添付一覧
○食鳥処理場におけるHACCP方式による衛生管理について
(平成18年3月24日)
(食安監発第0324001号)
(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長通知)
標記については、平成4年3月30日付け衛乳第71号により指針を策定し、HACCP方式に基づいた食鳥処理工程における重要管理点及び目標基準、各管理点をモニタリングする方法及びモニタリング結果に基づく措置等を定めるよう食鳥処理業者に対する周知及び指導をお願いし、食鳥肉の微生物汚染の防止を図ってきたところです。
今般、食鳥肉のカンピロバクター等の微生物による汚染の問題を鑑み、更なる衛生水準の向上のため、厚生労働科学研究食品安全確保研究事業「食品製造の高度衛生管理に関する研究:主任研究者品川邦汎(岩手大学教授)」の研究成果を基に「一般的な食鳥処理場における衛生管理総括表」を作成しましたので、貴管下食鳥処理業者に対する周知及び指導方よろしくお願いします。
なお、食鳥処理場におけるHACCP方式を導入する際に必要なデータについては、すでに送付した「HACCP総合情報検索システム食鳥肉編」を活用されるようお願いします。
一般的な食鳥処理場における衛生管理総括表
原材料/工程 |
危害 |
危害の要因 |
防止措置 |
CCPorPP |
管理基準 |
モニタリング方法 |
改善措置 |
検証方法 |
記録文書名 |
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1 |
生体受入れ |
病原微生物による汚染 サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 腐敗微生物による汚染 |
・食鳥の保菌 ・体表の糞便等による汚染 ・輸送用容器の汚染 |
・生産者の衛生管理記録の確認(検査成績書の提示) ・出荷前の餌切りの遵守 ・受入検査(ロット、生体及び運搬状態の確認) ・生体輸送用容器の洗浄及び汚染の目視確認 |
CCP1 |
・検査成績書により、微生物を保菌していないこと ・絶食時間12時間以上 ・異常鶏を認めないこと ・当該食鳥が糞便等により、懸鳥の工程で作業従事者等を汚染させることが予想できるほど著しく汚染された状態でないこと |
・病原徴生物の保菌状況の検査成績書の確認(飼養管理報告書の確認) ・目視による確認(受入検査) |
・処理の順番変更又は搬入中止 ・生産農家への指導 |
・受入検査記録の点検 ・飼養管理報告書台帳の点検 ・逸脱に関する記録の点検 ・微生物検査 ・生産段階における衛生管理プログラムの確認 |
・受入検査記録 ・飼養管理報告書台帳 ・逸脱に関する記録 ・微生物検査記録 |
抗生物質、合成抗菌剤(基準が定められているものは、基準値以下)の残留 |
・生産者の生体取扱い不適 |
・生産者における適正飼養管理の徹底 |
PP |
・指定した生産者であること ・抗生物質等が検出されないこと |
・生産者の確認 ・検査成績書の確認 |
・搬入中止 ・生産農家への指導 |
・受入検査記録等の点検 ・残留検査の徹底 |
・受入検査記録 ・飼養管理報告書台帳 ・残留検査記録 |
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内寄生虫用剤及びホルモン剤(基準値が定められているもの)の残留 |
・生産者の生体取扱い不適 |
・生産者における適正飼養管理の徹底 |
PP |
・指定した生産者であること ・内寄生虫剤及びホルモン剤が基準以内にあること |
・生産者の確認 |
・搬入中止 ・生産農家への指導 |
・受入検査記録等の点検 ・残留検査の徹底 |
同上 |
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異物(金属等)の混入 |
・生産者、生体受入施設の管理不良 ・生体輸送用容器の管理不良 |
・生産段階における適正飼養管理の徹底 ・施設設備の衛生管理の徹底 ・生体輸送用容器の破損等目視確認 ・受入検査 |
PP |
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・受入検査記録 |
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2 |
保管 |
病原微生物による汚染 サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 腐敗微生物による汚染 |
・体表の糞便等による汚染 ・床等の汚染 |
・出荷前の餌切りの遵守 ・保管時間の管理 ・床等の洗浄消毒 |
PP |
・保管時間○時間以内 (絶食時間との関連して設定) |
・搬入記録の確認 |
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・受入検査記録等の点検 |
・受入検査記録 ・洗浄消毒記録 ・微生物検査記録 |
3 |
懸鳥 |
病原微生物による汚染 サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 腐敗微生物による汚染 |
・体表の糞便等による汚染 ・従事者からの汚染 ・床、シャックルの汚染 |
・出荷前の餌切りの遵守 ・異常鶏、高度の糞便等汚染鶏の区別・保管 ・作業マニュアルの遵守、従事者教育の徹底 ・床、シャックルの洗浄消毒 |
PP |
・食鳥が糞便等により、懸鳥の工程で作業従事者等を汚染させることが予想できるほど著しく汚染された状態でないこと |
・目視による確認 |
・指導 |
・餌切りについて飼養管理報告書台帳の点検 |
・受入検査記録 ・作業日報 ・微生物検査記録 |
異物(金属)の混入 |
・レールダストの付着 |
・機械器具の保守点検 |
PP |
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・保守点検記録 |
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4 |
放血 |
病原微生物による汚染 サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 腐敗微生物による汚染 |
・体表の糞便等による汚染 ・ネックカッターの汚染 ・従事者からの汚染 |
・出荷前の餌切りの遵守 ・機械器具の洗浄消毒 ・作業マニュアルの遵守、従事者教育の徹底 |
PP |
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・洗浄消毒記録 ・作業日報 ・微生物検査記録 |
異物(金属)の混入 |
・ネックカッターの刃こぼれ ・レールダストの付着 |
・機械器具の保守点検 |
PP |
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・保守点検記録 |
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5 |
湯漬け |
病原微生物による汚染 サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 腐敗微生物による汚染 |
・湯漬水温の低下 ・換水不足 ・湯漬槽の洗浄・殺菌不良 ・従事者の湯漬槽の取扱い及び洗浄・消毒等の作業不良 |
・60℃以上の適正な温度管理 ・1羽当たり1リットルの適正な換水量の確保 ・羽毛等の浮遊物の除去 ・湯漬槽の洗浄、消毒 ・作業マニュアルの遵守、従事者教育の徹底 |
PP |
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・作業日報 ・施設設備保守点検記録 ・校正記録 ・洗浄消毒記録 ・微生物検査記録 |
異物(金属)の混入 |
・レールダストの付着 |
・機械器具の保守点検 |
PP |
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・保守点検記録 |
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6 |
脱羽 |
病原微生物による汚染 サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 腐敗微生物による汚染 |
・脱羽機、脱羽フィンガー(脱羽ゴム)ベルトの汚染 ・羽の再付着、脱羽不良 ・脱羽機の破損による体表等の損傷からの微生物汚染 |
・脱羽機・脱羽ベルトの洗浄消毒 ・脱羽機・脱羽ベルトの調整 ・適正な洗浄水量の確保 ・脱羽機・脱羽ベルトの保守点検 |
PP |
・洗浄消毒後に汚染が認められないこと ・残羽、体表の損傷などが無いよう脱羽が適切になされていること ・脱羽機の破損がないこと |
・目視による確認 |
・再洗浄消毒 ・脱羽不良鶏の排除 ・機械の調整 ・機械器具の保守点検 |
・洗浄消毒記録の点検 ・作業日報の点検 ・保守点検記録の点検 |
・洗浄消毒記録 ・作業日報 ・保守点検記録 ・微生物検査記録 |
異物の混入 |
・レールダストの付着 ・脱羽機の破損 |
・機械器具の保守点検 |
PP |
・異物がないこと |
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・保守点検記録 |
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7 |
シャックル掛換え |
病原微生物による汚染 サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 腐敗微生物による汚染 |
・シャックル、懸換機等の汚染 ・食鳥と体の落下 ・従事者からの汚染 |
・シャックル、懸換機の洗浄消毒 ・作業マニュアルの遵守、従事者教育の徹底 |
PP |
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・洗浄消毒記録 ・作業日報 |
異物(金属)の混入 |
・レールダストの付着 |
・機械器具の保守点検 |
PP |
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・保守点検記録 |
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8 |
頭・足除去 |
病原微生物による汚染 サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 腐敗微生物による汚染 |
・ヘッドキラー、フットカッター等の汚染 |
・ヘッドキラー、フットカッター等の洗浄消毒 |
PP |
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・洗浄消毒記録 |
異物(金属)の混入 |
・レールダストの付着 |
・機械器具の保守点検 |
PP |
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・保守点検記録 |
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9 |
内臓摘出 |
病原微生物による汚染 サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球 菌腐敗微生物による汚染 |
・消化管内容物の漏出 ・シャックル、自動中抜機等の汚染 ・従事者からの汚染 |
・自動中抜機の正常稼働の確認、機械の調整 ・機械器具の洗浄消毒 ・作業マニュアルの遵守、従事者教育の徹底 |
PP |
・消化管内容物による汚染が認められないこと ・洗浄後に機械器具の汚染が認められないこと ・マニュアルに規定された適正作業 |
・目視による確認 |
・食鳥中抜きと体のトリミング、洗浄、消毒 ・機械器具の再洗浄消毒 ・従業員の再教育 |
・作業日報の点検 ・洗浄消毒記録の点検 ・微生物検査 |
・作業日報 ・洗浄消毒記録 ・微生物検査記録 |
異物(金属)の混入 |
・レールダストの付着 |
・機械器具の保守点検 |
PP |
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・保守点検記録 |
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10 |
内臓処理 (食用区分) |
病原微生物による汚染 サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 腐敗微生物による汚染 |
・消化管内容物の漏出 ・従事者からの汚染 ・容器の汚染 |
・作業マニュアルの遵守、従事者教育の徹底 ・容器の洗浄及び汚染の目視確認 |
PP |
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・作業日報 ・微生物検査記録 |
11 |
内外洗浄 |
病原微生物による汚染 サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 腐敗微生物による汚染 |
・洗浄水量、水圧の不足 ・使用水の汚染 |
・洗浄機の正常稼働の確認、調整 ・使用水の衛生管理の徹底 |
PP |
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・作業日報 ・保守点検記録 ・微生物検査記録 |
異物(金属)の混入 |
・レールダストの付着 |
・機械器具の保守点検 |
PP |
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・保守点検記録 |
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12 |
冷却 (予備・本冷却) |
病原微生物による汚染 サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 腐敗微生物による汚染 微生物の増殖 |
・冷却水の汚染 ・食鳥中抜きと体の冷却不足 |
・適正な塩素濃度、換水量(1羽当たり1~1.5リットル)の確保 ・水温管理(冷却工程により16℃~4℃) |
CCP2 |
・残留塩素濃度(○ppm以上) ・換水量(1リットル~1.5リットル/羽以上) ・水温(予備冷却16℃以下、本冷却4℃以下) (冷却後のと体の内部温度は4℃以下となるように設定) |
・残留塩素濃度の測定 ・換水量の測定 ・水温の測定 |
・食鳥中抜きと体の再冷却又は廃棄 ・塩素殺菌装置の調整 ・水量バルブの調整 ・冷却装置、水温の調整 |
・冷却と体芯温測定記録 ・温度計等計測器の校正 ・チラー管理記録の点検 ・逸脱に関する記録の点検 ・冷却機法令点検 ・保守点検記録の点検 ・微生物検査 |
・チラー管理記録 ・冷却と体芯温測定記録 ・逸脱に関する記録 ・保守点検記録 ・冷却機法令点検台帳 ・校正記録 ・微生物検査記録 |
13 |
水切り |
病原微生物による汚染 サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 腐敗微生物による汚染 |
・コンベアーの汚染 ・食鳥中抜きと体の落下 |
・機械器具の洗浄、殺菌の徹底 ・作業マニュアルの遵守、従事者教育の徹底 |
PP |
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・作業日報 ・洗浄消毒記録 |
微生物の増殖 |
・食鳥中抜きと体温度の上昇 |
・コンベアーの正常稼働の確認 ・作業マニュアルの遵守、従事者教育の徹底 ・室温の管理 |
PP |
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・作業日報 ・室内温度記録 ・保守点検記録 ・微生物検査記録 |
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異物の付着 |
・食鳥中抜きと体の落下 |
・作業マニュアルの遵守、従事者教育の徹底 |
PP |
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・作業日報 |
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14 |
製品保管 |
病原微生物による汚染 サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 腐敗微生物による汚染 |
・保管場所の汚染 ・氷の汚染 |
・施設設備の衛生管理の徹底 |
PP |
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・清掃消毒記録 ・作業日報 |
微生物の増殖 |
・保管温度の管理不良 ・保管温度に影響する過剰な保管量 |
・保管温度の確認 ・適正な保管量の確認 ・施設設備の定期的保守点検 |
CCP3 |
・保管温度(○℃以下) ・(と体の内部温度が10℃以下になるように設定) |
・保管庫温度の測定 |
・冷却方法の変更、用途の変更又は廃棄 |
・庫内温度記録の点検 ・製品保管記録の点検 ・保管と体温度測定 ・保管と体温度記録の点検 ・温度計の校正 |
庫内温度記録 ・製品保管記録 ・逸脱に関する記録 ・校正記録 |
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15 |
保管用容器受入 |
病原微生物による汚染(再利用のものに限る) サルモネラ カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 腐敗微生物による汚染(再利用のものに限る) |
・製造業者、取引業者の衛生管理不良 ・洗浄消毒不良(再利用の場合) |
・取引業者の限定、保証契約、確認 ・保管用容器の洗浄消毒(再利用の場合) |
PP |
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・受入検査記録 ・洗浄消毒記録 |
成分規格に適合しないもの |
・製造業者の衛生管理不良 |
・取引業者の限定、保証契約、確認 ・規格書のチェック |
PP |
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・受入検査記録 ・規格書台帳 |
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異物(金属・石等)の混入 |
・製造業者、取引業者、処理業者(再利用の場合)の衛生管理不良 |
・取引業者の限定、保証契約、確認 ・受入検査の実施 |
PP |
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・受入検査記録 |
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16 |
保管用容器保管 |
微生物による汚染 |
保管用容器の破損 |
作業マニュアルの遵守、従事者教育の徹底 |
PP |
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・保管管理記録 |
異物の混入 |
保管用容器破損等の取扱い不良 |
作業マニュアルの遵守、従事者教育の徹底 |
PP |
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・保管管理記録 |
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17 |
使用水(井水) |
病原微生物による汚染 腐敗微生物による汚染 |
・井水の汚染、消毒不良 ・受水槽等の管理不良 ・配管等設備の管理不良 |
・水質検査 ・塩素消毒装置の正常稼働 ・受水槽の保守点検、洗浄消毒 ・配管等設備の保守点検、洗浄消毒 |
PP |
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・水質検査記録 ・残留塩素記録 ・保守点検記録 ・洗浄消毒記録 |
異物の混入 |
・受水槽の管理不良 ・配管等設備の管理不良 |
・受水槽の保守点検 ・配管等設備の保守点検 |
PP |
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・保守点検記録 |
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18 |
氷 |
病原微生物による汚染 腐敗微生物による汚染 |
・製氷機の汚染 ・採取器具の汚染 ・従事者からの汚染 ・使用水の汚染 |
・製氷機の保守点検、洗浄消毒 ・採取器具の洗浄消毒 ・作業マニュアルの遵守、従事者教育の徹底 ・使用水の衛生管理の徹底 |
PP |
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・保守点検記録 ・洗浄消毒記録 ・微生物検査記録 |
(注) 15~18については、処理工程中に管理するものではないが、作業開始前に確認すべき事項として参考に記載しています。