アクセシビリティ閲覧支援ツール

(7) 保存血液輸血の注入量は、1日における保存血及び血液成分製剤(自家製造したものを除く。)の実際に注入した総量又は原材料として用いた血液の総量のうちいずれか少ない量により算定する。例えば、200mLの血液から製造された30mLの血液成分製剤については30mLとして算定し、200mLの血液から製造された230mLの保存血及び血液成分製剤は、200mLとして算定する。

(8) 血小板濃厚液の注入は、「2」により算定する。なお、血漿成分製剤(新鮮液状血漿、新鮮凍結血漿等)は注射の部において取り扱われる。

(9) 自己血貯血は、当該保険医療機関において手術を予定している患者から採血を行い、当該血液を保存した場合に算定する。

(10) 自己血輸血は、当該保険医療機関において手術を行う際に予め貯血しておいた自己血(自己血貯血)を輸血した場合において、手術時及び手術後3日以内に輸血を行ったときに算定できる。

(11) 自己血輸血を算定する単位としての血液量は、採血を行った量ではなく、手術開始後に実際に輸血を行った1日当たりの量である。なお、使用しなかった自己血については、算定できない。

(12) 患者への説明

ア 「注1」に規定する説明とは、別紙様式26を参考として、文書により輸血の必要性、副作用、輸血方法及びその他の留意点等について、輸血を行う際に患者本人に対して行うことを原則とするが、医師の説明に対して理解ができないと認められる患者(例えば小児、意識障害者等)については、その家族等に対して説明を行うことが必要である。

イ アの説明は、当該患者に対する一連の輸血につき1回行うものとする。なお、この場合、「一連」とは、概ね1週間とする。ただし、再生不良性貧血、白血病等の患者の治療において、輸血の反復の必要性が明らかである場合はこの限りでない。

ウ 説明に用いた文書については、患者(医師の説明に対して理解が困難と認められる小児又は意識障害者等にあっては、その家族等)から署名又は押印を得た上で、当該患者に交付するとともに、その文書の写しを診療録に貼付することとする。

エ 緊急その他事前に説明を行うことが著しく困難な場合は、事後の説明でも差し支えないものとする。

(13) 輸血に当たっては、「「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」の改定について」(平成17年9月6日薬食発第0906002号)を遵守するよう努めるものとする。

(14) 「注3」の加算は、第1節に掲げる手術と同日に骨髄内輸血又は血管露出術が行われた場合には、算定できない。

(15) 「注6」の頻回に輸血を行う場合とは、週1回以上、当該月で3週以上にわたり行われるものである。

(16) 「注7」の加算を算定できるHLA型適合血小板輸血は、白血病又は再生不良性貧血の場合であって、抗HLA抗体のために血小板輸血に対して不応状態となり、かつ、強い出血傾向を呈しているものに限る。なお、この場合において、対象となる白血病及び再生不良性貧血の患者の血小板数は概ね、それぞれ2万/mm3以下及び1万/mm3以下を標準とする。

(17) 「注8」の血液交叉試験又は間接クームス検査の加算は、自家採血を使用する場合にあっては、供血者ごとに、保存血を使用する場合にあっては、血液バッグ(袋)1バッグごとにそれぞれ算定する。

(18) 「注10」に規定する「輸血に伴って行った供血者の諸検査」には、HCV抗体価(定性、定量)、HIV―1抗体価、HIV―1,2抗体価、HTLV―Ⅰ抗体価及び不規則抗体検査等が含まれ、これらの検査に係る費用は別に算定できない。

(19) 自己血を採血する際の採血バッグ並びに輸血する際の輸血用回路及び輸血用針の費用並びに自己血の保存に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。なお、自己血の採血に伴うエリスロポエチンに係る第2章第6部第1款注射実施料については、自己血貯血の所定点数とは別に算定する。

K920―2 輸血管理料

(1) 輸血管理料は輸血療法の安全かつ適正な実施を推進する観点から、医療機関における輸血管理体制の構築及び輸血の適正な実施について評価を行うものである。

(2) 輸血管理料は、赤血球濃厚液(浮遊液を含む。)、血小板濃厚液若しくは自己血の輸血、又は新鮮凍結血漿若しくはアルブミン製剤の輸注を行った場合に、月1回を限度として算定する。

K921 造血幹細胞採取(一連につき)

区分番号「K921」造血幹細胞採取の自家移植を行う場合は、区分番号「K922」造血幹細胞移植を行わなかった場合においても算定できる。また、区分番号「K921」造血幹細胞採取の同種移植を行う場合は、区分番号「K922」造血幹細胞移植の同種移植を算定した場合に限り算定できる。

なお、骨髄の採取に係る当該骨髄穿刺を行った場合は、区分番号「D404」骨髄穿刺及び区分番号「J011」骨髄穿刺の所定点数を別に算定できない。

K922 造血幹細胞移植

(1) 造血幹細胞移植の所定点数には、造血幹細胞移植に関連して実施した造血幹細胞移植者の造血幹細胞採取、組織適合性試験及び骨髄造血幹細胞測定の費用が含まれる。

(2) 同種移植とは、ヒト組織適合性抗原が概ね一致する提供者の造血幹細胞を移植する場合をいう。また、同種移植を行う場合においては、骨髄提供者から骨髄を採取することに係るすべての費用をこの表に掲げる所定点数により算定し、造血幹細胞移植の所定点数に加算する。

(3) 同種移植の所定点数は、適合する造血幹細胞提供者の情報検索連絡調整に係る費用やコーディネート中断後の再ドナー候補者に対する追加確認検査(HLA検査等)といった安全管理の追加費用等、造血幹細胞移植の実施に必要な費用の一部も含めて評価したものである。

(4) 臍帯血移植の所定点数は、臍帯血のHLA検査等の安全性確認試験の実施を含めた臍帯血の管理に係る費用等、臍帯血移植の実施に必要な費用の一部も含めて評価したものである。

(5) 同種移植の対象疾患は、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症等であり、また、自家骨髄移植、自家末梢血幹細胞移植の対象疾患は、化学療法や放射線療法に感受性のある白血病等の悪性腫瘍である。

(6) 請求に当たっては、造血幹細胞移植者の診療報酬明細書の摘要欄に造血幹細胞提供者の氏名及び療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、造血幹細胞提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付する。

(7) 造血幹細胞採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取した造血幹細胞を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(8) 移植に使用した臍帯血の保存施設から移植実施保険医療機関までの搬送に要した費用については療養費として支給し、その額は移送費の算定方法に準じて算定する。

(9) 造血幹細胞採取を行った医療機関と造血幹細胞移植を行った保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、造血幹細胞移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K923 術中術後自己血回収術

(1) 開心術及び大血管手術で出血量が600mL以上(ただし、12歳未満の患者においては10mL/kg)の場合並びにその他無菌的手術で出血量が600mL以上(ただし、12歳未満の患者においては10mL/kg)の場合(外傷及び悪性腫瘍の手術を除く。)に、術中術後自己血回収術を算定する。

(2) 術中術後自己血回収セットとは、術野から血液を回収して、濃縮及び洗浄を行い、又は濾過を行い、当該手術の際に患者の体内に戻す一連の器具をいう。

第3節 手術医療機器等加算

K930 脊髄誘発電位測定等加算

(1) 神経モニタリングについては、本区分により加算する。

(2) 「注」に規定する脳、脊椎、脊髄又は大動脈瘤の手術とは、区分番号「K116」から「K118」まで、「K128」から「K136」まで、「K138」、「K139」、「K142」から「K142―3」まで、「K151―2]、「K154」、「K154―2」、「K169」、「K181」、「K183」から「K190―2」まで、「K191」、「K192」及び「K560」に掲げる手術をいう。なお、これらの項目により所定点数を算定する手術については加算は行わない。

K931 超音波凝固切開装置等加算

(1) ベッセルシーリングシステムについては、本区分により加算する。

(2) 「注」に規定する「悪性腫瘍等に係る手術」とは、「K374」、「K376」、「K379―2」、「K394」、「K395」、「K463」、「K465」、「K484」、「K484―2」、「K502」、「K504」、「K511」、「K514」、「K514―3」から「K514―6」まで、「K522―3」、「K527」、「K529」、「K531」、「K643」、「K645」、「K655」の「2」、「K655―4」の「2」、「K657」の「2」、「K675」、「K677」、「K677―2」、「K695」、「K697―4」から「K697―7」まで、「K702」から「K704」まで、「K709―2」から「K709―5」まで、「K716」の「2」、「K719」の「3」、「K740」、「K748」、「K756」、「K773」、「K779」、「K779―2」、「K780」、「K780―2」、「K801」の「1」、「K803」、「K817」の「3」、「K843」、「K850」、「K857」、「K879」、「K889」に掲げる手術をいう。

K932 創外固定器加算

区分番号「K046」骨折観血的手術については、開放骨折、関節内骨折又は粉砕骨折に対して創外固定器を用いた場合、区分番号「K058」骨長調整手術については、軟骨無形成症及び軟骨低形成症等の骨異形成症、四肢形成不全又は四肢変形の患者に対して脚延長術を行う際に創外固定器を用いた場合、区分番号「K125」骨盤骨折観血的手術(腸骨翼骨折を除く。)については骨盤骨折(腸骨翼骨折を除く。)について創外固定器を用いた場合に算定する。

K933 イオントフォレーゼ加算

当該加算を算定した場合、麻酔料は別に算定できない。

K936 自動縫合器加算

(1) 区分番号「K655」、「K711―2」、「K716」、「K732」の「2」及び「K739」に掲げる手術に当たって自動縫合器を使用した場合は、3個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

(2) 区分番号「K511」、「K513」、「K522―3」、「K525」、「K529」、「K531」、「K655―2」、「K655―4」、「K657」、「K657―2」、「K702」、「K703」、「K719」、「K719―2」、「K719―3」、「K735」、「K735―3」、「K740」及び「K740―2」に掲げる手術に当たって自動縫合器を使用した場合は、4個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

(3) 区分番号「K803」及び「K817」の「3」に掲げる手術に当たって自動縫合器を使用した場合は、5個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

(4) 区分番号「K514」及び「K514―2」に掲げる手術に当たって自動縫合器を使用した場合は、6個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

K936―2 自動吻合器加算

区分番号「K655―4」、「K657」及び「K657―2」に掲げる手術に当たって自動吻合器を使用した場合は2個を限度として、それ以外の手術にあっては1個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

K936―3 微小血管自動縫合器加算

四肢(手、足、指(手、足)を含む。)以外の部位において、「K017」遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)又は「K020」自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)を行う際に、微小静脈の縫合のために微小血管自動縫合器を用いた場合に算定する。なお、この場合において、2個を限度として当該加算点数に微小血管自動縫合器用カートリッジの使用個数を乗じて得た点数を加算するものとする。

K938 体外衝撃波消耗性電極加算

消耗性電極とは、1回又は2回以上の使用により消耗し、交換が必要となる電極をいう。なお、この加算は一連の手術について1回のみ算定する。

K939 画像等手術支援加算

(1) 画像等手術支援加算は、当該技術の補助により手術が行われた場合に算定するものであり、当該技術が用いられた場合であっても、手術が行われなかった場合は算定できない。

(2) ナビゲーションによるものとは、手術前又は手術中に得た画像を3次元に構築し、手術の過程において、手術を補助する目的で用いることをいう。

(3) 実物大臓器立体モデルによるものとは、手術前に得た画像等により作成された実物大臓器立体モデルを、手術を補助する目的で用いることをいう。

第11部 麻酔

<通則>

1 血圧降下等当然予測される副作用等を防止するための注射、麻酔の前処置として行われる麻薬、鎮静剤等の注射及び投薬に要する費用については、第3節薬剤料の規定に基づき薬価基準の定めるところにより算定できる。

2 麻酔の術中に起こる偶発事故に対する処置(酸素吸入、人工呼吸)及び注射(強心剤等)等の費用は、別に算定することができる。ただし、区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔の場合は、区分番号「J024」酸素吸入及び区分番号「J045」人工呼吸は算定できない。

3 検査、画像診断、処置又は手術に当たって、麻酔が前処置と局所麻酔のみによって行われる場合には、麻酔の手技料は検査料、画像診断料、処置料又は手術料に含まれ、算定できない。ただし、薬剤を使用した場合は、各部の薬剤料の規定に基づき薬価基準の定めるところにより算定できる。

4 麻酔法の選択については、保険診療の原則に従い、経済面にも考慮を払いつつ、必要に応じ妥当適切な方法を選択することが必要である。なお、特に規定するものについては、当該規定に従い適切に行うこと。

5 第1節及び第2節に掲げる麻酔法(1つに限る。)を別の麻酔の補助麻酔、強化麻酔又は前処置として行った場合の麻酔料は、主たる麻酔法の所定点数のみを算定する。この場合、当該一連の麻酔に使用された全ての薬剤については薬剤料として算定できる。

なお、手術中において他の麻酔法を追加併用した場合も同様に算定する。

6 「通則」の麻酔料又は神経ブロック料の所定点数とは、麻酔料又は神経ブロック料の節に掲げられた点数及び各注に規定する加算(酸素又は窒素を使用した場合の加算を除く。)の合計をいい、「通則」の加算点数は含まない。

7 「通則2」の加算及び「通則3」の加算は、第1節麻酔料(麻酔管理料は除く。)又は第2節神経ブロック料について適用され、第3節薬剤料については適用されない。この場合、麻酔に要する費用は、麻酔料及び神経ブロック料の所定点数に各通則の加算を加えた点数並びに薬剤料の合計点数により算定する。

8 「通則2」の未熟児に対する加算は、出生時体重が2,500グラム未満の新生児に対し、出生後90日以内に麻酔が行われた場合に限り算定できる。

9 「通則3」の休日加算、時間外加算又は深夜加算(本項において「時間外加算等」という。)の取扱いは、次に掲げるものの他、初診料の時間外加算等と同様である。なお、区分番号「A000」の注6又は区分番号「A001」の注5に規定する夜間・早朝等加算を算定する初診又は再診において実施された麻酔については算定できない。

ア 麻酔料

時間外加算等が算定できる緊急手術に伴う麻酔に限り算定できる。

イ 神経ブロック料

緊急やむを得ない理由により時間外加算等が算定できる時間に行われた場合に算定できる。

10 麻酔料に掲げられていない麻酔であって特殊な麻酔の麻酔料は、その都度当局に内議し、最も近似する麻酔として準用が通知された算定方法により算出する。

第1節 麻酔料

L000 迷もう麻酔

(1) 迷もう麻酔とは、吸入麻酔であって、実施時間が10分未満のものをいう。なお、迷もう麻酔の実施時間は、麻酔薬の吸入を最初に行った時間を開始時間とし、検査、画像診断、処置又は手術が終了した時点を終了時間とする。

(2) ガス麻酔器を使用する10分未満の麻酔は、本区分により算定する。なお、ガス麻酔器を使用する麻酔の実施時間は、麻酔器を患者に接続した時間を開始時間とし、当該麻酔器から離脱した時間を終了時間とする。

L001―2 静脈麻酔

(1) 静脈麻酔とは、静脈注射用麻酔剤を用いた全身麻酔であり、意識消失を伴うものをいう。

(2) 「1」は、静脈麻酔の実施の下、検査、画像診断、処置又は手術が行われた場合であって、麻酔の実施時間が10分未満の場合に算定する。

(3) 「2」は、静脈注射用麻酔剤を用いた全身麻酔を10分以上行った場合であって、区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式麻酔以外の静脈麻酔が行われた場合に算定する。ただし、安全性の観点から、呼吸抑制等が起きた場合等には速やかにマスク又は気管内挿管による閉鎖循環式麻酔に移行できる十分な準備を行った上で、医療機器等を用いて十分な監視下で行わなければならない。

(4) 静脈麻酔の実施時間は、静脈注射用麻酔剤を最初に投与した時間を開始時間とし、当該検査、画像診断、処置又は手術が終了した時間を終了時間とする。

L002 硬膜外麻酔

(1) 実施時間は、硬膜外腔に当該麻酔を施行するために局所麻酔薬を注入した時点を開始時間とし、当該検査、画像診断、処置又は手術の終了した時点を終了時間として計算する。

(2) 第12胸椎と第1腰椎の間より硬膜外針を刺入した場合は「1」で算定する。また、第5腰椎と第1仙椎の間より硬膜外針を刺入した場合は「2」で算定する。

L003 硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入

精密持続注入とは、自動注入ポンプを用いて1時間に10mL以下の速度で局所麻酔剤を注入するものをいう。

L004 脊椎麻酔

実施時間は、くも膜下腔に局所麻酔剤を注入した時点を開始時間とし、当該検査、画像診断、処置又は手術の終了した時点を終了時間として計算する。

L005 上・下肢伝達麻酔

(1) 上肢伝達麻酔は、検査、画像診断、処置又は手術のために腕神経叢の麻酔を行った場合に算定する。

(2) 下肢伝達麻酔は、検査、画像診断、処置又は手術のために少なくとも坐骨神経及び大腿神経の麻酔を行った場合に算定する。

L006 球後麻酔及び顔面・頭頸部の伝達麻酔

球後麻酔と顔面伝達麻酔を同時に行った場合は、主たるもののみで算定し、重複して算定できない。

L007 開放点滴式全身麻酔

ガス麻酔器を使用する10分以上20分未満の麻酔は、本区分により算定する。なお、ガス麻酔器を使用する麻酔の実施時間は、麻酔器に接続した時間を開始時間とし、当該麻酔器から離脱した時間を終了時間とする。

L008 マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔

(1) ガス麻酔器を使用する閉鎖式・半閉鎖式等の全身麻酔を20分以上実施した場合は、本区分により算定する。

(2) 静脈注射用麻酔剤を用いて全身麻酔を実施した場合であって、マスク又は気管内挿管による酸素吸入又は酸素・亜酸化窒素混合ガス吸入と併用する場合は、20分以上実施した場合は、本区分により算定する。

(3) 本区分の全身麻酔の実施時間は、当該麻酔を行うために閉鎖循環式全身麻酔器を患者に接続した時点を開始時間とし、患者が当該麻酔器から離脱した時点を終了時間とする。なお、これ以外の観察等の時間は実施時間に含めない。

(4) 麻酔が困難な患者とは、以下に掲げるものをいい、麻酔前の状態により評価する。

ア 心不全(NYHAⅢ度以上のものに限る。)の患者

イ 狭心症(CCS分類Ⅲ度以上のものに限る。)の患者

ウ 心筋梗塞(発症後3月以内のものに限る。)の患者

エ 大動脈閉鎖不全、僧帽弁閉鎖不全又は三尖弁閉鎖不全(いずれもⅡ度以上のものに限る。)の患者

オ 大動脈弁狭窄(大動脈弁平均圧較差50mmHg以上のものに限る。)又は僧帽弁狭窄(僧帽弁平均圧較差10mmHg以上のものに限る。)の患者

カ 植込み型ペースメーカ又は植込み型除細動器を使用している患者

キ 先天性心疾患(心臓カテーテル検査により平均肺動脈圧25mmHg以上であるもの又は、心臓超音波検査によりそれに相当する肺高血圧が診断されているものに限る。)の患者

ク 肺動脈性肺高血圧症(心臓カテーテル検査により平均肺動脈圧25mmHg以上であるもの又は、心臓超音波検査によりそれに相当する肺高血圧が診断されているものに限る。)の患者

ケ 呼吸不全(動脈血酸素分圧60mmHg未満又は動脈血酸素分圧・吸入気酸素分画比300未満のものに限る。)の患者

コ 換気障害(1秒率70%未満かつ肺活量比70%未満のものに限る。)の患者

サ 気管支喘息(治療が行われているにもかかわらず、中発作以上の発作を繰り返すものに限る。)の患者

シ 糖尿病(HbA1c8.0%以上、空腹時血糖160mg/dL以上又は食後2時間血糖220mg/dL以上のものに限る。)の患者

ス 腎不全(血清クレアチニン値4.0mg/dL以上のものに限る。)の患者

セ 肝不全(Child―Pugh分類B以上のものに限る。)の患者

ソ 貧血(Hb6.0g/dL未満のものに限る。)の患者

タ 血液凝固能低下(PT―INR2.0以上のものに限る。)の患者

チ DICの患者

ツ 血小板減少(血小板5万/uL未満のものに限る。)の患者

テ 敗血症(SIRSを伴うものに限る。)の患者

ト ショック状態(収縮期血圧90mmHg未満のものに限る。)の患者

ナ 完全脊髄損傷(第5胸椎より高位のものに限る。)の患者

ニ 心肺補助を行っている患者

ヌ 人工呼吸を行っている患者

ネ 透析を行っている患者

ノ 大動脈内バルーンパンピングを行っている患者

ハ BMI35以上の患者

(5) 流量計を装置した酸素ボンベ及びエーテル蒸発装置を使用し、気管内チューブ挿入吹送法又はノンレブリージングバルブを使用して麻酔を維持した場合は本区分により算定できる。

(6) 本区分について「通則3」の加算を算定する場合の所定点数は、「注2」、「注4」及び「注5」による加算を含むものとする。

(7) 麻酔の種類等について

ア 「心臓手術」とは、開胸式心大血管手術をいう。

イ 「低血圧麻酔」とは、手術操作を安全にし、出血量を減少させる目的で、脳動脈瘤手術や出血しやすい手術の際に、低血圧の状態を維持する麻酔をいう。なお、この場合の「低血圧」とは概ね、患者の通常収縮期血圧の60%又は平均動脈圧で60~70mmHgを標準とする。

ウ 「高頻度換気法」とは、特殊な換気装置を使用し、一回換気量を少なくし、換気回数を著しく増加させた換気法をいう。なお、この場合の「換気回数」は概ね1分間に60回以上である。

エ 「低体温麻酔」は、重度脳障害患者への治療的低体温では算定できない。

(8) 麻酔の種類等における実施時間について

ア 「低体温麻酔」については、クーリングを開始した時点から復温する時点までをいう。

イ 「低血圧麻酔」については、人為的低血圧を開始した時点から低血圧を離脱する時点までをいう。

ウ 「高頻度換気法による麻酔」については、特殊な換気装置を作動させた時点から終了させた時点までをいう。

エ 「人工心肺を使用した麻酔」については、人工心肺装置に接続し装置を動かし始めた時点から装置を停止した時点までをいう。

(9) 複数の点数に分類される麻酔や手術が一の全身麻酔の中で行われる場合においては、行われた麻酔の中で最も高い点数のものを算定する。なお、ここでいう一の全身麻酔とは、当該麻酔を行うために閉鎖循環式全身麻酔器を接続した時点を開始とし、患者が麻酔器から離脱した時点を終了とする麻酔をいう。

(10) 麻酔の実施時間

ア 全身麻酔の実施時間は、(3)により計算する。

イ 当該麻酔の開始時間及び終了時間を麻酔記録に記載すること。

ウ 複数の点数の区分に当たる麻酔が行われた場合は、以下のように算定する。

(イ) 同じ点数区分にある麻酔の時間について合算する。

(ロ) 麻酔時間の基本となる2時間については、その点数の高い区分の麻酔時間から順に充当する。

(ハ) (ロ)の計算を行った残りの時間について、それぞれ「注2」の規定に従い30分又はその端数を増すごとに加算を行う。

(ニ) (ハ)の場合において、各々の区分に係る麻酔が30分を超えない場合については、それらの麻酔の実施時間を合計し、その中で実施時間の長い区分から順に加算を算定する。なお、いずれの麻酔の実施時間も等しい場合には、その中で最も高い点数の区分に係る加算を算定する。

例1 麻酔が困難な患者以外の患者に対し、次の麻酔を行った場合

① 最初に仰臥位で10分間

② 次に伏臥位で2時間30分間

③ 最後に仰臥位で20分間

の計3時間の麻酔を行った場合

基本となる2時間に②の2時間を充当 9,150点

②の残り30分の加算 900点

仰臥位で行われた①と③を合計して30分の加算 600点

算定点数 10,650点

例2 麻酔が困難な患者に対し、次の麻酔を行った場合

① 最初に仰臥位で10分間

② 次に側臥位で1時間20分間

③ 最後に仰臥位で47分間

の計2時間17分の麻酔を行った場合

基本となる2時間に②の1時間20分+①と③の57分のうち40分 9,130点

①と③の残り17分の加算 600点

算定点数 9,730点

例3 麻酔が困難な患者に対し、次の麻酔を行った場合

① 最初に仰臥位で5分間

② 次に側臥位で21分間

③ 次に分離肺換気で1時間27分間

④ 次に側臥位で30分間

⑤ 最後に仰臥位で5分間

の計2時間28分の麻酔を行った場合

基本となる2時間に③の1時間27分+②と④の51分のうち33分 16,600点

②と④の残り18分+①と⑤の10分の合計28分の加算 660点

算定点数 17,260点

例4 麻酔が困難な患者に対し、次の心臓手術の麻酔を行った場合

① 最初に仰臥位で10分間

② 次に心臓手術を人工心肺装置を使用せずに45分間

③ 次に心臓手術を人工心肺装置を使用して2時間25分間

④ 次に心臓手術を人工心肺装置を使用せずに1時間

⑤ 最後に仰臥位で10分間

の計4時間30分の麻酔を行った場合

基本となる2時間に③の2時間を充当 16,600点

②+④で1時間45分となり、このうち30分×3の加算 2,700点

③の残り25分間に④の残り15分間のうち5分間を加算 1,200点

①+⑤の20分間に④の残り10分間を加算 600点

算定点数 21,100点

(11) 酸素・窒素(注3)

ア 酸素又は窒素の価格は、「酸素及び窒素の価格」(平成2年厚生省告示第41号)の定めるところによる。

イ 酸素及び窒素を動力源とする閉鎖循環式麻酔装置を使用して全身麻酔を施行した場合、動力源として消費される酸素及び窒素の費用は、「注3」の加算として算定できない。

(12) 硬膜外麻酔加算(注4)

硬膜外麻酔を併せて行った場合は、その区分に応じて「注4」に掲げる点数を所定点数に加算し、さらにその実施時間に応じて「注5」に規定する加算を算定する。

(13) 所定点数に含まれる費用

ア 本区分の麻酔法の際に使用するソーダライム等の二酸化炭素吸着剤の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

イ 区分番号「D220」呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープの検査に要する費用は本区分の所定点数に含まれ、本区分の所定点数を算定した同一日においては、麻酔の前後にかかわらず、当該検査に要する費用は別に算定できない。

ウ 体温(深部体温を含む。)測定の検査に要する費用は本区分の所定点数に含まれ、別に算定できない。

エ 経皮的動脈血酸素飽和度測定又は終末呼気炭酸ガス濃度測定に要する費用は所定点数に含まれ、本区分の所定点数を算定した同一日においては、麻酔の前後にかかわらず、経皮的動脈血酸素飽和度測定及び終末呼気炭酸ガス濃度測定は別に算定できない。

(14) 「注7」に規定する術中経食道心エコー連続監視加算は、手術患者の心臓機能を評価する目的で経食道心エコー法を行った場合に算定できる。

(15) 「注7」でいう、麻酔が困難な患者のうち冠動脈疾患または弁膜症の患者とは、(4)のイ、ウ、エ、オに掲げるものをいい、麻酔前の状態により評価する。

L008―2 低体温療法

(1) 低体温療法は、心肺蘇生後の患者に対し、直腸温35℃以下で12時間以上維持した場合に、開始日から3日間に限り算定する。

(2) 重度脳障害患者への治療的低体温の場合は算定できない。

(3) 当該点数を算定するに当たり、かならずしも手術を伴う必要はない。

L009 麻酔管理料(Ⅰ)

(1) 当該点数は、麻酔科標榜医により、質の高い麻酔が提供されることを評価するものである。

(2) 麻酔管理料(Ⅰ)は厚生労働大臣が定める施設基準に適合している麻酔科を標榜する保険医療機関において、当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医(地方厚生(支)局長に届け出ている医師に限る。以下この項で同じ。)が麻酔前後の診察を行い、かつ専ら当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医が区分番号「L002」硬膜外麻酔、区分番号「L004」脊椎麻酔又は区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行った場合に算定する。なお、この場合において、緊急の場合を除き、麻酔前後の診察は、当該麻酔を実施した日以外に行われなければならない。

(3) 麻酔科標榜医が、麻酔科標榜医以外の医師と共同して麻酔を実施する場合においては、麻酔科標榜医が、当該麻酔を通じ、麻酔中の患者と同室内で麻酔管理に当たり、主要な麻酔手技を自ら実施した場合に算定する。

(4) 麻酔管理料(Ⅰ)を算定する場合には、麻酔前後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載する。なお、麻酔前後の診察について記載された麻酔記録又は麻酔中の麻酔記録の診療録への添付により診療録への記載に代えることができる。

(5) 麻酔管理料(Ⅰ)について、「通則2」及び「通則3」の加算は適用しない。

L010 麻酔管理料(Ⅱ)

(1) 当該点数は、複数の麻酔科標榜医により麻酔の安全管理体制が確保され、質の高い麻酔が提供されることを評価するものである。

(2) 麻酔管理料(Ⅱ)は厚生労働大臣が定める施設基準に適合している麻酔科を標榜する保険医療機関において、当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医の指導の下に、麻酔を担当する医師が麻酔前後の診察を行い、区分番号「L002」硬膜外麻酔、区分番号「L004」脊椎麻酔又は区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行った場合に算定する。なお、この場合において、緊急の場合を除き、麻酔前後の診察は、当該麻酔を実施した日以外に行われなければならない。

(3) 主要な麻酔手技を実施する際には、麻酔科標榜医の管理下で行わなければならない。この場合、当該麻酔科標榜医は、麻酔中の患者と同室内にいる必要があること。

(4) 麻酔管理料(Ⅱ)を算定する場合には、麻酔前後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載する。なお、麻酔前後の診察について記載された麻酔記録又は麻酔中の麻酔記録の診療録への添付により診療録への記載に代えることができる。

(5) 麻酔管理料(Ⅱ)について、「通則2」及び「通則3」の加算は適用しない。

(6) 同一の患者について、麻酔管理料(Ⅰ)と麻酔管理料(Ⅱ)を併算定することはできないが、同一保険医療機関において麻酔管理料(Ⅰ)と麻酔管理料(Ⅱ)の双方を異なる患者に算定することは可能であること。

第2節 神経ブロック料

L100 神経ブロック(局所麻酔剤又はボツリヌス毒素使用)、L101 神経ブロック(神経破壊剤又は高周波凝固法使用)

(1) 神経ブロックとは、疼痛管理に専門的知識を持った医師が行うべき手技であり、疾病の治療又は診断を目的とし、主として末梢の脳脊髄神経節、脳脊髄神経、交感神経節等に局所麻酔剤、ボツリヌス毒素若しくはエチルアルコール(50%以上)及びフェノール(2%以上)等の神経破壊剤の注入又は高周波凝固法により、神経内の刺激伝達を遮断することをいう。

(2) 神経ブロックは、疼痛管理を専門としている医師又はその経験のある医師が、原則として局所麻酔剤、ボツリヌス毒素若しくは神経破壊剤又は高周波凝固法を使用した場合に算定する。ただし、医学的な必要性がある場合には、局所麻酔剤又は神経破壊剤とそれ以外の薬剤を混合注射した場合においても神経ブロックとして算定できる。なお、この場合において、医学的必要性について診療報酬明細書に記載する。

(3) 同一神経のブロックにおいて、神経破壊剤又は高周波凝固法使用によるものは、癌性疼痛を除き、月1回に限り算定する。また、同一神経のブロックにおいて、局所麻酔剤又はボツリヌス毒素により神経ブロックの有効性が確認された後に、神経破壊剤又は高周波凝固法を用いる場合に限り、局所麻酔剤又はボツリヌス毒素によるものと神経破壊剤又は高周波凝固法によるものを同一月に算定できる。

(4) 同一名称の神経ブロックを複数か所に行った場合は、主たるもののみ算定する。また、2種類以上の神経ブロックを行った場合においても、主たるもののみ算定する。

(5) 椎間孔を通って脊柱管の外に出た脊髄神経根をブロックする「1」の神経根ブロックに先立って行われる選択的神経根造影等に要する費用は、「1」の神経根ブロックの所定点数に含まれ、別に算定できない。

(6) 神経ブロックに先立って行われるエックス線透視や造影等に要する費用は、神経ブロックの所定点数に含まれ、別に算定できない。

(7) 神経ブロックと同時に行われたトリガーポイント注射や神経幹内注射については、別に算定できない。

L103 カテラン硬膜外注射

刺入する部位にかかわらず、所定点数を算定する。

L104 トリガーポイント注射

(1) トリガーポイント注射は、圧痛点に局所麻酔剤あるいは局所麻酔剤を主剤とする薬剤を注射する手技であり、施行した回数及び部位にかかわらず、1日につき1回算定できる。

(2) トリガーポイント注射と神経幹内注射は同時に算定できない。

L105 硬膜外ブロックにおける麻酔剤の持続的注入

「注」の「精密持続注入」とは、自動注入ポンプを用いて1時間に10mL以下の速度で麻酔剤を注入するものをいう。

第12部 放射線治療

<通則>

放射線治療料の項に掲げられていない放射線治療のうち、簡単な放射線治療の放射線治療料は算定できないものであるが、特殊な放射線治療の放射線治療料は、その都度当局に内議し、最も近似する放射線治療として準用が通知された算定方法により算定する。

<放射線治療料>

M000 放射線治療管理料

(1) 放射線治療管理料は、区分番号「M001」体外照射又は区分番号「M004」密封小線源治療の「1」に掲げる外部照射、「2」に掲げる腔内照射若しくは「3」に掲げる組織内照射による治療を行うに際して、あらかじめ作成した線量分布図に基づいた照射計画(三次元線量分布図を用いるものを含む。以下同じ。)により放射線照射を行った場合に、分布図の作成1回につき1回、所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程において2回に限り算定する。

(2) 画像診断を実施し、その結果に基づき、線量分布図に基づいた照射計画を作成した場合には、画像診断の所定点数は算定できるが、照射計画の作成に係る費用は当該治療管理料に含まれ、別に算定できない。

(3) 「注2」に掲げる放射線治療専任加算は、区分番号「M001」体外照射の「3」に掲げる高エネルギー放射線治療又は区分番号「M001」体外照射の「4」に掲げる強度変調放射線治療(IMRT)の際に、放射線治療を専ら担当する医師により、照射計画の作成、照射中の患者の管理及び照射後の副作用管理を含めた放射線科的管理が行われた場合に限り算定する。

(4) 「注3」に掲げる外来放射線治療加算は、悪性腫瘍の入院中の患者以外の患者に対して、区分番号「M001」体外照射の「3」に掲げる高エネルギー放射線治療又は区分番号「M001」体外照射の「4」に掲げる強度変調放射線治療(IMRT)の際に、あらかじめ作成した線量分布図に基づいた照射計画により放射線照射を行った場合に、1日につき1回に限り算定する。

M000―2 放射性同位元素内用療法管理料

(1) 放射性同位元素内用療法管理料は、非密封放射線源による治療で、放射性同位元素を生体に投与し、その放射能による病巣内照射を行う放射線治療に当たり、当該治療を受けている患者の継続的な管理を評価するものである。

(2) 放射性同位元素内用療法管理料は入院・入院外を問わず、患者に対して放射性同位元素内用療法に関する内容について説明・指導した場合に限り算定できる。また、説明・指導した内容等を診療録に記載又は添付すること。

(3) 放射性同位元素の内用後4月間は、内用の有無にかかわらず算定できる。ただし、診療報酬明細書には、管理の開始の日付を記載すること。

(4) 「1 甲状腺癌に対するもの」は、甲状腺分化癌の患者(甲状腺分化癌であって、甲状腺組織の破壊、又は甲状腺癌の転移の治療(甲状腺全摘術、亜全摘術後及び手術により摘出できない症例等))に対して行った場合に算定する。

(5) 「3 固形癌骨転移による疼痛に対するもの」は、固形癌骨転移の患者(骨シンチグラフィで陽性像を呈する骨転移があって、骨転移部位の疼痛緩和目的(他の治療法(手術、化学療法、内分泌療法、鎮痛剤、外部放射線照射等)で疼痛コントロールが不十分である症例))に対して行った場合に算定する。

(6) 「4 B細胞性非ホジキンリンパ腫に対するもの」は、CD20陽性の再発又は難治性である、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫又はマントル細胞リンパ腫の患者に対して行った場合に算定する。

(7) 放射性同位元素内用療法管理に当たっては、退出基準等、放射線管理の基準に沿って行われるものであること。

M001 体外照射

(1) 体外照射の具体的な定義は次のとおりである。

ア エックス線表在治療とは、管電圧10万ボルト未満による照射療法をいう。

イ コバルト60遠隔大量照射とは、大量のコバルト60線源のガンマ線を使用した固定コバルト装置以外のコバルト装置による遠隔照射療法をいう。

ウ 高エネルギー放射線治療とは、100万電子ボルト以上のエックス線又は電子線の応用で、直線加速装置又はマイクロトロン治療装置使用による照射療法をいう。

エ 強度変調放射線治療(IMRT)とは、多分割絞り(マルチリーフコリメータ)などを用いて、空間的又は時間的な放射線強度の調整を同一部位に対する複数方向からの照射について行うことで、三次元での線量分布を最適なものとする照射療法をいう。ただし、診療報酬の算定については、関連学会のガイドラインに準拠し、3方向以上の照射角度から各門につき3種以上の線束強度変化をもつビームによる治療計画を逆方向治療計画法にて立案したものについて照射した場合に限る。

(2) 体外照射の治療料は、疾病の種類、部位の違い、部位数、同一患部に対する照射方法にかかわらず、1回につき所定点数を算定する。また、2方向以上の照射であっても当該所定点数のみにより算定する。

(3) 1日に複数部位の照射を行う場合においては、1回目とは異なる部位に係る2回目の照射に限り、ロの所定点数を算定する。1日に同一部位に対する複数回の照射を行う場合は、1回目の照射と2回目の照射の間隔が2時間を超える場合に限り、イの所定点数を1日に2回分算定できる。

(4) 「注3」の体外照射用固定器具加算は、頭頸部腫瘍(頭蓋内腫瘍を含む。)に対して体外照射を行う際に頭頸部を精密に固定する器具を使用した場合に限り、患者1人につき1回に限り算定できる。

(5) 「注4」の画像誘導放射線治療(IGRT)とは、毎回の照射時に治療計画時と照射時の照射中心位置の3次元的な空間的再現性が5ミリメートル以内であることを照射室内で画像的に確認・記録して照射する治療のことである。

(6) 「注4」の画像誘導放射線治療加算は、「イ」の所定点数を1日に2回分算定できる場合であっても、1日に1回の算定を限度とする。

M001―2 ガンマナイフによる定位放射線治療

(1) ガンマナイフによる定位放射線治療とは、半球状に配置された多数のコバルト60の微小線源から出るガンマ線を集束させ、病巣部を照射する治療法をいう。

(2) 数か月間の一連の治療過程に複数回の治療を行った場合であっても、所定点数は1回のみ算定する。

(3) 定位型手術枠(フレーム)を取り付ける際等の麻酔、位置決め等に係る画像診断、検査、放射線治療管理等の当該治療に伴う一連の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

M001―3 直線加速器による定位放射線治療

(1) 直線加速器による定位放射線治療とは、直線加速器(マイクロトロンを含む。)により極小照射野で線量を集中的に照射する治療法であり、頭頸部に対する治療については、照射中心の固定精度が2ミリメートル以内であるものをいい、体幹部に対する治療については、照射中心の固定精度が5ミリメートル以内であるものをいう。

(2) 頭頸部に対する治療については、頭頸部腫瘍(頭蓋内腫瘍を含む。)及び脳動静脈奇形に対して行った場合にのみ算定し、体幹部に対する治療については、原発病巣が直径5センチメートル以下であり転移病巣のない原発性肺癌又は原発性肝癌、及び3個以内で他病巣のない転移性肺癌又は転移性肝癌、並びに脊髄動静脈奇形(頸部脊髄動静脈奇形を含む。)に対して行った場合にのみ算定し、数か月間の一連の治療過程に複数回の治療を行った場合であっても、所定点数は1回のみ算定する。

(3) 定位型手術枠又はこれと同等の固定精度を持つ固定装置を取り付ける際等の麻酔、位置決め等に係る画像診断、検査、放射線治療管理等の当該治療に伴う一連の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

M002 全身照射

全身照射は、1回の造血幹細胞移植について、一連として1回に限り算定できる。

M003 電磁波温熱療法

(1) 「1」の深在性悪性腫瘍に対するものは、頭蓋内又は体腔内に存在する腫瘍であって、腫瘍の大半が概ね皮下6センチメートル以上の深部に所在するものに対して、高出力の機器(100メガヘルツ以下の低周波数のもの)を用いて電磁波温熱療法を行う場合に算定できる。

(2) 四肢若しくは頸部の悪性腫瘍に対して行う場合又はアプリケーターを用いて腔内加温を行う場合は、腫瘍の存在する部位及び使用する機器の如何を問わず、「2」の浅在性悪性腫瘍に対するものにより算定する。

(3) 電磁波温熱療法は、放射線治療と併用しない場合(化学療法と併用する場合又は単独で行う場合)においても算定できる。

(4) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいう。数か月間の一連の治療過程に複数回の電磁波温熱療法を行う場合は、1回のみ所定点数を算定し、その他数回の療法の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) 電磁波温熱療法の実施に当たっては、治療部分の温度を測定し、十分な加温を確認する等の必要な措置を講ずる。

(6) 電磁波温熱療法を行うに当たって使用するセンサー等の消耗品の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

M004 密封小線源治療

(1) 密封小線源治療の治療料は疾病の種類、部位の違い、部位数の多寡にかかわらず、一連として所定点数を算定する。

(2) 外部照射

外部照射とは、コバルト60、セシウム137等のガンマ線又はストロンチウム90等のベーター線による4センチメートル以下の近距離照射又は直接貼布する療法をいう。

(3) 腔内照射

ア 高線量率イリジウム照射を行った場合とは、子宮腔、腟腔、口腔、直腸等の腔内にイリジウム192管を挿入し照射する場合であり、アプリケーターの挿入から抜去までを一連として算定する。なお、挿入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

イ 新型コバルト小線源治療装置とは、高線量率イリジウム照射で用いられる線源と概ね同じ大きさの径の線源を用いるものであり、それよりも大きな径の線源である従前のコバルト線源による腔内照射は「ロ」旧型コバルト腔内照射装置を用いた場合により算定する。

ウ その他の場合とは、子宮腔、腟腔、口腔、直腸等の腔内にセシウム137管等を挿入して照射する場合や眼窩内等にストロンチウム容器を挿入して照射する場合であり、アプリケーターの挿入から抜去までを一連として算定するものとし、新型コバルト小線源治療装置を用いた場合又は旧型コバルト腔内照射装置を用いた場合には、「イ」又は「ロ」により算定する。なお、挿入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

(4) 組織内照射

ア 前立腺癌に対する永久挿入療法とは、前立腺組織内にヨウ素125粒子を挿入する療法をいい、当該療法の実施に当たっては、関係法令及び関係学会のガイドラインを踏まえ、適切に行われるよう十分留意すること。

イ 高線量率イリジウム照射を行った場合とは、イリジウム192線源を挿入する場合であり、外套針の刺入から抜去までの全期間を一連として算定する。なお、外套針の刺入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

ウ 新型コバルト小線源治療装置とは、高線量率イリジウム照射で用いられる線源と概ね同じ大きさの径の線源を用いるものであり、それよりも大きな径の線源である従前のコバルト線源を用いるものは該当しない。

エ その他の場合とは、舌その他の口腔癌、皮膚癌、乳癌等の癌組織内にコバルト針、セシウム針等を刺入する場合であり、刺入から抜去までの全期間を一連として算定する。なお、刺入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) 放射性粒子照射

放射性粒子照射とは、組織内に放射性金粒子等の放射性粒子を刺入するものであって、その使用本数等に関係なく一連につき所定点数を算定する。また、この場合「注6」により放射性粒子の費用は別に算定できる。なお、刺入に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

(6) 同一の高線量率イリジウムを使用し、1人又は複数の患者に対して1回又は複数回の密封小線源治療を行った場合は、使用した高線量率イリジウムの費用として、患者1人につき1回に限り加算する。

(7) 同一の低線量率イリジウムを使用し、1人の患者に対して複数回の密封小線源治療を行った場合は、使用した低線量率イリジウムの費用として、患者1人につき1回に限り加算する。

M005 血液照射

(1) 血液照射は、輸血後移植片対宿主病予防のために輸血用血液に対して放射線照射を行った場合に算定する。

(2) 血液照射料は、血液照射を行った血液量が400ミリリットル以下の場合には110点、これ以降400ミリリットル又はその端数を増すごとに110点を加えて計算する。なお、血液照射を行った血液のうち、実際に輸血を行った1日当たりの血液量についてのみ算定する。

(3) 血液量は、実際に照射を行った総量又は原材料として用いた血液の総量のうちいずれか少ない量により算定する。例えば、200ミリリットルの血液から製造された30ミリリットルの血液成分製剤については30ミリリットルとして算定し、200ミリリットルの血液から製造された230ミリリットルの保存血及び血液成分製剤は、200ミリリットルとして算定する。

(4) 放射線を照射した血液製剤を使用した場合は、当該血液照射は別に算定できない。

(5) 血液照射に当たっては、「「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」の改定について」(平成17年9月6日薬食発第0906002号)その他の関係通知及び関係学会から示されている血液照射についてのガイドラインを遵守するよう努めるものとする。

第13部 病理診断

<通則>

1 病理診断の費用には、病理標本作製を行う医師、看護師、臨床検査技師、衛生検査技師及び病理診断・判断を行う医師の人件費、試薬、デッキグラス、試験管等の材料費、機器の減価償却費、管理費等の費用が含まれる。

2 病理標本作製に当たって使用される試薬は、原則として医薬品として承認されたものであることを要する。

3 病理標本を撮影した画像を電子媒体に保存した場合、保存に要した電子媒体の費用は所定点数に含まれる。

4 第1節に掲げられていない病理標本作製であって簡単な病理標本作製の費用は、基本診療料に含まれ、別に算定できない。

5 第1節に掲げる病理標本作製料の項に掲げられていない病理標本作製のうち簡単な病理標本作製の病理標本作製料は算定できないが、特殊な病理標本作製については、その都度当局に内議し、最も近似する病理標本作製として通知されたものの算定方法及び注(特に定めるものを除く。)を準用して、準用された病理標本作製料に係る病理診断・判断料と併せて算定する。

第1節 病理標本作製料

N000 病理組織標本作製

(1) 病理組織標本作製について、次に掲げるものは、各区分ごとに1臓器として算定する。

ア 気管支及び肺臓

イ 食道

ウ 胃及び十二指腸

エ 小腸

オ 盲腸

カ 上行結腸、横行結腸及び下行結腸

キ S状結腸

ク 直腸

ケ 子宮体部及び子宮頸部

(2) 病理組織標本作製において、1臓器から多数のブロック、標本等を作製した場合であっても、1臓器の標本作製として算定する。

(3) 病理組織標本作製において、悪性腫瘍がある臓器又はその疑いがある臓器から多数のブロックを作製し、又は連続切片標本を作製した場合であっても、所定点数のみ算定する。

(4) 当該標本作製をヘリコバクター・ピロリ感染診断を目的に行う場合の保険診療上の取扱いについては、「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日保険発第180号)に即して行うこと。

N001 電子顕微鏡病理組織標本作製

(1) 電子顕微鏡病理組織標本作製は、腎組織、甲状腺腫を除く内分泌臓器の機能性腫瘍、異所性ホルモン産生腫瘍、軟部組織悪性腫瘍、ゴーシェ病等の脂質蓄積症、多糖体蓄積症等に対する生検及び心筋症に対する心筋生検の場合において、電子顕微鏡による病理診断のための病理組織標本を作製した場合に算定できる。

(2) 電子顕微鏡病理組織標本作製、区分番号「N000」病理組織標本作製、区分番号「N002」免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製のうち、いずれを算定した場合であっても、他の2つの項目を合わせて算定することができる。

N002 免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製

(1) 免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製は、病理組織標本を作製するにあたり免疫染色を行った場合に、方法(蛍光抗体法又は酵素抗体法)又は試薬の種類にかかわらず、1臓器につき1回のみ算定する。

(2) 免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製、区分番号「N000」病理組織標本作製又は区分番号「N001」電子顕微鏡病理組織標本作製のうち、いずれを算定した場合であっても、他の2つの項目を合わせて算定することができる。

(3) 「1」のエストロジェンレセプターの免疫染色と「2」のプロジェステロンレセプターの免疫染色を同一月に実施した場合は、いずれかの主たる病理組織標本作製の所定点数及び注に規定する加算のみを算定する。

(4) 「3」のHER2タンパクは、半定量検査又はEIA法(酵素免疫測定法)による検査を行った場合に限り算定する。

(5) 「注2」に規定する「確定診断のために4種類以上の抗体を用いた免疫染色が必要な患者」とは、悪性リンパ腫、悪性中皮腫、消化管間質腫瘍(GIST)、慢性腎炎、内分泌腫瘍又は軟部腫瘍が疑われる患者を指す。これらの疾患が疑われる患者であっても3種類以下の抗体で免疫染色を行った場合は、当該加算は算定できない。

N003 術中迅速病理組織標本作製

(1) 術中迅速病理組織標本作製は、手術の途中において迅速凍結切片等による標本作製及び鏡検を完了した場合において、1手術につき1回算定する。

なお、摘出した臓器について、術後に再確認のため精密な病理組織標本作製を行った場合は、区分番号「N000」病理組織標本作製の所定点数を別に算定する。

(2) テレパソロジーによる術中迅速病理組織標本作製を行った場合は、送信側の保険医療機関において術中迅速病理組織標本作製及び区分番号「N006」病理診断料の「1」を算定できる。受信側の保険医療機関における診断等に係る費用は、受信側、送信側の医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。

N003―2 術中迅速細胞診

(1) 術中迅速細胞診は、手術の途中において腹水及び胸水等の体腔液を検体として標本作製及び鏡検を完了した場合において、1手術につき1回算定する。

(2) テレパソロジーによる術中迅速細胞診を行った場合は、送信側の保険医療機関において術中迅速細胞診及び区分番号「N006」病理診断料の「2」を算定できる。受信側の保険医療機関における診断等に係る費用は、受信側、送信側の保険医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。

N004 細胞診

(1) 腟脂膏顕微鏡標本作製、胃液、腹腔穿刺液等の癌細胞標本作製及び眼科プロヴァツェク小体標本作製並びに天疱瘡におけるTzanck細胞の標本作製は、細胞診により算定する。

(2) 同一又は近接した部位より同時に数検体を採取して標本作製を行った場合であっても、1回として算定する。

(3) 「2」の「穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等」とは、喀痰細胞診、気管支洗浄細胞診、体腔液細胞診、体腔洗浄細胞診、体腔臓器擦過細胞診及び髄液細胞診等を指す。

N005 HER2遺伝子標本作製

HER2遺伝子標本作製は、乳癌の術後の患者又は乳癌の転移が確認された乳癌患者に対して、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体抗悪性腫瘍剤の投与の適応を判断することを目的として、FISH法により遺伝子増幅標本作製を行った場合に、当該抗悪性腫瘍剤の投与方針の決定までの間に1回を限度として算定する。

なお、本標本作製と区分番号「N002」免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製の「3」を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

第2節 病理診断・判断料

N006 病理診断料

(1) 病理診断料を算定できる保険医療機関は、年間の剖検数・生検数が十分にあること、剖検室等の設備や必要な機器等を備えていること、病理部門の要員を備えていること等を満たしていることが望ましい。

(2) 当該保険医療機関以外に勤務する病理診断を行う医師が、当該保険医療機関に出向いて病理診断を行った場合等、当該保険医療機関における勤務の実態がない場合においては、病理診断料は算定できない。

(3) 当該保険医療機関以外の医療機関(衛生検査所等を含む。)で作製した病理標本につき診断を行った場合には、月1回に限り所定点数を算定する。

なお、患者が当該傷病につき当該保険医療機関を受診していない場合(テレパソロジーによる術中迅速病理組織標本作製を行う場合を除く。)においては、療養の給付の対象とならない。

(4) 病理診断料が含まれない入院料を算定する病棟に入院中の患者に対して、病理診断料を算定する場合は、同一月内に当該患者が病理診断料が含まれる入院料を算定する病棟に転棟した場合であっても、当該病理診断料を請求することができる。

N007 病理判断料

病理判断料が含まれない入院料を算定する病棟に入院中の患者に対して、病理判断料を算定した場合は、同一月内に当該患者が病理判断料が含まれる入院料を算定する病棟に転棟した場合であっても、当該病理判断料を請求することができる。

第3章 介護老人保健施設入所者に係る診療料

<通則>

介護老人保健施設には常勤医師が配置されているので、比較的病状が安定している者に対する療養については、介護老人保健施設の医師が対応できることから、介護老人保健施設の入所者である患者(以下「施設入所者」という。)が、往診又は通院により受ける医療に係る診療料については、施設入所者以外の患者に対する算定方法とは別の算定方法を設けたものであり、施設入所者に対しては、第1章基本診療料又は第2章特掲診療料は適用せず、第3章介護老人保健施設入所者に係る診療料に規定するところによるものであること。

第1部 併設保険医療機関の療養又は医療に関する事項

併設保険医療機関とは、「併設保険医療機関の取扱いについて」(平成14年3月8日保医発第0308008号)に規定する保険医療機関をいう。

1 緊急時施設治療管理料

(1) 平成18年7月1日から平成24年3月31日までの間に介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)附則第13条に規定する転換を行って開設した介護老人保健施設(以下「介護療養型老健施設」という。)においては、従来の介護老人保健施設の入所者より必要な医療処置等の頻度が多い患者の割合が高いことから、緊急に医療処置等が必要となった場合にその費用について医療保険から給付をするものである。

(2) 介護療養型老健施設の併設保険医療機関の医師が、当該介護療養型老健施設に入所中の患者の緊急時に、当該介護療養型老健施設の医師の電話等による求めに応じ、夜間又は休日に緊急に往診を行った場合に算定する。ただし、患者1人につき1日1回、1月につき4回に限る。

(3) 患者の緊急時とは、次のいずれかの状態の患者に対して、当該介護療養型老健施設の医師が、医師による直接の処置等が必要と判断し、かつ、やむを得ない理由で対応できない場合のことをいう。

ア 意識障害又は昏睡

イ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪

ウ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

エ ショック

オ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

カ その他薬物中毒等で重篤なもの

(4) 併設保険医療機関の保険医が往診を行った場合には、往診を行った患者の状態、当該介護療養型老健施設の医師の氏名及び往診を行った日時について診療録に記載するとともに、診療報酬請求明細書の摘要欄に次の事項を記載すること。

ア 併設保険医療機関の保険医が往診を行った月に介護保険の緊急時施設療養費を算定した場合はその日時

イ 対象患者が当該介護療養型老健施設の入所者である旨の記載

2 施設入所者自己腹膜灌流薬剤料

(1) 施設入所者自己腹膜灌流薬剤料は、施設入所者が、自己連続携行式腹膜灌流を行っている場合に、その薬剤の費用を算定するものであること。

(2) 区分番号「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料の算定はできないものであること。

3 施設入所者材料料

(1) 施設入所者材料料は、第2章第2部第2節第1款の在宅療養指導管理料(以下単に「在宅療養指導管理料」という。)において算定することができるとされている特定保険医療材料及び同節第2款の各区分に規定する加算の費用を算定するものであること。

(2) 在宅療養指導管理料の各区分に規定する指導管理料は算定できないものであること。

(3) 施設入所者材料料の算定方法は、在宅療養指導管理料の算定方法の例によるものであること。

4 その他の診療料

(1) 施設入所者に対する診療料として併設保険医療機関が算定できるのは別紙のとおりであること。

(2) 特掲診療料の施設基準等第十六及び別表第十二に規定する検査等の取扱いによること。

(3) 算定できないものとされた診療料については、その診療に伴い使用した薬剤、保険医療材料の費用についても算定できないものであること(ただし、特掲診療料の施設基準等第十六の二及び三に掲げる内服薬、外用薬及び注射薬の費用は別に算定できる。)。また、算定できるものとされた診療料に伴い使用した薬剤、保険医療材料の費用については、第1章及び第2章の例により算定できるものであること。

第2部 併設保険医療機関以外の保険医療機関の療養に関する事項

1 施設入所者共同指導料

(1) 施設入所者共同指導料は、介護老人保健施設に入所中の患者の退所後の療養を担当する病院である保険医療機関の医師(以下「担当医」という。)が、介護老人保健施設に赴き、介護老人保健施設の医師と共同して、退所後の療養上必要な指導を行った場合に、1入所につき1回に限り算定できるものであること。

(2) 施設入所者共同指導料は、退所して家庭に復帰する予定の患者が算定の対象となるものであること。

(3) 施設入所者共同指導料は、特別養護老人ホーム等医師又は看護師等が配置されている施設に入所予定の患者は算定の対象としないものであること。

(4) 施設入所者共同指導料を算定した場合は、初診料、再診料、外来診療料、地域連携退院時共同指導料、往診料及び在宅患者訪問診療料は算定できないものであること。

(5) 施設入所者共同指導料を算定する場合においては、担当医は診療録に介護老人保健施設において行った指導の要点を記入すること。

(6) 特別の関係にある病院又は介護老人保健施設における算定は、行わないものであること。

2 施設入所者自己腹膜灌流薬剤料

(1) 施設入所者自己腹膜灌流薬剤料は、施設入所者が、自己連続携行式腹膜灌流を行っている場合に、その薬剤の費用を算定するものであること。

(2) 区分番号「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料の算定はできないものであること。

3 施設入所者材料料

(1) 施設入所者材料料は、在宅療養指導管理料において算定することができるとされている特定保険医療材料及び第2章第2部第2節第2款の各区分に規定する加算の費用を算定するものであること。

(2) 在宅療養指導管理料の各区分に規定する指導管理料は算定できないものであること。

(3) 施設入所者材料料の算定方法は、在宅療養指導管理料の算定方法の例によるものであること。

4 その他の診療料

(1) 施設入所者に対する診療料として併設保険医療機関以外の保険医療機関が算定できるのは別紙のとおりであること。

(2) 特掲診療料の施設基準等第十六及び別表第十二に規定する検査等の取扱いによること。

(3) 算定できないものとされた診療料については、その診療に伴い使用した薬剤、保険医療材料の費用についても算定できないものであること(ただし、特掲診療料の施設基準等第十六の二及び三に掲げる内服薬、外用薬及び注射薬の費用は別に算定できる。)。また、算定できるものとされた診療料に伴い使用した薬剤、保険医療材料の費用については、第1章及び第2章の例により算定できるものであること。

(別紙)

(算定できるものについては「○」、算定できないものについては「×」)

項目

小項目

併設保険医療機関

その他

基本診療料

初診料

×

 

再診料

×

 

外来診療料

×

特掲診療料

 

 

 

医学管理等

退院時共同指導料1

×

 

診療情報提供料(Ⅰ)(注4に限る。)

×

 

診療情報提供料(Ⅱ)

×

 

その他のもの

×

×

在宅医療

往診料

×

 

その他のもの

×

×

検査

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

 

その他のもの

画像診断

 

投薬

厚生労働大臣が定めるもの

 

その他のもの

×

×

注射

厚生労働大臣が定めるもの

 

その他のもの

×

×

リハビリテーション

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

 

その他のもの

精神科専門療法

 

×

×

処置

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

 

その他のもの

手術

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

 

その他のもの

麻酔

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

 

その他のもの

放射線治療

 

病理診断