添付一覧
○看護職員確保対策事業等の実施について
(平成22年3月24日)
(医政発0324第21号)
(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)
医療の高度化・専門化の進展、在宅療養者の増加等により変化する国民の医療ニーズに対応して、引き続き良質で適切な保健・医療サービスを提供していくためには、資質の高い看護職員を確保していくことが不可欠である。また、経済連携協定に基づき外国人看護師候補者の円滑かつ適正な受入が実施できるよう、今般、別添「看護職員確保対策事業等実施要綱」を定め、平成22年4月1日から適用することとしたので通知する。
なお、「へき地等の地域における看護婦等養成所に対する重点的支援事業の実施について」(平成13年6月8日医政発第614号)、「看護師養成所二年課程(通信制)導入促進事業の実施について」(平成15年9月1日医政発第0901005号)、「助産師養成所開校促進事業の実施について」(平成20年3月31日医政発第0331025号)、「看護師等養成所初度設備整備事業の実施について」(平成元年8月16日健政発第438号)、「看護師等養成所教育環境改善設備整備事業の実施について」(平成8年5月10日健政発第428号)、「新人助産師臨床実践能力向上推進事業の実施について」(平成19年1月29日医政発0129002号)、「新人看護師臨床実践能力向上推進事業の実施について」(平成20年3月31日医政発0331024号)、「看護職員資質向上推進事業の実施について」(平成11年6月11日健政発第696号)、「専門分野(がん・糖尿病)における質の高い看護師育成事業の実施について」(平成18年7月7日医政発0707008号)、「看護職員の確保が困難な地域医療機関の看護職員確保モデル事業の実施について」(平成18年7月7日医政発0707006号)、「院内助産所・助産師外来開設促進事業等の実施について」(平成20年3月31日医政発0331028号)、「産科診療所における助産師確保モデル事業の実施について」(平成18年7月7日医政発0707007号)、「訪問看護推進事業について」(平成16年6月9日医政発第0609003号)、「医療型多機能サービスの展開に向けた訪問看護充実の検討について」(平成17年4月26日医政発第0426001号)、「医療依存度の高い在宅療養者に対する訪問看護・訪問介護の一体型サービス提供モデル事業の実施について」(平成20年3月31日医政発第0331026号)、「看護職員確保対策特別事業の実施について」(平成8年9月18日健政発第798号)、「中央ナースセンター事業の実施について」(平成5年5月6日健政発第297号)、「看護師勤務環境改善施設整備事業の実施について」(平成5年6月15日健政発第388号)及び「看護師宿舎施設整備事業の実施について」(平成5年6月15日健政発第389号)は廃止する。
看護職員確保対策事業等実施要綱
Ⅰ 看護職員確保対策事業
1 看護師等養成所運営等事業
(1) へき地等の地域における養成所に対する重点的支援事業
(2) 看護教員養成講習会参加促進事業
(3) 新任看護教員研修事業
(4) 助産師学生実践能力向上事業
(5) 看護師養成所2年課程(通信制)導入促進事業
(6) 助産師養成所開校促進事業
(7) 看護師等養成所初度設備整備事業
(8) 看護師等養成所教育環境改善設備整備事業
(9) 看護師養成所修業年限延長促進事業
2 新人看護職員研修事業
3 看護職員資質向上推進事業
(1) 看護職員専門分野研修
(2) 中堅看護職員実務研修
(3) 専門分野(がん・糖尿病)における質の高い看護師育成事業
(4) 看護教員養成講習会事業
(5) 看護教員継続研修事業
(6) 実習指導者講習会事業
(7) 協働推進研修事業
(8) 潜在看護職員復職研修事業
4 助産師活用推進事業
5 訪問看護推進事業
6 看護職員確保対策特別事業
7 短時間正規雇用等看護職員の多様な勤務形態導入支援事業
8 病院内保育所運営事業
9 中央ナースセンター事業
10 看護師勤務環境改善施設整備事業
11 看護師宿舎施設整備事業
Ⅱ 外国人看護師候補者就労研修支援事業
Ⅰ 看護職員確保対策事業
1 看護師等養成所運営等事業
(1) へき地等の地域における養成所に対する重点的支援事業
ア 目的
この事業は、へき地等の地域及び看護職員不足地域に所在する看護師及び准看護師養成所における実習体制の支援及び学生募集や就職相談等地域の医療機関等との協力、連携体制の構築を支援し、それらの地域の看護職員の確保に資することを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、保健師助産師看護師法により指定を受けた看護師等養成所(ただし、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校は除く。)のうち、社会福祉法人(ただし、社会福祉法人恩賜財団済生会及び社会福祉法人北海道社会事業協会を除く。)、国家公務員共済組合及びその連合会、健康保険組合及びその連合会、国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会、学校法人及び準学校法人、医療法人、一般社団法人及び一般財団法人並びにその他厚生労働大臣の認める者とする。
ただし、医療法人並びに一般社団法人及び一般財団法人については、学校教育法第124条の規定による「専修学校」又は同法第134条の規定による「各種学校」の認可を受けている者に限るものとする。
ウ 事業内容
次に掲げる地域における看護師及び准看護師養成所の実習を効率的、効果的に行うため、実習施設への交通手段の借り上げ等を行い、実習体制の充実を図り資質の高い看護職員の養成を図るとともに、併せて、当該地域における看護職員の確保を図るため、学生募集や就職相談等地域の実情に即した取り組みを行うものとする。
(ア) へき地等の地域
人口5万人未満の市町村であって、次に掲げる地域とその区域内に有する市町村の区域に所在するものとする。
ただし、「市町村の合併の特例等に関する法律(平成16年5月26日法律第59号)」に基づき、当該市町村の合併が平成17年度又は平成18年度に行われた場合にあっては当該市町村の合併が行われた日の属する年度及びこれに続く9年度について、当該市町村の合併が平成19年度又は平成20年度に行われた場合にあっては当該市町村の合併が行われた日の属する年度及びこれに続く7年度について、当該市町村の合併が平成21年度に行われた場合にあっては当該市町村の合併が行われた日の属する年度及びこれに続く5年度については、なお従前の例による。
a 過疎地域自立促進特別措置法第2条第1項に規定する地域
b 離島振興法第2条第1項の規定により離島振興対策実施地域として指定された離島の地域
c 辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律第2条第1項に規定する辺地
d 山村振興法第7条第1項の規定により振興山村として指定された山村
(イ) 看護職員不足地域
一般病院の看護職員数が3:1未満の二次医療圏
(2) 看護教員養成講習会参加促進事業
ア 目的
この事業は、看護師等養成所において、すでに教員となっている看護教員養成講習会(教務主任養成講習会を含む)未受講者の受講を促進し、看護職員の養成に携わる者として必要な知識、技術を修得させ、看護教育の充実向上を図ることを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、保健師助産師看護師法により指定を受けた看護師等養成所(ただし、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校は除く。)のうち、社会福祉法人(ただし、社会福祉法人恩賜財団済生会及び社会福祉法人北海道社会事業協会を除く。)、国家公務員共済組合及びその連合会、健康保険組合及びその連合会、国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会、学校法人及び準学校法人、医療法人、一般社団法人及び一般財団法人並びにその他厚生労働大臣の認める者とする。ただし、医療法人並びに一般社団法人及び一般財団法人については、学校教育法第124条の規定による「専修学校」又は同法第134条の規定による「各種学校」の認可を受けている者に限るものとする。(ただし、助産師養成所及び看護師養成所2年課程(通信制)にあってはこの限りではない。)
ウ 事業内容
平成10年3月4日健政発第241号厚生省健康政策局長通知「看護教員養成講習会実施要領について」に基づき実施される看護教員養成講習会に教員を受講させる看護師等養成所とする。
(3) 新任看護教員研修事業
ア 目的
この事業は、看護師等養成所において、看護教員としての基礎がつくられる新任の専任教員(以下「新任教員」という。)に対する研修体制の構築を促進することにより看護教員の質の確保・向上を図ることを目的とする。
(注)新任教員とは、専任教員として初めて看護師等養成所に就労する者をいう。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、保健師助産師看護師法により指定を受けた看護師等養成所(ただし、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校は除く。)のうち、社会福祉法人(ただし、社会福祉法人恩賜財団済生会及び社会福祉法人北海道社会事業協会を除く。)、国家公務員共済組合及びその連合会、健康保険組合及びその連合会、国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会、学校法人及び準学校法人、医療法人、一般社団法人及び一般財団法人並びにその他厚生労働大臣の認める者とする。ただし、医療法人並びに一般社団法人及び一般財団法人については、学校教育法第124条の規定による「専修学校」又は同法第134条の規定による「各種学校」の認可を受けている者に限るものとする。(ただし、助産師養成所及び看護師養成所2年課程(通信制)にあってはこの限りではない。)
ウ 事業内容
(ア) 受講対象者は新任教員とする。また、他の看護師等養成所の新任教員を受け入れて実施することも可とする。
(イ) 研修内容については、新任教員に求められる能力(教育実践能力、学生指導能力、コミュニケーション能力、看護実践能力など)に関する研修とし、以下に掲げる研修内容を参考に実施すること。
(参考)研修内容の例
研修項目 |
研修内容 |
研修方法 |
教育実践能力 |
授業計画の立案、教育方法の検討など授業設計や方法、評価に関すること |
講義及び演習 |
学生指導能力 |
学生把握、学習指導、生活指導、健康管理、個別相談等の場面での指導方法に関すること |
講義及び演習 |
コミュニケーション能力 |
人間理解、人間関係構築、カウンセリング等の方法に関すること |
講義及び演習 |
看護実践能力 |
臨床現場における自らの専門領域及び担当領域での短期研修などによる看護技術の実践や最新の医療知識の獲得に関すること |
講義、演習及び臨地実習 |
(4) 助産師学生実践能力向上事業
ア 目的
この事業は、助産師養成所における演習及び実習体制の充実を図り、質の高い助産師の養成を行うことを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、保健師助産師看護師法により指定を受けた助産師養成所(ただし、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校は除く。)のうち、社会福祉法人(ただし、社会福祉法人恩賜財団済生会及び社会福祉法人北海道社会事業協会を除く。)、国家公務員共済組合及びその連合会、健康保険組合及びその連合会、国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会、学校法人及び準学校法人、医療法人、一般社団法人及び一般財団法人並びにその他厚生労働大臣の認める者とする。
ウ 事業内容
助産師学生の実践能力向上を図るために実施する演習及び実習とし、以下に掲げる内容を参考に実施すること。
〈演習・実習内容の例〉
① 妊娠期の診断能力を強化するために実施する
・超音波検査の演習
・妊娠期の事例を継続的に実習
② 分娩時の応急処置能力を強化するために実施する
・新生児シミュレーターを用いたアセスメント演習
・新生児救急シミュレーターを用いた救急時を想定した演習
③女性のライフサイクルに合わせたケア能力を強化するために実施する
・女性外来や不妊外来、思春期外来などの関連する外来等での実習
・女性の性と生殖を目的とした健康教育や保健指導に関する演習・実習
(5) 看護師養成所2年課程(通信制)導入促進事業
ア 目的
この事業は、看護師資格の取得を希望する准看護師が働きながら就学できる環境を整備するため、2年課程(通信制)の設置を予定している者を支援するとともに、設置・運営に係る問題点等を把握し、看護教育の充実に資することを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、保健師助産師看護師法に基づき指定を受けることのできる看護師2年課程(通信制)の学校又は養成所(ただし、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校は除く。以下「看護師養成所2年課程(通信制)」という。)のうち、都道府県、社会福祉法人(ただし、社会福祉法人恩賜財団済生会及び社会福祉法人北海道社会事業協会を除く。)、国家公務員共済組合及びその連合会、健康保険組合及びその連合会、国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会、学校法人及び準学校法人、医療法人、一般社団法人及び一般財団法人並びにその他厚生労働大臣が認める者とする。
ウ 事業内容
看護師養成所2年課程(通信制)の設置準備に必要な専任教員、添削指導員及び事務職員を配置し、円滑な開校に向けたカリキュラムの策定等を行うものとする。
ただし、看護師養成所2年課程(通信制)の設置等計画に係る審査を受けている者に限る。
(6) 助産師養成所開校促進事業
ア 目的
この事業は、助産師養成所の設置を予定している者を支援することにより助産師養成を促進することを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、保健師助産師看護師法に基づき指定を受けることのできる助産師養成所(ただし、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校は除く。)のうち、日本赤十字社、全国厚生農業協同組合連合会、社会福祉法人、国家公務員共済組合及びその連合会、健康保険組合及びその連合会、国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会、学校法人及び準学校法人、医療法人、一般社団法人及び一般財団法人並びにその他厚生労働大臣が認める者とする。
ウ 事業内容
助産師養成所の設置準備に必要な専任教員を配置し、円滑な開校に向けたカリキュラムの策定等を行うものとする。
補助先は助産師養成所の設置等計画に係る審査を受けている者に限る。
(7) 看護師等養成所初度設備整備事業
ア 目的
この事業は、保健師、助産師、看護師及び准看護師(以下「看護師等」という。)養成所の新設を促進し、医療機関等における看護師等を確保することを目的とする。
イ 補助対象
次に掲げる者が行う看護師等養成所の新設に係る初度設備整備事業に対して都道府県が補助する事業。
日本赤十字社、全国厚生農業協同組合連合会、社会福祉法人、健康保険組合及びその連合会、国民健康保険組合及びその連合会、学校法人及び準学校法人、医療法人、一般社団法人又は一般財団法人並びに厚生労働大臣の認める者。
ただし、一般社団法人又は一般財団法人並びに医療法人については、学校教育法(昭和22年法律第26号)第124条の規定による「専修学校」又は同法第134条の規定による「各種学校」の認可を受けることのできるものに限る。(ただし、助産師養成所及び看護師養成所2年課程(通信制)にあってはこの限りではない。)
(8) 看護師等養成所教育環境改善設備整備事業
ア 目的
この事業は、保健師、助産師、看護師及び准看護師の学校又は養成所における「在宅看護実習室」の新設に必要な設備整備を促進し、教育環境を改善することにより、看護職員の資質の向上を図ることを目的とする。
イ 補助対象
次に掲げる者が行う看護師等養成所の教育環境改善設備整備事業に対して都道府県が補助する事業。
日本赤十字社、全国厚生農業協同組合連合会、社会福祉法人、健康保険組合及びその連合会、国民健康保険組合及びその連合会、学校法人及び準学校法人、医療法人、一般社団法人又は一般財団法人並びに厚生労働大臣の認める者。
ただし、一般社団法人又は一般財団法人並びに医療法人については、学校教育法(昭和22年法律第26号)第124条の規定による「専修学校」又は同法第134条の規定による「各種学校」の認可を受けることのできるものに限る。(ただし、助産師養成所及び看護師養成所2年課程(通信制)にあってはこの限りではない。)
(9) 看護師養成所修業年限延長促進事業
ア 看護師養成所修業年限延長促進事業
(ア) 目的
この事業は、看護基礎教育を充実するため、看護師養成所の修業年限の延長を予定している者を支援し、質の高い看護師の養成及び確保を図ることを目的とする。
(イ) 実施主体
この事業の実施主体は、保健師助産師看護師法により指定を受けた看護師養成所(ただし、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校は除く。)のうち、都道府県、特別区及び市町村、日本赤十字社、全国厚生農業協同組合連合会、社会福祉法人、国家公務員共済組合及びその連合会、健康保険組合及びその連合会、国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会、学校法人及び準学校法人、医療法人、一般社団法人及び一般財団法人並びにその他厚生労働大臣が認める者とする。
ただし、医療法人並びに一般社団法人及び一般財団法人については、学校教育法第124条の規定による「専修学校」又は同法第134条の規定による「各種学校」の認可を受けている者に限るものとする。
(ウ) 事業内容
看護師養成所の修業年限の延長に伴い必要となる専任教員を配置し、円滑な移行に向けたカリキュラムの作成等を行うものとする。
イ 看護師養成所修業年限延長施設整備事業
(ア) 目的
この事業は、看護基礎教育を充実するため、看護師養成所の修業年限の延長に必要な施設整備に対し支援し、質の高い看護師の養成及び確保を図ることを目的とする。
(イ) 補助対象
次に掲げる者が行う看護師養成所の看護師養成所修業年限延長施設整備事業に対して都道府県が補助する事業。
日本赤十字社、全国厚生農業協同組合連合会、社会福祉法人、国家公務員共済組合及びその連合会、健康保険組合及びその連合会、国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会、学校法人及び準学校法人、医療法人、一般社団法人及び一般財団法人並びにその他厚生労働大臣が認める者。
ただし、医療法人並びに一般社団法人及び一般財団法人については、学校教育法第124条の規定による「専修学校」又は同法第134条の規定による「各種学校」の認可を受けている者に限るものとする。
(ウ) 事業内容
看護師養成所の修業年限の延長に必要な施設整備を行うものとする。
2 新人看護職員研修事業
(1) 新人看護職員研修事業
① 目的
この事業は、病院等(注1)において、新人看護職員(注2)が基本的な臨床実践能力を獲得するための研修を実施することにより、看護の質の向上及び早期離職防止を図ることを目的とする。
(注1)病院等とは、看護師等の人材確保の促進に関する法律(平成4年法律第86号)第2条第2項に規定する病院等をいう。(以下、「病院等」という。)
(注2)新人看護職員とは、主として免許取得後に初めて就労する保健師、助産師、看護師及び准看護師をいう。(以下、「新人看護職員」という。)
② 新人看護職員研修事業
ア 事業の実施主体
この事業の実施主体は、病院等とする。ただし、国立高度専門医療研究センターは除く。
イ 事業内容
病院等は、新人看護職員研修ガイドライン(平成21年12月24日医政看発1224第1号厚生労働省医政局看護課長通知、以下「ガイドライン」という。)に示された以下の項目に沿って、新人看護職員に対する研修を実施する。
(ア) 「新人看護職員を支える体制の構築」(ガイドラインⅠ―3―1)を参照)として、職場適応のサポートやメンタルサポート等の体制を整備すること。
(イ) 「研修における組織の体制」(ガイドラインⅠ―3―2)を参照)として、組織内で研修責任者、教育担当者及び実地指導者の役割を担う者を明確にすること。なお、専任又は兼任のいずれでも差し支えない。
(ウ) 「新人看護職員研修」(ガイドラインⅡを参照)に沿って、到達目標を設定するとともに、その評価を行うこと。また、研修プログラムを作成し研修を実施すること。
③ 外部研修事業
ア 目的
この事業は、新人看護職員研修を自施設単独で完結できない場合に、外部組織の研修を活用することにより、新人看護職員研修の着実な推進を図ることを目的とする。
イ 事業内容
(ア) 医療機関受入研修事業
a この事業の実施主体は、②の新人看護職員研修事業を実施する病院等とする。ただし、国立高度専門医療研究センターは除く。
b 新人看護職員研修事業を実施する病院等は、自施設の新人看護職員研修を公開し、公募により受け入れを実施すること。なお、受け入れを行う研修は、複数月で実施すること。
(イ) 多施設合同研修事業
a この事業の実施主体は、都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
b 都道府県は、新人看護職員を対象に、病院等で行うガイドラインに沿った新人看護職員研修を補完する研修を企画・立案し実施する。
c 研修の内容は、地域における医療機関受入研修事業やその他の外部組織で行われている研修内容を考慮したものとすること。
d 研修の実施に当たっては、複数月で実施することとし、研修の年間スケジュールを予め示すなど、多くの病院等が参加しやすいよう配慮すること。
e 研修実施後は、参加者の意見等を把握し、研修内容・運営方法等の評価を行い、以後の研修の企画・運営の改善に活かすこと。
(2) 研修責任者研修事業
ア 目的
この事業は、研修責任者がガイドラインに示されている新人看護職員研修の実施に必要な能力を習得し、適切な研修実施体制を確保することを目的とする。
イ 事業の実施主体
この事業の実施主体は、都道府県とする。なお、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) 都道府県は、新人看護職員研修における研修責任者としてガイドラインⅠ―3―2)―④で求められている能力を習得するための研修を企画・立案し、実施するものとする。
なお、研修の内容には以下の項目を盛り込むこと。
a 新人看護職員研修ガイドラインの考え方
b 新人看護職員研修体制の構築
c 新人看護職員研修の企画と評価
d 実地指導者及び教育担当者の育成
(イ) 研修対象者は、ガイドラインで規定された研修責任者としての役割を担う者又はその任にあたる予定のある者とする。
(ウ) 研修の実施に当たっては、多くの病院等が参加しやすいよう原則複数の機会を設けて開催すること。
(エ) 研修実施後は、参加者の意見等を把握し、研修内容・運営方法等の評価を行い以後の研修の企画・運営の改善に活かすこと。
(参考)プログラム例
研修項目 |
研修内容 |
研修方法 |
新人看護職員研修ガイドラインの考え方 |
・新人看護職員研修の概要 ・新人看護職員研修ガイドラインの考え方 ・新人看護職員研修における研修責任者の役割 |
講義 |
新人看護職員研修体制の構築 |
・新人看護職員研修の組織体制 ・研修責任者、教育担当者、実地指導者の役割 ・新人看護職員研修に関わる看護職員の職場適応やメンタルサポート |
講義 |
新人看護職員研修の企画と評価 |
・基礎教育における看護実践能力の習得状況 ・施設及び看護部門の教育方針に基づく新人看護職員の到達目標の設定 ・新人看護職員研修の年間プログラムの立案 |
講義及び演習 |
実地指導者及び教育担当者の育成 |
・実地指導者、教育担当者の育成 |
講義及び演習 |
(3) 新人看護職員研修推進事業
ア 目的
この事業は、すべての病院等の新人看護職員がガイドラインに沿った研修を受けられる環境を整備するため、地域における連携体制を構築し、新人看護職員研修の着実な推進を図ることを目的とする。
イ 事業の実施主体
この事業の実施主体は、都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) 都道府県は、関係行政機関、病院団体、職能団体及び教育機関などの関係者により構成される協議会を設置する。なお、協議会は既存の検討会等をもって代えることができる。
(イ) 協議会は、外部研修事業等の推進を図るため、地域単位での病院等間の連携を活性化するための方策及び調整等に関して協議する。
(ウ) 都道府県は、次の掲げる事業のうち必要な事業について実施する。
a 地域の病院等や外部組織が実施する新人看護職員研修の施設間における情報共有や連携・調整に関すること。
b 新人看護職員研修の実施が困難な病院等に対するアドバイザー派遣に関すること。
c 新人看護職員研修の普及啓発に関すること。
3 看護職員資質向上推進事業
(1) 看護職員専門分野研修
ア 目的
特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を用いた、水準の高い看護を実践できる認定看護師の育成を促進する。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県及び厚生労働大臣が認める者とする。また、都道府県は、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
ウ 事業内容
実施期間:1コース当たり6か月間(600時間)程度
(2) 中堅看護職員実務研修
① 短期研修
ア 目的
看護職員の専門性の向上及び医療事故の防止等今日的課題への対応を図るため、実務経験がおおむね5年以上の看護職員を対象として研修を実施し、看護職員の資質の向上を図る。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるきは、事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) 実施期間 1回当たり5日間程度
(イ) 実施回数 年3回程度を1実施単位とする
(ウ) 定員 1回当たり40人程度
(エ) 研修内容(例)
がん看護、感染看護、精神科看護、救急看護、リスクマネジメント、フィジカルアセスメント等
② 中期研修
ア 目的
二大死因であるがん及び心筋梗塞、要介護状態の大きな原因となる脳卒中、認知症及び骨折については、看護が患者の予後に大きく影響することから、先端的化学研究の知見を臨床看護に応用し、専門的な看護ケアを提供するため、看護職員を対象とした研修を実施し、看護職員の資質向上を図る。 イ 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) 実施期間 15日間程度(うち5日間は専門病院での実地研修とする。)
(イ) 定員 がん、心筋梗塞、脳卒中、認知症、骨折の各コースごとに30人程度
(ウ) 研修内容(例)
コース |
研修内容 |
がん |
・最新の化学療法に対する看護 ・最新の放射線療法に対する看護 ・疼痛に対する看護 |
心筋梗塞 |
・最新の治療法に対する看護 ・急性期の患者の観察とそれに対応した看護 ・心臓リハビリテーション ・急性の意識混濁に対する看護 |
脳卒中 |
・最新の治療法に対する看護 ・急性期の患者の観察とそれに対応した看護 ・急性期のベッド上でのリハビリテーションと早期離床に向けた看護 ・急性の意識混濁に対する看護 |
認知症 |
・認知症症状を起こしやすい疾患を予防する看護 ・問題行動に対する看護 ・薬物療法と看護 ・進行を遅らせ症状を安定させる看護 ・認知症患者の人権擁護と看護 |
骨折 |
・急性期の患者の観察とそれに対応した看護 ・急性期のベッド上でのリハビリテーションと早期離床に向けた看護 ・早期離床のための補助用具(機器)の知識 ・転倒を予防するための看護 ・残存能力を維持するための看護 |
(3) 専門分野(がん・糖尿病)における質の高い看護師育成事業
ア 目的
がん及び糖尿病の患者に対する看護ケアの充実のため、臨床実践能力の高い看護師の育成強化を推進するための実務研修を実施し、看護職員の資質向上を図る。
イ 実施主体
この事業の実施主体は都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) 実施期間 原則40日
(イ) 定員 20人程度
(ウ) 対象者 がん看護又は糖尿病看護を実施している看護師
(エ) 研修実施医療機関 研修の実施に適した病院
(4) 看護教員養成講習会事業
ア 教員養成講習会(保健師・助産師・看護師教員及び教務主任)
(ア) 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県及び厚生労働大臣が認める者とする。また、都道府県は、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
(イ) 事業内容
平成10年3月4日健政発第241号厚生省健康政策局長通知「看護教員養成講習会実施要領について」に基づき実施する講習会とする。
イ 看護教員養成講習会施設整備事業
(ア) 目的
この事業は、教員養成講習会の実施に必要な教室等の施設整備に対する支援を行い、教員養成講習会の実施促進を図ることを目的とする。
(イ) 補助対象
厚生労働大臣が認める者が行う看護教員養成講習会施設整備事業に対して都道府県が補助する事業。
(ウ) 事業内容
教員養成講習会の定員数の増加等にともなう施設整備を交付の対象とする。
(5) 看護教員継続研修事業
① 目的
医療の高度化・国民のニーズの多様化といった変化を踏まえ、教育内容の向上を図るためのカリキュラム改正等に対応した教育の実施や、看護教員の成長段階別(新任期、中堅期、ベテラン期)に応じた研修を実施することにより、看護教員が生涯を通じてキャリアアップを図ることで、看護教員の質の向上に資することを目的とする。
② 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
③ 事業内容
研修内容については、看護教員の成長段階に応じ以下に掲げる項目を参考に実施すること。
ア 看護教育の内容及び看護教育方法の向上に関する研修
a カリキュラム改正に伴う教育方法及び内容
b 教育教材の工夫
c 感染者対策(インフルエンザなど)
d 医療安全
e 在宅看護の推進と看護(効果的な退院指導と在宅看護)
f 在院期間短縮に効果のあるクリティカルパスの活用
イ 看護教員の成長段階別に応じた研修
【新任期】
a 医療・看護をとりまく状況の変化
b 看護の役割と求められる看護教育
c 看護師等養成をめぐる状況
d 授業や実習指導を通しての課題と対処
e 授業設計や方法といった教育実践能力の向上に関すること
f 学生指導(生活・学習等)
g コミュニケーション能力の向上に関すること
h 看護実践能力の向上に関すること(臨床現場への研修など)
【中堅期】
a 授業展開や教材化などに関する最新の情報
b 新任教員への指導に関すること
c マネジメント、リーダーシップに関すること
d 研究能力の向上に関すること
e 看護実践能力の向上に関すること
【ベテラン期】
a 学校経営、人材育成、マネジメント、リーダーシップ能力強化に関すること
b 危機管理能力の向上に関すること(災害や感染症等)
c 教員の能力開発とその支援に関すること
d 教員や学校評価とその活用に関すること
e 看護教育を巡る政策の動向に関すること
(6) 実習指導者講習会事業
ア 実施方法
厚生労働省健康政策局長通知(平成6年10月31日健政発第783号)「都道府県保健師助産師看護師実習指導者講習会の開催について」に基づき実施する講習会とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
(7) 協働推進研修事業
ア 目的
近年、医師については、厳しい勤務環境に置かれているが、その要因の一つとして医師でなくても対応可能な業務までも医師が行っている現状があるとの指摘があり、医療の質を向上させるためには、チーム医療の推進が重要となっている。
そのため、平成19年12月28日医政局長より「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」の通知(以下「役割分担通知」という。)で示した専門職がその専門性を発揮するために強化すべき看護業務について、看護師等の研修の場を確保し、チーム医療を推進するための医師と看護師等の協働と連携を促進し、医療提供体制の充実を図ることを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
ウ 事業の内容
(ア) 都道府県において、協働推進のための研修事業に参加する看護師等を募集するとともに、研修プログラムを作成し、研修場所や研修内容の調整を行う。
(イ) 研修内容については、役割分担通知に定める内容について実施することとする。
(ウ) 研修については、多数の医療機関から参加ができるよう複数の機会で開催するなど、参加者への配慮を行うことが望ましい。
(8) 潜在看護職員復職研修事業
ア 目的
この事業は、潜在看護職員の再就業の促進を図るため、潜在看護職員に対する再就業に向けた臨床実務研修を行うことにより、看護職員の確保に資することを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) 都道府県は、再就業を希望する看護職員に対し、最新の看護に関する知識及び技術を修得させ、職場復帰を容易にするための臨床実務研修を実施するものとする。
(イ) 研修の企画・運営等に当たっては、受講者のニーズなどを考慮し、参加しやすいものとなるよう配慮すること。
(ウ) 研修実施に当たっては、受講者の離職期間や経験等を考慮し、1回当たり原則3日以上とし、複数回開催すること。
(エ) 研修場所については、教育研修が充実した病院や看護師等養成機関など、臨床実務研修に適した場所で行うこと。
(オ) 研修実施後は、再就業状況、受講者の意見や修得できた能力等を把握し、研修内容・運営方法等の評価を行い、以後の研修の企画・運営の改善に活かすこと。
エ 補助条件
都道府県ナースセンター事業における再就業促進に関する研修は、この事業の対象外とする。
4 助産師活用推進事業
(1) 目的
この事業は、妊産婦等の多様なニーズに応え、地域において助産師の確保・活用を推進し、安全・安心・快適なお産の場の確保を図ることを目的とする。
(2) 事業の内容
① 助産師活用推進協議会
ア 目的
各都道府県に、助産師の養成・確保・活用策や医療機関等との連携体制等を協議する協議会を設置し、地域において助産師を活用する体制整備を図ることを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
ウ 事業内容
都道府県は、助産師養成所、助産師養成課程を有する大学・短期大学及び産科医療機関などの関係者により構成される協議会を設置し、地域における助産師の養成・確保・活用策について協議するとともに、地域の実情に応じ当該助産師活用推進事業に掲げる事業のうち必要な事業を実施するものとする。
なお、協議会は既存の検討会等をもって代えることができる。
② 院内助産所・助産師外来開設のための助産師等研修事業
ア 目的
院内助産所(注1)・助産師外来(注2)(以下「院内助産所等」という。)の開設を促進するため、院内助産所等を開設しようとする医療機関管理者や、院内助産所等で助産や妊産婦の相談業務等に従事する医師や助産師に対する研修を行い、安全・安心・快適なお産の場の確保を目的とする。
(注1)「院内助産所」とは、緊急時の対応ができる医療機関等において、正常経過の妊産婦のケア及び助産を助産師が自立して行うものをいう。
(注2)「助産師外来」とは、医療機関等において、外来で正常経過の妊産婦の健康診査と保健指導を助産師が自立して行うものをいう。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) 都道府県において、院内助産所等を開設しようとする医療機関の管理者や医師、助産師等を募集するとともに、研修場所や研修内容の調整を行う。
(イ) 研修については、先駆的な院内助産所等の体制整備に取り組んでいる医療機関での研修や、院内助産所等を開設しようとする医療機関等に先駆的な院内助産所等の体制整備に取り組んでいる産科・産婦人科の医師や助産師、医療機関管理者を招聘し実施するものとする。
(ウ) 研修内容については、以下のような研修を実施するものとする。
a 産科・産婦人科医師や助産師等による安全管理や医師と助産師との連携・協働体制の整備のあり方
b その他、アの目的に資するもの
(エ) 研修については、一医療機関からの複数人の参加及び複数の機会でも可能とするなど参加者への配慮を行うこと。
(オ) 研修実施後は、受講者の意見や反応等を把握し、研修内容・運営方法等の評価を行い、以降の研修の企画・運営の改善に活かすこと。
③ 助産所管理者研修事業
ア 目的
助産所の質の向上を図るため、助産所管理者に対し安全管理や地域連携能力向上などの研修を行い、安全・安心・快適なお産の場の確保を目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) 受講対象者は、助産所の管理者及び管理者に準ずる者等とする。
(イ) 研修内容については、助産所の事業における安全管理、地域連携能力向上、人材開発、経営管理等の助産所の質の向上のための知識・技能の研修を行うものとする。
(ウ) 研修については、多数の管理者等が受講できるよう期間を分けた開催や複数回の開催など、受講者への配慮を行うこと。
(エ) 研修実施後は、受講者の意見や研修の効果等を把握し、研修内容・運営方法等の評価を行い、以降の研修の企画・運営の改善に活かすこと。
④ 潜在助産師復職研修事業
ア 目的
潜在助産師等の再就業の促進を図るため、潜在助産師等に対する再就業に向けた臨床実務研修を行うことにより、助産師の確保に資することを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) 都道府県は、再就業を希望する潜在助産師等に対して最新の助産に関する知識及び技術を修得させ、職場復帰を容易にするための臨床実務研修を行うものとする。
(イ) 研修の企画・運営に当たっては、受講者のニーズなどを考慮し、参加しやすいものとなるよう配慮すること。
(ウ) 研修実施に当たっては、受講者の離職期間や経験等を考慮し、原則3日以上とし、複数回開催すること。
(エ) 研修場所については、教育研修が充実した病院、診療所など臨床実務研修に適した場所で行うこと。
(オ) 研修実施後は、再就業状況、受講者の意見や修得した能力等を把握し、研修内容・運営方法等の評価を行い、以降の研修の企画・運営の改善に活かすこと。
エ 補助条件
都道府県ナースセンター事業における再就業促進に関する研修は、この事業の対象外とする。
⑤ 「院内助産所」「助産師外来」施設・設備整備事業
ア 目的
妊産婦の多様なニーズに応え、地域における安全・安心・快適なお産の場を確保するため、産科を有する病院・診療所に「院内助産所」「助産師外来」の開設を促進することを目的とする。
イ 補助対象
医療法(昭和23年法律第205号)第7条の規定に基づき許可を受けた病院及び診療所、又は同法第8条の規定に基づき届出をした診療所(以下「医療機関等」という。)の開設者が、新たに医療機関等の施設内に院内助産所等を開設する場合の施設整備及び設備整備に対して都道府県が補助する事業とする。(ただし、公立の医療機関等を除く。また、産科又は産婦人科の診療科を有する医療機関等に限る。)
5 訪問看護推進事業
(1) 訪問看護推進協議会
ア 目的
この事業は、都道府県、特別区及び市町村単位で「訪問看護推進協議会」(以下「協議会」)を設置し、訪問看護の推進方法等に関する課題を協議するとともに、訪問看護に関する実態調査及び各年度における訪問看護推進事業の企画・調整等を行い、訪問看護の推進に寄与することを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は都道府県、特別区及び市町村とする。また、事業目的の達成に必要があるときは都道府県、特別区及び市町村は事業を委託することができる。
ウ 運営基準
(ア) 都道府県知事、特別区長及び市町村長は、市町村関係者、都道府県医師会の代表者、都道府県看護協会の代表者及び都道府県訪問看護ステーション連絡協議会等、訪問看護の推進方法等を協議するために必要なメンバーにより構成される協議会を設置するものとする。
(イ) 協議会に事務局(訪問看護推進室)を設ける。協議会の庶務は事務局において処理する。なお事務局には、各個別事業の助言・調整等を行う訪問看護に精通した看護師等を担当者として配置することが望ましい。(委託する場合については、同様の形態とする。)
エ 事業内容
協議会は、訪問看護の推進に向けた協議を行うとともに、以下の事業について実施の企画、進捗状況管理、評価等を行うものとする。
(ア) 訪問看護の実態等に関する調査、訪問看護ステーション・医療機関に勤務する看護師の相互研修、在宅ターミナルケア研修、在宅ターミナルケアアドバイザー派遣、在宅ターミナルケア普及事業、在宅ターミナルケア地域連携会議、訪問看護管理者研修及び高度在宅看護技術実務研修の計画及び実施等に関すること。
(イ) 訪問看護ステーション等に関する総合的相談及び問い合わせに関すること。
(ウ) 訪問看護ステーションと医療機関等との連携を図るための調整に関すること。
(2) 訪問看護ステーション・医療機関に勤務する看護師の相互研修
① 目的
この事業は、訪問看護ステーションと医療機関等の看護師の相互交流による研修を行い、相互の看護の現状・課題や専門性等を理解し、在宅患者に対する最新の看護技術・知識を習得するとともに、入院患者が適切に在宅へ移行するための連携方法について合同研修を行うことにより、訪問看護の推進に寄与することを目的とする。
② 実施主体
この事業の実施主体は都道府県、特別区及び市町村とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、都道府県、特別区及び市町村は事業を委託することができる。
③ 事業内容
ア 訪問看護ステーションの看護師の研修
(ア) 実施期間 1回当たり5日(30時間)程度
(イ) 定員 1回当たり原則3人以上
(ウ) 研修の内容
a 医療機関で行われている最新かつ高度な医療処置・看護ケア研修及び実技研修(集合講習、実技講習等)
b 地域連携研修(合同研修)
イ 医療機関等の看護師の研修
(ア) 実施期間 1回当たり原則3日程度
(イ) 定員 1回当たり原則3人以上
(ウ) 研修の内容
a 現地研修(集合講習、現場同行)
b 地域連携研修(合同研修)
(3) 在宅ターミナルケア研修
ア 目的
この事業は、訪問看護ステーション等の看護師に対する緩和ケアやがん性疼痛看護、家族支援を含む看取りのケアに関する知識と技術を有する看護師等による研修を実施し、在宅ターミナルケアの専門的な技術を習得させることにより、在宅での看取りの推進に寄与することを目的とするものである。
イ 実施主体
この事業の実施主体は都道府県、特別区及び市町村とする。また、事業目的の達成に必要があるときは都道府県、特別区及び市町村は事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) 実施期間 原則3日程度
(イ) 定員 原則10人程度
(ウ) 研修の内容 薬物療法や精神的なケアを含む緩和ケア、在宅における家族支援を含めた看取りのケアについての講義・技術指導等
(4) 在宅ターミナルケアアドバイザー派遣事業
ア 目的
この事業は、在宅ターミナルケアを実施又は実施しようとする訪問看護ステーション等に対して、緩和ケアやがん性疼痛看護の知識と技術を有する看護師等をアドバイザーとして派遣し、現状にあった在宅ターミナルケア等についての助言を行うことにより、在宅での看取りの推進を図ることを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は都道府県、特別区及び市町村とする。また、事業目的の達成に必要があるときは都道府県、特別区及び市町村は事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) 緩和ケアやがん性疼痛看護の知識と技術を有する看護師等を、アドバイザーとして招聘し派遣する。
(イ) 在宅ターミナルを実施又は実施しようとする訪問看護ステーション等をアドバイザーの派遣対象施設とする。
(5) 在宅ターミナルケア等普及事業
ア 目的
在宅ターミナルケア及び訪問看護の役割を地域に浸透させるため、ケアの利用者と訪問看護ステーション等の提供者が共同して、在宅ターミナルケア等に関するフォーラム・講演会等の開催や、パンフレット等を発行し、その普及啓発を図ることを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は都道府県、特別区及び市町村とする。また、事業目的の達成に必要があるときは都道府県、特別区及び市町村は事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) フォーラム等
在宅ターミナルケア等の利用者及び訪問看護ステーション等の提供者が共同し、地域の住民に在宅ターミナルケアについての認識を深められるよう、在宅ターミナルケア等に関するフォーラム、講演会等を開催する。
(イ) パンフレット発行等
地域住民が在宅ターミナルケア等についての理解を深め、普及啓発を図るため、地域における在宅ターミナルケア等の現状についての情報や、在宅ターミナルケア等の利用者の家族の体験談等を掲載したパンフレットの発行等を定期的に行う。
(6) 在宅ターミナルケア等地域連携会議
ア 目的
地域において、在宅ターミナルケア等の専門的な知識を有する医師、看護師等の指導の下に会議を開催し、医療機関、訪問看護ステーション、薬局等在宅ターミナルケア等の推進に関わる関係機関の連携を図り、疼痛管理プロトコールの作成を行う等、在宅ターミナルケア等の普及を推進する。あわせて、その連携強化を図るとともにそれらの実施状況について他の地域に情報提供する。
イ 実施主体
この事業の実施主体は都道府県、特別区及び市町村とする。また、事業目的の達成に必要があるときは都道府県、特別区及び市町村は事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) 地域において医療機関、訪問看護ステーション、薬局等在宅ターミナルケア等に関わる関係機関が連携を図るための会議の開催。
(イ) 既に連携の取れている場合には疼痛管理プロトコール等により、個別具体的なプロトコール作成等を行う会議の開催。
(ウ) 作成されたプロトコールに基づく訪問看護の実施。
(エ) これらの実施状況について報告書を作成し、他の地域、厚生労働省等に対し情報提供を行う。
(7) 訪問看護管理者研修事業
ア 目的
この事業は、訪問看護ステーションの管理者及び管理者に準ずる者等に対し、情報管理、安全管理、スタッフの能力開発等管理者としての能力を高める研修を行い、訪問看護ステーションの看護の質の向上を図り、訪問看護の推進に寄与することを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は都道府県、特別区及び市町村とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、都道府県、特別区及び市町村は事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) 受講対象者は、訪問看護ステーション等の管理者及び管理者に準ずる者等とする。
(イ) 研修内容については、訪問看護事業における情報管理、安全管理、人材管理、能力開発等の訪問看護事業所の質の向上のための知識・技能の研修を行うものとする。
(ウ) 研修については、多数の管理者等が受講できるよう期間を分けた開催や複数回の開催など、受講者への配慮を行うことが望ましい。
(8) 高度在宅看護技術実務研修事業
ア 目的
この事業は、訪問看護に関心を持ち医療依存度の高い療養者の看護に携わることを希望する潜在看護師や新人看護師等に対し、訪問看護事業所において訪問看護に熟練した看護師とともに、在宅療養者を訪問し、技術の習得を図ることを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は都道府県、特別区及び市町村とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、都道府県、特別区及び市町村は事業を委託することができる。
ウ 事業内容
(ア) 受講対象者は、看護師とする。
(イ) 研修内容については、熟練訪問看護師とともに医療依存度の高い在宅療養者(小児を含む。)を訪問し、在宅特有の高度の在宅看護技術について研修を行うものとする。
(9) 医療型多機能サービスの展開に向けた訪問看護充実の検討
ア 目的
在宅療養の継続を図るためには、在宅療養者の状態に応じた適切な医療・看護サービスが提供されると共に、家族の介護負担の軽減を支援することが重要である。中でも医療ニーズの高い在宅療養者に対する医療・看護の充実を図ることは喫緊の課題である。
そのため、在宅療養者の多様なニーズに対応できる医療型多機能サービスの展開に向けた訪問看護の充実強化のあり方(以下「多機能サービス」と称する。)について検討を行い、訪問看護の推進を図る。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、事業を関係団体に委託することができる。
ウ 検討会の設置
都道府県に多機能サービスに関する具体的な検討を行うため、市町村関係者、都道府県医師会の代表者、都道府県看護協会の代表者及び訪問看護ステーションの代表者等により構成される検討会を設置するものとする。
エ 検討の内容
(ア) 多機能サービスの企画、立案及び評価を行うための検討会の開催
(イ) 多機能サービスの試行
(ウ) 訪問看護の推進を図る上での現行制度上の課題
(10) 医療依存度の高い在宅療養者に対する訪問看護・訪問介護一体型事業
ア 目的
近年の医学の進歩、医療技術の高度化・専門分化等により、個々の疾病の治癒率が向上し、在宅で療養生活をする者も増えてきている。また、そうした中で、難病やターミナル等、医療依存度の高い在宅療養者も増加してきている。
このような医療依存度の高い在宅療養者の生活の安定を図るためには、看護と介護ニーズを併せ持つ複雑で多様なサービス提供が求められており、訪問看護と訪問介護の一層の連携により個別性に応じた生活支援を行うことが必要となっている。
本事業では、これを踏まえ、訪問看護と訪問介護の一体型サービスの提供を試行的に実施することにより、医療依存度の高い在宅療養者(介護保険対象者を除く)に対する訪問看護・介護サービス提供のあり方を検討することを目的とする。
イ 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県とする。また、事業目的の達成に必要があるときは、事業を委託することができる。
ウ 事業内容