添付一覧
○食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について
(平成22年4月8日)
(食安発0408第2号)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)
食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成22年厚生労働省告示第183号)が本日公布され、これにより食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「告示」という。)の一部が改正されたところであるが、その改正の概要等は下記のとおりであるので、その運用に遺憾なきよう取り計らわれたい。
また、当該改正の概要等につき、関係者への周知方よろしくお願いする。
なお、本改正の内容については、消費者庁、農林水産省及び環境省と協議済みであることを、念のため申し添える。
記
第1 改正の概要
食品衛生法(昭和22年法律第233号)第11条第1項の規定に基づき、穀類及び豆類の成分規格のうち、米に含有されるカドミウム及びその化合物にあっては、玄米及び精米中にCdとして0.4ppmを超えて含有するものであってはならないと改め、同成分規格の試験法において、検体に精米を加えるとともに、ジチゾン・クロロホルム法を削除したこと。
第2 適用期日
平成23年2月28日から適用されるものであること。ただし、ジチゾン・クロロホルム法の改正規定については、公布の日から適用されるものであること。
第3 運用上の注意
1 穀類及び豆類の成分規格の試験法のうち、米に含有されるカドミウム及びその化合物の試験法について、告示に示す試験法と同等以上の性能を有するものとして適用可能な試験法を別紙に示すこと。なお、試験室におけるこれら試験法等の運用に当たっては、「食品中の金属に関する試験法の妥当性評価ガイドライン」(平成20年9月26日食安発第0926001号別添)を参考とされたいこと。
2 本改正に合わせて、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(昭和45年法律第139号。以下「農用地土壌汚染防止法」という。)に基づく農用地土壌汚染対策地域(以下「対策地域」という。)の指定要件の見直しなど、米に含有されるカドミウムの低減に係る施策の改正等が予定されていることから、関係部局が十分に連携の上、関連施策の円滑な導入に向けた普及啓発及び監視指導が行われるよう努められたいこと。
第4 消費者への情報提供
食品からのカドミウム摂取については、厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/cadmium/index.html)においてQ&Aを掲載し、消費者に対してバランスの良い食生活を心がけることの重要性について情報提供しているところであり、貴職においても情報提供に際し活用されたいこと。特に、農用地土壌汚染防止法に基づく対策地域を有する地方公共団体にあっては、関係部局が連携し、当該地域等で収穫される農産物を自家消費等により継続的に摂取する住民に配慮した情報提供等に努められたいこと。
(別紙)
米(玄米及び精米)のカドミウム試験法
1.誘導結合プラズマ発光分光分析法
(1) 装置
誘導結合プラズマ発光分光分析装置
(2) 試薬、試液等
次に示すもの以外は、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)第2添加物の部C試薬・試液等の項(以下「規格基準告示」という。)に示すものを用いる。
カドミウム標準溶液 金属カドミウム0.100gを10%硝酸50mlに溶かし、煮沸し、水を加えて1,000mlとする。この10mlを採り、水を加えて1,000mlとする。
カドミウム標準溶液 1ml=1μg Cd2+
市販の金属分析用カドミウム標準液を使用することもできる。
イットリウム溶液 硝酸イットリウム(Y(NO3)3)0.773gをビーカーに採り、硝酸5mlを加えて加熱溶解し、冷後、250mlのメスフラスコに移す。ビーカーを水で洗い、洗液をメスフラスコに合わせ、水を加えて250mlとする。この液10mlを採り、0.1mol/L硝酸を加えて100mlとする。市販の金属分析用イットリウム標準液を使用することもできる。
検量線用カドミウム溶液 カドミウム標準溶液及びイットリウム溶液を0.1mol/L硝酸で希釈し、カドミウム濃度が0.04~0.2μg/mlの範囲の数点、イットリウム濃度が0.5μg/mlとなるように調製する。
(3) 試験溶液の調製
検体約20gを精密に量り採り、300~500mlの分解容器に入れ、水10~40ml及び硝酸40mlを加え、よく混和した後、穏やかに加熱する。暫時加熱した後、放冷し、硫酸2mlを加え、再び加熱する。その間、必要があれば時々少量ずつ硝酸を加える。内容物が淡黄色から無色の透明な液になれば分解を完了する。冷後、イットリウム1)溶液0.5mlを正確に加え、0.1mol/L硝酸を加えて100mlとする。
別に、検体の代わりに水を用いて検体の場合と同様に操作して得られた溶液を空試験溶液とする。
(4) 試験操作
試験溶液を採り、分析波長228.802nm付近2)でカドミウムの発光強度を、371.030nm2)付近でイットリウムの発光強度を測定し、イットリウムに対するカドミウムの相対発光強度比を求める。
検量線用カドミウム溶液を同様に操作して求めた発光強度比から検量線を作成する。試験溶液から得られた発光強度比と検量線からカドミウム濃度を求める。別に空試験溶液を試験溶液と同様に操作して得た濃度により補正する。
2.誘導結合プラズマ質量分析法
(1) 装置
誘導結合プラズマ質量分析装置
(2) 試薬、試液等
次に示すもの以外は、1.誘導結合プラズマ発光分光分析法及び規格基準告示に示すものを用いる。
検量線用カドミウム溶液 カドミウム標準溶液及びイットリウム溶液を0.1mol/L硝酸で希釈し、カドミウム濃度が0.4~2ng/mlの範囲の数点、イットリウム濃度が5ng/mlとなるように調製する。
(3) 試料の調製
1.誘導結合プラズマ発光分光分析法の試験溶液の調製に準じて分解し、冷後、イットリウム3)溶液0.5mlを正確に加え、0.1mol/L硝酸を加えて100mlとする。この液1mlに0.1mol/L硝酸を加え100mlとし試験溶液とする。
別に、検体の代わりに水を用いて検体の場合と同様に操作して得られた溶液を空試験溶液とする。
(4) 試験操作
試験溶液を採り、質量数1114)におけるカドミウムのイオン強度を、質量数89でイットリウムのイオン強度を測定し、イットリウムに対するカドミウムの相対イオン強度比を求める。
検量線用カドミウム溶液を同様に操作して求めたイオン強度比から検量線を作成する。試料溶液から得られたイオン強度比と検量線からカドミウム濃度を求める。別に空試験溶液を試料と同様に操作して得た濃度により補正する。
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<注解>
1) 内部標準としてイッテルビウムを使用することもできる。
2) 状況により他の波長を使用することもできる。
3) 内部標準としてロジウム又はインジウムを使用することもできる。
4) 状況により他の質量数を使用することもできる。