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○対カナダ輸出食肉を取り扱うと畜場等の認定について

(平成17年12月12日)

(食安発第1212001号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)

標記については、カナダ食品安全検査庁との協議の結果、別紙のとおり「対カナダ輸出食肉を取り扱うと畜場等の認定要綱」(以下「認定要綱」という。)を定めることとしたので、御了知の上、関係営業者に対する周知及び指導方お願いする。

なお、カナダへの輸出条件については下記のとおりであり、記2から7までの事項については食肉衛生証明書の記載事項となっていることを申し添える。

1 「認定要綱」に基づきとさつ・解体及び分割、施設等の衛生管理、食肉検査等が実施された牛肉であること。

2 とさつ前に、圧縮空気若しくはガスを頭蓋腔に注入する機器を用いたスタンニング及びピッシングを行わず、人道的に無意識の状態で放血された牛由来であること。

3 生体検査及びとさつ後検査を受け合格し、BSEにり患していない又はそのおそれがない牛由来であること。

4 30ヶ月齢以上の牛由来の脳、三叉神経節及び眼を含む頭蓋、扁桃、せき髄及びせき柱の背根神経節並びに全月齢の牛由来の小腸による汚染を防ぐよう処理されたこと。

5 30ヶ月齢以上の牛由来の頭蓋及びせき柱から機械的に回収された肉による汚染を防ぐよう処理されたこと。

6 日本で生まれ、飼育され、と畜された牛由来であること。

7 と畜、加工、包装、貯蔵及び出荷工程において、動物衛生ステータスが低い動物に由来する肉や副産物との直接的又は間接的接触を防ぐ手段がとられたこと。

8 本日以降にとさつ・解体が行われた牛由来であること。

9 食肉衛生証明書の公印の欄に使用する印は、別添のとおり直径35mmの丸形で色は青であること。

(別紙)

対カナダ輸出食肉を取り扱うと畜場等の認定要綱

1 目的

この要綱は、カナダに輸出する食肉(以下「対カナダ輸出食肉」という。)を取り扱おうとすると畜場及び食肉処理場(以下「と畜場等」という。)について、厚生労働省がその施設・設備、とさつ・解体及び分割の方法、施設等の衛生管理、食肉検査体制等を審査し、カナダに食肉を輸出することが可能なと畜場等として認定するための手続を定めるものとする。

2 要旨

(1) 対カナダ輸出食肉を取り扱おうとすると畜場等の設置者(以下「設置者」という。)は、あらかじめ当該施設を管轄する都道府県知事又は保健所を設置する市の市長(以下「都道府県知事等」という。)を経由して、本要綱で定める食肉衛生及び家畜衛生に係る要件を満たしていることを示す資料を添付して厚生労働省医薬食品局食品安全部長に申請する。

(2) 都道府県知事等は、提出に当たり、副申とともに申請と畜場等における都道府県又は保健所を設置する市(以下「都道府県市」という。)の検査体制に関する資料を添付するものとする。

(3) 厚生労働省医薬食品局食品安全部長は、申請と畜場等に係る要件及び都道府県市の検査体制について書類審査及び現地調査の上、本要綱で定める要件を満たしていると確認した場合は、その旨を都道府県知事等を通じ設置者に通知するとともに、カナダ食品検査庁に通知する。

(4) カナダ食品検査庁に通知後、認定されたと畜場等でとさつ・解体から分割までが一貫して行われ、かつ、衛生証明書を添付された食肉は、カナダ食品検査庁により、輸入が認められる。

3 認定の要件

対カナダ輸出食肉を取り扱うと畜場等は、次の要件を満たさなければならない。

(1) 食肉衛生関係

ア と畜場等関係

(ア) と畜場等は、対カナダ輸出食肉の種類以外の家畜をとさつ・解体及び分割する施設と完全に区画されていること。

(イ) 食肉処理場はと畜場に併設され、とさつ・解体から分割までが一貫して行われていること。

(ウ) 施設・設備等は、別添1「施設・設備等の構造・材質基準」に適合するものであること。

(エ) とさつ・解体及び分割の取扱いは、別添2「衛生管理基準」に適合して行われること。

(オ) (エ)を確実に実施するため、別表に掲げる内容のマニュアルが整備されていること。

(カ) 別添3「HACCP方式による衛生管理実施基準」に定める「第1 標準作業手順書」、「第2 大腸菌の検査」及び「第3 HACCPシステムを用いた自主衛生管理」を実施すること。

イ 食肉検査関係

(ア) 厚生労働省があらかじめ都道府県知事等の推薦を受けて対カナダ輸出食肉を検査する検査員として指名したと畜検査員(以下「指名検査員」という。)によって、別に定める方法により、当該と畜場等でとさつ・解体及び分割されるすべての獣畜及び食肉についての検査が実施されていること。

(イ) 指名検査員により、別添2「衛生管理基準」及び別添3「HACCP方式による衛生管理実施基準」に基づくと畜場等の衛生管理の適正な実施が監視されていること。

(ウ) 別添3のうち、第1から第3までが適正に実施されているか検証するため、「第4 行政機関による検証」を実施すること。

(エ) 別添4「不正の防止基準」に基づく不正防止対策が実施されていること。

(オ) 別に定める方法により、残留物質に関するモニタリングが実施されていること。

(2) 家畜衛生関係

ア と畜場は、カナダ食品検査庁が牛疫又は口蹄疫の汚染地域と指定した地域(以下「牛疫等汚染地域」という。)で生産され、若しくは飼養され、又は船舶等による輸送によりこれらの汚染地域に寄港若しくは陸揚げされた動物を受け入れていないこと。

イ 食肉処理場は、牛疫等汚染地域で生産された反芻類及び豚由来の肉又は他の生産物並びに牛疫又は口蹄疫の清浄地域産の肉又は他の生産物であって、牛疫等汚染地域を経由して輸送されたもの(原産国政府により封印された容器に収容されたものを除く。)を受け入れていないこと。

ウ 食肉処理場に搬入される食肉は、我が国で生産、飼養された動物由来であり、かつ牛疫等汚染地域に存在したことがないこと。

エ 当該と畜場等で処理された食肉は、当該と畜場等以外で処理された食肉との混合又は接触を防止する方法により処理、貯蔵及び輸送されること。

4 認定等の手続

(1) と畜場等の設置者の申請手続

対カナダ輸出食肉を取り扱うと畜場等としての認定を受けようとすると畜場等の設置者は、と畜場にあっては別紙様式1により、食肉処理場にあっては別紙様式2により当該と畜場等を管轄する食肉衛生検査所長及び都道府県知事等を経由して厚生労働省医薬食品局食品安全部長あて関係資料を添付して申請し、併せて、当該申請書類の副本を当該と畜場等がある地域を管轄する地方厚生局健康福祉部食品衛生課(以下「地方厚生局」という。)あて提出する。

(2) 都道府県市の提出手続

対カナダ輸出食肉を取り扱うと畜場等としての認定を受けようとすると畜場等の設置者から申請書を受け付けた都道府県知事等は、別紙様式3により当該と畜場等の検査体制に関する資料を添えて厚生労働省医薬食品局食品安全部長あて提出し、併せて、当該申請書類の副本を地方厚生局あて提出する。

(3) 審査

厚生労働省は、申請書等について書類審査を行い、問題がないと判断された場合は、厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課の輸出食肉検査担当官を当該と畜場等及び食肉衛生検査所に派遣し、現地調査を実施する。

(4) と畜場等の認定及び指名検査員の指名

ア と畜場等の認定

厚生労働省は、書類審査及び現地調査において、と畜場等の施設、設備等が本要綱に規定する要件等を満たしていると認められる場合には、当該と畜場等をカナダに食肉を輸出可能なと畜場等と認定し(以下「認定と畜場等」という。)、認定番号を付し、都道府県知事等を通じ設置者にその旨通知するとともに、カナダ食品検査庁あて通知する。

イ 指名検査員の指名

厚生労働省は、書類審査及び現地調査により、都道府県知事等から推薦されたと畜検査員により、と畜場等で実施されている食肉の検査等が、適当であると認められる場合には、当該と畜検査員をカナダ向け認定と畜場等の指名検査員として指名し、併せて指名検査員の中から対カナダ食肉輸出証明書の署名者として指名し、各と畜場等毎にリストを作成して都道府県知事等あてに通知するとともに、カナダ食品検査庁あて通知する。

5 認定後の事務等

(1) 検査申請

認定と畜場等において、食肉をカナダに輸出するために獣畜をとさつ・解体及び分割しようとする者は、と畜場法施行令(昭和28年8月25日政令第216号)第7条に定める検査申請書のほか、別紙様式4による申請書を管轄する食肉衛生検査所長にあらかじめ提出する。

(2) 輸出食肉に関する食肉衛生証明書の発給等

ア 厚生労働省は検査に合格した食肉に対して、当該食肉の輸出時に別紙様式5による食肉衛生証明書を発行する。

イ 当該証明書は、原本及び副本を申請者に発行するとともに、原本の写しを食肉衛生検査所に保管する。

ウ 申請者は、食肉の輸出に当たり証明書の原本を当該食肉に付して輸出するものとする。

(3) 検査結果及び輸出量の報告

都道府県市は毎月10日までに前月分の検査結果等を認定と畜場等毎に別紙様式6により地方厚生局あて報告する。

(4) 厚生労働省の現地査察等

厚生労働省は、地方厚生局の輸出食肉検査担当官を月1回以上認定と畜場等及び食肉衛生検査所に派遣し、査察等を実施する。また、食肉衛生検査所におけるサルモネラ検査及び指定検査機関における残留物質モニタリング検査の実施については、地方厚生局の担当官を年1回以上派遣し、査察等を実施する。

ア 査察内容

輸出食肉検査担当官は、認定と畜場等及び食肉衛生検査所において前記3並びに5の(1)及び(2)が適正に実施されていることの確認を行う。サルモネラ検査及び残留物質モニタリング検査の実施については、検査機関において検査等の業務管理が適正に実施されていることの確認を行う。

イ 措置

厚生労働省は査察の結果、上記内容が適正に実施されていないと判断した場合は、次の措置を採ることとする。

(ア) 改善指導

(イ) 認定の取消し

(ウ) 輸出証明書発行の停止

(エ) 検査員の指名の取消し

(5) 変更の届出

ア と畜場等の設置者は4の(1)に規定する申請事項について変更しようとするときは、あらかじめ都道府県市の了承を得るものとし、変更後、都道府県市は遅滞なく当該変更の内容及び年月日を厚生労働省医薬食品局食品安全部長あて報告し、併せて、当該変更届の副本を地方厚生局に提出する。

イ 都道府県市は4の(2)に規定する検査体制等を変更しようとするときは、あらかじめ当該変更の内容及び変更予定日を厚生労働省医薬食品局食品安全部長あて報告し、併せて、当該変更届の副本を地方厚生局に提出する。

別表

と畜場等におけるマニュアル

ア 給水・給湯の管理マニュアル

イ 排水処理マニュアル

ウ 廃棄物処理マニュアル

エ そ族・昆虫防除マニュアル

オ 消毒剤等管理マニュアル

(別紙様式1 と畜場設置者申請様式)

画像2 (31KB)別ウィンドウが開きます

(別紙様式2 食肉処理場設置者申請様式)

画像4 (31KB)別ウィンドウが開きます

(別紙様式3 都道府県市申請様式)

(別紙様式4 検査申請書様式)

(別紙様式5 食肉衛生証明書様式)

(別紙様式6 報告様式)

別添1 施設・設備等の構造・材質基準

第1 施設の周囲

1 施設は、異臭、煙、塵埃等の影響のない場所にあり、その他の工場又は建物と完全に分離されていること。

2 施設の周囲の地面は、清掃しやすい構造であって、雨水による水たまり及び塵埃の発生を防止するために、必要に応じ次の措置が講じられていること。

(1) 敷地内の道路、駐車場、建物の出入口周辺は舗装され、車両の運行に支障を生じないこと。

(2) 雨水等を排水するための排水溝が設けられていること。

第2 施設・設備の構造・材質

1 生体取扱施設(牛に限る。)

(1) 一般事項

生体取扱施設は、けい留所、生体検査所及び隔離所を有すること。

また、牛以外の獣畜に係る施設とは区画され、以下の条件を具備すること。

ア 給水・給湯設備

(ア) 飲用適の水を十分に、かつ、衛生的に供給できる設備を適切に配置するとともに、給水設備には必要に応じ逆流防止装置を設けること。

(イ) 井戸水及び自家用水道を使用する場合、その水源は、便所、汚物集積所等の地下水を汚染するおそれのある場所から少なくとも20m以上離れた場所に設けられていること。

(ウ) 井戸水及び自家用水道を使用する場合は、滅菌装置又は浄水装置が設けられており、これら装置の作動状況をチェックする警報装置等が備えられていること。

(エ) 貯水槽を設ける場合は、不浸透性、耐蝕性材料を用い、内部は清掃しやすい構造であること。

(オ) 洗浄、消毒用に83℃以上の温湯を供給できる設備が作業する近くの便利な場所に設けられていること。

(カ) 洗浄用ホースの給水給湯栓を適切、かつ、便利な位置に設け、ホースを掛ける適当な棚又は枠が設けられていること。

(キ) 飲用不適の水の配管は、事故による飲用適の水の汚染を防止するため、飲用適の水の配管と交差せず物理的に分離されていること。

イ 床、屋根

(ア) 床は、不浸透性、耐蝕性材料を用い、排水に容易な適当な勾配をつけ、すき間がなく、清掃が容易な構造であること。

(イ) 耐水性の屋根が設けられていること。

ウ けい留所は牛専用に1日のとさつ・解体処理する数に応じた広さを有し、生後1年以上の牛は1頭ごとにけい留できる区画が設けられていること。

エ 生体検査所は生体検査を行うための十分な広さを有し、牛の検査に必要な器具、計量及び保定に必要な設備が設けられており、照度は110ルクス以上であること。

オ 隔離所には、隔離された獣畜の汚物及び汚水を消毒することのできる設備が設けられていること。

2 とさつ・解体施設(牛に限る。)

(1) 一般事項

とさつ・解体施設にはと室、内臓取扱室、外皮取扱室、検査室、枝肉冷蔵室及び可食副生物用冷蔵室を設け、これらが衛生的な作業が確保される位置に配置されるとともに、と室、内臓取扱室、外皮保管室については、各室に直接室外へ通じる出入り口が設けられていること。

また、牛以外の獣畜の処理に係る施設との間には隔壁が設けられ、かつ次の要件を具備すること。

ア 床、内壁、天井等

(ア) 床は、不浸透性、耐蝕性材料を用い、排水に容易な適当な勾配をつけ、すき間がなく、清掃が容易な構造であること。

(イ) 内壁は、すき間がなくその表面が平滑で不浸透性、耐蝕性材料が用いられていること。

(ウ) 施設の天井は、適当な高さを設け、平滑で不浸透性、耐蝕性の構造及び材料であること。また、各種配管、照明器具等は露出しない構造であること。ただし、やむをえずこれらが露出している場合にあっては、清掃が容易に行える措置が施されていること。

(エ) 内壁と床の境界は、清掃及び洗浄が容易な構造であること。

(オ) 水蒸気、熱湯等が発生する場所等の壁及び天井は、必要に応じ、その表面が結露、カビの発生等を防止できる構造であること。

(カ) 窓は、床面から0.9m以上の高さに設け、窓枠は衛生保持のため、約45°の傾斜を有するものであること。

(キ) 施設の出入り口は、耐蝕性材料で自動閉鎖式の扉を設け、扉と壁のつなぎ目は密閉されていること。また、と体、製品との接触を防ぐため、十分な幅を設けること。

イ 照明及び換気

(ア) 施設の採光又は照明及び換気は良好でこれらの装置は作業に支障のない場所に設置されていること。

(イ) 作業室での照明の照度は330ルクス以上、検査場所での照度は540ルクス以上であること。

(ウ) 照明装置の破損、落下等による汚染の防止措置を採ること。

ウ 給水・給湯設備

1 生体取扱施設(1)に同じ。

エ 汚水及び汚物処理

(ア) 作業が行われる区域には、排水溝を適切な位置に設け、排水溝にはトラップが設けられていること。

(イ) 各排水管は、直接排水溝と接続し、床に排水することのない構造であること。

(ウ) し尿処理の排水経路と他の排水経路は、当該施設内で接続していないこと。

(エ) 施設内には、蓋を有し、清掃しやすく、汚臭汚液が洩れない不浸透性材料で作られた無孔の汚物収納容器が用意されていること。

また、当該容器は汚物の集積場に容易に運搬できるものであること。

オ 器具洗浄・消毒室

運搬車、容器器具等の洗浄・消毒のために便利な位置に仕切りをした洗浄・消毒室又は洗浄・消毒場所が設けられていること。

カ ねずみ・昆虫等の侵入防止

ねずみ、昆虫等の侵入を防止するために、次の措置が講じられていること。

(ア) 外部に開放される窓及び吸排気口には、金網等を設け、また、排水口には鉄格子を設ける等ねずみ、昆虫等の侵入を防止するための有効な措置が講じられていること。

(イ) 外部からの戸口には、自動閉鎖式の扉(扉と壁のつなぎ目は密閉されていること。)等を設ける等、ねずみ、昆虫等の侵入を防止できる設備が設けられていること。

キ 手洗所

(ア) 各手洗所には、手及び腕の洗浄用に給水・給湯設備及びステンレス等耐久性材質(作業場においては陶磁器製は不可。)からなる十分な大きさの受水槽を適当な高さに設け、液体石けん、紙タオル等を入れる容器及びこれらの廃棄用容器を配置していること。

なお、各受水槽にはため水を張らないこと。

(イ) 手洗い設備は、排水管により直接排水溝と接続していること。

(ウ) 作業場の手洗設備は、足踏み式又は自動式のものであること。

ク 更衣室及び便所

(ア) 更衣室、手洗所及び便所は、従業員の数に応じた十分な数及び大きさで便利な場所に位置し、清潔であること。また、便所は、隔壁により他の場所と完全に区画され、作業場等の間に通路等の控え区画を設け便所の出入り口を設置すること。

(イ) 食肉処理施設と共用であっても差し支えないものとすること。

(2) 個別事項

ア と室には、とさつペン、ドライ・ランディングゾーン、放血区域、解体区域(頭部処理場所、前後肢切離場所、剥皮場所、内臓摘出場所、背割り場所)、検査区域(頭部、内臓及び枝肉検査場所)及び枝肉洗浄区域が設けられていること。

(ア) ドライ・ランディングゾーンは、2.2m×2.5m以上の広さを有し、獣畜の脱走防止のための設備を有していること。

(イ) 放血区域には、適当な広さで、他のと体等への汚染防止のための設備が設けられていること。

(ウ) 放血区域には、と体が床に接触しないよう4.9m以上の高さの放血用レールが設けられていること。

(エ) 切除した頭部を洗浄し、除角する設備が設けられていること。解体用レールは、3.4m以上の高さを有し、コンベアー式内臓検査テーブルを用いる場合は3.8m以上の高さであること。

(オ) 外皮の剥皮を行う場所には、剥皮の際他のと体等への汚染防止のための設備が設けられていること。

(カ) 内臓運搬具の消毒場所が設けられていること。

(キ) 枝肉の洗浄場所及び洗浄設備が設けられているとともに、洗浄液の飛散を防ぐ措置が講じられていること。

(ク) とさつ解体後検査(頭部検査、内臓検査及び枝肉検査)を行う場所は、十分な広さを有し、次の要件を具備すること。

① 検査が容易、かつ、衛生的に実施できる構造及び材質のテーブルその他必要な設備器具を設け、これらの洗浄・消毒用に給水・給湯設備が備えられていること。

② 手、検査用器具の洗浄・消毒用の給水・給湯設備が設けられていること。

③ 保留用レールが設けられていること。

④ 背割後の枝肉の最終検査を行う適当な大きさの室又は場所が設けられていること。

イ 内臓取扱室は、適当な広さを有し、作業に便利な場所に位置しており、次の要件を具備すること。

(ア) 胃洗浄装置、腸洗浄装置が設置されていること。

(イ) 食用部分を取り扱う場所と非食用部分を取り扱う場所は別にし、かつ、これらの場所は適切に配置されていること。

ウ 外皮保管室は、外皮の移動の際にと体及び内臓等へ影響を及ぼさない位置に設けられ、食品とは別の搬出口から、施設外に搬出される構造であること。

エ 枝肉冷蔵室は枝肉の製品検査が可能な広さを有し、次の要件を具備すること。

(ア) レールは、枝肉が床に接触しないよう3.4m以上の高さを有し、壁、機械設備との間に0.6m以上の距離が保たれていること。

(イ) 施錠できる構造の保留ケージが設けられていること。

3 食肉処理施設(牛に限る。)

(1) 一般事項

食肉処理施設は、牛専用の室又は場所を有し、作業、運搬及びすべての必要な器具の配置に支障のない広さであることのほか、2 とさつ・解体施設(1)一般事項と同様の要件を具備すること。

(2) 個別事項

ア 枝肉から部分肉まで処理する場所は、原料の荷受、製品の搬出のために施設外に直接通じる構造でなく、室内を低温(10℃又は15℃以下)に保持できる冷却装置が設けられていること。

イ 製品保管用の専用の冷蔵庫を設けること。

ウ 包装梱包材料の保管庫を便利な位置に設け、包装梱包材料は、床上0.3m以上の高さに棚を設け保管されていること。

4 汚水処理施設

当該施設から排出される汚水及び血液を処理するための汚水処理施設がとさつ・解体施設及び食肉処理施設等から適当な距離の位置に設けられていること。

5 汚物処理施設

(1) 汚物の集積場は、とさつ・解体施設及び食肉処理施設に設けられており、不浸透性材料で構築されていること。

(2) 汚物の集積場に配置される汚物収納容器は蓋を有し、清掃しやすく、不浸透性材料で作られた汚臭汚液が洩れない構造であること。

第3 機械・器具の構造・材質

機械器具等は容易に分解、洗浄及び消毒ができる構造であり、食肉・食用内臓等に接触する面は、すべて平滑でひび割れがないことのほか、次の要件を具備すること。

1 一般事項

(1) 内臓検査テーブル等食肉・食用内臓が接触する部分の材質は、すべて18―8ステンレススティール等の耐蝕性金属又は衛生上支障のないプラスチック等であること。

(2) 溶接箇所は、すき間もなく平滑で、凹凸、ひび割れがないこと。

(3) 固定し又は移動できない器具類は、壁又は天井から適当な距離に配置されていること。

(4) 永久据付設備は、床から適当な距離に配置するか又は完全に床面に密着していること。

(5) 水を使用するテーブル及びその他の器具は、縁を付して水が床に落ちない構造であること。

(6) ナイフ及びやすりの柄はプラスチック製であり、鞘は耐蝕性金属その他不浸透性材料であること。

(7) 骨及び肉切り台は、衛生上支障のないプラスチック等で作られ、台は小部分に分割できるもので洗浄・消毒の容易なものであること。

(8) 消毒器の材質は、耐蝕性金属その他不浸透性材料からなるものであること。

(9) その他食肉・食用内臓が直接接触しない金属製の機械・設備等にあっては、ニッケル、錫、亜鉛メッキ等耐蝕・防錆処理が施されていること。

2 個別事項

(1) 角切り器を、1頭毎に消毒する消毒器が設置されていること。

(2) 足切り器を、1頭毎に消毒する消毒器が設置されていること。

(3) 胸割り鋸を、1頭毎に消毒する消毒器が設置されていること。

(4) 枝肉検査を終了する前に背割りする場合は、背割り鋸を、1頭毎に消毒する消毒器が設置されているか、帯鋸の場合には自動的に83℃以上の湯による消毒ができる構造であること。

(5) コンベアー式内臓検査台は、自動的にコンベアーを消毒する装置が装備されていること。

3 食用及び非食用部分の区分

食用及び非食用に区分し、その旨を明記した洗浄容易な運搬具、取扱用器具、棚、容器及びテーブル等を設けること。

なお、食用部分を収容する運搬具、容器及びテーブル等は直接床に設置する構造ではないこと。

別添2 衛生管理基準

第1 施設・設備等の衛生管理

1 施設周囲の衛生管理

(1) 施設周辺は、良好な衛生状態を保持するために、1日1回以上清掃すること。

(2) 施設敷地内の道路、駐車場、建物の出入り口周辺の舗装に破損を生じた場合には、臨時補修すること。

(3) 排水溝は、排水がよく行われるように必要に応じ補修を行い、1日1回以上清掃を行うこと。

2 施設・設備の衛生管理

(1) 施設の天井、内壁、床は、必要に応じ補修するとともに、随時清掃を行うこと。

(2) 各種配管、ダクト等は、定期的に点検し、正常な状態を保持するとともに随時清掃を行うこと。

(3) 照明器具は、定期的に清掃するとともに照度は、半年に1回以上測定し良好な照明を確保すること。

(4) 換気装置は、定期的に清掃するとともに吸排気管の状態を点検し、良好な換気を確保すること。

3 給水給湯設備の管理

飲用適の水の供給を確保するために、次により使用水の管理を行うこと。

(1) 水道水以外の水を使用する場合は、年2回以上水質検査を行い、その成績書を3年間保存すること。

ただし、天災等により水源等が汚染されたおそれがある場合には、その都度水質検査を行うこと。

(2) 水質検査は、公的機関に依頼して行うこと。また、水質検査の結果、飲用不適とされた場合は直ちに検査員の指示を受け、適切な措置を講ずること。

(3) 水道水以外の水の使用に当たっては、毎日殺菌装置又は浄化装置が正常に作動していることを確認し、その旨を記録すること。

なお、これらの水の消毒は、次亜塩素酸ソーダ又は塩素ガスを用い、末端給水栓で遊離残留塩素0.1ppm以上とし、遊離残留塩素の測定は、毎週1回定期的に行い、その測定結果を記録し3年間保存すること。

(4) 貯水槽は、清潔を保持するため、年1回以上清掃を行うこと。

(5) 洗浄・消毒に用いる温湯は、飲用適の水を加温加熱したもので、給湯を必要とするすべての施設に十分な圧力でいきわたるように給湯設備の維持管理を行うこと。

(6) 器具、床、内壁その他の消毒に用いる温湯の温度は、最低83℃を保持するとともに、洗浄に用いる場合はおよそ60℃を保持すること。

なお、これらの温度は、給湯口での温度であり、使用に便利な位置に温度計を備え温度管理をすること。

4 汚水、汚物及び不可食部分の管理等

(1) 当該施設において排出される汚水及び血液等は、汚水浄化施設を設け適切に処理すること。

(2) 浄化施設から産出される汚泥等は適正に処理すること。

(3) 定期的な汚水浄化施設の点検により浄化能力の維持管理を行い、管理記録を3年間保管すること。

(4) とさつ・解体施設において、獣畜のとさつ・解体により生じる不可食部分は専用容器に収納し、作業終了後当該施設で焼却するか、化製場へ搬出すること。

(5) と畜検査の結果不合格となったもので、伝染病の罹患により廃棄されたものは、専用容器に収納し作業終了後検査員立会いの下で当該施設において焼却するか、検査員立会いの下で焼却施設等へ搬出する等、適切に処理すること。また、伝染病の罹患以外により廃棄されたものは、検査員立会いの下で当該施設において焼却するか、検査員立会いの下で着色後化製場へ搬出すること。

(6) 食肉処理施設における骨の除去及びカット作業において生じる不可食部分については、専用容器に収納し、作業終了後当該施設で焼却するか、化製場へ搬出すること。

(7) 食肉処理施設において検査員の指示により廃棄されるものは、専用容器に収納し、作業終了後検査員立会いの下で当該施設において焼却するか、検査員立会いの下で着色後化製場へ搬出すること。

(8) その他雑廃棄物については、当該施設で焼却するか、焼却施設等へ搬出すること。

(9) 不可食部分、不合格品及び廃棄物を収納する容器は、その用途を表示した上で使用すること。

(10) 廃棄物の処理を行った場合は、その内容を記録して3年間保管し、検査員に求められた場合に速やかに提示すること。

5 冷蔵庫及び冷凍庫

(1) 温度計を備え付け適切な温度管理を行う等冷蔵庫、冷凍庫の作動状況を常に監視し適正な冷蔵冷凍温度を保持すること。

(2) 枝肉を冷蔵庫に保管する場合は、枝肉間の接触を防ぐため冷蔵庫の収容能力に見合った数の枝肉を保管することとし、製品を冷蔵庫又は冷凍庫に保管する場合にあっては、冷蔵庫又は冷凍庫の収容能力に見合った数の製品を保管すること。

(3) 冷蔵庫への搬入は、枝肉洗浄水の水切りを十分行った上で行い、定期的に、かつ、必要な場合には、随時冷蔵庫の清掃を実施し、枝肉の衛生を保持すること。

(4) 冷蔵庫及び冷凍庫の扉の開閉は、迅速に行い、かつ、必要最小限に止めること。

6 消毒剤等

(1) 使用消毒剤等の承認

と畜場及び食肉処理場の設置者は、施設内及び施設周辺で使用する全ての消毒剤等(消毒剤、洗浄剤、殺虫剤、殺鼠剤、農薬等)について、リストを作成し、食肉衛生検査所に提出して、その承認を得ること。

(2) 承認を得た消毒剤等の使用及び保管

ア 消毒剤等の使用に当たっては、その使用基準に基づき、適正に使用すること。

イ 消毒剤等は、保管場所を定め、食肉衛生検査所に届け出るとともに保管・管理簿を作成して、記録すること。

7 そ族・昆虫等の管理

ねずみ、昆虫等の管理は、次のとおり行うこと。

(1) ねずみ、昆虫等の発生を防止するために、ねずみ、昆虫等の餌や飲水となるものの排除及びねずみ、昆虫等の巣や隠れ家となる屑などの除去を随時行うこと。

(2) 施設外部からのねずみ、昆虫等の侵入を防止するために窓や換気口に網戸の設置、施設外部からの戸口に自動閉鎖式ドアの設置や昆虫を引き寄せる紫外線を放射する機器の設置等の施設・設備の整備を行うこと。

(3) これらの設備に対し定期的な点検を実施し、補強修理等施設設備の維持管理を行うこと。

(4) 施設外から搬入される物品の梱包箱等に入り込んだ昆虫等の侵入を防止するため、当該物品の荷受け時に、昆虫等の有無の点検を行うとともに、不用となった梱包箱等は速やかに焼却等の処置を施すこと。

(5) 駆除の記録は3年間保管すること。

(6) 衛生管理責任者は、殺虫剤等の薬剤によるねずみ、昆虫等の駆除について、あらかじめ指名検査員と協議のうえ、「そ族・昆虫管理プログラム」を策定し、承認された薬剤を用いて、定められた使用基準により、定められた者が行うこと。

(7) 駆除実施区域については、食肉への薬剤の汚染を防止すること。

第2 衛生的なとさつ・解体及び分割等

1 生体取扱施設及びとさつ・解体施設における設備の維持管理及び衛生保持

(1) けい留した牛の汚物等は、随時汚物集積場等に運搬するとともに、けい留所の洗浄消毒を行い、清潔を保持すること。

(2) 搬入された牛は、生体検査前に洗浄を行い、清潔を保持すること。

(3) 生体検査において歩行困難と判断された牛については、認定施設内においてとさつ・解体を行わないこと。

(4) と室の設備は、常に保守点検を行うとともに、随時清掃を行い、衛生的状態を保持すること。

(5) エアースタンナーによるスタンニング及びピッシングは行わないこと。

(6) 放血に当たっては、血液が飛散して他のと体、内臓等を汚染しないように衛生的な処理を行うこと。

(7) とさつ放血は、施設設備の規模に応じた数、速度で行い、放血区域に牛が密集しないようにすること。

(8) 頭部や内臓等の切除摘出及び外皮の除去作業等に当たっては、次に留意すること。なお、頭部、脊髄及び回腸遠位部の除去、分離及び廃棄については、別添3「HACCP方式による衛生管理実施基準」によること。

ア 角の除去に当たっては、角は起部の皮膚と共に除去し、剥皮後、皮膚が頭部に残ることによる頭部の汚染を避けること。

イ 頭部の剥皮に当たっては、頭部及び頚部の汚染を避け、剥皮した頭部は、他のと体、床、機械器具を接触させないこと。

ウ 頭部の切断に当たっては、食道を結さつし胃内容物による汚染を防止すること。

エ 頭部の洗浄に当たっては、洗浄水による他の頭部やと体への汚染を防止すること。

オ 頭部の剥皮に用いるナイフ、その他器具は、1頭毎に洗浄消毒すること。

カ と体の剥皮時には、獣毛による汚染を防止すること。

キ 剥皮したと体が隣接すると体の皮膚、皮による汚染を防止するため、と体間に十分な距離を保持すること。

ク 乳房は、その内容物によりと体が汚染しないように除去するとともに、乳房内容物による壁、床及び機械器具の汚染を防止すること。

ケ と体が乳房内容物で汚染された場合には、他の部位の汚染防止措置を迅速かつ適切に行うとともに、乳、膿等の汚物及び必要に応じ清潔な部位のみが残るように十分な量の当該部位の除去を行うこと。

コ 内臓摘出時開腹に用いるナイフ等の器具は、1頭毎に常に洗浄消毒すること。

サ 内臓は、肛門部分を結さつする等、尿、糞その他内容物によりと体が汚染しないように摘出するとともに、消化管内容物による壁、床及び機械器具の汚染を防止すること。

シ 枝肉が消化管内容物で汚染された場合には、他の部位の汚染防止を適切に行い、汚染された部位を完全かつ迅速に除去すること。

ス 背割りの前にすべての汚染、損傷を除去し、のこ等背割り器具を介する汚染の拡大を防止すること。

セ 背割りを行う場合には、頚部と床との接触を防ぐとともに、疾病の疑いのあるもの、検査保留のもの、及び疾病が明らかなものの背割りを行った後においては、その都度、背割り器具の消毒を必ず行うこと。

ソ 枝肉に付着した獣毛、ゴミその他を除去するために枝肉の洗浄を十分に行うこと。この場合、洗浄水の飛散により他の枝肉が汚染しないように処置するとともに、洗浄水の水切りを十分に行うこと。

なお、枝肉の洗浄を行う場合は、必ずと体検査が終了して合格と判明した後に行うこと。

(9) 解体レールに懸垂された枝肉は、壁や機械器具に接触しないように移動すること。

(10) 解体作業台は、枝肉移動に支障のない位置に配置すること。

(11) 解体処理室内に汚物用容器を備え、汚物等を収納し室内を清潔に保つこと。

(12) 外皮保管庫は、常に清潔を保持し、衛生的に外皮を保管すること。

(13) BSE感染牛が発見された場合には、あらかじめ作成された消毒マニュアルに基づき施設設備及び機械器具等について消毒措置等を確実に行うこと。

(14) 衛生的な処理及び指名検査員による十分な解体後検査が行われるよう、適切なと畜処理速度を維持すること。1時間当たりのと畜頭数と指名検査員の配置の基準については、少なくとも下表を満たすこと。

表 1時間当たりのと畜頭数及び検査員配置

最高と畜処理速度

(頭/時間)

各検査場所における検査員数

頭部

内臓

枝肉

1~27

a

a

a

28~55

b

b

b

56~77

1

1

1

78~81

1

2

1

82~134

2

2

1

(注1)

a:検査員1名が全ての検査を実施

b:検査員1名が頭部及び枝肉下部の検査を実施し、もう1名の検査員が内臓及び枝肉上部の検査を実施

(注2)a又はbを適用する場合にあっては、各検査場所間の距離等を勘案して最高と畜処理速度を調整すること。

2 食肉処理施設における設備の維持管理及び衛生保持

(1) 作業に使用するナイフ、まな板等の器具は処理する食肉の部位、処理内容別に適当な大きさで専用のものを用いること。

(2) 脊柱の除去、分離及び廃棄については、別添3「HACCP方式による衛生管理実施基準」によること。

(3) 脊柱に付着した食肉を機械的に分離・回収する設備を使用しないこと。

(4) 給水給湯設備は使用に便利な場所に配置し、使用設備器具、従業員の手指等の洗浄消毒を行うこと。

(5) 使用した器具は、洗浄消毒後専用の棚等に保管すること。

(6) 汚物等の廃棄物は、随時専用容器に収納し、これらによる汚染を防止すること。

(7) 製品の鮮度を維持するために冷房装置等により室内を10℃以下に保持し作業を行うか、当該室温の保持が困難な場合には、室温を15℃以下とし、少なくとも、処理作業中5時間毎に製品に接触する機械器具の表面を洗浄、消毒すること。

(8) 包装梱包材料の保管庫は、随時清掃するとともに、包装梱包材料を整理し衛生的に保管すること。

第3 衛生管理体制

1 衛生管理責任者の設置義務

と畜場等の設置者は施設・設備等の衛生管理を行わせるために衛生管理責任者を置き、清潔な施設において、衛生的な方法を用いて、健全な製品を供給しなければならない。

(1) 誓約

認定を受けようとすると畜場及び食肉処理施設の衛生管理責任者は、本認定要綱及び検査に係る施設設置者側に関するすべての規定を厳重に遵守する旨の誓約をし、実際に施設を衛生的な状態に維持することを保証しなければならない。

(2) 教育及び訓練

衛生管理責任者は、食肉の適正な取扱方法と衛生的な処理方法について、従業員に対し教育及び訓練をしなければならない。

2 作業前点検

衛生管理責任者は、作業前に施設・設備の洗浄が十分に行われて、作業を開始することが適当であるかどうか点検し、すべての衛生基準を満たしている場合でなければ、作業を開始させてはならない。

第4 人道的な獣畜の取扱い及びとさつ

1 けい留場、導入路等は、獣畜に危害を与えないように必要に応じ修理補強を行い、その維持管理に努めること。

2 けい留中の獣畜には給水し、24時間以上けい留する場合は給餌を行うこと。

3 とさつペン室へ獣畜を追い込む際、獣畜に与える刺激や苦痛は最小限なものであること。

4 スタンナーによりとさつ処理を行う際には、1回の打撃で獣畜を無意識の状態にし、以後放血作業まで無意識の状態を保持させること。

5 スタンナーの整備を定期的に行い、その性能を保持すること。

6 スタンナーには安全装置を設けるとともに、使用に当たっては検査員、作業員に危害を与えないよう取り扱うこと。

7 非人道的な処理として、検査員に指摘された場合は、その指示に従い処理方法を改善すること。

別添3 HACCP方式による衛生管理実施基準

第1 標準作業手順書

1 認定施設は次の規定にしたがって衛生管理の方法に関する標準作業手順書(Sanitation Standard Operating Procedures)(以下「SSOP」という。)を作成し、実施するとともに、必要な改訂を行い、維持管理すること。

2 SSOPの作成

(1) 認定施設は、SSOPに食肉の直接的な汚染又は粗悪化を防止するために毎日作業前及び作業中に実施する手順を記載すること。また、SSOPの中には、食品が直接接触する設備、装置、機械及び器具の作業前の洗浄及び消毒について具体的な方法、回数等を記載すること。

(2) 認定施設は、本基準にしたがってSSOPの記載通りに実施し、管理する責任を明確にするため、作成したSSOPに、衛生管理責任者が署名し、署名した日付を記載すること。

(3) 認定施設は、本規定の施行日及びその後改訂した場合は、SSOPに改訂した旨、改訂した者の氏名及び日付の記載を行うこと。

(4) 認定施設は、各手順の実施に関する責任者を特定し、SSOPに記載すること。

3 SSOPの実施

(1) 認定施設は、SSOPの手順を遵守すること。

(2) 認定施設は、SSOPの手順が遵守されているかどうかについて毎日モニタリングすること。

4 SSOPの維持管理

認定施設は、SSOPに基づく衛生管理の実施による食肉の汚染防止効果を定期的に評価するとともに、施設内の設備、装置、機械、器具、作業方法及び責任者の変更に応じてSSOPを最も衛生管理効果のあるものに改訂し、最新のものを維持管理すること。

5 改善措置

(1) 認定施設又は指名検査員等が、食肉の汚染等を防ぐため当該施設のSSOPの内容、実際に行われた衛生管理の方法が不適切であると判断した場合、認定施設は適切な改善措置を講じること。

(2) 改善措置には、以下の事項を含むこと。

ア 汚染の疑いのある食肉を適切かつ確実に除去し、又は廃棄する手順

イ 機械、器具等を衛生的な状態へ回復するための手順

ウ 食肉の汚染等の再発防止のためのSSOPの適切な改訂

エ その他必要な措置

6 記録

(1) 認定施設のモニタリングに関する責任者は、毎日、SSOPの各手順の実施、モニタリング結果及び改善措置の実施について記録し、記録した者が氏名及び日付を記入すること。

(2) 記録は、指名検査員等が閲覧できる状態で1年以上保管すること。また、当該記録は全て作成後最低2日間は認定施設内に保管し、それ以後は、指名検査員等がその要請から1日以内に閲覧できることを条件に、現場以外に保管できるものとする。

第2 大腸菌の検査

1 認定施設は、以下に定めるような大腸菌(Escherichia coli Biotype l)の検査を実施すること。

2 検体採取方法等

(1) 認定施設は、検体採取手順を記載した文書を作成すること。

この手順書には、次の事項を記載すること。また、必要に応じ、指名検査員等が閲覧できること。

ア 検体を採取する従業員を指定すること。

イ 検体採取場所を定めること。

ウ 検体採取における無作為採取方法を定めること。

エ 検体採取を確実にするための検体の取扱い方法を定めること。

(2) 認定施設は、冷蔵庫に搬入後12時間以上経過し、上記に定めた無作為採取方法により選定した枝肉から検体を採取すること。

(3) 検体は選定した枝肉(ともばらflank・胸部brisket・臀部rump)の3ヶ所から切除法(と体の表面を無菌的に切り取ることにより検体を採取する方法)又はスポンジ法(と体の表面を滅菌したスポンジで無菌的に拭き取ることにより検体を採取する方法)により採取すること。(図1参照)

図1 牛枝肉の大腸菌検査用検体採取地点

(4) 検体は、牛について少なくとも週1回採取することとし、1週間の処理頭数が300頭以下の場合は1検体を採取し、300頭を超える毎に1検体ずつ追加して採取すること。

(5) 認定施設は、第3で定めたHACCPシステムを検証する目的で、他の微生物検査等を実施し、指名検査員等が当該検査等が適切な検証手段であると認めた場合は、その検査等に代替してもよいこと。

3 検査方法

(1) 認定施設は、以下に述べたいずれかの定量分析方法で検査すること。

ア 国際公認分析化学者協会(AOAC)によって認定された方法(参考1:大腸菌検査法)

イ 最確数法(MPN法)(適正なMPN指数の95%信頼区間を満たしていて、外部学術団体によって評価試験が実施されていること。)

4 検査結果の記録

(1) 認定施設は、検査結果を正確に記録し、保管すること。

(2) 検査結果は、家畜種毎に処理工程管理表(参考2)に記録し、直近13回以上の検査結果が下記の5に定める基準に従っているかどうか評価できるようにすること。

(3) 検査結果の記録は、1年間保存し、指名検査員等の要請があればいつでも提供すること。

5 検査結果及び評価

(1) 切除法を用いて検査を実施した場合、認定施設は国際食品微生物規格(ICMSF/The International Commission on Microbiological Specification for Foods)の3階級法を採用し、下表を用いて以下のように検査結果を判定すること。

ア 直近の検体数(n)13検体中の結果で判断する。

イ 合格判定値(m)以下の場合、合格となる。

ウ mから条件付き合格判定値(M)までの条件付き合格範囲(m~M)の検体数(c)が3検体までの場合、合格となる。

エ m~Mの値を示す検体数が4検体以上の場合、不合格となる。

オ M以上の値を示す検体が1検体以上の場合、不合格となる。

表 大腸菌検査結果の評価

動物種

合格判定値

(m)

条件付き合格判定値(M)

検体数

(n)

条件付き合格範囲の検体数(c)

去勢牛/未経産牛

陰性(注)

100cfu/cm2

13

3

経産牛/雄牛

陰性

100cfu/cm2

13

3