添付一覧
エ 骨軟部腫瘍又はがんの骨転移に対して、当該入院中に患肢温存術若しくは切断術、創外固定若しくはピン固定等の固定術、化学療法又は放射線治療が行われる予定の患者又は行われた患者
オ 原発性脳腫瘍又は転移性脳腫瘍の患者であって、当該入院中に手術若しくは放射線治療が行われる予定の患者又は行われた患者
カ 血液腫瘍により、当該入院中に化学療法若しくは造血幹細胞移植が行われる予定の患者又は行われた患者
キ 当該入院中に骨髄抑制を来しうる化学療法が行われる予定の患者又は行われた患者
ク 在宅において緩和ケア主体で治療を行っている進行がん又は末期がんの患者であって、症状増悪のため一時的に入院加療を行っており、在宅復帰を目的としたリハビリテーションが必要な患者
(4) がん患者リハビリテーションを行う際には、定期的な医師の診察結果に基づき、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等の多職種が共同してリハビリテーション計画を作成し、リハビリテーション総合計画評価料を算定していること。なお、がんのリハビリテーションに従事する者は、積極的にキャンサーボードに参加することが望ましい。
(5) がん患者リハビリテーション料を算定している患者に対して、心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料又は障害児(者)リハビリテーション料は別に算定できない。
H008 集団コミュニケーション療法料
(1) 集団コミュニケーション療法料は、別に厚生労働大臣が定める脳血管疾患等リハビリテーション料又は障害児(者)リハビリテーション料の施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関であって、当該施設において医師又は医師の指導監督の下で言語聴覚士が複数の患者に対して訓練を行った場合に算定できる。
(2) 集団コミュニケーション療法料の算定対象となるのは、脳血管疾患等リハビリテーション料又は障害児(者)リハビリテーション料を算定する患者のうち、1人の言語聴覚士が複数の患者に対して訓練を行うことができる程度の症状の患者であって、特に集団で行う言語聴覚療法である集団コミュニケーション療法が有効であると期待できる患者である。
(3) 集団コミュニケーション療法の実施単位数は言語聴覚士1人あたり1日のべ54単位を限度とする。また、集団コミュニケーション療法と脳血管疾患等リハビリテーション又は障害児(者)リハビリテーションを併せて行っている従事者については、実施するリハビリテーションの単位数が、集団コミュニケーション療法3単位を疾患別リハビリテーション1単位とみなした上で、1日に概ね18単位、週に108単位を超えないものとする。
(4) 集団コミュニケーション療法の実施に当たっては、医師は定期的な言語聴覚機能能力に係る検査をもとに効果判定を行い、集団コミュニケーション療法の実施計画を作成する必要がある。なお、集団コミュニケーション療法を実施する場合は開始時及びその後3か月に1回以上、患者又はその家族に対して当該集団コミュニケーション療法の実施計画の内容を説明し、その要点を診療録に記載する。
第8部 精神科専門療法
<通則>
精神科専門療法においては、薬剤を使用した場合は、第1節の精神科専門療法料と第2節の薬剤料を合算した点数により、薬剤を使用しない場合は、第1節の精神科専門療法料に掲げる所定点数のみによって算定する。
第1節 精神科専門療法料
I000 精神科電気痙攣療法
(1) 精神科電気痙攣療法とは、100ボルト前後の電流を頭部に短時間通電することを反復し、各種の精神症状の改善を図る療法をいい、精神科を標榜する保険医療機関において、精神科を担当する医師が行った場合に限り、1日1回を限度として算定する。
(2) 精神科電気痙攣療法は、当該療法について十分な知識を有する医師が実施すべきものであり、当該医師以外の介助者の立ち合いの下に、何らかの副作用が生じた際に適切な処置が取り得る準備の下に行われなければならない。
(3) マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を伴った精神科電気痙攣療法を実施する場合は、当該麻酔に要する費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。ただし、当該麻酔に伴う薬剤料及び特定保険医療材料料は別途算定できる。
I001 入院精神療法
(1) 入院精神療法とは、入院中の患者であって統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害又は精神症状を伴う脳器質性障害等(以下この項において「対象精神疾患」という。)のものに対して、一定の治療計画に基づいて精神面から効果のある心理的影響を与えることにより、対象精神疾患に起因する不安や葛藤を除去し、情緒の改善を図り洞察へと導く治療方法をいう。
(2) 入院精神療法は、精神科を標榜する保険医療機関の精神保健指定医その他の精神科を担当する医師が、当該保険医療機関内の精神療法を行うにふさわしい場所において、対象精神疾患の患者に対して必要な時間行った場合に限り算定する。また、対象精神疾患に伴い知的障害、認知症、心身症及びてんかんがある患者に対して入院精神療法が行われた場合にも算定できる。
(3) 入院精神療法として算定できる回数は、医学的に妥当と認められる回数を限度とする。なお、入院精神療法は、同時に複数の患者又は複数の家族を対象として集団的に行われた場合には、算定できない。
(4) 患者の家族に対する入院精神療法は、統合失調症の患者であって、家族関係が当該疾患の原因又は増悪の原因と推定される場合に限り、当該保険医療機関における初回の入院の時に、入院中2回を限度として算定できる。ただし、患者の病状説明、服薬指導等一般的な療養指導である場合は、算定できない。なお、家族に対して入院精神療法を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に画像2 (2KB)
と記載する。
(5) 入院精神療法を行った場合(家族に対して行った場合を含む。)は、その要点を診療録に記載する。入院精神療法(Ⅰ)にあっては、更に当該療法に要した時間及びその要点を診療録に記載する。
(6) 患者に対して入院精神療法を行った日と同一の日に家族に対して入院精神療法を行った場合における費用は、患者に対する入院精神療法の費用に含まれ、別に算定できない。
(7) 入院の日及び入院の期間の取扱いについては、入院基本料の取扱いの例による。
(8) 重度の精神障害者とは、措置入院患者、医療保護入院患者及び任意入院であるが何らかの行動制限を受けている患者等をいう。
(9) 入院精神療法(Ⅰ)を行った週と同一週に行われた入院精神療法(Ⅱ)は別に算定できない。
(10) 入院中の対象精神疾患の患者に対して、入院精神療法に併せて区分番号「I004」心身医学療法が算定できる自律訓練法、森田療法等の療法を行った場合であっても、入院精神療法のみにより算定する。
(11) 当該患者に対して、同じ日に入院精神療法と区分番号「I003」標準型精神分析療法を行った場合は標準型精神分析療法により算定する。
I002 通院・在宅精神療法
(1) 通院・在宅精神療法とは、入院中の患者以外の患者であって、統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害又は精神症状を伴う脳器質性障害等(以下この項において「対象精神疾患」という。)のため社会生活を営むことが著しく困難なもの(患者の著しい病状改善に資すると考えられる場合にあっては当該患者の家族)に対して、精神科を担当する医師(研修医を除く。)が一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法をいう。
(2) 通院・在宅精神療法は、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が行った場合に限り算定する。また、対象精神疾患に伴い知的障害、認知症、心身症及びてんかんがある患者に対して通院・在宅精神療法が行われた場合にも算定できる。
(3) 通院・在宅精神療法は、同時に複数の患者又は複数の家族を対象に集団的に行われた場合には算定できない。
(4) 通院・在宅精神療法の「1」及び「2」は、区分番号「A000」初診料を算定する初診の日(区分「A000」の初診料の「注2」のただし書に規定する初診を含む)は、診療に要した時間が30分を超えた場合に限り算定することとし、通院・在宅精神療法の「2」は、「1」以外の場合において診療に要した時間が5分を超えた場合に限り算定する。この場合において診療に要した時間とは、医師自らが患者に対して行う問診、身体診察(視診、聴診、打診及び触診)及び当該通院・在宅精神療法に要する時間をいい、これら以外の診療に要する時間は含まない。
(5) 通院・在宅精神療法を算定するに当たっては、診療録に当該診療に要した時間を記載すること。ただし、当該診療に要した時間が明確でない場合には、当該診療に要した時間が5分又は30分を超えたことが明らかであると判断される精神療法を行った場合に限り、「○分超」などの記載でも差し支えない。また、通院・在宅精神療法の「1」を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄に当該診療に要した時間を記載する。
(6) 当該患者の家族に対する通院・在宅精神療法は、家族関係が当該疾患の原因又は増悪の原因と推定される場合に限り算定する。ただし、患者の病状説明、服薬指導等一般的な療養指導である場合は、算定できない。家族に対して通院・在宅精神療法を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に画像3 (2KB)
と記載する。
(7) 通院・在宅精神療法を行った場合(家族に対して行った場合を含む。)は、その要点を診療録に記載する。
(8) 患者に対して通院・在宅精神療法を行った日と同一の日に家族に対して通院・在宅精神療法を行った場合における費用は、患者に対する通院・在宅精神療法の費用に含まれ、別に算定できない。
(9) 入院中の患者以外の対象精神疾患を有する患者に対して、通院・在宅精神療法に併せて区分番号「I004」心身医学療法が算定できる自律訓練法、森田療法等の療法を行った場合であっても、通院・在宅精神療法のみにより算定する。
(10) 当該患者に対する通院・在宅精神療法を算定した場合は、同じ日に区分番号「I003」標準型精神分析療法は算定できない。
(11) 通院・在宅精神療法の「1」は精神保健指定医又はこれに準ずる者(精神保健指定医であった医師及び旧精神衛生法に規定する精神衛生鑑定医であった医師をいう。)により初診時に通院・在宅精神療法が行われた場合に限り初診時にのみ算定できる。なお、この場合においても他の初診時と同様に診療時間が30分を超えた場合に限り算定できる。
(12) 通院・在宅精神療法は、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が、訪問診療又は往診による診療を行った際にも算定できる。
I002―2 精神科継続外来支援・指導料
(1) 精神科継続外来支援・指導料とは、入院中の患者以外の患者であって、統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害又は精神症状を伴う脳器質性障害等のものに対して、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が、精神障害者の地域生活の維持や社会復帰に向けた支援のため、患者又はその家族等の患者の看護や相談に当たる者に対して、病状、服薬状況及び副作用の有無等の確認を主とした支援を継続して行う場合を評価したものである。
(2) 「注2」に規定する加算は、「注1」に規定する医師による支援と併せて、精神科を担当する医師の指示の下、保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士(以下「保健師等」という。)が、患者又はその家族等の患者の看護や相談に当たる者に対して、療養生活環境を整備するための支援を行った場合を評価したものである。
(3) 他の精神科専門療法と同一日に行う精神科継続外来支援・指導に係る費用は、他の精神科専門療法の所定点数に含まれるものとする。
(4) 精神科継続外来支援・指導料は、初診時(区分番号「A000」初診料の「注2」のただし書に規定する初診を含む。)は算定できないものとする。
I003 標準型精神分析療法
(1) 標準型精神分析療法とは、口述による自由連想法を用いて、抵抗、転移、幼児体験等の分析を行い解釈を与えることによって洞察へと導く治療法をいい、当該療法に習熟した医師により行われた場合に、概ね月6回を標準として算定する。また、精神科を標榜する保険医療機関以外の保険医療機関において、標準型精神分析療法に習熟した心身医学を専門とする医師が当該療法を行った場合においても算定できる。
(2) 口述でなく筆記による自由連想法的手法で行う精神分析療法は、1時間以上にわたるような場合であっても、入院中の患者にあっては区分番号「I001」入院精神療法により、入院中の患者以外の患者にあっては区分番号「I002」通院・在宅精神療法により算定する。
(3) 標準型精神分析療法を行った場合は、その要点及び診療時間を診療録に記載する。
I003―2 認知療法・認知行動療法
(1) 認知療法・認知行動療法とは、入院中の患者以外のうつ病等の気分障害の患者に対して、認知の偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって治療することを目的とした精神療法をいう。
(2) 認知療法・認知行動療法は、一連の治療計画を策定し、患者に対して詳細な説明を行った上で、当該療法に関する研修を受講するなど当該療法に習熟した医師によって30分以上の治療が行われた場合に算定する。
(3) 一連の治療につき16回を限度として算定する。
(4) 認知療法・認知行動療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。
(5) 認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「うつ病の認知療法・認知行動療法マニュアル」(平成21年度厚生労働省こころの健康科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」)を踏まえて行うこと。
I004 心身医学療法
(1) 心身医学療法とは、心身症の患者について、一定の治療計画に基づいて、身体的傷病と心理・社会的要因との関連を明らかにするとともに、当該患者に対して心理的影響を与えることにより、症状の改善又は傷病からの回復を図る治療方法をいう。この心身医学療法には、自律訓練法、カウンセリング、行動療法、催眠療法、バイオフィードバック療法、交流分析、ゲシュタルト療法、生体エネルギー療法、森田療法、絶食療法、一般心理療法及び簡便型精神分析療法が含まれる。
(2) 心身医学療法は、当該療法に習熟した医師によって行われた場合に算定する。
(3) 心身医学療法は、初診時(区分番号「A000」初診料の「注2」のただし書に規定する初診を含む。以下この項において同じ。)には診療時間が30分を超えた場合に限り算定できる。この場合において診療時間とは、医師自らが患者に対して行う問診、理学的所見(視診、聴診、打診及び触診)及び当該心身医学療法に要する時間をいい、これら以外の診療に要する時間は含まない。なお、初診時に心身医学療法を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄に当該診療に要した時間を記載する。
(4) 心身医学療法を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の傷病名欄において、心身症による当該身体的傷病の傷病名の次に「(心身症)」と記載する。
例「胃潰瘍(心身症)」
(5) 心身医学療法を行った場合は、その要点を診療録に記載する。
(6) 入院の日及び入院の期間の取扱いについては、入院基本料の取扱いの例による。
(7) 区分番号「I001」入院精神療法、区分番号「I002」通院・在宅精神療法又は区分番号「I003」標準型精神分析療法を算定している患者については、心身医学療法は算定できない。
I005 入院集団精神療法
(1) 入院集団精神療法とは、入院中の患者であって、統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害及び精神症状を伴う脳器質性障害等のものに対して、一定の治療計画に基づき、言葉によるやりとり、劇の形態を用いた自己表現等の手法により、集団内の対人関係の相互作用を用いて、対人場面での不安や葛藤の除去、患者自身の精神症状・問題行動に関する自己洞察の深化、対人関係技術の習得等をもたらすことにより、病状の改善を図る治療法をいう。
(2) 入院集団精神療法は、精神科を標榜している保険医療機関において、精神科を担当する医師及び1人以上の精神保健福祉士又は臨床心理技術者等により構成される2人以上の者が行った場合に限り算定する。
(3) 1回に15人を限度とし、1日につき1時間以上実施した場合に、入院の日から起算して6月に限り週2回を限度として算定する。この場合、個々の患者について、精神科医師による治療計画が作成されていることが必要である。なお、入院の日及び入院の期間の取扱いについては、入院基本料の取扱いの例による。
(4) 入院集団精神療法に使用する十分な広さを有する当該医療機関内の一定の場所及びその場所を使用する時間帯を予め定めておくこと。
(5) 入院集団精神療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録に記載する。
(6) 入院集団精神療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。
I006 通院集団精神療法
(1) 通院集団精神療法とは、入院中の患者以外の患者であって、統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害及び精神症状を伴う脳器質性障害等のものに対して、一定の治療計画に基づき、集団内の対人関係の相互作用を用いて、自己洞察の深化、社会適応技術の習得、対人関係の学習等をもたらすことにより病状の改善を図る治療法をいう。
(2) 通院集団精神療法は、精神科を標榜している保険医療機関において、精神科を担当する医師及び1人以上の精神保健福祉士又は臨床心理技術者等により構成される2人以上の者が行った場合に限り算定する。
(3) 1回に10人を限度とし、1日につき1時間以上実施した場合に、開始日から6月に限り週2回を限度として算定する。
(4) 通院集団精神療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録に記載する。
(5) 通院集団精神療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。
I007 精神科作業療法
(1) 精神科作業療法は、精神障害者の社会生活機能の回復を目的として行うものであり、実施される作業内容の種類にかかわらずその実施時間は患者1人当たり1日につき2時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。
(2) 1人の作業療法士が、当該療法を実施した場合に算定する。この場合の1日当たりの取扱い患者数は、概ね25人を1単位として、1人の作業療法士の取扱い患者数は1日2単位50人以内を標準とする。
(3) 精神科作業療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録に記載する。
(4) 当該療法に要する消耗材料及び作業衣等については、当該保険医療機関の負担とする。
I008 入院生活技能訓練療法
(1) 入院生活技能訓練療法とは、入院中の患者であって精神疾患を有するものに対して、行動療法の理論に裏付けられた一定の治療計画に基づき、観察学習、ロールプレイ等の手法により、服薬習慣、再発徴候への対処技能、着衣や金銭管理等の基本生活技能、対人関係保持能力及び作業能力等の獲得をもたらすことにより、病状の改善と社会生活機能の回復を図る治療法をいう。
(2) 精神科を標榜している保険医療機関において、経験のある2人以上の従事者が行った場合に限り算定できる。この場合、少なくとも1人は、看護師、准看護師又は作業療法士のいずれかとし、他の1人は精神保健福祉士、臨床心理技術者又は看護補助者のいずれかとすることが必要である。なお、看護補助者は専門機関等による生活技能訓練、生活療法又は作業療法に関する研修を修了したものでなければならない。
(3) 対象人数及び実施される訓練内容の種類にかかわらず、患者1人当たり1日につき1時間以上実施した場合に限り、週1回を限度として算定できる。
(4) 1人又は複数の患者を対象として行った場合に算定できるが、複数の患者を対象とする場合は、1回に15人を限度とする。ただし、精神症状の安定しない急性期の精神疾患患者は、対象としない。
(5) 当該療法に従事する作業療法士は、精神科作業療法の施設基準において、精神科作業療法に専従する作業療法士の数には算入できない。また、当該療法に従事する看護師、准看護師及び看護補助者が従事する時間については、入院基本料等の施設基準における看護職員の数に算入できない。
(6) 入院生活技能訓練療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録に記載する。
(7) 入院生活技能訓練療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。
(8) 当該療法に要する消耗材料等については、当該保険医療機関の負担とする。
I008―2 精神科ショート・ケア
(1) 精神科ショート・ケアは、精神障害者の地域への復帰を支援するため、社会生活機能の回復を目的として個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人当たり1日につき3時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。
(2) 精神科ショート・ケアは入院中の患者以外の患者に限り算定する。精神科ショート・ケアを算定している患者に対しては、同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。ただし、精神科ショート・ケアに引き続き、同一日に、患家又は社会復帰施設等において精神科訪問看護・指導を行う場合は、退院後3か月以内に限り、精神科訪問看護・指導料を算定できるものとする。
(3) 同一の保険医療機関で精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア又は精神科デイ・ナイト・ケアを開始した日から起算して3年を超える場合には、精神科ショート・ケアの実施回数にかかわらず、算定は1週間に5日を限度とする。
(4) 精神科ショート・ケアと精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアの届出を併せて行っている保険医療機関にあっては、精神科ショート・ケアと精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアを各々の患者に対して同時に同一施設で実施することができる。この場合、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアを算定する患者は、各々に規定する治療がそれぞれ実施されている場合に限り、それぞれ算定できる。なお、同一日に実施される精神科ショート・ケアの対象患者数と精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアの対象患者数の合計は、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアの届出に係る患者数の限度を超えることはできない。この場合において、精神科ショート・ケアの対象患者数の計算に当たっては、精神科デイ・ケアの対象患者数の2分の1として計算する。
(5) 当該療法に要する消耗材料等については、当該保険医療機関の負担とする。
(6) 「注3」に掲げる早期加算の対象となる患者は、当該療法の算定を開始してから1年以内又は精神病床を退院して1年以内の患者であること。
I009 精神科デイ・ケア
(1) 精神科デイ・ケアは、精神障害者の社会生活機能の回復を目的として個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人当たり1日につき6時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。また、この実施に当たっては、患者の症状等に応じたプログラムの作成、効果の判定等に万全を期すること。
(2) 精神科デイ・ケアは入院中の患者以外の患者に限り算定する。ただし、精神科デイ・ケアを算定している患者に対しては、同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。
(3) 同一の保険医療機関で精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア又は精神科デイ・ナイト・ケアを開始した日から起算して3年を超える場合には、精神科デイ・ケア等の実施回数にかかわらず、算定は1週間に5日を限度とする。
(4) 治療の一環として治療上の目的を達するために食事を提供する場合にあっては、その費用は所定点数に含まれる。
(5) 同一の患者に対して同一日に精神科デイ・ケアと精神科ナイト・ケアを併せて実施した場合は、精神科デイ・ナイト・ケアとして算定する。
(6) 当該療法に要する消耗材料等については、当該保険医療機関の負担とする。
(7) 「注3」に掲げる早期加算の対象となる患者は、当該療法の算定を開始してから1年以内又は精神病床を退院して1年以内の患者であること。
I010 精神科ナイト・ケア
(1) 精神科ナイト・ケアは、精神障害者の社会生活機能の回復を目的として行うものであり、その開始時間は午後4時以降とし、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人当たり1日につき4時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。
(2) その他精神科ナイト・ケアの取扱いについては、精神科デイ・ケアの取扱いに準じて行う。
(3) 精神科ナイト・ケアを算定する場合においては、区分番号「A000」初診料の注6及び「A001」再診料の注5に規定する夜間・早朝等加算は算定できない。
I010―2 精神科デイ・ナイト・ケア
(1) 精神科デイ・ナイト・ケアは、精神障害者の社会生活機能の回復を目的として行うものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人当たり1日につき10時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。
(2) 精神科デイ・ナイト・ケアと精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアの届出を併せて行っている保険医療機関にあっては、精神科デイ・ナイト・ケアと精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアを各々の患者に対して同時に同一施設で実施することができる。この場合、精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアを算定する患者は、各々に規定する治療がそれぞれ実施されている場合に限り、それぞれ算定できる。なお、同一日に実施される精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケア及び精神科デイ・ナイト・ケアの対象患者数の合計は、精神科デイ・ケア又は精神科デイ・ナイト・ケアの届出に係る患者数の限度を超えることはできない。この場合において、精神科ショート・ケアの対象患者数の計算に当たっては、精神科デイ・ケアの対象患者数の2分の1として計算する。
(3) その他精神科デイ・ナイト・ケアの取扱いについては、精神科デイ・ケアの取扱いに準じて行う。
I011 精神科退院指導料
(1) 精神科退院指導料は、精神科を標榜する保険医療機関において、1月を超えて入院している精神障害者である患者又はその家族等退院後の患者の看護に当たる者に対して、精神科を担当する医師、看護師、作業療法士及び精神保健福祉士が共同して、保健医療サービス又は福祉サービス等に関する計画を策定し、別紙様式24を参考として作成した文書により、退院後の治療計画、退院後の療養上の留意点、退院後に必要となる保健医療サービス又は福祉サービス等について医師が説明を行った場合に算定する。また、入院期間が1年を超える精神障害者である患者又はその家族等退院後の患者の看護に当たる者に対して、当該計画に基づき必要な指導を行った場合であって、当該患者が退院したときには、精神科地域移行支援加算として、退院時に1回に限り算定する。なお、説明に用いた文書は、患者又はその家族等に交付するとともに、その写しを診療録に貼付すること。
(2) 精神科退院指導料は、指導を行ったもの及び指導の対象が患者又はその家族等であるか等の如何を問わず、算定の基礎となる退院につき、1回に限り当該患者の退院日に算定する。
(3) 入院の日及び入院期間の取扱いについては、入院基本料における取扱いと同様である。
(4) 死亡退院の場合又は他の病院若しくは診療所に入院するため転院した患者については、算定できない。
I011―2 精神科退院前訪問指導料
(1) 精神科退院前訪問指導料は、精神科を標榜する保険医療機関に入院している精神障害者である患者の退院に先立ち、患家又は精神障害者施設、小規模作業所等を訪問し、患者の病状、生活環境及び家族関係等を考慮しながら、患者又は家族等の退院後患者の看護や相談に当たる者に対して、退院後の療養上必要な指導や、在宅療養に向けた調整を行った場合に算定する。なお、医師の指示を受けて保険医療機関の保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士が訪問し、指導を行った場合にも算定できる。
(2) 精神科退院前訪問指導料は、指導を行ったもの及び指導の対象が患者又はその家族等であるか等の如何を問わず、1回の入院につき3回(当該入院期間が6月を超えると見込まれる患者にあっては、6回)を限度として指導の実施日にかかわらず退院日に算定する。
(3) 「注2」に係る加算は、患者の社会復帰に向けた調整等を行うに当たり、必要があって複数の職種が共同して指導を行った場合に算定するものであり、単一の職種の複数名による訪問の場合は対象としない。
(4) 精神科退院前訪問指導料は、退院して患家に復帰又は精神障害者施設に入所する患者が算定の対象であり、医師又は看護師、作業療法士若しくは精神保健福祉士が配置されている施設に入所予定の患者は算定の対象としない。
(5) 精神科退院前訪問指導を行った場合は、指導内容の要点を診療録等に記載する。
(6) 精神科退院前訪問指導に当たっては、当該保険医療機関における看護業務等に支障を来すことのないよう留意する。
(7) 保険医療機関は、精神科退院前訪問指導の実施に当たっては、保健所等の実施する訪問指導事業等関連事業との連携に十分配慮する。
(8) 退院前訪問指導料を算定した場合は、精神科退院前訪問指導料は算定できない。
I012 精神科訪問看護・指導料
(1) 精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)は、精神科を標榜している保険医療機関において精神科を担当している医師の指示を受けた当該保険医療機関の保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士(以下「保健師等」という。)が、精神障害者である入院中以外の患者又はその家族等の了解を得て患家を訪問し、個別に患者又は家族等に対して看護及び社会復帰指導等を行った場合に算定する。
(2) 「注1」に規定する精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)の算定回数は、週(日曜日から土曜日までの連続した7日間をいう。)について計算する。また、「注1」ただし書の患者に対する算定回数は、急性増悪した日から連続した7日間について計算すること。また、同一日に複数回精神科訪問看護・指導を行った場合であっても、1日につき1回に限り算定することとする。
(3) 「注1」のただし書きに規定する場合とは、患者が急性増悪した状態であって、精神科を担当している医師が患者を直接診察した上で、精神科訪問看護・指導の必要性を認め、指示した場合であること。また、「注2」に規定する場合には、医師が患者を直接診察していない場合であっても、当該患者に対して精神科訪問看護・指導を行った保健師等からの情報により、精神科を担当している医師が患者の病状を充分に把握し、必要と判断して、指示した場合を含むものとする。
(4) 「注1」ただし書に規定する場合と、「注2」に規定する場合においては、その必要性について、急性増悪の状態及び指示内容の要点と併せて診療録に記載し、診療報酬明細書にもその必要性について記載すること。
(5) 「注4」に係る加算は、精神科を担当する医師が、複数の保健師等による患家への訪問が必要と判断し、当該医師の指示を受けた当該保険医療機関の複数の保健師等が、患者又は家族等に対して看護及び社会復帰指導等を行った場合に算定する。なお、保健師又は看護師の訪問に、准看護師が同行した場合には、「注4」に係る加算が算定できる。
(6) 精神科訪問看護・指導料(Ⅱ)は、精神科を標榜している保険医療機関において、精神科を担当する医師の指示を受けた保健師等が、グループホーム又は医師若しくは看護師の配置を義務付けられていない精神障害者施設の了解の下にこれらの施設を訪問して、当該施設に入所し、かつ、当該保険医療機関で診療を行っている複数の患者又はその介護を担当する者等に対して同時に看護又は社会復帰指導を行った場合に算定する。
(7) (6)に規定する精神科訪問看護・指導は、1人の保健師等が同時に行う看護・指導の対象患者等の数は5人程度を標準とし、1回の訪問看護・指導に8人を超えることはできない。
(8) 医師は、保健師等に対して行った指示内容の要点を診療録に記載する。
(9) 保健師等は、医師の指示に基づき行った指導の内容の要点並びに訪問看護・指導を実施した際の開始時刻及び終了時刻を記録にとどめておく。
(10) 保険医療機関は、精神科訪問看護・指導の実施に当たっては、保健所の実施する訪問指導事業との連携に十分配慮する。
(11) 「注7」に規定する交通費は実費とする。
I013 持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料
(1) 持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料は、精神科を標榜する保険医療機関において、精神科を担当する医師が、持続性抗精神病注射薬剤を投与している入院中の患者以外の統合失調症患者に対して、計画的な治療管理を継続して行い、かつ、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明を含め、療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り、当該薬剤を投与した日に算定する。
(2) 持続性抗精神病注射薬剤とは、ハロペリドールデカン酸エステル、フルフェナジンデカン酸エステル及びリスペリドンをいう。
(3) 持続性抗精神病注射薬剤治療管理を行った場合は、治療計画及び指導内容の要点を診療録に記載する。
I014 医療保護入院等診療料
(1) 医療保護入院等診療料は、措置入院、緊急措置入院、医療保護入院、応急入院に係る患者について、当該入院期間中1回に限り算定する。
(2) 医療保護入院等診療料を算定する場合にあっては、患者の該当する入院形態を診療報酬明細書に記載する。
(3) 医療保護入院等診療料を算定する病院は、隔離等の行動制限を最小化するための委員会において、入院医療について定期的な(少なくとも月1回)評価を行うこと。
(4) 患者に対する治療計画、説明の要点について診療録に記載すること。
I015 重度認知症患者デイ・ケア料
(1) 精神症状及び行動異常が著しい認知症患者(「認知症である老人の日常生活度判定基準」がランクMに該当するもの)の精神症状等の軽快及び生活機能の回復を目的とし、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関において、患者1人当たり1日につき6時間以上行った場合に算定する。
(2) 医師の診療に基づき、対象となる患者ごとにプログラムを作成し、当該プログラムに従って行うものであって、定期的にその評価を行う等計画的な医学的管理に基づいて行うものであること。
(3) 治療の一環として治療上の目的を達するために食事を提供する場合にあっては、その費用は所定点数に含まれる。
(4) 「注2」に掲げる早期加算の対象となる患者は、当該療法の算定を開始してから1年以内又は精神病床を退院して1年以内の患者であること。
(5) 重度認知症患者デイ・ケアの実施時刻については、診療録等に記載すること。
(6) 重度認知症患者デイ・ケア料は入院中の患者以外の患者に限り算定する。ただし、重度認知症患者デイ・ケア料を算定している患者に対しては、同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。
第2節 薬剤料
精神病特殊薬物療法は、第2章第5部投薬として算定する。
第9部 処置
<通則>
1 処置の費用は、第1節処置料及び第2節処置医療機器等加算、第3節薬剤料又は第4節特定保険医療材料料に掲げる所定点数を合算した点数によって算定する。この場合において、処置に当たって通常使用される包帯(頭部・頸部・躯幹固定用伸縮性包帯を含む。)、ガーゼ等衛生材料、患者の衣類及び保険医療材料の費用は、所定点数に含まれており、別に算定できない。
なお、処置に用いる衛生材料を患者に持参させ、又は処方せんにより投与するなど患者の自己負担とすることは認められない。
2 特に規定する場合を除き、患者に対して特定保険医療材料又は薬剤を支給したときは、これに要する費用として、特定保険医療材料については「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)」の定めるところにより、薬剤については「使用薬剤の薬価(薬価基準)」の定めるところにより算定する。なお、この場合、薬剤費の算定の単位は1回に使用した総量の価格であり、患者に対して施用した場合に限り、特に規定する場合を除き算定できるものであるが、投薬の部に掲げる処方料、調剤料、処方せん料及び調剤技術基本料並びに注射の部に掲げる注射料は、別に算定できない。
3 浣腸、注腸、吸入、100平方センチメートル未満の第1度熱傷の熱傷処置、100平方センチメートル未満の皮膚科軟膏処置、洗眼、点眼、点耳、簡単な耳垢栓除去、鼻洗浄、狭い範囲の湿布処置その他第1節処置料に掲げられていない処置であって簡単な処置(簡単な物理療法を含む。)の費用は、基本診療料に含まれるものとし、別に算定することはできない。
なお、処置に対する費用が別に算定できない場合(処置後の薬剤病巣撒布を含む。)であっても、処置に際して薬剤を使用した場合には、第3節薬剤料に定めるところにより薬剤料を算定することはできる。
4 「通則5」の休日加算、時間外加算又は深夜加算(以下「時間外加算等」という。)は、区分番号「A000」の注4、区分番号「A001」の注3、区分番号「A002」の注4に規定する加算を算定する初診又は再診に引き続き行われた150点以上の緊急処置の場合についてのみ算定できるものであり、区分番号「A000」の注6又は区分番号「A001」の注5に規定する夜間・早朝等加算を算定する初診若しくは再診に引き続き行われた場合又は入院中の患者に対して行われた場合については対象とならない。なお、当該処置の開始時間が入院手続の後であっても当該加算は算定できる。
5 処置の開始時間とは、患者に対し直接施療した時とする。なお、処置料において「1日につき」とあるものは午前0時より午後12時までのことであり、午前0時前に処置を開始し、午前0時以降に処置が終了した場合には、処置を行った初日のみ時間外加算を算定し、午前0時以降の2日目については算定できない。
6 処置が保険医療機関又は保険医の都合により時間外となった場合は時間外加算等は算定できない。
7 時間外加算等に係る「所定点数」とは、第1節処置料に掲げられた点数及び各注による加算(プラスチックギプス加算及びギプスに係る乳幼児加算を含む。)を合計した点数であり、第2節、第3節及び第4節における費用は含まない。
8 4から7に規定する他、時間外加算等の取扱いについては、初診料における場合と同様である。
9 「通則6」における「特に規定する場合」とは、処置名の末尾に「片側」、「1肢につき」等と記入したものをいう。両眼に異なる疾患を有し、それぞれ異なった処置を行った場合は、その部分についてそれぞれ別に算定できる。
10 第1節に掲げられていない特殊な処置の処置料は、その都度当局に内議し、最も近似する処置として準用が通知された算定方法により算定する。
11 血腫、膿腫その他における穿刺は、新生児頭血腫又はこれに準ずる程度のものに対して行う場合は、区分番号「J059―2」血腫、膿腫穿刺により算定できるが、小範囲のものや試験穿刺については、算定できない。
<処置料>
(一般処置)
J000 創傷処置
(1) 創傷処置、区分番号「J001」熱傷処置、区分番号「J001―4」重度褥瘡処置及び区分番号「J053」皮膚科軟膏処置の各号に示す範囲とは、包帯等で被覆すべき創傷面の広さ、又は軟膏処置を行うべき広さをいう。
(2) 同一疾病又はこれに起因する病変に対して創傷処置、皮膚科軟膏処置又は湿布処置が行われた場合は、それぞれの部位の処置面積を合算し、その合算した広さを、いずれかの処置に係る区分に照らして算定するものとし、併せて算定できない。
(3) 同一部位に対して創傷処置、皮膚科軟膏処置、面皰圧出法又は湿布処置が行われた場合はいずれか1つのみにより算定し、併せて算定できない。
(4) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料又は区分番号「C112」在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、創傷処置(熱傷に対するものを除く。)、爪甲除去(麻酔を要しないもの)及び穿刺排膿後薬液注入の費用は算定できない。
(5) 手術後の患者に対する創傷処置は、その回数にかかわらず、1日につき所定の点数のみにより算定する。
(6) 複数の部位の手術後の創傷処置については、それぞれの部位の処置面積を合算し、その合算した広さに該当する点数により算定する。
(7) 中心静脈圧測定、静脈内注射、点滴注射及び中心静脈注射に係る穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は、別に算定できない。
(8) 軟膏の塗布又は湿布の貼付のみの処置では算定できない。
J001 熱傷処置
(1) 熱傷処置を算定する場合は、創傷処置、爪甲除去(麻酔を要しないもの)及び穿刺排膿後薬液注入は併せて算定できない。
(2) 熱傷には電撃傷、薬傷及び凍傷が含まれる。
(3) 「1」については、第1度熱傷のみでは算定できない。
J001―2 絆創膏固定術
足関節捻挫又は膝関節靱帯損傷に絆創膏固定術を行った場合に算定する。ただし、交換は原則として週1回とする。
J001―3 鎖骨又は肋骨骨折固定術
鎖骨骨折固定術後の包帯交換は、区分番号「J000」創傷処置に準じて算定し、肋骨骨折固定術の2回目以降の絆創膏貼用は、絆創膏固定術に準じて算定する。
J001―4 重度褥瘡処置
(1) 皮下組織に至る褥瘡(筋肉、骨等に至る褥瘡を含む。)(DESIGN分類D3、D4及びD5)に対して褥瘡処置を行った場合に算定する。
(2) 重度褥瘡処置を算定する場合は、創傷処置、爪甲除去(麻酔を要しないもの)及び穿刺排膿後薬液注入は併せて算定できない。
J001―5 長期療養患者褥瘡等処置
(1) 長期療養患者褥瘡等処置の算定に係る褥瘡処置とは、臥床に伴う褥瘡性潰瘍又は圧迫性潰瘍に対する処置(創傷処置又は皮膚科軟膏処置において、入院中の患者について算定することとされている範囲のものに限る。)をいうものであり、重度褥瘡処置を含むものであること。
(2) 褥瘡処置の回数及び部位数にかかわらず1日につき1回に限り算定するものであること。
(3) 1年を超える入院の場合にあって創傷処置又は皮膚科軟膏処置の費用を算定する場合は、その対象傷病名を診療報酬明細書に記載すること。
J001―6 精神病棟等長期療養患者褥瘡等処置
(1) 「注1」に掲げる処置には褥瘡処置及び重度褥瘡処置を含む。
(2) 入院期間が1年を超える入院中の患者に対して行った褥瘡処置、重度褥瘡処置が、「注1」に掲げるもの以外の創傷処置又は皮膚科軟膏処置である場合は、長期療養患者褥瘡等処置の所定点数により算定する。
(3) 結核病棟又は精神病棟に入院している患者であって入院期間が1年を超えるものに対して、ドレーン法を行った場合は、その種類又は回数にかかわらず精神病棟等長期療養患者褥瘡等処置として、1日につき所定点数を算定する。
J001―9 空洞切開術後ヨードホルムガーゼ処置
肺空洞切開手術後の空洞内にヨードホルムガーゼを使用した場合に算定する。なお、ヨードホルムガーゼを多量に使用することは、中毒のおそれもあり留意すべきである。
J002 ドレーン法(ドレナージ)
(1) 部位数、交換の有無にかかわらず、1日につき、所定点数のみにより算定する。
(2) ドレナージの部位の消毒等の処置料は、所定点数に含まれる。
(3) 「1」と「2」は同一日に併せて算定できない。
(4) ドレーン抜去後に抜去部位の処置が必要な場合は、区分番号「J000」創傷処置の「1」により手術後の患者に対するものとして算定する。
(5) PTCDチューブの単なる交換については、「2」により算定する。
J003 局所陰圧閉鎖処置(1日につき)
(1) 「1」の被覆材を貼付した場合の「イ」から「ハ」に示す範囲は、局所陰圧閉鎖処置用材料で被覆すべき創傷面の広さをいう。
(2) 部位数にかかわらず、1日につき、所定点数により算定する。
(3) 「1」の各区分は、創が感染しており頻回の交換が必要である場合等を除き、原則として2日間連続して算定できない。なお、2日以上連続して算定する場合には、診療報酬明細書の摘要欄にその理由と医学的根拠を詳細に記載すること。
(4) 局所陰圧閉鎖処置を算定する場合は、区分番号「J001―4」重度褥瘡処置及び区分番号「J053」皮膚科軟膏処置は併せて算定できない。区分番号「J000」創傷処置又は区分番号「J001」熱傷処置は併せて算定できるが、当該処置が対象とする創傷を重複して算定できない。
(5) 局所陰圧閉鎖処置終了後に引き続き創傷部位の処置が必要な場合は、区分番号「J000」創傷処置により算定する。
J004 流注膿瘍穿刺
区分番号「J001―8」穿刺排膿後薬液注入と同一日に算定することはできない。
J005 脳室穿刺
区分番号「D401」脳室穿刺と同一日に算定することはできない。
J006 後頭下穿刺
区分番号「D402」後頭下穿刺と同一日に算定することはできない。
J007 頸椎、胸椎又は腰椎穿刺
区分番号「J007」頸椎穿刺は区分番号「D403」頸椎穿刺と、区分番号「J007」胸椎穿刺は区分番号「D403」胸椎穿刺と、区分番号「J007」腰椎穿刺は区分番号「D403」腰椎穿刺と同一日に算定することはできない。
J008 胸腔穿刺
(1) 胸腔穿刺、洗浄、薬液注入又は排液について、これらを併せて行った場合においては、胸腔穿刺の所定点数を算定する。
(2) 単なる試験穿刺として行った場合は、区分番号「D419」その他の検体採取の「2」により算定する。
J011 骨髄穿刺
区分番号「D404」骨髄穿刺と同一日に算定することはできない。
J012 腎嚢胞又は水腎症穿刺
区分番号「D407」腎嚢胞又は水腎症穿刺と同一日に算定することはできない。
J013 ダグラス窩穿刺
区分番号「D408」ダグラス窩穿刺と同一日に算定することはできない。
J014 乳腺穿刺
区分番号「D410」乳腺穿刺又は針生検と同一日に算定することはできない。
J015 甲状腺穿刺
区分番号「D411」甲状腺穿刺又は針生検と同一日に算定することはできない。
J016 リンパ節等穿刺
区分番号「D409」リンパ節等穿刺又は針生検と同一日に算定することはできない。
J017 エタノールの局所注入
(1) 肝癌、有症状の甲状腺のう胞、機能性甲状腺結節(Plummer病)、内科的治療に抵抗性の2次性副甲状腺機能亢進症等に対してエタノールを局所注入した場合に算定する。なお、使用したエタノールは、所定点数に含まれ別に算定できない。
(2) 当該手技に伴って実施される超音波検査、画像診断の費用は所定点数に含まれる。
J017―2 リンパ管腫局所注入
リンパ管腫にピシバニールを局所注入した場合に算定する。
J018 喀痰吸引
(1) 喀痰の凝塊又は肺切除後喀痰が気道に停滞し、喀出困難な患者に対し、ネラトンカテーテル及び吸引器を使用して喀痰吸引を行った場合に算定する。
(2) 喀痰吸引、内視鏡下気管支分泌物吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、間歇的陽圧吸入法、鼻マスク式補助換気法、体外式陰圧人工呼吸器治療、高気圧酸素治療、インキュベーター、人工呼吸、持続陽圧呼吸法、間歇的強制呼吸法、気管内洗浄(気管支ファイバースコピーを使用した場合を含む。)、ネブライザー又は超音波ネブライザーを同一日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。
(3) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料、区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料、区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料又は区分番号「C112」在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、喀痰吸引の費用は算定できない。
J018―3 干渉低周波去痰器による喀痰排出
(1) 区分番号「J018」喀痰吸引を同一日に行った場合はどちらか一方のみ算定する。
(2) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料、区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料、区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料又は区分番号「C112」在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、干渉低周波去痰器による喀痰排出の費用は算定できない。
(3) 算定は1日に1回を限度とする。
J019 持続的胸腔ドレナージ
(1) 2日目以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。
(2) 手術と同一日に行った持続的胸腔ドレナージは別に算定できない。なお、手術の翌日以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。
J019―2 胸腔内出血排除(非開胸的)
手術と同一日に行った胸腔内出血排除(非開胸的)は別に算定できない。なお、手術の翌日以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。
J020 胃持続ドレナージ
2日目以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。
J021 持続的腹腔ドレナージ
(1) 2日目以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。
(2) 手術と同一日に行った持続的腹腔ドレナージは別に算定できない。なお、手術の翌日以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。
J022 高位浣腸、高圧浣腸、洗腸
高位浣腸、高圧浣腸、洗腸、摘便、腰椎麻酔下直腸内異物除去又は腸内ガス排気処置(開腹手術後)を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数により算定する。
J024 酸素吸入、J024―2 突発性難聴に対する酸素療法
(1) 間歇的陽圧吸入法、鼻マスク式補助換気法、体外式陰圧人工呼吸器治療、インキュベーター、人工呼吸、持続陽圧呼吸法、間歇的強制呼吸法又は気管内洗浄(気管支ファイバースコピーを使用した場合を含む。)と同一日に行った酸素吸入、突発性難聴に対する酸素療法又は酸素テントの費用は、それぞれの所定点数に含まれており、別に算定できない。
(2) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料又は区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、酸素吸入及び突発性難聴に対する酸素療法の費用は算定できない。
J025 酸素テント
(1) 使用したソーダライム等の二酸化炭素吸着剤の費用は所定点数に含まれる。
(2) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料又は区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、酸素テントの費用は算定できない。
J026 間歇的陽圧吸入法、J026―2 鼻マスク式補助換気法、J026―3 体外式陰圧人工呼吸器治療
(1) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料又は区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、間歇的陽圧吸入法、鼻マスク式補助換気法及び体外式陰圧人工呼吸器治療の費用は算定できない。
(2) 間歇的陽圧吸入法、鼻マスク式補助換気法又は体外式陰圧人工呼吸器治療と同時に行う喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、酸素吸入、突発性難聴に対する酸素療法又は酸素テントは、所定点数に含まれるものとする。
J027 高気圧酸素治療
(1) 「1」は次の疾患に対して、発症後1週間以内に行う場合に、1日につき所定点数を算定する。
ア 急性一酸化炭素中毒その他のガス中毒(間歇型を含む。)
イ ガス壊疽、壊死性筋膜炎又は壊疽性筋膜炎
ウ 空気塞栓又は減圧症
エ 急性末梢血管障害
(イ) 重症の熱傷又は凍傷
(ロ) 広汎挫傷又は中等度以上の血管断裂を伴う末梢血管障害
(ハ) コンパートメント症候群又は圧挫創症候群
オ ショック
カ 急性心筋梗塞その他の急性冠不全
キ 脳塞栓、重症頭部外傷若しくは開頭術後の意識障害又は脳浮腫
ク 重症の低酸素性脳機能障害
ケ 腸閉塞
コ 網膜動脈閉塞症
サ 突発性難聴
シ 重症の急性脊髄傷害
(2) 「2」は次の疾患又は「1」の適応疾患であって発症後の期間が1週間を超えたものに行う場合に、1日につき所定点数を算定する。
ア 放射線又は抗癌剤治療と併用される悪性腫瘍
イ 難治性潰瘍を伴う末梢循環障害
ウ 皮膚移植
エ スモン
オ 脳血管障害、重症頭部外傷又は開頭術後の運動麻痺
カ 一酸化炭素中毒後遺症
キ 脊髄神経疾患
ク 骨髄炎又は放射線壊死
(3) 2絶対気圧以上の治療圧力が1時間に満たないものについては、1日につき区分番号「J024」酸素吸入により算定する。
(4) 高気圧酸素治療を行うに当たっては、関係学会より留意事項が示されているので、これらの事項を十分参考とすべきものである。
J028 インキュベーター
(1) インキュベーターを行うに当たって使用した滅菌精製水の費用は、所定点数に含まれる。
(2) 1日につき所定点数により算定する。
J029 鉄の肺
1日につき所定点数により算定する。
J034 イレウス用ロングチューブ挿入法
(1) 2日目以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。
(2) 経肛門的に挿入した場合においても本区分により算定する。
J038 人工腎臓
(1) 人工腎臓には、血液透析のほか血液濾過、血液透析濾過が含まれる。
(2) 「2 その他の場合」は次の場合に算定する。
ア 急性腎不全の患者に対して行った場合
イ 透析導入期(1月に限る。)の患者に対して行った場合
ウ 血液濾過又は血液透析濾過を行った場合
エ 以下の合併症又は状態を有する患者((ニ)から(ヌ)については入院中の患者に限る。)に対して行った場合であって、連日人工腎臓を実施する場合や半減期の短い特別な抗凝固剤を使用する場合等特別な管理を必要とする場合
(イ) 重大な視力障害にいたる可能性が著しく高い、進行性眼底出血(発症後2週間に限る。)
(ロ) 重篤な急性出血性合併症(頭蓋内出血、消化管出血、外傷性出血等)(発症後2週間に限る。)
(ハ) ヘパリン起因性血小板減少症
(ニ) 播種性血管内凝固症候群
(ホ) 敗血症
(ヘ) 急性膵炎
(ト) 重篤な急性肝不全
(チ) 悪性腫瘍(注射による化学療法中のものに限る。)
(リ) 自己免疫疾患の活動性が高い状態
(ヌ) 区分番号「L002」硬膜外麻酔、「L004」脊椎麻酔若しくは「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔による手術を実施した状態(手術前日から術後2週間に限る。)
(3) (2)の場合に該当し、「2」により算定する場合にあっては、その理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。
(4) 人工腎臓の時間は、シャント等から動脈血等を人工腎臓用特定保険医療材料に導き入れたときを起点として、人工腎臓用特定保険医療材料から血液を生体に返却し終えたときまでとする。したがって、人工腎臓実施前後の準備、整理等に要する時間は除かれる。
(5) 人工腎臓の時間等については、患者に対し十分な説明を行った上で、患者の病態に応じて、最も妥当なものとし、人工腎臓を行った時間(開始及び終了した時間を含む。)を診療録等に記載すること。また、治療内容の変更が必要となった場合においても、患者に十分な説明を行うこと。
(6) 妊娠中の患者以外の患者に対し、人工腎臓と区分番号「J038―2」持続緩徐式血液濾過を併せて1月に15回以上実施した場合(人工腎臓のみを15回以上実施した場合を含む。)は、15回目以降の人工腎臓又は持続緩徐式血液濾過は算定できない。ただし、薬剤料(透析液、血液凝固阻止剤、エリスロポエチン、ダルベポエチン及び生理食塩水を含む。)又は特定保険医療材料料は別に算定できる。
(7) 区分番号「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している患者に対して行った場合には、区分番号「J042」腹膜灌流の「1連続携行式腹膜潅流」の実施回数と併せて週1回を限度として算定できる。また、区分番号「C102―2」在宅血液透析指導管理料を算定している患者に対して行った場合には、週1回を限度として算定できる。それを超えた回数を実施した場合は、薬剤料及び特定保険医療材料料に限り算定できる。
(8) 人工腎臓における血液濾過は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症若しくは透析困難症の患者又は緑内障、心包炎若しくは心不全を合併する患者について、血液透析を行った上で、その後血液濾過を実施した場合に限り算定できる。この場合の人工腎臓の費用は、「2」により算定する。
(9) 人工腎臓における血液透析濾過は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症又は透析困難症の患者について実施した場合に限り算定できる。この場合の人工腎臓の費用は「2」により算定する。
(10) 「注1」の加算については、人工腎臓を緊急のため午後5時以降に開始したため又は緊急のため休日に行ったため、「通則5」による時間外加算等が算定できる場合にあっては、併せて算定できない。
(11) 「注1」の加算を算定する場合は、区分番号「A000」初診料の注6及び区分番号「A001」再診料の注5に掲げる夜間・早朝等加算は算定しない。
(12) 休日加算の対象となる休日とは、初診料における休日加算の対象となる休日と同じ取扱いである。ただし、日曜日である休日(日曜日である12月29日から1月3日までの日を除く。)は、休日加算の対象としない。
(13) 休日の午後5時以降に開始した場合又は午後9時以降に終了した場合にあっては、「注1」の加算を1回のみ算定できる。
(14) 療養の一環として行われた食事以外の食事が提供された場合には、患者から実費を徴収することができるものであること。
(15) 「注2」の加算については、「人工腎臓における導入期」とは継続して血液透析を実施する必要があると判断された場合の血液透析の開始日より1月間をいい、これに該当する場合、1日につき300点を1月間に限り算定する。
(16) 「注3」の加算については、次に掲げる状態の患者であって著しく人工腎臓が困難なものについて算定する。
ア 障害者基本法にいう障害者(腎不全以外には身体障害者手帳を交付される程度の障害を有さない者であって、腎不全により身体障害者手帳を交付されているものを除く。)
イ 精神保健福祉法の規定によって医療を受ける者
ウ 「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)の別紙の第3に掲げる疾患に罹患している者として都道府県知事から医療受給者証の発行を受けている患者であって介護を要するもの
エ 透析中に頻回の検査、処置を必要とするインスリン注射を行っている糖尿病の患者
オ 運動麻痺を伴う脳血管疾患患者
カ 認知症患者
キ 常時低血圧症(収縮期血圧が90mmHg以下)の者
ク 透析アミロイド症で手根管症候群や運動機能障害を呈する者
ケ 出血性消化器病変を有する者
コ 骨折を伴う二次性副甲状腺機能亢進症の患者
サ 重症感染症に合併しているために入院中の患者
シ 末期癌に合併しているために入院中の患者
ス 入院中の患者であって腹水・胸水が貯留しているもの
セ 妊婦(妊娠中期以降)
ソ うっ血性心不全(NYHAⅢ度以上)
タ 12歳未満の小児
チ 人工呼吸を実施中の患者
ツ 結核菌を排菌中の患者
(17) 人工腎臓の所定点数に含まれるものの取扱いについては、次の通りとする。
ア 「1」の場合には、透析液(灌流液)、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤及びダルベポエチン製剤の費用は所定点数に含まれており、別に算定できない。なお、生理食塩水には、回路の洗浄・充填、血圧低下時の補液、回収に使用されるもの等が含まれ、同様の目的で使用される電解質補液、ブドウ糖液等についても別に算定できない。
イ 「1」により算定する場合においても、透析液(灌流液)、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤及びダルベポエチン製剤の使用について適切に行うこと。また、慢性維持透析患者の貧血の管理に当たっては、関係学会が示している腎性貧血治療のガイドラインを踏まえ適切に行うこと。
ウ 人工腎臓灌流原液の希釈水の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。また、必要があって脱イオン(純水製造装置による)を行わなければ使用できない場合であっても同様である。
エ 人工腎臓の希釈水に対してアルミニウム、フッ素、遊離塩素及びエンドトキシン等を除去する目的で逆浸透装置、活性炭フィルター及び軟水装置を用いて水処理を行った場合の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
オ 人工腎臓の回路を通して行う注射料は、所定点数に含まれ、別に算定できない。
(18) 人工腎臓を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、「2」の場合であって、夜間に人工腎臓を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。
J038―2 持続緩徐式血液濾過
(1) 使用した特定保険医療材料については、持続緩徐式血液濾過器として算定する。
(2) 持続緩徐式血液濾過は、腎不全のほか、重症急性膵炎、劇症肝炎又は術後肝不全(劇症肝炎又は術後肝不全と同程度の重症度を呈する急性肝不全を含む。)の患者に対しても算定できる。ただし、重症急性膵炎の患者に対しては一連につき概ね8回を限度とし、劇症肝炎又は術後肝不全(劇症肝炎又は術後肝不全と同程度の重症度を呈する急性肝不全を含む。)の患者に対しては一連につき月10回を限度として3月間に限って算定する。
(3) 人工腎臓、腹膜灌流又は持続緩徐式血液濾過を同一日に実施した場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。
(4) 「注1」の加算を算定する場合は、区分番号「A000」初診料の注6及び区分番号「A001」再診料の注5に掲げる夜間・早朝等加算は算定しない。
(5) 持続緩徐式血液濾過を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に持続緩徐式血液濾過を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。
(6) 妊娠中の患者以外の患者に対し、持続緩徐式血液濾過と人工腎臓を併せて1月に15回以上実施した場合(持続緩徐式血液濾過のみを15回以上実施した場合を含む。)は、15回目以降の持続緩徐式血液濾過又は人工腎臓は算定できない。ただし、薬剤料又は特定保険医療材料料は別に算定できる。
J039 血漿交換療法
(1) 血漿交換療法は、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、劇症肝炎、薬物中毒、重症筋無力症、悪性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、血栓性血小板減少性紫斑病、重度血液型不適合妊娠、術後肝不全、急性肝不全、多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎、ギラン・バレー症候群、天疱瘡、類天疱瘡、巣状糸球体硬化症、溶血性尿毒症症候群、家族性高コレステロール血症、閉塞性動脈硬化症、中毒性表皮壊死症、スティーブンス・ジョンソン症候群若しくはインヒビターを有する血友病の患者、ABO血液型不適合間若しくは抗リンパ球抗体陽性の同種腎移植又は慢性C型ウイルス肝炎の患者に対して、遠心分離法等により血漿と血漿以外とを分離し、二重濾過法、血漿吸着法等により有害物質等を除去する療法(血漿浄化法)を行った場合に算定できるものであり、必ずしも血漿補充を要しない。
(2) 当該療法の対象となる多発性骨髄腫、マクログロブリン血症の実施回数は、一連につき週1回を限度として3月間に限って算定する。
(3) 当該療法の対象となる劇症肝炎については、ビリルビン及び胆汁酸の除去を目的に行われる場合であり、当該療法の実施回数は、一連につき概ね10回を限度として算定する。
(4) 当該療法の対象となる薬物中毒の実施回数は、一連につき概ね8回を限度として算定する。
(5) 当該療法の対象となる重症筋無力症については、発病後5年以内で重篤な症状悪化傾向のある場合、又は胸腺摘出術や副腎皮質ホルモン剤に対して十分奏効しない場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき月7回を限度として3月間に限って算定する。
(6) 当該療法の対象となる悪性関節リウマチについては、都道府県知事によって特定疾患医療受給者と認められた者であって、血管炎により高度の関節外症状(難治性下腿潰瘍、多発性神経炎及び腸間膜動脈血栓症による下血等)を呈し、従来の治療法では効果の得られない者に限り、当該療法の実施回数は、週1回を限度として算定する。
(7) 当該療法の対象となる全身性エリテマトーデスについては、次のいずれにも該当する者に限り、当該療法の実施回数は、月4回を限度として算定する。なお、測定した血清補体価、補体蛋白の値又は抗DNA抗体の値を診療録に記載する。
ア 都道府県知事によって特定疾患医療受給者と認められた者
イ 血清補体価(CH50)の値が20単位以下、補体蛋白(C3)の値が40mg/dL以下及び抗DNA抗体の値が著しく高く、ステロイド療法が無効又は臨床的に不適当な者
ウ 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)又は中枢神経性ループス(CNSループス)と診断された者
(8) 当該療法の対象となる血栓性血小板減少性紫斑病の実施回数は、一連につき週3回を限度として、3月間に限って算定する。
(9) 当該療法の対象となる重度血液型不適合妊娠とは、Rh式血液型不適合妊娠による胎内胎児仮死又は新生児黄疸の既往があり、かつ、間接クームス試験が妊娠20週未満にあっては64倍以上、妊娠20週以上にあっては128倍以上であるものをいう。
(10) 当該療法の対象となる術後肝不全については、手術後に発症した肝障害(外科的閉塞性機序によるものを除く。)のうち次のいずれにも該当する場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき概ね7回を限度として算定する。
ア 総ビリルビン値が5mg/dL以上で、かつ、持続的に上昇を認める場合
イ ヘパプラスチンテスト(HPT)40%以下又はComa Grade Ⅱ以上の条件のうち2項目以上を有する場合
(11) 当該療法の対象となる急性肝不全については、プロトロンビン時間、昏睡の程度、総ビリルビン及びヘパプラスチンテスト等の所見から劇症肝炎又は術後肝不全と同程度の重症度を呈するものと判断できる場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき概ね7回を限度として算定する。
(12) 当該療法の対象となる多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の実施回数は、一連につき月7回を限度として3月間に限って算定する。
(13) 当該療法の対象となるギラン・バレー症候群については、Hughesの重症度分類で4度以上の場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき月7回を限度として、3月間に限って算定する。
(14) 当該療法の対象となる天疱瘡、類天疱瘡については、診察及び検査の結果、診断の確定したもののうち他の治療法で難治性のもの又は合併症や副作用でステロイドの大量投与ができないものに限り、当該療法の実施回数は、一連につき週2回を限度として、3月間に限って算定する。ただし、3月間治療を行った後であっても重症度が中等度以上(厚生省特定疾患調査研究班の天疱瘡スコア)の天疱瘡の患者については、さらに3月間に限って算定する。
(15) 当該療法の対象となる巣状糸球体硬化症は、従来の薬物療法では効果が得られず、ネフローゼ状態を持続し、血清コレステロール値が250mg/dL以下に下がらない場合であり、当該療法の実施回数は、一連につき3月間に限って12回を限度として算定する。
(16) 当該療法の対象となる家族性高コレステロール血症については、次のいずれかに該当する者のうち、黄色腫を伴い、負荷心電図及び血管撮影により冠状動脈硬化が明らかな場合であり、維持療法としての当該療法の実施回数は週1回を限度として算定する。
ア 空腹時定常状態の血清総コレステロール値が500mg/dLを超えるホモ接合体の者
イ 血清コレステロール値が食事療法下の定常状態(体重や血漿アルブミンを維持できる状態)において400mg/dLを超えるヘテロ接合体で薬物療法を行っても血清コレステロール値が250mg/dL以下に下がらない者
(17) 当該療法の対象となる閉塞性動脈硬化症については、次のいずれにも該当する者に限り、当該療法の実施回数は、一連につき3月間に限って10回を限度として算定する。
ア フォンテイン分類Ⅱ度以上の症状を呈する者
イ 薬物療法で血中総コレステロール値220mg/dL又はLDLコレステロール値140mg/dL以下に下がらない高コレステロール血症の者
ウ 膝窩動脈以下の閉塞又は広範な閉塞部位を有する等外科的治療が困難で、かつ従来の薬物療法では十分な効果を得られない者
(18) 当該療法の対象となる中毒性表皮壊死症又はスティーブンス・ジョンソン症候群の実施回数は、一連につき8回を限度として算定する。
(19) 当該療法の対象となるインヒビターを有する血友病は、インヒビター力価が5ベセスダ単位以上の場合に限り算定する。
(20) 当該療法の対象となる同種腎移植は二重濾過法により、ABO血液型不適合間の同種腎移植を実施する場合又はリンパ球抗体陽性の同種腎移植を実施する場合に限り、当該療法の実施回数は一連につき術前は4回を限度とし、術後は2回を限度として算定する。
(21) 当該療法の対象となる慢性C型ウイルス肝炎は、セログループ1(ジェノタイプⅡ(lb))型であり、直近のインターフェロン療法を施行した後、血液中のHCV RNA量が100KIU/mL以上のものとする。なお、当該療法の実施回数は、直近のインターフェロン療法より、5回を限度として算定する(ただしインターフェロン療法に先行して当該療法を行った場合に限る。)。
(22) 血漿交換療法を行う回数は、個々の症例に応じて臨床症状の改善状況、諸検査の結果の評価等を勘案した妥当適切な範囲であること。
(23) 本療法を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に一連の当該療法の初回実施日及び初回からの通算実施回数(当該月に実施されたものも含む。)を記載する。
(24) 血漿交換療法を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に血漿交換療法を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。
J040 局所灌流
(1) 開始日の翌日以降に行ったものについては、区分番号「J000」創傷処置における手術後の患者に対するものに準じて算定する。
(2) 局所灌流を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に局所灌流を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。
J041 吸着式血液浄化法
(1) 吸着式血液浄化法は、肝性昏睡又は薬物中毒の患者に限り算定できる。
(2) エンドトキシン選択除去用吸着式血液浄化法は、次のアからウのいずれにも該当する患者に対して行った場合に、区分番号「J041」吸着式血液浄化法により算定する。
ア エンドトキシン血症であるもの又はグラム陰性菌感染症が疑われるもの
イ 次の(イ)~(ニ)のうち2項目以上を同時に満たすもの
(イ) 体温が38度以上又は36度未満
(ロ) 心拍数が90回/分以上
(ハ) 呼吸数が20回/分以上又はPaCO2が32mmHg未満
(ニ) 白血球数が12,000/mm3以上若しくは4,000/mm3未満又は桿状核好中球が10%以上
ウ 昇圧剤を必要とする敗血症性ショックであるもの(肝障害が重症化したもの(総ビリルビン10mg/dL以上かつヘパプラスチンテスト40%以下であるもの)を除く。)
(3) 吸着式血液浄化法を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に吸着式血液浄化法を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。
J041―2 血球成分除去療法
(1) 血球成分除去療法(吸着式及び遠心分離式を含む。)は、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ(吸着式のみ。)又はクローン病患者に対して次のア、イ又はウのとおり実施した場合に算定できる。
ア 潰瘍性大腸炎の重症・劇症患者及び難治性患者(厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班の診断基準)に対しては、活動期の病態の改善及び緩解導入を目的として行った場合に限り算定できる。
なお、当該療法の実施回数は、一連につき10回を限度として算定する。ただし、劇症患者については、11回を限度として算定できる。
イ 薬物療法に抵抗する関節リウマチ患者に対しては、臨床症状改善を目的として行った場合に限り、一連の治療につき1クールを限度として行い、1クールにつき週1回を限度として、5週間に限って算定できる。なお、当該療法の対象となる関節リウマチ患者は、活動性が高く薬物療法に抵抗する関節リウマチ患者又は発熱などの全身症状と多関節の激しい滑膜炎を呈し薬物療法に抵抗する急速進行型関節リウマチ患者であって、以下の2項目を満たすものである。
(イ) 腫脹関節数 6カ所以上
(ロ) ESR50mm/h以上又はCRP3mg/dL以上
ウ 栄養療法及び既存の薬物療法が無効又は適用できない、大腸の病変に起因する明らかな臨床症状が残る中等症から重症の活動期クローン病患者に対しては、緩解導入を目的として行った場合に限り、一連の治療につき2クールを限度として算定できる。
なお、当該療法の実施回数は、1クールにつき週1回を限度として、5週間に限って算定する。
(2) 本療法を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に一連の当該療法の初回実施日及び初回からの通算実施回数(当該月に実施されたものも含む。)を記載する。
(3) 血球成分除去療法を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に血球成分除去療法を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。
J042 腹膜灌流
(1) 腹膜灌流における導入期とは、継続して連続携行式腹膜灌流を実施する必要があると判断され、当該処置の開始日より14日間をいうものであり、再開の場合には算定できない。
(2) 区分番号「C102」に掲げる在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定する患者に対して「1連続携行式腹膜潅流」を行った場合には、区分番号「J038」人工腎臓の実施回数と併せて週1回を限度として算定できる。それを超えた回数を実施した場合は、薬剤料及び特定保険医療材料料に限り算定できる。
J043 新生児高ビリルビン血症に対する光線療法
疾病、部位又は部位数にかかわらず1日につき所定点数により算定する。
J043―2 瀉血療法
瀉血療法は、真性多血症、続発性多血症又はインターフェロンや肝庇護療法に抵抗性のあるC型慢性肝炎に対して行った場合に算定する。
J043―3 ストーマ処置
(1) ストーマ処置は、消化器ストーマ又は尿路ストーマに対して行った場合に算定する。
(2) ストーマ処置には、装具の交換の費用は含まれるが、装具の費用は含まない。
(3) 区分番号「C109」に掲げる在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、ストーマ処置の費用は算定できない。
J043―4 胃瘻カテーテル交換法
胃瘻カテーテル交換法は、十分に安全管理に留意し、胃瘻カテーテル交換後の確認を画像診断又は内視鏡等を用いて行った場合に限り算定する。なお、その際行われる画像診断及び内視鏡等の費用は、当該点数の算定日に限り、1回に限り算定する。
J043―5 尿路ストーマカテーテル交換法
尿路ストーマカテーテル交換法は、十分に安全管理に留意し、尿路ストーマカテーテル交換後の確認を画像診断等を用いて行った場合に限り算定する。なお、その際行われる画像診断等の費用は、当該点数の算定日に限り、1回に限り算定する。
(救急処置)
J044 救命のための気管内挿管
(1) 救命のための気管内挿管は、救命救急処置として特に設けられたものであり、検査若しくは麻酔のため挿管する場合又は既に挿管している気管内チューブを交換する場合は算定できない。
(2) 救命のための気管内挿管に併せて、人工呼吸を行った場合は、区分番号「J045」人工呼吸の所定点数を合わせて算定できる。
J044―2 体表面ペーシング法又は食道ペーシング法
救急処置として体表面ペーシング法又は食道ペーシング法を行った場合に算定する。
J045 人工呼吸
(1) 胸部手術後肺水腫を併発し、応急処置として閉鎖循環式麻酔器による無水アルコールの吸入療法を行った場合は、人工呼吸の所定点数により算定し、これに要した無水アルコールの費用については区分番号「J300」薬剤により算定する。
(2) 呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープ、経皮的動脈血酸素飽和度測定又は非観血的連続血圧測定を同一日に行った場合は、これらに係る費用は人工呼吸の所定点数に含まれる。
(3) 喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、酸素吸入及び突発性難聴に対する酸素療法の費用は、所定点数に含まれる。
(4) 閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸及びマイクロアダプター(人工蘇生器)を使用して、酸素吸入を施行した場合は、実施時間に応じて人工呼吸の所定点数により算定する。また、ガス中毒患者に対して、閉鎖循環式麻酔器を使用し、気管内挿管下に酸素吸入を行った場合も同様とする。なお、この場合、酸素吸入の費用は人工呼吸の所定点数に含まれ、別に算定できない。
(5) 気管内挿管下に閉鎖循環式麻酔器による酸素加圧により、肺切除術後の膨張不全に対して肺膨張を図った場合は、実施時間に応じて人工呼吸の所定点数により算定する。
(6) 閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸を手術直後に引き続いて行う場合には、区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔の所定点数に含まれ、別に算定できない。また、半閉鎖式循環麻酔器による人工呼吸についても、閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸と同様の取扱いとする。
(7) 新生児の呼吸障害に対する補助呼吸装置による持続陽圧呼吸法(CPAP)及び間歇的強制呼吸法(IMV)を行った場合は、実施時間に応じて人工呼吸の所定点数により算定する。
(8) 鼻マスク式人工呼吸器を用いた場合は、PaO2/FIO2が300mmHg以下又はPaCO2が45mmHg以上の急性呼吸不全の場合に限り人工呼吸に準じて算定する。
(9) 区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、人工呼吸の費用は算定できない。
J045―2 一酸化窒素吸入療法
(1) 本療法については、開始時刻より通算して96時間を限度として、本療法の終了日に算定する。ただし、医学的根拠に基づきこの限度を超えて算定する場合は、さらに48時間を限度として算定でき、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的な根拠を詳細に記載すること。
(2) (1)の開始時刻とは一酸化窒素供給装置を人工呼吸器と接続し、一酸化窒素の供給を開始した時刻を指し、本療法を実施した場合は、同時刻を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
(3) 呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープ、経皮的動脈血酸素飽和度測定又は非観血的連続血圧測定を同一日に行った場合は、これらに係る費用は一酸化窒素吸入療法の所定点数に含まれる。
(4) 喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、酸素吸入及び突発性難聴に対する酸素療法の費用は、所定点数に含まれる。
J047 カウンターショック
(1) 非医療従事者向け自動除細動器を用いて行った場合には、「1」を算定する。ただし、保険医療機関において保険医により施行された場合においてのみ算定する。
(2) カウンターショックに伴う皮膚の創傷に対する処置に要する費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。
(3) 心臓手術に伴うカウンターショックは、それぞれの心臓手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。
(4) カウンターショックと開胸心臓マッサージを併せて行った場合は、カウンターショックの所定点数と区分番号「K545」開胸心臓マッサージの所定点数をそれぞれ算定する。
J050 気管内洗浄
(1) 気管から区域細気管支にわたる範囲で異物又は分泌物による閉塞(吐物の逆流、誤嚥、気管支喘息重積状態又は無気肺)のために急性呼吸不全をおこした患者に対し、気管内挿管下(気管切開下を含む。)に洗浄した場合に1日につき所定点数を算定する。
(2) 新たに気管内挿管を行った場合には、区分番号「J044」救命のための気管内挿管の所定点数を合わせて算定できる。
(3) 気管支ファイバースコピーを使用した場合は、区分番号「D302」気管支ファイバースコピーの所定点数のみを算定する。
(4) 気管内洗浄(気管支ファイバースコピーを使用した場合を含む。)と同時に行う喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出又は酸素吸入は、所定点数に含まれる。
J052―2 熱傷温浴療法
(1) 熱傷温浴療法は、体表面積の30%以上の広範囲熱傷に対する全身温浴として、入院中の患者に対し受傷後60日以内に行われたものについて算定する。
(2) 受傷日を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。
(皮膚科処置)
J053 皮膚科軟膏処置
(1) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、皮膚科軟膏処置の費用は算定できない。
(2) 100平方センチメートル未満の皮膚科軟膏処置は、第1章基本診療料に含まれるものであり、皮膚科軟膏処置を算定することはできない。
J054 皮膚科光線療法
(1) 赤外線療法は、ソラックス灯等の赤外線を出力する機器を用いて行った場合に算定できる。
(2) 紫外線療法は、フィンゼン灯、クロマイエル水銀石英灯等の紫外線を出力する機器を用いて行った場合に算定できる。
(3) 赤外線又は紫外線療法(長波紫外線療法及び中波紫外線療法を除く。)は、5分以上行った場合に算定する。
(4) 長波紫外線又は中波紫外線療法は、長波紫外線(概ね315ナノメートル以上400ナノメートル以下)又は、中波紫外線(概ね290ナノメートル以上315ナノメートル以下)を選択的に出力できる機器によって長波紫外線又は中波紫外線療法を行った場合に算定できるものであり、いわゆる人工太陽等の長波紫外線及び中波紫外線を非選択的に照射する機器によって光線療法を行った場合は、赤外線又は紫外線療法の所定点数によって算定する。
(5) 中波紫外線療法(308ナノメートル以上313ナノメートル以下に限定したもの)は、いわゆるナローバンドUVB療法をいい、308ナノメートル以上313ナノメートル以下の中波紫外線を選択的に出力できる機器によって中波紫外線療法を行った場合に算定する。
(6) 長波紫外線療法又は中波紫外線療法は乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫(症)、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑又はアトピー性皮膚炎に対して行った場合に限って算定する。
(7) 赤外線療法、紫外線療法、長波紫外線療法又は中波紫外線療法を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。また、同じものを同一日に複数回行った場合でも、1日につき所定点数のみにより算定する。
(8) 皮膚科光線療法は、同一日において消炎鎮痛等処置とは併せて算定できない。
J054―2 皮膚レーザー照射療法
(1) 皮膚レーザー照射療法は、単なる美容を目的とした場合は算定できない。
(2) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいい、概ね3月間にわたり行われるものをいう。例えば、対象病変部位の一部ずつに照射する場合や、全体に照射することを数回繰り返して一連の治療とする場合は、1回のみ所定点数を算定する。
(3) 皮膚レーザー照射療法を開始した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、前回の一連の治療の開始日を記載する。
(4) 「1」の色素レーザー照射療法は、単純性血管腫、苺状血管腫又は毛細血管拡張症に対して行った場合に算定する。
(5) 「2」のQスイッチ付レーザー照射療法は、Qスイッチ付ルビーレーザー照射療法、ルビーレーザー照射療法、Qスイッチ付アレキサンドライトレーザー照射療法をいう。
(6) Qスイッチ付レーザー照射療法は、頭頸部、左上肢、左下肢、右上肢、右下肢、腹部又は背部のそれぞれの部位ごとに所定点数を算定する。また、各部位において、病変部位が重複しない複数の疾患に対して行った場合は、それぞれ算定する。
(7) Qスイッチ付ルビーレーザー照射療法及びルビーレーザー照射療法は、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症、扁平母斑等に対して行った場合に算定できる。なお、一連の治療が終了した後に再発した症例に対して当該療法を行う場合には、同一部位に対しては初回治療を含め2回を限度として算定する。
(8) Qスイッチ付アレキサンドライトレーザー照射療法は、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症等に対して行った場合に算定できる。なお、扁平母斑にあっては算定できない。
J055―2 イオントフォレーゼ
(1) 尋常性白斑に対するイオントフォレーゼ療法は露出部におけるもので、他の療法が無効な場合に限り、4cm四方ごとに算定する。
(2) 汗疱状白癬、慢性湿疹、尋常性画像4 (1KB)
瘡、慢性皮膚炎、稽留性化膿性肢端皮膚炎、多汗症、頑癬に対するイオントフォレーゼは、他の療法が無効な場合に限り算定する。
J057 軟属腫摘除
伝染性軟属腫の内容除去は、軟属腫摘除として算定する。
J057―2 面皰圧出法
面皰圧出法は、顔面、前胸部、上背部等に多発した面皰に対して行った場合に算定する。
J057―3 鶏眼・胼胝処置
鶏眼・胼胝処置は、同一部位について、その範囲にかかわらず月1回を限度として算定する。
(泌尿器科処置)
J060 膀胱洗浄、J060―2 後部尿道洗浄(ウルツマン)
(1) カテーテル留置中に膀胱洗浄及び薬液膀胱内注入を行った場合は、1日につき、膀胱洗浄により算定する。
(2) 膀胱洗浄、留置カテーテル設置、導尿(尿道拡張を要するもの)又は後部尿道洗浄(ウルツマン)を同一日に行った場合には、主たるものの所定点数により算定する。
(3) 区分番号「C106」在宅自己導尿指導管理料又は区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については膀胱洗浄又は後部尿道洗浄(ウルツマン)の費用は算定できない。
J061 腎盂洗浄
(1) 腎盂洗浄は片側ごとに所定点数をそれぞれ算定する。
(2) 尿管カテーテル挿入を行った場合は、所定点数に区分番号「D318」尿管カテーテル法の所定点数を合わせて算定できる。
J063 留置カテーテル設置
(1) 長期間にわたり、バルーンカテーテルを留置するための挿入手技料は、留置カテーテル設置により算定する。この場合、必要があってカテーテルを交換したときの挿入手技料も留置カテーテル設置により算定する。
(2) 区分番号「C106」在宅自己導尿指導管理料又は区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、留置カテーテル設置の費用は算定できない。
(3) 留置カテーテル設置時に使用する注射用蒸留水又は生理食塩水等の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。
J064 導尿(尿道拡張を要するもの)
区分番号「C106」在宅自己導尿指導管理料又は区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、導尿(尿道拡張を要するもの)の費用は算定できない。
J065 間歇的導尿
間歇的導尿は、脊椎損傷の急性期の尿閉、骨盤内の手術後の尿閉の患者に対し、排尿障害の回復の見込みのある場合に行うもので、6月間を限度として算定する。
J068 嵌頓包茎整復法
小児仮性包茎における包皮亀頭癒着に対する用手法等による剥離術は、嵌頓包茎整復法に準じて算定する。
J070―2 干渉低周波による膀胱等刺激法
(1) 干渉低周波による膀胱等刺激法は、尿失禁の治療のために行った場合に算定する。
(2) 治療開始時点においては、3週間に6回を限度とし、その後は2週間に1回を限度とする。
J070―3 冷却痔処置
(1) Ⅰ度又はⅡ度の内痔核の患者に対し、1日1ないし2回、かつ連続して5日以上実施した場合に10日間を限度として、1日につき1回算定できる。なお、当該処置に使用した冷却痔疾治療用具については、所定点数に含まれ、別に算定できない。
(2) 冷却痔処置の請求に当たっては、内痔核の重症度について診療報酬明細書の摘要欄に記載する。
(産婦人科処置)
J078 子宮腟部薬物焼灼法
ゲメプロスト製剤の投与により子宮内容物の排出が認められた場合は、子宮腟部薬物焼灼法に準じて算定できる。
J085―2 人工羊水注入法
人工羊水注入法は、羊水過少症等の患者に対して、超音波断層法検査及び子宮内圧測定を施行し、適正な注入量の羊水を子宮内に注入した場合に算定する。なお、当該手技に伴って実施される超音波検査等の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
(眼科処置)
J086 眼処置
(1) 所定点数には、片眼帯、巻軸帯を必要とする処置、蒸気罨法、熱気罨法、イオントフォレーゼ及び麻薬加算が含まれており、これらを包括して1回につき所定点数を算定する。