添付一覧
(2) 創傷が数か所あり、これを個々に縫合する場合は、近接した創傷についてはそれらの長さを合計して1つの創傷として取り扱い、他の手術の場合に比し著しい不均衡を生じないようにすること。
(3) 「注2」の「露出部」とは、顔面、頸部、上肢にあっては肘関節以下及び下肢にあっては膝関節以下(足底部を除く。)をいう。
(4) 「注3」のデブリードマンの加算は、汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに限り算定できる。
(5) 当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
(6) 抜歯又は智歯歯肉弁切除等の術後、後出血を起こし簡単に止血(圧迫等により止血)できない場合における後出血処置の費用は「4 筋肉、臓器に達しないもの(長径5センチメートル未満)」により算定する。
(7) 口腔内における縫合術及び口腔外における縫合術(顔面創傷等の場合)の費用については、大きさ及び深さに応じ、各号の所定点数により算定する。
J084―2 小児創傷処理(6歳未満)
(1) 創傷処理とは、切・刺・割創又は挫創に対して切除、結紮又は縫合を行う場合の第1回治療のことである。
(2) 創傷が数か所あり、これを個々に縫合する場合は、近接した創傷についてはそれらの長さを合計して1つの創傷として取り扱い、他の手術の場合に比し著しい不均衡を生じないようにすること。
(3) 「注2」の「露出部」とは、顔面、頸部、上肢にあっては肘関節以下及び下肢にあっては膝関節以下(足底部を除く。)をいう。
(4) 「注3」のデブリードマンの加算は、汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに限り算定できる。
(5) 当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
(6) 抜歯又は智歯歯肉弁切除等の術後、後出血を起こし簡単に止血(圧迫等により止血)できない場合における後出血処置の費用は「6 筋肉、臓器に達しないもの(長径2.5センチメートル以上5センチメートル未満)」により算定する。
(7) 口腔内における縫合術及び口腔外における縫合術(顔面創傷等の場合)の費用については、大きさ及び深さに応じ、各号の所定点数により算定する。
J085 デブリードマン
(1) 区分番号J089に掲げる全層、分層植皮術から区分番号J097に掲げる粘膜移植術までの手術を前提に行う場合にのみ算定する。
(2) 汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに算定する。また、繰り返し算定する場合は、植皮等の範囲(全身に占める割合)を診療報酬明細書の摘要欄に記入する。
(3) 「注2」の深部デブリードマン加算は、(2)でいう繰り返し算定される場合についても、要件をみたせば算定できる。
(4) 当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J086 上顎洞開窓術
当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J087 上顎洞根治手術
当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J088 リンパ節摘出術
当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J089 分層植皮術及びJ089―2 全層植皮術
デルマトームを使用した場合の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。
J090 皮膚移植術(生体・培養)
(1) 皮膚提供者の皮膚採取料及び組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
(2) 生体皮膚を移植する場合においては、皮膚提供者から移植用皮膚を採取することに要する費用(皮膚提供者の皮膚採取料及び組織適合性試験の費用は除く。)については、各所定点数により算出し、皮膚移植術(生体・培養)の所定点数に加算する。
(3) 皮膚移植を行った保険医療機関と皮膚移植に用いる移植用皮膚を採取した保険医療機関が異なる場合の診療報酬の請求については、皮膚移植を行った保険医療機関で行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。
(4) 皮膚を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。
J090―2 皮膚移植術(死体)
(1) 皮膚提供者の皮膚採取料及び組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。
(2) 死体から死体皮膚を採取・保存するために要する全ての費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
(3) 皮膚を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。
J093 遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)
遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)を行うにあたり、微小血管自動縫合器を使用した場合、医科点数表の区分番号K936―3に掲げる微小血管自動縫合器加算の例により算定する。
J096 自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)
区分番号J096に掲げる自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)を行うにあたり、微小血管自動縫合器を使用した場合は、医科点数表の区分番号K936―3に掲げる微小血管自動縫合器加算の例により算定する。
J098 血管結紮術
当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J099 動脈形成術、吻合術
当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J099―2 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用埋込型カテーテル設置
医科点数表の区分番号K611に掲げる抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用埋込型カテーテル設置の例により算定する。
J100 血管移植術、バイパス移植術
当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J100―2 中心静脈栄養用埋込型カテーテル設置
医科点数表の区分番号K618に掲げる中心静脈栄養用埋込型カテーテル設置の例により算定する。
J101 神経移植術
当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J102 交感神経節切除術
(1) 疼痛等に対して、眼窩下孔部又はおとがい孔部で末梢神経遮断(挫滅又は切断)術を行った場合に算定する。
(2) おとがい孔部における末梢神経遮断(挫滅又は切断)術と同時に行ったおとがい孔閉鎖に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
J104 皮膚腫瘍冷凍凝固摘出術
口腔領域の皮膚(粘膜)腫瘍又は皮下(粘膜下)腫瘍に対して冷凍凝固摘出術を行った場合に算定する。
J104―2 皮膚悪性腫瘍切除術
(1) 皮膚悪性腫瘍切除術を行った場合において、リンパ節の郭清を伴う場合は「1」により算定し、病巣部のみを切除した場合は「2」により算定する。
(2) 「注」に規定する悪性黒色腫センチネルリンパ節加算については、以下の要件に留意し算定すること。
イ 触診及び画像診断の結果、遠隔転移が認められない悪性黒色腫であって、臨床的に所属リンパ節の腫大が確認されていない場合にのみ算定する。
ロ センチネルリンパ節生検に伴う放射性同意元素の薬剤料は、区分番号J201に掲げる薬剤により算定する。
ハ 摘出したセンチネルリンパ節の病理診断に係る費用は、第14部病理診断の所定点数により算定する。
J105 瘢痕拘縮形成手術
単なる拘縮に止まらず運動制限を伴うような外傷又は腫瘍摘出術等による瘢痕性拘縮の症例に対して、瘢痕拘縮形成手術を行った場合に算定する。
J106 気管切開術
(1) 口腔領域における腫瘍等による気管閉鎖で、気道確保のため救急的に気管切開を行った場合に算定する。ただし、手術に伴う一連の行為として気管切開を同時に行った場合は、主たる手術の所定点数に含まれ別に算定できない。
(2) 気管切開術後カニューレを入れた数日間の処置(単なるカニューレの清拭ではないものに限る。)は、区分番号I009―2に掲げる創傷処置の「1 100平方センチメートル未満」により算定する。
(3) この際用いた気管切開後のテフロンチューブ等については医科点数表の例により算定する。
J107 気管切開孔閉鎖術
手術に伴い行われた気管切開又は救急的な気道確保のため行われた気管切開による切開孔を、当該気管切開を行った日とは別の日に閉鎖した場合に算定する。
J108 顔面神経麻痺形成手術
耳下腺悪性腫瘍摘出後の顔面神経麻痺に対して動的形成手術又は静的形成手術を行った場合に算定する。
第2節 輸血料
J200 輸血
医科点数表の区分番号K920に掲げる輸血の例により算定する。
J200―2 輸血管理料
医科点数表の区分番号K920―2に掲げる輸血管理料の例により算定する。
第3節 手術医療機器等加算
J200―5 画像等手術支援加算
(1) 画像等手術支援加算は、当該技術の補助により手術が行われた場合に算定するものであり、当該技術が用いられた場合であっても、手術が行われなかった場合は算定できない。
(2) ナビゲーションによる支援とは、手術前又は手術中に得た画像を手術の一過程において、手術を補助する目的で用いることをいう。
(3) 実物大臓器立体モデルによる支援とは、手術前又は手術中に得た画像等により作成された実物大臓器立体モデルを、手術を補助する目的で用いることをいう。
第4節 薬剤料
J201 薬剤
手術後の薬剤病巣撤布については、次の手術後に実施されたとき、その薬剤料を第9部手術第4節により併せて算定できる。
(1) 口腔領域の悪性腫瘍手術及びこれらに準ずる手術
(2) 顎骨及び顎関節の形成術
(3) 腐骨除去手術で広範囲のもの
(4) 口腔領域の複雑骨折に対する観血的整復手術及びこれらに準ずるような開放性外傷に対する手術
第5節 特定薬剤料
J300 特定薬剤
(1) 1回の手術に特定薬剤を2種以上使用した場合であっても、使用した特定薬剤の合計価格から40円を控除した残りの額を10円で除して得た点数について1点未満の端数を切り上げて特定薬剤料を算定する。
(2) 特定薬剤を使用した場合であっても、1回の手術に使用した特定薬剤の合計価格が40円以下の場合は、特定薬剤料は算定できない。
(3) (1)でいう1回の手術とは、手術の部に掲げられている各区分の所定点数を算定する単位を1回とする。
(4) 特定薬剤における生理食塩水及びアクリノールは、当該手術を行うに当たり入院を必要とする手術を行った際に、当該手術に使用される特定薬剤の総量価格が40円を超える場合に限り、当該手術の所定点数の他、その費用を算定する。
(5) その他については、区分番号I100に掲げる特定薬剤の(4)から(8)の例により算定する。
第6節 特定保険医療材料
J400 特定保険医療材料
当該手術の実施のために使用される特定保険医療材料については、材料価格を10円で除して得られた点数により算定する。
第10部 麻酔
通則
1 「通則2」、「通則3」及び「通則4」の規定は、第1節の所定点数(ただし、酸素及び窒素を使用した場合の加算を除く。)のみに適用されるものであり、第2節薬剤料に対しては適用されない。
2 「通則2」における著しく歯科診療が困難な障害者の100分の50加算は、治療を直接行う歯科医師に加え、患者の障害に起因した行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢の保持を行うことを目的として、当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護師等が参画した場合等に限り算定するものであり、当該加算を算定した日における患者の状態を診療録に記載する。
3 「通則2」における加算において6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な障害者である場合の100分の50加算は、乳幼児加算のみを算定する。
4 「通則4」における加算は、時間外加算等の適用される処置及び手術に伴って行われた麻酔に対して、第9部手術の時間外加算等と同様の取扱いで算定されるもので、当該処置及び手術の所定点数が150点に満たない場合の加算は認められない。
5 「通則4」における時間外加算等の取扱いは、初診料における場合と同様である。
6 麻酔の休日加算、時間外加算及び深夜加算は、これらの加算が算定できる緊急手術に伴い行われた麻酔についてのみ算定できる。
7 その他の麻酔法の選択について、従前から具体的な規定のないものについても、保険診療の原則に従い必要に応じ妥当適切な方法を選ぶべきものである。
8 第10部に規定する麻酔料以外の麻酔料の算定は医科点数表の例により算定する。
第1節 麻酔料
K001 浸潤麻酔、圧迫麻酔
(1) 第9部手術、所定点数が120点以上の処置、特に規定する処置、区分番号M001に掲げる歯冠形成の所定点数には、浸潤麻酔の費用が含まれ別に算定できない。
(2) う蝕症又は象牙質知覚過敏症等の歯に対する所定点数が120点未満の処置に浸潤麻酔を行った場合の費用は、術野又は病巣を単位として所定点数により算定する。
K002 吸入鎮静法
(1) 吸入鎮静法は、笑気等を用いてゲーデルの分類の麻酔深度の第1期において歯科手術等を行う場合に算定する。
(2) 吸入鎮静法において使用した麻酔薬剤(亜酸化窒素等)に係る費用の算定については、別に定める「酸素及び窒素の価格」(平成2年厚生省告示第41号)に基づき算定する。
(3) 酸素又は窒素の価格は、区分番号I025に掲げる酸素吸入及び医科点数表の区分番号L008に掲げるマスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔の注3の例により算定する。
K003 静脈内鎮静法
(1) 静脈内鎮静法は、歯科治療に対して非協力的な小児患者、歯科治療恐怖症の患者、歯科治療時に配慮すべき医科的全身疾患を有する患者等を対象として、薬剤を静脈内投与することにより鎮静状態を得る方法であり、歯科手術等を行う場合に算定する。
(2) 静脈内鎮静法を実施するに当たっては、「歯科診療における静脈内鎮静法ガイドライン」(平成21年9月日本歯科医学会)を参考にし、術前、術中及び術後の管理を十分に行い、当該管理記録を診療録に添付すること。
(3) 静脈内鎮静法を算定した場合は、区分番号K002に掲げる吸入鎮静法に係る費用は別に算定できない。
(4) 静脈内鎮静法において用いた薬剤に係る費用については、別途算定できる。
(5) 静脈内鎮静法を実施するに当たっては、緊急時に適切な対応ができるよう、あらかじめ医科の保険医療機関と連携していること。
第2節 薬剤料
K100 薬剤
1回の麻酔に麻酔薬剤を2種以上使用した場合であっても使用麻酔薬剤の合計薬価から40円を控除した残りの額を10円で除して得た点数につき1点未満の端数を切り上げて麻酔薬剤料を算定する。
第11部 放射線治療
医科点数表の第2章第12部に掲げる放射線治療(区分番号M000―2に掲げる放射性同位元素内用療法管理料、区分番号M001―2に掲げるガンマナイフによる定位放射線治療、区分番号M001―3に掲げる直線加速器による定位放射線治療、区分番号M002に掲げる全身照射及び区分番号M005に掲げる血液照射を除く。)の例により算定する。
第12部 歯冠修復及び欠損補綴
通則
1 歯冠修復及び欠損補綴の費用は、第1節中の各区分の注に「保険医療材料料を含むものとする。」等と規定されているものを除き、第1節の各区分の所定点数に第3節の保険医療材料料を合算して算定する。
2 歯冠修復及び欠損補綴を行った場合の費用の算定は、一連の歯冠修復及び欠損補綴の所定点数を併せて算定できる。
3 印象採得、咬合採得、仮床試適及び装着については、それぞれの診療行為を行った際に算定する。
4 歯冠修復の当日に行うう蝕処置の費用については、歯冠修復の所定点数に含まれ別に算定できない。
5 有床義歯、ブリッジ(前歯部の接着ブリッジを含む。以下同じ。)等において人工歯を使用した場合の当該人工歯の費用は人工歯を必要とする部位が両側にわたる場合は1組として、片側の場合は2分の1組として、それぞれ人工歯材料料として算定する。
6 「通則3」は、この部に規定していない歯冠修復及び欠損補綴であっても、この部に規定している歯冠修復及び欠損補綴のうち、最も近似する歯冠修復及び欠損補綴の所定点数により算定することが妥当であるものについては、その都度当局に内議の上、それらの所定点数を準用することができる趣旨の規定である。
7 「通則4」による乳幼児又は著しく歯科診療が困難な障害者に対する加算は、第1節の所定点数の100分の50を加算する。
8 「通則4」の著しく歯科診療が困難な障害者の100分の50加算は、治療を直接行う歯科医師に加え、患者の障害に起因した行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢の保持を行うことを目的として、当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護師等が参画した場合等に算定するものであり、当該加算を算定した日における患者の状態を診療録に記載する。
9 6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な障害者である場合(100分の50加算)は、乳幼児加算のみを算定する。
10 歯冠修復及び欠損補綴物の製作に係る一連の診療行為における歯肉圧排、歯肉整形、特定薬剤等の費用は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。
11 歯科訪問診療は常時寝たきりの状態等であって通院困難な療養中の患者について実施されるものであるが、消炎鎮痛、有床義歯の調整等の訪問診療で求められる診療の重要性を考慮し、当該患者に行った区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号J000に掲げる抜歯手術(「1 乳歯」、「2 前歯」及び「3 臼歯」に限る。)、区分番号J013に掲げる口腔内消炎手術(「2 歯肉膿瘍等」に限る。)及び区分番号M029に掲げる有床義歯修理について所定点数に所定点数の100分の50を加算する。
12 「通則7」でいう検査とは、区分番号D004に掲げる平行測定から区分番号D009に掲げる顎運動関連検査までをいう。
13 区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料(補綴物維持管理料)の「注1」に係る地方厚生(支)局長への届出を行っていない保険医療機関において、歯冠補綴物及びブリッジの製作を行い装着した場合については、当該歯冠補綴物及びブリッジに係る補綴関連検査、歯冠修復及び欠損補綴に係る一連の費用の所定点数の100分の70に相当する点数により算定する。また、当該歯冠補綴物等の製作に先立ち区分番号I008に掲げる根管充填を行った場合であっても、区分番号I008に掲げる根管充填の「注1」の加圧根管充填に係る加算の費用は算定できない。
14 保険給付外診療で製作された歯冠修復物及び欠損補綴物であって、後日、脱落した際の再装着の費用及び破損した場合の修理の費用は保険給付の再装着、修理と同一の場合であっても保険給付の対象には認められない。なお、他院で製作された歯冠修復物及びブリッジであって、装着後、区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の「注2」に規定する期間に相当する期間を経過したものについてはこの限りではない。
15 有床義歯製作中であって咬合採得後、試適を行う前に患者が理由なく来院しなくなった場合、患者の意思により治療を中止した場合又は患者が死亡した場合には、診療録に装着物の種類、試適予定日及び試適できなくなった理由等を記載するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に装着物の種類、試適予定日及び装着できなくなった理由(患者が理由なく来院しなくなった場合を除く。)を記載した場合に、製作された区分番号M020に掲げる鋳造鉤、区分番号M021に掲げる線鉤、区分番号M022に掲げるフック、スパー及び区分番号M023に掲げるバーにあっては、各区分の所定点数並びに特定保険医療材料である人工歯の費用の請求を行うことができるものとする。また、区分番号M007に掲げる仮床試適、区分番号M005に掲げる装着の費用は算定できない。なお、請求に当たっては、試適の予定日から起算して1月以上経過した上で行うものとする。ただし、患者が死亡した場合であって死亡が明らかな場合は、この限りでない。
16 患者が理由なく来院しなくなった場合、患者の意思により治療を中止した場合、患者が死亡した場合であって支台築造物、鋳造歯冠修復物、ジャケット冠、ブリッジ、有床義歯(鉤、バー、フック及びスパーを含む。)の製作がすでに行われているにもかかわらず装着ができない場合は診療録に装着物の種類、装着予定日及び装着できなくなった理由等を記載するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に装着物の種類、装着予定日及び装着できなくなった理由(患者が理由なく来院しなくなった場合を除く。)を記載した場合に、区分番号M002に掲げる支台築造、区分番号M010に掲げる鋳造歯冠修復、区分番号M011に掲げる前装鋳造冠、区分番号M014に掲げるジャケット冠、区分番号M015に掲げる硬質レジンジャケット冠、区分番号M017に掲げるポンティック(ダミー)、区分番号M018に掲げる有床義歯、区分番号M019に掲げる熱可塑性樹脂有床義歯、区分番号M020に掲げる鋳造鉤、区分番号M021に掲げる線鉤、区分番号M022に掲げるフック、スパー及び区分番号M023に掲げるバーの各区分に掲げる所定点数並びに特定保険医療材料料の請求を行うことができるものとする。また、区分番号M005に掲げる装着の費用及び装着材料料は算定できない。なお、請求に当たっては、装着の予定日から起算して1月以上経過した上で行うものとする。ただし、患者が死亡した場合であって死亡が明らかな場合は、この限りでない。
17 歯冠修復及び欠損補綴の場合、歯冠形成及び印象採得後、偶発的な事故等を原因とする外傷による歯冠形成歯の喪失等のやむを得ない場合は、当該歯に装着予定の完成している歯冠修復物及び欠損補綴物について診療録に歯冠修復物又は欠損補綴物の種類、装着予定日及び装着できなくなった理由等を記載するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に装着物の種類、装着予定日及び装着できなくなった理由を記載した場合に、区分番号M010に掲げる鋳造歯冠修復、区分番号M011に掲げる前装鋳造冠、区分番号M014に掲げるジャケット冠、区分番号M015に掲げる硬質レジンジャケット冠及び区分番号M017に掲げるポンティック(ダミー)の各区分に掲げる所定点数並びに特定保険医療材料料の請求を行うことができるものとする。なお、区分番号M005に掲げる装着の費用及び装着材料料は算定できない。
18 未来院請求後に患者が再び来院し、すでに未来院請求を行った区分番号M002に掲げる支台築造、区分番号M010に掲げる鋳造歯冠修復、区分番号M011に掲げる前装鋳造冠、区分番号M014に掲げるジャケット冠、区分番号M015に掲げる硬質レジンジャケット冠、区分番号M017に掲げるポンティック(ダミー)、区分番号M018に掲げる有床義歯、区分番号M019に掲げる熱可塑性樹脂有床義歯、区分番号M020に掲げる鋳造鉤、区分番号M021に掲げる線鉤、区分番号M022に掲げるフック、スパー及び区分番号M023に掲げるバーの装着を行う場合は、前記に掲げる各区分に係る費用は別に算定できない。なお、算定に当たっては、診療報酬明細書の摘要欄にその旨を記載すること。
19 火災等のために試適又は装着する前に消失した歯冠修復物及び欠損補綴物については、診療報酬として請求できない。
第1節 歯冠修復及び欠損補綴診療料
M000 補綴時診断料
(1) 補綴時診断料は、患者の当該初診における受診期間を通じ、新たな欠損補綴及び有床義歯の床裏装等を行う場合に、着手した日において1回に限り算定する。
(2) 新たに生じた欠損部の補綴に際し、既製の有床義歯に追加する場合は、有床義歯を新製する場合と同様に補綴時診断料を算定する。ただし、同一初診中で補綴時診断料を算定している場合であって、新たに欠損が生じた場合の補綴時診断に係る費用は、すでに算定を行った補綴時診断料に含まれ別に算定できない。
(3) 補綴時診断料の算定に当たっては、製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等についての要点を診療録に記載すること。
(4) 補綴時診断料を算定した場合には、補綴物の診断設計に基づき、患者に装着する予定の補綴物について、義歯、ブリッジ等の概要図、写真等を用いて患者に効果的に情報提供を行うこと。
(5) 補綴時診断料を算定した後、再度、補綴時診断料を算定すべき診断が必要となり診断を行った場合にあっては、新たに製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等についての要点を診療録に記載すること。なお、当該診断の費用は第1回目の診断の費用に含まれ別に算定できない。
M000―2 クラウン・ブリッジ維持管理料
(1) クラウン・ブリッジの維持管理を実施する保険医療機関は、クラウン・ブリッジの維持管理を開始する前月までに地方厚生(支)局長に届け出るものとする。なお、届出を行う場合には、「特掲診療料の施設基準及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の様式81を用いること。
(2) 「注1」の「歯冠補綴物」とは、区分番号M010に掲げる鋳造歯冠修復(「1 インレー」を除く。)、区分番号M011に掲げる前装鋳造冠、区分番号M014に掲げるジャケット冠、区分番号M015に掲げる硬質レジンジャケット冠をいう。なお、乳歯に対する歯冠修復及び欠損補綴及びすべての支台をインレーとするブリッジは、クラウン・ブリッジ維持管理の対象としない。
(3) 「注1」に規定する文書とは、当該維持管理の対象となる補綴物ごとに、保険医療機関名、開設者名、装着日、クラウン・ブリッジ維持管理料の趣旨、補綴部位等を明記したものをいう。なお、患者に対しクラウン・ブリッジ維持管理に係る説明を行い、患者に対し、その内容を文書により提供した場合に限り算定できる。ただし、同一日に複数の補綴物を装着した場合は、主たる補綴物の維持管理料に係る文書に集約して記載し、患者に対して提供しても差し支えない。なお、患者に提供した文書の写しを診療録に添付すること。
(4) 「注2」の「補綴関連検査」とは、区分番号D004に掲げる平行測定及び区分番号D008に掲げる顎運動関連検査に定める各検査をいう。
(5) クラウン・ブリッジ維持管理を行っている歯冠補綴物やブリッジを装着した歯に対して、充填を行った場合の一連の費用は当該維持管理料に含まれ別に算定できない。
(6) クラウン・ブリッジ維持管理を行っている歯冠補綴物やブリッジが離脱した場合の再装着に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できないが、再度の装着に使用した装着材料料については、別に算定できる。なお、再度の装着を行った場合には、診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に再度の装着を行った歯の部位、再度の装着日を記載すること。
(7) 「注1」の「歯冠補綴物又はブリッジ」を保険医療機関において装着した日から起算して1年を経過した日以降2年を経過した日までの間に、外傷、腫瘍等によりやむを得ず隣在歯を抜歯し、ブリッジを装着する場合には、その理由書、模型、エックス線フィルム又はその複製を地方厚生(支)局長に提出し、その判断を求めるものとする。また、添付模型の製作の費用は、基本診療料に含まれ、算定できないが、添付フィルム又はその複製については区分番号E100に掲げる歯牙、歯周組織、顎骨、口腔軟組織及び区分番号E300に掲げるフィルムに準じて算定して差し支えない。ただし、算定に当たっては診療報酬明細書の摘要欄に算定の理由を明記すること。
なお、歯冠補綴物又はブリッジを装着した歯の隣在歯が歯冠補綴物又はブリッジの装着時に歯周疾患に罹患している場合等においては、当該隣在歯の抜歯に伴う歯冠修復物又はブリッジの再製作に係る一連の費用は、クラウン・ブリッジ維持管理料に含まれ別に算定できない。
M001 歯冠形成
(1) 歯冠形成は、同一歯牙について、1回に限り歯冠形成が完了した日において算定する。なお、簡単な支台築造の費用、歯冠形成に付随して行われる麻酔等の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。
(2) 歯冠形成完了後、完了した日とは別の日に当該歯に行われる麻酔の費用は別に算定できる。
(3) 「1 生活歯歯冠形成」の所定点数には歯冠形成に付随して行われる処置等の一連の費用は含まれるが、歯冠修復物の除去を行った場合の除去の費用は別に算定できる。
(4) 「1のイ 鋳造冠」及び「2のイ 鋳造冠」の鋳造冠とは、全部鋳造冠、前装鋳造冠、前歯の4分の3冠及び臼歯の5分の4冠をいう。
(5) 「鋳造冠」とは、全部鋳造冠、前装鋳造冠、前歯の4分の3冠、臼歯の5分の4冠等、全部鋳造冠方式又は全部鋳造冠に準ずる方式で製作する鋳造歯冠修復(例えば前歯において審美性の観点から唇側の歯質を一部露出させる場合)をいい、4面又は5面の鋳造歯冠修復のすべての場合が該当するものではない。
(6) 「1のロ ジャケット冠」及び「2のロ ジャケット冠」のジャケット冠とは、レジンジャケット冠及び硬質レジンジャケット冠をいう。
(7) 「注1」に規定する接着ブリッジとは、いわゆる従来型ブリッジと同様に支台装置、ポンティック、連結部より構成されるが、支台歯のうち少なくとも1歯(以下「接着ブリッジ支台歯」という。)の切削をエナメル質にとどめ、咬合力に対する抵抗形態、脱離力に対する維持形態を付与し、接着性レジンを用いて支台歯に支台装置を装着するものをいう。
(8) 接着ブリッジ支台歯に対する冠(以下「接着冠」という。)に係る歯冠形成は、「1のイ 鋳造冠」の前歯の4分の3冠に準じて算定する。
(9) メタルコアで支台築造を行った前装鋳造冠、全部鋳造冠及びジャケット冠に係る失活歯歯冠形成に限り所定点数に「注2」又は「注3」の加算を加算する。
(10) 「3 窩洞形成」の窩洞形成は1歯単位に算定する。したがって、同一歯牙に2箇所以上の窩洞の形成を行った場合も、窩洞の数にかかわらず所定点数を1回のみ算定する。
(11) 「注5」の加算におけるレーザー照射とは、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、充填処置のためのう蝕除去及び窩洞形成が可能なものとして保険適用となっているレーザーによる照射をいう。
(12) 「注5」の加算は、エアータービン等歯科用切削器具を用いることなく、レーザーを応用して疼痛の発現を抑制しながら、う蝕歯の充填処置のためのう蝕除去及び窩洞形成を行うことを評価したものであり、エアータービン等切削器具を用いた場合は、算定しない。
(13) 「3のイ 単純なもの」とは、隣接歯との接触面を含まない窩洞をいう。
(14) 「3のロ 複雑なもの」とは、隣接歯との接触面を含む窩洞をいう。
(15) 「1のハ 乳歯金属冠」及び「2のハ 乳歯金属冠」の乳歯金属冠は、既製の金属冠をいう。
(16) 燐酸セメント又はカルボキシレートセメント等のセメントにより充填を行うための窩洞形成は、「3のイ 単純なもの」により算定する。
(17) 可動性固定ブリッジ(半固定性ブリッジ)の可動性連結装置については、「3のロ 複雑なもの」により算定する。
(18) 歯冠修復物の脱落時において、軟化象牙質を除去して再形成を行った場合の軟化象牙質の除去の費用は、区分番号I000に掲げるう蝕処置により算定する。
M001―2 う蝕歯即時充填形成
(1) う蝕歯即時充填形成は、う歯に対して1日で当該歯の硬組織処置及び窩洞形成を完了し充填を行った場合に限り算定し、次回来院の際、充填を行う場合は該当しない。
(2) 2次う蝕によるう蝕症第1度、2次う蝕によるう蝕症第2度、2次う蝕によるう蝕症第3度において充填物を除去し、即時充填のための窩洞形成を行った場合は、う蝕歯即時充填形成により算定する。この場合の充填物の除去の費用は算定できない。
(3) 当該歯の歯冠修復物の除去に係る費用は別に算定できない。
(4) 「注1」の加算におけるレーザー照射とは、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、充填処置のためのう蝕除去及び窩洞形成が可能なものとして保険適用となっているレーザーによる照射をいう。
(5) 「注1」の加算は、エアータービン等歯科用切削器具を用いることなく、レーザーを応用して疼痛の発現を抑制しながら、う蝕歯のう蝕歯即時充填形成のためのう蝕除去及び窩洞形成を行うことを評価したものであり、エアータービン等切削器具を用いた場合は、算定しない。
M001―3 う蝕歯インレー修復形成
(1) う蝕歯インレー修復形成はう歯に対して1日で当該歯の硬組織処置及び窩洞形成を完了し、印象採得及び咬合採得までを行った場合に算定する。
(2) 2次う蝕によるう蝕症第1度、2次う蝕によるう蝕症第2度、2次う蝕によるう蝕症第3度において充填物を除去し、インレー修復のための窩洞形成を行った場合は、う蝕歯インレー修復形成により算定する。この場合の充填物の除去の費用は算定できない。
(3) 当該歯の歯冠修復物の除去に係る費用は算定できない。
M002 支台築造
(1) 「支台築造」とは、実質欠損の大きい失活歯に対して根管等により築造物を維持し、填塞又は被覆して支台歯形態に修復することをいう。
(2) 「メタルコア」とは、鋳造物により築造するものをいう。
(3) 「その他」とは、スクリューポスト(支台築造用)及び複合レジン(築造用)等により築造するものをいい、セメント等による簡単な支台築造は含まれない。
(4) 乳歯については、全部鋳造冠の歯冠形成、乳歯金属冠の歯冠形成及び窩洞形成における支台築造の費用は算定できない。
(5) メタルコアによる支台築造物を再装着した場合は、装着の費用として区分番号M005に掲げる装着の「1のロ その他」及び装着に係る保険医療材料料を算定できる。
(6) 歯冠修復を行うに当たり、メタルコアと全部鋳造冠等を同一模型上で製作し、1日で患者に装着することは、歯科医学的に適切であると認められる場合に限り認められ、常態として行うことは認められない。なお、この場合における印象採得に係る費用は、全部鋳造冠等により算定するものとし、支台築造印象に係る費用は算定できない。
M002―2 支台築造印象
(1) 「支台築造印象」とは、区分番号M002に掲げる支台築造の「1のイ 大臼歯」又は「1のロ 小臼歯及び前歯」の製作に当たって行う印象採得をいう。
(2) 支台築造印象料は、それぞれの製作物ごとに算定する。
M003 印象採得
(1) 印象採得料は、歯冠修復物、歯冠補綴物、欠損補綴物及び義歯修理に当たってそれぞれの製作物ごとに算定する。
(2) ブリッジの印象採得料の算定の時期は、間接法の場合は最初の印象採得の日とし、直接法の場合は支台装置を試適して印象採得を行った日とする。
(3) 印象採得の費用は、原則として歯冠修復及び欠損補綴に当たって印象採得又はろう型採得を行った際に製作物単位に算定する。ただし、ワンピースキャストブリッジ以外のその他のブリッジにあっては、支台装置ごとに「1のイ 単純印象」を、又は1装置ごとに「2のイの(1) 簡単なもの」を算定する。
(4) その他の印象採得は、次により算定する。
イ 「1のロ 連合印象」に該当するものは、鋳造歯冠修復、前装鋳造冠、硬質レジンジャケット冠において連合印象又は各個トレーを用いて行ったものである。
ロ 「その他のブリッジ」の印象採得について、一部の支台装置が鋳造歯冠修復又は前装鋳造冠である場合にその支台歯につき連合印象を行った場合は「1のロ 連合印象」の所定点数を算定する。
ハ 「2のイの(1) 簡単なもの」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴(ワンピースキャストブリッジを除く。)及び有床義歯修理等である。
ニ 9歯以上の欠損補綴及びケロイドにより口唇狭小で印象採得が困難な場合、又は分割印象等を行わなければ所期の目的を達し得ない場合は「2のイの(2) 困難なもの」により算定する。
ホ 欠損補綴で連合印象又は各個トレーを用いて行った場合、又は有床義歯床裏装の印象採得料は「2のロ 連合印象」により算定する。
ヘ 「2のハ 特殊印象」は、欠損補綴でレジン系印象材又はラバー系印象材等を用いてろう義歯により咬合圧印象を行った場合をいう。また、フレンジテクニック又はマイオモニターによる印象も本区分で算定する。
ト ケロイドにより口唇狭小の際に、連合印象又は特殊印象を行った場合は、「2のロ 連合印象」又は「2のハ 特殊印象」によりそれぞれの所定点数を算定する。
(5) ワンピースキャストブリッジの印象採得の費用は、1装置における支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計により算定する。
(6) ブリッジの製作に当たり、ワンピースキャストブリッジと同様の術式で支台歯形成から装着までを行う場合、やむを得ず複数個に分けて鋳造し連結の上、患者に装着した場合の印象採得は、「2のニ ワンピースキャストブリッジ」により算定する。
(7) 欠損補綴に係る連合印象及び特殊印象については、顎堤の状況や欠損形態にかかわらず所定点数により算定する。
M003―2 テンポラリークラウン
(1) テンポラリークラウンとは、前歯部の歯冠修復において、前装鋳造冠、ジャケット冠及び硬質レジンジャケット冠の装着までの間、暫間的に装着されるものをいう。
(2) テンポラリークラウンの費用は、1歯につき所定点数1回の算定とする。なお、歯冠修復装着までの修理等の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
(3) テンポラリークラウンの製作及び装着に当たり使用される保険医療材料料は、所定点数に含まれ別に算定できない。
(4) テンポラリークラウンの除去に係る費用は、別に算定できない。
M004 リテイナー
(1) リテイナーとは、ブリッジ(接着ブリッジを含む。)の製作過程において、支台歯の保護、支台歯及び隣在歯及び対合歯の移動防止並びに歯周組織の保護等のために、ブリッジの支台歯として歯冠形成を予定している歯又は歯冠形成を完了した歯について、ブリッジ装着までの間暫間的に装着されるものをいう。
(2) リテイナーの費用は、ブリッジの支台歯として歯冠形成を予定している歯又は歯冠形成を完了した歯について、当該歯を支台とするリテイナーを製作した場合に、当該歯の歯冠形成を算定した日からブリッジを装着するまでの期間において、1装置につき1回に限り算定する。なお、分割して製作した場合にあっても、ブリッジ1装置につき所定点数1回の算定とする。また、ブリッジ装着までの修理等の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
(3) リテイナーの製作に当たり使用される保険医療材料料(人工歯を使用した場合の人工歯料を含む。)は、所定点数に含まれ別に算定できない。
(4) リテイナーの装着に用いた仮着セメント料については、印象採得後リテイナー装着に係る算定と同時点のものに限り算定が認められる。また、必要があってブリッジの試適を行った場合のリテイナーの再装着についても同様とする。
M005 装着
(1) 装着は次により算定する。
イ 「2のロの(1) 少数歯欠損」及び「2のハの(1) 少数歯欠損」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴をいう。
ロ 「2のロの(2) 多数歯欠損」及び「2のハの(2) 多数歯欠損」に該当するものは、9歯より14歯欠損までの欠損補綴をいう。
ハ 「2のロの(3) 総義歯」及び「2のハの(3) 総義歯」に該当するものは、総義歯をいう。
(2) 有床義歯修理を行った場合の装着の費用は、「2のハ 有床義歯修理」の各区分により算定する。
(3) 装着の費用は、原則として歯冠修復物又は欠損補綴物を装着した際に製作物ごとに算定する。
ただし、ブリッジにあっては、装着に係る保険医療材料料についてのみ支台装置ごとに算定ができる。
(4) 歯間離開度検査、装着後の歯冠修復の調整等の費用は、装着の所定点数に含まれ別に算定できない。
(5) 前装鋳造冠の装着を行った場合の費用は、「1のイ 鋳造歯冠修復又は硬質レジンジャケット冠」により算定する。
(6) 「注1」又は「注2」による加算は、ワンピースキャストブリッジの製作に当たって生体との調和性をみるために装着日以前に仮着を行った場合に算定する。なお、仮着物の除去の費用は、算定できない。
(7) ワンピースキャストブリッジと同様の術式で支台歯形成から装着までを行う場合、やむを得ず複数個に分けて鋳造し連結の上、装着した場合の装着料は、「2のイの(1)の(一) 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が5歯以下の場合」又は「2のイの(1)の(二) 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が6歯以上の場合」により算定する。
(8) 咬合音検査の費用は、欠損補綴の装着の費用に含まれ別に算定できない。
M006 咬合採得
(1) 歯冠修復及び欠損補綴における咬合採得については、製作物ごとに算定する。
イ 「1 歯冠修復」に該当するものは、ブリッジの支台装置を除く歯冠修復
ロ 「2のイの(2) その他のブリッジ」に該当するものは、ワンピースキャストブリッジ以外のその他のブリッジ
ハ 「2のロの(1) 少数歯欠損」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴
ニ 「2のロの(2) 多数歯欠損」に該当するものは、9歯より14歯欠損までの欠損補綴
ホ 「2のロの(3) 総義歯」に該当するものは、総義歯
(2) 有床義歯を装着しない口蓋補綴及び顎補綴における咬合採得については、区分番号M025に掲げる口蓋補綴、顎補綴の「1 印象採得が困難なもの」を算定する場合は本区分の「2のロの(2) 多数歯欠損」の所定点数を、区分番号M025に掲げる口蓋補綴、顎補綴の「2 印象採得が著しく困難なもの」を算定する場合は本区分の「2のロの(3) 総義歯」の所定点数をそれぞれ咬合採得として算定する。また、副子における咬合採得については、当該副子の範囲に相当する歯数により、本区分の「2のロ 有床義歯」により算定する。
(3) 欠損補綴に係る咬合採得については、2回以上行っても顎堤の状況や欠損形態にかかわらず所定点数により算定する。
M007 仮床試適
(1) 仮床試適の費用は、仮床試適を行った際に製作物ごとに算定する。
(2) 仮床試適は次により算定する。
イ 「1 少数歯欠損」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴
ロ 「2 多数歯欠損」に該当するものは、9歯より14歯欠損までの欠損補綴
ハ 「3 総義歯」に該当するものは、総義歯
(3) 有床義歯を装着しない口蓋補綴及び顎補綴における仮床試適については、区分番号M025に掲げる口蓋補綴、顎補綴の「1 印象採得が困難なもの」又は「2 印象採得が著しく困難なもの」を算定する場合は本区分の「3 総義歯」の所定点数を算定する。
M008 ワンピースキャストブリッジの試適
(1) 前歯部に係るワンピースキャストブリッジの製作に当たり、鋳造物の適否等を診断するために試適を行った場合に算定する。
(2) その他のブリッジにおいては、前歯部に係る当該ブリッジの製作に当たり鋳造物等の適否等を診断するために、試適を行った場合は、「1 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が5歯以下の場合」に準じて算定する。
<歯冠修復>
M009 充填
(1) 「1 単純なもの」とは、隣接面を含まない窩洞に対して行う充填をいう。
(2) 「2 複雑なもの」とは、隣接面を含む窩洞に対して行う充填をいう。
(3) 充填の費用は窩洞数にかかわらず1歯単位で算定する。したがって、「1 単純なもの」を同一歯の複数窩洞に行った場合であっても、「1 単純なもの」の所定点数により算定する。
(4) 充填の費用は窩洞形態に応じ算定するものであるが、同一歯に「1 単純なもの」及び「2 複雑なもの」の窩洞が混在する場合は、「2 複雑なもの」の所定点数のみを算定する。
(5) 前歯部切端又は切端隅角のみのものは、「1 単純なもの」として算定する。
(6) 3面以上にわたる窩洞に硅酸セメント、硅燐酸セメント及び歯科充填用即時硬化レジンを行った場合は、「1 単純なもの」として算定する。
(7) 前歯部5級窩洞、臼歯部歯質くさび状欠損又は歯の根面部のう蝕等に対する充填は、いずれも「1 単純なもの」により算定する。
(8) 充填を行うに当たり窩洞形成を行った場合は、区分番号M001―2に掲げるう蝕歯即時充填形成の場合を除き、1歯につき区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」又は「3のロ 複雑なもの」の所定点数を算定する。
(9) 充填に使用した保険医療材料料は窩洞を単位として算定するが、同一歯面に複数の窩洞が存在する場合については1窩洞として取り扱う。
(10) 歯科充填用材料Ⅰの保険医療材料料を算定する歯科用複合レジン充填材料を用いて、窩洞の修復を行った場合は、次の取扱いとする。なお、印象採得又は咬合採得を行った場合は、1個につき区分番号M003に掲げる印象採得の「1 歯冠修復」又は区分番号M006に掲げる咬合採得の「1 歯冠修復」を、装着した場合は1個につき区分番号M005に掲げる装着の「1のロ その他」及び合着・接着材料料をそれぞれ算定する。
イ 単純なもの
「1 単純なもの」に掲げる所定点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅰの「(2) 複雑なもの」に係る点数を算定する。
ロ 複雑なもの
「2 複雑なもの」に掲げる所定点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅰの「(1) 単純なもの」に係る点数及び「(2) 複雑なもの」に係る点数を合算した点数を算定する。
(11) 歯科充填用材料Ⅱの保険医療材料料を算定する歯科用複合レジン充填材料を用いて、窩洞の修復を行った場合は、次の取扱いとする。なお、印象採得又は咬合採得を行った場合は、1個につき区分番号M003に掲げる印象採得の「1 歯冠修復」又は区分番号M006に掲げる咬合採得の「1 歯冠修復」を、装着した場合は1個につき区分番号M005に掲げる装着の「1のロ その他」及び合着・接着材料料をそれぞれ算定する。
イ 単純なもの
「1 単純なもの」に掲げる所定点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅱの「(2) 複雑なもの」に係る点数を算定する。
ロ 複雑なもの
「2 複雑なもの」に掲げる所定点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅱの「(1) 単純なもの」に係る点数及び「(2) 複雑なもの」に係る点数を合算した点数を算定する。
(12) 感染根管処置を行うに当たり、根管側壁、髄室側壁又は髄床底に穿孔がある場合であって封鎖を行った場合は、区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」と保険医療材料料により算定する。なお、形成を行った場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」の所定点数により算定する。
また、歯肉を剥離して行った場合は区分番号J006に掲げる歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術により算定する。
(13) 充填を行った場合の研磨の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
M010 鋳造歯冠修復
(1) 「1のイ 単純なもの」とは、隣接面を含まない窩洞に行うインレーをいう。
(2) 「1のロ 複雑なもの」とは、隣接面を含む窩洞に行うインレーをいう。
(3) 全部鋳造冠、前装鋳造冠、前歯の4分の3冠、臼歯の5分の4冠とは、全部鋳造冠方式又は全部鋳造冠に準ずる方式で製作する鋳造歯冠修復(例えば前歯において審美性の観点から唇側の歯質を一部露出させる場合)をいい、4面又は5面の鋳造歯冠修復のすべての場合が該当するものではない。
(4) 接着冠に係る鋳造歯冠修復及び保険医療材料料は、「2 4分の3冠」に準じて算定する。
(5) 5分の4冠としての鋳造歯冠修復は小臼歯への適用を原則とするが、ブリッジの製作に当たり、必要があって生活歯である大臼歯を支台として使用する場合についてはこの限りでない。
(6) 乳歯の歯冠修復は銀合金により行う。また、乳歯に対する鋳造歯冠修復については、交換期を考慮して鋳造歯冠修復を行うことは認められるが、乳歯の解剖学的特殊性を考慮して窩洞形成を行うこと。
(7) 可動性ブリッジ(半固定性ブリッジ)の可動性連結装置については、1装置につき「1のロ 複雑なもの」に準じて算定する。
(8) 鋳造歯冠修復の欠損部を鋳造歯冠修復によって修復することは、全部鋳造冠の場合を除き認められない。
(9) 智歯に対し必要がある場合には、鋳造歯冠修復を行って差し支えない。
(10) 歯槽中隔部に骨吸収及び肉芽を形成している下顎大臼歯を保存可能と診断した場合において、当該歯を近遠心根の中隔部において分離切断し、中隔部を掻爬するとともに、各根管に対し歯内療法を行った上で、近心根、遠心根にそれぞれ鋳造冠を製作し連結して装着する場合には、歯内療法については当該歯を単位として算定し、歯冠修復については製作物ごとに算定する。
なお、歯冠修復における保険医療材料料については、それぞれ小臼歯の材料料として算定する。
(11) コンビネーション・インレーを製作した場合は、それぞれの所定点数により算定する。
(12) 抜歯禁忌症で義歯製作の必要上、やむを得ず残根を残す場合であって、根の形態修正のみを行う場合は、区分番号I000に掲げるう蝕処置により算定する。
ただし、歯内療法により根の保存可能なものに適切な保存処置の上、鋳造歯冠修復で根面を被覆した場合には、歯冠形成については区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」、鋳造歯冠修復については本区分の「1のイ 単純なもの」及び保険医療材料料を算定する。また、歯科充填用材料Ⅰにより根面を被覆した場合には、歯冠形成の費用については区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」の所定点数を、充填の費用については区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」の所定点数及び保険医療材料料をそれぞれ算定する。
(13) 抜歯禁忌症以外であっても、必要があって、根管処置及び根面被覆処置が完了した残根上に、義歯の装着を行うことは認められる。
M011 前装鋳造冠
(1) 前装鋳造冠とは、全部鋳造冠方式で製作された歯冠修復物の唇面を硬質レジンで前装したものをいい、前歯に限り認められる。
(2) 前装鋳造冠及び前装鋳造ポンティック(ダミー)の前装部分の破損部分に対して、口腔内にて充填により補修を行った場合は、形成は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」、充填は区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」及び保険医療材料料により算定する。ただし、区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジの維持管理を算定している前装鋳造冠及び前装鋳造ポンティック(ダミー)の前装部分に行った修理の費用は、区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料に含まれ別に算定できない。
(3) 前装鋳造冠を装着するに当たっては、次により算定する。
イ 歯冠形成を行った場合は、1歯につき生活歯は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のイ 鋳造冠」及び区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注1」の加算点数を、失活歯は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のイ 鋳造冠」、区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注2」及び「注3」の加算点数を算定する。なお、支台築造を行った場合は区分番号M002に掲げる支台築造の「1 メタルコア」又は「2 その他」及び保険医療材料料を算定する。
ロ 印象採得を行った場合は、1歯につき区分番号M003に掲げる印象採得の「1のロ 連合印象」を算定する。
ハ 装着した場合は、1個につき区分番号M005に掲げる装着の「1のイ 鋳造歯冠修復又は硬質レジンジャケット冠」を算定する。
M014 ジャケット冠
(1) ジャケット冠はレジンジャケット冠のことをいう。
(2) 乳歯に対するジャケット冠についても所定点数を算定する。
(3) ジャケット冠を装着するに当たっては、次により算定する。
イ 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯に行う場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のロ ジャケット冠」を、失活歯に行った場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のロ ジャケット冠」及び区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注4」の加算を算定する。
ロ 印象採得を行った場合は1歯につき、区分番号M003に掲げる印象採得の「1のイ 単純印象」を算定する。
ハ 装着した場合は、1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1のロ その他」及び保険医療材料料を算定する。
(4) 歯科射出成形樹脂(歯冠用)を用いて、単層成形を行った場合は、ジャケット冠により算定する。
(5) 乳歯の前歯又は永久歯の前歯の歯冠部全体のエナメル質の一層を削除し、エナメルエッチング法を実施した後、クラウンフォームのビニールキャップに複合レジンを填入し、支台歯に圧接を行い、硬化後キャップを除去した上で、調整して歯冠修復を完成した場合は、歯冠形成の費用については区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のロ ジャケット冠」により、また、歯冠修復の費用についてはジャケット冠の所定点数により算定する。なお、この場合、使用した保険医療材料料は、歯科充填用材料Ⅰ又はⅡの「(1) 単純なもの」と「(2) 複雑なもの」を合算して算定する。
(6) 複合レジン冠を失活歯に行った場合は所定点数を算定する。なお、歯冠形成の費用は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のロ ジャケット冠」により算定する。
M015 硬質レジンジャケット冠
(1) 硬質レジンジャケット冠を装着する場合は、次により算定する。
イ 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のロ ジャケット冠」を、失活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のロ ジャケット冠」及び区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注4」の加算を算定する。
ロ 印象採得を行った場合は、1歯につき区分番号M003に掲げる印象採得の「1のイ 単純印象」又は区分番号M003に掲げる印象採得の「1のロ 連合印象」を算定する。
ハ 装着した場合は、1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1のイ 鋳造歯冠修復又は硬質レジンジャケット冠」及び保険医療材料料を算定する。
(2) 応分の咬合圧に耐えうる場合等に限り、小臼歯に対して硬質レジンジャケット冠により歯冠修復を行った場合には所定点数により算定する。
(3) 歯冠用強化ポリサルホン樹脂を用いて、歯科射出成形樹脂(歯冠用)とともに二層成形を行った場合は、硬質レジンジャケット冠により算定する。
M016 乳歯金属冠
(1) 乳歯金属冠は既製の金属冠をいう。
(2) 乳歯金属冠を装着するに当たっては、次により算定する。
イ 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のハ 乳歯金属冠」を、失活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のハ 乳歯金属冠」を算定する。
ロ 印象採得を行った場合は1歯につき、区分番号M003に掲げる印象採得の「1のイ 単純印象」を算定する。
ハ 装着した場合は、1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1のロ その他」及び保険医療材料料を算定する。
<欠損補綴>
M017 ポンティック(ダミー)
(1) 臼歯部におけるポンティック(ダミー)にレジン歯を使用することは認められないが、咬合面を金属で製作し、他の部分にレジン前装を施した場合に所定点数を算定する。
(2) 延長ブリッジの場合の7番ポンティック(ダミー)の保険医療材料料は小臼歯(鋳造ポンティック(ダミー)の保険医療材料料の小臼歯)に該当する保険医療材料料を算定する。
(3) 前装鋳造ポンティック(ダミー)とは、鋳造方式により製作されたポンティック(ダミー)の唇面を硬質レジンにより前装したものをいう。
(4) 前装鋳造ポンティック(ダミー)は、前歯の支台歯を前装鋳造冠又は4分の3冠により製作されたブリッジの前歯のものに限り認められる。ただし、3番、4番の2歯欠損については、小臼歯の前装鋳造ポンティック(ダミー)は算定できる。
(5) 可動性固定ブリッジ(半固定性ブリッジ)の可動性連結装置を使用した場合は、区分番号M010に掲げる鋳造歯冠修復の「1のロ 複雑なもの」及び区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のロ 複雑なもの」を算定する。
(6) ブリッジの製作に当たり支台歯の植立方向によりポンティック(ダミー)を分割して製作することは、認められない。
(7) ブリッジについては、次の適用による。
イ ブリッジの給付について
(イ) ブリッジは歯の欠損状況から「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)に示す方法で支台歯数等を定め製作する。
(ロ) 連続欠損の場合は、2歯までとする。ただし、中側切歯については連続4歯欠損まで認められる。
(ハ) 延長ブリッジは原則として認められない。ただし、第二大臼歯欠損の場合に、咬合状態及び支台歯の骨植状態を考慮し、半歯程度のポンティック(ダミー)を行う場合に限り認められる。
(ニ) 隣接歯の処置状況等からやむをえず延長ブリッジを行う場合にあっては、側切歯及び小臼歯1歯のみ認められる。
(ホ) 第三大臼歯をブリッジの支台歯とする場合は、歯冠、歯根の大きさや形態、傾斜、転位等を総合的に勘案した上で行うこと。
(ヘ) 接着ブリッジは、前歯部の1歯欠損症例において、接着ブリッジ支台歯を前歯部の生活歯に求める場合に認められる。
ロ ブリッジ設計の考え方
ブリッジの設計については、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)によること。
(8) 分割抜歯後のブリッジの製作
イ 第1、第2大臼歯を分割抜歯してブリッジの支台歯とすることは、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)の「5 咬合力の負担からみたブリッジの適応症と設計、4)その他(歯根を分割抜去した大臼歯に対するブリッジの適用について)」の項を参照し、残った歯冠、歯根の状態が歯科医学的に適切な場合に限り認められる。
なお、上顎第2大臼歯の遠心頬側根抜歯、下顎第2大臼歯の遠心根抜歯の場合の延長ポンティック(ダミー)は認められない。
ロ 分割抜歯を行った場合の指数は、次のとおりとする。
(イ) 下顎の場合、残った歯根はR=2、欠損部をポンティック(ダミー)としたときはF=4とする。
(ロ) 上顎の場合、残った歯根は1根につきRを1とするが、1根のみの支台歯は歯科医学的に適切と考えられないので認められない。ブリッジの支台歯となるのは、口蓋根と頬側の1根が残った場合、残った歯根はR=2、欠損部をポンティック(ダミー)としたときはF=4とする。また、頬側の2根のみが残った場合は口蓋根部のポンティック(ダミー)は必要とされないことから残った歯根はR=2のみとする。
例①(第1大臼歯の遠心根を抜歯した場合)
指数 |
2 |
4 |
6 |
|
|
歯種 |
6 |
6 |
7 |
|
r=8-4=4 |
|
○ |
● |
○ |
|
F=4 |
R |
2 |
|
6 |
|
4/3=1.3… |
F |
|
4 |
|
|
6の残した根も7のRもFの1/3を超えるので、この場合条件を満たしている。 |
例②(第1大臼歯の遠心根と第2大臼歯を抜歯した場合)
指数 |
2 |
4 |
6 |
4 |
|
指数 |
4 |
2 |
4 |
6 |
4 |
歯種 |
6 |
6 |
7 |
8 |
→ |
歯種 |
5 |
6 |
6 |
7 |
8 |
|
○ |
● |
● |
○ |
|
|
○ |
○ |
● |
● |
○ |
R |
2 |
|
|
4 |
|
R |
4 |
2 |
|
|
4 |
F |
|
4 |
6 |
|
|
F |
|
|
4 |
6 |
|
r=6-10<0で不可、5番も支台歯とする必要がある。 |
|
5番を支台歯として追加することで、r=10-10=0で可、5と6の残した根の和も8のRもFの1/3を超えるのでこの場合条件を満たしている。 |