統計
13.経費
14.海外渡航
15.その他
Ⅱ 支援給付施行事務監査について
Ⅲ 支援・相談員について
1.配置の考え方
2.業務内容
3.配置の実施主体
4.配置人員及び日数
5.配置の方法
6.報酬等
7.予算の執行関係
8.資金交付
9.配置に伴う事務費
Ⅳ 地域における生活支援について
1.制度の切り替え
2.セーフティネット支援対策等事業費補助金交付申請
3.支援連絡会の設置
4.地域における生活支援の対象者
5.地域における中国残留邦人等支援ネットワーク事業
6.身近な地域での日本語教育支援事業
7.自立支援通訳等派遣事業
8.中国残留邦人等への地域生活支援プログラム事業
9.市区町村担当者への研修会
10.支援給付適正実施推進事業
※用語解説
「法」とあるのは、「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律(平成6年法律第30号)」である。
「法施行規則」とあるのは、「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律施行規則(平成6年厚生省令第63号)」である。
「局長通知」とあるのは、「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律による支援給付の実施要領(平成20年3月31日社援発第0331008号)」である。
「課長通知」とあるのは、「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律による支援給付の実施要領の取扱いについて(平成20年3月31日社援企発第0331001号)」である。
Ⅰ 支援給付制度について
1.対象者
Q1.支援給付の対象者に特定中国残留邦人等の配偶者が含まれるが、日本国籍以外の者も対象となるのか。また、永住帰国時に特定中国残留邦人等と国費で同伴帰国した者に限られるのか。 |
A 配偶者の国籍は問わない。
また、国費帰国者に限らず、特定中国残留邦人等の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)であれば支援給付の対象者となることができる。
2.基準
Q1.同一世帯に特定中国残留邦人等が2人いる場合(夫婦、親子又は兄弟姉妹等で、両名とも特定中国残留邦人等となる場合)の基準額の算出及び年金収入の取扱いについて示されたい。 |
A 支援給付の基準額の計算について、同一世帯に特定中国残留邦人等が2人いる場合は2人世帯として基準額を算出し、3人いる場合は3人世帯として基準額を算出する。4人以降も同様である。
なお、年金収入の取扱いについては、特定中国残留邦人等が2人以上いる場合は、それぞれ老齢基礎年金満額相当額(平成20・21年度66,008円)が収入認定除外となり、これを超える年金収入については、その3割を控除した上で収入認定となる。
Q2.介護保険料が特別徴収である場合も介護保険料加算を行うということは、年金の収入認定額は、実際の支給額ではなく特別徴収前の年金額で行うということか。 |
A お見込みのとおり。
ただし、老齢基礎年金満額相当額については、収入認定除外となり、これを超える年金額(特別徴収前の年金額-老齢基礎年金満額相当額)については、その3割を控除した上で、収入認定となることに留意願いたい。
Q3.介護保険料加算について、特別徴収の者についても、普通徴収保険料相当分を加算する方法がとれないか。 (特別徴収額は年度途中で変動することも多く、正確に把握することは、かなり手間がかかる。普通徴収、特別徴収にかかわらず普通徴収相当分の加算を行うことはできないか。) |
A 生活保護制度同様、支援給付の基準額は、その月々の需要に対応するものである。支援給付の開始廃止に伴い、保険料の額、徴収方法、徴収月が変更となる場合もある。したがって、介護保険料加算については、その月々に実際の必要額を計上するようお願いしたい。
3.実施機関・実施責任
Q1.支援給付を受給している特定中国残留邦人等に対し、生活保護のケースワーカーが担当しても差し支えないか。 |
A 支援給付の事務を担う部署については、自治体の判断としているところであるが、生活保護担当課が引き続き担当する場合においては、窓口や案内板を別に設けるなどの配慮をして、懇切丁寧に行うものとする。また、支援・相談員の積極的な活用をお願いしたい。
4.費用負担
Q1.地方の財政負担分については、地方交付税の対象となっているか。 |
A 地方交付税の対象である。
5.収入認定の取扱い
Q1.4月又は5月に支援給付を申請し支給開始となった場合においては、その者は申請時に既に収入申告を行っていることになるが、その場合であっても6月に再度収入申告を行わなければならないのか。 |
A 収入申告は収入に変動がない場合も含め、6月には必ず行う必要があるものである。
なお、開始申請時には直近の収入(同居している者については原則前年の収入)を申告することになるが、6月は前年1年分の収入(年金収入については直近月の受給額)を申告する必要があるので留意されたい。
また、年金収入については変動があるたびに収入申告するよう指導願いたい。
Q2.6月の収入申告の結果は、4月、6月、7月のいずれの月の支援給付の額に反映されるのか。 |
A 6月以降の支援給付の額を変更することとされたい。
Q3.就労収入の必要経費の把握は、あくまで前年分のものを把握するのか。 |
A お見込みのとおり。
Q4.収入申告は年1回で、6月に実施ということだが、就労収入の認定変更は6月から4月に遡及する必要はないのか。 |
A 認定額の変更は6月に行うものであり、4月に遡及する必要はない。
Q5.新規ケースは直近の収入としているが、直近何ヶ月か。今後受給が見込まれない直近の臨時的収入の取扱いはどうするのか。 |
A 局長通知第7―3「認定指針」に従われたい。
なお、本通知第7―1において「直近月」とは当月(申請時の場合は申請月)、これによることが適当ではない場合は前月(申請時の場合は申請月の前月)を指すものと定めているところである。
また、今後受給が見込まれない直近月の臨時的収入については、全額開始月に認定し、預貯金・手持ち金等には含めず、翌月に収入から削除するものである。直近月前に受給した臨時的収入については預貯金・手持ち金等に含めて扱われたい。
Q6.老齢基礎年金が満額支給されていない者について老齢基礎年金以外の年金収入がある場合、年金収入のうち老齢基礎年金部分についてだけ収入認定除外するということでよいか。 |
A 収入認定除外となるのは老齢基礎年金部分に限らない。特定中国残留邦人等本人が、厚生年金保険法、船員保険法、各種共済年金保険法、国民年金法による年金を受給している場合については、これらの合計額のうち老齢基礎年金満額相当額までは収入認定除外となる。
Q7.配偶者が年金収入を得ている場合、特定中国残留邦人等の年金収入とは別に老齢基礎年金の満額相当額について収入認定除外し、それを超える額について3割を控除して認定することとなるのか。 それとも、老齢基礎年金満額相当額を認定除外できるのは特定中国残留邦人等の年金収入のみで、配偶者の年金収入は3割控除して認定することとなるのか。 |
A 老齢基礎年金満額相当額を収入認定除外できるのは、特定中国残留邦人等本人の年金収入のみである。配偶者の年金収入については、年金の種類、金額にかかわらず3割を控除した後の額を収入認定することとなる。
Q8.老齢厚生年金だけを受給している65歳未満の特定中国残留邦人等(65歳到達時に老齢基礎年金も受給するケース)についても、支援給付の対象にしてよろしいか。 また、その場合の年金収入の認定は下記のとおりでよろしいか。 例) 老齢厚生年金 31,000円/月(控除前) 31,000円-(31,000円×3割)=21,700円 ※収入認定額 |
A 特定中国残留邦人等については支援給付の対象となる。
この場合、65歳未満であっても、老齢基礎年金満額相当額は年金収入から除外されるため、設問の事例では、31,000円全額が収入認定除外されることとなる。
Q9.支援給付制度の収入認定について 新たに支援給付の対象となる世帯の就労に伴う収入について、直近の収入により認定額を決定し、その後は、収入に大幅な変更がない場合は、翌年6月(年金額の改定時期)に、前年1年間の収入を基に月額を算定し、8,000円控除したうえで、残額の3割を控除した額を収入認定すればいいのか。 |
A 局長通知第7―3―(1)の定めるとおりである。
勤労(被用)収入を例にとれば、ア―(ウ)―dに定めるところにより、新規開始月以降次の6月までの間、収入が増加する都度申告を行わせ、収入認定額を変更することになる。また、収入が減少した場合は届出があった場合に限り、収入認定額を変更することになる。
なお、次の6月の段階ではこの取扱いは一旦白紙に戻り、bの規定により前年1年の収入を基に月額が算定されることになるが、なお生活維持が困難な場合にはcの規定が適用され、さらに1年間dの規定により同様の取扱いを継続することになるものである。
Q10.支援給付受給世帯の収入認定において、年金以外の収入は、新規申請の場合を除いて、前年の収入を基に、月額を算定する方式となっているが、前年の一時期のみ就労収入があった場合、また、前年の後半に就労収入があり現在も継続している場合、ともに年間収入を12ヶ月で割る算定でよいのか。 また、その他の臨時的収入について、次年度に受給が見込まれない場合も収入認定するのか。 |
A 毎年6月の収入認定における就労収入の取扱いについては、いずれもお見込みのとおり。
ただし、局長通知第7―3―(1)ア・イ・ウにおいては、「既に勤労(農業及び事業)就労による収入を得ていない場合については、支援給付受給前に受領した額を除く」旨の規定を設けているところである。また、収入の減少等により真にやむを得ないと認められる場合には「直近月の収入」等を基に収入認定額を変更するとの例外規定も設けているところである。
他方、その他の臨時的収入については、支援給付受給前に受領したものは収入認定の対象としないが、支援給付受給中に受領したものについては、翌年の(1月から5月は翌々年)6月に収入申告を行い、6月以降1年間の収入として認定されることとなるので、予め対象者に十分説明を行い、計画的な消費を促し、適切に認定されたい。
Q11.同居している2世等世帯の生活保護制度での要否判定について 同居している2世等の生活保護の要否判定において2世等の収入額の算定は保護の実施要領に基づいて算定するということでよいか。 |
A お見込みのとおり。
Q12.2世等と同居している場合、世帯全体への仕送り収入があり、被支援者の収入か同居している者の収入か判断できないものについて、どちらの収入とするかは、あくまで申告によれば良いのか。それとも世帯人員など合理的な方法で按分すべきか。 |
A 通常は、当該仕送りの趣旨や仕送り者との関係性等から判断できるものと思われるが、特定が困難なものについては、同居している者を含めた世帯全体への仕送りとみなし、支援給付受給世帯と同居している者の人数に応じて按分して算定して差し支えない。
Q13.同居している2世等の収入が多く生活保護を受給していない場合、特定中国残留邦人等世帯への収入充当額が生じ、2世等の収入・世帯構成の変動により支援給付の額に増減が生じる。この場合、2世等の状況についても支援給付受給者に申告義務があるものと考えて良いか。 |
A 同居している者の収入の把握は、局長通知第7―3―(2)―オ―b―(b)に規定する収入認定の特例的な取扱いの適用を受けた者を除き、年1回6月に行えば良く、随時収入を把握する必要はないものである。
また、同居している者の異動状況については、入退院等の変動があっても、居宅基準生活費を計上することとしており、随時把握することは要しないものである。
なお、同居している者の転出入による増減については、収入の申告時(原則として年1回6月)にあわせて行うこととしたので了知願いたい。
Q14.収入認定において3割控除する際、端数処理の仕方をご教示願いたい。 |
A 局長通知第7―3の認定指針に基づき算出された認定額については、1円未満を切り捨てることとされたい。(生活保護と同様の処理による。)
Q15.「支援給付開始後に、遡及して支払われた老齢基礎年金等の公的年金」(以下、「遡及年金」という。)についての具体的な取扱いを示されたい。 |
A
1 生活保護から切替えた者に対する遡及年金のうち、その支払いが本来の支払期日であったならば、生活保護において収入認定されていたであろう額は、生活保護法第63条の規定により返還させるものである。
※ 支払期日とは、国民年金法(昭和34年法律第141号)第18条第3項本文中の「年金給付は、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に、それぞれの前月までの分を支払う。」との規定により、通常通り支払われた場合における、各期の支払日のこと。
2 一方、新規の支援給付開始者に対する遡及年金のうち、その支払いが(本来の)支払期日であったならば、支援給付開始前に受け取っていたであろう年金は、支援給付開始時の預貯金・手持ち金等に合算し、課長通知第3―問1において示されている保有限度額を超えるものを生活保護法第63条の規定の例により返還させるものとする。
ただし、当該年金のうち、以下のア又はイに掲げる、改正法施行後に年金受給権の発生又は年金額の改定が確定したことによる遡及年金は、改正後の法に基づく支援給付の実施にあたり、特定中国残留邦人等及びその配偶者が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるように必要な配慮をし、懇切丁寧に行うよう法が要請していることを踏まえると、社会通念上処分させることを適当としない預貯金資産であるから、預貯金・手持ち金等の保有限度額を考慮する際に合算しないものとする。
ア 年金給付に係る処分等に対し、改正法施行前に提起された不服申立て、訴訟等に対する決定等によって、年金受給権の発生又は年金額の改定が確定した場合における年金
イ 改正後の法に基づく、満額の老齢基礎年金等の支給を受けるための保険料納付が、行政の事務手続き等に時間を要したことにより、一時金の申請を受理した日の翌月(ただし、平成20年4月前となる場合は平成20年4月)に遡って支払われることとなった場合における年金
3 なお、遡及年金のうち、その支払いが本来の支払期日であった場合において支援給付開始後の収入とされる額については、本来の支払期日に支払われた場合と同様の方法により、法施行規則第18条の2第1項第1号イに掲げる額を上限に収入認定から除外し、その他については、支援給付の規定にしたがって収入認定するものとする。
(生活保護からの切替え)
(新規支援給付開始者)
※1 遡及して支給された年金額のうち支援給付開始月の前月までの年金分
※2 老齢基礎年金の満額支給のために保険料を納付した際、手元に残ることとなる拠出保険料相当額の一時金の額
※3 資産の保有限度額に合算しない年金
参考 預貯金・手持ち金等の保有限度額
平成19年度499.2万円(10,400×480月)
平成20年度513.6万円(10,700×480月)
平成21年度523.2万円(10,900×480月)
Q16.既に一時金が支給決定されている者について、年金記録の判明及び訂正などに伴い、追加で一時金が支給されることとなったが、この取扱い如何。 |
A 一時金は特定中国残留邦人等の特別な事情により法第13条に基づき支給するものである。支援給付の実施にあたり、特定中国残留邦人等及びその配偶者が日常生活を円滑に営むことが出来るように必要な配慮をし、懇切丁寧に行うよう法が要請していることを踏まえると、支援給付受給後の年金記録の確認、訂正等に伴い支給された一時金は、社会通念上処分させることを適当としない預貯金等資産であるから、支援給付開始時の資産の保有限度額を考慮する際の預貯金・手持ち金等に合算しないものとする。
なお、一時金は法施行規則第18条の2等の規定により、収入としても認定しないものである。
Q17.支援給付受給後に自動車事故等の被害により補償金、保険金等を受領した場合、その他の収入として取り扱ってよろしいか。 また、この場合の収入認定は、翌年(1月から5月の場合は翌々年)の6月に行うことでよろしいか。 |
A お見込みのとおり。
6.資産の取扱い
Q1.自動車及び土地・家屋の保有については一定の要件が定められているが、申請時において、その資産価値を挙証する書類の提出は求めて良いのか。 |
A 支援給付申請時においては、生活保護の申請時に準じた収入・資産の調査を行うこととしており、必要に応じて挙証資料の提出を求めることとされたい。
Q2.新たに支援給付を申請する特定中国残留邦人等世帯が、申請時に保有できる預貯金・手持ち金等の限度額について示されたい。 |
A 課長通知第3―1のとおり、支援給付開始申請時の預貯金・手持ち金等(生命保険の解約返戻金含む)については、老齢基礎年金の満額支給に必要な40年分の保険料相当の一時金の額まで保有を認めて差し支えないものである。なお、この場合の一時金の額はその者が一時金の支給決定を受けた年度の額とする。
Q3.保有を認める自動車の査定価格については、見積書等の提出を求めるべきか。 |
A お見込みのとおり。
Q4.生活保護と同様に資産価値が500万円以上の不動産には、「要支援世帯向け長期生活支援資金」を活用するのか。 |
A 資産(土地・家屋)の保有については、資産価値が概ね500万円を超える居住用不動産を所有している者については、生活保護制度に準じて要支援世帯向け長期生活支援資金(リバースモゲージ)の貸付け等を検討することとなる。
ただし、新たな支援策は、中国残留邦人等の方々の老後の生活の安定のために特別の措置を講じたものであることにかんがみ、実際の運用に当たっては、個々の事情に十分配慮する必要があることから、対象となる資産を保有する者から支援給付についての相談又は申請があった場合は、別途当省と個別に相談・協議していくこととしたので当省へ情報提供願いたい。
参考 「要支援世帯向け長期生活支援資金の利用に伴う情報提供について(依頼)」(平成20年6月16日付け社援発第0616001号)
Q5.生活保護を受給している2世等と同居している支援給付受給世帯に対し、自動車保有を認めた場合、生活保護受給世帯である2世等については保有が認められないことから、2世等が当該自動車を使用することはできないということでよろしいか。 Q6.支援給付の対象者が2世等と同居している場合の自動車の保有要件はどうするのか。自動車の名義が支援給付を受けている者か同居している者かの別により、その保有の要否を判断することとなるのか。 その場合、支援給付を受給している者が所有する自動車を同居している者が使用することも十分に考えられるが、どのように対処すべきか。 |
A 支援給付を受給している者の自動車の保有については、課長通知第3―12にて示しているところであるが、その保有容認要件として「自動車が当該特定中国残留邦人等及びその者の配偶者の生活の維持のために使われているものであること」及び「特定中国残留邦人等、その者の配偶者、又は同居している者(原則として生活保護を受給中の者を除く。)若しくは常時介護者が運転する場合であること。」等を定めている。
したがって、特定中国残留邦人等及びその者の配偶者の生活維持のために使用される場合であっても、世帯の中に他に運転免許を所持する者がいないなどの理由で、生活保護を受給中の2世等が常時運転するといった場合には、そもそもの保有要件を満たさないことになる。また、保有要件を満たした場合であっても、特定中国残留邦人等名義の自動車を同居の生活保護を受給中の2世等が自己のために使用することは認められないものである。
しかしながら、この趣旨は生活保護を受給中の同居の2世等が自動車を運転することを全面的に禁じるものではない。例えば、やむを得ない事情により特定中国残留邦人等又はその者の配偶者の通院の送迎時に2世等が運転する場合など、特定中国残留邦人等の生活維持のために限定的に使用することは認めて差し支えないものである。
なお、その場合には、自動車損害賠償責任保険等が2世世帯等にも適用されるよう助言指導されたい。
Q7.支援給付開始申請時にすでに年金方式で受給している年金型生命保険の取扱いについて。 |
A 支援給付開始申請時にすでに年金方式にて受給している年金型生命保険については、課長通知第3―15と同様に課長通知第3―13により保有の可否を判断することとする。その判定の際に用いる解約返戻金の額は支援給付開始申請時の額を用いることとする。
なお収入認定についても課長通知第3―15と同様に取扱い、課長通知第3―13の条件を満たしたものについては収入認定除外することとし、満たさないものについては収入認定することとする。
Q8.支援給付の審査に当たっては、同居している2世等の稼働能力や資産は問わないこととなるのか。 |
A お見込みのとおり。
支援給付の額を決定するために収入状況を把握する必要はあるが、2世等同居している者の稼働能力や資産の活用を求める必要はないので留意されたい。
Q9.ローン付き不動産を2世と共有し、ローンが連帯債務となっている場合で、事実上のローンの返済は2世が行っている(2世の口座から全額引き落とされている事が確認できる)。この場合、特定中国残留邦人等へ支援給付を適用することは可能か。 |
A 一般的に個人がローンにより取得した住宅で、ローン完済前のものを所有している者に支援給付を適用した場合には、結果として生活に充てるべき支援給付からローンの返済を行うこととなるので、原則として支援給付の適用は行うべきではない。
このケースについては2世との共有名義のローンであり、事実上、2世が毎月の返済を全額負担していることが確認されていることから支援給付を適用しても差し支えない。
ただし、登記時のそれぞれの持ち分の割合等を調査し、特定中国残留邦人等の持ち分が、当該実施機関における標準3人世帯の生活支援給付基準に住宅支援給付特別基準額を加えた値におおよそ10年を乗じた額を超えている場合は、その保有について実施機関で検討を行うこと。
7.扶養義務の取扱い
Q1.生計を別にする2世・3世に対する扶養照会は行わないこととなるのか。 |
A 扶養能力調査(扶養義務者への照会)については、生計を別にする2世3世に対しては実施機関から直接扶養照会は行わず、要支援者を通じて行うこととなる。
ただし、2世3世が要支援者に対し経済的援助を申し立てているような場合については、その援助を受けるよう促されたい。
Q2.2世等と同居している特定中国残留邦人等世帯から新たに支援給付の申請があった場合、同居する2世等は生活保護を受給する場合を除き、制度の対象外となるので、2世等の稼働能力や資産は問わないこととなるが、扶養義務の履行を求める必要もないとしてよろしいか。 |
A 支援給付の要否判定・程度の決定にあたり、同居している者の収入は、収入認定の対象となるものである。
したがって、それを超えて扶養義務の履行を求める必要はないものである。
8.世帯認定、2世等と同居している場合の取扱い
Q1.支援給付の要否判定及び程度の決定方法(2世等と同居の場合)について、2世等も含めた世帯全体の最低生活費を計算する場合、2世等の中に入院している者がいる場合であっても、その者に対しては入院患者日用品費ではなく居宅基準生活費を適用することとなっているが、特定中国残留邦人等又はその配偶者が入院している場合には、その基準額は居宅基準生活費と入院患者日用品費のどちらになるのか。 |
A 入院患者日用品費となる。(2世等に入院患者がいても、居宅基準生活費を用いる趣旨は、当該2世等の者の入退院の都度、支援給付の要否判定や程度の決定を行うことを省略し、支援給付事務の負担を軽減するためである。)
Q2.2世等も含めた世帯構成員が4人以上いる場合、世帯全体の最低生活費には、逓減率を適用するのか。 |
A お見込みのとおり。
Q3.特定中国残留邦人等が入院してしまい、6ヶ月以上の長期入院状態が見込まれる場合には、住宅支援給付は削除(最大9ヶ月まで認定)するのか。 この場合、同居している2世等が生活保護を受給している場合は、生活保護の住宅扶助満額を2世世帯に支給することになるか。2世等に対し、満額の住宅扶助費を支給するのは、入院後9ヶ月を経過した翌月からか。 |
A 2世等と同居している場合の、支援給付及び生活保護の取扱いについては、いずれもお見込みのとおり。なお、他に支援給付受給者がいる場合は、その限りではない。
Q4.被保護世帯の2世等世帯と同居する場合、住宅支援給付と住宅扶助の重複支給とならないよう配慮できないか。(代理納付等の実施上、どちらか一方のみの支給で対応できないか。) |
A 支援給付が生活保護よりも優先するため、まずは、住宅支援給付を支給し、住宅扶助基準額が当該住宅支援給付を上回る場合は、その差額を支給することとなる。
Q5.支援給付の取扱いにあたり、特定中国残留邦人等とその配偶者の世帯において、一方が保護施設に入所した場合の取扱いはいかがか。 |
A 保護の実施要領に準じた取扱いとなる。(要件を満たせば、局長通知第1―2―(7)により、世帯分離を行うことも可能である。)
Q6.一時扶助等の基準額について、特定中国残留邦人等と2世等が同居しており、支援給付と生活保護の両方の適用を受けている場合、期末一時扶助やその他の一時扶助については、支援給付と生活保護はそれぞれの基準額の範囲内で認定することになるのか、また生活費や住宅費と同様に、2世等も含めた世帯全体の基準額から支援給付の認定額を差し引いた額の範囲で2世等に対して認定する取扱いとするのか。 |
A 個人を単位として支給するものについては、前者を原則として差し支えない。
世帯を単位として支給するものについては、支援給付は生活保護に優先するため支援給付による支給を原則とする。
なお、世帯の人員により基準が定められているもの―災害時被服費―については、後者の考え方によられたい。
Q7.現在孫が世帯分離されている特定中国残留邦人等とともに生活保護を受給している世帯は、改めて2人世帯として支援給付の要否の判定を行うのか、それとも、特定中国残留邦人等1世のみの単身世帯として扱ってよいのか。 (世帯構成:特定中国残留邦人等1世(生保)、孫(世帯分離)の2人家族) |
A 特定中国残留邦人等と同居している者の収入の認定方法は局長通知第7―3―(2)―オの定めるところによるが、ここでいう「同居している者」とは(ア)のかっこ書きにより「要支援者と同居している者を同一世帯とみなした場合において、保護の実施要領の定めるところにより世帯分離の要件を満たしていると認められる者を除く」としているところである。
したがって、設問の事例が生活保護制度上の世帯分離の要件を満たしているのであれば、特定中国残留邦人等の収入のみに着目して支援給付の要否の判定及び程度の決定を行うこととして差し支えないものである。
9.医療支援給付及び介護支援給付
Q1.支援給付対象者について、国民健康保険への加入を可能とするとともに、医療及び介護の利用に係る自己負担分を支払うための費用を基準額に上乗せすることはできないか。 |
A 支援給付については、法律上、生活保護の例によることが規定されており、国民健康保険法は支援給付を生活保護法による保護とみなして適用することとしているため、支援給付対象者は被保護者と同様、国民健康保険の対象除外となっているものである。
また、自己負担分に相当する費用を基準に上乗せすることについては、「与党中国残留邦人支援に関するプロジェクトチーム」においても「(所得制限付きの一定額の給付金制度では)ニーズに応じたきめ細かな支援」ができないことから、生活保護の例により取り扱うこととされているところである。
Q2.医療支援給付について、医療券方式ではなく、受給者証により受診できるような仕組みとできないか。 また、要否意見書については、必ず提出させる必要があるか。 |
A 医療支援給付は、生活保護と同様、全額公費負担により行われるものであることから、受診等に際しては、必要性の判断等を行うことが可能な仕組みである医療券方式により実施することが適当であると考えている。
ただし、受給者本人の負担軽減のため、医療券については、実施機関から医療機関に直接送付することとし、医療機関窓口での本人確認のため、受診の際には、「本人確認証」を持参することとしたところである。
なお、要否意見書については、受診医療機関の選択については、本人の希望によることとしていることから、受診医療機関の可否を判断するために発行する必要はないが、その他医療の必要性について明らかである場合については、要否意見書の提出を省略しても差し支えない。
Q3.指定医療機関及び指定介護機関について、生活保護法第50条第2項及び第54条の2第4項に基づく個別指導に準じた指導を実施することが必要となるのか。 |
A 生活保護法に基づく個別指導が実施されている場合、更に実施する必要はない。
Q4.支援給付に係る医療券・介護券については、生活保護と同様、毎月発行する必要があるか。 また、同一の医療機関に複数の受診者がいる場合、必要事項が記載されていれば、医療機関に一覧表形式などにより送付しても差し支えないか。 |
A 各月毎の発行が必要である。
医療機関へ送付する形式については、お見込みのとおり取り扱って差し支えない。
Q5.診療報酬及び介護報酬の審査支払に係る社会保険診療報酬支払基金(以下、「支払基金」)又は国民健康保険団体連合会(以下、「国保連」)との契約については、生活保護とは別に行う必要があるか。 |
A 生活保護とは別に行う必要がある。
Q6.移送費について、最寄りの医療機関に通院する場合、遠方の医療機関に通院する場合のそれぞれについて、移送費の支給に関する取扱いを示されたい。 |
A
1 最寄りの医療機関に通院する場合
(1) 距離的に電車・バスを利用することが合理的であり、かつ交通費の負担が高額になる場合には、電車代・バス代を支給して差し支えない。
(2) 身体障害等により、徒歩・電車・バスで通院することが著しく困難なときは、公共交通機関以外の交通手段を利用しても差し支えない。
2 遠方の医療機関に通院する場合
(1) 医師や支援給付担当者の紹介等による場合は、最寄りの医療機関に通院する場合に準じて、上記1のとおり移送費を支給して差し支えない。
(2) 近隣の医療機関での治療が可能であるが、本人の希望により遠方の医療機関を受診する場合にあっては、移送費の支給は認められないものである。
Q7.移送の給付について、管内に中国語又はロシア語を解せる医師がいる場合であっても、最寄りの医療機関でない場合は、移送の給付はできないのか。 |
A 対象者の病状、日本語能力、自立支援通訳の活用等を勘案し、実施機関が真に必要と認める場合であれば、Q6のA2―(1)にあたるものとして支給して差し支えない。
Q8.非指定医療機関の受診については、生活保護と同様、緊急やむを得ない場合に限り認めるものとしてよいか。 また、やむを得ず非指定医療機関を受診した場合の取扱いは、生活保護と同様に取り扱って差し支えないか。 |
A 生活保護と同様、急迫した状態であり、近隣に指定医療機関がない場合や指定医療機関での受診が困難な場合など、緊急やむを得ない場合については、非指定医療機関での受診を認めて差し支えない。
また、その際の診療報酬については、実施機関に直接請求させることとするなど、受診後の手続き等についても同様である。
Q9.診療報酬及び介護報酬の審査支払については、生活保護と同様に、支払基金又は国保連に委託を行うこととされているが、対象世帯数が非常に少ない場合には、直接、実施機関で審査支払を行うことはできないか。 |
A 医療支援給付及び介護支援給付については、生活保護の例により、支払基金又は国保連において審査された上で、金額の決定を行う必要がある。
したがって、対象世帯数が少ない場合でも、直接、実施機関で審査支払を行うことは適当でない。
なお、介護支援給付対象者のうち、介護保険の被保険者以外の者については、対象者が少数であると想定されることから、請求及び審査支払の手続き上は、生活保護に含めて行うこととしているので留意されたい。
Q10.里帰りなど中国渡航中に、現地で医療を受けた場合、支払った治療費については、医療支援給付の対象となるのか。 |
A 渡航中に急病等によりやむを得ず現地で医療を受けた場合については、国民健康保険における海外療養費の取扱いに準じて、給付を行って差し支えない。
ただし、医療支援給付については、原則として指定医療機関に治療を委託するものであるため、治療を目的として渡航をした場合の医療費については、医療支援給付の対象外となる。
また、給付の対象範囲はあくまでも日本国内において、保険対象となっているものに限られるものである。
なお、治療を受けた際の費用については、一旦、自己負担を行わなければならないことや、治療費全額が支給対象となるとは限らないこと等から、訪中等に際しては海外旅行保険等に加入するよう勧奨されたい。
Q11.介護保険施設のユニット型個室等について、入居に係る居住費は介護支援給付の支給対象外とされているが、多床室との差額を本人が負担するのであれば、入所可能と解してよいか。 |
A お見込みのとおり取り扱って差し支えない。
Q12.医療機関の指定は、法令上みなし指定であることから、支援給付実施機関指定申請を選択することはできないと思われるがいかがか。 また逆に、生活保護法指定を申請する場合に、中国残留邦人の支援給付実施機関指定を辞退することは全くできないものと考えるがいかがか。 |
A 平成19年度までに指定を受けている医療機関については、みなし指定である。
法施行後(平成20年4月1日以降)は、医療機関によっては、支援給付の指定を受けない場合もある。医療機関へは、中国残留邦人等の置かれた特別な事情等を説明していただき、医療機関が中国語の対応ができない等の理由で指定を拒否するのであれば、自立支援通訳等を派遣することもできる旨説明し、指定の協力を得られるよう努めていただきたい。