添付一覧
E100 歯牙、歯周組織、顎骨、口腔軟組織
(1) 第1節診断料の区分番号E000に掲げる写真診断の(1)から(10)までは、本区分についても同様であること。
(2) 造影剤使用撮影とは、顎関節腔、上顎洞又は唾液腺に造影剤を注入して行った場合をいう。
E101 造影剤注入手技
造影剤注入手技は、顎関節腔、上顎洞又は唾液腺に造影剤の注入を行った場合に算定する。
第3節 基本的エックス線診断料
E200 基本的エックス線診断料
医科点数表の区分番号E004に掲げる基本的エックス線診断料の例により算定する。
第4節 フィルム及び造影剤料
E300 フィルム
6歳未満の乳幼児に対して撮影を行う場合は、損耗量を考慮して材料価格に1.1を乗じて算定する。
<画像診断の端数処理方法>
(1) 小数点以下の端数がある場合は、第1節診断料と第2節撮影料及び第4節フィルム料のそれぞれについて端数処理を行い、合算した点数が請求点数となる。
(例) 同一部位に対し、同時にカビネ型2枚を使用して単純撮影(アナログ撮影)を行った場合
診断料 85点+85/2点=127.5点→128点
撮影料 65点+65/2点=97.5点→98点
カビネ2枚分のフィルム代 42円×2/10=8.4点→8点
請求点数 128点+98点+8点=234点
(2) 全顎撮影以外の歯科エックス線撮影(アナログ撮影)に限り、歯科用エックス線フィルム1枚を単位として第1節診断料、第2節撮影料及び第4節フィルム料を合算し、端数処理を行う。
(例) 1枚の場合
20点(診断料)+25点(撮影料)+(28円/10)点(フィルム料)=47.8点→48点
(例) 5枚の場合
48点(1枚当たりの請求点数)×5枚=240点
第5部 投薬
医科点数表の第2章第5部に掲げる投薬(区分番号F400に掲げる処方せん料を除く。)の例により算定する。
第5節 処方せん料
F400 処方せん料
(1) 同一の患者に対して、同一診療日に、一部の薬剤を院内において投薬し、他の薬剤を院外処方せんにより投薬する事は、原則として認められない。
万一緊急やむを得ない事態が生じこのような方法による投薬を行った場合は、当該診療報酬明細書の「摘要欄」に、その日付及び理由を記載する。なお、注射器、注射針又はその両者のみを処方せんにより投与することは認められない。
(2) (1)にいう「緊急やむを得ない事態」とは、常時院外処方せんによる投薬を行っている患者に対して、患者の症状等から緊急に投薬の必要性を認めて臨時的に院内投薬を行った場合又は常時院内投薬を行っている患者に対して当該保険医療機関で常用していない薬剤を緊急かつ臨時的に院外処方せんにより投薬した場合をいう。
(3) 同一患者に対し処方せんを交付した同日に抜歯直後等の必要から屯服薬を投与する場合、当該処方料は処方せん料に含まれる。
(4) その他については、医科点数表の区分番号F400に掲げる処方せん料((6)、(7)を除く。)の例により算定する。
第6部 注射
通則
1 第1節に掲げられていない注射であって簡単な注射は、基本診療料に包括されているため、第2節の薬剤料のみで算定する。
2 その他については、別添1の第2章第6部に掲げる通則の例により算定する。
第1節 注射料
医科点数表の第2章第6部第1節に掲げる注射料(医科点数表の区分番号G003―3に掲げる肝動脈塞栓を伴う抗悪性腫瘍剤肝動脈内注入、医科点数表の区分番号G005―4に掲げるカフ型緊急時ブラッドアクセス用留置カテーテル挿入、医科点数表の区分番号G007に掲げる腱鞘内注射、医科点数表の区分番号G008に掲げる骨髄内注射、医科点数表の区分番号G009に掲げる脳脊髄腔注射、医科点数表の区分番号G011に掲げる気管内注入、医科点数表の区分番号G012に掲げる結膜下注射、医科点数表の区分番号G012―2に掲げる自家血清の眼球注射、医科点数表の区分番号G013に掲げる角膜内注射、医科点数表の区分番号G014に掲げる球後注射、医科点数表の区分番号G015に掲げるテノン氏嚢内及び医科点数表の区分番号G016に掲げる硝子体内注射を除く。)の例により算定する。
第7部 リハビリテーション
通則
1 第1節リハビリテーション料に掲げられていないリハビリテーションのうち、簡単なリハビリテーションのリハビリテーション料は、算定できないものであるが、特殊なリハビリテーションのリハビリテーション料は、その都度当局に内議し、最も近似するリハビリテーションとして準用が通知された算定方法により算定する。
2 各区分におけるリハビリテーションの実施に当たっては全ての患者の機能訓練の内容の要点及び実施時刻(開始時刻と終了時刻)の記録を診療録等へ記載すること。
3 顎関節疾患の治療にマイオモニターを使用した場合は、1回につき医科点数表の区分番号H002に掲げる運動器リハビリテーション料の「3 運動器リハビリテーション料(Ⅲ)」の所定点数により算定する。なお、診療録にマイオモニターを用いた顎関節疾患の治療の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、治療内容、使用機器名等を記載する。
4 開口障害の治療に際して整形手術後に開口器等を使用して開口訓練を行った場合は、医科点数表の区分番号H002に掲げる運動器リハビリテーション料の「2 運動器リハビリテーション料(Ⅱ)」の所定点数により1日につき1回に限り算定する。なお、診療録に開口障害の訓練の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、訓練内容、使用器具名等を記載する。また、顎骨骨折に対する観血的手術後又は悪性腫瘍に対する放射線治療後に生じた開口障害について、開口器等を使用して開口訓練を行ったときについても同様の取扱いとする。
5 その他については、医科点数表の第2章第7部リハビリテーションに掲げる通則2及び通則3の例により算定する。
第1節 リハビリテーション料
H000 脳血管疾患等リハビリテーション料
脳血管疾患等リハビリテーション料は、医科点数表の区分番号H001に掲げる脳血管疾患等リハビリテーション料の例により算定する。ただし、音声・構音障害を持つ患者に対して言語機能に係る訓練を行った場合に算定できるものとする。
H001 摂食機能療法
(1) 摂食機能療法は、摂食機能障害を有する患者に対して、個々の患者の症状に対応した診療計画書に基づき、医師又は歯科医師若しくは医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士、看護師、准看護師、歯科衛生士、理学療法士又は作業療法士が1回につき30分以上訓練指導を行った場合に月4回を限度として算定する。ただし、治療開始日から起算して3月以内の患者に限っては、1日につき算定できる。なお、摂食機能障害者とは、発達遅滞、顎切除及び舌切除の手術又は脳血管疾患等による後遺症により摂食機能に障害がある者のことをいう。
(2) 摂食機能療法は、診療録に当該療法の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、療法の内容、使用用具等の名称等を記載するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に当該療法の実施日、実施時刻(開始時刻と終了時刻)、使用用具等の名称を記載すること。
(3) 医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士、看護師、准看護師又は歯科衛生士が行う嚥下訓練は、摂食機能療法として算定できる。
H002 障害児(者)リハビリテーション料
障害児(者)リハビリテーション料は、医科点数表の区分番号H007に掲げる障害児(者)リハビリテーション料の例により算定する。ただし、音声・構音障害を持つ患者に対して言語機能に係る訓練を行った場合に限り算定できるものとする。
H003 がん患者リハビリテーション料
(1) がん患者リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において算定するものであり、がんの種類や進行、がんに対して行う治療及びそれに伴って発生する副作用又は障害等について十分な配慮を行った上で、がんやがんの治療により生じた疼痛、筋力低下、障害等に対して、二次的障害を予防し、運動器の低下や生活機能の低下予防・改善することを目的として種々の運動療法、日常生活活動訓練、物理療法、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合について算定する。
(2) がん患者リハビリテーションは、対象となる患者に対して、歯科医師の指導監督の下、がん患者リハビリテーションに関する適切な研修を修了した言語聴覚士が個別に20分以上のリハビリテーションを行った場合を1単位として、1日につき6単位に限り算定する。また、専任の歯科医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、言語聴覚士が実施した場合と同様に算定できる。
(3) がん患者リハビリテーション料の対象となる患者は、入院中のがん患者であって、次のいずれかに該当する者をいい、当該患者の主治医である歯科医師と連携する医師が個別にがん患者リハビリテーションが必要であると認める者である。
イ 舌がん、口腔がん、その他頸部リンパ節郭清を必要とするがんにより入院し、当該入院中に放射線治療若しくは閉鎖循環式全身麻酔による手術が行われる予定の患者又は行われた患者
ロ 骨軟部腫瘍又はがんの骨転移に対して、当該入院中に患肢温存術若しくは切断術、創外固定若しくはピン固定等の固定術、化学療法又は放射線治療が行われる予定の患者又は行われた患者
ハ 当該入院中に骨髄抑制を来しうる化学療法が行われる予定の患者又は行われた患者
ニ 在宅において緩和ケア主体で治療を行っている進行がん又は末期がんの患者であって、症状増悪のため一時的に入院加療を行っており、在宅復帰を目的としたリハビリテーションが必要な患者
(4) がん患者リハビリテーションを行う際には、歯科医師及び当該歯科医師と連携する医師の定期的な診察結果に基づき、歯科医師、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等の多職種が共同して医科点数表の区分番号H003―2に掲げるリハビリテーション総合計画評価料の注に規定するリハビリテーション計画を作成していること。なお、がんのリハビリテーションに従事する者は、積極的にキャンサーボードに参加することが望ましい。
(5) がん患者リハビリテーション料を算定している患者に対して、脳血管疾患等リハビリテーション料又は障害児(者)リハビリテーション料は別に算定できない。
H008 集団コミュニケーション療法料
集団コミュニケーション療法料は、医科点数表の区分番号H008に掲げる集団コミュニケーション療法料の例により算定する。ただし、音声・構音障害を持つ患者に対して言語機能に係る訓練を行った場合に算定できるものとする。
第8部 処置
通則
1 処置の所定点数とは処置料の項に掲げられた点数及び注による加算の合計をいい、通則の加算点数は含まない。
2 通則の加算方法は処置料の所定点数に通則中の各加算を足し合わせたものの合計で算定する。
3 処置の費用としては、第1節に規定してある所定点数によるほか、所定点数が120点以上の処置又は各区分の「注」に「特定薬剤料を含む。」と記載されている場合を除いて処置に使用した特定薬剤の費用についても算定する。したがって、特定薬剤を使用して処置を行った場合は、120点以上の処置又は特に規定する処置を除いて第1節の処置料と第2節の特定薬剤料とを合算して算定する。この場合の薬剤については別に厚生労働大臣が定めるものに限られる。
4 特定薬剤料又は特定保険医療材料料の算定の単位は1回に使用した総量の価格であって、注射液の1筒ごと等の特定単位にはこだわらない。
5 第1節に掲げられていない処置のうちラバーダム防湿法及び簡単な処置の費用は基本診療料に含まれ算定できないが、特殊な処置の費用は、その都度当局に内議し、最も近似する処置として準用が通知された算定方法により算定する。
6 「通則5」による6歳未満の乳幼児又は著しく歯科診療が困難な障害者に対する加算は、第1節の所定点数の100分の50を加算する。
7 「通則5」による著しく歯科診療が困難な障害者の100分の50加算は、治療を直接行う歯科医師に加え、患者の障害に起因した行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢の保持を行うことを目的として、当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護師等が参画した場合等に限り算定するものであり、当該加算を算定した日における患者の状態を診療録に記載する。
8 6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な障害者である場合の100分の50加算は、乳幼児加算のみを算定する。
9 「通則6」の所定点数が150点とは、各区分に規定してある所定点数が150点という趣旨である。ただし、その処置・手術が全体として一体と考えられる処置を行った場合には、個々の所定点数が150点に達しなくとも、それらの合算点数が150点以上のときは加算が認められる。
10 120点以上の処置又は各区分の「注」に「麻酔料を含む。」と記載されている場合の処置の所定点数中に含まれる簡単な伝達麻酔とは、麻酔の部(第10部)に規定してある伝達麻酔以外の簡単な伝達麻酔(頤孔、後臼歯結節、大口蓋孔等)をいう。
なお、麻酔の部に規定してある区分番号K001に掲げる浸潤麻酔、圧迫麻酔については、120点以上の処置若しくは各区分の「注」に「麻酔料を含む。」と記載されている場合の処置の所定点数に含まれ別に算定できない。
11 歯科訪問診療は常時寝たきりの状態等であって通院困難な療養中の患者について実施されるものであるが、消炎鎮痛、有床義歯の調整等の訪問診療で求められる診療の重要性を考慮し、当該患者に行った区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号J000に掲げる抜歯手術(「1 乳歯」、「2 前歯」及び「3 臼歯」に限る。)、区分番号J013に掲げる口腔内消炎手術(「2 歯肉膿瘍等」に限る。)、区分番号M029に掲げる有床義歯修理について所定点数に所定点数の100分の50を加算する。
12 区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号I007に掲げる根管貼薬処置及び区分番号I008に掲げる根管充填の一連の歯内療法において、高周波療法、イオン導入法、根管拡大、根管形成、歯肉圧排、根管充填剤(材)の除去、隔壁、歯髄結石除去、根管開拡及び特定薬剤等の費用はそれぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。
第1節 処置料
第1節の処置においては、区分番号I000に掲げるう蝕処置から区分番号I021に掲げる根管内異物除去の処置のために行った区分番号K001に掲げる浸潤麻酔、圧迫麻酔等の費用については、「通則7」に該当しない場合に限り各所定点数の算定単位ごとに算定する。
I000 う蝕処置
(1) う蝕処置の費用は、1歯1回を単位として算定し、1回の処置歯数が2歯以上にわたる場合は、所定点数を歯数倍した点数により算定する。以下「1歯1回につき」等の規定のある場合の算定は、処置を行った歯数倍を乗じて算定する。
(2) 「う蝕処置」は、次の処置をいう。
イ う蝕歯の歯冠部に行った軟化象牙質の除去又は暫間充填
ロ 歯根未完成の永久歯の歯内療法実施中に、根尖部の閉鎖状態の予後観察のために行った水酸化カルシウム系糊剤等による暫間根管充填に併せて行った暫間充填
ハ 歯髄保護処置又は歯冠修復物の脱落時の再装着等を行うにあたって軟化象牙質等の除去又は燐酸セメント若しくはカルボキシレートセメント等を用いた暫間充填
ニ 抜歯禁忌症で義歯製作の必要上、やむを得ず残根歯の削合のみを行う場合は、歯数に応じて算定する。ただし、根管治療により根の保存可能な歯には適切に保存処置を行い、鋳造歯冠修復により根面を被覆した場合には、歯冠形成の費用については区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」の所定点数を、鋳造歯冠修復の費用については区分番号M010に掲げる鋳造歯冠修復の「1のイ 単純なもの」の所定点数と保険医療材料料をそれぞれ算定する。また、歯科充填用材料Ⅰにより根面を被覆した場合には、歯冠形成の費用については区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」の所定点数を、充填の費用については区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」の所定点数と保険医療材料料をそれぞれ算定する。
(3) う蝕処置、区分番号M001に掲げる歯冠形成、区分番号M001―2に掲げるう蝕歯即時充填形成及び区分番号M001―3に掲げるう蝕歯インレー修復形成等において、軟化象牙質の検査を行った場合の費用は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。
(4) う蝕処置を算定する場合においては、算定部位ごとに、使用した保険医療材料名及び処置内容等を診療録に記載すること。
I000―2 咬合調整
(1) 歯周炎又は歯ぎしりの処置のために、歯の削合を行った場合は、同一初診期間中、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のうち、いずれか1回に限り算定する。
(2) 過重圧を受ける歯牙の切縁、咬頭の過高部又は別の歯科の保険医療機関において製作された鋳造歯冠修復物等の過高部の削除を行った場合は、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のいずれかにより算定する。
(3) 咬合緊密である患者の義歯を製作するに当たり、鉤歯と鉤歯の対合歯をレスト製作のために削除した場合は、同一初診期間中、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のうち、いずれか1回に限り算定する。
(4) 歯周組織に咬合性外傷を起こしているとき、過高部の削除に止まらず、食物の流れを改善し歯周組織への為害作用を極力阻止するため歯冠形態の修正を行った場合、又は舌、頬粘膜の咬傷を起こすような場合に、歯冠形態修正(単なる歯牙削合を除く。)を行った場合は、同一初診期間中、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のうち、いずれか1回に限り算定する。なお、歯冠形態の修正を行った場合は診療録に、歯冠形態の修正理由、歯冠形態の修正箇所等を記載すること。
(5) 歯髄切断、抜髄、感染根管処置等の一連の歯内治療及び抜歯手術に伴って、患歯の安静を目的として行う歯の削合に係る費用は、区分番号I004に掲げる歯髄切断、区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号J000に掲げる抜歯手術等の所定点数に含まれ別に算定できない。
I001 歯髄保護処置
(1) 歯髄保護処置(歯髄覆罩)とは、歯髄温存療法(非侵襲性歯髄覆罩)、直接歯髄保護処置(直接歯髄覆罩)及び間接歯髄保護処置(間接歯髄覆罩)をいう。
(2) う窩の処置としての象牙質の削除を行うとともに、歯髄保護処置を行い暫間充填を行った場合は、う蝕処置と歯髄保護処置の所定点数をそれぞれ算定する。
ただし、区分番号M001―2に掲げるう蝕歯即時充填形成、区分番号M001―3に掲げるう蝕歯インレー修復形成又は区分番号I004に掲げる歯髄切断を行った場合は歯髄保護処置の点数は算定できない。
(3) 同一歯牙に2箇所以上、例えば近心と遠心とにう窩が存在する場合に、それぞれの窩洞に歯髄保護処置を行った場合には、同日又は日を異にして行った場合であっても、1歯1回に限り所定点数を算定する。
(4) 歯髄温存療法とは、臨床的に健康な歯髄又は可逆性歯髄炎であって、感染象牙質を全て除去すれば、露髄を招き抜髄に至る可能性のある深在性のう蝕を対象とするものであり、感染象牙質を残し、そこに水酸化カルシウム製剤などを貼付し、感染部の治癒を図るものであり、3月以上の期間を要するものである。本区分は、3月以上の期間内に2回程度の薬剤の貼付を行うことを含め、当該処置に係る一連の行為を包括的に評価するものであり、当該処置を行った最初の日に算定するものとする。
(5) 歯髄温存療法を行った場合は、3月以上の経過観察期間を行った後に、歯冠修復等を実施する。なお、当該処置を行った場合は、処置内容及び経過観察期間等に係る事項について患者に対して説明するとともに、その要点を診療録に記載する。
(6) 直接歯髄保護処置を行った場合は、1月以上の経過観察を行った後に歯冠修復等を実施する。なお、当該処置を行った場合は、処置内容及び経過観察期間等に係る事項について患者に対して説明するとともに、その要点について診療録に記載する。
I002 知覚過敏処置
(1) イオン導入法の費用は、知覚過敏処置の所定点数に含まれ別に算定できない。
(2) 歯冠形成後、知覚過敏が生じた有髄歯に対する知覚鈍麻剤の塗布については、歯冠形成、印象採得、咬合採得、仮着及び装着と同時に行う場合を除き「1 3歯まで」又は「2 4歯以上」の所定点数により算定する。
(3) 次のレーザー治療器を用いて、知覚過敏症の処置を行った場合は、知覚過敏処置の所定点数により算定する。
イ セミレーザー・ナノックス
ロ セミコンレーザMR―180
ハ ヘリウム・ネオン・レーザー
ニ ベルビーム
ホ ソフトレーザー632
ヘ オサダダイオトロン(DL―S)
ト トリンプル―D
チ コンパクトレーザー
リ PANALAS500
I002―2 乳幼児う蝕薬物塗布処置
乳幼児のう蝕に対して、軟化象牙質等を除去して充填等を行わず、フッ化ジアンミン銀の塗布を行った場合は、1口腔1回につき歯数に応じて「1 3歯まで」又は「2 4歯以上」により算定する。
I003 初期う蝕小窩裂溝填塞処置
(1) 初期う蝕小窩裂溝填塞処置は、原則として幼若永久歯又は乳歯の小窩裂溝の初期う蝕に対して行った場合に算定する。この場合、初期う蝕に罹患している小窩裂溝に対する清掃等を行った場合の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
(2) 初期う蝕小窩裂溝填塞処置に要する特定保険医療材料料は、区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」の場合と同様とする。
I004 歯髄切断
(1) 生活歯髄切断のために用いた表面麻酔、浸潤麻酔、簡単な伝達麻酔、特定薬剤、歯髄保護処置の費用は、生活歯髄切断の所定点数に含まれ別に算定できない。
(2) 生活歯髄切断後に歯冠形成を行った場合は、区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1 生活歯歯冠形成」の各号により算定する。
(3) 同一歯牙について、区分番号I005に掲げる抜髄を併せて行った場合は、区分番号I005に掲げる抜髄の所定点数に当該歯髄切断の費用は含まれ別に算定できない。
(4) 歯髄切断の後に抜髄となった場合は、区分番号I005に掲げる抜髄の所定点数のみにより算定する。
I005 抜髄
(1) 抜髄は1歯につき1回に限り算定する。
(2) 抜髄は、歯髄炎等の場合に通常局所麻酔下において歯髄の除去を行った場合又は薬剤を用いて歯髄を壊死させ除去(失活抜髄)を行った場合に算定する。なお、麻酔、薬剤の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。
(3) 抜髄の費用は、抜髄を行った歯について、抜髄が完了した日において算定する。この場合、失活抜髄の貼薬及び薬剤の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。
(4) 区分番号I001に掲げる歯髄保護処置の「1 歯髄温存療法」を行った場合は、3月以上の経過観察を行うものであるが、やむを得ず経過観察中に抜髄を実施した場合は、「注1」に掲げる所定点数により算定する。
(5) 区分番号I001に掲げる歯髄保護処置の「2 直接歯髄保護処置」を行った場合は、1月以上の経過観察を行うものであるが、やむを得ず早期に抜髄を実施した場合は、「注2」に掲げる所定点数により算定する。
I006 感染根管処置
(1) 感染根管処置とは、歯根膜炎等の場合に根管内容物の除去、根管清掃拡大等を行うことをいう。
(2) 抜歯を前提として急性症状の消退を図ることを目的とした根管拡大等は、根管数にかかわらず1歯につき1回に限り、「1 単根管」により算定する。なお、抜歯を前提とした根管拡大等に併せて行った消炎のための根管貼薬の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
(3) 感染根管処置を行うに当たり、根管側壁、髄室側壁又は髄床底に穿孔があり、封鎖を行った場合は、区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」の所定点数と保険医療材料料をそれぞれ算定する。なお、形成を行った場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」の所定点数により算定する。また、歯肉を剥離して行った場合は区分番号J006に掲げる歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術の所定点数及び保険医療材料料をそれぞれ算定する。
(4) 感染根管処置は1歯につき1回に限り算定する。
I007 根管貼薬処置
(1) 根管貼薬処置とは、根管の清拭、根管貼薬等をいう。
(2) 区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号I008に掲げる根管充填と同時に行った根管貼薬の費用は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。
(3) 抜歯を前提とした消炎のための根管拡大後の根管貼薬は、根管数にかかわらず1歯につき1回に限り、「1 単根管」により算定する。
I008 根管充填
(1) 根管充填は1歯につき1回に限り算定する。
(2) 「注1」の加圧根管充填とは、アピカルシート又はステップの形成及び根管壁の滑沢化(根管形成)が行われた根管に対して、ガッタパーチャポイントを主体として根尖孔外に根管充填材を溢出させずに加圧しながら気密に根管充填を行うことをいう。なお、根管充填後に歯科エックス線撮影で気密な根管充填が行われていることを確認した場合に算定する。
(3) 歯根未完成の永久歯の歯内療法実施中に、数月間根尖部の閉鎖状態の予後観察を行うために、水酸化カルシウム系糊剤等により暫間的根管充填を行う場合は、1回に限り「1 単根管」、「2 2根管」又は「3 3根管以上」の所定点数により算定する。ただし、「注1」の加圧根管充填に係る加算の算定はできない。なお、併せて当該歯に暫間充填を行った場合の費用は区分番号I000に掲げるう蝕処置により算定する。
(4) 区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の「注1」に係る地方厚生(支)局長への届出を行っていない保険医療機関において、根管充填を行った場合は、「注1」の加圧根管充填に係る費用は算定できない。
I009 外科後処置
(1) 口腔内より口腔外に通ずる手術創に対する外科後処置とし、「1 口腔内外科後処置」及び「2 口腔外外科後処置」を行った場合であっても、いずれかの所定点数のみを算定する。
(2) 外科後処置とは、区分番号J047に掲げる腐骨除去手術の「2 顎骨に及ぶもの」、区分番号J010に掲げる顎堤形成術、区分番号J043に掲げる顎骨腫瘍摘出術、区分番号J003に掲げる歯根嚢胞摘出手術の「2 拇指頭大のもの」、区分番号J072に掲げる下顎骨折観血的手術等の大手術の外科後処置であってドレーン(吸引ドレーン等)を使用した外科後処置をいう。なお、単純な外科後処置については、基本診療料に含まれる。
(3) 抜歯又は智歯歯肉弁切除等の術後、後出血を起こし簡単に止血(圧迫等により止血)できない場合における後出血処置の費用は、創傷の大小に関係なく、6歳以上の場合は区分番号J084に掲げる創傷処理の「4 筋肉、臓器に達しないもの(長径5センチメートル未満)」により、6歳未満の場合は区分番号J084―2に掲げる小児創傷処理(6歳未満)の「6 筋肉、臓器に達しないもの(長径2.5センチメートル以上5センチメートル未満)」により、それぞれ算定する。なお、区分番号J084に掲げる創傷処理又は区分番号J084―2に掲げる小児創傷処理を算定した場合は、外科後処置の費用はそれぞれの所定点数に含まれる。
I009―2 創傷処置
医科点数表の区分番号J000に掲げる創傷処置の例により算定する。
I010 歯周疾患処置
(1) 歯周疾患処置は、歯周疾患の症状の改善を目的として、歯周ポケット内へ特定薬剤を注入した場合に、1口腔を単位として算定する。なお、歯周疾患処置を算定する場合は、使用薬剤名を診療録に記載すること。
(2) 歯周疾患処置を算定する歯周ポケット内への特定薬剤の注入とは、次に該当する場合をいう。なお、用法用量に従い使用した場合に限り特定薬剤料として別に算定できる。
イ 歯周基本治療の後の歯周組織検査の結果、期待された臨床症状の改善がみられず、かつ歯周ポケットが4ミリメートル以上の部位に対して、十分な薬効が期待できる場合において、計画的に1月間薬剤注入を行った場合
ロ イの薬剤注入後、再度の歯周組織検査の結果、臨床症状の改善はあるが、歯周ポケットが4ミリメートル未満に改善されない場合であって、更に1月間継続して薬剤注入を行った場合
ハ 歯周疾患による急性症状時に症状の緩解を目的として、歯周ポケット内へ薬剤注入を行った場合
(3) 歯周疾患処置を算定した月は、区分番号I011―3に掲げる歯周基本治療処置を別に算定できない。
I011 歯周基本治療
(1) 歯周基本治療は、歯周病の炎症性因子の減少又は除去を目的とする処置をいうものであり、歯周組織検査等の結果に基づき必要があると認められる場合に実施する。歯周組織検査が実施されていない場合は、本区分は算定できない。なお、歯周基本治療については、「歯周病の診断と治療に関する指針」(平成19年11月日本歯科医学会)を参考とすること。
(2) スケーリングとは、歯面に付着しているプラーク、歯石、その他の沈着物をスケーラー等で機械的に除去することをいう。
(3) スケーリング・ルートプレーニング及び歯周ポケット掻爬(盲嚢掻爬)を同一歯に対して同時に実施した場合においても、いずれかの所定点数により算定する。
(4) 歯周基本治療を実施した後に同一部位に実施したスケーリング、スケーリング・ルートプレーニング又は歯周ポケット掻爬(盲嚢掻爬)の費用は、所定点数の100分の50により算定する。
(5) 2回目以降のスケーリング、スケーリング・ルートプレーニング及び歯周ポケット掻爬(盲嚢掻爬)については、歯周組織検査の結果を踏まえ、その必要性、効果等を考慮した上で実施するものとする。
(6) 区分番号J063に掲げる歯周外科手術と同時に行われた歯周基本治療の費用は、歯周外科手術の所定点数に含まれ別に算定できない。
(7) 混合歯列期歯周組織検査に基づく歯周基本治療については、「1 スケーリング」により算定する。
I011―2 歯周病安定期治療
(1) 歯周病安定期治療は、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料又は区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料を算定している患者であって、中等度以上の歯周病を有するものに対して、一連の歯周基本治療等の終了後に、一時的に症状が安定した状態にある患者に対し、歯周組織の状態を維持し、治癒させることを目的としてプラークコントロール、機械的歯面清掃、スケーリング、スケーリング・ルートプレーニング等を主体とした治療を実施した場合に1口腔につき月1回に限り算定する。なお、中等度以上の歯周病を有するものとは、骨吸収が根の長さの3分の1以上であり、歯周ポケットは4ミリメートル以上で、根分岐部病変を有するものをいう。
(2) 一時的に症状が安定した状態とは、歯周基本治療等の終了後の再評価のための検査結果において、歯周組織の多くの部分は健康であるが、一部分に病変の進行が停止し症状が安定していると考えられる深い歯周ポケット、根岐部病変の残存、歯の動揺が認められる状態をいう。
(3) 歯周病安定期治療は、その開始に当たって、歯周組織検査を行い、症状が一時的に安定していることを確認した上で行うものであり、歯周組織検査の結果の要点や歯周病安定期治療の治療方針等について、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料又は区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料に係る文書により患者又はその家族に対して提供し、当該文書の写しを診療録に添付した場合に算定する。その他療養上必要な管理事項がある場合は、その要点を診療録に記載すること。
(4) 2回目以降の歯周病安定期治療の算定については、前回実施した月の翌月の初日から起算して2月を経過した日以降に行うこと。ただし、歯周外科手術を実施した場合であって、重度の歯周疾患を有する場合においては、3月以内の間隔で実施した歯周病安定期治療の費用は月1回に限り算定できる。
(5) 歯周病安定期治療を開始した以降に実施した区分番号I011に掲げる歯周基本治療の費用、I010に掲げる歯周疾患処置及びI011―3に掲げる歯周基本治療処置の費用は、歯周病安定期治療の所定点数に含まれ別に算定できない。
(6) 歯周病安定期治療開始後、病状の変化により歯周外科手術を実施した場合は、当該手術を実施した日以降においては、歯周精密検査により再び病状が安定し継続的な管理が必要であると判断されるまでの間は歯周病安定期治療の費用は算定できない。なお、歯周病安定期治療を実施した後に行う歯周外科手術は所定点数の100分の30で算定する。
(7) 歯周病安定期治療開始後、病状の変化により必要があって歯周ポケットに特定薬剤を注入した場合及び暫間固定を実施した場合は、それぞれの費用は算定できる。
I011―3 歯周基本治療処置
歯周基本治療処置とは、歯周疾患において、歯周基本治療を行った部位に対して、歯周疾患の症状の改善を目的として、薬剤による歯周ポケット内洗浄等の処置(区分番号I010に掲げる歯周疾患処置を除く。)を行った場合に、1口腔につき月1回に限り算定する。なお、薬剤を用いた場合は、当該薬剤名を診療録に記載すること。
I014 暫間固定
(1) 暫間固定とは、歯の支持組織の負担を軽減し、歯槽骨の吸収を防止して、その再生治癒を促進させるため、暫間的に歯冠をレジン連続冠固定法、線結紮法(帯冠使用を含む。)及びエナメルボンドシステムにより連結固定することをいう。
(2) 「1 簡単なもの」とは、歯周外科手術を伴わない場合及び歯周外科手術を予定する場合の固定源となる歯を歯数に含めない4歯未満の暫間固定をいう。なお、1顎に2箇所以上行っても1回の算定とする。
(3) 「2 困難なもの」とは、歯周外科手術を伴う場合の固定源となる歯を歯数に含めない4歯以上の暫間固定をいう。なお、歯周外科手術に伴う4歯未満の暫間固定の費用は、区分番号J063に掲げる歯周外科手術の所定点数に含まれ別に算定できない。
(4) 「3 著しく困難なもの」とは、連続鉤固定法及びレジン床固定法による暫間固定のことをいう。
(5) 暫間固定に際して印象採得、咬合採得、装着を行った場合は、副子と同様に算定する。
(6) 暫間固定の固定源が有床義歯である場合は、「1 簡単なもの」の所定点数及び有床義歯の費用を合算して算定する。
(7) 歯周基本治療の際に暫間固定を行い、その後に歯周組織検査を実施し、その結果、歯周外科手術を行った場合に、当該手術後に暫間固定を行った場合は、固定源となる歯を歯数に含めない4歯以上のものに限り「2 困難なもの」の所定点数を算定する。
(8) 外傷性による歯の脱臼を暫間固定した場合は、「2 困難なもの」により算定する。
(9) 区分番号J004―2に掲げる歯の再植術を行った場合であって、脱臼歯を暫間固定した場合には、「2 困難なもの」により算定する。
(10) 両側下顎乳中切歯のみ萌出している患者であって、外傷により1歯のみ脱臼している場合であって、元の位置に整復固定した場合は「2 困難なもの」により算定する。なお、双方の歯が脱臼している場合に双方の歯を整復固定することは、歯科医学上認められない。
(11) 区分番号J004―3に掲げる歯の移植手術に際して暫間固定を行った場合は、1歯につき「2 困難なもの」により算定する。
(12) 暫間固定装置を装着するに当たり、印象採得を行った場合は1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「3 副子」を、咬合採得を行った場合は、1装置につき装置の範囲に相当する歯数が8歯以下の場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(1) 少数歯欠損」、装置の範囲に相当する歯数が9歯以上は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」又は装置の範囲に相当する歯数が全歯にわたる場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(3) 総義歯」の所定点数を、装着を行った場合は1装置につき区分番号M005に掲げる装着の「3 副子の装着の場合」の所定点数及び装着材料料を算定する。ただし、エナメルボンドシステムにより連結固定を行った場合は、M005に掲げる装着の費用及び装着材料料は別に算定できない。
(13) レジン床固定法及びレジン連続冠固定法による暫間固定装置において、当該装置が破損し修理した場合は、1装置につき区分番号I014―2に掲げる暫間固定装置修理の各区分の所定点数により算定する。
I014―2 暫間固定装置修理
(1) 暫間固定装置修理は、レジン床固定法及びレジン連続冠固定法による暫間固定装置の修理を行った場合に算定する。
(2) レジン連続冠固定法による暫間固定装置において、当該装置が破損し、修理を行った場合は、1装置につき「1 簡単なもの」により算定する。
(3) レジン床固定法に用いた暫間固定装置において、当該装置が破損し、修理を行った場合は、1装置につき「2 複雑なもの」により算定する。
I016 線副子
線副子とは、三内式線副子程度以上のものをいう。なお、三内式線副子程度に至らないものについては、それぞれの手術の所定点数中に含まれる。
I017 床副子
(1) 「1 簡単なもの」とは、次のものをいう。
イ 顎間固定用に歯科用ベースプレートを用いた床
ロ 出血創の保護と圧迫止血を目的としてレジン等で製作した床
ハ 手術にあたり製作したサージカルガイドプレート
(2) 「2 困難なもの」とは、次のものをいう。
イ 斜面板
ロ 咬合挙上副子
ハ 乳幼児の顎骨骨折に対してナイトガードとして口腔内に装着するマウスピース
ニ 固定用金属線による囲繞結紮に用いたレジン等で製作した床副子(無歯顎の高齢者や乳歯列を有する幼児などの顎骨骨髄炎において、腐骨摘出後欠損創に歯牙副子の応用ができない場合に限る。)
ホ 歯ぎしりに対する咬合床(アクチバトール式のものを除く。)
ヘ 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床(アクチバトール式を除き、医科の保険医療機関等からの診療情報提供料の算定に基づく場合に限る。)
(3) 「3 著しく困難なもの」とは、次のものをいう。
イ 咬合床副子
ロ 歯ぎしりに対する咬合床(アクチバトール式のもの。)
ハ 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床(アクチバトール式で、医科の保険医療機関等からの診療情報提供料に係る診療情報提供に基づく場合に限る。)
ニ 摂食機能療法に伴う舌接触補助床
(4) 「(2)のへ 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床(アクチバトール式を除く。)」及び「(3)のハ 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床(アクチバトール式)」の製作に当たって、確定診断が可能な医科歯科併設の病院である保険医療機関にあっては、院内での担当科からの情報提供に基づく口腔内装置治療に対する院内紹介を受けた場合に限り算定できる。
(5) 咬合床副子、滑面板を顎間固定装置として用いた場合は、区分番号M003に掲げる印象採得及び区分番号M005に掲げる装着の費用は1顎を単位として別に算定できる。
(6) 斜面板を製作する際の咬合採得は、斜面板の範囲に相当する歯数により区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロ 有床義歯」により算定する。
(7) 咬合挙上副子の装着後、咬合面にレジンを添加し調整した場合は1装置1回につき区分番号I017―2に掲げる床副子調整の「2 咬合挙上副子の場合」により算定する。ただし、区分番号M006に掲げる咬合採得の費用は算定できない。
(8) 歯ぎしり治療の補助として咬合を挙上し、軋音の発生を防止するために、咬合床(アクチバトール式のもの)を製作するに当たり、印象採得を行った場合は、1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のイの(2) 困難なもの」を、咬合採得を行った場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」を、装着を行った場合は区分番号M005に掲げる装着の「2のニの(2) 印象採得が困難なもの」により算定する。
(9) 歯ぎしりに対する咬合床(アクチバトール式のもの以外のもの)を製作するにあたり、区分番号M006に掲げる咬合採得の費用は所定点数に含まれ別に算定できないが、当該咬合床の製作に際し印象採得を行った場合は区分番号M003に掲げる印象採得の「2のイの(1) 簡単なもの」により、装着を行った場合は区分番号M005に掲げる装着の「2のニの(1) 印象採得が簡単なもの」により算定する。
(10) 咬合床(アクチバトール式のもの)の製作後に患者の都合等により診療を中止した場合の請求については、第12部歯冠修復物及び欠損補綴物料の製作後診療を中止した場合の請求と同様とする。
(11) 睡眠時無呼吸症候群の治療法として、確定診断が可能な医科の保険医療機関等からの診療情報提供料の算定に基づく口腔内装置治療の依頼を受けて、咬合床(口腔内装置)の製作にあたり印象採得を行った場合は、1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のロ 連合印象」を、咬合採得は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(3) 総義歯」を、装着を行った場合は区分番号M005に掲げる装着の「2のニの(3) 印象採得が著しく困難なもの」により算定する。
ただし、確定診断が可能な医科歯科併設の病院である保険医療機関にあっては、院内での担当科からの情報提供に基づく口腔内装置治療に対する院内紹介を受けた場合に限り算定できる。
口腔内装置の装着時又は装着後1月以内に、適合を図るための調整等が必要となり、口腔内装置の調整を行った場合は、1口腔につき区分番号I017―2に掲げる床副子調整の「1 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床の場合」により算定する。また、睡眠時無呼吸症候群の口腔内装置治療の紹介元保険医療機関からの情報提供に関する内容及び保険医療機関名等について診療録に記載するとともに情報提供に係る文書を添付すること。なお、医科歯科併設の病院である保険医療機関で算定した場合については、院内紹介を受けた情報提供の内容及び担当科名を診療録に記載するとともに、情報提供に係る文書を診療録に添付すること。
(12) 摂食機能療法に伴う舌接触補助床とは、脳血管疾患や口腔腫瘍等による摂食機能障害を有し、区分番号H001に掲げる摂食機能療法を現に算定している患者に対して、舌接触状態等を変化させて摂食・嚥下機能の改善を目的とするために装着する床又は有床義歯形態の補助床をいう。
(13) 舌接触補助床の製作にあたり印象採得を行った場合は、1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のロ 連合印象」を、咬合採得を行った場合は、区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」を、装着を行った場合は、区分番号M005に掲げる装着の「2のロの(2) 多数歯欠損」により算定する。なお、当該補助床の所定点数には、人工歯、鉤及びバー等の費用が含まれ、別に算定できない。
(14) 舌接触補助床の装着時又は装着後1月以内に、適合を図るための調整等が必要となり、補助床の調整を行った場合は、1口腔につき区分番号I017―2に掲げる床副子調整の「1 摂食機能療法に伴う舌接触補助床の場合」により算定する。
I017―2 床副子調整
(1) 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床又は摂食機能療法に伴う舌接触補助床の装着を行った後、適合を図るための調整等が必要となり、装着後1月以内に咬合床又は補助床の調整を行った場合は、1口腔1回に限り「1 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床又は摂食機能療法に伴う舌接触補助床の場合」により算定する。
(2) 咬合挙上副子を装着後、咬合面にレジンを添加し調整した場合は1口腔1回につき「2 咬合挙上副子の場合」により算定する。なお、咬合挙上副子の調整の費用は、月1回に限り算定できる。
(3) 「1 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床又は摂食機能療法に伴う舌接触補助床の場合」及び「2 咬合挙上副子の場合」において調整を行った場合には、診療録に調整部位、調整方法等を記載した場合に限り算定できる。
I017―3 顎外固定
(1) 「1 簡単なもの」とは、おとがい帽を用いて顎外固定を行った場合をいう。
(2) 「2 困難なもの」とは、顎骨骨折の際に即時重合レジン、ギプス包帯等で顎外固定を行った場合又は歯科領域における習慣性顎関節脱臼の処置に際して顎帯による牽引又は固定を行った場合をいう。
I018 歯周治療用装置
(1) 歯周治療用装置とは、重度の歯周病で長期の治療期間が予測される歯周病の患者に対して、治療中の咀嚼機能の回復及び残存歯への咬合の負担の軽減等を目的とするために装着する冠形態又は床義歯形態の装置をいう。
(2) 「注1」の「歯周組織検査」とは、一連の歯周基本治療が終了した後、区分番号J063に掲げる歯周外科手術の「3 歯肉切除手術」、「4 歯肉剥離掻爬手術」又は「5 歯周組織再生誘導手術」の要否を診断するために行われる区分番号D002に掲げる歯周組織検査の「2 歯周精密検査」をいう。
(3) 冠形態のものを連結してブリッジタイプの装置を製作した場合は、ポンティック(ダミー)部分は1歯につき「1 冠形態のもの」の所定点数により算定する。
(4) 歯周治療用装置の所定点数には、印象採得、咬合採得、装着、調整指導、修理等の基本的な技術料及び床義歯型の床材料料等の基本的な保険医療材料料は所定点数に含まれ別に算定できない。なお、設計によって歯周治療用装置に付加される部分、すなわち人工歯、鉤及びバー等の費用については別途算定できる。
I019 歯冠修復物又は補綴物の除去
(1) 歯冠修復物又は補綴物の除去において、除去の費用を算定できる歯冠修復物又は補綴物は、歯冠継続歯及び第12部に掲げる充填、鋳造歯冠修復、帯環金属冠、ジャケット冠、支台築造であり、仮封セメント、ストッピング、テンポラリークラウン、リテーナー等は含まれない。なお、同一の歯牙について2個以上の歯冠修復物(支台築造を含む。)又は欠損補綴物の除去を一連に行った場合においては主たる、歯冠修復物(支台築造を含む。)又は欠損補綴物の除去に対する所定点数のみを算定する。
(2) ポンティック(ダミー)及び歯冠継続歯破損の場合において、その一部の人工歯を撤去することにより修理可能な場合又は有床義歯の鉤を除去し調整を行うことにより義歯調整の目的が達成される場合に限り、所定点数を算定できる。
(3) セメントの除去料は算定できない。
(4) 鉤歯の抜歯後あるいは鉤の破損等のために不適合となった鉤を連結部から切断した場合には、修理又は床裏装を前提としても除去料を算定する。
(5) 「2 困難なもの」の「困難なもの」とは、全部鋳造冠、当該歯牙が急性の歯髄炎若しくは歯根膜炎に罹患している場合であって、患者が苦痛を訴えるため除去が困難な鋳造歯冠修復物の除去をいう。
(6) 「2 困難なもの」により算定するものは、(5)の他、次のものをいう。
イ 金属ピンの撤去(1本につき)
ロ 滑面板の撤去
ハ 整復装置の撤去(3分の1顎につき)
ニ ポンティック(ダミー)のみの除去(切断部位1箇所につき)
ホ 歯冠修復物が連結して装着されている場合において、破損等のため連結部分を切断しなければ、一部の歯冠修復物を除去できないときの切断
ヘ 歯間に嵌入した有床義歯の除去に際し、除去が著しく困難なため当該義歯を切断して除去を行った場合
(7) 「3 根管内ポストを有する鋳造体の除去」の「根管内ポストを有する鋳造体」とは、歯根の長さの3分の1以上のポストにより根管内に維持を求めるために製作された鋳造体をいう。
(8) 根管内ポストを有する鋳造体の歯冠部が破折し、ポストのみを根管内に残留する状態にある鋳造体の除去についても、本区分の所定点数により算定する。
I021 根管内異物除去
(1) 当該費用を算定できる異物とは、根管内で破折したため除去が著しく困難なもの(リーマー等)をいう。
(2) 当該医療機関において行われた治療に基づく異物について除去を行った場合においては、当該点数を算定することはできない。
I022 有床義歯床下粘膜調整処置(1顎につき)
旧義歯が不適合で床裏装や再製が必要とされる場合に、床裏装や再製に着手した日以前において、有床義歯床下粘膜異常に対してそれを調整するために、旧義歯を調整しながら、粘膜調整材を用い有床義歯床下粘膜調整を行った場合は、当該義歯の調整を含めて、1顎1回につき算定する。なお、当該点数を算定している期間においては、区分番号B013の2に掲げる有床義歯管理料及びB013―2に掲げる有床義歯調整管理料は算定しない。
I023 心身医学療法
(1) 「心身医学療法」とは、心因性疾患を有する歯科領域の患者について、確定診断が可能な医科の保険医療機関からの診療情報提供料の算定に基づく歯科口腔領域に係る心因性疾患の治療の依頼(医科歯科併設の保険医療機関であって心因性疾患を有する歯科領域の患者について、確定診断が可能な医科診療科が設置されている場合は、院内紹介に係る文書に基づく紹介)を受けて、確定診断が可能な医科保険医療機関と連携して治療計画を策定し、当該治療計画に基づき身体的傷病と心理・社会的要因との関連を明らかにするとともに、当該患者に対して心理的影響を与えることにより、症状の改善又は傷病からの回復を図る自律訓練法等をいう。
(2) 心身医学療法は、当該療法に習熟した歯科医師によって確定診断が可能な医科の保険医療機関と連携して行われた場合に算定する。
(3) 初診時には診療時間が30分を超えた場合に限り算定できる。この場合において診療時間とは、歯科医師自らが患者に対して行う問診、理学的所見(視診、聴診、打診及び触診)及び当該心身医学療法に要する時間をいい、これら以外の診療に要する時間は含まない。なお、初診時に心身医学療法を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄に当該診療に要した時間を記載する。
(4) 心身医学療法を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の傷病名欄において、心身症による当該身体的傷病の傷病名の次に「(心身症)」と記載し、摘要欄には確定診断を行った医科の保険医療機関名(医科歯科併設の保険医療機関であって心因性疾患を有する歯科領域の患者について、確定診断が可能な医科診療科が設置されている場合は、確定診断を行った診療科名)、紹介年月日、治療の内容、実施時刻(開始時刻と終了時刻)を記載すること。
例 「舌痛症(心身症)」
(5) 心身医学療法を行った場合は、確定診断が可能な医科の保険医療機関からの診療情報提供料に基づく文書(医科歯科併設の保険医療機関であって心因性疾患を有する歯科領域の患者について、確定診断が可能な医科診療科が設置されている場合は、院内紹介に係る文書)を添付するとともに、治療の方法、内容、実施時刻(開始時刻と終了時刻)を診療録に記載する。
(6) 入院の日及び入院の期間の取扱いについては、入院基本料の取扱いの例による。
(7) 入院精神療法、通院精神療法又は標準型精神分析療法を算定している患者については、心身医学療法は算定できない。
I024 鼻腔栄養(1日につき)
医科点数表の区分番号J120に掲げる鼻腔栄養の例により算定する。
I025 酸素吸入(1日につき)
医科点数表の区分番号J024に掲げる酸素吸入の例により算定する。
I026 高気圧酸素治療(1日につき)
(1) 高気圧酸素治療は、次の疾患に対して行う場合に限り、1日につき所定点数を算定する。
イ 放射線又は抗癌剤治療と併用される悪性腫瘍
ロ 難治性潰瘍を伴う末梢循環障害
ハ 皮膚移植又は皮弁移植
ニ 口腔・顎・顔面領域の慢性難治性骨髄炎又は放射線壊死
(2) 2絶対気圧以上の治療圧力が1時間に満たないものについては、1日につき区分番号I025に掲げる酸素吸入により算定する。
(3) 高気圧酸素治療を行うに当たっては、関係学会より留意事項が示されているので、これらの留意事項を十分参考とすべきものである。
(4) 高気圧酸素療法と人工呼吸を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。
(5) 高気圧酸素治療に使用した酸素及び窒素の費用については、区分番号I082に掲げる酸素加算により算定する。
I027 人工呼吸
(1) 高気圧酸素療法と人工呼吸を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。
(2) 人工呼吸と医科点数表の区分番号D220に掲げる呼吸心拍監視、医科点数表の区分番号D223に掲げる経皮的動脈血酸素飽和度測定又は医科点数表の区分番号D225―2に掲げる非観血的連続血圧測定を同一日に行った場合は、これらに係る費用は人工呼吸の所定点数に含まれる。
(3) 人工呼吸と酸素吸入を併せて行った場合に使用した酸素及び窒素の費用については、区分番号I082に掲げる酸素加算により算定する。
I028 術後専門的口腔衛生処置(1口腔につき)
(1) 術後専門的口腔衛生処置は、「注」に規定する手術を行った入院患者であって、術後感染症、術後肺炎等の発現のおそれがあるものに対して、主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該患者の口腔の衛生状態にあわせて、口腔清掃用具等を用いて歯面、舌、口腔粘膜等の口腔清掃又は機械的歯面清掃を行った場合をいう。
(2) 主治の歯科医師は、術後専門的口腔衛生処置に関し、歯科衛生士に指示した内容を診療録に記載すること。また、当該処置を行った歯科衛生士は、歯科衛生士業務記録簿に当該処置内容を記録すること。
第2節 処置医療機器等加算
I082 酸素加算
医科点数表の区分番号J201に掲げる酸素加算の例により算定する。
第3節 特定薬剤料
I100 特定薬剤
(1) 1回の処置に特定薬剤を2種以上使用した場合であっても、使用した特定薬剤の合計価格から40円を控除した残りの額を10円で除して得た点数について1点未満の端数を切り上げて特定薬剤料を算定する。
(2) 特定薬剤を使用した場合であっても、1回の処置又は手術に使用した特定薬剤の合計価格が40円(4点)以下の場合は、特定薬剤料は算定できない。
(3) (1)及び(2)でいう1回の処置とは、処置の部に掲げられている各区分の所定点数を算定する単位を1回とする。
(4) 歯科用フラジオマイシン貼布剤は、歯科領域における抗生物質の使用基準の第3適応症並びに標準的使用法及び量の項のうち、「4 抜歯創(抜歯後の疼痛症を含む。)」及び「12 手術(手術後の処置の場合に限る。)」について使用する。なお、抜歯創に対する使用は、貼布剤1枚を標準とし、その他の適応症に際しては必要の限度において使用する。
(5) テトラ・コーチゾン軟膏及びヂヒドリン軟膏の使用量は、テラ・コートリル軟膏の場合と同様とする。
(6) プレステロン軟膏及びテラ・コートリル軟膏を抜歯窩に使用することは、軟膏の基剤が吸収されずに異物として残り治癒機転を妨げるので、歯科医学的に妥当ではない。
(7) 薬価基準第4部歯科用薬剤、外用薬(1)に収載されている薬剤のうち、軟組織疾患に使用する薬剤を外用薬として投与することは、歯科医師が自ら貼薬しなければ薬効が期待できない場合を除き認められる。
(8) 智歯周囲炎の歯肉弁切除を行った場合に使用した歯科用包帯剤(パック)の費用は算定できない。なお、歯科用包帯剤を歯の再植術に創面の保護の目的で使用した場合に限り特定薬剤として算定できる。ただし、ドライソケットの場合はこの限りではない。
第4節 特定保険薬剤料
I200 特定保険医療材料料
特定保険医療材料は、「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)の一部を改正する件」(平成22年厚生労働省告示第71号)の別表Ⅴ及びⅥに規定する特定保険医療材料により算定する。
第9部 手術
通則
1 「通則1」、「通則2」及び「通則3」は、手術料算定の内容には次の3通りあることを示しており、輸血料については、手術料の算定がなくとも単独で算定できる。
(1) 手術料(+薬剤料又は特定保険医療材料料等)
(2) 手術料+輸血料(+薬剤料又は特定保険医療材料料等)
(3) 輸血料(+薬剤料又は特定保険医療材料料等)
2 手術料の所定点数とは手術料の項に掲げられた点数及び注加算の合計点数をいい、通則の加算点数は含まない。
3 通則の加算方法は手術料の所定点数に通則中の各加算を足し合わせたものの合計で算定する。
4 手術当日に行われる手術(自己血輸血を除く。)に伴う処置(ギプスを除く。)、検査における診断穿刺・検体採取及び注射の手技料は、特に規定する場合を除き、術前、術後を問わず算定できない。また、内視鏡を用いた手術を行う場合、同時に行う内視鏡検査料は別に算定できない。ここでいう「診断穿刺・検体採取」とは、医科点数表の第3部第4節に掲げる診断穿刺・検体採取料に係るものである。
5 手術に当たって通常使用される保険医療材料(包帯、縫合糸(特殊縫合糸を含む。)等)、衛生材料(ガーゼ、脱脂綿及び絆創膏)、外皮用殺菌剤、患者の衣類の費用及び1回の手術に使用される総量価格が15円以下の薬剤の費用は手術の所定点数に含まれる。
ただし、別に厚生労働大臣が定める特定保険医療材料及び1回の手術に使用される特定薬剤の総量価格が40円を超える場合(特定薬剤にあっては、120点以上の手術又は特に規定する手術に使用した場合を除く。)は、当該手術の所定点数の他に当該特定保険医療材料及び特定薬剤の費用を算定できる。
6 「通則3」は、第1節に掲げられていない特殊な手術であって、同節に掲げられている手術のうち、最も近似する手術の所定点数により算定することが妥当であるものについては、その都度当局に内議の上、それらの所定点数を準用することができる趣旨の規定である。なお、歯肉息肉除去手術及び簡単な手術の費用は基本診療料に含まれ算定できない。
7 「通則5」による6歳未満の乳幼児又は著しく歯科診療が困難な障害者に対する加算及び「通則6」による極低出生体重児、新生児又は3歳未満の乳幼児に対する加算は、第1節の手術料の所定点数のみに対する加算である。
8 「通則5」における著しく歯科診療が困難な障害者の100分の50加算は、治療を直接行う歯科医師に加え、患者の障害に起因した行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢の保持を行うことを目的として、当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護師等が参画した場合等に算定するものであり、当該加算を算定した日の患者の状態を診療録に記載する。
9 「通則5」における加算において6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な障害者である場合の100分の50加算は、乳幼児加算のみを算定する。
10 「通則5」、「通則6」及び「通則9」の適用範囲は、第1節の手術料に定める手術のみであって、輸血料、手術医療機器等加算、薬剤料、特定薬剤料及び特定保険医療材料料に対しては適用されない。
11 この部における「主たる手術」とは、所定点数及び注による加算点数を合算した点数の高い手術をいう。
12 「通則8」の加算は、HIV―1抗体価(ウエスタンブロット法)若しくはHIV―2抗体価(ウエスタンブロット法)によってHIV抗体が陽性と認められた患者又はHIV―1核酸同定検査によってHIV―1核酸が確認された患者に対して観血的手術を行った場合に1回に限り算定する。ただし、同一日に複数の手術を行った場合は、主たる手術についてのみ加算する。
13 「通則9」の入院中の患者以外に対する手術の休日加算、時間外加算又は深夜加算は、医科点数表の例により算定する。
14 「通則9」の入院中の患者に対する手術の休日加算又は深夜加算は、医科点数表の例により算定する。
15 「通則9」の休日加算、時間外加算又は深夜加算の対象となる時間の取扱いは初診料と同様である。また、「通則9」の加算に係る適用の範囲及び「所定点数」については、「通則5」の加算の取扱いと同様である。
16 緊急のため保険医療機関の表示する診療時間以外の時間に手術を行った場合の時間外加算又は深夜加算は、既に1日の診療の後片付け等が終わった後で、特に手術する必要がある急患のため再度準備を開始する等相当の不測の労力に対する費用として時間外加算等を行う趣旨であるから、時間外であっても予定された手術を行った場合においては時間外等の加算は認められない。
17 「通則9」にいう「所定点数が150点」とは、各区分に規定してある所定点数が150点という趣旨である。ただし、その処置・手術が全体として一体と考えられる手術を行った場合には、個々の所定点数が150点に達しなくとも、それらの合算点数が150点以上のときは加算が認められる。
18 歯科領域における緊急疾病の場合(時間外)、例えば外傷時における手術で2本以上の歯を抜歯する場合であって、全体として一体と考えられる手術を行う場合においては、それぞれの抜歯の所定点数が150点に達しなくても、各抜歯の所定点数の合算点数が150点以上のときは、「通則9」の加算が認められる。
19 手術を開始した後、患者の病状の急変等やむを得ない事情により手術を中途で中絶せざるを得なかった場合においては、当該中絶までに施行した実態に最も近似する手術項目の所定点数により算定する。
20 「通則10」の加算は、次のいずれかに該当する患者に対して全身麻酔、硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を伴う観血的手術を行った場合に1回に限り算定する。ただし、同一日に複数の手術を行った場合は、主たる手術についてのみ加算する。
イ 感染症法に基づく医師から都道府県知事等への届出のための基準により医師により届け出が義務付けられているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症の患者(診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断がなされたもの。)
ロ HBs又はHBe抗原によって抗原が陽性と認められたB型肝炎患者
ハ HCV抗体価(定性、定量)によってHCV抗体が陽性と認められたC型肝炎患者
ニ 微生物学的検査により結核菌を排菌していることが術前に確認された結核患者
21 「通則12」でいう「特に規定する場合」とは、各区分における手術名の末尾に両側と記入したものを指す。なお、この場合において、両側にわたり手術を行う医療上の必要性がなく片側の手術のみを行った場合であっても、両側に係る所定点数を算定できる。
22 歯科訪問診療は常時寝たきりの状態等であって通院困難な療養中の患者について実施されるものであるが、消炎鎮痛、有床義歯の調整等の訪問診療で求められる診療の重要性を考慮し、当該患者に行った区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号J000に掲げる抜歯手術(「1 乳歯」、「2 前歯」及び「3 臼歯」に限る。)、区分番号J013に掲げる口腔内消炎手術(「2 歯肉膿瘍等」に限る。)、区分番号M029に掲げる有床義歯修理について所定点数に所定点数の100分の50を加算する。
23 「通則13」の神経移植術とは区分番号J101に掲げる神経移植術をいう。
24 「通則13」の同一手術野又は同一病巣の算定は、医科点数表の例により算定する。ただし、区分番号J000に掲げる抜歯手術から区分番号J004―3に掲げる歯の移植手術を単独で行う場合については、個々の区分により規定する算定単位に応じて算定を行うものとする。
25 同一手術野又は同一病巣に対して複数の手術を行った場合は、主たる手術の所定点数により算定し、従たる手術においては診療録に手術の名称、手術の内容、部位等を記載すること。
26 第9部に規定する以外の項目については、医科点数表の第2章第10部に掲げる手術の例により算定する。
第1節 手術料
J000 抜歯手術
(1) 抜歯の費用は、歯又は残根の全部を抜去した場合に算定する。
(2) 歯の破折片の除去に要する費用は、区分番号J073に掲げる口腔内軟組織異物(人工物)除去「1 簡単なもの」の所定点数により算定する。この場合、浸潤麻酔のもとに破折片を除去した場合には、区分番号K001に掲げる浸潤麻酔料及び使用麻酔薬剤料のそれぞれを算定する。
(3) 抜歯と同時に歯肉を剥離して歯槽骨整形手術等を行った場合の費用は、当該抜歯手術の所定点数に含まれ別に算定できない。
(4) 「4 難抜歯」とは、歯根肥大、骨の癒着歯等に対して骨の開さく又は歯根分離術等を行った場合をいう。高血圧等の全身状態との関連から、単に抜歯にあたり注意を要する抜歯については、「4 難抜歯」に含まない。
(5) 難抜歯において、完全抜歯が困難となりやむを得ず抜歯を中止した場合における費用は、難抜歯の所定点数により算定する。
(6) 「5 埋伏歯」とは、骨性の完全埋伏歯又は歯冠部が3分の2以上の骨性埋伏である水平埋伏智歯をいう。
(7) 埋伏智歯の抜去に際し、第二大臼歯を抜去したのち当該埋伏智歯を抜去し、第二大臼歯を再植する術式は妥当でないので認められない。
(8) 埋伏智歯の隣接歯牙を抜去し、同時に埋伏(水平)智歯を抜去した場合は、抜去すべき隣接歯牙が難抜歯であるときは当該隣接歯牙について、難抜歯の所定点数により算定する。
(9) 抜歯の際、局所麻酔と併せて使用した抗生物質製剤の注射については、第6部注射の費用の算定方法により算定する。この場合の局所麻酔の費用は、当該抜歯手術の所定点数に含まれ別に算定できない。ただし、抜歯のための術前処置として手術野の消毒・麻酔等を行い、抜歯の態勢に入ったが、脳貧血等の患者の急変によりやむを得ず抜歯を中止した場合は、抜歯手術は算定できないが、麻酔料は別に算定できる。
J000―2 歯根分割掻爬術
歯周疾患を原因とせず髄床底の根管側枝を介する感染等を原因とする歯根分岐部の病変に対して、歯根分割を行い分岐部病変の掻爬を行って歯の保存を図った場合に、1歯単位で所定点数を算定する。
J000―3 上顎洞陥入歯除去術
(1) 「1 抜歯窩より行う場合」は、当該保険医療機関において行った治療に基づかない上顎洞へ陥入した歯の除去を、抜歯窩より行った場合に算定する。
(2) 「2 犬歯窩開さくによる場合」は、当該保険医療機関において行った治療に基づかない上顎洞へ陥入した歯の除去を、犬歯窩を開さくして行った場合に算定する。
(3) 当該保険医療機関において行った治療に基づき上顎等へ陥入した歯の除去に要する費用は、区分番号J000に掲げる抜歯手術の所定点数に含まれ別に算定できない。
J001 ヘミセクション(分割抜歯)
(1) 複根歯において必要があって保存し得る歯根を残して分割抜歯を行った場合の費用は、所定点数により算定する。
(2) ヘミセクション(分割抜歯)と同時に歯肉を剥離して、歯槽骨整形手術等を行った場合の費用は、ヘミセクション(分割抜歯)の所定点数に含まれ別に算定できない。
J002 抜歯窩再掻爬手術
抜歯窩に対して再掻爬手術を行った場合は1歯に相当する抜歯窩を単位として所定点数を算定する。
J003 歯根嚢胞摘出手術
(1) 歯根嚢胞摘出手術において歯冠大とは、当該歯根嚢胞の原因歯となった歯の歯冠大をいう。
(2) 歯根嚢胞摘出手術と歯槽骨整形手術を同時に行った場合は、当該歯槽骨整形手術の費用は、歯根嚢胞摘出手術の所定点数に含まれ別に算定できない。
J004 歯根端切除手術(1歯につき)
(1) 歯根端切除手術は1歯単位に算定する。また、歯根端切除手術と同時に行った根管充填については別に算定できる。
(2) 歯根端切除手術を行うに際して、歯根端切除部の根管の閉鎖を行った場合の費用は、歯根端切除手術の所定点数に含まれ別に算定できない。
(3) 次の手術は認められない。
イ 乳歯に対する歯根端切除手術
ロ 歯冠修復物のある歯の歯根端切除手術を行った際における、根尖孔にレジン充填を行う術式
ハ 歯根端掻爬手術
(4) 当該保険医療機関において行った治療に基づかない、根管外に突出した異物又は顎骨内に存在する異物等を、骨の開さくを行って除去した場合は、同一の骨の開さくにおいて除去した異物の数にかかわらず、1回につき本区分の所定点数で算定する。なお、歯根端切除手術と同時に行った顎骨内異物除去の費用は、歯根端切除手術の所定点数に含まれ別に算定できない。
(5) 歯内治療では治療ができなかった根尖病巣を有する保存が可能な大臼歯であって、解剖学的な理由から歯根端切除手術が困難な症例に対して、歯の再植による根尖病巣の治療を行った場合は、診療録に部位及び算定の理由を記載し、本区分により算定する。なお、歯の移動を目的に含む場合は算定できない。
J004―2 歯の再植術
(1) 外傷性の歯の脱臼に対して歯の再植術を行った場合に算定する。
(2) 歯の再植術と併せて、同時に行った抜髄及び根管充填に係る費用は、区分番号I005に掲げる抜髄及び区分番号I008に掲げる根管充填の所定点数に限り別に算定できる。
(3) 幼若永久前歯の外傷性歯牙脱臼時に歯の再植術を行い、歯内療法を後日実施した場合には歯内療法に係る費用は別に算定できる。
(4) 診療録に、手術部位及び再植の理由を記載する。
J004―3 歯の移植手術
(1) 保存不適で抜歯した歯の抜歯窩に、同一患者から抜歯と同時に抜去した埋伏歯又は智歯を抜歯と同時に移植した場合に限り算定する。
(2) 歯の移植手術と一連で行った抜髄及び根管充填に係る費用は、区分番号I005に掲げる抜髄及び区分番号I008に掲げる根管充填に掲げる所定点数に限り別に算定できる。
(3) 診療録に、手術部位及び移植の理由を記載する。
J006 歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術
(1) 歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術の費用は、1歯に相当する範囲を単位として所定点数により算定する。
(2) 感染根管処置を行うに当たり、根管側壁、髄室側壁又は髄床底に穿孔がある場合に、当該穿孔の封鎖を歯肉の剥離を行って実施した場合は、本区分の所定点数及び保険医療材料料を算定する。
J007 顎骨切断端形成術
顎骨腫瘍の摘出等を行い、治癒後に口蓋補綴、顎補綴を行うに当たり顎骨断端の鋭縁等の整形手術を行った場合に算定する。
J008 歯肉、歯槽部腫瘍手術(エプーリスを含む)
歯肉、歯槽部腫瘍手術とは、歯肉又は歯槽部に生じた良性腫瘍又は嚢胞(歯根嚢胞を除く。)を摘出する手術をいう。
J009 浮動歯肉切除術
浮動歯肉切除術は、有床義歯を製作するに当たり義歯床の安定を阻害する浮動歯肉(義歯性線維腫(症)を含む。)の切除を行った場合に算定する。
J010 顎堤形成術
(1) 「1 簡単なもの」とは義歯の製作に当たり口腔前庭を拡張することにより顎堤の形成を行ったもの又は口腔前庭形成手術をいう。
(2) 「2 困難なもの(2分の1顎未満)」及び「3 困難なもの(2分の1顎以上)」とは、腫瘍摘出等による顎欠損に対して当該摘出術とは別の日に、骨移植及び人工骨の挿入等により顎堤の形成を行ったものをいう。
(3) (2)について、人工骨の挿入に要する費用については、「2 困難なもの」の所定点数に含まれる。
(4) 口腔外から骨片を採取して骨移植術を行った場合は、区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)の所定点数を併せて算定する。なお、骨片切採術の手技料は区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)の所定点数に含まれ、骨移植に用いる骨片をその必要があって2か所(例えば脛骨と骨盤)から切除した場合であっても当該骨の採取術に係る手技料は算定できない。
(5) 顎堤形成術の所定点数には、手術のために使用する床の製作に要する費用を含むものであるが、義歯を作成して手術のために使用した場合は別に有床義歯の所定点数を算定する。
J011 上顎結節形成術
上顎結節形成術は上顎臼後結節が偏平となっているものに対して、義歯の安定を図るために上顎結節部を形成した場合に算定する。
J012 おとがい神経移動術
おとがい神経移動術は、おとがい孔部まで歯槽骨吸収が及び、義歯装着時に神経圧迫痛があるため、義歯の装着ができないと判断される患者に対し、行った場合に算定する。
J013 口腔内消炎手術
(1) 口腔内消炎手術は炎症病巣に対して口腔内より消炎手術を行うものであり、同一病巣に対する消炎手術を同時に2以上実施しても、主たる手術の所定点数のみにより算定する。
(2) 辺縁性歯周炎の急性発作に対する消炎手術は、「2 歯肉膿瘍等」により算定する。
(3) 顎炎及び顎骨骨髄炎に対して骨の開さく等を行い、消炎を図った場合は、「4 顎炎又は顎骨骨髄炎等」の該当項目により算定する。なお、顎炎とは顎骨内の感染を初発とする広範囲にわたる炎症をいう。
(4) 本区分の算定に当たっては、部位、症状及び術式を診療録に記載すること。なお、切開排膿を行った場合の術式については、切開線の長さを記載する。
J015 口腔底腫瘍摘出術
「口腔底腫瘍摘出術」とは、口腔底に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。
J015―2 口腔底迷入下顎智歯除去術
(1) 「口腔底迷入下顎智歯除去術」は、当該保険医療機関において行った治療に基づかない口腔底に迷入した下顎智歯の摘出手術を行った場合に算定する。
(2) 当該保険医療機関において行った治療に基づく場合は、J000に掲げる抜歯手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。
J016 口腔底悪性腫瘍手術
(1) 口腔底悪性腫瘍手術その他の悪性腫瘍手術の加算の対象となる頚部郭清術(ネックディセクション)とは、単なる病変部のリンパ節の清掃ではなく、片側又は両側の頚部領域組織の徹底的な清掃を行う場合をいう。
(2) 他の手術に併せて行った頚部リンパ節の単なる郭清の加算は所定点数に含まれ別に算定できない。なお、単独に行った場合は、医科点数表の区分番号K627に掲げるリンパ節群郭清術の「2 頸部(深在性)」により算定する。
J017 舌腫瘍摘出術
「舌腫瘍摘出術」とは、舌に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。
J019 口蓋腫瘍摘出術
「口蓋腫瘍摘出術」とは、口蓋に生じた良性腫瘍又は嚢胞(歯根嚢胞を除く)を摘出する手術をいう。
J022 顎・口蓋裂形成手術
顎・口蓋裂形成手術の2次手術において、腸骨海綿骨移植を行った場合は、「3 顎裂を伴うもの」の所定点数に併せて、区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)の所定点数により算定する。
J024―3 軟口蓋形成手術
いびきに対する軟口蓋形成手術を行った場合に算定する。
J027 頬、口唇、舌小帯形成術
(1) 頬、口唇、舌小帯形成術は、次の場合に算定する。
イ 頬、口唇、舌小帯に対する形成手術を行った場合
ロ 頬、口唇、舌小帯に対する切離移動術を行った場合
ハ 小帯等を切除して開窓術を行った場合
ニ ピエール・ロバン症候群の患者に対し、舌の前方牽引を行った場合
(2) (1)に掲げる手術を、複数の小帯に対して行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。
J030 口唇腫瘍摘出術
「口唇腫瘍摘出術」とは、口唇に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。
J033 頬腫瘍摘出術
(1) 頬腫瘍摘出術とは、頬部に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。
(2) 下顎角部又は下顎枝に埋伏している下顎智歯を、口腔外より摘出を行った場合は、本区分により算定する。
J034 頬粘膜腫瘍摘出術
頬粘膜腫瘍摘出術とは、頬粘膜に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。
J036 術後性上顎嚢胞摘出術
「2 篩骨蜂巣に及ぶもの」とは、術後性上顎嚢胞摘出術のうち、手術の範囲が篩骨蜂巣にまで及ぶものをいう。
J037 上顎洞口腔瘻閉鎖術
(1) 「2 困難なもの」とは、陳旧性のもの又は減張切開等を必要とするものをいう。
(2) 上顎洞へ抜歯窩より穿孔がある場合の閉鎖手術については、新鮮創であっても減張切開等を必要とする場合は、上顎洞口腔瘻閉鎖術の「2 困難なもの」の所定点数により算定する。
(3) 「3 著しく困難なもの」とは、腫瘍摘出後等による比較的大きな穿孔に対して、粘膜弁移動術、粘膜移植術等により閉鎖を行うものをいう。なお、口腔粘膜弁の製作・移動術及び口腔粘膜移植術の費用は「3 著しく困難なもの」の所定点数に含まれ別に算定できない。
(4) 「3 著しく困難なもの」について植皮術を併せて行った場合は区分番号J089に掲げる分層植皮術、J089―2に掲げる全層植皮術又は区分番号J090に掲げる皮膚移植術(生体・培養)の所定点数を合算して算定する。
(5) 「3 著しく困難なもの」について、口腔粘膜弁及び口腔粘膜移植以外の区分番号J091に掲げる皮弁作成術、移動術、切断術、遷延皮弁術から区分番号J097に掲げる粘膜移植術までの手術を併せて行った場合は主たる手術の所定点数に従たる手術の所定点数の100分の50を加算して算定する。
(6) 腫瘍摘出等により上顎洞又は鼻腔に比較的大きな穿孔を生じた場合の閉鎖術は「3 著しく困難なもの」により算定する。
(7) 埋伏歯の抜去や顎骨骨内病巣を除去し、後日二次的に創腔の閉鎖を行った場合は、「1 簡単なもの」により算定する。
J041 下顎骨離断術
下顎骨骨折により、顎偏位のままで異常癒着を起し、咬合不全を伴っている場合に異常癒着部を離断し整復を行った場合は、本区分の所定点数により算定する。
J042 下顎骨悪性腫瘍手術
顎骨に生ずるエナメル上皮腫に対する手術は、「1 切除」又は「2 切断」の各区分により算定する。また、単胞性エナメル上皮腫の手術の場合も同様に「1 切除」又は「2 切断」の各区分により算定する。
J043 顎骨腫瘍摘出術(歯根嚢胞を除く。)
(1) 顎骨腫瘍摘出術とは、顎骨内に生じた良性腫瘍又は嚢胞(歯根嚢胞を除く。)を摘出する手術をいう。
(2) 萌出困難な歯牙に対して開窓術(歯槽骨及び被覆粘膜を切除する手術)を行った場合は、「1 長径3センチメートル未満」により算定する。
(3) 顎骨腫瘍摘出術と同時に行った原因歯の抜歯手術に要する費用は、顎骨腫瘍摘出術の所定点数に含まれ別に算定できない。
(4) 濾胞性歯嚢胞の摘出とともに原因歯の抜去を行った場合の抜歯手術の費用は、顎骨腫瘍摘出術の所定点数に含まれ別に算定できない。
J044 顎骨嚢胞開窓術
鶏卵大に達した歯根嚢胞を摘出する手術を行った場合は、本区分の所定点数により算定する。
J045 口蓋隆起形成術
義歯の装着に際して口蓋隆起が著しい障害となるような症例に対して、口蓋隆起を切除、整形した場合に算定する。
J046 下顎隆起形成術
義歯の装着に際して下顎隆起が著しい障害となるような症例に対して、下顎隆起を切除、整形した場合に算定する。
J047 腐骨除去手術
2歯までの範囲であれば顎骨に及ぶものであっても「1 歯槽部に限局するもの」により算定する。
J048 口腔外消炎手術
(1) 口腔外消炎手術における長さ(2センチメートル未満等)とは、膿瘍、蜂窩織炎等の大きさをいい、切開を加えた長さではない。
(2) 重症な顎炎等に対して複数の切開により、口腔外からの消炎手術を行った場合は、「2のイ 3分の1顎以上の範囲のもの」により算定する。
(3) 広範囲で極めて重症な顎炎等に対して、中・下頸部又は鎖骨上窩等を切開し、口腔外から消炎手術を行った場合は、「2のロ 全顎にわたるもの」により算定する。
J053 唾石摘出術
(1) 「1 表在性のもの」とは、導管開口部分付近に位置する唾石をいう。
(2) 「2 深在性のもの」とは、腺体付近の導管等に位置する唾石をいう。
(3) 外部より唾石及び唾液腺を併せて摘出したものについては、「2 深在性のもの」により算定する。
J059 耳下腺腫瘍摘出術
耳下腺腫瘍摘出術とは、耳下腺に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。
J063 歯周外科手術(1歯につき)
(1) 歯周外科手術とは、区分番号D002に掲げる歯周組織検査の「2 歯周精密検査」に規定する歯周精密検査の結果に基づき行われる歯周ポケット掻爬術、新付着手術、歯肉切除手術、歯肉剥離掻爬手術及び歯周組織再生誘導手術をいう。なお、歯周外科手術の実施にあたっては、「歯周病の診断と治療に関する指針」(平成19年11月日本歯科医学会)を参考とすること。
(2) 歯周外科手術と同時に行われる区分番号I011に掲げる歯周基本治療の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
(3) 歯周外科手術における縫合又はパックの費用はそれぞれの所定点数に含まれる。
(4) 「注4」の「簡単な暫間固定」とは、固定源となる歯を歯数に含めない4歯未満の暫間固定をいう。
(5) 歯周外科手術を伴う場合の固定源となる歯を歯数に含めない4歯以上の暫間固定の費用は、歯周外科手術とは別に区分番号I014に掲げる暫間固定の「2 困難なもの」の所定点数により算定する。
(6) 暫間固定に当たって印象採得を行った場合は1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「3 副子」を、咬合採得を行った場合は、1装置につき、装置の範囲に相当する歯数が8歯以下の場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(1) 少数歯欠損」、装置の範囲に相当する歯数が9歯以上は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」又は装置の範囲に相当する歯数が全歯にわたる場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(3) 総義歯」の所定点数を、装着を行った場合には1装置につき区分番号M005に掲げる装着の「3 副子の装着の場合」の所定点数及び装着材料料を算定できる。ただし、エナメルボンドシステムにより連結固定を行った場合は、装着料及び装着材料料は別に算定できない。
(7) 歯肉剥離掻爬手術と併せて、区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)を行った場合は、歯肉剥離掻爬手術及び区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)のそれぞれの所定点数を併せて算定する。
(8) 「5 歯周組織再生誘導手術」については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、区分番号D002に掲げる歯周組織検査の「2 歯周精密検査」に規定する歯周精密検査の結果に基づき、根分岐部病変又は垂直性骨欠損を有する歯に対して、吸収性膜又は非吸収性膜の固定を行った場合に、「イ 1次手術」の所定点数により算定する。また、「イ 1次手術」において、非吸収性膜を使用した場合であって、一定期間の経過観察後、非吸収性膜を除去した場合においては、「ロ 2次手術」の所定点数により算定する。なお、歯周組織再生材料料は、別に算定する。
(9) 「5 歯周組織再生誘導手術」は、エックス線撮影等により得られた術前の対象歯の根分岐部病変又は垂直性骨欠損の状態、手術部位、手術内容及びその他療養上特記すべき事項について、診療録に記載した場合に算定する。
(10) 「5 歯周組織再生誘導手術」を算定した場合は、「4 歯肉剥離掻爬手術」は別に算定できない。
(11) 区分番号I011―2に掲げる歯周病安定期治療を開始した日以降に行った場合は、所定点数の100分の30により算定する。
(12) 「注5」に規定する加算におけるレーザー照射とは、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、歯肉剥離掻爬手術又は歯周組織再生誘導手術において、明視下で蒸散により歯根面の歯石除去を行うことが可能なものとして保険適用となっているレーザーによる照射をいう。
J063―2 骨移植術(軟骨移植術を含む)
(1) 「1のイ 簡単なもの」とは、当該患者の口腔内から採取した骨片等の移植を行った場合をいう。
(2) 「1のロ 困難なもの」とは、当該患者の口腔外から採取した骨片等の移植を行った場合をいう。
(3) 「2 同種骨移植」とは、同種骨移植をいい、特定保険医療材料である人工骨等を用いた場合は算定できない。
(4) 骨移植術を行った場合は、他の手術の所定点数に骨移植術の所定点数を併せて算定できる。なお、骨移植術の所定点数には、骨片切採術の手技料は含まれ、骨移植術において骨移植に用いる骨片をその必要があって2箇所(例えば脛骨と骨盤)から切除した場合であっても当該採取にかかる手技料は別に算定できない。
(5) 移植術は、採取した骨片を複数箇所に移植した場合も、1回の算定とする。
(6) 「1 自家骨移植」の「ロ 困難なもの」において、骨片採取のみに終わり骨移植に至らない場合については、本区分を算定せず、区分番号J063―3に掲げる骨(軟骨)組織採取術を算定する。
(7) 自家骨軟骨移植術を行った場合は、本区分の「1のロ 困難なもの」により算定する。
(8) 同種骨移植を行うにあたっては、日本整形外科学会の作成した「整形外科移植に関するガイドライン」及び「冷凍ボーンバンクマニュアル」等のガイドラインを参考に、適切に行われることが望ましい。
J063―3 骨(軟骨)組織採取術
区分番号J063―2に掲げる骨移植術の「1のロ 困難なもの」の実施にあたり、骨片採取のみに終わり骨移植に至らなかった場合に限り算定する。
J064 歯肉歯槽粘膜形成手術
(1) 歯肉歯槽粘膜形成手術とは、歯周疾患の治療において、必要があって各号に掲げる手術を行った場合に算定する。なお、「1 歯肉弁根尖側移動術」から「3 歯肉弁側方移動術」までは1歯単位で算定し、「4 遊離歯肉移植術」及び「5 口腔前庭拡張術」は手術単位で算定するものとする。
(2) 「1 歯肉弁根尖側移動術」とは、付着歯肉の幅が狭い場合、又は歯周病で深いポケットが存在し、歯肉歯槽粘膜境を超えているような場合に付着歯肉の幅の増加及び歯周ポケットの除去を目的として行った場合に算定する。
(3) 「2 歯肉弁歯冠側移動術」とは、歯冠側へ歯肉弁を移動させ露出した歯根面の被覆を目的として行った場合に限り算定する。
(4) 「3 歯肉弁側方移動術」とは、歯肉退縮によって歯根面の露出している孤立した少数歯の露出部位に隣接歯の辺縁歯肉から側方に歯肉弁を移動させ露出した歯根面を修復することを目的として行った場合に算定する。
(5) 「4 遊離歯肉移植術」とは、歯肉の供給側より採取した移植片の歯肉を、付着させる移植側へ移植を行うものであり、転位歯等を抜去した際、隣在歯の歯根面が露出し、知覚過敏等の障害のおそれがあるときに手術を行った場合に算定する。ただし、粘膜面への移植は容易であるが、セメント質が露出している歯根面に対しての移植は困難である。
(6) 「5 口腔前庭拡張術」とは、頬舌側の口腔前庭が浅いために、十分なプラークコントロールが行えない場合又は歯冠修復物を装着するに際して付着歯肉の幅が著しく狭い場合において口腔前庭の拡張を行った場合に限り算定する。
(7) 「5 口腔前庭拡張術」と同時に行った小帯(頬、口唇、舌小帯等)の切離移動又は形成の費用は、口腔前庭拡張術の所定点数に含まれ別に算定できない。
(8) 実施にあたっては、診療録に当該手術に関する要点(目的、症状、手術部位、手術術式等)を記載すること。
J066 歯槽骨骨折観血的整復術
歯槽骨骨折に対し、歯肉粘膜を剥離して観血的に歯槽骨の整復を行った場合に算定する。
J069 上顎骨形成術
(1) 「単純な場合」とは上顎骨発育不全症、外傷後の上顎骨後位癒着、上顎前突症、開咬症、過蓋咬合症等に対し、Le Fort Ⅰ型切離又は上顎骨部分切離により移動を図る場合をいう。
(2) 「複雑な場合及び2次的再建の場合」とは同様の症例に対し、Le Fort Ⅱ型又はLe Fort Ⅲ型切離により移動する場合及び悪性腫瘍手術等による上顎欠損症に対し2次的骨性再建を行う場合をいう。
J070 頬骨骨折観血的整復術
「頬骨骨折観血的整復術」とは、頬骨又は頬骨弓の骨折を観血的に整復する手術をいう。
J071 下顎骨折非観血的整復術
下顎骨折非観血的整復術の「注」の加算は三内式線副子以上を使用する連続歯牙結紮法を行った場合に算定し、これに至らない場合は、所定点数に含まれ別に算定できない。
J072―2 下顎関節突起骨折観血的手術
「2 両側」は、両側の下顎関節突起骨折について観血的に手術を行った場合に算定する。
J073 口腔内軟組織異物(人工物)除去術
(1) 「簡単なもの」とは異物(人工物)が比較的浅い組織内にあり、非観血的あるいは簡単な切開で除去できるものをいう。なお、歯の破折片の除去(う蝕除去に伴うものを除く。)に係る費用は、「1 簡単なもの」の所定点数により算定する。
(2) 「困難なもの」とは除去に当たって組織の剥離を必要とするものをいう。
(3) 「著しく困難なもの」とは異物の位置が確定できず、なおかつ深部に存在するため大きく深い切開等を必要とするものをいう。
(4) 口腔内軟組織異物(人工物)除去術は、異物の数にかかわらず所定点数を1回に限り算定する。ただし、当該除去物は同一術野で除去できるものに限る。
(5) 「1 簡単なもの」、「2 困難なもの」及び「3 著しく困難なもの」のうち、2以上を同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。
(6) 口腔組織にささっている魚骨を除去した場合の費用は、基本診療料に含まれ別に算定できない。
J074 顎骨内異物(挿入物を含む。)除去術
(1) 「1 簡単なもの」は、顎骨骨折における観血的整復、上顎骨形成術又は下顎骨形成術における顎骨の固定等に用いた金属線又はスクリューの除去を行った場合に算定する。
(2) 「2 困難なもの」は、顎骨骨折における観血的整復、上顎骨形成術又は下顎骨形成術における顎骨の固定等に用いた骨体固定金属板の撤去を行った場合に算定する。
J075 下顎骨形成術
下顎前突のとき下顎両側第一小臼歯を抜歯し、この部位で下顎骨を切断して後退させる下顎前突症手術は、「1 おとがい形成の場合」により算定する。
J076 顔面多発骨折観血的手術
顔面多発骨折観血的手術は上下顎が同時に骨折した場合等、複数の骨に対して観血的手術を行った場合に算定する。
J077 顎関節脱臼非観血的整復術
顎関節脱臼非観血的整復術は、片側につき、所定点数を算定する。
J080 顎関節授動術
(1) 徒手的授動術(パンピングを併用した場合)とは顎関節の運動障害を有する患者に対して、パンピング(顎関節腔に対する薬液の注入、洗浄)を行いながら、徒手的に顎関節の授動を図ったものをいう。
なお、この場合において関節腔に対する薬剤の注入を行った場合は、区分番号G007に掲げる関節腔内注射又は区分番号G008に掲げる滑液嚢穿刺後の注入を併せて算定する。
(2) 瘢痕性顎関節強直症に対する手術の費用は「3 開放授動術」により算定する。
(3) 筋突起過長による顎運動障害等で、筋突起形成術を行った場合の費用は「3 開放授動術」により算定する。
J082 歯科インプラント摘出術
他の医療機関で埋植した歯科インプラントを撤去した場合に、当該摘出物の種別に応じて算定する。
J083 顎骨インプラント摘出術
(1) 「顎骨インプラント」とは、腫瘍摘出後等による顎骨欠損に対して埋植した人工骨及び人工骨頭等の欠損補綴用人工材料(体内)をいう。
(2) 埋植した顎骨インプラントを感染による化膿や破折等の理由で、やむを得ず摘出した場合に行った顎骨インプラント摘出術は算定できる。ただし、当該医療機関において行われた治療に基づく異物(骨折手術に用いられた金属内副子等を除く。)について除去を行っても区分番号J073に掲げる口腔内軟組織異物(人工物)除去術、区分番号J074に掲げる顎骨内異物(挿入物を含む。)除去術及び区分番号J082に掲げる歯科インプラント摘出術においては、所定点数は算定できない。
J084 創傷処理
(1) 創傷処理とは、切・刺・割創又は挫創に対して切除、結紮又は縫合を行う場合の第1回治療のことである。