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○診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について

(平成22年3月5日)

(保医発0305第1号)

(地方厚生(支)局医療課長・都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長・都道府県後期高齢者医療主管部(局)後期高齢者医療主管課(部)長あて厚生労働省保険局医療課長・厚生労働省保険局歯科医療管理官通知)

標記については、本日、「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(平成22年厚生労働省告示第69号)等が公布され、平成22年4月1日より適用されることとなったところであるが、実施に伴う留意事項は、医科診療報酬点数表については別添1、歯科診療報酬点数表については別添2及び調剤報酬点数表については別添3のとおりであるので、その取扱いに遺漏のないよう貴管下の保険医療機関及び審査支払機関に対し、周知徹底を図られたい。

従前の「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」(平成20年3月5日保医発第0305001号)は、平成22年3月31日限り廃止する。

別添1

医科診療報酬点数表に関する事項

<通則>

1 1人の患者について療養の給付に要する費用は、第1章基本診療料及び第2章特掲診療料又は第3章介護老人保健施設入所者に係る診療料の規定に基づき算定された点数の総計に10円を乗じて得た額とする。

2 基本診療料は、簡単な検査(例えば、血圧測定検査等)の費用、簡単な処置の費用等(入院の場合には皮内、皮下及び筋肉内注射及び静脈内注射の注射手技料等)を含んでいる。

3 特掲診療料は、特に規定する場合を除き、当該医療技術に伴い必要不可欠な衛生材料等の費用を含んでいる。

4 基本診療料に係る施設基準、届出等の取扱いについては、「基本診療料の施設基準等の一部を改正する件」(平成22年厚生労働省告示第72号)による改正後の「基本診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第62号)」に基づくものとし、その具体的な取扱いについては別途通知する。

5 特掲診療料に係る施設基準、届出等の取扱いについては、「特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件」(平成22年厚生労働省告示第73号)による改正後の「特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)」に基づくものとし、その具体的な取扱いについては別途通知する。

6 「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(平成22年厚生労働省告示第69号)による改正後の診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)及び本通知において規定する診療科については、医療法施行令(昭和23年政令第326号)及び医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)の規定に基づき、当該診療科名に他の事項を組み合わせて標榜する場合も含むものであること。

7 特掲診療料に掲げられている診療行為を行うに当たっては、医療安全の向上に資するため、当該診療行為を行う医師等の処遇を改善し負担を軽減する体制の確保に努めること。

第1章 基本診療料

第1部 初・再診料

<通則>

1 同一の保険医療機関(医科歯科併設の保険医療機関(歯科診療及び歯科診療以外の診療を併せて行う保険医療機関をいう。以下同じ。)を除く。)において、2以上の傷病に罹っている患者について、それぞれの傷病につき同時に初診又は再診を行った場合においても、初診料又は再診料(外来診療料を含む。)は1回に限り算定するものであること。

同一の保険医療機関において、2人以上の保険医(2以上の診療科にわたる場合も含む。)が初診又は再診を行った場合においても、同様であること。

ただし、初診料の注2のただし書に規定する同一保険医療機関において、同一日に他の傷病について、新たに別の医療法施行令第3条の2第1項及び第2項に規定する診療科(以下この部において単に「診療科」という。以下同じ。)を初診として受診した場合の2つ目の診療科については、この限りではない。

2 初診又は再診が行われた同一日であるか否かにかかわらず、当該初診又は再診に附随する一連の行為とみなされる次に掲げる場合には、これらに要する費用は当該初診料又は再診料若しくは外来診療料に含まれ、別に再診料又は外来診療料は算定できない。

ア 初診時又は再診時に行った検査、画像診断の結果のみを聞きに来た場合

イ 往診等の後に薬剤のみを取りに来た場合

ウ 初診又は再診の際検査、画像診断、手術等の必要を認めたが、一旦帰宅し、後刻又は後日検査、画像診断、手術等を受けに来た場合

3 医科歯科併設の保険医療機関において、医科診療に属する診療科に係る傷病につき入院中の患者が歯牙口腔の疾患のために歯科において初診若しくは再診を受けた場合、又は歯科診療に係る傷病につき入院中の患者が他の傷病により医科診療に属する診療科において初診若しくは再診を受けた場合等、医科診療と歯科診療の両者にまたがる場合は、それぞれの診療科において初診料又は再診料(外来診療料を含む。)を算定することができる。

ただし、同一の傷病又は互いに関連のある傷病により、医科と歯科を併せて受診した場合には、主たる診療科においてのみ初診料又は再診料(外来診療料を含む。)を算定する。

4 医療法(昭和23年法律第205号)に規定する病床に入院(当該入院についてその理由等は問わない。)している期間中にあっては、再診料(外来診療料を含む。)は算定できない。また、入院中の患者が当該入院の原因となった傷病につき、診療を受けた診療科以外の診療科で、入院の原因となった傷病以外の傷病につき再診を受けた場合においても、再診料(外来診療料を含む。)は算定できない。なお、この場合において、再診料(外来診療料を含む。)以外の検査、治療等の費用の請求については、診療報酬明細書は入院用を用いること。

第1節 初診料

A000 初診料

(1) 特に初診料が算定できない旨の規定がある場合を除き、患者の傷病について医学的に初診といわれる診療行為があった場合に、初診料を算定する。なお、同一の保険医が別の医療機関において、同一の患者について診療を行った場合は、最初に診療を行った医療機関において初診料を算定する。

(2) 患者が異和を訴え診療を求めた場合において、診断の結果、疾病と認むべき徴候のない場合にあっても初診料を算定できる。

(3) 自他覚的症状がなく健康診断を目的とする受診により疾患が発見された患者について、当該保険医が、特に治療の必要性を認め治療を開始した場合には、初診料は算定できない。

ただし、当該治療(初診を除く。)については、医療保険給付対象として診療報酬を算定できること。

(4) (3)にかかわらず、健康診断で疾患が発見された患者が、疾患を発見した保険医以外の保険医(当該疾患を発見した保険医の属する保険医療機関の保険医を除く。)において治療を開始した場合には、初診料を算定できる。

(5) 労災保険、健康診断、自費等(医療保険給付対象外)により傷病の治療を入院外で受けている期間中又は医療法に規定する病床に入院(当該入院についてその理由等は問わない。)している期間中にあっては、当該保険医療機関において医療保険給付対象となる診療を受けた場合においても、初診料は算定できない。

(6) 現に診療継続中の患者につき、新たに発生した他の傷病で初診を行った場合には、当該新たに発生した傷病について初診料は算定できない。

ただし、「注2」のただし書に規定する同一保険医療機関において、同一日に他の傷病(1つ目の診療科で診療を受けた疾病又は診療継続中の疾病と同一の疾病又は互いに関連のある疾病以外の疾病のことをいう。以下同じ。)について、新たに別の診療科(医療法上の標榜診療科のことをいう。)を初診として受診した場合(1つ目の診療科の保険医と同一の保険医から診察を受けた場合を除く。)は、現に診療継続中の診療科を除く診療科1つに限り、同ただし書の所定点数を算定できる。また、診療継続中以外の患者であって、同一日に他の傷病で2以上の診療科を初診として受診する場合においても、2つ目の診療科に限り、同ただし書の所定点数を算定できる。この場合において、「注3」から「注7」までに規定する加算は、算定できない。なお、患者が専門性の高い診療科を適切に受診できるよう保険医療機関が設置した総合外来等については、診療科とみなさず、総合外来等を受診後、新たに別の診療科を受診した場合であっても同ただし書の所定点数は算定できない。

(7) 患者が任意に診療を中止し、1月以上経過した後、再び同一の保険医療機関において診療を受ける場合には、その診療が同一病名又は同一症状によるものであっても、その際の診療は、初診として取り扱う。なお、この場合において、1月の期間の計算は、暦月によるものであり、例えば、2月10日~3月9日、9月15日~10月14日等と計算する。

(8) (7)にかかわらず、慢性疾患等明らかに同一の疾病又は負傷であると推定される場合の診療は、初診として取り扱わない。

(9) A保険医療機関には、検査又は画像診断の設備がないため、B保険医療機関(特別の関係にあるものを除く。)に対して、診療状況を示す文書を添えてその実施を依頼した場合には、次のように取り扱うものとする。(区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)の(5)~(7)を参照。)

ア B保険医療機関が単に検査又は画像診断の設備の提供にとどまる場合

B保険医療機関においては、診療情報提供料、初診料、検査料、画像診断料等は算定できない。なお、この場合、検査料、画像診断料等を算定するA保険医療機関との間で合議の上、費用の精算を行うものとする。

イ B保険医療機関が、検査又は画像診断の判読も含めて依頼を受けた場合

B保険医療機関においては、初診料、検査料、画像診断料等を算定できる。

(10) 乳幼児加算

初診料を算定しない場合には、特に規定する場合を除き、「注3」の乳幼児加算は、算定できない。

(11) 時間外加算

ア 各都道府県における医療機関の診療時間の実態、患者の受診上の便宜等を考慮して一定の時間以外の時間をもって時間外として取り扱うこととし、その標準は、概ね午前8時前と午後6時以降(土曜日の場合は、午前8時前と正午以降)及び休日加算の対象となる休日以外の日を終日休診日とする保険医療機関における当該休診日とする。

ただし、午前中及び午後6時以降を診療時間とする保険医療機関等、当該標準によることが困難な保険医療機関については、その表示する診療時間以外の時間をもって時間外として取り扱うものとする。

イ アにより時間外とされる場合においても、当該保険医療機関が常態として診療応需の態勢をとり、診療時間内と同様の取扱いで診療を行っているときは、時間外の取扱いとはしない。

ウ 保険医療機関は診療時間をわかりやすい場所に表示する。

エ 時間外加算は、保険医療機関の都合(やむを得ない事情の場合を除く。)により時間外に診療が開始された場合は算定できない。

オ 時間外加算を算定する場合には、休日加算、深夜加算、時間外加算の特例又は夜間・早朝等加算については、算定しない。

(12) 休日加算

ア 休日加算の対象となる休日とは、日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日をいう。なお、1月2日及び3日並びに12月29日、30日及び31日は、休日として取り扱う。

イ 休日加算は次の患者について算定できるものとする。

(イ) 客観的に休日における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関を受診した患者

① 地域医療支援病院(医療法第4条第1項に規定する地域医療支援病院)

② 救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)に基づき認定された救急病院又は救急診療所

③ 「救急医療対策の整備事業について」(昭和52年医発第692号)に規定された保険医療機関又は地方自治体等の実施する救急医療対策事業の一環として位置づけられている保険医療機関

(ロ) 当該休日を休診日とする保険医療機関に、又は当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間以外の時間に、急病等やむを得ない理由により受診した患者(上記(イ)以外の理由により常態として又は臨時に当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間内に受診した患者を除く。)

ウ 休日加算を算定する場合には、時間外加算、深夜加算、時間外加算の特例又は夜間・早朝等加算については、算定しない。

(13) 深夜加算

ア 深夜加算は、初診が深夜に開始された場合に算定する。ただし、保険医療機関の都合(やむを得ない事情の場合を除く。)により深夜に診療が開始された場合は算定できない。なお、深夜とは、いずれの季節においても午後10時から午前6時までの間をいう。

イ いわゆる夜間開業の保険医療機関において、当該保険医療機関の診療時間又は診療態勢が午後10時から午前6時までの間と重複している場合には、当該重複している時間帯における診療については深夜加算は認められない。

ウ 深夜加算は、次の患者について算定できるものとする。

(イ) 客観的に深夜における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関を受診した患者

① 地域医療支援病院(医療法第4条第1項に規定する地域医療支援病院)

② 救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院又は救急診療所

③ 「救急医療対策の整備事業について」に規定された保険医療機関又は地方自治体等の実施する救急医療対策事業の一環として位置づけられている保険医療機関

(ロ) 自己の表示する診療時間が深夜を含んでいない保険医療機関に、又は自己の表示する診療時間が深夜にまで及んでいる保険医療機関の当該表示する診療時間と重複していない深夜に、急病等やむを得ない理由により受診した患者(上記(イ)以外の理由により常態として又は臨時に当該深夜時間帯を診療時間としている保険医療機関に受診した患者を除く。)

エ 深夜加算を算定する場合には、時間外加算、休日加算、時間外加算の特例又は夜間・早朝等加算については、算定しない。

(14) 時間外加算の特例

ア 当該特例の適用を受ける保険医療機関(以下「時間外特例医療機関」という。)とは、客観的に専ら夜間における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関であって、医療法第30条の3の規定に基づき都道府県が作成する医療計画に記載されている救急医療機関をいう。

① 地域医療支援病院(医療法第4条第1項に規定する地域医療支援病院)

② 救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院又は救急診療所

③ 「救急医療対策の整備事業について」に規定された病院群輪番制病院、病院群輪番制に参加している有床診療所又は共同利用型病院

イ 別に厚生労働大臣が定める時間とは、当該地域において一般の保険医療機関が概ね診療応需の態勢を解除した後、翌日に診療応需の態勢を再開するまでの時間(深夜及び休日を除く。)とし、その標準は、概ね午前8時前と午後6時以降(土曜日の場合は、午前8時前と正午以降)から、午後10時から午前6時までの間を除いた時間とする。

ウ 時間外特例医療機関において、休日加算又は深夜加算に該当する場合においては、時間外加算の特例を算定せず、それぞれ休日加算、深夜加算を算定する。また、時間外加算の特例を算定する場合には、時間外加算又は夜間・早朝等加算は算定しない。

(15) 小児科(小児外科を含む。以下この部において同じ。)を標榜する保険医療機関における夜間、休日又は深夜の診療に係る特例

ア 夜間、休日及び深夜における小児診療体制の一層の確保を目的として、小児科を標榜する保険医療機関(小児科以外の診療科を併せて有する保険医療機関を含む。)について、6歳未満の乳幼児に対し、夜間、休日又は深夜を診療時間とする保険医療機関において夜間、休日又は深夜に診療が行われた場合にも、それぞれ時間外加算、休日加算又は深夜加算を算定できることとするものである。なお、診療を行う保険医が、小児科以外を担当する保険医であっても算定できるものであること。

イ 夜間であって別に厚生労働大臣が定める時間とは、当該地域において一般の保険医療機関が概ね診療応需の態勢を解除した後、翌日に診療応需の態勢を再開するまでの時間(深夜及び休日を除く。)とし、その標準は、概ね午前8時前と午後6時以降(土曜日の場合は、午前8時前と正午以降)から、午後10時から午前6時までの間を除いた時間とする。

ウ 休日加算の対象となる休日、深夜加算の対象となる深夜の基準は、「注4」に係る休日、深夜の基準の例によるものとする。

エ 時間外加算、休日加算、深夜加算及び夜間・早朝等加算の併算定に係る取扱いは、「注4」の場合と同様である。

(16) 夜間・早朝等加算

ア 夜間・早朝等加算は、病院勤務医の負担の軽減を図るため、軽症の救急患者を地域の身近な診療所において受け止めることが進むよう、診療所の夜間・早朝等の時間帯における診療を評価するものである。

イ 表示する診療時間とは、保険医療機関が診療時間として地域に周知している時間であって、来院した患者を常に診療できる体制にある時間又は計画的に訪問診療を行う時間をいう。この場合において、患者が来院したとしても、診療を受けることのできない時間(定期的に学校医、産業医の業務として保険医療機関を不在とする時間や、地域活動や地域行事に出席するとして保険医療機関を不在とする時間を含む。)は表示する診療時間に含まない。また、診療時間として表示している時間であっても、訪問診療に要する時間以外に、常態として当該保険医療機関に医師が不在となる場合は、表示する診療時間に含めない。

ウ 夜間・早朝等とは、午後6時(土曜日にあっては正午)から午前8時までの間(深夜(午後10時から午前6時までの間)及び休日を除く。)、休日又は深夜であって、当該保険医療機関が表示する診療時間内の時間とする。

エ 区分番号「C000」往診料を算定した場合にも、初診料に加えて夜間・早朝等加算を算定できる。

オ 夜間・早朝等加算は、当該加算の算定対象となる時間に受付を行った患者について算定するものであり、多数の患者の来院による混雑や、保険医療機関の都合(やむを得ない事情の場合を除く。)により当該加算の算定対象となる時間に診療が開始された場合は算定できない。

カ 診療所の夜間・早朝等の時間帯の診療を評価した夜間・早朝等加算は、主として、保険医療機関が診療応需の態勢を解いた後において、急患等やむを得ない事由により診療を求められた場合には再び診療を行う態勢を準備しなければならないことを考慮して設けられている時間外加算、深夜加算、休日加算とは明確に区分されるものである。

キ 区分番号「D282―3」コンタクトレンズ検査料、区分番号「I010」精神科ナイト・ケア、区分番号「J038」人工腎臓の注1に規定する加算又は区分番号「J038―2」持続緩徐式血液濾過の注1に規定する加算を算定する場合においては、夜間・早朝等加算は算定しない。

第2節 再診料

A001 再診料

(1) 再診料は、診療所又は一般病床の病床数が200床未満の病院において、再診の都度(同一日において2以上の再診があってもその都度)算定できる。ただし、2以上の傷病について同時に再診を行った場合の再診料は、当該1日につき1回に限り算定する。

(2) A傷病について診療継続中の患者が、B傷病に罹り、B傷病について初診があった場合、当該初診については、初診料は算定できないが、再診料を算定できる。

(3) 再診料における時間外加算、休日加算、深夜加算、時間外特例加算及び夜間・早朝等加算の取扱いは、初診料の場合と同様である。

(4) 外来管理加算

ア 外来管理加算は、処置、リハビリテーション等(診療報酬点数のあるものに限る。)を行わずに計画的な医学管理を行った場合に算定できるものである。

イ 外来管理加算を算定するに当たっては、医師は丁寧な問診と詳細な身体診察(視診、聴診、打診及び触診等)を行い、それらの結果を踏まえて、患者に対して症状の再確認を行いつつ、病状や療養上の注意点等を懇切丁寧に説明するとともに、患者の療養上の疑問や不安を解消するため次の取組を行う。

[提供される診療内容の事例]

1 問診し、患者の訴えを総括する。

「今日伺ったお話では、『前回処方した薬を飲んで、熱は下がったけれど、咳が続き、痰の切れが悪い。』ということですね。」

2 身体診察によって得られた所見及びその所見に基づく医学的判断等の説明を行う。

「診察した結果、頸のリンパ節やのどの腫れは良くなっていますし、胸の音も問題ありません。前回に比べて、ずいぶん良くなっていますね。」

3 これまでの治療経過を踏まえた、療養上の注意等の説明・指導を行う。

「先日の発熱と咳や痰は、ウイルスによる風邪の症状だと考えられますが、○○さんはタバコを吸っているために、のどの粘膜が過敏で、ちょっとした刺激で咳が出やすく、痰がなかなか切れなくなっているようです。症状が落ち着くまで、しばらくの間はタバコを控えて、部屋を十分に加湿し、外出するときにはマスクをした方が良いですよ。」

4 患者の潜在的な疑問や不安等を汲み取る取組を行う。

「他に分からないことや、気になること、ご心配なことはありませんか。」

ウ 診察に当たっては、イに規定する項目のうち、患者の状態等から必要と思われるものを行うこととし、必ずしも全ての項目を満たす必要はない。また、患者からの聴取事項や診察所見の要点を診療録に記載する。

エ 外来管理加算は、標榜する診療科に関係なく算定できる。ただし、複数科を標榜する保険医療機関において、外来患者が2以上の傷病で複数科を受診し、一方の科で処置又は手術等を行った場合は、他科においては外来管理加算は算定できない。

オ 区分番号「C000」往診料を算定した場合にも、再診料に加えて外来管理加算を算定できる。

カ 投薬は本来直接本人を診察した上で適切な薬剤を投与すべきであるが、やむを得ない事情で看護に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合においても、再診料は算定できるが、外来管理加算は算定できない。また、多忙等を理由に、ウに該当する診療行為を行わず、簡単な症状の確認等を行ったのみで継続処方を行った場合にあっては、再診料は算定できるが、外来管理加算は算定できない。

キ 「注6」の厚生労働大臣が別に定める検査とは、第2章第3部第3節生体検査料のうち、次の各区分に掲げるものをいう。

超音波検査等

脳波検査等

神経・筋検査

耳鼻咽喉科学的検査

眼科学的検査

負荷試験等

ラジオアイソトープを用いた諸検査

内視鏡検査

(5) 電話等による再診

ア 当該保険医療機関で初診を受けた患者について、再診以後、当該患者又はその看護に当たっている者から直接又は間接(電話、テレビ画像等による場合を含む。)に、治療上の意見を求められた場合に、必要な指示をしたときには、再診料を算定できる。

イ 電話、テレビ画像等を通した再診(聴覚障害者以外の患者に係る再診については、ファクシミリ又は電子メール等によるものは含まない。)については、患者の病状の変化に応じ療養について医師の指示を受ける必要のある場合であって、当該患者又はその看護に当たっている者からの医学的な意見の求めに対し治療上必要な適切な指示をした場合に限り算定する。ただし、電話、テレビ画像等を通した指示等が、同一日における初診又は再診に附随する一連の行為とみなされる場合、時間おきに病状の報告を受ける内容のものである場合等には、再診料を算定できない。また、ファクシミリ又は電子メール等による再診については、再診の求めに速やかに応じた場合に限り算定できるものとし、この場合においては、診療録に当該ファクシミリ等の送受信の時刻を記載するとともに、当該ファクシミリ等の写しを貼付すること。

ウ 乳幼児の看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示した場合は、「注2」の乳幼児加算を算定する。

エ 時間外加算を算定すべき時間、休日、深夜又は夜間・早朝等に患者又はその看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示した場合は、時間外加算、休日加算、深夜加算又は夜間・早朝等加算を算定する。ただし、ファクシミリ又は電子メール等による再診については、これらの加算は算定できない。

(6) 地域医療貢献加算

ア 地域医療貢献加算は、地域の身近な診療所において、患者からの休日・夜間等の問い合わせや受診に対応することにより、休日・夜間に病院を受診する軽症患者の減少、ひいては病院勤務医の負担軽減につながるような取組を評価するものである。

イ 当該加算を算定するに当たっては、当該保険医療機関は、緊急時の対応体制や連絡先等について、院内掲示、連絡先を記載した文書の交付、診察券への記載等の方法により患者に対して周知すること。

ウ 標榜時間外であっても、緊急病変時等において、患者から直接又は間接(電話、テレビ映像等による場合)に問い合わせがあった場合には、患者に対して必要な指導を行うこと。患者に周知している電話連絡先が診療所の場合には、転送可能な体制を取るなど、原則として常に電話に応じること。なお、やむを得ない事由により、電話等による問い合わせに応じることができなかった場合には、留守番電話等により対応した上で、速やかに患者に連絡を取ること。

エ 電話等による相談の結果、緊急の対応が必要と判断された場合には、外来診療、往診、他の医療機関との連携又は緊急搬送等の医学的に必要と思われる対応を行うこと。

オ なお、電話再診の場合であっても、地域医療貢献加算の算定が可能であること。

(7) 健康保険法(大正11年法律第70号)における療養の給付又は高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)における療養の給付と労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)における療養補償給付を同時に受けている場合の再診料(外来診療料を含む。)は、主たる疾病の再診料(外来診療料を含む。)として算定する。なお、入院料及び往診料は、当該入院あるいは往診を必要とした疾病に係るものとして算定する。

A002 外来診療料

(1) 外来診療料は、医療機関間の機能分担の明確化、請求の簡素化を目的として設定されたものであり、一般病床の病床数が200床以上の病院において算定する。

(2) 外来診療料の取扱いについては、再診料の場合と同様である。ただし、電話等による再診料及び外来管理加算は算定できない。

(3) 包括されている検査項目に係る検査の部の款及び注に規定する加算は、別に算定できない。ただし、検査の部の第1節第1款検体検査実施料の通則3に規定する加算は、検査の部において算定することができる。

(4) 外来診療料には、包括されている検査項目に係る判断料が含まれず、別に算定できる。なお、当該検査項目が属する区分(尿・糞便等検査判断料又は血液学的検査判断料の2区分)の判断料について、当該区分に属する検査項目のいずれをも行わなかった場合は、当該判断料は算定できない。

(5) 外来診療料には、包括されている処置項目に係る薬剤料及び特定保険医療材料料は含まれず、処置の部の薬剤料及び特定保険医療材料料の定めるところにより別に算定できる。また、熱傷に対する処置についても別に算定できる。

(6) 爪甲除去(麻酔を要しないもの)、穿刺排膿後薬液注入、後部尿道洗浄(ウルツマン)、義眼処置、矯正固定、変形機械矯正術、腰部又は胸部固定帯固定、低出力レーザー照射及び肛門処置は外来診療料に含まれ別に算定できない。

第2部 入院料等

<通則>

1 入院基本料、特定入院料及び短期滞在手術基本料は、基本的な入院医療の体制を評価するものであり、療養環境(寝具等を含む。)の提供、看護師等の確保及び医学的管理の確保等については、医療法の定めるところによる他、「病院、診療所等の業務委託について(平成5年2月15日指第14号)」等に従い、適切に実施するものとし、これに要する費用は、特に規定する場合を除き、入院基本料、特定入院料及び短期滞在手術基本料に含まれる。

2 1に規定する他、寝具等について次の基準のいずれかに該当しない場合には、入院基本料、特定入院料、短期滞在手術基本料は算定できない。

(1) 患者の状態に応じて寝具類が随時利用できるよう用意されていること。なお、具備されるべき寝具は、敷布団(マットレスパッドを含む。)、掛布団(毛布、タオルケット、綿毛布を含む。)、シーツ類、枕、枕覆等である。

(2) 寝具類が常時清潔な状態で確保されていること。シーツ類は、週1回以上の交換がなされていること。

(3) 消毒は必要の都度行われていること。

3 入院期間の確認について(入院料の支払要件)

(1) 保険医療機関の確認等

ア 保険医療機関は、患者の入院に際し、患者又はその家族等に対して当該患者の過去3か月以内の入院の有無を確認すること。過去3か月以内に入院がある場合は、入院の理由を確認すること。同一傷病による入院である場合には前保険医療機関における入院期間、算定入院基本料等及び入院に係る傷病名を当該患者の前保険医療機関又は保険者に照会し、当該保険医療機関の入院初日に追加される選定療養に係る入院期間及び当該患者の入院が選定療養に該当するか否かを確認すること。

イ 保険医療機関は、当該患者の退院に際しては、他保険医療機関からの当該患者の入院履歴に係る問い合わせに対し速やかに対応できるよう必要な体制を整えておくこと。円滑な運用のために別紙様式1又はこれに準ずる様式による文書を退院証明書として患者に渡すことが望ましい。

ウ ア、イに定める確認等を怠っている場合は、入院料は算定できないものであること。

(2) 入院患者の申告等

患者は、入院に際しては、保険医療機関からの求めに応じ、自己の入院履歴を申告すること。なお、虚偽の申告等を行った場合は、それにより発生する損失について、後日費用徴収が行われる可能性があるものである。

4 1日入院

眼科、耳鼻科等において手術を行い、同一の日に入院及び退院した場合、医師が入院の必要を認めて病室に入院させて入院医療が行われた場合にあっては、入院基本料又は特定入院料を算定できるが、単なる覚醒、休養等の目的で入院させた場合は、入院基本料又は特定入院料は算定しない。なお、短期滞在手術基本料については、第4節に規定するところによる。

5 入院中の患者の他医療機関への受診

(1) 入院中の患者が、当該入院の原因となった傷病以外の傷病に罹患し、入院している保険医療機関(以下本項において「入院医療機関」という。)以外での診療の必要が生じた場合は、他の保険医療機関(以下本項において「他医療機関」という。)へ転医又は対診を求めることを原則とする。

(2) 入院中の患者に対し他医療機関での診療が必要となり、当該入院中の患者が他医療機関を受診した場合(当該入院医療機関にて診療を行うことができない専門的な診療が必要となった場合等のやむを得ない場合に限る。)は、他医療機関において当該診療に係る費用を算定することができる。ただし、短期滞在手術基本料2及び3、医学管理等(診療情報提供料は除く。)、在宅医療、投薬、注射(当該専門的な診療に特有な薬剤を用いた受診日の投薬又は注射に係る費用を除き、処方料、処方せん料及び外来化学療法加算を含む。)及びリハビリテーション(言語聴覚療法に係る疾患別リハビリテーション料を除く。)に係る費用は算定できない。

(3) (2)の規定により入院中の患者が他医療機関を受診する場合には、入院医療機関は、当該他医療機関に対し、当該診療に必要な診療情報(当該入院医療機関での算定入院料及び必要な診療科を含む。)を文書により提供する(これらに要する費用は患者の入院している保険医療機関が負担するものとする。)とともに、診療録にその写しを添付すること。

(4) (2)の規定により入院中の患者が他医療機関を受診する日の入院医療機関における診療報酬の算定については、以下のとおりとすること。この場合において、1点未満の端数があるときは、小数点以下第一位を四捨五入して計算すること。

ア 入院医療機関において、当該患者が出来高入院料を算定している場合は、出来高入院料は当該出来高入院料の基本点数の30%を控除した点数にすること。

イ 入院医療機関において、当該患者が特定入院料、療養病棟入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料又は特定入院基本料(以下、通則において「特定入院料等」という。)を算定している場合であって、当該他医療機関において特定入院料等に含まれる診療に係る費用(特掲診療料に限る。)を算定する場合は、特定入院料等は、当該特定入院料等の基本点数の70%を控除した点数により算定すること。

ウ 入院医療機関において、当該患者が特定入院料等を算定している場合であって、当該他医療機関において特定入院料等に含まれる診療に係る費用(特掲診療料に限る。)を算定しない場合は、特定入院料等は、当該特定入院料等の基本点数の30%を控除した点数により算定すること。

(5) 他医療機関において診療を行った場合には、入院医療機関から提供される当該患者に係る診療情報に係る文書を診療録に添付するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に「入院医療機関名」、「当該患者の算定する入院料」、「受診した理由」、「診療科」及び「((他))(受診日数:○日)」を記載すること。

(6) 入院医療機関においては、診療報酬明細書の摘要欄に、「他医療機関を受診した理由」、「診療科」及び「((他))(受診日数:○日)」を記載すること。ただし、特定入院料等を30%減算する場合には、他医療機関のレセプトの写しを添付すること。

6 外泊期間中の入院料等

(1) 入院患者の外泊期間中の入院料等については、入院基本料(療養病棟入院基本料を算定する療養病棟にあっては、外泊前日の入院基本料)の基本点数の15%又は特定入院料の15%を算定するが、精神及び行動の障害の患者について治療のために外泊を行わせる場合は更に15%を算定できる。ただし、入院基本料の基本点数又は特定入院料の30%を算定することができる期間は、連続して3日以内に限り、かつ月(同一暦月)6日以内に限る。

外泊中の入院料等を算定する場合においては、その点数に1点未満の端数があるときは、小数点以下第一位を四捨五入して計算するものとする。

なお、当該外泊期間は、7の入院期間に算入する。

(2) 入院中の患者が在宅医療に備えて一時的に外泊するに際して、当該在宅医療に関する指導管理が行われた場合は、(1)に規定する点数に加えて、区分番号C100に掲げる退院前在宅療養指導管理料を、外泊初日に1回に限り算定できる。

7 入院期間の計算

(1) 入院の日とは、入院患者の保険種別変更等の如何を問わず、当該保険医療機関に入院した日をいい、保険医療機関ごとに起算する。

また、A傷病により入院中の患者がB傷病に罹り、B傷病についても入院の必要がある場合(例えば、結核で入院中の患者が虫垂炎で手術を受けた場合等)又はA傷病が退院できる程度に軽快した際に他の傷病に罹り入院の必要が生じた場合においても、入院期間はA傷病で入院した日を起算日とする。

(2) (1)にかかわらず、保険医療機関を退院後、同一傷病により当該保険医療機関又は当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関に入院した場合の入院期間は、当該保険医療機関の初回入院日を起算日として計算する。

ただし、次のいずれかに該当する場合は、新たな入院日を起算日とする。

ア 1傷病により入院した患者が退院後、一旦治癒し若しくは治癒に近い状態までになり、その後再発して当該保険医療機関又は当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関に入院した場合

イ 退院の日から起算して3月以上(悪性腫瘍又は「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)の別紙の第3に掲げる疾患に罹患している患者については1月以上)の期間、同一傷病について、いずれの保険医療機関に入院又は介護老人保健施設に入所(短期入所療養介護費を算定すべき入所を除く。)することなく経過した後に、当該保険医療機関又は当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関に入院した場合

(3) 「特別の関係」とは、次に掲げる関係をいう。

ア 当該保険医療機関等と他の保険医療機関等の関係が以下のいずれかに該当する場合に、当該保険医療機関等と当該他の保険医療機関等は特別の関係にあると認められる。

(イ) 当該保険医療機関等の開設者が、当該他の保険医療機関等の開設者と同一の場合

(ロ) 当該保険医療機関等の代表者が、当該他の保険医療機関等の代表者と同一の場合

(ハ) 当該保険医療機関等の代表者が、当該他の保険医療機関等の代表者の親族等の場合

(ニ) 当該保険医療機関等の理事・監事・評議員その他の役員等のうち、当該他の保険医療機関等の役員等の親族等の占める割合が10分の3を超える場合

(ホ) (イ)から(ニ)までに掲げる場合に準ずる場合(人事、資金等の関係を通じて、当該保険医療機関等が、当該他の保険医療機関等の経営方針に対して重要な影響を与えることができると認められる場合に限る。)

イ 「保険医療機関等」とは、保険医療機関である病院若しくは診療所、介護老人保健施設又は指定訪問看護事業者をいう。

ウ 「親族等」とは、親族関係を有する者及び以下に掲げる者をいう。

(イ) 事実上婚姻関係と同様の事情にある者

(ロ) 使用人及び使用人以外の者で当該役員等から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの

(ハ) (イ)又は(ロ)に掲げる者の親族でこれらの者と生計を一にしているもの

8 病棟移動時の入院料

同一保険医療機関内の病棟(病室及び治療室を含む。)から病棟(病室及び治療室を含む。)に移動した日の入院料の算定については、移動先の病棟(病室及び治療室を含む。)の入院料(入院基本料又は特定入院料)を算定する。

9 退院時処方に係る薬剤料の取扱い

投薬に係る費用が包括されている入院基本料(療養病棟入院基本料等)又は特定入院料(特殊疾患病棟入院料等)を算定している患者に対して、退院時に退院後に在宅において使用するための薬剤(在宅医療に係る薬剤を除く。)を投与した場合は、当該薬剤に係る費用(薬剤料に限る。)は、算定できる。

10 定数超過入院に該当する保険医療機関、医療法に定める人員標準を著しく下回る保険医療機関の取扱いについては、「厚生労働大臣の定める入院患者数の基準及び医師等の員数の基準並びに入院基本料の算定方法(平成18年厚生労働省告示第104号)」に基づくものとし、その具体的な取扱いについては別途通知する。

11 入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理体制及び褥瘡対策について、別に厚生労働大臣が定める基準に適合している場合に限り入院基本料(特別入院基本料(7対1特別入院基本料及び10対1特別入院基本料を含む。)及び特定入院基本料を含む。)、特定入院料又は短期滞在手術基本料3の算定を行うものであり、基準に適合していることを示す資料等を整備しておく必要がある。

12 救急患者として受け入れた患者が、処置室、手術室等において死亡した場合は、当該保険医療機関が救急医療を担う施設として確保することとされている専用病床(区分番号「A205」救急医療管理加算・乳幼児救急医療管理加算又は区分番号「A300」救命救急入院料を算定する病床に限る。)に入院したものとみなすものであること。

第1節 入院基本料

A100 一般病棟入院基本料

(1) 一般病棟入院基本料は、「注1」の入院基本料及び「注2」の特別入院基本料(7対1特別入院基本料及び10対1特別入院基本料を含む。)から構成され、「注1」の入院基本料については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た一般病棟に入院している患者について、7対1入院基本料等の各区分の所定点数を算定し、「注2」の特別入院基本料については、届け出た一般病棟に入院している患者について算定する。

(2) 当該保険医療機関において複数の一般病棟がある場合には、当該病棟のうち、障害者施設等入院基本料等又は特殊疾患病棟入院料等の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟以外の病棟については、同じ区分の一般病棟入院基本料を算定するものとする。

(3) 「注3」の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に定める起算日とする。

(4) 「注4」に規定する一般病棟看護必要度評価加算は、10対1入院基本料を算定する病棟であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす病棟に入院しており、看護必要度の測定が行われた患者について算定すること。

(5) 「注5」に規定する特定患者は、特定入院基本料(928点又は790点)を算定すること。

(6) 特定患者とは、90日を超える期間、同一の保険医療機関(特別の関係にある保険医療機関を含む。)の一般病棟に入院している患者であって、当該90日を経過する日の属する月(90日経過後にあってはその後の各月とする。以下、下の表において単に「月」という。)に下の表の左欄に掲げる状態等にあって、中欄の診療報酬点数に係る療養のいずれかについて、右欄に定める期間等において実施している患者(以下「基本料算定患者」という。)以外のものをいう。

なお、左欄に掲げる状態等にある患者が、退院、転棟又は死亡により右欄に定める実施の期間等を満たさない場合においては、当該月の前月に基本料算定患者であった場合に限り、当該月においても同様に取り扱うこととする。

状態等

診療報酬点数

実施の期間等

1 難病患者等入院診療加算を算定する患者

難病患者等入院診療加算

当該加算を算定している期間

2 重症者等療養環境特別加算を算定する患者

重症者等療養環境特別加算

当該加算を算定している期間

3 重度の肢体不自由者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。)、脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。)、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者及び難病患者等(※1参照)

左欄の状態にある期間

4 悪性新生物に対する治療(重篤な副作用のおそれがあるもの等に限る。)を実施している状態(※2参照)

動脈注射

左欄治療により、集中的な入院加療を要する期間

抗悪性腫瘍剤局所持続注入

点滴注射

 

中心静脈注射

 

 

骨髄内注射

 

 

放射線治療(エックス線表在治療又は血液照射を除く。)

 

5 観血的動脈圧測定を実施している状態

観血的動脈圧測定

当該月において2日以上実施していること

6 リハビリテーションを実施している状態(患者の入院の日から起算して180日までの間に限る。)

心大血管疾患リハビリテーション、脳血管疾患等リハビリテーション、運動器リハビリテーション及び呼吸器リハビリテーション

週3回以上実施している週が、当該月において2週以上であること

7 ドレーン法若しくは胸腔又は腹腔の洗浄を実施している状態(※3参照)

ドレーン法(ドレナージ)

当該月において2週以上実施していること

胸腔穿刺

腹腔穿刺

 

8 頻回に喀痰吸引・排出を実施している状態(※3参照)

喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出

1日に8回以上(夜間を含め約3時間に1回程度)実施している日が、当該月において20日以上であること

気管支カテーテル薬液注入法

9 人工呼吸器を使用している状態

間歇的陽圧吸入法、体外式陰圧人工呼吸器治療

当該月において1週以上使用していること

人工呼吸

10 人工腎臓、持続緩徐式血液濾過又は血漿交換療法を実施している状態

人工腎臓、持続緩徐式血液濾過

各週2日以上実施していること

血漿交換療法

当該月において2日以上実施していること

11 全身麻酔その他これに準ずる麻酔を用いる手術を実施し、当該疾病に係る治療を継続している状態(当該手術を実施した日から起算して30日までの間に限る。)

脊椎麻酔

開放点滴式全身麻酔

 

マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔

 

12 前各号に掲げる状態に準ずる状態にある患者(※4参照)

※1 3の左欄に掲げる状態等にある患者は具体的には以下のような状態等にあるものをいう。

a 重度の肢体不自由者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。以下単に「重度の肢体不自由者」という。)及び脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。以下単に「脊髄損傷等の重度障害者」という。)

なお、脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者については、当該傷病が主たる傷病である患者のことをいう。

b 重度の意識障害者

重度の意識障害者とは、次に掲げる者をいう。なお、病因が脳卒中の後遺症であっても、次の状態である場合には、重度の意識障害者となる。

ア 意識障害レベルがJCS(Japan Coma Scale)でⅡ―3(又は30)以上又はGCS(Glasgow Coma Scale)で8点以下の状態が2週以上持続している患者

イ 無動症の患者(閉じ込め症候群、無動性無言、失外套症候群等)

c 以下の疾患に罹患している患者

筋ジストロフィー、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎及びもやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)

※2 4の「重篤な副作用のおそれがあるもの等」とは、以下のものである。

a 肝障害、間質性肺炎、骨髄抑制、心筋障害等の生命予後に影響を与えうる臓器障害を有する腫瘍用薬による治療

b 放射線治療

c 末期の悪性新生物に対する治療

※3 7に係る胸腔穿刺又は腹腔穿刺を算定した場合は、当該胸腔穿刺又は腹腔穿刺に関し洗浄を行った旨を診療報酬明細書に記載すること。

また、8に係る喀痰吸引又は干渉低周波去痰器による喀痰排出を算定した場合は、当該喀痰吸引又は干渉低周波去痰器による喀痰排出を頻回に行った旨を診療報酬明細書に、その実施時刻及び実施者について診療録等に記載すること。

※4 基本診療料の施設基準等別表第四第十二号に規定する「前各号に掲げる状態に準ずる状態にある患者」は、基本診療料の施設基準等別表第四第一号から第十一号の各号に掲げる状態に該当しない患者であって、当該患者が入院している保険医療機関が退院や転院に向けて努力をしており、その状況について、別紙様式27により地方厚生(支)局長に届け出ているものとする。なお、当該届出は毎月行うものとし、当該診療月の翌月10日までに届け出るものとする。

(7) 一般病棟入院基本料(特定入院基本料を除く。)の算定患者が90日を超える期間一般病棟に入院している場合は、平均在院日数の算定の対象から除外すること。このため、一般病棟入院基本料の算定患者を入院させる保険医療機関においては、当該患者の人数等が明確に分かるような名簿を月ごとに作成し、適切に管理しておく必要があること。

(8) 基本診療料の施設基準等別表第五に掲げる画像診断及び処置並びにこれらに伴い使用する薬剤、特定保険医療材料又は区分番号「J201」に掲げる酸素加算の費用並びに浣腸、注腸、吸入等基本診療料に含まれるものとされている簡単な処置及びこれに伴い使用する薬剤又は特定保険医療材料の費用については特定入院基本料に含まれる。

なお、特定入院基本料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、特定入院基本料に含まれているものであるため別に算定できない。

(9) 一般病棟入院基本料を算定する病棟については、「注7」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A101 療養病棟入院基本料

(1) 療養病棟入院基本料は、「注1」の入院基本料及び「注2」の特別入院基本料から構成され、「注1」の入院基本料については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た療養病棟に入院している患者について、別に厚生労働大臣が定める区分(1日に2つ以上の区分に該当する場合には、該当するもののうち最も高い点数の区分)に従い、当該患者ごとに入院基本料A等の各区分の所定点数を算定し、「注2」の特別入院基本料については、届け出た療養病棟に入院している患者について算定する。ただし、「注1」の入院基本料を算定している場合において、患者の急性増悪により、同一の保険医療機関の一般病棟へ転棟する場合にはその前日を1日目として3日前までの間、別の保険医療機関の一般病棟へ転院する場合にはその当日を1日目として3日前までの間は、その日ごとに入院基本料Ⅰを算定することができる。

(2) 当該保険医療機関において複数の療養病棟がある場合には、当該病棟のうち、回復期リハビリテーション病棟入院料等の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟以外の病棟については、「注1」の入院基本料又は「注2」の特別入院基本料のいずれか一方を算定するものとする。

(3) 「注1」の入院基本料のうち、入院基本料Aから入院基本料Fのいずれかの算定に当たっては、定期的(少なくとも月に1回)に患者又はその家族に対して、当該患者の病状や治療内容等の入院療養の状況及び各区分への該当状況について、別紙様式2又はこれに準ずる様式により作成した書面又はその写を交付のうえ十分な説明を行うとともに診療録に貼付しておくこと。また、やむを得ない理由により説明を行うことが困難な場合であっても、患者又はその家族の求めに応じ、当該書面又はその写を交付するとともに診療録に貼付しておくこと。なお、患者又はその家族への説明に当たり、特に悪性腫瘍等の患者に対しては、患者本人の治療方針に関する理解状況を踏まえ、療養上著しく不適切なことが生じないよう配慮すること。

(4) 基本診療料の施設基準等別表第五に掲げる画像診断及び処置並びにこれらに伴い使用する薬剤、特定保険医療材料又は区分番号「J201」酸素加算の費用並びに浣腸、注腸、吸入等基本診療料に含まれるものとされている簡単な処置及びこれに伴い使用する薬剤又は特定保険医療材料の費用については療養病棟入院基本料に含まれる。なお、療養病棟入院基本料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、療養病棟入院基本料に含まれているものであるため別に算定できない。ただし、「注1」のただし書の規定により、入院基本料Ⅰを算定する場合については、この限りではない。

(5) 療養病棟入院基本料を算定する病棟は主として長期にわたり療養の必要な患者が入院する施設であり、医療上特に必要がある場合に限り他の病棟への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。なお、「注1」のただし書の規定により入院基本料Ⅰを算定した場合においても、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(6) 療養病棟入院基本料を算定するに当たっては、次の点に留意する。

ア 定期的(少なくとも月に1回)に患者の状態の評価及び入院療養の計画を見直し、その要点を診療録に記載する。なお、入院時と退院時のADLの程度を診療録に記載する。

イ 患者の状態に著しい変化がみられた場合には、その都度、患者の状態を評価した上で、治療ケアを見直し、その要点を診療録に記載する。

(7) 注5に規定する救急・在宅等支援療養病床初期加算は、急性期医療の後方病床を確保し、在宅患者や介護保険施設入所者等の状態が軽度悪化した際に入院医療を提供できる病床を確保することにより、急性期医療を支えることを目的として、療養病棟が有する以下のような機能を評価したものであり、転院、入院又は転棟した日から起算して14日を限度に算定できる。

ア 急性期医療を担う病院の一般病棟に入院し、急性期治療を終えて一定程度状態が安定した患者を、速やかに療養病棟が受け入れることにより、急性期医療を担う病院を後方支援する。急性期医療を担う病院の一般病棟とは、具体的には、7対1入院基本料、10対1入院基本料(一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料に限る。)、13対1入院基本料(一般病棟入院基本料又は専門病院入院基本料に限る。)又は15対1入院基本料(一般病棟入院基本料に限る。)を算定する病棟であること。ただし、13対1入院基本料及び15対1入院基本料を算定する保険医療機関にあっては、区分番号「A205」救急医療管理加算・乳幼児救急医療管理加算の届出を行っている場合に限るものとする。また、一般病棟と療養病棟が同一の病院に併存する場合で、当該一般病棟から療養病棟に転棟した患者については、1回の転棟に限り算定できるものとする。

イ 介護保険施設、居住系施設等又は自宅で療養を継続している患者が、軽微な発熱や下痢等の症状をきたしたために入院医療を要する状態になった際に、療養病棟が速やかに当該患者を受け入れる体制を有していることにより、自宅や介護保険施設等における療養の継続を後方支援する。なお、本加算を算定する療養病棟を有する病院に介護保険施設等が併設されている場合は、当該併設介護保険施設等から受け入れた患者については算定できないものとする。

(8) 療養病棟入院基本料を算定する病棟については、「注6」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

(9) 注7の規定は、新型インフルエンザ等感染症がまん延している期間として別に厚生労働大臣が指定する期間において、療養病棟入院基本料の届出を行っている病棟においても、新型インフルエンザ等感染症等の患者が当該病棟に入院した場合には、届出を行った上で、一般病棟入院基本料の例により算定することができるようにしたものであること。

(10) 注7の規定により新型インフルエンザ感染症等の患者を入院させる際には、院内感染防止対策を十分に行うこと。

A102 結核病棟入院基本料

(1) 結核病棟入院基本料は、「注1」の入院基本料及び「注2」の特別入院基本料(7対1特別入院基本料及び10対1特別入院基本料を含む。)から構成され、「注1」の入院基本料については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た結核病棟に入院している患者について、7対1入院基本料等の各区分の所定点数を算定し、「注2」の特別入院基本料については、届け出た結核病棟に入院している患者について算定する。

(2) 「注3」において7対1入院基本料、10対1入院基本料又は13対1入院基本料を算定する患者は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)」第19条、第20条及び第22条の規定、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における結核患者の入退院及び就業制限の取扱いについて(平成19年9月7日健感発第0907001号)」に基づき入退院が行われている結核患者であり、これらの基準に従い退院させることができる患者については、退院させることができることが確定した日以降は「注2」の特別入院基本料(7対1特別入院基本料及び10対1特別入院基本料を除く。)を算定する。

なお、次の全てを満たした場合には、退院させることができることが確定したものとして取り扱うものであること。

ア 2週間以上の標準的化学療法が実施され、咳、発熱、痰等の臨床症状が消失している。

イ 2週間以上の標準的化学療法を実施した後の異なった日の喀痰の塗抹検査又は培養検査の結果が連続して3回陰性である。(3回の検査は、原則として塗抹検査を行うものとし、アによる臨床症状消失後にあっては、速やかに連日検査を実施すること。)

ウ 患者が治療の継続及び感染拡大の防止の重要性を理解し、かつ、退院後の治療の継続及び他者への感染の防止が可能であると確認できている。

(3) (2)にかかわらず、カリエス、リンパ節結核などのこれらの基準に従うことができない結核患者については、当該患者の診療を担当する保険医の適切な判断により入退院が行われるものである。

(4) 「注4」の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に定める起算日とする。

(5) 当該保険医療機関において複数の結核病棟がある場合には、当該病棟全てについて同じ区分の結核病棟入院基本料を算定するものとする。

(6) 結核病棟入院基本料を算定する病棟については、「注5」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A103 精神病棟入院基本料

(1) 精神病棟入院基本料は、「注1」の入院基本料及び「注2」の特別入院基本料(10対1特別入院基本料を含む。)から構成され、それぞれ別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た精神病棟に入院している患者について、10対1入院基本料等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 当該保険医療機関において複数の精神病棟がある場合には、当該病棟のうち、精神科急性期治療病棟入院料等の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟以外の病棟については、同じ区分の精神病棟入院基本料を算定するものとする。

(3) 「注3」の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に定める起算日とする。

(4) 「注4」に掲げる加算を算定するに当たっては、当該加算の施設基準を満たすとともに、次のアからウまでの要件を満たすことが必要である。なお、既に入院中の患者が当該入院期間中に、当該施設基準の要件を満たすこととなっても、当該加算は算定できない。

ア 入院時において、当該加算の施設基準に基づくランクがMであること。

イ 当該加算の施設基準に基づき、患者の身体障害の状態及び認知症の状態を評価するとともに、当該加算の施設基準に基づく評価、これらに係る進行予防等の対策の要点及び評価日を診療録に記載するものとする。当該加算は、対策の要点に基づき、計画を立て、当該計画を実行した日から算定する。

ウ 当該加算を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に当該加算の算定根拠となる評価(当該加算の施設基準に基づくランク等)及び評価日を記載すること。

(5) 精神病棟入院基本料を算定する病棟については、「注5」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A104 特定機能病院入院基本料

(1) 特定機能病院入院基本料は、「注1」に規定する入院基本料について、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た一般病棟、結核病棟又は精神病棟に入院している患者について、7対1入院基本料等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 「注2」において特定機能病院入院基本料(結核病棟に限る。)を算定する患者は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)」第19条、第20条及び第22条の規定、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における結核患者の入退院及び就業制限の取扱いについて(平成19年9月7日健感発第0907001号)」に基づき入退院が行われている結核患者であり、これらの基準に従い退院させることができる患者については、退院させることができることが確定した日以降は「注2」の特別入院基本料(7対1特別入院基本料及び10対1特別入院基本料を除く。)を算定する。

なお、次の全てを満たした場合には、退院させることができることが確定したものとして取り扱うものであること。

ア 2週間以上の標準的化学療法が実施され、咳、発熱、痰等の臨床症状が消失している。

イ 2週間以上の標準的化学療法を実施した後の異なった日の喀痰の塗抹検査又は培養検査の結果が連続して3回陰性である。(3回の検査は、原則として塗抹検査を行うものとし、アによる臨床症状消失後にあっては、速やかに連日検査を実施すること。)

ウ 患者が治療の継続及び感染拡大の防止の重要性を理解し、かつ、退院後の治療の継続及び他者への感染の防止が可能であると確認できている。

(3) (2)にかかわらず、カリエス、リンパ節結核などのこれらの基準に従うことができない結核患者については、当該患者の診療を担当する保険医の適切な判断により入退院が行われるものである。

(4) 当該特定機能病院において同一種別の病棟が複数ある場合の入院基本料の算定については、一般病棟入院基本料の(2)、結核病棟入院基本料の(5)及び精神病棟入院基本料の(2)の例による。

(5) 「注3」の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に定める起算日とする。

(6) 「注4」に掲げる加算を算定するに当たっては、当該加算の施設基準を満たすとともに、次のアからウまでの要件を満たすことが必要である。なお、既に入院中の患者が当該入院期間中に、当該施設基準の要件を満たすこととなっても、当該加算は算定できない。

ア 入院時において、当該加算の施設基準に基づくランクがMであること。

イ 当該加算の施設基準に基づき、患者の身体障害の状態及び認知症の状態を評価するとともに、当該加算の施設基準に基づく評価、これらに係る進行予防等の対策の要点及び評価日を診療録に記載するものとする。当該加算は、対策の要点に基づき、計画を立て、当該計画を実行した日から算定する。

ウ 当該加算を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に当該加算の算定根拠となる評価(当該加算の施設基準に基づくランク等)及び評価日を記載すること。

(7) 「注5」に規定する一般病棟看護必要度評価加算は、10対1入院基本料を算定する病棟であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす病棟に入院しており、看護必要度の測定が行われた患者について算定すること。

(8) 当該特定機能病院の一般病棟に入院している特定患者に係る入院基本料の算定については、一般病棟入院基本料の(5)から(8)の例による。

(9) 特定機能病院入院基本料を算定する病棟については、「注7」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A105 専門病院入院基本料

(1) 専門病院入院基本料は、「注1」に規定する入院基本料について、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た一般病棟に入院している患者について、7対1入院基本料等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 当該専門病院において複数の一般病棟がある場合には、当該病棟のうち、障害者施設等入院基本料又は緩和ケア病棟入院料等の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟以外の病棟については、同じ区分の専門病院入院基本料を算定するものとする。

(3) 「注2」の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に定める起算日とする。

(4) 「注3」に規定する一般病棟看護必要度評価加算は、10対1入院基本料を算定する病棟であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす病棟に入院しており、看護必要度の測定が行われた患者について算定すること。

(5) 当該専門病院に入院している特定患者に係る入院基本料の算定については、一般病棟入院基本料の(5)から(8)の例による。

(6) 専門病院入院基本料を算定する病棟については、「注5」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A106 障害者施設等入院基本料

(1) 障害者施設等入院基本料は、「注1」に規定する入院基本料について、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た障害者施設等一般病棟に入院している患者について、7対1入院基本料等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 当該保険医療機関において複数の障害者施設等一般病棟がある場合には、当該病棟全てについて同じ区分の障害者施設等入院基本料を算定するものとする。

(3) 「注2」の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に定める起算日とする。

(4) 「注3」に掲げる重症児(者)受入連携加算は、集中治療を経た新生児等を急性期の医療機関から受け入れ、病態の安定化のために密度の高い医療を提供することを評価したものであり、入院前の医療機関において区分番号「A238―3」新生児特定集中治療室退院調整加算が算定された患者を、障害者施設等で受け入れた場合に入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(5) 当該障害者施設等一般病棟に入院している特定患者に係る入院基本料の算定については、一般病棟入院基本料の(5)から(8)の例による。

(6) 障害者施設等入院基本料を算定する病棟については、「注5」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A108 有床診療所入院基本料

(1) 有床診療所入院基本料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所(療養病床に係るものを除く。)に入院している患者について、有床診療所入院基本料1等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 有床診療所入院基本料に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に定める起算日とする。

(3) 注2に規定する有床診療所一般病床初期加算は、急性期医療の後方病床を確保し、在宅患者や介護保険施設入所者等の状態が軽度悪化した際に入院医療を提供できる病床を確保することにより、急性期医療を支えることを目的として、急性期有床診療所の一般病床が有する以下のような機能を評価したものであり、転院又は入院した日から起算して7日を限度に算定できる。

ア 急性期医療を担う病院の一般病棟に入院し、急性期治療を終えて一定程度状態が安定した患者を、速やかに有床診療所の一般病床が受け入れることにより、急性期医療を担う病院を後方支援する。急性期医療を担う病院の一般病棟とは、具体的には、7対1入院基本料、10対1入院基本料(一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料に限る。)、13対1入院基本料(一般病棟入院基本料又は専門病院入院基本料に限る。)又は15対1入院基本料(一般病棟入院基本料に限る。)を算定する病棟であること。ただし、13対1入院基本料及び15対1入院基本料を算定する保険医療機関にあっては、区分番号「A205」救急医療管理加算・乳幼児救急医療管理加算の届出を行っている場合に限るものとする。

イ 介護保険施設、居住系施設等又は自宅で療養を継続している患者が、軽微な発熱や下痢等の症状をきたしたために入院医療を要する状態になった際に、有床診療所の一般病床がすみやかに当該患者を受け入れる体制を有していることにより、自宅や介護保険施設等における療養の継続を後方支援する。なお、本加算を算定する一般病床を有する有床診療所に介護保険施設等が併設されている場合は、当該併設介護保険施設等から受け入れた患者については算定できないものとする。

(4) 有床診療所入院基本料を算定する診療所であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所において、夜間に医師を配置している、又は近隣の保険医療機関が連携して入院患者の急変に備えて夜間の緊急診療体制を確保した場合について、その体制を入院患者に対して文書で説明し、夜間に緊急対応できる医師名を院内に掲示している場合に、「注3」に掲げる加算を算定することができる。

(5) 有床診療所入院基本料1又は2を算定する診療所であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所において、療養病床の有無に関わらず、当該診療所に勤務する医師が2人以上の場合に、各区分に応じて「注4」に掲げる加算を算定することができる。

(6) 有床診療所入院基本料1又は2を算定する診療所であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所において、各区分に応じて「注5」のイ~ニに掲げる加算を算定することができる。イとロは併算定出来ないものであること。また、ハとニは併算定出来ないものであること。

(7) 有床診療所入院基本料を算定する診療所については、「注6」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A109 有床診療所療養病床入院基本料

(1) 有床診療所療養病床入院基本料は、「注1」の入院基本料及び「注2」の特別入院基本料から構成され、「注1」の入院基本料については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所(療養病床に係るものに限る。)に入院している患者について、別に厚生労働大臣が定める区分(1日に2つ以上の区分に該当する場合には、該当するもののうち最も高い点数の区分)に従い、当該患者ごとに入院基本料A等の各区分の所定点数を算定し、「注2」の特別入院基本料については、届け出た診療所(療養病床に係るものに限る。)に入院している患者について算定する。ただし、「注1」の入院基本料を算定している場合において、患者の急性増悪により、同一の保険医療機関の療養病床以外へ転室する場合にはその前日を1日目として3日前までの間、別の保険医療機関の一般病棟若しくは有床診療所の療養病床以外の病室へ転院する場合にはその当日を1日目として3日前までの間は、その日ごとに入院基本料Eを算定することができる。

(2) 「注1」の入院基本料のうち、入院基本料A、入院基本料B又は入院基本料Cのいずれかの算定に当たっては、定期的(少なくとも月に1回)に患者又はその家族に対して、当該患者の病状や治療内容等の入院療養の状況及び各区分への該当状況について、別紙様式2又はこれに準ずる様式により作成した書面又はその写を交付のうえ十分な説明を行うとともに診療録に貼付しておくこと。なお、やむを得ない理由により説明を行うことが困難な場合であっても、患者又はその家族の求めに応じ、当該書面又はその写を交付するとともに診療録に貼付しておくこと。また、患者又はその家族への説明に当たり、特に悪性腫瘍等の患者に対しては、患者本人の治療方針に関する理解状況を踏まえ、療養上著しく不適切なことが生じないよう配慮すること。

(3) 基本診療料の施設基準等別表第五に掲げる画像診断及び処置並びにこれらに伴い使用する薬剤、特定保険医療材料又は区分番号J201に掲げる酸素加算の費用並びに浣腸、注腸、吸入等基本診療料に含まれるものとされている簡単な処置及びこれに伴い使用する薬剤又は特定保険医療材料の費用については有床診療所療養病床入院基本料に含まれる。なお、有床診療所療養病床入院基本料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、有床診療所療養病床入院基本料に含まれているものであるため別に算定できない。

ただし、「注1」のただし書の規定により、入院基本料Eを算定する場合については、この限りではない。

(4) 有床診療所療養病床入院基本料を算定する病床は主として長期にわたり療養の必要な患者が入院する施設であり、医療上特に必要がある場合に限り他の病床への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。なお、「注1」のただし書の規定により入院基本料Eを算定した場合においても、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(5) 有床診療所療養病床入院基本料を算定するに当たっては、次の点に留意する。

ア 定期的(少なくとも月に1回)に患者の状態の評価及び入院療養の計画を見直し、その要点を診療録に記載する。なお、入院時と退院時のADLの程度を診療録に記載する。

イ 患者の状態に著しい変化がみられた場合には、その都度、患者の状態を評価した上で、治療やケアを見直し、その要点を診療録に記載する。

(6) 注5に規定する救急・在宅等支援療養病床初期加算は、急性期医療の後方病床を確保し、在宅患者や介護保険施設入所者等の状態が軽度悪化した際に入院医療を提供できる病床を確保することにより、急性期医療を支えることを目的として、有床診療所の療養病床が有する以下のような機能を評価したものであり、転院又は入院した日から起算して14日に限り算定できる。

ア 急性期医療を担う病院の一般病棟に入院し、急性期治療を終えて一定程度状態が安定した患者を、速やかに有床診療所の療養病床が受け入れることにより、急性期医療を後方支援する。急性期医療を担う病院の一般病棟とは、具体的には、7対1入院基本料、10対1入院基本料(一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料に限る。)、13対1入院基本料(一般病棟入院基本料又は専門病院入院基本料に限る。)又は15対1入院基本料(一般病棟入院基本料に限る。)を算定する病棟であること。ただし、13対1入院基本料及び15対1入院基本料を算定する保険医療機関にあっては、区分番号「A205」救急医療管理加算・乳幼児救急医療管理加算の届出を行っている場合に限るものとする。また、同一の有床診療所内に一般病床と療養病床が併存する場合で、当該一般病床から療養病床に転床した患者については、算定できないものとする。

イ 介護保険施設、居住系施設等又は自宅で療養を継続している患者が、軽微な発熱や下痢等の症状をきたしたために入院医療を要する状態になった際に、有床診療所の療養病床がすみやかに当該患者を受け入れる体制を有していることにより、自宅や介護保険施設等における療養の継続を後方支援する。なお、本加算を算定する療養病床を有する有床診療所に介護保険施設等が併設されている場合は、当該併設介護保険施設等から受け入れた患者については、算定できないものとする。

(7) 有床診療所療養病床入院基本料を算定する病床については、「注6」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

第2節 入院基本料等加算

A200 総合入院体制加算

総合入院体制加算は、十分な人員配置及び設備等を備え総合的かつ専門的な急性期医療を24時間提供できる体制及び病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制等を評価した加算であり、入院した日から起算して14日を限度として算定できる。なお、ここでいう入院した日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される入院の初日のことをいう。

A204 地域医療支援病院入院診療加算

(1) 地域医療支援病院入院診療加算は、地域医療支援病院における紹介患者に対する医療提供、病床や高額医療機器等の共同利用、24時間救急医療の提供等を評価するものであり、入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(2) (1)にかかわらず入院初日に病棟単位で行うべき特定入院料以外の特定入院料を算定した場合については、入院基本料の入院期間の計算により一連の入院期間とされる期間中に特定入院料を算定しなくなった日(当該日が退院日の場合は、退院日)において1回に限り算定する。

A204―2 臨床研修病院入院診療加算

(1) 研修医が、当該保険医療機関の研修プログラムに位置づけられた臨床研修病院及び臨床研修協力施設において、実際に臨床研修を実施している場合に、入院初日に限り算定できる。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(2) (1)において研修を実施している場合とは、基幹型臨床研修病院においては実際に研修医が研修を実施している期間及び研修医が協力型臨床研修病院又は協力施設において研修を実施している期間、協力型臨床研修病院においては実際に研修医が研修を実施している期間のことをいう。

(3) 研修医の診療録の記載に係る指導及び確認は、速やかに行うこととし、診療録には指導の内容がわかるように指導医自らが記載を行い、署名をすること。

A205 救急医療管理加算・乳幼児救急医療管理加算

(1) 緊急に入院を必要とする重症患者に対して救急医療が行われた場合に、入院した日から起算して7日に限り算定できる。なお、ここでいう入院した日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される入院の初日のことをいう。

(2) 当該加算の対象となる患者は、次に掲げる状態にあって、医師が診察等の結果、緊急に入院が必要であると認めた重症患者をいう。なお、当該加算は、入院時において当該重症患者の状態であれば算定できるものであり、当該加算の算定期間中において継続して重症患者の状態でなくても算定できる。

ア 吐血、喀血又は重篤な脱水で全身状態不良の状態

イ 意識障害又は昏睡

ウ 呼吸不全又は心不全で重篤な状態

エ 急性薬物中毒

オ ショック

カ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

キ 広範囲熱傷

ク 外傷、破傷風等で重篤な状態

ケ 緊急手術を必要とする状態

コ その他、「ア」から「ケ」に準ずるような重篤な状態

(3) 都道府県知事の指定する精神科救急医療施設において、緊急に入院を必要とする重症患者(精神疾患であり、入院させなければ医療及び保護を図る上で支障のある状態)に対して救急医療が行われた場合にも算定できる。ただし、精神科応急入院施設管理加算又は精神科措置入院診療加算を算定した患者については算定できない。なお、精神科救急医療施設の運営については、平成7年10月27日健医発第1321号厚生省保健医療局長通知に従い実施されたい。

(4) 加算の起算日となる入院日については、夜間又は休日において入院治療を必要とする重症患者に対して救急医療を提供した日(午前0時から午後12時まで)であって、その旨を地域の行政部門、医師会等の医療関係者及び救急搬送機関等にあらかじめ周知している日(あらかじめ定められた当番日以外の日でもよい。)とする。また、午前0時をまたいで夜間救急医療を提供する場合においては、夜間の救急医療を行った前後2日間とする。なお、当該加算の起算日に行う夜間又は休日の救急医療にあっては、第二次救急医療施設として必要な診療機能及び専用病床を確保するとともに、診療体制として通常の当直体制のほかに重症救急患者の受け入れに対応できる医師等を始めとする医療従事者を確保していることとする。

A205―2 超急性期脳卒中加算

(1) 当該加算は脳梗塞と診断された患者に対し、発症後3時間以内に組織プラスミノーゲン活性化因子を投与した場合に入院初日に限り所定点数に加算する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(2) 投与に当たっては、日本脳卒中学会医療向上・社会保険委員会rt―PA(アルテプラーゼ)静注療法指針部会作成の「rt―PA(アルテプラーゼ)静注療法適正治療指針」を踏まえ適切に行われるよう十分留意すること。

(3) 投与を行う保険医は日本脳卒中学会等の関係学会が行う脳梗塞t―PA適正使用に係る講習会を受講していること。

A205―3 妊産婦緊急搬送入院加算

(1) 次に掲げる場合(当該妊娠及び入院医療を必要とする異常の原因疾患につき、直近3か月以内に当該加算を算定する保険医療機関への受診歴のある患者が緊急搬送された場合を除く。)において受け入れた妊産婦が、母体又は胎児の状態により緊急入院の必要があり、医療保険の対象となる入院診療を行った場合に入院初日に限り算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

ア 妊娠に係る異常及びその他入院医療を必要とする異常が疑われ、救急車等により当該保険医療機関に緊急搬送された場合

イ 他の医療機関において、妊娠に係る異常及びその他入院医療を必要とする異常が認められ、当該保険医療機関に緊急搬送された場合

ウ 助産所において、妊娠に係る異常及びその他入院医療を必要とする異常が疑われ、当該保険医療機関に緊急搬送された場合

(2) 本加算は、緊急搬送された妊産婦が妊娠に係る異常以外の入院医療を必要とする異常が疑われる場合においては、当該保険医療機関において産科又は産婦人科の医師と当該異常に係る診療科の医師が協力して妊産婦の緊急搬送に対応することを評価するものであり、産科又は産婦人科以外の診療科への入院の場合においても算定できる。

(3) (1)において、受診歴とは妊婦健診及び往診等による受診を含むものである。ただし、(1)のウの場合において、当該保険医療機関が当該助産所の嘱託医療機関である場合又は当該保険医療機関の保険医が当該助産所の嘱託医である場合においては、嘱託医療機関又は嘱託医が実施した妊婦健診は、受診歴に含まない。なお、この場合においては、嘱託医療機関であること又は嘱託医の氏名を診療録に記載すること。

(4) 妊産婦とは産褥婦を含む(以下この節において同じ。)。

A206 在宅患者緊急入院診療加算

(1) 在宅での療養を行っている患者の病状の急変等により入院が必要となった場合に、円滑に入院でき、かつ入院を受け入れた保険医療機関(以下この項において「受入保険医療機関」という。)おいても患者の意向を踏まえた医療が引き続き提供されるための取組を評価した加算である。

(2) 診療所において区分番号「C002」在宅時医学総合管理料、区分番号「C002―2」特定施設入居時等医学総合管理料、区分番号「C003」在宅末期医療総合診療料又は第2章第2部第2節第1款に掲げる在宅療養指導管理料の各区分に掲げる指導管理料(区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を除く。)を入院の月又はその前月に算定している患者について、当該患者の病状の急変等に伴い当該診療所の保険医の求めに応じて入院させた場合に、受入保険医療機関において、当該入院中1回に限り、入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(3) 当該診療所の保険医の求めによらない緊急入院において、当該患者の入院後24時間以内に、当該診療所の保険医から、受入保険医療機関の保険医に対して当該患者の診療情報が提供された場合であっても算定できる。

(4) 在宅患者緊急入院診療加算の「1」は、当該診療所の保険医が患者又はその家族に対して、事前に緊急時の受入保険医療機関の名称等を文書にて提供し、受入保険医療機関に入院した場合に算定する。また、当該診療所の保険医は、提供した文書の写しを診療録に添付すること。

(5) 受入保険医療機関の保険医は、入院前又は入院後速やかに患者の希望する診療内容等の情報を当該診療所の保険医に確認し共有すること。

(6) 受入保険医療機関が、当該診療所と特別の関係(第2部通則5に規定する「特別の関係」をいう。)にある場合には、在宅患者緊急入院診療加算は算定できない。

A207 診療録管理体制加算

1人以上の専任の診療記録管理者の配置その他の診療録管理体制を整え、現に患者に対し診療情報を提供している保険医療機関において、入院初日に限り算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

A207―2 医師事務作業補助体制加算

(1) 医師事務作業補助体制加算は、地域の急性期医療を担う保険医療機関(特定機能病院を除く。)において、病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に対する体制を確保することを目的として、医師、医療関係職員、事務職員等との間での業務の役割分担を推進し、医師の事務作業を補助する専従者(以下「医師事務作業補助者」という。)を配置している体制を評価するものである。

(2) 医師事務作業補助体制加算は、当該患者の入院初日に限り算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(3) 医師事務作業補助者の業務は、医師(歯科医師を含む。)の指示の下に、診断書などの文書作成補助、診療記録への代行入力、医療の質の向上に資する事務作業(診療に関するデータ整理、院内がん登録等の統計・調査、医師の教育や臨床研修のカンファレンスのための準備作業等)並びに行政上の業務(救急医療情報システムへの入力、感染症サーベイランス事業に係る入力等)への対応に限定するものであること。なお、医師以外の職種の指示の下に行う業務、診療報酬の請求事務(DPCのコーディングに係る業務を含む。)、窓口・受付業務、医療機関の経営、運営のためのデータ収集業務、看護業務の補助並びに物品運搬業務等については医師事務作業補助者の業務としないこと。

(4) 医師事務作業補助者は、院内の医師の業務状況等を勘案して配置することとし、病棟における業務以外にも、外来における業務や、医師の指示の下であれば、例えば文書作成業務専門の部屋等における業務も行うことができる。

A207―3 急性期看護補助体制加算

(1) 急性期看護補助体制加算は、地域の急性期医療を担う保険医療機関において、病院勤務医及び看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制を確保することを目的として、看護業務を補助する看護補助者を配置している体制を評価するものである。

(2) 急性期看護補助体制加算は、当該加算を算定できる病棟において、看護補助者の配置基準に応じて算定する。なお、当該病棟において必要最小数を越えて配置している看護職員については、看護補助者とみなして計算することができる。

(3) 急性期看護補助体制加算は、当該患者が入院した日から起算して14日を限度として算定できる。なお、ここでいう入院した日とは、第2部入院料等の通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される入院の初日のことをいう。

A208 乳幼児加算・幼児加算

乳幼児加算又は幼児加算は、当該患者を入院させた場合に算定するものであって、産婦又は生母の入院に伴って健康な乳幼児又は幼児を在院させた場合にあっては、算定できない。

A210 難病等特別入院診療加算

(1) メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症患者については、菌の排出がなくなった後、3週間を限度として算定する。

(2) 特殊疾患入院施設管理加算を算定している患者については算定できない。

A211 特殊疾患入院施設管理加算

(1) 重度の肢体不自由児(者)(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。以下単に「重度の肢体不自由児(者)」という。)、脊髄損傷等の重度の障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者又は神経難病患者等を主として入院させる障害者施設等一般病棟等その他の病棟及び有床診療所(一般病床に限る。)において算定する。

(2) 重度の意識障害者とは、次に掲げる者をいう。なお、病因が脳卒中の後遺症であっても、次の状態である場合には、重度の意識障害者となる。

ア 意識障害レベルがJCS(Japan Coma Scale)でⅡ―3(又は30)以上又はGCS(Glasgow Coma Scale)で8点以下の状態が2週以上持続している患者

イ 無動症の患者(閉じ込め症候群、無動性無言、失外套症候群等)

(3) 神経難病患者とは、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎又はもやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)に罹患している患者をいう。

A212 超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算

(1) 超重症児(者)入院診療加算の対象となる超重症の状態は、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(平成22年3月5日保医発0305第2号)」別添6の別紙14の超重症児(者)判定基準による判定スコアが25以上のものをいう。

(2) 準超重症児(者)入院診療加算の対象となる準超重症の状態は、当該超重症児(者)判定基準による判定スコアが10以上のものをいう。

(3) 注3の在宅重症児受入加算については、超重症児(者)又は準超重症児(者)の判定基準を満たす患者が自宅から入院する場合に、入院した日から起算して5日を限度として算定する。なお、ここでいう入院した日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される入院の初日のことをいう。

A213 看護配置加算

看護配置加算は、看護師比率が40%と規定されている入院基本料を算定している病棟全体において、70%を超えて看護師を配置している場合に算定する。

A214 看護補助加算

看護補助加算は、当該加算を算定できる病棟において、看護補助者の配置基準に応じて算定する。なお、当該病棟において必要最小数を超えて配置している看護職員について、看護補助者とみなして計算することができる。

A218 地域加算

地域加算は、医業経費における地域差に配慮したものであり、人事院規則で定める地域及び当該地域に準じる地域に所在する保険医療機関において、入院基本料、特定入院料又は短期滞在手術基本料2若しくは3の加算として算定できる。

A218―2 離島加算

離島加算は、離島における入院医療の応需体制を確保する必要があることから、別に厚生労働大臣が定める地域に所在する保険医療機関において、入院基本料、特定入院料又は短期滞在手術基本料2若しくは3の加算として算定できる。

A219 療養環境加算

(1) 特別の療養環境の提供に係る病室については、加算の対象とはならない。

(2) 医師並びに看護師、准看護師及び看護補助者の員数が医療法の定める標準を満たしていない病院では算定できない。

A220 HIV感染者療養環境特別加算

後天性免疫不全症候群の病原体に感染している者については、CD4リンパ球数の値にかかわらず、抗体の陽性反応があれば、患者の希望により特別の設備の整った個室に入室する場合を除き、本加算を算定する。

A220―2 二類感染症患者療養環境特別加算

(1) 加算の対象となる者は、二類感染症(急性灰白髄炎(ポリオ)、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。)及び鳥インフルエンザ(H5N1に限る。))、新型インフルエンザの患者及びそれらの疑似症患者であって、保険医が他者へ感染させるおそれがあると認め、状態に応じて、個室又は陰圧室に入院した者である。

(2) 個室かつ陰圧室である場合には、個室加算及び陰圧室加算を併算定できる。

A221 重症者等療養環境特別加算

(1) 加算の対象となる者は、次のいずれかに該当する患者であって、特に医療上の必要から個室又は2人部屋の病床に入院した者である。

ア 病状が重篤であって絶対安静を必要とする患者

イ 必ずしも病状は重篤ではないが、手術又は知的障害のため常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする患者

(2) インキュベーターに収容した新生児又は乳幼児は、加算の対象とならない。

(3) 当該加算の対象となった患者の氏名及び入院日数を記録し、3年間保存しておくこと。

A221―2 小児療養環境特別加算

(1) 小児療養環境特別加算の対象となる患者は、次のいずれかの状態に該当する15歳未満の小児患者であって、保険医が治療上の必要から個室での管理が必要と認めたものである。

ア 麻疹等の感染症に罹患しており、他の患者への感染の危険性が高い患者

イ 易感染性により、感染症罹患の危険性が高い患者

(2) 本加算を算定する場合は、(1)のア又はイのいずれかに該当する旨及びその病態の概要を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(3) 当該患者の管理に係る個室が特別の療養環境の提供に係る病室であっても差し支えないが、患者から特別の料金の徴収を行うことはできない。

A222 療養病棟療養環境加算

(1) 療養病棟療養環境加算は、長期にわたり療養を必要とする患者に提供される療養環境を総合的に評価したものである。

(2) 特別の療養環境の提供に係る病室に入室しており、かつ、患者から特別の料金の徴収を行っている場合には算定できない。

A223 診療所療養病床療養環境加算

(1) 診療所療養病床療養環境加算は、長期にわたり療養を必要とする患者に提供される療養環境を総合的に評価したものである。

(2) 特別の療養環境の提供に係る病室に入室しており、かつ、患者から特別の料金の徴収を行っている場合には算定できない。

A224 無菌治療室管理加算

(1) 当該加算は、入院基本料(特別入院基本料、7対1特別入院基本料及び10対1特別入院基本料を除く。)を算定し、かつ、自家発電装置を有している保険医療機関において、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症等の患者に対して、必要があって無菌治療室管理を行った場合に算定する。

なお、無菌治療室管理とは、当該管理を行うために、滅菌水の供給が常時可能であること、室内の空気清浄度がクラス1万以下であること等の要件を満たす無菌治療室において、医師等の立入、物資の供給等の際にも無菌状態が保たれるよう必要な管理をいう。

(2) 当該加算は、一連の治療につき、無菌室に入室した日を起算日として90日を限度として算定する。

A225 放射線治療病室管理加算

当該加算は、悪性腫瘍の患者に対して、放射線治療病室管理を行った場合に算定する。なお、放射線治療病室管理とは、密封小線源あるいは治療用放射性同位元素により治療を受けている患者を入院させる病室における放射線に係る必要な管理をいう。

A226 重症皮膚潰瘍管理加算

(1) 重症皮膚潰瘍管理とは、重症な皮膚潰瘍(Sheaの分類Ⅲ度以上のものに限る。)を有している者に対して、計画的な医学管理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行うことをいう。

(2) 本加算を算定する場合は、当該患者の皮膚潰瘍がSheaの分類のいずれに該当するかについて、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

A226―2 緩和ケア診療加算

(1) 本加算は、一般病床に入院する悪性腫瘍又は後天性免疫不全症候群の患者のうち、疼痛、倦怠感、呼吸困難等の身体的症状又は不安、抑うつなどの精神症状を持つ者に対して、当該患者の同意に基づき、症状緩和に係る専従のチーム(以下「緩和ケアチーム」という。)による診療が行われた場合に算定する。

(2) 緩和ケアチームは、身体症状及び精神症状の緩和を提供することが必要である。緩和ケアチームの医師は緩和ケアに関する研修を終了した上で診療に当たること。ただし、当該研修はがん診療に係わる緩和ケア研修であるため、後天性免疫不全症候群の患者を診療する際には当該研修を修了していなくても本加算は算定できる。

(3) 緩和ケアチームは初回の診療に当たり、当該患者の診療を担う保険医、看護師及び薬剤師などと共同の上別紙様式3又はこれに準じた緩和ケア診療実施計画書を作成し、その内容を患者に説明の上交付するとともに、その写しを診療録に添付すること。

(4) 当該加算を算定する患者については入院精神療法の算定は週に1回までとする。

(5) 1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね30人以内とする。

(6) 症状緩和に係るカンファレンスが週1回程度開催されており、緩和ケアチームの構成員及び必要に応じて、当該患者の診療を担当する保険医、看護師などが参加している。

(7) 当該保険医療機関に緩和ケアチームが組織上明確に位置づけられている。

(8) 院内の見えやすい場所に緩和ケアチームによる診療が受けられる旨の掲示をするなど、患者に対して必要な情報提供がなされている。

A227 精神科措置入院診療加算

精神科措置入院診療加算は、措置入院に係る患者について当該入院期間中1回に限り入院初日に限り算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。ただし、応急入院患者として入院し、入院後措置入院又は緊急措置入院が決定した場合は、当該措置入院が決定した日に算定する。また、この場合にあっては、精神科応急入院施設管理加算は算定できない。

A228 精神科応急入院施設管理加算

(1) 精神科応急入院施設管理加算の算定の対象となる応急入院患者は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)第33条の4第1項に規定する応急入院患者及び同法第34条第1項から第3項までの規定により移送された患者(以下「応急入院患者等」という。)であり、その取扱いについては昭和63年4月6日健医発第433号厚生省保健医療局長通知に即して行うこと。

(2) 当該加算は、入院初日に算定できるものであるが、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(3) 応急入院患者等として入院した場合であっても、入院後、精神保健福祉法第29条第1項に規定する措置入院として措置が決定した場合は精神科応急入院施設管理加算は算定できない。なお、応急入院等の後の入院形態の変更については、各都道府県の衛生担当部局との連絡を密にすること。

(4) 診療報酬明細書を審査支払機関に提出した後に措置入院が決定した場合にあっては、遅滞なく、精神科応急入院施設管理加算の請求を取り下げる旨を当該保険医療機関が審査支払機関に申し出ること。

(5) 精神科応急入院施設管理加算を算定する場合にあっては、精神保健福祉法第33条の4第2項に基づく応急入院届又は同法第33条第4項に基づく医療保護入院届の写しを診療報酬明細書に添付すること。

A229 精神科隔離室管理加算

(1) 当該加算が算定できる隔離とは、精神保健福祉法第36条第3項の規定に基づいて行われるものをいう。患者の隔離に当たっては、同法第37条第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準に従うとともに、隔離を行っている間は1日1回以上診察を行うこと。

(2) 精神科隔離室管理加算を算定する場合には、その隔離の理由を診療録に記載し、1日1回の診察の内容を診療録に記載すること。

(3) 精神保健福祉法第36条第3項に規定する隔離が数日間にわたり連続して行われた場合にあっては、当該隔離の開始日及び終了日についても精神科隔離室管理加算を算定できる。

(4) 隔離時間が12時間以下の場合や患者本人の意思に基づいて隔離を行った場合には算定できない。また、当該加算は、連続する30日間に7日を超えて算定できない。なお、応急入院中の期間及び精神科措置入院診療加算を算定した日に行った隔離については、当該加算の日数には数えない。

(5) 精神科応急入院施設管理加算を算定した入院患者について、当該応急入院中に行った隔離については、精神科隔離室管理加算は算定できない。ただし、当該応急入院の終了後も措置入院等で入院を継続している場合であって、精神保健福祉法第36条第3項の規定に基づく隔離を行った場合は算定できる。

(6) 精神科措置入院診療加算を算定する同一日に行った隔離については、精神科隔離室管理加算は算定できない。

(7) 当該加算は、「厚生労働大臣の定める入院患者数の基準及び医師等の員数の基準並びに入院基本料の算定方法」(平成18年厚生労働省告示第104号)に規定する基準に該当する保険医療機関については、算定できない。

A230 精神病棟入院時医学管理加算

精神病棟においては、入院時医学管理加算は算定できず、精神病棟入院時医学管理加算のみを算定する。

A230―2 精神科地域移行実施加算

精神科地域移行実施加算は、精神障害者の地域移行支援に係る取組を計画的に進めることにより、当該保険医療機関における入院期間5年を超える入院患者のうち、退院した患者(退院後3月以内に再入院した患者を除く。)の数が1年間で5%以上減少の実績がある場合に、1年間算定する。

A230―3 精神科身体合併症管理加算

(1) 精神科身体合併症管理加算は、精神科を標榜する保険医療機関であって、精神科以外の診療科の医療体制との連携が取られている病棟において、精神病床に入院している身体合併症を併発した精神疾患患者に対して、精神疾患、身体疾患両方について精神科を担当する医師と内科又は外科を担当する医師が協力し、治療が計画的に提供されることを評価したものである。

(2) 当該加算は、当該疾患の治療開始日から7日間に限り算定できるものであり、同一月において同一疾患に対して1回に限り算定できる。また、同一月に複数の身体疾患を発症した場合には、それぞれの疾患について、それぞれの疾患の治療開始日から7日間に限り当該加算を算定することが可能であるが、この場合であっても、同一月内に当該加算を算定できる期間は14日間までとする。なお、複数の身体疾患を同時期に発症した場合であって、当該加算を算定する日が重複する日は、いずれか一つの疾患に係る加算を算定する。

(3) 精神科身体合併症管理加算の注に規定する厚生労働大臣が定める身体合併症のうち、肺炎については、抗生物質又はステロイドの投与を要する状態、意識障害については、意識レベルにかかわらず、規定された疾患や手術後によるせん妄状態に準ずる状態である。

A231 児童・思春期精神科入院医療管理加算

(1) 児童・思春期精神科入院医療管理加算は、児童及び思春期の精神疾患患者に対して、家庭及び学校関係者等との連携も含めた体制の下に、医師、看護師、精神保健福祉士及び臨床心理技術者等による集中的かつ多面的な治療が計画的に提供されることを評価したものである。

(2) 当該加算は20歳未満の精神疾患を有する患者(精神作用物質使用による精神及び行動の障害の患者並びに知的障害の患者を除く。)について算定することができる。

(3) 当該加算を算定する場合には、医師は看護師、精神保健福祉士及び臨床心理技術者等と協力し、保護者等と協議の上、別紙様式4又はこれに準ずる様式を用いて、詳細な診療計画を作成すること。また、作成した診療計画を保護者等に説明の上交付するとともにその写しを診療録に添付すること。なお、これにより入院診療計画の基準を満たしたものとされるものであること。

(4) 保護者、学校関係者等に対して面接相談等適切な指導を適宜行うこと。

A231―2 強度行動障害入院医療管理加算

(1) 強度行動障害入院医療管理加算は、医学的管理を要する行為があるが意思の伝達が困難な強度行動障害児(者)に対して、経験を有する医師、看護師等による臨床的観察を伴う専門的入院医療が提供されることを評価したものである。

(2) 強度行動障害入院医療管理加算の対象となる強度行動障害の状態は、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(平成22年3月5日保医発0305第2号)の別添6の別紙14の2の強度行動障害スコアが10以上及び医療度判定スコアが24以上のものをいう。

A231―3 重度アルコール依存症入院医療管理加算

(1) 重度アルコール依存症入院医療管理加算は、アルコール依存症の入院患者に対して、医師、看護師、精神保健福祉士、臨床心理技術者等によるアルコール依存症に対する集中的かつ多面的な専門的治療の計画的な提供を評価したものである。

(2) 当該加算の対象となるのは、入院治療を要するアルコール依存症患者に対して、治療プログラムを用いたアルコール依存症治療を行った場合であり、合併症の治療のみを目的として入院した場合は算定できない。

(3) 当該加算を算定する場合には、医師は看護師、精神保健福祉士、臨床心理技術者等と協力し、家族等と協議の上、詳細な診療計画を作成する。また、作成した診療計画を家族等に説明の上交付するとともにその写しを診療録に添付する。なお、これにより入院診療計画の基準を満たしたものとされるものである。

(4) 家族者等に対して面接相談等適切な指導を適宜行う。

A231―4 摂食障害入院医療管理加算

(1) 摂食障害入院医療管理加算は、摂食障害の患者に対して、医師、看護師、精神保健福祉士、臨床心理技術者及び管理栄養士等による集中的かつ多面的な治療が計画的に提供されることを評価したものである。

(2) 摂食障害入院医療管理加算の算定対象となる患者は、摂食障害による著しい体重減少が認められる者であって、BMI(Body Mass Index)が15未満であるものをいう。

A232 がん診療連携拠点病院加算

(1) がん診療連携拠点病院加算は、キャンサーボードの設置を含めたがんの集学的治療、緩和ケアの提供、地域医療との連携、専門医師その他の専門の医療従事者の配置、院内がん登録の適切な実施、相談支援センター等の体制を備えた、がん診療連携拠点病院として指定された病院を評価したものである。

(2) 当該加算は、別の保険医療機関又は健康診断を実施した医療機関の医師に悪性腫瘍と診断された患者であって、これらの医療機関からの紹介により、当該がん診療連携拠点病院に入院した患者について、当該入院中1回に限り、入院初日に算定する。ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(3) 当該加算の対象患者は、(2)に定める患者であり、別の保険医療機関において悪性腫瘍と診断された患者の紹介を受け、当該がん診療連携拠点病院で通院治療を行った後入院した患者を含むものであること。なお、悪性腫瘍以外の疾患や悪性腫瘍の疑いで別の保険医療機関から紹介を受け、当該がん診療連携拠点病院において悪性腫瘍の診断を行った患者は対象患者に含まれない。

A233 栄養管理実施加算

(1) 栄養管理実施加算は、入院患者ごとに作成された栄養管理計画に基づき、関係職種が共同して患者の栄養状態等の栄養管理を行うことを評価したものである。

(2) 当該加算は、入院基本料、特定入院料又は短期滞在手術基本料2若しくは3を算定している入院患者であって、栄養管理計画を策定し、当該計画に基づき、関係職種が共同して栄養管理を行っている患者について算定できる。なお、当該加算は、食事を供与しておらず、食事療養に係る費用の算定を行っていない中心静脈栄養等の治療を行っている患者であっても、栄養管理計画に基づき適切な栄養管理が行われている者であれば算定対象となること。

(3) 救急患者や休日に入院した患者など、入院日に策定できない場合の栄養管理計画は、入院後7日以内に策定したものについては、入院初日に遡って当該加算を算定することができる。

(4) 管理栄養士をはじめとして、医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者が共同して栄養管理を行う体制を整備し、あらかじめ栄養管理手順(栄養スクリーニングを含む栄養状態の評価、栄養管理計画、定期的な評価等)を作成すること。

(5) 栄養管理は、次に掲げる内容を実施するものとする。

ア 入院患者ごとの栄養状態に関するリスクを入院時に把握すること(栄養スクリーニング)。

イ 栄養スクリーニングを踏まえて栄養状態の評価を行い、入院患者ごとに栄養管理計画(栄養管理計画の様式は、別紙様式5又はこれに準じた様式とする。)を作成すること。

ウ 栄養管理計画には、栄養補給に関する事項(栄養補給量、補給方法、特別食の有無等)、栄養食事相談に関する事項(入院時栄養食事指導、退院時の指導の計画等)、その他栄養管理上の課題に関する事項、栄養状態の評価の間隔等を記載すること。また、当該計画書の写しを診療録に添付すること。

エ 医師又は医師の指導の下に管理栄養士、薬剤師、看護師その他の医療従事者が栄養管理計画を入院患者に説明し、当該栄養管理計画に基づき栄養管理を実施すること。

オ 栄養管理計画に基づき患者の栄養状態を定期的に評価し、必要に応じて当該計画を見直していること。

(6) 当該栄養管理の実施体制に関する成果を含めて評価し、改善すべき課題を設定し、継続的な品質改善に努めること。

(7) 当該保険医療機関以外の管理栄養士等により栄養管理を行っている場合は、算定できない。

A233―2 栄養サポートチーム加算

(1) 栄養サポートチーム加算は、栄養障害の状態にある患者や栄養管理をしなければ栄養障害の状態になることが見込まれる患者に対し、患者の生活の質の向上、原疾患の治癒促進及び感染症等の合併症予防等を目的として、栄養管理に係る専門的知識を有した多職種からなるチーム(以下「栄養サポートチーム」という。)が診療することを評価したものである。

(2) 栄養サポートチーム加算は、当該加算を算定できる病棟に入院している患者であって、区分番号A233に掲げる栄養管理実施加算を算定している患者のうち、次のアからエのいずれかに該当する者について算定できる。

ア 栄養管理実施加算に係る栄養スクリーニングの結果、血中アルブミン値が3.0g/dl以下であって、栄養障害を有すると判定された患者

イ 経口摂取又は経腸栄養への移行を目的として、現に静脈栄養法を実施している患者

ウ 経口摂取への移行を目的として、現に経腸栄養法を実施している患者

エ 栄養サポートチームが、栄養治療により改善が見込めると判断した患者

(3) 1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね30人以内とする。

(4) 栄養サポートチームは、以下の診療を通じ、栄養状態を改善させ、また、必要に応じて経口摂取への円滑な移行を促進することが必要である。

ア 栄養状態の改善に係るカンファレンス及び回診が週1回程度開催されており、栄養サポートチームの構成員及び必要に応じて、当該患者の診療を担当する保険医、看護師等が参加している。

イ カンファレンス及び回診の結果を踏まえて、当該患者の診療を担当する保険医、看護師等と共同の上で、別紙様式5の2又はこれに準じた栄養治療実施計画を作成し、その内容を患者等に説明の上交付するとともに、その写しを診療録に添付する。

ウ 栄養治療実施計画に基づいて適切な治療を実施し、適宜フォローアップを行う。

エ 治療終了時又は退院・転院時に、治療結果の評価を行い、それを踏まえてチームで終了時指導又は退院時等指導を行い、その内容を別紙様式5の2又はこれに準じた栄養治療実施報告書として記録し、その写しを患者等に交付するとともに診療録に添付する。

オ 当該患者の退院・転院時に、紹介先保険医療機関等に対して診療情報提供書を作成した場合は、当該報告書を添付する。

(5) 栄養サポートチームは、以下の診療を通じ、当該保険医療機関における栄養管理体制を充実させるとともに、当該保険医療機関において展開されている様々なチーム医療の連携を図ることが必要である。

ア 現に当該加算の算定対象となっていない患者の診療を担当する保険医、看護師等からの相談に速やかに応じ、必要に応じて栄養評価等を実施する。

イ 褥瘡対策チーム、感染対策チーム、緩和ケアチーム、摂食・嚥下対策チーム等、当該保険医療機関において活動している他チームとの合同カンファレンスを、必要に応じて開催し、患者に対する治療及びケアの連携に努めること。

A234 医療安全対策加算

(1) 医療安全対策加算

ア 医療安全対策加算は、組織的な医療安全対策を実施している保険医療機関を評価したものであり、当該保険医療機関に入院している患者について、入院期間中1回に限り、入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

イ 組織的な医療安全対策とは、医療安全管理部門に所属する医療安全管理者が、医療安全管理委員会と連携しつつ、当該保険医療機関の医療安全に係る状況を把握し、その分析結果に基づいて医療安全確保のための業務改善等を継続的に実施していることをいう。

ウ 医療安全確保のための職員研修を計画的に実施するとともに、医療安全管理者が必要に応じて各部門における医療安全管理の担当者への支援を実施し、その結果を記録していること。

(2) 感染防止対策加算

ア 感染防止対策加算は、第2部通則7に規定する院内感染防止対策を行ったうえで、さらに院内に感染防止対策のチームを設置し、院内感染状況の把握、抗菌薬の適正使用、職員の感染防止等を行うことで院内感染防止を行うことを評価するものである。

イ 感染防止対策チームは以下の業務を行うものとする。

(イ) 感染防止対策チームは、1週間に1回程度、定期的に院内を巡回し、院内感染事例の把握を行うとともに、院内感染防止対策の実施状況の把握・指導を行う。また、院内感染事例、院内感染の発生率に関するサーベイランス等の情報を分析、評価し、効率的な感染対策に役立てる。院内感染の増加が確認された場合には病棟ラウンドの所見及びサーベイランスデータ等を基に改善策を講じる。巡回、院内感染に関する情報を記録に残す。

(ロ) 感染防止対策チームは微生物検査を適宜利用し、抗菌薬の適正使用を推進する。バンコマイシン等の抗MRSA薬及び広域抗菌薬等の使用に際して届出制等をとり、投与量、投与期間の把握を行い、臨床上問題となると判断した場合には、投与方法の適正化をはかる。

(ハ) 感染防止対策チームは院内感染対策を目的とした職員の研修を行う。また院内感染に関するマニュアルを作成し、職員がそのマニュアルを遵守していることを巡回時に確認する。

A235 褥瘡患者管理加算

(1) 褥瘡患者管理加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関に入院している患者であって、当該加算の要件を満たすものについて、当該入院期間中1回に限り算定する。なお、当該加算は、第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院であっても別に算定できる。

(2) 当該加算は、褥瘡対策の要件に基づき、計画を立て、当該計画を実行し、その評価を行った日に算定する。

A236 褥瘡ハイリスク患者ケア加算

(1) 褥瘡ハイリスク患者ケア加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関に入院している患者であって、当該加算の要件を満たすものについて算定する。

(2) 褥瘡ハイリスク患者ケア加算は、褥瘡ケアを実施するための適切な知識・技術を有する専従の褥瘡管理者が、褥瘡予防・管理が難しく重点的な褥瘡ケアが必要な患者に対し、適切な褥瘡予防・治療のための予防治療計画に基づく総合的な褥瘡対策を継続して実施した場合、当該入院期間中1回に限り算定する。なお、当該加算は、第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院であっても別に算定できる。

(3) 褥瘡予防・管理が難しく重点的な褥瘡ケアが必要な患者とは、ベッド上安静であって、次に掲げるものをいう。

ア ショック状態のもの

イ 重度の末梢循環不全のもの

ウ 麻薬等の鎮痛・鎮静剤の持続的な使用が必要であるもの

エ 6時間以上の全身麻酔下による手術を受けたもの

オ 特殊体位による手術を受けたもの

カ 強度の下痢が続く状態であるもの

キ 極度の皮膚の脆弱(低出生体重児、GVHD、黄疸等)であるもの

ク 褥瘡に関する危険因子(病的骨突出、皮膚湿潤、浮腫等)があって既に褥瘡を有するもの

(4) 褥瘡患者管理加算を算定した患者については、当該加算は算定できない。

A236―2 ハイリスク妊娠管理加算

(1) ハイリスク妊娠管理加算の算定対象となる患者は、保険診療の対象となる合併症を有している次に掲げる疾患等の妊婦であって、医師がハイリスク妊娠管理が必要と認めた者であること。

ア 妊娠22週から32週未満の早産の患者(早産するまでの患者に限る。)

イ 妊娠高血圧症候群重症の患者

ウ 前置胎盤(妊娠28週以降で出血等の症状を伴う場合に限る。)の患者

エ 妊娠30週未満の切迫早産の患者であって、子宮収縮、子宮出血、頸管の開大、短縮又は軟化のいずれかの兆候を示しかつ以下のいずれかを満たすものに限る。

(イ) 前期破水を合併したもの

(ロ) 羊水過多症又は羊水過少症のもの

(ハ) 経腟超音波検査で子宮頸管長が20mm未満のもの

(ニ) 切迫早産の診断で他の医療機関より搬送されたもの

(ホ) 早産指数(tocolysis index)が3点以上のもの

オ 多胎妊娠の患者

カ 子宮内胎児発育遅延の患者

キ 心疾患(治療中のものに限る。)の患者

ク 糖尿病(治療中のものに限る。)の患者

ケ 甲状腺疾患(治療中のものに限る。)の患者

コ 腎疾患(治療中のものに限る。)の患者

サ 膠原病(治療中のものに限る。)の患者

シ 特発性血小板減少性紫斑病(治療中のものに限る。)の患者

ス 白血病(治療中のものに限る。)の患者

セ 血友病(治療中のものに限る。)の患者

ソ 出血傾向のある状態(治療中のものに限る。)の患者

タ HIV陽性の患者

チ Rh不適合の患者

ツ 当該妊娠中に帝王切開術以外の開腹手術(腹腔鏡による手術を含む。)を行った患者又は行う予定のある患者

ただし、治療中のものとは、対象疾患について専門的治療が行われているものを指し、単なる経過観察のために年に数回程度通院しているのみの患者は算定できない。

(2) 当該加算は、1入院に20日を限度として所定点数に加算する。ただし、第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院については、1入院として取り扱うものであること。

(3) 1入院の期間中に、区分番号「A237」ハイリスク分娩管理加算を算定するハイリスク分娩管理とハイリスク妊娠管理を併せて行うことは可能であるが、ハイリスク分娩管理加算を算定する日と同一日に行うハイリスク妊娠管理に係る費用は、ハイリスク分娩管理加算に含まれ、別に算定できない。

(4) 妊婦とは産褥婦を含まない。

[早産指数(tocolysis index)]

スコア

0

1

2

3

4

子宮収縮

不規則

規則的

破水

高位破水

低位破水

出血

子宮口の開大度

1cm

2cm

3cm

4cm以上

A237 ハイリスク分娩管理加算

(1) ハイリスク分娩管理加算の算定対象となる患者は、保険診療の対象となる合併症を有している次に掲げる疾患等の妊産婦であって、医師がハイリスク分娩管理が必要と認めた者であること。

ア 妊娠22週から32週未満の早産の患者

イ 40歳以上の初産婦である患者

ウ 分娩前のBMIが35以上の初産婦である患者

エ 妊娠高血圧症候群重症の患者

オ 常位胎盤早期剥離の患者

カ 前置胎盤(妊娠28週以降で出血等の症状を伴う場合に限る。)の患者

キ 双胎間輸血症候群の患者

ク 多胎妊娠の患者

ケ 子宮内胎児発育遅延の患者

コ 心疾患(治療中のものに限る。)の患者

サ 糖尿病(治療中のものに限る。)の患者

シ 特発性血小板減少性紫斑病(治療中のものに限る。)の患者

ス 白血病(治療中のものに限る。)の患者

セ 血友病(治療中のものに限る。)の患者

ソ 出血傾向のある状態(治療中のものに限る。)の患者

タ HIV陽性の患者

チ 当該妊娠中に帝王切開術以外の開腹手術(腹腔鏡による手術を含む。)を行った患者又は行う予定のある患者

ただし、治療中のものとは、対象疾患について専門的治療が行われているものを指し、単なる経過観察のために年に数回程度通院しているのみの患者は算定できない。

(2) 当該加算は、ハイリスク分娩管理の対象となる妊産婦に対して、分娩を伴う入院中にハイリスク分娩管理を行った場合に、8日を限度として算定する。ただし、第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院については、1入院として取り扱うものであること。

(3) 1入院の期間中に、区分番号「A236―2」ハイリスク妊娠管理加算を算定するハイリスク妊娠管理とハイリスク分娩管理を併せて行うことは可能であるが、ハイリスク妊娠管理加算を算定するハイリスク妊娠管理とハイリスク分娩管理を同一日に行う場合には、ハイリスク分娩管理加算のみを算定する。

(4) 妊産婦とは、産褥婦を含む。

A238 慢性期病棟等退院調整加算

慢性期病棟等退院調整加算は、患者の同意を得て、退院支援計画の立案及び当該計画に基づき退院した場合のそれぞれについて1入院につき、当該加算の要件を満たすものについて算定する。なお、第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院については、1入院として取り扱うものであること。

また、慢性期病棟等退院調整加算1は、看護師と社会福祉士が、それぞれの専門性を生かし、共同して、医療・看護の観点からの退院困難な要因の解決や、介護・福祉サービスの活用等、退院に向けた総合的な体制による支援を行うことを評価したものであること。

(1) 退院支援計画作成加算

ア 入院後病状の安定が見込まれた後早期に、患者の病態安定後を見越して退院に関する支援の必要性の評価を行い、患者の同意を得て別紙様式6を参考として具体的な退院支援計画を作成すること。

イ 当該計画を文書で患者に説明を行い、交付するとともに、その写しを診療録に添付すること。

ウ 当該計画に基づき患者又は家族に必要な支援を行うこと。

エ 患者の病態が急変した場合には、適宜、当該計画を見直し、改めて(1)アからウに係る事項を行うこと。なお、その場合であっても当該加算は入院中に1回算定するものである。

(2) 退院加算

ア 退院支援計画作成加算を算定した患者が当該計画に基づき退院できた場合に当該加算を算定するものであり、退院日に算定する入院基本料等に応じて、当該加算を算定すること。

イ 退院先について診療録に記載すること。

ウ 死亡による退院又は他の病院若しくは診療所に入院するために転院した患者については、算定できない。

A238―2 急性期病棟等退院調整加算

(1) 入院中であって、介護保険法施行令(平成10年法律第412号)第2条各号に規定する特定疾病を有する40歳以上65歳未満の者及び65歳以上の者が、適切な退院先に退院できるよう、医療機関全体として退院困難な要因を有する患者を抽出する体制を整備し、その上で退院困難な要因を有する患者に対し退院支援計画を策定し、退院・転院後の療養を担う保険医療機関等との連絡調整や適切な介護サービスの導入に係る業務等の退院調整を行う取組みを評価する。なお、特定疾病に該当するか判断するにあたっては、要介護認定における「認定調査票記入の手引き」、「主治医意見書の手引き」及び「特定疾病にかかる診断基準」について(平成21年9月30日老老発0930第2号)を参考に診断すること。

(2) 退院困難な要因を有する患者の同意を得て退院支援計画を策定し、当該計画に基づき退院した場合であって、当該計画を策定したときに現に介護保険法施行令第2条各号に規定する特定疾病を有する40歳以上65歳未満である者及び65歳以上である者について、退院時に1回に限り算定する。なお、ここでいう退院時とは、第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院における退院のことをいい、入院期間が通算される再入院に係る退院時には算定できない。

(3) 当該退院には、他の保険医療機関(特別の関係を含む。)に転院した場合も含まれる。ただし、死亡退院は含まれない。

(4) 退院支援計画は、別紙様式6を参考として関係職種と連携して作成すること。なお、必要に応じて、退院調整部門の看護師又は社会福祉士と関係職種が共同してカンファレンス等を行った上で計画を策定すること。

(5) 退院支援計画の写しを診療録に添付すること。

A238―3 新生児特定集中治療室退院調整加算

(1) 新生児特定集中治療室退院調整加算は、新生児特定集中治療室又は新生児集中治療室に入室し、集中的な治療を受けた退院困難な要因を有する患者に対して、より適切な退院先に退院できるよう、退院支援計画を策定し、退院先の選定や必要な社会福祉サービスの調整等も含め、退院調整を行う取組を評価するものである。なお、対象となる患者には、新生児特定集中治療室又は新生児集中治療室から退室後、同一の保険医療機関の他の病床に入院している患者を含むものとする。

(2) 当該入院期間中に区分番号「A302」新生児特定集中治療室管理料又は区分番号「A303」総合周産期特定集中治療室管理料の「2」新生児集中治療室管理料を算定した退院困難な要因を有する患者又はその家族の同意を得て退院支援計画を策定し、当該計画に基づき退院した場合について、退院時に1回に限り算定する。なお、ここでいう退院時とは、第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院における退院のことをいい、入院期間が通算される再入院に係る退院時には算定できない。

(3) 当該退院には、他の保険医療機関(特別の関係を含む。)に転院した場合も含まれる。ただし、死亡退院は含まれない。

(4) 退院支援計画は、別紙様式6を参考として関係職種と連携して作成すること。なお、必要に応じて、退院調整部門の看護師又は社会福祉士と関係職種が共同してカンファレンス等を行った上で計画を策定すること。

(5) 退院支援計画の写しを診療録に添付すること。

A238―4 救急搬送患者地域連携紹介加算

A238―5 救急搬送患者地域連携受入加算

(1) 救急搬送患者地域連携紹介加算及び救急搬送患者地域連携受入加算は、高次の救急医療機関(区分番号A205救急医療管理加算・乳幼児救急医療管理加算、区分番号A300救命救急入院料、区分番号A301特定集中治療室管理料、区分番号A301―2ハイケアユニット入院医療管理料又はA301―3脳卒中ケアユニット入院医療管理料に係る届出を行っている保険医療機関をいう。以下同じ。)に緊急入院した患者(当該保険医療機関の一般病棟へ緊急入院した患者を含む。)について、他の保険医療機関(特別の関係にあるものを除く。)でも対応可能な場合に、他の保険医療機関が当該患者の転院を速やかに受け入れることで、高次の救急医療機関の負担軽減及び緊急入院の受入れが円滑になるような地域における連携を評価するものである。

(2) 救急搬送患者地域連携紹介加算は、高次の救急医療機関が緊急入院患者を受入れ、入院後5日以内に、あらかじめ連携している保険医療機関に当該患者に関する診療情報を提供し、転院した場合に、高次の救急医療機関において転院時に算定する。

(3) 救急搬送地域連携受入加算は、高次の救急医療機関に緊急入院した患者を、当該緊急入院から5日以内に受入れた場合に、受入医療機関において入院時に算定する。

(4) 救急搬送患者地域連携紹介加算は、他の医療機関から転院してきた患者を受入医療機関にさらに転院させた場合には算定できないものとする。ただし、当該他の医療機関への入院時から48時間以内に、患者の症状の増悪等により救急搬送患者地域連携紹介加算を算定する高次の救急医療機関に転院した後、高次の救急医療機関への入院から5日以内に受入医療機関に転院させた場合に限り、救急搬送患者地域連携紹介加算を算定できるものとする。救急搬送患者地域連携受入加算も同様とする。

A240 総合評価加算

(1) 介護保険法施行令第2条各号に規定する特定疾病を有する40歳以上65歳未満である者及び65歳以上である者については、入院当初から退院後にどのような生活を送るかということを念頭に置いた医療を行うことは特に重要なことであり、身体機能や退院後に必要となりうる介護サービス等について総合的に評価を行い、入院中の診療や適切な退院調整に活用する取組みを評価するものである。なお、特定疾病に該当するか判断するにあたっては、要介護認定における「認定調査票記入の手引き」、「主治医意見書の手引き」及び「特定疾病にかかる診断基準」について(平成21年9月30日老老発0930第2号)を参考に診断すること。

(2) 病状の安定が見込まれた後できるだけ早期に、患者の基本的な日常生活能力、認知機能、意欲等について総合的な評価(以下「総合的な機能評価」という。)を行った場合であって、当該総合的な機能評価を行った時点で現に介護保険法施行令第2条各号に規定する特定疾病を有する40歳以上65歳未満である者及び65歳以上である者について、入院中1回に限り算定する。なお、ここでいう入院中とは、第2部通則5に規定する入院期間中の入院のことをいい、入院期間が通算される再入院時は算定できない。

(3) 総合的な機能評価を行った後、病状の急変等により大きく患者の基本的な日常生活能力、認知機能、意欲等が変化した場合には、病状の安定が見込まれた後改めて評価を行うこと。ただし、その場合であっても、当該加算は入院中1回に限り算定するものであること。

(4) 総合的な機能評価に係る測定は、医師又は歯科医師以外の医療職種が行うことも可能であるが、当該測定結果に基づく評価は、研修を修了した医師又は歯科医師若しくは当該患者に対する診療を担う医師又は歯科医師が行わなければならない。

(5) 総合的な機能評価の結果について患者及びその家族等に説明し、要点を診療録に記載すること。

(6) 高齢者の総合的な機能評価の実施に当たっては、関係学会等より示されているガイドラインに沿った評価が適切に実施されるよう十分留意すること。

(7) 総合的な機能評価の測定結果に基づく評価を行う医師又は歯科医師は、高齢者の診療に資する新しい知見等に関する研修を受けるよう努めること。

A242 呼吸ケアチーム加算

(1) 呼吸ケアチーム加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関に入院している患者であって、当該加算の要件を満たすものについて算定する。

(2) 呼吸ケアチーム加算の算定対象となる患者は、48時間以上継続して人工呼吸器を装着している患者であって、人工呼吸器を装着している状態で当該病棟に入院した日から1月以内の患者又は当該病棟に入院した後人工呼吸器を装着し、装着日から1月以内の患者であること。ただし、人工呼吸器離脱の過程において、一時的に短時間、人工呼吸器を装着していない時間については、継続して装着しているものとみなす。

(3) 呼吸ケアチーム加算は、人工呼吸器離脱のための呼吸ケアに係る専任のチーム(以下「呼吸ケアチーム」という。)による診療が行われた場合に週1回に限り算定する。

(4) 呼吸ケアチームは初回の診療に当たり、当該患者の診療計画書を作成し、その内容に基づき、人工呼吸器離脱のために当該患者の状態に応じたチームによる診療を行い、その評価を行うこと。なお、必要に応じて呼吸ケアチーム以外の医師、看護師等に人工呼吸器の管理や呼吸ケア等の指導を行うこと。

(5) 呼吸ケアチームは当該患者の診療を担う保険医、看護師等と十分に連携を図ること。

A243 後発医薬品使用体制加算

(1) 後発医薬品使用体制加算は、後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえ後発医薬品の採用を決定する体制が整備されている保険医療機関を評価したものである。

(2) 後発医薬品使用体制加算は、当該保険医療機関における全ての医薬品の採用品目数のうち、後発医薬品の採用品目数の割合が20%以上であるとともに、入院及び外来において後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用を積極的に行っている旨を当該保険医療機関の見やすい場所に掲示している保険医療機関に入院している患者について、入院期間中1回に限り、入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(3) 後発医薬品使用体制加算の算定対象患者は、DPC対象病棟に入院している患者を除くものであること。

第3節 特定入院料

1 特定入院料(特殊疾患入院医療管理料、小児入院医療管理料、回復期リハビリテーション病棟入院料、特殊疾患病棟入院料、緩和ケア病棟入院料、精神科急性期治療病棟入院料、精神療養病棟入院料及び認知症治療病棟入院料を除く。以下この項において同じ。)は、1回の入院について、当該治療室に入院させた連続する期間1回に限り算定できるものであり、1回の入院期間中に、当該特定入院料を算定した後に、入院基本料又は他の特定入院料を算定し、再度同一の特定入院料を算定することはできない。

ただし、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、新生児特定集中治療室管理料、総合周産期特定集中治療室管理料(新生児集中治療室管理料を算定するものに限る。)及び新生児治療回復室入院医療管理料については、前段の規定にかかわらず、1回の入院期間中に当該特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、新生児特定集中治療室管理料、総合周産期特定集中治療室管理料(新生児集中治療室管理料を算定するものに限る。)又は新生児治療回復室入院医療管理料を算定した後に、入院基本料又は他の特定入院料を算定し、再度病状が悪化して当該特定集中治療室、ハイケアユニット入院医療管理を行う専用の治療室、脳卒中ケアユニット入院医療管理を行う専用の治療室、新生児特定集中治療室、総合周産期特定集中治療室(新生児集中治療室管理料を算定するものに限る。)又は新生児治療回復室入院医療管理料を算定する治療室へ入院させた場合には、これを算定できるものとする。

2 特定入院料を算定できる2以上の治療室に患者を入院させた場合において、特定入院料を算定できる日数の限度は、他の特定入院料を算定した日数を控除して計算するものとする。例えば、救命救急入院料を算定した後、ハイケアユニット入院医療管理料に入院させた場合においては、21日から救命救急入院料を算定した日数を控除して得た日数を限度として、ハイケアユニット入院医療管理料を算定する。

A300 救命救急入院料

(1) 救命救急入院料の算定対象となる重篤な救急患者とは、次に掲げる状態にあって、医師が救命救急入院が必要であると認めた者であること。

ア 意識障害又は昏睡

イ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪

ウ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

エ 急性薬物中毒

オ ショック

カ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

キ 広範囲熱傷

ク 大手術を必要とする状態

ケ 救急蘇生後

コ その他外傷、破傷風等で重篤な状態

(2) 広範囲熱傷特定集中治療管理料の算定対象となる患者とは、第2度熱傷30%程度以上の重症広範囲熱傷患者であって、医師が広範囲熱傷特定集中治療が必要であると認めた者であること。なお、熱傷には電撃傷、薬傷及び凍傷が含まれる。

(3) 救命救急入院料は、救命救急医療に係る入院初期の医療を重点的に評価したものであり、救命救急入院後症状の安定等により他病棟に転棟した患者又は他病棟に入院中の患者が症状の増悪等をきたしたことにより当該救命救急センターに転棟した場合にあっては、救命救急入院料は算定できない。

(4) 「注2」に掲げる加算については、自殺企図及び自傷又はそれが疑われる行為により医師が救命救急入院が必要であると認めた重篤な患者であって、統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害又は精神症状を伴う脳器質性障害等(以下この節において「精神疾患」という。)を有する患者又はその家族等に対して、精神保健福祉法第18条第1項に規定する精神保健指定医(以下この節において「精神保健指定医」という。)が、患者又は家族等からの情報を得て、精神疾患に対する診断治療等を行った場合に算定する。

(5) 「注6」に掲げる加算については急性薬毒物中毒(催眠鎮静剤、抗不安剤による中毒を除く。)が疑われる患者に対して原因物質の分析等、必要な救命救急管理を実施した場合に算定する。

(6) 「注7」に掲げる小児加算については、専任の小児科の医師が常時配置されている保険医療機関において、15歳未満の重篤な救急患者に対して救命救急医療が行われた場合に入院初日に限り算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(7) 救命救急入院料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

A301 特定集中治療室管理料

(1) 特定集中治療室管理料の算定対象となる患者は、次に掲げる状態にあって、医師が特定集中治療室管理が必要であると認めた者であること。

ア 意識障害又は昏睡

イ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪

ウ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

エ 急性薬物中毒

オ ショック

カ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

キ 広範囲熱傷

ク 大手術後

ケ 救急蘇生後

コ その他外傷、破傷風等で重篤な状態

(2) 広範囲熱傷特定集中治療管理料の算定対象となる広範囲熱傷特定集中治療管理が必要な患者とは、A300救命救急入院料の(2)と同様であること。

(3) 特定集中治療室管理料の「注2」に掲げる小児加算については、専任の小児科の医師が常時配置されている保険医療機関において、15歳未満の重篤な患者に対して特定集中治療室管理が行われた場合に14日を限度として算定する。

(4) 特定集中治療室管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

A301―2 ハイケアユニット入院医療管理料

(1) ハイケアユニット入院医療管理料の算定対象となる患者は、次に掲げる状態に準じる状態にあって、医師がハイケアユニット入院医療管理が必要であると認めた者であること。

ア 意識障害又は昏睡

イ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪

ウ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

エ 急性薬物中毒

オ ショック

カ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

キ 広範囲熱傷

ク 大手術後

ケ 救急蘇生後

コ その他外傷、破傷風等で重篤な状態

(2) ハイケアユニット入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

A301―3 脳卒中ケアユニット入院医療管理料

(1) 脳卒中ケアユニット入院医療管理料の算定対象となる患者は、次に掲げる疾患であって、医師が脳卒中ケアユニット入院医療管理が必要であると認めた者であること。

ア 脳梗塞

イ 脳出血

ウ くも膜下出血

(2) 脳卒中ケアユニット入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

A302 新生児特定集中治療室管理料

(1) 新生児特定集中治療室管理料の算定対象となる新生児は、次に掲げる状態にあって、医師が新生児特定集中治療室管理が必要であると認めた者であること。

ア 高度の先天奇形

イ 低体温

ウ 重症黄疸

エ 未熟児

オ 意識障害又は昏睡

カ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪

キ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

ク 急性薬物中毒

ケ ショック

コ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

サ 大手術後

シ 救急蘇生後

ス その他外傷、破傷風等で重篤な状態

(2) 新生児特定集中治療室管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

A303 総合周産期特定集中治療室管理料

(1) 総合周産期特定集中治療室管理料は、出産前後の母体及び胎児並びに新生児の一貫した管理を行うため、都道府県知事が適当であると認めた病院であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合していると地方厚生(支)局長に届出を行った病院である保険医療機関に限って算定できる。

(2) 「1」の母体・胎児集中治療室管理料の算定対象となる妊産婦は、次に掲げる疾患等のため母体又は胎児に対するリスクの高い妊娠と認められる妊産婦であって、医師が、常時十分な監視のもとに適時適切な治療を行うために母体・胎児集中治療室管理が必要であると認めたものであること。なお、妊産婦とは、産褥婦を含むものであること。

ア 合併症妊娠

イ 妊娠高血圧症候群

ウ 多胎妊娠

エ 胎盤位置異常

オ 切迫流早産

カ 胎児発育遅延や胎児奇形などの胎児異常を伴うもの

(3) 「2」の新生児集中治療室管理料の算定対象となる新生児は、区分番号「A302」新生児特定集中治療室管理料の(1)に掲げる状態にあって、医師が新生児集中治療室管理が必要であると認めたものであること。

(4) 総合周産期特定集中治療室管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

A303―2 新生児治療回復室入院医療管理料

(1) 新生児治療回復室入院医療管理料は、集中的な医療を必要とする新生児に対して十分な体制を整えた治療室において医療管理を行った場合に算定する。

(2) 新生児治療回復室入院医療管理料の算定対象となる新生児は、次に掲げる状態にあって、保険医が入院医療管理が必要であると認めた者である。

ア 高度の先天奇形

イ 低体温

ウ 重症黄疸

エ 未熟児

オ 意識障害又は昏睡

カ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪

キ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

ク 急性薬物中毒

ケ ショック

コ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

サ 大手術後

シ 救急蘇生後

ス その他外傷、破傷風等で重篤な状態

(3) 新生児治療回復室入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

A305 一類感染症患者入院医療管理料

(1) 一類感染症患者入院医療管理料の算定対象となる患者は、次に掲げる患者であって、医師が一類感染症患者入院医療管理が必要と認めた者であること。

ア 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条第9項に規定する新感染症又は同法(以下「感染症法」という。)第6条第2項に規定する一類感染症に罹患している患者

イ アの感染症の疑似症患者又は無症状病原体保有者

(2) 一類感染症患者入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

A306 特殊疾患入院医療管理料

(1) 特殊疾患入院医療管理料を算定する病室は、主として長期にわたり療養の必要な患者が入院する病室であり、医療上特に必要がある場合に限り他の病室への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(2) 特殊疾患入院医療管理料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、特殊疾患入院医療管理料に含まれ、別に算定できない。

(3) 特殊疾患入院医療管理料を算定している患者に対して、1日5時間を超えて体外式陰圧人工呼吸器を使用した場合は、「注2」の加算を算定できる。

(4) 「注2」に掲げる加算を算定する際に使用した酸素及び窒素の費用は、「酸素及び窒素の価格」(平成2年厚生省告示第41号)に定めるところによる。

(5) 「注3」に掲げる重症児(者)受入連携加算は、集中治療を経た新生児等を急性期の保険医療機関から受け入れ、病態の安定化のために密度の高い医療を提供することを評価したものであり、入院前の保険医療機関において新生児特定集中治療室退院調整加算が算定された患者を、特殊疾患入院医療管理料を算定する病床において受け入れた場合に入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

A307 小児入院医療管理料

(1) 小児入院医療管理料は、届け出た保険医療機関における入院中の15歳未満の患者を対象とする。ただし、当該患者が他の特定入院料を算定できる場合は、小児入院医療管理料は算定しない。

(2) 「注2」に掲げる加算については、当該入院医療管理料を算定する病棟において算定するものであるが、小児入院医療管理料5を算定する医療機関にあっては、院内の当該入院医療管理料を算定する患者の全てについて算定できる。

(3) 「注3」に掲げる加算を算定する際に使用した酸素及び窒素の費用は、「酸素及び窒素の価格」に定めるところによる。

(4) 小児入院医療管理料を算定している患者に対して、1日5時間を超えて体外式陰圧人工呼吸器を使用した場合は、「注3」の加算を算定できる。

(5) 小児入院医療管理料1、2、3及び4において、当該入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が当該病棟に入院した場合には、当該医療機関が算定している入院基本料等を算定する。

(6) 小児入院医療管理料5において、当該入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が当該病棟(精神病棟に限る。)に入院した場合は、精神病棟入院基本料の15対1入院基本料を算定する。

A308 回復期リハビリテーション病棟入院料

(1) 回復期リハビリテーション病棟は、脳血管疾患又は大腿骨頸部骨折等の患者に対して、ADL能力の向上による寝たきりの防止と家庭復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に行うための病棟であり、回復期リハビリテーションを要する状態の患者が常時8割以上入院している病棟をいう。なお、リハビリテーションの実施に当たっては、医師は定期的な機能検査等をもとに、その効果判定を行いリハビリテーション実施計画を作成する必要がある。

(2) 医療上特に必要がある場合に限り回復期リハビリテーション病棟から他の病棟への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(3) 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、回復期リハビリテーション病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

(4) 回復期リハビリテーション病棟入院料に係る算定要件に該当しない患者が、当該病棟に入院した場合には、当該病棟が一般病棟である場合は特別入院基本料を、当該病棟が療養病棟である場合は療養病棟入院基本料の入院基本料Ⅰを算定する。

(5) 必要に応じて病棟等における早期歩行、ADLの自立等を目的とした理学療法又は作業療法が行われることとする。

(6) 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定している患者は、転院してきた場合においても、転院先の保険医療機関で当該入院料を継続して算定できることとする。ただし、その場合にあっては、当該入院料の算定期間を通算する。なお、診療報酬明細書に転院してきた旨を記載すること。

(7) 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定するに当たっては、当該回復期リハビリテーション病棟への入院時又は転院時及び退院時に日常生活機能評価の測定を行い、その結果について診療録に記載すること。なお、区分番号「B005―2」地域連携診療計画管理料を算定する患者が当該回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する病棟に転院してきた場合には、当該患者に対して作成された地域連携診療計画に記載された日常生活機能評価の結果を入院時に測定された日常生活機能評価とみなす。

(8) 医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等の多職種が共同してリハビリテーション総合実施計画を作成し、これに基づいて行ったリハビリテーションの効果、実施方法等について共同して評価を行った場合は、区分番号「H003―2」リハビリテーション総合計画評価料を算定できる。

(9) 注2に掲げる重症患者回復病棟加算は、重症者が多く入院する病棟において、集中的かつ効果的なリハビリテーションの提供により、実際に患者を回復させていることを評価したものである。

(10) 注3に掲げる休日リハビリテーション提供体制加算は、患者が入院当初から集中的なリハビリテーションを継続して受けられるよう、休日であっても平日と同様のリハビリテーションの提供が可能な体制をとる保険医療機関を評価したものである。

(11) 注4に掲げるリハビリテーション充実加算は、回復期リハビリテーションが必要な患者に対して集中的なリハビリテーションを提供していることを評価したものである。

(12) 平成22年3月31日現在において、回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定している保険医療機関については、「基本診療料の施設基準等」第九の十の(1)のチ又は(2)のイの基準を満たさない場合であっても、平成22年9月30日までは従前の例により算定することができる。また、平成22年3月31日現在において、回復期リハビリテーション病棟入院料2を算定している保険医療機関については、「基本診療料の施設基準等」第九の十の(1)のチの基準を満たさない場合であっても、平成22年9月30日までは従前の例により算定することができる。

A308―2 亜急性期入院医療管理料

(1) 亜急性期入院医療管理料1を算定する病室は、急性期治療を経過した患者、在宅・介護施設等からの患者であって症状の急性増悪した患者等に対して、在宅復帰支援機能を有し、効率的かつ密度の高い医療を提供する病室である。

(2) 亜急性期入院医療管理料2を算定する病室は、急性期治療を経過した患者に対して安定化を図り、在宅復帰支援機能を有し、効率的かつ密度の高い急性期後の医療を提供する病室である。

(3) 当該病室に入室してから7日以内(当該病室に直接入院した患者を含む。)に、医師、看護師、在宅復帰支援を担当する者、その他必要に応じ関係職種が共同して新たに診療計画(退院に向けた指導・計画等を含む。)を作成し、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の別添6の別紙2を参考として、文書により病状、症状、治療計画、検査内容及び日程、手術内容及び日程、推定される入院期間等について、患者に対して説明を行い、交付するとともに、その写しを診療録に添付するものとする。(ただし、同一保険医療機関の他の病室から当該管理料を算定する病室へ移動した場合、すでに交付されている入院診療計画書に記載した診療計画に変更がなければ別紙様式7を参考に在宅復帰支援に係る文書のみを交付するとともに、その写しを診療録に添付することでも可とする。)

(4) 当該管理料を算定した患者が退室した場合、退室した先について診療録に記載すること。

(5) 注2に掲げる加算は、亜急性期入院医療管理料を算定する病室において、リハビリテーションを必要とする患者に対して、併存する疾患や症状に対して密度の高い医療を提供しつつ、充実したリハビリテーションを提供することを評価したものである。

(6) 医療上特に必要がある場合に限り亜急性期入院医療管理料を算定する病室から他の病室への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(7) 亜急性期入院医療管理料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、亜急性期入院医療管理料に含まれ、別に算定できない。

(8) 亜急性期入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該病室に入院した場合には、一般病棟入院基本料の特別入院基本料を算定する。

A309 特殊疾患病棟入院料

(1) 特殊疾患病棟は、主として長期にわたり療養が必要な重度の肢体不自由児(者)、脊髄損傷等の重度の障害者、重度の意識障害者(病因が脳卒中の後遺症の患者を含む。)、筋ジストロフィー患者又は神経難病患者が入院する病棟であり、医療上特に必要がある場合に限り他の病棟への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(2) 特殊疾患病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、特殊疾患病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

(3) 特殊疾患病棟入院料を算定している患者に対して、1日5時間を超えて体外式陰圧人工呼吸器を使用した場合は、「注2」の加算を算定できる。

(4) 「注2」に掲げる加算を算定する際に使用した酸素及び窒素の費用は、「酸素及び窒素の価格」に定めるところによる。

(5) 「注3」に掲げる重症児(者)受入連携加算は、集中治療を経た新生児等を急性期の保険医療機関から受け入れ、病態の安定化のために密度の高い医療を提供することを評価したものであり、入院前の保険医療機関において新生児特定集中治療室退院調整加算が算定された患者を、特殊疾患病棟入院料を算定する病床において受け入れた場合に入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

A310 緩和ケア病棟入院料

(1) 緩和ケア病棟は、主として苦痛の緩和を必要とする悪性腫瘍及び後天性免疫不全症候群の患者を入院させ、緩和ケアを行うとともに、外来や在宅への円滑な移行も支援する病棟であり、当該病棟に入院した緩和ケアを要する悪性腫瘍及び後天性免疫不全症候群の患者について算定する。

(2) 緩和ケア病棟入院料を算定する日に使用するものとされた薬剤に係る薬剤料は緩和ケア病棟入院料に含まれるが、退院日に退院後に使用するものとされた薬剤料は別に算定できる。

(3) 悪性腫瘍の患者及び後天性免疫不全症候群の患者以外の患者が、当該病棟に入院した場合には、一般病棟入院基本料の特別入院基本料を算定する。

(4) 緩和ケア病棟における悪性腫瘍患者のケアに関しては、「Evidence-Based Medicineに則ったがん疼痛治療ガイドライン」(日本緩和医療学会)、「がん緩和ケアに関するマニュアル」(厚生労働省・日本医師会監修)等の緩和ケアに関するガイドラインを参考とする。

(5) 緩和ケア病棟入院料を算定する保険医療機関は、地域の在宅医療を担う保険医療機関と連携し、緊急時に在宅での療養を行う患者が入院できる体制を保険医療機関として確保していること。

(6) 緩和ケア病棟入院料を算定する保険医療機関は、連携している保険医療機関の患者に関し、緊急の相談等に対応できるよう、24時間連絡を受ける体制を保険医療機関として確保していること。

(7) 緩和ケア病棟においては、連携する保険医療機関の医師、看護師又は薬剤師に対して、実習を伴う専門的な緩和ケアの研修を行っていること。

A311 精神科救急入院料

(1) 精神科救急入院料の算定対象となる患者は、次のア又はイに該当する患者(以下この項において「新規患者」という。)であること。

ア 措置入院患者、緊急措置入院患者又は応急入院患者

イ 入院基本料の入院期間の起算日の取扱いにおいて、当該病院への入院日が入院基本料の起算日に当たる患者(当該病棟が満床である等の理由により一旦他の病棟に入院した後、入院日を含め2日以内に当該病棟に転棟した患者を含む。)

(2) 当該入院料は、入院日から起算して3月を限度として算定する。なお、届出を行い、新たに算定を開始することとなった日から3月以内においては、届出の効力発生前に当該病棟に新規入院した入院期間が3月以内の患者を、新規患者とみなして算定できる。

(3) 精神科救急入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、精神科救急入院料に含まれ、別に算定できない。

(4) 精神科救急入院料に係る算定要件に該当しない患者が、当該病棟に入院した場合には、精神病棟入院基本料の15対1入院基本料を算定する。

(5) 当該入院料の算定対象となる患者は以下の障害を有する者に限る。

ア 症状性を含む器質性精神障害(精神疾患を有する状態に限り、単なる認知症の症状を除く。)

イ 精神作用物質使用による精神及び行動の障害(アルコール依存症にあっては、単なる酩酊状態であるものを除く。)

ウ 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害

エ 気分(感情)障害

オ 神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害(自殺・自傷行為及び栄養障害・脱水等の生命的危険を伴う状態に限る。)

カ 成人の人格及び行動の障害(精神疾患を有する状態に限る。)

キ 知的障害(精神疾患を有する状態に限る。)

(6) 「注3」に規定する非定型抗精神病薬とは、オランザピン、クエチアピンフマル酸塩、ペロスピロン塩酸塩、リスペリドン、アリピプラゾール、ブロナンセリン及びクロザピンをいう。

(7) 「注3」に規定する抗精神病薬とは、アリピプラゾール、オキシペルチン、オランザピン、カルピプラミンマレイン酸塩、クエチアピンフマル酸塩、クロカプラミン塩酸塩水和物、クロザピン、クロルプロマジン塩酸塩、スピペロン、スルトプリド塩酸塩、スルピリド、ゾテピン、チミペロン、トリフロペラジンマレイン酸塩、ネモナプリド、ハロペリドール、ハロペリドールデカン酸エステル、ピパンペロン塩酸塩、ピモジド、フルフェナジンデカン酸エステル、フルフェナジンマレイン酸塩、プロクロルペラジンマレイン酸塩、ブロナンセリン、プロペリシアジン、ブロムペリドール、塩酸ペルフェナジン、ペルフェナジンフェンジゾ酸塩、ペルフェナジンマレイン酸塩、ペロスピロン塩酸塩、モサプラミン塩酸塩、モペロン塩酸塩、リスペリドン、レセルピン、レボメプロマジンマレイン酸塩及びレボメプロマジン塩酸塩をいう。

(8) 「注3」に規定する加算は、非定型抗精神病薬を投与している統合失調症患者に対して、計画的な治療管理を継続して行い、かつ、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明を含め、療養上必要な指導を行った場合に算定する。

(9) 「注3」に規定する加算を算定する場合には、1月に1度、治療計画及び指導内容の要点を診療録に記載し、投与している薬剤名を診療報酬明細書に記載する。

A311―2 精神科急性期治療病棟入院料

(1) 精神科急性期治療病棟入院料の算定対象となる患者は、次に掲げる患者である。

ア 入院基本料の入院期間の起算日の取扱いにおいて、当該病院への入院日が入院基本料の起算日に当たる患者(当該病棟が満床である等の理由により一旦他の病棟に入院した後、入院日を含め2日以内に当該病棟に転棟した患者を含む。)(以下この項において「新規患者」という。)

イ 他の病棟から当該病棟に移動した入院患者又は当該病棟に入院中の患者であって当該入院料を算定していない患者のうち、意識障害、昏迷状態等の急性増悪のため当該病院の精神保健指定医が当該病棟における集中的な治療の必要性を認めた患者(以下この項において「転棟患者等」という。)

(2) 新規患者については入院日から起算して3月を限度として算定する。なお、届出を行い、新たに算定を開始することとなった日から3月以内においては、届出の効力発生前に当該病棟に新規入院した入院期間が3月以内の患者を、新規患者とみなして算定できる。

(3) 転棟患者等については、1年に1回に限り、1月を限度として算定する。1年とは暦年をいい、同一暦年において当該入院料の算定開始日が2回にはならない。なお、転棟患者等が当該入院料を算定する場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(4) 精神科急性期治療病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、精神科急性期治療病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

(5) 精神科急性期治療病棟入院料に係る算定要件に該当しない患者が、当該病棟に入院した場合には、精神病棟入院基本料の15対1入院基本料を算定する。

(6) 当該入院料の算定対象となる患者は、区分番号「A311」精神科救急入院料の(5)の例による。

(7) 「注3」に規定する加算の算定に当たっては、区分番号「A311」精神科救急入院料の例による。

A311―3 精神科救急・合併症入院料

(1) 精神科救急・合併症入院料の算定対象となる患者は、次のア、イ又はウに該当する患者(以下この項において「新規患者」という。)であること。

ア 措置入院患者、緊急措置入院患者又は応急入院患者

イ 入院基本料の入院期間の起算日の取扱いにおいて、当該病院への入院日が入院基本料の起算日に当たる患者(当該病棟が満床である等の理由により一旦他の病棟に入院した後、入院日を含め2日以内に当該病棟に転棟した患者を含む。)

ウ 身体疾患の治療のため、救命救急センター等の一般病床に一旦入院した後に、当該病棟に入院(同一機関からの入院も含む。)した患者であって、当該病棟に入院する前3か月において保険医療機関の精神病棟に入院したことがない患者

(2) 当該入院料は、入院日から起算して3月を限度として算定する。なお、届出を行い、新たに算定を開始することとなった日から3月以内においては、届出の効力発生前に当該病棟に新規入院した入院期間が3月以内の患者を、新規患者とみなして算定できる。

(3) 精神科救急・合併症入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、精神科救急・合併症入院料に含まれ、別に算定できない。

(4) 精神科救急・合併症入院料に係る算定要件に該当しない患者が、当該病棟に入院した場合には、精神病棟入院基本料の15対1入院基本料を算定する。

(5) 当該入院料の算定対象となる患者は、区分番号「A311」精神科救急入院料の(5)の例による。

(6) 「注3」に規定する加算の算定に当たっては、区分番号「A311」精神科救急入院料の例による。

A312 精神療養病棟入院料

(1) 精神療養病棟は、主として長期にわたり療養が必要な精神障害患者が入院する病棟として認められたものであり、医療上特に必要がある場合に限り他の病棟への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(2) 精神療養病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、精神療養病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

(3) 「注3」に規定する加算の算定に当たっては、区分番号「A311」精神科救急入院料の例による。

(4) 「注4」に規定する加算の算定に当たっては、算定する日においてGAF尺度による判定が40以下の場合に算定する。

A314 認知症治療病棟入院料

(1) 認知症治療病棟入院料は、精神症状及び行動異常が特に著しい重度の認知症患者を対象とした急性期に重点をおいた集中的な認知症治療病棟入院医療を行うため、その体制等が整備されているものとして、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関の精神病棟に入院している患者について算定する。なお、精神症状及び行動異常が特に著しい重度の認知症患者とは、ADLにかかわらず認知症に伴って幻覚、妄想、夜間せん妄、徘徊、弄便、異食等の症状が著しく、その看護が著しく困難な患者をいう。

(2) 認知症治療病棟入院医療を行う病棟は重度認知症患者を入院させる施設として特に認められたものであり、他の病棟への移動は医療上特に必要がある場合に限るものとし、単に検査のために短期間他の病棟に転棟すること等は認められない。

なお、必要があって他の病棟へ移動した場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書に詳細に記載すること。

(3) 認知症治療病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、認知症治療病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

(4) 生活機能回復のための訓練及び指導の内容の要点及び実施に要した時間については、診療録等に記載すること。

(5) 退院調整加算の届出を行っている保険医療機関においては、別紙様式6を参考として精神保健福祉士及び臨床心理技術者等の関係職種が連携して退院支援計画を作成すること。

第4節 短期滞在手術基本料

A400 短期滞在手術基本料

(1) 短期滞在手術基本料は、短期滞在手術(日帰り手術、1泊2日入院による手術及び4泊5日入院による手術)を行うための環境及び当該手術を行うために必要な術前・術後の管理や定型的な検査、画像診断等を包括的に評価したものであり、次に定める要件を満たしている場合に限り算定できる。

ア 手術室を使用していること。

イ 術前に十分な説明を行った上で、別紙様式8を参考にした様式を用いて患者の同意を得ること。

ウ 退院翌日に患者の状態を確認する等、十分なフォローアップを行うこと。

エ 退院後概ね3日間、患者が1時間以内で当該医療機関に来院可能な距離にいること(短期滞在手術基本料3を除く。)。

(2) 保険医療機関(有床診療所を含む。)において、15歳未満の鼠径ヘルニア手術及び15歳未満の腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術を行う場合には、当該患者が特別入院基本料(7対1特別入院基本料及び10対1特別入院基本料を含む。)又は区分番号「A307」に掲げる小児入院医療管理料を算定する場合を除き、全て短期滞在手術基本料3を算定するものであること。

(3) 短期滞在手術基本料3を算定する患者について、6日目以降においても入院が必要な場合には、6日目以降の療養に係る費用は、第1章基本診療料(第2部第4節短期滞在手術基本料を除く。)及び第2章特掲診療料に基づき算定すること。

(4) 短期滞在手術を行うことを目的として本基本料に包括されている検査及び当該検査項目等に係る判断料並びに画像診断項目を実施した場合の費用は短期滞在手術基本料に含まれ、別に算定できない。ただし、当該手術の実施とは別の目的で当該検査又は画像診断項目を実施した場合は、この限りでない。この場合において、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(5) 短期滞在手術基本料を算定している月においては、血液学的検査判断料、生化学的検査(Ⅰ)判断料又は免疫学的検査判断料は算定できない。ただし、短期滞在手術基本料3を算定している月においては、入院日の前日までに行った血液学的検査判断料、生化学的検査(Ⅰ)判断料又は免疫学的検査判断料はこの限りではない。

(6) 短期滞在手術基本料を算定した同一月に心電図検査を算定した場合は、算定の期日にかかわらず、所定点数の100分の90の点数で算定する。ただし、短期滞在手術基本料3を算定している月においては、退院日の翌日以降に限る。

(7) 短期滞在手術基本料1又は2を算定する際使用したフィルムの費用は、区分番号「E400」に掲げるフィルムの所定点数により算定する。

(8) 同一の部位につき短期滞在手術基本料1又は2に含まれる写真診断及び撮影と同時に2枚以上のフィルムを使用して同一の方法により撮影を行った場合における第2枚目から第5枚目までの写真診断及び撮影の費用は、それぞれの所定点数の100分の50に相当する点数で別に算定できるものとする。なお、第6枚目以後の写真診断及び撮影の費用については算定できない。

(9) 短期滞在手術基本料1の届出を行った保険医療機関が、短期滞在手術基本料の対象となる手術を行った場合であって入院基本料を算定する場合には、短期滞在手術基本料を算定しない詳細な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

第2章 特掲診療料

<通則>

第1部に規定する特定疾患療養管理料、ウイルス疾患指導料、小児特定疾患カウンセリング料、小児科療養指導料、てんかん指導料、難病外来指導管理料、皮膚科特定疾患指導管理料、慢性疼痛疾患管理料、小児悪性腫瘍患者指導管理料及び耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料並びに第2部第2節第1款の各区分に規定する在宅療養指導管理料及び第8部精神科専門療法に掲げる心身医学療法は同一月に算定できない。

第1部 医学管理等

B000 特定疾患療養管理料

(1) 特定疾患療養管理料は、生活習慣病等の厚生労働大臣が別に定める疾患を主病とする患者について、プライマリケア機能を担う地域のかかりつけ医師が計画的に療養上の管理を行うことを評価したものであり、許可病床数が200床以上の病院においては算定できない。

(2) 特定疾患療養管理料は、別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とする患者に対して、治療計画に基づき、服薬、運動、栄養等の療養上の管理を行った場合に、月2回に限り算定する。

(3) 第1回目の特定疾患療養管理料は、区分番号「A000」初診料(「注2」のただし書に規定する所定点数を算定する場合を含む。特に規定する場合を除き、以下この部において同じ。)を算定した初診の日又は退院の日からそれぞれ起算して1か月を経過した日以降に算定する。ただし、本管理料の性格に鑑み、1か月を経過した日が休日の場合であって、その休日の直前の休日でない日に特定疾患療養管理料の「注1」に掲げる要件を満たす場合には、その日に特定疾患療養管理料を算定できる。

(4) 区分番号「A000」初診料を算定した初診の日又は退院の日からそれぞれ起算して1か月を経過した日が翌々月の1日となる場合であって、初診料を算定した初診の日又は退院の日が属する月の翌月の末日(その末日が休日の場合はその前日)に特定疾患療養管理料の「注1」に掲げる要件を満たす場合には、本管理料の性格に鑑み、その日に特定疾患療養管理料を算定できる。

(5) 診察に基づき計画的な診療計画を立てている場合であって、必要やむを得ない場合に、看護に当たっている家族等を通して療養上の管理を行ったときにおいても、特定疾患療養管理料を算定できる。

(6) 管理内容の要点を診療録に記載する。

(7) 同一保険医療機関において、2以上の診療科にわたり受診している場合においては、主病と認められる特定疾患の治療に当たっている診療科においてのみ算定する。

(8) 特定疾患療養管理料は、別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とする者に対し、実際に主病を中心とした療養上必要な管理が行われていない場合又は実態的に主病に対する治療が当該保険医療機関では行われていない場合には算定できない。

(9) 主病とは、当該患者の全身的な医学管理の中心となっている特定疾患をいうものであり、対診又は依頼により検査のみを行っている保険医療機関にあっては算定できない。

(10) 再診が電話等により行われた場合にあっては、特定疾患療養管理料は算定できない。

(11) 入院中の患者については、いかなる場合であっても特定疾患療養管理料は算定できない。従って、入院中の患者に他の疾患が発症し、別の科の外来診療室へ行って受診する場合であっても、当該発症については特定疾患療養管理料の算定はできない。

(12) 別に厚生労働大臣が定める疾病名は、「疾病、傷害及び死因の統計分類基本分類表(平成6年総務庁告示第75号)」(以下「分類表」という。)に規定する疾病の名称であるが、疾病名について各医療機関での呼称が異なっていても、その医学的内容が分類表上の対象疾病名と同様である場合は算定の対象となる。ただし、混乱を避けるため、できる限り分類表上の疾病名を用いることが望ましい。

B001 特定疾患治療管理料

1 ウイルス疾患指導料

(1) 肝炎ウイルス、HIVウイルス又は成人T細胞白血病ウイルスによる疾患に罹患しており、かつ、他人に対し感染させる危険がある者又はその家族に対して、療養上必要な指導及びウイルス感染防止のための指導を行った場合に、肝炎ウイルス疾患又は成人T細胞白血病については、患者1人につき1回に限り算定し、後天性免疫不全症候群については、月1回に限り算定する。

(2) ウイルス疾患指導料は、当該ウイルス疾患に罹患していることが明らかにされた時点以降に、「注1」に掲げる指導を行った場合に算定する。なお、ウイルス感染防止のための指導には、公衆衛生上の指導及び院内感染、家族内感染防止のための指導等が含まれる。

(3) HIVウイルスの感染者に対して指導を行った場合には、「ロ」を算定する。

(4) 同一の患者に対して、同月内に「イ」及び「ロ」の双方に該当する指導が行われた場合は、主たるもの一方の所定点数のみを算定する。

(5) 「注2」に掲げる加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、後天性免疫不全症候群に罹患している患者又はHIVウイルスの感染者に対して療養上必要な指導及び感染予防に関する指導を行った場合に算定する。

(6) 指導内容の要点を診療録に記載する。

2 特定薬剤治療管理料

(1) 特定薬剤治療管理料は、下記のものに対して投与薬剤の血中濃度を測定し、その結果に基づき当該薬剤の投与量を精密に管理した場合、月1回に限り算定する。

ア 心疾患患者であってジギタリス製剤を投与しているもの

イ てんかん患者であって抗てんかん剤を投与しているもの

ウ 気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫又は未熟児無呼吸発作の患者であってテオフィリン製剤を投与しているもの

エ 不整脈の患者に対して不整脈用剤を継続的に投与しているもの

オ 統合失調症の患者であってハロペリドール製剤又はブロムペリドール製剤を投与しているもの

カ 躁うつ病の患者であってリチウム製剤を投与しているもの

キ 躁うつ病又は躁病の患者であってバルプロ酸ナトリウム又はカルバマゼピンを投与しているもの

ク 臓器移植術を受けた患者であって臓器移植における拒否反応の抑制を目的として免疫抑制剤を投与しているもの

ケ ベーチェット病の患者であって活動性・難治性眼症状を有するもの又は重度の再生不良性貧血、赤芽球癆、尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬、全身型重症筋無力症、アトピー性皮膚炎(既存治療で十分な効果が得られない患者に限る。)若しくはネフローゼ症候群の患者であってシクロスポリンを投与しているもの

コ 若年性関節リウマチ、リウマチ熱又は慢性関節リウマチの患者であってサリチル酸系製剤を継続的に投与しているもの

サ 悪性腫瘍の患者であってメトトレキサートを投与しているもの

シ 全身型重症筋無力症、関節リウマチ又はループス腎炎の患者であってタクロリムス水和物を投与しているもの

ス 重症又は難治性真菌感染症の患者であってトリアゾール系抗真菌剤を投与しているもの

(2) 特定薬剤治療管理料を算定できる不整脈用剤とはプロカインアミド、N―アセチルプロカインアミド、ジソピラミド、キニジン、アプリンジン、リドカイン、塩酸ピルジカイニド、プロパフェノン、メキシレチン、フレカイニド、コハク酸シベンゾリン、ピルメノール及びアミオダロンをいう。

(3) 特定薬剤治療管理料を算定できるグリコペプチド系抗生物質とは、バンコマイシン及びテイコプラニンをいい、トリアゾール系抗真菌剤とは、ボリコナゾールをいう。また、免疫抑制剤とは、シクロスポリン及びタクロリムス水和物をいう。

(4) アミノ配糖体抗生物質、グリコペプチド系抗生物質、トリアゾール系抗真菌剤等を数日間以上投与している入院中の患者について、投与薬剤の血中濃度を測定し、その測定結果をもとに投与量を精密に管理した場合、月1回に限り算定する。

(5) 本管理料には、薬剤の血中濃度測定、当該血中濃度測定に係る採血及び測定結果に基づく投与量の管理に係る費用が含まれるものであり、1月のうちに2回以上血中濃度を測定した場合であっても、それに係る費用は別に算定できない。ただし、別の疾患に対して別の薬剤を投与した場合(例えば、てんかんに対する抗てんかん剤と気管支喘息に対するテオフィリン製剤の両方を投与する場合)及び同一疾患について(1)ア~スのうち同一の区分に該当しない薬剤を投与した場合(例えば、発作性上室性頻脈に対してジギタリス製剤及び不整脈用剤を投与した場合)はそれぞれ算定できる。

(6) 薬剤の血中濃度、治療計画の要点を診療録に記載する。

(7) ジギタリス製剤の急速飽和を行った場合は、1回に限り急速飽和完了日に「注3」に規定する点数を算定することとし、当該算定を行った急速飽和完了日の属する月においては、別に特定薬剤治療管理料は算定できない。なお、急速飽和とは、重症うっ血性心不全の患者に対して2日間程度のうちに数回にわたりジギタリス製剤を投与し、治療効果が得られる濃度にまで到達させることをいう。

(8) てんかん重積状態のうち算定の対象となるものは、全身性けいれん発作重積状態であり、抗てんかん剤を投与している者について、注射薬剤等の血中濃度を測定し、その測定結果をもとに投与量を精密に管理した場合は、1回に限り、重積状態が消失した日に「注3」に規定する点数を算定することとし、当該算定を行った重積状態消失日の属する月においては、別に特定薬剤治療管理料は算定できない。

(9) 「注3」に規定する点数を算定する場合にあっては、「注6」に規定する加算を含め別に特定薬剤治療管理料は算定できない。

(10) 「注4」に規定する「抗てんかん剤又は免疫抑制剤を投与している患者」には、躁うつ病又は躁病によりバルプロ酸又はカルバマゼピンを投与している患者が含まれ、当該患者は4月目以降においても減算対象とならない。また、所定点数の100分の50に相当する点数により算定する「4月目以降」とは、初回の算定から暦月で数えて4月目以降のことである。

(11) 免疫抑制剤を投与している臓器移植後の患者については、臓器移植を行った日の属する月を含め3月に限り、臓器移植加算として「注6」に規定する点数を算定し、初回月加算は算定しない。

(12) 初回月加算は、投与中の薬剤の安定した血中至適濃度を得るため頻回の測定が行われる初回月に限り、「注6」に規定する点数を加算できるものであり、薬剤を変更した場合においては算定できない。

(13) 特殊な薬物血中濃度の測定及び計画的な治療管理のうち、特に本項を準用する必要のあるものについては、その都度当局に内議し、最も近似する測定及び治療管理として準用が通知された算定方法により算定する。

3 悪性腫瘍特異物質治療管理料

(1) 悪性腫瘍特異物質治療管理料は、悪性腫瘍であると既に確定診断がされた患者について、腫瘍マーカー検査を行い、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定する。

(2) 悪性腫瘍特異物質治療管理料には、腫瘍マーカー検査、当該検査に係る採血及び当該検査の結果に基づく治療管理に係る費用が含まれるものであり、1月のうち2回以上腫瘍マーカー検査を行っても、それに係る費用は別に算定できない。

(3) 腫瘍マーカー検査の結果及び治療計画の要点を診療録に記載する。

(4) 「注3」に規定する初回月加算は、適切な治療管理を行うために多項目の腫瘍マーカー検査を行うことが予想される初回月に限って算定する。ただし、悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定する当該初回月の前月において、区分番号「D009」腫瘍マーカーを算定している場合は、当該初回月加算は算定できない。

(5) 区分番号「D009」腫瘍マーカーにおいて、併算定が制限されている項目を同一月に併せて実施した場合には、1項目とみなして、本管理料を算定する。

(6) 当該月に悪性腫瘍特異物質以外の検査(本通知の腫瘍マーカーの項に規定する例外規定を含む。)を行った場合は、本管理料とは別に、検査に係る判断料を算定できる。

(例) 肝癌の診断が確定している患者でα―フェトプロテインを算定し、別に、区分番号「D008」内分泌学的検査を行った場合の算定

悪性腫瘍特異物質治療管理料「ロ」の「(1)」+区分番号「D008」内分泌学的検査の実施料+区分番号「D026」の「4」生化学的検査(Ⅱ)判断料

(7) 特殊な腫瘍マーカー検査及び計画的な治療管理のうち、特に本項を準用する必要のあるものについては、その都度当局に内議し、最も近似する腫瘍マーカー検査及び治療管理として準用が通知された算定方法により算定する。

4 小児特定疾患カウンセリング料

(1) 乳幼児期及び学童期における特定の疾患を有する患者及びその家族に対して日常生活の環境等を十分勘案した上で、医師が一定の治療計画に基づいて療養上必要なカウンセリングを行った場合に算定する。ただし、家族に対してカウンセリングを行った場合は、患者を伴った場合に限り算定する。

(2) 小児特定疾患カウンセリング料の対象となる患者は、次に掲げる患者である。

ア 気分障害の患者

イ 神経症性障害の患者

ウ ストレス関連障害の患者

エ 身体表現性障害(小児心身症を含む。また、喘息や周期性嘔吐症等の状態が心身症と判断される場合は対象となる。)の患者

オ 生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群(摂食障害を含む。)の患者

カ 心理的発達の障害(自閉症を含む。)の患者

キ 小児期又は青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(多動性障害を含む。)の患者

(3) 小児特定疾患カウンセリング料の対象となる患者には、登校拒否の者を含むものであること。

(4) 小児科(小児外科を含む。以下この部において同じ。)を標榜する保険医療機関のうち、他の診療科を併せ標榜するものにあっては、小児科のみを専任する医師が本カウンセリングを行った場合に限り算定するものであり、同一医師が当該保険医療機関が標榜する他の診療科を併せ担当している場合にあっては算定できない。ただし、アレルギー科を併せ担当している場合はこの限りでない。

(5) 小児特定疾患カウンセリング料は、同一暦月において第1回目及び第2回目のカウンセリングを行った日に算定する。

(6) 当該疾病の原因と考えられる要素、診療計画及び指導内容の要点等カウンセリングに係る概要を診療録に記載する。

(7) 小児特定疾患カウンセリング料を算定する場合には、同一患者に対し第1回目のカウンセリングを行った年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(8) 電話によるカウンセリングは、本カウンセリングの対象とはならない。

5 小児科療養指導料

(1) 小児科を標榜する保険医療機関のうち、他の診療科を併せ標榜するものにあっては、小児科のみを専任する医師が一定の治療計画に基づき療養上の指導を行った場合に限り算定するものであり、同一医師が当該保険医療機関が標榜する他の診療科を併せ担当している場合にあっては算定できない。ただし、アレルギー科を併せ担当している場合はこの限りでない。

(2) 小児科療養指導料の対象となる疾患は、脳性麻痺、先天性心疾患、ネフローゼ症候群、ダウン症等の染色体異常、川崎病で冠動脈瘤のあるもの、脂質代謝障害、腎炎、溶血性貧血、再生不良性貧血、血友病及び血小板減少性紫斑病であり、対象となる患者は、15歳未満の入院中の患者以外の患者である。また、出生時の体重が1,500g未満であった6歳未満の者についても、入院中の患者以外の患者はその対象となる。

(3) 小児科療養指導料は、当該疾病を主病とする患者又はその家族に対して、治療計画に基づき療養上の指導を行った場合に月1回に限り算定する。ただし、家族に対して指導を行った場合は、患者を伴った場合に限り算定する。

(4) 第1回目の小児科療養指導料は、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日の属する月の翌月の1日又は退院の日から起算して1か月を経過した日以降に算定する。

(5) 指導内容の要点を診療録に記載する。

(6) 再診が電話等により行われた場合にあっては、小児科療養指導料は算定できない。

6 てんかん指導料

(1) てんかん指導料は、小児科、神経科、神経内科、精神科、脳神経外科又は心療内科を標榜する保険医療機関において、当該標榜診療科の専任の医師が、てんかん(外傷性を含む。)の患者であって入院中以外のもの又はその家族に対し、治療計画に基づき療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り算定する。

(2) 第1回目のてんかん指導料は、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日又は退院の日からそれぞれ起算して1か月を経過した日以降に算定できる。

(3) 診療計画及び診療内容の要点を診療録に記載する。

(4) 電話等によって指導が行われた場合は、てんかん指導料は算定できない。

7 難病外来指導管理料

(1) 難病外来指導管理料は、別に厚生労働大臣が定める疾病を主病とする患者に対して、治療計画に基づき療養上の指導を行った場合に、月1回に限り算定する。

(2) 第1回目の難病外来指導管理料は、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日又は退院の日からそれぞれ起算して1か月を経過した日以降に算定できる。

(3) 別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とする患者にあっても、実際に主病を中心とした療養上必要な指導が行われていない場合又は実態的に主病に対する治療が行われていない場合には算定できない。

(4) 診療計画及び診療内容の要点を診療録に記載する。

(5) 電話等によって指導が行われた場合は、難病外来指導管理料は算定できない。

8 皮膚科特定疾患指導管理料

(1) 皮膚科を標榜する保険医療機関とは、皮膚科、皮膚泌尿器科又は皮膚科及び泌尿器科、形成外科若しくはアレルギー科を標榜するものをいい、他の診療科を併せ標榜するものにあっては、皮膚科又は皮膚泌尿器科を専任する医師が本指導管理を行った場合に限り算定するものであり、同一医師が当該保険医療機関が標榜する他の診療科を併せ担当している場合にあっては算定できない。

(2) 皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ)の対象となる特定疾患は、天疱瘡、類天疱瘡、エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)、紅皮症、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、先天性魚鱗癬、類乾癬、扁平苔癬並びに結節性痒疹及びその他の痒疹(慢性型で経過が1年以上のものに限る。)であり、皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅱ)の対象となる特定疾患は、帯状疱疹、じんま疹、アトピー性皮膚炎(16歳以上の患者が罹患している場合に限る。)、尋常性白斑、円形脱毛症及び脂漏性皮膚炎である。ただし、アトピー性皮膚炎については、外用療法を必要とする場合に限り算定できる。

(3) 医師が一定の治療計画に基づいて療養上必要な指導管理を行った場合に、月1回に限り算定する。

(4) 第1回目の皮膚科特定疾患指導管理料は、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日又は退院の日からそれぞれ起算して1月を経過した日以降に算定する。

(5) 皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ)及び(Ⅱ)は、同一暦月には算定できない。

(6) 診療計画及び指導内容の要点を診療録に記載する。

(7) 電話等により行われた場合にあっては、皮膚科特定疾患指導管理料は算定できない。

9 外来栄養食事指導料

(1) 外来栄養食事指導料は、入院中の患者以外の患者であって、別に厚生労働大臣が定める特別食を医師が必要と認めた者等に対し、当該保険医療機関の管理栄養士が医師の指示に基づき、患者ごとにその生活条件、し好を勘案し、食品構成に基づく食事計画案又は少なくとも数日間の具体的な献立を示した栄養食事指導せんを交付し、概ね15分以上、療養のため必要な栄養の指導を行った場合に算定する。

(2) 管理栄養士への指示事項は、当該患者ごとに適切なものとするが、少なくとも熱量・熱量構成、蛋白質量、脂質量・脂質構成(不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比)についての具体的な指示を含まなければならない。

(3) 管理栄養士は常勤である必要はなく、要件に適合した指導が行われていれば算定できる。

(4) 外来栄養食事指導料は初回の指導を行った月にあっては1月に2回を限度として、その他の月にあっては1月に1回を限度として算定する。ただし、初回の指導を行った月の翌月に2回指導を行った場合であって、初回と2回目の指導の間隔が30日以内の場合は、初回の指導を行った翌月に2回算定することができる。

(5) 特別食には、心臓疾患及び妊娠高血圧症候群等の患者に対する減塩食、十二指腸潰瘍の患者に対する潰瘍食、侵襲の大きな消化管手術後の患者に対する潰瘍食、クローン病及び潰瘍性大腸炎等により腸管の機能が低下している患者に対する低残渣食並びに高度肥満症(肥満度が+40%以上又はBMIが30以上)の患者に対する治療食を含む。ただし、高血圧症の患者に対する減塩食(塩分の総量が6g未満のものに限る。)及び小児食物アレルギー患者(食物アレルギー検査の結果(他の保険医療機関から提供を受けた食物アレルギー検査の結果を含む。)、食物アレルギーを持つことが明らかな9歳未満の小児に限る。)に対する小児食物アレルギー食については、入院時食事療養(Ⅰ)又は入院時生活療養(Ⅰ)の特別食加算の場合と異なり、特別食に含まれる。なお、妊娠高血圧症候群の患者に対する減塩食は、日本高血圧学会、日本妊娠高血圧学会等の基準に準じていること。

(6) 医師は、診療録に管理栄養士への指示事項を記載する。また、管理栄養士は、患者ごとに栄養指導記録を作成するとともに、当該栄養指導記録に指導を行った献立又は食事計画の例についての総カロリー、栄養素別の計算及び指導内容の要点を明記する。

10 入院栄養食事指導料

(1) 入院栄養食事指導料は、入院中の患者であって、別に厚生労働大臣が定める特別食を医師が必要と認めた者に対し、当該保険医療機関の管理栄養士が医師の指示に基づき、患者ごとにその生活条件、し好を勘案し、食品構成に基づく食事計画案又は少なくとも数日間の具体的な献立を示した栄養食事指導せん又は食事計画案を交付し、概ね15分以上、療養のため必要な栄養の指導を行った場合に入院中2回を限度として算定する。ただし、1週間に1回を限度とする。

(2) 入院栄養食事指導料を算定するに当たって、上記以外の事項は区分番号「B001」の9外来栄養食事指導料における留意事項の例による。

11 集団栄養食事指導料

(1) 集団栄養食事指導料は、別に厚生労働大臣が定める特別食を医師が必要と認めた者に対し、当該保険医療機関の管理栄養士が医師の指示に基づき、複数の患者を対象に指導を行った場合に患者1人につき月1回に限り所定点数を算定する。

(2) 集団栄養食事指導料は、入院中の患者については、入院期間が2か月を超える場合であっても、入院期間中に2回を限度として算定する。

(3) 入院中の患者と入院中の患者以外の患者が混在して指導が行われた場合であっても算定できる。

(4) 1回の指導における患者の人数は15人以下を標準とする。

(5) 1回の指導時間は40分を超えるものとする。

(6) それぞれの算定要件を満たしていれば、区分番号「B001」の「11」集団栄養食事指導料と区分番号「B001」の「9」外来栄養食事指導料又は区分番号「B001」の「10」入院栄養食事指導料を同一日に併せて算定することができる。

(7) 集団栄養食事指導料を算定する医療機関にあっては、集団による指導を行うのに十分なスペースをもつ指導室を備えるものとする。ただし、指導室が専用であることを要しない。

(8) 集団栄養食事指導料を算定するに当たって、上記以外の事項は区分番号「B001」の「9」外来栄養食事指導料における留意事項の例による。ただし、同留意事項の(5)の小児食物アレルギー患者(9歳未満の小児に限る。)に対する特別食の取扱いを除く。

12 心臓ペースメーカー指導管理料

(1) 注1に規定する「体内埋込式心臓ペースメーカー等」とは特定保険医療材料のペースメーカー、埋込型除細動器及び両室ペーシング機能付き埋込型除細動器を指す。

(2) 心臓ペースメーカー指導管理料は、電気除細動器、一時的ペーシング装置、ペースメーカー機能計測装置(ペーサーグラフィー、プログラマー等)等を有する保険医療機関において、体内埋込式心臓ペースメーカー等を使用している患者であって入院中の患者以外のものについて、当該ペースメーカー等のパルス幅、スパイク間隔、マグネットレート、刺激閾値、感度等の機能指標を計測するとともに、療養上必要な指導を行った場合に算定する。この場合において、プログラム変更に要する費用は所定点数に含まれる。

(3) 「イ」遠隔モニタリングによる場合とは、遠隔モニタリングに対応した体内埋込型ペースメーカー等を使用している患者であって入院中の患者以外のものについて、適切な管理を行ない、状況に応じて適宜患者に来院等を促す体制が整っている場合に算定する。この場合において、プログラム変更に要する費用は所定点数に含まれる。患者の急変等により患者が受診し、療養上必要な指導を行った場合は、「イ」を算定していない月に限り、「ロ」を算定することができる。

(4) 計測した機能指標の値及び指導内容の要点を診療録に記載する。

(5) なお、心臓ペースメーカー患者の指導管理については、関係学会より留意事項が示されるので、これらの事項を十分参考とすべきものである。

13 在宅療養指導料

(1) 在宅療養指導管理料を算定している患者又は入院中の患者以外の患者であって、器具(人工肛門、人工膀胱、気管カニューレ、留置カテーテル、ドレーン等)を装着しており、その管理に配慮を要する患者に対して指導を行った場合に、初回の指導を行った月にあっては月2回に限り、その他の月にあっては月1回に限り算定する。

(2) 保健師又は看護師が個別に30分以上療養上の指導を行った場合に算定できるものであり、同時に複数の患者に行った場合や指導の時間が30分未満の場合には算定できない。なお、指導は患者のプライバシーが配慮されている専用の場所で行うことが必要であり、保険医療機関を受診した際に算定できるものであって、患家において行った場合には算定できない。

(3) 療養の指導に当たる保健師又は看護師は、訪問看護や外来診療の診療補助を兼ねることができる。

(4) 医師は、診療録に保健師又は看護師への指示事項を記載する。

(5) 保健師又は看護師は、患者ごとに療養指導記録を作成し、当該療養指導記録に指導の要点、指導実施時間を明記する。

14 高度難聴指導管理料

(1) 高度難聴指導管理料は、区分番号「K328」人工内耳埋込術を行った患者、伝音性難聴で両耳の聴力レベルが60dB以上の場合、混合性難聴又は感音性難聴の患者について、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、耳鼻咽喉科の常勤医師が耳鼻咽喉科学的検査の結果に基づき療養上必要な指導を行った場合に算定する。

(2) 人工内耳埋込術を行った患者については、1か月に1回を限度として、その他の患者については1回に限って算定する。

(3) 指導内容の要点を診療録に記載する。

15 慢性維持透析患者外来医学管理料

(1) 慢性維持透析患者外来医学管理料は、安定した状態にある慢性維持透析患者について、特定の検査結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定し、本管理料に含まれる検査の点数は別途算定できない。なお、安定した状態にある慢性維持透析患者とは、透析導入後3か月以上が経過し、定期的に透析を必要とする入院中の患者以外の患者をいう。

(2) 特定の検査とは「注2」に掲げるものをいい、実施される種類及び回数にかかわらず、所定点数のみを算定する。これらの検査料及び区分番号「D026」尿・糞便等検査判断料、血液学的検査判断料、生化学的検査(Ⅰ)判断料、生化学的検査(Ⅱ)判断料、免疫学的検査判断料は本管理料に含まれ、別に算定できない。また、これらの検査に係る検査の部の通則、款及び注に規定する加算は、別に算定できない。

(3) 同一検査名で、定性、半定量及び定量測定がある場合は、いずれの検査も本管理料に含まれ、別に算定できない。試験紙法等による血中の糖の検査についても同様である。

(4) 慢性維持透析患者外来医学管理料に包括される検査以外の検体検査を算定する場合には、その必要性を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(5) 包括されている画像診断に係る画像診断の部の通則、節及び注に規定する加算は別に算定できる。なお、本管理料を算定した月において、本管理料に包括されていない区分番号「E001」の「1」単純撮影(胸部を除く。)及び区分番号「E002」の「1」単純撮影(胸部を除く。)を算定した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に撮影部位を記載すること。

(6) 透析導入後3か月目が月の途中である場合は、当該月の翌月より本管理料を算定する。

(7) 同一月内に2以上の保険医療機関で透析を定期的に行っている場合は、主たる保険医療機関において本管理料を請求し、その配分は相互の合議に委ねるものとする。

(8) 同一の保険医療機関において同一月内に入院と入院外が混在する場合、又は人工腎臓と自己腹膜灌流療法を併施している場合は、本管理料は算定できない。

(9) 区分番号「C102―2」在宅血液透析指導管理料は、本管理料と別に算定できる。

(10) 下記のアからカに掲げる要件に該当するものとして、それぞれ算定を行った場合は、その理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

ア 出血性合併症を伴った患者が手術のため入院した後退院した場合、退院月の翌月における末梢血液一般検査は、月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。

イ 副甲状腺機能亢進症に対するパルス療法施行時のカルシウム、Pの検査は、月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について月2回に限り、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。また、PTH検査は、月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について月1回に限り、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。

ウ 副甲状腺機能亢進症により副甲状腺切除を行った患者に対するカルシウム、Pの検査は、退院月の翌月から5か月間は、月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。また、PTH検査は、月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について月1回に限り、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。

エ シナカルセト塩酸塩の初回投与から3か月以内の患者に対するカルシウム、Pの検査は、月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について月2回に限り、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。また、PTH検査を月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について月1回に限り、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。

オ 透析導入後5年以上経過した透析アミロイド症に対して、ダイアライザーの選択に当たりβ2―マイクログロブリン除去効果の確認が必要な場合においては、その選択をした日の属する月を含めた3か月間に、β2―マイクログロブリン検査を月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について月1回に限り、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。

カ 高アルミニウム血症とヘモクロマトージスを合併した透析患者に対して、メシル酸デフェロキサミンを投与している期間中におけるアルミニウムの検査は、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。

(11) 慢性維持透析患者の検査の実施に当たっては、関係学会より標準的な検査項目及びその頻度が示されており、それらを踏まえ患者管理を適切に行うこと。

16 喘息治療管理料

(1) 保険医療機関が、ピークフローメーター、ピークフロー測定日記等を患者に提供し、計画的な治療管理を行った場合に月1回に限り算定する。なお、当該ピークフローメーター、ピークフロー測定日記等に係る費用は所定点数に含まれる。

(2) 「1月目」とは初回の治療管理を行った月のことをいう。

(3) 喘息治療管理料を算定する場合、保険医療機関は、次の機械及び器具を備えていなければならない。ただし、これらの機械及び器具を備えた別の保険医療機関と常時連携体制をとっている場合には、その旨を患者に対して文書により説明する場合は、備えるべき機械及び器具はカ及びキで足りるものとする。

ア 酸素吸入設備

イ 気管内挿管又は気管切開の器具

ウ レスピレーター

エ 気道内分泌物吸引装置

オ 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態にあるもの)

カ スパイロメトリー用装置(常時実施できる状態にあるもの)

キ 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態にあるもの)

(4) ピークフローメーターによる治療管理の実施に当たっては、関係学会よりガイドラインが示されているので、治療管理が適切になされるよう十分留意されたい。

(5) 「注2」に規定する加算については、当該加算を算定する前1年間において、中等度以上の発作による当該保険医療機関への緊急外来受診回数が3回以上あり、在宅での療養中である20歳以上の重度喘息患者を対象とし、初回の所定点数を算定する月(暦月)から連続した6か月について、必要な治療管理を行った場合に月1回に限り算定すること。

(6) 当該加算を算定する場合、ピークフローメーター、一秒量等計測器及びスパイロメーターを患者に提供するとともに、ピークフローメーター、一秒量等計測器及びスパイロメーターの適切な使用方法、日常の服薬方法及び増悪時の対応方法を含む治療計画を作成し、その指導内容を文書で交付すること。

(7) 当該加算を算定する患者に対しては、ピークフロー値、一秒量等を毎日計測させ、その検査値について週に1度以上報告させるとともに、その検査値等に基づき、随時治療計画の見直しを行い、服薬方法及び増悪時の対応について指導すること。

(8) 当該加算を算定する患者が重篤な喘息発作を起こすなど、緊急入院による治療が必要となった場合は、適切に対応すること。

17 慢性疼痛疾患管理料

(1) 慢性疼痛疾患管理料は、変形性膝関節症、筋筋膜性腰痛症等の疼痛を主病とし、疼痛による運動制限を改善する等の目的でマッサージ又は器具等による療法を行った場合に算定することができる。

(2) 区分番号「J118」介達牽引、区分番号「J118―2」矯正固定、区分番号「J118―3」変形機械矯正術、区分番号「J119」消炎鎮痛等処置、区分番号「J119―2」腰部又は胸部固定帯固定、区分番号「J119―3」低出力レーザー照射及び区分番号「J119―4」肛門処置の費用は所定点数に含まれるが、これらの処置に係る薬剤料は、別途算定できるものとする。

18 小児悪性腫瘍患者指導管理料

(1) 小児悪性腫瘍患者指導管理料は、小児科を標榜する保険医療機関において、小児悪性腫瘍、白血病又は悪性リンパ腫の患者であって入院中以外のもの又はその家族に対し、治療計画に基づき療養上必要な指導管理を行った場合に、月1回に限り算定する。ただし、家族に対して指導を行った場合は、患者を伴った場合に限り算定する。

(2) 第1回目の小児悪性腫瘍患者指導管理料は、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日の属する月の翌月の1日以降又は退院の日から起算して1か月を経過した日以降に算定する。

(3) 治療計画及び指導内容の要点を診療録に記載する。

(4) 再診が電話等により行われた場合にあっては、小児悪性腫瘍患者指導管理料は算定できない。

19 埋込型補助人工心臓指導管理料

(1) 埋込型補助人工心臓指導管理料は、区分番号「K604」埋込型補助人工心臓を行うことができる保険医療機関においてのみ算定できる。

(2) 埋込型補助人工心臓指導管理料は、埋込型補助人工心臓を使用している患者であって入院中の患者以外のものについて、モニター、バッテリー及び充電器の使用方法の説明など療養上必要な指導を行った場合に月1回を限度として算定する。この場合において、モニター、バッテリー及び充電器などに要する費用は所定点数に含まれる。

20 糖尿病合併症管理料

(1) 糖尿病合併症管理料は、次に掲げるいずれかの糖尿病足病変ハイリスク要因を有する入院中の患者以外の患者(通院する患者のことをいい、在宅での療養を行う患者を除く。)であって、医師が糖尿病足病変に関する指導の必要性があると認めた場合に、月1回に限り算定する。

ア 足潰瘍、足趾・下肢切断既往

イ 閉塞性動脈硬化症

ウ 糖尿病神経障害

(2) 当該管理料は、専任の常勤医師又は当該医師の指示を受けた専任の常勤看護師が、(1)の患者に対し、爪甲切除(陥入爪、肥厚爪又は爪白癬等に対して麻酔を要しないで行うもの)、角質除去、足浴等を必要に応じて実施するとともに、足の状態の観察方法、足の清潔・爪切り等の足のセルフケア方法、正しい靴の選択方法についての指導を行った場合に算定する。

(3) 当該管理料を算定すべき指導の実施に当たっては、専任の常勤医師又は当該医師の指示を受けた専任の常勤看護師が、糖尿病足病変ハイリスク要因に関する評価を行い、その結果に基づいて、指導計画を作成すること。

(4) 看護師に対して指示を行った医師は、診療録に看護師への指示事項を記載すること。

(5) 当該管理を実施する医師又は看護師は、糖尿病足病変ハイリスク要因に関する評価結果、指導計画及び実施した指導内容を診療録又は療養指導記録に記載すること。

(6) 同一月又は同一日においても第2章第1部の各区分に規定する他の医学管理等及び第2部第2節第1款の各区分に規定する在宅療養指導管理料は併算定できる。

21 耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料

(1) 耳鼻咽喉科と他の診療科を併せ標榜する保険医療機関にあっては、耳鼻咽喉科を専任する医師が当該指導管理を行った場合に限り算定するものであり、同一医師が当該保険医療機関が標榜する他の診療科を併せて担当している場合にあっては算定できない。

(2) 耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料の対象となる患者は、15歳未満の患者であって、発症から3か月以上遷延している若しくは当該管理料を算定する前の1年間において3回以上繰り返し発症している滲出性中耳炎の患者である。

(3) 医師が一定の治療計画に基づいて療養上必要な指導管理を行った場合に、月1回に限り算定する。

(4) 耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料は、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日又は退院の日からそれぞれ起算して1か月を経過した日以降に算定する。

(5) 診療計画及び指導内容の要点を診療録に記載する。

(6) 電話等により行われた場合にあっては、耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料は算定できない。

22 がん性疼痛緩和指導管理料

(1) がん性疼痛緩和指導管理料は、医師ががん性疼痛の症状緩和を目的として麻薬を投与しているがん患者に対して、WHO方式のがん性疼痛の治療法(がんの痛みからの解放―WHO方式がんの疼痛治療法―第2版)に従って、副作用対策等を含めた計画的な治療管理を継続して行い、療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り、当該薬剤に関する指導を行い、当該薬剤を処方した日に算定する。なお、当該指導には、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明、疼痛時に追加する臨時の薬剤の使用方法に関する説明を含めるものであること。

(2) がん性疼痛緩和指導管理料を算定する場合は、麻薬の処方前の疼痛の程度(疼痛の強さ、部位、性状、頻度等)、麻薬の処方後の効果判定、副作用の有無、治療計画及び指導内容の要点を診療録に記載する。

(3) 同一月又は同一日においても第2章第1部の各区分に規定する他の医学管理等及び第2部第2節第1款の各区分に規定する在宅療養指導管理料は併算定できる。

23 がん患者カウンセリング料

(1) 悪性腫瘍と診断された患者に対して、患者の心理状態に十分配慮された環境で、がん診療の経験を有する医師及びがん患者の看護に従事した経験を有する専任の看護師が適宜必要に応じてその他の職種と共同して、診断結果及び治療方法等について患者が十分に理解し、納得した上で治療方針を選択できるように説明及び相談を行った場合に算定する。

(2) 自院、他院を問わず、原則として患者1人1回に限り算定する。ただし、当該悪性腫瘍の診断を確定した後に新たに診断された悪性腫瘍(転移性腫瘍及び再発性腫瘍を除く。)に対して行った場合は別に算定できる。

(3) 患者の十分な理解が得られない場合又は患者の意思が確認できない場合は、算定の対象とならない。また患者を除く家族等にのみ説明を行った場合は算定できない。

B001―2 小児科外来診療料

(1) 小児科外来診療料は、地方厚生(支)局長に対し本診療料を算定する旨を届け出た保険医療機関における入院中の患者以外の患者であって、3歳未満の全ての者を対象とする。また、対象患者に対する診療報酬の請求については、原則として小児科外来診療料により行うものとする。なお、届出の様式等については別途通知する。

(2) 小児科外来診療料は、小児科を標榜する保険医療機関において算定する。ただし、第2部第2節第1款の各区分に掲げる在宅療養指導管理料を算定している患者については、小児科外来診療料の算定対象とはならない。

(3) 当該患者の診療に係る費用は、区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料及び区分番号「A002」外来診療料の時間外加算、休日加算、深夜加算及び小児科特例加算、区分番号「B001―2―2」地域連携小児夜間・休日診療料、区分番号「B010」診療情報提供料(Ⅱ)並びに区分番号「C000」往診料(往診料の加算を含む。)を除き、全て所定点数に含まれる。ただし、初診料の時間外加算、休日加算、深夜加算又は小児科特例加算を算定する場合は、それぞれ85点、250点、580点又は230点を、再診料及び外来診療料の時間外加算、休日加算、深夜加算又は小児科特例加算を算定する場合は、それぞれ65点、190点、520点又は180点を算定する。

(4) 再診が電話等により行われた場合にあっては、小児科外来診療料は算定できない。

(5) 同一日において、同一患者の再診が2回以上行われた場合であっても、1日につき所定の点数を算定する。

(6) 同一月において、院外処方せんを交付した日がある場合は、当該月においては、「1」の所定点数により算定する。ただし、この場合であっても、院外処方せんを交付している患者に対し、夜間緊急の受診の場合等やむを得ない場合において院内投薬を行う場合は、「2」の所定点数を算定できるが、その場合には、その理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(7) 常態として院外処方せんを交付する保険医療機関において、患者の症状又は病態が安定していること等のため同一月内において投薬を行わなかった場合は、当該月については、「2」の所定点数を算定できる。

(8) 当該届出を行った保険医療機関において、3歳未満の小児が初診を行いそのまま入院となった場合の初診料は、小児科外来診療料ではなく、初診料を算定し、当該初診料の請求は入院の診療報酬明細書により行う。

(9) 3歳の誕生日が属する月において、3歳の誕生日前に当該保険医療機関を受診し、小児科外来診療料を算定した場合にあっては、3歳の誕生日後に当該保険医療機関を受診しても、当該月の診療に係る請求は小児科外来診療料により行うものとする。

(10) 当該届出を行った保険医療機関のうち、許可病床数が200床以上の病院においては、他の保険医療機関等からの紹介なしに受診した3歳未満の乳幼児の初診については、保険外併用療養費に係る選定療養の対象となる。したがって、小児科外来診療料の初診時の点数を算定した上に、患者からの特別の料金を徴収できる。

(11) 本診療料を算定する旨を届け出た保険医療機関の保険医が「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」(平成18年3月31日保医発第0331002号)に定める「配置医師」であり、それぞれの配置されている施設に赴き行った診療については、本診療料は算定できないが、それぞれの診療行為に係る所定点数により算定できるものとする。

B001―2―2 地域連携小児夜間・休日診療料

(1) 地域連携小児夜間・休日診療料は、保険医療機関が地域の小児科を専ら担当する診療所その他の保険医療機関の医師と連携をとりつつ、小児の救急医療の確保のために、夜間、休日又は深夜に小児の診療が可能な体制を保つことを評価するものである。

(2) 地域連携小児夜間・休日診療料1については、夜間、休日又は深夜であって、保険医療機関があらかじめ地域に周知している時間に、地域連携小児夜間・休日診療料2については、保険医療機関が24時間診療することを周知した上で、夜間、休日又は深夜に、それぞれ6歳未満の小児を診療した場合に算定する。

(3) 地域連携小児夜間・休日診療料は、夜間、休日又は深夜に急性に発症し、又は増悪した6歳未満の患者であって、やむを得ず当該時間帯に保険医療機関を受診するものを対象としたものである。したがって、慢性疾患の継続的な治療等のための受診については算定できない。

(4) 夜間、休日又は深夜における担当医師名とその主たる勤務先について、予定表を作成し院内に掲示するものとする。

(5) 地域連携小児夜間・休日診療料を算定する場合にあっては、診療内容の要点、診療医師名及びその主たる勤務先名を診療録に記載するものとする。

(6) 一連の夜間及び深夜又は同一休日に、同一の患者に対しては、地域連携小児夜間・休日診療料は原則として1回のみ算定する。なお、病態の度重なる変化等による複数回の受診のため2回以上算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄にその理由を詳細に記載すること。

(7) 診察が電話等により行われた場合にあっては、地域連携小児夜間・休日診療料は算定できない。

(8) 入院中の患者については、地域連携小児夜間・休日診療料は算定できない。ただし、患者が地域連携小児夜間・休日診療料を算定すべき診療を経た上で入院した場合は、算定できる。

(9) 患者本人が受診せず、家族などに対して指導等を行った場合には、当該診療料は算定できない。

(10) 地域連携小児夜間・休日診療料は地域の夜間・急病センター、病院等において地域の医師が連携・協力して、診療に当たる体制を評価したものであり、在宅当番医制で行う夜間・休日診療においては算定できない。

(11) 「注2」に掲げる院内トリアージ加算については、院内トリアージ体制を整えている保険医療機関において、当該保険医療機関の院内トリアージ基準に基づいて専任の医師又は専任の看護師により患者の来院後速やかに患者の状態を評価し、患者の緊急度区分に応じて診療の優先順位付けを行う院内トリアージが行われ、診療録にその旨を記載した場合に算定できる。

(12) 院内トリアージを行う際には患者又はその家族等に対して、十分にその趣旨を説明すること。

B001―2―3 乳幼児育児栄養指導料

乳幼児育児栄養指導料は、小児科を標榜する保険医療機関において、小児科を担当する医師が3歳未満の乳幼児に対して区分番号「A000」初診料(「注2」のただし書に規定する初診を除く。)を算定する初診を行った場合に、育児、栄養その他療養上必要な指導を行ったときに算定する。この場合、指導の要点を診療録に記載すること。ただし、初診料を算定する初診を行った後、即入院となった場合には算定できない。

B001―2―4 地域連携夜間・休日診療料

(1) 地域連携夜間・休日診療料は、保険医療機関が地域の他の保険医療機関の医師と連携をとりつつ、救急医療の確保のために、夜間、休日又は深夜に診療が可能な体制を保つことを評価するものである。

(2) 地域連携夜間・休日診療料については、夜間、休日又は深夜であって、保険医療機関があらかじめ地域に周知している時間に、患者を診療した場合に算定する。

(3) 地域連携夜間・休日診療料は、夜間、休日又は深夜に急性に発症し、又は増悪した患者であって、やむを得ず当該時間帯に保険医療機関を受診するものを対象としたものである。したがって、慢性疾患の継続的な治療等のための受診については算定できない。

(4) 夜間、休日又は深夜における担当医師名とその主たる勤務先について、予定表を作成し院内に掲示するものとする。

(5) 地域連携夜間・休日診療料を算定する場合にあっては、診療内容の要点、診療医師名及びその主たる勤務先名を診療録に記載するものとする。

(6) 一連の夜間及び深夜又は同一休日に、同一の患者に対しては、地域連携夜間・休日診療料は原則として1回のみ算定する。なお、病態の度重なる変化等による複数回の受診のため2回以上算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄にその理由を詳細に記載すること。

(7) 診察が電話等により行われた場合にあっては、地域連携夜間・休日診療料は算定できない。

(8) 入院中の患者については、地域連携夜間・休日診療料は算定できない。ただし、患者が地域連携夜間・休日診療料を算定すべき診療を経た上で入院した場合は、算定できる。

(9) 患者本人が受診せず、家族などに対して指導等を行った場合には、当該診療料は算定できない。

(10) 地域連携夜間・休日診療料は地域の夜間・急病センター、病院等において地域の医師が連携・協力して、診療に当たる体制を評価したものであり、在宅当番医制で行う夜間・休日診療においては算定できない。

B001―3 生活習慣病管理料

(1) 生活習慣病管理料は、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者の治療においては生活習慣に関する総合的な治療管理が重要であることから設定されたものであり、治療計画を策定し、当該治療計画に基づき、服薬、運動、休養、栄養、喫煙及び飲酒等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に、許可病床数が200床未満の病院及び診療所である保険医療機関において算定する。なお、区分番号「A000」初診料を算定した日の属する月においては、本管理料は算定しない。

(2) 生活習慣病管理料は、服薬、運動、休養、栄養、喫煙及び飲酒等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行う旨、患者に対して療養計画書(療養計画書の様式は、別紙様式9又はこれに準じた様式とする。)により丁寧に説明を行い、患者の同意を得るとともに、当該計画書に患者の署名を受けた場合に算定できるものであること。また、交付した療養計画書の写しは診療録に貼付しておくものとする。なお、療養計画書は、当該患者の治療管理において必要な項目のみを記載することで差し支えない。

(3) 当該患者の診療に際して行った第1部医学管理等、第3部検査、第5部投薬、第6部注射及び第13部病理診断の費用は全て所定点数に含まれる。

(4) 生活習慣病管理料を算定している患者に対しては、少なくとも1月に1回以上の総合的な治療管理が行われなければならない。

(5) 生活習慣病管理料を算定する月においては、服薬、運動、休養、栄養、喫煙及び飲酒等の生活習慣に関する総合的な治療管理に係る療養計画書(療養計画書の様式は、別紙様式9の2又はこれに準じた様式とする。)を交付するものとするが、当該療養計画書の内容に変更がない場合はこの限りでない。ただし、その場合においても4月に1回以上は交付するものとする。なお、交付した当該療養計画書の写しは診療録に貼付しておくものとする。

(6) 当該月に生活習慣病管理料を算定した患者の病状の悪化等の場合には、翌月に生活習慣病管理料を算定しないことができる。

(7) 同一保険医療機関において、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者について、生活習慣病管理料を算定するものと算定しないものが混在するような算定を行うことができるものとする。

(8) 同一月内において、院外処方せんを交付する日と交付しない日が混在した場合には、当該月の算定は、「1 処方せんを交付する場合」で算定する。

(9) 「注3」に規定する加算については、中等度以上の糖尿病(2型糖尿病の患者であってインスリン製剤を使用していないものに限る。)の患者を対象とし、必要な指導を行った場合に1年に1回に限り算定する。なお、中等度以上の糖尿病の患者とは、当該加算を算定する当月若しくは前月においてヘモグロビンA1c(HbA1c)が8.0%以上の者をいう。

(10) 「注3」の加算を算定する患者に対しては、患者教育の観点から血糖自己測定器を用いて月20回以上血糖を自己測定させ、その検査値や生活状況等を報告させるとともに、その報告に基づき、必要な指導を行い療養計画に反映させること。

当該加算は、血糖試験紙(テスト・テープ)又は固定化酵素電極(バイオセンサー)を給付し、在宅で血糖の自己測定をさせ、その記録に基づき指導を行った場合に算定するものであり、血糖試験紙、固定化酵素電極、穿刺器、穿刺針及び測定機器を患者に給付又は貸与した場合における費用その他血糖自己測定に係る全ての費用は当該加算点数に含まれ、別に算定できない。

B001―3―2 ニコチン依存症管理料

(1) ニコチン依存症管理料は、入院中の患者以外の患者に対し、「禁煙治療のための標準手順書」(日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会及び日本呼吸器学会の承認を得たものに限る。)に沿って、初回の当該管理料を算定した日から起算して12週間にわたり計5回の禁煙治療を行った場合に算定する。

(2) ニコチン依存症管理料の算定対象となる患者は、次の全てに該当するものであって、医師がニコチン依存症の管理が必要であると認めたものであること。

ア 「禁煙治療のための標準手順書」に記載されているニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で、ニコチン依存症と診断されたものであること。

イ 1日の喫煙本数に喫煙年数を乗じて得た数が200以上であるものであること。

ウ 直ちに禁煙することを希望している患者であって、「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意しているものであること。

(3) ニコチン依存症管理料は、初回算定日より起算して1年を超えた日からでなければ、再度算定することはできない。

(4) 治療管理の要点を診療録に記載する。

B001―4 手術前医学管理料

(1) 手術前医学管理料は硬膜外麻酔、脊椎麻酔又は全身麻酔下で行われる手術の前に行われる定型的な検査・画像診断について、請求の簡素化等の観点から包括して評価したものであり、区分番号「L002」硬膜外麻酔、区分番号「L004」脊椎麻酔若しくは区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔下に手術が行われた場合に、月1回に限り、疾病名を問わず全て本管理料を算定する。

(2) 手術前1週間に本管理料に包括されている検査及び画像診断項目(以下この項において「検査項目等」という。)のいずれも行わなかった場合は、本管理料は算定しない。なお、「手術を行う前1週間以内に行ったもの」とは、手術を行う日の前日を起算日として1週間前の日から当該手術を実施した当日の手術実施前までに行ったものをいう。

(3) 手術前医学管理料には、包括されている検査項目等に係る判断料が含まれており、手術前医学管理料を算定した月に区分番号「D026」血液学的検査判断料、生化学的検査(Ⅰ)判断料及び免疫学的検査判断料は別に算定できない。

(4) 手術前医学管理料を算定する際使用したフィルムの費用は、区分番号「E400」フィルムの所定点数により算定する。

(5) 本管理料を算定する手術前1週間において、入院と入院外が混在する場合においても、本管理料に包括されている検査項目等の1回目の所定点数については別に算定できない。

(6) 本管理料を月初めに算定し、手術前1週間が月をまたがる場合においても、本管理料の所定点数に包括されている検査項目等の1回目の所定点数については別に算定できない。

(7) 同一の患者について、月をまたがって1週間以内に硬膜外麻酔、脊椎麻酔又は全身麻酔下の手術を2回以上行った場合には、最初に行った手術の際に手術前医学管理料を算定し、2回目の手術の際には手術前医学管理料を算定せず、それぞれの検査項目等の所定点数により算定する。

(例)

当該月の29日に硬膜外麻酔、脊椎麻酔、全身麻酔下の手術を行い、翌月の3日に再び硬膜外麻酔、脊椎麻酔、全身麻酔下の手術を行った場合の算定。

当該月の29日に手術前医学管理料を算定し、翌月の手術の3日の際には手術前医学管理料を算定せず、それぞれの検査項目等の所定点数で算定する。

B001―5 手術後医学管理料

(1) 手術後医学管理料は、区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を伴う手術後に必要な医学的管理を評価するとともに、手術後に行われる定型的な検査について、請求の簡素化等の観点から包括して評価したものであり、区分番号「A300」救命救急入院料又は区分番号「A301」特定集中治療室管理料に係る届出を行っていない保険医療機関の一般病棟に入院する患者について算定する。

(2) 手術後医学管理料には、包括されている検査項目に係る判断料が含まれており、手術後医学管理料を算定した月に区分番号「D026」尿・糞便等検査判断料、血液学的検査判断料及び生化学的検査(Ⅰ)判断料は別に算定できない。ただし、本管理料を算定する3日間が月をまたがる場合は、本管理料を算定する最初の日が属する月に係るこれらの判断料は別に算定できないが、その翌月にこれらの判断料の対象となる検査を実施した場合には、別に算定できる。

(3) 同一保険医療機関において、同一月に本管理料を算定するものと算定しないものが混在するような算定はできない。

(4) 手術後医学管理料の算定開始日となる入院の日とは、第1章第2部通則5に定める起算日のことをいう。

B001―6 肺血栓塞栓症予防管理料

(1) 肺血栓塞栓症予防管理料は、肺血栓塞栓症を発症する危険性が高い患者に対して、肺血栓塞栓症の予防を目的として、必要な医学管理を行った場合を評価するものである。

(2) 肺血栓塞栓症予防管理料は、病院(療養病棟を除く。)又は診療所(療養病床に係るものを除く。)に入院中の患者であって、肺血栓塞栓症を発症する危険性の高いもの(結核病棟においては手術を伴う患者、精神病棟においては治療上の必要から身体拘束が行われている患者に限る。)に対して、肺血栓塞栓症の予防を目的として、弾性ストッキング(患者の症状により弾性ストッキングが使用できないなどやむを得ない理由により使用する弾性包帯を含む。)又は間歇的空気圧迫装置を用いて計画的な医学管理を行った場合に、入院中1回に限り算定する。なお、当該管理料は、肺血栓塞栓症の予防を目的として弾性ストッキング又は間歇的空気圧迫装置を用いた場合に算定できるものであり、薬剤のみで予防管理を行った場合には算定できない。また、第1章第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院の場合においても、各々の入院において入院中1回算定できるものであること。

(3) 肺血栓塞栓症の予防を目的として使用される弾性ストッキング及び間歇的空気圧迫装置を用いた処置に要する費用は所定点数に含まれており、別に区分番号「J119」消炎鎮痛等処置の点数は算定できない。肺血栓塞栓症の予防を目的として弾性ストッキングが複数回使用される場合であっても、当該費用は所定点数に含まれる。なお、肺血栓塞栓症の予防を目的としない区分番号「J119」消炎鎮痛等処置は別に算定できるものであること。また、同一の弾性ストッキングを複数の患者に使用しないこと。

(4) 肺血栓塞栓症の予防に係る計画的な医学管理を行うに当たっては、関係学会より標準的な管理方法が示されているので、患者管理が適切になされるよう十分留意されたい。

B001―7 リンパ浮腫指導管理料

(1) リンパ浮腫指導管理料は、手術前又は手術後において、以下に示す事項について個別に説明及び指導管理を行った場合に算定する。

ア リンパ浮腫の病因と病態

イ リンパ浮腫の治療方法の概要

ウ セルフケアの重要性と局所へのリンパ液の停滞を予防及び改善するための具体的実施方法

(イ) リンパドレナージに関すること

(ロ) 弾性着衣又は弾性包帯による圧迫に関すること

(ハ) 弾性着衣又は弾性包帯を着用した状態での運動に関すること

(ニ) 保湿及び清潔の維持等のスキンケアに関すること

エ 生活上の具体的注意事項

リンパ浮腫を発症又は増悪させる感染症又は肥満の予防に関すること

オ 感染症の発症等増悪時の対処方法

感染症の発症等による増悪時における診察及び投薬の必要性に関すること

(2) 指導内容の要点を診療録に記載する。

(3) 手術前においてリンパ浮腫に関する指導を行った場合であって、結果的に手術が行われなかった場合にはリンパ浮腫指導管理料は算定できない。

B002 開放型病院共同指導料(Ⅰ)、B003 開放型病院共同指導料(Ⅱ)

(1) 開放型病院共同指導料(Ⅰ)は、開放型病院に自己の診察した患者を入院させた保険医が、開放型病院に赴き、開放型病院の保険医と共同で診療、指導等を行った場合に1人の患者に1日につき1回算定できるものであり、その算定は当該患者を入院させた保険医が属する保険医療機関において行う。

(2) 開放型病院共同指導料(Ⅰ)を算定した場合は、区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料、区分番号「A002」外来診療料、区分番号「C000」往診料及び区分番号「C001」在宅患者訪問診療料等は算定できない。

(3) 診療所による紹介に基づき開放型病院に入院している患者に対して、当該診療所の保険医が開放型病院に赴き診療、指導等を行った場合において、その患者について、区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)が既に算定されている場合であっても、開放型病院共同指導料(Ⅰ)を算定できる。

(4) 開放型病院共同指導料(Ⅰ)を算定する場合、当該患者を入院させた保険医の診療録には、開放型病院において患者の指導等を行った事実を記載し、開放型病院の診療録には当該患者を入院させた保険医の指導等が行われた旨を記載する。

(5) 開放型病院共同指導料(Ⅱ)は、当該患者を入院させた保険医の属する保険医療機関が開放型病院共同指導料(Ⅰ)を算定した場合に、開放型病院において算定する。

B004 退院時共同指導料1、B005 退院時共同指導料2

(1) 退院時共同指導料1又は退院時共同指導料2は、保険医療機関に入院中の患者について、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医又は当該保険医の指示を受けた当該保険医療機関の看護師若しくは准看護師が、当該患者が入院している保険医療機関に赴いて、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、入院中の保険医療機関の保険医、看護師又は准看護師と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回(別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については2回)に限り、それぞれの保険医療機関において算定するものである。ただし、当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の准看護師と当該患者が入院中の保険医療機関の准看護師が共同して在宅での療養上必要な説明及び指導を行う場合には、それぞれの保険医療機関の医師又は看護師の指示を受けて行うものであること。なお、ここでいう入院とは、第1章第2部通則5に定める入院期間が通算される入院のことをいう。

(2) 退院時共同指導料は、患者の家族等退院後に患者の看護を担当する者に対して指導を行った場合にも算定できる。

(3) 行った指導の内容等について、要点を診療録に記載するとともに、患者又はその家族等に提供した文書の写しを診療録に添付する。

(4) 退院時共同指導料1の「1」は、在宅療養支援診療所の医師が当該患者に対して、その退院後に往診及び訪問看護により24時間対応できる体制等を確保し、在宅療養支援診療所において、24時間連絡を受ける医師又は看護職員の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供した場合に限り算定できる。

(5) 当該患者が入院している保険医療機関(以下この区分において入院保険医療機関という。)と当該患者を紹介した保険医療機関(以下この区分において紹介元保険医療機関という。)とが特別の関係にある場合は、退院時共同指導料は算定できない。

(6) 退院時共同指導料は、退院後在宅での療養を行う患者が算定の対象となり、他の保険医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設に入院若しくは入所する患者又は死亡退院した患者については、対象とはならない。

(7) 退院時共同指導料2の「注2」に規定する加算は、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、当該患者が入院している保険医療機関の保険医と地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医が共同して行った場合に算定する。

(8) 退院時共同指導料2の「注3」に規定する加算は、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、当該患者が入院している保険医療機関の保険医が、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医、看護師又は准看護師、保険医である歯科医師又はその指示を受けた歯科衛生士、保険薬局の保険薬剤師、訪問看護ステーションの看護師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士若しくは介護支援専門員のいずれかのうち3者以上と共同して行った場合に算定する。

(9) 退院時共同指導料2の「注3」に規定する指導と同一日に行う「注2」に規定する指導に係る費用及び介護支援連携指導料は、「注3」に規定する加算に含まれ、別に算定できない。

B005―1―2 介護支援連携指導料

(1) 介護支援連携指導料は、入院の原因となった疾患・障害や入院時に行った患者の心身の状況等の総合的な評価の結果を踏まえ、退院後に介護サービスを導入することが適当であると考えられ、また、本人も導入を望んでいる患者が、退院後により適切な介護サービスを受けられるよう、入院中から居宅介護支援事業者等の介護支援専門員(ケアマネジャー)と連携し退院後のケアプラン作成につなげることを評価するものである。

(2) 介護支援連携指導料は、医師又は医師の指示を受けた看護師、社会福祉士、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、その他、退院後に導入が望ましい介護サービスから考え適切な医療関係職種が、患者の入院前からケアマネジメントを担当していた介護支援専門員又は退院後のケアプラン作成を行うため患者が選択した居宅介護支援事業者、介護予防支援事業者又は介護保険施設等の介護支援専門員と共同して、患者に対し、患者の心身の状況等を踏まえ導入が望ましいと考えられる介護サービスや、当該地域において提供可能な介護サービス等の情報を提供した場合に入院中2回に限り算定できるものである。

(3) ここでいう介護保険施設等とは、介護保険の給付が行われる保健医療サービス又は福祉サービスを提供する施設であって、次の施設をいうものとする。

ア 介護老人福祉施設(介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第20項に規定する地域密着型老人福祉施設及び同条第24項に規定する介護老人福祉施設のことをいう。)

イ 介護保険法第8条第25項に規定する介護老人保健施設

ウ 介護保険法第8条第26項に規定する介護療養型医療施設

エ 特定施設(介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第11項に規定する特定施設、同条第19項に規定する地域密着型特定施設及び同条の2第11項に規定する介護予防特定施設入居者生活介護を提供する施設のことをいい、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第192条の2に規定する外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護を受けている患者が入居する施設を含む。)

オ 認知症対応型グループホーム(介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第18項に規定する認知症対応型共同生活介護及び同条の2第17項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護を提供する施設のことをいう。)

カ 小規模多機能居宅介護事業所(介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第17項に規定する小規模多機能型居宅介護及び同条の2第16項に規定する介護予防小規模多機能型居宅介護を提供する施設のことをいう。)

(4) 初回の指導は、介護サービスの利用の見込みがついた段階で、退院後の生活を見越し、当該地域で導入可能な介護サービスや要介護認定の申請の手続き等の情報について、患者や医療関係者と情報共有することで、適切な療養場所の選択や手続きの円滑化に資するものであり、2回目の指導は、実際の退院を前に、退院後に想定されるケアプランの原案の作成に資するような情報の収集や退院後の外来診療の見込み等を念頭に置いた指導を行うこと等を想定したものである。

(5) 行った指導の内容等について、要点を診療録に記載するとともに、患者又はその家族等に提供した文書の写しを診療録に添付する。また、指導の内容を踏まえ作成されたケアプランについては、患者の同意を得た上で、当該介護支援専門員に情報提供を求めることとし、ケアプランの写しを診療録に添付すること。

(6) 介護支援連携指導料を算定するにあたり共同指導を行う介護支援専門員は、介護サービスの導入を希望する患者の選択によるものであり、患者が選択した場合には、当該医療機関に併設する居宅介護事業所の居宅介護支援専門員であっても介護支援連携指導料の算定を妨げるものではない。ただし、当該医療機関に併設する介護保険施設等の介護支援専門員と共同指導を行った場合については介護支援連携指導料を算定することはできない。

(7) 同一日に区分番号B005退院時共同指導料2の注3に掲げる加算の算定すべき居宅介護支援専門員を含めた共同指導を行った場合には、介護支援連携指導料あるいは退院時共同指導料2の注3に掲げる加算の両方を算定することはできない。

B005―2 地域連携診療計画管理料、B005―3 地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)

B005―3―2 地域連携診療計画退院時指導料(Ⅱ)

(1) 地域連携診療計画は、あらかじめ計画管理病院において作成され、当該計画管理病院からの転院後又は退院後の治療を担う複数の連携保険医療機関(必要に応じて、計画管理病院から転院後の保険医療機関を退院後の外来診療を担う保険医療機関を含む。また、特別の関係であっても差し支えない。)又は介護サービス事業所との間で共有して活用されるものであり、病名、入院時の症状、予定されている診療内容、標準的な転院までの期間、転院後の診療内容、連携する保険医療機関を退院するまでの標準的な期間(以下本区分において「総治療期間」という。)、退院に当たり予想される患者の状態に関する退院基準、その他必要な事項が記載されたものであること。

(2) 地域連携診療計画は、患者の状態等により、異なる連携が行われることが想定されることから、あらかじめ複数の地域連携診療計画を作成しておき、患者の状態等に応じて最も適切な地域連携診療計画を選択することは差し支えない。また、計画は必ず、計画管理病院、計画管理病院からの転院後又は退院後の治療を担う保険医療機関(以下「2段階目の保険医療機関」という。)又は介護老人保健施設(以下「2段階目の保険医療機関等」という。)、2段階目の保険医療機関を退院後の外来診療を担う保険医療機関(以下「3段階目の保険医療機関」という。)又は介護サービス事業所(介護老人保健施設、通所リハビリテーション事業所、訪問リハビリテーション事業所)(以下「3段階目の保険医療機関等」という。)の3段階の連携に限られる必要はなく、必要に応じて、計画管理病院及び2段階目の保険医療機関等の2段階の連携も活用されるべきものである。

(3) 地域連携診療計画管理料及び地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)及び(Ⅱ)の対象疾患は、大腿骨頸部骨折(大腿骨頸部骨折骨接合術、大腿骨頸部骨折人工骨頭置換術等を実施している場合に限る。)又は脳卒中(急性発症又は急性増悪した脳梗塞、脳出血又はくも膜下出血の治療を実施している場合に限る。)である。なお、脳卒中における急性発症又は急性増悪とは、脳梗塞、脳出血又はくも膜下出血を発症した患者について、画像診断等を用いて診断されたものであること。

(4) 地域連携診療計画管理料は、地域連携診療計画の対象疾患の患者に対し、地域連携診療計画に沿って治療を行うことについて患者の同意を得た上で、入院後7日以内に地域連携診療計画に基づく個別の患者ごとの診療計画を作成するとともに、説明し、それを文書にて患者又は家族に提供した場合に、転院時又は退院時に計画管理病院において算定する。その際、患者に交付した診療計画の写しを診療録に貼付すること。

(5) 地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)は、地域連携診療計画管理料を算定した患者に対し、診療計画に基づいた療養を提供するとともに、患者の同意を得た上で、地域連携診療計画に基づく退院後の診療計画を作成するとともに、説明し、それを文書にて患者又は家族に提供した場合であって、計画管理病院に対し文書にて報告した場合に、2段階目の保険医療機関において退院時に算定する。その際、患者に交付した診療計画の写しを診療録に貼付すること。

(6) 地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)の「注3」に掲げる地域連携診療計画退院計画加算は、2段階目の保険医療機関及び3段階目の保険医療機関等を含んだ診療計画に基づき患者の同意を得て、当該保険医療機関の退院後、3段階目の保険医療機関等で行われるべき診療等の計画を作成するとともに、患者、家族に説明し、3段階目の保険医療機関等と適切に情報共有を行うことについて評価したものである。

(7) 地域連携診療計画退院時指導料(Ⅱ)は、3段階目の保険医療機関等において、診療計画に基づく療養を提供するとともに、退院時の患者の状態や、在宅復帰後の患者の状況等について、退院の属する月又はその翌月までに計画管理病院に対して情報提供を行った場合に、情報提供時に算定する。

(8) 地域連携診療計画管理料を算定する計画管理病院からの転院時、2段階目の保険医療機関からの退院時及び3段階目の保険医療機関における退院後の初回受診時においては、別紙様式10に定める日常生活機能評価を行い、その結果を地域連携診療計画書に記入すること。また、連携保険医療機関が退院時に行った日常生活機能評価の結果は、計画管理病院に対し文書にて報告すること。

B005―4 ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)、B005―5 ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅱ)

(1) ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)は、診療に基づき患者を紹介した医師(以下この項において「紹介元医師」という。)が、当該患者が入院中である紹介先の病院に赴き、紹介先の病院の医師と共同で、医学管理等を行った場合に患者1人につき1回に限り、算定できるものであり、その算定は紹介元医師が属する保険医療機関において行う。

(2) ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)を算定した場合は、区分番号「A001」再診料、区分番号「A002」外来診療料、区分番号「C000」往診料及び区分番号「C001」在宅患者訪問診療料等は算定できない。

(3) 紹介元医師による紹介に基づき紹介先の病院に入院している患者に対して、当該紹介元医師が病院に赴き診療、指導等を行った場合において、その患者について、区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)が既に算定されている場合であっても、その算定された日を除き、ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)を算定できる。

(4) ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)を算定する場合、紹介元医師の診療録には、紹介先の病院において患者の医学管理等を行った事実を記載し、紹介先の病院の診療録には紹介元医師による医学管理等が行われた旨を記載する。

(5) ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅱ)は、紹介元医師の属する保険医療機関がハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)を算定した場合に、紹介先の病院において算定する。

(6) 自院にて診療していた妊産婦の状態に異常が認められたために、他院へ搬送する場合において、医師が搬送先医療機関まで付き添い、搬送先の病院の医師と共同で医学管理等を行った場合においても算定できる。

(7) ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)は、区分番号「C004」救急搬送診療料と併せて算定することができる。

B005―6 がん治療連携計画策定料、B005―6―2 がん治療連携指導料

(1) がん治療連携計画策定料、がん治療連携指導料は、がん診療連携拠点病院等を中心に策定された地域連携診療計画に沿ったがん治療に関わる医療機関の連携により、がん患者に対して地域における切れ目のない医療が提供されることを評価したものである。

(2) 地域連携診療計画は、あらかじめがん診療連携拠点病院等において、がんの種類や治療方法等ごとに作成され、当該がん診療連携拠点病院等からの退院後の治療を共同して行う複数の連携保険医療機関との間で共有して活用されるものであり、病名、ステージ、入院中に提供される治療、退院後、計画策定病院で行う治療内容及び受診の頻度、連携医療機関で行う治療の内容及び受診の頻度、その他必要な項目が記載されたものであること。

(3) がん治療連携計画策定料は、がんと診断され、がんの治療目的に初回に入院した際に、地域連携診療計画に沿って治療を行うことについて患者の同意を得た上で、地域連携診療計画に基づく個別の患者ごとの治療計画を作成するとともに、説明し、それを文書にて患者又は家族に提供した場合に、退院時に計画策定病院において算定する。その際、患者に交付した治療計画の写しを診療録に貼付すること。

(4) 病理診断の結果が出ない等の理由で、個別の患者の治療計画を入院中に策定できない場合であっても、退院後の療養を地域連携診療計画に基づき連携医療機関と協力して行うことについて患者の同意を得た上で、適用する可能性のある地域連携診療計画やその場合の連携医療機関等について説明し、可能になった段階で速やかに個別の治療計画を策定するとともに、文書にて患者又は家族に提供した場合にあっては、算定可能とする。その際、交付した治療計画の写しを診療録に添付すること。

(5) 計画策定病院は、治療計画に基づき、患者に対して治療を提供するとともに、患者の同意を得て、適切に連携医療機関と情報共有を図るとともに、必要に応じて適宜治療計画を見直すものとする。

(6) がん治療連携指導料は、連携医療機関において、患者ごとに作成された治療計画にもとづく診療を提供し、計画策定病院に対し患者の診療に関する情報提供をした際に算定する。計画策定病院に対する情報提供の頻度は、基本的には治療計画に記載された頻度に基づくものとするが、患者の状態の変化等により、計画策定病院に対し治療方針等につき、相談・変更が必要となった際に情報提供を行った際にも算定できるものである。

B005―7 認知症専門診断管理料

認知症専門診断管理料は、認知症疾患医療センター等の専門医療機関が他の保険医療機関から紹介された患者に対して、患者又は家族等の同意を得た上で、認知症の鑑別診断を行った上で療養方針を決定し、説明し、それを文書にて患者又は家族等に提供した場合であって、紹介を受けた他の保険医療機関に対して文書にて報告した場合に、1人につき1回に限り算定する。なお、患者に交付した文書の写しを診療録に貼付すること。

B005―8 肝炎インターフェロン治療計画料

(1) 肝炎インターフェロン治療計画料は、インターフェロン治療を受ける肝炎患者に対して、治療計画に沿って治療を行うことについて患者の同意を得た上で、治療計画を作成し、副作用等を含めて患者に説明し、文書により提供するとともに、地域で連携して当該インターフェロン治療を行う保険医療機関に当該患者に係る治療計画及び診療情報を文書により提供した場合に、1人につき1回に限り算定する。患者に交付した治療計画の写しを診療録に貼付すること。

(2) 治療計画の策定にあたっては、患者の求めに応じて夜間や休日に診療を行っている医療機関を紹介するなど、当該患者が長期の治療を継続できるよう配慮を行うこと。

(3) 入院中の患者については退院時に算定すること。

B006 救急救命管理料

(1) 保険医療機関に所属する救急救命士に対して、必要な指示等を行った医師の所属する保険医療機関において算定する。

(2) 救急救命士の行った処置等の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 救急救命士の所属する保険医療機関と指示等を行った医師の所属する保険医療機関が異なる場合においても、当該指示等を行った医師の所属する保険医療機関において算定する。

(4) 医師が救急救命士に指示を行ったのみで、診察をしていない場合には、救急救命管理料のみを算定し、区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料又は区分番号「A002」外来診療料は算定できない。

B006―3 退院時リハビリテーション指導料

(1) 退院時リハビリテーション指導料は、入院していた患者の退院に際し、患者の病状、患家の家屋構造、介護力等を考慮しながら、患者又はその家族等退院後患者の看護に当たる者に対して、リハビリテーションの観点から退院後の療養上必要と考えられる指導を行った場合に算定する。

(2) 退院時リハビリテーション指導料は、指導を行った者及び指導を受けたものが患者又はその家族等であるかの如何を問わず、退院日に1回に限り算定する。

(3) 当該患者の入院中主として医学的管理を行った医師又はリハビリテーションを担当した医師が、患者の退院に際し、指導を行った場合に算定する。なお、医師の指示を受けて、保険医療機関の理学療法士又は作業療法士が保健師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士とともに指導を行った場合にも算定できる。

(4) 指導の内容は、患者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練、生活適応訓練、基本的対人関係訓練、家屋の適切な改造、患者の介助方法、患者の居住する地域において利用可能な在宅保健福祉サービスに関する情報提供等に関する指導とする。

(5) 指導(又は指示)内容の要点を診療録等に記載する。

(6) 死亡退院の場合は、算定できない。

B007 退院前訪問指導料

(1) 退院前訪問指導料は、継続して1月を超えて入院すると見込まれる入院患者の退院に先立って患家を訪問し、患者の病状、患家の家屋構造、介護力等を考慮しながら、患者又はその家族等退院後患者の看護に当たる者に対して、退院後の在宅での療養上必要と考えられる指導を行った場合に算定する。なお、入院期間は暦月で計算する。

(2) 退院前訪問指導料は、指導の対象が患者又はその家族等であるかの如何を問わず、1回の入院につき1回を限度として、指導の実施日にかかわらず、退院日に算定する。ただし、入院後早期(入院後14日以内とする。)に退院に向けた訪問指導の必要性を認めて訪問指導を行い、かつ退院前に在宅療養に向けた最終調整を目的として再度訪問指導を行う場合に限り、指導の実施日にかかわらず退院日に2回分を算定する。

(3) 退院前訪問指導料は、退院して家庭に復帰する患者が算定の対象であり、特別養護老人ホーム等医師又は看護師等が配置されている施設に入所予定の患者は算定の対象としない。

(4) 医師の指示を受けて保険医療機関の保健師、看護師、理学療法士、作業療法士等が訪問し、指導を行った場合にも算定できる。

(5) 指導又は指示内容の要点を診療録等に記載する。

(6) 退院前訪問指導に当たっては、当該保険医療機関における看護業務等に支障をきたすことのないよう留意する。

(7) 保険医療機関は、退院前訪問指導の実施に当たっては、市町村の実施する訪問指導事業等関連事業との連携に十分配意する。

B008 薬剤管理指導料

(1) 薬剤管理指導料は、当該保険医療機関の薬剤師が医師の同意を得て薬剤管理指導記録に基づき、直接服薬指導、服薬支援その他の薬学的管理指導(処方された薬剤の投与量、投与方法、投与速度、相互作用、重複投薬、配合変化、配合禁忌等に関する確認並びに患者の状態を適宜確認することによる効果、副作用等に関する状況把握を含む。)を行った場合に週1回に限り算定できる。ただし、本指導料を算定する日の間隔は6日以上とし、薬剤管理指導料の「1」を算定する場合にあっては、薬学的管理指導により把握した必要な情報を速やかに医師に提供するものとする。

薬剤管理指導料の「1」の対象患者のうち、意識障害等の状態にあり直接服薬指導ができないものについては、その他の薬学的管理指導を行うことにより算定できる。

また、薬剤管理指導料の算定対象となる小児及び精神障害者等については、必要に応じて、その家族等に対して服薬指導等を行った場合であっても算定できる。

なお、施設基準を満たしていても、上記要件に該当しない場合にあっては、区分番号「F500」調剤技術基本料の「1」により算定する。

(2) 薬剤管理指導料の「1」は、区分番号「A300」救命救急入院料、区分番号「A301」特定集中治療室管理料、区分番号「A301―2」ハイケアユニット入院医療管理料、区分番号「A301―3」脳卒中ケアユニット入院医療管理料、区分番号「A302」新生児特定集中治療室管理料又は区分番号「A303」総合周産期特定集中治療室管理料のいずれかを算定している患者に対して、薬学的管理指導を行った場合に算定する。

薬剤管理指導料の「2」は、抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、不整脈用剤、抗てんかん剤、血液凝固阻止剤(ワルファリンカリウム、塩酸チクロピジン、硫酸クロピドグレル及びシロスタゾール並びにこれらと同様の薬理作用を有する成分を含有する内服薬に限る。)、ジギタリス製剤、テオフィリン製剤、カリウム製剤(注射薬に限る。)、精神神経用剤、糖尿病用剤、膵臓ホルモン剤又は抗HIV薬が投薬又は注射されている患者(薬剤管理指導料の「1」に該当する場合を除く。)に対して、これらの薬剤に関し、薬学的管理指導を行った場合に算定する。

(3) 当該保険医療機関の薬剤師は、過去の投薬・注射及び副作用発現状況等を患者又はその家族等から聴取し、当該医療機関及び可能な限り他の医療機関における投薬及び注射に関する基礎的事項を把握する。

(4) 薬剤管理指導料の算定日を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(5) 当該保険医療機関の薬剤師が患者ごとに作成する薬剤管理指導記録には、次の事項を記載し、最後の記入の日から最低3年間保存する。

患者の氏名、生年月日、性別、入院年月日、退院年月日、診療録の番号、投薬・注射歴、副作用歴、アレルギー歴、薬学的管理指導の内容、患者への指導及び患者からの相談事項、薬剤管理指導等の実施日、記録の作成日及びその他の事項

なお、薬剤管理指導記録を診療録等とともに管理する場合にあっては、上記の記載事項のうち、重複する項目については、別途記録の作成を要しない。また、薬剤管理指導記録に添付が必要な文書等を別途保存することは差し支えないが、この場合にあっては、薬剤管理指導記録と当該文書等を速やかに突合できるような管理体制を整備すること。

(6) 「注2」の麻薬管理指導加算は、本指導料を算定している患者のうち、麻薬が投与されている患者に対して、投与される麻薬の服用に関する注意事項等に関し、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。

(7) 薬剤管理指導料を算定している患者に投薬された医薬品について、当該保険医療機関の薬剤師が以下の情報を知ったときは、原則として当該薬剤師は、速やかに当該患者の診療を担う保険医に対し、当該情報を文書により提供するとともに、当該保険医に相談の上、必要に応じ、患者に対する薬学的管理指導を行うものとする。

ア 医薬品緊急安全性情報

イ 医薬品・医療機器等安全性情報

(8) 「注2」の麻薬管理指導加算の算定に当たっては、前記の薬剤管理指導記録に少なくとも次の事項についての記載がされていなければならない。

ア 麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の服薬状況、疼痛緩和の状況等)

イ 麻薬に係る患者への指導及び患者からの相談事項

ウ その他麻薬に係る事項

(9) 「注3」に規定する医薬品安全性情報等管理体制加算は、当該保険医療機関における医薬品の使用に係る状況を把握するとともに、医薬品の安全性に係る重要な情報を把握した際に、速やかに必要な措置を講じる体制を有していることを評価したものであり、入院中の患者に対して薬学的管理指導を行った場合に、入院中1回に限り、初回の薬学的管理指導に係る算定の際に加算する。

(10) 薬剤管理指導及び麻薬管理指導を行った場合は、必要に応じ、その要点を文書で医師に提供すること。

B009 診療情報提供料(Ⅰ)

(1) 診療情報提供料(Ⅰ)は、医療機関間の有機的連携の強化及び医療機関から保険薬局又は保健・福祉関係機関への診療情報提供機能の評価を目的として設定されたものであり、両者の患者の診療に関する情報を相互に提供することにより、継続的な医療の確保、適切な医療を受けられる機会の増大、医療・社会資源の有効利用を図ろうとするものである。

(2) 保険医療機関が、診療に基づき他の機関での診療の必要性等を認め、患者に説明し、その同意を得て当該機関に対して、診療状況を示す文書を添えて患者の紹介を行った場合に算定する。

(3) 紹介に当たっては、事前に紹介先の機関と調整の上、下記の紹介先機関ごとに定める様式又はこれに準じた様式の文書に必要事項を記載し、患者又は紹介先の機関に交付する。また、交付した文書の写しを診療録に添付するとともに、診療情報の提供先からの当該患者に係る問い合わせに対しては、懇切丁寧に対応するものとする。

ア イ及びウ以外の場合 別紙様式11

イ 市町村又は指定居宅介護支援事業者等 別紙様式12から別紙様式12の4

ウ 介護老人保健施設 別紙様式13

(4) 当該情報を提供する保険医療機関と特別の関係にある機関に情報提供が行われた場合や、市町村等が開設主体である保険医療機関が当該市町村等に対して情報提供を行った場合は算定できない。

(5) A保険医療機関には、検査又は画像診断の設備がないため、B保険医療機関(特別の関係にあるものを除く。)に対して、診療状況を示す文書を添えてその実施を依頼した場合には、診療情報提供料(Ⅰ)は算定できる。

(6) (5)の場合において、B保険医療機関が単に検査又は画像診断の設備の提供にとどまる場合には、B保険医療機関においては、診療情報提供料(Ⅰ)、初診料、検査料、画像診断料等は算定できない。なお、この場合、検査料、画像診断料等を算定するA保険医療機関との間で合議の上、費用の精算を行うものとする。

(7) (5)の場合において、B保険医療機関が、検査又は画像診断の判読も含めて依頼を受け、その結果をA保険医療機関に文書により回答した場合には、診療情報提供料(Ⅰ)を算定できる。なお、この場合に、B保険医療機関においては、初診料、検査料、画像診断料等を算定でき、A保険医療機関においては検査料、画像診断料等は算定できない。

(8) 提供される情報の内容が、患者に対して交付された診断書等であって、当該患者より自費を徴収している場合、意見書等であって、意見書の交付について診療報酬又は公費で既に相応の評価が行われている場合には、診療情報提供料(Ⅰ)は算定できない。

(9) 下記のア、イの場合については、患者1人につき月1回に限り、所定点数を算定する。また、いずれの場合も診療情報の提供に当たって交付した文書の写しを診療録に添付する。

ア 区分番号「C001」在宅患者訪問診療料を算定すべき訪問診療を行っている保険医療機関が、患者の同意を得て、診療の日から2週間以内に、当該患者に対して継続して区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料又は区分番号「C005―1―2」居住系施設入居者等訪問看護・指導料を算定すべき看護若しくは指導又は区分番号「C006」在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料を算定すべき指導管理を行っている別の保険医療機関に対して、診療日、診療内容、患者の病状、日常生活動作能力等の診療情報を示す文書を添えて、当該患者に係る療養上必要な情報を提供した場合

イ 区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料又は区分番号「C005―1―2」居住系施設入居者等訪問看護・指導料を算定すべき看護若しくは指導又は区分番号「C006」在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料を算定すべき指導管理を行っている保険医療機関が、患者の同意を得て、診療の日から2週間以内に、別の保険医療機関に対して、病歴、診療内容、患者の病状等の診療状況を示す文書を添えて、当該患者に係る療養上必要な情報を提供した場合

(10) 診療情報の提供に当たり、レントゲンフィルム等をコピーした場合には、当該レントゲンフィルム等及びコピーに係る費用は当該情報提供料に含まれ、別に算定できない。

(11) 「注2」に掲げる「市町村」又は「指定居宅介護支援事業者等」に対する診療情報提供は、入院患者については、退院時に患者の同意を得て退院の日から2週間以内に診療情報の提供を行った場合にのみ算定する。この場合においては、家庭に復帰する患者が対象であり、別の保険医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設等に入院若しくは入所する患者又は死亡退院した患者についてその診療情報を市町村又は指定居宅介護支援事業者等に提供しても、診療情報提供料(Ⅰ)の算定対象とはならない。

(12) 「注2」に掲げる「市町村又は介護保険法第46条第1項の規定により都道府県知事が指定する指定居宅介護支援事業者等」とは、当該患者の居住地を管轄する市町村(特別区を含む。以下同じ。)、保健所若しくは精神保健福祉センター又は指定居宅介護支援事業者若しくは地域包括支援センターをいう。また、「保健福祉サービスに必要な情報」とは、当該患者に係る健康教育、健康相談、機能訓練、訪問指導等の保健サービス又はホームヘルプサービス、ホームケア促進事業、ショートステイ、デイサービス、日常生活用具の給付等の介護保険の居宅サービス若しくは福祉サービスを有効かつ適切に実施するために必要な診療並びに家庭の状況に関する情報をいう。

(13) 「注3」については、在宅での療養を行っている疾病、負傷のため通院困難な患者(以下「在宅患者」という。)に対して、適切な在宅医療を確保するため、当該患者の選択する保険薬局の保険薬剤師が、訪問薬剤管理指導を行う場合であって、当該患者又はその看護等に当たる者の同意を得た上で、当該保険薬局に対して処方せん又はその写しに添付して、当該患者の訪問薬剤管理指導に必要な診療情報を提供した場合に算定する。この場合において、交付した文書の他、処方せんの写しを診療録に添付する。

なお、処方せんによる訪問薬剤管理指導の依頼のみの場合は診療情報提供料(Ⅰ)は算定できない。

(14) 「注4」については、精神障害者である患者であって、次に掲げる施設に入所している患者又は介護老人保健施設(当該保険医療機関と同一の敷地内にある介護老人保健施設その他これに準ずる介護老人保健施設を除く。「注5」において同じ。)に入所している患者の診療を行っている保険医療機関が、診療の結果に基づき、患者の同意を得て、当該患者が入所しているこれらの施設に対して文書で診療情報を提供した場合に算定する。

ア グループホーム及びケアホーム(障害者自立支援法第5条第10項に規定する共同生活介護を行う事業所及び同条第16項に規定する共同生活援助を行う事業所をいう。)

イ 障害者支援施設(障害者自立支援法第5条第12項に規定する障害者支援施設をいい、日中活動として同条第6項に規定する生活介護を行うものを除く。)

ウ 障害者自立支援法施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第6条の7第2項に規定する自立訓練(生活訓練)を行う事業所

エ 障害者自立支援法第5条第14項に規定する就労移行支援を行う事業所

オ 障害者自立支援法第5条第15項に規定する就労継続支援を行う事業所

カ 障害者自立支援法第5条第22項に規定する福祉ホーム

キ 障害者自立支援法附則第48条の規定によりなお従前の例により運営することができることとされた精神保健福祉法第50条の2第1項に規定する精神障害者社会復帰施設

(15) 「注6」に掲げる「認知症疾患医療センター等」とは、認知症の症状にある患者の鑑別診断、治療方針の選定等を行うものとして、都道府県知事が指定した保険医療機関等をいうものであり、その取扱いについては、「認知症疾患医療センター運営事業実施要綱について」(平成20年3月31日付障発第0331009号)等を参考とし、都道府県精神保健主管課(部)と連絡を密にするものであること。

(16) 「注7」に掲げる退院患者の紹介に当たっては、心電図、脳波、画像診断の所見等診療上必要な検査結果、画像情報等及び退院後の治療計画等を添付すること。また、添付した写し又はその内容を診療録に貼付又は記載すること。なお、算定対象が介護老人保健施設である場合は、当該加算を算定した患者にあっては、その後6か月間、当該加算は算定できない。

(17) 「注8」の加算は、区分番号「B005―4」ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)が算定されない場合であっても算定できる。

(18) 「注9」に掲げる「専門医療機関」とは、鑑別診断、専門医療相談、合併症対応、医療情報提供等を行うとともに、かかりつけの医師や介護サービス等との調整を行う保険医療機関であること。

(19) 「注10」に規定する認知症専門医療機関連携加算は、区分番号「B005―7」に掲げる認知症専門診断管理料を算定する専門医療機関において既に認知症と診断された患者が、症状の増悪や療養方針の再検討を要する状態となった場合に、当該専門医療機関に対して、診療状況を示す文書を添えて当該患者の紹介を行った場合に算定する。

(20) 「注11」に規定する精神科医連携加算については、身体症状を訴えて精神科以外の診療科を受診した患者について、当該精神科以外の診療科の医師が、その原因となりうる身体疾患を除外診断した後に、うつ病等の精神疾患を疑い、精神医療の必要性を認め、患者に十分な説明を行い、同意を得て、精神科を標榜する別の保険医療機関の精神科に当該患者が受診する日(紹介した日より1月間以内とし、当該受診日を診療録に記載すること。)について予約を行った上で、患者の紹介を行った場合に算定する。

(21) 「注12」に規定する肝炎インターフェロン治療連携加算は、区分番号「B005―8」に掲げる肝炎インターフェロン治療計画料を算定する専門医療機関において作成された治療計画に基づいて行った診療の状況を示す文書を添えて、当該専門医療機関に対して当該患者の紹介を行った場合に算定する。

B010 診療情報提供料(Ⅱ)

(1) 診療情報提供料(Ⅱ)は、診療を担う医師以外の医師による助言(セカンド・オピニオン)を得ることを推進するものとして、診療を担う医師がセカンド・オピニオンを求める患者又はその家族からの申し出に基づき、治療計画、検査結果、画像診断に係る画像情報等、他の医師が当該患者の診療方針について助言を行うために必要かつ適切な情報を添付した診療状況を示す文書を患者又はその家族に提供した場合に算定できるものである。なお、入院中の患者に対して当該情報を提供した場合であっても算定できるものである。

(2) 診療情報提供料(Ⅱ)は、患者又はその家族からの申し出に基づき、診療に関する情報を患者に交付し、当該患者又はその家族が診療を担う医師及び当該保険医療機関に所属する医師以外の医師による助言を求めるための支援を行うことを評価したものであり、医師が別の保険医療機関での診療の必要性を認め、患者の同意を得て行う区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)を算定すべき診療情報の提供とは明確に区別されるべきものであること。

(3) 診療情報提供料(Ⅱ)を算定すべき診療情報の提供に当たっては、患者又はその家族からの希望があった旨を診療録に記載する。

(4) 助言を受けた患者又はその家族の希望については、その後の治療計画に十分に反映させるものであること。

B011―3 薬剤情報提供料

(1) 薬剤情報提供料は入院中の患者以外の患者に対して、処方した薬剤の名称(一般名又は商品名)、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を、当該処方に係る全ての薬剤について、文書(薬袋等に記載されている場合も含む。)により提供した場合に月1回に限り所定点数を算定する。

(2) 「注1」に規定する場合において、さらに、当該患者の求めに応じて薬剤服用歴が経時的に管理できる手帳に、処方した薬剤の名称(一般名又は商品名)、保険医療機関名及び処方年月日を記載した場合には、月1回に限り「注2」に規定する手帳記載加算を算定できる。なお、この場合の「手帳」とは、経時的に薬剤の記録が記入でき、かつ次のアからウに掲げる事項を記録する欄がある薬剤の記録用の手帳をいう。

ア 患者の氏名、生年月日、連絡先等患者に関する記録

イ 患者のアレルギー歴、副作用歴等薬物療法の基礎となる記録

ウ 患者の主な既往歴等疾病に関する記録

また、所有している手帳を持参しなかった患者に対して薬剤の名称が記載された簡潔な文書(シール等)を交付した場合は、手帳記載加算を算定できない。

(3) やむを得ない理由により、薬剤の名称に関する情報を提供できない場合は、これに代えて薬剤の形状(色、剤形等)に関する情報を提供することにより算定できる。また、効能、効果、副作用及び相互作用に関する情報については患者が理解しやすい表現であることが必要である。

(4) 同一薬剤であっても、投与目的(効能又は効果)が異なる場合には、当該情報を提供すれば薬剤情報提供料を算定できる。また、類似する効能又は効果を有する薬剤への変更の場合にあっても薬剤情報提供料を算定できる。

(5) 処方の内容に変更があった場合については、その都度薬剤情報提供料を算定できる。ただし、薬剤の処方日数のみの変更の場合は、薬剤情報提供料は算定できない。

(6) 複数の診療科を標榜する保険医療機関において、同一日に2以上の診療科で処方された場合であっても、1回のみの算定とする。

(7) 薬剤情報提供料を算定した場合は、薬剤情報を提供した旨を診療録に記載する。

B011―4 医療機器安全管理料

(1) 医療機器安全管理料を算定する保険医療機関においては、医療機器の安全使用のための職員研修を計画的に実施するとともに、医療機器の保守点検に関する計画の策定、保守点検の適切な実施及び医療機器の安全使用のための情報収集等が適切に行われていること。

(2) 医療機器安全管理料1は、医師の指示の下に、生命維持管理装置の安全管理、保守点検及び安全使用を行う臨床工学技士を配置した保険医療機関を評価したものであり、当該保険医療機関において、生命維持管理装置を用いて治療を行った場合に1月に1回に限り算定する。

(3) 生命維持管理装置とは、人工心肺装置及び補助循環装置、人工呼吸器、血液浄化装置(人工腎臓を除く。)、除細動装置及び閉鎖式保育器をいう。

(4) 医療機器安全管理料2は、医師の指示の下に、放射線治療機器の安全管理、保守点検及び安全使用のための精度管理を行う体制を評価したものであり、当該保険医療機関において、照射計画に基づく放射線治療が行われた場合、一連の照射につき当該照射の初日に1回に限り算定する。

(5) 放射線治療機器とは、高エネルギー放射線治療装置(直線加速器)及びガンマナイフ装置をいう。

B012 傷病手当金意見書交付料

(1) 傷病手当金意見書交付料は、医師・歯科医師が労務不能と認め証明した期間ごとにそれぞれ算定できる。

(2) 傷病手当金意見書交付料は、意見書の交付時点において当該被保険者に対し療養の給付を行うべき者に対し請求する。

(3) 傷病手当金を受給できる被保険者が死亡した後に、その遺族等が当該傷病手当金を受給するために意見書の交付を求め、医師・歯科医師が意見書を交付した場合は、当該遺族等に対する療養の給付として請求する。

なお、この場合において、診療報酬明細書の摘要欄に((相続))と表示し、また、傷病名欄には、遺族等が他に療養の給付を受けていない場合は意見書の対象となった傷病名を、他に療養の給付を受けている場合は遺族自身の傷病名と意見書の対象となった傷病名の両方を記載する。

(4) 医師・歯科医師が傷病手当金意見書を被保険者に交付した後に、被保険者が当該意見書を紛失し、再度医師・歯科医師が意見書を交付した場合は、最初の傷病手当金意見書交付料のみを算定する。この場合、2度目の意見書の交付に要する費用は、被保険者の負担とする。

(5) 感染症法第37条の2による医療を受くべき患者に対して、公費負担申請のために必要な診断書の記載を行った場合は、傷病手当金意見書交付料の所定点数の100分の100を、更に被保険者である患者について、この申請手続に協力して保険医療機関が代行した場合は、同じく傷病手当金意見書交付料の所定点数の100分の100を算定できる。なお、感染症法第37条による結核患者の入院に係る感染症法関係の診断書についても所定点数の100分の100を算定できる。

(6) 健康保険法若しくは国民健康保険法に基づく出産育児一時金若しくは出産手当金に係る証明書又は意見書については算定しない。

B013 療養費同意書交付料

(1) 療養費同意書交付料は、医師が療養の給付を行うことが困難であると認めた患者に対し、あん摩・マッサージ、はり及びきゅうの施術に係る同意書又は診断書(以下「同意書等」という。)を交付した場合に算定する。

(2) 初療の日から3月を経過してさらにこれらの施術を受ける必要がある場合において、同意書等を再度交付する場合にも別に算定できる。ただし、同意書等によらず、医師の同意によった場合には算定できない。

(3) 医師が同意書等を交付した後に、被保険者等が当該同意書等を紛失し、再度医師が同意書等を交付した場合は、最初に同意書等を交付した際にのみ算定できる。この場合において、2度目の同意書等の交付に要する費用は、被保険者の負担とする。

B014 退院時薬剤情報管理指導料

(1) 退院時薬剤情報管理指導料は、医薬品の副作用や相互作用、重複投薬を防止するため、患者の入院時に、薬剤服用歴や患者が持参した医薬品等(医薬部外品及びいわゆる健康食品等を含む。)を確認するとともに、入院中に使用した主な薬剤の名称等について、患者の薬剤服用歴が経時的に管理できる手帳(区分番号「B011―3」薬剤情報提供料の(2)に掲げる手帳をいう。以下同じ。)に記載した上で、患者の退院に際して当該患者又はその家族等に対して、退院後の薬剤の服用等に関する必要な指導を行った場合に、退院の日1回に限り算定する。なお、ここでいう退院とは、第1章第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院における退院のことをいい、入院期間が通算される再入院に係る退院日には算定できない。

(2) 入院時に、医薬品の服用状況及び薬剤服用歴を手帳等により確認するとともに、患者が、医薬品等を持参している場合には、当該医薬品等について実際に確認し、その名称等及び確認した結果の要点を診療録に記載する。

(3) 入院中に使用した薬剤のうち、どの薬剤について手帳に記載するかは、患者の病態や使用する薬剤の種類によるが、少なくとも、退院直前(概ね退院前1週間以内)に使用した薬剤及び入院中に副作用が発現した薬剤については記載する。副作用が発現した薬剤については、投与量、当該副作用の概要、投与継続の有無を含む講じた措置、転帰等について記載する。

(4) 患者の退院に際して、当該患者又はその家族等に、退院後の薬剤の服用等に関する必要な指導(保険医療機関を受診する際や保険薬局に処方せんを提出する際に、手帳を提示する旨の指導を含む。)を行うとともに、退院後の療養を担う保険医療機関での投薬又は保険薬局での調剤に必要な服薬の状況及び投薬上の工夫に関する情報について、手帳に記載すること。なお、指導の要点についても、分かりやすく手帳に記載し、必要に応じて退院時の処方に係る薬剤の情報を文書で提供すること。

(5) 手帳を所有している患者については、原則として、退院時までに家族等に持参してもらうこととするが、持参できない場合には、必要な情報が記載された簡潔な文書(シール等)を交付し、所有している手帳に貼付するよう、患者に対して指導を行った場合又は新たに手帳を発行した場合でも算定できる。

(6) 退院時薬剤情報管理指導料を算定した場合は、薬剤情報を提供した旨及び提供した情報並びに指導した内容の要点を診療録に記載する。なお、区分番号「B008」薬剤管理指導料を算定している患者の場合にあっては、薬剤管理指導記録に記載することで差し支えない。

(7) 死亡退院の場合は算定できない。

第2部 在宅医療

<通則>

在宅医療の費用は、第1節在宅患者診療・指導料、第2節在宅療養指導管理料第1款在宅療養指導管理料、第2節在宅療養指導管理料第2款在宅療養指導管理材料加算、第3節薬剤料及び第4節特定保険医療材料料に掲げる所定点数を合算した点数により算定する。

第1節 在宅患者診療・指導料

1 保険医療機関は、同一の患者について、区分番号「C000」往診料、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料、区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料、区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料、区分番号「C006」在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料、区分番号「C008」在宅患者訪問薬剤管理指導料、区分番号「C009」在宅患者訪問栄養食事指導料又は区分番号「I012」精神科訪問看護・指導料(以下この部において「訪問診療料等」という。)のうち、いずれか1つを算定した日においては、他のものを算定できない。

ただし、在宅患者訪問診療等を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではない。

2 一の保険医療機関が訪問診療料等のいずれか1つを算定した日については、当該保険医療機関と特別の関係にある他の保険医療機関は訪問診療料等を算定できない。

ただし、訪問診療等を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではない。

3 保険医療機関と特別の関係にある訪問看護ステーションが、当該保険医療機関の医師から訪問看護指示書の交付を受けた患者について、訪問看護療養費を算定した日においては、当該保険医療機関は訪問診療料等を算定できない。

ただし、当該訪問看護を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではない。

4 在宅療養支援診療所とは、地域における患者の在宅療養の提供に主たる責任を有するものであり、患者からの連絡を一元的に当該診療所で受けるとともに、患者の診療情報を集約する等の機能を果たす必要があること。このため、以下の要件のいずれにも該当し、緊急時の連絡体制及び24時間往診できる体制等を確保しなければならない。

ア 当該診療所において、24時間連絡を受ける医師又は看護職員(以下この部において「連絡担当者」という。)をあらかじめ指定するとともに、連絡担当者及び連絡担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号等、緊急時の注意事項等について、事前に患者又はその看護を行う家族に対して説明の上、文書により提供し、診療録にその写しを添付すること。なお、曜日、時間帯ごとに担当者が異なる場合には、それぞれ曜日、時間帯ごとの担当者及び当該担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号等を文書上に明示すること。

イ 当該診療所において、又は別の保険医療機関(特別の関係にあるものを含む。)の保険医との連携により、患家の求めに応じて、24時間往診が可能な体制を確保し、往診担当医の氏名、担当日等を文書により患家に提供し診療録に添付すること。

ウ 当該診療所において、又は別の保険医療機関(特別の関係にあるものを含む。)の医師若しくは看護師又は訪問看護ステーション(特別の関係にあるものを含む。)の看護師等との連携により、患家の求めに応じて、当該診療所の保険医の指示に基づき、24時間訪問看護の提供が可能な体制を確保し、訪問看護の担当者の氏名、担当日等を文書により患家に提供し、診療録にその写しを添付すること。

エ 当該診療所において、又は別の保険医療機関(特別の関係にあるものを含む。)との連携により、緊急時に在宅での療養を行っている患者が入院できる病床を常に確保し、受入医療機関の名称等をあらかじめ地方厚生(支)局長に届け出ていること。

オ 他の保険医療機関(特別の関係にあるものを含む。)又は訪問看護ステーション(特別の関係にあるものを含む。)と連携する場合には、連携する保険医療機関(特別の関係にあるものを含む。)又は訪問看護ステーション(特別の関係にあるものを含む。)(以下この部において「連携保険医療機関等」という。)において緊急時に円滑な対応ができるよう、あらかじめ患家の同意を得て、当該患者の病状、治療計画、直近の診療内容等緊急の対応に必要な診療情報を連携保険医療機関等に文書(電子媒体を含む。)により随時提供し、当該提供した診療情報の写しを当該患者の診療録に添付すること。なお、連携保険医療機関等の保険医又は看護師等との診療情報の共有に際し、当該患者の診療情報の提供を行った場合、これに係る費用は各所定点数に含まれ別に算定できない。

カ 患者に関する診療記録管理を行うにつき必要な体制が整備されていること。

キ 当該地域において、他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整を担当する者と連携していること。

ク 年に1回、在宅看取り数等を地方厚生(支)局長に報告していること。

5 連携保険医療機関等の保険医又は看護師等であって、在宅療養支援診療所の保険医の指示により、緊急の往診又は訪問看護を行うものは、患者の診療情報について、あらかじめ在宅療養支援診療所の保険医から提供を受け、緊急時に十分活用できる体制にて保管する必要があること。また、当該緊急の往診又は訪問看護の後には、診療内容等の要点を診療録に記載するとともに、在宅療養支援診療所の保険医が患者の診療情報を集約して管理できるよう、速やかに在宅療養支援診療所の保険医に対し、診療情報の提供を行うこと。なお、在宅療養支援診療所の保険医に対し、連携保険医療機関等から当該患者の診療情報の提供を行った場合の費用は、各所定点数に含まれ別に算定できない。

6 当該患者の病状急変時等に、連携保険医療機関等の保険医又は看護師等が往診又は訪問看護を行った場合には、区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料、区分番号「C000」往診料又は区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料は往診等を行った保険医又は看護師等の属する保険医療機関において算定する。

7 連携保険医療機関等が、在宅療養支援診療所の保険医の指示により往診又は訪問看護を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に連携する在宅療養支援診療所の名称及び画像1 (2KB)別ウィンドウが開きます
と記載すること。

C000 往診料

(1) 往診料は、患家の求めに応じて患家に赴き診療を行った場合に算定できるものであり、定期的ないし計画的に患家又は他の保険医療機関に赴いて診療を行った場合には算定できない。

(2) 緊急往診加算は、保険医療機関において、標榜時間内であって、入院中の患者以外の患者に対して診療に従事している時に、患者又は現にその看護に当たっている者から緊急に求められて往診を行った場合に算定する。

(3) 「注1」に規定する「別に厚生労働大臣が定める時間」とは、保険医療機関において専ら診療に従事している時間であって、概ね午前8時から午後1時までの間とする。

(4) 「注1」の加算の対象となる緊急な場合とは、患者又は現にその看護に当たっている者からの訴えにより、速やかに往診しなければならないと判断した場合をいい、具体的には、急性心筋梗塞、脳血管障害、急性腹症等が予想される場合をいう。

(5) 「注1」における所定点数とは、往診料に「注2」及び「注4」における加算点数を合算した点数をいう。

(6) 夜間(深夜を除く。)とは概ね午後6時から翌日の午前6時まで、又は午後7時から翌日の午前7時までのように、12時間を標準として各都道府県において統一的取扱いをすることとし、深夜の取扱いについては、午後10時から午前6時までとする。

(7) 「注1」ただし書の加算については、往診及び訪問看護により24時間対応できる体制等を確保し、在宅での療養を行っている患者の療養を担う保険医及び連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供している患者に限り、算定できる。

(8) 「注2」における診療時間とは、実際に診療に当たっている時間をいう。交通機関の都合その他診療の必要以外の事由によって患家に滞在又は宿泊した場合においては、その患家滞在の時間については、診療時間に算入しない。

(9) 同一の患家又は有料老人ホーム等であって、その形態から当該ホーム全体を同一の患家とみなすことが適当であるものにおいて、2人以上の患者を診療した場合は、2人目以降の患者については往診料を算定せず、区分番号「A000」初診料又は区分番号「A001」再診料若しくは区分番号「A002」外来診療料及び第2章特掲診療料のみを算定する。この場合において、2人目以降のそれぞれの患者の診療に要した時間が1時間を超えた場合は、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載し、往診料の「注2」に規定する加算を算定する。

(10) 往診又は訪問診療を行った後に、患者又はその家族等が単に薬剤を取りに医療機関に来た場合は、再診料又は外来診療料は算定できない。

(11) 「注3」に規定する加算は、患者が在宅で死亡した場合であって、死亡日に往診を行い、死亡診断を行った場合に算定する。

(12) 保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える往診については、当該保険医療機関からの往診を必要とする絶対的な理由がある場合に認められるものであって、この場合の往診料の算定については、16キロメートル以内の場合と同様、本区分及び「注1」、「注2」、「注3」により算定する。この絶対的に必要であるという根拠がなく、特に患家の希望により16キロメートルを超える往診をした場合の往診料は保険診療としては算定が認められないことから、患者負担とする。この場合において、「保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、当該保険医療機関を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に患家が所在する場合をいう。

(13) (12)にかかわらず、往診距離が片道16キロメートルを超えて又は海路によりアの適用地域に往診した場合であって、イの各号の一に該当する特殊の事情があったときの往診料は、ウの算定方法によって算定する。

ア 適用地域

次の各号の一に該当する地域であって、イに掲げる特殊の事情のいずれかが一般的に存するものについて、地方厚生(支)局長が厚生労働大臣の承認を得て指定した地域とする。

なお、指定地域が指定要件を欠くに至ったときは、当局に内議のうえ、すみやかに地域の指定を取り消すものとする。

i 医療機関のない島の地域又は通例路程の大部分を海路による以外に往診することが困難な事情にある地域であって医療機関のないもの。(以下「1号地域」という。地域の単位は、原則として、島、部落又は小字とする。)

ii 1号地域以外の地域であって、最寄りの医療機関からの往診距離が片道16キロメートルを超えるもの。(以下「2号地域」という。地域の単位は、原則として、部落又は小字とする。)

イ 特殊の事情

i 定期に航行する船舶がないか、又は定期に航行する船舶があっても航行回数がきわめて少ないか、若しくは航行に長時間を要すること。

ii 海上の状態や気象条件がきわめて悪いため、又は航路に暗礁が散在するため、若しくは流氷等のため航行に危険が伴うこと。

iii 冬期積雪の期間通常の車両の運行が不能のため往診に相当長時間を要する事情にあること、又は道路事情がきわめて悪く、相当の路程を徒歩によらなければならないため、往診に相当長時間を要する事情にあること。

ウ 算定方法

往診料の項に定める算定方法に準じて算定した点数(650点に「注1」、「注2」又は「注3」による点数を加算した点数)に、次の点数(1号地域については次のiの(イ)及び(ロ)により算出した点数、2号地域については、次のiiにより算出した点数)を加算する。

i 1号地域に対する往診の場合

(イ) 波浪時(波浪注意報の出ていたとき又は波浪により通常の航海時間の概ね1.5倍以上を要したときとする。)であった海路につき海路距離が片道1キロメートル又はその端数を増すごとに所定点数に「注2」に規定する点数の100分の150を加算した点数。(往復の場合は100分の200、片道の場合は100分の100とする。)

(ロ) 適用地域における往診に必要とした滞在時間(島に上陸したときから離島するまでの時間)については30分又はその端数を増すごとに100点を加算する方法で算出した点数の100分の200に相当する点数。

ii 2号地域に対する往診の場合

往診のため保険医が当該保険医療機関を出発してから帰院するまでの往診時間について、30分又はその端数を増すごとに100点を加算する方法で算出した点数の100分の300に相当する点数。

(14) 保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートル以上の地域に居住する保険医に対して在宅での療養を行う患者の診療を担う保険医が往診による対診を求めることができるのは、患家の所在地から半径16キロメートル以内に患家の求める診療に専門的に対応できる保険医療機関が存在しない場合や、患家の求める診療に専門的に対応できる保険医療機関が存在していても当該保険医療機関が往診等を行っていない場合などのやむを得ない絶対的理由のある場合に限られるものである。

(15) 「注5」に規定する交通費は実費とする。

(16) 交通費には自家用車による費用を含む。

(17) 自転車、スクーター等の費用は往診料に含まれているので前項は適用されず、したがって「注5」に規定する患家の負担となる交通費には該当しない。

(18) 往診を求められて患家へ赴いたが、既に他医に受診していたため、診察を行わないで帰った場合の往診料は、療養の給付の対象としない扱いとする。したがって患者負担とする。

(19) 特定の被保険者の求めに応ずるのではなく、保険診療を行う目的をもって定期又は不定期に事業所へ赴き、被保険者(患者)を診療する場合は、往診料として取り扱うことは認められない。

(20) 数事業所の衛生管理医をしている保険医が、衛生管理医として毎日又は定期的に事業所に赴いた(巡回)際、当該事業所において常態として診療を行う場合は、(19)と同様である。

(21) 同一保険医が2か所の保険医療機関を開設している場合の往診料は、往診の依頼を受けた医療機関を起点とするのではなく、当該保険医が患家に赴くために出発した保険医療機関から患家までの距離により算定する。

(22) 定期的又は計画的に行われる対診の場合は往診料を算定できない。

C001 在宅患者訪問診療料

(1) 在宅患者訪問診療料は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院による療養が困難な者に対して定期的に訪問して診療を行った場合の評価であることから、継続的な診療の必要のない者や通院が容易な者に対して安易に算定してはならない。

(2) 在宅での療養を行っている患者とは、保険医療機関、介護老人保健施設で療養を行っている患者以外の患者をいうこと。

ただし、「要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合」(平成20年厚生労働省告示第128号)、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」(平成18年3月31日保医発第0331002号)等(以下「給付調整告示等」という。)に規定する場合を除き、医師の配置が義務づけられている施設に入所している患者については算定の対象としない。

(3) 「2」の「同一建物居住者の場合」は、同一建物居住者に対して保険医療機関の保険医が同一日に訪問診療を行う場合に、患者1人につき所定点数を算定する。同一建物居住者とは、基本的には、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に掲げる建築物に居住する複数の者のことをいうが、具体的には、例えば以下のような患者のことをいう。

ア 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の4に規定する養護老人ホーム、老人福祉法第20条の6に規定する軽費老人ホーム、老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホーム、老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム、マンションなどの集合住宅等に入居又は入所している複数の患者

イ 介護保険法第8条第9項に規定する短期入所生活介護、介護保険法第8条第17項に規定する小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第63条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、介護保険法第8条第18項に規定する認知症対応型共同生活介護、介護保険法第8条の2第9項に規定する介護予防短期入所生活介護、介護保険法第8条の2第16項に規定する介護予防小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第36号)第44条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、介護保険法第8条の2第17項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護などのサービスを受けている複数の患者

(4) 保険医療機関の保険医が、同一建物に居住する当該患者1人のみに対し訪問診療を行う場合は、「1」の同一建物居住者以外の場合の所定点数を算定する。

(5) 同居する同一世帯の複数の患者に対して診察をした場合など、同一の患家において2人以上の患者を診療した場合には、(3)の規定にかかわらず、1人目は、「1」の「同一建物居住者以外の場合」を算定し、2人目以降の患者については、区分番号「A000」初診料又は区分番号「A001」再診料若しくは区分番号「A002」外来診療料及び第2章特掲診療料のみを算定する。この場合において、2人目の患者の診療に要した時間が1時間を超えた場合は、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載し、在宅患者訪問診療料の「注4」に規定する加算を算定する。

(6) 在宅患者訪問診療料は、1人の患者に対して1つの保険医療機関の保険医の指導管理の下に継続的に行われる訪問診療について、1日につき1回に限り算定するが、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日には算定できない。

(7) 在宅患者訪問診療料の算定は週3回を限度とするが、次に掲げる患者についてはこの限りでない。

【厚生労働大臣が定める疾病等の患者】

末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上かつ生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群若しくは頸髄損傷の患者又は人工呼吸器を装着している患者

(8) 診療に基づき患者の病状の急性増悪、終末期等により一時的に週4回以上の頻回な訪問診療の必要を認め、当該患者の病状に基づいた訪問診療の計画を定め、当該計画に基づいて患家を定期的に訪問し、診療を行った場合には、

ア 当該訪問診療が必要な旨

イ 当該訪問診療の必要を認めた日

ウ 当該訪問診療を行った日

を診療報酬明細書に付記することにより、1月に1回に限り、当該診療を行った日から14日以内について14日を限度として算定することができる。

(9) 定期的・計画的な訪問診療を行っている期間における緊急の場合の往診の費用の算定については、在宅患者訪問診療料は算定せず、往診料及び再診料又は外来診療料を算定する。ただし、当該緊急往診を必要とした症状が治まったことを在宅での療養を行っている患者の療養を担う保険医が判断した以降の定期的訪問診療については、在宅患者訪問診療料の算定対象とする。

(10) 訪問診療の計画及び診療内容の要点を診療録に記載する。

(11) 「注3」に規定する乳幼児加算又は幼児加算は、3歳未満の乳幼児又は3歳以上6歳未満の幼児に対して訪問診療を実施した場合に、1日につき1回に限り算定できるものとする。

(12) 「注5」に規定する在宅ターミナルケア加算は、死亡日前14日以内に2回以上往診又は訪問診療を行った患者が、在宅で死亡した場合(往診又は訪問診療を行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む。)に算定する。この場合、診療内容の要点等を診療録に記載すること。

(13) 「注5」のただし書に規定する在宅療養支援診療所若しくは在宅療養支援診療所と連携する保険医療機関(特別の関係にある保険医療機関を含む。)又は在宅療養支援病院に係る加算については、(12)の要件に加えて、在宅療養支援診療所若しくは在宅療養支援診療所と連携する保険医療機関(特別の関係にある保険医療機関を含む。)又は在宅療養支援病院の保険医が、在宅での療養を行っている患者(往診及び訪問看護により24時間対応できる体制を確保し、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供している患者に限る。)が在宅で死亡した場合(往診又は訪問診療を行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む。)であって、死亡日に往診又は訪問診療を行い、当該患者の死亡診断を行った場合に算定する。この場合、診療内容の要点等を当該患者の診療録に記載すること。

(14) 「注6」に規定する加算は、在宅での療養を行っている患者が在宅で死亡した場合であって、死亡日に往診又は訪問診療を行い、死亡診断を行った場合に算定する。ただし、「注5」のただし書に規定する加算には、死亡診断に係る費用が含まれており、「注6」に規定する加算は別に算定できない。

(15) 患家における診療時間が1時間を超える場合の加算の算定方法、保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合又は海路による訪問診療を行った場合であって特殊な事情があった場合の在宅患者訪問診療料の算定方法及び訪問診療に要した交通費の取扱いは、往診料における取扱いの例による。

(16) 往診の日又はその翌日に行う訪問診療の費用については、算定できない。ただし、在宅療養支援診療所若しくは在宅療養支援診療所と連携する保険医療機関(特別の関係にある保険医療機関を含む。)又は在宅療養支援病院の保険医が、往診及び訪問看護により24時間対応できる体制を確保し、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供している患者に対して、往診を行った場合はこの限りではない。

(17) 「注9」に規定する交通費は実費とする。

C002 在宅時医学総合管理料、C002―2 特定施設入居時等医学総合管理料

(1) 在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料は、在宅での療養を行っている患者に対するかかりつけ医機能の確立及び在宅での療養の推進を図るものである。

(2) 在宅時医学総合管理料の対象患者は、在宅での療養を行っている患者であって、通院困難な者である。((3)で規定する特定施設入居時等医学総合管理料の対象患者を除く。)

(3) 特定施設入居時等医学総合管理料の対象患者は、医師又は看護師の配置が義務づけられている施設において療養を行っている次に掲げる特定施設入居者等である患者であって、通院困難な者である。なお、特定施設入居時等医学総合管理料の算定の対象となる患者は、給付調整告示等の規定によるものとする。

ア 次に掲げるいずれかの施設において療養を行っている患者

(イ) 養護老人ホーム((ニ)に規定する施設を除く。)

(ロ) 軽費老人ホーム(「軽費老人ホームの設備及び運営について」(昭和47年2月26日厚生省社会局長通知)第二に規定するA型のものに限り、(ニ)に規定する施設を除く。)

(ハ) 特別養護老人ホーム

(ニ) 特定施設(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第174条第1項に規定する指定特定施設、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第109条第1項に規定する指定地域密着型特定施設及び指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準第230条第1項に規定する指定介護予防特定施設に限り、外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護及び外部サービス利用型指定介護予防特定施設生活介護を受けている患者が入居する施設を除く。)

イ 次に掲げるいずれかのサービスを受けている患者

(イ) 短期入所生活介護

(ロ) 介護予防短期入所生活介護

(4) 在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料は、別に厚生労働大臣の定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関の保険医が、在宅療養計画に基づき月2回以上継続して訪問診療(往診を含む。ただし、区分番号「A000」初診料を算定する往診は除く。)を行った場合に月1回に限り算定する。

「1」については、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医が、往診及び訪問看護により24時間対応できる体制を確保し、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供している患者に限り、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院において算定し、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医が、当該患者以外の患者に対し、月2回以上継続して訪問した場合には、「2」を算定する。

(5) 個別の患者ごとに総合的な在宅療養計画を作成し、その内容を患者、家族及びその看護に当たる者等に対して説明し、在宅療養計画及び説明の要点等を診療録に記載すること。

(6) 他の保健医療サービス又は福祉サービスとの連携に努めること。

(7) 当該患者が診療科の異なる他の保険医療機関を受診する場合には、診療の状況を示す文書を当該保険医療機関に交付する等十分な連携を図るよう努めること。

(8) 当該保険医療機関以外の保険医療機関が、当該患者に対して診療を行おうとする場合には、当該患者等に対し照会等を行うことにより、他の保険医療機関における在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料の算定の有無を確認すること。

(9) 当該患者について在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料が算定されている月において、区分番号「B000」特定疾患療養管理料、区分番号「B001」の「5」小児科療養指導料、同区分番号の「7」難病外来指導管理料、同区分番号の「8」皮膚科特定疾患指導管理料、同区分番号の「18」小児悪性腫瘍患者指導管理料及び区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(10) 当該点数を算定した月において、当該点数を算定する保険医療機関の外来を受診した場合においても第5部投薬の費用は算定できない。

(11) 1つの患家に在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料の対象となる患者が2人以上いる場合の在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料は、患者ごとに算定すること。

(12) 同一月内において院外処方せんを交付した訪問診療と院外処方せんを交付しない訪問診療とが行われた場合は、当該月の算定は在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料の「イ」(院外処方せんを交付する場合)で算定するものであること。

(13) 在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料の「1」の「イ」又は「2」の「イ」を算定する保険医療機関において投与期間が30日を超える薬剤を含む院外処方せんを交付した場合は、その投与期間に係る在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料の算定に当たっては、在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料の「1」の「イ」又は「2」の「イ」で算定するものであること。

(14) 在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料は、当該患者に対して主として診療を行っている保険医が属する1つの保険医療機関において算定するものであること。

(15) 区分番号「C003」在宅末期医療総合診療料を算定した日の属する月にあっては、在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料は算定できないものであること。

(16) 「注3」に規定する在宅移行早期加算は、退院後に在宅において療養を始めた患者であって、訪問診療を行うものに対し、在宅時医学総合管理料又は特定施設入居時等医学総合管理料の算定開始月から3月を限度として、1月1回に限り所定点数に加算する。

(17) 在宅移行早期加算は、退院から1年を経過した患者に対しては算定できない。ただし、在宅移行早期加算を既に算定した患者が再度入院し、その後退院した場合にあっては、新たに3月を限度として、月1回に限り所定点数に加算できるものとする。

(18) 「注4」に係る加算は、特掲診療料の施設基準等別表第三の一の二に掲げる患者に対し、月4回以上の往診又は訪問診療を行い、必要な医学管理を行っている場合に重症者加算として算定する。

(19) 別に厚生労働大臣が定める状態等のうち、特掲診療料の施設基準等別表第三の一の二第三号に掲げる「高度な指導管理を必要とするもの」とは、別表第三の一の二第二号のイに掲げる指導管理を2つ以上行っているものをいう。

(20) 算定対象となる患者が入居又は入所する施設と特別の関係にある保険医療機関においても、算定できる。

C003 在宅末期医療総合診療料

(1) 在宅末期医療総合診療料は、別に厚生労働大臣の定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関である在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院が、在宅での療養を行っている通院が困難な末期の悪性腫瘍の患者(医師又は看護師等の配置が義務付けられている施設に入居又は入所している患者(給付調整告示等に規定する場合を除く。)の場合を除く。)であって、往診及び訪問看護により24時間対応できる体制を確保し、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供しているものに対して、計画的な医学管理の下に、次に掲げる基準のいずれにも該当する総合的な医療を提供した場合に、1週間(日曜日から土曜日の暦週をいう。本項において同じ。)を単位として当該基準を全て満たした日に算定する。

ア 当該患者に対し、訪問診療又は訪問看護を行う日が合わせて週4日以上であること。(同一日において訪問診療及び訪問看護を行った場合であっても1日とする。)

イ 訪問診療の回数が週1回以上であること。

ウ 訪問看護の回数が週1回以上であること。

(2) 在宅末期医療総合診療料は、1週間のうちに全ての要件を満たさなかった場合、1週間のうちに在宅医療と入院医療が混在した場合には算定できない。ただし、現に在宅末期医療総合診療料を算定している患者が、当該在宅療養支援診療所又は当該在宅療養支援病院に一時的に入院する場合は、引き続き計画的な医学管理の下に在宅における療養を継続しているものとみなし、当該入院の日も含めた1週間について、(1)のアからウまでの要件を満たす場合には、在宅末期医療総合診療料を算定できるものとする。ただし、この場合には、入院医療に係る費用は別に算定できない。

(3) 在宅療養支援診療所において、連携により必要な体制を確保する場合にあっては、緊急時の往診又は訪問看護を連携保険医療機関等の医師又は看護師等が行うことが有り得ることを予め患者等に説明するとともに、当該患者の病状、治療計画、直近の診療内容等緊急時の対応に必要な診療情報を連携保険医療機関等に文書(電子媒体を含む。)により随時提供し、当該提供した診療情報は当該患者の診療録に添付すること。なお、連携保険医療機関等の保険医又は看護師等との診療情報の共有に際し、当該患者の診療情報の提供を行った場合、これに係る費用は各所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 在宅療養支援診療所と連携保険医療機関等、又は在宅療養支援病院と訪問看護ステーションが共同で訪問看護を行い、又は緊急時の往診体制をとっている場合は、当該患者の訪問看護、往診に係る費用は、在宅末期医療総合診療料を算定する在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医の属する保険医療機関において一括して算定する。

(5) 連携保険医療機関等又は在宅療養支援病院と連携する訪問看護ステーションが当該患者に訪問看護を行った場合又は当該患者の病状急変時等に連携保険医療機関の保険医が往診を行った場合は、当該連携保険医療機関等又は在宅療養支援病院と連携する訪問看護ステーションは、診療内容等を在宅末期医療総合診療料を算定する在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医に速やかに報告し、当該保険医は診療内容等の要点を当該患者の診療録に記載する必要がある。ただし、これに係る診療情報提供の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(6) 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院は、算定の対象となる患者について、総合的な在宅医療計画を策定し、これに基づいて訪問診療及び訪問看護を積極的に行うとともに、他の保健医療サービス又は福祉サービスとの連携に努めること。なお、在宅末期医療総合診療は、同一の患者に対して継続的に行うことが望ましい。

(7) 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院が、当該患者に対して診療を行おうとする場合には、当該患者等に対し照会等を行うことにより、他の保険医療機関における在宅末期医療総合診療料の算定の有無を確認すること。

(8) 1週間のうち院外処方せんを交付した日がある場合は、当該1週間分を「1」で算定し、それ以外の場合は「2」で算定する。

なお、当該診療を開始又は終了(死亡による場合を含む。)した週にあって、当該1週間のうちに(1)に掲げる基準を満たした場合には、当該診療の対象となった日数分について算定する。

(9) 「注2」に規定する加算は、在宅での療養を行っている患者が在宅で死亡した場合であって、死亡日に往診又は訪問診療を行い、死亡診断を行った場合に算定する。ただし、(11)のイに基づき、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料の「注5」のただし書に規定する加算を算定する場合には、算定できない。

(10) 当該患者の診療に係る費用は、(11)に掲げる費用及び「注2」の加算を除き、全て所定点数に含まれる。ただし、同一月において在宅末期医療総合診療料が算定された日の前日までに算定された検体検査判断料等については、別に算定できる。

(11) 「注3」の特に規定するものとは次の費用であり、当該費用は、要件を満たせば在宅末期医療総合診療料と別に算定できる。

ア 週3回以上の訪問診療を行った場合であって、訪問診療を行わない日に患家の求めに応じて緊急に往診を行った場合の往診料(区分番号「C000」往診料の「注1」及び「注2」の加算を含む。)(ただし、週2回を限度とする。)

イ 区分番号「C001」在宅患者訪問診療料の「注5」に規定する加算(ただし、「注5」本文の加算を算定する場合には、区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料及び「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料のそれぞれの「注9」の加算、「注5」ただし書の加算を算定する場合には、在宅末期医療総合診療料の「注2」の加算、区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料及び「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料のそれぞれの「注9」の加算は別に算定できない。なお、在宅療養支援診療所及びその連携保険医療機関が連携して「注5」本文の加算の要件を満たした場合には在宅療養支援診療所が、当該「注5」ただし書の加算の要件を満たした場合については、看取った保険医療機関が診療報酬請求を行い、それぞれの費用の分配は相互の合議に委ねることとする。)

(12) 「注4」に規定する交通費は実費とする。

C004 救急搬送診療料

(1) 救急用の自動車とは、消防法(昭和23年法律第186号)及び消防法施行令(昭和36年政令第37号)に規定する市町村又は都道府県の救急業務を行うための救急隊の救急自動車、並びに道路交通法(昭和35年法律第105号)及び道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)に規定する緊急自動車であって当該保険医療機関に属するものをいう。

(2) 救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法(平成19年法律第103号)第2条に規定する「救急医療用ヘリコプター」により搬送される患者に対して、救急医療用ヘリコプター内において診療を行った場合についても救急搬送診療料を算定することができる。

(3) 診療を継続して提供した場合、区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料又は区分番号「A002」外来診療料は、救急搬送の同一日に1回に限り算定する。

(4) 搬送先の保険医療機関の保険医に立会診療を求められた場合は、初診料、再診料又は外来診療料は1回に限り算定し、区分番号「C000」往診料は併せて算定できない。ただし、患者の発生した現場に赴き、診療を行った後、救急用の自動車等に同乗して診療を行った場合は、往診料を併せて算定できる。

(5) 入院患者を他の保険医療機関に搬送した場合、入院基本料を算定した日には救急搬送診療料は算定できない。

(6) 「注2」の加算は、新生児又は6歳未満の乳幼児(新生児を除く。)に対して救急搬送診療料を算定する場合に加算する。

C005 在宅患者訪問看護・指導料、C005―1―2 同一建物居住者訪問看護・指導料

(1) 在宅患者訪問看護・指導料及び同一建物居住者訪問看護・指導料は、在宅での療養を行っている通院困難な患者の病状に基づいて訪問看護・指導計画を作成し、かつ、当該計画に基づき実際に患家を定期的に訪問し、看護及び指導を行った場合に、1日に1回を限度として算定する。ただし、医師又は看護師の配置が義務付けられている施設に入所している患者(給付調整告示等により規定する場合を除く。)については、算定の対象としない。

在宅患者訪問看護・指導料は、在宅での療養を行っている患者(同一建物居住者であるものを除く。)に対して、同一建物居住者訪問看護・指導料は、同一建物居住者であるものに対して算定する。

(2) 在宅患者訪問看護・指導料又は同一建物居住者訪問看護・指導料(以下「在宅患者訪問看護・指導料等」という。)は、訪問看護・指導を実施する保険医療機関において医師による診療のあった日から1月以内に行われた場合に算定する。

ただし、当該患者(患者の病状に特に変化がないものに限る。)に関し、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料等を算定すべき訪問診療を行っている保険医療機関が、患者の同意を得て、診療の日から2週間以内に、当該患者に対して継続して訪問看護・指導を行っている別の保険医療機関に対して、診療状況を示す文書を添えて、当該患者に係る療養上必要な情報を提供した場合には、当該診療情報の提供(区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)の場合に限る。)を行った保険医療機関において、当該診療情報提供料の基礎となる診療があった日から1月以内に行われた場合に算定する。

(3) 在宅患者訪問看護・指導料等の算定は週3日を限度とするが、厚生労働大臣が定める疾病等の患者については週4日以上算定できる。

【厚生労働大臣が定める疾病等の患者】

末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上かつ生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群若しくは頸髄損傷の患者又は人工呼吸器を装着している患者

(4) 診療に基づき、患者の病状の急性増悪、終末期等により一時的に週4日以上の頻回の訪問看護が必要であると認められた患者(厚生労働大臣が定める疾病等の患者を除く。)については、月1回(別に厚生労働大臣が定める者については月に2回)に限り、当該診療を行った日から14日以内の期間において、14日を限度として算定できる。

当該患者が介護保険法第62条に規定する要介護被保険者等である場合には、診療録に頻回の訪問看護が必要であると認めた理由及び頻回の訪問看護が必要な期間(ただし14日間以内に限る。)を記載すること。

【厚生労働大臣が定める者】

ア 気管カニューレを使用している状態にある者

イ 真皮を越える褥瘡の状態にある者

(イ) NPUAP(The National Pressure Ulcer Advisory Panel)分類Ⅲ度又はⅣ度

(ロ) DESIGN分類(日本褥瘡学会によるもの)D3、D4又はD5

(5) (3)又は(4)により、週4回以上在宅患者訪問看護・指導料等を算定する場合は、在宅患者訪問看護・指導料等の「1」の「ロ」又は「2」の「ロ」により算定する。

(6) 「1」の助産師による在宅患者訪問看護・指導料の算定の対象となる患者は、在宅での療養を行っている通院困難な妊産婦及び乳幼児であって、疾病等に係る療養上の指導等が必要な患者であり、療養上必要と認められない一般的保健指導を専ら行う場合は算定しない。

(7) 訪問看護計画は、医師又は保健師、助産師若しくは看護師が患家を訪問し、患者の家庭における療養状況を踏まえて作成し、当該計画は少なくとも1月に1回は見直しを行うほか、患者の病状に変化があった場合には適宜見直す。

訪問看護計画には、看護及び指導の目標、実施すべき看護及び指導の内容並びに訪問頻度等を記載すること。

(8) 医師は、保健師、助産師、看護師又は准看護師に対して行った指示内容の要点を診療録に記載すること。また、保健師、助産師又は看護師が准看護師に対して指示を行ったときは、その内容の要点を記録にとどめておくこと。

(9) 保健師、助産師、看護師又は准看護師は、患者の体温、血圧等基本的な病態を含む患者の状態並びに行った指導及び看護の内容の要点を記録にとどめておくこと。

(10) 他の保険医療機関において在宅患者訪問看護・指導料等を算定している患者については、在宅患者訪問看護・指導料等を算定できない。ただし、保険医療機関を退院後1月以内の患者に対して当該保険医療機関が行った訪問看護・指導については、この限りではない。

(11) 保険医療機関と特別の関係にある訪問看護ステーション又は当該保険医療機関の医師が訪問看護指示書を交付した訪問看護ステーションにおいて、訪問看護療養費を算定した月については、在宅患者訪問看護・指導料等を算定できない。ただし、(3)の厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、この限りでない。

(12) 「注2」に規定する難病等複数回訪問加算は、(3)の厚生労働大臣が定める疾病等の患者又は一時的に頻回の訪問看護・指導を行う必要が認められた患者に対して、1日に2回又は3回以上訪問看護・指導を実施した場合に算定する。

(13) 「注3」に規定する緊急訪問看護加算は、訪問看護計画に基づき定期的に行う訪問看護・指導以外であって、緊急の患家の求めに応じて、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医の指示により、当該保険医の属する保険医療機関又は連携する保険医療機関の看護師等が訪問看護・指導した場合に1日につき1回に限り算定する。その際、当該保険医はその指示内容を診療録に記載すること。なお、当該加算は、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院が24時間往診及び訪問看護により対応できる体制を確保し、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供している患者に限り算定できる。

(14) 「注4」に規定する長時間訪問看護・指導加算は、厚生労働大臣が定める長時間の訪問を要する者に対して、1回の訪問看護の時間が2時間を超えた場合について算定するものであり、週1回に限り算定できるものとする。

(15) 「注5」に規定する乳幼児加算又は幼児加算は、3歳未満の乳幼児又は3歳以上6歳未満の幼児に対して、訪問看護・指導を実施した場合に1日につき1回に限り算定できるものとする。

(16) 「注6」に規定する複数名訪問看護加算は、厚生労働大臣が定める同時に複数の看護師等による訪問看護・指導が必要な者に対して、同時に複数の看護師等による訪問看護・指導を行うことについて利用者又はその家族等の同意を得て、同時に複数の看護師等による訪問看護・指導を実施した場合、1人の患者に対して週1回に限り算定できるものであり、単に2人の看護師等が同時に訪問看護・指導を行ったことのみをもって算定することはできない。

(17) 「注7」に規定する在宅患者連携指導加算又は同一建物居住者連携指導加算は、以下の要件を満たす場合に算定すること。

ア 当該加算は、在宅での療養を行っている患者の診療情報等を、当該患者の診療等を担う保険医療機関等の医療関係職種間で文書等により共有し、それぞれの職種が当該診療情報等を踏まえ診療等を行う取組を評価するものである。

イ 在宅での療養を行っている患者であって通院が困難な者に対して、患者の同意を得て、月2回以上医療関係職種間で文書等(電子メール、ファクシミリでも可)により共有された診療情報を基に、患者に対して指導等を行った場合に、月1回に限り算定できる。

ウ 単に医療関係職種間で当該患者に関する診療情報等を交換したのみの場合は算定できない。

エ 他職種から情報提供を受けた場合、できる限り速やかに患者への指導等に反映させるよう留意しなければならない。また、当該患者の療養上の指導に関する留意点がある場合には、速やかに他職種に情報提供するよう努めなければならない。

オ 当該患者の診療を担う保険医療機関の保険医との間のみで診療情報等を共有し、訪問看護・指導を行った場合は、所定点数を算定できない。

カ 特別の関係にある保険医療機関等のみと診療情報等を共有した場合は、所定点数は算定しないこと。

キ 他職種から受けた診療情報等の内容及びその情報提供日並びにその診療情報等を基に行った指導等の内容の要点及び指導日を看護記録に記載すること。

(18) 「注8」に規定する在宅患者緊急時等カンファレンス加算又は同一建物居住者緊急時等カンファレンス加算は、以下の要件を満たす場合に算定すること。

ア 当該加算は、在宅での療養を行っている患者の状態の急変や診療方針の変更等の際、当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等が一堂に会しカンファレンスを行うことにより、より適切な診療方針を立てること及び当該カンファレンスの参加者の間で診療方針の変更等の的確な情報共有を可能とすることは、患者及びその家族が安心して療養生活を行う上で重要であることから、そのような取組に対して評価するものである。

イ 関係する医療関係職種等が共同でカンファレンスを行い、当該カンファレンスで共有した当該患者の診療情報等を踏まえ、それぞれの職種が患者に対して療養上必要な指導を行った場合に月2回に限り算定する。なお、当該カンファレンスは、原則として患家で行うこととするが、患者又は家族が患家以外の場所でのカンファレンスを希望する場合はこの限りではない。

ウ カンファレンスに参加した医療関係職種等の氏名、カンファレンスの要点、患者に行った指導の要点及びカンファレンスを行った日を看護記録に記載すること。

エ 当該患者の診療を担う保険医療機関の保険医と当該患者の訪問看護を担う看護師等(当該保険医療機関の保険医とは異なる保険医療機関の看護師等に限る。)と2者でカンファレンスを行った場合であっても算定できる。ただし、特別の関係にある保険医療機関等の医療関係職種等のみでカンファレンスを行った場合は算定できないこと。

オ 在宅患者緊急時等カンファレンス加算及び同一建物居住者緊急時等カンファレンス加算は、カンファレンスを行い、当該カンファレンスで共有した当該患者の診療情報を踏まえた療養上必要な指導を行った場合に、当該指導日以降最初の在宅患者訪問看護・指導料等を算定する日に合わせて算定すること。また、必要に応じ、カンファレンスを行った日以降に当該指導を行う必要がある場合には、カンファレンスを行った日以降できる限り速やかに指導を行うこと。

なお、当該指導とは、在宅患者訪問看護・指導料等を算定する訪問看護・指導とは異なるものであるが、例えば、当該指導とは別に継続的に実施している訪問看護・指導を当該指導を行った日と同一日に行う場合には、当該指導を行った日において在宅患者訪問看護・指導料又は同一建物居住者訪問看護・指導料を合わせて算定することは可能であること。

(19) 「注9」に規定する在宅ターミナルケア加算又は同一建物居住者ターミナルケア加算は、在宅患者訪問看護・指導料等を死亡日前14日以内に2回以上算定し、かつ、訪問看護におけるターミナルケアの支援体制(訪問看護に係る連絡担当者の氏名、連絡先電話番号、緊急時の注意事項等)について患者及びその家族に対して説明した上でターミナルケアを行った場合(ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む。)に算定する。当該加算を算定した場合は、死亡した場所、死亡時刻等を看護記録に記録すること。

(20) 「注10」に規定する在宅移行管理加算は、当該保険医療機関を退院した次のいずれかに該当する患者又はその家族からの相談等に対して、24時間対応できる体制が整備されている保険医療機関において、当該対象患者の退院後1月以内に在宅患者訪問看護・指導料等を4回以上算定した場合に、患者1人につき1回に限り算定する。

この場合において、特別な管理を必要とする患者はアからオに掲げるものとし、そのうち重症度等の高い患者は、アに掲げるものとする。なお、カにおいて当該加算を算定する場合は、定期的(1週間に1回以上)に褥瘡の状態の観察・アセスメント・評価(褥瘡の深さ、滲出液、大きさ、炎症・感染、肉芽組織、壊死組織、ポケット)を行い、褥瘡の発生部位及び実施したケアについて看護記録に記録すること。なお、実施したケアには必要に応じて利用者の家族等への指導も含むものであること。

ア 区分番号「C108」在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者、区分番号「C112」在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者、気管カニューレを使用している患者及び留置カテーテルを使用している患者

イ 区分番号「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料、区分番号「C102―2」在宅血液透析指導管理料、区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料、区分番号「C104」在宅中心静脈栄養法指導管理料、区分番号「C105」在宅成分栄養経管栄養法指導管理料、区分番号「C106」在宅自己導尿指導管理料、区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料、区分番号「C107―2」在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料、区分番号「C110」在宅自己疼痛管理指導管理料又は区分番号「C111」在宅肺高血圧症患者指導管理料のうちいずれかを算定している患者

ウ ドレーンチューブを使用している患者

エ 人工肛門又は人工膀胱を設置している患者であってその管理に配慮を必要とする患者

オ 区分番号「C005―2」在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している患者

カ 以下の(イ)又(ロ)のいずれかの真皮を越える褥瘡の状態にある者

(イ) NPUAP(The National Pressure Ulcer Advisory Panel)分類Ⅲ度又はⅣ度

(ロ) DESIGN分類(日本褥瘡学会によるもの)D3、D4又はD5

(21) 訪問看護・指導の実施に当たっては、保険医療機関における看護業務に支障を来すことのないよう留意するとともに、市町村の実施する訪問指導事業等関連事業との連携に十分留意する。

(22) 「注11」に規定する交通費は実費とする。

C005―2 在宅患者訪問点滴注射管理指導料

(1) 在宅患者訪問点滴注射管理指導料は、在宅での療養を行っている患者であって、通院困難な者について、当該患者の在宅での療養を担う保険医の診療に基づき、週3日以上の点滴注射を行う必要を認め、当該保険医療機関の看護師等に対して指示を行い、その内容を診療録に記載した場合又は指定訪問看護事業者に別紙様式16又は別紙様式18を参考に作成した在宅患者訪問点滴注射指示書に有効期間(7日以内に限る。)及び指示内容を記載して指示を行った場合において、併せて使用する薬剤、回路等、必要十分な保険医療材料、衛生材料を供与し、1週間(指示を行った日から7日間)のうち3日以上看護師等が患家を訪問して点滴注射を実施した場合に3日目に算定する。なお、算定要件となる点滴注射は、看護師等が実施した場合であり、医師が行った点滴注射は含まれない。

(2) 点滴注射指示に当たっては、その必要性、注意点等を点滴注射を実施する看護師等に十分な説明を行うこと。

(3) 点滴注射を実施する看護師等は、患者の病状の把握に努めるとともに、当該指示による点滴注射の終了日及び必要を認めた場合には在宅での療養を担う保険医への連絡を速やかに行うこと。なお、その連絡は電話等でも差し支えないこと。

(4) 在宅での療養を担う保険医は、患者、患者の家族又は看護師等から容態の変化等についての連絡を受けた場合は、速やかに対応すること。

(5) 在宅患者訪問点滴注射管理指導料には、必要な回路等の費用が含まれており、別に算定できない。

(6) 区分番号「C104」在宅中心静脈栄養法指導管理料又は区分番号「C108」在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定した場合には、当該管理指導料は算定できない。

(7) 在宅患者訪問点滴注射管理指導料に係る薬剤料は別に算定できる。

(8) 週3日以上実施できなかった場合においても、使用した分の薬剤料は算定できる。

C006 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料

(1) 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院してリハビリテーションを受けることが困難な者又はその家族等患者の看護に当たる者に対して、患者の病状、患家の家屋構造、介護力等を考慮しながら、医師の診療に基づき、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を訪問させてリハビリテーションの観点から療養上必要な指導を20分以上行った場合(以下、本区分において「1単位」という。)に算定する。

(2) 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の「1」は、在宅での療養を行っている患者(同一建物居住者であるものを除く。)に対して、在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の「2」は、同一建物居住者であるものに対して、必要な指導を行わせた場合に算定する。

(3) 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の算定は週6単位を限度(末期の悪性腫瘍の患者の場合を除く。)とする。ただし、退院の日から起算して3月以内の患者に対し、入院先の医療機関の医師の指示に基づき継続してリハビリテーションを行う場合は、週12単位まで算定できる。

(4) 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料は、訪問診療を実施する保険医療機関において医師の診療のあった日から1月以内に行われた場合に算定する。

ただし、当該患者(患者の病状に特に変化がないものに限る。)に関し、在宅患者訪問診療料を算定すべき訪問診療を行っている保険医療機関が、患者の同意を得て、診療の日から2週間以内に、当該患者に対して継続して在宅患者訪問リハビリテーション指導管理を行っている別の保険医療機関に対して、診療状況を示す文書を添えて、当該患者に係る療養上必要な情報を提供した場合には、当該診療情報の提供(区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)の場合に限る。)を行った保険医療機関において、当該診療情報提供料の基礎となる診療があった日から1月以内に行われた場合に算定する。

(5) 指導の内容は、患者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練、生活適応訓練、基本的対人関係訓練、言語機能又は聴覚機能等に関する指導とする。

(6) 医師は、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士に対して行った指示内容の要点を診療録に記載する。

(7) 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、医師の指示に基づき行った指導の内容の要点及び指導に要した時間を記録にとどめておく。

(8) 他の保険医療機関において在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料を算定している患者については、在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料を算定できない。

(9) 介護老人保健施設において、通所リハビリテーションを受けている月については、在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料を算定できない。

(10) 「注2」に規定する交通費は実費とする。

C007 訪問看護指示料

(1) 訪問看護指示料は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、負傷のために通院による療養が困難な者に対する適切な在宅医療を確保するため、指定訪問看護に関する指示を行うことを評価するものであり、在宅での療養を行っている患者の診療を担う保険医(患者が選定する保険医療機関の保険医に限る。以下この項において「主治医」という。)が、診療に基づき指定訪問看護の必要性を認め、当該患者の同意を得て、別紙様式16及び別紙様式17を参考に作成した訪問看護指示書に有効期間(6月以内に限る。)を記載して、当該患者が選定する訪問看護ステーションに対して交付した場合に算定する。なお、1か月の指示を行う場合には、訪問看護指示書に有効期間を記載することを要しない。

(2) 指定訪問看護の指示は、当該患者に対して主として診療を行う保険医療機関が行うことを原則とし、訪問看護指示料は、退院時に1回算定できるほか、在宅での療養を行っている患者について1月に1回を限度として算定できる。なお、同一月において、1人の患者について複数の訪問看護ステーションに対して訪問看護指示書を交付した場合であっても、当該指示料は、1月に1回を限度に算定するものであること。

ただし、A保険医療機関と特別の関係にあるB保険医療機関において区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料又は区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料を算定している月においては、A保険医療機関は当該患者について訪問看護指示料は算定できない。

(3) 特別訪問看護指示加算は、患者の主治医が、診療に基づき、急性増悪、終末期等の事由により、週4回以上の頻回の指定訪問看護を一時的に当該患者に対して行う必要性を認めた場合であって、当該患者の同意を得て、別紙様式18を参考に作成した特別訪問看護指示書を、当該患者が選定する訪問看護ステーションに対して交付した場合に、1月に1回(別に厚生労働大臣が定める者については2回)を限度として算定する。

なお、当該頻回の指定訪問看護は、当該特別の指示に係る診療の日から14日以内に限り実施するものであること。

【厚生労働大臣が定める者】

ア 気管カニューレを使用している状態にある者

イ 真皮を越える褥瘡の状態にある者

(イ) NPUAP(The National Pressure Ulcer Advisory Panel)分類Ⅲ度又はⅣ度

(ロ) DESIGN分類(日本褥瘡学会によるもの)D3、D4又はD5

(4) 患者の主治医は、指定訪問看護の必要性を認めた場合には、診療に基づき速やかに訪問看護指示書及び特別訪問看護指示書(以下この項において「訪問看護指示書等」という。)を作成すること。当該訪問看護指示書等には、緊急時の連絡先として、診療を行った保険医療機関の電話番号等を必ず記載した上で、訪問看護ステーションに交付すること。

なお、訪問看護指示書等は、特に患者の求めに応じて、患者又はその家族等を介して訪問看護ステーションに交付できるものであること。

(5) 主治医は、交付した訪問看護指示書等の写しを診療録に添付すること。

(6) 患者の主治医は、当該訪問看護指示書交付後であっても、患者の病状等に応じてその期間を変更することができるものであること。なお、指定訪問看護の指示を行った保険医療機関は、訪問看護ステーションからの対象患者について相談等があった場合には、懇切丁寧に対応すること。

(7) 区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料又は区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料の(3)に掲げる疾病等の患者について、2つの訪問看護ステーションに対して訪問看護指示書を交付する場合には、それぞれの訪問看護指示書に、他の訪問看護ステーションに対して訪問看護指示書を交付している旨及び当該他の訪問看護ステーションの名称を記載すること。

C008 在宅患者訪問薬剤管理指導料

(1) 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、負傷のために通院による療養が困難な者について、保険医療機関の薬剤師が当該保険医療機関の医師及び当該患者の同意を得て、患家を訪問して薬剤管理指導記録に基づいて直接患者又はその家族等に服薬指導、服薬支援その他の薬学的管理指導を行った場合に算定する。

ただし、薬学的管理指導の対象となる患者が他の保険医療機関に入院している場合、医師若しくは薬剤師の配置が義務付けられている施設に入居若しくは入所している場合(給付調整告示等に規定する場合を除く。)又は現に他の保険医療機関若しくは保険薬局の薬剤師が在宅患者訪問薬剤管理指導を行っている場合には、在宅患者訪問薬剤管理指導料は算定できない。

(2) 在宅患者訪問薬剤管理指導料の「1」は、在宅での療養を行っている患者(同一建物居住者であるものを除く。)に対して、在宅患者訪問薬剤管理指導料の「2」は、同一建物居住者であるものに対して、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。

(3) 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、1月に2回を限度として算定できる。ただし、月2回算定する場合にあっては、本指導料を算定する日の間隔は6日以上とする。なお、この場合には診療報酬明細書の摘要欄に当該算定日を記載すること。

(4) 当該保険医療機関の薬剤師は、指導に当たって、過去の投薬及び副作用発現状況等の基礎的事項を把握するとともに、指導の対象となる患者ごとに薬剤管理指導記録を作成すること。なお、当該薬剤管理指導記録には、次の事項を記載し、最後の記入の日から最低3年間保存すること。

ア 患者の氏名、生年月日、性別、住所、診療録の番号

イ 患者の投薬歴、副作用歴、アレルギー歴

ウ 薬学的管理指導の内容(医薬品の保管状況、服薬状況、残薬の状況、重複投薬、配合禁忌等に関する確認及び実施した服薬支援措置を含む。)

エ 患者への指導及び患者からの相談の要点

オ 訪問指導等の実施日、訪問指導を行った薬剤師の氏名

カ その他の事項

(5) 「注2」の麻薬管理指導加算は、本指導料を算定している患者のうち、麻薬が投与されている患者に対して、定期的に、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱上の注意事項等に関し、必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛効果や副作用の有無の確認を行い、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。

(6) 麻薬管理指導加算の算定に当たっては、(4)の薬剤管理指導記録に、少なくとも次の事項について記載しなければならないこと。

ア 麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、疼痛緩和の状況、副作用の有無の確認等)

イ 麻薬に係る患者・家族への指導・相談事項(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)

ウ 患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項

エ その他麻薬に係る事項

(7) 「注3」に規定する交通費は実費とする。

(8) 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者に投薬された医薬品について、当該保険医療機関の薬剤師が以下の情報を知ったときは、原則として当該薬剤師は、速やかに在宅での療養を行っている患者の診療を担う保険医に対し、当該情報を文書により提供するとともに、当該保険医に相談の上、必要に応じ、患者に対する薬学的管理指導を行うものとする。

ア 医薬品緊急安全性情報

イ 医薬品・医療機器等安全性情報

C009 在宅患者訪問栄養食事指導料

(1) 在宅患者訪問栄養食事指導料は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、負傷のために通院による療養が困難な者について、医師が当該患者に特掲診療料の施設基準等に規定する特別食を提供する必要性を認めた場合であって、当該医師の指示に基づき、管理栄養士が患家を訪問し、患者の生活条件、し好等を勘案した食品構成に基づく食事計画案又は具体的な献立を示した栄養食事指導せんを患者又はその家族等に対して交付するとともに、当該指導せんに従った調理を介して実技を伴う指導を30分以上行った場合に算定する。

(2) 在宅患者訪問栄養食事指導料の「1」は、在宅での療養を行っている患者(同一建物居住者であるものを除く。)に対して、「2」は同一建物居住者に対して必要な訪問栄養食事指導を行った場合に算定する。

(3) 「注2」に規定する交通費は実費とする。

(4) 上記以外の点に関しては、区分番号「B001」の「9」外来栄養食事指導料における留意事項の例による。

C010 在宅患者連携指導料

(1) 在宅患者連携指導料は、在宅での療養を行っている患者の診療情報等を、当該患者の診療等を担う保険医療機関等の医療関係職種間で文書等により共有し、それぞれの職種が当該診療情報等を踏まえ診療等を行う取組を評価するものである。

例えば、在宅での療養を行っている一人の患者に対して、保険医療機関の保険医と保険医である歯科医師がそれぞれ訪問診療により当該患者の診療を担っている場合において、保険医である歯科医師が訪問診療を行った際に得た当該患者の口腔内の状態に関する診療情報を保険医に対して文書等で提供し、保険医が当該患者に訪問診療を行った際に、その情報を踏まえた指導を行った場合に算定できる。

(2) 在宅での療養を行っている患者であって通院が困難な者に対して、患者の同意を得て、月2回以上医療関係職種間で文書等(電子メール、ファクシミリでも可)により共有された診療情報を基に、患者又はその家族等に対して指導等を行った場合に、月1回に限り算定する。

(3) 単に医療関係職種間で当該患者に関する診療情報を交換したのみの場合や訪問看護や訪問薬剤指導を行うよう指示を行ったのみでは算定できない。

(4) 他職種から情報提供を受けた場合、できる限り速やかに患者への指導等に反映させるよう留意しなければならない。また、当該患者の療養上の指導に関する留意点がある場合には、速やかに他職種に情報提供するよう努めなければならない。

(5) 他職種から受けた診療情報の内容及びその情報提供日並びにその診療情報を基に行った診療の内容又は指導等の内容の要点及び診療日を診療録に記載すること。

(6) 特別の関係にある保険医療機関等の医療関係職種のみで診療情報を交換した場合は算定できない。

C011 在宅患者緊急時等カンファレンス料

(1) 在宅患者緊急時等カンファレンス料は、在宅での療養を行っている患者の状態の急変や診療方針の変更等の際、当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等が一堂に会しカンファレンスを行うことにより、より適切な治療方針を立てること及び当該カンファレンスの参加者の間で診療方針の変更等の的確な情報共有を可能とすることは、患者及びその家族等が安心して療養生活を行う上で重要であることから、そのような取組に対して評価するものである。

(2) 在宅患者緊急時等カンファレンス料は、在宅での療養を行っている患者の病状が急変した場合や、診療方針の大幅な変更等の必要が生じた場合に、患家を訪問し、関係する医療関係職種等が共同でカンファレンスを行い、当該カンファレンスで共有した当該患者の診療情報等を踏まえ、それぞれの職種が患者に対して療養上必要な指導を行った場合に月2回に限り算定する。

(3) 在宅患者緊急時等カンファレンス料は、カンファレンスを行い、当該カンファレンスで共有した当該患者の診療情報を踏まえた療養上必要な指導を行った場合に、当該指導を行った日に算定することとし、区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料は合わせて算定できない。また、必要に応じ、カンファレンスを行った日以降に当該指導を行う必要がある場合には、カンファレンスを行った日以降できる限り速やかに指導を行うこと。

なお、当該指導とは、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料を算定する訪問診療とは異なるものであるが、例えば、当該指導とは別に継続的に実施している訪問診療を当該指導を行った日と同一日に行う場合には、当該指導を行った日において区分番号「C001」在宅患者訪問診療料を合わせて算定することは可能であること。

(4) 当該在宅患者緊急時等カンファレンス料を算定する場合には、カンファレンスの実施日及び当該指導日を診療報酬明細書に記載すること。

(5) 当該カンファレンスは、原則として患家で行うこととするが、患者又は家族が患家以外の場所でのカンファレンスを希望する場合はこの限りでない。

(6) 在宅での療養を行っている患者の診療を担う保険医は、当該カンファレンスに参加した医療関係職種等の氏名、カンファレンスの要点、患者に行った指導の要点及びカンファレンスを行った日を診療録に記載すること。

(7) 特別の関係にある保険医療機関等の医療関係職種等のみでカンファレンスを行った場合は算定できないこと。

第2節 在宅療養指導管理料

第1款 在宅療養指導管理料

1 在宅療養指導管理料は、当該指導管理が必要かつ適切であると医師が判断した患者について、患者又は患者の看護に当たる者に対して、当該医師が療養上必要な事項について適正な注意及び指導を行った上で、当該患者の医学管理を十分に行い、かつ、各在宅療養の方法、注意点、緊急時の措置に関する指導等を行い、併せて必要かつ十分な量の衛生材料又は保険医療材料を支給した場合に算定する。

ただし、当該保険医療機関に来院した患者の看護者に対してのみ当該指導を行った場合には算定できない。

2 在宅療養指導管理料は1月1回を限度として算定し、特に規定する場合を除き、同一の患者に対して同一月に指導管理を2回以上行った場合は、第1回の指導管理を行ったときに算定する。

3 2以上の保険医療機関が同一の患者について同一の在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行っている場合には、主たる指導管理を行っている保険医療機関において当該在宅療養指導管理料を算定する。

4 同一の保険医療機関において、2以上の指導管理を行っている場合は、主たる指導管理の所定点数を算定する。

5 入院中の患者に対して、退院時に退院後の在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合には、退院の日1回に限り、在宅療養指導管理料の所定点数を算定できる。この場合においては、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療にて行った指導管理の費用は算定できない。また、死亡退院の場合又は他の病院若しくは診療所へ入院するため転院した場合には算定できない。

6 退院した患者に対して、当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、当該患者について当該保険医療機関において退院日に在宅療養指導管理料を算定していない場合に限り、在宅療養指導管理料を算定することができる。ただし、退院日に在宅療養指導管理料を算定した保険医療機関以外の保険医療機関において在宅療養指導管理料を算定する場合においては、診療報酬明細書の摘要欄に当該算定理由を記載すること。このため、在宅療養指導管理料を算定する場合は、患者に対し当該月の入院の有無を確認すること。

7 在宅療養を実施する保険医療機関においては、緊急事態に対処できるよう施設の体制、患者の選定等に十分留意すること。特に、入院施設を有しない診療所が在宅療養指導管理料を算定するに当たっては、緊急時に必要かつ密接な連携を取り得る入院施設を有する他の保険医療機関において、緊急入院ができる病床が常に確保されていることが必要であること。

8 当該在宅療養を指示した根拠、指示事項(方法、注意点、緊急時の措置を含む。)、指導内容の要点を診療録に記載すること。

9 保険医療機関が在宅療養指導管理料を算定する場合には、当該指導管理に要するアルコール等の消毒薬、衛生材料(脱脂綿、ガーゼ、絆創膏等)、酸素、注射器、注射針、翼状針、カテーテル、膀胱洗浄用注射器、クレンメ等は、当該保険医療機関が提供すること。なお、当該医療材料の費用は、別に診療報酬上の加算等として評価されている場合を除き所定点数に含まれ、別に算定できない。

10 関連学会より留意事項が示されている在宅療養については、指示、管理に当たってはこれらの事項を十分参考とするものとする。(例:がん末期医療に関するケアのマニュアル(厚生省・日本医師会編))

C100 退院前在宅療養指導管理料

(1) 入院中の患者に対して外泊時に退院後の在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合には、外泊の初日1回に限り退院前在宅療養指導管理料を算定する。

(2) 退院前在宅療養指導管理料を算定した同一月に他の在宅療養指導管理料を算定することができるが、退院前在宅療養指導管理料を算定した日には他の在宅療養指導管理料及び在宅療養指導管理材料加算は算定できない。

(3) 入院料の取扱い上は外泊とならない1泊2日の場合であっても、退院前在宅療養指導管理料の算定要件を満たせば当該指導管理料を算定することができる。

(4) 退院前在宅療養指導管理料を算定できるのは、あくまでも退院した場合であり、病状の悪化等により退院できなかった場合には算定できない。また、外泊後、帰院することなく転院した場合には算定できない。

(5) 注2に規定する乳幼児加算は、6歳未満の乳幼児に対して退院前在宅療養指導管理料を算定する場合に加算する。

C101 在宅自己注射指導管理料

(1) 在宅における排卵誘発を目的とする性腺刺激ホルモン製剤を用いた治療については、在宅自己注射指導管理料は算定できない。ただし、性腺刺激ホルモン製剤に含まれるフォリトロピンベータ製剤(遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン製剤)を「視床下部―下垂体機能障害に伴う無排卵及び希発排卵における排卵誘発」の治療のために投与した場合、又はホリトロピンアルファ製剤(遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン製剤)を「視床下部―下垂体機能障害又は多嚢胞性卵巣症候群に伴う無排卵及び希発排卵における排卵誘発」の治療のために投与した場合に限っては、在宅自己注射指導管理料を算定できる。

(2) インターフェロンベータ製剤については、多発性硬化症に対して用いた場合に限り算定する。

(3) インターフェロンアルファ製剤については、C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善(血中HCV RNA量が高い場合を除く。)を目的として単独投与に用いた場合及びHBe抗原陽性でかつDNAポリメラーゼ陽性のB型慢性活動性肝炎のウイルス血症の改善を目的として単独投与に用いた場合に限り算定する。なお、ペグインターフェロンアルファ製剤については算定できない。

(4) エタネルセプト製剤については、関節リウマチ又は多関節に活動性を有する若年性突発性関節炎(いずれも既存治療で効果不十分な場合に限る。)に対して用いた場合に限り算定する。

(5) グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L―システイン塩酸塩配合剤については、慢性肝疾患における肝機能異常の改善に対して用い、在宅自己注射での静脈内投与について十分な経験を有する患者であって、医師により必要な指導を受けた場合に限り算定する。

(6) 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤については、再生不良性貧血及び先天性好中球減少症の患者に対して用いた場合に限り算定する。

(7) 在宅自己注射指導管理料を算定している患者の外来受診時に、当該在宅自己注射指導管理に係る区分番号「G000」皮内、皮下及び筋肉内注射を行った場合の費用及び当該注射に使用した当該患者が在宅自己注射を行うに当たり医師が投与を行っている特掲診療料の施設基準等別表第九に掲げる注射薬の費用は算定できない。

(8) 在宅自己注射指導管理料を算定している患者については、当該保険医療機関において区分番号「C001」在宅患者訪問診療料を算定する日に行った区分番号「G000」皮内、皮下及び筋肉内注射、区分番号「G001」静脈内注射及び区分番号「G004」点滴注射の費用(薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は算定できない。

C101―2 在宅小児低血糖症患者指導管理料

在宅小児低血糖症患者指導管理料は、12歳未満の小児低血糖症の患者であって、薬物療法、経管栄養法若しくは手術療法を現に行っているもの又はそれらの終了後6月以内のものに対して、患者及びその家族等に対して適切な療養指導を行った場合に算定する。

C102 在宅自己腹膜灌流指導管理料

(1) 「注1」の「頻回に指導管理を行う必要がある場合」とは、次のような患者について指導管理を行う場合をいう。

ア 在宅自己連続携行式腹膜灌流の導入期にあるもの

イ 糖尿病で血糖コントロールが困難であるもの

ウ 腹膜炎の疑い、トンネル感染及び出口感染のあるもの

エ 腹膜の透析効率及び除水効率が著しく低下しているもの

オ その他医師が特に必要と認めるもの

(2) 1か月に2回以上在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に必要と認めた理由を明記する。

(3) 在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)は週1回を限度として、区分番号「J038」人工腎臓又は区分番号「J042」腹膜灌流の1の連続携行式腹膜灌流のいずれか一方を算定できる。

C102―2 在宅血液透析指導管理料

(1) 在宅血液透析とは、維持血液透析を必要とし、かつ、安定した病状にあるものについて、在宅において実施する血液透析療法をいう。

(2) 導入時に頻回の指導を行う必要がある場合とは、当該患者が初めて在宅血液透析を行う場合であり、保険医療機関の変更によるものは含まれない。

(3) 「注1」の「頻回に指導管理を行う必要がある場合」とは、次のような患者について指導管理を行う場合をいう。

ア 在宅血液透析の導入期にあるもの

イ 合併症の管理が必要なもの

ウ その他医師が特に必要と認めるもの

(4) 在宅血液透析指導管理料を算定している患者は、週1回を限度として、区分番号「J038」人工腎臓を算定できる。

(5) 関係学会のガイドラインを参考に在宅血液透析に関する指導管理を行うこと。

C103 在宅酸素療法指導管理料

(1) チアノーゼ型先天性心疾患に対する在宅酸素療法とは、ファロー四徴症、大血管転位症、三尖弁閉鎖症、総動脈幹症、単心室症などのチアノーゼ型先天性心疾患患者のうち、発作的に低酸素又は無酸素状態になる患者について、発作時に在宅で行われる救命的な酸素吸入療法をいう。

この場合において使用される酸素は、小型酸素ボンベ(500リットル以下)又はクロレート・キャンドル型酸素発生器によって供給されるものとする。

(2) 保険医療機関が、チアノーゼ型先天性心疾患の患者について在宅酸素療法指導管理料を算定する場合には、これに使用する小型酸素ボンベ又はクロレート・キャンドル型酸素発生器は当該保険医療機関が患者に提供すること。なお、これに要する費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 「その他の場合」に該当する在宅酸素療法とは、諸種の原因による高度慢性呼吸不全例、肺高血圧症の患者又は慢性心不全の患者のうち、安定した病態にある退院患者及び手術待機の患者について、在宅で患者自らが酸素吸入を実施するものをいう。

(4) 「その他の場合」の対象となる患者は、高度慢性呼吸不全例のうち、在宅酸素療法導入時に動脈血酸素分圧55mmHg以下の者及び動脈血酸素分圧60mmHg以下で睡眠時又は運動負荷時に著しい低酸素血症を来す者であって、医師が在宅酸素療法を必要であると認めたもの及び慢性心不全患者のうち、医師の診断により、NYHAⅢ度以上であると認められ、睡眠時のチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数(1時間当たりの無呼吸数及び低呼吸数をいう。)が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上確認されている症例とする。この場合、適応患者の判定に経皮的動脈血酸素飽和度測定器による酸素飽和度を用いることができる。

ただし、経皮的動脈血酸素飽和度測定器、区分番号「D223」経皮的動脈血酸素飽和度測定及び区分番号「D223―2」終夜経皮的動脈血酸素飽和度測定の費用は所定点数に含まれており別に算定できない。

(5) 在宅酸素療法指導管理料の算定に当たっては、動脈血酸素分圧の測定を月1回程度実施し、その結果について診療報酬明細書に記載すること。この場合、適応患者の判定に経皮的動脈血酸素飽和度測定器による酸素飽和度を用いることができる。ただし、経皮的動脈血酸素飽和度測定器、経皮的動脈血酸素飽和度測定及び終夜経皮的動脈血酸素飽和度測定の費用は所定点数に含まれており別に算定できない。

(6) 在宅酸素療法を指示した医師は、在宅酸素療法のための酸素投与方法(使用機器、ガス流量、吸入時間等)、緊急時連絡方法等を装置に掲示すると同時に、夜間も含めた緊急時の対処法について、患者に説明を行うこと。

(7) 在宅酸素療法を実施する保険医療機関又は緊急時に入院するための施設は、次の機械及び器具を備えなければならない。

ア 酸素吸入設備

イ 気管内挿管又は気管切開の器具

ウ レスピレーター

エ 気道内分泌物吸引装置

オ 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態であるもの)

カ スパイロメトリー用装置(常時実施できる状態であるもの)

キ 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態であるもの)

(8) 在宅酸素療法指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「J024」酸素吸入、区分番号「J024―2」突発性難聴に対する酸素療法、区分番号「J025」酸素テント、区分番号「J026」間歇的陽圧吸入法、区分番号「J026―3」体外式陰圧人工呼吸器治療、区分番号「J018」喀痰吸引、区分番号「J018―3」干渉低周波去痰器による喀痰排出及び区分番号「J026―2」鼻マスク式補助換気法(これらに係る酸素代も含む。)の費用(薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は算定できない。

C104 在宅中心静脈栄養法指導管理料

(1) 在宅中心静脈栄養法とは、諸種の原因による腸管大量切除例又は腸管機能不全例等のうち、安定した病態にある患者について、在宅での療養を行っている患者自らが実施する栄養法をいう。

(2) 対象となる患者は、原因疾患の如何にかかわらず、中心静脈栄養以外に栄養維持が困難な者で、当該療法を行うことが必要であると医師が認めた者とする。

(3) 在宅中心静脈栄養法指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「G005」中心静脈注射の費用は算定できない。

(4) 在宅中心静脈栄養法指導管理料を算定している患者については、当該保険医療機関において区分番号「C001」在宅患者訪問診療料を算定する日に行った区分番号「G001」静脈内注射及び区分番号「G004」点滴注射の費用(薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は算定できない。

C105 在宅成分栄養経管栄養法指導管理料

(1) 在宅成分栄養経管栄養法とは、諸種の原因によって経口摂取ができない患者又は経口摂取が著しく困難な患者について、在宅での療養を行っている患者自らが実施する栄養法をいう。このうち在宅成分栄養経管栄養法指導管理料算定の対象となるのは、栄養素の成分の明らかなもの(アミノ酸、ジペプチド又はトリペプチドを主なタンパク源とし、未消化態タンパクを含まないもの。)を用いた場合のみであり、単なる流動食について鼻腔栄養を行ったもの等は該当しない。

(2) 対象となる患者は、原因疾患の如何にかかわらず、在宅成分栄養経管栄養法以外に栄養の維持が困難な者で、当該療法を行うことが必要であると医師が認めた者とする。

(3) 在宅成分栄養経管栄養法指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「J120」鼻腔栄養の費用は算定できない。

C106 在宅自己導尿指導管理料

(1) 在宅自己導尿とは、諸種の原因により自然排尿が困難な患者について、在宅での療養を行っている患者自らが実施する排尿法をいう。

(2) 対象となる患者は、下記の患者のうち、残尿を伴う排尿困難を有する者であって在宅自己導尿を行うことが必要と医師が認めた者とする。

ア 諸種の原因による神経因性膀胱

イ 下部尿路通過障害(前立腺肥大症、前立腺癌、膀胱頸部硬化症、尿道狭窄等)

ウ 腸管を利用した尿リザーバー造設術の術後

(3) 在宅自己導尿指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「J064」導尿(尿道拡張を要するもの)、区分番号「J060」膀胱洗浄、区分番号「J060―2」後部尿道洗浄(ウルツマン)及び区分番号「J063」留置カテーテル設置の費用(薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は算定できない。

C107 在宅人工呼吸指導管理料

(1) 在宅人工呼吸とは、長期にわたり持続的に人工呼吸に依存せざるを得ず、かつ、安定した病状にあるものについて、在宅において実施する人工呼吸療法をいう。

(2) 対象となる患者は、病状が安定し、在宅での人工呼吸療法を行うことが適当と医師が認めた者とする。なお、睡眠時無呼吸症候群の患者は対象とならない。

(3) 在宅人工呼吸療法を実施する保険医療機関又は緊急時に入院するための施設は、次の機械及び器具を備えなければならない。

ア 酸素吸入設備

イ 気管内挿管又は気管切開の器具

ウ レスピレーター

エ 気道内分泌物吸引装置

オ 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態であるもの)

カ 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態であるもの)

(4) 人工呼吸装置は患者に貸与し、装置に必要な回路部品その他の附属品等に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) 在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「J024」酸素吸入、区分番号「J024―2」突発性難聴に対する酸素療法、区分番号「J025」酸素テント、区分番号「J026」間歇的陽圧吸入法、区分番号「J026―3」体外式陰圧人工呼吸器治療、区分番号「J018」喀痰吸引、区分番号「J018―3」干渉低周波去痰器による喀痰排出、区分番号「J026―2」鼻マスク式補助換気法及び区分番号「J045」人工呼吸の費用(これらに係る酸素代を除き、薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は算定できない。

C107―2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料

(1) 在宅持続陽圧呼吸療法とは、睡眠時無呼吸症候群である患者について、在宅において実施する呼吸療法をいう。

(2) 対象となる患者は、以下の全ての基準に該当する患者とする。ただし、無呼吸低呼吸指数が40以上である患者については、イの要件を満たせば対象患者となる。

ア 無呼吸低呼吸指数(1時間当たりの無呼吸数及び低呼吸数をいう)が20以上

イ 日中の傾眠、起床時の頭痛などの自覚症状が強く、日常生活に支障を来している症例

ウ 睡眠ポリグラフィー上、頻回の睡眠時無呼吸が原因で、睡眠の分断化、深睡眠が著しく減少又は欠如し、持続陽圧呼吸療法により睡眠ポリグラフィー上、睡眠の分断が消失、深睡眠が出現し、睡眠段階が正常化する症例

(3) 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料については、当該治療の開始後1、2か月間の治療状況を評価し、当該療法の継続が可能であると認められる症例についてのみ、引き続き算定の対象とする。

(4) 保険医療機関が在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料を算定する場合には、持続陽圧呼吸療法装置は当該保険医療機関が患者に貸与する。なお、当該装置に係る費用(装置に必要な回路部品その他の附属品等に係る費用を含む。)については所定点数に含まれ、別に算定できない。

C108 在宅悪性腫瘍患者指導管理料

(1) 「在宅における悪性腫瘍の鎮痛療法又は化学療法」とは、末期の悪性腫瘍の患者であって、持続性の疼痛があり鎮痛剤の経口投与では疼痛が改善しないため注射による鎮痛剤注入が必要なもの又は注射による抗悪性腫瘍剤の注入が必要なものが、在宅において自ら実施する鎮痛療法又は化学療法をいう。

(2) (1)の鎮痛療法とは、ブプレノルフィン製剤、ブトルファノール製剤、塩酸モルヒネ製剤、クエン酸フェンタニル製剤、複方オキシコドン製剤又はフルルビプロフェンアキセチル製剤を注射又は携帯型ディスポーザブル注入ポンプ若しくは輸液ポンプを用いて注入する療法をいう。なお、塩酸モルヒネ製剤、クエン酸フェンタニル製剤又は複方オキシコドン製剤を使用できるのは、以下の条件を満たすバルーン式ディスポーザブルタイプの連続注入器等に必要に応じて生理食塩水等で希釈の上充填して交付した場合に限る。

ア 薬液が取り出せない構造であること

イ 患者等が注入速度を変えることができないものであること

また、(1)の化学療法とは、携帯型ディスポーザブル注入ポンプ若しくは輸液ポンプを用いて中心静脈注射若しくは埋込型カテーテルアクセスにより抗悪性腫瘍剤を注入する療法又はインターフェロンアルファ製剤を多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病又は腎癌の患者に注射する療法をいう。

(3) 対象となる悪性腫瘍の患者が末期であるかどうかは在宅での療養を行っている患者の診療を担う保険医の判断によるものとする。なお、化学療法の適応については、末期でない悪性腫瘍の患者も末期の悪性腫瘍の患者に準じて取り扱う。

(4) 外来と在宅において化学療法を行うものについては、主に在宅において化学療法を行う場合は在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定し、主に外来で行う場合には在宅悪性腫瘍患者指導管理料は算定せず、注射手技料及び基準を満たす場合には外来化学療法加算等を算定する。なお、外来で抗悪性腫瘍剤の注射を行い、注入ポンプなどを用いてその後も連続して自宅で抗悪性腫瘍剤の注入を行う等の治療法のみを行う場合は当該指導管理料の対象には該当しない。

(5) 在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定する月は、区分番号「G003」抗悪性腫瘍剤局所持続注入の費用は算定できない。ただし、抗悪性腫瘍剤局所持続注入に用いる薬剤に係る費用は算定できる。

(6) 在宅悪性腫瘍指導管理料を算定する月は第6部通則6に規定する外来化学療法加算は算定できない。

(7) 在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者の外来受診時に、当該在宅悪性腫瘍患者指導管理料に係る区分番号「G000」皮内、皮下及び筋肉内注射、区分番号「G001」静脈内注射、区分番号「G004」点滴注射及び区分番号「G005」中心静脈注射を行った場合の手技料、注射薬(在宅で使用していない抗悪性腫瘍剤も含む。)及び特定保険医療材料の費用は算定できない。ただし、当該在宅悪性腫瘍患者指導管理料に係らない区分番号「G000」皮内、皮下及び筋肉内注射、区分番号「G001」静脈内注射、区分番号「G004」点滴注射及び区分番号「G005」中心静脈注射を行った場合の手技料、注射薬及び特定保険医療材料の費用は算定できる。

(8) 在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者については、当該保険医療機関において区分番号「C001」在宅患者訪問診療料を算定する日に行った区分番号「G000」皮内、皮下及び筋肉内注射、区分番号「G001」静脈内注射、区分番号「G004」点滴注射及び区分番号「G005」中心静脈注射の手技料、注射薬及び特定保険医療材料の費用は算定できない。

C109 在宅寝たきり患者処置指導管理料

(1) 在宅における創傷処置等の処置とは、家庭において療養を行っている患者であって、現に寝たきりの状態にあるもの又はこれに準ずる状態にあるものが、在宅において自ら又はその家族等患者の看護に当たる者が実施する創傷処置(気管内ディスポーザブルカテーテル交換を含む。)、皮膚科軟膏処置、留置カテーテル設置、膀胱洗浄、導尿(尿道拡張を要するもの)、鼻腔栄養、ストーマ処置、喀痰吸引、介達牽引又は消炎鎮痛等処置をいう。

(2) これに準ずる者とは、「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)の別紙の第3に掲げる疾患に罹患しているものとして、常時介護を要する状態にあるものを含むものである。

(3) 在宅寝たきり患者処置指導管理料は、原則として、当該医師が患家に訪問して指導管理を行った場合に算定する。ただし、寝たきりの状態にあるもの又はこれに準ずる状態にあるものが、家族等に付き添われて来院した場合については、例外的に算定することができる。

(4) 在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「J000」創傷処置、区分番号「J001―7」爪甲除去(麻酔を要しないもの)、区分番号「J001―8」穿刺排膿後薬液注入、区分番号「J053」皮膚科軟膏処置、区分番号「J063」留置カテーテル設置、区分番号「J060」膀胱洗浄、区分番号「J060―2」後部尿道洗浄(ウルツマン)、区分番号「J064」導尿(尿道拡張を要するもの)、区分番号「J120」鼻腔栄養、区分番号「J043―3」ストーマ処置、区分番号「J018」喀痰吸引、区分番号「J018―3」干渉低周波去痰器による喀痰排出、区分番号「J118」介達牽引、区分番号「J118―2」矯正固定、区分番号「J118―3」変形機械矯正術、区分番号「J119」消炎鎮痛等処置、区分番号「J119―2」腰部又は胸部固定帯固定、区分番号「J119―3」低出力レーザー照射及び区分番号「J119―4」肛門処置の費用(薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は算定できない。

C110 在宅自己疼痛管理指導管理料

(1) 在宅自己疼痛管理指導管理料は、疼痛除去のために埋込型脳・脊髄電気刺激装置を埋め込んだ後に、在宅において、患者自らが送信器を用いて疼痛管理を実施する場合に算定する。

(2) 対象となる患者は難治性慢性疼痛を有するもののうち、埋込型脳・脊髄電気刺激装置を埋め込み、疼痛管理を行っている患者のうち、在宅自己疼痛管理を行うことが必要と医師が認めたものである。

C111 在宅肺高血圧症患者指導管理料

「プロスタグランジンⅠ2製剤の投与等に関する指導管理等」とは、在宅において、肺高血圧症患者自らが携帯型精密輸液ポンプを用いてプロスタグランジンⅠ2製剤を投与する場合に、医師が患者又は患者の看護に当たる者に対して、当該療法の方法、注意点及び緊急時の措置等に関する指導を行い、当該患者の医学管理を行うことをいう。

C112 在宅気管切開患者指導管理料

(1) 「在宅における気管切開に関する指導管理」とは、諸種の原因により気管切開を行った患者のうち、安定した病態にある退院患者について、在宅において実施する気管切開に関する医学管理のことをいう。

(2) 在宅気管切開患者指導管理を実施する保険医療機関又は緊急時に入院するための施設は、次の機械及び器具を備えなければならない。

ア 酸素吸入設備

イ レスピレーター

ウ 気道内分泌物吸引装置

エ 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態であるもの)

オ 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態であるもの)

(3) 在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「J000」創傷処置(気管内ディスポーザブルカテーテル交換を含む。)、区分番号「J001―7」爪甲除去(麻酔を要しないもの)、区分番号「J001―8」穿刺排膿後薬液注入、区分番号「J018」喀痰吸引及び区分番号「J018―3」干渉低周波去痰器による喀痰排出の費用は算定できない。

C114 在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料

(1) 在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料は、表皮水疱症患者であって、難治性の皮膚病変に対する特殊な処置が必要なものに対して、水疱、びらん又は潰瘍等の皮膚の状態に応じた薬剤の選択及び被覆材の選択等について療養上の指導を行った場合に、月1回に限り算定する。

(2) 特定保険医療材料以外のガーゼ等の衛生材料は当該指導管理料に含まれる。

(3) 当該指導管理料を算定している患者に対して行う処置の費用(薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は別に算定できる。

第2款 在宅療養指導管理材料加算

1 在宅療養指導管理材料加算は、要件を満たせば、第1款在宅療養指導管理料を算定するか否かにかかわらず、別に算定できる。

2 同一の保険医療機関において、2以上の指導管理を行っている場合は、主たる指導管理の所定点数を算定する。この場合にあって、在宅療養指導管理材料加算及び当該2以上の指導管理に使用した薬剤、特定保険医療材料の費用は、それぞれ算定できる。

3 在宅療養指導管理材料加算は、例えば「酸素ボンベを使用した場合」とは当該保険医療機関の酸素ボンベを在宅で使用させた場合をいう等、保険医療機関が提供すること及び在宅における状態であることを前提にしているものであること。

なお、保険医療機関が所有する装置(酸素濃縮装置等)を患者に貸与する場合、保険医療機関は、当該装置の保守・管理を十分に行うこと。また、これらの装置の保守・管理を販売業者に委託する場合には、保険医療機関は、当該販売業者との間で、これらの装置の保守・管理に関する契約を締結し、保守・管理の内容を患者に説明すること。

4 「2」の「保険医療材料の使用を算定要件とするもの」とは、区分番号「C160」在宅中心静脈栄養法用輸液セット加算等をいう。

C150 血糖自己測定器加算

(1) 血糖自己測定器加算は、インスリン製剤又はヒトソマトメジンC製剤の在宅自己注射を毎日行っている患者のうち血糖値の変動が大きい者又は12歳未満の小児低血糖症患者に対して、医師が、血糖のコントロールを目的として当該患者に血糖試験紙(テスト・テープ)又は固定化酵素電極(バイオセンサー)を給付し、在宅で血糖の自己測定をさせ、その記録に基づき指導を行った場合に、区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料又は区分番号「C101―2」在宅小児低血糖症患者指導管理料に加算するものである。

なお、血糖試験紙、固定化酵素電極、穿刺器、穿刺針及び測定機器を患者に給付又は貸与した場合における費用その他血糖自己測定に係る全ての費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 入院中の患者に対して、退院時に区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料又は区分番号「C101―2」在宅小児低血糖症患者指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日1回に限り、在宅自己注射指導管理料又は在宅小児低血糖症患者指導管理料の所定点数及び血糖自己測定器加算の点数を算定できる。この場合において、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅自己注射指導管理料又は在宅小児低血糖症患者指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合であっても、指導管理の所定点数及び血糖自己測定器加算は算定できない。

(3) 当該加算は、1月に2回又は3回算定することもできるが、このような算定ができる患者は、区分番号「C101」に掲げる在宅自己注射指導管理料を算定している患者のうちインスリン製剤を2月分又は3月分以上処方している患者又は区分番号「C101―2」に掲げる在宅小児低血糖症患者指導管理料を算定している患者に限るものである。

C151 注入器加算

(1) 「注入器」とは、自己注射適応患者(性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤の自己注射を除く。)に対するディスポーザブル注射器(注射針一体型に限る。)、自動注入ポンプ、携帯用注入器又は針無圧力注射器のことをいい、加算の算定はこれらを処方した月に限って可能であり、単に注入器の使用を行っているのみでは算定できない。注入器加算は、針付一体型の製剤を処方した場合には算定できない。

(2) 入院中の患者に対して、退院時に区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日1回に限り、在宅自己注射指導管理料の所定点数及び注入器加算の点数を算定できる。この場合において、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合であっても、指導管理の所定点数及び注入器加算は算定できない。

C152 間歇注入シリンジポンプ加算

(1) 「間歇注入シリンジポンプ」とは、インスリン又は性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤を間歇的かつ自動的に注入するシリンジポンプをいう。

(2) 入院中の患者に対して、退院時に区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日1回に限り、在宅自己注射指導管理料の所定点数及び間歇注入シリンジポンプ加算の点数を算定できる。この場合において、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合であっても、指導管理の所定点数及び間歇注入シリンジポンプ加算は算定できない。

C153 注入器用注射針加算

(1) 区分番号「C151」注入器加算に規定する「注入器」を処方せず、注射針一体型でないディスポーザブル注射器を処方した場合は、注入器用注射針加算のみ算定する。

(2) 注入器用注射針加算は、注入器用注射針を処方した場合に算定できる。この場合において、「1」の加算は、以下の場合に算定できるものであり、算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に算定理由を記載すること。

ア 糖尿病等で1日概ね4回以上自己注射が必要な場合

イ 血友病で自己注射が必要な場合

(3) 注入器用注射針加算は、針付一体型の製剤又は針無圧力注射器を処方した場合には算定できない。

(4) 入院中の患者に対して、退院時に区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日1回に限り、在宅自己注射指導管理料の所定点数及び注入器用注射針加算の点数を算定できる。この場合において、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合であっても、指導管理の所定点数及び注入器用注射針加算は算定できない。

C154 紫外線殺菌器加算

在宅自己連続携行式腹膜灌流液交換用熱殺菌器を使用した場合には、紫外線殺菌器加算の点数を算定する。

C156 透析液供給装置加算

透析液供給装置は患者1人に対して1台を貸与し、透析液供給装置加算には、逆浸透を用いた水処理装置・前処理のためのフィルターの費用を含む。

C157 酸素ボンベ加算

(1) チアノーゼ型先天性心疾患の患者に対して指導管理を行った場合は、酸素ボンベ加算は別に算定できない。

(2) 「1」の加算は、医療機関への通院等に実際に携帯用小型ボンベを使用した場合に、月1回に限り算定できる。なお、用いられるボンベのうち概ね1,500リットル以下の詰め替え可能なものについて算定の対象とし、使い捨てのものについては算定の対象としない。

(3) 同一月内に同一患者に対して酸素ボンベ(携帯用酸素ボンベを除く。)、酸素濃縮装置及び設置型液化酸素装置を併用して在宅酸素療法を行った場合又は携帯用酸素ボンベ及び携帯型液化酸素装置を併用して在宅酸素療法を行った場合は、それぞれ主たる装置に係る加算のみを算定できる。

C158 酸素濃縮装置加算

(1) チアノーゼ型先天性心疾患の患者に対して指導管理を行った場合は、酸素濃縮装置加算は別に算定できない。

(2) 同一月内に同一患者に対して酸素ボンベ(携帯用酸素ボンベを除く。)、酸素濃縮装置及び設置型液化酸素装置を併用して在宅酸素療法を行った場合又は携帯用酸素ボンベ及び携帯型液化酸素装置を併用して在宅酸素療法を行った場合は、それぞれ主たる装置に係る加算のみを算定できる。

C159 液化酸素装置加算

(1) チアノーゼ型先天性心疾患の患者に対して指導管理を行った場合は、液化酸素装置加算は別に算定できない。

(2) 液化酸素装置加算を算定する場合、設置型液化酸素装置から携帯型液化酸素装置へ液化酸素の移充填を行う場合の方法、注意点、緊急時の措置等に関する患者への指導が必要である。この場合、「設置型液化酸素装置」とは、20~50リットルの内容積の設置型液化酸素装置のことをいい、「携帯型液化酸素装置」とは、1リットル前後の内容積の携帯型液化酸素装置のことをいう。なお、使用した酸素の費用及び流量計、加湿器、チューブ等の費用は加算点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 設置型液化酸素装置に係る加算と携帯型液化酸素装置に係る加算とは併せて算定できるが、それぞれ月1回に限り算定する。

(4) 同一月内に同一患者に対して酸素ボンベ(携帯用酸素ボンベを除く。)、酸素濃縮装置及び設置型液化酸素装置を併用して在宅酸素療法を行った場合又は携帯用酸素ボンベ及び携帯型液化酸素装置を併用して在宅酸素療法を行った場合は、それぞれ主たる装置に係る加算のみを算定できる。

C159―2 呼吸同調式デマンドバルブ加算

呼吸同調式デマンドバルブ加算は、呼吸同調式デマンドバルブを携帯用酸素供給装置と鼻カニューレとの間に装着して使用した場合に算定できる。

C160 在宅中心静脈栄養法用輸液セット加算

「輸液セット」とは、在宅で中心静脈栄養法を行うに当たって用いる輸液用器具(輸液バッグ)、注射器及び採血用輸血用器具(輸液ライン)をいう。

C161 注入ポンプ加算

「注入ポンプ」とは、在宅で中心静脈栄養法又は成分栄養経管栄養法若しくは悪性腫瘍の鎮痛療法又は化学療法を行うに当たって用いる注入ポンプをいう。

C162 在宅成分栄養経管栄養法用栄養管セット加算

在宅成分栄養経管栄養法用栄養管セット加算と区分「C161」注入ポンプ加算とは、併せて算定することができるが、それぞれ月1回に限り算定する。

C166 携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算

外来で抗悪性腫瘍剤の注射を行い、携帯型ディスポーザブル注入ポンプなどを用いてその後も連続して自宅で抗悪性腫瘍剤の注入を行う場合においては、本加算を算定できない。

C168 携帯型精密輸液ポンプ加算

携帯型精密輸液ポンプ加算には、カセット、延長チューブその他携帯型精密輸液ポンプに必要な全ての機器等の費用が含まれ、別に算定できない。

C170 排痰補助装置加算

(1) 排痰補助装置加算は、在宅人工呼吸を行っている患者であって、換気能力が低下し、自力での排痰が困難と医師が認めるものに対して、排痰補助装置を使用した場合に算定できる。

(2) 注に規定する神経筋疾患の患者とは、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症等に罹患している患者をさす。

第3節 薬剤料

C200 薬剤

(1) 次の厚生労働大臣の定める注射薬に限り投与することができる。

【厚生労働大臣の定める注射薬】

インスリン製剤、ヒト成長ホルモン剤、遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤、活性化プロトロンビン複合体、乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤、性腺刺激ホルモン製剤、ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体、ソマトスタチンアナログ、顆粒球コロニー形成刺激因子製剤、自己連続携行式腹膜灌流用灌流液、在宅中心静脈栄養法用輸液、インターフェロンアルファ製剤、インターフェロンベータ製剤、ブトルファノール製剤、ブプレノルフィン製剤、塩酸モルヒネ製剤、抗悪性腫瘍剤、グルカゴン製剤、ヒトソマトメジンC製剤、人工腎臓用透析液、血液凝固阻止剤、生理食塩液、プロスタグランジンⅠ2製剤、エタネルセプト製剤、注射用水、ペグビソマント製剤、スマトリプタン製剤、クエン酸フェンタニル製剤、複方オキシコドン製剤、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム製剤、リン酸デキサメタゾンナトリウム製剤、メタスルホ安息香酸デキサメタゾンナトリウム製剤、プロトンポンプ阻害剤、H2遮断剤、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム製剤、トラネキサム酸製剤、フルルビプロフェンアキセチル製剤、メトクロプラミド製剤、プロクロルペラジン製剤、臭化ブチルスコポラミン製剤、グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L―システイン塩酸塩配合剤、アダリムマブ製剤、エリスロポエチン、ダルベポエチン及びテリパラチド製剤

(2) 上記の注射薬の投与日数は、以下のとおりである。

ア 投与日数に制限のないもの

イ及びウに該当しない注射薬

イ 14日分を限度に投与することができるもの

(イ) 新医薬品(薬事法第14条の4第1項第一号に規定する新医薬品をいう。)であって、使用薬剤の薬価(薬価基準)への収載の日の属する月の翌月の初日から起算して1年を経過していない注射薬

(ロ) クエン酸フェンタニル製剤及び複方オキシコドン製剤

ウ 30日分を限度に投与することができるもの

ブプレノルフィン製剤、塩酸モルヒネ製剤

(3) 厚生労働大臣の定める注射薬のうち、「在宅中心静脈栄養法用輸液」とは、高カロリー輸液をいう。なお、高カロリー輸液を投与する場合には、これ以外にビタミン剤、高カロリー輸液用微量元素製剤及び血液凝固阻止剤を投与することができる。

第3部 検査

<通則>

1 検査の費用には、検査を行う医師、看護師及び技術者等の人件費、試薬、デッキグラス、試験管等の材料費、機器の減価償却費、管理費及び患者の衣類等の費用は含まれる。なお、患者に施用する薬剤及び特定保険医療材料の費用は検査料とは別に算定する。

2 検査に当たって施用した薬剤の費用は別に算定できるが、第2章第5部投薬の部に掲げる処方料、調剤料、処方せん料及び調剤技術基本料並びに同第6部注射の部に掲げる注射料は、別に算定できない。なお、検査に当たって施用される薬剤(検査用試薬を含む。)は、原則として医薬品として承認されたものであることを要する。

3 撮影した画像を電子媒体に保存した場合、保存に要した電子媒体の費用は検査にかかる所定点数に含まれる。

4 第1節及び第3節に掲げられていない検査で簡単な検査は、基本診療料に含まれるので、別に算定することはできない。なお、基本診療料に含まれる検査の主なものは、次のとおりである。

(1) 血圧測定

(2) 視野眼底検査のうち簡単なもの

(3) 眼科検査のうち斜照法、徹照法、細隙燈検査(ルーペ式)、機器を使用しない眼圧測定検査

(4) 区分番号「D244」自覚的聴力検査の「3」の簡易聴力検査に該当しない簡単な聴力検査

(5) 精液pH測定

(6) デビス癌反応検査

(7) 鼓膜運動検査

(8) イクテロメーター黄疸反応検査

(9) 簡易循環機能検査

ア スラッジテスト

イ 指尖部皮膚毛細血管像検査

ウ 皮膚粘膜撮影検査

エ 寒冷血圧検査

オ ビッケンバッハ起立試験

カ ヒスタミンテスト

キ レジチンテスト

ク 末梢の静脈圧測定

ケ ビュルゲル病及び脱疽等の場合における電気的皮膚温度測定

a 単純な場合

b 負荷を行った場合

コ ギボン―ランディステスト

サ 基礎代謝率簡易測定法

注 簡易循環機能検査とは、生体に対して物理的又は化学的負荷をかけ、血圧、脈拍等の理学所見の観察を行うことにより循環機能を検査することを目的とする検査であり、負荷の種類としては起立、寒冷、運動及び薬物等がある。

(10) 自律神経機能検査

(11) アルコール中毒に対する飲酒試験における症状監視

(12) 皮膚のインピーダンス検査(皮電図記録作成)

(13) 6誘導未満の心電図検査

(14) 尿中ブロムワレリル尿素検出検査

(15) 尿脚気反応(沢田氏反応)

(16) シュミット氏昇汞試験

(17) 糞便のストール氏虫卵数計算法

(18) 髄膜透過性検査

(19) 横田氏反応

(20) ユーグロブリン全プラスミン測定法(ユーグロブリン分屑SK活性化プラスミン値測定)

(21) 緒方法等の補体結合反応による梅毒脂質抗原使用検査

(22) 卵白アルブミン感作血球凝集反応検査

(23) ラクトアルブミン感作血球凝集反応検査

(24) Miller Kurzrok検査

(25) Schick反応

(26) Dick反応

(27) Frei反応

(28) 光田反応

(29) 松原反応

(30) 伊藤反応

(31) トキソプラズマ症、ジストマ症及び猩紅熱の皮内テスト

(32) 膨疹吸収時間測定

(33) ジアゾ反応

(34) インジカン

(35) 血液比重測定

(36) 末梢血液像及び骨髄像における特殊染色のBRACHET試験

(37) 赤血球抵抗試験のリビエール法

(38) ナイアシンテスト

(39) RPHA法によるα―フェトプロテイン(AFP)

(40) リウマチ因子スクリーニング

(41) α1―酸性糖蛋白測定

(42) β―リポ蛋白

(43) モノアミンオキシダーゼ(MAO)

(44) ヴィダール反応

(45) ヒト絨毛性ゴナドトロピンβ(HCGβ)分画定性

(46) 凝集法及び免疫染色法による抗DNA抗体

5 第1節及び第3節に掲げる検査料の項に掲げられていない検査のうち簡単な検査の検査料は算定できないが、特殊な検査については、その都度当局に内議し、最も近似する検査として通知されたものの算定方法及び注(特に定めるものを除く。)を準用して、準用された検査に係る判断料と併せて算定する。

6 点数表において2つの項目を「及び」で結んで規定している検査については、特に定めるものを除き、当該両項目の検査を併せて行った場合にのみ算定する。

7 検査に当たって、麻酔を行った場合は、第2章第11部麻酔に規定する所定点数を別に算定する。ただし、麻酔手技料を別に算定できない麻酔を行った場合の薬剤料は、第5節薬剤料の規定に基づき算定できる。

8 同一検体について、定性検査と定量検査とを併せて行った場合又はスクリーニング検査とその他の検査とを一連として行った場合は、それぞれ主たる検査の所定点数のみ算定する。ただし、併せて行う検査の区分が異なる場合は、それぞれについて算定する。

9 「分画」と記されている検査について、同一検体の各分画に対して定量検査を行った場合は、所定点数を1回のみ算定する。

10 定性又は定量の明示がない検査については、定量検査を行った場合にのみ当該検査の所定点数を算定する。

11 測定方法又は検査方法が明示されていない検査については、測定又は検査の方法の如何にかかわらず、その検査料の項に掲げる所定点数を算定する。

12 同時又は一連として行った2以上の検査の結果から計算して求めた内容が、検査料に掲げられた項目に該当する場合であっても、当該内容についての点数は算定できない。

13 2回目以降について所定点数の100分の90に相当する点数により算定することとされている場合において「所定点数」とは、当該項目に掲げられている点数及び当該注に掲げられている加算点数を合算した点数である。

14 同一項目について検査方法を変えて測定した場合には、測定回数にかかわらず、主たる測定方法の所定点数のみを算定する。

15 算定回数が複数月に1回又は年1回のみとされている検査を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に前回の実施日(初回の場合は初回である旨)を記載する。

16 第3部検査の部において用いられる検査法の略号については下記のとおりである。

PHA:Passive hemagglutination 受身赤血球凝集反応

RPHA:Reversed passive hemagglutination 逆受身赤血球凝集反応

LA:Latex agglutination ラテックス凝集法

(LPIA:Latex photometric immuno assay)

PCIA:Particle counting immuno assay 微粒子計数免疫凝集測定法

PAMIA:Particle mediated immuno assay 粒度分布解析ラテックス免疫測定法

IAHA:Immuno adherence hemagglutination 免疫粘着赤血球凝集反応

RIA:Radio immuno assay 放射性免疫測定法

RIST:Radio immuno sorbent test

RAST:Radio allergo sorbent test

RA:Radioassay ラジオアッセイ

RRA:Radioreceptorassay ラジオレセプターアッセイ

CPBA:Competitive protein binding analysis 競合性蛋白結合分析法

EIA:Enzyme immuno assay 酵素免疫測定法

(ELISA:Enzyme linked immuno sorbent assay)

FA:Fluorescent antibody method 蛍光抗体法

FPA:Fluorescence polarization assay 蛍光偏光測定法

FPIA:Fluorescence polarization immuno assay 蛍光偏光免疫測定法

TR―FIA:Time resolved fluoro immuno assay 時間分解蛍光免疫測定法

IRMA:Immuno radiometric assay 免疫放射定量法

SRID:Single radial immuno diffusion method 一元放射状免疫拡散法

ES:Electrosyneresis method 向流電気泳動法

TIA:Turbidimetric immuno assay 免疫比濁法

HPLC:High performance liquid chromatography 高性能液体クロマトグラフィー

GLC:Gas-liquid chromatography 気液クロマトグラフィー

GC:Gas chromatography ガスクロマトグラフィー

CLIA:Chemiluminescent immuno assay 化学発光免疫測定法

ECLIA:Electrochemiluminescence immuno assay 電気化学発光免疫測定法

SIA:Split immuno assay

PCR:Polymerase chain reaction

EV―FIA:Evanescent wave fluoro immuno assay エバネセント波蛍光免疫測定法

FIA:Fluoro immuno assay 蛍光免疫測定法

IFA:Indirect fluorescent antibody method 間接蛍光抗体法

LBA:Liquid-phase binding assay

FISH:Fluorescence in situ hybridization

LAMP:Loop-mediated isothermal amplification

TMA:Transcription-mediated amplification

SDA:Strand displacement amplification

SSCP:Single strand conformation polymorphism

RFLP:Restriction fragment length polymorphism

LCR:Ligase chain reaction

HDRA:Histoculture drug response assay

CD―DST:Collagen gel droplet embedded culture drug sensitivity test

注 LA(測定機器を用いるもの)とは、抗原抗体反応によりラテックス粒子が形成する凝集塊を光学的な分析機器を用いて定量的に測定する方法をいう。

第1節 検体検査料

第1款 検体検査実施料

時間外緊急院内検査加算

(1) 時間外緊急院内検査加算については、保険医療機関において、当該保険医療機関が表示する診療時間以外の時間、休日又は深夜に入院中の患者以外の患者に対して診療を行った際、医師が緊急に検体検査の必要性を認め、当該保険医療機関において、当該保険医療機関の従事者が当該保険医療機関内に具備されている検査機器等を用いて当該検体検査を実施した場合に限り算定できる。

なお、当該加算の算定に当たっては、当該加算の対象たる検査の開始時間をもって算定する。

(2) 同一患者に対して、同一日に2回以上、時間外、休日又は深夜の診療を行い、その都度緊急の検体検査を行った場合(複数の区分にまたがる場合を含む。)も、1日につき1回のみ算定する。

(3) 現に入院中の患者については算定できない。ただし、時間外、休日又は深夜に外来を受診した患者に対し、検体検査の結果、入院の必要性を認めて、引き続き入院となった場合は、この限りではない。

(4) 緊急の場合とは、直ちに何らかの処置・手術等が必要である重篤な患者について、通常の診察のみでは的確な診断が困難であり、かつ、通常の検査体制が整うまで検査の実施を見合わせることができないような場合をいう。

外来迅速検体検査加算

(1) 外来迅速検体検査加算については、当日当該保険医療機関で行われた検体検査について、当日中に結果を説明した上で文書により情報を提供し、結果に基づく診療が行われた場合に、5項目を限度として、検体検査実施料の各項目の所定点数にそれぞれ10点を加算する。

(2) 以下の多項目包括規定に掲げる点数を算定する場合には、その規定にかかわらず、実施した検査項目数に相当する点数を加算する。

区分番号「D006」出血・凝固検査の注の場合

区分番号「D007」血液化学検査の注の場合

区分番号「D008」内分泌学的検査の注の場合

区分番号「D009」腫瘍マーカーの注2の場合

例 患者から1回に採取した血液等を用いて区分番号「D009」腫瘍マーカーの「2」の癌胎児性抗原(CEA)と「5」のCA19―9を行った場合、検体検査実施料の請求は区分番号「D009」腫瘍マーカーの「注2」の「イ」2項目となるが、外来迅速検体検査加算は、行った検査項目数が2項目であることから、20点を加算する。

(3) 同一患者に対して、同一日に2回以上、その都度迅速に検体検査を行った場合も、1日につき5項目を限度に算定する。

(4) 区分番号「A002」外来診療料に含まれる検体検査とそれ以外の検体検査の双方について加算する場合も、併せて5項目を限度とする。

(5) 現に入院中の患者については算定できない。ただし、外来を受診した患者に対し、迅速に実施した検体検査の結果、入院の必要性を認めて、引き続き入院となった場合は、この限りではない。

D000 尿中一般物質定性半定量検査

(1) 検体検査を行った場合は所定の判断料を算定できるものであるが、尿中一般物質定性半定量検査を実施した場合は、当該検査に係る判断料は算定できない。

(2) 尿中一般物質定性半定量検査

ア 尿中一般物質定性半定量検査とは、試験紙、アンプル若しくは錠剤を用いて検査する場合又は試験紙等を比色計等の機器を用いて判定する場合をいい、検査項目、方法にかかわらず、1回につき所定点数により算定する。

イ 尿中一般物質定性半定量検査に含まれる定性半定量の検査項目は、次のとおりである。

(イ) 比重

(ロ) pH

(ハ) 蛋白

(ニ) 糖

(ホ) ウロビリノゲン

(ヘ) ウロビリン

(ト) ビリルビン

(チ) アセトン体(ケトン体)

(リ) 潜血

(ヌ) 試験紙法による尿細菌検査

(ル) 食塩検査

(ヲ) 試験紙法による白血球検査

(ワ) アルブミン

(3) 尿中一般物質定性半定量検査は当該検査の対象患者の診療を行っている保険医療機関内で実施した場合にのみ算定できるものであり、委託契約等に基づき当該保険医療機関外で実施された検査の結果報告を受けるのみの場合は算定できない。ただし、委託契約等に基づき当該保険医療機関内で実施された検査について、その結果が当該保険医療機関に対して速やかに報告されるような場合は、所定点数を算定できる。

D001 尿中特殊物質定性定量検査

(1) 「5」の先天性代謝異常症の尿スクリーニングテストとは、次に掲げる物質の定性半定量検査及び反応検査をいう。

ア 塩化第2鉄反応(フェニールケトン体及びアルカプトン体の検出を含む。)

イ 酸性ムコ多糖類

ウ システイン、シスチン等のSH化合物

エ ヒスチジン

オ メチルマロン酸

カ ミロン反応

キ イサチン反応

ク ベネディクト反応

(2) 「6」の尿中ポルフィリン症スクリーニングテストとして、Watson-Schwartz反応、Rimington反応又はDeanand Barnes反応を行った場合は、それぞれ所定点数を算定する。

(3) 「10」の尿中マイクロトランスフェリン、尿中マイクロアルブミン及び「14」の尿中Ⅳ型コラーゲンは、糖尿病又は糖尿病性早期腎症患者であって微量アルブミン尿を疑うもの(糖尿病性腎症第1期又は第2期のものに限る。)に対して行った場合に、3か月に1回に限り算定できる。なお、これらを同時に行った場合は、主たるもののみ算定する。

(4) 「11」の尿中ミオイノシトールは、空腹時血糖が110mg/dL以上126mg/dL未満の患者に対し、耐糖能診断の補助として、尿中ミオイノシトールを測定した場合に1年に1回に限り算定できる。ただし、既に糖尿病と診断されている場合は、算定できない。

(5) 同一日に尿、穿刺液・採取液及び血液を検体として生化学的検査(Ⅰ)又は生化学的検査(Ⅱ)に掲げる検査項目につきそれぞれを実施した場合の、多項目包括規定の適用については、尿、穿刺液・採取液及び血液のそれぞれについて算出した項目数により所定点数を算定するのではなく、血液、尿、穿刺液・採取液それぞれに係る項目数を合算した項目数により、所定点数を算定する。ただし、同一日に行う2回目以降の血液採取による検体を用いた検査項目については、当該項目数に合算せず、所定点数を別途算定する。

(6) 蛋白質とクレアチニンの比を測定する目的で試験紙により実施した場合は、「16」のその他による尿中クレアチニン検査として算定し、その判断料は、区分番号「D026」検体検査判断料の「1」の尿・糞便等検査判断料を算定する。

D002 尿沈渣顕微鏡検査

(1) 尿沈渣顕微鏡検査の所定点数は、赤血球、白血球、上皮細胞、各種円柱、類円柱、粘液系、リポイド、寄生虫等の無染色標本検査の全ての費用を含む。

(2) 尿沈渣顕微鏡検査は、区分番号「D000」尿中一般物質定性半定量検査若しくは区分番号「D001」尿中特殊物質定性定量検査において何らかの所見が認められ、又は診察の結果からその実施が必要と認められて実施した場合に算定すること。

(3) 尿沈渣顕微鏡検査は当該検査の対象患者の診療を行っている保険医療機関内で実施した場合にのみ算定できるものであり、委託契約等に基づき当該保険医療機関外で実施された検査の結果報告を受けるのみの場合は算定できない。ただし、委託契約等に基づき当該保険医療機関内で実施された検査について、その結果が当該保険医療機関に速やかに報告されるような場合は、所定点数により算定する。

(4) 尿路系疾患が強く疑われる患者について、診療所が尿沈渣顕微鏡検査を衛生検査所等に委託する場合であって、当該衛生検査所等が採尿後4時間以内に検査を行い、検査結果が速やかに当該診療所に報告された場合は、所定点数を算定できる。

D002―2 フローサイトメトリー法による尿中有形成分測定

本測定は区分番号「D000」尿中一般物質定性半定量検査若しくは区分番号「D001」尿中特殊物質定性定量検査において何らかの所見が認められ、又は診察の結果からその実施が必要と認められ、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱及び細菌を同時に測定した場合に算定する。

D003 糞便検査

(1) 「6」の糞便中ヘモグロビン定性又は「8」の糞便中ヘモグロビンと「1」の潜血反応検査を同時に実施した場合には、「6」又は「8」の所定点数のみ算定する。

(2) 糞便中の細菌、原虫検査は、区分番号「D017」排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査により算定する。

(3) ヘモグロビン検査を免疫クロマト法にて行った場合は、「6」の糞便中ヘモグロビン定性により算定する。

(4) ヘモグロビン検査を金コロイド凝集法による定量法にて行った場合は、「8」の糞便中ヘモグロビンにより算定する。

D004 穿刺液・採取液検査

(1) 「3」の胃液又は十二指腸液一般検査の所定点数には、量、色調、混濁、粘液量、臭気、酸度測定、ペプシン及び乳酸定量、ラブ酵素の証明、蛋白質の呈色反応(ニンヒドリン反応、ビウレット反応等)、毒物、潜血、虫卵、ウロビリン体の定性定量、コレステリン体の定量、液に含まれる物質の定性半定量の検査等の費用が含まれる。

(2) 「4」の髄液一般検査の所定点数には、外見、比重、ノンネアペルト、パンディ、ワイヒブロート等のグロブリン反応、トリプトファン反応、細胞数、細胞の種類判定及び蛋白、グルコース、ビリルビン、ケトン体等の定性半定量の検査等が含まれる。

(3) 「5」の精液一般検査の所定点数には、精液の量、顕微鏡による精子の数、奇形の有無、運動能等の検査の全ての費用が含まれる。

(4) 「6」の頸管粘液検査の所定点数には、量、粘稠度、色調、塗抹乾燥標本による顕微鏡検査(結晶、細菌、血球、腟上皮細胞等)等の費用が含まれる。

(5) 「7」の子宮頸管粘液中顆粒球エラスターゼ定性は、赤色ラテックス着色法により、絨毛羊膜炎の診断のために妊娠満22週以上満37週未満の妊婦で切迫早産の疑いがある者に対して測定した場合に算定する。

(6) 「7」の涙液中総IgE定性は、アレルギー性結膜炎の診断の補助を目的として判定した場合に月1回に限り算定できる。

(7) 「8」の子宮頸管粘液中顆粒球エラスターゼは、絨毛羊膜炎の診断のために妊娠満22週以上満37週未満の妊婦で切迫早産の疑いがある者に対して行った場合に算定する。

(8) 「9」の腟分泌液中乳酸脱水素酵素(LD)半定量のためのタンポンによる検体採取に係る費用は、所定点数に含まれる。

(9) 「10」のマイクロバブルテストは妊娠中の患者又は新生児の患者に対して週に1回に限り算定できる。

(10) 「11」の関節液中コンドロカルシンは、EIA法によるが、エックス線所見で明らかに変形性関節症又は慢性関節リウマチが診断できる場合は算定できない。

(11) 「12」の羊水中肺サーファクタントアポ蛋白(SP―A)を妊娠中に実施する場合には、糖尿病を合併しない場合は妊娠満33週より前の時期において1回に限り算定でき、糖尿病を合併する場合は満32週より前の時期において1回に限り算定でき、満32週以降においては週1回に限り算定できる。

(12) 「13」のIgGインデックス、「14」の髄液オリゴクローナルバンド及び「15」の髄液MBPは、多発性硬化症の診断の目的で行った場合に算定する。

(13) 同一日に尿、穿刺液・採取液及び血液を検体として生化学的検査(Ⅰ)又は生化学的検査(Ⅱ)に掲げる検査項目につきそれぞれを実施した場合の、多項目包括規定の適用については、尿、穿刺液・採取液及び血液のそれぞれについて算出した項目数により所定点数を算定するのではなく、血液、尿、穿刺液・採取液それぞれに係る項目数を合算した項目数により、所定点数を算定する。ただし、同一日に行う2回目以降の血液採取による検体を用いた検査項目については、当該項目数に合算せず、所定点数を別途算定する。

D004―2 悪性腫瘍組織検査

(1) 「1」の悪性腫瘍遺伝子検査は、固形腫瘍の腫瘍細胞を検体とし、PCR法、SSCP法、RFLP法等を用いて、悪性腫瘍の詳細な診断及び治療法の選択を目的として悪性腫瘍患者本人に対して行った、肺癌及び大腸癌におけるEGFR遺伝子検査又はK―ras遺伝子検査、膵癌におけるK―ras遺伝子検査、悪性骨軟部組織腫瘍におけるEWS―Fli1遺伝子検査、TLS―CHOP遺伝子検査又はSYT―SSX遺伝子検査、消化管間葉系腫瘍におけるc―kit遺伝子検査、家族性非ポリポージス大腸癌におけるマイクロサテライト不安定性検査又は悪性黒色腫センチネルリンパ節生検に係る遺伝子検査について、患者1人につき1回に限り算定する。

(2) 「1」の悪性腫瘍遺伝子検査を算定するに当たっては、その目的、結果及び選択した治療法を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(3) 「1」の悪性腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006―2」血液細胞核酸増幅同定検査(造血器腫瘍核酸増幅同定検査)又は区分番号「D006―6」免疫関連遺伝子再構成のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

(4) 「2」の抗悪性腫瘍剤感受性検査は、胃悪性腫瘍に対する区分番号「K655」胃切除術、区分番号「K655―2」腹腔鏡下胃切除術、区分番号「K655―4」噴門側胃切除術、区分番号「K657」胃全摘術又は区分番号「K657―2」腹腔鏡下胃全摘術であって、日本胃癌学会の胃癌取扱い規約により根治度Cの結果であったものにおいて採取された摘出腫瘍組織を検体とし、HDRA法又はCD―DST法を用いて、胃悪性腫瘍の抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として行った場合に限り、患者1人につき1回に限り算定する。

(5) 当該検査の対象となる抗悪性腫瘍剤は、細胞毒性を有する薬剤であって胃悪性腫瘍に適応を有するものに限る。また、当該検査に係る薬剤の費用は、所定点数に含まれる。

D005 血液形態・機能検査

(1) 「1」の赤血球沈降速度は当該検査の対象患者の診療を行っている保険医療機関内で実施した場合にのみ算定できるものであり、委託契約等に基づき当該保険医療機関外で実施された検査の結果報告を受けるのみの場合は算定できない。ただし、委託契約等に基づき当該保険医療機関内で実施された検査について、その結果が当該保険医療機関に速やかに報告されるような場合は、所定点数により算定する。

(2) 同一検体について、「4」の好酸球数及び「5」の末梢血液像の検査を行った場合は、「5」の末梢血液像の所定点数のみを算定する。

(3) 「5」の末梢血液像及び「14」の骨髄像の検査については、少なくともリンパ球、単球、好中球、好酸球、好塩基球の5分類以上の同定・比率計算を行った場合に算定する。

(4) 「5」の末梢血液像及び「14」の骨髄像の検査に当たって、位相差顕微鏡又は蛍光顕微鏡を用いた場合であっても所定点数により算定する。また、末梢血液像の検査の際に赤血球直径の測定を併せて行った場合であっても、所定点数により算定する。

(5) 「5」の「注」及び「14」の「注」にいう特殊染色は、次のとおりである。

ア オキシダーゼ染色

イ ペルオキシダーゼ染色

ウ アルカリホスファターゼ染色

エ パス染色

オ 鉄染色(ジデロブラスト検索を含む。)

カ 超生体染色

キ 脂肪染色

ク エステラーゼ染色

(6) 「6」の末梢血液一般検査は、赤血球数、白血球数、血色素測定(Hb)、ヘマトクリット値(Ht)、血小板数の全部又は一部を行った場合に算定する。

(7) 「8」の赤血球抵抗試験は、次のとおりである。

ア シュガーウォーターテスト

イ ハムテスト

ウ クロスビーテスト

エ パルパート法

オ サンフォード法

(8) 「9」のヘモグロビンA1C(HbA1C)、区分番号「D007」血液化学検査の「18」のグリコアルブミン又は同区分「22」の1,5―アンヒドロ―D―グルシトール(1,5AG)のうちいずれかを同一月中に併せて2回以上実施した場合は、月1回に限り主たるもののみ算定する。ただし、妊娠中の患者、1型糖尿病患者、経口血糖降下薬の投与を開始して6月以内の患者、インスリン治療を開始して6月以内の患者等については、いずれか1項目を月1回に限り別に算定できる。

(9) 「12」のデオキシチミジンキナーゼ(TK)活性は、造血器腫瘍の診断又は治療効果判定のために行った場合に算定する。

(10) 「13」のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)は、白血病又は悪性リンパ腫の診断又は治療効果判定のために行った場合に算定する。

(11) モノクローナル抗体法による造血器悪性腫瘍細胞検査

ア 「15」のモノクローナル抗体法による造血器悪性腫瘍細胞検査はモノクローナル抗体を用いて蛍光抗体法、酵素抗体法、免疫ロゼット法等により白血病細胞又は悪性リンパ腫細胞の表面抗原又は細胞内抗原の検索を実施して病型分類を行った場合に算定できる。

イ 対象疾病は白血病、悪性リンパ腫等である。

ウ 検査に用いられるモノクローナル抗体は、医薬品として承認されたものであり、検査に当たって用いたモノクローナル抗体の種類、回数にかかわらず、一連として所定点数を算定する。

D006 出血・凝固検査

(1) 出血時間測定時の耳朶採血料は、「1」の出血時間の所定点数に含まれる。

(2) 「2」のトロンボテストと「2」のプロトロンビン時間を同時に施行した場合は、主たるもののみ算定する。

(3) 「8」の血小板凝集能を測定するに際しては、その過程で血小板数を測定することから、区分番号「D005」血液形態・機能検査の「6」の末梢血液一般検査の所定点数を別に算定することはできない。

(4) 「13」の凝固因子インヒビター定性(クロスミキシング試験)は、原因不明のプロトロンビン時間延長又は活性化部分トロンボプラスチン時間延長がみられる患者に対して行った場合に限り算定できる。

(5) 「14」のフィブリノゲン分解産物は、「11」のフィブリン分解産物(FDP)が異常値を示した場合に実施したときに算定できる。

(6) 「16」のPIVKAⅡは、出血・凝固検査として行った場合に算定する。

(7) 「17」の凝固因子インヒビターは、第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子の定量測定を行った場合に、それぞれの測定1回につきこの項で算定する。

(8) 「17」のフォン・ウィルブランド因子抗原は、SRID法、ロケット免疫電気泳動法等によるものである。

(9) 「21」のトロンボモジュリンは、膠原病の診断若しくは経過観察又はDIC若しくはそれに引き続いて起こるMOF観察のために測定した場合のみ算定できる。

(10) フィブリンモノマー複合体

ア 「22」のフィブリンモノマー複合体は、DIC、静脈血栓症又は肺動脈血栓塞栓症の診断及び治療経過の観察のために実施した場合に算定する。

イ フィブリンモノマー複合体、「20」のトロンビン・アンチトロンビンⅢ複合体(TAT)及び「20」のプロトロンビンフラグメントF1+2のうちいずれか複数を同時に測定した場合は、主たるもののみ算定する。

D006―2 血液細胞核酸増幅同定検査(造血器腫瘍核酸増幅同定検査)

(1) 血液細胞核酸増幅同定検査は、PCR法、LCR法又はサザンブロット法により行い、2月に1回を限度として算定できる。

(2) 区分番号「D004―2」悪性腫瘍組織検査の「1」の悪性腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006―2」血液細胞核酸増幅同定検査(造血器腫瘍核酸増幅同定検査)又は区分番号「D006―6」免疫関連遺伝子再構成のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

D006―3 Major bcr―abl mRNA核酸増幅検査

Major bcr―abl mRNA核酸増幅検査は、TMA法により測定した場合に限り算定できる。

D006―4 遺伝学的検査

(1) 遺伝学的検査は以下の遺伝子疾患が疑われる場合に行うものとし、患者1人につき1回算定できる。

ア デュシェンヌ型筋ジストロフィー

イ ベッカー型筋ジストロフィー

ウ 福山型先天性筋ジストロフィー

エ 栄養障害型表皮水疱症

オ 家族性アミロイドーシス

カ 先天性QT延長症候群

キ 脊髄性筋萎縮症

ク 中枢神経白質形成異常症

ケ ムコ多糖症Ⅰ型

コ ムコ多糖症Ⅱ型

サ ゴーシェ病

シ ファブリ病

ス ポンペ病

セ ハンチントン舞踏病

ソ 球脊髄性筋萎縮症

(2) (1)のアからクまでに掲げる遺伝子疾患の検査は、PCR法、DNAシーケンス法、FISH法又はサザンブロット法による。(1)のケからスまでに掲げる遺伝子疾患の検査は、酵素活性測定法、DNAシーケンス法又は培養法による。(1)のセ及びソに掲げる遺伝子疾患の検査は、PCR法による。

(3) 検査の実施に当たっては、厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」(平成16年12月)及び関係学会による「遺伝学的検査に関するガイドライン」(平成15年8月)を遵守すること。

D006―5 染色体検査

(1) 染色体検査の所定点数には、フィルム代、現像代、引伸印画作製代を含む。

(2) 染色体検査の「注」の分染法加算については、その種類、方法にかかわらず、1回の算定とする。

D006―6 免疫関連遺伝子再構成

(1) 免疫関連遺伝子再構成は、PCR法、LCR法又はサザンブロット法により、悪性リンパ腫、急性リンパ性白血病又は慢性リンパ性白血病の診断の目的で検査を行った場合に、6月に1回を限度として算定できる。

(2) 区分番号「D004―2」の悪性腫瘍組織検査の「1」の悪性腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006―2」血液細胞核酸増幅同定検査(造血器腫瘍核酸増幅同定検査)又は区分番号「D006―6」免疫関連遺伝子再構成のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

D006―7 WT1mRNA核酸増幅検査、サイトケラチン(CK)19mRNA、UDPグルクロン酸転移酵素遺伝子多型

(1) WT1mRNA核酸増幅検査

WT1mRNA核酸増幅検査は、リアルタイムRT―PCR法により、急性骨髄性白血病の診断の補助又は経過観察時に行った場合に1月に1回を限度として算定できる。

(2) サイトケラチン(CK)19mRNA

サイトケラチン(CK)19mRNAは、術前の画像診断又は視触診等による診断でリンパ節転移陽性が明らかでない乳癌患者に対して、摘出された乳癌所属リンパ節中のサイトケラチン(CK)19mRNAの検出によるリンパ節転移診断の補助を目的として、OSNA(One-Step Nucleic Acid Amplification)法により測定を行った場合に、一連につき1回限り算定する。

(3) UDPグルクロン酸転移酵素遺伝子多型

UDPグルクロン酸転移酵素遺伝子多型は、塩酸イリノテカンの投与対象となる患者に対して、その投与量等を判断することを目的として、インベーダー法により測定を行った場合、当該抗悪性腫瘍剤の投与方針の決定までの間に1回を限度として算定する。

D007 血液化学検査

(1) 抱合型ビリルビンを測定した場合は、「1」の直接ビリルビンの所定点数を算定する。

(2) 「1」のナトリウム及びクロールについては、両方を測定した場合も、いずれか一方のみを測定した場合も、同一の所定点数により算定する。

(3) 「1」のカルシウム及び「8」のイオン化カルシウムを同時に測定した場合には、いずれか一方についてのみ所定点数を算定する。

(4) 「1」の膠質反応については、反応の種類ごとに所定点数を算定する。

なお、次に掲げる検査については、膠質反応又は膠質反応に類似した検査としてこの項により所定点数を算定できる。

ア 硫酸亜鉛試験(クンケル反応)(ZTT)

イ チモール混濁反応(TTT)

(5) 直接比色法による総鉄結合能(TIBC)及び不飽和鉄結合能(UIBC)は「1」の鉄に準じて算定する。直接比色法による総鉄結合能(TIBC)、直接比色法による不飽和鉄結合能(UIBC)、「11」の総鉄結合能(TIBC)と「11」の不飽和鉄結合能(UIBC)を同時に実施した場合は、主たる点数を算定する。

(6) 「4」のHDL―コレステロール、「4」の総コレステロール及び「5」のLDL―コレステロールを併せて測定した場合は、主たるもの2つの所定点数を算定する。

(7) 「4」のP及びHPO4については、両方を測定した場合も、いずれか一方のみを測定した場合も、同一の所定点数により算定する。

(8) 「5」の蛋白分画、「1」の総蛋白及びアルブミンを併せて測定した場合は、主たるもの2つの所定点数を算定する。

(9) 「9」のマンガンは、1月以上(胆汁排泄能の低下している患者については2週間以上)高カロリー静脈栄養法が行われている患者に対して、3月に1回に限り算定することができる。

(10) 「11」のケトン体及び「20」のケトン体分画の検査を併せて実施した場合は、ケトン体分画の所定点数のみ算定する。

(11) 「15」の有機モノカルボン酸については、グルタチオン、乳酸、ピルビン酸及びα―ケトグルタール酸の各物質の測定を行った場合に、それぞれの測定ごとに所定点数を算定する。

(12) 同一検体について「15」の重炭酸塩及び「30」の血液ガス分析の検査を併せて行った場合は、血液ガス分析の所定点数のみ算定する。

(13) 「18」のグリコアルブミンは、HPLC(2カラム)、HPLC(1カラム)―発色法、アフィニティークロマトグラフィー・免疫比濁法によるグリコアルブミン測定装置を用いて測定した場合、EIA法又は酵素法により測定した場合に所定点数を算定する。

(14) 区分番号「D005」血液形態・機能検査の「9」のヘモグロビンA1c(HbA1c)、本区分「18」のグリコアルブミン又は「22」の1,5アンヒドロ―D―グルシトール(1,5AG)のうちいずれかを同一月中に合わせて2回以上実施した場合は、月1回に限り主たるもののみ算定する。ただし、妊娠中の患者、1型糖尿病患者、経口血糖降下薬の投与を開始して6月以内の患者、インスリン治療を開始して6月以内の患者等については、いずれか1項目を月1回に限り別に算定できる。

(15) 肝胆道疾患の診断の目的で尿中硫酸抱合型胆汁酸測定を酵素法により実施した場合は、「19」のコレステロール分画に準じて算定する。ただし、「15」の胆汁酸を同時に測定した場合には、いずれか一方の所定点数のみを算定する。

(16) 「24」の膵分泌性トリプシンインヒビター(PSTI)と「35」のトリプシンを同時に実施した場合は、いずれか一方の所定点数を算定する。

(17) 「24」の乳酸脱水素酵素・アイソザイム1型は酵素学的阻害法による。

(18) 「24」のアポリポ蛋白は、AⅠ、AⅡ、B、CⅡ、CⅢ及びEのうち3項目以上測定した場合に、所定点数を算定する。

(19) 「26」のヘパリンの血中濃度測定においては、同一の患者につき1月以内に当該検査を2回以上行った場合においては、算定は1回とし、第1回の測定を行ったときに算定する。

(20) 「27」のシアル化糖鎖抗原KL―6、「28」のサーファクタントプロテインA(SP―A)及び「29」のサーファクタントプロテインD(SP―D)のうちいずれか複数を実施した場合は、主たるもののみ算定する。シアル化糖鎖抗原KL―6は、EIA法、ECLIA法又はラテックス凝集比濁法により、サーファクタントプロテインA(SP―A)及びサーファクタントプロテインD(SP―D)は、EIA法による。

(21) 「27」の心筋トロポニンⅠと「28」の心筋トロポニンT(定性、定量)を同一月に併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(22) 「27」のペントシジンは、「1」の尿素窒素(BUN)又は「1」のクレアチニンにより腎機能低下(糖尿病性腎症によるものを除く。)が疑われた場合に、3月に1回に限り算定できる。ただし、「28」のシスタチンCを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(23) 「26」のリポ蛋白(a)は、3月に1回を限度として算定できる。

(24) 「27」のイヌリンは、「1」の尿素窒素(BUN)又は「1」のクレアチニンにより腎機能低下が疑われた場合に、6月に1回に限り算定できる。ただし、「1」のクレアチニン(腎クリアランス測定の目的で行い、血清及び尿を同時に測定する場合に限る。)を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(25) シスタチンC

ア 「28」のシスタチンCは、EIA法、ラテックス凝集比濁法、金コロイド凝集法又はネフェロメトリー法により実施した場合のみ算定できる。

イ シスタチンCは、「1」の尿素窒素(BUN)又は「1」のクレアチニンにより腎機能低下が疑われた場合に、3月に1回に限り算定できる。ただし、「27」のペントシジンを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(26) 「30」の血液ガス分析の所定点数には、ナトリウム、カリウム、クロール、pH、PO2、PCO2及びHCO3の各測定を含むものであり、測定項目数にかかわらず、所定点数により算定する。なお、同時に行ったヘモグロビンについては算定しない。

(27) 「30」の血液ガス分析は当該検査の対象患者の診療を行っている保険医療機関内で実施した場合にのみ算定できるものであり、委託契約等に基づき当該保険医療機関外で実施された検査の結果報告を受けるのみの場合は算定できない。ただし、委託契約等に基づき当該保険医療機関内で実施された検査について、その結果が当該保険医療機関に速やかに報告されるような場合は、所定点数により算定する。

なお、在宅酸素療法を実施している入院施設を有しない診療所が、緊急時に必要、かつ、密接な連携を取り得る入院施設を有する他の保険医療機関において血液ガス分析を行う場合であって、採血後、速やかに検査を実施し、検査結果が速やかに当該診療所に報告された場合にあっては算定できるものとする。

(28) 「30」のヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白(H―FABP)はELISA法、免疫クロマト法、ラテックス免疫比濁法又はラテックス凝集法により、急性心筋梗塞の診断を目的に用いた場合のみ算定する。

ただし、ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白(H―FABP)と「30」のミオグロビンを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(29) 「30」のⅣ型コラーゲン又は「31」のⅣ型コラーゲン・7Sは、「37」のプロリルヒドロキシラーゼ(PH)又は「30」のP―Ⅲ―Pと併せて行った場合には、一方の所定点数のみ算定する。

(30) 「30」のアルブミン非結合型ビリルビンは、診察及び他の検査の結果から、核黄疸に進展するおそれがある新生児である患者に対して、生後2週間以内に経過観察を行う場合に算定する。

(31) 「33」のアルカリホスファターゼ・アイソザイム(ポリアクリルアミドディスク電気泳動法)及び区分番号「D008」内分泌学的検査の「14」の骨型アルカリホスファターゼ(BAP)を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(32) 「34」のアセトアミノフェンは、同一の患者につき1月以内に2回以上行った場合は、第1回の測定を行ったときに1回に限り算定する。

(33) 腟分泌液中インスリン様成長因子結合蛋白1型(IGFBP―1)

ア 「34」の腟分泌液中インスリン様成長因子結合蛋白1型(IGFBP―1)は、免疫クロマト法により、破水の診断のために妊娠満22週以上満37週未満の者を対象として測定した場合のみ算定する。

イ 「34」の腟分泌液中インスリン様成長因子結合蛋白1型(IGFBP―1)及び区分番号「D015」血漿蛋白免疫学的検査の「19」の頸管腟分泌液中癌胎児性フィブロネクチンを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(34) 「34」の心室筋ミオシン軽鎖Ⅰは、同一の患者につき同一日に当該検査を2回以上行った場合は、1回のみ算定する。

(35) 「34」のヒアルロン酸は、サンドイッチ バインディング プロテイン アッセイ法、125Iによる競合法を用いたバインディング プロテイン アッセイ法、LA法(測定機器を用いるもの)又はLBA法による。ただし、本検査は慢性肝炎の患者に対して、慢性肝炎の経過観察及び肝生検の適応の確認を行う場合に算定できる。

(36) 「35」のレムナント様リポ蛋白(RLP)コレステロールは免疫吸着法―酵素法又は酵素法により実施し、3月に1回を限度として算定できる。

(37) 「35」のMDA―LDLは、冠動脈疾患既往歴のある糖尿病患者で、冠動脈疾患発症に関する予後予測の補助の目的で血清中のMDA―LDLを測定する場合に3月に1回に限り算定できる。ただし、糖尿病患者の経皮的冠動脈形成術治療時に、治療後の再狭窄に関する予後予測の目的で測定する場合、上記と別に術前1回に限り算定できる。

(38) 「37」のリポ蛋白リパーゼは、高トリグリセライド血症及びLPL欠損症が疑われる場合の鑑別のために測定した場合のみ算定できる。また、ヘパリン負荷が行われた場合、投与したヘパリンは区分番号「D500」の薬剤として算定できるが、注射料は算定できない。

(39) 「37」の肝細胞増殖因子(HGF)はELISA法により、肝炎にて劇症化が疑われる場合又は劇症肝炎の経過観察に用いた場合のみ算定する。

(40) 「37」のCKアイソフォームは、免疫阻害法により実施し、同時に測定される「1」のクレアチン・ホスホキナーゼ(CK)の費用は別に算定できない。

(41) 「38」の2,5―オリゴアデニル酸合成酵素活性は、ウイルス血症を伴う慢性活動性肝炎患者のインターフェロン製剤の投与量及び治療効果の判定に用いた場合に算定する。

(42) 「38」の腟分泌液中α―フェトプロテインは色素免疫測定法により、破水の診断のために妊娠満22週以上満37週未満の者を対象として実施した場合に算定する。

(43) 「41」のプロカルシトニン(PCT)は、敗血症(細菌性)を疑う患者を対象として測定した場合に算定できる。ただし、区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「27」のエンドトキシン検査を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(44) 「43」の1,25ジヒドロキシビタミンD3(1,25(OH)2D3)は、ラジオレセプターアッセイ法、RIA法又はELISA法により、慢性腎不全、特発性副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症、ビタミンD依存症Ⅰ型若しくは低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病の診断時又はそれらの疾患に対する活性型ビタミンD3剤による治療中に測定した場合にのみ算定できる。なお、活性型ビタミンD3剤による治療開始後1月以内においては2回を限度とし、その後は3月に1回を限度として算定する。

(45) 血液化学検査の注に掲げる検査と併せて、血液化学検査の注に掲げる検査を準用することが認められている検査を行った場合は、当該検査も注に掲げる項目数の算定に含める。

(46) 血液化学検査の注のハの注に規定する10項目以上の包括点数を算定する場合の入院時初回加算は、入院時に初めて行われる検査は項目数が多くなることにかんがみ、血液化学検査の注に掲げる検査を10項目以上行った場合に、入院時初回検査に限り20点を加算するものであり、入院後初回の検査以外の検査において10項目以上となった場合にあっては、当該加算点数は算定できない。また、基本的検体検査実施料を算定している場合にあっても、当該加算点数は算定できない。

D008 内分泌学的検査

(1) 各種ホルモンの日内変動検査は、内分泌学的検査の該当する項目の測定回数により算定するが、その回数については妥当適切な範囲であること。

(2) 「1」のヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)定性及び「12」のヒト絨毛性ゴナドトロピンβ(HCGβ)分画は、免疫学的妊娠試験に該当するものである。

(3) 「7」のレニン活性と「8」のレニン定量を併せて行った場合は、一方の所定点数のみ算定する。

(4) 「10」のC―ペプタイド(CPR)を同時に血液及び尿の両方の検体について測定した場合は、血液の場合の所定点数のみを算定する。

(5) 「10」の黄体形成ホルモン(LH)はLA法等による。

(6) ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)

ア 「11」のヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は、心不全の診断又は病態把握のために実施した場合に月1回に限り算定する。

イ 1週間以内に「11」のヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)及び「19」のヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(HANP)のうち2項目以上を併せて実施した場合は、主たるもの1つに限り算定する。

ウ 本検査を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に本検査の実施日(「11」のヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)又は「19」のヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(HANP)を併せて実施した場合は、併せて当該検査の実施日)を記載する。

(7) ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)

ア 「11」のヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)は、心不全の診断又は病態把握のために実施した場合に月に1回に限り算定する。

イ 1週間以内に「11」のヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)、「11」のヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)及び「19」のヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(HANP)のうち2項目以上を併せて実施した場合は、主たるもの1つに限り算定する。

ウ 本検査を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に本検査の実施日(「11」のヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)又は「19」のヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(HANP)を併せて実施した場合は、併せて当該検査の実施日)を記載する。

(8) 「11」の抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)抗体価は、すでに糖尿病の診断が確定した患者に対し、1型糖尿病の診断に用いた場合に算定できる。

(9) ヒト絨毛性ゴナドトロピンβ(HCGβ)分画

ア 「12」のヒト絨毛性ゴナドトロピンβ(HCGβ)分画は、HCG産生腫瘍患者に対して測定した場合のみ算定できる。

イ 「12」のヒト絨毛性ゴナドトロピンβ(HCGβ)分画、「1」のヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)定性又は「12」のヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を併せて実施した場合は、主たるもの1つに限り算定する。

(10) 「12」のヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)は、HCG・LH検査(試験管法)を含むものである。

(11) 「13」のⅠ型コラーゲン架橋N―テロペプチド(NTX)及び「17」の尿中デオキシピリジノリンは、原発性副甲状腺機能亢進症の手術適応の決定、副甲状腺機能亢進症手術後の治療効果判定又は骨粗鬆症の薬剤治療方針の選択に際して実施された場合に算定する。

なお、骨粗鬆症の薬剤治療方針の選択時に1回、その後6月以内の薬剤効果判定時に1回に限り、また薬剤治療方針を変更したときは変更後6月以内に1回に限り算定できる。

(12) 「13」のⅠ型コラーゲン架橋N―テロペプチド(NTX)、「14」のオステオカルシン又は「17」の尿中デオキシピリジノリンを併せて実施した場合は、いずれか1つのみ算定する。

(13) 「13」の酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRACP―5b)は、代謝性骨疾患及び骨転移(代謝性骨疾患や骨折の併発がない肺癌、乳癌、前立腺癌に限る)の診断補助並びに治療経過観察時の補助的指標として実施した場合に6月以内に1回に限り算定できる。また治療方針を変更した際には変更後6月以内に1回に限り算定できる。

本検査を「13」のⅠ型コラーゲン架橋N―テロペプチド(NTx)、「14」のオステオカルシン、「17」の尿中デオキシピリジノリンと併せて実施した場合いずれか一つのみ算定する。

なお、乳癌、肺癌又は前立腺癌であると既に確定診断された患者について骨転移の診断のために当該検査を行い、当該検査に基づいて計画的な治療管理を行った場合は、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の「ロ」を算定する。

(14) 「14」のオステオカルシンは、続発性副甲状腺機能亢進症の手術適応の決定及び原発性又は続発性の副甲状腺機能亢進症による副甲状腺(上皮小体)腺腫過形成手術後の治療効果判定に際して実施した場合のみ算定できる。

(15) インタクトⅠ型プロコラーゲン―N―プロペプチド(Intact PINP)は、「14」の骨型アルカリホスファターゼ(BAP)に準じて算定する。

(16) 「14」の骨型アルカリホスファターゼ(BAP)、インタクトⅠ型プロコラーゲン―N―プロペプチド(Intact PINP)及び区分番号「D007」血液化学検査の「33」のアルカリホスファターゼ・アイソザイム(ポリアクリルアミドディスク電気泳動法)のうち2項目以上を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(17) 「14」の尿中βクロスラプスは、骨粗鬆症におけるホルモン補充療法及びビスフォスフォネート療法等、骨吸収抑制能を有する薬物療法の治療効果判定又は治療経過観察を行った場合に算定できる。ただし、治療開始前においては1回、その後は6月以内に1回に限り算定できる。

(18) 「14」のβクロスラプス(尿を除く。)は、骨粗鬆症におけるホルモン補充療法及びビスフォスフォネート療法等、骨吸収抑制能を有する薬物療法の治療効果判定又は治療経過観察を行った場合に算定できる。ただし、治療開始前においては1回、その後は6月以内に1回に限り算定できる。

なお、「14」の尿中βクロスラプスと併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(19) 「14」の低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)は、骨粗鬆症におけるビタミンK2剤の治療選択目的で行った場合又は治療経過観察を行った場合に算定できる。ただし、治療開始前においては1回、その後は6月以内に1回に限り算定できる。

(20) 「15」のエストロジェンについては、「15」のエストリオール(E3)又は「17」のエストラジオール(E2)と同時に実施した場合は算定できない。

(21) 「15」の副甲状腺ホルモン関連蛋白C端フラグメント(C―PTHrP)又は「17」の副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)は、高カルシウム血症の鑑別並びに悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症に対する治療効果の判定のために測定した場合のみ算定する。

(22) 「18」の抗ⅠA―2抗体は、すでに糖尿病の診断が確定し、かつ、「11」の抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)抗体価の結果、陰性が確認された30歳未満の患者に対し、1型糖尿病の診断に用いた場合に算定する。

なお、当該検査を算定するに当たっては、その理由及び医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(23) 「18」のエリスロポエチンは、赤血球増加症の鑑別診断及び重度の慢性腎不全患者又はエリスロポエチン若しくはダルベポエチン投与前の透析患者における腎性貧血の診断のために行った場合に算定する。

(24) 「18」の17α―ヒドロキシプロジェステロンは、先天性副腎皮質過形成症の精密検査又は治療効果判定のために行った場合に算定する。

(25) 1週間以内に「19」のヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(HANP)、「11」のヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)及びヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)のうち2項目以上を併せて実施した場合は、主たるもの1つに限り算定する。

(26) 「20」のノルメタネフリンは、褐色細胞腫の診断又は術後の効果判定のため行った場合に算定し、「19」のメタネフリンを併せて行った場合は、主たるもののみ算定する。

(27) インスリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP―3)

ア 「21」のインスリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP―3)は、成長ホルモン分泌不全症の診断と治療開始時の適応判定のために実施した場合に算定できる。なお、成長ホルモン分泌不全症の診断については、厚生省間脳下垂体障害研究班「成長ホルモン分泌不全性低身長症診断の手引き」を、治療開始時の適応判定については(財)成長科学協会「ヒト成長ホルモン治療開始時の適応基準」を参照すること。

イ インスリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP―3)を「19」のソマトメジンCと併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

D009 腫瘍マーカー

(1) 腫瘍マーカーは、悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる者に対して検査を行った場合に、悪性腫瘍の診断の確定又は転帰の決定までの間に1回を限度として算定する。

悪性腫瘍の診断が確定し、計画的な治療管理を開始した場合、当該治療管理中に行った腫瘍マーカーの検査の費用は区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料に含まれ、腫瘍マーカーは、原則として、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料と同一月に併せて算定できない。ただし、悪性腫瘍の診断が確定した場合であっても、次に掲げる場合においては、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料とは別に腫瘍マーカーの検査料を算定できる。

ア 急性及び慢性膵炎の診断及び経過観察のために「4」のエラスターゼ1を行った場合

イ 肝硬変、HBs抗原陽性の慢性肝炎又はHCV抗体陽性の慢性肝炎の患者について、「2」のα―フェトプロテイン(AFP)又は「6」のPIVKAⅡを行った場合(月1回に限る。)

ウ 子宮内膜症の診断又は治療効果判定を目的として「7」のCA125、「11」のCA130又は「10」のCA602を行った場合(診断又は治療前及び治療後の各1回に限る。)

エ 家族性大腸腺腫症の患者に対して「2」の癌胎児性抗原(CEA)を行った場合

(2) 「1」の尿中BTAは、膀胱癌であると既に確定診断がされた患者に対して、膀胱癌再発の診断のために行い、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に限り、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の「イ」を算定する。

(3) 「5」のPSAは、診察、腫瘍マーカー以外の検査、画像診断等の結果から、前立腺癌の患者であることを強く疑われる者に対して検査を行った場合に、前立腺癌の診断の確定又は転帰の決定までの間に原則として、1回を限度として算定する。ただし、PSAの検査結果が4.0ng/mL以上であって前立腺癌の確定診断がつかない場合においては、3月に1回に限り、3回を上限として算定できる。

なお、当該検査を2回以上算定するに当たっては、検査値を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(4) 尿中NMP22

ア 「7」の尿中NMP22は、区分番号「D002」尿沈渣顕微鏡検査により赤血球が認められ、尿路上皮癌の患者であることが強く疑われる者に対して行った場合に限り算定する。

イ 「7」の尿中NMP22については、尿路上皮癌の診断が確定した後に行った場合であっても、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料は算定できない。

(5) 尿中サイトケラチン8・サイトケラチン18総量

ア 「7」の尿中サイトケラチン8・サイトケラチン18総量は、区分番号「D002」尿沈渣顕微鏡検査により赤血球が認められ、尿路上皮癌の患者であることが強く疑われる者に対して行った場合に限り算定する。

イ 「7」の尿中サイトケラチン8・サイトケラチン18総量は、尿路上皮癌の診断が確定した後に行った場合であっても、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料は算定できない。

(6) 「7」の尿中NMP22及び尿中サイトケラチン8・サイトケラチン18総量を同時に実施した場合は、いずれか一方の所定点数を算定する。

(7) 「7」のCA125、「11」のCA130、「10」のCA602のうち2項目又は3項目を併せて測定した場合は、主たるもの1つに限り算定する。

(8) 上記(1)にかかわらず、(7)に掲げる項目について、1つを区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の項目とし、他の1又は2つの検査を腫瘍マーカーの項目として算定することはできず、いずれか一方のみ算定する。

(9) 「8」のⅠ型コラーゲンCテロペプチド、区分番号「D008」内分泌学的検査の「13」のⅠ型コラーゲン架橋N―テロペプチド(NTX)又は同区分「17」の尿中デオキシピリジノリンは、乳癌、肺癌又は前立腺癌であると既に確定診断された患者について骨転移の診断のために当該検査を行い、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に限り、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の「ロ」を算定する。

(10) 「8」のⅠ型プロコラーゲン―C―プロペプチドは、前立腺癌であると既に確定診断された患者に対して、骨転移の診断のために当該検査を行い、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に限り、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の「ロ」を算定する。

(11) シアリルLeX(CSLEX)抗原

ア 「8」のシアリルLeX(CSLEX)抗原は、診療及び他の検査の結果から乳癌の患者であることが強く疑われる者に対して検査を行った場合に算定する。

イ シアリルLeX(CSLEX)抗原と「3」のCA15―3を併せて測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(12) 「8」の血清中抗p53抗体は、食道癌、大腸癌又は乳癌が強く疑われる患者に対して行った場合に月1回に限り算定できる。

(13) 「8」のフリーPSA/トータルPSA比は、診療及び他の検査(PSA等)の結果から前立腺癌の患者であることが強く疑われる者に対して行った場合に限り算定する。

(14) 「9」のサイトケラチン19フラグメントは、悪性腫瘍であることが既に確定診断された患者については、小細胞癌を除く肺癌の場合に限り、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定できる。

(15) 「9」のガストリン放出ペプチド前駆体(ProGRP)を「6」の神経特異エノラーゼ(NSE)と併せて実施した場合には、主たるもののみ算定する。

(16) 尿中遊離型フコース

ア 「10」の尿中遊離型フコースは酵素化学的測定法による。

イ 尿中遊離型フコース、「2」の癌胎児性抗原(CEA)、「3」のDUPAN―2のうち2項目又は3項目を併せて測定した場合は、主たるもの1つに限り算定する。

(17) 同一月内に「10」のAFPのレクチン反応性による分画比(AFP―L3%)を「2」のα―フェトプロテイン(AFP)又は「6」のPIVKAⅡと併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。なお、「10」のAFPのレクチン反応性による分画比(AFP―L3%)は、電気泳動法及び抗体親和性転写法又はLBA法による。

(18) 「10」の癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)は、内膜症性嚢胞を有する患者又は内膜症性嚢胞が疑われる患者について、卵巣癌が疑われる場合のみ算定できる。

(19) 「11」の尿中ヒト絨毛性ゴナドトロピンβ分画コア(HCGβ―CF)は、診療及び他の検査の結果から、子宮頸癌、子宮体癌又は卵巣癌の患者であることが強く疑われる者に対して行った場合に算定する。

(20) 「13」の乳頭分泌液中CEAは、乳頭異常分泌患者に対して非腫瘤性乳癌を強く疑って、乳頭分泌液中のCEAを測定した場合に算定する。

(21) 乳頭分泌液中HER2タンパク

ア 「13」の乳頭分泌液中HER2タンパクは、乳頭異常分泌患者に対して非腫瘤性乳癌を強く疑って、EIA法により、乳頭分泌液中のHER2タンパクを測定した場合に限り算定する。

イ 「13」の乳頭分泌液中HER2タンパク及び「13」の乳頭分泌液中CEAを併せて測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(22) 「13」の血清中HER2タンパクは、乳癌であると既に確定診断され、かつ、HER2タンパク過剰発現が認められている患者又は他の測定法により、HER2タンパク過剰発現の有無が確認されていない再発乳癌患者に対して、EIA法により行い、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に限り、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の「ロ」を算定する。

(23) 「14」のインターロイキン2受容体(IL―2R)は、非ホジキンリンパ腫、ATLの診断の目的で測定した場合に算定できる。

また、非ホジキンリンパ腫又はATLであることが既に確定診断された患者に対して、経過観察のために測定した場合は、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の「ロ」により算定する。

(24) 「注2」に係る規定は、本区分に掲げる血液を検体とする検査と「10」の尿中遊離型フコース、「11」の尿中ヒト絨毛性ゴナドトロピンβ分画コア(HCGβ―CF)、「13」の乳頭分泌液中CEA又は「13」の乳頭分泌液中HER2タンパクを同一日に行った場合にも、適用する。

D010 特殊分析

(1) フェニール・アラニン又はヒスチジンを服用させ血清又は尿中のフェニール・アラニン又はヒスチジンの定量検査を行った場合は、それぞれ1回の測定につき「5」により算定し、使用した薬剤は、区分番号「D500」薬剤により算定する。

(2) 「3」のチロシン測定は、酵素法による。

(3) 「4」の総分岐鎖アミノ酸/チロシンモル比は、酵素法による。

(4) 「8」の先天性代謝異常症検査は、臨床症状・検査所見・家族歴等から先天性有機酸代謝異常症等が強く疑われた患者に対し、ガスクロマトグラフィー・マススペクトロメトリーを用いて診断を行った場合に算定する。

D011 免疫血液学的検査

(1) 「3」のRh(その他の因子)血液型については、同一検体による検査の場合は因子の種類及び数にかかわらず、所定点数を算定する。

(2) 「4」の赤血球不規則抗体検査は、輸血歴又は妊娠歴のある患者に対し、第2章第10部手術第7款の各区分に掲げる胸部手術、同部第8款の各区分に掲げる心・脈管手術、同部第9款の各区分に掲げる腹部手術又は区分番号「K877」子宮全摘術、「K879」子宮悪性腫瘍手術、「K889」子宮附属器悪性腫瘍手術(両側)、「K898」帝王切開術又は「K912」子宮外妊娠手術が行われた場合に、手術の当日に算定する。

また、手術に際して輸血が行われた場合は、本検査又は区分番号「K920」輸血の「注6」に定める不規則抗体検査加算のいずれかを算定する。

この場合、診療報酬明細書の摘要欄に輸血歴又は妊娠歴がある旨を記載する。

(3) 「6」のPAIgG(血小板関連IgG)は、特発性血小板減少性紫斑病の診断又は経過判定の目的で行った場合に算定する。

D012 感染症免疫学的検査

(1) 「1」及び「5」における梅毒脂質抗原使用検査は、従来の梅毒沈降反応(ガラス板法、VDRL法、RPR法、凝集法等)をいい、梅毒脂質抗原使用検査(定性)又は梅毒脂質抗原使用検査ごとに梅毒沈降反応を併せて2種類以上ずつ行った場合でも、それぞれ主たるもののみ算定する。

(2) 「7」の迅速ウレアーゼ試験を含むヘリコバクター・ピロリ感染診断の保険診療上の取扱いについては「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日保険発第180号)に即して行うこと。

(3) 「7」のアデノウイルス抗原(定性)と「8」のロタウイルス抗原は糞便を試料として検査した場合に算定し、これらを同時に行った場合は、主たる検査のみ算定する。

(4) ヘリコバクター・ピロリ抗体(定性、半定量)

ア 「9」のヘリコバクター・ピロリ抗体(定性、半定量)は、LA法、免疫クロマト法、金コロイド免疫測定法又はEIA法(簡易法)により実施した場合に算定する。

イ 当該検査を含むヘリコバクター・ピロリ感染診断の保険診療上の取扱いについては「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日保険発第180号)に即して行うこと。

(5) ウイルス抗体価(半定量)

ア 「11」のウイルス抗体価(半定量)は、治療上必要な場合に行うものとし、次に掲げるものを当該検査の対象とする。

(イ) アデノウイルス

(ロ) コクサッキーウイルス

(ハ) サイトメガロウイルス

(ニ) EBウイルス

(ホ) エコーウイルス

(ヘ) ヘルペスウイルス

(ト) インフルエンザウイルスA型

(チ) インフルエンザウイルスB型

(リ) ムンプスウイルス

(ヌ) パラインフルエンザウイルスⅠ型

(ル) パラインフルエンザウイルスⅡ型

(ヲ) パラインフルエンザウイルスⅢ型

(ワ) ポリオウイルスⅠ型

(カ) ポリオウイルスⅡ型

(ヨ) ポリオウイルスⅢ型

(タ) RSウイルス

(レ) 風疹ウイルス

(ソ) 麻疹ウイルス

(ツ) 日本脳炎ウイルス

(ネ) オーム病クラミジア

イ ウイルス抗体価に当たって、同一検体について同一ウイルスに対する複数の測定方法を行った場合であっても、所定点数のみを算定する。

ウ 単純ヘルペスウイルス及び水痘・帯状疱疹ウイルス抗体価を測定した場合はそれぞれ算定できる。

(6) 「11」のヘリコバクター・ピロリ抗体を含むヘリコバクター・ピロリ感染診断の保険診療上の取扱いについては「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日保険発第180号)に即して行うこと。

(7) 「12」のHTLV―1抗体価(半定量)は、粒子凝集法により実施した場合に算定する。

(8) 「15」の抗抗酸菌抗体価は、金コロイド免疫測定法又はEIA法により実施した場合に算定する。

(9) 診療録等から非加熱血液凝固因子製剤の投与歴が明らかな者及び診療録等が確認できないため血液凝固因子製剤の投与歴は不明であるが、昭和53年から昭和63年の間に入院し、かつ、次のいずれかに該当する者に対して、「15」のHIV―1抗体価又は「16」のHIV―1,2抗体価を実施した場合は、HIV感染症を疑わせる自他覚症状の有無に関わらず所定点数を算定する。

ただし、保険医療機関において採血した検体の検査を保健所に委託した場合は、算定しない。

ア 新生児出血症(新生児メレナ、ビタミンK欠乏症等)等の病気で「血が止まりにくい」との指摘を受けた者

イ 肝硬変や劇症肝炎で入院し、出血の著しかった者

ウ 食道静脈瘤の破裂、消化器系疾患により大量の吐下血があった者

エ 大量に出血するような手術を受けた者(出産時の大量出血も含む。)

なお、間質性肺炎等後天性免疫不全症候群の疾病と鑑別が難しい疾病が認められる場合やHIVの感染に関連しやすい性感染症が認められる場合でHIV感染症を疑わせる自他覚症状がある場合は、本検査を算定できる。

(10) HIV―1抗体価及びHIV―1,2抗体価

ア 区分番号「K920」輸血料(「4」の自己血輸血を除く。以下この項において同じ。)を算定した患者又は血漿成分製剤(新鮮液状血漿、新鮮凍結人血漿等)の輸注を行った患者に対して、一連として行われた当該輸血又は輸注の最終日から起算して、概ね2か月後に「15」のHIV―1抗体価又は「16」のHIV―1,2抗体価の測定が行われた場合は、HIV感染症を疑わせる自他覚症状の有無に関わらず、当該輸血又は輸注につき1回に限り、所定点数を算定できる。

イ 他の保険医療機関において輸血料の算定又は血漿成分製剤の輸注を行った場合であってもアと同様とする。

ウ ア又はイの場合においては、診療報酬明細書の摘要欄に当該輸血又は輸注が行われた最終日を記載する。

(11) 「16」のHIV―1,2抗体価は、EIA法、PA法又は免疫クロマト法による。

(12) 「17」のA群β溶連菌迅速試験と区分番号「D018」細菌培養同定検査を同時に実施した場合は、A群β溶連菌迅速試験の所定点数のみを算定する。この場合において、A群β溶連菌迅速試験の結果が陰性のため、引き続いて細菌培養同定検査を実施した場合であっても、A群β溶連菌迅速試験の所定点数のみ算定する。

(13) インフルエンザウイルス抗原

ア 「18」のインフルエンザウイルス抗原は、発症後48時間以内に実施した場合に限り算定することができる。

イ 本検査と「11」のウイルス抗体価(半定量)のインフルエンザウイルスA型若しくはインフルエンザウイルスB型又は「17」のノイラミニダーゼを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

ウ 本検査は光学的抗原抗体反応(OIA法)により実施した場合にも算定できる。

(14) 「18」のカンジダ抗原は、カンジダ血症又はカンジダ肺炎の診断の目的で行った場合に算定する。

(15) 糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原

ア 「18」の糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原は、EIA法又は免疫クロマト法により測定した場合に限り算定できる。

イ 当該検査を含むヘリコバクター・ピロリ感染診断の保険診療上の取扱いについては「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日保険発第180号)に即して行うこと。

(16) 「18」のRSウイルス抗原は、入院中の患者において当該ウイルス感染症が疑われる場合に適用する。

(17) 「20」の大腸菌O157LPS抗原、「21」の大腸菌O157LPS抗体及び区分番号「D018」細菌培養同定検査の「2」の消化管からの検体によるもののうちいずれかを複数測定した場合は、主たるもののみ算定する。大腸菌O157LPS抗体はLA法による。

(18) ノイラミニダーゼ

ア 「17」のノイラミニダーゼは酵素反応法により、インフルエンザウイルス感染の診断を目的として発症後48時間以内に実施した場合に限り算定する。

イ 本検査と「11」のウイルス抗体価(半定量)のインフルエンザウイルスA型若しくはインフルエンザウイルスB型又は「18」のインフルエンザウイルス抗原を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(19) 「19」のD―アラビニトールは、カンジダ血症又はカンジダ肺炎の診断の目的で行った場合に算定する。

(20) 「19」の抗クラミジア・ニューモニエIgM抗体価を、「9」のクラミジア・ニューモニエIgG抗体価又は「10」のクラミジア・ニューモニエIgA抗体価と併せて実施した場合は、主たるもの1つに限り算定する。

(21) 「20」のクラミジアトラコマチス抗原は、泌尿器、生殖器、結膜又は鼻咽腔内からの検体によるものであり、当該検査に係る検体採取料は所定点数に含まれる。

(22) 「20」のクラミジアトラコマチス抗原(結膜又は鼻咽腔内からの検体によるもの)は、封入体結膜炎若しくはトラコーマ又は乳児クラミジアトラコマチス肺炎の診断のために実施した場合に算定できる。

(23) 「20」のアスペルギルス抗原はLA法又はELISA法により、侵襲性肺アスペルギルス症の診断のために実施した場合にのみ算定できる。

(24) 「21」の淋菌抗原同定検査は、区分番号「D018」細菌培養同定検査を同時に実施した場合は、別に算定できない。

(25) 「21」の単純ヘルペスウイルス特異抗原は、ヘルペスウイルスの型別確認を行った場合に算定できる。

(26) 「21」の大腸菌抗原同定検査は、区分番号「D018」細菌培養同定検査により大腸菌が確認された後、血清抗体法により大腸菌のO抗原又はH抗原の同定を行った場合に、使用した血清の数、菌種等に関わらず算定する。この場合において区分番号「D018」細菌培養同定検査の費用は別に算定できない。

(27) 「23」の尿中肺炎球菌莢膜抗原は、免疫クロマト法により実施した場合に限り算定できる。

(28) 「23」の抗アニサキスIgG・A抗体価は、腸アニサキス症、肉芽腫を伴う慢性胃アニサキス症又はアニサキス異所迷入例(肺アニサキス症等)における診断のために実施した場合のみ算定できる。

(29) 「23」のレプトスピラ抗体価は、秋疫A、秋疫B、秋疫C、ワイル病、カニコーラのそれぞれについて算定する。

(30) 「24」のツツガムシ抗体価は、各株ごとに算定する。

(31) グロブリンクラス別クラミジアトラコマチス抗体価

ア 「24」のグロブリンクラス別クラミジアトラコマチス抗体価は、クラミジアトラコマチス抗原検出不能又は検体採取の困難な疾患(骨盤内感染症、卵管炎、副睾丸炎、新生児・乳児肺炎等)の診断に際し、IgG抗体価又はIgA抗体価を測定した場合又は新生児・乳幼児肺炎の診断に際し、IgM抗体価を測定した場合に算定する。

イ IgG抗体価、IgA抗体価及びIgM抗体価のうち2項目以上を同時に測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(32) 「24」の(1→3)―β―D―グルカンは、発色合成基質法又は比濁時間分析法により、深在性真菌感染症が疑われる患者に対する治療法の選択又は深在性真菌感染症に対する治療効果の判定に使用した場合に算定する。

なお、本検査を「18」のカンジダ抗原、「19」のD―アラビニトール、「20」のアスペルギルス抗原又は「22」のクリプトコックス・ネオフォルマンス抗原と併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(33) 「24」のサイトメガロウイルス抗体価を「25」のグロブリンクラス別ウイルス抗体価と併せて行った場合は、主たるもののみを算定する。

(34) グロブリンクラス別ウイルス抗体価

ア 「25」のグロブリンクラス別ウイルス抗体価は、下記の項目のウイルスのIgG型ウイルス抗体価又はIgM型ウイルス抗体価を測定した場合に算定する。ただし、「(ト)」のヒトパルボウイルスB19は、紅斑が出現している妊婦について、このウイルスによる感染症が強く疑われ、IgM型ウイルス抗体価を測定した場合に算定する。

(イ) ヘルペスウイルス

(ロ) 風疹ウイルス

(ハ) サイトメガロウイルス

(ニ) EBウイルス

(ホ) 麻疹ウイルス

(ヘ) ムンプスウイルス

(ト) ヒトパルボウイルスB19

イ 同一ウイルスについてIgG型ウイルス抗体価及びIgM型ウイルス抗体価を測定した場合にあっては、いずれか一方の点数を算定する。

ウ 「11」のウイルス抗体価(半定量)と併せて測定した場合にあっては、いずれか一方の点数を算定する。

(35) 「26」の尿中レジオネラ抗原は、症状や所見からレジオネラ症が疑われる患者に対して、ELISA法又は免疫クロマト法により実施した場合に限り1回を限度として算定する。

(36) 「28」のHIV―1抗体価(ウエスタンブロット法)又は「30」のHIV―2抗体価(ウエスタンブロット法)は、スクリーニング検査としての「15」のHIV―1抗体価又は「16」のHIV―1,2抗体価が陽性の場合の確認診断用の検査である。

(37) 「29」のダニ特異IgG抗体価は、減感作療法実施中の患者の場合に、必要な限度において算定できる。

(38) 「29」のワイルフェリックス反応は、菌株ごとにそれぞれ所定点数を算定する。

(39) 「31」の白血球中サイトメガロウイルスpp65抗原は免疫染色法により、臓器移植後若しくは造血幹細胞移植後の患者又はHIV感染者又は高度細胞性免疫不全の患者に対して行った場合のみ算定できる。ただし、高度細胞性免疫不全の患者については、当該検査が必要であった理由について、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(40) 「32」のHTLV―Ⅰ抗体価(ウエスタンブロット法)は、「12」のHTLV―Ⅰ抗体価(半定量)又は「22」のHTLV―Ⅰ抗体価によって陽性が確認された症例について、確定診断の目的で行われた場合にのみ算定する。

(41) 「33」のHIV抗原は、HIV感染者の経過観察又はHIV感染ハイリスク群が急性感染症状を呈した場合の確定診断に際して測定した場合に算定する。

D013 肝炎ウイルス関連検査

(1) 「1」のHBs抗原(定性、半定量)は、免疫クロマト法、粒子凝集法、EIA法(簡易法)、金コロイド凝集法による。

(2) 「2」のHBs抗体価(半定量)は、赤血球凝集法、粒子凝集法、EIA法(簡易法)、金コロイド凝集法による。

(3) 「5」のHCVコア蛋白質は、EIA法又はIRMA法による。

(4) 「6」のHBc抗体価とIgM―HBc抗体価を同時に測定した場合は、一方の所定点数を算定する。

(5) 「6」のHA抗体価とIgM―HA抗体価を同時に測定した場合は、一方の所定点数のみを算定する。

(6) 「8」のHCV特異抗体価測定による群別判定は、EIA法により、C型肝炎の診断が確定した患者に対して、C型肝炎の治療法の選択の目的で実施した場合に、患者1人につき1回に限り算定できる。

(7) 「9」のB型肝炎ウイルスコア関連抗原(HBcrAg)は、B型肝炎ウイルス感染の診断の補助及び治療効果の判定の目的で、血清又は血漿中のB型肝炎ウイルスコア関連抗原(HBcrAg)を測定した場合に1月に1回に限り算定する。なお、区分番号「D023」微生物核酸同定・定量検査の「3」のHBV核酸定量検査又は「5」のDNAポリメラーゼを同時に測定した場合は、主たるもののみ算定する。

D014 自己抗体検査

(1) 「2」のリウマトイド因子、「8」の抗ガラクトース欠損IgG抗体価、「8」のマトリックスメタロプロテイナーゼ―3(MMP―3)、「10」のC1q結合免疫複合体、「13」のモノクローナルRF結合免疫複合体、「14」のIgG型リウマチ因子及び「14」のC3d結合免疫複合体のうち3項目以上を併せて実施した場合には、主たるもの2つに限り算定する。

(2) 「8」の抗ガラクトース欠損IgG抗体価は、ECLIA法又はレクチン酵素免疫測定法による。なお、「2」のリウマトイド因子を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(3) 「9」の抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体を、「3」のマイクロゾームテストと併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(4) 血清中抗RNAポリメラーゼⅢ抗体

ア 血清中抗RNAポリメラーゼⅢ抗体は、「10」の抗Sc1―70抗体に準じて算定する。

イ びまん性型強皮症の確定診断を目的として行った場合には、1回を限度として算定できる。

ウ イの診断において陽性と認められた患者に関し、腎クリーゼのリスクが高い者については治療方針の決定を目的として行った場合に、腎クリーゼ発症後の者については病勢の指標として測定した場合に、それぞれ3月に1回を限度として算定できる。

(5) 「12」の抗セントロメア抗体は、原発性胆汁性肝硬変又は強皮症の診断又は治療方針の決定を目的に用いた場合のみ算定できる。

(6) 抗シトルリン化ペプチド抗体

ア 「14」の抗シトルリン化ペプチド抗体は、関節リウマチと確定診断できない者に対して診断の補助として検査を行った場合に、原則として1回を限度として算定できる。ただし、当該検査結果が陰性の場合においては、3月に1回に限り算定できる。なお、当該検査を2回以上算定するに当たっては、検査値を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

イ 「14」の抗シトルリン化ペプチド抗体、「8」の抗ガラクトース欠損IgG抗体価、「8」のマトリックスメタロプロテイナーゼ―3(MMP―3)、「10」のC1q結合免疫複合体、「13」のモノクローナルRF結合免疫複合体、「14」のIgG型リウマチ因子及び「14」のC3d結合免疫複合体のうち2項目以上を併せて実施した場合には、主たるもの1つに限り算定する。

(7) 抗LKM―1抗体

ア 「15」の抗LKM―1抗体は、ウイルス肝炎、アルコール性肝障害及び薬剤性肝障害のいずれでもないことが確認され、かつ、抗核抗体陰性の自己免疫性肝炎が強く疑われる患者を対象として測定した場合のみ算定できる。

イ 本検査を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に抗核抗体陰性である旨を記載すること。

(8) 「16」の抗カルジオリピン抗体と「15」の抗カルジオリピンβ2グリコプロテインⅠ(抗CLβ2GPⅠ)複合体抗体を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(9) 「16」のTSHレセプター抗体及び「20」のTSH刺激性レセプター抗体(TSAb)を同時に行った場合は、いずれか一方のみ算定する。

(10) 血清中抗デスモグレイン3抗体

ア 「17」の血清中抗デスモグレイン3抗体は、ELISA法により、天疱瘡の鑑別診断又は経過観察中の治療効果判定を目的として測定した場合に算定できる。なお、鑑別診断目的の対象患者は、厚生省特定疾患調査研究事業稀少難治性疾患に関する調査研究班による「天疱瘡診断基準」により、天疱瘡が強く疑われる患者とする。

イ 尋常性天疱瘡の患者に対し、経過観察中の治療効果判定の目的で、本検査と「19」の血清中抗デスモグレイン1抗体を併せて測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(11) 「17」の血清中抗BP180NC16a抗体は、ELISA法により、水疱性類天疱瘡の鑑別診断又は経過観察中の治療効果判定を目的として測定した場合に算定できる。

(12) 「18」のループスアンチコアグラントは、希釈ラッセル蛇毒試験法又はリン脂質中和法により、抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として行った場合に限り算定する。

(13) 「18」の抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO―ANCA)は、ELISA法により、急速進行性糸球体腎炎の診断又は経過観察のために測定した場合に算定する。

(14) 「18」の抗糸球体基底膜抗体は、抗糸球体基底膜抗体腎炎及びグッドパスチャー症候群の診断又は治療方針の決定を目的として行った場合に限り算定する。

(15) 血清中抗デスモグレイン1抗体

ア 「19」の血清中抗デスモグレイン1抗体は、ELISA法により、天疱瘡の鑑別診断又は経過観察中の治療効果判定を目的として測定した場合に算定できる。なお、鑑別診断目的の対象患者は、厚生省特定疾患調査研究事業稀少難治性疾患に関する調査研究班による「天疱瘡診断基準」により、天疱瘡が強く疑われる患者とする。

イ 落葉状天疱瘡の患者に対し、経過観察中の治療効果判定の目的で、本検査と「17」の血清中抗デスモグレイン3抗体を併せて測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(16) 「21」のIgG4は、ネフェロメトリー法による。

(17) 「22」の抗GM1IgG抗体は、ELISA法により、進行性筋力低下又は深部腱反射低下等のギラン・バレー症候群が疑われる所見が見られる場合において、診断時に1回に限り算定でき、経過観察時は算定できない。

(18) 「22」の抗GQ1bIgG抗体は、ELISA法により、眼筋麻痺又は小脳性運動失調等のフィッシャー症候群が疑われる場合において、診断時に1回に限り算定でき、経過観察時は算定できない。

(19) 「23」の抗アセチルコリンレセプター抗体価は、重症筋無力症の診断又は診断後の経過観察の目的で行った場合に算定できる。

(20) 「24」のグルタミン受容体自己抗体は、ラスムッセン脳炎、小児の慢性進行性持続性部分てんかん又はオプソクローヌス・ミオクローヌス症候群の診断の補助として行った場合に、1月に1回に限り算定できる。

D015 血漿蛋白免疫学的検査

(1) 「4」の免疫グロブリンは、IgG、IgA、IgM及びIgDを測定した場合に、それぞれ所定点数を算定する。

(2) 「6」の血清アミロイドA(SAA)蛋白を「1」のC反応性蛋白(CRP)定性又は「1」のC反応性蛋白(CRP)と併せて測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(3) 「8」の補体蛋白(C3)、「8」の補体蛋白(C4)及び「7」のトランスフェリンは、SRID法等による。

(4) 「16」のアレルゲン刺激性遊離ヒスタミン(HRT)は細胞反応測定法により実施され、「11」の特異的IgEと同時に行った場合であっても、特異抗原の種類ごとに所定点数を算定し、特異的IgEと併せて1,430点を限度として算定する。

(5) 「18」の血中APRスコアは、α1―酸性糖蛋白、ハプトグロビン及びCRPの3つを測定した場合に算定する。

(6) 「18」のアトピー鑑別試験は、12種類の吸入性アレルゲン(ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ、ネコ皮屑、イヌ皮屑、ギョウギシバ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、シラカンバ(属)、スギ、カンジダ、アルテルナリア)に対する特異的IgEを測定した場合に算定する。

(7) 「18」のヒトTARCは、血清中のヒトTARC量を測定する場合に月1回に限り算定できる。

(8) 「19」の頸管腟分泌液中癌胎児性フィブロネクチンは、破水の診断のために妊娠満22週以上満37週未満の者を対象として測定した場合又は切迫早産の診断のために妊娠満22週以上満33週未満の者を対象として測定した場合のみ算定する。

(9) 「19」の頸管腟分泌液中癌胎児性フィブロネクチン及び区分番号「007」血液化学検査の「34」の腟分泌液中インスリン様成長因子結合蛋白1型(IGFBP―1)を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(10) 免疫電気泳動法によってIgA、IgM及びIgGを同時に測定した場合は、1回の検査として「21」の免疫電気泳動法により算定する。

(11) 免疫グロブリンL鎖κ/λ比

ア 「23」の免疫グロブリンL鎖κ/λ比はネフェロメトリー法により、高免疫グロブリン血症の鑑別のために測定した場合に算定できる。

イ 「23」の免疫グロブリンL鎖κ/λ比と「21」の免疫電気泳動法を同時に実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(12) 「24」の結核菌特異蛋白刺激性遊離インターフェロン―γは、診察又は画像診断等により結核感染が強く疑われる患者を対象として測定した場合のみ算定できる。ただし、区分番号「D023」微生物核酸同定・定量検査の「7」の結核菌群核酸同定検査を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

D016 細胞機能検査

(1) 「4」の顆粒球スクリーニング検査は、白血球墨粒貪食試験、NBT還元能検査を、「2」の顆粒球機能検査は、化学遊走物質、細菌、光化学反応を用いた検査を、「3」のモノクローナル抗体法によるT細胞サブセット検査は、免疫不全の診断目的に行う検査をいい、いずれも検査方法にかかわらず、一連として算定する。

(2) 「5」のフローサイトメトリーのTwo-color分析法による赤血球検査は、発作性夜間血色素尿症(PHN)の鑑別診断のため、2種類のモノクローナル抗体を用いた場合に算定できる。

(3) 「6」のリンパ球幼若化検査(一連につき)は、Con―A、PHA又は薬疹の被疑医薬品によるものである。

D017 排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査

(1) 排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査は、尿、糞便、喀痰、穿刺液、胃液、十二指腸液、胆汁、膿、眼分泌液、鼻腔液、咽喉液、口腔液、その他の滲出物等について細菌、原虫等の検査を行った場合に該当する。

(2) 染色の有無及び方法の如何にかかわらず、また、これら各種の方法を2以上用いた場合であっても、1回として算定する。

D018 細菌培養同定検査

(1) 細菌培養同定検査

ア 細菌培養同定検査は、抗酸菌を除く一般細菌、真菌、原虫等を対象として培養を行い、同定検査を行うことを原則とする。

イ 同定検査を予定して培養したものであれば、菌が陰性の場合であっても「1」から「5」までの項により算定するが、あらかじめ培養により菌の有無のみを検索する場合は、検体の種類にかかわらず、「6」の簡易培養検査により算定する。

ウ 細菌培養同定検査は、検体ごとに「1」から「5」までの所定点数を算定できるが、同一検体を用いて簡易培養検査を併せて行った場合は、「6」の簡易培養検査は算定できない。

エ 症状等から同一起因菌によると判断される場合であって、当該起因菌を検索する目的で異なった部位から、又は同一部位の数か所から検体を採取した場合は、主たる部位又は1部位のみの所定点数を算定する。

オ 各検体別の所定点数には、定量培養を行った場合を含む。

(2) 「3」における穿刺液とは、胸水、腹水、髄液及び関節液をいい、「5」の「その他の部位からの検体」とは、「1」から「4」までに掲げる部位に含まれない全ての部位からの検体をいい、例えば、皮下からの検体をいう。

(3) 簡易培養検査

ア 「6」の簡易培養検査は、Dip-Slide法、簡易培地等を用いて簡単な培養を行うものである。

イ ウロトレース、ウリグロックスペーパー等の尿中細菌検査用試験紙による検査は、区分番号「D000」尿中一般物質定性半定量検査に含まれるものであり、別に算定できない。

(4) 嫌気性培養のみを行った場合は、「1」から「6」の所定点数のみ算定し、「注」の加算は算定できない。

D019 細菌薬剤感受性検査

細菌薬剤感受性検査は、結果として菌が検出できず実施できなかった場合においては算定しない。

D019―2 酵母様真菌薬剤感受性検査

酵母様真菌薬剤感受性検査は、深在性真菌症(カンジダ、クリプトコックスに限る。)であり、原因菌が分離できた患者に対して行った場合に限り算定する。

D020 抗酸菌分離培養検査

(1) 抗酸菌分離培養検査は、検体の採取部位が異なる場合であっても、同時に又は一連として検体を採取した場合は、1回のみ所定点数を算定する。

(2) 「1」の抗酸菌分離培養検査1は、液体培地を用いて培養を行い、酸素感受性蛍光センサー、二酸化炭素センサー又は酸化還元呈色色素を用いて検出を行った場合に算定する。

(3) 「2」の抗酸菌分離培養検査2は、(2)に掲げるもの以外について算定する。

(4) 抗酸菌分離培養検査は、結核患者の退院の可否を判断する目的で、患者の病状を踏まえ頻回に行われる場合においても算定できる。

D021 抗酸菌同定検査

抗酸菌同定検査は、検査方法、培地数にかかわらず、1回のみ所定点数を算定する。

D022 抗酸菌薬剤感受性検査

(1) 抗酸菌薬剤感受性検査は、直接法、間接法等の方法及び培地数にかかわらず、感受性検査を行った薬剤が4種類以上の場合に限り算定する。

(2) 混合薬剤耐性検査においても、使われた薬剤の種類により算定する。

D023 微生物核酸同定・定量検査

(1) クラミジアトラコマチス核酸同定検査

ア 「2」のクラミジアトラコマチス核酸同定検査と区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「20」のクラミジアトラコマチス抗原を併用した場合は、主なもののみ算定する。

イ クラミジアトラコマチス核酸同定検査は、PCR法、LCR法、核酸ハイブリダイゼーション法、ハイブリッドキャプチャー法又はSDA法による。クラミジアトラコマチス核酸同定検査は、泌尿器、生殖器又は咽頭からの検体によるものである。

(2) 淋菌核酸同定検査

ア 「2」の淋菌核酸同定検査、区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「21」の淋菌抗原同定検査又は区分番号「D018」細菌培養同定検査を併せて実施した場合は、主なもののみ算定する。

イ 淋菌核酸同定検査は、DNAプローブ法、LCR法による増幅とEIA法による検出を組み合わせた方法、PCR法による増幅と核酸ハイブリダイゼーション法による検出を組み合わせた方法又はSDA法による。淋菌核酸同定検査は、泌尿器、生殖器又は咽頭からの検体によるものである。ただし、男子尿を含み、女子尿を含まない。なお、SDA法においては咽頭からの検体も算定できる。

(3) 「3」のHBV核酸定量検査は、分岐DNAプローブ法、TMA法又はPCR法による。

(4) 淋菌及びクラミジアトラコマチス同時核酸増幅同定検査

ア 「4」の淋菌及びクラミジアトラコマチス同時核酸増幅同定検査は、クラミジア・トラコマチス感染症若しくは淋菌感染症が疑われる患者又はクラミジア・トラコマチスと淋菌による重複感染が疑われる患者であって、臨床所見、問診又はその他の検査によっては感染因子の鑑別が困難なものに対して治療法選択のために実施した場合及びクラミジア・トラコマチスと淋菌の重複感染者に対して治療効果判定に実施した場合に算定できる。

ただし、区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「21」の淋菌抗原同定検査、同区分「20」のクラミジアトラコマチス抗原、本区分「2」の淋菌核酸同定検査又はクラミジアトラコマチス核酸同定検査を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

イ 「4」の淋菌及びクラミジアトラコマチス同時核酸増幅同定検査は、TMA法による同時増幅法並びにHPA法及びDKA法による同時検出法、PCR法による同時増幅法及び核酸ハイブリダイゼーション法による同時検出法又はSDA法による。淋菌及びクラミジアトラコマチス同時核酸増幅同定検査は、泌尿器又は生殖器からの検体によるものである。ただし、男子尿は含み、女子尿は含まない。なお、TMA法による同時増幅法並びにHPA法及びDKA法による同時検出法又はSDA法においては咽頭からの検体も算定できる。

(5) HCV核酸同定検査

ア 「6」のHCV核酸同定検査はPCR法又はTMA法により、C型肝炎の治療方法の選択及び治療経過の観察に用いた場合にのみ算定できる。

イ 治療方法の選択の場合においては、抗体陽性であり、かつ、「9」のHCV核酸定量検査で検出限界を下回る者について実施した場合に算定できるものとし、治療経過の観察の場合においては、本検査と「9」のHCV核酸定量検査を併せて実施した場合には、いずれか一方に限り算定する。

(6) 「6」のHPV核酸同定検査は、予め行われた細胞診の結果、ベセスダ分類上ASC―US(意義不明異型扁平上皮)と判定された患者に対して行った場合に限り算定できる。細胞診と同時に実施した場合は算定できない。

(7) 抗酸菌群核酸同定検査

ア 「7」の抗酸菌群核酸同定検査は、マイクロプレート・ハイブリダイゼーション法によるものをいう。

イ 「7」の抗酸菌群核酸同定検査は、結核患者の退院の可否を判断する目的で、患者の病状を踏まえ頻回に行われる場合においても算定できる。

(8) 「7」の結核菌群核酸同定検査は、核酸増幅と液相ハイブリダイゼーション法による検出又はLCR法による核酸増幅とEIA法による検出を組み合わせた方法による。

なお、結核患者の退院の可否を判断する目的で、患者の病状を踏まえ頻回に行われる場合においても算定できる。

(9) マイコバクテリウムアビウム・イントラセルラー核酸同定検査

ア 「8」のマイコバクテリウムアビウム・イントラセルラー核酸同定検査は、他の検査により結核菌が陰性であることが確認された場合のみに算定できる。

イ 区分番号「D021」抗酸菌同定検査が併せて実施された場合にあっては、主なもののみ算定する。

(10) HCV核酸定量検査

ア 「9」のHCV核酸定量検査は、分岐DNAプローブ法又はPCR法により、急性C型肝炎の診断、C型肝炎の治療法の選択及び治療経過の観察に用いた場合にのみ算定できる。

イ 治療経過の観察の場合において、「9」のHCV核酸定量検査及び「6」のHCV核酸同定検査を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(11) 血清中のHBVプレコア変異及びコアプロモーター変異遺伝子同定検査

ア 「9」の血清中のHBVプレコア変異及びコアプロモーター変異遺伝子同定検査は、下記「イ」又は「ウ」に掲げる患者に対し、PCR法により測定した場合に限り算定できる。

イ B型急性肝炎患者に対しては、劇症肝炎が疑われる場合に限り、患者1人につき1回算定できる。

ウ B型慢性肝炎患者に対しては、経過観察中にALT異常値などにより肝炎増悪が疑われ、かつ、抗ウイルス薬等のB型肝炎治療薬の投与対象患者の選択のために行われた場合に限り算定できる。なお、本検査実施以降は、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査のうちB型肝炎に関する検査(ただし抗ウイルス薬等のB型肝炎治療薬の治療効果判定に用いる検査を除く。)は、算定できない。

(12) 「9」のブドウ球菌メチシリン耐性遺伝子同定検査は、ED―PCR法又はPCR法により、血液培養により黄色ブドウ球菌が検出された患者を対象として測定した場合又は免疫不全状態であって、MRSA感染症が強く疑われる患者を対象として測定した場合のみ算定できる。

(13) SARSコロナウイルス核酸増幅同定検査

ア 「9」のSARSコロナウイルス核酸増幅同定検査は、LAMP法により測定した場合に限り算定できる。

イ 「9」のSARSコロナウイルス核酸増幅同定検査は、糞便又は鼻腔咽頭拭い液からの検体により行うものである。

ウ 本検査は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について」(平成18年3月8日健感発第0308001号)による臨床的特徴、届出基準によりSARS感染症の患者であることが強く疑われる者に対して行った場合に、診断の確定までの間に1回を限度として算定する。ただし、発症後10日以内に他疾患であるとの診断がつかない場合は、さらに1回に限り算定できる。

(14) HIV―Ⅰ核酸定量検査

ア 「10」のHIV―Ⅰ核酸定量検査はPCR法と核酸ハイブリダイゼーション法を組み合わせた方法により、HIV感染者の経過観察に用いた場合又は区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「15」のHIV―1抗体価又は「16」のHIV―1,2抗体価が陽性の場合の確認診断に用いた場合にのみ算定する。

イ HIV―Ⅰ核酸定量検査と区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「28」のHIV―1抗体価(ウエスタンブロット法)を併せて実施した場合は、それぞれを算定することができる。

(15) 結核菌群リファンピシン耐性遺伝子同定検査

ア 「11」の結核菌群リファンピシン耐性遺伝子同定検査は、同時に結核菌を同定した場合に限り算定する。

イ 「11」の結核菌群リファンピシン耐性遺伝子同定検査は、「7」の結核菌群核酸同定検査を併用した場合は、主たるもののみ算定する。

(16) 「12」のHIV―ジェノタイプ薬剤耐性検査は、抗HIV治療の選択及び再選択の目的で行った場合に、3月に1回を限度として算定できる。

D023―2 その他の微生物学的検査

(1) 黄色ブドウ球菌ペニシリン結合蛋白2'(PBP2')

ア 「1」の黄色ブドウ球菌ペニシリン結合蛋白2'(PBP2')は、LA法により実施した場合に算定する。

イ 「1」の黄色ブドウ球菌ペニシリン結合蛋白2'(PBP2')は、血液培養により黄色ブドウ球菌が検出された患者を対象として測定した場合又は免疫不全状態であって、MRSA感染症が強く疑われる患者を対象として測定した場合のみ算定できる。

ウ 「1」の黄色ブドウ球菌ペニシリン結合蛋白2'(PBP2')と区分番号「D023」微生物核酸同定・定量検査の「9」のブドウ球菌メチシリン耐性遺伝子同定検査を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(2) 「2」の尿素呼気試験を含むヘリコバクター・ピロリ感染診断の保険診療上の取扱いについては「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日保険発第180号)に即して行うこと。

(3) 「3」の腸炎ビブリオ菌耐熱性溶血毒(TDH)検査は、ELISA法によるものであり、区分番号「D018」細菌培養同定検査によって、腸炎ビブリオ菌が確認された場合のみ算定できる。

(4) 大腸菌ベロトキシン検査

ア 「4」の大腸菌ベロトキシン検査は、大腸菌の抗原同定検査の結果より病原性大腸菌が疑われる患者に対して行った場合に算定する。

イ 「4」の大腸菌ベロトキシン検査のうち、細菌培養を行うことなく糞便から直接検出する方法であってELISA法によるものについては、臨床症状や流行状況から腸管出血性大腸菌感染症が強く疑われる場合に限り、大腸菌の抗原同定検査を踏まえることなく行った場合にも算定できる。

D024 動物使用検査

従前、細菌動物検査、妊娠動物検査、トキソプラズマ症におけるマウス使用検査等動物を用いて行う検査として認められていたものについては、本区分により算定する。

D025 基本的検体検査実施料

(1) 基本的検体検査実施料は、特定機能病院である保険医療機関の入院医療において通常行われる基本的な検査について、請求の簡素化の観点から包括化して入院日数に応じた請求方法を導入したものである。

(2) 基本的検体検査実施料に含まれない検査を行った場合は、別途当該検査に係る所定点数を算定でき、当該検査が基本的検体検査判断料の対象に含まれないものであるときは、当該検査に係る検体検査判断料も併せて別途算定できる。

(3) 入院日数については、入院の都度当該入院の初日から起算し、また、退院日も算定対象とする。

(4) 外泊期間中は、入院日数に含まれない。

(5) 療養病棟、結核病棟若しくは精神病棟に入院している患者及び第1章第2部第2節に規定するHIV感染者療養環境特別加算若しくは重症者等療養環境特別加算又は同部第3節に規定する特定入院料を算定している患者については、基本的検体検査実施料は別に算定しないが、入院日数は入院の初日から数える。

(6) 1月を通じて、基本的検体検査実施料に包括されている検査項目のいずれも行われなかった場合は、当該月は本実施料は請求できない。

第2款 検体検査判断料

D026 検体検査判断料

(1) 検体検査については、実施した検査に係る検体検査実施料及び当該検査が属する区分(尿・糞便等検査判断料から微生物学的検査判断料までの6区分)に係る検体検査判断料を合算した点数を算定する。

(2) 各区分の検体検査判断料については、その区分に属する検体検査の種類及び回数にかかわらず、月1回に限り、初回検査の実施日に算定する。

(3) 実施した検査が属する区分が2以上にわたる場合は、該当する区分の判断料を合算した点数を算定できる。

(4) 同一月内において、同一患者に対して、入院及び外来の両方又は入院中に複数の診療科において検体検査を実施した場合においても、同一区分の判断料は、入院・外来又は診療科の別にかかわらず、月1回に限る。

(5) 上記の規定にかかわらず、区分番号「D000」尿中一般物質定性半定量検査を実施した場合は、当該検査に係る検体検査判断料は算定しない。

区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「15」の慢性維持透析患者外来医学管理料又は区分番号「D025」基本的検体検査実施料を算定した月と同一月に検体検査を行った場合は、それぞれの区分に包括されている検体検査に係る判断料は別に算定できない。

(6) 注3に規定する検体検査管理加算(Ⅰ)は入院中の患者及び入院中の患者以外の患者に対し、検体検査管理加算(Ⅱ)、検体検査管理加算(Ⅲ)及び検体検査管理加算(Ⅳ)は入院中の患者に対して、検体検査を実施し検体検査判断料のいずれかを算定した場合に、患者1人につき月1回に限り加算するものであり、検体検査判断料を算定しない場合に本加算は算定できない。

また、区分番号「D027」基本的検体検査判断料の注2に掲げる加算を算定した場合には、本加算は算定できない。

(7) 入院中の患者について注3に規定する検体検査管理加算(Ⅱ)、検体検査管理加算(Ⅲ)又は検体検査管理加算(Ⅳ)を算定している保険医療機関であっても、入院中の患者以外の患者について検体検査管理加算(Ⅰ)を算定することができる。

(8) 注4に規定する遺伝カウンセリング加算は、臨床遺伝学に関する十分な知識を有する医師が、区分番号「D006―4」遺伝学的検査を実施し、患者又はその家族に対し当該検査の結果に基づいて療養上の指導を行った場合に算定する。

なお、遺伝カウンセリングの実施に当たっては、厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン」(平成16年12月)及び関係学会による「遺伝学的検査に関するガイドライン」(平成15年8月)を遵守すること。

D027 基本的検体検査判断料

(1) 基本的検体検査判断料は、特定機能病院である保険医療機関の入院医療において通常行われる基本的な検査について、請求の簡素化の観点から、月1回の包括的な判断料を設定したものである。

(2) 基本的検体検査実施料に含まれない検査を行った場合は、当該検査が基本的検体検査判断料の対象に含まれないものであるときは、当該検査に係る検体検査判断料も併せて別途算定できる。

(3) 療養病棟、結核病棟若しくは精神病棟に入院している患者及び第1章第2部第2節に規定するHIV感染者療養環境特別加算若しくは重症者等療養環境特別加算を算定している患者については、基本的検体検査判断料は、別に算定しない。

(4) 1月を通じて、基本的検体検査実施料に包括されている検査項目のいずれも行われなかった場合は、当該月は本判断料は請求できない。

(5) 特定機能病院において、(3)に掲げる場合以外で基本的検体検査判断料を算定すべき場合は、尿・糞便等検査判断料、血液学的検査判断料、生化学的検査・判断料、免疫学的検査判断料及び微生物学的検査判断料を算定することはできず、本判断料を算定するものとする。

第2節 削除

第3節 生体検査料

1 同一月内において、同一患者に対して、入院及び外来の両方又は入院中に複数の診療科において生体検査が実施された場合であっても、同一の生体検査判断料は、月1回を限度として算定する。

2 2回目以降について所定点数の100分の90に相当する点数により算定することとされている場合において「所定点数」とは、当該項目に掲げられている点数及び当該注に掲げられている加算点数を合算した点数である。

3 同一月内に2回以上実施した場合、所定点数の100分の90に相当する点数により算定することとされている生体検査は、外来及び入院にまたがって行われた場合においても、これらを通算して2回目以降は100分の90で算定する。

4 2回目以降100分の90に相当する点数により算定することとされている場合に、新生児加算、乳幼児加算又は幼児加算を行う場合は、所定点数にそれぞれの割合を乗じた上で、端数が生じた場合には、これを四捨五入した点数により算定する。

[呼吸循環機能検査等に係る共通事項(区分番号「D200」から区分番号「D214」)]

(1) 2回目以降100分の90で算定する場合の「同一の検査」

区分番号「D208」心電図検査の「1」から「5」まで、区分番号「D209」負荷心電図検査の「1」及び「2」、区分番号「D210」ホルター型心電図検査の「1」及び「2」については、それぞれ同一の検査として扱う。また、準用が通知されている検査については、当該検査が準ずることとされている検査と同一の検査として扱う。

(2) 呼吸循環機能検査等に係る一般事項

ア 通則の「特に規定する場合」とは、区分番号「D208」心電図検査の「注」又は区分番号「D209」負荷心電図検査の「注1」に掲げる場合をさす。

イ 区分番号「D200」スパイログラフィー等検査から区分番号「D203」肺胞機能検査までの各検査については、特に定めのない限り、次に掲げるところによる。

a 実測値から算出される検査値については算定できない。

b 測定方法及び測定機器は限定しない。

c 負荷を行った場合は、負荷の種類及び回数にかかわらず、その前後の検査について、それぞれ1回のみ所定点数を算定する。

d 使用したガス(CO、CO2、He等)は、購入価格を10円で除して得た点数を別に算定できる。

e 喘息に対する吸入誘発試験は、負荷試験に準ずる。

(3) 肺活量計による肺活量の測定は、別に算定できない。

D200 スパイログラフィー等検査

(1) 「1」の肺気量分画測定には、予備吸気量、1回換気量及び予備呼気量の全ての実測及び実測値から算出される最大呼吸量の測定のほか、安静換気量及び最大換気量の測定が含まれる。

(2) 「1」の肺気量分画測定及び区分番号「D202」肺内ガス分布の「1」の指標ガス洗い出し検査とを同時に実施した場合には、機能的残気量測定は算定できない。

(3) 「2」のフローボリュームカーブは、曲線を描写し記録した場合にのみ算定し、強制呼出曲線の描出に係る費用を含む。また、フローボリュームカーブから計算によって求められる努力肺活量、1秒量、1秒率、MMF、PFR等は、別に算定できない。

(4) 「5」の左右別肺機能検査の所定点数には、カテーテル挿入並びに他の「1」から「4」までのスパイログラフィー等検査及び換気力学的検査の費用を含む。

(5) 体プレスチモグラフを用いる諸検査は、別に定めのない限り、「3」により算定する。

D201 換気力学的検査

「2」中のコンプライアンス測定の所定点数には、動肺コンプライアンス測定及び静肺コンプライアンス測定の双方を含む。

D204 基礎代謝測定

基礎代謝測定の所定点数には、患者に施用する窒素ガス又は酸素ガスの費用を含む。

D206 心臓カテーテル法による諸検査

(1) 心臓カテーテル検査により大動脈造影、肺動脈造影及び肺動脈閉塞試験を行った場合においても、心臓カテーテル法による諸検査により算定するものとし、血管造影等のエックス線診断の費用は、別に算定しない。

(2) 心臓カテーテル法による諸検査のようなカテーテルを用いた検査を実施した後の縫合に要する費用は、所定点数に含まれる。

(3) 「1」の右心カテーテル及び「2」の左心カテーテルを同時に行った場合であっても、「注1」、「注2」及び「注3」の加算は1回のみに限られる。

(4) 「注3」及び「注4」に掲げる加算は主たる加算を患者1人につき月1回に限り算定する。

(5) 心筋生検を行った場合は、区分番号「D417」組織試験採取、切採法の所定点数を併せて算定する。

D207 体液量等測定

(1) 体液量等測定の所定点数には、注射又は採血を伴うものについては第6部第1節第1款の注射実施料及び区分番号「D400」血液採取を含む。

(2) 「2」の皮弁血流検査は、1有茎弁につき2回までを限度として算定するものとし、使用薬剤及び注入手技料は、所定点数に含まれ、別に算定しない。

(3) 「2」の血流量測定は、電磁式によるものを含む。

(4) 「2」の電子授受式発消色性インジケーター使用皮膚表面温度測定は、皮弁形成術及び四肢の血行再建術後に、術後の血行状態を調べるために行った場合に算定する。

ただし、術後1回を限度とする。

なお、使用した電子授受式発消色性インジケーターの費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) 「2」の血管伸展性検査は、描写し記録した脈波図により脈波伝達速度を求めて行うものであり、このために行った脈波図検査と併せて算定できない。

D208 心電図検査

(1) 「1」の四肢単極誘導及び胸部誘導を含む最低12誘導は、普通、標準肢誘導(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)、単極肢誘導(aVRaVLaVF)、胸部誘導(V1、V2、V3、V4、V5、V6)の12誘導で、その他特別の場合にV7、V8、食道誘導等を行う場合もこれに含まれる。

(2) 当該保険医療機関以外の医療機関で描写したものについて診断のみを行った場合は、診断料として1回につき所定点数を算定できるが、患者が当該傷病につき当該医療機関で受診していない場合は算定できない。

(3) 当該保険医療機関以外の医療機関で描写した検査について診断を行った場合の算定については、2回目以降においても100分の90の算定としない。

(4) 「3」の携帯型発作時心電図記憶伝送装置使用心電図検査は、入院中の患者以外の患者に対して、携帯型発作時心電図記憶伝送装置を用いて発作時等の心電図を記録させた場合に、一連につき1回算定する。

(5) 「4」のバリストカルジオグラフは、心弾動計、弾動心拍出量計により行った場合に算定する。

D209 負荷心電図検査

(1) 負荷心電図検査の「負荷」は、運動負荷、薬剤負荷をいい、負荷の種類及び回数によらない。

(2) 当該保険医療機関以外の医療機関で描写したものについて診断のみを行った場合は、診断料として1回につき所定点数を算定できるが、患者が当該傷病につき当該医療機関で受診していない場合は算定できない。

(3) 当該保険医療機関以外の医療機関で描写した検査について診断を行った場合の算定については、2回目以降においても100分の90の算定としない。

(4) 負荷心電図検査には、この検査を行うために一連として実施された心電図検査を含むものであり、同一日に行われた心電図検査は、別に算定できない。

D210 ホルター型心電図検査

(1) ホルター型心電図検査は、患者携帯用の記録装置を使って長時間連続して心電図記録を行った場合に算定するものであり、所定点数には、単に記録を行うだけではなく、再生及びコンピューターによる解析を行った場合の費用を含む。

(2) やむを得ず不連続に記録した場合においては、記録した時間を合算した時間により算定する。また、24時間を超えて連続して記録した場合であっても、「2」により算定する。

D210―3 埋込型心電図検査

(1) 短期間に失神発作を繰り返し、その原因として不整脈が強く疑われる患者であって、心臓超音波検査及び心臓電気生理学的検査(心電図検査及びホルター心電図検査を含む。)等によりその原因が特定できない者に対して、原因究明を目的として使用した場合に限り算定できる。

(2) 埋込型心電図検査は、患者の皮下に埋込まれた記録装置を使って長時間連続して心電図記録を行った場合に算定するものであり、所定点数には、単に記録を行うだけではなく、再生及びコンピューターによる解析を行った場合の費用を含む。

(3) 埋込型心電図記録計を使用し診断を行った場合は、当該機器が埋込まれた時間ではなく、心電図が記録された時間に応じて算定する。

D211 トレッドミルによる負荷心肺機能検査、サイクルエルゴメーターによる心肺機能検査

(1) トレッドミルによる負荷心肺機能検査、サイクルエルゴメーターによる心肺機能検査には、この検査を行うために一連として実施された区分番号「D208」心電図検査、区分番号「D200」スパイログラフィー等検査を含むものであり、負荷の種類及び回数にかかわらず、所定点数により算定する。

(2) 呼吸器疾患に対して施行された場合にも、所定点数を算定できる。

D211―2 喘息運動負荷試験

(1) 喘息運動負荷試験は、運動負荷前後での換気機能の変化を観察した場合に算定できる。

(2) 喘息運動負荷試験には、この検査を行うために一連として実施された区分番号「D208」心電図検査、区分番号「D200」スパイログラフィー等検査を含むものであり、負荷の種類及び回数にかかわらず、所定点数により算定する。

D212 リアルタイム解析型心電図

(1) リアルタイム解析型心電図とは、入院中の患者以外の患者に対して8時間以上心電図をモニターしながら同時に波形を解析し、異常波形発現時にのみ記録を行い得るものをいう。

(2) リアルタイム解析型心電図記録計を用いて8時間以上心電図をモニターした場合は、解析の費用を含め、一連の使用について1回として算定する。

D212―2 携帯型発作時心電図記録計使用心電図検査

心電図を2日間以上連続して記録することができる携帯型発作時心電図記録計を用いて、記録スイッチ入力前を含む心電図を記録した場合に、解析の費用を含め、一連の使用について1回として算定する。

D213 心音図検査

亜硝酸アミル吸入心音図検査の点数算定は、薬剤負荷の前後の検査をそれぞれ1回として心音図検査により算定し、亜硝酸アミルについては、区分番号「D500」薬剤により算定する。

D214 脈波図、心機図、ポリグラフ検査

(1) 脈波図については、次に掲げる検査を2以上行った場合であり、脈波曲線を描写し記録した場合に算定する。

ア 心及び肝拍動図

イ 動脈波

ウ 静脈波

エ 容積脈波

オ 指尖脈波

カ 心尖(窩)拍動図

また、心機図とは各種脈波図と心電図、心音図検査等の2以上を同時に記録し、循環機能の解析を行う検査である。

(2) 「1」から「4」までの検査数については、種目又は部位を順次変えて検査した場合であっても、一連の検査のうちの最高検査数による。

(3) 運動又は薬剤の負荷による検査を行った場合には、負荷前後の検査をそれぞれ1回の検査として算定し、複数の負荷を行った場合であっても、負荷の種類及び回数にかかわらず、所定点数の100分の200を限度として算定する。

(4) 脈波図、心機図、ポリグラフ検査において、(1)に掲げる検査を1つのみ行った場合は区分番号「D207」体液量等測定の「1」により算定する。

D215 超音波検査

(1) 「1」から「5」までに掲げる検査のうち2以上のものを同一月内に同一の部位について行った場合、同一月内に2回以上行った場合の算定方法の適用においては、同一の検査として扱う。

(2) 超音波検査を同一の部位に同時に2以上の方法を併用する場合は、主たる検査方法により1回として算定する。また、同一の方法による場合は、部位数にかかわらず、1回のみの算定とする。

(3) 超音波検査の記録に要した費用(フィルム代、印画紙代、記録紙代、テープ代等)は、所定点数に含まれる。

(4) 体表には肛門、甲状腺、乳腺、表在リンパ節等を含む。

(5) 「2」の断層撮影法(心臓超音波検査を除く。)において血管の血流診断を目的としてパルスドプラ法を併せて行った場合には、「注2」に掲げる加算を算定できる。

(6) 「3」の心臓超音波検査の所定点数には、同時に記録した心音図、脈波図、心電図及び心機図の検査の費用を含む。

(7) 「3」の心臓超音波検査の所定点数にはパルスドプラ法の費用が含まれており、別に算定できない。

(8) 「3」の心臓超音波検査以外で、断層撮影法とMモード法を併用した場合の点数算定は、「2」の「イ」により算定する。

(9) 「3」の「ロ」Mモード法はMモード法のみで検査を行った場合に算定する。「3」の心臓超音波検査以外で、Mモード法のみの検査を行った場合は、「3」の「ロ」により算定する。

(10) 「3」の「二」胎児心エコー法は、胎児の心疾患が強く疑われた症例に対して、循環器内科、小児科又は産婦人科の経験を5年以上有する医師(胎児心エコー法を20症例以上経験している者に限る。)が診断を行う場合に算定する。その際、当該検査で得られた主な所見を診療録に記載すること。また、「4」の「イ」の胎児心音観察に係る費用は所定点数に含まれており、別に算定できない。

(11) 「4」の「イ」の末梢血管血行動態検査は、慢性動脈閉塞症の診断及び病態把握のために行った場合に算定する。

(12) 「4」の「ロ」の脳動脈血流速度連続測定とは、経頭蓋骨的に連続波又はパルスドプラを用いて、ソノグラムを記録して血流の分析を行う場合をいう。

(13) 「4」の「ハ」の脳動脈血流速度マッピング法とは、パルスドプラにより脳内動脈の描出を行う場合をいう。

(14) 「5」の血管内超音波法の算定は次の方法による。

ア 検査を実施した後の縫合に要する費用は所定点数に含まれる。

イ 本検査を、左心カテーテル検査及び右心カテーテル検査と併せて行った場合は、左心カテーテル検査及び右心カテーテル検査の所定点数に含まれる。

ウ エックス線撮影に用いられたフィルムの費用は、区分番号「E400」フィルムの所定点数により算定する。

エ 区分番号「D220」呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープの費用は、所定点数に含まれる。

(15) 「注1」における「造影剤を使用した場合」とは、静脈内注射、動脈注射又は点滴注射により造影剤を使用し検査を行った場合をいう。また、「3」の心臓超音波検査においては、心筋虚血の診断を目的とした場合に算定できる。この場合、心筋シンチグラフィーを同一月に実施した場合には主たるもののみ算定する。

D216―2 残尿測定検査

(1) 残尿測定検査は、前立腺肥大症、神経因性膀胱又は過活動膀胱の患者に対し、超音波若しくはカテーテルを用いて残尿を測定した場合に算定する。

(2) 「1」の超音波検査によるものと「2」の導尿によるものを同一日に行った場合は、主たるもののみ算定する。

D217 骨塩定量検査

(1) 骨塩定量検査は、骨粗鬆症の診断及びその経過観察の際のみ算定できる。ただし、4月に1回を限度とする。

(2) 「1」の注はDEXA法による腰椎撮影及び大腿骨撮影を同一日に行った場合にのみ算定できる。

(3) 「2」の「MD法、SEXA法等」の方法には、DEXA法(dual Energy x-Ray Absor ptiometry)、単一光子吸収法(SPA:Single Photon Absorptiometry)、二重光子吸収法(DPA:Dual Photon Absorptiometry)、MD法(Microdensitometryによる骨塩定量法)、DIP法(Digital Image Processing)、SEXA法(single Energy x-Ray Absorptiometry)、単色X線光子を利用した骨塩定量装置による測定及びpQCT(peripheral Quantitative Computed Tomography)による測定がある。

(4) MD法による骨塩定量検査を行うことを目的として撮影したフィルムを用いて画像診断を併施する場合は、「2」の「MD法、SEXA法等」の所定点数又は画像診断の手技料(区分番号「E001」写真診断及び区分番号「E002」撮影)の所定点数のいずれか一方により算定する。ただし、区分番号「E400」フィルムの費用は、いずれの場合でも、手技料とは別に算定できる。

D218 分娩監視装置による諸検査

分娩監視装置による諸検査は、胎児仮死、潜在胎児仮死及び異常分娩の経過改善の目的で陣痛促進を行う場合にのみ算定できるものであり、陣痛曲線、胎児心電図及び胎児心音図を記録した場合も、所定点数に含まれる。

D219 ノンストレステスト

(1) ノンストレステストは、区分番号「A237」ハイリスク分娩管理加算の算定対象となる患者に対し行われた場合に算定する。

(2) ノンストレステストは入院中の患者に対して行った場合には1週間につき3回、入院中の患者以外の患者に対して行った場合には1週間につき1回に限り算定できる。なお、1週間の計算は暦週による。

D220 呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープ

(1) 呼吸心拍監視は、重篤な心機能障害若しくは呼吸機能障害を有する患者又はそのおそれのある患者に対して、常時監視を行っている場合に算定されるものである。この際、呼吸曲線の観察の有無に関わらず、心電曲線、心拍数の観察を行った場合は、所定点数を算定する。

(2) 呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)又はカルジオタコスコープは、観察した呼吸曲線、心電曲線、心拍数のそれぞれの観察結果の要点を診療録に記載した場合に算定できる。

(3) 新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)又はカルジオタコスコープは、重篤な心機能障害若しくは呼吸機能障害を有する患者又はそのおそれのある患者に対し、心電曲線及び心拍数の観察を行っている場合に算定する。この際、呼吸曲線を同時に観察した場合の費用は所定点数に含まれる。

(4) 呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)又はカルジオタコスコープを同一日に行った場合は、主たるもののみ算定する。

(5) 診療報酬明細書の摘要欄に呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)又はカルジオタコスコープの算定開始日を記載する。

(6) 呼吸心拍監視装置等の装着を中止した後30日以内に再装着が必要となった場合の日数の起算日は、最初に呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)又はカルジオタコスコープを算定した日とする。特定入院料を算定した患者が引き続き呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)又はカルジオタコスコープを行う場合の日数の起算日についても同様とする。なお、当該検査を中止している期間についても実施日数の計算に含める。

(7) 7日を超えた場合は、検査に要した時間にかかわらず「2」の「ロ」又は「ハ」を上限として算定する。

(8) 人工呼吸を同一日に行った場合は、呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープに係る費用は区分番号「J045」人工呼吸の所定点数に含まれる。

D222 経皮的血液ガス分圧測定、血液ガス連続測定

(1) 経皮的血液ガス分圧測定は、循環不全及び呼吸不全があり、酸素療法を行う必要のある新生児についてのみ算定するものであり、測定するガス分圧の種類にかかわらず、所定点数により算定する。ただし、出生時体重が1,000g未満又は1,000g以上1,500g未満の新生児の場合は、それぞれ90日又は60日を限度として算定する。

(2) 血液ガス連続測定は、閉鎖循環式全身麻酔において分離肺換気を行う際に血中のPO2、PCO2及びpHの観血的連続測定を行った場合に算定できる。

D223 経皮的動脈血酸素飽和度測定

経皮的動脈血酸素飽和度測定は、次のいずれかに該当する患者に対して行った場合に算定する。

ア 呼吸不全若しくは循環不全又は術後の患者であって、酸素吸入若しくは突発性難聴に対する酸素療法を現に行っているもの又は酸素吸入若しくは突発性難聴に対する酸素療法を行う必要があるもの

イ 静脈麻酔、硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を実施中の患者に行った場合

なお、閉鎖式全身麻酔を実施した際に区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を算定した日と同一日には算定できない。

D223―2 終夜経皮的動脈血酸素飽和度測定(一連につき)

終夜経皮的動脈血酸素飽和度測定は、睡眠時呼吸障害の疑われる患者に対して行った場合に算定し、数日間連続して測定した場合でも、一連のものとして算定する。

D224 終末呼気炭酸ガス濃度測定

(1) 終末呼気炭酸ガス濃度測定は、気管内挿管又は気管切開している患者であって、次のいずれかに該当する患者に対して行った場合に算定する。

ア 人工呼吸器を装着している患者

イ 自発呼吸が不十分な患者

ウ 脳外傷等換気不全が生じる可能性が非常に高いと判断される患者

(2) 閉鎖式全身麻酔を実施した際に区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を算定した日と同一日には算定できない。

D225 観血的動脈圧測定

(1) 観血的動脈圧測定は、動脈圧測定用カテーテルを挿入して測定するもの又はエラスター針等を動脈に挿入してトランスデューサーを用いて測定するものをいう。

(2) 穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は別に算定できない。

D225―2 非観血的連続血圧測定

非観血的連続血圧測定は、トノメトリー法により麻酔に伴って実施した場合に限り算定できるものとし、また、観血的動脈圧測定と同一日に実施した場合は、主たるもののみ算定する。

D225―3 24時間自由行動下血圧測定

24時間自由行動下血圧測定は、日本循環器学会、日本心臓病学会及び日本高血圧学会の承認を得た「24時間血圧計の使用(ABPM)基準に関するガイドライン」に沿って行われた場合に、1月に1回に限り算定する。

D226 中心静脈圧測定

(1) 穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は別に算定できない。

(2) 中心静脈圧測定を算定中にカテーテルの挿入手技を行った場合(手術に関連して行う場合を除く。)は、区分番号「G005―2」の中心静脈注射用カテーテル挿入により算定する。

この場合において、カテーテルの挿入に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない。

D227 頭蓋内圧持続測定

穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は別に算定できない。

D228 深部体温計による深部体温測定

直腸温又は膀胱温の測定は、深部体温測定と異なるものであり、深部体温計による深部体温の測定には該当しない。

D229 前額部、胸部、手掌部、足底部体表面体温測定による末梢循環不全状態観察

前額部、胸部、手掌部、足底部体表面体温測定による末梢循環不全状態観察と区分番号「D228」深部体温計による深部体温測定を同一日に行った場合は、主たるもののみ算定する。

D230 観血的肺動脈圧測定

(1) 肺動脈楔入圧を持続的に測定する場合に所定点数を算定する。

(2) 測定のために右心カテーテル法により、バルーン付肺動脈カテーテルを挿入した場合には挿入日にカテーテル挿入加算を算定できる。この場合、使用したカテーテルの本数にかかわらず、一連として算定する。

(3) 観血的肺動脈圧測定と右心カテーテル法による諸検査又は中心静脈圧測定を同一日に実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(4) 左心カテーテル法による諸検査を同一日に実施した場合は別に算定できる。

(5) 穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は別に算定できない。

D231 人工膵臓

(1) 糖尿病患者の治療に際してインスリン抵抗性の評価、至適インスリン用量の決定等を目的として、血管内に留置した二重腔カテーテルから吸引した血中のグルコース値を連続して測定した場合に算定できる。

(2) 算定の対象となる患者は、次の療養が必要な糖尿病等の患者であって、医師が人工膵臓以外による血糖調整が困難であると認めた者である。

ア 高血糖時(糖尿病性昏睡等)における救急的治療

イ 手術、外傷及び分娩時の血糖管理

ウ インスリン産生腫瘍摘出術の術前、術後の血糖管理

エ 糖尿病性腎症に対する透析時の血糖管理

オ 難治性低血糖症の治療のための血糖消費量決定

カ インスリン抵抗性がみられる難治性糖尿病に対するインスリン感受性テスト及び血糖管理

(3) 2日以上にわたり連続して実施した場合においても、一連として1回の算定とする。

(4) 人工膵臓と同一日に行った血中グルコース測定は別に算定できない。

(5) 人工膵臓を行うために必要な血液学的検査、生化学的検査とは、次に掲げる検査である。

ア 血液学的検査

赤血球沈降速度、赤血球数、白血球数、血小板数、ヘマトクリット値、ヘモグロビンA1C、血液浸透圧

イ 生化学的検査

グルコース、アンモニア、ケトン体、アミラーゼ、総窒素、尿素窒素(BUN)、遊離脂肪酸、総コレステロール、インスリン、グルカゴン、ナトリウム、クロール、カリウム、P、カルシウム

(6) 穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は別に算定できない。

D231―2 皮下連続式グルコース測定(一連につき)

(1) 糖尿病患者の治療に際してインスリン抵抗性の評価、至適インスリン用量の決定等を目的として、皮下に留置した電極から皮下組織中のグルコース値を連続して測定した場合に算定できる。

(2) 皮下連続式グルコース測定は以下に掲げる患者に対し行われた場合に算定する。また、算定した場合は、以下のいずれかに該当するか診療報酬明細書の摘要欄に明記する。

ア 治療方針策定のために血糖プロファイルを必要とする1型糖尿病患者

イ 低血糖発作を繰り返す等重篤な有害事象がおきている血糖コントロールが不安定な2型糖尿病患者であって、医師の指示に従い血糖コントロールを行う意志のある者

(3) 2日以上にわたり連続して実施した場合においても、一連として1回の算定とする。

(4) 皮下連続式グルコース測定と同一日に行った血中グルコース測定に係る費用は所定点数に含まれる。

(5) 人工膵臓を同一日に行った場合は、主たるもののみ算定する。

(6) 穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は別に算定できない。

D233 直腸肛門機能検査

(1) 直腸肛門機能検査とは、次のアからオに掲げる検査をいう。

ア 直腸肛門内圧測定

イ 直腸感覚検査

ウ 直腸コンプライアンス検査

エ 直腸肛門反射検査

オ 排出能力検査

(2) 直腸肛門機能検査は、ヒルシュスプルング病、鎖肛、肛門括約不全、直腸肛門由来の排便障害等の直腸肛門疾患に対して行う検査をいう。

(3) 直腸肛門機能検査は、直腸肛門内圧検査用バルーン、マイクロチップ、インフューズドオープンチップ又はマイクロバルーン等を用いて実施されるものである。

D234 胃・食道内24時間pH測定

(1) 胃・食道逆流症の診断及び治療方法の選択のために実施された場合に算定する。

(2) 胃・食道内24時間pH測定に用いる測定器、基準電極、pHカテーテル、ガラス電極、保護チューブ、電解液、電極用ゼリー、pH緩衝液等の費用は、所定点数に含まれる。

(3) 胃・食道内24時間pH測定は、概ね24時間以上連続して行われるものであり、これを1回として算定する。

D235 脳波検査

(1) 脳波検査を算定するものは、同時に8誘導以上の記録を行った場合である。

(2) 8誘導未満の誘導数により脳波を測定した場合は、誘導数を区分番号「D214」脈波図、心機図、ポリグラフ検査の検査数と読み替えて算定するものとし、種々の賦活検査(睡眠、薬物を含む。)を行った場合も、同区分の所定点数のみにより算定する。

(3) 心臓及び脳手術中における脳波検査は、8誘導以上の場合は脳波検査により、それ以外の場合は誘導数を区分番号「D214」脈波図、心機図、ポリグラフ検査の検査数と読み替えて算定する。

D235―2 長期継続頭蓋内脳波検査

長期継続頭蓋内脳波検査は、難治性てんかんの患者に対し、硬膜下電極若しくは深部電極を用いて脳波測定を行った場合、患者1人につき14日間を限度として算定する。

D235―3 長期脳波ビデオ同時記録検査

長期脳波ビデオ同時記録検査は、難治性てんかんの患者に対し、てんかんの手術前後に行った場合、患者1人につきそれぞれ5日間を限度として算定する。

D236 脳誘発電位検査

(1) 脳誘発電位検査は、刺激又は負荷を加えながら脳活動電位を記録し、コンピューター等により解析を行うものであり、同時に記録した脳波検査については、別に算定できない。

(2) 脳波聴力検査、脳幹反応聴力検査及び中間潜時反応聴力検査は、いずれの検査も「3」により算定するものであり、2種類以上行った場合であっても、1回のみ算定する。

(3) 「3」と「4」を両方行った場合は、主たるもののみ算定する。

D236―2 光トポグラフィー

(1) 光トポグラフィーは以下のア又はイの場合に限り、各手術前に1回のみ算定できる。

ア 言語野関連病変(側頭葉腫瘍等)又は正中病変における脳外科手術に当たり言語優位半球を同定する必要がある場合

イ 難治性てんかんの外科的手術に当たりてんかん焦点計測を目的に行われた場合

(2) 当該検査を算定するに当たっては、手術実施日又は手術実施予定日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。また、手術が行われなかった場合はその理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

D236―3 神経磁気診断

(1) 神経磁気診断は、原発性及び続発性てんかん、中枢神経疾患に伴う感覚障害及び運動障害の患者に対する手術部位の診断や手術方法の選択を行う場合に限り、手術前に1回のみ算定できる。

(2) 当該検査を算定するに当たっては、手術実施日又は手術実施予定日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。また、手術が行われなかった場合はその理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

D237 終夜睡眠ポリグラフィー

(1) 「1 携帯用装置を使用した場合」

ア 問診、身体所見又は他の検査所見から睡眠時呼吸障害が強く疑われる患者に対し、睡眠時無呼吸症候群の診断を目的として使用した場合に算定する。なお、区分番号「C107―2」在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料を算定している患者については、治療の効果を判定するため、6月に1回を限度として算定できる。

イ 鼻呼吸センサー、気道音センサーによる呼吸状態及び経皮的センサーによる動脈血酸素飽和状態を終夜連続して測定した場合に算定する。この場合の経皮的動脈血酸素飽和度測定の費用は所定点数に含まれる。

ウ 数日間連続して測定した場合でも、一連のものとして算定する。

エ 診療録に検査結果の要点を記載する。

(2) 「2 1以外の場合」

ア 他の検査により睡眠中無呼吸発作の明らかな患者に対して睡眠時無呼吸症候群の診断を目的として行った場合及び睡眠中多発するてんかん発作の患者又はうつ病若しくはナルコレプシーであって、重篤な睡眠、覚醒リズムの障害を伴うものの患者に対して行った場合に、1月に1回を限度として算定する。なお、区分番号「C107―2」在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料を算定している患者については、治療の効果を判定するため、初回月に限り2回、翌月以後は1月に1回を限度として算定できる。

当該検査を実施するに当たっては、下記(イ)から(ニ)に掲げる検査の全て(睡眠時呼吸障害の疑われない患者については(イ)のみ)を当該患者の睡眠中8時間以上連続して測定し、記録する。

(イ) 脳波、眼球運動及びおとがい筋筋電図

(ロ) 鼻又は口における気流の検知

(ハ) 胸壁及び腹壁の換気運動記録

(ニ) パルスオキシメーターによる動脈血酸素飽和度連続測定

イ 脳波等の記録速度は、毎秒1.5センチメートル以上のものを標準とする。

ウ 同時に行った検査のうち、区分番号「D200」スパイログラフィー等検査から本区分「1」までに掲げるもの及び区分番号「D239」筋電図検査については、併せて算定できない。

エ 測定を開始した後、患者の覚醒等やむを得ない事情により、当該検査を途中で中絶した場合には、当該中絶までに施行した検査に類似する検査項目によって算定する。

オ 診療録に検査結果の要点を記載する。

(3) 多点感圧センサーを有する睡眠評価装置及びパルスオキシメーターモジュールを組み合わせて行う終夜睡眠ポリグラフィーについては、問診、身体所見又は他の検査所見から睡眠時呼吸障害が強く疑われる患者に対し、睡眠時無呼吸症候群の診断を目的として使用し、解析を行った場合に算定する。なお、当該検査を行った場合の点数については、区分番号「D220」呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープの2のイ及び区分番号「D223―2」終夜経皮的動脈血酸素飽和度測定(一連につき)の所定点数を併せて算定し、「D238」脳波検査判断料は別に算定できない。

D237―2 反復睡眠潜時試験(MSLT)

反復睡眠潜時試験(MSLT)は、ナルコレプシー又は特発性過眠症が強く疑われる患者に対し、診断の補助として、概ね2時間間隔で4回以上の睡眠検査を行った場合に1月に1回を限度として算定する。なお、本検査と区分番号「D237」終夜睡眠ポリグラフィーを併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

D239 筋電図検査

(1) 「1」において、顔面及び躯幹は、左右、腹背を問わずそれぞれ1肢として扱う。

(2) 「2」については、感覚神経及び運動神経を別々に1神経として数える。

(3) 「3」については、多発性硬化症、運動ニューロン疾患等の神経系の運動障害の診断を目的として、単発若しくは二連発磁気刺激法による。検査する筋肉の種類及び部位にかかわらず、一連として所定点数により算定する。

D239―2 電流知覚閾値測定

電流知覚閾値測定は、末梢神経障害の重症度及び治療効果の判定を目的として、神経線維を刺激することによりその電流知覚閾値を測定した場合に、検査する筋肉の種類及び部位にかかわらず、一連につき所定点数により算定する。

D239―3 神経学的検査

(1) 神経学的検査は、意識状態、言語、脳神経、運動系、感覚系、反射、協調運動、髄膜刺激症状、起立歩行等に関する総合的な検査及び診断を、成人においては「別紙様式19」の神経学的検査チャートを、小児においては「別紙様式19の2」の小児神経学的検査チャートを用いて行った場合に一連につき1回に限り算定する。

(2) 神経学的検査は、専ら神経系疾患(小児を対象とする場合も含む。)の診療を担当する医師(専ら神経系疾患の診療を担当した経験を10年以上有するものに限る。)が当該検査を行った上で、その結果を患者及びその家族等に説明した場合に限り算定する。

(3) 神経学的検査と一連のものとして実施された検査(眼振を検査した場合の「D250」平衡機能検査、眼底を検査した場合の「D255」精密眼底検査等を指す。)については、所定点数に含まれ、別に算定できない。

D240 神経・筋負荷テスト

(1) 「1」のテンシロンテストについては、Edrophonium Chlorideを負荷して行う検査に伴う全ての検査(前後の観察及び精密眼圧測定を含む。)を含む。

(2) 「2」の瞳孔薬物負荷テストは、ホルネル症候群又はアディー症候群について行った場合に、負荷する薬剤の種類にかかわらず、一連として所定点数により算定する。

なお、使用した薬剤については、区分番号「D500」薬剤により算定する。

(3) 「3」の乏血運動負荷テストについては、血中乳酸、焦性ブドウ酸、カリウム、P等の測定検査の費用及び採血料を含む。

D244 自覚的聴力検査

(1) 「1」の標準純音聴力検査は、日本工業規格の診断用オージオメーターを使用し、日本聴覚医学会制定の測定方法により、気導聴力(測定周波数250、500、1,000、2,000、4,000、8,000Hz)及び骨導聴力(測定周波数250、500、1,000、2,000、4,000Hz)を両耳について測定する方法をいう。

(2) 「2」のことばのききとり検査は、難聴者の語音了解度を測定し、補聴器及び聴能訓練の効果の評価を行った場合に算定する。

(3) 「3」の簡易聴力検査とは、室内騒音が30ホーン以下の防音室で行う検査である。

(4) 「3」の簡易聴力検査のうち「イ」は、日本工業規格の診断用オージオメーターを使用して標準純音聴力検査時と同じ測定周波数について気導聴力検査のみを行った場合に算定する。

(5) 「3」の簡易聴力検査のうち「ロ」は、次に掲げるア及びイを一連として行った場合に算定する。

ア 音叉を用いる検査(ウェーバー法、リンネ法、ジュレ法を含む。)

イ オージオメーターを用いる検査(閉鎖骨導試験(耳栓骨導試験)、日本工業規格選別用オージオメーターによる気導検査を含む。)

(6) 「4」の後迷路機能検査とは、短音による検査、方向感機能検査、ひずみ語音明瞭度検査及び一過性閾値上昇検査(TTD)のうち、1種又は2種以上のものを組み合わせて行うものをいい、2種以上行った場合においても、所定点数により算定する。

(7) 「5」の内耳機能検査の所定点数は、レクルートメント検査(ABLB法)、音の強さ及び周波数の弁別域検査、SISIテスト等の内耳障害の鑑別に係る全ての検査の費用を含むものであり、検査の数にかかわらず、所定点数により算定する。

(8) 「5」の耳鳴検査は、診断用オージオメーター、自記オージオメーター又は耳鳴検査装置を用いて耳鳴同調音の検索やラウドネスの判定及び耳鳴り遮蔽検査等を行った場合に算定する。

(9) 「6」の中耳機能検査は、骨導ノイズ法、鼓膜穿孔閉鎖検査(パッチテスト)、気導聴力検査等のうち2種以上を組み合わせて行った場合にのみ算定する。

D244―2 補聴器適合検査

補聴器適合検査は、聴力像に対し電気音響的に適応と思われる補聴器を選択の上、音場での補聴器装着実耳検査を実施した場合に算定する。

D245 鼻腔通気度検査

鼻腔通気度検査は、当該検査に関連する手術日の前後3月以内に行った場合に算定する。その場合は、診療報酬明細書の摘要欄に当該検査に関連する手術名及び手術日(手術前に当該検査を実施した場合においては手術実施予定日)を記載すること。

なお、手術に関係なく、睡眠時無呼吸症候群又は神経性(心因性)鼻閉症の診断の目的で行った場合にも、所定点数を算定できる。

D246 アコースティックオトスコープを用いた鼓膜音響反射率検査

アコースティックオトスコープを用いて鼓膜音響反射率検査と耳鏡検査及び鼓膜可動性検査を併せて行い、リコーダーで記録を診療録に残した場合のみ算定できる。

なお、この場合の耳鏡検査及び鼓膜可動性検査の手技料は、当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

D247 他覚的聴力検査又は行動観察による聴力検査

「5」の耳音響放射(OAE)検査の「ロ」の「その他の場合」とは、誘発耳音響放射(EOAE)及び結合音耳音響放射(DPOAE)をいう。

なお、「イ」及び「ロ」の両方を同一月中に行った場合は、「イ」の所定点数は算定できない。

D248 耳管機能測定装置を用いた耳管機能測定

耳管機能測定装置を用いた耳管機能測定において音響耳管法、耳管鼓室気流動体法又は加圧減圧法のいずれか又は複数により測定した場合に算定する。

D250 平衡機能検査

(1) 「1」の標準検査とは、上肢偏倚検査(遮眼書字検査、指示検査、上肢偏倚反応検査、上肢緊張検査等)、下肢偏倚検査(歩行検査、足ぶみ検査等)、立ちなおり検査(ゴニオメーター検査、単脚起立検査、両脚起立検査等)、自発眼振検査(正面、右、左、上、下の注視眼振検査、異常眼球運動検査、眼球運動の制限の有無及び眼位検査を含む検査)をいい、一連の検査につき、その数にかかわらず、所定点数により算定する。

(2) 「2」の刺激又は負荷を加える特殊検査とは、次に掲げるものをいい、それぞれ検査1回につき所定点数により算定する。

ア 温度眼振検査(温度による眼振検査)

イ 視運動眼振検査(電動式装置又はそれに準じた定量的方法により刺激を行う検査)

ウ 回転眼振検査(電動式装置又はそれに準じた定量的方法により刺激を行う検査)

エ 視標追跡検査

オ 迷路瘻孔症状検査

(3) 「3」の頭位及び頭位変換眼振検査は、フレンツェル眼鏡下における頭位眼振及び変換眼振検査をいい、一連の検査につき、その数にかかわらず、所定点数により算定する。

(4) 「4」の電気眼振図を区分番号「D278」眼球電位図(EOG)と併せて行った場合は、主たる検査の所定点数のみを算定する。

(5) 重心動揺計

ア 「5」の重心動揺計は、荷重変動を測定する検出器とこの荷重信号を記録・分析するデータ処理装置から成る装置を用いて、めまい・平衡障害の病巣診断のために行うものである。

本検査は、当該装置を用いて、重心動揺軌跡を記録し、その面積(外周・矩形・実効値面積)、軌跡長(総軌跡長・単位軌跡長・単位面積軌跡長)、動揺中心変位、ロンベルグ率を全て計測した場合に算定するものである。

なお、本検査は、「1」の標準検査を行った上、実施の必要が認められたものに限り算定するものである。

イ 「注」のパワー・ベクトル分析を行った場合の加算は、記録された重心動揺軌跡のコンピューター分析を行い、パワー・スペクトル、位置ベクトル、速度ベクトル、振幅確率密度分布を全て算出した場合に算定する。

ウ 「注」の刺激又は負荷を加えた場合の加算は、電気刺激、視運動刺激、傾斜刺激、水平運動刺激、振動刺激等姿勢反射誘発を加えて本検査を行った場合に1種目ごとに算定する。

D251 音声言語医学的検査

(1) 「2」の音響分析は、種々の原因による音声障害及び発音、構音、話しことば等の障害がある患者に対して、音声パターン検査又は音声スペクトル定量検査のうちの一方又は両方を行った場合に算定する。

(2) 「3」の音声機能検査とは、嗄声等の音声障害について、発声状態の総合的分析を行う検査であり、音域検査、声の強さ測定、発声時呼吸流の測定、発声持続時間の測定を組み合わせて、それぞれ又は同時に測定するものをいい、種類及び回数にかかわらず、一連として1回算定する。

D252 扁桃マッサージ法

扁桃マッサージ法は、慢性扁桃炎に対する病巣誘発試験として行われた場合に算定する。

D253 嗅覚検査

(1) 「1」の基準嗅覚検査は、5種の基準臭(T&Tオルファクトメーター)による嗅力検査である。

(2) 「2」の静脈性嗅覚検査は、有嗅医薬品静注後の嗅感発現までの時間と嗅感の持続時間を測定するものであり、第6部第1節第1款の注射実施料は、所定点数に含まれる。

D254 電気味覚検査

(1) 電気味覚検査については、検査の対象とする支配神経領域に関係なく所定点数を一連につき1回算定する。

(2) 濾紙ディスク法による味覚定量検査は、電気味覚検査により算定する。

D255 精密眼底検査

精密眼底検査は、手持式、額帯式、固定式等の電気検眼鏡による眼底検査をいい、眼底カメラ撮影のみでは算定できない。

D255―2 汎網膜硝子体検査

増殖性網膜症、網膜硝子体界面症候群又は硝子体混濁を伴うぶどう膜炎の患者に対して、散瞳剤を使用し、細隙燈顕微鏡及び特殊レンズを用いて網膜、網膜硝子体界面及び硝子体の検査を行った場合に限り算定する。

D256 眼底カメラ撮影

(1) 眼底カメラ撮影は片側、両側の区別なく所定点数により算定する。

(2) 「通常の方法の場合」と「蛍光眼底法の場合」の双方を行った場合においては、どちらか一方の所定点数により算定する。

(3) 使用したフィルム及び現像の費用は、10円で除して得た点数を加算する。

(4) インスタントフィルムを使用した場合は、フィルムの費用として10円で除した点数を加算する。なお、1回当たり16点を限度とする。

D257 細隙燈顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)

(1) 散瞳剤を使用し、前眼部、透光体及び網膜に対して細隙燈顕微鏡検査を行った場合には、検査の回数にかかわらず、1回に限り所定点数を算定する。

(2) 細隙燈を用いた場合であって写真診断を必要として撮影を行った場合は、使用したフィルム代等については、眼底カメラ撮影の例により算定する。

(3) 細隙燈顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)を行った後、更に必要があって生体染色を施して再検査を行った場合は、再検査1回に限り区分番号「D273」により算定する。

D258 網膜電位図(ERG)

網膜電位図(ERG)は、前眼部又は中間透光体に混濁があって、眼底検査が不能の場合又は眼底疾患の場合に限り、誘導数にかかわらず、所定点数により算定する。

D258―2 網膜機能精密電気生理検査(多局所網膜電位図)

網膜機能精密電気生理検査(多局所網膜電位図)は区分番号「D258」網膜電位図(ERG)では十分な情報が得られないと医師が認めるものであって、以下に掲げる場合において算定できる。

ア 前眼部又は中間透光体に混濁があって、眼底検査が不能な黄斑疾患が疑われる患者に対して診断を目的として行う場合(初回診断時1回、以降3月に1回に限る。)

イ 黄斑ジストロフィーの診断を目的とした場合(初回診断時1回、以降3月に1回に限る。)

ウ 網膜手術の前後(それぞれ1回ずつに限る。)

D259 精密視野検査

(1) 精密視野検査は、中心視野計又は周辺視野計を用いて視野の測定を行った場合に、それぞれ所定点数により算定する。

(2) 河本氏暗点計による検査及び機器を使用しない検査は、基本診療料に含まれる。

D260 量的視野検査

量的視野検査には、全視野にわたって検査する場合のほか、例えば、中心視野を特に重点的に検査する量的中心視野検査等、視野の一定部位を限定して検査する場合があるが、2つ以上の部位にわたって当該検査を同時に実施した場合においても、本区分の所定点数のみを算定する。

D261 屈折検査

(1) 屈折検査は、検眼レンズ等による自覚的屈折検定法又は検影法、レフラクトメーターによる他覚的屈折検定法をいい、両眼若しくは片眼又は検査方法の種類にかかわらず、所定点数により算定し、裸眼視力検査のみでは算定できない。

(2) 散瞳剤又は調節麻痺剤を使用してその前後の屈折の変化を検査した場合には、前後各1回を限度として所定点数を算定する。

(3) 屈折検査と区分番号「D263」矯正視力検査を併施した場合は、屈折異常の疑いがあるとして初めて検査を行った場合又は眼鏡処方せんを交付した場合に限り併せて算定できる。

D262 調節検査

(1) 調節検査は、近点計等による調節力の測定をいうものであり、両眼若しくは片眼又は検査方法(調節力検査及び調節時間検査等を含む。)の種類にかかわらず、所定点数により算定する。

(2) 負荷調節検査を行った場合であって、負荷の前後に調節検査を行った場合には、所定点数の100分の200の点数を限度として算定する。

D263 矯正視力検査

眼鏡を処方する前後のレンズメーターによる眼鏡検査は、矯正視力検査に含むものとする。

D264 精密眼圧測定

(1) 精密眼圧測定は、ノンコンタクトトノメーター若しくはアプラネーショントノメーターを使用する場合又はディファレンシャル・トノメトリーにより眼内圧を測定する場合(眼球壁の硬性測定検査を行った場合を含む。)をいい、検査の種類にかかわらず、所定点数により算定する。

(2) 網膜中心血管圧測定に際しての精密眼圧測定は、別に算定できない。

(3) 「注」の加算は、水分を多量に摂取させたり、薬剤の注射、点眼若しくは暗室試験等の負荷により眼圧の変化をみた場合又は眼圧計等を使用して前房水の流出率、産出量を測定した場合に、検査の種類、負荷回数にかかわらず、1回のみ所定点数により算定する。

D265―2 角膜形状解析検査

(1) 角膜形状解析検査は、初期円錐角膜などの角膜変形患者、角膜移植後の患者又は高度角膜乱視(2ジオプトリー以上)を伴う白内障患者の手術前後に行われた場合に限り算定する。

(2) 角膜移植後の患者については2か月に1回を限度として算定し、高度角膜乱視を伴う白内障患者については手術の前後各1回に限り算定する。

(3) 角膜変形患者に対して行われる場合は、コンタクトレンズ処方に伴う場合を除く。

D266 光覚検査

光覚検査とは、アダプトメーター等による光覚検査をいう。

D267 色覚検査

「2」の場合には、ランターンテスト及び定量的色盲表検査が含まれるが、色覚検査表による単なるスクリーニング検査は算定しない。

D268 眼筋機能精密検査及び輻輳検査

眼筋機能精密検査及び輻輳検査とは、マドックスによる複像検査、正切スカラによる眼位の検査、プリズムを用いた遮閉試験(交代遮閉試験)、HESS赤緑試験、輻輳近点検査等をいう。

D269―2 光学的眼軸長測定

光学的眼軸長測定は非接触型機器を用いて眼軸長を測定した場合に算定する。接触型Aモード法による場合は、区分番号「D215」超音波検査の「1」のAモード法により算定する。

D272 両眼視機能精密検査

両眼視機能精密検査とは、Worth4灯法、赤フィルター法等による両眼単視検査をいう。

D273 細隙燈顕微鏡検査(前眼部)

(1) 細隙燈顕微鏡検査(前眼部)とは、細隙燈顕微鏡を用いて行う前眼部及び透光体の検査をいうものであり、区分番号「D257」細隙燈顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)と併せて算定できない。

(2) 細隙燈を用いた場合であって、写真診断を必要として撮影を行った場合は、使用したフィルム代等については、眼底カメラ撮影の例により算定する。

(3) 細隙燈顕微鏡検査(前眼部)を行った後、更に必要があって生体染色を施して再検査を行った場合は、再検査1回に限り算定する。

D274 前房隅角検査

前房隅角検査とは、隅角鏡を用いて行う前房隅角検査であり、緑内障等の場合に行う。

D276 網膜中心血管圧測定

(1) 「1」の簡単なものとは、オフタルモ・ダイナモメーターによる網膜中心血管圧測定検査である。

(2) 「2」の複雑なものとは、キャップメーターによる網膜中心血管圧測定検査をいう。

D277 涙液分泌機能検査、涙管通水・通色素検査

涙液分泌機能検査とは、シルメル法等による涙液分泌機能検査をいう。

D278 眼球電位図(EOG)

区分番号「D250」平衡機能検査の「4」の電気眼振図と併せて行った場合は、主たる検査の所定点数のみを算定する。

D279 角膜内皮細胞顕微鏡検査

眼内手術、角膜手術における手術の適応の決定及び術後の経過観察若しくは円錐角膜又は水疱性角膜症の患者に対する角膜状態の評価の際に算定する。

D280 レーザー前房蛋白細胞数検査

レーザー前房タンパク細胞測定装置を用いて、前眼部炎症の程度を診断するために、前房内のタンパク濃度及び細胞数を測定するものである。

D281 瞳孔機能検査(電子瞳孔計使用)

視神経炎、視神経症等の求心性疾患や動眼神経麻痺、ホルネル症候群、アディー症候群、糖尿病による自律神経障害等の遠心性疾患又は変性疾患及び中毒による疾患の診断を目的として行った場合に算定できる。

D282 中心フリッカー試験

視神経疾患の診断のために行った場合に算定する。

D282―2 PL(Preferential Looking)法

(1) PL法は4歳未満の乳幼児又は通常の視力検査で視力測定ができない患者に対し、粟屋―Mohindra方式等の測定装置を用いて視力測定を行った場合に算定する。

(2) テラーカード等による簡易測定は本検査には含まれない。

(3) 診療録に検査結果の要点を記載する。

D282―3 コンタクトレンズ検査料

(1) コンタクトレンズの装用を目的に受診した患者(既装用者の場合を含む。以下同じ。)に対して眼科学的検査を行った場合は、コンタクトレンズ検査料「1」又は「2」により算定する。

(2) 別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たさない保険医療機関において、コンタクトレンズの装用を目的に受診した患者に対して眼科学的検査を行った場合は、コンタクトレンズ検査料「1」又は「2」の他、区分番号「D255」から区分番号「D282―2」までに掲げる眼科学的検査についても算定できない。

(3) コンタクトレンズ検査料を算定する場合においては、区分番号「A000」初診料の注6及び区分番号「A001」再診料の注5に規定する夜間・早朝等加算は算定できない。

(4) 当該保険医療機関又は当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において過去にコンタクトレンズ検査料を算定した患者に対してコンタクトレンズ検査料を算定する場合は、区分番号「A000」に掲げる初診料は算定せず、区分番号「A001」に掲げる再診料又は区分番号「A002」に掲げる外来診療料を算定する。

(5) コンタクトレンズの装用を目的に受診した患者に対して眼科学的検査を行った場合は、「1」又は「2」の所定点数を算定し、別に区分番号「D255」から区分番号「D282―2」までに掲げる眼科学的検査は別に算定できない。ただし、新たな疾患の発生(屈折異常以外の疾患の急性増悪を含む。)によりコンタクトレンズの装用を中止しコンタクトレンズの処方を行わない場合、円錐角膜、角膜変形若しくは高度不正乱視の治療を目的としてハードコンタクトレンズの処方を行った場合、9歳未満の小児に対して弱視、斜視若しくは不同視の治療を目的としてコンタクトレンズの処方を行った場合、緑内障又は高眼圧症の患者(治療計画を作成し診療録に記載するとともに、アプラネーショントノメーターによる精密眼圧測定及び精密眼底検査を実施し、視神経乳頭の所見を詳細に診療録に記載した場合に限る。)、網膜硝子体疾患若しくは視神経疾患の患者(治療計画を作成し診療録に記載するとともに、散瞳剤を使用し、汎網膜硝子体検査又は精密眼底検査、細隙燈顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)並びに眼底カメラ撮影を実施し、網膜硝子体又は視神経乳頭の所見を図示して詳細に診療録に記載した場合に限る。)、度数のない治療用コンタクトレンズを装用する患者又は眼内の手術(角膜移植術を含む。)前後の患者等にあっては、当該点数を算定せず、区分番号「D255」から区分番号「D282―2」までに掲げる眼科学的検査により算定する。なお、この場合においても、区分番号「A000」に掲げる初診料は算定せず、区分番号「A001」に掲げる再診料又は区分番号「A002」に掲げる外来診療料を算定する。

D282―4 ダーモスコピー

ダーモスコピーは、悪性黒色腫、基底細胞癌、ボーエン病、色素性母斑、老人性色素斑、脂漏性角化症、エクリン汗孔腫、血管腫等の色素性皮膚病変の診断の目的で行った場合に、初回の診断日に限り算定する。

D283 発達及び知能検査、D284 人格検査、D285 認知機能検査その他の心理検査

(1) 検査を行うに当たっては、個人検査用として標準化され、かつ、確立された検査方法により行う。

(2) 各区分のうち「1」の「操作が容易なもの」とは、検査及び結果処理に概ね40分以上を要するもの、「2」の「操作が複雑なもの」とは、検査及び結果処理に概ね1時間以上を要するもの、「3」の「操作と処理が極めて複雑なもの」とは、検査及び結果処理に1時間30分以上要するものをいう。

なお、臨床心理・神経心理検査は、医師が自ら、又は医師の指示により他の従事者が自施設において検査及び結果処理を行い、かつ、その結果に基づき医師が自ら結果を分析した場合にのみ算定する。

(3) 医師は診療録に分析結果を記載する。

(4) 区分番号「D283」発達及び知能検査の「1」は、津守式乳幼児精神発達検査、牛島乳幼児簡易検査、日本版ミラー幼児発達スクリーニング検査、遠城寺式乳幼児分析的発達検査、デンバー式発達スクリーニング、DAMグッドイナフ人物画知能検査、フロスティッグ視知覚発達検査、脳研式知能検査、コース立方体組み合わせテスト、レーヴン色彩マトリックス及びJARTである。

(5) 区分番号「D283」発達及び知能検査の「2」は、MCCベビーテスト、PBTピクチュア・ブロック知能検査、新版K式発達検査、WPPSI知能診断検査、全訂版田中ビネー知能検査、田中ビネー知能検査Ⅴ、鈴木ビネー式知能検査、WISC―Ⅲ知能検査、WISC―R知能検査、WAIS―R成人知能検査(WAISを含む。)、WAIS―Ⅲ成人知能検査及び大脇式盲人用知能検査である。

(6) 区分番号「D284」人格検査の「1」は、パーソナリティイベントリー、モーズレイ性格検査、Y―G矢田部ギルフォード性格検査、TEG―Ⅱ東大式エゴグラム及び新版TEGである。

(7) 区分番号「D284」人格検査の「2」は、バウムテスト、SCT、P―Fスタディ、MMPI、TPI、EPPS性格検査、16P―F人格検査、描画テスト、ゾンディーテスト及びPILテストである。

(8) 区分番号「D284」人格検査の「3」は、ロールシャッハテスト、CAPS、TAT絵画統覚検査及びCAT幼児児童用絵画統覚検査である。

(9) 区分番号「D285」認知機能検査その他の心理検査の「1」は、CAS不安測定検査、SDSうつ性自己評価尺度、CES―Dうつ病(抑うつ状態)自己評価尺度、HDRSハミルトンうつ病症状評価尺度、STAI状態・特性不安検査、POMS、IES―R、PDS、TK式診断的新親子関係検査、CMI健康調査票、GHQ精神健康評価票、MAS不安尺度、ブルドン抹消検査、MEDE多面的初期認知症判定検査、WHO QOL26、COGNISTAT、SIB、Coghealth(医師、看護師又は臨床心理技術者が検査に立ち会った場合に限る。)、NPI及びBEHAVE―ADである。

(10) 区分番号「D285」認知機能検査その他の心理検査の「2」は、ベントン視覚記銘検査、内田クレペリン精神検査、三宅式記銘力検査、ベンダーゲシュタルトテスト、WCSTウイスコンシン・カード分類検査、SCID構造化面接法、CLAC―Ⅱ、遂行機能障害症候群の行動評価(BADS)、リバーミード行動記憶検査及びRay-Osterrieth Complex Figure Test(ROCFT)である。

(11) 区分番号「D285」認知機能検査その他の心理検査の「3」は、ITPA、CLAC―Ⅲ、標準失語症検査、標準失語症検査補助テスト、標準高次動作性検査、標準高次視知覚検査、標準注意検査法・標準意欲評価法、WAB失語症検査、老研版失語症検査、K―ABC、WMS―R及びADASである。

(12) 改訂長谷川式簡易知能評価スケールを用いた検査及び国立精研式認知症スクリーニングテストの費用は、基本診療料に含まれているものであり、別に算定できない。

D286 肝及び腎のクリアランステスト

(1) 肝及び腎のクリアランステストとは、負荷後に検体採取及び検体分析を経時的若しくは連続的に行う検査である。

(2) 肝クリアランステストに該当するものは、ICG等を用いた検査であり、腎クリアランステストに該当するものは、PSP、チオ硫酸等を負荷して行うクリアランステスト、腎血漿流量測定、糸球体濾過値測定である。

(3) 肝及び腎のクリアランステストは、肝クリアランステスト又は腎クリアランステストのいずれかを実施した場合に算定できる。

(4) 「注2」の注射とは、第6部第1節第1款の注射実施料をいい、施用した薬剤の費用は、別途算定する。

D287 内分泌負荷試験

(1) 各負荷試験については、測定回数及び負荷する薬剤の種類にかかわらず、一連のものとして月1回に限り所定点数を算定する。ただし、「1」の「イ」の成長ホルモンに限り、月2回まで所定点数を算定できる。

なお、「1」の下垂体前葉負荷試験及び「5」の副腎皮質負荷試験以外のものについては、測定するホルモンの種類にかかわらず、一連のものとして算定する。

(2) 内分泌負荷試験において、負荷の前後に係る血中又は尿中のホルモン等測定に際しては、測定回数、測定間隔等にかかわらず、一連のものとして扱い、当該負荷試験の項により算定するものであり、検体検査実施料における生化学的検査(Ⅰ)又は生化学的検査(Ⅱ)の項では算定できない。

(3) 「1」の下垂体前葉負荷試験に含まれるものとしては、下記のものがある。

ア 成長ホルモン(GH)については、インスリン負荷、アルギニン負荷、L―DOPA負荷、クロニジン負荷、グルカゴン負荷、プロプラノロール負荷、ブロモクリプチン負荷、睡眠負荷等

イ ゴナドトロピン(LH及びFSH)については、LH―RH負荷、クロミフェン負荷等

ウ 甲状腺刺激ホルモン(TSH)については、TRH負荷等

エ プロラクチン(PRL)については、TRH負荷、ブロモクリプチン負荷等

オ 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)については、インスリン負荷、メトピロン負荷、デキサメサゾン負荷、CRH負荷等

(4) 「2」の下垂体後葉負荷試験の抗利尿ホルモン(ADH)については、水制限、高張食塩水負荷(カーター・ロビンステスト)等が含まれる。

(5) 「3」の甲状腺負荷試験の甲状腺ホルモンについては、T3抑制等が含まれる。

(6) 「4」の副甲状腺負荷試験の副甲状腺ホルモン(PTH)については、カルシウム負荷、PTH負荷(エルスワースハワードテスト)、EDTA負荷等が含まれる。

(7) 「5」の副腎皮質負荷試験に含まれるものとしては、下記のものがある。

ア 鉱質コルチコイド(レニン、アルドステロン)については、フロセマイド負荷、アンギオテンシン負荷等

イ 糖質コルチコイド(コルチゾール、DHEA及びDHEAS)については、ACTH負荷、デキサメサゾン負荷、メトピロン負荷等

(8) 「6」の性腺負荷試験に含まれるものとしては、下記のものがある。

ア テストステロンについては、HCG負荷等

イ エストラジオールについては、HMG負荷等

(9) 「注2」の注射とは、第6部第1節第1款の注射実施料をいい、施用した薬剤の費用は、別途算定する。

D288 糖負荷試験

(1) 負荷の前後に係る血中又は尿中のホルモン等測定に際しては、測定回数、測定間隔等にかかわらず、一連のものとして扱い、当該負荷試験の項により算定するものであり、検体検査実施料における生化学的検査(Ⅰ)又は生化学的検査(Ⅱ)の項では算定できない。

(2) 「2」の耐糖能精密検査(常用負荷試験及び血中インスリン測定又は常用負荷試験及び血中C―ペプタイド測定を行った場合)は、常用負荷試験及び負荷前後の血中インスリン測定又は血中C―ペプタイド測定を行った場合に算定する。

(3) 乳糖を服用させて行う耐糖試験は、糖負荷試験により算定する。また、使用した薬剤は、区分番号「D500」薬剤により算定する。

(4) ブドウ糖等を1回負荷し、負荷前後の血糖値等の変動を把握する検査は、糖負荷試験の所定点数により算定する。

(5) 「注」の注射とは、第6部第1節第1款の注射実施料をいい、施用した薬剤の費用は、別途算定する。

D289 その他の機能テスト

(1) 胃液分泌刺激テスト

ア 「3」の胃液分泌刺激テストは、生体に分泌刺激物質を投与し、胃液若しくは血液を採取、分析することにより胃液分泌機能を検査するものであり、胃液分泌刺激テストに該当するものは、ガストリン刺激テスト、ヒスタログ刺激試験、Katsch―Kalk法、ヒスタミン法等である。

イ 検査に伴って行った注射、検体採取、検体測定及びエックス線透視の費用は、別に算定できない。

(2) 「3」の胆道機能テストは、十二指腸ゾンデを十二指腸乳頭部まで挿入し、胆道刺激物を投与して十二指腸液を分画採取した場合に算定する。

(3) 「4」のセクレチン試験は、十二指腸液採取用二重管を十二指腸まで挿入し、膵外分泌刺激ホルモンであるセクレチンを静脈注射し、刺激後の膵液量、重炭酸濃度及びアミラーゼ排出量を測定した場合に算定する。

ただし、セクレチン注射の手技料、測定に要する費用、血清酵素逸脱誘発試験の費用等は所定点数に含まれる。

(4) 「注」の注射とは、第6部第1節第1款の注射実施料をいい、施用した薬剤の費用は、別途算定する。

D290 卵管通気・通水・通色素検査、ルビンテスト

卵管通気・通水・通色素検査、ルビンテストの所定点数は、それぞれ両側についての点数であり、検査の種類及び回数にかかわらず、所定点数のみを算定する。

D290―2 尿失禁定量テスト(パッドテスト)

尿失禁定量テスト(パッドテスト)は、尿失禁患者において、体動時の失禁尿をパッドにより採取し、定量的な尿失禁の評価を行うものであり、1月につき1回に限り算定できる。ただし、使用されるパッドの費用は、所定点数に含まれる。

D291 皮内反応検査、ヒナルゴンテスト、鼻アレルギー誘発試験、過敏性転嫁検査、薬物光線貼布試験、最小紅斑量(MED)測定

(1) 皮内反応検査とは、ツベルクリン反応、各種アレルゲンの皮膚貼布試験(皮内テスト、スクラッチテストを含む。)等であり、ツベルクリン、アレルゲン等検査に使用した薬剤に係る費用は、区分番号「D500」薬剤により算定する。

(2) 数種のアレルゲン又は濃度の異なったアレルゲンを用いて皮内反応検査を行った場合は、それぞれにつき1箇所として所定点数を算定するものである。

(3) 薬物投与に当たり、あらかじめ皮内反応、注射等による過敏性検査を行った場合にあっては、皮内反応検査の所定点数は算定できない。

(4) 薬物光線貼布試験、最小紅斑量(MED)測定は、1照射につき1箇所として算定する。

D291―2 小児食物アレルギー負荷検査

(1) 問診及び血液検査等から、食物アレルギーが強く疑われる9歳未満の小児に対し、原因抗原の特定、耐性獲得の確認のために、食物負荷検査を実施した場合に、12月に2回を限度として算定する。

(2) 検査を行うに当たっては、食物アレルギー負荷検査の危険性、必要性、検査方法及びその他の留意事項について、患者又はその家族等に対して文書により説明の上交付するとともに、その文書の写しを診療録に添付すること。

(3) 負荷試験食の費用は所定点数に含まれる。

(4) 小児食物アレルギーの診療に当たっては、「厚生労働科学研究班による食物アレルギーの診療の手引き2005(平成15~17年度厚生労働科学研究)」を参考とすること。

(5) 「注2」の注射とは、第6部第1節第1款の注射実施料をいい、施用した薬剤の費用は、別途算定する。

D291―3 内服・点滴誘発試験

(1) 貼付試験、皮内反応、リンパ球幼若化検査等で診断がつかない薬疹の診断を目的とした場合であって、入院中の患者に対して被疑薬を内服若しくは点滴・静注した場合に限り算定できる。

(2) 検査を行うに当たっては、内服・点滴誘発試験の危険性、必要性、検査方法及びその他の留意事項について、患者又はその家族等に対して文書により説明の上交付するとともに、その文書の写しを診療録に添付すること。

D293 シンチグラム(画像を伴わないもの)

「4」の肺局所機能検査、脳局所血流検査については、炭酸ガス等を用いて検査を行った場合であっても、所定点数のみを算定する。ただし、使用した炭酸ガスの費用は、別に算定する。

[内視鏡検査に係る共通事項(区分番号「D295」から区分番号「D325」)]

(1) 本節の通則による新生児加算又は乳幼児加算を行う場合には、超音波内視鏡検査実施加算は、所定点数に含まないものとする。

(2) 内視鏡検査の通則2による算定において、区分番号「D313」大腸ファイバースコピーの「1」から「3」については、同一の検査として扱う。また、準用が通知されている検査については、当該検査が準ずることとされている検査と同一の検査として扱う。

(3) 内視鏡検査に際して第2章第11部に掲げる麻酔を行った場合は、麻酔の費用を別に算定する。

(4) 内視鏡検査で麻酔手技料を別に算定できない麻酔を行った場合の薬剤料は、区分番号「D500」薬剤により算定する。

(5) 処置又は手術と同時に行った内視鏡検査は、別に算定できない。

(6) 内視鏡検査当日に、検査に関連して行う第6部第1節第1款の注射実施料は別に算定できない。

(7) 区分番号「D295」関節鏡検査から区分番号「D325」肺臓カテーテル法、肝臓カテーテル法、膵臓カテーテル法までに掲げる内視鏡検査は、次により算定する。

ア 生検用ファイバースコピーを使用して組織の採取を行った場合は、採取した組織の個数にかかわらず、1回の内視鏡検査について区分番号「D414」内視鏡下生検法に掲げる所定点数を別に算定する。

イ 互いに近接する部位の2以上のファイバースコピー検査を連続的に行った場合には、主たる検査の所定点数のみにより算定する。

ウ 内視鏡検査をエックス線透視下において行った場合にあっても、区分番号「E000」透視診断は算定しない。

エ 写真診断を行った場合は、使用フィルム代(現像料及び郵送料を含むが、書留代等は除く。)を10円で除して得た点数を加算して算定するが、区分番号「E002」撮影及び区分番号「E001」写真診断は算定しない。

オ 当該保険医療機関以外の医療機関で撮影した内視鏡写真について診断のみを行った場合は、診断料として1回につき所定点数を算定できるが、患者が当該傷病につき当該医療機関で受診していない場合は算定できない。

(8) 区分番号「D306」食道ファイバースコピー、「D308」胃・十二指腸ファイバースコピー、「D310」小腸ファイバースコピー、「D312」直腸ファイバースコピー又は「D313」大腸ファイバースコピーを行う際に、インジゴカルミン、メチレンブルー、トルイジンブルー、コンゴーレッド等による色素内視鏡法を行った場合は、粘膜点墨法に準じて算定する。ただし、使用される色素の費用は所定点数に含まれる。

D296―2 鼻咽腔直達鏡検査

鼻咽腔直達鏡検査は、区分番号「D298」嗅裂部・鼻咽腔・副鼻腔入口部ファイバースコピーと同時に行った場合は算定できない。

D298 嗅裂部・鼻咽腔・副鼻腔入口部ファイバースコピー

嗅裂部・鼻咽腔・副鼻腔入口部ファイバースコピーについては、嗅裂部・鼻咽腔・副鼻腔入口部の全域にわたっての一連の検査として算定する。

D298―2 内視鏡下嚥下機能検査

(1) 内視鏡下嚥下機能検査は、嚥下機能が低下した患者に対して、喉頭内視鏡等を用いて直接観察下に着色水を嚥下させ、嚥下反射惹起のタイミング、着色水の咽頭残留及び誤嚥の程度を指標に嚥下機能を評価した場合に算定する。

(2) 内視鏡下嚥下機能検査、区分番号「D298」嗅裂部・鼻咽腔・副鼻腔入口部ファイバースコピー及び区分番号「D299」喉頭ファイバースコピーを2つ以上行った場合は、主たるもののみ算定する。

D302 気管支ファイバースコピー

「注」の気管支肺胞洗浄法検査加算は、肺胞タンパク症、サルコイドーシス等の診断のために気管支肺胞洗浄を行い、洗浄液を採取した場合に算定する。

D304 縦隔鏡検査

縦隔鏡検査は、主に胸部(肺及び縦隔)の疾病の鑑別、肺癌の転移の有無、手術適応の決定のために用いられるものをいう。

D306 食道ファイバースコピー

(1) 「注」の粘膜点墨法とは、治療範囲の決定、治療後の部位の追跡等を目的として、内視鏡直視下に無菌の墨汁を消化管壁に極少量注射して点状の目印を入れるものである。

(2) 表在性食道がんの診断のための食道ヨード染色法は、粘膜点墨法に準ずる。ただし、染色に使用されるヨードの費用は、所定点数に含まれる。

(3) 「注2」の狭帯域光強調加算は、拡大内視鏡を用いた場合であって、狭い波長帯による画像を利用した観察を行った場合に算定できる。

D307 胃鏡検査、ガストロカメラ

胃鏡検査とガストロカメラは併せて算定できない。

D310 小腸ファイバースコピー

(1) 「2」のカプセル型内視鏡によるものは、次の場合に算定する。

ア カプセル型内視鏡によるものは、消化器系の内科又は外科の経験を5年以上有する常勤の医師が1人以上配置されている場合に限り算定する。なお、カプセル型内視鏡の滞留に適切に対処できる体制が整っている保険医療機関において実施すること。

イ 事前に上部消化管検査及び下部消化管検査を実施し、原因不明の消化管出血を伴う小腸疾患の診断を行うために使用した場合に算定する。

ウ カプセル型内視鏡を使用した患者については、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書に症状詳記を添付する。

(2) 小腸ファイバースコピーは、2種類以上行った場合は、主たるもののみ算定する。ただし、「2」のカプセル型内視鏡によるものを行った後に、診断の確定又は治療を目的として「1」のダブルバルーン内視鏡によるものを行った場合においては、いずれの点数も算定する。

D311 直腸鏡検査

(1) 直腸鏡検査を、区分番号「D311―2」肛門鏡検査と同時に行った場合は主たるもののみ算定する。

(2) 肛門部の観察のみを行った場合は、直腸鏡検査ではなく、区分番号「D311―2」肛門鏡検査を算定する。

(3) コロンブラッシュ法は、直腸鏡検査の所定点数に、検鏡診断料として沈渣塗抹染色による細胞診断の場合は、区分番号「N004」細胞診(1部位につき)の所定点数を、また、包埋し組織切片標本を作製し検鏡する場合は、区分番号「N000」病理組織標本作製(1臓器につき)の所定点数を併せて算定する。

D311―2 肛門鏡検査

肛門鏡検査を、区分番号「D311」直腸鏡検査と同時に行った場合は主たるもののみ算定する。

D314 腹腔鏡検査

(1) 人工気腹術は、腹腔鏡検査に伴って行われる場合にあっては、別に算定できない。

(2) 腹腔鏡検査を、区分番号「D315」腹腔ファイバースコピーと同時に行った場合は主たるものの所定点数を算定する。

D317 膀胱尿道ファイバースコピー

(1) 膀胱尿道ファイバースコピーは軟性膀胱鏡を用いた場合に算定する。

(2) 膀胱尿道ファイバースコピーを必要とする場合において、膀胱結石等により疼痛が甚しいとき、あるいは著しく患者の知覚過敏なとき等にキシロカインゼリーを使用した場合における薬剤料は、区分番号「D500」薬剤により算定する。

(3) 膀胱尿道ファイバースコピーにインジゴカルミンを使用した場合は、区分番号「D289」その他の機能テストの「2」の所定点数を併せて算定する。

(4) 膀胱尿道ファイバースコピーについては、前部尿道から膀胱までの一連の検査を含むものとする。

D317―2 膀胱尿道鏡検査

(1) 膀胱尿道鏡検査は硬性膀胱鏡を用いた場合に算定する。

(2) 膀胱尿道鏡検査を必要とする場合において、膀胱結石等により疼痛が甚しいとき、あるいは著しく患者の知覚過敏なとき等にキシロカインゼリーを使用した場合における薬剤料は、区分番号「D500」薬剤により算定する。

(3) 膀胱尿道鏡検査にインジゴカルミンを使用した場合は、区分番号「D289」その他の機能テストの「2」の所定点数を併せて算定する。

(4) 膀胱尿道鏡検査については、前部尿道から膀胱までの一連の検査を含むものとする。

なお、膀胱のみ又は尿道のみの観察では所定点数は算定できない。

D318 尿管カテーテル法(両側)

尿管カテーテル法は、ファイバースコープを用いて尿管の通過障害、結石、腫瘍等の検索を行った場合に算定できるもので、同時に行う区分番号「D317」膀胱尿道ファイバースコピーを含む。

なお、ファイバースコープ以外の膀胱鏡による場合には算定できない。

D319 腎盂尿管ファイバースコピー(片側)

腎盂尿管ファイバースコピーの所定点数には、ファイバースコープを用いた前部尿道から腎盂までの一連の検査を含む。

D320 ヒステロスコピー

ヒステロスコピーに際して、子宮腔内の出血により子宮鏡検査が困難なため、子宮鏡検査時の腔内灌流液を使用した場合における薬剤料は、区分番号「D500」薬剤により算定する。

ただし、注入手技料は算定しない。

D324 血管内視鏡検査

区分番号「D220」呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープの費用は、所定点数に含まれる。

D325 肺臓カテーテル法、肝臓カテーテル法、膵臓カテーテル法

(1) 造影剤を使用した場合においても、血管造影等のエックス線診断の費用は、別に算定しない。

(2) 検査を実施した後の縫合に要する費用は、所定点数に含まれる。

第4節 診断穿刺・検体採取料

1 各部位の穿刺・針生検においては、同一部位において2か所以上行った場合にも、所定点数のみの算定とする。

2 診断穿刺・検体採取後の創傷処置については、区分番号「J000」創傷処置における手術後の患者に対するものとして翌日より算定できる。

3 同一日に実施された下記に掲げる穿刺と同一の処置としての穿刺については、いずれか一方のみ算定する。

(1) 脳室穿刺

(2) 後頭下穿刺

(3) 腰椎穿刺、胸椎穿刺又は頸椎穿刺

(4) 骨髄穿刺

(5) 関節穿刺

(6) 上顎洞穿刺並びに扁桃周囲炎又は扁桃周囲膿瘍における試験穿刺

(7) 腎嚢胞又は水腎症穿刺

(8) ダグラス窩穿刺

(9) リンパ節等穿刺

(10) 乳腺穿刺

(11) 甲状腺穿刺

4 区分番号「D409」リンパ節等穿刺又は針生検から区分番号「D413」前立腺針生検法までに掲げるものをCT透視下に行った場合は、区分番号「E200」コンピューター断層撮影(CT撮影)の所定点数を別途算定する。ただし、第2章第4部第3節コンピューター断層撮影診断料の通則2に規定する場合にあっては、通則2に掲げる点数を算定する。

D400 血液採取

血液採取に係る乳幼児加算は、「1」の静脈及び「2」のその他のそれぞれについて加算するものである。

D404―2 骨髄生検

骨髄生検は、骨髄生検針を用いて採取した場合にのみ算定できる。骨髄穿刺針を用いた場合は区分番号「D404」骨髄穿刺の所定点数により算定する。

D409―2 センチネルリンパ節生検

(1) 触診及び画像診断の結果、腋窩リンパ節への転移が認められない乳がんに係る手術を予定している場合のみ算定する。

(2) センチネルリンパ節生検を乳房悪性腫瘍手術と同一日に行う場合は、区分番号「K476」乳腺悪性腫瘍手術の注1又は注2で算定する。

(3) センチネルリンパ節生検に伴う放射性同位元素の薬剤料は、区分番号「D500」薬剤として算定する。

(4) 摘出したセンチネルリンパ節の病理診断に係る費用は、第13部病理診断の所定点数を算定する。

D412 経皮的針生検法

経皮的針生検法とは、区分番号「D404―2」、区分番号「D409」、区分番号「D410」、区分番号「D411」及び区分番号「D413」に掲げる針生検以外の臓器に係る経皮的針生検をいう。

なお、所定点数には透視(CT透視を除く。)、心電図及び超音波検査が含まれており、別途算定できない。

D414 内視鏡下生検法

「1臓器」の取扱いについては、区分番号「N000」病理組織標本作製(1臓器につき)に準ずる。

D414―2 超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(EUS―FNA)

(1) 超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(EUS―FNA)はコンベックス走査型超音波内視鏡を用いて、経消化管的に生検を行った場合に算定できる。

(2) 採取部位に応じて、内視鏡検査のうち主たるものの所定点数を併せて算定する。ただし、内視鏡検査通則「1」に掲げる超音波内視鏡加算は所定点数に含まれ、算定できない。

D415 経気管肺生検法

(1) 経気管肺生検法と同時に行われるエックス線透視に係る費用は、当該検査料に含まれる。

また、写真診断を行った場合は、フィルム代のみ算定できるが、撮影料、診断料は算定できない。

(2) 経気管肺生検法は、採取部位の数にかかわらず、所定点数のみ算定する。

(3) 区分番号「D302」に掲げる気管支ファイバースコピーの点数は別に算定できない。

(4) 超音波気管支鏡(コンベックス走査方式に限る。)を用いて検査を行った場合は、区分番号「D215」超音波検査の所定点数を併せて算定する。

D416 臓器穿刺、組織採取

「2」の開腹による臓器穿刺、組織採取については、穿刺回数、採取臓器数又は採取した組織の数にかかわらず、1回として算定する。

D419 その他の検体採取

(1) 「1」の胃液・十二指腸液採取については、1回採取、分割採取にかかわらず、この項の所定点数により算定するものとし、ゾンデ挿入に伴いエックス線透視を行った場合においても、エックス線透視料は、別に算定しない。

(2) 「2」の胸水・腹水採取の所定点数には、採取及び簡単な液検査(肉眼的性状観察、リバルタ反応、顕微鏡による細胞の数及び種類の検査)の費用が含まれる。

なお、塗抹染色顕微鏡検査を行った場合は、区分番号「D017」排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査により、血液化学検査を行った場合は、区分番号「D004」穿刺液・採取液検査の「18」その他により、細胞診検査を行った場合は、区分番号「N004」細胞診により算定する。

(3) 「4」の前房水採取については、内眼炎等の診断を目的に前房水を採取した場合に算定する。

(4) 人工腎臓、人工心肺等の回路から動脈血採取を行った場合の採血料は算定できない。

第4部 画像診断

<通則>

1 薬剤料

(1) 画像診断のために使用した薬剤料は別に算定できるが、投薬に係る処方料、処方せん料、調剤料及び調剤技術基本料並びに注射に係る注射料は別に算定できない。

(2) 画像診断のために使用した造影剤又は造影剤以外の薬剤は、区分番号「E300」に掲げる薬剤料により算定する。

2 画像診断に当たって、麻酔を行った場合は、第2章第11部麻酔に規定する所定点数を別に算定する。ただし、麻酔手技料を別に算定できない麻酔を行った場合の薬剤料は、第4節薬剤料の規定に基づき算定できる。

3 時間外緊急院内画像診断加算

(1) 保険医療機関において、当該保険医療機関が表示する診療時間以外の時間、休日又は深夜に入院中の患者以外の患者に対して診療を行った際、医師が緊急に画像診断を行う必要性を認め、当該保険医療機関において、当該保険医療機関の従事者が当該保険医療機関に具備されている画像診断機器を用いて当該画像撮影及び診断を実施した場合に限り算定できる。

(2) 画像診断の開始時間が診療時間以外の時間、休日又は深夜に該当する場合に当該加算を算定する。なお時間外等の定義については、区分番号「A000」初診料の時間外加算等における定義と同様であること。

(3) 同一患者に同一日に2回以上、時間外、休日又は深夜の診療を行い、その都度緊急の画像診断を行った場合(複数の区分にまたがる場合を含む。)においても1回のみの算定とする。

(4) 入院中の患者には当該加算は算定できない。ただし、時間外、休日又は深夜に外来を受診した患者に対し、画像診断の結果入院の必要性を認めて、引き続き入院となった場合はこの限りではない。

(5) 時間外緊急院内画像診断加算を算定する場合においては、区分番号「A000」の注6並びに区分番号「A001」の注5に規定する夜間・早朝等加算は算定できない。

(6) 時間外緊急院内画像診断加算は他の医療機関で撮影されたフィルムを診断した場合は算定できない。

(7) 緊急に画像診断を要する場合とは、直ちに何らかの処置・手術等が必要な患者であって、通常の診察のみでは的確な診断が下せず、なおかつ通常の画像診断が整う時間まで画像診断の実施を見合わせることができないような重篤な場合をいう。

4 画像診断に当たって通常使用される患者の衣類の費用は、画像診断の所定点数に含まれる。

5 画像診断管理加算

画像診断管理加算1は、専ら画像診断を担当する医師(専ら画像診断を担当した経験を10年以上有するものに限る。)が読影結果を文書により当該専ら画像診断を担当する医師の属する保険医療機関において当該患者の診療を担当する医師に報告した場合に、月の最初の診断の日に算定する。画像診断管理加算2は、当該保険医療機関において実施される核医学診断、CT撮影及びMRI撮影について、専ら画像診断を担当する医師(専ら画像診断を担当した経験を10年以上有するものに限る。)が診断を行い、読影結果を文書により当該専ら画像診断を担当する医師の属する保険医療機関において当該患者の診療を担当する医師に報告した場合に、月の最初の診断の日に算定する。これらの加算を算定する場合は、報告された文書又はその写しを診療録に貼付する。

6 遠隔画像診断を行った場合は、送信側の保険医療機関において撮影料、診断料及び画像診断管理加算(当該加算の算定要件を満たす場合に限る。)を算定できる。受信側の保険医療機関における診断等に係る費用については受信側、送信側の医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。

第1節 エックス線診断料

1 エックス線診断に係る一般的事項

(1) エックス線写真撮影の際に失敗等により、再撮影をした場合については再撮影に要した費用は算定できない。再撮影に要した費用は、その理由が患者の故意又は重大な過失による場合を除き、当該保険医療機関の負担とする。

(2) 「2」又は「3」の「同一の部位」とは、部位的な一致に加え、腎と尿管、胸椎下部と腰椎上部のように通常同一フィルム面に撮影し得る範囲をいう。

ただし、食道・胃・十二指腸、血管系(血管及び心臓)、リンパ管系及び脳脊髄腔については、それぞれ全体を「同一の部位」として取り扱うものである。

(3) 「2」又は「3」の「同時に」とは、診断するため予定される一連の経過の間に行われたものをいう。例えば、消化管の造影剤使用写真診断(食道・胃・十二指腸等)において、造影剤を嚥下させて写真撮影し、その後2~3時間経過して再びレリーフ像を撮影した場合は、その診断料は100分の50とする。

ただし、胸部単純写真を撮影して診断した結果、断層像の撮影の必要性を認めて、当該断層像の撮影を行った場合等、第1の写真診断を行った後に別種の第2の撮影、診断の必要性を認めて第2の撮影診断を行った場合は、「同時に」には該当せず、第2の診断についても100分の50とはしない。

(4) 「2」の「2以上のエックス線撮影」とは、単純撮影、特殊撮影、造影剤使用撮影又は乳房撮影のうち2種以上の撮影を行った場合をいう。この場合、デジタル撮影及びアナログ撮影については区別せず、1種の撮影として扱う。

(5) 「3」の「同一の方法」による撮影とは、単純撮影、特殊撮影、造影剤使用撮影又は乳房撮影のそれぞれの撮影方法をいい、デジタル撮影及びアナログ撮影については「同一の方法」として扱う。

(6) 特殊撮影、乳房撮影、心臓及び冠動脈の造影剤使用撮影の診断料及び撮影料は、フィルム枚数にかかわらず、一連のものについて1回として算定する。ただし、別個に撮影した両側の肺野の断層写真等、撮影部位の異なる場合(乳房撮影を除く。)は、部位ごとに1回とする。

(7) 次の場合は、「同一の方法」の繰り返しと考えられるので、「3」の算定方法が適用される。ただし、ウについては、いずれか一方の写真診断の結果、他法による撮影の必要性を認め、診断を行った場合は「同時に」には該当しないので、胸部単純撮影及び胸椎撮影のそれぞれについて「3」の適用となるか否かを判断すること。なお、仮にそれぞれについて同時に2枚以上のフィルムが使用されれば「3」の適用となること。

ア 脊椎の単純撮影において、頸椎及び胸椎上部を正面・側面等曝射の角度を変えて数回にわたって撮影した場合

イ 胸部単純撮影と肺尖撮影を併施した場合

ウ 胸部単純撮影と胸椎撮影を併施した場合

エ 消化管造影において、食道・胃・十二指腸を背腹・腹背等体位を変換させて数回にわたって撮影した場合

オ 耳鼻科領域におけるシュラー法、ステンバー法及びマイヤー法のうち、2方法以上の撮影を併せて実施した場合

(8) 耳・肘・膝等の対称器官又は対称部位の健側を患側の対照として撮影する場合における撮影料、診断料については、同一部位の同時撮影を行った場合と同じ取扱いとする。

(9) 2枚目以降100分の50で算定する場合及び間接撮影を行った場合に端数が生じる場合の端数処理は、点数計算の最後に行うものとする。

例 2枚の頭部単純デジタルエックス線撮影を行った場合

[診断料] 85点+85点×0.5=127.5点 →(四捨五入) → 128点

[撮影料] 68点+68点×0.5=102点

3枚の頭部単純デジタルエックス線撮影を行った場合

[診断料] 85点+85点×0.5×2=170点

[撮影料] 68点+68点×0.5×2=136点

2枚の胸部アナログエックス線間接撮影を行った場合

[診断料] 85点×0.5+85点×0.5×0.5=63.75点 →(四捨五入) → 64点

[撮影料] 60点×0.5+60点×0.5×0.5=45点

(10) デジタル撮影

デジタル撮影とは、エックス線撮影後、画像情報のデジタル処理を行うことが可能なものをいい、デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィー法、コンピューテッド・ラジオグラフィー法又はデジタル透視撮影法による。

なお、デジタル透視撮影法とは、超細密イメージング・インテンシファイアー及び超細密ビデオカメラを用いてデジタル映像化処理を行うものをいう。

2 電子画像管理加算

(1) 「4」に規定する画像を電子化して管理及び保存した場合とは、画像を電子媒体に保存して管理した場合をいい、フィルムへのプリントアウトを行った場合にも当該加算を算定することができるが、本加算を算定した場合には当該フィルムの費用は算定できない。

(2) 電子画像管理加算は、同一の部位につき、同時に2種類以上の撮影方法を使用した場合は一連の撮影とみなし、主たる撮影の点数のみ算定する。

(3) 電子画像管理加算は、他の医療機関で撮影したフィルム等についての診断のみを行った場合には算定しない。

E000 透視診断

(1) 本項の透視診断とは、透視による疾病、病巣の診断を評価するものであり、特に別途疑義解釈通知等により取扱いを示した場合を除き、消化管の造影剤使用撮影に際し腸管の所要の位置に造影剤が到達しているか否かを透視により検査する場合等、撮影の時期決定や準備手段又は他の検査、注射、処置及び手術の補助手段として行う透視については算定できない。

(2) 造影剤を使用する透視診断は一連の診断目的のために行うものについては、時間を隔てて行う場合であっても1回として算定する。ただし、腸管の透視を時間を隔てて数回行いその時間が数時間にわたる場合には、2回以上として算定できる。その基準は概ね2時間に1回とする。

E001 写真診断

(1) 他の医療機関で撮影したフィルム等についての診断料は撮影部位及び撮影方法(単純撮影、特殊撮影、造影剤使用撮影又は乳房撮影を指し、アナログ又はデジタル撮影の別は問わない。)別に1回の算定とする。例えば、胸部単純写真と断層像についてであれば2回として算定できる。

ただし、1つの撮影方法については撮影回数、写真枚数にかかわらず1回として算定する。

(2) 写真診断においては、耳、副鼻腔は頭部として、骨盤、腎、尿管、膀胱は腹部として、それぞれ「1」の「イ」により算定する。また、頸部、腋窩、股関節部、肩関節部、肩胛骨又は鎖骨にあっても、「1」の「イ」により算定する。

(3) 写真診断に掲げる所定点数は、フィルムへのプリントアウトを行わずに画像を電子媒体に保存した場合にも算定できる。

(4) イメージ・インテンシファイアー間接撮影装置によるエックス線撮影については、診断料及び撮影料は間接撮影の場合の所定点数により算定できる。また、同一部位に対し直接撮影を併せて行った場合は、イメージ・インテンシファイアー間接撮影装置による一連の撮影として間接撮影の場合の所定点数のみを算定する。

E002 撮影

(1) 高圧撮影、拡大撮影及び軟部組織撮影は、「1」の単純撮影として算定する。

(2) エックス線フィルムサブトラクションについては、反転フィルムの作製の費用として、一連につき、「1」及び区分番号「E400」フィルムによって算定し、診断料は別に算定できない。なお、診療継続中の患者であって診療上の必要性を認め以前撮影した脳血管造影フィルムを用いてサブトラクションを実施した場合であっても、反転フィルムの作製の費用及びフィルム料は算定できるが、診断料は別に算定できない。

(3) 特殊撮影とは、パントモグラフィー、断層撮影(同時多層撮影、回転横断撮影を含む。)、スポット撮影(胃、胆嚢及び腸)、側頭骨・上顎骨・副鼻腔曲面断層撮影及び児頭骨盤不均衡特殊撮影(側面撮影及び骨盤入口撮影後、側面、骨盤入口撮影のフィルムに対し特殊ルーラー(計測板)の重複撮影を行う方法をいう。)をいう。なお、胃のスポット撮影、胆嚢スポット撮影及び腸スポット撮影については、消化管撮影の一連の診断行為の1つとみなされる場合であっても、第1節エックス線診断料の「2」の適用の対象とする。

(4) 撮影に掲げる所定点数は、フィルムへのプリントアウトを行わずに画像を電子媒体に保存した場合にも算定できる。

(5) 造影剤使用撮影時の算定方法

ア 造影剤使用撮影とは、血管造影、瘻孔造影及び気造影等の造影剤を使用して行った撮影をいう。

イ 二重造影は、消化管診断に含まれ、別に算定できないが、その際に使用される発泡錠は薬剤料として別に算定できる。

ウ 椎間板の変性を見るため、エックス線透視下に造影剤を使用し、椎間板を求めて1~3か所注入し、四ツ切フィルム2枚のエックス線写真診断を行った場合は、「3」により算定する。

エ 高速心大血管連続撮影装置による撮影は、「3」により算定する。

オ 子宮卵管造影法による検査は、区分番号「E001」写真診断の「3」、区分番号「E002」撮影の「3」、区分番号「E003」造影剤注入手技の「6」の「ロ」、区分番号「E300」薬剤及び区分番号「E400」フィルムにより算定する。

(6) 乳房撮影とは、当該撮影専用の機器を用いて、原則として両側の乳房に対し、それぞれ2方向以上の撮影を行うものをいい、両側について一連として算定する。

(7) 「注2」により新生児加算又は乳幼児加算を行う場合の所定点数とは、「1」、「2」、「3」(「注3」による加算を含む。)又は「4」の点数(間接撮影の場合は100分の50に相当する点数)をいう。

なお、新生児加算又は乳幼児加算を行う場合に端数が生じる場合の端数処理は、当該撮影の最後に行うものとする。

例 単純撮影(デジタル撮影)における新生児加算又は乳幼児加算を行う場合の端数処理の例

1枚撮影の場合

[新生児加算] 68点×1.3=88.4点 →(四捨五入)→ 88点

[乳幼児加算] 68点×1.15=78.2点 →(四捨五入)→ 78点

3枚撮影の場合

[新生児加算] 68点×1.3+68点×1.3×0.5×2=176.8点 →(四捨五入)→ 177点

[乳幼児加算] 68点×1.15+68点×1.15×0.5×2=156.4点 →(四捨五入)→ 156点

E003 造影剤注入手技

(1) 造影剤注入手技料は、造影剤使用撮影を行うに当たって造影剤を注入した場合に算定する。ただし、同一日に点滴注射を算定した場合は造影剤注入手技の「1」点滴注射の所定点数は重複して算定できない。

(2) 「3」の動脈造影カテーテル法及び「4」の静脈造影カテーテル法とは、血管造影用カテーテルを用いて行った造影剤注入手技をいう。

(3) 「3」の「イ」は、主要血管である総頸動脈、椎骨動脈、鎖骨下動脈、気管支動脈、腎動脈、腹部動脈(腹腔動脈、上及び下腸間膜動脈をも含む。)、骨盤動脈又は各四肢の動脈の分枝血管を選択的に造影撮影した場合、分枝血管の数にかかわらず1回に限り算定できる。

総頸動脈、椎骨動脈、鎖骨下動脈、気管支動脈及び腎動脈の左右両側をあわせて造影した場合であっても一連の主要血管として所定点数は1回に限り算定する。

(4) 静脈造影カテーテル法は、副腎静脈、奇静脈又は脊椎静脈に対して実施した場合に算定できる。

(5) 「6」の「イ」注腸を実施する際の前処置として行った高位浣腸の処置料は所定点数に含まれ、別途算定できない。

(6) 「6」の「ロ」その他のものとは、腰椎穿刺注入、胸椎穿刺注入、頸椎穿刺注入、関節腔内注入、上顎洞穿刺注入、気管内注入(内視鏡下の造影剤注入によらないもの)、子宮卵管内注入、胃・十二指腸ゾンデ挿入による注入、膀胱内注入、腎盂内注入及び唾液腺注入をいう。

(7) 経皮経肝胆管造影における造影剤注入手技は区分番号「D314」により算定し、胆管に留置したドレーンチューブ等からの造影剤注入手技は区分番号「E003」の「6」の「ロ」により算定する。

(8) 精嚢撮影を行うための精管切開は、区分番号「K829」により算定する。

(9) 造影剤を注入するために観血手術を行った場合は、当該観血手術の所定点数をあわせて算定する。

(10) リンパ管造影を行うときの造影剤注入のための観血手術及び注入の手技料は、あわせて、区分番号「K626」リンパ節摘出術の「1」により算定する。

E004 基本的エックス線診断料

(1) 基本的エックス線診断料は、特定機能病院の入院医療において通常行われる基本的な画像診断について、その適正化及び請求事務の簡素化の観点から包括化して入院日数に応じた算定を行うものである。

(2) 1月を通じて、基本的エックス線診断料に包括されている画像診断項目のいずれも行われなかった場合は、当該月は本診断料は算定できない。

(3) 写真診断及び撮影を行い、これに伴って使用されるフィルムは、別に算定できる。

(4) 基本的エックス線診断料を算定している患者に対して、撮影した画像を電子化して管理及び保存した場合は、一連の撮影ごとに第1節のエックス線診断料の「4」に規定する電子画像管理加算を別に算定できる。

(5) 基本的エックス線診断料を算定している患者に対して、エックス線フィルムサブトラクションを行った場合は、基本的エックス線診断料の他、手技料として区分番号「E002」の「1」の点数を算定できる。

(6) 基本的エックス線診断料に含まれない画像診断を行った場合は、別途当該画像診断に係る所定点数を算定できる。

(7) 単純撮影を2枚以上撮影した場合又は間接撮影を行った場合にあっても、手技料は基本的エックス線診断料に含まれ、別に算定できない。

(8) 入院日数については、入院基本料とは異なり、入院の都度当該入院の初日から数え、また、退院日も算定対象となる。なお、外泊期間中は、入院日数に含まれない。

(9) 療養病棟、結核病棟又は精神病棟に入院している患者及び第1章第2部第2節に規定するHIV感染者療養環境特別加算若しくは重症者等療養環境特別加算又は同部第3節に規定する特定入院料を算定している患者については、基本的エックス線診断料は別に算定しないが、入院日数は入院初日から数える。

第2節 核医学診断料

1 核医学診断に係る一般的事項

「1」に規定する核医学診断に係る所定点数とは、区分番号「E100」から区分番号「E101―3」までに掲げる所定点数及び区分番号「E102」に掲げる所定点数を合算した点数をいう。

2 「3」に規定する画像を電子化して管理及び保存した場合とは、画像を電子媒体に保存して管理した場合をいい、フィルムへのプリントアウトを行った場合にも当該加算を算定することができるが、本加算を算定した場合には当該フィルムの費用は算定できない。

3 ラジオアイソトープの費用

ラジオアイソトープの費用を算定する場合は、「使用薬剤の薬価(薬価基準)」の定めるところによる。

E100 シンチグラム(画像を伴うもの)

「注3」の加算における所定点数には「注2」による加算は含まれない。

E101 シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影

(1) シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影は、同一のラジオアイソトープを使用した一連の検査につき、撮影の方向、スライスの数、撮影の部位数及び疾病の種類等にかかわらず所定点数のみにより算定する。

(2) 「注2」の加算における所定点数とは、「注1」及び「注3」の加算を含まない点数である。

(3) 「注3」の加算における所定点数とは、「注1」及び「注2」の加算を含まない点数である。

E101―2 ポジトロン断層撮影

(1) ポジトロン断層撮影は、撮影の方向、スライスの数、撮影の部位数及び疾患の種類等にかかわらず所定点数のみにより算定する。

(2) 18FDGを用いたポジトロン断層撮影については、てんかん若しくは虚血性心疾患の診断又は悪性腫瘍(早期胃癌を除く。)の病期診断又は転移・再発の診断を目的とし、次の表に定める要件を満たす場合に限り算定する。

1.てんかん

難治性部分てんかんで外科切除が必要とされる患者に使用する。

2.虚血性心疾患

虚血性心疾患による心不全患者で、心筋組織のバイアビリティ診断が必要とされる患者に使用する。ただし、通常の心筋血流シンチグラフィで判定困難な場合に限るものとする。

3.悪性腫瘍(早期胃癌を除く。)

他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者に使用する。

(3) 18FDG製剤を医療機関内で製造する場合は、18FDG製剤の製造に係る衛生管理、品質管理等については、関係学会の定める基準を参考として、十分安全な体制を整備した上で実施すること。

(4) 当該画像診断を実施した同一月内に悪性腫瘍の診断の目的でシンチグラム(ガリウムにより標識された放射性医薬品を用いるものに限る。)を実施した場合には、主たるもののみを算定する。

(5) ポジトロン断層撮影と同時に同一の機器を用いて行ったコンピューター断層撮影の費用はポジトロン断層撮影の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(6) 15O標識ガス剤を用いた場合に当該画像診断に伴って行われる血液ガス分析の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(7) ターゲットガス(窒素、酸素、二酸化炭素)等の15O標識ガス剤の合成及び吸入に係る費用並びに18FDGの合成及び注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

E101―3 ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影

(1) ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影は、X線CT組合せ型ポジトロンCT装置を用いて、診断用の画像としてポジトロン断層撮影画像、コンピューター断層撮影画像及び両者の融合画像を取得するものをいい、ポジトロン断層撮影画像の吸収補正用としてのみコンピューター断層撮影を行った場合は該当しない。また、撮影の方向、スライスの数、撮影の部位数及び疾患の種類等にかかわらず所定点数により算定する。

(2) 同一月に、区分番号「E200」コンピューター断層撮影(CT撮影)を行った後にポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影を行う場合は、本区分は算定せず、区分番号「E101―2」ポジトロン断層撮影により算定する。この場合においては、区分番号「E101―2」の届出を行っていなくても差し支えない。

(3) 18FDGを用いたポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影については、てんかんの診断又は悪性腫瘍(早期胃癌を除く。)の病期診断及び転移・再発の診断を目的とし、次の表に定める要件を満たす場合に限り算定する。ただし、表中の「画像診断」からは、コンピューター断層撮影に係るものを除く。次の表に定める要件は満たさないが、区分番号「E101―2」ポジトロン断層撮影に定める要件を満たす場合は、区分番号「E101―2」により算定する。

1.てんかん

難治性部分てんかんで外科切除が必要とされる患者に使用する。

2.悪性腫瘍(早期胃癌を除く。)

他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者に使用する。

(4) 18FDG製剤を医療機関内で製造する場合は、18FDG製剤の製造に係る衛生管理、品質管理等については、関係学会の定める基準を参考として、十分安全な体制を整備した上で実施すること。

(5) 撮影に当たって造影剤を使用した場合は、区分番号「E200」コンピューター断層撮影(CT撮影)の「注3」の加算を本区分に対する加算として併せて算定する。

(6) 当該画像診断を実施した同一月内に悪性腫瘍の診断の目的でシンチグラム(ガリウムにより標識された放射性医薬品を用いるものに限る。)を実施した場合には、主たるもののみを算定する。

(7) 15O標識ガス剤を用いた場合に当該画像診断に伴って行われる血液ガス分析の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(8) ターゲットガス(窒素、酸素、二酸化炭素)等の15O標識ガス剤の合成及び吸入に係る費用並びに18FDGの合成及び注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

E102 核医学診断

(1) 核医学診断料は、実施した区分番号「E100」から区分番号「E101―3」までに掲げる各区分の種類又は回数にかかわらず、月1回の算定とし、初回のシンチグラム(画像を伴うもの)、シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影、ポジトロン断層撮影又はポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影を実施する日に算定する。

(2) 同一月内において入院及び外来の両方又は入院中に複数の診療科においてシンチグラム(画像を伴うもの)、シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影、ポジトロン断層撮影又はポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影を実施した場合においては、入院若しくは外来又は診療科の別にかかわらず、月1回に限り算定する。

第3節 コンピューター断層撮影診断料

1 コンピューター断層撮影と磁気共鳴コンピューター断層撮影を行う際の取扱い

(1) 同一月に区分番号「E101―3」ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影を行った後に区分番号「E200」コンピューター断層撮影(CT撮影)又は区分番号「E202」磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)を行った場合には、当該コンピューター断層撮影又は磁気共鳴コンピューター断層撮影については、2回目以降として「2」の例により算定する。

(2) 開設者が同一である複数の保険医療機関又は検査施設提供の契約を結んだ複数の医療機関において、同一の患者につき、コンピューター断層撮影及び磁気共鳴コンピューター断層撮影を同一月に2回以上行った場合は、当該月の2回目以降の断層撮影について、「2」により算定する。

2 「3」に規定する画像を電子化して管理及び保存した場合とは、画像を電子媒体に保存して管理した場合をいい、フィルムへのプリントアウトを行った場合にも当該加算を算定することができるが、本加算を算定した場合には当該フィルムの費用は算定できない。

3 「4」の加算における所定点数には、区分番号「E200」の「注3」及び区分番号「E202」の「注3」による加算が含まれる。「2」における所定点数には、注に掲げる加算は含まれない。

E200 コンピューター断層撮影(CT撮影)

(1) コンピューター断層撮影は、スライスの数、疾患の種類等にかかわらず、所定点数のみにより算定する。

(2) 「1」の「イ」、「ロ」及び「ハ」並びに「2」に掲げる撮影のうち2以上のものを同時に行った場合は主たる撮影の所定点数のみにより算定する。

(3) 「1」のCT撮影の「イ」及び「ロ」は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、16列以上のマルチスライス型又は16列未満のマルチスライス型のCT装置を使用して撮影を行った場合に限りそれぞれ算定する。

(4) 「注3」に規定する「1」のCT撮影における「造影剤を使用した場合」とは、静脈内注射、点滴注射、腔内注入及び穿刺注入等により造影剤使用撮影を行った場合をいう。ただし、経口造影剤を使用した場合を除く。

(5) 造影剤を使用しないCT撮影を行い、引き続き造影剤を使用して撮影を行った場合は、所定点数及び造影剤の使用による加算点数のみにより算定する。

(6) 造影剤を使用してコンピューター断層撮影を行った場合、閉鎖循環式全身麻酔に限り麻酔手技料を別に算定できる。

(7) 「注4」に規定する冠動脈CT撮影加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、64列以上のマルチスライス型のCT装置を使用し、冠動脈を撮影した上で三次元画像処理を行った場合に限り算定する。

(8) 「注6」の外傷全身CTとは、全身打撲症例における初期診断のため行う、頭蓋骨から少なくとも骨盤骨までの連続したCT撮影をいう。

(9) 「1」の「イ」として届出を行っている機器を使用し、直腸用チューブを用いて、二酸化炭素を注入し下部消化管をCT撮影した上で三次元画像処理を行った場合は、「1」の「イ」の所定点数に「注4」の所定点数を準じて加算する。この場合において、「注3」の加算、造影剤注入手技料及び麻酔料(区分番号「L008」に掲げるマスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を除く。)は、準用点数に含まれるものとする。なおこの際、「注4」に規定する施設基準に適合している必要はない。

また、これとは別に静脈内注射、点滴注射等により造影剤使用撮影を行った場合には、「注3」の加算を別途算定できる。

E202 磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)

(1) 磁気共鳴コンピューター断層撮影は、画像のとり方、画像処理法の種類、スライスの数、撮影の部位数、疾病の種類等にかかわらず、所定点数のみにより算定する。

(2) 「1」及び「2」に掲げる撮影を同時に行った場合は、主たる撮影の所定点数のみにより算定する。

(3) 「1」は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、1.5テスラ以上のMRI装置を使用して撮影を行った場合に限り算定する。

(4) 「注3」に規定する「造影剤を使用した場合」とは、静脈内注射等により造影剤使用撮影を行った場合をいう。ただし、経口造影剤を使用した場合は除く。

(5) 造影剤を使用しない磁気共鳴コンピューター断層撮影を行い、引き続き造影剤を使用して撮影を行った場合は、所定点数及び造影剤の使用による加算点数のみにより算定する。

(6) 造影剤を使用して磁気共鳴コンピューター断層撮影を行った場合、閉鎖循環式全身麻酔に限り麻酔手技料を別に算定できる。

(7) 「注4」に規定する心臓MRI撮影加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、1.5テスラ以上のMRI装置を使用して心臓又は冠動脈を描出した場合に限り算定する。

E203 コンピューター断層診断

(1) コンピューター断層診断は、実施したコンピューター断層撮影(磁気共鳴コンピューター断層撮影及び非放射性キセノン脳血流動態検査を含み、区分番号「E101―3」ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影は含まない。以下同じ。)の種類又は回数にかかわらず、月1回の算定とし、初回のコンピューター断層撮影を実施する日に算定する。

(2) 同一月内において、入院及び外来の両方又は入院中に複数の診療科において、コンピューター断層撮影を実施した場合においては、入院若しくは外来又は診療科の別にかかわらず、月1回に限り算定する。

(3) 当該医療機関以外の医療機関で撮影したフィルムについて診断を行った場合には、初診料を算定した日に限り、コンピューター断層診断料を算定できる。

第5部 投薬

<通則>

1 投薬の費用は、第1節調剤料、第2節処方料、第3節薬剤料、第4節特定保険医療材料料及び第6節調剤技術基本料に掲げる所定点数を合算した点数で算定する。ただし、処方せんを交付した場合は第5節処方せん料に掲げる所定点数のみを算定する。

なお、使用薬剤の薬価(薬価基準)に収載されている臨床試用医薬品を使用した場合は、薬剤料は算定せず、調剤料、処方料、特定保険医療材料料、調剤技術基本料のみを算定する。

2 別に規定する場合を除き、入院実日数を超えて投薬を算定することができる。退院時の投薬については、服用の日の如何にかかわらず入院患者に対する投薬として扱う。

3 投薬時における薬剤の容器は、原則として保険医療機関から患者へ貸与するものとする。なお、患者が希望する場合には、患者にその実費負担を求めて容器を交付できるが、患者が当該容器を返還した場合には、当該容器本体部分が再使用できるものについて当該実費を返還しなければならない。

4 患者に直接投薬する目的で製品化されている薬剤入りチューブ及び薬剤入り使い捨て容器のように再使用できない薬剤の容器については、患者に容器代金を負担させることは認められない。

5 保険医療機関が患者に喘息治療剤の施用のため小型吸入器及び鼻腔・口腔内治療剤の施用のため噴霧・吸入用器具(散粉器)を交付した場合は、患者にその実費負担を求めることができるが、患者が当該吸入器を返還した場合には当該実費を返還しなければならない。

6 入院中の患者に月をまたがって投与した薬剤は、投薬の日の属する月により区分する。

7 外来において数日分投与しその薬剤を入院後も服用する場合、この入院後服用の分の請求区分は服用の日の如何にかかわらず、外来投与として扱う。

8 被保険者が保険医より薬品の授与を受け、持ち帰りの途中又は自宅において薬品を紛失したために(天災地変の他やむを得ない場合を除く。)保険医が再交付した場合は、その薬剤の費用は、被保険者の負担とする。

第1節 調剤料

F000 調剤料

(1) 入院中の患者以外の患者に係る調剤料の所定単位については、1回の処方に係る調剤料として、その剤数・日数又は調剤した量にかかわらず「1」の所定点数を処方料算定時にまとめて算定する。ただし、2以上の診療科で異なる医師が処方した場合は、それぞれの処方につき、調剤料を算定できる。

(2) トローチ剤又は亜硝酸アミル等の嗅薬、噴霧吸入剤については外用薬として、投薬に係る費用を算定する。例えば、トローチ剤の1日量6錠3日分は、18錠分を1調剤の薬剤料として算定する。

(3) 外泊期間中及び入院実日数を超えた部分について、調剤料は算定できない。

(4) 「注」の加算については、内服薬、浸煎薬及び屯服薬、外用薬等の区分、剤数、用法用量等の如何にかかわらず、入院中の患者以外の患者に対して投薬を行う場合は1処方につき1点を、また、入院中の患者に対して投薬を行う場合は1日につき1点を所定点数に加算する。なお、リン酸コデイン散1%のように、当該薬剤の基剤が麻薬等に属していても、稀釈度により麻薬等の取扱いを受けていないものを調剤又は処方した場合には対象とならない。

(5) 「注」にいう麻薬、向精神薬、覚せい剤原料及び毒薬は次の通りである。

ア 毒薬とは薬事法第44条第1項の規定(同施行規則第204条、別表第3)による毒薬をいう。

イ 向精神薬とは、麻薬及び向精神薬取締法第2条第6号の規定(同法別表第3)による向精神薬をいう。

第2節 処方料

F100 処方料

(1) 複数の診療科を標榜する保険医療機関において、2以上の診療科で異なる医師が処方した場合は、それぞれの処方につき処方料を算定する。

(2) 処方料における内服薬の種類については、区分番号「F200」薬剤の「注2」における内服薬の種類と同様の取扱いとする。なお、当該処方に係る内服薬の投薬が6種類以下の場合又は外用薬、屯服薬のみの投薬の場合は「2」で算定する。

(3) 臨時的に内服薬の追加投与等を行った場合の取扱いについては、F200薬剤の(4)に準じるものとする。

(4) 「注2」の加算は、内服薬、浸煎薬及び屯服薬、外用薬等の区分、剤数、用法用量等の如何にかかわらず、1処方につき1点を所定点数に加算する。

(5) 複数の診療科を標榜する保険医療機関において、2以上の診療科で、異なる医師が3歳未満の乳幼児に対して処方を行った場合は、それぞれの処方について「注4」による乳幼児加算を算定することができる。

(6) 特定疾患処方管理加算

ア 特定疾患処方管理加算は、生活習慣病等の厚生労働大臣が別に定める疾患を主病とする患者について、プライマリ機能を担う地域のかかりつけ医師が総合的に病態分析を行い、それに基づく処方管理を行うことを評価したものであり、診療所又は許可病床数が200床未満の病院においてのみ算定する。

イ 処方期間が28日以上の場合は、月1回に限り1処方につき65点を加算する。なお、同一暦月に処方料と処方せん料を算定する場合にあっては、処方料又は処方せん料のいずれか一方の加算として月1回に限り算定する。

ウ 処方期間が28日以上の場合の加算は、長期投薬の際の病態分析及び処方管理の評価の充実を図るものであり、特定疾患に対する薬剤の処方期間が28日以上の場合に算定する。ただし、当該患者に処方された薬剤の処方期間が全て28日以上である必要はない。

エ イに該当する場合以外の場合には、月2回に限り1処方につき18点を算定する。なお、同一暦月に処方料と処方せん料を算定する場合であっても、処方せん料の当該加算と合わせて2回を限度とする。

オ 主病とは、当該患者の全身的な医学管理の中心となっている特定疾患をいうものであり、2以上の診療科にわたり受診している場合においては、主病と認められる特定疾患の治療に当たっている診療科においてのみ算定する。

カ 特定疾患処方管理加算は初診料を算定した初診の日においても算定できる。

キ 投薬は本来直接本人を診察した上で適切な薬剤を投与すべきであるが、やむを得ない事情で看護等に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合においても算定できる。

(7) 抗悪性腫瘍剤処方管理加算

ア 「注7」に規定する抗悪性腫瘍剤処方管理加算については、入院中の患者以外の悪性腫瘍の患者に対して、抗悪性腫瘍剤による投薬の必要性、副作用、用法・用量、その他の留意点等について文書で説明し、抗悪性腫瘍剤の適正使用及び副作用管理に基づく処方管理のもとに悪性腫瘍の治療を目的として抗悪性腫瘍剤が処方された場合に算定する。

イ 同一暦月に処方料とF400処方せん料を算定する場合にあっては、処方料又はF400処方せん料のいずれか一方の加算として月1回に限り算定する。

ウ 加算対象となる抗悪性腫瘍剤は、薬効分類上の腫瘍用薬とする。

第3節 薬剤料

F200 薬剤

(1) 1回の処方において、2種類以上の内服薬を調剤する場合には、それぞれの薬剤を個別の薬包等に調剤しても、服用時点及び服用回数が同じであるものについては、次の場合を除き1剤として算定する。

ア 配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合

イ 固形剤と内用液剤の場合

ウ 内服錠とチュアブル錠等のように服用方法が異なる場合

(2) 「注1」における「その他の特定の疾患」とは、「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)の別紙の第3に掲げる疾患をいう。

(3) 特別入院基本料(7対1特別入院基本料及び10対1特別入院基本料を含む。)を算定する病棟を有する病院の長期入院患者に係る入院期間の算定は、当該特別入院基本料を算定する病棟を有する病院となる以前からの入院期間を通算する。

また、入院期間の算定は第1章第2部入院料等の通則の例に準じる。

(4) 多剤投与の場合の算定

ア 「注2」の算定は、外来の場合に限り、1処方のうち、内服薬についてのみ対象とする。この場合の「種類」については、次のように計算する。なお、1処方とは処方料の算定単位となる処方をいう。

(イ) 錠剤、カプセル剤については、1銘柄ごとに1種類と計算する。

(ロ) 散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類と計算する。

(ハ) (ロ)の薬剤を混合して服薬できるよう調剤を行ったものについては、1種類とする。

(ニ) 薬剤料に掲げる所定単位当たりの薬価が205円以下の場合には、1種類とする。

イ 「注2」の「所定点数」とは、1処方のうちの全ての内服薬の薬剤料をいう。

ウ 「注2」の算定は、常態として投与する内服薬が7種類以上の場合に行い、臨時に投与する薬剤については対象としない。

エ ウの臨時に投与する薬剤とは連続する投与期間が2週間以内のものをいい、2週間を超える投与期間の薬剤にあっては常態として投与する薬剤として扱う。なお、投与中止期間が1週間以内の場合は、連続する投与とみなして投与期間を計算する。

オ 臨時的に内服薬の追加投与等を行った結果、1処方につき内服薬が7種類以上となる場合において、傷病名欄からその必要性が明らかでない場合には、診療報酬明細書の摘要欄にその必要性を記載する。

(5) ビタミン剤

ア 「注3」に規定するビタミン剤(ビタミンB群製剤及びビタミンC製剤に限る。)とは、内服薬及び注射薬をいうものであり、また、ビタミンB群又はビタミンCを含有する配合剤を含むものである。

イ ビタミン剤に係る薬剤料が算定できるのは、医師が当該ビタミン剤の投与が有効であると判断し、適正に投与された場合に限られるものであり、具体的には、次のような場合をいう。ただし、薬事法上の承認内容に従って投与された場合に限る。

(イ) 患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝障害であることが明らかであり、かつ、必要なビタミンを食事により摂取することが困難である場合(例えば、悪性貧血のビタミンB12の欠乏等、診察及び検査の結果から当該疾患又は症状が明らかな場合)

(ロ) 患者が妊産婦、乳幼児等(手術後の患者及び高カロリー輸液療法実施中の患者を含む。)であり、診察及び検査の結果から食事からのビタミンの摂取が不十分であると診断された場合

(ハ) 患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝障害であると推定され、かつ、必要なビタミンを食事により摂取することが困難である場合

(ニ) 重湯等の流動食及び軟食のうち、一分がゆ、三分がゆ又は五分がゆを食している場合

(ホ) 無菌食、フェニールケトン尿症食、楓糖尿症食、ホモシスチン尿症食又はガラクトース血症食を食している場合

ウ ビタミン剤に係る薬剤料を算定する場合には、当該ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨を具体的に診療録及び診療報酬明細書に記載しなければならない。ただし、病名によりビタミン剤の投与が必要、かつ、有効と判断できる場合は趣旨を診療報酬明細書に記載することは要しない。

第5節

F400 処方せん料

(1) 保険薬局で保険調剤を受けさせるために、患者に保険医療機関及び保険医療養担当規則に定められている様式の完備した処方せん(院外処方せん)を交付した場合に限り算定し、その処方せんに処方した剤数、投与量(日分数)等の如何にかかわらず、1回として算定する。

(2) 同一の保険医療機関が一連の診療に基づいて、同時に、同一の患者に2枚以上の処方せんを交付した場合は、1回として算定する。

(3) 複数の診療科を標榜する保険医療機関において、2以上の診療科で、異なる医師が処方した場合は、それぞれの処方につき処方せん料を算定することができる。

(4) 処方せん料における内服薬の種類については、区分番号「F200」薬剤の「注2」における内服薬の種類と同様の取扱いとする。なお、当該処方に係る内服薬の投薬が6種類以下の場合又は外用薬、屯服薬のみの投薬の場合は「2」で算定する。

(5) 臨時的に内服薬の追加投与等を行った結果、1処方につき内服薬が7種類以上となる場合には、処方せんの備考欄にその必要性を記載する。

その他、臨時的に内服薬の追加投与を行った場合の取扱いについてはF200薬剤の(4)に準じるものとする。

(6) 同一の患者に対して、同一診療日に、一部の薬剤を院内において投薬し、他の薬剤を院外処方せんにより投薬することは、原則として認められない。

また、注射器、注射針又はその両者のみを処方せんにより投与することは認められない。

(7) 乳幼児加算、特定疾患処方管理加算及び抗悪性腫瘍剤処方管理加算は区分番号「F100」処方料の(5)、(6)又は(7)に準じるものとする。

(8) 訪問薬剤管理指導との関係

保険薬局に訪問薬剤管理指導を依頼している場合は、当該保険医療機関は在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定できない。保険薬局から情報提供があった場合は、当該保険医療機関は文書を診療録に貼付する。なお、地方厚生(支)局長に届出を行った保険薬局が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定できるのは月に4回に限られる。

第6節 調剤技術基本料

F500 調剤技術基本料

(1) 調剤技術基本料は、重複投薬の防止等保険医療機関内における調剤の管理の充実を図るとともに投薬の適正を確保することを目的としており、薬剤師が常態として勤務する保険医療機関において、薬剤師の管理のもとに調剤が行われた場合に、患者1人につき、月1回に限り算定する。

(2) 同一医療機関において同一月内に処方せんの交付がある場合は、調剤技術基本料は算定できない。

(3) 同一月に区分番号「B008」薬剤管理指導料又は区分番号「C008」在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している場合には、調剤技術基本料は算定しない。

(4) 院内製剤加算

ア 「注3」の院内製剤加算は、薬価基準に収載されている医薬品に溶媒、基剤等の賦形剤を加え、当該医薬品とは異なる剤形の医薬品を院内製剤の上調剤した場合に、次の場合を除き算定できる。

(イ) 調剤した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合

(ロ) 散剤を調剤した場合

(ハ) 液剤を調剤する場合であって、薬事法上の承認内容が用時溶解して使用することとなっている医薬品を交付時に溶解した場合

(ニ) 1種類のみの医薬品を水に溶解して液剤とする場合(安定剤、溶解補助剤、懸濁剤等製剤技術上必要と認められる添加剤を使用した場合及び調剤技術上、ろ過、加温、滅菌行為をなす必要があって、これらの行為を行った場合を除く。)

イ 上記アにかかわらず、剤形が変わらない場合であっても、次に該当する場合には、院内製剤加算が算定できる。ただし、調剤した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合を除く。

(イ) 同一剤形の2種類以上の既製剤(賦形剤、矯味矯臭剤等を除く。)を混合した場合(散剤及び顆粒剤を除く。)

(ロ) 安定剤、溶解補助剤、懸濁剤等製剤技術上必要と認められる添加剤を加えて調剤した場合

(ハ) 調剤技術上、ろ過、加温、滅菌行為をなす必要があって、これらの行為を行った場合

ウ ア、イにかかわらず調剤した医薬品を、原料とした医薬品の承認内容と異なる用法・用量あるいは効能・効果で用いる場合は院内製剤加算は算定できない。

第6部 注射

<通則>

1 注射に係る費用は、第1節注射料、第2節薬剤料及び第3節特定保険医療材料料(別に厚生労働大臣が定める保険医療材料のうち注射に当たり使用したものの費用に限る。)に掲げる所定点数を合算した点数によって算定する。

2 生物学的製剤注射加算

(1) 「通則3」の生物学的製剤注射加算を算定できる注射薬は、トキソイド、ワクチン及び抗毒素であり、注射の方法にかかわらず、次に掲げる薬剤を注射した場合に算定できる。

ア ((局))乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン

イ 組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)

ウ 組換え沈降B型肝炎ワクチン(チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞由来)

エ 肺炎球菌ワクチン

オ 沈降破傷風トキソイド

カ ((局))ガスえそウマ抗毒素

キ 乾燥ガスえそウマ抗毒素

ク ((局))乾燥ジフテリアウマ抗毒素

ケ ((局))乾燥破傷風ウマ抗毒素

コ ((局))乾燥はぶウマ抗毒素

サ ((局))乾燥ボツリヌスウマ抗毒素

シ ((局))乾燥まむしウマ抗毒素

(2) 区分番号「G005」中心静脈注射の回路より生物学的製剤を注入した場合は、「通則3」の加算を算定できる。

3 精密持続点滴注射加算

(1) 「通則4」の精密持続点滴注射は、自動輸液ポンプを用いて1時間に30mL以下の速度で体内(皮下を含む。)又は注射回路に薬剤を注入することをいう。

(2) 1歳未満の乳児に対して精密持続点滴注射を行う場合は、注入する薬剤の種類にかかわらず算定できるが、それ以外の者に対して行う場合は、緩徐に注入する必要のあるカテコールアミン、βブロッカー等の薬剤を医学的必要性があって注入した場合に限り算定する。

(3) 区分番号「G003」抗悪性腫瘍剤局所持続注入の実施時に精密持続点滴を行った場合は、「通則4」の加算を算定できる。

(4) 区分番号「G005」中心静脈注射の回路より精密持続点滴注射を行った場合は、「通則4」の加算を算定できる。

4 外来化学療法加算

(1) 「通則6」に規定する外来化学療法加算については、入院中の患者以外の悪性腫瘍の患者に対して、抗悪性腫瘍剤による注射の必要性、副作用、用法・用量、その他の留意点等について文書で説明し、外来化学療法に係る専用室において、悪性腫瘍の治療を目的として抗悪性腫瘍剤等が投与された場合に算定する。

(2) 外来化学療法加算は、関節リウマチの患者、クローン病の患者及びベーチェット病の患者に対してインフリキシマブ製剤の注射を行った場合、又は関節リウマチの患者、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎の患者及び全身型若年性特発性関節炎の患者に対してトシリズマブ製剤の注射を行った場合も算定できる。

(3) 外来化学療法加算1については、当該保険医療機関で実施される化学療法のレジメン(治療内容)の妥当性を評価し、承認する委員会において、承認され、登録されたレジメンを用いて治療を行ったときのみ算定できる。

5 特定入院料等注射の手技料を含む点数を算定した場合は、「通則3」、「通則4」及び「通則5」の加算は算定できない。なお、使用薬剤の薬価(薬価基準)に収載されている臨床試用医薬品を使用した場合は、第2節薬剤料は算定せず、第1節注射料及び第3節特定保険医療材料料のみ算定する。

6 心臓内注射及び痔核注射等の第1節に掲げられていない注射のうち簡単なものに係る費用については、第2節薬剤料に掲げる所定点数のみ算定する。ただし、胸腔注入、前房注射、副鼻腔注入及び気管支カテーテル薬液注入法については、第2章第9部処置に掲げる所定点数をそれぞれ算定し、これらに係る薬剤料の算定に関しては第2章第5部投薬の区分番号「F200」薬剤の(2)、(3)及び(5)の例による。

7 区分番号「G001」静脈内注射、区分番号「G004」点滴注射又は区分番号「G005」中心静脈注射のうち2以上を同一日に併せて行った場合は、主たるものの所定点数のみ算定する。

8 点滴注射及び中心静脈注射の回路に係る費用並びに穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料については、それぞれの所定点数に含まれ、別に算定できない。

9 人工腎臓の回路より注射を行った場合は、当該注射に係る費用は別に算定できない。

第1節 注射料

<通則>

注射料は、第1款注射実施料及び第2款無菌製剤処理料に掲げる点数を合算した所定点数により算定する。なお、6歳未満の乳幼児である入院患者に対する1日分の注射量が100mL未満の点滴注射等、注射実施料が算定できないこととされる場合であっても、無菌製剤処理料を算定できる。

第1款 注射実施料

G000 皮内、皮下及び筋肉内注射

(1) 入院中の患者以外の患者に対して行った場合にのみ算定し、入院中の患者に行った場合は、1日の薬剤料を合算し、第2節薬剤料のみ算定できる。

(2) 涙のう内薬液注入、鼓室内薬液注入、局所・病巣内薬剤注入、子宮腟部注射、咽頭注射(軟口蓋注射、口蓋ヒヤリー氏点の注射を含む。)、腱鞘周囲注射及び血液注射については、皮内、皮下及び筋肉内注射に準じて算定する。ただし、涙のう内薬液注入については、両眼にそれぞれ異なる薬剤を使用した場合は、片眼ごとに所定点数を算定する。

(3) 区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料又は区分番号「C108」在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)に対して、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて皮内、皮下及び筋肉内注射を行った場合は、当該注射に係る費用は算定しない。

G001 静脈内注射

(1) 入院中の患者以外の患者に対して行った場合にのみ算定し、入院中の患者に行った場合は、1日の薬剤料を合算し、第2節薬剤料のみ算定する。

(2) 区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料、区分番号「C104」在宅中心静脈栄養法指導管理料又は区分番号「C108」在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)に対して、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて静脈内注射を行った場合は、当該注射に係る費用は算定しない。

G002 動脈注射

「内臓の場合」とは、肺動脈起始部、大動脈弓及び腹部大動脈等深部動脈に対して行う場合であり、「その他の場合」とは、頸動脈、鎖骨下動脈、股動脈、上腕動脈等に対して行う場合をいう。

G003 抗悪性腫瘍剤局所持続注入

(1) ポンプを利用して注入する場合におけるポンプの費用及び当該注入に必要なカテーテル等の材料の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 区分番号「C108」在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している月においては、当該抗悪性腫瘍剤局所持続注入に係る費用(薬剤料は除く。)は算定できない。

G003―3 肝動脈塞栓を伴う抗悪性腫瘍剤肝動脈内注入

(1) 抗悪性腫瘍剤注入用肝動脈塞栓材と抗悪性腫瘍剤を混和して肝動脈内に注入する場合に算定できる。なお、当該注入に必要なカテーテル等の材料の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 抗悪性腫瘍剤注入用肝動脈塞栓材の使用量を決定する目的で当該塞栓材のみを注入する場合は、その必要性が高い場合に限り、月1回に限り算定できる。

G004 点滴注射

(1) 6歳未満の乳幼児に対する1日分の注射量が100mL未満の場合及び6歳以上の者に対する1日分の注射量が500mL未満の場合は、入院中の患者以外の患者に限り、3に掲げる所定点数で算定する。

(2) 「注射量」は、次のように計算する。

ア 点滴回路より薬物を注入するいわゆる「管注」を行った場合には、「管注」に用いた薬剤及び補液に用いた薬剤の総量。

イ 同一の者に対して、点滴注射を1日に2回以上行った場合には、それぞれの注射に用いた薬剤の総量。

(3) 血漿成分製剤加算

ア 注3に規定する「文書による説明」とは、1回目の輸注を行う際(当該患者に対して複数回の輸注を行う場合は概ね1週間毎)に、別紙様式20又はこれに準ずる様式により、患者(医師の説明に対して理解が困難と認められる小児又は意識障害者等にあっては、その家族等)に対して、輸注の必要性、副作用、輸注方法及びその他の留意点等について説明することをいう。

イ 説明に用いた文書については、患者(医師の説明に対して理解が困難と認められる小児又は意識障害者等にあっては、その家族等)から署名又は押印を得た上で、当該患者に交付するとともに、その文書の写しを診療録に貼付することとする。

ウ 緊急その他やむを得ない場合は、輸注後に説明を行った場合も算定できるが、この場合輸注後速やかに行うこととする。

エ 注3に規定する血漿成分製剤とは、新鮮液状血漿及び新鮮凍結人血漿等をいい、血漿分画製剤(アルブミン製剤、グロブリン製剤等)は含まれないが、血漿成分製剤に準じ、患者に対して輸注の必要性等の説明を行うよう努めること。なお、血漿成分製剤及び血漿分画製剤の輸注に当たっては、「「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」の改定について」(平成17年9月6日薬食発第0906002号)を遵守するよう努めるものとする。

(4) 区分番号「C101」、区分番号「C104」又は区分番号「C108」在宅自己注射指導管理料、在宅中心静脈栄養法指導管理料又は在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)に対して、区分番号「C001」に掲げる在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて点滴注射を行った場合は、当該注射に係る費用は算定しない。

G005 中心静脈注射

(1) 中心静脈注射により高カロリー輸液を行っている場合であっても、必要に応じ食事療養又は生活療養を行った場合は、入院時食事療養(Ⅰ)若しくは入院時食事療養(Ⅱ)又は入院時生活療養(Ⅰ)の食事の提供たる療養に係る費用若しくは入院時生活療養(Ⅱ)の食事の提供たる療養に係る費用を別に算定できる。

(2) 注1に掲げられる血漿成分製剤加算については、区分番号「G004」点滴注射の(3)に規定する血漿成分製剤加算の例による。

(3) 区分番号「C104」在宅中心静脈栄養法指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、中心静脈注射の費用は算定できない。

(4) 区分番号「C108」在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)について、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて中心静脈注射を行った場合は当該注射の費用は算定しない。

G005―2 中心静脈注射用カテーテル挿入

(1) 中心静脈圧測定の目的でカテーテルを挿入した場合は、中心静脈注射用カテーテル挿入に準じて算定する。中心静脈注射及び中心静脈圧測定を同一の回路より同時に行った場合は、どちらか一方のみを算定する。

ただし、中心静脈注射及び中心静脈圧測定を別の回路から別のカテーテルを用いて同時に行った場合は、それぞれ材料料及び手技料を算定できる。

(2) カテーテルの詰まり等によりカテーテルを交換する場合は、カテーテルの材料料及び手技料はその都度算定できる。

(3) カテーテル挿入時の局所麻酔の手技料は別に算定できず、使用薬剤の薬剤料は別に算定できる。

(4) 区分番号「C104」又は区分番号「C108」在宅中心静脈栄養法指導管理料又は在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)について、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて中心静脈注射用カテーテル挿入を行った場合は、カテーテルの材料料及び手技料は別に算定できる。

(5) 緊急時ブラッドアクセス用留置カテーテル(但し、カフ型緊急時ブラッドアクセス用留置カテーテルを除く)を挿入した場合は、中心静脈注射用カテーテル挿入に準じて算定する。

G005―3 末梢留置型中心静脈注射用カテーテル挿入

(1) カテーテルの詰まり等によりカテーテルを交換する場合は、カテーテルの材料料及び手技料はその都度算定できる。

(2) カテーテル挿入時の局所麻酔の手技料は別に算定できず、使用薬剤の薬剤料は別に算定できる。

(3) 区分番号「C104」に掲げる在宅中心静脈栄養法指導管理料又は区分番号「C108」に掲げる在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)に対して、区分番号「C001」に掲げる在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて末梢留置型中心静脈注射用カテーテル挿入を行った場合は、カテーテルの材料料及び手技料は別に算定できる。

G005―4 カフ型緊急時ブラッドアクセス用留置カテーテル挿入

(1) 本カテーテルの材料料及び手技料は1週間に1回を限度として算定できる。

(2) カテーテル挿入時の局所麻酔の手技料は別に算定できず、使用薬剤の薬剤料は別に算定できる。

G009 脳脊髄腔注射

検査、処置を目的とする穿刺と同時に実施した場合は、当該検査若しくは処置又は脳脊髄腔注射のいずれかの所定点数を算定する。

G010 関節腔内注射

検査、処置を目的とする穿刺と同時に実施した場合は、当該検査若しくは処置又は関節腔内注射のいずれかの所定点数を算定する。

G012 結膜下注射

(1) 両眼に行った場合は、それぞれに片眼ごとの所定点数を算定する。

(2) 結膜下注射又は眼球注射の実施時に使用された麻薬については、「通則5」の加算は算定できない。

G012―2 自家血清の眼球注射

眼球注射に際し、患者の血液を採取する場合は所定点数に採血料を加算して算定する。

G016 硝子体内注射

両眼に行った場合は、それぞれに片眼ごとの所定点数を算定する。

第2款 無菌製剤処理料

G020 無菌製剤処理料

(1) 無菌製剤処理とは、無菌室、クリーンベンチ、安全キャビネット等の無菌環境において、無菌化した器具を用いて、製剤処理を行うことをいう。

無菌製剤処理は、常勤の薬剤師が行うとともに、その都度、当該処理に関する記録を整備し、保管しておくこと。

(2) 無菌製剤処理料1の対象患者は、悪性腫瘍に対して用いる薬剤であって細胞毒性を有するものに関し、動脈注射、抗悪性腫瘍剤局所持続注入、肝動脈塞栓を伴う抗悪性腫瘍剤肝動脈内注入又は点滴注射が行われる患者であり、この場合において、「悪性腫瘍に対して用いる薬剤であって細胞毒性を有するもの」とは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律第192号)第4条第5項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が指定した医薬品(平成16年厚生労働省告示第185号)のうち、悪性腫瘍に対して用いる注射剤をいう。

なお、この場合の無菌製剤処理は、常勤の薬剤師が無菌製剤処理を行う薬剤を用いる患者ごとに、投与経路、投与速度、投与間隔等の確認を行った上で行うこととする。また、安全キャビネットを用いた無菌環境下で無菌製剤処理を行うことが望ましいこと。

(3) 無菌製剤処理料1のうち、イについては、バイアル内外の差圧を調節する機構を有することにより、薬剤の飛散等を防止する閉鎖式接続器具を用いて無菌製剤処理を行った場合に算定する。

閉鎖式接続器具を使用した場合は、当該器具の製品名及び数量を(1)に基づき記録すること。

(4) 無菌製剤処理料2の対象患者は、以下のア又はイに該当する患者である。

ア 動脈注射又は点滴注射が行われる入院中の患者のうち、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症等の患者及び後天性免疫不全症候群の病原体に感染し抗体の陽性反応がある患者であって、無菌治療室管理加算若しくはHIV感染者療養環境特別加算を算定する患者又はこれらの患者と同等の状態にある患者

イ 中心静脈注射又は埋込型カテーテルによる中心静脈栄養が行われる患者

第2節 薬剤料

G100 薬剤

アレルゲン治療エキス及びアレルゲンハウスダストエキス等によるアレルギー疾患減感作療法において使用した薬剤料については、使用量(やむを得ず廃棄した場合の薬液量を含む。)に応じて薬価により算定する。

第7部 リハビリテーション

<通則>

1 リハビリテーション医療は、基本的動作能力の回復等を目的とする理学療法や、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法、言語聴覚能力の回復等を目的とした言語聴覚療法等の治療法より構成され、いずれも実用的な日常生活における諸活動の実現を目的として行われるものである。

2 第1節リハビリテーション料に掲げられていないリハビリテーションのうち、簡単なリハビリテーションのリハビリテーション料は、算定できないものであるが、個別に行う特殊なリハビリテーションのリハビリテーション料は、その都度当局に内議し、最も近似するリハビリテーションとして準用が通知された算定方法により算定する。

3 各区分におけるリハビリテーションの実施に当たっては、全ての患者の機能訓練の内容の要点及び実施時刻(開始時刻と終了時刻)の記録を診療録等へ記載すること。

4 心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料及び呼吸器リハビリテーション料(以下この部において「疾患別リハビリテーション料」という。)に掲げるリハビリテーション(以下この部において「疾患別リハビリテーション」という。)の実施に当たっては、医師は定期的な機能検査等をもとに、その効果判定を行い、別紙様式21から別紙様式21の3までを参考にしたリハビリテーション実施計画を作成する必要がある。また、リハビリテーションの開始時及びその後(疾患別リハビリテーション料の各規定の注3にそれぞれ規定する場合を含む。)3か月に1回以上(特段の定めのある場合を除く。)患者に対して当該リハビリテーション実施計画の内容を説明し、診療録にその要点を記載すること。

また、疾患別リハビリテーションを実施している患者であって、急性期又は回復期におけるリハビリテーション料を算定する日数として、疾患別リハビリテーション料の各規定の注1本文に規定する日数(以下「標準的算定日数」という。)を超えて継続して疾患別リハビリテーションを行う患者(疾患別リハビリテーション料の各規定の注3にそれぞれ規定する場合を除く。)のうち、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合(特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一号に掲げる患者であって、別表第九の九第一号に掲げる場合)は、継続することとなった日を診療録に記載することと併せ、継続することとなった日及びその後1か月に1回以上リハビリテーション実施計画書を作成し、患者又は家族に説明の上交付するとともにその写しを診療録に添付すること。なお、当該リハビリテーション実施計画書は、①これまでのリハビリテーションの実施状況(期間及び内容)、②前月の状態との比較をした当月の患者の状態、③将来的な状態の到達目標を示した今後のリハビリテーション計画と改善に要する見込み期間、④機能的自立度評価法(Functional Independence Measure、以下この部において「FIM」という。)、基本的日常生活活動度(Barthel Index、以下この部において「BI」という。)、関節の可動域、歩行速度及び運動耐用能などの指標を用いた具体的な改善の状態等を示した継続の理由、などを記載したものであること。

4の2 疾患別リハビリテーションを実施している患者であって、標準的算定日数を超えて継続して疾患別リハビリテーションを行う患者(疾患別リハビリテーション料の各規定の注3にそれぞれ規定する場合を除く。)のうち、患者の疾患、状態等を総合的に勘案し、治療上有効であると医学的に判断される場合(特掲診療料の施設基準等別表第九の八第二号に掲げる患者であって、別表第九の九第二号に掲げる場合)は、継続することとなった日を診療録に記載することと併せ、継続することとなった日及びその後3か月に1回以上、リハビリテーション実施計画書を作成し、患者又は家族に説明の上交付するとともにその写しを診療録に添付すること。なお、当該リハビリテーション実施計画書は、①これまでのリハビリテーションの実施状況(期間及び内容)、②前月の状態とを比較した当月の患者の状態、③今後のリハビリテーション計画等について記載したものであること。なお、標準的算定日数を超えて継続して疾患別リハビリテーションを提供する場合にあっては、介護保険によるリハビリテーションの適用について適切に評価し、適用があると判断された場合にあっては、患者に説明の上、患者の希望に基づき、介護保険によるリハビリテーションを受けるために必要な手続き等について指導すること。

4の3 同一の疾患等に係る疾患別リハビリテーションについては、一つの保険医療機関が責任をもって実施するべきであるが、言語聴覚療法に係る疾患別リハビリテーションについては、言語聴覚療法を実施できる保険医療機関が少ないことを考慮し、当分の間、別の保険医療機関において実施した場合であっても算定することができるものとする。また、障害児(者)リハビリテーション料については、その特殊性を勘案し、疾患別リハビリテーション料又はがん患者リハビリテーション料を算定している保険医療機関とは別の保険医療機関で算定することができるものとする。

5 届出施設である保険医療機関内において、治療、訓練の専門施設外で訓練を実施した場合においても、疾患別リハビリテーションとみなすことができる。

6 疾患別リハビリテーション料の点数は、患者に対して20分以上個別療法として訓練を行った場合(以下この部において、「1単位」という。)にのみ算定するものであり、訓練時間が1単位に満たない場合は、基本診療料に含まれる。

7 疾患別リハビリテーション料は、患者1人につき1日合計6単位(別に厚生労働大臣が定める患者については1日合計9単位)に限り算定できる。

当該別に厚生労働大臣が定める患者のうち「入院中の患者であって、その入院する病棟等において早期歩行、ADLの自立等を目的として心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)、運動器リハビリテーション料(Ⅰ)又は呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)を算定するもの」とは、訓練室以外の病棟等(屋外を含む。)において、早期歩行自立及び実用的な日常生活における諸活動の自立を目的として、実用歩行訓練・日常生活活動訓練が行われた患者であること。ただし、平行棒内歩行、基本的動作訓練としての歩行訓練、座位保持訓練等のみを行っている患者については含まれない。

8 疾患別リハビリテーション料は、患者の疾患等を総合的に勘案して最も適切な区分に該当する疾患別リハビリテーション料を算定する。ただし、当該患者が病態の異なる複数の疾患を持つ場合には、必要に応じ、それぞれを対象とする疾患別リハビリテーション料を算定できる。例えば、疾患別リハビリテーション料のいずれかを算定中に、新たな疾患が発症し、新たに他の疾患別リハビリテーションを要する状態となった場合には、新たな疾患の発症日等をもって他の疾患別リハビリテーションの起算日として、それぞれの疾患別リハビリテーション料を算定することができる。この場合においても、1日の算定単位数は前項の規定による。

9 疾患別リハビリテーションを実施する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、疾患名及び当該疾患の治療開始日又は発症日、手術日又は急性増悪の日(以下この部において「発症日等」という。)を記載すること。また、標準的算定日数を超えて継続して疾患別リハビリテーションを行う患者(疾患別リハビリテーション料の各規定の注3にそれぞれ規定する場合を除く。)のうち、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合(特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一号に掲げる患者であって、別表第九の九第一号に掲げる場合)は、①これまでのリハビリテーションの実施状況(期間及び内容)、②前月の状態との比較をした当月の患者の状態、③将来的な状態の到達目標を示した今後のリハビリテーション計画と改善に要する見込み期間、④FIM、BI、関節の可動域、歩行速度及び運動耐用能などの指標を用いた具体的な改善の状態等を示した継続の理由を摘要欄に記載すること。ただし、リハビリテーション実施計画書を作成した月にあっては、改善に要する見込み期間とリハビリテーション継続の理由を摘要欄に記載した上で、当該計画書の写しを添付することでも差し支えない。なお、継続の理由については、具体的には次の例を参考にして記載すること。

本患者は、2008年9月21日に脳出血を発症し、同日開頭血腫除去術を施行した。右片麻痺を認めたが、術後に敗血症を合併したため、積極的なリハビリテーションが実施できるようになったのは術後40日目からであった。2009年2月中旬まで1日5単位週4日程度のリハビリテーションを実施し、BIは45点から65点に改善を認めた。3月末に標準的算定日数を超えるが、BIの改善を引き続き認めており、リハビリテーションの開始が合併症のために遅れたことを考えると、1か月程度のリハビリテーション継続により、更なる改善が見込めると判断される。

第1節 リハビリテーション料

H000 心大血管疾患リハビリテーション料

(1) 心大血管疾患リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において算定するものであり、心機能の回復、当該疾患の再発予防等を図るために、心肺機能の評価による適切な運動処方に基づき運動療法等を個々の症例に応じて行った場合に算定する。なお、関係学会により周知されている「心疾患における運動療法に関するガイドライン」(Circulation Journal Vol.66,Supple.Ⅳ,2002:1194)に基づいて実施すること。

(2) 心大血管疾患リハビリテーション料の対象となる患者は、特掲診療料の施設基準等別表第九の四に掲げる対象患者であって、以下のいずれかに該当するものをいい、医師が個別に心大血管疾患リハビリテーションが必要であると認めるものであること。

ア 急性発症した心大血管疾患又は心大血管疾患の手術後の患者とは、急性心筋梗塞、狭心症、開心術後、大血管疾患(大動脈解離、解離性大動脈瘤、大血管術後)のものをいう。

イ 慢性心不全、末梢動脈閉塞性疾患その他の慢性の心大血管の疾患により、一定程度以上の呼吸循環機能の低下及び日常生活能力の低下を来している患者とは、

(イ) 慢性心不全であって、左室駆出率40%以下、最高酸素摂取量が基準値80%以下又はヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が80pg/mL以上の状態のもの

(ロ) 末梢動脈閉塞性疾患であって、間欠性跛行を呈する状態のもの

をいう。

(3) 心大血管疾患リハビリテーション料の標準的な実施時間は、1回1時間(3単位)程度とするが、入院中の患者以外の患者については、1日当たり1時間(3単位)以上、1週3時間(9単位)を標準とする。

(4) 心大血管疾患リハビリテーションは、専任の医師の指導管理の下に実施することとする。この場合、医師が直接監視を行うか、又は医師が同一建物内において直接監視をしている他の従事者と常時連絡が取れる状態かつ緊急事態に即時的に対応できる態勢であること。また、専任の医師は定期的な心機能チェックの下に、運動処方を含むリハビリテーションの実施計画を作成し、診療録に記載すること。この場合、入院中の患者については、当該療法を担当する医師又は理学療法士及び看護師の1人当たりの患者数は、それぞれ1回15人程度、1回5人程度とし、入院中の患者以外の患者については、それぞれ、1回20人程度、1回8人程度とする。

(5) 当該リハビリテーションと他の疾患別リハビリテーション及び集団コミュニケーション療法を同一の従事者が行う場合、心大血管疾患リハビリテーションに実際に従事した時間20分を1単位としてみなした上で、他の疾患別リハビリテーション等の実施単位数を足した値が、従事者1人につき1日18単位を標準とし、週108単位までとする。

(6) 心大血管疾患リハビリテーション料の所定点数には、心大血管疾患リハビリテーションに付随する区分番号D208に掲げる心電図検査、区分番号D209に掲げる負荷心電図検査及び区分番号D220に掲げる呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープの費用が含まれる。

(7) 標準的算定日数を超えた患者については、注3に規定するとおり、1月に13単位に限り心大血管疾患リハビリテーション料の所定点数を算定できる。なお、その際には、当該患者が介護保険による訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、介護予防訪問リハビリテーション又は介護予防通所リハビリテーションによるリハビリテーションの適用があるかについて、適切に評価し、患者の希望に基づき、介護保険によるリハビリテーションサービスを受けるために必要な支援を行うこと。ただし、特掲診療料の施設基準等別表第九の八に掲げる患者であって、別表第九の九に掲げる場合については、標準的算定日数を超えた場合であっても、標準的算定日数内の期間と同様に算定できるものである。なお、その留意事項は以下のとおりである。

ア 特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一号に規定する「その他別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続して行うことが必要であると医学的に認められる者」とは、別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に認められる者をいうものである。

イ 特掲診療料の施設基準等別表第九の八に規定する「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者」とは、要介護状態又は要支援状態にある40歳以上の者であって、その要介護状態又は要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が、介護保険法第7条第3項第2号に規定する特定疾病によって生じたものであるものをいう。

(8) 「注2」に掲げる加算は、当該施設における心大血管疾患に対する治療開始後早期からのリハビリテーションの実施について評価したものであり、入院中の患者に対して1単位以上の個別療法を行った場合に算定できる。また、訓練室以外の病棟等(ベッドサイドを含む。)で実施した場合においても算定することができる。

(9) 「注3」に掲げる標準的算定日数を超えてリハビリテーションを継続する患者について、月の途中で標準的算定日数を超える場合においては、当該月における標準的算定日数を超えた日以降に実施された疾患別リハビリテーションが13単位以下であること。

(10) 訓練を実施する場合、患者一人につき概ね3平方メートル以上の面積を確保すること。

H001 脳血管疾患等リハビリテーション料

(1) 脳血管疾患等リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において算定するものであり、基本的動作能力の回復等を通して、実用的な日常生活における諸活動の自立を図るために、種々の運動療法、実用歩行訓練、日常生活活動訓練、物理療法、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合又は言語聴覚機能に障害を持つ患者に対して言語機能若しくは聴覚機能に係る訓練を行った場合に算定する。なお、マッサージや温熱療法などの物理療法のみを行った場合には処置料の項により算定する。

(2) 脳血管疾患等リハビリテーション料のイに掲げる「ロ以外の場合」の対象となる患者は、特掲診療料の施設基準等別表第九の五に掲げる患者であって、以下のいずれかに該当するものをいい、医師が脳血管疾患等リハビリテーションが必要であると認めるものである。

ア 急性発症した脳血管疾患又はその手術後の患者とは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳外傷、脳炎、急性脳症(低酸素脳症等)、髄膜炎等のものをいう。

イ 急性発症した中枢神経疾患又はその手術後の患者とは、脳膿瘍、脊髄損傷、脊髄腫瘍、脳腫瘍摘出術などの開頭術後、てんかん重積発作等のものをいう。

ウ 神経疾患とは、多発性神経炎(ギランバレー症候群等)、多発性硬化症、末梢神経障害(顔面神経麻痺等)等をいう。

エ 慢性の神経筋疾患とは、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、運動ニューロン疾患(筋萎縮性側索硬化症)、遺伝性運動感覚ニューロパチー、末梢神経障害、皮膚筋炎、多発性筋炎等をいう。

オ 失語症、失認及び失行症、高次脳機能障害の患者

カ 難聴や人工内耳埋込手術等に伴う聴覚・言語機能の障害を有する患者とは、音声障害、構音障害、言語発達障害、難聴に伴う聴覚・言語機能の障害又は人工内耳埋込手術等に伴う聴覚・言語機能の障害を持つ患者をいう。

キ リハビリテーションを要する状態であって、一定程度以上の基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力の低下及び日常生活能力の低下を来している患者とは、脳性麻痺等に伴う先天性の発達障害等の患者であって、治療開始時のFIM115以下、BI85以下の状態等のものをいう。

(3) 脳血管疾患等リハビリテーション料のロに掲げる「廃用症候群の場合」の対象となる患者は、外科手術又は肺炎等の治療時の安静による廃用症候群の患者であって、治療開始時において、FIM115以下、BI85以下の状態等のものをいう。

(4) 脳血管疾患等リハビリテーション料の所定点数には、徒手筋力検査及びその他のリハビリテーションに付随する諸検査が含まれる。

(5) 急性増悪とは、脳血管疾患等リハビリテーション料の対象となる疾患の増悪等により、1週間以内にFIM得点又はBIが10以上低下するような状態等に該当する場合をいう。

(6) 脳血管疾患等リハビリテーション料は、医師の指導監督の下、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の監視下に行われたものについて算定する。また専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が実施した場合と同様に算定できる。

(7) 脳血管疾患等リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションは、1人の従事者が1人の患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士と患者が1対1で行うものとする。

なお、当該リハビリテーションの実施単位数は、従事者1人につき1日18単位を標準とし、週108単位までとする。ただし、1日24単位を上限とする。また、当該実施単位数は、他の疾患別リハビリテーション及び集団コミュニケーション療法の実施単位数を合わせた単位数であること。この場合にあって、当該従事者が心大血管疾患リハビリテーションを実施する場合には、実際に心大血管疾患リハビリテーションに従事した時間20分を1単位とみなした上で計算するものとする。

(8) 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅱ)の届出を行った保険医療機関(専従する常勤の理学療法士が2人以上勤務しているものに限る。)又は脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅲ)の届出を行った保険医療機関(専従する常勤の理学療法士が勤務している場合に限る。)において、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士以外に、運動療法機能訓練技能講習会を受講するとともに、定期的に適切な研修を修了しているあん摩マッサージ指圧師等の従事者が訓練を行った場合については、当該療法を実施するに当たり、医師又は理学療法士が事前に指示を行い、かつ事後に当該療法に係る報告を受ける場合であって、(1)から(6)までのいずれにも該当する場合に限り、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅲ)の100点を算定できる。

(9) 脳血管疾患等リハビリテーション(Ⅱ)又は(Ⅲ)を届け出ている施設で、看護師、あん摩マッサージ指圧師等、理学療法士以外の従事者が理学療法を行う場合については、理学療法士は医師の指導監督の下に訓練を受ける患者の運動機能訓練の内容等を的確に把握すること。

(10) 標準的算定日数を超えた患者については、注3に規定するとおり、1月に13単位に限り脳血管疾患等リハビリテーション料の所定点数を算定できる。なお、その際には、当該患者が介護保険による訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、介護予防訪問リハビリテーション又は介護予防通所リハビリテーションによるリハビリテーションの適用があるかについて、適切に評価し、患者の希望に基づき、介護保険によるリハビリテーションサービスを受けるために必要な支援を行うこと。ただし、特掲診療料の施設基準等別表第九の八に掲げる患者であって、別表第九の九に掲げる場合については、標準的算定日数を超えた場合であっても、標準的算定日数内の期間と同様に算定できるものである。なお、その留意事項は以下のとおりである。

ア 特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一号に規定する「その他別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続して行うことが必要であると医学的に認められる者」とは、別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に認められる者をいうものである。

イ 特掲診療料の施設基準等別表第九の八に規定する「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者」とは、要介護状態又は要支援状態にある40歳以上の者であって、その要介護状態又は要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が、介護保険法第7条第3項第2号に規定する特定疾病によって生じたものであるものをいう。

(11) 廃用症候群に該当するものとして脳血管疾患等リハビリテーション料を算定する場合は、廃用をもたらすに至った要因、臥床・活動性低下の期間、廃用の内容、介入による改善の可能性、改善に要する見込み期間、前回の評価からの改善や変化、廃用に陥る前のADLについて別紙様式22を用いて、月ごとに評価し、診療報酬明細書に添付する又は同様の情報を摘要欄に記載するとともに、その写しを診療録に添付すること。

(12) 「注2」に掲げる加算は、当該施設における脳血管疾患等に対する発症、手術又は急性増悪後早期からのリハビリテーションの実施について評価したものであり、入院中の患者に対して1単位以上の個別療法を行った場合に算定できる。また、訓練室以外の病棟(ベッドサイドを含む)で実施した場合においても算定することができる。

(13) 「注3」に掲げる標準的算定日数を超えてリハビリテーションを継続する患者について、月の途中で標準的算定日数を超える場合においては、当該月における標準的算定日数を超えた日以降に実施された疾患別リハビリテーションが13単位以下であること。

H002 運動器リハビリテーション料

(1) 運動器リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において算定するものであり、基本的動作能力の回復等を通して、実用的な日常生活における諸活動の自立を図るために、種々の運動療法、実用歩行訓練、日常生活活動訓練、物理療法、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合に算定する。なお、マッサージや温熱療法などの物理療法のみを行った場合には処置料の項により算定する。

(2) 運動器リハビリテーション料の対象となる患者は、特掲診療料の施設基準等別表第九の六に掲げる患者であって、以下のいずれかに該当するものをいい、医師が個別に運動器リハビリテーションが必要であると認めるものである。

ア 急性発症した運動器疾患又はその手術後の患者とは、上・下肢の複合損傷(骨、筋・腱・靭帯、神経、血管のうち3種類以上の複合損傷)、脊椎損傷による四肢麻痺(1肢以上)、体幹・上・下肢の外傷・骨折、切断・離断(義肢)、運動器の悪性腫瘍等のものをいう。

イ 慢性の運動器疾患により、一定程度以上の運動機能の低下及び日常生活能力の低下を来している患者とは、関節の変性疾患、関節の炎症性疾患、熱傷瘢痕による関節拘縮、運動器不安定症等のものをいう。

(3) 運動器リハビリテーション料の所定点数には、徒手筋力検査及びその他のリハビリテーションに付随する諸検査が含まれる。

(4) 運動器リハビリテーション料は、医師の指導監督の下、理学療法士又は作業療法士の監視下により行われたものについて算定する。また専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、理学療法士又は作業療法士が実施した場合と同様に算定できる。

(5) 運動器リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションは、1人の従事者が1人の患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、理学療法士又は作業療法士と患者が1対1で行うものとする。

なお、当該リハビリテーションの実施単位数は、従事者1人につき1日18単位を標準とし、週108単位までとする。ただし、1日24単位を上限とする。また、当該実施単位数は、他の疾患別リハビリテーション及び集団コミュニケーション療法の実施単位数を合わせた単位数であること。この場合にあって、当該従事者が心大血管疾患リハビリテーションを実施する場合には、実際に心大血管疾患リハビリテーションに従事した時間20分を1単位とみなした上で計算するものとする。

(6) 運動器リハビリテーション料(Ⅲ)の届出を行った保険医療機関(専従する常勤の理学療法士が勤務している場合に限る。)において、理学療法士及び作業療法士以外に、運動療法機能訓練技能講習会を受講するとともに、定期的に適切な研修を修了しているあん摩マッサージ指圧師等の従事者が訓練を行った場合については、当該療法を実施するに当たり、医師又は理学療法士が事前に指示を行い、かつ事後に当該療法に係る報告を受ける場合であって(1)から(5)までのいずれにも該当する場合に限り、運動器リハビリテーション料(Ⅲ)の80点を算定できる。

(7) 運動器リハビリテーション料(Ⅱ)の届出を行った保険医療機関において、理学療法士及び作業療法士以外に、適切な運動器リハビリテーションに係る研修を修了したあん摩マッサージ指圧師等の従事者が訓練を行った場合については、当該療法を実施するに当たり、医師又は理学療法士が事前に指示を行い、かつ事後に当該療法に係る報告を受ける場合であって(1)から(5)までのいずれにも該当する場合に限り、運動器リハビリテーション料(Ⅲ)の80点を算定できる。

(8) 標準的算定日数を超えた患者については、注4に規定するとおり、1月13単位に限り運動器リハビリテーション料の所定点数を算定できる。なお、その際には、当該患者が介護保険による訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、介護予防訪問リハビリテーション又は介護予防通所リハビリテーションによるリハビリテーションの適用があるかについて、適切に評価し、患者の希望に基づき、介護保険によるリハビリテーションサービスを受けるために必要な支援を行うこと。ただし、特掲診療料の施設基準等別表第九の八に掲げる患者であって、別表第九の九に掲げる場合については、標準的算定日数を超えた場合であっても、標準的算定日数内の期間と同様に算定できるものである。なお、その留意事項は以下のとおりである。

ア 特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一号に規定する「その他別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続して行うことが必要であると医学的に認められる者」とは、別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に認められる者をいうものである。

イ 特掲診療料の施設基準等別表第九の八に規定する「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者」とは、要介護状態又は要支援状態にある40歳以上の者であって、その要介護状態又は要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が、介護保険法第7条第3項第2号に規定する特定疾病によって生じたものであるものをいう。

(9) 「注3」に掲げる加算は、当該施設における運動器疾患に対する発症、手術又は急性増悪後早期からのリハビリテーションの実施について評価したものであり、入院中の患者に対して1単位以上の個別療法を行った場合に算定できる。また、訓練室以外の病棟(ベッドサイドを含む)で実施した場合においても算定することができる。

(10) 「注4」に掲げる標準的算定日数を超えてリハビリテーションを継続する患者について、月の途中で標準的算定日数を超えた場合においては、当該月における標準的算定日数を超えた日以降に実施された疾患別リハビリテーションが13単位以下であること。

H003 呼吸器リハビリテーション料

(1) 呼吸器リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において算定するものであり、呼吸訓練や種々の運動療法等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合に算定する。

(2) 呼吸器リハビリテーション料の対象となる患者は、特掲診療料の施設基準等別表第九の七に掲げる患者であって、以下のいずれかに該当するものをいい、医師が個別に呼吸器リハビリテーションが必要であると認めるものである。

ア 急性発症した呼吸器疾患の患者とは、肺炎、無気肺等のものをいう。

イ 肺腫瘍、胸部外傷その他の呼吸器疾患又はその手術後の患者とは、肺腫瘍、胸部外傷、肺塞栓、肺移植手術、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対するLVRS(Lung volume reduction surgery)等の呼吸器疾患又はその手術後の患者をいう。

ウ 慢性の呼吸器疾患により、一定程度以上の重症の呼吸困難や日常生活能力の低下を来している患者とは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、気管支拡張症、間質性肺炎、塵肺、びまん性汎気管支炎(DPB)、神経筋疾患で呼吸不全を伴う患者、気管切開下の患者、人工呼吸管理下の患者、肺結核後遺症等のものであって、次の(イ)~(ハ)のいずれかに該当する状態であるものをいう。

(イ) 息切れスケール(Medical Research Council Scale)で2以上の呼吸困難を有する状態

(ロ) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)で日本呼吸器学会の重症度分類のⅡ以上の状態

(ハ) 呼吸障害による歩行機能低下や日常生活活動度の低下により日常生活に支障を来す状態

エ 食道癌、胃癌、肝臓癌、咽・喉頭癌等の手術前後の呼吸機能訓練を要する患者とは、食道癌、胃癌、肝臓癌、咽・喉頭癌等の患者であって、これらの疾患に係る手術日から概ね1週間前の患者及び手術後の患者で呼吸機能訓練を行うことで術後の経過が良好になることが医学的に期待できる患者のことをいう。

(3) 呼吸器リハビリテーション料の所定点数には、呼吸機能検査、経皮的動脈血酸素飽和度測定及びその他のリハビリテーションに付随する諸検査及び呼吸機能訓練と同時に行った酸素吸入の費用が含まれる。

(4) 呼吸器リハビリテーション料は、医師の指導監督の下で行われるものであり、理学療法士又は作業療法士の監視下に行われたものについて算定する。また、専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、理学療法士又は作業療法士が実施した場合と同様に算定できる。

(5) 呼吸器リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションは、1人の従事者が1人の患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、理学療法士又は作業療法士と患者が1対1で行うものとする。

なお、当該リハビリテーションの実施単位数は、従事者1人につき1日18単位を標準とし、週108単位までとする。ただし、1日24単位を上限とする。また、当該実施単位数は、他の疾患別リハビリテーション及び集団コミュニケーション療法の実施単位数を合わせた単位数であること。この場合にあって、当該従事者が心大血管疾患リハビリテーションを実施する場合には、実際に心大血管疾患リハビリテーションに従事した時間20分を1単位とみなした上で計算するものとする。

(6) 標準的算定日数を超えた患者については、注3に規定するとおり、1月に13単位に限り呼吸器リハビリテーション料の所定点数が算定できる。なお、その際には、当該患者が介護保険による訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、介護予防訪問リハビリテーション又は介護予防通所リハビリテーションによるリハビリテーションの適用があるかについて、適切に評価し、患者の希望に基づき、介護保険によるリハビリテーションサービスを受けるために必要な支援を行うこと。ただし、特掲診療料の施設基準等別表第九の八に掲げる患者であって、別表第九の九に掲げる場合については、標準的算定日数を超えた場合であっても、標準的算定日数内の期間と同様に算定できるものである。なお、その留意事項は以下のとおりである。

ア 特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一号に規定する「その他別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続して行うことが必要であると医学的に認められる者」とは、別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に認められる者をいうものである。

イ 特掲診療料の施設基準等別表第九の八に規定する「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者」とは、要介護状態又は要支援状態にある40歳以上の者であって、その要介護状態又は要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が、介護保険法第7条第3項第2号に規定する特定疾病によって生じたものであるものをいう。

(7) 「注2」に掲げる加算は、当該施設における呼吸器疾患に対する治療開始後早期からのリハビリテーションの実施について評価したものであり、入院中の患者に対して1単位以上の個別療法を行った場合に算定できる。また、訓練室以外の病棟(ベッドサイドを含む。)で実施した場合においても算定することができる。

(8) 「注3」に掲げる標準的算定日数を超えてリハビリテーションを継続する患者について、月の途中で標準的算定日数を超えた場合においては、当該月における標準的算定日数を超えた日以降に実施された疾患別リハビリテーションが13単位以下であること。

H003―2 リハビリテーション総合計画評価料

(1) リハビリテーション総合計画評価料は、定期的な医師の診察及び運動機能検査又は作業能力検査等の結果に基づき医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等の多職種が共同してリハビリテーション総合実施計画を作成し、これに基づいて行ったリハビリテーションの効果、実施方法等について共同して評価を行った場合に算定する。

(2) 医師及びその他の従事者は、共同してリハビリテーション総合実施計画書(別紙様式23、別紙様式23の2、別紙様式23の3又はこれに準じた様式)を作成し、その内容を患者に説明の上交付するとともに、その写しを診療録に添付する。

H004 摂食機能療法

(1) 摂食機能療法は、摂食機能障害を有する患者に対して、個々の患者の症状に対応した診療計画書に基づき、医師又は歯科医師若しくは医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士、看護師、准看護師、歯科衛生士、理学療法士又は作業療法士が1回につき30分以上訓練指導を行った場合に限り算定する。なお、摂食機能障害者とは、発達遅滞、顎切除及び舌切除の手術又は脳血管疾患等による後遺症により摂食機能に障害があるものをいう。

(2) 摂食機能療法の実施に当たっては、実施計画を作成し、医師は定期的な摂食機能検査をもとに、その効果判定を行う必要がある。なお、訓練内容及び治療開始日を診療録に記載すること。

(3) 治療開始日から3月以内に摂食機能療法を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に治療開始日を記載すること。

(4) 医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士、看護師、准看護師又は歯科衛生士が行う嚥下訓練は、摂食機能療法として算定できる。

H005 視能訓練

(1) 視能訓練は、両眼視機能に障害のある患者に対して、その両眼視機能回復のため矯正訓練(斜視視能訓練、弱視視能訓練)を行った場合に算定できるものであり、1日につき1回のみ算定する。

(2) 斜視視能訓練と弱視視能訓練を同時に施行した場合は、主たるもののみで算定する。

(3) 実施に当たって、医師は個々の患者の症状に対応した診療計画を作成し診療録に記載すること。

H006 難病患者リハビリテーション料

(1) 難病患者リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において、難病患者の社会生活機能の回復を目的として難病患者リハビリテーションを行った場合に、実施される内容の種類にかかわらず1日につき1回のみ算定する。

(2) 難病患者リハビリテーション料の算定対象は、入院中の患者以外の難病患者であって、要介護者(食事又はトイレに介助が必要な者)及び準要介護者(移動又は入浴に介助が必要な者)であり、医師がリハビリテーションが必要であると認めるものであること。

(3) 難病患者リハビリテーションは、個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであるが、この実施に当たっては、患者の症状等に応じたプログラムの作成、効果の判定等に万全を期すること。なお、実施時間は患者1人当たり1日につき6時間を標準とする。

(4) 難病患者リハビリテーション料を算定している患者に対して、同一日に行う他のリハビリテーションは所定点数に含まれるものとする。

(5) 「注2」に規定する短期集中リハビリテーション実施加算は、退院後早期の個々の患者の状態に対応した集中的なリハビリテーションの評価を行うものであり、退院日から起算して1月以内に行われる場合は、1週につき概ね2回以上、1回当たり40分以上、退院日から起算して1月を超え3月以内の期間に行われる場合は、1週につき概ね2回以上、1回当たり20分以上の個別リハビリテーションを含む難病患者リハビリテーションを行った場合に算定する。なお、個別リハビリテーション実施の際には、他の患者に対して提供するリハビリテーションに支障のないよう配慮すること。

(6) 治療の一環として治療上の目的を達するために食事を提供する場合にあっては、その費用は所定点数に含まれる。

H007 障害児(者)リハビリテーション料

(1) 障害児(者)リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める障害児(者)リハビリテーション料の施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関である次に掲げるいずれかの施設で行った場合に算定する。

ア 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第43条の3及び第43条の4に規定する肢体不自由児施設及び重症心身障害児施設

イ 同法第7条第6項に規定する国立高度専門医療研究センター及び独立行政法人国立病院機構の設置する医療機関であって厚生労働大臣の指定する医療機関

ウ 当該保険医療機関においてリハビリテーションを実施している外来患者のうち、概ね8割以上が特掲診療料の施設基準等別表第十の二に該当する患者(ただし加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者を除く。)である医療機関

(2) 障害児(者)リハビリテーション料は、(1)に掲げる施設の入所者、入院患者、通園者又は通院患者のうち、以下の患者(医師がリハビリテーションが必要と認めた患者に限る。)に対して、個々の症例に応じてリハビリテーションを行った場合に算定する。

ア 脳性麻痺の患者

イ 胎生期若しくは乳幼児期に生じた脳又は脊髄の奇形及び障害の患者(脳形成不全、小頭症、水頭症、奇形症候症、二分脊椎等の患者を含む。)

ウ 顎・口腔の先天異常の患者

エ 先天性の体幹四肢の奇形又は変形の患者(先天性切断、先天性多発性関節拘縮症等の患者を含む。)

オ 先天性神経代謝異常症、大脳白質変性症の患者

カ 先天性又は進行性の神経筋疾患の患者(脊髄小脳変性症、シャルコーマリートゥース病、進行性筋ジストロフィー症等の患者を含む。)

キ 神経障害による麻痺及び後遺症の患者(低酸素性脳症、頭部外傷、溺水、脳炎・脳症・髄膜炎、脊髄損傷、脳脊髄腫瘍、腕神経叢損傷・坐骨神経損傷等回復に長期間を要する神経疾患等の患者を含む。)

ク 言語障害、聴覚障害、認知障害を伴う自閉症等の発達障害の患者(広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、学習障害等の患者を含む。)

(3) 障害児(者)リハビリテーションの実施に当たっては、医師は定期的な運動機能検査等をもとに、その効果判定を行い、リハビリテーション実施計画を作成する必要がある。

(4) 障害児(者)リハビリテーション料を算定する場合は、同一の保険医療機関において、心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料又はがん患者リハビリテーション料は別に算定できない。ただし、障害児(者)リハビリテーションについては、その特殊性を勘案し、疾患別リハビリテーション料又はがん患者リハビリテーション料を算定している保険医療機関とは別の保険医療機関で算定することは可能である。

H007―2 がん患者リハビリテーション料

(1) がん患者リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において算定するものであり、がんの種類や進行、がんに対して行う治療及びそれに伴って発生する副作用又は障害等について十分な配慮を行った上で、がんやがんの治療により生じた疼痛、筋力低下、障害等に対して、二次的障害を予防し、運動器の低下や生活機能の低下予防・改善することを目的として種々の運動療法、実用歩行訓練、日常生活活動訓練、物理療法、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合について算定する。なお、マッサージや温熱療法などの物理療法のみを行った場合には処置料の項により算定する。

(2) がん患者リハビリテーションは、対象となる患者に対して、医師の指導監督の下、がん患者リハビリテーションに関する適切な研修を終了した理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が個別に20分以上のリハビリテーションを行った場合を1単位として、1日につき6単位に限り算定する。また、専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が実施した場合と同様に算定できる。

(3) がん患者リハビリテーション料の対象となる患者は、入院中のがん患者であって、以下のいずれかに該当する者をいい、医師が個別にがん患者リハビリテーションが必要であると認める者である。

ア 食道がん、肺がん、縦隔腫瘍、胃がん、肝臓がん、胆嚢がん、膵臓がん又は大腸がんと診断され、当該入院中に閉鎖循環式全身麻酔によりがんの治療のための手術が行われる予定の患者又は行われた患者

イ 舌がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、その他頸部リンパ節郭清を必要とするがんにより入院し、当該入院中に放射線治療若しくは閉鎖循環式全身麻酔による手術が行われる予定の患者又は行われた患者

ウ 乳がんにより入院し、当該入院中にリンパ節郭清を伴う乳房切除術が行われる予定の患者又は行われた患者で、術後に肩関節の運動障害等を起こす可能性がある患者

エ 骨軟部腫瘍又はがんの骨転移に対して、当該入院中に患肢温存術若しくは切断術、創外固定若しくはピン固定等の固定術、化学療法又は放射線治療が行われる予定の患者又は行われた患者

オ 原発性脳腫瘍又は転移性脳腫瘍の患者であって、当該入院中に手術若しくは放射線治療が行われる予定の患者又は行われた患者

カ 血液腫瘍により、当該入院中に化学療法若しくは造血幹細胞移植が行われる予定の患者又は行われた患者

キ 当該入院中に骨髄抑制を来しうる化学療法が行われる予定の患者又は行われた患者

ク 在宅において緩和ケア主体で治療を行っている進行がん又は末期がんの患者であって、症状増悪のため一時的に入院加療を行っており、在宅復帰を目的としたリハビリテーションが必要な患者

(4) がん患者リハビリテーションを行う際には、定期的な医師の診察結果に基づき、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等の多職種が共同してリハビリテーション計画を作成し、リハビリテーション総合計画評価料を算定していること。なお、がんのリハビリテーションに従事する者は、積極的にキャンサーボードに参加することが望ましい。

(5) がん患者リハビリテーション料を算定している患者に対して、心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料又は障害児(者)リハビリテーション料は別に算定できない。

H008 集団コミュニケーション療法料

(1) 集団コミュニケーション療法料は、別に厚生労働大臣が定める脳血管疾患等リハビリテーション料又は障害児(者)リハビリテーション料の施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関であって、当該施設において医師又は医師の指導監督の下で言語聴覚士が複数の患者に対して訓練を行った場合に算定できる。

(2) 集団コミュニケーション療法料の算定対象となるのは、脳血管疾患等リハビリテーション料又は障害児(者)リハビリテーション料を算定する患者のうち、1人の言語聴覚士が複数の患者に対して訓練を行うことができる程度の症状の患者であって、特に集団で行う言語聴覚療法である集団コミュニケーション療法が有効であると期待できる患者である。

(3) 集団コミュニケーション療法の実施単位数は言語聴覚士1人あたり1日のべ54単位を限度とする。また、集団コミュニケーション療法と脳血管疾患等リハビリテーション又は障害児(者)リハビリテーションを併せて行っている従事者については、実施するリハビリテーションの単位数が、集団コミュニケーション療法3単位を疾患別リハビリテーション1単位とみなした上で、1日に概ね18単位、週に108単位を超えないものとする。

(4) 集団コミュニケーション療法の実施に当たっては、医師は定期的な言語聴覚機能能力に係る検査をもとに効果判定を行い、集団コミュニケーション療法の実施計画を作成する必要がある。なお、集団コミュニケーション療法を実施する場合は開始時及びその後3か月に1回以上、患者又はその家族に対して当該集団コミュニケーション療法の実施計画の内容を説明し、その要点を診療録に記載する。

第8部 精神科専門療法

<通則>

精神科専門療法においては、薬剤を使用した場合は、第1節の精神科専門療法料と第2節の薬剤料を合算した点数により、薬剤を使用しない場合は、第1節の精神科専門療法料に掲げる所定点数のみによって算定する。

第1節 精神科専門療法料

I000 精神科電気痙攣療法

(1) 精神科電気痙攣療法とは、100ボルト前後の電流を頭部に短時間通電することを反復し、各種の精神症状の改善を図る療法をいい、精神科を標榜する保険医療機関において、精神科を担当する医師が行った場合に限り、1日1回を限度として算定する。

(2) 精神科電気痙攣療法は、当該療法について十分な知識を有する医師が実施すべきものであり、当該医師以外の介助者の立ち合いの下に、何らかの副作用が生じた際に適切な処置が取り得る準備の下に行われなければならない。

(3) マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を伴った精神科電気痙攣療法を実施する場合は、当該麻酔に要する費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。ただし、当該麻酔に伴う薬剤料及び特定保険医療材料料は別途算定できる。

I001 入院精神療法

(1) 入院精神療法とは、入院中の患者であって統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害又は精神症状を伴う脳器質性障害等(以下この項において「対象精神疾患」という。)のものに対して、一定の治療計画に基づいて精神面から効果のある心理的影響を与えることにより、対象精神疾患に起因する不安や葛藤を除去し、情緒の改善を図り洞察へと導く治療方法をいう。

(2) 入院精神療法は、精神科を標榜する保険医療機関の精神保健指定医その他の精神科を担当する医師が、当該保険医療機関内の精神療法を行うにふさわしい場所において、対象精神疾患の患者に対して必要な時間行った場合に限り算定する。また、対象精神疾患に伴い知的障害、認知症、心身症及びてんかんがある患者に対して入院精神療法が行われた場合にも算定できる。

(3) 入院精神療法として算定できる回数は、医学的に妥当と認められる回数を限度とする。なお、入院精神療法は、同時に複数の患者又は複数の家族を対象として集団的に行われた場合には、算定できない。

(4) 患者の家族に対する入院精神療法は、統合失調症の患者であって、家族関係が当該疾患の原因又は増悪の原因と推定される場合に限り、当該保険医療機関における初回の入院の時に、入院中2回を限度として算定できる。ただし、患者の病状説明、服薬指導等一般的な療養指導である場合は、算定できない。なお、家族に対して入院精神療法を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に画像2 (2KB)別ウィンドウが開きます
と記載する。

(5) 入院精神療法を行った場合(家族に対して行った場合を含む。)は、その要点を診療録に記載する。入院精神療法(Ⅰ)にあっては、更に当該療法に要した時間及びその要点を診療録に記載する。

(6) 患者に対して入院精神療法を行った日と同一の日に家族に対して入院精神療法を行った場合における費用は、患者に対する入院精神療法の費用に含まれ、別に算定できない。

(7) 入院の日及び入院の期間の取扱いについては、入院基本料の取扱いの例による。

(8) 重度の精神障害者とは、措置入院患者、医療保護入院患者及び任意入院であるが何らかの行動制限を受けている患者等をいう。

(9) 入院精神療法(Ⅰ)を行った週と同一週に行われた入院精神療法(Ⅱ)は別に算定できない。

(10) 入院中の対象精神疾患の患者に対して、入院精神療法に併せて区分番号「I004」心身医学療法が算定できる自律訓練法、森田療法等の療法を行った場合であっても、入院精神療法のみにより算定する。

(11) 当該患者に対して、同じ日に入院精神療法と区分番号「I003」標準型精神分析療法を行った場合は標準型精神分析療法により算定する。

I002 通院・在宅精神療法

(1) 通院・在宅精神療法とは、入院中の患者以外の患者であって、統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害又は精神症状を伴う脳器質性障害等(以下この項において「対象精神疾患」という。)のため社会生活を営むことが著しく困難なもの(患者の著しい病状改善に資すると考えられる場合にあっては当該患者の家族)に対して、精神科を担当する医師(研修医を除く。)が一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法をいう。

(2) 通院・在宅精神療法は、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が行った場合に限り算定する。また、対象精神疾患に伴い知的障害、認知症、心身症及びてんかんがある患者に対して通院・在宅精神療法が行われた場合にも算定できる。

(3) 通院・在宅精神療法は、同時に複数の患者又は複数の家族を対象に集団的に行われた場合には算定できない。

(4) 通院・在宅精神療法の「1」及び「2」は、区分番号「A000」初診料を算定する初診の日(区分「A000」の初診料の「注2」のただし書に規定する初診を含む)は、診療に要した時間が30分を超えた場合に限り算定することとし、通院・在宅精神療法の「2」は、「1」以外の場合において診療に要した時間が5分を超えた場合に限り算定する。この場合において診療に要した時間とは、医師自らが患者に対して行う問診、身体診察(視診、聴診、打診及び触診)及び当該通院・在宅精神療法に要する時間をいい、これら以外の診療に要する時間は含まない。

(5) 通院・在宅精神療法を算定するに当たっては、診療録に当該診療に要した時間を記載すること。ただし、当該診療に要した時間が明確でない場合には、当該診療に要した時間が5分又は30分を超えたことが明らかであると判断される精神療法を行った場合に限り、「○分超」などの記載でも差し支えない。また、通院・在宅精神療法の「1」を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄に当該診療に要した時間を記載する。

(6) 当該患者の家族に対する通院・在宅精神療法は、家族関係が当該疾患の原因又は増悪の原因と推定される場合に限り算定する。ただし、患者の病状説明、服薬指導等一般的な療養指導である場合は、算定できない。家族に対して通院・在宅精神療法を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に画像3 (2KB)別ウィンドウが開きます
と記載する。

(7) 通院・在宅精神療法を行った場合(家族に対して行った場合を含む。)は、その要点を診療録に記載する。

(8) 患者に対して通院・在宅精神療法を行った日と同一の日に家族に対して通院・在宅精神療法を行った場合における費用は、患者に対する通院・在宅精神療法の費用に含まれ、別に算定できない。

(9) 入院中の患者以外の対象精神疾患を有する患者に対して、通院・在宅精神療法に併せて区分番号「I004」心身医学療法が算定できる自律訓練法、森田療法等の療法を行った場合であっても、通院・在宅精神療法のみにより算定する。

(10) 当該患者に対する通院・在宅精神療法を算定した場合は、同じ日に区分番号「I003」標準型精神分析療法は算定できない。

(11) 通院・在宅精神療法の「1」は精神保健指定医又はこれに準ずる者(精神保健指定医であった医師及び旧精神衛生法に規定する精神衛生鑑定医であった医師をいう。)により初診時に通院・在宅精神療法が行われた場合に限り初診時にのみ算定できる。なお、この場合においても他の初診時と同様に診療時間が30分を超えた場合に限り算定できる。

(12) 通院・在宅精神療法は、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が、訪問診療又は往診による診療を行った際にも算定できる。

I002―2 精神科継続外来支援・指導料

(1) 精神科継続外来支援・指導料とは、入院中の患者以外の患者であって、統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害又は精神症状を伴う脳器質性障害等のものに対して、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が、精神障害者の地域生活の維持や社会復帰に向けた支援のため、患者又はその家族等の患者の看護や相談に当たる者に対して、病状、服薬状況及び副作用の有無等の確認を主とした支援を継続して行う場合を評価したものである。

(2) 「注2」に規定する加算は、「注1」に規定する医師による支援と併せて、精神科を担当する医師の指示の下、保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士(以下「保健師等」という。)が、患者又はその家族等の患者の看護や相談に当たる者に対して、療養生活環境を整備するための支援を行った場合を評価したものである。

(3) 他の精神科専門療法と同一日に行う精神科継続外来支援・指導に係る費用は、他の精神科専門療法の所定点数に含まれるものとする。

(4) 精神科継続外来支援・指導料は、初診時(区分番号「A000」初診料の「注2」のただし書に規定する初診を含む。)は算定できないものとする。

I003 標準型精神分析療法

(1) 標準型精神分析療法とは、口述による自由連想法を用いて、抵抗、転移、幼児体験等の分析を行い解釈を与えることによって洞察へと導く治療法をいい、当該療法に習熟した医師により行われた場合に、概ね月6回を標準として算定する。また、精神科を標榜する保険医療機関以外の保険医療機関において、標準型精神分析療法に習熟した心身医学を専門とする医師が当該療法を行った場合においても算定できる。

(2) 口述でなく筆記による自由連想法的手法で行う精神分析療法は、1時間以上にわたるような場合であっても、入院中の患者にあっては区分番号「I001」入院精神療法により、入院中の患者以外の患者にあっては区分番号「I002」通院・在宅精神療法により算定する。

(3) 標準型精神分析療法を行った場合は、その要点及び診療時間を診療録に記載する。

I003―2 認知療法・認知行動療法

(1) 認知療法・認知行動療法とは、入院中の患者以外のうつ病等の気分障害の患者に対して、認知の偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって治療することを目的とした精神療法をいう。

(2) 認知療法・認知行動療法は、一連の治療計画を策定し、患者に対して詳細な説明を行った上で、当該療法に関する研修を受講するなど当該療法に習熟した医師によって30分以上の治療が行われた場合に算定する。

(3) 一連の治療につき16回を限度として算定する。

(4) 認知療法・認知行動療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。

(5) 認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「うつ病の認知療法・認知行動療法マニュアル」(平成21年度厚生労働省こころの健康科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」)を踏まえて行うこと。

I004 心身医学療法

(1) 心身医学療法とは、心身症の患者について、一定の治療計画に基づいて、身体的傷病と心理・社会的要因との関連を明らかにするとともに、当該患者に対して心理的影響を与えることにより、症状の改善又は傷病からの回復を図る治療方法をいう。この心身医学療法には、自律訓練法、カウンセリング、行動療法、催眠療法、バイオフィードバック療法、交流分析、ゲシュタルト療法、生体エネルギー療法、森田療法、絶食療法、一般心理療法及び簡便型精神分析療法が含まれる。

(2) 心身医学療法は、当該療法に習熟した医師によって行われた場合に算定する。

(3) 心身医学療法は、初診時(区分番号「A000」初診料の「注2」のただし書に規定する初診を含む。以下この項において同じ。)には診療時間が30分を超えた場合に限り算定できる。この場合において診療時間とは、医師自らが患者に対して行う問診、理学的所見(視診、聴診、打診及び触診)及び当該心身医学療法に要する時間をいい、これら以外の診療に要する時間は含まない。なお、初診時に心身医学療法を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄に当該診療に要した時間を記載する。

(4) 心身医学療法を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の傷病名欄において、心身症による当該身体的傷病の傷病名の次に「(心身症)」と記載する。

例「胃潰瘍(心身症)」

(5) 心身医学療法を行った場合は、その要点を診療録に記載する。

(6) 入院の日及び入院の期間の取扱いについては、入院基本料の取扱いの例による。

(7) 区分番号「I001」入院精神療法、区分番号「I002」通院・在宅精神療法又は区分番号「I003」標準型精神分析療法を算定している患者については、心身医学療法は算定できない。

I005 入院集団精神療法

(1) 入院集団精神療法とは、入院中の患者であって、統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害及び精神症状を伴う脳器質性障害等のものに対して、一定の治療計画に基づき、言葉によるやりとり、劇の形態を用いた自己表現等の手法により、集団内の対人関係の相互作用を用いて、対人場面での不安や葛藤の除去、患者自身の精神症状・問題行動に関する自己洞察の深化、対人関係技術の習得等をもたらすことにより、病状の改善を図る治療法をいう。

(2) 入院集団精神療法は、精神科を標榜している保険医療機関において、精神科を担当する医師及び1人以上の精神保健福祉士又は臨床心理技術者等により構成される2人以上の者が行った場合に限り算定する。

(3) 1回に15人を限度とし、1日につき1時間以上実施した場合に、入院の日から起算して6月に限り週2回を限度として算定する。この場合、個々の患者について、精神科医師による治療計画が作成されていることが必要である。なお、入院の日及び入院の期間の取扱いについては、入院基本料の取扱いの例による。

(4) 入院集団精神療法に使用する十分な広さを有する当該医療機関内の一定の場所及びその場所を使用する時間帯を予め定めておくこと。

(5) 入院集団精神療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録に記載する。

(6) 入院集団精神療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。

I006 通院集団精神療法

(1) 通院集団精神療法とは、入院中の患者以外の患者であって、統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害及び精神症状を伴う脳器質性障害等のものに対して、一定の治療計画に基づき、集団内の対人関係の相互作用を用いて、自己洞察の深化、社会適応技術の習得、対人関係の学習等をもたらすことにより病状の改善を図る治療法をいう。

(2) 通院集団精神療法は、精神科を標榜している保険医療機関において、精神科を担当する医師及び1人以上の精神保健福祉士又は臨床心理技術者等により構成される2人以上の者が行った場合に限り算定する。

(3) 1回に10人を限度とし、1日につき1時間以上実施した場合に、開始日から6月に限り週2回を限度として算定する。

(4) 通院集団精神療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録に記載する。

(5) 通院集団精神療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。

I007 精神科作業療法

(1) 精神科作業療法は、精神障害者の社会生活機能の回復を目的として行うものであり、実施される作業内容の種類にかかわらずその実施時間は患者1人当たり1日につき2時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。

(2) 1人の作業療法士が、当該療法を実施した場合に算定する。この場合の1日当たりの取扱い患者数は、概ね25人を1単位として、1人の作業療法士の取扱い患者数は1日2単位50人以内を標準とする。

(3) 精神科作業療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録に記載する。

(4) 当該療法に要する消耗材料及び作業衣等については、当該保険医療機関の負担とする。

I008 入院生活技能訓練療法

(1) 入院生活技能訓練療法とは、入院中の患者であって精神疾患を有するものに対して、行動療法の理論に裏付けられた一定の治療計画に基づき、観察学習、ロールプレイ等の手法により、服薬習慣、再発徴候への対処技能、着衣や金銭管理等の基本生活技能、対人関係保持能力及び作業能力等の獲得をもたらすことにより、病状の改善と社会生活機能の回復を図る治療法をいう。

(2) 精神科を標榜している保険医療機関において、経験のある2人以上の従事者が行った場合に限り算定できる。この場合、少なくとも1人は、看護師、准看護師又は作業療法士のいずれかとし、他の1人は精神保健福祉士、臨床心理技術者又は看護補助者のいずれかとすることが必要である。なお、看護補助者は専門機関等による生活技能訓練、生活療法又は作業療法に関する研修を修了したものでなければならない。

(3) 対象人数及び実施される訓練内容の種類にかかわらず、患者1人当たり1日につき1時間以上実施した場合に限り、週1回を限度として算定できる。

(4) 1人又は複数の患者を対象として行った場合に算定できるが、複数の患者を対象とする場合は、1回に15人を限度とする。ただし、精神症状の安定しない急性期の精神疾患患者は、対象としない。

(5) 当該療法に従事する作業療法士は、精神科作業療法の施設基準において、精神科作業療法に専従する作業療法士の数には算入できない。また、当該療法に従事する看護師、准看護師及び看護補助者が従事する時間については、入院基本料等の施設基準における看護職員の数に算入できない。

(6) 入院生活技能訓練療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録に記載する。

(7) 入院生活技能訓練療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。

(8) 当該療法に要する消耗材料等については、当該保険医療機関の負担とする。

I008―2 精神科ショート・ケア

(1) 精神科ショート・ケアは、精神障害者の地域への復帰を支援するため、社会生活機能の回復を目的として個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人当たり1日につき3時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。

(2) 精神科ショート・ケアは入院中の患者以外の患者に限り算定する。精神科ショート・ケアを算定している患者に対しては、同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。ただし、精神科ショート・ケアに引き続き、同一日に、患家又は社会復帰施設等において精神科訪問看護・指導を行う場合は、退院後3か月以内に限り、精神科訪問看護・指導料を算定できるものとする。

(3) 同一の保険医療機関で精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア又は精神科デイ・ナイト・ケアを開始した日から起算して3年を超える場合には、精神科ショート・ケアの実施回数にかかわらず、算定は1週間に5日を限度とする。

(4) 精神科ショート・ケアと精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアの届出を併せて行っている保険医療機関にあっては、精神科ショート・ケアと精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアを各々の患者に対して同時に同一施設で実施することができる。この場合、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアを算定する患者は、各々に規定する治療がそれぞれ実施されている場合に限り、それぞれ算定できる。なお、同一日に実施される精神科ショート・ケアの対象患者数と精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアの対象患者数の合計は、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアの届出に係る患者数の限度を超えることはできない。この場合において、精神科ショート・ケアの対象患者数の計算に当たっては、精神科デイ・ケアの対象患者数の2分の1として計算する。

(5) 当該療法に要する消耗材料等については、当該保険医療機関の負担とする。

(6) 「注3」に掲げる早期加算の対象となる患者は、当該療法の算定を開始してから1年以内又は精神病床を退院して1年以内の患者であること。

I009 精神科デイ・ケア

(1) 精神科デイ・ケアは、精神障害者の社会生活機能の回復を目的として個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人当たり1日につき6時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。また、この実施に当たっては、患者の症状等に応じたプログラムの作成、効果の判定等に万全を期すること。

(2) 精神科デイ・ケアは入院中の患者以外の患者に限り算定する。ただし、精神科デイ・ケアを算定している患者に対しては、同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。

(3) 同一の保険医療機関で精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア又は精神科デイ・ナイト・ケアを開始した日から起算して3年を超える場合には、精神科デイ・ケア等の実施回数にかかわらず、算定は1週間に5日を限度とする。

(4) 治療の一環として治療上の目的を達するために食事を提供する場合にあっては、その費用は所定点数に含まれる。

(5) 同一の患者に対して同一日に精神科デイ・ケアと精神科ナイト・ケアを併せて実施した場合は、精神科デイ・ナイト・ケアとして算定する。

(6) 当該療法に要する消耗材料等については、当該保険医療機関の負担とする。

(7) 「注3」に掲げる早期加算の対象となる患者は、当該療法の算定を開始してから1年以内又は精神病床を退院して1年以内の患者であること。

I010 精神科ナイト・ケア

(1) 精神科ナイト・ケアは、精神障害者の社会生活機能の回復を目的として行うものであり、その開始時間は午後4時以降とし、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人当たり1日につき4時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。

(2) その他精神科ナイト・ケアの取扱いについては、精神科デイ・ケアの取扱いに準じて行う。

(3) 精神科ナイト・ケアを算定する場合においては、区分番号「A000」初診料の注6及び「A001」再診料の注5に規定する夜間・早朝等加算は算定できない。

I010―2 精神科デイ・ナイト・ケア

(1) 精神科デイ・ナイト・ケアは、精神障害者の社会生活機能の回復を目的として行うものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人当たり1日につき10時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。

(2) 精神科デイ・ナイト・ケアと精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアの届出を併せて行っている保険医療機関にあっては、精神科デイ・ナイト・ケアと精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアを各々の患者に対して同時に同一施設で実施することができる。この場合、精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアを算定する患者は、各々に規定する治療がそれぞれ実施されている場合に限り、それぞれ算定できる。なお、同一日に実施される精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケア及び精神科デイ・ナイト・ケアの対象患者数の合計は、精神科デイ・ケア又は精神科デイ・ナイト・ケアの届出に係る患者数の限度を超えることはできない。この場合において、精神科ショート・ケアの対象患者数の計算に当たっては、精神科デイ・ケアの対象患者数の2分の1として計算する。

(3) その他精神科デイ・ナイト・ケアの取扱いについては、精神科デイ・ケアの取扱いに準じて行う。

I011 精神科退院指導料

(1) 精神科退院指導料は、精神科を標榜する保険医療機関において、1月を超えて入院している精神障害者である患者又はその家族等退院後の患者の看護に当たる者に対して、精神科を担当する医師、看護師、作業療法士及び精神保健福祉士が共同して、保健医療サービス又は福祉サービス等に関する計画を策定し、別紙様式24を参考として作成した文書により、退院後の治療計画、退院後の療養上の留意点、退院後に必要となる保健医療サービス又は福祉サービス等について医師が説明を行った場合に算定する。また、入院期間が1年を超える精神障害者である患者又はその家族等退院後の患者の看護に当たる者に対して、当該計画に基づき必要な指導を行った場合であって、当該患者が退院したときには、精神科地域移行支援加算として、退院時に1回に限り算定する。なお、説明に用いた文書は、患者又はその家族等に交付するとともに、その写しを診療録に貼付すること。

(2) 精神科退院指導料は、指導を行ったもの及び指導の対象が患者又はその家族等であるか等の如何を問わず、算定の基礎となる退院につき、1回に限り当該患者の退院日に算定する。

(3) 入院の日及び入院期間の取扱いについては、入院基本料における取扱いと同様である。

(4) 死亡退院の場合又は他の病院若しくは診療所に入院するため転院した患者については、算定できない。

I011―2 精神科退院前訪問指導料

(1) 精神科退院前訪問指導料は、精神科を標榜する保険医療機関に入院している精神障害者である患者の退院に先立ち、患家又は精神障害者施設、小規模作業所等を訪問し、患者の病状、生活環境及び家族関係等を考慮しながら、患者又は家族等の退院後患者の看護や相談に当たる者に対して、退院後の療養上必要な指導や、在宅療養に向けた調整を行った場合に算定する。なお、医師の指示を受けて保険医療機関の保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士が訪問し、指導を行った場合にも算定できる。

(2) 精神科退院前訪問指導料は、指導を行ったもの及び指導の対象が患者又はその家族等であるか等の如何を問わず、1回の入院につき3回(当該入院期間が6月を超えると見込まれる患者にあっては、6回)を限度として指導の実施日にかかわらず退院日に算定する。

(3) 「注2」に係る加算は、患者の社会復帰に向けた調整等を行うに当たり、必要があって複数の職種が共同して指導を行った場合に算定するものであり、単一の職種の複数名による訪問の場合は対象としない。

(4) 精神科退院前訪問指導料は、退院して患家に復帰又は精神障害者施設に入所する患者が算定の対象であり、医師又は看護師、作業療法士若しくは精神保健福祉士が配置されている施設に入所予定の患者は算定の対象としない。

(5) 精神科退院前訪問指導を行った場合は、指導内容の要点を診療録等に記載する。

(6) 精神科退院前訪問指導に当たっては、当該保険医療機関における看護業務等に支障を来すことのないよう留意する。

(7) 保険医療機関は、精神科退院前訪問指導の実施に当たっては、保健所等の実施する訪問指導事業等関連事業との連携に十分配慮する。

(8) 退院前訪問指導料を算定した場合は、精神科退院前訪問指導料は算定できない。

I012 精神科訪問看護・指導料

(1) 精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)は、精神科を標榜している保険医療機関において精神科を担当している医師の指示を受けた当該保険医療機関の保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士(以下「保健師等」という。)が、精神障害者である入院中以外の患者又はその家族等の了解を得て患家を訪問し、個別に患者又は家族等に対して看護及び社会復帰指導等を行った場合に算定する。

(2) 「注1」に規定する精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)の算定回数は、週(日曜日から土曜日までの連続した7日間をいう。)について計算する。また、「注1」ただし書の患者に対する算定回数は、急性増悪した日から連続した7日間について計算すること。また、同一日に複数回精神科訪問看護・指導を行った場合であっても、1日につき1回に限り算定することとする。

(3) 「注1」のただし書きに規定する場合とは、患者が急性増悪した状態であって、精神科を担当している医師が患者を直接診察した上で、精神科訪問看護・指導の必要性を認め、指示した場合であること。また、「注2」に規定する場合には、医師が患者を直接診察していない場合であっても、当該患者に対して精神科訪問看護・指導を行った保健師等からの情報により、精神科を担当している医師が患者の病状を充分に把握し、必要と判断して、指示した場合を含むものとする。

(4) 「注1」ただし書に規定する場合と、「注2」に規定する場合においては、その必要性について、急性増悪の状態及び指示内容の要点と併せて診療録に記載し、診療報酬明細書にもその必要性について記載すること。

(5) 「注4」に係る加算は、精神科を担当する医師が、複数の保健師等による患家への訪問が必要と判断し、当該医師の指示を受けた当該保険医療機関の複数の保健師等が、患者又は家族等に対して看護及び社会復帰指導等を行った場合に算定する。なお、保健師又は看護師の訪問に、准看護師が同行した場合には、「注4」に係る加算が算定できる。

(6) 精神科訪問看護・指導料(Ⅱ)は、精神科を標榜している保険医療機関において、精神科を担当する医師の指示を受けた保健師等が、グループホーム又は医師若しくは看護師の配置を義務付けられていない精神障害者施設の了解の下にこれらの施設を訪問して、当該施設に入所し、かつ、当該保険医療機関で診療を行っている複数の患者又はその介護を担当する者等に対して同時に看護又は社会復帰指導を行った場合に算定する。

(7) (6)に規定する精神科訪問看護・指導は、1人の保健師等が同時に行う看護・指導の対象患者等の数は5人程度を標準とし、1回の訪問看護・指導に8人を超えることはできない。

(8) 医師は、保健師等に対して行った指示内容の要点を診療録に記載する。

(9) 保健師等は、医師の指示に基づき行った指導の内容の要点並びに訪問看護・指導を実施した際の開始時刻及び終了時刻を記録にとどめておく。

(10) 保険医療機関は、精神科訪問看護・指導の実施に当たっては、保健所の実施する訪問指導事業との連携に十分配慮する。

(11) 「注7」に規定する交通費は実費とする。

I013 持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料

(1) 持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料は、精神科を標榜する保険医療機関において、精神科を担当する医師が、持続性抗精神病注射薬剤を投与している入院中の患者以外の統合失調症患者に対して、計画的な治療管理を継続して行い、かつ、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明を含め、療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り、当該薬剤を投与した日に算定する。

(2) 持続性抗精神病注射薬剤とは、ハロペリドールデカン酸エステル、フルフェナジンデカン酸エステル及びリスペリドンをいう。

(3) 持続性抗精神病注射薬剤治療管理を行った場合は、治療計画及び指導内容の要点を診療録に記載する。

I014 医療保護入院等診療料

(1) 医療保護入院等診療料は、措置入院、緊急措置入院、医療保護入院、応急入院に係る患者について、当該入院期間中1回に限り算定する。

(2) 医療保護入院等診療料を算定する場合にあっては、患者の該当する入院形態を診療報酬明細書に記載する。

(3) 医療保護入院等診療料を算定する病院は、隔離等の行動制限を最小化するための委員会において、入院医療について定期的な(少なくとも月1回)評価を行うこと。

(4) 患者に対する治療計画、説明の要点について診療録に記載すること。

I015 重度認知症患者デイ・ケア料

(1) 精神症状及び行動異常が著しい認知症患者(「認知症である老人の日常生活度判定基準」がランクMに該当するもの)の精神症状等の軽快及び生活機能の回復を目的とし、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関において、患者1人当たり1日につき6時間以上行った場合に算定する。

(2) 医師の診療に基づき、対象となる患者ごとにプログラムを作成し、当該プログラムに従って行うものであって、定期的にその評価を行う等計画的な医学的管理に基づいて行うものであること。

(3) 治療の一環として治療上の目的を達するために食事を提供する場合にあっては、その費用は所定点数に含まれる。

(4) 「注2」に掲げる早期加算の対象となる患者は、当該療法の算定を開始してから1年以内又は精神病床を退院して1年以内の患者であること。

(5) 重度認知症患者デイ・ケアの実施時刻については、診療録等に記載すること。

(6) 重度認知症患者デイ・ケア料は入院中の患者以外の患者に限り算定する。ただし、重度認知症患者デイ・ケア料を算定している患者に対しては、同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。

第2節 薬剤料

精神病特殊薬物療法は、第2章第5部投薬として算定する。

第9部 処置

<通則>

1 処置の費用は、第1節処置料及び第2節処置医療機器等加算、第3節薬剤料又は第4節特定保険医療材料料に掲げる所定点数を合算した点数によって算定する。この場合において、処置に当たって通常使用される包帯(頭部・頸部・躯幹固定用伸縮性包帯を含む。)、ガーゼ等衛生材料、患者の衣類及び保険医療材料の費用は、所定点数に含まれており、別に算定できない。

なお、処置に用いる衛生材料を患者に持参させ、又は処方せんにより投与するなど患者の自己負担とすることは認められない。

2 特に規定する場合を除き、患者に対して特定保険医療材料又は薬剤を支給したときは、これに要する費用として、特定保険医療材料については「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)」の定めるところにより、薬剤については「使用薬剤の薬価(薬価基準)」の定めるところにより算定する。なお、この場合、薬剤費の算定の単位は1回に使用した総量の価格であり、患者に対して施用した場合に限り、特に規定する場合を除き算定できるものであるが、投薬の部に掲げる処方料、調剤料、処方せん料及び調剤技術基本料並びに注射の部に掲げる注射料は、別に算定できない。

3 浣腸、注腸、吸入、100平方センチメートル未満の第1度熱傷の熱傷処置、100平方センチメートル未満の皮膚科軟膏処置、洗眼、点眼、点耳、簡単な耳垢栓除去、鼻洗浄、狭い範囲の湿布処置その他第1節処置料に掲げられていない処置であって簡単な処置(簡単な物理療法を含む。)の費用は、基本診療料に含まれるものとし、別に算定することはできない。

なお、処置に対する費用が別に算定できない場合(処置後の薬剤病巣撒布を含む。)であっても、処置に際して薬剤を使用した場合には、第3節薬剤料に定めるところにより薬剤料を算定することはできる。

4 「通則5」の休日加算、時間外加算又は深夜加算(以下「時間外加算等」という。)は、区分番号「A000」の注4、区分番号「A001」の注3、区分番号「A002」の注4に規定する加算を算定する初診又は再診に引き続き行われた150点以上の緊急処置の場合についてのみ算定できるものであり、区分番号「A000」の注6又は区分番号「A001」の注5に規定する夜間・早朝等加算を算定する初診若しくは再診に引き続き行われた場合又は入院中の患者に対して行われた場合については対象とならない。なお、当該処置の開始時間が入院手続の後であっても当該加算は算定できる。

5 処置の開始時間とは、患者に対し直接施療した時とする。なお、処置料において「1日につき」とあるものは午前0時より午後12時までのことであり、午前0時前に処置を開始し、午前0時以降に処置が終了した場合には、処置を行った初日のみ時間外加算を算定し、午前0時以降の2日目については算定できない。

6 処置が保険医療機関又は保険医の都合により時間外となった場合は時間外加算等は算定できない。

7 時間外加算等に係る「所定点数」とは、第1節処置料に掲げられた点数及び各注による加算(プラスチックギプス加算及びギプスに係る乳幼児加算を含む。)を合計した点数であり、第2節、第3節及び第4節における費用は含まない。

8 4から7に規定する他、時間外加算等の取扱いについては、初診料における場合と同様である。

9 「通則6」における「特に規定する場合」とは、処置名の末尾に「片側」、「1肢につき」等と記入したものをいう。両眼に異なる疾患を有し、それぞれ異なった処置を行った場合は、その部分についてそれぞれ別に算定できる。

10 第1節に掲げられていない特殊な処置の処置料は、その都度当局に内議し、最も近似する処置として準用が通知された算定方法により算定する。

11 血腫、膿腫その他における穿刺は、新生児頭血腫又はこれに準ずる程度のものに対して行う場合は、区分番号「J059―2」血腫、膿腫穿刺により算定できるが、小範囲のものや試験穿刺については、算定できない。

<処置料>

(一般処置)

J000 創傷処置

(1) 創傷処置、区分番号「J001」熱傷処置、区分番号「J001―4」重度褥瘡処置及び区分番号「J053」皮膚科軟膏処置の各号に示す範囲とは、包帯等で被覆すべき創傷面の広さ、又は軟膏処置を行うべき広さをいう。

(2) 同一疾病又はこれに起因する病変に対して創傷処置、皮膚科軟膏処置又は湿布処置が行われた場合は、それぞれの部位の処置面積を合算し、その合算した広さを、いずれかの処置に係る区分に照らして算定するものとし、併せて算定できない。

(3) 同一部位に対して創傷処置、皮膚科軟膏処置、面皰圧出法又は湿布処置が行われた場合はいずれか1つのみにより算定し、併せて算定できない。

(4) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料又は区分番号「C112」在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、創傷処置(熱傷に対するものを除く。)、爪甲除去(麻酔を要しないもの)及び穿刺排膿後薬液注入の費用は算定できない。

(5) 手術後の患者に対する創傷処置は、その回数にかかわらず、1日につき所定の点数のみにより算定する。

(6) 複数の部位の手術後の創傷処置については、それぞれの部位の処置面積を合算し、その合算した広さに該当する点数により算定する。

(7) 中心静脈圧測定、静脈内注射、点滴注射及び中心静脈注射に係る穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は、別に算定できない。

(8) 軟膏の塗布又は湿布の貼付のみの処置では算定できない。

J001 熱傷処置

(1) 熱傷処置を算定する場合は、創傷処置、爪甲除去(麻酔を要しないもの)及び穿刺排膿後薬液注入は併せて算定できない。

(2) 熱傷には電撃傷、薬傷及び凍傷が含まれる。

(3) 「1」については、第1度熱傷のみでは算定できない。

J001―2 絆創膏固定術

足関節捻挫又は膝関節靱帯損傷に絆創膏固定術を行った場合に算定する。ただし、交換は原則として週1回とする。

J001―3 鎖骨又は肋骨骨折固定術

鎖骨骨折固定術後の包帯交換は、区分番号「J000」創傷処置に準じて算定し、肋骨骨折固定術の2回目以降の絆創膏貼用は、絆創膏固定術に準じて算定する。

J001―4 重度褥瘡処置

(1) 皮下組織に至る褥瘡(筋肉、骨等に至る褥瘡を含む。)(DESIGN分類D3、D4及びD5)に対して褥瘡処置を行った場合に算定する。

(2) 重度褥瘡処置を算定する場合は、創傷処置、爪甲除去(麻酔を要しないもの)及び穿刺排膿後薬液注入は併せて算定できない。

J001―5 長期療養患者褥瘡等処置

(1) 長期療養患者褥瘡等処置の算定に係る褥瘡処置とは、臥床に伴う褥瘡性潰瘍又は圧迫性潰瘍に対する処置(創傷処置又は皮膚科軟膏処置において、入院中の患者について算定することとされている範囲のものに限る。)をいうものであり、重度褥瘡処置を含むものであること。

(2) 褥瘡処置の回数及び部位数にかかわらず1日につき1回に限り算定するものであること。

(3) 1年を超える入院の場合にあって創傷処置又は皮膚科軟膏処置の費用を算定する場合は、その対象傷病名を診療報酬明細書に記載すること。

J001―6 精神病棟等長期療養患者褥瘡等処置

(1) 「注1」に掲げる処置には褥瘡処置及び重度褥瘡処置を含む。

(2) 入院期間が1年を超える入院中の患者に対して行った褥瘡処置、重度褥瘡処置が、「注1」に掲げるもの以外の創傷処置又は皮膚科軟膏処置である場合は、長期療養患者褥瘡等処置の所定点数により算定する。

(3) 結核病棟又は精神病棟に入院している患者であって入院期間が1年を超えるものに対して、ドレーン法を行った場合は、その種類又は回数にかかわらず精神病棟等長期療養患者褥瘡等処置として、1日につき所定点数を算定する。

J001―9 空洞切開術後ヨードホルムガーゼ処置

肺空洞切開手術後の空洞内にヨードホルムガーゼを使用した場合に算定する。なお、ヨードホルムガーゼを多量に使用することは、中毒のおそれもあり留意すべきである。

J002 ドレーン法(ドレナージ)

(1) 部位数、交換の有無にかかわらず、1日につき、所定点数のみにより算定する。

(2) ドレナージの部位の消毒等の処置料は、所定点数に含まれる。

(3) 「1」と「2」は同一日に併せて算定できない。

(4) ドレーン抜去後に抜去部位の処置が必要な場合は、区分番号「J000」創傷処置の「1」により手術後の患者に対するものとして算定する。

(5) PTCDチューブの単なる交換については、「2」により算定する。

J003 局所陰圧閉鎖処置(1日につき)

(1) 「1」の被覆材を貼付した場合の「イ」から「ハ」に示す範囲は、局所陰圧閉鎖処置用材料で被覆すべき創傷面の広さをいう。

(2) 部位数にかかわらず、1日につき、所定点数により算定する。

(3) 「1」の各区分は、創が感染しており頻回の交換が必要である場合等を除き、原則として2日間連続して算定できない。なお、2日以上連続して算定する場合には、診療報酬明細書の摘要欄にその理由と医学的根拠を詳細に記載すること。

(4) 局所陰圧閉鎖処置を算定する場合は、区分番号「J001―4」重度褥瘡処置及び区分番号「J053」皮膚科軟膏処置は併せて算定できない。区分番号「J000」創傷処置又は区分番号「J001」熱傷処置は併せて算定できるが、当該処置が対象とする創傷を重複して算定できない。

(5) 局所陰圧閉鎖処置終了後に引き続き創傷部位の処置が必要な場合は、区分番号「J000」創傷処置により算定する。

J004 流注膿瘍穿刺

区分番号「J001―8」穿刺排膿後薬液注入と同一日に算定することはできない。

J005 脳室穿刺

区分番号「D401」脳室穿刺と同一日に算定することはできない。

J006 後頭下穿刺

区分番号「D402」後頭下穿刺と同一日に算定することはできない。

J007 頸椎、胸椎又は腰椎穿刺

区分番号「J007」頸椎穿刺は区分番号「D403」頸椎穿刺と、区分番号「J007」胸椎穿刺は区分番号「D403」胸椎穿刺と、区分番号「J007」腰椎穿刺は区分番号「D403」腰椎穿刺と同一日に算定することはできない。

J008 胸腔穿刺

(1) 胸腔穿刺、洗浄、薬液注入又は排液について、これらを併せて行った場合においては、胸腔穿刺の所定点数を算定する。

(2) 単なる試験穿刺として行った場合は、区分番号「D419」その他の検体採取の「2」により算定する。

J011 骨髄穿刺

区分番号「D404」骨髄穿刺と同一日に算定することはできない。

J012 腎嚢胞又は水腎症穿刺

区分番号「D407」腎嚢胞又は水腎症穿刺と同一日に算定することはできない。

J013 ダグラス窩穿刺

区分番号「D408」ダグラス窩穿刺と同一日に算定することはできない。

J014 乳腺穿刺

区分番号「D410」乳腺穿刺又は針生検と同一日に算定することはできない。

J015 甲状腺穿刺

区分番号「D411」甲状腺穿刺又は針生検と同一日に算定することはできない。

J016 リンパ節等穿刺

区分番号「D409」リンパ節等穿刺又は針生検と同一日に算定することはできない。

J017 エタノールの局所注入

(1) 肝癌、有症状の甲状腺のう胞、機能性甲状腺結節(Plummer病)、内科的治療に抵抗性の2次性副甲状腺機能亢進症等に対してエタノールを局所注入した場合に算定する。なお、使用したエタノールは、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 当該手技に伴って実施される超音波検査、画像診断の費用は所定点数に含まれる。

J017―2 リンパ管腫局所注入

リンパ管腫にピシバニールを局所注入した場合に算定する。

J018 喀痰吸引

(1) 喀痰の凝塊又は肺切除後喀痰が気道に停滞し、喀出困難な患者に対し、ネラトンカテーテル及び吸引器を使用して喀痰吸引を行った場合に算定する。

(2) 喀痰吸引、内視鏡下気管支分泌物吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、間歇的陽圧吸入法、鼻マスク式補助換気法、体外式陰圧人工呼吸器治療、高気圧酸素治療、インキュベーター、人工呼吸、持続陽圧呼吸法、間歇的強制呼吸法、気管内洗浄(気管支ファイバースコピーを使用した場合を含む。)、ネブライザー又は超音波ネブライザーを同一日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。

(3) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料、区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料、区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料又は区分番号「C112」在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、喀痰吸引の費用は算定できない。

J018―3 干渉低周波去痰器による喀痰排出

(1) 区分番号「J018」喀痰吸引を同一日に行った場合はどちらか一方のみ算定する。

(2) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料、区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料、区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料又は区分番号「C112」在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、干渉低周波去痰器による喀痰排出の費用は算定できない。

(3) 算定は1日に1回を限度とする。

J019 持続的胸腔ドレナージ

(1) 2日目以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。

(2) 手術と同一日に行った持続的胸腔ドレナージは別に算定できない。なお、手術の翌日以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

J019―2 胸腔内出血排除(非開胸的)

手術と同一日に行った胸腔内出血排除(非開胸的)は別に算定できない。なお、手術の翌日以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

J020 胃持続ドレナージ

2日目以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。

J021 持続的腹腔ドレナージ

(1) 2日目以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。

(2) 手術と同一日に行った持続的腹腔ドレナージは別に算定できない。なお、手術の翌日以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

J022 高位浣腸、高圧浣腸、洗腸

高位浣腸、高圧浣腸、洗腸、摘便、腰椎麻酔下直腸内異物除去又は腸内ガス排気処置(開腹手術後)を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数により算定する。

J024 酸素吸入、J024―2 突発性難聴に対する酸素療法

(1) 間歇的陽圧吸入法、鼻マスク式補助換気法、体外式陰圧人工呼吸器治療、インキュベーター、人工呼吸、持続陽圧呼吸法、間歇的強制呼吸法又は気管内洗浄(気管支ファイバースコピーを使用した場合を含む。)と同一日に行った酸素吸入、突発性難聴に対する酸素療法又は酸素テントの費用は、それぞれの所定点数に含まれており、別に算定できない。

(2) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料又は区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、酸素吸入及び突発性難聴に対する酸素療法の費用は算定できない。

J025 酸素テント

(1) 使用したソーダライム等の二酸化炭素吸着剤の費用は所定点数に含まれる。

(2) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料又は区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、酸素テントの費用は算定できない。

J026 間歇的陽圧吸入法、J026―2 鼻マスク式補助換気法、J026―3 体外式陰圧人工呼吸器治療

(1) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料又は区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、間歇的陽圧吸入法、鼻マスク式補助換気法及び体外式陰圧人工呼吸器治療の費用は算定できない。

(2) 間歇的陽圧吸入法、鼻マスク式補助換気法又は体外式陰圧人工呼吸器治療と同時に行う喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、酸素吸入、突発性難聴に対する酸素療法又は酸素テントは、所定点数に含まれるものとする。

J027 高気圧酸素治療

(1) 「1」は次の疾患に対して、発症後1週間以内に行う場合に、1日につき所定点数を算定する。

ア 急性一酸化炭素中毒その他のガス中毒(間歇型を含む。)

イ ガス壊疽、壊死性筋膜炎又は壊疽性筋膜炎

ウ 空気塞栓又は減圧症

エ 急性末梢血管障害

(イ) 重症の熱傷又は凍傷

(ロ) 広汎挫傷又は中等度以上の血管断裂を伴う末梢血管障害

(ハ) コンパートメント症候群又は圧挫創症候群

オ ショック

カ 急性心筋梗塞その他の急性冠不全

キ 脳塞栓、重症頭部外傷若しくは開頭術後の意識障害又は脳浮腫

ク 重症の低酸素性脳機能障害

ケ 腸閉塞

コ 網膜動脈閉塞症

サ 突発性難聴

シ 重症の急性脊髄傷害

(2) 「2」は次の疾患又は「1」の適応疾患であって発症後の期間が1週間を超えたものに行う場合に、1日につき所定点数を算定する。

ア 放射線又は抗癌剤治療と併用される悪性腫瘍

イ 難治性潰瘍を伴う末梢循環障害

ウ 皮膚移植

エ スモン

オ 脳血管障害、重症頭部外傷又は開頭術後の運動麻痺

カ 一酸化炭素中毒後遺症

キ 脊髄神経疾患

ク 骨髄炎又は放射線壊死

(3) 2絶対気圧以上の治療圧力が1時間に満たないものについては、1日につき区分番号「J024」酸素吸入により算定する。

(4) 高気圧酸素治療を行うに当たっては、関係学会より留意事項が示されているので、これらの事項を十分参考とすべきものである。

J028 インキュベーター

(1) インキュベーターを行うに当たって使用した滅菌精製水の費用は、所定点数に含まれる。

(2) 1日につき所定点数により算定する。

J029 鉄の肺

1日につき所定点数により算定する。

J034 イレウス用ロングチューブ挿入法

(1) 2日目以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。

(2) 経肛門的に挿入した場合においても本区分により算定する。

J038 人工腎臓

(1) 人工腎臓には、血液透析のほか血液濾過、血液透析濾過が含まれる。

(2) 「2 その他の場合」は次の場合に算定する。

ア 急性腎不全の患者に対して行った場合

イ 透析導入期(1月に限る。)の患者に対して行った場合

ウ 血液濾過又は血液透析濾過を行った場合

エ 以下の合併症又は状態を有する患者((ニ)から(ヌ)については入院中の患者に限る。)に対して行った場合であって、連日人工腎臓を実施する場合や半減期の短い特別な抗凝固剤を使用する場合等特別な管理を必要とする場合

(イ) 重大な視力障害にいたる可能性が著しく高い、進行性眼底出血(発症後2週間に限る。)

(ロ) 重篤な急性出血性合併症(頭蓋内出血、消化管出血、外傷性出血等)(発症後2週間に限る。)

(ハ) ヘパリン起因性血小板減少症

(ニ) 播種性血管内凝固症候群

(ホ) 敗血症

(ヘ) 急性膵炎

(ト) 重篤な急性肝不全

(チ) 悪性腫瘍(注射による化学療法中のものに限る。)

(リ) 自己免疫疾患の活動性が高い状態

(ヌ) 区分番号「L002」硬膜外麻酔、「L004」脊椎麻酔若しくは「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔による手術を実施した状態(手術前日から術後2週間に限る。)

(3) (2)の場合に該当し、「2」により算定する場合にあっては、その理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(4) 人工腎臓の時間は、シャント等から動脈血等を人工腎臓用特定保険医療材料に導き入れたときを起点として、人工腎臓用特定保険医療材料から血液を生体に返却し終えたときまでとする。したがって、人工腎臓実施前後の準備、整理等に要する時間は除かれる。

(5) 人工腎臓の時間等については、患者に対し十分な説明を行った上で、患者の病態に応じて、最も妥当なものとし、人工腎臓を行った時間(開始及び終了した時間を含む。)を診療録等に記載すること。また、治療内容の変更が必要となった場合においても、患者に十分な説明を行うこと。

(6) 妊娠中の患者以外の患者に対し、人工腎臓と区分番号「J038―2」持続緩徐式血液濾過を併せて1月に15回以上実施した場合(人工腎臓のみを15回以上実施した場合を含む。)は、15回目以降の人工腎臓又は持続緩徐式血液濾過は算定できない。ただし、薬剤料(透析液、血液凝固阻止剤、エリスロポエチン、ダルベポエチン及び生理食塩水を含む。)又は特定保険医療材料料は別に算定できる。

(7) 区分番号「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している患者に対して行った場合には、区分番号「J042」腹膜灌流の「1連続携行式腹膜潅流」の実施回数と併せて週1回を限度として算定できる。また、区分番号「C102―2」在宅血液透析指導管理料を算定している患者に対して行った場合には、週1回を限度として算定できる。それを超えた回数を実施した場合は、薬剤料及び特定保険医療材料料に限り算定できる。

(8) 人工腎臓における血液濾過は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症若しくは透析困難症の患者又は緑内障、心包炎若しくは心不全を合併する患者について、血液透析を行った上で、その後血液濾過を実施した場合に限り算定できる。この場合の人工腎臓の費用は、「2」により算定する。

(9) 人工腎臓における血液透析濾過は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症又は透析困難症の患者について実施した場合に限り算定できる。この場合の人工腎臓の費用は「2」により算定する。

(10) 「注1」の加算については、人工腎臓を緊急のため午後5時以降に開始したため又は緊急のため休日に行ったため、「通則5」による時間外加算等が算定できる場合にあっては、併せて算定できない。

(11) 「注1」の加算を算定する場合は、区分番号「A000」初診料の注6及び区分番号「A001」再診料の注5に掲げる夜間・早朝等加算は算定しない。

(12) 休日加算の対象となる休日とは、初診料における休日加算の対象となる休日と同じ取扱いである。ただし、日曜日である休日(日曜日である12月29日から1月3日までの日を除く。)は、休日加算の対象としない。

(13) 休日の午後5時以降に開始した場合又は午後9時以降に終了した場合にあっては、「注1」の加算を1回のみ算定できる。

(14) 療養の一環として行われた食事以外の食事が提供された場合には、患者から実費を徴収することができるものであること。

(15) 「注2」の加算については、「人工腎臓における導入期」とは継続して血液透析を実施する必要があると判断された場合の血液透析の開始日より1月間をいい、これに該当する場合、1日につき300点を1月間に限り算定する。

(16) 「注3」の加算については、次に掲げる状態の患者であって著しく人工腎臓が困難なものについて算定する。

ア 障害者基本法にいう障害者(腎不全以外には身体障害者手帳を交付される程度の障害を有さない者であって、腎不全により身体障害者手帳を交付されているものを除く。)

イ 精神保健福祉法の規定によって医療を受ける者

ウ 「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)の別紙の第3に掲げる疾患に罹患している者として都道府県知事から医療受給者証の発行を受けている患者であって介護を要するもの

エ 透析中に頻回の検査、処置を必要とするインスリン注射を行っている糖尿病の患者

オ 運動麻痺を伴う脳血管疾患患者

カ 認知症患者

キ 常時低血圧症(収縮期血圧が90mmHg以下)の者

ク 透析アミロイド症で手根管症候群や運動機能障害を呈する者

ケ 出血性消化器病変を有する者

コ 骨折を伴う二次性副甲状腺機能亢進症の患者

サ 重症感染症に合併しているために入院中の患者

シ 末期癌に合併しているために入院中の患者

ス 入院中の患者であって腹水・胸水が貯留しているもの

セ 妊婦(妊娠中期以降)

ソ うっ血性心不全(NYHAⅢ度以上)

タ 12歳未満の小児

チ 人工呼吸を実施中の患者

ツ 結核菌を排菌中の患者

(17) 人工腎臓の所定点数に含まれるものの取扱いについては、次の通りとする。

ア 「1」の場合には、透析液(灌流液)、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤及びダルベポエチン製剤の費用は所定点数に含まれており、別に算定できない。なお、生理食塩水には、回路の洗浄・充填、血圧低下時の補液、回収に使用されるもの等が含まれ、同様の目的で使用される電解質補液、ブドウ糖液等についても別に算定できない。

イ 「1」により算定する場合においても、透析液(灌流液)、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤及びダルベポエチン製剤の使用について適切に行うこと。また、慢性維持透析患者の貧血の管理に当たっては、関係学会が示している腎性貧血治療のガイドラインを踏まえ適切に行うこと。

ウ 人工腎臓灌流原液の希釈水の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。また、必要があって脱イオン(純水製造装置による)を行わなければ使用できない場合であっても同様である。

エ 人工腎臓の希釈水に対してアルミニウム、フッ素、遊離塩素及びエンドトキシン等を除去する目的で逆浸透装置、活性炭フィルター及び軟水装置を用いて水処理を行った場合の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

オ 人工腎臓の回路を通して行う注射料は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(18) 人工腎臓を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、「2」の場合であって、夜間に人工腎臓を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。

J038―2 持続緩徐式血液濾過

(1) 使用した特定保険医療材料については、持続緩徐式血液濾過器として算定する。

(2) 持続緩徐式血液濾過は、腎不全のほか、重症急性膵炎、劇症肝炎又は術後肝不全(劇症肝炎又は術後肝不全と同程度の重症度を呈する急性肝不全を含む。)の患者に対しても算定できる。ただし、重症急性膵炎の患者に対しては一連につき概ね8回を限度とし、劇症肝炎又は術後肝不全(劇症肝炎又は術後肝不全と同程度の重症度を呈する急性肝不全を含む。)の患者に対しては一連につき月10回を限度として3月間に限って算定する。

(3) 人工腎臓、腹膜灌流又は持続緩徐式血液濾過を同一日に実施した場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。

(4) 「注1」の加算を算定する場合は、区分番号「A000」初診料の注6及び区分番号「A001」再診料の注5に掲げる夜間・早朝等加算は算定しない。

(5) 持続緩徐式血液濾過を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に持続緩徐式血液濾過を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。

(6) 妊娠中の患者以外の患者に対し、持続緩徐式血液濾過と人工腎臓を併せて1月に15回以上実施した場合(持続緩徐式血液濾過のみを15回以上実施した場合を含む。)は、15回目以降の持続緩徐式血液濾過又は人工腎臓は算定できない。ただし、薬剤料又は特定保険医療材料料は別に算定できる。

J039 血漿交換療法

(1) 血漿交換療法は、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、劇症肝炎、薬物中毒、重症筋無力症、悪性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、血栓性血小板減少性紫斑病、重度血液型不適合妊娠、術後肝不全、急性肝不全、多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎、ギラン・バレー症候群、天疱瘡、類天疱瘡、巣状糸球体硬化症、溶血性尿毒症症候群、家族性高コレステロール血症、閉塞性動脈硬化症、中毒性表皮壊死症、スティーブンス・ジョンソン症候群若しくはインヒビターを有する血友病の患者、ABO血液型不適合間若しくは抗リンパ球抗体陽性の同種腎移植又は慢性C型ウイルス肝炎の患者に対して、遠心分離法等により血漿と血漿以外とを分離し、二重濾過法、血漿吸着法等により有害物質等を除去する療法(血漿浄化法)を行った場合に算定できるものであり、必ずしも血漿補充を要しない。

(2) 当該療法の対象となる多発性骨髄腫、マクログロブリン血症の実施回数は、一連につき週1回を限度として3月間に限って算定する。

(3) 当該療法の対象となる劇症肝炎については、ビリルビン及び胆汁酸の除去を目的に行われる場合であり、当該療法の実施回数は、一連につき概ね10回を限度として算定する。

(4) 当該療法の対象となる薬物中毒の実施回数は、一連につき概ね8回を限度として算定する。

(5) 当該療法の対象となる重症筋無力症については、発病後5年以内で重篤な症状悪化傾向のある場合、又は胸腺摘出術や副腎皮質ホルモン剤に対して十分奏効しない場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき月7回を限度として3月間に限って算定する。

(6) 当該療法の対象となる悪性関節リウマチについては、都道府県知事によって特定疾患医療受給者と認められた者であって、血管炎により高度の関節外症状(難治性下腿潰瘍、多発性神経炎及び腸間膜動脈血栓症による下血等)を呈し、従来の治療法では効果の得られない者に限り、当該療法の実施回数は、週1回を限度として算定する。

(7) 当該療法の対象となる全身性エリテマトーデスについては、次のいずれにも該当する者に限り、当該療法の実施回数は、月4回を限度として算定する。なお、測定した血清補体価、補体蛋白の値又は抗DNA抗体の値を診療録に記載する。

ア 都道府県知事によって特定疾患医療受給者と認められた者

イ 血清補体価(CH50)の値が20単位以下、補体蛋白(C3)の値が40mg/dL以下及び抗DNA抗体の値が著しく高く、ステロイド療法が無効又は臨床的に不適当な者

ウ 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)又は中枢神経性ループス(CNSループス)と診断された者

(8) 当該療法の対象となる血栓性血小板減少性紫斑病の実施回数は、一連につき週3回を限度として、3月間に限って算定する。

(9) 当該療法の対象となる重度血液型不適合妊娠とは、Rh式血液型不適合妊娠による胎内胎児仮死又は新生児黄疸の既往があり、かつ、間接クームス試験が妊娠20週未満にあっては64倍以上、妊娠20週以上にあっては128倍以上であるものをいう。

(10) 当該療法の対象となる術後肝不全については、手術後に発症した肝障害(外科的閉塞性機序によるものを除く。)のうち次のいずれにも該当する場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき概ね7回を限度として算定する。

ア 総ビリルビン値が5mg/dL以上で、かつ、持続的に上昇を認める場合

イ ヘパプラスチンテスト(HPT)40%以下又はComa Grade Ⅱ以上の条件のうち2項目以上を有する場合

(11) 当該療法の対象となる急性肝不全については、プロトロンビン時間、昏睡の程度、総ビリルビン及びヘパプラスチンテスト等の所見から劇症肝炎又は術後肝不全と同程度の重症度を呈するものと判断できる場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき概ね7回を限度として算定する。

(12) 当該療法の対象となる多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の実施回数は、一連につき月7回を限度として3月間に限って算定する。

(13) 当該療法の対象となるギラン・バレー症候群については、Hughesの重症度分類で4度以上の場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき月7回を限度として、3月間に限って算定する。

(14) 当該療法の対象となる天疱瘡、類天疱瘡については、診察及び検査の結果、診断の確定したもののうち他の治療法で難治性のもの又は合併症や副作用でステロイドの大量投与ができないものに限り、当該療法の実施回数は、一連につき週2回を限度として、3月間に限って算定する。ただし、3月間治療を行った後であっても重症度が中等度以上(厚生省特定疾患調査研究班の天疱瘡スコア)の天疱瘡の患者については、さらに3月間に限って算定する。

(15) 当該療法の対象となる巣状糸球体硬化症は、従来の薬物療法では効果が得られず、ネフローゼ状態を持続し、血清コレステロール値が250mg/dL以下に下がらない場合であり、当該療法の実施回数は、一連につき3月間に限って12回を限度として算定する。

(16) 当該療法の対象となる家族性高コレステロール血症については、次のいずれかに該当する者のうち、黄色腫を伴い、負荷心電図及び血管撮影により冠状動脈硬化が明らかな場合であり、維持療法としての当該療法の実施回数は週1回を限度として算定する。

ア 空腹時定常状態の血清総コレステロール値が500mg/dLを超えるホモ接合体の者

イ 血清コレステロール値が食事療法下の定常状態(体重や血漿アルブミンを維持できる状態)において400mg/dLを超えるヘテロ接合体で薬物療法を行っても血清コレステロール値が250mg/dL以下に下がらない者

(17) 当該療法の対象となる閉塞性動脈硬化症については、次のいずれにも該当する者に限り、当該療法の実施回数は、一連につき3月間に限って10回を限度として算定する。

ア フォンテイン分類Ⅱ度以上の症状を呈する者

イ 薬物療法で血中総コレステロール値220mg/dL又はLDLコレステロール値140mg/dL以下に下がらない高コレステロール血症の者

ウ 膝窩動脈以下の閉塞又は広範な閉塞部位を有する等外科的治療が困難で、かつ従来の薬物療法では十分な効果を得られない者

(18) 当該療法の対象となる中毒性表皮壊死症又はスティーブンス・ジョンソン症候群の実施回数は、一連につき8回を限度として算定する。

(19) 当該療法の対象となるインヒビターを有する血友病は、インヒビター力価が5ベセスダ単位以上の場合に限り算定する。

(20) 当該療法の対象となる同種腎移植は二重濾過法により、ABO血液型不適合間の同種腎移植を実施する場合又はリンパ球抗体陽性の同種腎移植を実施する場合に限り、当該療法の実施回数は一連につき術前は4回を限度とし、術後は2回を限度として算定する。

(21) 当該療法の対象となる慢性C型ウイルス肝炎は、セログループ1(ジェノタイプⅡ(lb))型であり、直近のインターフェロン療法を施行した後、血液中のHCV RNA量が100KIU/mL以上のものとする。なお、当該療法の実施回数は、直近のインターフェロン療法より、5回を限度として算定する(ただしインターフェロン療法に先行して当該療法を行った場合に限る。)。

(22) 血漿交換療法を行う回数は、個々の症例に応じて臨床症状の改善状況、諸検査の結果の評価等を勘案した妥当適切な範囲であること。

(23) 本療法を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に一連の当該療法の初回実施日及び初回からの通算実施回数(当該月に実施されたものも含む。)を記載する。

(24) 血漿交換療法を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に血漿交換療法を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。

J040 局所灌流

(1) 開始日の翌日以降に行ったものについては、区分番号「J000」創傷処置における手術後の患者に対するものに準じて算定する。

(2) 局所灌流を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に局所灌流を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。

J041 吸着式血液浄化法

(1) 吸着式血液浄化法は、肝性昏睡又は薬物中毒の患者に限り算定できる。

(2) エンドトキシン選択除去用吸着式血液浄化法は、次のアからウのいずれにも該当する患者に対して行った場合に、区分番号「J041」吸着式血液浄化法により算定する。

ア エンドトキシン血症であるもの又はグラム陰性菌感染症が疑われるもの

イ 次の(イ)~(ニ)のうち2項目以上を同時に満たすもの

(イ) 体温が38度以上又は36度未満

(ロ) 心拍数が90回/分以上

(ハ) 呼吸数が20回/分以上又はPaCO2が32mmHg未満

(ニ) 白血球数が12,000/mm3以上若しくは4,000/mm3未満又は桿状核好中球が10%以上

ウ 昇圧剤を必要とする敗血症性ショックであるもの(肝障害が重症化したもの(総ビリルビン10mg/dL以上かつヘパプラスチンテスト40%以下であるもの)を除く。)

(3) 吸着式血液浄化法を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に吸着式血液浄化法を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。

J041―2 血球成分除去療法

(1) 血球成分除去療法(吸着式及び遠心分離式を含む。)は、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ(吸着式のみ。)又はクローン病患者に対して次のア、イ又はウのとおり実施した場合に算定できる。

ア 潰瘍性大腸炎の重症・劇症患者及び難治性患者(厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班の診断基準)に対しては、活動期の病態の改善及び緩解導入を目的として行った場合に限り算定できる。

なお、当該療法の実施回数は、一連につき10回を限度として算定する。ただし、劇症患者については、11回を限度として算定できる。

イ 薬物療法に抵抗する関節リウマチ患者に対しては、臨床症状改善を目的として行った場合に限り、一連の治療につき1クールを限度として行い、1クールにつき週1回を限度として、5週間に限って算定できる。なお、当該療法の対象となる関節リウマチ患者は、活動性が高く薬物療法に抵抗する関節リウマチ患者又は発熱などの全身症状と多関節の激しい滑膜炎を呈し薬物療法に抵抗する急速進行型関節リウマチ患者であって、以下の2項目を満たすものである。

(イ) 腫脹関節数 6カ所以上

(ロ) ESR50mm/h以上又はCRP3mg/dL以上

ウ 栄養療法及び既存の薬物療法が無効又は適用できない、大腸の病変に起因する明らかな臨床症状が残る中等症から重症の活動期クローン病患者に対しては、緩解導入を目的として行った場合に限り、一連の治療につき2クールを限度として算定できる。

なお、当該療法の実施回数は、1クールにつき週1回を限度として、5週間に限って算定する。

(2) 本療法を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に一連の当該療法の初回実施日及び初回からの通算実施回数(当該月に実施されたものも含む。)を記載する。

(3) 血球成分除去療法を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に血球成分除去療法を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。

J042 腹膜灌流

(1) 腹膜灌流における導入期とは、継続して連続携行式腹膜灌流を実施する必要があると判断され、当該処置の開始日より14日間をいうものであり、再開の場合には算定できない。

(2) 区分番号「C102」に掲げる在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定する患者に対して「1連続携行式腹膜潅流」を行った場合には、区分番号「J038」人工腎臓の実施回数と併せて週1回を限度として算定できる。それを超えた回数を実施した場合は、薬剤料及び特定保険医療材料料に限り算定できる。

J043 新生児高ビリルビン血症に対する光線療法

疾病、部位又は部位数にかかわらず1日につき所定点数により算定する。

J043―2 瀉血療法

瀉血療法は、真性多血症、続発性多血症又はインターフェロンや肝庇護療法に抵抗性のあるC型慢性肝炎に対して行った場合に算定する。

J043―3 ストーマ処置

(1) ストーマ処置は、消化器ストーマ又は尿路ストーマに対して行った場合に算定する。

(2) ストーマ処置には、装具の交換の費用は含まれるが、装具の費用は含まない。

(3) 区分番号「C109」に掲げる在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、ストーマ処置の費用は算定できない。

J043―4 胃瘻カテーテル交換法

胃瘻カテーテル交換法は、十分に安全管理に留意し、胃瘻カテーテル交換後の確認を画像診断又は内視鏡等を用いて行った場合に限り算定する。なお、その際行われる画像診断及び内視鏡等の費用は、当該点数の算定日に限り、1回に限り算定する。

J043―5 尿路ストーマカテーテル交換法

尿路ストーマカテーテル交換法は、十分に安全管理に留意し、尿路ストーマカテーテル交換後の確認を画像診断等を用いて行った場合に限り算定する。なお、その際行われる画像診断等の費用は、当該点数の算定日に限り、1回に限り算定する。

(救急処置)

J044 救命のための気管内挿管

(1) 救命のための気管内挿管は、救命救急処置として特に設けられたものであり、検査若しくは麻酔のため挿管する場合又は既に挿管している気管内チューブを交換する場合は算定できない。

(2) 救命のための気管内挿管に併せて、人工呼吸を行った場合は、区分番号「J045」人工呼吸の所定点数を合わせて算定できる。

J044―2 体表面ペーシング法又は食道ペーシング法

救急処置として体表面ペーシング法又は食道ペーシング法を行った場合に算定する。

J045 人工呼吸

(1) 胸部手術後肺水腫を併発し、応急処置として閉鎖循環式麻酔器による無水アルコールの吸入療法を行った場合は、人工呼吸の所定点数により算定し、これに要した無水アルコールの費用については区分番号「J300」薬剤により算定する。

(2) 呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープ、経皮的動脈血酸素飽和度測定又は非観血的連続血圧測定を同一日に行った場合は、これらに係る費用は人工呼吸の所定点数に含まれる。

(3) 喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、酸素吸入及び突発性難聴に対する酸素療法の費用は、所定点数に含まれる。

(4) 閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸及びマイクロアダプター(人工蘇生器)を使用して、酸素吸入を施行した場合は、実施時間に応じて人工呼吸の所定点数により算定する。また、ガス中毒患者に対して、閉鎖循環式麻酔器を使用し、気管内挿管下に酸素吸入を行った場合も同様とする。なお、この場合、酸素吸入の費用は人工呼吸の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) 気管内挿管下に閉鎖循環式麻酔器による酸素加圧により、肺切除術後の膨張不全に対して肺膨張を図った場合は、実施時間に応じて人工呼吸の所定点数により算定する。

(6) 閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸を手術直後に引き続いて行う場合には、区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔の所定点数に含まれ、別に算定できない。また、半閉鎖式循環麻酔器による人工呼吸についても、閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸と同様の取扱いとする。

(7) 新生児の呼吸障害に対する補助呼吸装置による持続陽圧呼吸法(CPAP)及び間歇的強制呼吸法(IMV)を行った場合は、実施時間に応じて人工呼吸の所定点数により算定する。

(8) 鼻マスク式人工呼吸器を用いた場合は、PaO2/FIO2が300mmHg以下又はPaCO2が45mmHg以上の急性呼吸不全の場合に限り人工呼吸に準じて算定する。

(9) 区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、人工呼吸の費用は算定できない。

J045―2 一酸化窒素吸入療法

(1) 本療法については、開始時刻より通算して96時間を限度として、本療法の終了日に算定する。ただし、医学的根拠に基づきこの限度を超えて算定する場合は、さらに48時間を限度として算定でき、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的な根拠を詳細に記載すること。

(2) (1)の開始時刻とは一酸化窒素供給装置を人工呼吸器と接続し、一酸化窒素の供給を開始した時刻を指し、本療法を実施した場合は、同時刻を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(3) 呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープ、経皮的動脈血酸素飽和度測定又は非観血的連続血圧測定を同一日に行った場合は、これらに係る費用は一酸化窒素吸入療法の所定点数に含まれる。

(4) 喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、酸素吸入及び突発性難聴に対する酸素療法の費用は、所定点数に含まれる。

J047 カウンターショック

(1) 非医療従事者向け自動除細動器を用いて行った場合には、「1」を算定する。ただし、保険医療機関において保険医により施行された場合においてのみ算定する。

(2) カウンターショックに伴う皮膚の創傷に対する処置に要する費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 心臓手術に伴うカウンターショックは、それぞれの心臓手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(4) カウンターショックと開胸心臓マッサージを併せて行った場合は、カウンターショックの所定点数と区分番号「K545」開胸心臓マッサージの所定点数をそれぞれ算定する。

J050 気管内洗浄

(1) 気管から区域細気管支にわたる範囲で異物又は分泌物による閉塞(吐物の逆流、誤嚥、気管支喘息重積状態又は無気肺)のために急性呼吸不全をおこした患者に対し、気管内挿管下(気管切開下を含む。)に洗浄した場合に1日につき所定点数を算定する。

(2) 新たに気管内挿管を行った場合には、区分番号「J044」救命のための気管内挿管の所定点数を合わせて算定できる。

(3) 気管支ファイバースコピーを使用した場合は、区分番号「D302」気管支ファイバースコピーの所定点数のみを算定する。

(4) 気管内洗浄(気管支ファイバースコピーを使用した場合を含む。)と同時に行う喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出又は酸素吸入は、所定点数に含まれる。

J052―2 熱傷温浴療法

(1) 熱傷温浴療法は、体表面積の30%以上の広範囲熱傷に対する全身温浴として、入院中の患者に対し受傷後60日以内に行われたものについて算定する。

(2) 受傷日を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(皮膚科処置)

J053 皮膚科軟膏処置

(1) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、皮膚科軟膏処置の費用は算定できない。

(2) 100平方センチメートル未満の皮膚科軟膏処置は、第1章基本診療料に含まれるものであり、皮膚科軟膏処置を算定することはできない。

J054 皮膚科光線療法

(1) 赤外線療法は、ソラックス灯等の赤外線を出力する機器を用いて行った場合に算定できる。

(2) 紫外線療法は、フィンゼン灯、クロマイエル水銀石英灯等の紫外線を出力する機器を用いて行った場合に算定できる。

(3) 赤外線又は紫外線療法(長波紫外線療法及び中波紫外線療法を除く。)は、5分以上行った場合に算定する。

(4) 長波紫外線又は中波紫外線療法は、長波紫外線(概ね315ナノメートル以上400ナノメートル以下)又は、中波紫外線(概ね290ナノメートル以上315ナノメートル以下)を選択的に出力できる機器によって長波紫外線又は中波紫外線療法を行った場合に算定できるものであり、いわゆる人工太陽等の長波紫外線及び中波紫外線を非選択的に照射する機器によって光線療法を行った場合は、赤外線又は紫外線療法の所定点数によって算定する。

(5) 中波紫外線療法(308ナノメートル以上313ナノメートル以下に限定したもの)は、いわゆるナローバンドUVB療法をいい、308ナノメートル以上313ナノメートル以下の中波紫外線を選択的に出力できる機器によって中波紫外線療法を行った場合に算定する。

(6) 長波紫外線療法又は中波紫外線療法は乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫(症)、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑又はアトピー性皮膚炎に対して行った場合に限って算定する。

(7) 赤外線療法、紫外線療法、長波紫外線療法又は中波紫外線療法を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。また、同じものを同一日に複数回行った場合でも、1日につき所定点数のみにより算定する。

(8) 皮膚科光線療法は、同一日において消炎鎮痛等処置とは併せて算定できない。

J054―2 皮膚レーザー照射療法

(1) 皮膚レーザー照射療法は、単なる美容を目的とした場合は算定できない。

(2) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいい、概ね3月間にわたり行われるものをいう。例えば、対象病変部位の一部ずつに照射する場合や、全体に照射することを数回繰り返して一連の治療とする場合は、1回のみ所定点数を算定する。

(3) 皮膚レーザー照射療法を開始した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、前回の一連の治療の開始日を記載する。

(4) 「1」の色素レーザー照射療法は、単純性血管腫、苺状血管腫又は毛細血管拡張症に対して行った場合に算定する。

(5) 「2」のQスイッチ付レーザー照射療法は、Qスイッチ付ルビーレーザー照射療法、ルビーレーザー照射療法、Qスイッチ付アレキサンドライトレーザー照射療法をいう。

(6) Qスイッチ付レーザー照射療法は、頭頸部、左上肢、左下肢、右上肢、右下肢、腹部又は背部のそれぞれの部位ごとに所定点数を算定する。また、各部位において、病変部位が重複しない複数の疾患に対して行った場合は、それぞれ算定する。

(7) Qスイッチ付ルビーレーザー照射療法及びルビーレーザー照射療法は、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症、扁平母斑等に対して行った場合に算定できる。なお、一連の治療が終了した後に再発した症例に対して当該療法を行う場合には、同一部位に対しては初回治療を含め2回を限度として算定する。

(8) Qスイッチ付アレキサンドライトレーザー照射療法は、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症等に対して行った場合に算定できる。なお、扁平母斑にあっては算定できない。

J055―2 イオントフォレーゼ

(1) 尋常性白斑に対するイオントフォレーゼ療法は露出部におけるもので、他の療法が無効な場合に限り、4cm四方ごとに算定する。

(2) 汗疱状白癬、慢性湿疹、尋常性画像4 (1KB)別ウィンドウが開きます
瘡、慢性皮膚炎、稽留性化膿性肢端皮膚炎、多汗症、頑癬に対するイオントフォレーゼは、他の療法が無効な場合に限り算定する。

J057 軟属腫摘除

伝染性軟属腫の内容除去は、軟属腫摘除として算定する。

J057―2 面皰圧出法

面皰圧出法は、顔面、前胸部、上背部等に多発した面皰に対して行った場合に算定する。

J057―3 鶏眼・胼胝処置

鶏眼・胼胝処置は、同一部位について、その範囲にかかわらず月1回を限度として算定する。

(泌尿器科処置)

J060 膀胱洗浄、J060―2 後部尿道洗浄(ウルツマン)

(1) カテーテル留置中に膀胱洗浄及び薬液膀胱内注入を行った場合は、1日につき、膀胱洗浄により算定する。

(2) 膀胱洗浄、留置カテーテル設置、導尿(尿道拡張を要するもの)又は後部尿道洗浄(ウルツマン)を同一日に行った場合には、主たるものの所定点数により算定する。

(3) 区分番号「C106」在宅自己導尿指導管理料又は区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については膀胱洗浄又は後部尿道洗浄(ウルツマン)の費用は算定できない。

J061 腎盂洗浄

(1) 腎盂洗浄は片側ごとに所定点数をそれぞれ算定する。

(2) 尿管カテーテル挿入を行った場合は、所定点数に区分番号「D318」尿管カテーテル法の所定点数を合わせて算定できる。

J063 留置カテーテル設置

(1) 長期間にわたり、バルーンカテーテルを留置するための挿入手技料は、留置カテーテル設置により算定する。この場合、必要があってカテーテルを交換したときの挿入手技料も留置カテーテル設置により算定する。

(2) 区分番号「C106」在宅自己導尿指導管理料又は区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、留置カテーテル設置の費用は算定できない。

(3) 留置カテーテル設置時に使用する注射用蒸留水又は生理食塩水等の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

J064 導尿(尿道拡張を要するもの)

区分番号「C106」在宅自己導尿指導管理料又は区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、導尿(尿道拡張を要するもの)の費用は算定できない。

J065 間歇的導尿

間歇的導尿は、脊椎損傷の急性期の尿閉、骨盤内の手術後の尿閉の患者に対し、排尿障害の回復の見込みのある場合に行うもので、6月間を限度として算定する。

J068 嵌頓包茎整復法

小児仮性包茎における包皮亀頭癒着に対する用手法等による剥離術は、嵌頓包茎整復法に準じて算定する。

J070―2 干渉低周波による膀胱等刺激法

(1) 干渉低周波による膀胱等刺激法は、尿失禁の治療のために行った場合に算定する。

(2) 治療開始時点においては、3週間に6回を限度とし、その後は2週間に1回を限度とする。

J070―3 冷却痔処置

(1) Ⅰ度又はⅡ度の内痔核の患者に対し、1日1ないし2回、かつ連続して5日以上実施した場合に10日間を限度として、1日につき1回算定できる。なお、当該処置に使用した冷却痔疾治療用具については、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 冷却痔処置の請求に当たっては、内痔核の重症度について診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(産婦人科処置)

J078 子宮腟部薬物焼灼法

ゲメプロスト製剤の投与により子宮内容物の排出が認められた場合は、子宮腟部薬物焼灼法に準じて算定できる。

J085―2 人工羊水注入法

人工羊水注入法は、羊水過少症等の患者に対して、超音波断層法検査及び子宮内圧測定を施行し、適正な注入量の羊水を子宮内に注入した場合に算定する。なお、当該手技に伴って実施される超音波検査等の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(眼科処置)

J086 眼処置

(1) 所定点数には、片眼帯、巻軸帯を必要とする処置、蒸気罨法、熱気罨法、イオントフォレーゼ及び麻薬加算が含まれており、これらを包括して1回につき所定点数を算定する。

(2) 点眼又は洗眼は、第1章基本診療料に含まれるものであり、眼処置を算定することはできない。

J089 睫毛抜去

5~6本程度の睫毛抜去は「1」を算定する。また、「1」については、他の眼科処置又は眼科手術に併施した場合には、その所定点数に含まれ別に算定できない。

(耳鼻咽喉科処置)

J095 耳処置

(1) 耳処置とは、外耳道入口部から鼓膜面までの処置であり、耳浴及び耳洗浄が含まれており、これらを包括して一側、両側の区別なく1回につき所定点数を算定する。

(2) 点耳又は簡単な耳垢栓除去は、第1章基本診療料に含まれるものであり、耳処置を算定することはできない。

J095―2 鼓室処置

鼓室処置は、急性又は慢性の鼓膜穿孔耳に対して鼓室病変の沈静・制御を目的として、鼓室腔内の分泌物・膿汁等の吸引及び鼓室粘膜処置等を行った場合に算定する。

J096 耳管処置

(1) 「1」には、耳管通気に必要とする表面麻酔薬又は血管収縮薬等の塗布、噴霧等の鼻内における処置が含まれており、これらを包括して1回につき片側ごとに所定点数を算定する。ただし、鼻処置を必要とする疾病があって別に鼻処置を行った場合は別に算定できるが、傷病名の記載を要する。

(2) ポリッツェル球により両耳に通気する場合は、片側、両側の区別なく1回につき所定点数を算定する。

(3) 耳管処置に当たり咽頭処置を行った場合であっても、咽頭に特に異常がなければ、咽頭処置は算定できない。

(4) 耳管開放症に対する処置は、「1」により算定する。

J097 鼻処置

(1) 鼻処置には、鼻吸引、単純鼻出血及び鼻前庭の処置が含まれており、これらを包括して一側、両側の区別なく1回につき所定点数を算定する。なお、口腔、咽頭処置と併せて行った場合であっても、口腔、咽頭処置の所定点数は別に算定できない。

(2) 副鼻腔洗浄に伴う単なる鼻処置は、副鼻腔洗浄又は吸引の所定点数に含まれ別に算定はできない。

(3) 鼻洗浄は、第1章基本診療料に含まれるものであり、鼻処置を算定することはできない。

J097―2 副鼻腔自然口開大処置

副鼻腔自然口開大処置は、急性副鼻腔炎及び慢性副鼻腔炎の患者に対して、副鼻腔の換気・排液ならびにネブライザー効果の増大を目的として自然口の開大処置を行った場合に算定する。

J098 口腔、咽頭処置

(1) 口腔、咽頭処置をそれぞれ単独に実施した場合も、同時に実施した場合も1回につき所定点数を算定する。

(2) ルゴール等の噴霧吸入は口腔、咽頭処置に準ずる。

(3) ルゴール等の噴霧吸入と鼻、口腔又は咽頭処置を同時に行った場合は、鼻処置又は口腔、咽頭処置の所定点数を算定する。

J098―2 扁桃処置

(1) 扁桃処置は、慢性扁桃炎の急性増悪、急性腺窩(陰窩)性扁桃炎、扁桃周囲炎又は扁桃周囲膿瘍等に対し、膿栓吸引、洗浄等を行った場合に算定する。

(2) 扁桃処置の所定点数には、咽頭処置が含まれ別途算定できない。

J099 間接喉頭鏡下喉頭処置

(1) 間接喉頭鏡下喉頭処置には、喉頭注入が含まれており、喉頭蓋、仮声帯、披裂部、声帯等の病変に対して処置を行った場合に算定する。

(2) 喉頭処置後の薬剤注入は、関節喉頭鏡下喉頭処置の所定点数に含まれる。

J100 副鼻腔手術後の処置(片側)

副鼻腔手術後の洗浄、ガーゼ交換等(手術日の翌日以降のものに限る。)を行った場合に算定する。

この場合、創傷処置、爪甲除去(麻酔を要しないもの)及び穿刺排膿後薬液注入は別に算定できない。

J102 上顎洞穿刺

区分番号「D406―2」上顎洞穿刺と同一日に算定することはできない。

J103 扁桃周囲膿瘍穿刺

(1) 扁桃周囲炎又は扁桃周囲膿瘍において、単に穿刺排膿のみ行い切開しなかった場合は所定点数を算定し、試験穿刺を行い膿汁を認め直ちに切開した場合は区分番号「K368」扁桃周囲膿瘍切開術を算定する。

(2) 区分番号「D406―2」扁桃周囲炎又は扁桃周囲膿瘍における試験穿刺と同一日に算定することはできない。

J113 耳垢栓塞除去

(1) 耳垢水等を用いなければ除去できない耳垢栓塞を、完全に除去した場合に算定する。

(2) 簡単な耳垢栓除去は、第1章基本診療料に含まれるものであり、耳垢栓塞除去を算定することはできない。

J115 超音波ネブライザー

超音波ネブライザーにおいて、酸素療法を併せて行った場合は区分番号「J024」酸素吸入の所定点数を合わせて算定できる。

(整形外科的処置)

J116 関節穿刺

関節穿刺を左右両側に行った場合は、それぞれ算定できるが、同一側の関節に対して、区分番号「D405」関節穿刺、区分番号「G010」関節腔内注射を同一日に行った場合は、主たるもののみ算定する。

J117 鋼線等による直達牽引

(1) 鋼線等による直達牽引は、鋼線等を用いて観血的に牽引を行った場合に算定する。なお鋼線等による直達牽引には、鋼線牽引法、双鋼線伸延法及び直達頭蓋牽引法を含むものである。

(2) 1局所とは、上肢の左右、下肢の左右及び頭より尾頭までの躯幹のそれぞれをいい、全身を5局所に分けるものである。

(3) 消炎鎮痛等処置、腰部又は胸部固定帯固定、低出力レーザー照射又は肛門処置を併せて行った場合は、鋼線等による直達牽引の所定点数のみにより算定する。

J118 介達牽引

(1) 介達牽引は、絆創膏牽引法、斜面牽引法、スピードラック牽引、腰椎バンド及びグリソン係蹄によるモーターを使用した断続牽引並びにベーラー法を含むものであり、部位数にかかわらず所定点数を算定する。

(2) 介達牽引、矯正固定又は変形機械矯正術に消炎鎮痛等処置、腰部又は胸部固定帯固定、低出力レーザー照射又は肛門処置を併せて行った場合は、主たるものいずれかの所定点数のみにより算定する。

(3) 介達牽引、矯正固定又は変形機械矯正術を同一日に併せて行った場合は、主たるものいずれかの所定点数のみにより算定する。

J118―2 矯正固定

変形の矯正を目的としてマッサージ等を行った後に、副子、厚紙や絆創膏にて矯正固定を行った場合に1日につき所定点数を算定する。

J118―3 変形機械矯正術

1日につき所定点数を算定する。

J119 消炎鎮痛等処置

(1) 消炎鎮痛等処置は、疾病、部位又は部位数にかかわらず1日につき所定点数により算定する。

(2) 「1」のマッサージ等の手技による療法とは、あんま、マッサージ及び指圧による療法をいう。また、「2」の器具等による療法とは、電気療法、赤外線治療、熱気浴、ホットパック、超音波療法、マイクロレーダー等による療法をいう。

(3) 消炎鎮痛を目的とする外用薬を用いた処置は「3」の湿布処置として算定する。

(4) 患者自ら又は家人等に行わせて差し支えないと認められる湿布については、あらかじめ予見される当該湿布薬の必要量を外用薬として投与するものとし、湿布処置は算定できない。

(5) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、消炎鎮痛等処置の費用は算定できない。

(6) 「3」の対象となる湿布処置は、半肢の大部又は頭部、頸部及び顔面の大部以上にわたる範囲のものについて算定するものであり、それ以外の狭い範囲の湿布処置は、第1章基本診療料に含まれるものであり、湿布処置を算定することはできない。

J119―2 腰部又は胸部固定帯固定

(1) 腰痛症の患者に対して腰部固定帯で腰部を固定した場合又は骨折非観血的整復術等の手術を必要としない肋骨骨折等の患者に対して、胸部固定帯で胸部を固定した場合に1日につき所定点数を算定する。

(2) 同一患者につき同一日において、腰部又は胸部固定帯固定に併せて消炎鎮痛等処置、低出力レーザー照射又は肛門処置を行った場合は、主たるものにより算定する。

(3) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、腰部又は胸部固定帯固定の費用は算定できない。

J119―3 低出力レーザー照射

(1) 筋肉、関節の慢性非感染性炎症性疾患における疼痛の緩和のために低出力レーザー照射を行った場合に、疾病、照射部位又は照射回数に関わらず1日につき所定点数を算定する。

(2) 同一患者につき同一日において、低出力レーザー照射に併せて消炎鎮痛等処置、腰部又は胸部固定帯固定、肛門処置を行った場合は、主たるものにより算定する。

(3) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、低出力レーザー照射の費用は算定できない。

J119―4 肛門処置

(1) 診療所において、入院中の患者以外の患者についてのみ1日につき所定点数を算定する。

(2) 単に坐薬等を挿入した場合は算定できない。

(3) 同一患者につき同一日において、肛門処置に併せて消炎鎮痛等処置、腰部又は胸部固定帯固定、低出力レーザー照射を行った場合は、主たるものにより算定する。

(4) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、肛門処置の費用は算定できない。

(栄養処置)

J120 鼻腔栄養

(1) 鼻腔栄養は、注入回数の如何を問わず1日につき算定するものである。

(2) 患者が経口摂取不能のため、薬価基準に収載されている高カロリー薬を経鼻経管的に投与した場合は鼻腔栄養の所定点数及び薬剤料を算定し、食事療養に係る費用又は生活療養の食事の提供たる療養に係る費用及び投薬料は別に算定しない。

(3) 患者が経口摂取不能のため、薬価基準に収載されていない流動食を提供した場合は、鼻腔栄養の所定点数及び食事療養に係る費用又は生活療養の食事の提供たる療養に係る費用を算定する。この場合において、当該保険医療機関が入院時食事療養(Ⅰ)又は入院時生活療養(Ⅰ)の届出を行っているときは入院時食事療養(Ⅰ)又は入院時生活療養(Ⅰ)の食事の提供たる療養に係る費用を、さらに、特別食の算定要件を満たしているときは特別食の加算をそれぞれ算定する。

(4) 薬価基準に収載されている高カロリー薬及び薬価基準に収載されていない流動食を併せて投与及び提供した場合は、(2)又は(3)のいずれかのみにより算定する。

(5) 胃瘻より流動食を点滴注入した場合は、鼻腔栄養に準じて算定する。

(6) 区分番号「C105」在宅成分栄養経管栄養法指導管理料又は区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、鼻腔栄養の費用は算定できない。

(ギプス)

1 一般的事項

(1) ギプス包帯をギプスシャーレとして切割使用した場合は、ギプス包帯を作成した保険医療機関もギプス包帯の切割使用に係る点数を算定できる。

(2) 既装着のギプスを他の保険医療機関で除去したときは、ギプス除去料としてギプス包帯を切割使用した場合の2分の1に相当する点数により算定する。

(3) ギプスベッド又はギプス包帯の修理を行ったときは、修理料として所定点数の100分の10に相当する点数を算定することができる。

(4) プラスチックギプスを用いてギプスを行った場合にはシーネとして用いた場合が含まれる。

(5) ギプスシーネは、ギプス包帯の点数(ギプス包帯をギプスシャーレとして切割使用した場合の各区分の所定点数の100分の20に相当する点数を算定する場合を除く。)により算定する。

(6) 四肢ギプス包帯の所定点数にはプラスチックギプスに係る費用が含まれ、別に算定できない。

2 練習用仮義足又は仮義手

練習用仮義足又は仮義手の処方、採型、装着、調整等については、仮義足又は仮義手を支給する1回に限り算定する。

(処置医療機器等加算)

J200 腰部、胸部又は頚部固定帯加算

(1) 本加算は、それぞれの固定帯を給付する都度算定する。なお、「固定帯」とは、従来、頭部・頸部・躯幹等固定用伸縮性包帯として扱われてきたもののうち、簡易なコルセット状のものをいう。

(2) 胸部固定帯については、肋骨骨折に対し非観血的整復術を行った後に使用した場合は、手術の所定点数に含まれており別途算定できない。

J201 酸素加算

(1) 酸素吸入のほか酸素又は窒素を使用した診療に係る酸素又は窒素の価格は、「酸素及び窒素の価格」(平成2年厚生省告示第41号)により定められており、その単価(単位 リットル。摂氏35度、1気圧における容積とする。)は、次のとおりである。

ア 離島等以外の地域に所在する保険医療機関の場合

液体酸素の単価

定置式液化酸素貯槽(CE)に係る酸素の単価 1リットル当たり0.18円

可搬式液化酸素容器(LGC)に係る酸素の単価 1リットル当たり0.30円

酸素ボンベに係る酸素の単価

大型ボンベに係る酸素の単価 1リットル当たり0.40円

小型ボンベに係る酸素の単価 1リットル当たり2.25円

イ 離島等に所在する保険医療機関の場合

液体酸素の単価

定置式液化酸素貯槽(CE)に係る酸素の単価 1リットル当たり0.27円

可搬式液化酸素容器(LGC)に係る酸素の単価 1リットル当たり0.45円

酸素ボンベに係る酸素の単価

大型ボンベに係る酸素の単価 1リットル当たり0.60円

小型ボンベに係る酸素の単価 1リットル当たり3.00円

(2) 離島等とは、以下の地域をいう。

ア 離島振興法(昭和28年法律第72号)第2条第1項の規定により離島振興対策実施地域として指定された離島の地域

イ 奄美群島振興開発特別措置法(昭和29年法律第189号)第1条に規定する奄美群島の地域

ウ 小笠原諸島振興開発特別措置法(昭和44年法律第79号)第2条第1項に規定する小笠原諸島の地域

エ 沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)第3条第三号に規定する離島

オ 過疎地域自立促進特別措置法(平成12年法律第15号)第2条第1項に規定する過疎地域

カ 豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年法律第73号)第2条第2項の規定により特別豪雪地帯として指定された地域

(3) 定置式液化酸素貯槽(CE)とは、医療機関の敷地内に設置されており、通常気体酸素容量が200万Lから1,500万Lのものをいい、可搬式液化酸素容器(LGC)とは、気体酸素容量が13.3万L又は37.6万Lのものをいい、大型ボンベとは、ボンベ1本当たり通常7,000L又は6,000L用のボンベをいい3,000Lを超えるもの、小型ボンベとは、ボンベ1本当たり通常1,500L又は500L用のボンベをいい3,000L以下のものをいう。

(4) 酸素の価格については、次の算式により算出した値の1円未満を四捨五入して得た額とする。

酸素の価格(単位 円)=酸素の単価(単位 円)×当該患者に使用した酸素の容積(単位 リットル)×補正率

(5) (1)の規定にかかわらず、(1)に規定する区分ごとに次の算式により、保険医療機関ごとに算出される酸素の購入単価が(1)に規定する単価に満たない場合には、4月1日から3月31日までの1年間の診療については、この酸素の購入単価を用いて算出した酸素の購入価格によって請求するものとする。

酸素の購入価格(単位 円)=酸素の購入単価(単位 円)×当該患者に使用した酸素の容積(単位 リットル)×補正率

酸素の購入単価(単位 円)=当該年度の前年の1月から12月までの間に当該保険医療機関が購入した酸素の対価/当該購入した酸素の容積(単位 リットル。35℃1気圧で換算)

なお、酸素の購入時期と請求時期との関係を以下に明示する。

●の診療に係る請求

③、④及び⑤の購入実績により算出した酸素の購入単価による。

▲の診療に係る請求

①及び②の購入実績により算出した酸素の購入単価による。

(6) (4)及び(5)の算式の場合において、「当該患者に使用した酸素の容積」とは、患者に使用する際の状態の温度及び気圧において測定された酸素の容積をいうものであり、一定の温度又は気圧に換算する必要はない。

また、補正率1.3は、購入時と使用時の気体の状態の違いに由来する容積差等を勘案の上設定したものである。

(7) 新規に保険医療機関の指定を受けた場合及び(1)に規定する区分を追加又は変更した場合であって、当該診療に係る年度の前年の1月から12月までの1年間において酸素の購入実績がない場合にあっては、当年度の3月までの間は、次に定めるところによって酸素の購入単価を算出するものとする。その場合において購入単価が(1)に規定する単価を超える場合は、(1)の購入単価とする。

ア 当該診療月前に酸素を購入した実績がある場合(当該年度内に新規に指定され購入又は区分の追加若しくは変更(大型ボンベを廃止し、CEに変更等)を行った場合に限る。)にあっては、購入した酸素(保険医療機関の指定を受けた日前に購入したものを含む。)の対価を当該購入した酸素の摂氏35度、1気圧における容積(単位 リットル)で除して得た額の0.01円未満の端数を四捨五入した額を酸素の購入単価とする。

イ アにより算出した場合の購入単価について、当年度の3月までの間については、当該診療月前に購入した全ての酸素(保険医療機関の指定を受けた日前に購入したものを含む。)の対価を当該購入した酸素の摂氏35度、1気圧における容積(単位 リットル)で除して得た額の0.01円未満の端数を四捨五入した額を酸素の購入単価とする。

(8) (5)並びに(7)のア及びイの関係は、当該年度(診療日の属する年度)に係る購入単価は、原則、前年の1月から12月までの購入実績に基づき算出した単価とするものであるが、年度の途中において新規又は区分の変更を行った年度に限り当該年度内の購入実績に基づき購入単価とするものである。従って、翌年度の4月1日からは、(5)により算出した購入単価によることとなる。

(9) 離島等における特別の事情とは、酸素の搬入において船舶による搬入時間が、多くの時間を要する場合や酸素製造工場又は医療用酸素充填所から著しく遠距離であるため通常の価格では購入が困難な場合等を考慮したものであり、当該事情があると認められた場合には、(1)の規定にかかわらず、(1)に規定する区分ごとに(5)に規定する算式により、保険医療機関ごとに算出される酸素の購入単価が(1)に規定する単価を超える場合は、4月1日から3月31日までの1年間の診療については、この酸素の購入単価を用いて算出した酸素の購入価格によって請求するものとする。なお、この場合、前年度の購入単価を超えることはできないものとする。ただし、大型ボンベにあっては、6,000L以上、小型ボンベにあっては、500L以上に限る。

(10) 離島等における特別の事情がある場合は、その理由を記載した書面を地方厚生(支)局長に届け出るものとする。

(11) 保険医療機関は、当該年の4月1日以降の診療に係る費用の請求に当たって用いる酸素の単価並びにその算出の基礎となった前年の1月から12月までの間に当該保険医療機関が購入した酸素の対価及び当該購入した酸素の容積を別紙様式25により、当該年の2月15日までに地方厚生(支)局長に届け出るものとする。ただし、(7)のア又はイの方法によって酸素の購入単価を算出している場合にあっては、随時(当該年度内において算出した購入単価に30%を超える変動があった場合を含む。)地方厚生(支)局長に届け出るものとする。

(12) 地方厚生(支)局においては、届出を受けた購入単価について、審査支払機関に対し通知するとともに、保険者に対し通知し、情報提供を行うこと。

(13) 窒素の価格は、液化窒素、ボンベ等の窒素の形態にかかわらず、窒素の単価に当該患者に使用した窒素の容積を乗じた値とする。なお、窒素の単価は1リットル当たり0.12円である。

(14) 酸素を動力源とする閉鎖循環式麻酔装置、高気圧酸素治療装置等を利用して、人工呼吸、酸素吸入、高気圧酸素治療等を行った場合、動力源として消費される酸素の費用は算定できない。また、動力源として消費される窒素の費用も算定できない。

(15) 酸素と窒素を用いて空気と類似した組成の気体を作成し酸素吸入等に用いた場合、酸素及び窒素の費用は算定できない。

第10部 手術

<通則>

1 「通則1」の「診断穿刺・検体採取」とは、第2章第3部検査の第4節診断穿刺・検体採取料に係るものをいう。

2 「通則1」及び「通則2」は、手術料算定の内容には次の3通りあることを示しており、輸血料については、手術料の算定がなくとも単独で算定できる。

(1) 手術料(+薬剤料等)

(2) 手術料+輸血料(+薬剤料等)

(3) 輸血料(+薬剤料等)

3 手術料(輸血料を除く。)は、特別の理由がある場合を除き、入院中の患者及び入院中の患者以外の患者にかかわらず、同種の手術が同一日に2回以上実施される場合には、主たる手術の所定点数のみにより算定する。

4 手術当日に、手術(自己血貯血を除く。)に関連して行う処置(ギプスを除く。)の費用及び注射の手技料は、術前、術後にかかわらず算定できない。また、内視鏡を用いた手術を行う場合、これと同時に行う内視鏡検査料は別に算定できない。

5 手術に当たって通常使用される保険医療材料(チューブ、縫合糸(特殊縫合糸を含む。)等)、衛生材料(ガーゼ、脱脂綿及び絆創膏等)、外皮用殺菌剤、患者の衣類及び1回の手術に使用される総量価格が15円以下の薬剤の費用は手術の所定点数に含まれる。

ただし、別に厚生労働大臣が定める特定保険医療材料及び1回の手術に使用される総量価格が15円を超える薬剤(手術後の薬剤病巣撒布を含み、外皮用殺菌剤を除く。)については、当該手術の所定点数の他に当該特定保険医療材料及び薬剤の費用を算定できる。

6 画像診断及び検査の費用を別に算定できない手術の際に画像診断又は検査を行った場合においても、当該画像診断及び検査に伴い使用したフィルムに要する費用については、区分番号「E400」(注を含む。)に掲げるフィルム料を算定できる。また、当該画像診断及び検査に伴い特定保険医療材料又は薬剤を使用した場合は、区分番号「K950」に掲げる特定保険医療材料料又は区分番号「K940」に掲げる薬剤料を算定できる。なお、この場合、フィルム料、特定保険医療材料料及び薬剤料以外の画像診断及び検査の費用は別に算定できない。

7 第1節手術料に掲げられていない手術のうち、簡単な手術の手術料は算定できないが、特殊な手術(点数表にあっても、手技が従来の手術と著しく異なる場合等を含む。)の手術料は、その都度当局に内議し、最も近似する手術として準用が通知された算定方法により算定する。例えば、従来一般的に開胸又は開腹により行われていた手術を内視鏡下において行った場合等はこれに該当する。

8 「通則5」に規定する体外循環を要する手術とは、区分番号「K541」から「K544」まで、「K551」、「K553」、「K554」から「K556」まで、「K557」から「K557―3」まで、「K558」、「K560」、「K568」、「K570」、「K571」から「K574」まで、「K576」、「K577」、「K579」から「K580」まで、「K582」から「K589」まで及び「K592」から「K594」までに掲げる人工心肺を用いた手術をいう。

9 「通則7」及び「通則8」の加算は、第1節手術料に定める手術にのみ適用され、輸血料、手術医療機器等加算、薬剤料及び特定保険医療材料料は加算の対象とならない。

また、「通則7」及び「通則8」の「所定点数」とは、第1節手術料の各区分に掲げられた点数及び各区分の注に規定する加算の合計をいい、通則の加算点数は含まない。

10 「通則10」の加算は、HIV―1抗体価(ウエスタンブロット法)若しくはHIV―2抗体価(ウエスタンブロット法)によってHIV抗体が陽性と認められた患者又はHIV―1核酸同定検査によってHIV―1核酸が確認された患者に対して観血的手術を行った場合に1回に限り算定する。ただし、同一日に複数の手術を行った場合は、主たる手術についてのみ加算する。

11 「通則11」の加算は、次のいずれかに該当する患者に対して全身麻酔、硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を伴う観血的手術を行った場合に1回に限り算定する。ただし、同一日に複数の手術を行った場合は、主たる手術についてのみ加算する。

(1) 感染症法に基づく医師から都道府県知事等への届出のための基準により医師により届け出が義務付けられているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症の患者(診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断がなされたもの。)

(2) HBs又はHBe抗原によって抗原が陽性と認められたB型肝炎患者

(3) HCV抗体価(定性、定量)によってHCV抗体が陽性と認められたC型肝炎患者

(4) 微生物学的検査により結核菌を排菌していることが術前に確認された結核患者

12 「通則12」の入院中の患者以外の患者に対する手術の休日加算、時間外加算又は深夜加算は、次の場合に算定できる。ただし、手術が保険医療機関又は保険医の都合により休日、時間外又は深夜に行われた場合には算定できない。

(1) 休日加算、時間外加算又は深夜加算が算定できる初診又は再診に引き続き行われた緊急手術の場合

(2) 初診又は再診から手術までの間に、手術に必要不可欠な検査等を行い、かつ、当該検査等の終了後に手術(休日に行うもの又はその開始時間(執刀した時間をいう。)が診療時間以外の時間若しくは深夜であるものに限る。)を開始した場合であって、当該初診又は再診から手術の開始時間までの間が8時間以内である場合(当該手術の開始時間が入院手続きの後の場合を含む。)

13 「通則12」の入院中の患者に対する手術の休日加算又は深夜加算は、病状の急変により、休日に緊急手術を行った場合又は開始時間が深夜である緊急手術を行った場合に算定できる。

ただし、手術が保険医療機関又は保険医の都合により休日又は深夜に行われた場合には算定できない。

14 「通則12」の休日加算、時間外加算又は深夜加算の対象となる時間の取扱いは初診料と同様であり、区分番号「A000」の注6又は区分番号「A001」の注5に規定する夜間・早朝等加算を算定する場合にあっては、「通則12」の休日加算、時間外加算又は深夜加算は算定しない。また、「通則12」の加算に係る適用の範囲及び「所定点数」については、「通則7」及び「通則8」の加算の取扱いと同様(本通則9参照)である。なお、区分番号「K780」同種死体腎移植術の「注1」に規定する死体腎移植加算について、「通則12」の加算を算定する場合は、同種死体腎移植の開始時間により要件の該当の有無を判断するのではなく、死体腎の摘出術の開始時間をもって判断する。

15 「通則13」の「特に規定する場合」とは、各区分に掲げる手術名の末尾に両側と記入したものをいう。なお、この場合において、両側にわたり手術を行う医療上の必要性がなく片側の手術のみを行った場合であっても、両側に係る所定点数を算定する。

また、肺の両側に対し手術を行った場合は、片側それぞれについて算定できる。

16 同一手術野又は同一病巣における算定方法

(1) 「通則14」の「同一手術野又は同一病巣」とは、原則として、同一皮切により行い得る範囲をいい、具体的には、次のような手術の組み合わせが行われる範囲をいう。この場合においては、「主たる手術」の所定点数のみを算定する。なお、「主たる手術」とは、所定点数及び注による加算点数を合算した点数の高い手術をいう。

ア 肺切除術の際に併施する簡単な肺剥皮術

イ 虫垂切除術と盲腸縫縮術

ウ 子宮附属器腫瘍摘出術と卵管結紮術

(2) (1)にかかわらず、「同一皮切により行い得る範囲」内にあっても、次に掲げる場合には、「同一手術野又は同一病巣」には該当せず、それぞれ所定点数を算定する。なお、それらの他、「同一皮切により行い得る範囲」の原則によることが著しく不合理である場合は、「通則3」に照らしてその都度当局に内議のうえ決定する。

ア 胃切除術(消化器系の手術)と腹部大動脈瘤に対する大動脈瘤切除術(脈管系の手術)の組み合わせ、胃切除術(消化器系の手術)と腎摘出術(尿路系の手術)の組み合わせ、胃切除術(消化器系の手術)と子宮附属器腫瘍摘出術(開腹によるもの)(婦人科系の手術)の組み合わせ、腎悪性腫瘍手術(尿路系の手術)と肺切除術(呼吸器系の手術)の組み合わせ、腹腔鏡下胃切除術(消化器系の手術)と腹腔鏡下腎摘出術(尿路系の手術)の組み合わせ、腹腔鏡下胃切除術(消化器系の手術)と子宮附属器腫瘍摘出術(腹腔鏡によるもの)(婦人科系の手術)の組み合わせ等、相互に関連のない2手術を同時に行う場合

イ 胃切除術と直腸切除術の組み合わせ、食道腫瘍摘出術(開腹手術によるもの)と結腸切除術の組み合わせ、腹腔鏡下胃切除術と腹腔鏡下直腸切除術の組み合わせ、食道腫瘍摘出術(腹腔鏡下によるもの)と腹腔鏡下結腸切除術の組み合わせ等、同じ消化器系の手術であっても、遠隔部位の2手術を行う場合

ウ 人工妊娠中絶術(腟式手術)と卵管結紮術(開腹術)の組み合わせ等、通常行う手術の到達方法又は皮切及び手術部位が異なる場合

(3) 同一手術野又は同一病巣であっても、「複数手術に係る費用の特例(平成18年厚生労働省告示第117号)」に規定するものについては、主たる手術の所定点数に、従たる手術(1つに限る。)の所定点数の100分の50に相当する額を加えた点数により算定する。なお、具体的な取扱いについては、別途通知する。

(4) 指に係る同一手術野の範囲

指に係る同一手術野の範囲と算定方法については次の通りである。

ア 第1指から第5指までを別の手術野とする次に掲げる手術のうち、2つ以上の手術を同一指について行った場合には、「通則14」における「別に厚生労働大臣が定める場合」に該当する場合及び(ハ)に掲げる手術を除き、当該手術の中で主たる手術の所定点数のみを算定する。なお、(イ)及び(ロ)に掲げる手術については、複数指について行った場合には、それぞれの指について算定し、(ハ)に掲げる手術については、同一指内の複数の骨又は関節について行った場合には、各々の骨又は関節について算定する。

(イ) 第1指から第5指(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含む。)のそれぞれを同一手術野とする手術は、次に掲げる手術である。

区分番号「K028」腱鞘切開術

区分番号「K034」腱切離・切除術(関節鏡下によるものを含む。)

区分番号「K035」腱剥離術

区分番号「K037」腱縫合術

区分番号「K038」腱延長術

区分番号「K039」腱移植術(人工腱形成術を含む。)の「1」指(手、足)

区分番号「K040」腱移行術の「1」指(手、足)

区分番号「K040―2」指伸筋腱脱臼観血的整復術

(ロ) 第1指から第5指(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含まない。)のそれぞれを同一手術野とする手術は、次に掲げる手術である。ただし、合指症手術にあっては各指間のそれぞれを同一手術野とする。

区分番号「K089」爪甲除去術

区分番号「K090」ひょう疽手術

区分番号「K091」陥入爪手術

区分番号「K099」指瘢痕拘縮手術

区分番号「K100」多指症手術

区分番号「K101」合指症手術

区分番号「K102」巨指症手術

区分番号「K103」屈指症手術、斜指症手術

第1節手術料の項で「指(手、足)」と規定されている手術(区分番号「K046」骨折観血的手術の「3」中の指(手、足)、区分番号「K039」腱移植術(人工腱形成術を含む。)の「1」指(手、足)、区分番号「K040」腱移行術の「1」指(手、足)及び「K082」人工関節置換術の「3」中の指(手、足)を除く。)

(ハ) 同一指内の骨及び関節(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含む。)のそれぞれを同一手術野とする手術は、次に掲げる手術である。

区分番号「K046」骨折観血的手術の「3」中の指(手、足)

区分番号「K082」人工関節置換術の「3」中の指(手、足)

イ デブリードマンその他(イ)、(ロ)及び(ハ)に該当しない手術については、第1指から第5指までを同一手術野として取り扱い、当該手術のうち2以上の手術を複数指に行った場合には、「通則14」における「別に厚生労働大臣が定めた場合」に該当する場合を除き、主たる手術の所定点数のみを算定する。

ウ (イ)及び(ロ)に掲げる手術と、(ハ)に掲げる手術を同時に行った場合にあっては、同一指に対して行われたものは主たる手術の点数を算定し、別々の指に対して行われたものはそれぞれ所定の点数を算定する。

エ 第1指から第5指までを別の手術野として取り扱う手術(同一指内の骨及び関節を別の手術野として取り扱う手術を含む。)と、第1指から第5指までを同一手術野として取り扱う手術を同時に行った場合にあっては、それぞれの手術が別々の指に対して行われたものであっても、「通則14」における「別に厚生労働大臣が定めた場合」に該当する場合を除き、主たる手術の所定点数のみを算定する。

ただし、第1指から第5指までを別の手術野として取り扱う手術(同一指内の骨及び間接を別の手術野として取り扱う手術を含む。)を複数指に対し行った場合に、それぞれの点数を合算した点数が、同一手術野として取り扱う手術の点数よりも高くなる場合にあっては、いずれかにより算定する。

(5) 眼球の手術(第1節手術料第4款眼に掲げるものをいう。)については、片眼を同一手術野として取り扱う。

(6) 多発性嚢腫等で近接しているものについては、数か所の切開を行った場合でも1切開として算定する。また、麦粒腫、霰粒腫等については、同一瞼内にあるものについては1回として算定する。

(7) 骨折整復と脱臼整復を併施した場合については、骨折部位と関節との距離やそれぞれの整復が非観血的に行われたか観血的に行われたか、また、一方の整復手技が他方の整復手技と個別に行われる場合と、併せて1手術とみなすのが適当な場合等によって異なるが、一般には近接部位の場合は通例同一手術野の手術として「通則14」により主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、(4)の(ハ)に掲げる場合は別に算定できる。

(8) 悪性腫瘍に対する手術において、区分番号「K469」頸部郭清術(ネックディセクション)及び区分番号「K627」リンパ節群郭清術の「2」は所定点数に含まれ、特に規定する場合を除き、別に算定できない。

(9) 「通則14」の植皮術とは区分番号「K013」分層植皮術及び「K013―2」全層植皮術をいう。

(10) 「通則14」の神経移植術とは区分番号「K198」神経移植術をいう。

17 手術の中絶等の場合の算定方法

(1) 手術の開始後、患者の病状の急変等やむを得ない事情により手術を中途で中絶せざるを得なかった場合においては、当該中絶までに施行した実態に最も近似する手術項目の所定点数により算定する。

例えば、胃切除術を行うべく開腹したが、適応でないのでそのまま手術創を閉じた場合は、区分番号「K636」試験開腹術の所定点数により、また、汎副鼻腔根本手術を開始したが、上顎洞、篩骨洞を終えたのみで中絶した場合は、区分番号「K358」上顎洞篩骨洞根治手術の所定点数により、算定する。なお、術前において中絶した場合は、算定の対象にならない。

(2) 妊娠9か月において子宮出血があり、前置胎盤の疑いで入院し、止血剤注射を行い帝王切開の準備として諸器械の消毒を終ったところ出血が止まり、そのまま分娩した場合の消毒に要した諸経費は、保険給付の対象とならない。

(3) 手術の準備をしていたところ、患者が来院しなかったとき又は患者が手術の術前において手術不能となった場合は保険給付の対象とならない。

18 臓器等移植における組織適合性試験及び臓器等提供者に係る感染症検査の取扱い

(1) 組織適合性試験

ア 組織適合性試験とは、HLA型クラスⅠ(A、B、C)、クラスⅡ(DR、DQ、DP)、リンパ球直接交差試験(ダイレクト・クロスマッチテスト)及びDNAタイピングをいう。

イ 次に掲げる臓器等移植の提供者に係る組織適合性試験の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

区分番号「K514―3」移植用肺採取術(死体)(両側)

区分番号「K514―5」移植用部分肺採取術(生体)

区分番号「K605」移植用心採取術

区分番号「K605―3」移植用心肺採取術

区分番号「K697―4」移植用部分肝採取術(生体)

区分番号「K697―6」移植用肝採取術(死体)

区分番号「K709―2」移植用膵採取術(死体)

区分番号「K709―4」移植用膵腎採取術(死体)

区分番号「K779」移植用腎採取術(生体)

区分番号「K779―2」移植用腎採取術(死体)

区分番号「K779―3」腹腔鏡下移植用腎採取術(生体)

区分番号「K921」造血幹細胞採取の「1」骨髄採取の「イ」同種移植の場合

区分番号「K921」造血幹細胞採取の「2」末梢血幹細胞採取の「イ」同種移植の場合

ウ 次に掲げる臓器等移植の移植者に係る組織適合性試験の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

区分番号「K514―4」同種死体肺移植術

区分番号「K514―6」生体部分肺移植術

区分番号「K605―2」同種心移植術

区分番号「K605―4」同種心肺移植術

区分番号「K697―5」生体部分肝移植術

区分番号「K697―7」同種死体肝移植術

区分番号「K709―3」同種死体膵移植術

区分番号「K709―5」同種死体膵腎移植術

区分番号「K780」同種死体腎移植術

区分番号「K780―2」生体腎移植術

区分番号「K922」造血幹細胞移植の「1」骨髄移植の「イ」同種移植の場合

区分番号「K922」造血幹細胞移植の「2」末梢血幹細胞移植の「イ」同種移植の場合

エ 次に掲げる臓器等移植の提供者及び移植者に係る組織適合性試験の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

区分番号「K922」造血幹細胞移植の「3」臍帯血移植

(2) 臓器等提供者に係る感染症検査

ア 臓器等提供者に係る感染症検査とは、HBs抗原、HBc抗体価、HCV抗体価、HIV―1抗体価、HIV―2抗体価、HTLV―Ⅰ抗体価、TPHA試験又はサイトメガロウイルス抗体価(同一検査で定性及び定量測定がある場合は、いずれか1つの検査に限る。)の全部又は一部をいう。

イ 次に掲げる臓器等移植に際し、必要に応じ臓器等提供者に係る感染症検査を行った場合には、スクリーニングにつき、1回に限り別に算定する。

区分番号「K014」皮膚移植術(生体・培養)

区分番号「K514―5」移植用部分肺採取術(生体)

区分番号「K697―4」移植用部分肝採取術(生体)

区分番号「K779」移植用腎採取術(生体)

区分番号「K779―3」腹腔鏡下移植用腎採取術(生体)

区分番号「K921」造血幹細胞採取の「1」骨髄採取の「イ」同種移植の場合

区分番号「K921」造血幹細胞採取の「2」末梢血幹細胞採取の「イ」同種移植の場合

区分番号「K922」造血幹細胞移植の「3」臍帯血移植

ウ 次に掲げる臓器等移植に際し行った臓器等提供者に係る感染症検査は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

区分番号「K259」角膜移植術

区分番号「K709―2」移植用膵採取術(死体)(死体膵(臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)に規定する脳死した者の身体から採取された膵を除く)を採取する場合に限る。)

区分番号「K709―4」移植用膵腎採取術(死体)(死体膵腎(臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)に規定する脳死した者の身体から採取された膵腎を除く)を移植する場合に限る。)

区分番号「K780」同種死体腎移植術(死体腎(臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)に規定する脳死した者の身体から採取された腎を除く)を移植する場合に限る。)

エ 臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)に規定する脳死した者の身体から採取して臓器等移植を行った場合の臓器等提供者に係る感染症検査は、次に掲げる所定点数に含まれ、別に算定できない。

区分番号「K914」脳死臓器提供管理料

19 第1節第2款筋骨格系・四肢・体幹に掲げる手術のうち、関節鏡下による手術については、内視鏡を用いた場合についても算定できる。

20 既に保険適用されている腹腔鏡下手術以外の手術で腹腔鏡を用いる場合については、その都度当局に内議し準用が通知されたもののみが保険給付の対象となる。それ以外の場合については、その手術を含む診療の全体が保険適用とならないので留意されたい。なお、胸腔鏡下手術も同様の取扱いとする。

第1節 手術料

第1款 皮膚・皮下組織

K000 創傷処理、K000―2 小児創傷処理

(1) 創傷処理とは、切・刺・割創又は挫創に対して切除、結紮又は縫合を行う場合の第1回治療のことであり、第2診以後の手術創に対する処置は区分番号「J000」創傷処置により算定する。

(2) 創傷が数か所あり、これを個々に縫合する場合は、近接した創傷についてはそれらの長さを合計して1つの創傷として取り扱い、他の手術の場合に比し著しい不均衡を生じないようにすること。

(3) 「注2」の「露出部」とは、顔面、頭頸部、上肢にあっては肘関節以下及び下肢にあっては膝関節以下(足底部を除く。)をいう。

(4) 「注3」のデブリードマンの加算は、汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行った場合に限り算定する。

K001 皮膚切開術

(1) 長径10センチメートルとは、切開を加えた長さではなく、膿瘍、画像6 (1KB)別ウィンドウが開きます
又は蜂窩織炎等の大きさをいう。

(2) 多発性画像7 (1KB)別ウィンドウが開きます
腫等で近接しているものについては、数か所の切開も1切開として算定する。

K002 デブリードマン

(1) 区分番号「K013」分層植皮術から区分番号「K021―2」粘膜弁手術までの手術を前提に行う場合にのみ算定する。

(2) 面積の算定方法については、区分番号「J000」創傷処置の取扱いの例による。

(3) 汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに算定する。また、繰り返し算定する場合は、植皮の範囲(全身に占める割合)を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(4) 「注3」の深部デブリードマン加算は、(3)でいう繰り返し算定される場合についても、要件をみたせば算定できる。

K003、K004 皮膚、皮下、粘膜下血管腫摘出術

(1) 「露出部」とは区分番号「K000」創傷処理の「注2」の「露出部」と同一の部位をいう。

(2) 露出部と露出部以外が混在する患者については、露出部に係る長さが全体の50%以上の場合は、区分番号「K003」の所定点数により算定し、50%未満の場合は、区分番号「K004」の所定点数により算定する。

K005、K006 皮膚、皮下腫瘍摘出術

(1) 「露出部」とは区分番号「K000」創傷処理の「注2」の「露出部」と同一の部位をいう。

(2) 近接密生しているいぼ及び皮膚腫瘍等については、1個として取り扱い、他の手術等の点数と著しい不均衡を生じないようにすること。

(3) 露出部と露出部以外が混在する患者については、露出部に係る長さが全体の50%以上の場合は、区分番号「K005」の所定点数により算定し、50%未満の場合は、区分番号「K006」の所定点数により算定する。

K006―2、K006―3 鶏眼・胼胝切除術

(1) 「露出部」とは区分番号「K000」創傷処理の「注2」の「露出部」と同一の部位をいう。

(2) 近接密生している鶏眼・胼胝等については、1個として取り扱い、他の手術等の点数と著しい不均衡を生じないようにすること。

(3) 露出部と露出部以外が混在する患者については、露出部に係る長さが全体の50%以上の場合は、区分番号「K006―2」の所定点数により算定し、50%未満の場合は、区分番号「K006―3」の所定点数により算定する。

K006―4 皮膚腫瘍冷凍凝固摘出術

ここでいう「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいい、概ね3月間にわたり行われるものをいう。

K007 皮膚悪性腫瘍切除術

(1) 皮膚悪性腫瘍切除術を行った場合において、リンパ節の郭清を伴う場合は「1」により算定し、病巣部のみを切除した場合は「2」により算定する。

(2) 「注」に規定する悪性黒色腫センチネルリンパ節加算については、以下の要件に留意し算定すること。

(ア) 触診及び画像診断の結果、遠隔転移が認められない悪性黒色腫であって、臨床的に所属リンパ節の腫大が確認されていない場合にのみ算定する。

(イ) センチネルリンパ節生検に伴う放射性同位元素の薬剤料は、区分番号「K940」薬剤により算定する。

(ウ) 摘出したセンチネルリンパ節の病理診断に係る費用は、第13部病理診断の所定点数により算定する。

K009 皮膚剥削術

皮膚剥削術(グラインダーで皮膚を剥削する手術)は、小腫瘍、丘疹性疾患及び外傷性異物の場合に算定する。なお、単なる美容を目的とした場合は保険給付の対象とならない。

K010 瘢痕拘縮形成手術

(1) 単なる拘縮に止まらず運動制限を伴うものに限り算定する。

(2) 指に対して行う場合には、区分番号「K099」指瘢痕拘縮手術により算定する。

K013 分層植皮術

(1) デルマトームを使用した場合の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 広範囲の皮膚欠損に対して、分層植皮術を頭頸部、左上肢、左下肢、右上肢、右下肢、腹部(胸部を含む。)又は背部の部位のうち同一部位以外の2以上の部位について行った場合は、それぞれの部位について所定点数を算定する。

K013―2 全層植皮術

(1) デルマトームを使用した場合の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 広範囲の皮膚欠損に対して、全層植皮術を頭頸部、左上肢、左下肢、右上肢、右下肢、腹部(胸部を含む。)又は背部の部位のうち同一部位以外の2以上の部位について行った場合は、それぞれの部位について所定点数を算定する。

K014 皮膚移植術(生体・培養)

(1) 皮膚提供者の皮膚採取料及び組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 生体皮膚を移植する場合においては、皮膚提供者から移植用皮膚を採取することに要する費用(皮膚提供者の皮膚採取料及び組織適合性試験の費用は除く。)については、各所定点数により算出し、皮膚移植術(生体・培養)の所定点数に加算する。

(3) 皮膚移植を行った保険医療機関と皮膚移植に用いる移植用皮膚を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求については、皮膚移植を行った保険医療機関で行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。なお、請求に当たっては、皮膚移植者の診療報酬明細書の摘要欄に皮膚提供者の氏名及び療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、皮膚提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付すること。

(4) 皮膚を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。

K014―2 皮膚移植術(死体)

(1) 皮膚提供者の皮膚採取料及び組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 死体から死体皮膚を採取・保存するために要する全ての費用は、所定点数に含まれ別に請求できない。

(3) 皮膚を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。

K022 組織拡張器による再建手術(一連につき)

(1) 治療に要した日数又は回数にかかわらず、一連のものとして所定点数を算定する。

(2) 対象となる疾患は、先天異常、母斑(血管腫を含む。)、外傷性瘢痕拘縮、術後瘢痕拘縮及び腫瘍切除後の拘縮である。なお、美容を目的とするものは保険給付外である。

(3) 1患者の同一疾患に対して1回のみの算定であり、1回行った後に再度行っても算定できない。

第2款 筋骨格系・四肢・体幹

腱形成術は、区分番号「K034」腱切離・切除術(関節鏡下によるものを含む。)から区分番号「K040」腱移行術までにより算定する。

K030 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術

皮膚又は皮下にある腫瘍に係る手術については、区分番号「K005」皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)又は区分番号「K006」皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)により算定する。

K037 腱縫合術

切創等の創傷によって生じた固有指の伸筋腱の断裂の単なる縫合は、区分番号「K000」創傷処理の「2」又は区分番号「K000―2」小児創傷処理の「3」に準じて算定する。

K043―2 骨関節結核瘻孔摘出術

骨関節結核に行う瘻孔摘出術の際に行った脂肪移植術は所定点数に含まれ別に算定できない。

K044 骨折非観血的整復術

(1) ギプスを使用した場合にはギプス料を別に算定できる。

(2) 著しい腫脹等によりギプスを掛けられない状態にあるために徒手整復のみを行った場合についても、骨折非観血的整復術により算定できる。その際に副木を使用した場合には、当該副木の費用は別に算定できる。

(3) 徒手整復した骨折部位に対して2回目以降の処置を行った場合は、区分番号「J000」創傷処置における手術後の患者に対するものにより算定する。

K046 骨折観血的手術

前腕骨又は下腿骨骨折の手術に際し、両骨(橈骨と尺骨又は脛骨と腓骨)を同時に行った場合であって、皮膚切開が個別の場合には、別の手術野として骨折観血的手術の「2」の所定点数をそれぞれの手術野について算定する。

K047 難治性骨折電磁波電気治療法(一連につき)

(1) 対象は四肢(手足を含む。)の遷延治癒骨折や偽関節であって、観血的手術又は区分番号「K047―3」超音波骨折治療法等他の療法を行っても治癒しない難治性骨折に対して行った場合に限り算定する。ただし、やむを得ない理由により観血的手術及び区分番号「K047―3」等他の療法を行わずに難治性骨折電磁波電気治療法を行った場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由を詳細に記載すること。

(2) 治療に要した日数又は回数にかかわらず一連のものとして所定点数を算定する。

(3) 当該治療法は1患者に対して一連として1回のみの算定であり、1回行った後に再度行った場合又は入院中に開始した当該療法を退院した後に継続して行っている場合であっても、別に算定できない。

K047―2 難治性骨折超音波治療法(一連につき)

区分番号「K047」難治性骨折電磁波電気治療法の取扱いと同様とする。

K047―3 超音波骨折治療法(一連につき)

(1) 超音波骨折治療法は、四肢(手足を含む。)の開放骨折又は粉砕骨折に対する観血的手術を実施した後に、骨折治癒期間を短縮する目的で、当該骨折から3週間以内に超音波骨折治療法を開始した場合に算定する。なお、やむを得ない理由により3週間を超えて当該超音波骨折治療法を開始した場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由を詳細に記載すること。

(2) 治療に要した日数又は回数にかかわらず一連のものとして所定点数を算定する。

(3) 当該治療法は1患者に対して一連として1回のみの算定であり、入院中に開始した当該療法を退院した後に継続して行っている場合であっても別に算定できない。

(4) 四肢の骨折に対する観血的手術の手術中に行われたものは算定できない。

(5) 本手術の所定点数には、使用される機器等の費用が含まれる。

(6) 本手術に併せて行った区分番号「J119」消炎鎮痛等処置、区分番号「J119―2」腰部又は胸部固定帯固定又は区分番号「J119―4」肛門処置については、別に算定できない。

(7) 体外衝撃波疼痛治療装置を、難治性の足底腱膜炎に対する除痛の目的で使用した場合は、超音波骨折治療法の所定点数を、治療に要した日数又は回数にかかわらず一連のものとして算定する。再発により2回目以降算定する場合には、少なくとも3か月以上あけて算定する。

その際、保存療法の開始日とその治療内容、本治療を選択した理由及び医学的根拠、並びに2回目以降算定する場合にはその理由を診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載すること。なお、本手術に併せて行った区分番号「J119」消炎鎮痛等処置については、別に算定できない。

K048 骨内異物(挿入物を含む。)除去術

(1) 三翼釘、髄内釘、ロッドを抜去する場合の骨内異物(挿入物を含む。)除去術は、手術を行った保険医療機関であると否とにかかわらず算定できる。

(2) 鋼線、銀線等で簡単に除去し得る場合には、区分番号「J000」創傷処置、区分番号「K000」創傷処理又は区分番号「K000―2」小児創傷処理の各区分により算定する。

K052―2 多発性軟骨性外骨腫摘出術

巨大(児頭大)なもので2回に分けて摘出する場合は、それぞれの摘出について所定点数を算定する。

K055―3 大腿骨近位部(転子間を含む。)骨切り術

大腿骨近位部(転子間を含む。)骨切り術とは、イムホイザー3次元骨切り術、ダン骨切り術、外反伸展骨切り術、外反屈曲骨切り術、転子間湾曲骨切り術、パウエル外内反骨切り術等をいう。

K057 変形治癒骨折矯正手術

次に掲げる変形治癒骨折矯正手術は、それぞれに規定する区分により算定する。

ア 眼窩変形治癒骨折に対する矯正術は、区分番号「K228」眼窩骨折整復術による。

イ 鼻骨変形治癒骨折に対する矯正術は、区分番号「K334―2」鼻骨変形治癒骨折矯正術による。

ウ 頬骨変形治癒骨折に対する矯正術は、区分番号「K427―2」頬骨変形治癒骨折矯正術による。

K058 骨長調整手術

使用するステイプルの数にかかわらず1回の算定とする。

K059 骨移植術(軟骨移植術を含む。)

(1) 骨移植術に併せて他の手術を行った場合は、本区分の所定点数に他の手術の所定点数を併せて算定する。

(2) 移植用に採取した健骨を複数か所に移植した場合であっても、1回のみ算定する。

(3) 移植用骨採取のみに終わり骨移植に至らない場合については、区分番号「K126」脊椎、骨盤骨(軟骨)組織採取術(試験切除によるもの)に準じて算定する。

(4) 自家軟骨の移植を行った場合は、「1」により算定する。

(5) 同種骨(凍結保存された死体骨を含む。)を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守した場合に限り算定する。

(6) 移植用骨採取及び骨提供者の組織適合性試験に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(7) 自家骨又は非生体同種骨(凍結保存された死体骨を含む。)移植に加え、人工骨移植を併せて行った場合は「3」により算定する。ただし、人工骨移植のみを行った場合は算定できない。

K062 先天性股関節脱臼非観血的整復術(両側)

先天性股関節脱臼非観血的整復術のギプス料は、区分番号「J127」先天性股関節脱臼ギプス包帯により算定する。

K080 関節形成手術

同側足関節に対して、二関節固定術と後方制動術を併施した場合は、関節形成手術の「2」により算定する。

K080―2 内反足手術

内反足手術は、アキレス腱延長術・後方足関節切開術・足底腱膜切断術を行い、後足部をキルシュナー鋼線で正する方法により行った場合に算定する。

K082―3 人工関節再置換術

人工関節再置換術は、区分番号「K082」人工関節置換術から6か月以上経過して行った場合にのみ算定できる。

K083 鋼線等による直達牽引

(1) 鋼線等を用いて観血的に牽引を行った場合に算定する。なお、鋼線等による直達牽引には、鋼線牽引法、双鋼線伸延法及び直達頭蓋牽引法を含む。

(2) 当該鋼線等による直達牽引のうち初日に行ったものについて所定点数を算定する。なお、鋼線等の除去の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 1局所とは、上肢の左右、下肢の左右及び頭より尾頭までの躯幹のそれぞれをいい、全身を5局所に分けるものである。

(4) 区分番号「J118」介達牽引、区分番号「J118―2」矯正固定、区分番号「J118―3」変形機械矯正術、区分番号「J119」消炎鎮痛等処置、区分番号「J119―2」腰部又は胸部固定帯固定、区分番号「J119―3」低出力レーザー照射又は区分番号「J119―4」肛門処置を併せて行った場合であっても、本区分の所定点数のみにより算定する。

K083―2 内反足足板挺子固定

(1) 内反足に対しキルシュナー鋼線等で足板挺子を固定した場合に算定する。この場合において、ギプス固定を行った場合は、その所定点数を別に算定する。

(2) 区分番号「J118」介達牽引、区分番号「J118―2」矯正固定、区分番号「J118―3」変形機械矯正術、区分番号「J119」消炎鎮痛等処置、区分番号「J119―2」腰部又は胸部固定帯固定、区分番号「J119―3」低出力レーザー照射又は区分番号「J119―4」肛門処置を併せて行った場合であっても、本区分の所定点数のみにより算定する。

K088 切断四肢再接合術

切断四肢再接合術は、顕微鏡下で行う手術の評価を含む。

K089 爪甲除去術

爪甲白せん又は爪床間に「とげ」等が刺さった場合の爪甲除去で、麻酔を要しない程度のものは区分番号「J001―7」爪甲除去(麻酔を要しないもの)により算定する。

K099 指瘢痕拘縮手術

(1) 単なる拘縮に止まらず運動制限を伴う場合に算定する。

(2) 本手術には、Z形成術のみによるもの及び植皮術を要するものが含まれる。

K099―2 デュプイトレン拘縮手術

運動障害を伴う手掌・手指腱膜の線維性増殖による拘縮(デュプイトレン拘縮)に対して、指神経、指動静脈を離しながら拘縮を解除し、Z形成術等の皮膚形成術を行った場合に算定する。

K117―2 頸椎非観血的整復術

頸椎椎間板ヘルニア及び頸椎骨軟骨症の新鮮例に対する頸椎の非観血的整復術(全麻、牽引による)を行った場合に算定する(手術の前処置として変形機械矯正術(垂直牽引、グリソン係蹄使用)を行った場合を除く。)。

なお、頸腕症候群及び五十肩に対するものについては算定できない。

K132 椎弓形成手術

骨形成的片側椎弓切除術及び髄核摘出術を併せて2椎間に行った場合は、区分番号「K186」脊髄硬膜内神経切断術に準じて算定する。

K134 椎間板摘出術

椎間板摘出術の「4」経皮的髄核摘出術については、1椎間につき2回を限度とする。

K141―2 寛骨臼移動術

寛骨臼全体を移動させ関節軟骨で骨頭の被覆度を高め安定した股関節を再建するものであり、寛骨臼回転骨切り術、寛骨臼球状骨切り術、ホフ骨切り術、ガンツ骨切り術、スティールのトリプル骨切り術、サルター骨切り術等を行った場合に算定する。

K142―2 脊椎側彎症手術

(1) 「注」に規定する胸郭変形矯正用材料を用いた場合とは、「2」の「ロ」交換術を行う場合をさしており、「1」の場合には適用されない。

(2) 矯正術を前提として行われるアンカー補強手術(foundation作成)は区分番号「K142」脊椎固定術の「2」後方又は後側方固定にて算定する。また、その一連の治療として数ヶ月後に行われる矯正術は「2」の「ロ」交換術にて算定する。

(3) 「2」の「ロ」交換術とは、患者の成長に伴い、ロッド又はグレードルを含めた全体の交換が必要となった場合の術式を指す。一部のクリップ等を交換し、固定位置の調整等を行った場合は「ハ」伸展術にて算定する。

K144 体外式脊椎固定術

(1) 体外式脊椎固定術は、ハローペルビック牽引装置、ハローベスト等の器械・器具を使用して脊椎の整復固定を行った場合に算定する。この場合において、当該器械・器具の費用は所定点数に含まれる。

(2) ベスト式の器械・器具に用いられるベスト部分は、その患者のみの使用で消耗する程度のものに限り副木として算定できる。

第3款 神経系・頭蓋

第3款 神経系・頭蓋の手術において神経内視鏡を使用した場合の当該神経内視鏡に係る費用は、当該手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。

K145 穿頭脳室ドレナージ術

(1) 穿頭術の手技料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 当該手術は、初回実施に限り算定し、2回目以降の処置に係るドレナージについては、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

K147 穿頭術(トレパナチオン)

(1) 穿頭術又は開頭術を行い、脳室穿刺を行った場合の手技料は当該手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 穿頭術における穿頭とは穿頭器を用いて穿孔することのみをいう。

(3) 穿頭による慢性硬膜下血腫洗浄・除去術は、区分番号「K164―2」慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術により算定する。

K148 試験開頭術

(1) 試験開頭術における開頭とは、穿頭器以外の器具を用いて広範囲に開窓することをいう。

(2) 区分番号「K147」穿頭術及び本手術を同時又は短時間の間隔をおいて2か所以上行った場合の点数は、本区分の所定点数のみにより1回に限り算定する。

K151―2 広範囲頭蓋底腫瘍切除・再建術

広範囲頭蓋底腫瘍切除・再建術は、次のような手術を行った場合に算定する。

ア 眼窩内又は副鼻腔に及ぶ腫瘍に対する眼窩内又は副鼻腔を含む前頭蓋底切除による腫瘍摘出及び再建術

イ 海綿静脈洞に及ぶ腫瘍に対する海綿静脈洞の解放を伴う腫瘍切除及び再建術

ウ 錐体骨・斜台の腫瘍に対する経口的腫瘍摘出又は錐体骨削除・S状静脈洞露出による腫瘍摘出及び再建術

エ 頸静脈孔周辺部腫瘍に対するS状静脈洞露出を伴う頸静脈孔解放術による腫瘍摘出及び再建術

K154 機能的定位脳手術

(1) 脳性小児麻痺に対するレンズ核破壊術若しくはパーキンソニズム、振戦麻痺等の不随意運動又は筋固縮に対する脳淡蒼球内オイルプロカイン注入療法(脳深部定位手術)を行った場合は、本区分により算定する。

(2) 機能的定位脳手術に係る特殊固定装置による固定及び穿頭並びに穿刺、薬剤注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。ただし、手術前に行うエックス線撮影及びフィルムによる注入部位の位置計測については、第2章第4部画像診断のエックス線診断料により別に算定できる。

K155 脳切截術(開頭して行うもの)

本手術を両側同時に施行した場合は、片側ごとに所定点数を算定する。

K160―2 頭蓋内微小血管減圧術

後頭蓋窩の顔面神経又は三叉神経への微小血管圧迫に起因する顔面痙攣又は三叉神経痛に対して、後頭下開頭による神経減圧術を行った場合に算定する。

K164 頭蓋内血腫除去術(開頭して行うもの)

定位的脳内血腫除去術を行った場合は、区分番号「K164―4」定位的脳内血腫除去術により算定する。

K174 水頭症手術

脳室穿破術、脳室腹腔シャント手術、脳室心耳シャント手術又は腰部くも膜下腔腹腔シャント手術を行った場合に算定する。

K174―2 髄液シャント抜去術

水頭症に対してシャント手術を実施した後、経過良好のためカテーテルを抜去した場合に算定する。

K176 脳動脈瘤流入血管クリッピング(開頭して行うもの)

本手術は、開頭の部位数又は使用したクリップの個数にかかわらず、クリッピングを要する病変の箇所数に応じて算定する。

K177 脳動脈瘤頸部クリッピング

注2に規定するバイパス術併用加算は、本手術に際し、親血管より末梢側の血流を確保するため頭蓋外・頭蓋内血管吻合を併せて行った場合に算定する。

K178 脳血管内手術

脳動脈瘤、脳動静脈奇形等の脳血管異常に対して、血管内手術用カテーテルを用いて手術を行った場合に算定する。

K178―2 経皮的脳血管形成術

頭蓋内の椎骨動脈又は内頸動脈の狭窄に対して、経皮的脳血管形成術用カテーテルを用いて経皮的脳血管形成術を行った場合に算定する。

K181 脳刺激装置植込術(頭蓋内電極植込術を含む。)

薬物療法、他の外科療法及び神経ブロック療法の効果が認められない慢性難治性疼痛又は振戦等の神経症状の除去若しくは軽減、或いはてんかん治療を目的として行った場合に算定する。

K181―3 頭蓋内電極抜去術

本手術は、電極の抜去のみを目的として開頭術を行った場合に算定する。なお、それ以外の場合にあっては、併せて行った開頭術(脳刺激装置植込術及び頭蓋内電極植込術を含む。)の所定点数に含まれ、別に算定できない。

K182―2 神経交差縫合術

交通事故等により腕神経叢が根部で切断された病状で、患側の肋間神経を剥離し、易動性にし、切断部より末梢部において神経縫合した場合等、末梢神経損傷に対し、他の健常な神経を遊離可動化し、健常神経の末梢端と損傷神経の中枢端を縫合した場合に算定する。

K190 脊髄刺激装置植込術

薬物療法、他の外科療法及び神経ブロック療法の効果が認められない慢性難治性疼痛の除去又は軽減を目的として行った場合に算定する。

K193―2 レックリングハウゼン病偽神経腫切除術(露出部)、K193―3 レックリングハウゼン病偽神経腫切除術(露出部以外)

(1) 「露出部」とは区分番号「K000」創傷処理の「注2」の「露出部」と同一の部位をいう。

(2) 近接密生しているレックリングハウゼン病偽神経腫については、1個として取り扱い、他の手術等の点数と著しい不均衡を生じないようにする。

(3) 露出部と露出部以外が混在する患者については、露出部に係る長さが全体の50%以上の場合は、区分番号「K193―2」の所定点数により算定し、50%未満の場合は、区分番号「K193―3」の所定点数により算定する。

K196 交感神経節切除術

下腹部神経叢切除術又はコット手術にクレニッヒ手術を併せて行った場合は、交感神経節切除術の「3」により算定する。

K196―5 末梢神経遮断(挫滅又は切断)術(浅腓骨神経、深腓骨神経、後脛骨神経又は腓腹神経に限る。)

疼痛に対して行う末梢神経遮断(挫滅又は切断)術は、浅腓骨神経、深腓骨神経、後脛骨神経又は腓腹神経の場合に限り算定する。なお、浅腓骨神経、深腓骨神経、後脛骨神経及び腓腹神経を同時に遮断した場合には、それぞれ別に所定点数を算定する。

第4款 眼

K200―2 涙点プラグ挿入術

(1) 乾性角結膜炎(シルマーテスト第1法変法5mm以下、又はローズベンガル染色試験++以上)及びシェーグレン症候群に対して行った場合に算定する。

(2) 上下涙点に挿入した場合も含め1回のみの算定とする。

K208 麦粒腫切開術

数か所の切開も同一瞼内にあるものについては1回として算定する。

K212 兎眼矯正術

兎眼症に対して瞼板縫合術を行った場合は、本区分により算定する。

K214 霰粒腫摘出術

数か所の切開も同一瞼内にあるものについては1回として算定する。

K228 眼窩骨折整復術

陳旧性の変形治癒骨折に対して整復術を実施した場合に算定する。

K259 角膜移植術

(1) 角膜を採取・保存するために要する費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 角膜を移植する場合においては、平成12年1月7日保健医療局長通知「眼球提供者(ドナー)適応基準について」(健医発第25号)、平成12年1月7日保健医療局長通知「眼球のあっせん技術指針について」(健医発第26号)を遵守している場合に限り算定する。

K260 強膜移植術

(1) 強膜を採取・保存するために要する費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 強膜を移植する場合においては、平成12年1月7日保健医療局長通知「眼球提供者(ドナー)適応基準について」(健医発第25号)、平成12年1月7日保健医療局長通知「眼球のあっせん技術指針について」(健医発第26号)及び日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。

K276 網膜光凝固術

(1) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいう。例えば、糖尿病性網膜症に対する汎光凝固術の場合は、1週間程度の間隔で一連の治療過程にある数回の手術を行うときは、1回のみ所定点数を算定するものであり、その他数回の手術の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 「2」その他特殊なものとは、網膜剥離裂孔、円板状黄斑変性症、網膜中心静脈閉鎖症による黄斑浮腫、類嚢胞黄斑浮腫及び未熟児網膜症に対する網膜光凝固術並びに糖尿病性網膜症に対する汎光凝固術を行うことをいう。

K277―2 黄斑下手術

黄斑下手術は、中心窩下新生血管膜を有する疾患(加齢黄斑変性症等)又は黄斑下血腫に対して行った場合に算定する。

K282 水晶体再建術

(1) 1眼に白内障及び斜視があり両者に対する手術を同時に行った場合は、別に算定できる。ただし、斜視手術が保険給付の対象となる場合に限る。

(2) 眼内レンズの費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

第5款 耳鼻咽喉

K296 耳介形成手術

耳介形成手術は、耳輪埋没症、耳垂裂等に対して行った場合に算定する。

K318 鼓膜形成手術

(1) 鼓膜形成手術に伴う鼓膜又は皮膚の移植については、別に算定できない。

(2) 耳翼後面から植皮弁を採りWullsteinの鼓室形成手術の第1型とほぼ同様の操作(ただ鼓膜の上皮のみを除去することが異なる。)で、鼓膜形成手術を行った場合は、区分番号「K319」鼓室形成手術により算定する。

K319 鼓室形成手術

鼓室形成手術に伴う皮膚の移植については、算定できない。

K338 鼻甲介切除術、K339 粘膜下下鼻甲介骨切除術

(1) 慢性肥厚性鼻炎兼鼻茸に対して、区分番号「K338」鼻甲介切除術及び区分番号「K340」鼻茸摘出術を併施した場合は、それぞれの所定点数を別に算定する。

(2) 区分番号「K338」鼻甲介切除術又は区分番号「K339」粘膜下下鼻甲介骨切除術を副鼻腔手術と併施した場合においては、鼻甲介切除術又は粘膜下下鼻甲介骨切除術を副鼻腔手術の遂行上行う場合以外は同一手術野とはみなさず、それぞれの所定点数を別に算定する。

K340 鼻茸摘出術

高周波電磁波で行う場合にあっても本区分により算定する。

K347―2 変形外鼻手術

(1) 先天性の高度斜鼻・鞍鼻、口唇裂外鼻又は上顎洞・外鼻の悪性腫瘍術後等による機能障害を伴う外鼻の変形に対して、機能回復を目的として外鼻形成を行った場合に算定する。なお、外傷等による骨折治癒後の変形等に対するものは、区分番号「K334―2」鼻骨変形治癒骨折矯正術により算定する。

(2) 単なる美容を目的とするものは保険給付の対象とならない。

K352―3 副鼻腔炎術後後出血止血法

副鼻腔炎術後の後出血(手術日の翌日以後起った場合をいう。)が多量で、必要があって再び術創を開く場合に算定する。

K361 上顎洞篩骨洞蝶形洞根治手術

区分番号「K355」鼻内前頭洞根治手術、区分番号「K353」鼻内篩骨洞根治手術、区分番号「K354」篩骨洞根治手術及び区分番号「K352―2」鼻内上顎洞根治手術を併施した場合は、本区分により算定する。

K377 口蓋扁桃手術

(1) 扁桃除去を行った当日における止血については算定できない。

(2) 口蓋扁桃手術を行った日の翌日以降の後出血が多量で、やむを得ず再び術創を開く場合における止血術は、区分番号「K367」咽後膿瘍切開術に準じて算定する。

K386 気管切開術

気管切開術後カニューレを入れた数日間の処置(単なるカニューレの清拭でない)は、区分番号「J000」創傷処置における手術後の患者に対するものにより算定する。

K388―2 喉頭粘膜下軟骨片挿入術

反回神経麻痺に対し、声帯固定のため甲状軟骨を左右に分離し、喉頭側軟骨膜下に甲状軟骨より取り出した小軟骨片を挿入した場合に算定する。

K389 喉頭・声帯ポリープ切除術

喉頭ポリープが左右の声帯にあるときは、各側ごとに算定できる。

第6款 顔面・口腔・頸部

K407―2 軟口蓋形成手術

いびきに対して軟口蓋形成手術を行った場合に算定する。

K423 頬腫瘍摘出術

皮膚又は皮下にある腫瘍の摘出術は、区分番号「K005」皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)又は区分番号「K006」皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)により算定する。

K429―2 下顎関節突起骨折観血的手術

「2」両側は、両側の下顎関節突起骨折について観血的に手術を行った場合に算定する。

K434 顔面多発骨折観血的手術

顔面多発骨折観血的手術は、上下顎の同時骨折の場合等複数の骨に対して観血的に手術を行った場合に算定する。

K443 上顎骨形成術

(1) 「1」単純な場合とは上顎骨発育不全症又は外傷後の上顎骨後位癒着等に対し、Le FortⅠ型切離により移動を図る場合をいう。

(2) 「2」複雑な場合及び2次的再建の場合とは、「1」と同様の症例に対し、Le FortⅡ型、Le FortⅢ型切離により移動する場合及び悪性腫瘍手術等による上顎欠損症に対し2次的骨性再建を行う場合をいう。

K446 顎関節授動術

徒手的授動術とは、顎関節の運動障害を有する患者に対して、パンピング(顎関節腔に対する薬液の注入、洗浄)を行いながら、徒手的に顎関節の授動を図ったものをいう。なお、その際の関節腔に対する薬剤の注入に係る手技料は、所定点数に含まれ別に算定できない。

K450 唾石摘出術

(1) 「1」表在性のものとは、導管開口部付近に位置する唾石をいう。

(2) 「2」深在性のものとは、腺体付近の導管等に位置する唾石をいう。

K469 頸部郭清術

(1) 頸部郭清術(ネックディセクション)とは、頸部リンパ節群が存在する頸部領域の腫瘍細胞を根絶するため、当該領域の組織(筋、リンパ節、静脈、脂肪、結合織等)を広範囲に摘出することをいう。

(2) 頸部郭清術を他の手術に併せて行った場合は、手術の「通則9」に規定されている所定点数を算定するものとし、独立して行った場合には本区分の所定点数を算定する。

(3) 他の手術に併せて行った頸部リンパ節の単なる郭清は手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。なお、単独に行った場合は、区分番号「K627」リンパ節群郭清術の「2」により算定する。

第7款 胸部

K474―3 乳腺腫瘍画像ガイド下吸引術(一連につき)

(1) 乳腺腫瘍画像ガイド下吸引術は、マンモグラフィー、CT、MRI、超音波等を行った結果、乳房に非触知病変や石灰化病変などが認められる場合に、画像ガイド下(マンモグラフィー又は超音波装置に限る。)で乳房専用の吸引システムを用いて、当該乳腺組織を摘出した場合に算定する。

(2) 当該乳腺組織の確定診断や手術適用を決定することを目的として行った場合も本区分で算定する。

(3) 組織の採取に用いる保険医療材料の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

K476 乳腺悪性腫瘍手術

(1) 乳腺悪性腫瘍手術において、両側の腋窩リンパ節郭清術を併せて行った場合は、「7」により算定する。

(2) 「注1」に規定する乳がんセンチネルリンパ節加算1及び「注2」に規定する乳がんセンチネルリンパ節加算2については、以下の要件に留意し算定すること。

(ア) 触診及び画像診断の結果、腋窩リンパ節への転移が認められない乳がんに係る手術の場合のみ算定する。

(イ) センチネルリンパ節生検に伴う放射性同位元素の薬剤料は、区分番号「K940」薬剤により算定する。

(ウ) 放射性同位元素の検出に要する費用は、区分番号「E100」シンチグラム(画像を伴うもの)の「1」部分(静態)(一連につき)により算定する。

(エ) 摘出したセンチネルリンパ節の病理診断に係る費用は、第13部病理診断の所定点数により算定する。

K476―2 陥没乳頭形成術、再建乳房乳頭形成術

(1) 授乳障害のある陥没乳頭に対して乳頭形成を行った場合、又は乳腺悪性腫瘍手術後の再建乳房に対して二期的に乳頭形成を行った場合に算定する。

(2) 単なる美容を目的とするものは保険給付の対象とならない。

K476―3 乳房再建術(乳房切除後)

乳房再建術(乳房切除後)は、動脈(皮)弁術及び筋(皮)弁術を実施した場合に算定する。なお、区分番号「K017」遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)を実施した場合は、区分番号「K017」遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)の所定点数のみを算定し、本区分の所定点数は別に算定できない。

K480―2 流注膿瘍切開掻爬術

流注膿瘍の切開掻爬術に当たって、原発巣まで追及して拡大手術を行った場合に算定する。

K482 肋骨切除術

切除した肋骨の本数にかかわらず所定点数を1回に限り算定する。また、2本以上の肋骨の切除と胸骨の掻爬を併施した場合も本区分により算定する。

K486 胸壁瘻手術

非開胸で肋骨の切除を行うと否とにかかわらず本区分により算定する。

K487 漏斗胸手術

内臓の機能障害等による症状を有するものに対して行った場合に限り算定する。

K488 試験開胸術

開胸術のみを行った時点で手術を中止した場合は、本区分により算定する。

K499 胸郭形成手術(肺切除後遺残腔を含む。)

肺結核手術、肺切除後遺残腔等に対して行われた場合に算定する。

K509―3 気管支内視鏡的放射線治療用マーカー留置術

気管支内視鏡的放射線治療用マーカー留置術は、放射線治療目的でマーカーを留置した場合に限り算定し、マーカー代は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K510―2 光線力学療法

光線力学療法は、ポルフィマーナトリウムを投与した患者に対しエキシマ・ダイ・レーザー(波長630nm)及びYAG―OPOレーザーを使用した場合など、保険適用された薬剤、機器を用いて行った場合に限り算定できる。

K511 肺切除術、K517 肺縫縮術

(1) 刺創のため開腹、開胸により心筋損傷の縫合、心嚢の縫合、横隔膜の縫合、胃の腹腔内還納等の手術を併施した場合は、区分番号「K511」肺切除術の「2」により算定する。

(2) 肺切除と胸郭形成手術の併施は、区分番号「K511」肺切除術の「5」により算定する。

(3) 肺気腫に対する正中切開による肺縫縮術は、区分番号「K511」肺切除術に準じて算定する。

(4) 肺気腫に対する正中切開による肺縫縮術に当たって自動縫合器を使用した場合は、区分番号「K936」自動縫合器加算の加算点数に15個を限度として使用個数を乗じて得た点数を加算する。

K513 胸腔鏡下肺切除術

対象疾患は、気胸及び良性肺腫瘍である。

K514―2 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術

肺悪性腫瘍又は転移性肺腫瘍に対して、肺門リンパ節又は縦隔リンパ節等のリンパ節郭清を伴わない胸腔鏡下肺切除術を行った場合は「1」により算定し、肺門リンパ節又は縦隔リンパ節等のリンパ節郭清を伴う胸腔鏡下肺切除術については「2」により算定する。

K514―3 移植用肺採取術(死体)(両側)

(1) 移植用肺採取術(死体)の所定点数は、臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)に規定する脳死した者の身体から肺の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 移植用肺採取術の所定点数には、脳死した者の身体から移植のための肺採取を行う際の採取前の採取対象肺の灌流、肺採取、採取肺の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用がすべて含まれる。ただし、肺採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取肺を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(3) 部分肺を用いて複数の者に対する移植が行われた場合には、移植を行った保険医療機関それぞれにおいて算定する。

(4) 肺移植を行った保険医療機関と肺移植に用いる健肺を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肺移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K514―4 同種死体肺移植術

(1) 同種死体肺移植術の所定点数は、臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)に規定する脳死した者の身体から肺の移植が行われた場合に限り算定する。

(2) 同種死体肺移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(3) 肺移植を行った保険医療機関と肺移植に用いる健肺を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肺移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K514―5 移植用部分肺採取術(生体)

肺移植を行った保険医療機関と肺移植に用いる健肺を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肺移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。なお、請求に当たっては、肺移植者の診療報酬明細書の摘要欄に肺提供者の氏名及び療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、肺提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付すること。

K514―6 生体部分肺移植術

(1) 対象疾患は、肺動脈性肺高血圧症、肺静脈狭窄症、肺毛細血管腫症、特発性間質性肺炎、気管支拡張症、肺サルコイドーシス、肺リンパ脈管筋腫症、アイゼンメンジャー症候群、その他の間質性肺炎、閉塞性細気管支炎、じん肺、肺好酸球性肉芽腫症、びまん性汎細気管支炎、慢性血栓塞栓性肺高血圧症、多発性肺動静脈、α1アンチトリプシン欠損型肺気腫、その他の肺気腫、嚢胞性線維症、肺嚢胞症、慢性過敏性肺臓炎、その他肺・心肺移植関連学会協議会で承認する進行性肺疾患である。

(2) 生体肺を移植する場合においては、日本移植学会が作成した「生体部分肺移植ガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。

(3) 生体肺を移植する場合においては肺提供者から移植肺を摘出することに係るすべての療養上の費用を所定点数により算出し、生体部分肺移植術の所定点数に加算する。なお、肺提供者の生体肺を摘出することに係る療養上の費用には、食事の提供も含まれ、具体的には、「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第99号)によって算定した費用額を10円で除して得た数と他の療養上の費用に係る点数を合計した点数とする。この場合、肺提供者から食事に係る標準負担額を求めることはできない。

(4) 生体部分肺移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(5) 肺移植を行った保険医療機関と肺移植に用いる健肺を摘出した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肺移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。なお、請求に当たっては、肺移植者の診療報酬明細書の摘要欄に肺提供者の氏名及び療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、肺提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付すること。

K516 気管支瘻閉鎖術

巨大な陳旧性空洞(排菌があるものに限る。)の結核に対して、一次的胸郭形成手術(第1、第2及び第3肋骨)に、肺尖剥離、空洞切開術(空洞内容郭清)及び肺を含めた空洞縫縮術を同時に行った場合は、本区分により算定する。

K522 食道狭窄拡張術

マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K525―2 胸壁外皮膚管形成吻合術

薬物腐蝕による全食道狭窄に対して本手術を行った場合に算定する。

K526 食道腫瘍摘出術

「1」を行った場合について、マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K526―2 内視鏡的食道粘膜切除術

マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K526―3 内視鏡的表在性食道悪性腫瘍光線力学療法

内視鏡的表在性食道悪性腫瘍光線力学療法は、ポルフィマーナトリウムを投与した患者に対しエキシマ・ダイ・レーザー(波長630nm)及びYAG―OPOレーザーを使用した場合など、保険適用された薬剤、機器を用いて行った場合に限り算定できる。

K527 食道悪性腫瘍手術(単に切除のみのもの)

単に腫瘍のみを切除した場合については、区分番号「K526」食道腫瘍摘出術で算定する。

K533 食道・胃静脈瘤硬化療法(内視鏡によるもの)(一連として)

(1) 「一連」とは2週間を目安とする。治療上の必要があって初回実施後2週間を経過して実施した場合は改めて所定点数を算定する。

(2) 食道・胃静脈瘤硬化療法と区分番号「K533―2」内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術を併施した場合(一連の期間内において異なる日に実施する場合を含む。)は、主たるもののみで算定する。

(3) マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K533―2 内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術

(1) 一連の期間(概ね2週間)において、1回に限り算定する。治療上の必要があって初回実施後2週間を経過して実施した場合は改めて所定点数を算定する。

(2) マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

第8款 心・脈管

K544 心腫瘍摘出術、心腔内粘液腫摘出術、K553 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。)、K553―2 左室形成術、心室中隔穿孔閉鎖術、左室自由壁破裂修復術

区分番号「K544」心腫瘍摘出術、心腔内粘液腫摘出術、区分番号「K553」心室瘤切除術(梗塞切除を含む。)又は区分番号「K553―2」左室形成術、心室中隔穿孔閉鎖術、左室自由壁破裂修復術と、区分番号「K554」弁形成術(1弁のものに限る。)又は区分番号「K555」弁置換術(1弁のものに限る。)を併施した場合は、区分番号「K544」、区分番号「K553」又は区分番号「K553―2」の「2」により算定する。

K545 開胸心臓マッサージ

(1) 開胸心臓マッサージに併せて行った人工呼吸については、区分番号「J045」人工呼吸により別に算定する。

(2) 開胸心臓マッサージに併せて行ったカウンターショックについては、区分番号「J047」カウンターショックにより別に算定する。

K546 経皮的冠動脈形成術

(1) 一方向から造影して75%以上の狭窄病変が存在する症例に対して当該手術を行った場合に算定する。なお、医学的根拠に基づきこれ以外の症例に算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。

(2) 次の表に該当する場合は、経皮的冠動脈形成術用カテーテルに係る費用は、それぞれ次の表に示す本数を算定する。なお、医学的根拠に基づきこれを上回る本数を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。

 

病変箇所数

経皮的冠動脈形成術用カテーテル算定本数

完全閉塞病変の場合

1箇所

2本以下

 

2箇所

3本以下

完全閉塞病変以外の場合

1箇所

1本以下

 

2箇所

2本以下

(3) 同一医療機関において、同一患者の同一標的病変に対して区分番号「K546」経皮的冠動脈形成術、区分番号「K547」経皮的冠動脈粥腫切除術、区分番号「K548」経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルによるもの)又は区分番号「K549」経皮的冠動脈ステント留置術を行う場合の合計回数は、5年間に2回以下を標準とする。なお、医学的根拠に基づきこれを超える回数の手術を実施する場合にあっては、以下の事項を診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載すること。

ア 過去の実施時期

イ 実施した手術及びそれぞれの実施時において使用した経皮的冠動脈形成術用カテーテル、アテレクトミーカテーテル、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル及び冠動脈用ステントセットの使用本数

ウ 今回、経皮的冠動脈形成術を実施する理由及び医学的根拠

(4) 当該手術が、日本循環器学会、日本医学放射線学会、日本冠疾患学会、日本胸部外科学会、日本血管内治療学会、日本心血管インターベンション学会、日本心臓血管外科学会並びに日本心臓病学会の承認を得た「急性冠症候群の診療に関するガイドライン」及び「冠動脈疾患におけるインターベンション治療の適応ガイドライン(冠動脈バイパス術の適応を含む)」に沿って行われた場合に限り算定する。

K547 経皮的冠動脈粥腫切除術

(1) 一方向から造影して75%以上の狭窄病変が存在する症例に対して当該手術を行った場合に算定する。なお、医学的根拠に基づきこれ以外の症例に対して算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。

(2) 同一医療機関において、同一患者の同一標的病変に対して区分番号「K546」経皮的冠動脈形成術、区分番号「K547」経皮的冠動脈粥腫切除術、区分番号「K548」経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルによるもの)又は区分番号「K549」経皮的冠動脈ステント留置術を行う場合の合計回数は、5年間に2回以下を標準とする。なお、医学的根拠に基づきこれを超える回数の手術を実施する場合にあっては、以下の事項を診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載すること。

ア 過去の実施時期

イ 実施した手術及びそれぞれの実施時において使用した経皮的冠動脈形成術用カテーテル、アテレクトミーカテーテル、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル及び冠動脈用ステントセットの使用本数

ウ 今回、経皮的冠動脈粥腫切除術を実施する理由及び医学的根拠

(3) 当該手術が、日本循環器学会、日本医学放射線学会、日本冠疾患学会、日本胸部外科学会、日本血管内治療学会、日本心血管インターベンション学会、日本心臓血管外科学会並びに日本心臓病学会の承認を得た「急性冠症候群の診療に関するガイドライン」及び「冠動脈疾患におけるインターベンション治療の適応ガイドライン(冠動脈バイパス術の適応を含む)」に沿って行われた場合に限り算定する。

K548 経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルによるもの)

(1) 同一医療機関において、同一患者の同一標的病変に対して区分番号「K546」経皮的冠動脈形成術、区分番号「K547」経皮的冠動脈粥腫切除術、区分番号「K548」経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルによるもの)又は区分番号「K549」経皮的冠動脈ステント留置術を行う場合の合計回数は、5年間に2回以下を標準とする。なお、医学的根拠に基づきこれを超える回数の手術を実施する場合にあっては、以下の事項を診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載すること。

ア 過去の実施時期

イ 実施した手術及びそれぞれの実施時において使用した経皮的冠動脈形成術用カテーテル、アテレクトミーカテーテル、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル及び冠動脈用ステントセットの使用本数

ウ 今回、経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルによるもの)を実施する理由及び医学的根拠

(2) 当該手術が、日本循環器学会、日本医学放射線学会、日本冠疾患学会、日本胸部外科学会、日本血管内治療学会、日本心血管インターベンション学会、日本心臓血管外科学会並びに日本心臓病学会の承認を得た「急性冠症候群の診療に関するガイドライン」及び「冠動脈疾患におけるインターベンション治療の適応ガイドライン(冠動脈バイパス術の適応を含む)」に沿って行われた場合に限り算定する。

K549 経皮的冠動脈ステント留置術

(1) 一方向から造影して75%以上の狭窄病変が存在する症例に対して当該手術を行った場合に算定する。なお、医学的根拠に基づきこれ以外の症例に対して算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。

(2) 次の表に該当する場合は、経皮的冠動脈形成術用カテーテル及び冠動脈用ステントセットに係る費用は、それぞれ次の表に示す本数及びセット数を算定する。なお、医学的根拠に基づきこれ以上の本数を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。

 

病変箇所数

経皮的冠動脈形成術用カテーテル算定本数

冠動脈用ステントセット算定セット数

完全閉塞病変の場合

1箇所

2本以下

1セット以下

 

2箇所

3本以下

2セット以下

完全閉塞病変以外の場合

1箇所

1本以下

1セット以下

 

2箇所

2本以下

2セット以下

(3) 同一医療機関において、同一患者の同一標的病変に対して区分番号「K546」経皮的冠動脈形成術、区分番号「K547」経皮的冠動脈粥腫切除術、区分番号「K548」経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルによるもの)又は区分番号「K549」経皮的冠動脈ステント留置術を行う場合の合計回数は、5年間に2回以下を標準とする。なお、医学的根拠に基づきこれを超える回数の手術を実施する場合にあっては、以下の事項を診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載すること。

ア 過去の実施時期

イ 実施した手術及びそれぞれの実施時において使用した経皮的冠動脈形成術用カテーテル、アテレクトミーカテーテル、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル及び冠動脈用ステントセットの使用本数

ウ 今回、経皮的冠動脈ステント留置術を繰り返して実施する理由及び医学的根拠

(4) 当該手術が、日本循環器学会、日本医学放射線学会、日本冠疾患学会、日本胸部外科学会、日本血管内治療学会、日本心血管インターベンション学会、日本心臓血管外科学会並びに日本心臓病学会の承認を得た「急性冠症候群の診療に関するガイドライン」及び「冠動脈疾患におけるインターベンション治療の適応ガイドライン(冠動脈バイパス術の適応を含む)」に沿って行われた場合に限り算定する。

K552 冠動脈、大動脈バイパス移植術、K552―2 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)

(1) 区分番号「K552」冠動脈、大動脈バイパス移植術、区分番号「K552―2」冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)及び区分番号「K614」血管移植術、バイパス移植術におけるバイパス造成用自家血管の採取料については、当該所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 区分番号「K552」冠動脈、大動脈バイパス移植術、区分番号「K552―2」冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)及び区分番号「K614」血管移植術、バイパス移植術以外の手術における自家血管の採取料については、区分番号「K000」創傷処理の「2」又は区分番号「K000―2」小児創傷処理の「3」に準じて算定する。

(3) 吻合とは、グラフトと冠動脈の吻合部位のことであり、1本のグラフトを用いて冠動脈の2箇所について吻合を行った場合は2吻合とみなす。

(4) 区分番号「K552―2」冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)を区分番号「K602」経皮的心肺補助法と併施した場合は、区分番号「K552」冠動脈、大動脈バイパス移植術により算定する。

K555 弁置換術

(1) 区分番号「K554」弁形成術を併せて行った場合は、弁置換又は弁形成を行った弁の合計数に基づき、本区分の所定点数により算定する。

(2) 同種弁を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守した場合に限り算定する。

(3) 弁提供者の移植用弁採取及び組織適合性試験に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 移植用弁採取に係る費用については、弁置換を行った保険医療機関にて請求するものとし、診療報酬の分配は弁置換を行った保険医療機関と移植用弁採取を行った保険医療機関との合議に委ねる。

K560 大動脈瘤切除術

(1) 上行大動脈に大動脈瘤があり、大動脈瘤切除と併せて心臓弁置換(形成)又は冠動脈再建を行った場合は、「1」により算定する。

(2) 下行大動脈から腹部大動脈にかけて大動脈瘤があり、胸部及び腹部の操作を行った場合は、「6」により算定する。

K562 動脈管開存症手術

ボタロー管開存症に対して、血管カテーテルを用いて閉鎖術を行った場合は、「1」により算定する。

K595 経皮的カテーテル心筋焼灼術

(1) 注1に規定する三次元カラーマッピングとは、体表面電極から発生する微弱な電気信号を体外式ペースメーカー用カテーテル電極(磁気センサーを有するものを除く。)等により検出し、三次元心腔内形状を作成し、これらのカテーテル電極にて検出した心電図との合成により三次元画像を構築することをいう。

(2) 注1の三次元カラーマッピング加算を算定する場合は、特定保険医療材料114の体外式ペースメーカー用カテーテル電極のうち、心臓電気生理学的検査機能付加型の「心房内・心室内全域型」及び「アブレーション機能付き」については算定できない。

K597 ペースメーカー移植術、K597―2 ペースメーカー交換術

(1) ペースメーカー移植の実施日と体外ペースメーキングの実施日の間隔が1週間以内の場合にあっては、ペースメーカー移植術の所定点数のみを算定する。

(2) ペースメーカー本体の交換のみの場合は、区分番号「K597―2」ペースメーカー交換術により算定する。

K598 両心室ペースメーカー移植術

(1) 両心室ペースメーカー移植術は、左右の心室を電気的に刺激することにより、重症心不全患者の心臓リズムを補正すると同時に、左右の心室間伝導障害を軽減し、血行動態を改善することを目的に実施されるものであり、十分な薬物治療にもかかわらず改善のみられないQRS幅130ms以上及び左室駆出率35%以下の重症心不全に対して、症状の改善を目的に行われた場合に算定する。

(2) 両心室ペースメーカー移植術を行った患者については、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書に症状詳記を添付する。

K599 埋込型除細動器移植術、K599―2 埋込型除細動器交換術

(1) 埋込型除細動器移植術は、次のいずれかに該当する患者に対して実施した場合に算定する。

ア 血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動の自然発作が1回以上確認されている患者であって、埋込型除細動器移植術以外の治療法の有効性が心臓電気生理学的検査及びホルター型心電図検査によって予測できないもの

イ 血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動の自然発作が1回以上確認されている患者であって、有効薬が見つからないもの又は有効薬があっても認容性が悪いために服用が制限されるもの

ウ 既に十分な薬物療法や心筋焼灼術等の手術が行われているにもかかわらず、心臓電気生理学的検査によって血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動が繰り返し誘発される患者

(2) 埋込型除細動器移植術を行った患者については、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書に症状詳記を添付する。

(3) 埋込型除細動器本体の交換のみを行った場合は、区分番号「K599―2」埋込型除細動器交換術により算定する。

K599―3 両室ペーシング機能付き埋込型除細動器移植術、K599―4 両室ペーシング機能付き埋込型除細動器交換術

(1) 両室ペーシング機能付き埋込型除細動器移植術は、次のいずれかに該当する患者に対して実施した場合に算定する。

ア 血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動の自然発作が1回以上確認されている患者であって、両室ペーシング機能付き埋込型除細動器移植術以外の治療法の有効性が心臓電気生理学的検査及びホルター型心電図検査によって予測できないもの

イ 血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動の自然発作が1回以上確認されている患者であって、有効薬が見つからないもの又は有効薬があっても認容性が悪いために服用が制限されるもの

ウ 既に十分な薬物療法や心筋焼灼術等の手術が行われているにもかかわらず、心臓電気生理学的検査によって血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動が繰り返し誘発される患者

(2) 両室ペーシング機能付き埋込型除細動器移植術を行った患者については、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書に症状詳記を添付する。

(3) 両室ペーシング機能付き埋込型除細動器本体の交換のみを行った場合は、区分番号「K599―4」両室ペーシング機能付き埋込型除細動器交換術により算定する。

K600 大動脈バルーンパンピング法(IABP法)

(1) ガスの価格は別に算定できない。

(2) 大動脈バルーンパンピング法(IABP法)、区分番号「K601」人工心肺、区分番号「K602」経皮的心肺補助法又は区分番号「K603」補助人工心臓を併施した場合においては、1日ごとに主たるもののみにより算定する。また、これら4つの開心術補助手段等と冠動脈、大動脈バイパス移植術等の他手術を併施した場合は、当該手術の所定点数を別に算定できる。

K601 人工心肺

(1) 人工心肺実施のために血管を露出し、カニューレ、カテーテル等を挿入した場合の手技料は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪であって、人工呼吸器で対応できない場合に使用した場合は、本区分により算定する。

(3) 人工心肺をはずすことができず、翌日以降も引き続き補助循環を行った場合は、1日につき「2」により算定する。

(4) 「注1」の補助循環加算は、人工心肺を用いた心大血管手術後の低心拍出量症候群に対して人工心肺を用いて循環を補助した場合に限り算定できる。

(5) 「注1」の選択的冠灌流加算は大動脈基部を切開し、左右冠動脈口に個別にカニューレを挿入し、心筋保護を行った場合に算定する。

(6) 「注1」の逆行性冠灌流加算は、冠静脈洞にバルーンカテーテルを挿入し、心筋保護を行った場合に算定する。

K603 補助人工心臓

開心術症例の体外循環離脱困難、開心術症例の術後低心拍出症候群、その他の心原性循環不全に対して補助人工心臓を行った場合に算定する。ただし、重症感染症、重症多臓器不全を合併する症例に対して行った場合は算定できない。

K604 埋込型補助人工心臓

(1) 埋込型補助人工心臓は、重症心不全患者で薬物療法や体外式補助人工心臓等による他の循環補助法では、治療が困難であって、心臓移植を行わなければ救命が困難な症例に対して、心臓移植までの待機期間の循環改善(ブリッジユース)のみを目的として実施されるものである。

(2) 埋込型補助人工心臓の対象患者は、(社)日本臓器移植ネットワークに登録された心臓移植待機中の患者又は登録申請中である移植希望患者(全身状態の悪化等やむを得ない理由により当該手術を必要とする場合に限る。)に限るものとする。

K605 移植用心採取術

(1) 移植用心採取術の所定点数は、臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)に規定する脳死した者の身体から心臓の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 移植用心採取術の所定点数には、脳死した者の身体から移植のための心採取を行う際の採取前の採取対象心の灌流、心採取、採取心の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用がすべて含まれる。ただし、心採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取心を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(3) 心移植を行った保険医療機関と心移植に用いる健心を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、心移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K605―2 同種心移植術

(1) 同種心移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(2) 心移植を行った保険医療機関と心移植に用いる健心を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、心移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K605―3 移植用心肺採取術

(1) 移植用心肺採取術の所定点数は、臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)に規定する脳死した者の身体から同時に心と肺の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 移植用心肺採取術の所定点数には、脳死した者の身体から移植のための心肺採取を行う際の採取前の採取対象心肺の灌流、心肺採取、採取心肺の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用がすべて含まれる。ただし、心肺採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取心肺を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(3) 心肺移植を行った保険医療機関と心肺移植に用いる健心肺を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、心肺移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K605―4 同種心肺移植術

(1) 同種心肺移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(2) 心肺移植を行った保険医療機関と心肺移植に用いる健心肺を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、心肺移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K606 血管露出術

(1) 経皮的に留置針を挿入する場合は、血管露出術は算定できない。

(2) 手術に伴う血管露出術は、同一術野でない場合においても算定できない。

K608 動脈塞栓除去術

動脈血栓除去術は、本区分により算定する。

K609―2 経皮的頸動脈ステント留置術

経皮的頸動脈ステント留置術を行う場合は、総頸動脈又は内頸動脈にステントを留置した際の血栓の移動に対する予防的措置を同時に行うこと。

K610―2 脳新生血管造成術

脳新生血管造成術は、モヤモヤ病に対して、浅側頭動脈及び側頭筋を硬膜に縫合することにより新生血管の造成を図った場合に算定する。

K610―5 血管吻合術及び神経再接合術(上腕動脈、正中神経及び尺骨神経)

血管吻合術及び神経再接合術(上腕動脈、正中神経及び尺骨神経)は、上腕動脈、正中神経及び尺骨神経が切断された場合、上腕動脈及び正中神経が切断された場合、又は上腕動脈及び尺骨神経が切断された場合の血管吻合術及び神経再接合術を行った場合に算定する。

K611 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用埋込型カテーテル設置

(1) 悪性腫瘍の患者に対し、抗悪性腫瘍剤の局所持続注入又は疼痛の制御を目的として、チューブ又は皮下埋込型カテーテルアクセスを設置した場合に算定できる。

(2) 設置するチューブ、体内に埋め込むカテーテル及びカテーテルアクセス等の材料の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K614 血管移植術、バイパス移植術

(1) 大腿動脈閉塞症に対して自家血管を用いた動脈間バイパス造成術を行った場合は、「5」により算定する。

(2) 同種血管を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守した場合に限り算定する。

(3) 血管提供者の移植用血管採取及び組織適合性試験に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 血管移植を行った保険医療機関と移植用血管採取を行った保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、血管移植を行った保険医療機関で行うものとし、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K615 血管塞栓術

手術に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない。

K615―2 経皮的大動脈遮断術

経皮的大動脈遮断術は、重度外傷等による腹腔内大量出血に対して、経皮的にバルーンカテーテルを挿入し大動脈の血行を遮断した場合に算定する。

K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術

膝窩動脈又はそれより末梢の動脈に対するステントの留置では、当該点数は算定できない。

K617 下肢静脈瘤手術

(1) 大腿部から下腿部に及ぶ広範囲の静脈瘤に対してストリッピングを行った場合は、「1」により算定する。

(2) 「2」における「一連」とは、所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいい、概ね2週間にわたり行われるものをいう。

K618 中心静脈栄養用埋込型カテーテル設置

(1) 中心静脈栄養用の皮下埋込型カテーテルアクセスを設置した場合に算定できる。

(2) 体内に埋め込むカテーテル及びカテーテルアクセス等の材料の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K620 下大静脈フィルター留置

下大静脈フィルター留置は、肺血栓塞栓症の患者又は肺血栓塞栓症を発症する危険性が高い患者に対して行った場合に算定する。

K627 リンパ節群郭清術

独立手術として行った場合にのみ算定できる。悪性腫瘍に対する手術と同時に行うリンパ節郭清の費用は悪性腫瘍に対する手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。

第9款 腹部

K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法

一連の治療過程中、第1回目の実施日に、1回に限り算定する。なお、一連の治療期間は2週間を目安とし、治療上の必要があって初回実施後2週間を経過して実施した場合は改めて所定点数を算定する。

K635―3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術

連続携行式腹膜灌流を開始するに当たり、当該カテーテルを留置した場合に算定できる。また、当該療法開始後一定期間を経て、カテーテル閉塞等の理由により再度装着した場合においても算定できる。

K636―2 ダメージコントロール手術

(1) ダメージコントロール手術とは、重度腹部外傷患者に対する初回手術において、止血手術、腸管損傷の縫合閉鎖、タオルパッキング等を迅速に実施した後に、患者を一度集中治療室等に収容し呼吸循環管理等により全身状態の改善を図り、二期的又は多期的手術により根治を図る段階的外科治療のことである。

(2) 重度腹部外傷に対してダメージコントロール手術を行った場合は原則として当初の1回に限り所定点数を算定し、2回目以降に行った手術については各区分に掲げる所定点数を算定する。ただし、2回目以降も当該手術を施行した場合は、当該所定点数を算定できる。

K637―2 経皮的腹腔膿瘍ドレナージ術

当該点数は初回実施に限り算定し、2回目以降の処置に係るドレナージについては、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

K647 胃縫合術(大網充填術又は被覆術を含む。)

外傷等により破裂した胃を縫合した場合、又は胃、十二指腸潰瘍穿孔に対して大網充填術若しくは被覆術を行った場合に算定する。

K653 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術

(1) 短期間又は同一入院期間中において、回数にかかわらず、第1回目の実施日に1回に限り算定する。

(2) ポリープを数個切除又は焼灼した場合においても、切除又は焼灼したポリープの数にかかわらず所定点数のみにより算定する。

(3) 「2」は、経内視鏡的に高周波切除器を用いて病変の周囲を全周性に切開し、粘膜下層を剥離することにより病変部を含む3センチメートル以上の範囲を一括で切除した場合に算定する。

K653―3 内視鏡的食道及び胃内異物摘出術

内視鏡的食道及び胃内異物摘出術は、食道及び胃内の異物(電池、胃手術時の縫合糸、アニサキス等)を内視鏡(ファイバースコープ)下により摘出した場合に算定する。

K653―4 内視鏡的表在性胃悪性腫瘍光線力学療法

(1) 内視鏡的表在性胃悪性腫瘍光線力学療法は、ポルフィマーナトリウムを投与した患者に対しエキシマ・ダイ・レーザー(波長630nm)及びYAG―OPOレーザーを使用した場合など、保険適用された薬剤、機器を用いて行った場合に限り算定できる。

(2) マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K654 内視鏡的消化管止血術

(1) 内視鏡的消化管止血術は1日1回、週3回を限度として算定する。

(2) マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K655 胃切除術、K655―2 腹腔鏡下胃切除術、K655―4 噴門側胃切除術、K657 胃全摘術、K657―2 腹腔鏡下胃全摘術

(1) 悪性腫瘍に対する手術であっても、リンパ節郭清等を伴わない単純な切除・消化管吻合術又は単純な全摘・消化管吻合術を行った場合には単純切除術又は単純全摘術により算定する。

(2) 先天性胆管拡張症に対し、胃切除、総胆管切除、胆嚢摘出、胃腸吻合兼ブラウン吻合、胆管空腸吻合、十二指腸膵頭吻合及び空腸吻合術を同時に行った場合は、区分番号「K657」胃全摘術の「2」に準じて算定する。

K655―3 十二指腸窓(内方)憩室摘出術

十二指腸窓(内方)に生じた憩室(多数)を後腹膜を切開し、大腸肝屈曲部を剥離して摘出する場合に算定する。

K659 食道下部迷走神経切除術

十二指腸潰瘍に対して迷走神経切断術及び幽門形成術を併施した場合は、区分番号「K664」胃瘻造設術の併施の有無にかかわらず、「3」により算定する。

K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術を含む。)

経皮的内視鏡下胃瘻造設術で用いるカテーテル及びキットの費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

K670 胆嚢切開結石摘出術

胆嚢結石症に対して、胆嚢結石のみを摘出した場合に算定するものとする。

K672 胆嚢摘出術

胆嚢結石症及び腸間膜動脈性十二指腸閉塞症に対し、胆嚢摘出術及び十二指腸空腸吻合術(十二指腸水平脚と空腸起始部より20cmの部で側々吻合を行う。)を併施した場合は、区分番号「K655」胃切除術の「1」に準じて算定する。

K677―2 肝門部胆管悪性腫瘍手術

「1」は門脈又は肝動脈血行再建を併施した場合に算定する。

K678 体外衝撃波胆石破砕術

(1) 当該技術の適応となる胆石は、次の要件を満たすもののうち、胆石破砕術の適応となるものである。

ア 胆嚢結石症の既往があるもの

イ 胆嚢に炎症がなく、胆嚢機能が良好な胆嚢結石症又は肝内・総胆管内結石症

(2) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいう。数日の間隔をおいて一連の治療過程にある数回の体外衝撃波胆石破砕を行う場合は、所定点数を1回に限り算定するものであり、その後に行われた同一目的の手術の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 体外衝撃波胆石破砕によっては所期の目的が達成できず、他の手術手技を行った場合の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

K682―2 経皮的胆管ドレナージ術

(1) 当該手術は初回実施に限り算定し、2回目以降の処置に係るドレナージについては、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

(2) 急性胆嚢炎に対して、経皮的胆嚢穿刺のみを行い、ドレーンを留置しなかった場合は、区分番号「J010―2」経皮的肝膿瘍等穿刺術により算定する。

K684 先天性胆道閉鎖症手術

初回根治手術が適切に行われた患者であって、初回手術後数日中に再手術を行ったものについては、初回手術における肝門部処理と同等以上の肝門部処理が行われた場合は、2回目の手術についても当該手術の所定点数を算定できる。

K685 内視鏡的胆道結石除去術(胆道砕石術を伴うもの)

(1) 内視鏡的胆道結石除去術は、胆道鏡を用いT字管又は胆管外瘻孔を介し、若しくは内視鏡を用い経十二指腸的に、電気水圧衝撃波、超音波又は砕石用把持鉗子等により結石を破砕し、バスケットワイヤーカテーテルを用いて摘出する場合に算定する。

(2) バスケットワイヤーカテーテルのみを用いて、砕石を行わず結石の摘出を行った場合は、区分番号「K798」膀胱結石、異物摘出術の「1」に準じて算定する。

(3) 短期間又は同一入院期間中において、回数にかかわらず、第1回目の実施日に1回に限り算定する。

(4) 短期間又は同一入院期間中において、区分番号「K687」内視鏡的乳頭切開術と区分番号「K685」内視鏡的胆道結石除去術(胆道砕石術を伴うもの)を併せて行った場合は、主たるもののみにより算定する。

K687 内視鏡的乳頭切開術

(1) 短期間又は同一入院期間中において、回数にかかわらず、第1回目の実施日に1回に限り算定する。

(2) 乳頭切開を行った後、経乳頭的に電気水圧衝撃波、超音波又は砕石用把持鉗子等により結石を破砕し、バスケットワイヤーカテーテルを用いて摘出した場合は、「2」により算定する。ただし、バスケットワイヤーカテーテルのみを用いて、砕石を行わず結石の摘出のみを行った場合は、「1」により算定する。

(3) マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

(4) 短期間又は同一入院期間中において、区分番号「K685」内視鏡的胆道結石除去術(胆道砕石術を伴うもの)と区分番号「K687」内視鏡的乳頭切開術を併せて行った場合は、主たるもののみにより算定する。

(5) 内視鏡的乳頭拡張術を行った場合は、「1」により算定する。

K691―2 経皮的肝膿瘍ドレナージ術

当該点数は初回実施に限り算定し、2回目以降の処置に係るドレナージについては、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

K697―2 肝悪性腫瘍マイクロ波凝固法(一連として)

(1) 肝悪性腫瘍マイクロ波凝固法は、経皮的、開腹下又は腹腔鏡下のいずれの方法によるものについても算定できる。

(2) 区分番号「K697―3」肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法と併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

K697―3 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として)

(1) 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法は、経皮的、開腹下又は腹腔鏡下のいずれの方法によるものについても算定できる。

(2) 区分番号「K697―2」肝悪性腫瘍マイクロ波凝固法と併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

K697―5 生体部分肝移植術

(1) 対象疾患は、先天性胆道閉鎖症、進行性肝内胆汁うっ滞症(原発性胆汁性肝硬変と原発性硬化性胆管炎を含む。)、アラジール症候群、バッドキアリー症候群、先天性代謝性肝疾患(家族性アミロイドポリニューロパチーを含む。)、多発嚢胞肝、カロリ病、肝硬変(非代償期)及び劇症肝炎(ウイルス性、自己免疫性、薬剤性、成因不明を含む。)である。なお、肝硬変(非代償期)に肝癌(転移性のものを除く。以下同じ。)を合併している場合には、遠隔転移と血管侵襲を認めないもので、当該肝癌が、次の条件により、肝内に長径5cm以下1個、又は長径3cm以下3個以内である場合に限る。また、小児肝芽腫についても対象疾患に含むものとする。

ア 肝癌の長径及び個数については、病理結果ではなく、当該移植実施日から1月以内の術前画像を基に判定することを基本とする。

イ 術前画像において肝癌と判定される結節性病変は、単純CTで撮影した画像において低吸収域として描出され、造影CTで撮影した画像の動脈相において高吸収域として、門脈相において低吸収域として描出されるものをいい、これを典型的な肝癌と判定する。なお、非典型的な肝癌の場合は、最新の科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン作成に関する研究班「肝癌診療ガイドライン」に基づき、肝癌と診断された場合に限る。また、造影剤にアレルギーがあり造影CTが実施できない場合は、MRIで代用する。

ウ 当該移植前に肝癌に対する治療を行った症例に関しては、当該治療を終了した日から3月以上経過後の移植前1月以内の術前画像を基に判定するものとする。なお、完全壊死に陥っている結節は、肝癌の個数には含めない。

(2) 生体肝を移植する場合においては、日本移植学会が作成した「生体肝移植ガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。

(3) 生体肝を移植する場合においては肝提供者から移植肝を摘出することに係るすべての療養上の費用を所定点数により算出し、生体部分肝移植術の所定点数に加算する。なお、肝提供者の生体肝を摘出することに係る療養上の費用には、食事の提供も含まれ、具体的には、「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第99号)によって算定した費用額を10円で除して得た点数につき1点未満の端数を四捨五入して得た点数と他の療養上の費用に係る点数を合計した点数とする。この場合、肝提供者に食事療養標準負担額を求めることはできない。

(4) 肝採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取肝を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(5) 請求に当たっては、肝移植者の診療報酬明細書の摘要欄に肝提供者の氏名及び療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、肝提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付する。

(6) 生体部分肝移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(7) 肝移植を行った保険医療機関と肝移植に用いる健肝を摘出した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肝移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K697―6 移植用肝採取術(死体)

(1) 移植用肝採取術(死体)の所定点数は、臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)に規定する脳死した者の身体から肝の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 移植用肝採取術(死体)の所定点数には、脳死した者の身体から移植のための肝採取を行う際の採取前の採取対象肝の灌流、肝採取、採取肝の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用がすべて含まれる。ただし、肝採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取肝を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(3) 部分肝を用いて複数の者に対する移植が行われた場合には、移植を行った保険医療機関それぞれにおいて算定する。

(4) 肝移植を行った保険医療機関と肝移植に用いる健肝を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肝移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K697―7 同種死体肝移植術

(1) 同種死体肝移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(2) 肝移植を行った保険医療機関と肝移植に用いる健肝を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肝移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K709―2 移植用膵採取術(死体)

(1) 移植用膵採取術(死体)の所定点数は、死体から膵の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 死体膵には、臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)に規定する脳死した者の身体の膵を含む。

(3) 移植用膵採取術(死体)の所定点数には、移植のための膵採取を行う際の採取前の採取対象膵の灌流、膵採取、採取膵の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用がすべて含まれる。ただし、膵採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取膵を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(4) 膵移植を行った保険医療機関と膵移植に用いる健膵を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、膵移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K709―3 同種死体膵移植術

(1) 同種死体膵移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(2) 膵移植を行った保険医療機関と膵移植に用いる健膵を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、膵移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K709―4 移植用膵腎採取術(死体)

(1) 移植用膵腎採取術(死体)の所定点数は、死体から同時に膵と腎の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 死体膵腎には、臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)に規定する脳死した者の身体の膵腎を含む。

(3) 移植用膵腎採取術(死体)の所定点数には、移植のための膵腎採取を行う際の採取前の採取対象膵腎の灌流、膵腎採取、採取膵腎の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用がすべて含まれる。ただし、膵腎採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取膵腎を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(4) 膵腎移植を行った保険医療機関と膵腎移植に用いる健膵腎を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、膵腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K709―5 同種死体膵腎移植術

(1) 同種死体膵腎移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(2) 膵腎移植を行った保険医療機関と膵腎移植に用いる健膵腎を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、膵腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K714 腸管癒着症手術

腸閉塞症手術を行った場合は、その術式により腸管癒着症手術、区分番号「K715」腸重積症整復術、区分番号「K716」小腸切除術又は区分番号「K719」結腸切除術等により算定する。

K716―2 腹腔鏡下小腸切除術

腹腔鏡下小腸切除術の適応は、良性小腸疾患とする。

K721 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術

(1) 短期間又は同一入院期間中において、回数にかかわらず、第1回目の実施日に1回に限り算定する。

(2) 「1」は、ポリープの長径又は粘膜切除範囲が2cm未満の場合に算定する。

(3) 「2」は、ポリープの長径又は粘膜切除範囲が2cm以上の場合に算定する。

(4) 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術と同時に施行した内視鏡的止血術の手技料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K721―2 内視鏡的大腸ポリープ切除術

(1) 切除した大腸ポリープの数にかかわらず所定点数のみにより算定する。

(2) 短期間又は同一入院期間中において、回数にかかわらず、第1回目の実施日に1回に限り算定する。

(3) 「1」は、ポリープの長径が2cm未満の場合に算定する。

(4) 「2」は、ポリープの長径が2cm以上の場合に算定する。

(5) 内視鏡的大腸ポリープ切除術と同時に施行した内視鏡的止血術の手技料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K722 小腸結腸内視鏡的止血術

(1) 小腸結腸内視鏡的止血術は1日1回、週3回を限度として算定する。

(2) マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K726 人工肛門造設術

区分番号「K740」直腸切除・切断術の「4」又は区分番号「K740―2」腹腔鏡下直腸切除・切断術の「3」を行った場合の人工肛門造設に係る腸管の切除等の手技料は、それぞれの所定点数に含まれ、別に算定できない。

K735―2 小腸・結腸狭窄部拡張術

短期間又は同一入院期間中において、回数にかかわらず、第1回目の実施日に1回に限り算定する。

K736 人工肛門形成術

人工肛門造設後における、人工肛門狭窄又は腸管断端の過不足により、改めてそれを拡張又は整形した場合は、本区分により算定する。

K739 直腸腫瘍摘出術(ポリープ摘出を含む。)

マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K740 直腸切除・切断術

「4」において、人工肛門造設に係る腸管の切除等の手技料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K740―2 腹腔鏡下直腸切除・切断術

「3」において、人工肛門造設に係る腸管の切除等の手技料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K742 直腸脱手術

区分番号「K865」子宮脱手術及び区分番号「K887―2」卵管結紮術を併せて行った場合は、「4」により算定する。

K743 痔核手術(脱肛を含む。)

(1) 内痔核に対するミリガン・モーガン手術により1か所又は2か所以上の手術を行った場合は、「4」により算定する。

(2) ホワイトヘッド手術は、「4」により算定する。

(3) 自動吻合器を用いて痔核手術を行った場合は、本区分の「5」により算定する。ただし、自動吻合器等の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K743―2 肛門括約筋切開術

本手術は、結腸又は直腸の拡張を伴う慢性便秘症に対して、肛門括約筋切開術を行った場合に算定する。

K743―5 モルガニー氏洞及び肛門管切開術、K743―6 肛門部皮膚剥離切除術

肛門掻痒症に対し種々の原因治療を施しても治癒しない場合において、本手術を行った場合に算定する。

第10款 尿路系・副腎

K754―2 腹腔鏡下副腎摘出術

腹腔鏡下副腎摘出術の対象疾患は、良性副腎腫瘍とする。

K754―3 腹腔鏡下小切開副腎摘出術

腹腔鏡下小切開副腎摘出術の対象疾患は、良性副腎腫瘍とする。

K755 副腎腫瘍摘出術

巨大な副腎腫瘍が脾臓と強く癒着しているため本手術と区分番号「K711」脾摘出術を併施した場合は、区分番号「K673」胆管形成手術に準じて算定する。

K762 腎固定術

遊走腎兼移動性盲腸に対して、必要があって腸固定術、腎固定術を行った際に一皮切から行い得た場合は、同一手術野の手術として「通則14」により腎固定術のみにより算定する。

K764 経皮的尿路結石除去術

経皮的尿路結石除去術は、腎結石症又は尿管結石症に対して、経皮的に腎瘻を造設した後、腎瘻より腎盂鏡を挿入し、電気水圧衝撃波、弾性衝撃波又は超音波等を用いて結石を摘出した場合に算定する。

K768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術

(1) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいう。数日の間隔をおいて一連の治療過程にある数回の体外衝撃波腎・尿管結石破砕を行う場合は、1回のみ所定点数を算定する。なお、その他数回の手術の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 体外衝撃波腎・尿管結石破砕によっては所期の目的が達成できず、他の手術手技を行った場合の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

K769 腎部分切除術

残腎結核に対して、腎空洞切開術及び腎盂尿管移行部形成術を併施した場合は、区分番号「K789」尿管腸膀胱吻合術に準じて算定する。

K775 経皮的腎(腎盂)瘻造設術

手術に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない。

K779 移植用腎採取術(生体)

腎移植を行った保険医療機関と腎移植に用いる健腎を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。なお、請求に当たっては、腎移植者の診療報酬明細書の摘要欄に腎提供者の氏名及び療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、腎提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付すること。

K779―2 移植用腎採取術(死体)

(1) 移植用腎採取術(死体)の所定点数は、死体から腎の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 死体腎には、臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)に規定する脳死した者の身体の腎を含む。

(3) 移植用腎採取術(死体)の所定点数には、移植のための腎採取を行う際の採取前の採取対象腎の灌流、腎採取、採取腎の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用がすべて含まれる。ただし、腎採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取腎を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(4) 腎移植を行った保険医療機関と腎移植に用いる健腎を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K779―3 腹腔鏡下移植用腎採取術(生体)

腎移植を行った保険医療機関と腎移植に用いる健腎を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。なお、請求に当たっては、腎移植者の診療報酬明細書の摘要欄に腎提供者の氏名及び療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、腎提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付すること。

K780 同種死体腎移植術

(1) 同種死体腎移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(2) 移植の対象となる死体腎には、臓器の移植に関する法律に規定する脳死体の腎を含む。

(3) 腎移植を行った保険医療機関と腎移植に用いる健腎を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

(4) 「注1」の規定に基づく加算は、死体(脳死体を除く。)から移植のための腎採取を行う際の採取前の採取対象腎の灌流、腎採取、採取腎の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用がすべて含まれる。ただし、腎採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取腎を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

K780―2 生体腎移植術

(1) 対象疾患は、末期慢性腎不全である。

(2) 生体腎を移植する場合においては、日本移植学会が作成した「生体腎移植ガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。

(3) 生体腎を移植する場合においては腎提供者から移植腎を摘出することに係るすべての療養上の費用を所定点数により算出し、生体腎移植術の所定点数に加算する。なお、腎提供者の生体腎を摘出することに係る療養上の費用には、食事の提供も含まれ、具体的には、「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第99号)によって算定した費用額を10円で除して得た数と他の療養上の費用に係る点数を合計した点数とする。この場合、腎提供者から食事に係る標準負担額を求めることはできない。

(4) 生体腎移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(5) 腎移植を行った保険医療機関と腎移植に用いる健腎を摘出した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。なお、請求に当たっては、腎移植者の診療報酬明細書の摘要欄に腎提供者の氏名及び療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、腎提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付すること。

K781 経尿道的尿路結石除去術

経尿道的尿路結石除去術は、腎結石症、腎盂結石症又は尿管結石症に対して経尿道的に内視鏡を腎、腎盂又は尿管内に挿入し、電気水圧衝撃波、弾性衝撃波又は超音波等により結石を破砕し、バスケットワイヤーカテーテル等を用いて摘出する場合に算定する。ただし、透視下にバスケットワイヤーカテーテルのみを用いて、砕石を行わず結石の摘出のみを行った場合は、区分番号「K798」膀胱結石、異物摘出術の「1」に準じて算定する。

K783 経尿道的尿管狭窄拡張術、K783―2 経尿道的尿管ステント留置術、K783―3 経尿道的尿管ステント抜去術、K785 経尿道的腎盂尿管腫瘍摘出術、K794―2 経尿道的尿管瘤切除術、K798 膀胱結石、異物摘出術の「1」、K798―2 経尿道的尿管凝血除去術(バスケットワイヤーカテーテル使用)、K800―2 経尿道的電気凝固術、K803 膀胱悪性腫瘍手術の「6」、K817 尿道悪性腫瘍摘出術の「2」、K821 尿道狭窄内視鏡手術

内視鏡検査に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K783―2 経尿道的尿管ステント留置術、K783―3 経尿道的尿管ステント抜去術

区分番号「K783―2」経尿道的尿管ステント留置術と区分番号「K783―3」経尿道的尿管ステント抜去術を併せて行った場合は、主たるもののみ算定する。

K802―2 膀胱脱手術

「1」については、メッシュを使用した場合に算定する。

K821―3 尿道ステント前立腺部尿道拡張術

全身状態が不良のため、区分番号「K840」前立腺被膜下摘出術又は区分番号「K841」経尿道的前立腺手術を実施できない患者に対して、尿道ステントを用いて前立腺部の尿道拡張を行った場合に算定する。

K823 尿失禁手術

恥骨固定式膀胱頸部吊上術を行うものについては、恥骨固定式膀胱頸部吊上キットを用いて尿失禁手術を行った場合に算定する。手術に必要な保険医療材料の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K823―2 尿失禁又は膀胱尿管逆流現象コラーゲン注入手術

(1) 注入に用いるコラーゲン、皮内反応用のコラーゲン、注入針、膀胱鏡等の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 本手術の対象疾患は、1年以上改善の見られない腹圧性尿失禁又は膀胱尿管逆流症とする。

(3) 所期の目的を達するために複数回実施しても、一連として算定する。

第11款 性器

K828―2 陰茎持続勃起症手術

陰茎背静脈、尿道海綿体、大伏在静脈又は体外静脈系と陰茎海綿体のシャント術を行った場合には、「2」により算定する。

K841―2 経尿道的レーザー前立腺切除術

(1) 経尿道的レーザー前立腺切除術は、膀胱・尿道鏡下に行われた場合に算定し、超音波ガイド下に行われた場合は算定できない。

(2) 使用されるレーザープローブの費用等レーザー照射に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K841―3 経尿道的前立腺高温度治療

(1) 本手術は、前立腺肥大組織を45℃以上で加熱するものをいう。

(2) 本手術の所定点数には、使用される機器等の費用が含まれ、別に算定できない。

(3) 所期の目的を達するために複数回実施した場合であっても、一連として算定する。

K841―4 焦点式高エネルギー超音波療法(一連につき)

(1) 前立腺肥大症に対して行われた場合に限り算定する。

(2) 本手術の所定点数には、使用される機器等の費用が含まれ、別に算定できない。

(3) 前立腺肥大症の治療のために行われる当該手術については、一連の手術につき1回に限り算定するものとし、治療終了後、医師が治療の必要性を認めた場合には算定できる。

K854 腟式子宮旁結合織炎(膿瘍)切開術

子宮旁結合織炎(膿瘍)切開排膿の第2回以後の洗浄処置については、区分番号「J066」尿道拡張法により算定する。

K865 子宮脱手術

(1) 腟壁縫合術の費用は本区分の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 区分番号「K852」腟壁裂創縫合術(分娩時を除く。)及び区分番号「K877」子宮全摘術を併施した場合は、それぞれの所定点数を別に算定する。

ただし、区分番号「K852」腟壁裂創縫合術(分娩時を除く。)と区分番号「K872」子宮筋腫摘出(核出)術の「2」を併施した場合は、区分番号「K872」子宮筋腫摘出(核出)術の「2」の所定点数のみにより算定する。

K867―2 子宮膣部糜爛等子宮膣部乱切除術

子宮腟部糜爛(ナボット胞のあるもの)等の場合に、子宮腟部の乱切除術を行う場合に算定する。

K872―5 子宮頸部初期癌又は異形成光線力学療法

子宮頸部初期癌又は異形成光線力学療法は、ポルフィマーナトリウムを投与した患者に対しエキシマ・ダイ・レーザー(波長630nm)及びYAG―OPOレーザーを使用した場合など、保険適用された薬剤、機器を用いて行った場合に限り算定できる。

K877―2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術

腹腔鏡下腟式子宮全摘術の対象疾患は、良性子宮疾患とする。

K890―2 卵管鏡下卵管形成手術

手術に伴う腹腔鏡検査等の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

K892 骨盤位娩出術

産科娩出術において双子の場合は、帝王切開術を除き1児ごとに所定点数を算定する。

K898 帝王切開術

「1」緊急帝王切開は、母体及び胎児の状況により緊急に帝王切開となった場合に算定する。なお、「2」選択帝王切開を予定していた場合であっても、母体及び胎児の状態により緊急に帝王切開となった場合は「1」により算定する。また、前置胎盤を合併していた場合は、緊急に帝王切開となった場合でも「3」前置胎盤を合併する場合で算定する。

K906 子宮頸管縫縮術

子宮頸管縫縮術のうち、シロッカー法は、筋膜採取を含めて所定点数による。

K907 胎児外回転術

胎児外回転術の算定は分娩時のみに限るものではないが、その効果が十分期待しうる時期に実施された場合に限り算定する。

K909 流産手術

(1) 流産手術は原則として、術式を問わず、また、あらかじめ頸管拡張を行った場合であってもそれを別に算定することなく、本区分の所定点数のみにより算定する。

(2) 人工妊娠中絶のために必要があって、区分番号「K898」帝王切開術、区分番号「K877」子宮全摘術又は区分番号「K876」子宮腟上部切断術を実施した場合は、流産手術の所定点数によらずそれぞれの所定点数により算定する。

(3) 妊娠満22週以上のものの中絶は、流産手術として算定せず、実際に行った分娩誘導又は産科手術の術式の所定点数によって算定する。

K912 子宮外妊娠手術

外妊破裂を起こさなかった場合であっても算定できる。

K913 新生児仮死蘇生術

新生児仮死蘇生術は、「通則7」の極低出生体重児又は新生児加算を算定できる。

K913―2 性腺摘出術

停留精巣又は性分化異常症等による性腺等を摘出した場合に算定する。

第12款 削除

第13款 臓器提供管理料

K914 脳死臓器提供管理料

(1) 脳死臓器提供管理料の所定点数は、臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)に規定する脳死した者の身体から臓器の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 脳死臓器提供管理料の所定点数には、臓器の移植に関する法律に規定する脳死判定並びに判定後の脳死した者の身体への処置、検査、医学的管理、看護、薬剤及び材料の使用、採取対象臓器の評価及び脳死した者の身体から臓器を採取する際の術中全身管理に係る費用等が含まれる。

(3) 脳死臓器提供管理料は、区分番号「K514―4」同種死体肺移植術、区分番号「K605―2」同種心移植術、区分番号「K605―4」同種心肺移植術、区分番号「K697―7」同種死体肝移植術、区分番号「K709―3」同種死体膵移植術、区分番号「K709―5」同種死体膵腎移植術又は区分番号「K780」同種死体腎移植術が算定できる場合に限り、算定する。

(4) 診療報酬の請求は臓器の移植を行った保険医療機関で行い、脳死臓器提供管理を行った医療機関との診療報酬の分配は、相互の合議に委ねる。

(5) 脳死臓器提供管理料について、「通則8」、「通則10」、「通則11」及び「通則12」の加算は適用できない。

K915 生体臓器提供管理料

(1) 生体臓器提供管理料の所定点数には、採取対象臓器の評価や生体から臓器を採取する際の術中全身管理をはじめとする臓器提供者の安全管理等に係る費用が含まれる。

(2) 生体臓器提供管理料の所定点数は、移植を行った保険医療機関において算定する。

(3) 生体臓器提供管理料は、区分番号「K514―6」生体部分肺移植術、区分番号「K697―5」生体部分肝移植術又は区分番号「K780―2」生体腎移植が算定できる場合に限り算定する。

(4) 診療報酬の請求は臓器の移植を行った保険医療機関で行い、生体臓器提供管理を行った医療機関との診療報酬の分配は、相互の合議に委ねる。

(5) 生体臓器提供管理料について、「通則8」、「通則10」、「通則11」及び「通則12」の加算は適用できない。

第2節 輸血料

K920 輸血

(1) 自家採血輸血、保存血液輸血及び自己血輸血の算定に当たっては、200mLを単位とし、200mL又はその端数を増すごとに所定点数を算定する。ただし、6歳未満の患者に対して自己血輸血を行った場合は、体重1kgにつき4mLを単位とし、当該単位又はその端数を増すごとに所定点数を算定する。

(2) 自家採血輸血及び保存血液輸血における1回目とは、一連の輸血における最初の200mLの輸血をいい、2回目とはそれ以外の輸血をいう。

(3) 輸血と補液を同時に行った場合は、輸血の量と、補液の量は別々のものとして算定する。

(4) 自家採血輸血を算定する単位としての血液量は、採血を行った量ではなく、実際に輸血を行った1日当たりの量である。

(5) 自家製造した血液成分製剤を用いた注射の手技料は、原材料として用いた血液の量に従い、「1」により算定する。ただし、この場合の血液の量は3,000mLを限度とすること。この場合、患者に用いるリンゲル液、糖液等については、区分番号「G100」薬剤により算定するが、自家製造に要する費用及び製造の過程で用いる薬剤については算定できない。

(6) 同種造血幹細胞移植後の慢性骨髄性白血病の再発、骨髄異形成症候群の再発及びEBウイルス感染によるB細胞性リンパ球増殖性疾患に対し、造血幹細胞提供者のリンパ球を採取・輸注した場合は、「1」により算定する。

(7) 保存血液輸血の注入量は、1日における保存血及び血液成分製剤(自家製造したものを除く。)の実際に注入した総量又は原材料として用いた血液の総量のうちいずれか少ない量により算定する。例えば、200mLの血液から製造された30mLの血液成分製剤については30mLとして算定し、200mLの血液から製造された230mLの保存血及び血液成分製剤は、200mLとして算定する。

(8) 血小板濃厚液の注入は、「2」により算定する。なお、血漿成分製剤(新鮮液状血漿、新鮮凍結血漿等)は注射の部において取り扱われる。

(9) 自己血貯血は、当該保険医療機関において手術を予定している患者から採血を行い、当該血液を保存した場合に算定する。

(10) 自己血輸血は、当該保険医療機関において手術を行う際に予め貯血しておいた自己血(自己血貯血)を輸血した場合において、手術時及び手術後3日以内に輸血を行ったときに算定できる。

(11) 自己血輸血を算定する単位としての血液量は、採血を行った量ではなく、手術開始後に実際に輸血を行った1日当たりの量である。なお、使用しなかった自己血については、算定できない。

(12) 患者への説明

ア 「注1」に規定する説明とは、別紙様式26を参考として、文書により輸血の必要性、副作用、輸血方法及びその他の留意点等について、輸血を行う際に患者本人に対して行うことを原則とするが、医師の説明に対して理解ができないと認められる患者(例えば小児、意識障害者等)については、その家族等に対して説明を行うことが必要である。

イ アの説明は、当該患者に対する一連の輸血につき1回行うものとする。なお、この場合、「一連」とは、概ね1週間とする。ただし、再生不良性貧血、白血病等の患者の治療において、輸血の反復の必要性が明らかである場合はこの限りでない。

ウ 説明に用いた文書については、患者(医師の説明に対して理解が困難と認められる小児又は意識障害者等にあっては、その家族等)から署名又は押印を得た上で、当該患者に交付するとともに、その文書の写しを診療録に貼付することとする。

エ 緊急その他事前に説明を行うことが著しく困難な場合は、事後の説明でも差し支えないものとする。

(13) 輸血に当たっては、「「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」の改定について」(平成17年9月6日薬食発第0906002号)を遵守するよう努めるものとする。

(14) 「注3」の加算は、第1節に掲げる手術と同日に骨髄内輸血又は血管露出術が行われた場合には、算定できない。

(15) 「注6」の頻回に輸血を行う場合とは、週1回以上、当該月で3週以上にわたり行われるものである。

(16) 「注7」の加算を算定できるHLA型適合血小板輸血は、白血病又は再生不良性貧血の場合であって、抗HLA抗体のために血小板輸血に対して不応状態となり、かつ、強い出血傾向を呈しているものに限る。なお、この場合において、対象となる白血病及び再生不良性貧血の患者の血小板数は概ね、それぞれ2万/mm3以下及び1万/mm3以下を標準とする。

(17) 「注8」の血液交叉試験又は間接クームス検査の加算は、自家採血を使用する場合にあっては、供血者ごとに、保存血を使用する場合にあっては、血液バッグ(袋)1バッグごとにそれぞれ算定する。

(18) 「注10」に規定する「輸血に伴って行った供血者の諸検査」には、HCV抗体価(定性、定量)、HIV―1抗体価、HIV―1,2抗体価、HTLV―Ⅰ抗体価及び不規則抗体検査等が含まれ、これらの検査に係る費用は別に算定できない。

(19) 自己血を採血する際の採血バッグ並びに輸血する際の輸血用回路及び輸血用針の費用並びに自己血の保存に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。なお、自己血の採血に伴うエリスロポエチンに係る第2章第6部第1款注射実施料については、自己血貯血の所定点数とは別に算定する。

K920―2 輸血管理料

(1) 輸血管理料は輸血療法の安全かつ適正な実施を推進する観点から、医療機関における輸血管理体制の構築及び輸血の適正な実施について評価を行うものである。

(2) 輸血管理料は、赤血球濃厚液(浮遊液を含む。)、血小板濃厚液若しくは自己血の輸血、又は新鮮凍結血漿若しくはアルブミン製剤の輸注を行った場合に、月1回を限度として算定する。

K921 造血幹細胞採取(一連につき)

区分番号「K921」造血幹細胞採取の自家移植を行う場合は、区分番号「K922」造血幹細胞移植を行わなかった場合においても算定できる。また、区分番号「K921」造血幹細胞採取の同種移植を行う場合は、区分番号「K922」造血幹細胞移植の同種移植を算定した場合に限り算定できる。

なお、骨髄の採取に係る当該骨髄穿刺を行った場合は、区分番号「D404」骨髄穿刺及び区分番号「J011」骨髄穿刺の所定点数を別に算定できない。

K922 造血幹細胞移植

(1) 造血幹細胞移植の所定点数には、造血幹細胞移植に関連して実施した造血幹細胞移植者の造血幹細胞採取、組織適合性試験及び骨髄造血幹細胞測定の費用が含まれる。

(2) 同種移植とは、ヒト組織適合性抗原が概ね一致する提供者の造血幹細胞を移植する場合をいう。また、同種移植を行う場合においては、骨髄提供者から骨髄を採取することに係るすべての費用をこの表に掲げる所定点数により算定し、造血幹細胞移植の所定点数に加算する。

(3) 同種移植の所定点数は、適合する造血幹細胞提供者の情報検索連絡調整に係る費用やコーディネート中断後の再ドナー候補者に対する追加確認検査(HLA検査等)といった安全管理の追加費用等、造血幹細胞移植の実施に必要な費用の一部も含めて評価したものである。

(4) 臍帯血移植の所定点数は、臍帯血のHLA検査等の安全性確認試験の実施を含めた臍帯血の管理に係る費用等、臍帯血移植の実施に必要な費用の一部も含めて評価したものである。

(5) 同種移植の対象疾患は、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症等であり、また、自家骨髄移植、自家末梢血幹細胞移植の対象疾患は、化学療法や放射線療法に感受性のある白血病等の悪性腫瘍である。

(6) 請求に当たっては、造血幹細胞移植者の診療報酬明細書の摘要欄に造血幹細胞提供者の氏名及び療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、造血幹細胞提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付する。

(7) 造血幹細胞採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取した造血幹細胞を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(8) 移植に使用した臍帯血の保存施設から移植実施保険医療機関までの搬送に要した費用については療養費として支給し、その額は移送費の算定方法に準じて算定する。

(9) 造血幹細胞採取を行った医療機関と造血幹細胞移植を行った保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、造血幹細胞移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K923 術中術後自己血回収術

(1) 開心術及び大血管手術で出血量が600mL以上(ただし、12歳未満の患者においては10mL/kg)の場合並びにその他無菌的手術で出血量が600mL以上(ただし、12歳未満の患者においては10mL/kg)の場合(外傷及び悪性腫瘍の手術を除く。)に、術中術後自己血回収術を算定する。

(2) 術中術後自己血回収セットとは、術野から血液を回収して、濃縮及び洗浄を行い、又は濾過を行い、当該手術の際に患者の体内に戻す一連の器具をいう。

第3節 手術医療機器等加算

K930 脊髄誘発電位測定等加算

(1) 神経モニタリングについては、本区分により加算する。

(2) 「注」に規定する脳、脊椎、脊髄又は大動脈瘤の手術とは、区分番号「K116」から「K118」まで、「K128」から「K136」まで、「K138」、「K139」、「K142」から「K142―3」まで、「K151―2]、「K154」、「K154―2」、「K169」、「K181」、「K183」から「K190―2」まで、「K191」、「K192」及び「K560」に掲げる手術をいう。なお、これらの項目により所定点数を算定する手術については加算は行わない。

K931 超音波凝固切開装置等加算

(1) ベッセルシーリングシステムについては、本区分により加算する。

(2) 「注」に規定する「悪性腫瘍等に係る手術」とは、「K374」、「K376」、「K379―2」、「K394」、「K395」、「K463」、「K465」、「K484」、「K484―2」、「K502」、「K504」、「K511」、「K514」、「K514―3」から「K514―6」まで、「K522―3」、「K527」、「K529」、「K531」、「K643」、「K645」、「K655」の「2」、「K655―4」の「2」、「K657」の「2」、「K675」、「K677」、「K677―2」、「K695」、「K697―4」から「K697―7」まで、「K702」から「K704」まで、「K709―2」から「K709―5」まで、「K716」の「2」、「K719」の「3」、「K740」、「K748」、「K756」、「K773」、「K779」、「K779―2」、「K780」、「K780―2」、「K801」の「1」、「K803」、「K817」の「3」、「K843」、「K850」、「K857」、「K879」、「K889」に掲げる手術をいう。

K932 創外固定器加算

区分番号「K046」骨折観血的手術については、開放骨折、関節内骨折又は粉砕骨折に対して創外固定器を用いた場合、区分番号「K058」骨長調整手術については、軟骨無形成症及び軟骨低形成症等の骨異形成症、四肢形成不全又は四肢変形の患者に対して脚延長術を行う際に創外固定器を用いた場合、区分番号「K125」骨盤骨折観血的手術(腸骨翼骨折を除く。)については骨盤骨折(腸骨翼骨折を除く。)について創外固定器を用いた場合に算定する。

K933 イオントフォレーゼ加算

当該加算を算定した場合、麻酔料は別に算定できない。

K936 自動縫合器加算

(1) 区分番号「K655」、「K711―2」、「K716」、「K732」の「2」及び「K739」に掲げる手術に当たって自動縫合器を使用した場合は、3個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

(2) 区分番号「K511」、「K513」、「K522―3」、「K525」、「K529」、「K531」、「K655―2」、「K655―4」、「K657」、「K657―2」、「K702」、「K703」、「K719」、「K719―2」、「K719―3」、「K735」、「K735―3」、「K740」及び「K740―2」に掲げる手術に当たって自動縫合器を使用した場合は、4個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

(3) 区分番号「K803」及び「K817」の「3」に掲げる手術に当たって自動縫合器を使用した場合は、5個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

(4) 区分番号「K514」及び「K514―2」に掲げる手術に当たって自動縫合器を使用した場合は、6個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

K936―2 自動吻合器加算

区分番号「K655―4」、「K657」及び「K657―2」に掲げる手術に当たって自動吻合器を使用した場合は2個を限度として、それ以外の手術にあっては1個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

K936―3 微小血管自動縫合器加算

四肢(手、足、指(手、足)を含む。)以外の部位において、「K017」遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)又は「K020」自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)を行う際に、微小静脈の縫合のために微小血管自動縫合器を用いた場合に算定する。なお、この場合において、2個を限度として当該加算点数に微小血管自動縫合器用カートリッジの使用個数を乗じて得た点数を加算するものとする。

K938 体外衝撃波消耗性電極加算

消耗性電極とは、1回又は2回以上の使用により消耗し、交換が必要となる電極をいう。なお、この加算は一連の手術について1回のみ算定する。

K939 画像等手術支援加算

(1) 画像等手術支援加算は、当該技術の補助により手術が行われた場合に算定するものであり、当該技術が用いられた場合であっても、手術が行われなかった場合は算定できない。

(2) ナビゲーションによるものとは、手術前又は手術中に得た画像を3次元に構築し、手術の過程において、手術を補助する目的で用いることをいう。

(3) 実物大臓器立体モデルによるものとは、手術前に得た画像等により作成された実物大臓器立体モデルを、手術を補助する目的で用いることをいう。

第11部 麻酔

<通則>

1 血圧降下等当然予測される副作用等を防止するための注射、麻酔の前処置として行われる麻薬、鎮静剤等の注射及び投薬に要する費用については、第3節薬剤料の規定に基づき薬価基準の定めるところにより算定できる。

2 麻酔の術中に起こる偶発事故に対する処置(酸素吸入、人工呼吸)及び注射(強心剤等)等の費用は、別に算定することができる。ただし、区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔の場合は、区分番号「J024」酸素吸入及び区分番号「J045」人工呼吸は算定できない。

3 検査、画像診断、処置又は手術に当たって、麻酔が前処置と局所麻酔のみによって行われる場合には、麻酔の手技料は検査料、画像診断料、処置料又は手術料に含まれ、算定できない。ただし、薬剤を使用した場合は、各部の薬剤料の規定に基づき薬価基準の定めるところにより算定できる。

4 麻酔法の選択については、保険診療の原則に従い、経済面にも考慮を払いつつ、必要に応じ妥当適切な方法を選択することが必要である。なお、特に規定するものについては、当該規定に従い適切に行うこと。

5 第1節及び第2節に掲げる麻酔法(1つに限る。)を別の麻酔の補助麻酔、強化麻酔又は前処置として行った場合の麻酔料は、主たる麻酔法の所定点数のみを算定する。この場合、当該一連の麻酔に使用された全ての薬剤については薬剤料として算定できる。

なお、手術中において他の麻酔法を追加併用した場合も同様に算定する。

6 「通則」の麻酔料又は神経ブロック料の所定点数とは、麻酔料又は神経ブロック料の節に掲げられた点数及び各注に規定する加算(酸素又は窒素を使用した場合の加算を除く。)の合計をいい、「通則」の加算点数は含まない。

7 「通則2」の加算及び「通則3」の加算は、第1節麻酔料(麻酔管理料は除く。)又は第2節神経ブロック料について適用され、第3節薬剤料については適用されない。この場合、麻酔に要する費用は、麻酔料及び神経ブロック料の所定点数に各通則の加算を加えた点数並びに薬剤料の合計点数により算定する。

8 「通則2」の未熟児に対する加算は、出生時体重が2,500グラム未満の新生児に対し、出生後90日以内に麻酔が行われた場合に限り算定できる。

9 「通則3」の休日加算、時間外加算又は深夜加算(本項において「時間外加算等」という。)の取扱いは、次に掲げるものの他、初診料の時間外加算等と同様である。なお、区分番号「A000」の注6又は区分番号「A001」の注5に規定する夜間・早朝等加算を算定する初診又は再診において実施された麻酔については算定できない。

ア 麻酔料

時間外加算等が算定できる緊急手術に伴う麻酔に限り算定できる。

イ 神経ブロック料

緊急やむを得ない理由により時間外加算等が算定できる時間に行われた場合に算定できる。

10 麻酔料に掲げられていない麻酔であって特殊な麻酔の麻酔料は、その都度当局に内議し、最も近似する麻酔として準用が通知された算定方法により算出する。

第1節 麻酔料

L000 迷もう麻酔

(1) 迷もう麻酔とは、吸入麻酔であって、実施時間が10分未満のものをいう。なお、迷もう麻酔の実施時間は、麻酔薬の吸入を最初に行った時間を開始時間とし、検査、画像診断、処置又は手術が終了した時点を終了時間とする。

(2) ガス麻酔器を使用する10分未満の麻酔は、本区分により算定する。なお、ガス麻酔器を使用する麻酔の実施時間は、麻酔器を患者に接続した時間を開始時間とし、当該麻酔器から離脱した時間を終了時間とする。

L001―2 静脈麻酔

(1) 静脈麻酔とは、静脈注射用麻酔剤を用いた全身麻酔であり、意識消失を伴うものをいう。

(2) 「1」は、静脈麻酔の実施の下、検査、画像診断、処置又は手術が行われた場合であって、麻酔の実施時間が10分未満の場合に算定する。

(3) 「2」は、静脈注射用麻酔剤を用いた全身麻酔を10分以上行った場合であって、区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式麻酔以外の静脈麻酔が行われた場合に算定する。ただし、安全性の観点から、呼吸抑制等が起きた場合等には速やかにマスク又は気管内挿管による閉鎖循環式麻酔に移行できる十分な準備を行った上で、医療機器等を用いて十分な監視下で行わなければならない。

(4) 静脈麻酔の実施時間は、静脈注射用麻酔剤を最初に投与した時間を開始時間とし、当該検査、画像診断、処置又は手術が終了した時間を終了時間とする。

L002 硬膜外麻酔

(1) 実施時間は、硬膜外腔に当該麻酔を施行するために局所麻酔薬を注入した時点を開始時間とし、当該検査、画像診断、処置又は手術の終了した時点を終了時間として計算する。

(2) 第12胸椎と第1腰椎の間より硬膜外針を刺入した場合は「1」で算定する。また、第5腰椎と第1仙椎の間より硬膜外針を刺入した場合は「2」で算定する。

L003 硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入

精密持続注入とは、自動注入ポンプを用いて1時間に10mL以下の速度で局所麻酔剤を注入するものをいう。

L004 脊椎麻酔

実施時間は、くも膜下腔に局所麻酔剤を注入した時点を開始時間とし、当該検査、画像診断、処置又は手術の終了した時点を終了時間として計算する。

L005 上・下肢伝達麻酔

(1) 上肢伝達麻酔は、検査、画像診断、処置又は手術のために腕神経叢の麻酔を行った場合に算定する。

(2) 下肢伝達麻酔は、検査、画像診断、処置又は手術のために少なくとも坐骨神経及び大腿神経の麻酔を行った場合に算定する。

L006 球後麻酔及び顔面・頭頸部の伝達麻酔

球後麻酔と顔面伝達麻酔を同時に行った場合は、主たるもののみで算定し、重複して算定できない。

L007 開放点滴式全身麻酔

ガス麻酔器を使用する10分以上20分未満の麻酔は、本区分により算定する。なお、ガス麻酔器を使用する麻酔の実施時間は、麻酔器に接続した時間を開始時間とし、当該麻酔器から離脱した時間を終了時間とする。

L008 マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔

(1) ガス麻酔器を使用する閉鎖式・半閉鎖式等の全身麻酔を20分以上実施した場合は、本区分により算定する。

(2) 静脈注射用麻酔剤を用いて全身麻酔を実施した場合であって、マスク又は気管内挿管による酸素吸入又は酸素・亜酸化窒素混合ガス吸入と併用する場合は、20分以上実施した場合は、本区分により算定する。

(3) 本区分の全身麻酔の実施時間は、当該麻酔を行うために閉鎖循環式全身麻酔器を患者に接続した時点を開始時間とし、患者が当該麻酔器から離脱した時点を終了時間とする。なお、これ以外の観察等の時間は実施時間に含めない。

(4) 麻酔が困難な患者とは、以下に掲げるものをいい、麻酔前の状態により評価する。

ア 心不全(NYHAⅢ度以上のものに限る。)の患者

イ 狭心症(CCS分類Ⅲ度以上のものに限る。)の患者

ウ 心筋梗塞(発症後3月以内のものに限る。)の患者

エ 大動脈閉鎖不全、僧帽弁閉鎖不全又は三尖弁閉鎖不全(いずれもⅡ度以上のものに限る。)の患者

オ 大動脈弁狭窄(大動脈弁平均圧較差50mmHg以上のものに限る。)又は僧帽弁狭窄(僧帽弁平均圧較差10mmHg以上のものに限る。)の患者

カ 植込み型ペースメーカ又は植込み型除細動器を使用している患者

キ 先天性心疾患(心臓カテーテル検査により平均肺動脈圧25mmHg以上であるもの又は、心臓超音波検査によりそれに相当する肺高血圧が診断されているものに限る。)の患者

ク 肺動脈性肺高血圧症(心臓カテーテル検査により平均肺動脈圧25mmHg以上であるもの又は、心臓超音波検査によりそれに相当する肺高血圧が診断されているものに限る。)の患者

ケ 呼吸不全(動脈血酸素分圧60mmHg未満又は動脈血酸素分圧・吸入気酸素分画比300未満のものに限る。)の患者

コ 換気障害(1秒率70%未満かつ肺活量比70%未満のものに限る。)の患者

サ 気管支喘息(治療が行われているにもかかわらず、中発作以上の発作を繰り返すものに限る。)の患者

シ 糖尿病(HbA1c8.0%以上、空腹時血糖160mg/dL以上又は食後2時間血糖220mg/dL以上のものに限る。)の患者

ス 腎不全(血清クレアチニン値4.0mg/dL以上のものに限る。)の患者

セ 肝不全(Child―Pugh分類B以上のものに限る。)の患者

ソ 貧血(Hb6.0g/dL未満のものに限る。)の患者

タ 血液凝固能低下(PT―INR2.0以上のものに限る。)の患者

チ DICの患者

ツ 血小板減少(血小板5万/uL未満のものに限る。)の患者

テ 敗血症(SIRSを伴うものに限る。)の患者

ト ショック状態(収縮期血圧90mmHg未満のものに限る。)の患者

ナ 完全脊髄損傷(第5胸椎より高位のものに限る。)の患者

ニ 心肺補助を行っている患者

ヌ 人工呼吸を行っている患者

ネ 透析を行っている患者

ノ 大動脈内バルーンパンピングを行っている患者

ハ BMI35以上の患者

(5) 流量計を装置した酸素ボンベ及びエーテル蒸発装置を使用し、気管内チューブ挿入吹送法又はノンレブリージングバルブを使用して麻酔を維持した場合は本区分により算定できる。

(6) 本区分について「通則3」の加算を算定する場合の所定点数は、「注2」、「注4」及び「注5」による加算を含むものとする。

(7) 麻酔の種類等について

ア 「心臓手術」とは、開胸式心大血管手術をいう。

イ 「低血圧麻酔」とは、手術操作を安全にし、出血量を減少させる目的で、脳動脈瘤手術や出血しやすい手術の際に、低血圧の状態を維持する麻酔をいう。なお、この場合の「低血圧」とは概ね、患者の通常収縮期血圧の60%又は平均動脈圧で60~70mmHgを標準とする。

ウ 「高頻度換気法」とは、特殊な換気装置を使用し、一回換気量を少なくし、換気回数を著しく増加させた換気法をいう。なお、この場合の「換気回数」は概ね1分間に60回以上である。

エ 「低体温麻酔」は、重度脳障害患者への治療的低体温では算定できない。

(8) 麻酔の種類等における実施時間について

ア 「低体温麻酔」については、クーリングを開始した時点から復温する時点までをいう。

イ 「低血圧麻酔」については、人為的低血圧を開始した時点から低血圧を離脱する時点までをいう。

ウ 「高頻度換気法による麻酔」については、特殊な換気装置を作動させた時点から終了させた時点までをいう。

エ 「人工心肺を使用した麻酔」については、人工心肺装置に接続し装置を動かし始めた時点から装置を停止した時点までをいう。

(9) 複数の点数に分類される麻酔や手術が一の全身麻酔の中で行われる場合においては、行われた麻酔の中で最も高い点数のものを算定する。なお、ここでいう一の全身麻酔とは、当該麻酔を行うために閉鎖循環式全身麻酔器を接続した時点を開始とし、患者が麻酔器から離脱した時点を終了とする麻酔をいう。

(10) 麻酔の実施時間

ア 全身麻酔の実施時間は、(3)により計算する。

イ 当該麻酔の開始時間及び終了時間を麻酔記録に記載すること。

ウ 複数の点数の区分に当たる麻酔が行われた場合は、以下のように算定する。

(イ) 同じ点数区分にある麻酔の時間について合算する。

(ロ) 麻酔時間の基本となる2時間については、その点数の高い区分の麻酔時間から順に充当する。

(ハ) (ロ)の計算を行った残りの時間について、それぞれ「注2」の規定に従い30分又はその端数を増すごとに加算を行う。

(ニ) (ハ)の場合において、各々の区分に係る麻酔が30分を超えない場合については、それらの麻酔の実施時間を合計し、その中で実施時間の長い区分から順に加算を算定する。なお、いずれの麻酔の実施時間も等しい場合には、その中で最も高い点数の区分に係る加算を算定する。

例1 麻酔が困難な患者以外の患者に対し、次の麻酔を行った場合

① 最初に仰臥位で10分間

② 次に伏臥位で2時間30分間

③ 最後に仰臥位で20分間

の計3時間の麻酔を行った場合

基本となる2時間に②の2時間を充当 9,150点

②の残り30分の加算 900点

仰臥位で行われた①と③を合計して30分の加算 600点

算定点数 10,650点

例2 麻酔が困難な患者に対し、次の麻酔を行った場合

① 最初に仰臥位で10分間

② 次に側臥位で1時間20分間

③ 最後に仰臥位で47分間

の計2時間17分の麻酔を行った場合

基本となる2時間に②の1時間20分+①と③の57分のうち40分 9,130点

①と③の残り17分の加算 600点

算定点数 9,730点

例3 麻酔が困難な患者に対し、次の麻酔を行った場合

① 最初に仰臥位で5分間

② 次に側臥位で21分間

③ 次に分離肺換気で1時間27分間

④ 次に側臥位で30分間

⑤ 最後に仰臥位で5分間

の計2時間28分の麻酔を行った場合

基本となる2時間に③の1時間27分+②と④の51分のうち33分 16,600点

②と④の残り18分+①と⑤の10分の合計28分の加算 660点

算定点数 17,260点

例4 麻酔が困難な患者に対し、次の心臓手術の麻酔を行った場合

① 最初に仰臥位で10分間

② 次に心臓手術を人工心肺装置を使用せずに45分間

③ 次に心臓手術を人工心肺装置を使用して2時間25分間

④ 次に心臓手術を人工心肺装置を使用せずに1時間

⑤ 最後に仰臥位で10分間

の計4時間30分の麻酔を行った場合

基本となる2時間に③の2時間を充当 16,600点

②+④で1時間45分となり、このうち30分×3の加算 2,700点

③の残り25分間に④の残り15分間のうち5分間を加算 1,200点

①+⑤の20分間に④の残り10分間を加算 600点

算定点数 21,100点

(11) 酸素・窒素(注3)

ア 酸素又は窒素の価格は、「酸素及び窒素の価格」(平成2年厚生省告示第41号)の定めるところによる。

イ 酸素及び窒素を動力源とする閉鎖循環式麻酔装置を使用して全身麻酔を施行した場合、動力源として消費される酸素及び窒素の費用は、「注3」の加算として算定できない。

(12) 硬膜外麻酔加算(注4)

硬膜外麻酔を併せて行った場合は、その区分に応じて「注4」に掲げる点数を所定点数に加算し、さらにその実施時間に応じて「注5」に規定する加算を算定する。

(13) 所定点数に含まれる費用

ア 本区分の麻酔法の際に使用するソーダライム等の二酸化炭素吸着剤の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

イ 区分番号「D220」呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープの検査に要する費用は本区分の所定点数に含まれ、本区分の所定点数を算定した同一日においては、麻酔の前後にかかわらず、当該検査に要する費用は別に算定できない。

ウ 体温(深部体温を含む。)測定の検査に要する費用は本区分の所定点数に含まれ、別に算定できない。

エ 経皮的動脈血酸素飽和度測定又は終末呼気炭酸ガス濃度測定に要する費用は所定点数に含まれ、本区分の所定点数を算定した同一日においては、麻酔の前後にかかわらず、経皮的動脈血酸素飽和度測定及び終末呼気炭酸ガス濃度測定は別に算定できない。

(14) 「注7」に規定する術中経食道心エコー連続監視加算は、手術患者の心臓機能を評価する目的で経食道心エコー法を行った場合に算定できる。

(15) 「注7」でいう、麻酔が困難な患者のうち冠動脈疾患または弁膜症の患者とは、(4)のイ、ウ、エ、オに掲げるものをいい、麻酔前の状態により評価する。

L008―2 低体温療法

(1) 低体温療法は、心肺蘇生後の患者に対し、直腸温35℃以下で12時間以上維持した場合に、開始日から3日間に限り算定する。

(2) 重度脳障害患者への治療的低体温の場合は算定できない。

(3) 当該点数を算定するに当たり、かならずしも手術を伴う必要はない。

L009 麻酔管理料(Ⅰ)

(1) 当該点数は、麻酔科標榜医により、質の高い麻酔が提供されることを評価するものである。

(2) 麻酔管理料(Ⅰ)は厚生労働大臣が定める施設基準に適合している麻酔科を標榜する保険医療機関において、当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医(地方厚生(支)局長に届け出ている医師に限る。以下この項で同じ。)が麻酔前後の診察を行い、かつ専ら当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医が区分番号「L002」硬膜外麻酔、区分番号「L004」脊椎麻酔又は区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行った場合に算定する。なお、この場合において、緊急の場合を除き、麻酔前後の診察は、当該麻酔を実施した日以外に行われなければならない。

(3) 麻酔科標榜医が、麻酔科標榜医以外の医師と共同して麻酔を実施する場合においては、麻酔科標榜医が、当該麻酔を通じ、麻酔中の患者と同室内で麻酔管理に当たり、主要な麻酔手技を自ら実施した場合に算定する。

(4) 麻酔管理料(Ⅰ)を算定する場合には、麻酔前後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載する。なお、麻酔前後の診察について記載された麻酔記録又は麻酔中の麻酔記録の診療録への添付により診療録への記載に代えることができる。

(5) 麻酔管理料(Ⅰ)について、「通則2」及び「通則3」の加算は適用しない。

L010 麻酔管理料(Ⅱ)

(1) 当該点数は、複数の麻酔科標榜医により麻酔の安全管理体制が確保され、質の高い麻酔が提供されることを評価するものである。

(2) 麻酔管理料(Ⅱ)は厚生労働大臣が定める施設基準に適合している麻酔科を標榜する保険医療機関において、当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医の指導の下に、麻酔を担当する医師が麻酔前後の診察を行い、区分番号「L002」硬膜外麻酔、区分番号「L004」脊椎麻酔又は区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行った場合に算定する。なお、この場合において、緊急の場合を除き、麻酔前後の診察は、当該麻酔を実施した日以外に行われなければならない。

(3) 主要な麻酔手技を実施する際には、麻酔科標榜医の管理下で行わなければならない。この場合、当該麻酔科標榜医は、麻酔中の患者と同室内にいる必要があること。

(4) 麻酔管理料(Ⅱ)を算定する場合には、麻酔前後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載する。なお、麻酔前後の診察について記載された麻酔記録又は麻酔中の麻酔記録の診療録への添付により診療録への記載に代えることができる。

(5) 麻酔管理料(Ⅱ)について、「通則2」及び「通則3」の加算は適用しない。

(6) 同一の患者について、麻酔管理料(Ⅰ)と麻酔管理料(Ⅱ)を併算定することはできないが、同一保険医療機関において麻酔管理料(Ⅰ)と麻酔管理料(Ⅱ)の双方を異なる患者に算定することは可能であること。

第2節 神経ブロック料

L100 神経ブロック(局所麻酔剤又はボツリヌス毒素使用)、L101 神経ブロック(神経破壊剤又は高周波凝固法使用)

(1) 神経ブロックとは、疼痛管理に専門的知識を持った医師が行うべき手技であり、疾病の治療又は診断を目的とし、主として末梢の脳脊髄神経節、脳脊髄神経、交感神経節等に局所麻酔剤、ボツリヌス毒素若しくはエチルアルコール(50%以上)及びフェノール(2%以上)等の神経破壊剤の注入又は高周波凝固法により、神経内の刺激伝達を遮断することをいう。

(2) 神経ブロックは、疼痛管理を専門としている医師又はその経験のある医師が、原則として局所麻酔剤、ボツリヌス毒素若しくは神経破壊剤又は高周波凝固法を使用した場合に算定する。ただし、医学的な必要性がある場合には、局所麻酔剤又は神経破壊剤とそれ以外の薬剤を混合注射した場合においても神経ブロックとして算定できる。なお、この場合において、医学的必要性について診療報酬明細書に記載する。

(3) 同一神経のブロックにおいて、神経破壊剤又は高周波凝固法使用によるものは、癌性疼痛を除き、月1回に限り算定する。また、同一神経のブロックにおいて、局所麻酔剤又はボツリヌス毒素により神経ブロックの有効性が確認された後に、神経破壊剤又は高周波凝固法を用いる場合に限り、局所麻酔剤又はボツリヌス毒素によるものと神経破壊剤又は高周波凝固法によるものを同一月に算定できる。

(4) 同一名称の神経ブロックを複数か所に行った場合は、主たるもののみ算定する。また、2種類以上の神経ブロックを行った場合においても、主たるもののみ算定する。

(5) 椎間孔を通って脊柱管の外に出た脊髄神経根をブロックする「1」の神経根ブロックに先立って行われる選択的神経根造影等に要する費用は、「1」の神経根ブロックの所定点数に含まれ、別に算定できない。

(6) 神経ブロックに先立って行われるエックス線透視や造影等に要する費用は、神経ブロックの所定点数に含まれ、別に算定できない。

(7) 神経ブロックと同時に行われたトリガーポイント注射や神経幹内注射については、別に算定できない。

L103 カテラン硬膜外注射

刺入する部位にかかわらず、所定点数を算定する。

L104 トリガーポイント注射

(1) トリガーポイント注射は、圧痛点に局所麻酔剤あるいは局所麻酔剤を主剤とする薬剤を注射する手技であり、施行した回数及び部位にかかわらず、1日につき1回算定できる。

(2) トリガーポイント注射と神経幹内注射は同時に算定できない。

L105 硬膜外ブロックにおける麻酔剤の持続的注入

「注」の「精密持続注入」とは、自動注入ポンプを用いて1時間に10mL以下の速度で麻酔剤を注入するものをいう。

第12部 放射線治療

<通則>

放射線治療料の項に掲げられていない放射線治療のうち、簡単な放射線治療の放射線治療料は算定できないものであるが、特殊な放射線治療の放射線治療料は、その都度当局に内議し、最も近似する放射線治療として準用が通知された算定方法により算定する。

<放射線治療料>

M000 放射線治療管理料

(1) 放射線治療管理料は、区分番号「M001」体外照射又は区分番号「M004」密封小線源治療の「1」に掲げる外部照射、「2」に掲げる腔内照射若しくは「3」に掲げる組織内照射による治療を行うに際して、あらかじめ作成した線量分布図に基づいた照射計画(三次元線量分布図を用いるものを含む。以下同じ。)により放射線照射を行った場合に、分布図の作成1回につき1回、所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程において2回に限り算定する。

(2) 画像診断を実施し、その結果に基づき、線量分布図に基づいた照射計画を作成した場合には、画像診断の所定点数は算定できるが、照射計画の作成に係る費用は当該治療管理料に含まれ、別に算定できない。

(3) 「注2」に掲げる放射線治療専任加算は、区分番号「M001」体外照射の「3」に掲げる高エネルギー放射線治療又は区分番号「M001」体外照射の「4」に掲げる強度変調放射線治療(IMRT)の際に、放射線治療を専ら担当する医師により、照射計画の作成、照射中の患者の管理及び照射後の副作用管理を含めた放射線科的管理が行われた場合に限り算定する。

(4) 「注3」に掲げる外来放射線治療加算は、悪性腫瘍の入院中の患者以外の患者に対して、区分番号「M001」体外照射の「3」に掲げる高エネルギー放射線治療又は区分番号「M001」体外照射の「4」に掲げる強度変調放射線治療(IMRT)の際に、あらかじめ作成した線量分布図に基づいた照射計画により放射線照射を行った場合に、1日につき1回に限り算定する。

M000―2 放射性同位元素内用療法管理料

(1) 放射性同位元素内用療法管理料は、非密封放射線源による治療で、放射性同位元素を生体に投与し、その放射能による病巣内照射を行う放射線治療に当たり、当該治療を受けている患者の継続的な管理を評価するものである。

(2) 放射性同位元素内用療法管理料は入院・入院外を問わず、患者に対して放射性同位元素内用療法に関する内容について説明・指導した場合に限り算定できる。また、説明・指導した内容等を診療録に記載又は添付すること。

(3) 放射性同位元素の内用後4月間は、内用の有無にかかわらず算定できる。ただし、診療報酬明細書には、管理の開始の日付を記載すること。

(4) 「1 甲状腺癌に対するもの」は、甲状腺分化癌の患者(甲状腺分化癌であって、甲状腺組織の破壊、又は甲状腺癌の転移の治療(甲状腺全摘術、亜全摘術後及び手術により摘出できない症例等))に対して行った場合に算定する。

(5) 「3 固形癌骨転移による疼痛に対するもの」は、固形癌骨転移の患者(骨シンチグラフィで陽性像を呈する骨転移があって、骨転移部位の疼痛緩和目的(他の治療法(手術、化学療法、内分泌療法、鎮痛剤、外部放射線照射等)で疼痛コントロールが不十分である症例))に対して行った場合に算定する。

(6) 「4 B細胞性非ホジキンリンパ腫に対するもの」は、CD20陽性の再発又は難治性である、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫又はマントル細胞リンパ腫の患者に対して行った場合に算定する。

(7) 放射性同位元素内用療法管理に当たっては、退出基準等、放射線管理の基準に沿って行われるものであること。

M001 体外照射

(1) 体外照射の具体的な定義は次のとおりである。

ア エックス線表在治療とは、管電圧10万ボルト未満による照射療法をいう。

イ コバルト60遠隔大量照射とは、大量のコバルト60線源のガンマ線を使用した固定コバルト装置以外のコバルト装置による遠隔照射療法をいう。

ウ 高エネルギー放射線治療とは、100万電子ボルト以上のエックス線又は電子線の応用で、直線加速装置又はマイクロトロン治療装置使用による照射療法をいう。

エ 強度変調放射線治療(IMRT)とは、多分割絞り(マルチリーフコリメータ)などを用いて、空間的又は時間的な放射線強度の調整を同一部位に対する複数方向からの照射について行うことで、三次元での線量分布を最適なものとする照射療法をいう。ただし、診療報酬の算定については、関連学会のガイドラインに準拠し、3方向以上の照射角度から各門につき3種以上の線束強度変化をもつビームによる治療計画を逆方向治療計画法にて立案したものについて照射した場合に限る。

(2) 体外照射の治療料は、疾病の種類、部位の違い、部位数、同一患部に対する照射方法にかかわらず、1回につき所定点数を算定する。また、2方向以上の照射であっても当該所定点数のみにより算定する。

(3) 1日に複数部位の照射を行う場合においては、1回目とは異なる部位に係る2回目の照射に限り、ロの所定点数を算定する。1日に同一部位に対する複数回の照射を行う場合は、1回目の照射と2回目の照射の間隔が2時間を超える場合に限り、イの所定点数を1日に2回分算定できる。

(4) 「注3」の体外照射用固定器具加算は、頭頸部腫瘍(頭蓋内腫瘍を含む。)に対して体外照射を行う際に頭頸部を精密に固定する器具を使用した場合に限り、患者1人につき1回に限り算定できる。

(5) 「注4」の画像誘導放射線治療(IGRT)とは、毎回の照射時に治療計画時と照射時の照射中心位置の3次元的な空間的再現性が5ミリメートル以内であることを照射室内で画像的に確認・記録して照射する治療のことである。

(6) 「注4」の画像誘導放射線治療加算は、「イ」の所定点数を1日に2回分算定できる場合であっても、1日に1回の算定を限度とする。

M001―2 ガンマナイフによる定位放射線治療

(1) ガンマナイフによる定位放射線治療とは、半球状に配置された多数のコバルト60の微小線源から出るガンマ線を集束させ、病巣部を照射する治療法をいう。

(2) 数か月間の一連の治療過程に複数回の治療を行った場合であっても、所定点数は1回のみ算定する。

(3) 定位型手術枠(フレーム)を取り付ける際等の麻酔、位置決め等に係る画像診断、検査、放射線治療管理等の当該治療に伴う一連の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

M001―3 直線加速器による定位放射線治療

(1) 直線加速器による定位放射線治療とは、直線加速器(マイクロトロンを含む。)により極小照射野で線量を集中的に照射する治療法であり、頭頸部に対する治療については、照射中心の固定精度が2ミリメートル以内であるものをいい、体幹部に対する治療については、照射中心の固定精度が5ミリメートル以内であるものをいう。

(2) 頭頸部に対する治療については、頭頸部腫瘍(頭蓋内腫瘍を含む。)及び脳動静脈奇形に対して行った場合にのみ算定し、体幹部に対する治療については、原発病巣が直径5センチメートル以下であり転移病巣のない原発性肺癌又は原発性肝癌、及び3個以内で他病巣のない転移性肺癌又は転移性肝癌、並びに脊髄動静脈奇形(頸部脊髄動静脈奇形を含む。)に対して行った場合にのみ算定し、数か月間の一連の治療過程に複数回の治療を行った場合であっても、所定点数は1回のみ算定する。

(3) 定位型手術枠又はこれと同等の固定精度を持つ固定装置を取り付ける際等の麻酔、位置決め等に係る画像診断、検査、放射線治療管理等の当該治療に伴う一連の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

M002 全身照射

全身照射は、1回の造血幹細胞移植について、一連として1回に限り算定できる。

M003 電磁波温熱療法

(1) 「1」の深在性悪性腫瘍に対するものは、頭蓋内又は体腔内に存在する腫瘍であって、腫瘍の大半が概ね皮下6センチメートル以上の深部に所在するものに対して、高出力の機器(100メガヘルツ以下の低周波数のもの)を用いて電磁波温熱療法を行う場合に算定できる。

(2) 四肢若しくは頸部の悪性腫瘍に対して行う場合又はアプリケーターを用いて腔内加温を行う場合は、腫瘍の存在する部位及び使用する機器の如何を問わず、「2」の浅在性悪性腫瘍に対するものにより算定する。

(3) 電磁波温熱療法は、放射線治療と併用しない場合(化学療法と併用する場合又は単独で行う場合)においても算定できる。

(4) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいう。数か月間の一連の治療過程に複数回の電磁波温熱療法を行う場合は、1回のみ所定点数を算定し、その他数回の療法の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) 電磁波温熱療法の実施に当たっては、治療部分の温度を測定し、十分な加温を確認する等の必要な措置を講ずる。

(6) 電磁波温熱療法を行うに当たって使用するセンサー等の消耗品の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

M004 密封小線源治療

(1) 密封小線源治療の治療料は疾病の種類、部位の違い、部位数の多寡にかかわらず、一連として所定点数を算定する。

(2) 外部照射

外部照射とは、コバルト60、セシウム137等のガンマ線又はストロンチウム90等のベーター線による4センチメートル以下の近距離照射又は直接貼布する療法をいう。

(3) 腔内照射

ア 高線量率イリジウム照射を行った場合とは、子宮腔、腟腔、口腔、直腸等の腔内にイリジウム192管を挿入し照射する場合であり、アプリケーターの挿入から抜去までを一連として算定する。なお、挿入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

イ 新型コバルト小線源治療装置とは、高線量率イリジウム照射で用いられる線源と概ね同じ大きさの径の線源を用いるものであり、それよりも大きな径の線源である従前のコバルト線源による腔内照射は「ロ」旧型コバルト腔内照射装置を用いた場合により算定する。

ウ その他の場合とは、子宮腔、腟腔、口腔、直腸等の腔内にセシウム137管等を挿入して照射する場合や眼窩内等にストロンチウム容器を挿入して照射する場合であり、アプリケーターの挿入から抜去までを一連として算定するものとし、新型コバルト小線源治療装置を用いた場合又は旧型コバルト腔内照射装置を用いた場合には、「イ」又は「ロ」により算定する。なお、挿入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

(4) 組織内照射

ア 前立腺癌に対する永久挿入療法とは、前立腺組織内にヨウ素125粒子を挿入する療法をいい、当該療法の実施に当たっては、関係法令及び関係学会のガイドラインを踏まえ、適切に行われるよう十分留意すること。

イ 高線量率イリジウム照射を行った場合とは、イリジウム192線源を挿入する場合であり、外套針の刺入から抜去までの全期間を一連として算定する。なお、外套針の刺入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

ウ 新型コバルト小線源治療装置とは、高線量率イリジウム照射で用いられる線源と概ね同じ大きさの径の線源を用いるものであり、それよりも大きな径の線源である従前のコバルト線源を用いるものは該当しない。

エ その他の場合とは、舌その他の口腔癌、皮膚癌、乳癌等の癌組織内にコバルト針、セシウム針等を刺入する場合であり、刺入から抜去までの全期間を一連として算定する。なお、刺入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) 放射性粒子照射

放射性粒子照射とは、組織内に放射性金粒子等の放射性粒子を刺入するものであって、その使用本数等に関係なく一連につき所定点数を算定する。また、この場合「注6」により放射性粒子の費用は別に算定できる。なお、刺入に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

(6) 同一の高線量率イリジウムを使用し、1人又は複数の患者に対して1回又は複数回の密封小線源治療を行った場合は、使用した高線量率イリジウムの費用として、患者1人につき1回に限り加算する。

(7) 同一の低線量率イリジウムを使用し、1人の患者に対して複数回の密封小線源治療を行った場合は、使用した低線量率イリジウムの費用として、患者1人につき1回に限り加算する。

M005 血液照射

(1) 血液照射は、輸血後移植片対宿主病予防のために輸血用血液に対して放射線照射を行った場合に算定する。

(2) 血液照射料は、血液照射を行った血液量が400ミリリットル以下の場合には110点、これ以降400ミリリットル又はその端数を増すごとに110点を加えて計算する。なお、血液照射を行った血液のうち、実際に輸血を行った1日当たりの血液量についてのみ算定する。

(3) 血液量は、実際に照射を行った総量又は原材料として用いた血液の総量のうちいずれか少ない量により算定する。例えば、200ミリリットルの血液から製造された30ミリリットルの血液成分製剤については30ミリリットルとして算定し、200ミリリットルの血液から製造された230ミリリットルの保存血及び血液成分製剤は、200ミリリットルとして算定する。

(4) 放射線を照射した血液製剤を使用した場合は、当該血液照射は別に算定できない。

(5) 血液照射に当たっては、「「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」の改定について」(平成17年9月6日薬食発第0906002号)その他の関係通知及び関係学会から示されている血液照射についてのガイドラインを遵守するよう努めるものとする。

第13部 病理診断

<通則>

1 病理診断の費用には、病理標本作製を行う医師、看護師、臨床検査技師、衛生検査技師及び病理診断・判断を行う医師の人件費、試薬、デッキグラス、試験管等の材料費、機器の減価償却費、管理費等の費用が含まれる。

2 病理標本作製に当たって使用される試薬は、原則として医薬品として承認されたものであることを要する。

3 病理標本を撮影した画像を電子媒体に保存した場合、保存に要した電子媒体の費用は所定点数に含まれる。

4 第1節に掲げられていない病理標本作製であって簡単な病理標本作製の費用は、基本診療料に含まれ、別に算定できない。

5 第1節に掲げる病理標本作製料の項に掲げられていない病理標本作製のうち簡単な病理標本作製の病理標本作製料は算定できないが、特殊な病理標本作製については、その都度当局に内議し、最も近似する病理標本作製として通知されたものの算定方法及び注(特に定めるものを除く。)を準用して、準用された病理標本作製料に係る病理診断・判断料と併せて算定する。

第1節 病理標本作製料

N000 病理組織標本作製

(1) 病理組織標本作製について、次に掲げるものは、各区分ごとに1臓器として算定する。

ア 気管支及び肺臓

イ 食道

ウ 胃及び十二指腸

エ 小腸

オ 盲腸

カ 上行結腸、横行結腸及び下行結腸

キ S状結腸

ク 直腸

ケ 子宮体部及び子宮頸部

(2) 病理組織標本作製において、1臓器から多数のブロック、標本等を作製した場合であっても、1臓器の標本作製として算定する。

(3) 病理組織標本作製において、悪性腫瘍がある臓器又はその疑いがある臓器から多数のブロックを作製し、又は連続切片標本を作製した場合であっても、所定点数のみ算定する。

(4) 当該標本作製をヘリコバクター・ピロリ感染診断を目的に行う場合の保険診療上の取扱いについては、「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日保険発第180号)に即して行うこと。

N001 電子顕微鏡病理組織標本作製

(1) 電子顕微鏡病理組織標本作製は、腎組織、甲状腺腫を除く内分泌臓器の機能性腫瘍、異所性ホルモン産生腫瘍、軟部組織悪性腫瘍、ゴーシェ病等の脂質蓄積症、多糖体蓄積症等に対する生検及び心筋症に対する心筋生検の場合において、電子顕微鏡による病理診断のための病理組織標本を作製した場合に算定できる。

(2) 電子顕微鏡病理組織標本作製、区分番号「N000」病理組織標本作製、区分番号「N002」免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製のうち、いずれを算定した場合であっても、他の2つの項目を合わせて算定することができる。

N002 免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製

(1) 免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製は、病理組織標本を作製するにあたり免疫染色を行った場合に、方法(蛍光抗体法又は酵素抗体法)又は試薬の種類にかかわらず、1臓器につき1回のみ算定する。

(2) 免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製、区分番号「N000」病理組織標本作製又は区分番号「N001」電子顕微鏡病理組織標本作製のうち、いずれを算定した場合であっても、他の2つの項目を合わせて算定することができる。

(3) 「1」のエストロジェンレセプターの免疫染色と「2」のプロジェステロンレセプターの免疫染色を同一月に実施した場合は、いずれかの主たる病理組織標本作製の所定点数及び注に規定する加算のみを算定する。

(4) 「3」のHER2タンパクは、半定量検査又はEIA法(酵素免疫測定法)による検査を行った場合に限り算定する。

(5) 「注2」に規定する「確定診断のために4種類以上の抗体を用いた免疫染色が必要な患者」とは、悪性リンパ腫、悪性中皮腫、消化管間質腫瘍(GIST)、慢性腎炎、内分泌腫瘍又は軟部腫瘍が疑われる患者を指す。これらの疾患が疑われる患者であっても3種類以下の抗体で免疫染色を行った場合は、当該加算は算定できない。

N003 術中迅速病理組織標本作製

(1) 術中迅速病理組織標本作製は、手術の途中において迅速凍結切片等による標本作製及び鏡検を完了した場合において、1手術につき1回算定する。

なお、摘出した臓器について、術後に再確認のため精密な病理組織標本作製を行った場合は、区分番号「N000」病理組織標本作製の所定点数を別に算定する。

(2) テレパソロジーによる術中迅速病理組織標本作製を行った場合は、送信側の保険医療機関において術中迅速病理組織標本作製及び区分番号「N006」病理診断料の「1」を算定できる。受信側の保険医療機関における診断等に係る費用は、受信側、送信側の医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。

N003―2 術中迅速細胞診

(1) 術中迅速細胞診は、手術の途中において腹水及び胸水等の体腔液を検体として標本作製及び鏡検を完了した場合において、1手術につき1回算定する。

(2) テレパソロジーによる術中迅速細胞診を行った場合は、送信側の保険医療機関において術中迅速細胞診及び区分番号「N006」病理診断料の「2」を算定できる。受信側の保険医療機関における診断等に係る費用は、受信側、送信側の保険医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。

N004 細胞診

(1) 腟脂膏顕微鏡標本作製、胃液、腹腔穿刺液等の癌細胞標本作製及び眼科プロヴァツェク小体標本作製並びに天疱瘡におけるTzanck細胞の標本作製は、細胞診により算定する。

(2) 同一又は近接した部位より同時に数検体を採取して標本作製を行った場合であっても、1回として算定する。

(3) 「2」の「穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等」とは、喀痰細胞診、気管支洗浄細胞診、体腔液細胞診、体腔洗浄細胞診、体腔臓器擦過細胞診及び髄液細胞診等を指す。

N005 HER2遺伝子標本作製

HER2遺伝子標本作製は、乳癌の術後の患者又は乳癌の転移が確認された乳癌患者に対して、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体抗悪性腫瘍剤の投与の適応を判断することを目的として、FISH法により遺伝子増幅標本作製を行った場合に、当該抗悪性腫瘍剤の投与方針の決定までの間に1回を限度として算定する。

なお、本標本作製と区分番号「N002」免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製の「3」を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

第2節 病理診断・判断料

N006 病理診断料

(1) 病理診断料を算定できる保険医療機関は、年間の剖検数・生検数が十分にあること、剖検室等の設備や必要な機器等を備えていること、病理部門の要員を備えていること等を満たしていることが望ましい。

(2) 当該保険医療機関以外に勤務する病理診断を行う医師が、当該保険医療機関に出向いて病理診断を行った場合等、当該保険医療機関における勤務の実態がない場合においては、病理診断料は算定できない。

(3) 当該保険医療機関以外の医療機関(衛生検査所等を含む。)で作製した病理標本につき診断を行った場合には、月1回に限り所定点数を算定する。

なお、患者が当該傷病につき当該保険医療機関を受診していない場合(テレパソロジーによる術中迅速病理組織標本作製を行う場合を除く。)においては、療養の給付の対象とならない。

(4) 病理診断料が含まれない入院料を算定する病棟に入院中の患者に対して、病理診断料を算定する場合は、同一月内に当該患者が病理診断料が含まれる入院料を算定する病棟に転棟した場合であっても、当該病理診断料を請求することができる。

N007 病理判断料

病理判断料が含まれない入院料を算定する病棟に入院中の患者に対して、病理判断料を算定した場合は、同一月内に当該患者が病理判断料が含まれる入院料を算定する病棟に転棟した場合であっても、当該病理判断料を請求することができる。

第3章 介護老人保健施設入所者に係る診療料

<通則>

介護老人保健施設には常勤医師が配置されているので、比較的病状が安定している者に対する療養については、介護老人保健施設の医師が対応できることから、介護老人保健施設の入所者である患者(以下「施設入所者」という。)が、往診又は通院により受ける医療に係る診療料については、施設入所者以外の患者に対する算定方法とは別の算定方法を設けたものであり、施設入所者に対しては、第1章基本診療料又は第2章特掲診療料は適用せず、第3章介護老人保健施設入所者に係る診療料に規定するところによるものであること。

第1部 併設保険医療機関の療養又は医療に関する事項

併設保険医療機関とは、「併設保険医療機関の取扱いについて」(平成14年3月8日保医発第0308008号)に規定する保険医療機関をいう。

1 緊急時施設治療管理料

(1) 平成18年7月1日から平成24年3月31日までの間に介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)附則第13条に規定する転換を行って開設した介護老人保健施設(以下「介護療養型老健施設」という。)においては、従来の介護老人保健施設の入所者より必要な医療処置等の頻度が多い患者の割合が高いことから、緊急に医療処置等が必要となった場合にその費用について医療保険から給付をするものである。

(2) 介護療養型老健施設の併設保険医療機関の医師が、当該介護療養型老健施設に入所中の患者の緊急時に、当該介護療養型老健施設の医師の電話等による求めに応じ、夜間又は休日に緊急に往診を行った場合に算定する。ただし、患者1人につき1日1回、1月につき4回に限る。

(3) 患者の緊急時とは、次のいずれかの状態の患者に対して、当該介護療養型老健施設の医師が、医師による直接の処置等が必要と判断し、かつ、やむを得ない理由で対応できない場合のことをいう。

ア 意識障害又は昏睡

イ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪

ウ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

エ ショック

オ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

カ その他薬物中毒等で重篤なもの

(4) 併設保険医療機関の保険医が往診を行った場合には、往診を行った患者の状態、当該介護療養型老健施設の医師の氏名及び往診を行った日時について診療録に記載するとともに、診療報酬請求明細書の摘要欄に次の事項を記載すること。

ア 併設保険医療機関の保険医が往診を行った月に介護保険の緊急時施設療養費を算定した場合はその日時

イ 対象患者が当該介護療養型老健施設の入所者である旨の記載

2 施設入所者自己腹膜灌流薬剤料

(1) 施設入所者自己腹膜灌流薬剤料は、施設入所者が、自己連続携行式腹膜灌流を行っている場合に、その薬剤の費用を算定するものであること。

(2) 区分番号「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料の算定はできないものであること。

3 施設入所者材料料

(1) 施設入所者材料料は、第2章第2部第2節第1款の在宅療養指導管理料(以下単に「在宅療養指導管理料」という。)において算定することができるとされている特定保険医療材料及び同節第2款の各区分に規定する加算の費用を算定するものであること。

(2) 在宅療養指導管理料の各区分に規定する指導管理料は算定できないものであること。

(3) 施設入所者材料料の算定方法は、在宅療養指導管理料の算定方法の例によるものであること。

4 その他の診療料

(1) 施設入所者に対する診療料として併設保険医療機関が算定できるのは別紙のとおりであること。

(2) 特掲診療料の施設基準等第十六及び別表第十二に規定する検査等の取扱いによること。

(3) 算定できないものとされた診療料については、その診療に伴い使用した薬剤、保険医療材料の費用についても算定できないものであること(ただし、特掲診療料の施設基準等第十六の二及び三に掲げる内服薬、外用薬及び注射薬の費用は別に算定できる。)。また、算定できるものとされた診療料に伴い使用した薬剤、保険医療材料の費用については、第1章及び第2章の例により算定できるものであること。

第2部 併設保険医療機関以外の保険医療機関の療養に関する事項

1 施設入所者共同指導料

(1) 施設入所者共同指導料は、介護老人保健施設に入所中の患者の退所後の療養を担当する病院である保険医療機関の医師(以下「担当医」という。)が、介護老人保健施設に赴き、介護老人保健施設の医師と共同して、退所後の療養上必要な指導を行った場合に、1入所につき1回に限り算定できるものであること。

(2) 施設入所者共同指導料は、退所して家庭に復帰する予定の患者が算定の対象となるものであること。

(3) 施設入所者共同指導料は、特別養護老人ホーム等医師又は看護師等が配置されている施設に入所予定の患者は算定の対象としないものであること。

(4) 施設入所者共同指導料を算定した場合は、初診料、再診料、外来診療料、地域連携退院時共同指導料、往診料及び在宅患者訪問診療料は算定できないものであること。

(5) 施設入所者共同指導料を算定する場合においては、担当医は診療録に介護老人保健施設において行った指導の要点を記入すること。

(6) 特別の関係にある病院又は介護老人保健施設における算定は、行わないものであること。

2 施設入所者自己腹膜灌流薬剤料

(1) 施設入所者自己腹膜灌流薬剤料は、施設入所者が、自己連続携行式腹膜灌流を行っている場合に、その薬剤の費用を算定するものであること。

(2) 区分番号「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料の算定はできないものであること。

3 施設入所者材料料

(1) 施設入所者材料料は、在宅療養指導管理料において算定することができるとされている特定保険医療材料及び第2章第2部第2節第2款の各区分に規定する加算の費用を算定するものであること。

(2) 在宅療養指導管理料の各区分に規定する指導管理料は算定できないものであること。

(3) 施設入所者材料料の算定方法は、在宅療養指導管理料の算定方法の例によるものであること。

4 その他の診療料

(1) 施設入所者に対する診療料として併設保険医療機関以外の保険医療機関が算定できるのは別紙のとおりであること。

(2) 特掲診療料の施設基準等第十六及び別表第十二に規定する検査等の取扱いによること。

(3) 算定できないものとされた診療料については、その診療に伴い使用した薬剤、保険医療材料の費用についても算定できないものであること(ただし、特掲診療料の施設基準等第十六の二及び三に掲げる内服薬、外用薬及び注射薬の費用は別に算定できる。)。また、算定できるものとされた診療料に伴い使用した薬剤、保険医療材料の費用については、第1章及び第2章の例により算定できるものであること。

(別紙)

(算定できるものについては「○」、算定できないものについては「×」)

項目

小項目

併設保険医療機関

その他

基本診療料

初診料

×

 

再診料

×

 

外来診療料

×

特掲診療料

 

 

 

医学管理等

退院時共同指導料1

×

 

診療情報提供料(Ⅰ)(注4に限る。)

×

 

診療情報提供料(Ⅱ)

×

 

その他のもの

×

×

在宅医療

往診料

×

 

その他のもの

×

×

検査

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

 

その他のもの

画像診断

 

投薬

厚生労働大臣が定めるもの

 

その他のもの

×

×

注射

厚生労働大臣が定めるもの

 

その他のもの

×

×

リハビリテーション

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

 

その他のもの

精神科専門療法

 

×

×

処置

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

 

その他のもの

手術

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

 

その他のもの

麻酔

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

 

その他のもの

放射線治療

 

病理診断

 

(注)厚生労働大臣が定めるものは、「特掲診療料の施設基準等」(平成20年厚生労働省告示第63号)の第十六及び別表第十二により規定されているものである。

別添1の2

<通則>

医科診療報酬点数表に記載する診療等に要する書面等は別紙様式のとおりである。

なお、当該様式は、参考として示しているものであり、示している事項が全て記載されている様式であれば、当該別紙様式と同じでなくても差し支えないものであること。

また、当該別紙様式の作成や保存等に当たっては、医師事務作業の負担軽減等の観点から各保険医療機関において工夫されたいこと。

自筆の署名がある場合には印は不要であること。

※別紙様式14、15は欠番である。

(別紙様式1)

(別紙様式2)

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(別紙様式3)

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(別紙様式4)

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(別紙様式5)

(別紙様式5の2)

(別紙様式6)

(別紙様式7)

(別紙様式8)

(別紙様式9)

(別紙様式9の2)

(別紙様式10)

(別紙様式11)

(別紙様式12)

(別紙様式12の2)

(別紙様式12の3)

(別紙様式12の4)

(別紙様式13)

(別紙様式16)

(別紙様式17)

(別紙様式18)

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(別紙様式24)

(別紙様式25)

(別紙様式26)

(別紙様式27)

別添2

歯科診療報酬点数表に関する事項

通則

1 1人の患者について療養の給付に要する費用は、第1章基本診療料及び第2章特掲診療料の規定に基づき算定された点数の総計に10円を乗じて得た額とする。

2 基本診療料には、簡単な診療行為が包括されており、消炎、鎮痛を目的とする理学療法、口腔軟組織の処置、単純な外科後処置、口角びらんの処置は、再診料にも包括されている。

3 特掲診療料には、特に規定する場合を除き、当該医療技術に伴い必要不可欠な衛生材料等の費用を含んでいる。

4 基本診療料に係る施設基準、届出等の取扱いについては、「基本診療料の施設基準等の一部を改正する件」(平成22年厚生労働省告示第72号)による改正後の「基本診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第62号)」に基づくものとし、その具体的な取扱いについては別途通知する。

5 特掲診療料に係る施設基準、届出等の取扱いについては、「特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件」(平成22年厚生労働省告示第73号)による改正後の「特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)」に基づくものとし、その具体的な取扱いについては別途通知する。

6 基本診療料及び特掲診療料の算定に当たっては、「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和51年8月7日保険発第82号)を踏まえて、必要な事項を診療報酬明細書に記載すること。

第1章 基本診療料

第1部 初・再診料

通則

1 「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(平成22年厚生労働省告示第69号)による改正後の「診療報酬の算定方法」(平成20年厚生労働省告示第59号)の別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)の次の処置は、別表第二歯科診療報酬点数表においては基本診療料に含まれる。

イ 鼻処置

ロ 口腔、咽頭処置

ハ 喉頭処置

ニ ネブライザー

ホ 熱傷処置

ヘ 皮膚科軟膏処置

ト 消炎鎮痛等処置

2 同一の保険医療機関(医科歯科併設の保険医療機関(歯科診療及び歯科診療以外の診療を併せて行う保険医療機関をいう。以下同じ。)を除く。)において、2以上の傷病に罹っている患者について、それぞれの傷病につき同時に初診又は再診を行った場合においても、初診料又は再診料は1回に限り算定する。

同一の保険医療機関において、2人以上の保険医(2以上の診療科にわたる場合も含む。)が初診又は再診を行った場合においても、同様であること。

したがって、歯科診療においては、1口腔1初診として取り扱う。

3 歯科診療における診療科は、歯科、小児歯科、矯正歯科及び歯科口腔外科を同一とみなす。

4 医科歯科併設の保険医療機関において、医科診療に属する診療科に係る傷病につき入院中の患者が歯又は口腔の疾患のために歯科において初診若しくは再診を受けた場合、又は歯科診療に係る傷病につき入院中の患者が他の傷病により医科診療に属する診療科において初診若しくは再診を受けた場合等、医科診療と歯科診療の両者にまたがる場合は、それぞれの診療科において初診料又は再診料を算定できる。

ただし、同一の傷病又は互いに関連のある傷病により、医科と歯科を併せて受診した場合には、主たる診療科においてのみ初診料又は再診料を算定する。

5 医療法(昭和23年法律第205号)に規定する病床に入院(当該入院についてその理由等は問わない。)している期間中にあっては、再診料は算定できない。また、入院中の患者が当該入院の原因となった傷病につき、診療を受けた診療科以外の診療科で、入院の原因となった傷病以外の傷病につき再診を受けた場合においても、再診料は算定できない。なお、この場合において、再診料以外の検査、治療等の費用の請求については、診療報酬明細書は入院用を用いること。

ただし、歯科疾患以外の疾病で他科に入院中の患者が歯科に外来としてきている場合は再診料を算定できる。

第1節 初診料

A000 初診料

(1) 特に初診料が算定できない旨の規定がある場合を除き、患者の傷病について歯科医学的に初診といわれる診療行為があった場合に、初診料を算定する。なお、同一の保険医が別の保険医療機関において、同一の患者について診療を行った場合は、最初に診療を行った保険医療機関において初診料を算定する。

(2) 患者が異和を訴え診療を求めた場合において、診断の結果、疾病と認むべき徴候のない場合にあっても初診料を算定できる。

(3) 学校検診等、自他覚的症状がなく健康診断を目的とする受診により疾患が発見された患者について、当該保険医が、特に治療の必要性を認め治療を開始した場合には、初診料は算定できない。ただし、当該治療(初診を除く。)については、医療保険給付対象として診療報酬を算定できる。

(4) (3)にかかわらず、健康診断で疾患が発見された患者が、疾患を発見した保険医以外の保険医(当該疾患を発見した保険医の属する保険医療機関の保険医を除く。)において治療を開始した場合には、初診料を算定できる。

(5) 労災保険、健康診断、自費等(医療保険給付対象外)により傷病の治療を入院外で受けている期間中又は医療法に規定する病床に入院(当該入院についてその理由等は問わない。)している期間中にあっては、当該保険医療機関において医療保険給付対象となる診療を受けた場合においても、初診料は算定できない。

(6) 現に傷病について診療継続中の患者につき、新たに発生した他の傷病で初診を行った場合には、当該新たに発生した傷病について初診料は算定できない。

(7) 患者が任意に診療を中止し、1月以上経過した後、再び同一の保険医療機関において診療を受ける場合には、その診療が同一病名又は同一症状によるものであっても、その際の診療は、初診として取り扱う。なお、この場合において、1月の期間の計算は、暦月によるものであり、例えば、2月10日~3月9日、9月15日~10月14日等と計算する。

(8) (7)にかかわらず、欠損補綴を前提とした抜歯で抜歯後印象採得まで1月以上経過した場合、歯周疾患等の慢性疾患である場合等であって、明らかに同一の疾病又は負傷であると推定される場合の診療、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料又はC001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料を算定した場合等、管理計画に基づき継続的に診療を行っている場合の診療は、初診として取り扱わない。

なお、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料又はC001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料を算定した場合であって、管理計画に基づく一連の治療が終了した日から起算して2月以内は再診として取り扱い、2月を超えた場合は初診として取り扱う。

(9) 病院である保険医療機関において歯科、小児歯科、矯正歯科又は歯科口腔外科を標榜する診療科の初診患者のうち、別の保険医療機関等(特別の関係を除く。)からの文書による紹介により当該診療科に来院した患者の数(以下「紹介等患者数」という。)等に関する施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出たものについては、初診料として地域歯科診療支援病院歯科初診料を算定する。

(10) 地域歯科診療支援病院歯科初診料を算定するのは、紹介等患者数が外来患者の3割以上であるもの又は2割以上であるもののうち、別に厚生労働大臣が定める手術の件数が年間30件を超えるものとする。

なお、別に厚生労働大臣が定める手術とは、「基本診療料の施設基準等」の別表第一に掲げる手術である。

(11) 乳幼児加算及び障害者加算

初診料を算定しない場合には、初診時における乳幼児加算又は障害者加算は算定できない。

(12) 乳幼児加算と乳幼児時間外加算、乳幼児休日加算及び乳幼児深夜加算は併せて算定できない。

(13) 障害者加算を算定した者が、6歳未満の乳幼児である場合は、乳幼児加算、乳幼児時間外加算、乳幼児休日加算又は乳幼児深夜加算を併せて算定できる。

(14) 障害者加算

「注6」の「著しく歯科診療が困難な障害者」とは、脳性麻痺等で身体の不随運動や緊張が強く体幹の安定が得られない状態、知的発達障害により開口保持ができない状態や治療の目的が理解できず治療に協力が得られない状態、重症の喘息患者で頻繁に治療の中断が必要な状態又はこれらに準ずる状態にある者をいう。なお、障害者加算を算定した日においては、患者の状態を診療録に記載し、専門的技法を用いた場合はその名称を併せて診療録に記載する。

(15) 初診時歯科診療導入加算

「歯科治療環境に円滑に適応できるような技法」とは、歯科診療の開始にあたり、患者が歯科治療の環境に円滑に適応できるための方法として、Tell―Show―Do法などの系統的脱感作法並びにそれに準拠した方法、オペラント法、モデリング法、TEACCH法、遊戯療法、ボイスコントロール法等の患者の行動を調整する専門的技法をいう。

(16) 歯科外来診療環境体制加算は、歯科診療の特性を踏まえ、患者にとってより安全で安心できる歯科外来診療の環境の整備を図る取組を評価したものであり、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、外来診療に係る初診を行った場合に、1回に限り30点を加算する。

(17) 「注7」及び「注8」の医科と共通の項目については、医科点数表の第1章第1部第1節区分番号A000に掲げる初診料の例により算定する。

(18) 「注10」に規定する障害者歯科医療連携加算は、当該加算に係る施設基準に適合するものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関の外来部門において、歯科診療所である保険医療機関で「注6」又は区分番号A002に掲げる再診料の「注4」に規定する加算(以下「基本診療料に係る障害者加算」という。)を算定した患者について、当該保険医療機関から診療情報提供料の算定に基づく診療情報提供を受けた上で、当該患者に対して初診を行い、基本診療料に係る障害者加算を算定した場合に算定する。

(19) 「注11」に規定する在宅患者等急性歯科疾患対応加算は、歯科訪問診療において、急性症状の発症時等に即応できる歯科訪問診療の環境を整備する取組を評価するものであり、具体的には、初診時に区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料を算定しない歯科訪問診療を行った場合に算定できる。ただし、当該加算を算定した場合は、同一初診期間中において、区分番号A002に掲げる再診料の「注8」及び区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料の「注9」に規定する在宅患者等急性歯科疾患対応加算の「イ 1回目」は算定できない。

第2節 再診料

A002 再診料

(1) 再診料は、再診の都度(同一日において2以上の再診があってもその都度)算定できる。ただし、2以上の傷病について同時に再診を行った場合は、当該1日につき1回に限り算定する。

(2) A傷病について診療継続中の患者が、B傷病に罹り、B傷病について初診があった場合、当該初診については、初診料は算定できないが、再診料を算定できる。

(3) 歯冠修復又は欠損補綴において、一連の行為のために同一日に2以上の再診を行った場合の再診料は、1回の算定とする。

(4) 電話等による再診

イ 当該保険医療機関で初診を受けた患者について、再診以後、当該患者又はその看護に当たっている者から直接又は間接(電話、テレビ画像等による場合を含む。ただし、ファクシミリ又は電子メール等によるものは含まない。)に、治療上の意見を求められた場合に、必要な指示をしたときには、再診料を算定する。

ロ 患者又はその看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示した場合は、乳幼児加算又は障害者加算を算定する。

ハ 時間外加算を算定すべき時間、休日又は深夜に患者又はその看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示した場合は、時間外加算、休日加算又は深夜加算を算定する。

(5) その他初診料と共通の項目については、区分番号A000に掲げる初診料と同様であり、医科と共通の項目については、医科点数表の第1章第1部第2節区分番号A001に掲げる再診料の例により算定する。

(6) 「注4」の「著しく歯科診療が困難な障害者」とは、脳性麻痺等で身体の不随運動や緊張が強く体幹の安定が得られない状態、知的発達障害により開口保持ができない状態や治療の目的が理解できず治療に協力が得られない状態、重症の喘息患者で頻繁に治療の中断が必要な状態又はこれらに準ずる状態にある者をいう。なお、障害者加算を算定した日においては、患者の状態を診療録に記載する。

(7) 「注8」に規定する在宅患者等急性歯科疾患対応加算は、歯科訪問診療において、急性症状の発症時等に即応できる歯科訪問診療の環境を整備する取組を評価するものであり、具体的には、「イ 1回目」は、再診時に1回目の歯科訪問診療を行った場合であって、区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料を算定しない場合に算定できる。ただし、「注8」に規定する在宅患者等急性歯科疾患対応加算の「イ 1回目」を算定した場合は、同一初診期間中において、区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料の「注9」に規定する在宅患者等急性歯科疾患対応加算の「イ 1回目」は算定できない。

第2部 入院料等

第1節 入院基本料

医科と共通の項目について、医科点数表の第1章第2部第1節に掲げる入院基本料の例により算定する。

第2節 入院基本料等加算

1 医科と共通の項目について、医科点数表の第1章第2部第2節に掲げる入院基本料等加算の例により算定する。(区分番号A204―2に掲げる臨床研修病院入院診療加算を除く。)

ただし、総合入院体制加算については、医科歯科併設の病院にあって医科について算定できる場合に限り、歯科疾患について入院する患者についても同様とする。

2 地域歯科診療支援病院入院加算は、在宅歯科医療又は障害者歯科医療を後方支援する地域歯科診療支援病院の機能を評価したものであり、別の保険医療機関において区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料又は区分番号A000に掲げる初診料の「注6」若しくは区分番号A002に掲げる再診料の「注4」に規定する加算を算定した患者であって、当該別の保険医療機関による歯科診療が困難であると判断されたものについて、当該別の保険医療機関からの診療情報提供料の算定に基づく診療情報提供を受け、入院させた場合に入院初日に1回に限り算定する。ただし、入院の月又はその前月に当該別の保険医療機関において、当該患者について、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料又は区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料を算定した場合に限る。

A204―2 臨床研修病院入院診療加算

(1) 研修歯科医が、当該保険医療機関の研修プログラムに位置づけられた臨床研修施設及び研修協力施設において、実際に臨床研修を実施している場合に、入院初日に限り算定できる。なお、ここでいう入院初日とは、医科点数表第1章第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(2) (1)において研修を実施している場合とは、単独型臨床研修施設においては実際に研修歯科医が研修を実施している期間、管理型臨床研修施設においては実際に研修歯科医が実施している期間及び研修歯科医が協力型臨床研修施設又は研修協力施設において研修を実施している期間、協力型臨床研修施設においては実際に研修歯科医が研修を実施している期間のことをいう。

(3) 研修歯科医の診療録の記載に係る指導及び確認は、速やかに行うこととし、診療録には、指導の内容がわかるように指導歯科医自らが記載を行い、署名をすること。

第3節 特定入院料

医科と共通の項目について、医科点数表の第1章第2部第3節に掲げる特定入院料の例により算定する。

第4節 短期滞在手術基本料

A400 短期滞在手術基本料

(1) 短期滞在手術基本料は、短期滞在手術に係る区分番号J055に掲げる顎下腺摘出術及び区分番号J056に掲げる顎下腺腫瘍摘出術を実施した場合に限り算定できる。

(2) (1)のほかは、医科点数表の区分番号A400に掲げる短期滞在手術基本料の例により算定する。

第2章 特掲診療料

第1部 医学管理等

B000―4 歯科疾患管理料

(1) 歯科疾患管理料は、継続的な管理を必要とする歯科疾患を有する患者(歯の欠損症のみを有する患者を除く。)に対して、口腔を一単位としてとらえ、患者との協働により行う継続的な口腔管理に加えて、病状が改善した疾患等の再発防止及び重症化予防のための継続管理を評価したものであり、患者又はその家族の同意を得た上で管理計画書を作成し、その内容について説明し、提供した場合に算定できる。

(2) 「注1」に規定する管理計画書(当該管理計画書の様式は、「別紙様式1」又はこれに準じた様式とする。)とは、管理計画書の提供年月日、患者又はその家族が記入する歯科疾患と関連性のある生活習慣の状況及び患者の基本状況(全身の状態、基礎疾患の有無、服薬状況等)、生活習慣の改善目標、口腔内の状態(プラーク及び歯石の付着状況、歯及び歯肉の状態等(「注2」に規定する継続管理計画書においては、口腔内の状態の改善状況を含む。))、必要に応じて実施した検査結果(エックス線写真撮影による検査、歯周組織検査及びその他の検査)等の要点、歯科疾患と全身の健康との関係、治療方針の概要、保険医療機関名、当該管理の担当歯科医師名等、歯科疾患の継続的管理を行う上で必要となる情報を記載したものをいう。なお、歯科疾患管理料の算定に当たっては、患者又はその家族に提供した管理計画書の写しを診療録に添付し、当該計画書の内容以外に療養上必要な管理事項がある場合は、その要点を診療録に記載すること。

(3) 1回目に患者又はその家族に対して提供する管理計画書については、初診日の属する月から起算して2月以内に第1回目の管理計画書を作成し、患者又はその家族に対して、その内容について説明を行った上で提供するものとする。なお、歯周病に罹患している患者の管理計画書を作成する場合は、歯周組織検査を実施し、その結果を踏まえた上で歯周病に係る治療方針等を含めた管理計画書を作成すること。

(4) 「注2」に規定する2回目以降の継続管理計画書(当該管理計画書の様式は、「別紙様式2」又はこれに準じた様式とする。)の提供時期については、管理計画の内容に変更があったとき、検査により疾患の症状が一時的に安定したと判断されるとき(歯周病においては、歯周組織検査により一時的に病状が安定したと判断されるとき等)、一連の補綴治療が終了したときその他療養上必要な時期に提供するものとするが、当該管理計画に変更がない場合はこの限りでない。ただし、この場合においても、前回の管理計画書の提供日から起算して3月を超える日までに1回以上提供すること。

(5) 歯科疾患管理料を算定した月においては、患者又はその家族に対して、管理計画書を提供しない場合であっても、少なくとも1回以上の管理計画に基づく管理を行うこと。なお、当該管理を行った場合は、診療録にその要点を記載すること。

(6) 歯科疾患管理料は、区分番号B013に掲げる義歯管理料を算定している患者(歯の欠損症のみを有する患者を除く。)に対して当該歯科疾患管理を行った場合は算定できる。ただし、無歯顎の患者の総義歯に係る管理を行っている場合については、軟膏等薬剤による治療が必要な口腔粘膜疾患等(「特掲診療料の施設基準等」の別表第四歯科特定疾患療養管理料に規定する疾患に掲げる疾患を除く。)を有している患者であって、現に当該歯科疾患に係る治療(有床義歯を原因とする疾患に係る治療を除く。)を行っている場合は算定できる。

(7) 「注6」の機械的歯面清掃とは、歯科医師又はその指示を受けた歯科衛生士が、歯科用の切削回転器具及び研磨用ペーストを用いて行う歯垢除去等をいい、歯科疾患管理料を算定した日において算定する。また、機械的歯面清掃加算を算定する日が属する月の翌月及び区分番号I011―2に掲げる歯周病安定期治療を算定した日は算定できない。なお、主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、患者に対して機械的歯面清掃を行った場合においては、主治の歯科医師は当該歯科衛生士の氏名を診療録に記載する。

(8) 再診が電話等により行われた場合は、歯科疾患管理料は算定できない。

(9) 「注7」に規定するう蝕多発傾向者とは、継続的な指導管理が必要な者であって、う蝕多発傾向者の判定基準の左欄の年齢に応じて右欄の歯冠修復終了歯を有するものをいう。う蝕多発傾向者と判定した患者に対して、「注7」及び「注8」に規定する指導を継続的に行う場合は、当該指導を最初に行った日から起算して1年以内に限る。ただし、当該期間経過後、改めてう蝕多発傾向者と判定された場合は、「注7」及び「注8」に規定する指導管理を引き続き行うことができる。

(う蝕多発傾向者の判定基準)

年齢

歯冠修復終了歯

乳歯

永久歯

0~2歳

1歯以上

3~4歳

3歯以上

5~7歳

8歯以上及び2歯以上

8~10歳

4歯以上

11~12歳

6歯以上

(10) う蝕多発傾向者の判定基準において、(9)にかかわらず次の場合はそれぞれに規定するところにより取り扱うこと。

イ 5~7歳の者で永久歯の萌出歯が2歯未満の場合、歯冠修復終了永久歯は、う蝕多発傾向者の判定の要件としない。

ロ フッ化ジアンミン銀塗布歯は歯冠修復終了歯には含まないものであるが、3歳未満児の初期う蝕で、歯冠修復の実施が患児の非協力等により物理的に困難と判断される場合に限り、当該未処置う歯にフッ化ジアンミン銀を塗布した場合、歯冠修復終了乳歯として取り扱う。

(11) 「注7」のフッ化物局所応用による指導管理に係る加算は、次の取扱いとする。

イ 歯冠修復終了後主治の歯科医師又は主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、患者又はその家族に対しフッ化物応用に係る管理方針を説明し患者又はその家族に対し文書により提供を行った上でフッ化物の歯面塗布を行った場合に算定する。

ロ フッ化物局所応用による指導管理に用いる局所応用フッ化物製剤とは、2%フッ化ナトリウム溶液、酸性フッ化リン酸溶液をいう。

ハ フッ化物歯面塗布とは、綿球による歯面塗布法、トレー法及びイオン導入法等の通法に従い、主治の歯科医師又は歯科衛生士が3~4月ごとに局所応用を行うことをいう。

ニ 薬剤料は、当該加算の所定点数に含まれ別に算定できない。

(12) 「注8」のフッ化物洗口指導による指導管理に係る加算は、次の取扱いとする。

イ 主治の歯科医師又は主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、患者又はその家族に対しフッ化物洗口に係る指導を行い文書により提供を行った場合に算定する。

ロ フッ化物洗口に用いる薬液とは、洗口用の0.05%及び0.1%フッ化ナトリウム溶液をいう。

ハ フッ化物洗口に係る指導に当たっては、歯科医師が行った場合は次の(イ)から(ハ)の内容を含め患者に対し説明を行い、指導内容等を文書により提供した場合に限り算定する。

(イ) 洗口の方法(薬液の量やうがいの方法)及び頻度

(ロ) 洗口に関する注意事項

(ハ) 薬液の取扱い及びその保管方法

ニ 歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が指導を行った場合は、歯科医師は診療録に指示内容を記載し、歯科衛生士はハに規定する(イ)から(ハ)の内容を含め患者に対し説明を行い業務記録簿に指導内容等を記載し、その内容を文書により提供した場合に算定する。

(13) (11)のフッ化物歯面塗布と(12)のフッ化物洗口によるフッ化物局所応用の指導管理を行った場合は、いずれかの加算のみを算定する。

(14) 歯科疾患管理料を算定する保険医療機関においては、歯科疾患管理料の趣旨及び内容について、院内掲示により患者に対して情報提供を行うよう努めること。

B001―2 歯科衛生実地指導料

(1) 「1 歯科衛生実地指導料1」は、う蝕又は歯周病に罹患している患者に対して、主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、次の事項について15分以上実施した場合に算定する。

イ 歯及び歯肉等口腔状況の説明

ロ プラークチャートを用いたプラークの付着状況の指摘及び患者自身によるブラッシングを観察した上でのプラーク除去方法の指導

ハ 家庭において特に注意すべき療養指導

(2) 「2 歯科衛生実地指導料2」は、区分番号A000に掲げる初診料の「注6」に規定する加算又は区分番号A002に掲げる再診料の「注4」に規定する加算を算定している患者であって、う蝕又は歯周病に罹患しているものに対して、主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、次の事項について15分以上実施した場合又は15分以上の実地指導を行うことが困難な場合にあっては、月2回の実地指導を合わせて15分以上行った場合に算定する。

イ 歯及び歯肉等口腔状況の説明

ロ プラークチャートを用いたプラークの付着状況の指摘及び患者自身によるブラッシングを観察した上でのプラーク除去方法の指導

ハ 家庭において特に注意すべき療養指導

(3) 「注1」及び「注2」に規定する文書とは、(1)に掲げる指導等の内容、プラークの付着状況結果、指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、保険医療機関名、当該指導に係る指示を行った歯科医師の氏名及び当該指導を行った歯科衛生士の署名が記載されているものをいう。なお、当該指導を行った場合は、主治の歯科医師に報告を行うとともに、患者に提供した文書の写しを歯科衛生士業務記録簿に添付すること。

(4) 患者に対する当該指導の内容の情報提供については、「1 歯科衛生実地指導料1」を算定する場合にあっては、当該指導の初回時に行うこととし、「2 歯科衛生実地指導料2」を算定する場合にあっては、実地指導の合計が15分以上となったとき(当該指導回数が1回又は2回に限る。)に行うこととする。このほか、患者自身によるプラークコントロールの状況、指導の内容に変化があったとき等に行うものとするが、当該指導の内容に変化がない場合はこの限りでない。ただし、その場合においても3月に1回以上は当該指導の内容を文書により提供すること。

(5) 歯科医師は歯科衛生士に患者の療養上必要な指示を十分に行うとともに、歯科衛生士に行った指示内容等の要点を診療録に記載すること。

(6) 歯科衛生実地指導料を算定した保険医療機関は、毎年7月1日現在で名称、開設者、常勤非常勤ごとの歯科衛生士数等を地方厚生(支)局長に報告すること。

B002 歯科特定疾患療養管理料

(1) 歯科特定疾患療養管理料は、「特掲診療料の施設基準等」の別表第四歯科特定疾患療養管理料に規定する疾患に掲げる疾患を主病とする患者に対して、治療計画に基づき、服薬、栄養等の療養上の指導を行い、当該管理内容の要点を診療録に記載した場合に月2回に限り算定する。

(2) 「特掲診療料の施設基準等」の別表第四歯科特定疾患療養管理料に規定する疾患に掲げる疾患のうち、顎・口腔の先天異常、舌痛症(心因性によるものを含む。)、口腔軟組織の疾患(難治性のものに限る。)、口腔乾燥症(放射線治療を原因とするものに限る。)及び睡眠時無呼吸症候群(口腔内装置治療を要するものに限る。)とはそれぞれ次の疾患をいう。

イ 顎・口腔の先天異常とは後継永久歯がなく、かつ、著しい言語障害及び咀嚼障害を伴う先天性無歯症又は唇顎口蓋裂をいう。

ロ 舌痛症とは、ハンター舌炎、メラー舌炎、プランマー・ヴィンソン症候群又はペラグラであって舌の疼痛を伴うもの及び心因性によるものをいう。

ハ 口腔軟組織の疾患(難治性のものに限る。)とは、口腔の帯状疱疹、再生不良性貧血による歯肉出血、原発性血小板減少性紫斑病による歯肉出血、血友病における歯肉出血、口腔のダリェー病、口腔のベーチェット病、口腔の結核、口腔の扁平苔癬又は口腔の白板症をいう。

ニ 口腔乾燥症(放射線治療を原因とするものに限る。)とは、口腔領域以外の悪性腫瘍等の治療のため行われた放射線治療を原因とするものをいう。

ホ 睡眠時無呼吸症候群(口腔内装置治療を要するものに限る。)とは、口腔内装置治療が有効であると診断され、医科保険医療機関からの診療情報提供料の算定に基づく診療情報提供により口腔内装置治療を必要とするものをいう。

(3) 「注2」の共同療養指導計画加算は、患者の主治医(「注1」に規定する別に厚生労働大臣が定める疾患に係るものに限る。)と共同で、歯科診療に関する総合的な口腔の療養指導計画を策定し、当該患者にその内容を文書により提供した場合に、患者1人につき1回に限り算定するものである。なお、患者の症状に変化が生じる等の理由により当該計画の見直しが必要となり、改めてその内容を文書により提供した場合には、再度算定できる。

また、共同療養指導計画加算を算定した場合においては、患者に提供した療養指導計画に係る文書の写しを診療録に添付するとともに、共同療養指導計画の策定に関わった患者の主治医(「注1」に規定する別に厚生労働大臣が定める疾患に係るものに限る。)の保険医療機関名及び氏名を診療録に記載すること。

(4) 診察に基づき計画的な診療計画を立てている場合であって、必要やむを得ない場合に限り、看護に当たっている患者の家族等を通して療養上の指導を行ったときは、歯科特定疾患療養管理料を算定できる。

(5) 患者の症状、指導内容等を診療録に記載すること。

(6) 歯科特定疾患療養管理料は、別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とする者に対し、実際に主病を中心とした療養上必要な指導が行われていない場合又は実態的に主病の口腔領域における症状に対する治療が当該保険医療機関では行われていない場合には算定できない。

(7) 主病とは、当該患者の全身的な医学管理が必要となる主たる特定疾患をいうものであり、対診又は依頼により検査のみを行っている保険医療機関にあっては算定できない。

(8) 再診が電話等により行われた場合にあっては、歯科特定疾患療養管理料は算定できない。

B003 特定薬剤治療管理料

(1) アミノ配糖体抗生物質、グリコペプチド系抗生物質等を数日間以上投与している入院中の患者について、投与薬剤の血中濃度を測定し、その測定結果をもとに投与量を精密に管理した場合、月1回に限り算定する。

(2) 特定薬剤治療管理料を算定できるグリコペプチド系抗生物質とは、バンコマイシン及びテイコプラニンをいう。

(3) 薬剤の血中濃度、治療計画の要点を診療録に記載すること。

(4) 初回月加算は、投与中の薬剤の安定した血中至適濃度を得るため頻回の測定が行われる初回月に限り、注4に規定する点数を加算できるものであり、薬剤を変更した場合においては算定できない。

(5) 特殊な薬物血中濃度の測定及び計画的な治療管理のうち、特に本項を準用する必要のあるものについては、その都度当局に内議し、最も近似する測定及び治療管理として準用が通知された算定方法により算定する。

B004 悪性腫瘍特異物質治療管理料

悪性腫瘍特異物質治療管理は、悪性腫瘍と既に確定診断がされた患者に対し行った腫瘍マーカー検査に基づき実施するが、腫瘍マーカー及び悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定する場合は、医科点数表の区分番号B001の3に掲げる悪性腫瘍特異物質治療管理料及び医科点数表の区分番号D009に掲げる腫瘍マーカーの例により算定する。

B004―1―2 がん性疼痛緩和指導管理料

(1) がん性疼痛緩和指導管理料は、歯科医師ががん性疼痛の症状緩和を目的として麻薬を投与しているがん患者に対して、WHO方式のがん性疼痛の治療法(がんの痛みからの解放―WHO方式がんの疼痛治療法―第2版)に従って副作用対策等を含めた計画的な治療管理を継続して行い、療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り、当該薬剤に関する指導を行い、当該薬剤を処方した日に算定する。なお、当該指導には、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明、疼痛時に追加する臨時の薬剤の使用方法に関する説明を含めるものであること。

(2) がん性疼痛緩和指導管理料を算定する場合は、麻薬の処方前の疼痛の程度(疼痛の強さ、部位、性状、頻度等)、麻薬の処方後の効果判定、副作用の有無、治療計画及び指導内容の要点を診療録に記載すること。

B004―1―3 がん患者カウンセリング料

(1) 悪性腫瘍と診断された患者に対して、患者の心理状態を十分配慮した環境で、がん診療の経験を有する歯科医師及びがん患者の看護に従事した経験を有する看護師が適宜必要に応じてその他の職種と共同して、診断結果及び治療方法等について患者が十分に理解し、納得した上で治療方針を選択できるように説明及び相談を行った場合に算定する。

(2) 自院、他院を問わず、原則として患者1人1回に限り算定する。ただし、当該悪性腫瘍の診断を確定した後3か月を超えて新たに診断された悪性腫瘍(転移性腫瘍及び再発性腫瘍を除く。)に対して行った場合は別に算定できる。

(3) 患者の十分な理解が得られない場合又は患者の意思が確認できない場合は、算定の対象とならない。また患者を除くその家族等にのみ説明を行った場合は算定できない。

B004―1―4 入院栄養食事指導料

医科点数表の区分番号B001の10に掲げる入院栄養食事指導料の例により算定する。

B004―2 手術前医学管理料

医科点数表の区分番号B001―4に掲げる手術前医学管理料の例により算定する。

B004―3 手術後医学管理料

医科点数表の区分番号B001―5に掲げる手術後医学管理料の例により算定する。

B004―6 歯科治療総合医療管理料

(1) 歯科治療総合医療管理料は、別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とする患者であって、別の医科の保険医療機関の当該主病の担当医から歯科治療を行うに当たり、総合的医療管理が必要であるとして診療情報提供料の算定に基づく患者の全身状態等に係る診療情報提供を受けた患者に対し、必要な医療管理を行った場合に算定する。また、当該主病の担当医からの情報提供に関する内容及び担当医の所属保険医療機関名等について診療録に記載すること。

(2) 歯科治療総合医療管理料を算定する保険医療機関においては、全身状態の把握、管理等に必要な呼吸心拍監視装置等の機器、機材等が整備されていること。

(3) 歯科治療総合医療管理料は、当該主病の担当医から歯科治療を行うに当たり、全身状態の把握、管理等が必要であるとして紹介を受けた患者に対し、担当医からの情報提供等に基づき、歯科医師が次に掲げる総合的医療管理を行った場合に算定する。

また、当該医療管理料を算定する場合は、次の事項の要点を診療録に記載すること。

イ 治療内容に関する説明内容及び同意の有無

ロ 治療前、治療中における全身状態の管理(呼吸心拍監視、鎮静等)の状況

ハ 治療後における患者の体調の変化の有無(一定時間の経過観察)

ニ 患者又はその家族への説明内容(注意事項等)

(4) 歯科治療総合医療管理料は、同一暦月につき1回に限り算定できる。ただし、同一の患者について、歯科治療総合医療管理料を算定した月においては、区分番号C001―4に掲げる在宅患者歯科治療総合医療管理料は算定できない。

(5) 歯科治療総合医療管理料には、呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープ及び簡単な鎮静の費用が含まれ、別に算定できない。

(6) 主病とは、当該患者の全身的な医療管理が必要となる主たる疾患をいう。

B004―9 介護支援連携指導料

(1) 介護支援連携指導料は、入院の原因となった疾患・障害や入院時に行った患者の心身の状況等の総合的な評価の結果を踏まえ、退院後に介護サービスを導入することが適当であると考えられ、また、本人も介護サービスの導入を望んでいる患者が、退院後により適切な介護サービスを受けられるよう、入院中から居宅介護支援事業者等の介護支援専門員(ケアマネジャー)と連携し退院後の介護サービス計画(ケアプラン)作成につなげることを評価するものである。

(2) 介護支援連携指導料は、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた看護師、歯科衛生士、社会福祉士、薬剤師、言語聴覚士、その他、退院後に導入が望ましい介護サービスから考え適切な医療関係職種が、患者が入院前にケアプラン作成を担当していた介護支援専門員又は退院後のケアプラン作成を行うため患者が選択した居宅介護支援事業者若しくは介護施設の介護支援専門員と共同して、患者に対し、患者の心身の状況等を踏まえ導入が望ましいと考えられる介護サービスや、当該地域において提供可能な介護サービス等の情報を提供した場合に入院中2回に限り算定できるものである。

(3) 初回の指導は、入院の原因となった疾患が比較的落ち着いた段階で、退院後の生活を見越し、当該地域で導入可能な介護サービス等の情報について、患者や医療関係者と情報共有することで、患者がより適切な療養場所を選択することに資するものであり、2回目の指導は、実際の退院を前に、最終的なケアプラン作成のための指導を行う等の指導を想定したものである。

(4) 介護支援連携指導料の算定に当たっては、行った指導の内容等について、患者又はその家族等に提供した文書の写しを診療録に添付し、当該文書の内容以外に療養上必要な指導内容がある場合は、その要点を診療録に記載する。

(5) 介護支援連携指導料を算定するにあたり共同指導を行う介護支援専門員は、介護サービスの導入を希望する患者の選択によるものであり、患者が選択した場合には、当該保険医療機関に併設する居宅介護事業所等の居宅介護支援専門員であっても介護支援連携指導料の算定を妨げるものではない。

(6) 同一日に区分番号B015に掲げる退院時共同指導料2の注3に規定する加算の算定すべき居宅介護支援専門員を含めた共同指導を行った場合には、介護支援連携指導料あるいは退院時共同指導料2の注3に掲げる加算の両方を算定することはできない。

B005 開放型病院共同指導料(Ⅰ)

医科点数表の区分番号B002に掲げる開放型病院共同指導料(Ⅰ)の例により算定する。

B006 開放型病院共同指導料(Ⅱ)

医科点数表の区分番号B003に掲げる開放型病院共同指導料(Ⅱ)の例により算定する。

B006―3 がん治療連携計画策定料、B006―3―2 がん治療連携指導料

(1) がん治療連携計画策定料、がん治療連携指導料は、がん診療連携拠点病院等を中心に策定された地域連携診療計画に沿ったがん治療に関わる保険医療機関の連携により、がん患者に対して地域における切れ目のない医療が提供されることを評価したものである。

(2) 地域連携診療計画は、あらかじめがん診療連携拠点病院等において、がんの種類や治療方法等ごとに作成され、当該がん診療連携拠点病院等からの退院後の治療を共同して行う複数の連携保険医療機関との間で共有して活用されるものであり、病名、ステージ、入院中に提供される治療、退院後、計画策定病院で行う治療内容及び受診の頻度、連携保険医療機関で行う治療の内容及び受診の頻度、その他必要な項目が記載されたものであること。

(3) がん治療連携計画策定料は、がんと診断され、がんの治療目的に初回に入院した際に、地域連携診療計画に沿って治療を行うことについて患者の同意を得た上で、地域連携診療計画に基づく個別の患者ごとの治療計画を作成するとともに、説明し、それを文書にて患者又はその家族に提供した場合に、退院時に計画管理病院において算定する。その際、患者に交付した治療計画の写しを診療録に添付すること。

(4) 入院時には病理診断の結果が出ない等の理由で、個別の患者の治療計画を策定できない場合であっても、退院後の療養を地域連携診療計画に基づき、連携保険医療機関と協力して行うことについて患者の同意を得た上で、適用する可能性のある地域連携診療計画やその場合の連携保険医療機関等について説明した場合にあっては、退院時において算定可能とする。この場合、退院後に個別の治療計画を策定するとともに、文書にて患者又はその家族に提供し、交付した治療計画の写しを診療録に添付していること。

(5) 計画策定病院は、治療計画に基づき、患者に対して治療を提供するとともに、患者の同意を得て、適切に連携病院と情報共有を図るとともに、必要に応じて適宜治療計画を見直すものとする。

(6) がん治療連携指導料は、連携保険医療機関において、患者ごとに作成された治療計画にもとづく診療を提供し、計画策定病院に対し患者の診療に関する情報提供をした際に算定する。計画策定病院に対する情報提供の頻度は、基本的には治療計画に記載された頻度に基づくものとするが、患者の状態の変化等により、計画策定病院に対し治療方針等につき、相談・変更が必要となった際に情報提供を行った際にも算定できるものである。

B007 退院前訪問指導料

医科点数表の区分番号B007に掲げる退院前訪問指導料の例により算定する。

B008 薬剤管理指導料

医科点数表の区分番号B008に掲げる薬剤管理指導料の例により算定する。

B009、B010 診療情報提供料

医科点数表の区分番号B009又は医科点数表の区分番号B010に掲げる診療情報提供料の例により算定する。

B011―3 薬剤情報提供料

医科点数表の区分番号B011―3に掲げる薬剤情報提供料の例により算定する。

B011―4 退院時薬剤情報管理指導料

医科点数表の区分番号B014に掲げる退院時薬剤情報管理指導料の例により算定する。

B012 傷病手当金意見書交付料

医科点数表の区分番号B012に掲げる傷病手当金意見書交付料の例により算定する。

B013 義歯管理料

(1) 新製有床義歯管理とは、新製有床義歯の生体との調和を主眼とした義歯の管理をいい、具体的には、当該有床義歯の着脱性、形態、適合性、咬合関係及び装着感の調整に加え、食事方法、義歯の取扱い、清掃方法及び保管方法に係る指導を含めた管理をいう。

(2) 新製有床義歯管理料は、当該有床義歯を製作した保険医療機関において、新製した有床義歯の適合性等について検査を行い、併せて患者に対して、新製した有床義歯の取扱い、保存・清掃方法等について必要な指導を行い、患者に対して当該有床義歯の管理に係る情報を文書により提供するとともに、当該文書の写しを診療録に添付し、当該文書の内容以外に療養上必要な管理事項がある場合は、診療録にその要点を記載した場合に算定する。

(3) 「注1」に規定する文書とは、欠損の状態、指導内容、保存・清掃の方法等の要点、保険医療機関名及び担当歯科医師名を記載したものをいう。

(4) 新製有床義歯管理料を算定した患者について、当該有床義歯の装着日の属する月から起算して2月以上3月以内の期間において、当該有床義歯の装着部位とは異なる部位に別の有床義歯の新製又は有床義歯の裏装を行った場合であっても、義歯管理料は1口腔単位で算定するものであることから、有床義歯管理料により算定する。

(5) 新製有床義歯管理料を算定した患者について、当該有床義歯の装着月から起算して4月以上1年以内の期間において、当該有床義歯の装着部位とは異なる部位に別の有床義歯の新製・有床義歯の裏装等を行った場合は、義歯管理料は1口腔単位で算定するものであることから、有床義歯長期管理料を算定する。

(6) 有床義歯管理とは、有床義歯による口腔機能の回復を主眼とした義歯管理をいい、具体的には、口腔機能の回復が困難な場合又は適合性が極めて低い場合の有床義歯の調整に加えて、有床義歯による機能回復に着目した指導を含めた管理をいう。

(7) 有床義歯管理料は、有床義歯を新製した保険医療機関において製作した有床義歯の装着日の属する月から起算して2月以上3月以内の期間において、有床義歯の着脱性、疼痛、嘔吐感、嚥下時痛等の症状の有無に応じて検査を行い、併せて患者に対して義歯の状態を説明した上で、義歯に係る指導等を行った場合であって、必要に応じ実施した検査の結果、調整方法、調整部位及び義歯に係る指導内容の要点を診療録に記載した場合に月1回に限り算定する。

(8) 有床義歯の新製を前提に旧義歯の修理を行う場合は、修理を行った月は有床義歯管理料を算定し、有床義歯の新製後に新製有床義歯管理料を算定する。

(9) 有床義歯の新製した月と同一月に、当該有床義歯とは別の欠損部位の有床義歯の修理又は床裏装を行った場合、修理又は有床義歯内面適合法(有床義歯床裏装)の費用の算定は別に算定できる。この場合において、義歯管理料は1口腔単位として算定するものであることから、新製有床義歯管理料又は有床義歯管理料のいずれかにより算定する。

(10) 区分番号I022に掲げる有床義歯床下粘膜調整処置を行い、有床義歯の新製又は床裏装を予定している場合は、義歯管理料は算定しない。この場合において、当該有床義歯の新製後又は床裏装後に新製有床義歯管理料又は有床義歯管理料を算定する。

(11) 別の保険医療機関で製作した有床義歯の管理については、装着する日の属する月であっても有床義歯管理料により算定する。

(12) 有床義歯長期管理とは、有床義歯により回復した口腔機能の維持を主眼とした有床義歯の長期的な管理をいい、具体的には、生体及び義歯の適合状態の変化に着目した長期的な管理(調整を含む。)に加えて、口腔機能の維持や低下の程度に対する評価等を含めた管理をいう。

(13) 有床義歯長期管理料は、新製有床義歯の装着月から起算して4月以上1年以内の期間において検査を行い、併せて適合を図るための調整又はその取扱い等の管理について、当該有床義歯を製作した保険医療機関である場合に、当該期間中、月1回を限度として算定できる。なお、有床義歯長期管理料の算定に当たっては、有床義歯の調整方法、調整部位等を診療録に記載する。

(14) 新製有床義歯管理料を算定した患者について、有床義歯長期管理を終了し、新製有床義歯の装着月から起算して1年を超えた期間において、当該有床義歯の修理等により改めて有床義歯の管理を行った場合は、有床義歯管理料により算定する。

(15) 「注4」に規定する加算は、有床義歯の適正使用を推進するため、特に咬合の回復が困難な患者に対する義歯管理を評価したものであり、義歯管理料を算定した日に算定する。なお、咬合の回復が困難な患者とは、次のいずれかの要件を満たす患者をいう。

イ 総義歯を新たに装着した患者又は総義歯を装着している患者

ロ 9歯以上の局部義歯を装着し、かつ、当該局部義歯以外には対合歯間の接触関係を有しない患者

(16) 再診が電話等により行われた場合は、新製有床義歯管理料、有床義歯管理料及び有床義歯長期管理料のいずれも算定できない。

(17) 有床義歯に係る管理を行うに当たっては、「有床義歯の管理について」(平成19年11月日本歯科医学会)を参考にすること。

B013―2 有床義歯調整管理料

有床義歯調整管理料は、区分番号B013に掲げる義歯管理料のうち、有床義歯の調整に係る管理を評価したものであり、義歯管理料を算定した日の属する月と同一月において有床義歯の調整を行った日(義歯管理料を算定した日を除く。)に月2回を限度に算定する。なお、当該調整管理料の算定に当たっては、調整方法及び調整部位を診療録に記載すること。

B014 退院時共同指導料1、B015 退院時共同指導料2

(1) 退院時共同指導料1又は退院時共同指導料2は、保険医療機関に入院中の患者について、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う医科の保険医療機関と連携する別の保険医療機関の歯科医師又はその指示を受けた歯科衛生士が、当該患者が入院している保険医療機関に赴いて、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養を行う患者に対して、療養上必要な説明及び指導を、入院中の保険医療機関の保険医、看護師又は准看護師と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回(別に厚生労働大臣が定める疾患等の患者については2回)に限り、それぞれの保険医療機関において算定するものである。ただし、当該患者の退院後の在宅療養において歯科医療を行う保険医療機関の歯科衛生士と当該患者が入院中の保険医療機関の准看護師が共同して在宅での療養上必要な説明及び指導を行う場合には、歯科医療を担当する保険医療機関の歯科医師及び入院中の保険医療機関の医師又は看護師の指示を受けて行うこと。なお、ここでいう入院とは、第1章第2部通則4に定める入院期間が通算される入院のことをいう。

(2) 退院時共同指導料は、患者の家族等退院後患者の看護を担当する者に対して指導を行った場合にも算定できる。

(3) 行った指導の内容等について、要点を診療録に記載するとともに、患者又はその家族等に提供した文書の写しを診療録に添付すること。

(4) 退院時共同指導料1の「1」は、在宅療養支援歯科診療所の歯科医師が当該患者に対して、在宅療養を担う保険医療機関との連携により、患者又はその家族等の求めに対して迅速な歯科訪問診療が可能な体制を確保し、当該担当者及び当該担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号、診療可能日等並びに緊急時の注意事項等について、事前に患者又はその家族等に対して説明の上、文書により提供した場合に算定できる。

(5) 退院時共同指導料1を算定した場合は、区分番号A000に掲げる初診料、区分番号A002に掲げる再診料及び区分番号B005に掲げる開放型病院共同指導料(Ⅰ)は別に算定できない。ただし、当該指導を行った日に歯科訪問診療を行った場合にあっては、この限りでない。

(6) 当該患者が入院している保険医療機関と当該患者を紹介した保険医療機関とが特別の関係にある場合は、退院時共同指導料は算定できない。

(7) 退院時共同指導料は、退院後に在宅での療養を行う患者が算定の対象となり、他の保険医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設に入院若しくは入所する患者又は死亡退院した患者については、対象とはならない。

(8) 退院時共同指導料2の「注2」に規定する加算は、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、当該患者が入院している保険医療機関の保険医と地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医が共同して行った場合に算定する。

(9) 退院時共同指導料2の「注3」に規定する加算は、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、当該患者が入院している保険医療機関の保険医が、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医、看護師若しくは准看護師、保険医である歯科医師若しくはその指示を受けた歯科衛生士、保険薬局の薬剤師、訪問看護ステーションの看護師、理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士又は介護支援専門員のいずれかのうち3者以上と共同して行った場合に算定する。

(10) 退院時共同指導料2の「注3」に規定する指導と同一日に行う「注2」に規定する指導に係る費用は、「注3」に規定する加算に含まれ別に算定できない。

B017 肺血栓塞栓症予防管理料

(1) 肺血栓塞栓症予防管理料は、肺血栓塞栓症を発症する危険性が高い患者に対して、肺血栓塞栓症の予防を目的とし、必要な医学管理を行った場合を評価するものである。

(2) 肺血栓塞栓症予防管理料は、病院(療養病棟を除く。)又は診療所(療養病床に係るものを除く。)に入院中の患者であって、肺血栓塞栓症を発症する危険性の高いものに対して、肺血栓塞栓症の予防を目的として、弾性ストッキング(患者の症状により弾性ストッキングが使用できないなどやむを得ない理由により使用する弾性包帯を含む。)又は間歇的空気圧迫装置を用いて計画的な医学管理を行った場合に、入院中1回に限り算定する。なお、当該管理料は、肺血栓塞栓症の予防を目的として弾性ストッキング又は間歇的空気圧装置を用いた場合に算定できるものであり、薬剤のみで予防管理を行った場合には算定できない。また、医科点数表の第1章第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院の場合においても、それぞれの入院において入院中1回算定できるものであること。

(3) 肺血栓塞栓症の予防を目的として使用される弾性ストッキング及び間歇的空気圧迫装置を用いた処置に要する費用は所定点数に含まれる。なお、肺血栓塞栓症の予防を目的として弾性ストッキングが複数使用される場合であっても、当該費用は所定点数に含まれる。また、同一の弾性ストッキングを複数の患者に使用しないこと。

(4) 肺血栓塞栓症の予防に係る計画的な医学管理を行うに当たっては、関係学会より示されている標準的な管理方法を踏まえ、医師との緊密な連携の下で行い、患者管理が適切になされるよう十分留意すること。

B018 医療機器安全管理料

(1) 医療機器安全管理料は、歯科医師の指示の下に、放射線治療機器の安全管理、保守点検及び安全使用のための精度管理を行う体制を評価したものであり、当該保険医療機関において、患者に対して照射計画に基づく放射線治療が行われた場合、一連の照射につき当該照射の初日に1回に限り算定する。

(2) 放射線治療機器とは、高エネルギー放射線治療装置(直線加速器)及びガンマナイフ装置をいう。

(3) 医療機器安全管理料を算定する当該保険医療機関においては、医療機器の安全使用のための職員研修を計画的に実施するとともに、医療機器の保守点検に関する計画の策定、保守点検の適切な実施及び医療機器の安全使用のための情報収集等が適切に行われていること。

第2部 在宅医療

C000 歯科訪問診療料

(1) 歯科訪問診療は常時寝たきりの状態等であって、在宅等において療養を行っており、疾病、傷病のため通院による歯科治療が困難な患者を対象とし、療養中の当該患者の在宅等から屋外等への移動を伴わない屋内で診療を行った場合に限り算定できる。なお、歯科訪問診療を行うに当たっては、「歯科訪問診療における基本的考え方」(平成16年日本歯科医学会)を参考とすること。

(2) 保険医療機関が、当該保険医療機関と別添1の第1章第2部通則7(3)に規定する特別の関係にある施設等に訪問して歯科診療を行った場合においては、歯科訪問診療料は算定できない。

(3) 歯科訪問診療を行った後に、患者又はその家族等が単に薬剤を受け取りに保険医療機関に来た場合は、再診料は算定できない。

(4) 「注1」及び「注2」に規定する「在宅等」には、介護老人保健施設、特別養護老人ホームのほか、歯科、小児歯科、矯正歯科又は歯科口腔外科を標榜する保険医療機関以外の保険医療機関も含まれ、これらに入院する患者についても算定する。

(5) 「歯科訪問診療2」は、「同一建物居住者」に対して保険医療機関の保険医が同一日に訪問診療を行う場合であって、当該患者を診療した時間が当該患者1人につき20分以上になる場合に算定する。同一建物居住者とは、基本的には、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に掲げる建築物に居住する複数の者のことをいうが、具体的には、例えば以下のような患者のことをいう。

イ 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の4に規定する養護老人ホーム、老人福祉法第20条の6に規定する軽費老人ホーム、老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホーム、老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム、マンションなどの集合住宅等の施設に入居又は入所している複数の患者

ロ 介護保険法第8条第9項に規定する短期入所生活介護、介護保険法第8条第17項に規定する小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第63条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、介護保険法第8条第18項に規定する認知症対応型共同生活介護、介護保険法第8条の2第9項に規定する介護予防短期入所生活介護、介護保険法第8条の2第16項に規定する介護予防小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第36号)第44条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、介護保険法第8条の2第17項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護などのサービスを受けている複数の患者

(6) 保険医療機関の保険医が、同一建物に居住する通院困難な患者1人のみに対し歯科訪問診療を行う場合であって、当該患者を診療した時間が20分以上になる場合は、「歯科訪問診療1」を算定する。

(7) 在宅等において療養を行っている通院が困難な患者に対し、訪問して歯科訪問診療を行った場合、診療に要した時間が当該患者1人につき20分に満たない場合は、歯科訪問診療料を算定せず、区分番号A000に掲げる初診料、区分番号A002に掲げる再診料及び第2章特掲診療料を算定する。

(8) 地域医療連携体制加算は、歯科訪問診療が必要な通院困難な患者等が安心して在宅療養等が行えるよう、複数の保険医療機関により夜間、休日及び診療を自ら行わない時間等における緊急時の歯科診療ができる連携体制が整備されているとともに歯科訪問診療料を算定する患者の同意を得て当該患者の診療に必要な情報を他の保険医療機関の保険医等に提供及び共有すること等により、緊急時の迅速、適切な連携体制が整備されていること等を評価するものである。

ただし、この場合にあっては、緊急時には連携保険医療機関の歯科医師が対応に当たることがあり得る旨を患者等に説明するとともに、当該患者の病状、直近の診療内容等、緊急時の対応に必要な診療情報を連携保険医療機関に対し文書(ファクシミリを含む。)により適宜提供すること。

なお、この連携に係る診療情報提供に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(9) 地域医療連携体制加算の算定による複数の保険医療機関により休日夜間等における緊急時の歯科診療ができる連携体制の確保が必要な場合とは、歯科訪問診療において処置、手術等が必要で治療期間中に病状が急変する可能性がある場合等をいうものであり、病状が急変する可能性がなくなった場合においては、当該加算の算定を中止すること。

(10) 地域医療連携体制加算を算定する保険医療機関にあっては、患者又はその家族等に「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(平成22年3月5日保医発第0305第3号)の様式21の3又はこれに準じた様式の文書を必ず提供していること。なお、患者に提供した文書の写しを診療録に添付した場合に算定する。

(11) 地域医療連携体制加算を算定する保険医療機関にあっては、患者又はその家族等の同意を得て、歯科訪問診療料の算定対象となる療養に必要な情報を連携保険医療機関に対してあらかじめ文書(「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の様式21の2又はこれに準じた様式の文書に限る。)をもって提供し、その写しを診療録に添付すること。また、引き続き地域医療連携体制加算の算定による緊急時等の対応が必要であり、病態の変化が生じた場合には、改めて連携保険医療機関に対し情報提供を行うこと。なお、連携保険医療機関等の変更にともない患者に対し再度の情報提供を行った場合の費用は、第1回目の費用に含まれ別に算定できない。

(12) 当該患者の病状急変時等に、連携保険医療機関の歯科医師が緊急に診療又は歯科訪問診療等を行った場合には、歯科初診料、歯科再診料、歯科訪問診療料等は、診療又は歯科訪問診療等を行った歯科医師の属する保険医療機関が算定する。

この場合、当該患者の病状急変等に対応して、診療又は歯科訪問診療等を行ったこと及びその際の診療内容等を、地域医療連携体制加算を算定する保険医療機関の主治医に速やかに報告し、当該主治医は治療の要点を当該患者の診療録に記載すること。

(13) 地域医療連携体制加算を算定する場合は、休日、夜間等における緊急時に対応し得るよう、できる限り患家に近隣の保険医療機関を連携保険医療機関とすること。

(14) 地域医療連携体制加算に係る連携保険医療機関においては、主治医から提供された患者の療養に必要な情報が記載された文書を緊急時に十分に活用できる状態で保管し、自ら当該患者を診療し診療録を作成した場合には、当該文書を診療録に添付すること。

(15) 地域医療連携体制加算は、1人の患者につき同一の初診で1回に限り算定できる。

(16) 特定の被保険者の求めに応ずるのではなく、保険診療を行う目的をもって定期又は不定期に在宅等へ赴き、被保険者(患者)を診療する場合は、歯科訪問診療として取り扱うことは認められず、歯科訪問診療料及びその他の特掲診療料は算定できない。

(17) 歯科訪問診療を行う場合は、当該患者の病状に基づいた訪問診療の計画を定めるとともに、その計画を診療録に記載すること。

(18) 「注4」の「著しく歯科診療が困難な障害者」とは、脳性麻痺等で身体の不随運動や緊張が強く体幹の安定が得られない状態、知的発達障害により開口保持ができない状態や治療の目的が理解できず治療に協力が得られない状態、重症の喘息患者で頻繁に治療の中断が必要な状態又はこれらに準ずる状態にある者をいう。なお、障害者加算を算定した日においては、患者の状態(要介護度を含む。)を診療録に記載し、専門的技法を用いた場合はその名称を併せて診療録に記載する。

(19) 「注4」の「歯科治療環境に円滑に適応できるような技法」とは、歯科診療の開始にあたり、患者が歯科治療の環境に円滑に適応できるための方法として、Tell―Show―Do法などの系統的脱感作法並びにそれに準拠した方法、オペラント法、モデリング法、TEACCH法、遊戯療法、ボイスコントロール法等の患者の行動を調整する専門的技法をいう。

(20) 「注5」に規定する加算は、保険医療機関において、標榜時間内であって、入院中の患者以外の患者に対して診療に従事しているときに、患者又は現にその看護に当たっている者から緊急に求められて歯科訪問診療を行った場合に算定する。

(21) 歯科訪問診療料を算定した場合において、それぞれの患者の診療に要した時間が1時間を超えた場合は、「注3」の加算を算定する。

(22) 「注1」、「注2」及び「注3」に規定する診療時間には、診療前の準備、診療後の片付けや患者の移動に要した時間及び併せて実施した訪問歯科衛生指導に係る時間を含まない。また、交通機関の都合その他診療の必要以外の事由によって患家に滞在又は宿泊した場合においては、その患家滞在の時間については、診療時間に算入しない。

(23) 歯科訪問診療を行った場合は、診療録に次の事項を記載すること。

イ 歯科訪問診療を行った日、実施時刻(開始時刻と終了時刻)

ロ 訪問先名(記載例:自宅、○○マンション、介護老人保健施設××苑)

ハ 通院困難となった理由

(24) 歯科訪問診療を行った場合は、診療録に、患者の状況及びその他患者に提供した療養上必要な事項に関する情報等を記載すること。

(25) 疾病等のため通院による歯科治療が困難な場合以外の歯科訪問診療の必要性を認めない患者については、歯科訪問診療料及び歯科診療に係る費用は算定しない。

(26) 「注3」の加算は、患者それぞれについて算定するものであり、複数の患者に対し訪問して歯科診療を行った場合の診療時間を合算することはできない。

(27) 「注5」に規定する「別に厚生労働大臣が定める時間」とは、保険医療機関において専ら診療に従事している時間であって、概ね午前8時から午後1時までの間とする。

(28) 加算の対象となる緊急な場合とは、患者又は現にその看護に当たっている者からの訴えにより、速やかに歯科訪問診療をしなければならないと判断した場合をいい、手術後の急変等が予想される場合をいうものである。

(29) 夜間(深夜の時間帯を除く。)とは概ね午後6時から翌日の午前6時まで、又は午後7時から翌日の午前7時までのように、12時間を標準として各都道府県において統一的取扱いをすることとし、深夜の取扱いについては、午後10時から午前6時までとする。

(30) 保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える歯科訪問診療については、当該保険医療機関からの歯科訪問診療を必要とする絶対的な理由がある場合に認められるものであって、この場合の歯科訪問診療料の算定については、16キロメートル以内の場合と同様に取り扱う。この絶対的に必要であるという根拠がなく、特に患家の希望により16キロメートルを超える歯科訪問診療をした場合の歯科訪問診療は保険診療としては算定が認められないことから、患者負担とする。この場合において、「保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、当該保険医療機関を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に患家が所在する場合をいう。

(31) 保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートル以上の地域に居住する保険医に対して主治医が歯科訪問診療による対診を求めることができるのは、患家付近に他の保険医がいない、いても専門外である、旅行中で不在である等やむを得ない絶対的理由のある場合に限り認められるものである。

(32) 「注8」に規定する交通費は実費とする。

(33) その他、歯科訪問診療料の取扱いについては、平成6年厚生省告示第235号による改正前の往診料に関する既往の通知が引き続き有効であるが、この場合において、当該通知中「往診」とあるのは「歯科訪問診療」と読み替えてこれを適用する。

(34) 「注9」に規定する在宅患者等急性歯科疾患対応加算は、歯科訪問診療において、急性症状の発症時等に即応できる歯科訪問診療の環境を整備する取組を評価するものであり、具体的には、歯科訪問診療料を算定している場合に、同一初診期間中の1回目の歯科訪問診療時においては、本区分の「イ 1回目」により算定し、2回目以降の歯科訪問診療時においては、本区分の「ロ 2回目以降」により算定する。ただし、「注9」に規定する在宅患者等急性歯科疾患対応加算の「イ 1回目」を算定した場合は、同一初診期間中において、区分番号A002に掲げる再診料の「注8」に規定する在宅患者等急性歯科疾患対応加算の「イ 1回目」は算定できない。

(35) 「注9」に規定する在宅患者等急性歯科疾患対応加算は、常時携行している切削器具名を診療録に記載した場合に算定する。

(36) 歯科訪問診療料を算定する保険医療機関においては、歯科訪問診療を行っている保険医療機関である旨を院内掲示により患者に対して情報提供を行うよう努めること。

C001 訪問歯科衛生指導料

(1) 訪問歯科衛生指導料は、同一初診期間中に区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料を算定した患者又はその家族等に対して、歯科訪問診療料を算定した日又は歯科訪問診療料を算定しない歯科訪問診療を行った日から起算して1月以内において、当該患者に係る歯科訪問診療を行った歯科医師の指示を受けた当該保険医療機関に勤務(常勤又は非常勤)する歯科衛生士等が、療養上必要な実地指導を行った場合に算定し、単なる日常的口腔清掃等のケアを行った場合は算定できない。

(2) 訪問歯科衛生指導料の「1 複雑なもの」とは、1人の患者に対して歯科衛生士等が1対1で20分以上実施するものをいう。

(3) 訪問歯科衛生指導料の「2 簡単なもの」とは、指導効果がある実地指導を行った場合であって次のものをいう。

イ 1回の指導における患者の人数は10人以下を標準とし、1回の指導時間は40分を超えるもの

ロ 1人の患者に対して1対1であって20分に満たないもの

(4) 訪問歯科衛生指導料を行った時間とは、実際に指導を行った時間をいうものであり、指導のための準備や患者の移動に要した時間等は含まない。

(5) 訪問歯科衛生指導料の算定を行った場合は、当該訪問指導で実施した指導内容、指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、及びその他療養上必要な事項に関する情報を患者又はその家族等に実施指導を行った歯科衛生士等が署名した文書を提供するとともに、その文書の写しを業務記録簿に添付すること。なお、訪問歯科衛生指導の終了後は、指示を受けた歯科医師に対し直接報告すること。

(6) 訪問歯科衛生指導を行った場合は、歯科医師は診療録に、日付、訪問先名(記載例:自宅、○○マンション、介護老人保健施設××苑)、通院困難な理由、指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)を記載すること。

(7) 歯科医師は訪問歯科衛生指導に関し、歯科衛生士等に指示した内容を診療録に記載する。

(8) 訪問歯科衛生指導を行った場合において、歯科衛生士等は実地指導に係る記録を作成し、患者氏名、訪問先、指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、指導の要点、主訴の改善、食生活の改善等に関する要点及び実施指導を行った歯科衛生士等が署名し、主治の歯科医師に報告する。

(9) 訪問歯科衛生指導料を算定する場合は、区分番号B001―2に掲げる歯科衛生実地指導料は算定できない。

(10) 「注3」に規定する交通費は実費とする。

(11) 訪問歯科衛生指導料を算定した保険医療機関は、毎年7月1日現在で名称、開設者及び常勤、非常勤ごとの歯科衛生士数等を地方厚生(支)局長に報告する。

C001―3 歯科疾患在宅療養管理料

(1) 歯科疾患在宅療養管理料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関である在宅療養支援歯科診療所又は歯科診療を行うその他の保険医療機関において、在宅等において療養を行っている通院困難な患者の歯科疾患の継続的な管理を行うことを評価するものであり、患者又はその家族の同意を得た上で、患者又はその家族に対して、歯科疾患の状況等を踏まえた管理計画の内容について説明し、文書により提供した場合に算定する。なお、当該管理料を算定する場合は、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料、B002に掲げる歯科特定疾患療養管理料及びN002に掲げる歯科矯正管理料は別に算定できない。

(2) 「注1」に規定する管理計画書(当該管理計画書の様式は、「別紙様式3」又はこれに準じた様式とする。)とは、管理計画書の提供年月日、全身の状態(基礎疾患の有無、服薬状況等)、口腔内の状態(口腔衛生の状況、口腔乾燥の有無、う蝕及び歯周疾患の有無、有床義歯の使用状況、臼歯部の咬合状態等)、及び管理方法の概要、保険医療機関名及び当該管理の担当歯科医師名等の情報を記載したものをいう。なお、歯科疾患在宅療養管理料の算定に当たっては、患者又はその家族に対して、管理計画書を提供する場合にあっては、提供した管理計画書の写しを診療録に添付し、管理計画書の内容以外に療養上必要な管理事項がある場合はその要点を診療録に記載すること。また、管理計画書を提供しない場合にあっては、当該管理内容の要点を診療録に記載すること。

(3) 管理計画書の提供時期については、当該管理を開始する時期、管理計画の内容に変更があったとき、一連の補綴治療が終了したとき及びその他療養上必要な時期に提供するものとするが、当該管理計画に変更がない場合はこの限りではない。ただし、この場合においても、前回の管理計画書の提供日から起算して3月を超える日までに1回以上提供するものとする。なお、歯周疾患に罹患している患者に対して、初めて管理計画書を作成するに当たっては、歯周組織検査を実施し、その結果を踏まえた上で歯周疾患に対する治療方針等を含めた管理計画書を作成し、2回目以降の管理計画書については、歯周疾患の治療の進捗状況を踏まえたものとすること。

(4) 歯科疾患在宅療養管理料を算定した月においては、患者に対しては、管理計画書を提供しない場合にあっても、少なくとも1回以上の歯科疾患の管理を行うこと。なお、当該管理を行った場合は、その要点を診療録に記載すること。

(5) 「注2」に規定する管理計画書とは、口腔機能の状態(咀嚼機能の状態、摂食・嚥下機能の状況及び構音機能の状況、食形態、口腔ケアに対するリスク等)及び管理方法の概要、保険医療機関名及び当該管理の担当歯科医師名等の情報を記載したものをいう。なお、口腔機能管理加算の算定に当たっては、患者又はその家族に対して、当該管理計画書を提供する場合にあっては、提供した管理計画書の写しを診療録に添付し、当該計画書の内容以外に療養上必要な管理事項がある場合は、その要点を診療録に記載すること。

(6) 口腔機能管理加算は、歯科疾患在宅療養管理料を算定した日において、在宅療養支援歯科診療所に属する歯科医師が、患者に対し歯科訪問診療を行った場合であって、当該患者の口腔機能の評価を行い、当該評価結果を踏まえて管理計画書を作成し、当該患者又はその家族に提供した場合に算定する。

(7) 歯科疾患在宅療養管理料は、区分番号B013に掲げる義歯管理料を算定している患者に対しても、歯科疾患の状況、口腔機能の評価を踏まえた口腔機能管理を行った場合は算定できる。ただし、無歯顎の患者であって、総義歯に係る管理を行っている患者については、軟膏等薬剤による治療が必要な口腔粘膜疾患等(「特掲診療料の施設基準等」の別表第四歯科特定疾患療養管理料に規定する疾患に掲げる疾患を除く。)を有している患者であって、現に当該疾患に係る治療(有床義歯に係る治療を除く。)を行っている場合は算定できる。

(8) 「注4」の機械的歯面清掃とは、歯科医師又はその指示を受けた歯科衛生士が歯科用の切削回転器具及び研磨用ペーストを用いて行う歯垢除去等をいい、歯科疾患在宅療養管理料を算定した日において算定する。また、その算定に当たっては、機械的歯面清掃加算を算定する日が属する月の翌月及び区分番号I011―2に掲げる歯周病安定期治療を算定した日は算定できない。なお、主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、患者に対して機械的歯面清掃を行った場合においては、主治の歯科医師は機械的歯面清掃を行った当該歯科衛生士の氏名を診療録に記載する。

(9) 再診が電話等により行われた場合は、歯科疾患在宅療養管理料は算定できない。

C001―4 在宅患者歯科治療総合医療管理料

(1) 在宅患者歯科治療総合医療管理料は、別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とする患者であって、別の医科保険医療機関の当該主病の担当医から在宅で歯科治療を行うに当たり、総合的医療管理が必要であるとして診療情報提供料算定による患者の全身状態等に係る情報提供を受けた患者に対し、必要な総合的医療管理を行った場合に算定する。また、当該主病の担当医からの情報提供に関する内容及び担当医の所属保険医療機関名等について診療録に記載すること。

(2) 在宅患者歯科治療総合医療管理料を算定する保険医療機関においては、在宅歯科医療における全身状態の把握、管理等に必要な呼吸心拍監視装置等の機器、機材等が整備されていること。

(3) 在宅患者歯科治療総合医療管理料は、当該主病の担当医から歯科治療を行うに当たり、全身状態の把握、管理等が必要であるとして紹介を受けた患者に対し、担当医からの情報提供等に基づき、歯科医師が次に掲げる総合的医療管理を行った場合に算定する。

また、当該医療管理料を算定する場合は、次の事項について、要点を診療録に記載すること。

イ 治療内容に関する説明内容及び同意の有無

ロ 治療前、治療中における全身状態の管理(呼吸心拍監視、鎮静等)の状況

ハ 治療後における患者の体調の変化の有無(一定期間の経過観察)

ニ 患者又はその家族への説明内容(注意事項等)

(4) 在宅患者歯科治療総合医療管理料は、同一暦月につき1回に限り算定できる。ただし、同一の患者について、在宅患者歯科治療総合医療管理料を算定した月と同一月においては、区分番号B004―6に掲げる歯科治療総合医療管理料は算定できない。

(5) 在宅患者歯科治療総合医療管理料には、呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープ及び簡単な鎮静の費用が含まれ、別に算定できない。

(6) 主病とは、当該患者の全身的な医療管理が必要となる主たる疾患をいう。

C002 救急搬送診療料

医科点数表の区分番号C004に掲げる救急搬送診療料の例により算定する。

C003 在宅患者訪問薬剤管理指導料

医科点数表の区分番号C008に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料の例により算定する。

C004 退院前在宅療養指導管理料

医科点数表の区分番号C100に掲げる退院前在宅療養指導管理料の例により算定する。

C005 在宅悪性腫瘍患者指導管理料

医科点数表の区分番号C108に掲げる在宅悪性腫瘍患者指導管理料の例により算定する。

C007 在宅患者連携指導料

(1) 在宅患者連携指導料は、在宅での療養を行っている患者の診療情報等を、当該患者の診療等を担う保険医療機関等の医療関係職種間で文書等により共有し、それぞれの職種が当該診療情報等を踏まえ診療等を行う取組を評価するものである。

例えば、在宅での療養を行っている一人の患者に対して、医科の保険医療機関の保険医と保険医である歯科医師がそれぞれ訪問診療により当該患者の診療を担っている場合において、保険医である医師が訪問診療を行った際に得た当該患者の全身の状態に関する診療情報を保険医である歯科医師に対して文書等で提供し、保険医である歯科医師が当該患者に訪問診療を行った際に、その情報を踏まえた指導を行った場合に算定できる。

(2) 在宅での療養を行っている患者であって通院が困難な者に対して、患者の同意を得て、月2回以上医療関係職種間で文書等(電子メール、ファクシミリでも可)により共有された情報を基に、指導等を行った場合に、月1回に限り算定する。なお、当該指導等を患者の家族に対して行った場合でも算定できる。

(3) 単に医療関係職種間で当該患者に関する診療情報を交換したのみの場合や訪問看護や訪問薬剤指導を行うよう指示を行ったのみでは算定できない。

(4) 他職種から情報提供を受けた場合、できる限り速やかに患者への指導等に反映させるよう留意しなければならない。また、当該患者の療養上の指導に関する留意点がある場合には、速やかに他職種に情報提供するよう努めなければならない。

(5) 他職種から受けた診療情報の内容及びその情報提供日並びにその診療情報を基に行った診療の内容又は指導等の内容の要点及び診療日を診療録に記載すること。

(6) 特別の関係にある保険医療機関等の医療関係職種のみで診療情報を交替した場合は算定できない。

C008 在宅患者緊急時等カンファレンス料

(1) 在宅患者緊急時等カンファレンス料は、在宅での療養を行っている患者の状態の急変や診療方針の変更等の際、当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等が一堂に会しカンファレンスを行うことにより、より適切な治療方針を立てること及び当該カンファレンスの参加者の間で診療方針の変更等の的確な情報共有を可能とすることは、患者及びその家族が安心して療養生活を行う上で重要であることから、そのような取組に対して評価するものである。

(2) 在宅患者緊急時等カンファレンス料は、在宅での療養を行っている患者の病状が急変した場合や、診療方針の大幅な変更等の必要が生じた場合に、患家を訪問し、関係する医療関係職種等が共同でカンファレンスを行い、当該カンファレンスで共有した当該患者の診療情報を踏まえ、それぞれの職種が患者に対し療養上必要な指導を行った場合に月2回に限り算定する。なお、当該カンファレンスを行った日と異なる日に当該指導を行った場合であっても算定できるが、当該カンファレンスを行った日以降速やかに指導を行うものであること。

(3) 在宅患者緊急時等カンファレンス料は、カンファレンスを行い、当該カンファレンスで共有した当該患者の診療情報を踏まえた療養上必要な指導を行った場合に、当該指導を行った日に算定することとし、区分番号A000に掲げる初診料、区分番号A002に掲げる再診料、区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料は併せて算定できない。

また、必要に応じ、カンファレンスを行った日以降に当該指導を行う必要がある場合には、カンファレンスを行った日以降できる限り速やかに指導を行うこと。なお、当該指導とは、区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料を算定する訪問診療とは異なるものであるが、例えば、当該指導とは別に継続的に実施している訪問診療を当該指導を行った日と同一日に行う場合には、当該指導を行った日において歯科訪問診療料を合わせて算定することは可能であること。

(4) 当該カンファレンスは、原則として患家で行うこととするが、患者又はその家族が患家以外の場所でのカンファレンスを希望する場合はこの限りでない。

(5) 在宅での療養を行っている患者の診療を担う保険医は、当該カンファレンスに参加した医療関係職種等の氏名、カンファレンスの要点、患者に行った指導の要点及びカンファレンスを行った日を診療録に記載すること。

(6) 特別の関係にある保険医療機関等の医療関係職種等のみでカンファレンスを行った場合は算定できない。

第3部 検査

通則

1 検査に用いた薬剤料は別に算定できるが、投薬及び注射の手技料は別に算定できない。

2 検査料の項に掲げられていない検査のうち、スタディモデル及び簡単な検査の検査料は基本診療料に含まれ、算定できないが、特殊な検査の検査料はその都度当局に内議し、最も近似する検査として準用が通知された算定方法により算定する。なお、準用した場合には、特に定める場合を除き、準用された項目に係る注についても、同時に準用されるものとする。また、腫瘍マーカーについては、医科点数表の区分番号D009に掲げる腫瘍マーカーの例により算定する。

3 各区分における検査の実施に当たっては、その検査結果を診療録へ記載又は検査結果がわかる記録を診療録に添付すること。

4 第3部に規定する検査料以外の検査料の算定は、医科点数表の例により算定する。

5 咀嚼機能検査については算定できない。

第1節 検査料

D000 電気的根管長測定検査

電気的根管長測定検査は、電気的抵抗を応用して根管長を測定するものであり、1歯につき1回に限り所定点数を算定する。ただし、2以上の根管を有する歯にあっては、2根管目以上については1根管を増すごとに所定点数に15点を加算する。

D001 細菌簡易培養検査

細菌簡易培養検査は、感染根管処置後の根管貼薬処置期間中に行った場合に、1歯1回につき算定する。なお、微生物学的検査判断料は、所定点数に含まれ別に算定できない。

D002 歯周組織検査

(1) 歯周組織検査とは、歯周病の診断に必要な歯周ポケット測定、プロービング時の出血の有無、歯の動揺度の検査、プラークの付着状況の検査及び歯肉の炎症状態の検査をいい、当該検査は、1口腔単位で実施するものである。また、2回目以降の歯周組織検査は、歯周基本治療等の効果、治療の成否、治療に対する反応等を把握し、治癒の判断又は治療計画の修正及び歯周外科手術を実施した後に歯周組織の変化の比較検討等を目的として実施するものである。歯周組織検査の実施については、「歯周病の診断と治療に関する指針」(平成19年11月日本歯科医学会)を参考とすること。

(2) 歯周基本検査及び歯周精密検査の費用は、当該検査を実施した歯数により算定する。

ただし、残根歯(歯内療法、根面被覆処置を行って積極的に保存した残根を除く。)は歯数に数えない。

(3) 歯周基本検査は、1点法以上の歯周ポケット測定及び歯の動揺度検査を行った場合に算定する。

(4) 歯周精密検査は、4点法による歯周ポケット測定、プロービング時の出血の有無、歯の動揺度及びプラークチャートを用いてプラークの付着状況を検査した場合に算定する。

(5) 混合歯列期歯周組織検査は、混合歯列期の患者に対して、歯肉の発赤・腫脹の状態及び歯石沈着の有無を確認し、プラークチャートを用いてプラークの付着状況を検査した上で、歯周組織の状態及び歯牙年齢等を勘案し、プロービング時の出血の有無又は1点法以上の歯周ポケット測定のうちいずれか1つ以上の検査を行った場合に算定する。なお、混合歯列期歯周組織検査に基づく歯周基本治療は、区分番号I011の1に掲げるスケーリングにより算定する。また、混合歯列期の患者の歯周組織の状態及び歯牙年齢等により当該検査以外の歯周組織検査を行う場合は、十分に必要性を考慮した上で行い、その算定に当たっては、本区分の規定による。

D003―2 口腔内写真検査

(1) 「口腔内写真検査(1枚につき)」は、「注」に規定する歯周疾患の状態を示す方法として、歯周組織の状態をカラー写真での撮影又はこれに準ずる方法で行う。なお、口腔内写真の撮影については、「歯周病の診断と治療に関する指針」(平成19年11月日本歯科医学会)の「口腔内カラー写真」を参考とすること。

(2) 口腔内カラー写真には、患者の氏名及び撮影した年月日を明記する。

(3) フィルム代等の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 撮影した口腔内カラー写真を、診療録に添付すること。

D004 平行測定(1装置につき)

平行測定検査は、ブリッジの支台歯形成に当たり、実施した場合にそれぞれ1装置について1回に限り、次の区分に従い所定点数を算定する。

(1) 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が5歯以下の場合

平行測定器を用いて支台歯間の平行関係の測定を行った場合には、「1 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が5歯以下の場合」の所定点数により算定する。

(2) 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が6歯以上の場合

支台歯間の平行関係につき、模型を製作しサベイヤー等で測定した場合には、「2 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が6歯以上の場合」の所定点数により算定する。なお、模型製作に要する費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

製作した模型については、欠損補綴が終了した日の属する月の翌月の初日から起算して3年を保存期間とする。ただし、製作した模型をサベイヤー等での測定結果、患者氏名及び製作年月日が判別できる状態で写真撮影し、当該写真を診療録に添付した場合にあっては、算定を行った日の属する月の翌月の初日から起算して3月を保存期間とする。なお、写真撮影に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

D009 顎運動関連検査

(1) 顎運動関連検査とは、顎運動に関する一連の検査を評価したものであり、下顎運動路描記法(MMG)、ゴシックアーチ描記法、パントグラフ描記法及びチェックバイト検査をいい、検査の種類及び回数にかかわらず、欠損補綴物一装置につき1回のみの算定とする。ただし、検査の種類・方法にかかわらず、1回の算定とすべき一連の顎運動関連検査の結果と同一の検査結果を活用して、複数の欠損補綴物を製作した場合にあっても、1回の算定となる。なお、計画的に欠損補綴物を製作する場合は、必要性を十分考慮した上で実施すること。

(2) 顎運動関連検査は、当該検査を実施することにより支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が6歯以上のブリッジ、多数歯欠損に対する有床義歯の適切な製作が可能となる場合又は少数歯欠損において顎運動に係る検査を実施することにより適切な欠損補綴が可能となる場合に行うものである。

(3) 下顎運動路描記法は、歯の欠損を有する患者に対して、三次元的に下顎の運動路を描記可能な歯科用下顎運動路測定器を用いて、有床義歯製作時の下顎位を決定するために行うものである。

(4) ゴシックアーチ描記法は、上顎に対する下顎の位置が不明確な患者に対して、咬合採得時の水平的顎位を決めるためにゴシックアーチトレーサーを用いて、口外法又は口内法で描記するものである。

(5) パントグラフ描記法は、全調節性咬合器を使用する場合に下顎の前方運動と側方運動を水平面と矢状面において、それぞれ連続的な運動路として描記するものである。

(6) チェックバイト検査は、下顎の偏心運動時の歯による下顎の誘導状態が不明確な患者に対して、顔弓(フェイスボウ)を使用して顎関節に対する上顎の位置関係を記録し、ワックス等の記録材を用いて咬頭嵌合位又は中心位の他に前方位及び側方位での上下顎関係を採得した上で、上下顎模型を付着した半調節性咬合器を使用して顆路傾斜度を測定するものである。

第4部 画像診断

通則

1 片側性の顎関節症で健側を対照として撮影する場合は、医科における耳・肘・膝等の対称器官と同様に、診断料、撮影料とも健側の撮影についても患側と同一部位の同時撮影を行った場合と同じ取扱いとする。

2 歯科用エックス線フィルムを使用した歯科エックス線撮影で「通則2」及び「通則3」に該当する場合は二等分法撮影に加え、必要があって埋伏歯に対し偏心投影を行った場合やう蝕歯に対し咬翼法撮影を行った場合等である。

3 全顎撮影の場合とは、歯科用エックス線フィルム10枚から14枚を用いて、全顎にわたり歯、歯槽骨等のエックス線撮影を行うものであり、診断料及び撮影料は撮影枚数にかかわらず所定点数で算定する。この場合、使用したフィルムの費用は撮影枚数に応じ14枚を限度とする。

4 全顎撮影に複数日を要した場合であっても、一連の全顎撮影として3と同様の方法で算定する。

5 デジタル撮影とは、CCDセンサー、cMOSセンサー又はイメージングプレートを用いたデジタルラジオグラフによるものをいう。

6 「通則4」に規定する時間外緊急院内画像診断加算

(1) 保険医療機関において、当該保険医療機関が表示する診療時間以外の時間、休日又は深夜に入院中の患者以外の患者に対して診療を行った際、歯科医師が緊急に画像診断を行う必要性を認め、当該保険医療機関において、当該保険医療機関に具備されている画像診断機器を用いて当該画像撮影及び診断を実施した場合に限り算定できる。

(2) 画像診断の開始時間が診療時間以外の時間、休日又は深夜に該当する場合に当該加算を算定する。なお時間外等の定義については、区分番号A000に掲げる初診料の時間外加算等における定義と同様であること。

(3) 同一患者に同一日に2回以上、時間外、休日又は深夜の診療を行い、その都度緊急の画像診断を行った場合(複数の区分にまたがる場合を含む。)においても1回のみの算定とする。

(4) 入院中の患者には当該加算は算定できない。ただし、時間外、休日又は深夜に外来を受診した患者に対し、画像診断の結果入院の必要性を認めて、引き続き入院となった場合はこの限りではない。

(5) 時間外緊急院内画像診断加算は他の保険医療機関で撮影されたフィルムを診断した場合は算定できない。

(6) 緊急に画像診断を要する場合とは、直ちに何らかの処置・手術等が必要な患者であって、通常の診察のみでは的確な診断が下せず、なおかつ通常の画像診断が整う時間まで画像診断の実施を見合わせることができないような重篤な場合をいう。

7 「通則5」に規定する電子画像管理加算

(1) 「通則5」に規定する画像を電子化して管理及び保存した場合とは、画像を電子媒体に保存して管理した場合をいい、フィルムへのプリントアウトを行った場合にも当該加算を算定することができるが、本加算を算定した場合には当該フィルムの費用は算定できない。なお、フィルムを用いた通常のエックス線撮影を行い、当該フィルムをエックス線フィルムスキャナー等で電子媒体に保存して管理した場合には、電子画像管理加算は算定できない。

(2) 電子画像管理加算は、同一の部位につき、同時に2種類以上の撮影方法を使用した場合は一連の撮影とみなし、主たる撮影の所定点数のみ算定する。

(3) 電子画像管理加算は、他の保険医療機関で撮影したフィルム等についての診断のみを行った場合には算定しない。

8 「通則6」の画像診断管理加算は、病院である保険医療機関に勤務し専ら画像診断を担当する歯科医師が、歯科パノラマ断層撮影等の読影結果を文書により当該病院の主治の歯科医師に報告した場合に月の最初の診断の日に算定する。この場合、報告された文書又はその写しを診療録に添付する。

9 遠隔画像診断を行った場合は、送信側の保険医療機関において撮影料、診断料及び画像診断管理加算(当該加算の算定要件を満たす場合に限る。)を算定できる。受信側の保険医療機関における診断等に係る費用については受信側、送信側の保険医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。

10 画像診断のために使用した造影剤は、区分番号E301に掲げる造影剤料により算定する。

11 エックス線写真撮影の際に失敗等により、再撮影をした場合については再撮影に要した費用は算定できない。再撮影に要した費用は、その理由が患者の故意又は重大な過失による場合を除き、当該保険医療機関の負担とする。

第1節 診断料

E000 写真診断

(1) 歯科エックス線撮影とは、歯科用エックス線フィルムを用いて撮影した場合及び専用の装置を用いてデジタル映像化処理を行った場合をいう。

(2) 歯科用エックス線フィルムとは、標準型、小児型、咬合型及び咬翼型等であって、歯、歯槽骨等の撮影に用いるフィルムをいう。

(3) 単純撮影の「その他の場合」とはカビネ、オルソパントモ型等のフィルムを顎関節全体、顎全体等に用いて撮影した場合をいう。

(4) パナグラフィー、スタタスエックス2による場合は、診断料は「1のロ その他の場合」により、撮影料は区分番号E100に掲げる歯牙、歯周組織、顎骨、口腔軟組織の「1のロ その他の場合」により算定する。

(5) デンタルゼロラジオグラフィー装置を用いた場合は、診断料は区分番号E000に掲げる写真診断の「1のイ その他の場合」により、撮影料は区分番号E100に掲げる歯牙、歯周組織、顎骨、口腔軟組織の「1のイ その他の場合」により算定する。なお、フィルム料は標準型により算定する。

(6) 単純撮影の「1のロ その他の場合」により上下顎の全顎撮影を行った場合は、2枚目までは所定点数により算定し、3枚目及び4枚目は「通則2」及び「通則3」により算定する。

(7) 特殊撮影とは、断層撮影(パントモグラフィーを含む。)、立体撮影及びキモグラフィーをいう。なお、パントモグラフィーについては、歯科パノラマ断層撮影の所定点数により算定する。

(8) 顎関節に対して選択的なパノラマ断層撮影ができる特殊装置により、顎関節疾患(発育異常、外傷、炎症、腫瘍、顎関節強直症、代謝異常、顎関節症)について、パノラマエックス線フィルム(オルソパントモ型フィルム)を使用して、咬頭嵌合位、最大開口位、安静位等の異なった下顎位で分割撮影を行った場合は、分割数にかかわらず、一連につき、診断料は「2のイ 歯科パノラマ断層撮影」により、撮影料は区分番号E100に掲げる歯牙、歯周組織、顎骨、口腔軟組織の「2のイ 歯科パノラマ断層撮影」により算定する。

(9) 顎関節の機能診断(下顎頭の運動量とその経過を計量的に比較観察する方法)を目的とする一連の規格エックス線撮影の診断料は、「2のロ 歯科パノラマ断層撮影以外の場合」により、撮影料は区分番号E100に掲げる歯牙、歯周組織、顎骨、口腔軟組織の「2のロ 歯科パノラマ断層撮影以外の場合」により算定する。

(10) (9)の「規格エックス線撮影」は、特殊な顎関節規格撮影装置を用いて、主として各顎位(中心咬合位、安静咬合位、開口経過中の異音発生位、開口経過中の発痛位、最大開口位、後退位等)における顎関節を撮影し、異位相における関節窩と下顎頭との対応状況の変化をトレーシングペーパー上に描記したものを座標上に重ねて、下顎頭の運動量とその経過を計量的に比較し経過の観察を行うものをいう。症状の変化を描記したトレーシングペーパーは診療録に添付する。

(11) 顎関節疾患について、パノラマエックス線フィルムを使用し、パノラマ断層による分割撮影を行った場合は、顎関節を構成する骨の形態及び解剖学的な相対位置、下顎窩に対する下顎頭の位置、下顎頭の移動量等の所見を診療録に記載する。

(12) 他の保険医療機関において撮影したフィルムについての診断料は、撮影方法別及び撮影部位別に1回に限り算定する。したがって、同一方法により同一部位に対して撮影したエックス線フィルムの診断については、撮影した枚数にかかわらず1回に限り算定する。

(13) 区分番号E000に掲げる写真診断の「1のロ その他の場合」、「2 特殊撮影」及び「3 造影剤使用撮影」について、一連の症状を確認するため、同一部位に対して撮影を行った場合における、2枚目以降の撮影に係る写真診断の費用については、各区分の所定点数の100分の50により算定する。

(14) 第1節に掲げる診断料は、写真診断の所見を診療録に記載した場合にそれぞれの所定点数を算定する。

(15) その他については、医科点数表の第2章第4部第1節に掲げるエックス線診断料の例により算定する。

第2節 撮影料

E100 歯牙、歯周組織、顎骨、口腔軟組織

(1) 第1節診断料の区分番号E000に掲げる写真診断の(1)から(10)までは、本区分についても同様であること。

(2) 造影剤使用撮影とは、顎関節腔、上顎洞又は唾液腺に造影剤を注入して行った場合をいう。

E101 造影剤注入手技

造影剤注入手技は、顎関節腔、上顎洞又は唾液腺に造影剤の注入を行った場合に算定する。

第3節 基本的エックス線診断料

E200 基本的エックス線診断料

医科点数表の区分番号E004に掲げる基本的エックス線診断料の例により算定する。

第4節 フィルム及び造影剤料

E300 フィルム

6歳未満の乳幼児に対して撮影を行う場合は、損耗量を考慮して材料価格に1.1を乗じて算定する。

<画像診断の端数処理方法>

(1) 小数点以下の端数がある場合は、第1節診断料と第2節撮影料及び第4節フィルム料のそれぞれについて端数処理を行い、合算した点数が請求点数となる。

(例) 同一部位に対し、同時にカビネ型2枚を使用して単純撮影(アナログ撮影)を行った場合

診断料 85点+85/2点=127.5点→128点

撮影料 65点+65/2点=97.5点→98点

カビネ2枚分のフィルム代 42円×2/10=8.4点→8点

請求点数 128点+98点+8点=234点

(2) 全顎撮影以外の歯科エックス線撮影(アナログ撮影)に限り、歯科用エックス線フィルム1枚を単位として第1節診断料、第2節撮影料及び第4節フィルム料を合算し、端数処理を行う。

(例) 1枚の場合

20点(診断料)+25点(撮影料)+(28円/10)点(フィルム料)=47.8点→48点

(例) 5枚の場合

48点(1枚当たりの請求点数)×5枚=240点

第5部 投薬

医科点数表の第2章第5部に掲げる投薬(区分番号F400に掲げる処方せん料を除く。)の例により算定する。

第5節 処方せん料

F400 処方せん料

(1) 同一の患者に対して、同一診療日に、一部の薬剤を院内において投薬し、他の薬剤を院外処方せんにより投薬する事は、原則として認められない。

万一緊急やむを得ない事態が生じこのような方法による投薬を行った場合は、当該診療報酬明細書の「摘要欄」に、その日付及び理由を記載する。なお、注射器、注射針又はその両者のみを処方せんにより投与することは認められない。

(2) (1)にいう「緊急やむを得ない事態」とは、常時院外処方せんによる投薬を行っている患者に対して、患者の症状等から緊急に投薬の必要性を認めて臨時的に院内投薬を行った場合又は常時院内投薬を行っている患者に対して当該保険医療機関で常用していない薬剤を緊急かつ臨時的に院外処方せんにより投薬した場合をいう。

(3) 同一患者に対し処方せんを交付した同日に抜歯直後等の必要から屯服薬を投与する場合、当該処方料は処方せん料に含まれる。

(4) その他については、医科点数表の区分番号F400に掲げる処方せん料((6)、(7)を除く。)の例により算定する。

第6部 注射

通則

1 第1節に掲げられていない注射であって簡単な注射は、基本診療料に包括されているため、第2節の薬剤料のみで算定する。

2 その他については、別添1の第2章第6部に掲げる通則の例により算定する。

第1節 注射料

医科点数表の第2章第6部第1節に掲げる注射料(医科点数表の区分番号G003―3に掲げる肝動脈塞栓を伴う抗悪性腫瘍剤肝動脈内注入、医科点数表の区分番号G005―4に掲げるカフ型緊急時ブラッドアクセス用留置カテーテル挿入、医科点数表の区分番号G007に掲げる腱鞘内注射、医科点数表の区分番号G008に掲げる骨髄内注射、医科点数表の区分番号G009に掲げる脳脊髄腔注射、医科点数表の区分番号G011に掲げる気管内注入、医科点数表の区分番号G012に掲げる結膜下注射、医科点数表の区分番号G012―2に掲げる自家血清の眼球注射、医科点数表の区分番号G013に掲げる角膜内注射、医科点数表の区分番号G014に掲げる球後注射、医科点数表の区分番号G015に掲げるテノン氏嚢内及び医科点数表の区分番号G016に掲げる硝子体内注射を除く。)の例により算定する。

第7部 リハビリテーション

通則

1 第1節リハビリテーション料に掲げられていないリハビリテーションのうち、簡単なリハビリテーションのリハビリテーション料は、算定できないものであるが、特殊なリハビリテーションのリハビリテーション料は、その都度当局に内議し、最も近似するリハビリテーションとして準用が通知された算定方法により算定する。

2 各区分におけるリハビリテーションの実施に当たっては全ての患者の機能訓練の内容の要点及び実施時刻(開始時刻と終了時刻)の記録を診療録等へ記載すること。

3 顎関節疾患の治療にマイオモニターを使用した場合は、1回につき医科点数表の区分番号H002に掲げる運動器リハビリテーション料の「3 運動器リハビリテーション料(Ⅲ)」の所定点数により算定する。なお、診療録にマイオモニターを用いた顎関節疾患の治療の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、治療内容、使用機器名等を記載する。

4 開口障害の治療に際して整形手術後に開口器等を使用して開口訓練を行った場合は、医科点数表の区分番号H002に掲げる運動器リハビリテーション料の「2 運動器リハビリテーション料(Ⅱ)」の所定点数により1日につき1回に限り算定する。なお、診療録に開口障害の訓練の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、訓練内容、使用器具名等を記載する。また、顎骨骨折に対する観血的手術後又は悪性腫瘍に対する放射線治療後に生じた開口障害について、開口器等を使用して開口訓練を行ったときについても同様の取扱いとする。

5 その他については、医科点数表の第2章第7部リハビリテーションに掲げる通則2及び通則3の例により算定する。

第1節 リハビリテーション料

H000 脳血管疾患等リハビリテーション料

脳血管疾患等リハビリテーション料は、医科点数表の区分番号H001に掲げる脳血管疾患等リハビリテーション料の例により算定する。ただし、音声・構音障害を持つ患者に対して言語機能に係る訓練を行った場合に算定できるものとする。

H001 摂食機能療法

(1) 摂食機能療法は、摂食機能障害を有する患者に対して、個々の患者の症状に対応した診療計画書に基づき、医師又は歯科医師若しくは医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士、看護師、准看護師、歯科衛生士、理学療法士又は作業療法士が1回につき30分以上訓練指導を行った場合に月4回を限度として算定する。ただし、治療開始日から起算して3月以内の患者に限っては、1日につき算定できる。なお、摂食機能障害者とは、発達遅滞、顎切除及び舌切除の手術又は脳血管疾患等による後遺症により摂食機能に障害がある者のことをいう。

(2) 摂食機能療法は、診療録に当該療法の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、療法の内容、使用用具等の名称等を記載するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に当該療法の実施日、実施時刻(開始時刻と終了時刻)、使用用具等の名称を記載すること。

(3) 医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士、看護師、准看護師又は歯科衛生士が行う嚥下訓練は、摂食機能療法として算定できる。

H002 障害児(者)リハビリテーション料

障害児(者)リハビリテーション料は、医科点数表の区分番号H007に掲げる障害児(者)リハビリテーション料の例により算定する。ただし、音声・構音障害を持つ患者に対して言語機能に係る訓練を行った場合に限り算定できるものとする。

H003 がん患者リハビリテーション料

(1) がん患者リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において算定するものであり、がんの種類や進行、がんに対して行う治療及びそれに伴って発生する副作用又は障害等について十分な配慮を行った上で、がんやがんの治療により生じた疼痛、筋力低下、障害等に対して、二次的障害を予防し、運動器の低下や生活機能の低下予防・改善することを目的として種々の運動療法、日常生活活動訓練、物理療法、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合について算定する。

(2) がん患者リハビリテーションは、対象となる患者に対して、歯科医師の指導監督の下、がん患者リハビリテーションに関する適切な研修を修了した言語聴覚士が個別に20分以上のリハビリテーションを行った場合を1単位として、1日につき6単位に限り算定する。また、専任の歯科医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、言語聴覚士が実施した場合と同様に算定できる。

(3) がん患者リハビリテーション料の対象となる患者は、入院中のがん患者であって、次のいずれかに該当する者をいい、当該患者の主治医である歯科医師と連携する医師が個別にがん患者リハビリテーションが必要であると認める者である。

イ 舌がん、口腔がん、その他頸部リンパ節郭清を必要とするがんにより入院し、当該入院中に放射線治療若しくは閉鎖循環式全身麻酔による手術が行われる予定の患者又は行われた患者

ロ 骨軟部腫瘍又はがんの骨転移に対して、当該入院中に患肢温存術若しくは切断術、創外固定若しくはピン固定等の固定術、化学療法又は放射線治療が行われる予定の患者又は行われた患者

ハ 当該入院中に骨髄抑制を来しうる化学療法が行われる予定の患者又は行われた患者

ニ 在宅において緩和ケア主体で治療を行っている進行がん又は末期がんの患者であって、症状増悪のため一時的に入院加療を行っており、在宅復帰を目的としたリハビリテーションが必要な患者

(4) がん患者リハビリテーションを行う際には、歯科医師及び当該歯科医師と連携する医師の定期的な診察結果に基づき、歯科医師、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等の多職種が共同して医科点数表の区分番号H003―2に掲げるリハビリテーション総合計画評価料の注に規定するリハビリテーション計画を作成していること。なお、がんのリハビリテーションに従事する者は、積極的にキャンサーボードに参加することが望ましい。

(5) がん患者リハビリテーション料を算定している患者に対して、脳血管疾患等リハビリテーション料又は障害児(者)リハビリテーション料は別に算定できない。

H008 集団コミュニケーション療法料

集団コミュニケーション療法料は、医科点数表の区分番号H008に掲げる集団コミュニケーション療法料の例により算定する。ただし、音声・構音障害を持つ患者に対して言語機能に係る訓練を行った場合に算定できるものとする。

第8部 処置

通則

1 処置の所定点数とは処置料の項に掲げられた点数及び注による加算の合計をいい、通則の加算点数は含まない。

2 通則の加算方法は処置料の所定点数に通則中の各加算を足し合わせたものの合計で算定する。

3 処置の費用としては、第1節に規定してある所定点数によるほか、所定点数が120点以上の処置又は各区分の「注」に「特定薬剤料を含む。」と記載されている場合を除いて処置に使用した特定薬剤の費用についても算定する。したがって、特定薬剤を使用して処置を行った場合は、120点以上の処置又は特に規定する処置を除いて第1節の処置料と第2節の特定薬剤料とを合算して算定する。この場合の薬剤については別に厚生労働大臣が定めるものに限られる。

4 特定薬剤料又は特定保険医療材料料の算定の単位は1回に使用した総量の価格であって、注射液の1筒ごと等の特定単位にはこだわらない。

5 第1節に掲げられていない処置のうちラバーダム防湿法及び簡単な処置の費用は基本診療料に含まれ算定できないが、特殊な処置の費用は、その都度当局に内議し、最も近似する処置として準用が通知された算定方法により算定する。

6 「通則5」による6歳未満の乳幼児又は著しく歯科診療が困難な障害者に対する加算は、第1節の所定点数の100分の50を加算する。

7 「通則5」による著しく歯科診療が困難な障害者の100分の50加算は、治療を直接行う歯科医師に加え、患者の障害に起因した行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢の保持を行うことを目的として、当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護師等が参画した場合等に限り算定するものであり、当該加算を算定した日における患者の状態を診療録に記載する。

8 6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な障害者である場合の100分の50加算は、乳幼児加算のみを算定する。

9 「通則6」の所定点数が150点とは、各区分に規定してある所定点数が150点という趣旨である。ただし、その処置・手術が全体として一体と考えられる処置を行った場合には、個々の所定点数が150点に達しなくとも、それらの合算点数が150点以上のときは加算が認められる。

10 120点以上の処置又は各区分の「注」に「麻酔料を含む。」と記載されている場合の処置の所定点数中に含まれる簡単な伝達麻酔とは、麻酔の部(第10部)に規定してある伝達麻酔以外の簡単な伝達麻酔(頤孔、後臼歯結節、大口蓋孔等)をいう。

なお、麻酔の部に規定してある区分番号K001に掲げる浸潤麻酔、圧迫麻酔については、120点以上の処置若しくは各区分の「注」に「麻酔料を含む。」と記載されている場合の処置の所定点数に含まれ別に算定できない。

11 歯科訪問診療は常時寝たきりの状態等であって通院困難な療養中の患者について実施されるものであるが、消炎鎮痛、有床義歯の調整等の訪問診療で求められる診療の重要性を考慮し、当該患者に行った区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号J000に掲げる抜歯手術(「1 乳歯」、「2 前歯」及び「3 臼歯」に限る。)、区分番号J013に掲げる口腔内消炎手術(「2 歯肉膿瘍等」に限る。)、区分番号M029に掲げる有床義歯修理について所定点数に所定点数の100分の50を加算する。

12 区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号I007に掲げる根管貼薬処置及び区分番号I008に掲げる根管充填の一連の歯内療法において、高周波療法、イオン導入法、根管拡大、根管形成、歯肉圧排、根管充填剤(材)の除去、隔壁、歯髄結石除去、根管開拡及び特定薬剤等の費用はそれぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。

第1節 処置料

第1節の処置においては、区分番号I000に掲げるう蝕処置から区分番号I021に掲げる根管内異物除去の処置のために行った区分番号K001に掲げる浸潤麻酔、圧迫麻酔等の費用については、「通則7」に該当しない場合に限り各所定点数の算定単位ごとに算定する。

I000 う蝕処置

(1) う蝕処置の費用は、1歯1回を単位として算定し、1回の処置歯数が2歯以上にわたる場合は、所定点数を歯数倍した点数により算定する。以下「1歯1回につき」等の規定のある場合の算定は、処置を行った歯数倍を乗じて算定する。

(2) 「う蝕処置」は、次の処置をいう。

イ う蝕歯の歯冠部に行った軟化象牙質の除去又は暫間充填

ロ 歯根未完成の永久歯の歯内療法実施中に、根尖部の閉鎖状態の予後観察のために行った水酸化カルシウム系糊剤等による暫間根管充填に併せて行った暫間充填

ハ 歯髄保護処置又は歯冠修復物の脱落時の再装着等を行うにあたって軟化象牙質等の除去又は燐酸セメント若しくはカルボキシレートセメント等を用いた暫間充填

ニ 抜歯禁忌症で義歯製作の必要上、やむを得ず残根歯の削合のみを行う場合は、歯数に応じて算定する。ただし、根管治療により根の保存可能な歯には適切に保存処置を行い、鋳造歯冠修復により根面を被覆した場合には、歯冠形成の費用については区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」の所定点数を、鋳造歯冠修復の費用については区分番号M010に掲げる鋳造歯冠修復の「1のイ 単純なもの」の所定点数と保険医療材料料をそれぞれ算定する。また、歯科充填用材料Ⅰにより根面を被覆した場合には、歯冠形成の費用については区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」の所定点数を、充填の費用については区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」の所定点数と保険医療材料料をそれぞれ算定する。

(3) う蝕処置、区分番号M001に掲げる歯冠形成、区分番号M001―2に掲げるう蝕歯即時充填形成及び区分番号M001―3に掲げるう蝕歯インレー修復形成等において、軟化象牙質の検査を行った場合の費用は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) う蝕処置を算定する場合においては、算定部位ごとに、使用した保険医療材料名及び処置内容等を診療録に記載すること。

I000―2 咬合調整

(1) 歯周炎又は歯ぎしりの処置のために、歯の削合を行った場合は、同一初診期間中、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のうち、いずれか1回に限り算定する。

(2) 過重圧を受ける歯牙の切縁、咬頭の過高部又は別の歯科の保険医療機関において製作された鋳造歯冠修復物等の過高部の削除を行った場合は、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のいずれかにより算定する。

(3) 咬合緊密である患者の義歯を製作するに当たり、鉤歯と鉤歯の対合歯をレスト製作のために削除した場合は、同一初診期間中、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のうち、いずれか1回に限り算定する。

(4) 歯周組織に咬合性外傷を起こしているとき、過高部の削除に止まらず、食物の流れを改善し歯周組織への為害作用を極力阻止するため歯冠形態の修正を行った場合、又は舌、頬粘膜の咬傷を起こすような場合に、歯冠形態修正(単なる歯牙削合を除く。)を行った場合は、同一初診期間中、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のうち、いずれか1回に限り算定する。なお、歯冠形態の修正を行った場合は診療録に、歯冠形態の修正理由、歯冠形態の修正箇所等を記載すること。

(5) 歯髄切断、抜髄、感染根管処置等の一連の歯内治療及び抜歯手術に伴って、患歯の安静を目的として行う歯の削合に係る費用は、区分番号I004に掲げる歯髄切断、区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号J000に掲げる抜歯手術等の所定点数に含まれ別に算定できない。

I001 歯髄保護処置

(1) 歯髄保護処置(歯髄覆罩)とは、歯髄温存療法(非侵襲性歯髄覆罩)、直接歯髄保護処置(直接歯髄覆罩)及び間接歯髄保護処置(間接歯髄覆罩)をいう。

(2) う窩の処置としての象牙質の削除を行うとともに、歯髄保護処置を行い暫間充填を行った場合は、う蝕処置と歯髄保護処置の所定点数をそれぞれ算定する。

ただし、区分番号M001―2に掲げるう蝕歯即時充填形成、区分番号M001―3に掲げるう蝕歯インレー修復形成又は区分番号I004に掲げる歯髄切断を行った場合は歯髄保護処置の点数は算定できない。

(3) 同一歯牙に2箇所以上、例えば近心と遠心とにう窩が存在する場合に、それぞれの窩洞に歯髄保護処置を行った場合には、同日又は日を異にして行った場合であっても、1歯1回に限り所定点数を算定する。

(4) 歯髄温存療法とは、臨床的に健康な歯髄又は可逆性歯髄炎であって、感染象牙質を全て除去すれば、露髄を招き抜髄に至る可能性のある深在性のう蝕を対象とするものであり、感染象牙質を残し、そこに水酸化カルシウム製剤などを貼付し、感染部の治癒を図るものであり、3月以上の期間を要するものである。本区分は、3月以上の期間内に2回程度の薬剤の貼付を行うことを含め、当該処置に係る一連の行為を包括的に評価するものであり、当該処置を行った最初の日に算定するものとする。

(5) 歯髄温存療法を行った場合は、3月以上の経過観察期間を行った後に、歯冠修復等を実施する。なお、当該処置を行った場合は、処置内容及び経過観察期間等に係る事項について患者に対して説明するとともに、その要点を診療録に記載する。

(6) 直接歯髄保護処置を行った場合は、1月以上の経過観察を行った後に歯冠修復等を実施する。なお、当該処置を行った場合は、処置内容及び経過観察期間等に係る事項について患者に対して説明するとともに、その要点について診療録に記載する。

I002 知覚過敏処置

(1) イオン導入法の費用は、知覚過敏処置の所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 歯冠形成後、知覚過敏が生じた有髄歯に対する知覚鈍麻剤の塗布については、歯冠形成、印象採得、咬合採得、仮着及び装着と同時に行う場合を除き「1 3歯まで」又は「2 4歯以上」の所定点数により算定する。

(3) 次のレーザー治療器を用いて、知覚過敏症の処置を行った場合は、知覚過敏処置の所定点数により算定する。

イ セミレーザー・ナノックス

ロ セミコンレーザMR―180

ハ ヘリウム・ネオン・レーザー

ニ ベルビーム

ホ ソフトレーザー632

ヘ オサダダイオトロン(DL―S)

ト トリンプル―D

チ コンパクトレーザー

リ PANALAS500

I002―2 乳幼児う蝕薬物塗布処置

乳幼児のう蝕に対して、軟化象牙質等を除去して充填等を行わず、フッ化ジアンミン銀の塗布を行った場合は、1口腔1回につき歯数に応じて「1 3歯まで」又は「2 4歯以上」により算定する。

I003 初期う蝕小窩裂溝填塞処置

(1) 初期う蝕小窩裂溝填塞処置は、原則として幼若永久歯又は乳歯の小窩裂溝の初期う蝕に対して行った場合に算定する。この場合、初期う蝕に罹患している小窩裂溝に対する清掃等を行った場合の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 初期う蝕小窩裂溝填塞処置に要する特定保険医療材料料は、区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」の場合と同様とする。

I004 歯髄切断

(1) 生活歯髄切断のために用いた表面麻酔、浸潤麻酔、簡単な伝達麻酔、特定薬剤、歯髄保護処置の費用は、生活歯髄切断の所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 生活歯髄切断後に歯冠形成を行った場合は、区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1 生活歯歯冠形成」の各号により算定する。

(3) 同一歯牙について、区分番号I005に掲げる抜髄を併せて行った場合は、区分番号I005に掲げる抜髄の所定点数に当該歯髄切断の費用は含まれ別に算定できない。

(4) 歯髄切断の後に抜髄となった場合は、区分番号I005に掲げる抜髄の所定点数のみにより算定する。

I005 抜髄

(1) 抜髄は1歯につき1回に限り算定する。

(2) 抜髄は、歯髄炎等の場合に通常局所麻酔下において歯髄の除去を行った場合又は薬剤を用いて歯髄を壊死させ除去(失活抜髄)を行った場合に算定する。なお、麻酔、薬剤の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 抜髄の費用は、抜髄を行った歯について、抜髄が完了した日において算定する。この場合、失活抜髄の貼薬及び薬剤の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 区分番号I001に掲げる歯髄保護処置の「1 歯髄温存療法」を行った場合は、3月以上の経過観察を行うものであるが、やむを得ず経過観察中に抜髄を実施した場合は、「注1」に掲げる所定点数により算定する。

(5) 区分番号I001に掲げる歯髄保護処置の「2 直接歯髄保護処置」を行った場合は、1月以上の経過観察を行うものであるが、やむを得ず早期に抜髄を実施した場合は、「注2」に掲げる所定点数により算定する。

I006 感染根管処置

(1) 感染根管処置とは、歯根膜炎等の場合に根管内容物の除去、根管清掃拡大等を行うことをいう。

(2) 抜歯を前提として急性症状の消退を図ることを目的とした根管拡大等は、根管数にかかわらず1歯につき1回に限り、「1 単根管」により算定する。なお、抜歯を前提とした根管拡大等に併せて行った消炎のための根管貼薬の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 感染根管処置を行うに当たり、根管側壁、髄室側壁又は髄床底に穿孔があり、封鎖を行った場合は、区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」の所定点数と保険医療材料料をそれぞれ算定する。なお、形成を行った場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」の所定点数により算定する。また、歯肉を剥離して行った場合は区分番号J006に掲げる歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術の所定点数及び保険医療材料料をそれぞれ算定する。

(4) 感染根管処置は1歯につき1回に限り算定する。

I007 根管貼薬処置

(1) 根管貼薬処置とは、根管の清拭、根管貼薬等をいう。

(2) 区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号I008に掲げる根管充填と同時に行った根管貼薬の費用は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 抜歯を前提とした消炎のための根管拡大後の根管貼薬は、根管数にかかわらず1歯につき1回に限り、「1 単根管」により算定する。

I008 根管充填

(1) 根管充填は1歯につき1回に限り算定する。

(2) 「注1」の加圧根管充填とは、アピカルシート又はステップの形成及び根管壁の滑沢化(根管形成)が行われた根管に対して、ガッタパーチャポイントを主体として根尖孔外に根管充填材を溢出させずに加圧しながら気密に根管充填を行うことをいう。なお、根管充填後に歯科エックス線撮影で気密な根管充填が行われていることを確認した場合に算定する。

(3) 歯根未完成の永久歯の歯内療法実施中に、数月間根尖部の閉鎖状態の予後観察を行うために、水酸化カルシウム系糊剤等により暫間的根管充填を行う場合は、1回に限り「1 単根管」、「2 2根管」又は「3 3根管以上」の所定点数により算定する。ただし、「注1」の加圧根管充填に係る加算の算定はできない。なお、併せて当該歯に暫間充填を行った場合の費用は区分番号I000に掲げるう蝕処置により算定する。

(4) 区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の「注1」に係る地方厚生(支)局長への届出を行っていない保険医療機関において、根管充填を行った場合は、「注1」の加圧根管充填に係る費用は算定できない。

I009 外科後処置

(1) 口腔内より口腔外に通ずる手術創に対する外科後処置とし、「1 口腔内外科後処置」及び「2 口腔外外科後処置」を行った場合であっても、いずれかの所定点数のみを算定する。

(2) 外科後処置とは、区分番号J047に掲げる腐骨除去手術の「2 顎骨に及ぶもの」、区分番号J010に掲げる顎堤形成術、区分番号J043に掲げる顎骨腫瘍摘出術、区分番号J003に掲げる歯根嚢胞摘出手術の「2 拇指頭大のもの」、区分番号J072に掲げる下顎骨折観血的手術等の大手術の外科後処置であってドレーン(吸引ドレーン等)を使用した外科後処置をいう。なお、単純な外科後処置については、基本診療料に含まれる。

(3) 抜歯又は智歯歯肉弁切除等の術後、後出血を起こし簡単に止血(圧迫等により止血)できない場合における後出血処置の費用は、創傷の大小に関係なく、6歳以上の場合は区分番号J084に掲げる創傷処理の「4 筋肉、臓器に達しないもの(長径5センチメートル未満)」により、6歳未満の場合は区分番号J084―2に掲げる小児創傷処理(6歳未満)の「6 筋肉、臓器に達しないもの(長径2.5センチメートル以上5センチメートル未満)」により、それぞれ算定する。なお、区分番号J084に掲げる創傷処理又は区分番号J084―2に掲げる小児創傷処理を算定した場合は、外科後処置の費用はそれぞれの所定点数に含まれる。

I009―2 創傷処置

医科点数表の区分番号J000に掲げる創傷処置の例により算定する。

I010 歯周疾患処置

(1) 歯周疾患処置は、歯周疾患の症状の改善を目的として、歯周ポケット内へ特定薬剤を注入した場合に、1口腔を単位として算定する。なお、歯周疾患処置を算定する場合は、使用薬剤名を診療録に記載すること。

(2) 歯周疾患処置を算定する歯周ポケット内への特定薬剤の注入とは、次に該当する場合をいう。なお、用法用量に従い使用した場合に限り特定薬剤料として別に算定できる。

イ 歯周基本治療の後の歯周組織検査の結果、期待された臨床症状の改善がみられず、かつ歯周ポケットが4ミリメートル以上の部位に対して、十分な薬効が期待できる場合において、計画的に1月間薬剤注入を行った場合

ロ イの薬剤注入後、再度の歯周組織検査の結果、臨床症状の改善はあるが、歯周ポケットが4ミリメートル未満に改善されない場合であって、更に1月間継続して薬剤注入を行った場合

ハ 歯周疾患による急性症状時に症状の緩解を目的として、歯周ポケット内へ薬剤注入を行った場合

(3) 歯周疾患処置を算定した月は、区分番号I011―3に掲げる歯周基本治療処置を別に算定できない。

I011 歯周基本治療

(1) 歯周基本治療は、歯周病の炎症性因子の減少又は除去を目的とする処置をいうものであり、歯周組織検査等の結果に基づき必要があると認められる場合に実施する。歯周組織検査が実施されていない場合は、本区分は算定できない。なお、歯周基本治療については、「歯周病の診断と治療に関する指針」(平成19年11月日本歯科医学会)を参考とすること。

(2) スケーリングとは、歯面に付着しているプラーク、歯石、その他の沈着物をスケーラー等で機械的に除去することをいう。

(3) スケーリング・ルートプレーニング及び歯周ポケット掻爬(盲嚢掻爬)を同一歯に対して同時に実施した場合においても、いずれかの所定点数により算定する。

(4) 歯周基本治療を実施した後に同一部位に実施したスケーリング、スケーリング・ルートプレーニング又は歯周ポケット掻爬(盲嚢掻爬)の費用は、所定点数の100分の50により算定する。

(5) 2回目以降のスケーリング、スケーリング・ルートプレーニング及び歯周ポケット掻爬(盲嚢掻爬)については、歯周組織検査の結果を踏まえ、その必要性、効果等を考慮した上で実施するものとする。

(6) 区分番号J063に掲げる歯周外科手術と同時に行われた歯周基本治療の費用は、歯周外科手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(7) 混合歯列期歯周組織検査に基づく歯周基本治療については、「1 スケーリング」により算定する。

I011―2 歯周病安定期治療

(1) 歯周病安定期治療は、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料又は区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料を算定している患者であって、中等度以上の歯周病を有するものに対して、一連の歯周基本治療等の終了後に、一時的に症状が安定した状態にある患者に対し、歯周組織の状態を維持し、治癒させることを目的としてプラークコントロール、機械的歯面清掃、スケーリング、スケーリング・ルートプレーニング等を主体とした治療を実施した場合に1口腔につき月1回に限り算定する。なお、中等度以上の歯周病を有するものとは、骨吸収が根の長さの3分の1以上であり、歯周ポケットは4ミリメートル以上で、根分岐部病変を有するものをいう。

(2) 一時的に症状が安定した状態とは、歯周基本治療等の終了後の再評価のための検査結果において、歯周組織の多くの部分は健康であるが、一部分に病変の進行が停止し症状が安定していると考えられる深い歯周ポケット、根岐部病変の残存、歯の動揺が認められる状態をいう。

(3) 歯周病安定期治療は、その開始に当たって、歯周組織検査を行い、症状が一時的に安定していることを確認した上で行うものであり、歯周組織検査の結果の要点や歯周病安定期治療の治療方針等について、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料又は区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料に係る文書により患者又はその家族に対して提供し、当該文書の写しを診療録に添付した場合に算定する。その他療養上必要な管理事項がある場合は、その要点を診療録に記載すること。

(4) 2回目以降の歯周病安定期治療の算定については、前回実施した月の翌月の初日から起算して2月を経過した日以降に行うこと。ただし、歯周外科手術を実施した場合であって、重度の歯周疾患を有する場合においては、3月以内の間隔で実施した歯周病安定期治療の費用は月1回に限り算定できる。

(5) 歯周病安定期治療を開始した以降に実施した区分番号I011に掲げる歯周基本治療の費用、I010に掲げる歯周疾患処置及びI011―3に掲げる歯周基本治療処置の費用は、歯周病安定期治療の所定点数に含まれ別に算定できない。

(6) 歯周病安定期治療開始後、病状の変化により歯周外科手術を実施した場合は、当該手術を実施した日以降においては、歯周精密検査により再び病状が安定し継続的な管理が必要であると判断されるまでの間は歯周病安定期治療の費用は算定できない。なお、歯周病安定期治療を実施した後に行う歯周外科手術は所定点数の100分の30で算定する。

(7) 歯周病安定期治療開始後、病状の変化により必要があって歯周ポケットに特定薬剤を注入した場合及び暫間固定を実施した場合は、それぞれの費用は算定できる。

I011―3 歯周基本治療処置

歯周基本治療処置とは、歯周疾患において、歯周基本治療を行った部位に対して、歯周疾患の症状の改善を目的として、薬剤による歯周ポケット内洗浄等の処置(区分番号I010に掲げる歯周疾患処置を除く。)を行った場合に、1口腔につき月1回に限り算定する。なお、薬剤を用いた場合は、当該薬剤名を診療録に記載すること。

I014 暫間固定

(1) 暫間固定とは、歯の支持組織の負担を軽減し、歯槽骨の吸収を防止して、その再生治癒を促進させるため、暫間的に歯冠をレジン連続冠固定法、線結紮法(帯冠使用を含む。)及びエナメルボンドシステムにより連結固定することをいう。

(2) 「1 簡単なもの」とは、歯周外科手術を伴わない場合及び歯周外科手術を予定する場合の固定源となる歯を歯数に含めない4歯未満の暫間固定をいう。なお、1顎に2箇所以上行っても1回の算定とする。

(3) 「2 困難なもの」とは、歯周外科手術を伴う場合の固定源となる歯を歯数に含めない4歯以上の暫間固定をいう。なお、歯周外科手術に伴う4歯未満の暫間固定の費用は、区分番号J063に掲げる歯周外科手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 「3 著しく困難なもの」とは、連続鉤固定法及びレジン床固定法による暫間固定のことをいう。

(5) 暫間固定に際して印象採得、咬合採得、装着を行った場合は、副子と同様に算定する。

(6) 暫間固定の固定源が有床義歯である場合は、「1 簡単なもの」の所定点数及び有床義歯の費用を合算して算定する。

(7) 歯周基本治療の際に暫間固定を行い、その後に歯周組織検査を実施し、その結果、歯周外科手術を行った場合に、当該手術後に暫間固定を行った場合は、固定源となる歯を歯数に含めない4歯以上のものに限り「2 困難なもの」の所定点数を算定する。

(8) 外傷性による歯の脱臼を暫間固定した場合は、「2 困難なもの」により算定する。

(9) 区分番号J004―2に掲げる歯の再植術を行った場合であって、脱臼歯を暫間固定した場合には、「2 困難なもの」により算定する。

(10) 両側下顎乳中切歯のみ萌出している患者であって、外傷により1歯のみ脱臼している場合であって、元の位置に整復固定した場合は「2 困難なもの」により算定する。なお、双方の歯が脱臼している場合に双方の歯を整復固定することは、歯科医学上認められない。

(11) 区分番号J004―3に掲げる歯の移植手術に際して暫間固定を行った場合は、1歯につき「2 困難なもの」により算定する。

(12) 暫間固定装置を装着するに当たり、印象採得を行った場合は1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「3 副子」を、咬合採得を行った場合は、1装置につき装置の範囲に相当する歯数が8歯以下の場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(1) 少数歯欠損」、装置の範囲に相当する歯数が9歯以上は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」又は装置の範囲に相当する歯数が全歯にわたる場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(3) 総義歯」の所定点数を、装着を行った場合は1装置につき区分番号M005に掲げる装着の「3 副子の装着の場合」の所定点数及び装着材料料を算定する。ただし、エナメルボンドシステムにより連結固定を行った場合は、M005に掲げる装着の費用及び装着材料料は別に算定できない。

(13) レジン床固定法及びレジン連続冠固定法による暫間固定装置において、当該装置が破損し修理した場合は、1装置につき区分番号I014―2に掲げる暫間固定装置修理の各区分の所定点数により算定する。

I014―2 暫間固定装置修理

(1) 暫間固定装置修理は、レジン床固定法及びレジン連続冠固定法による暫間固定装置の修理を行った場合に算定する。

(2) レジン連続冠固定法による暫間固定装置において、当該装置が破損し、修理を行った場合は、1装置につき「1 簡単なもの」により算定する。

(3) レジン床固定法に用いた暫間固定装置において、当該装置が破損し、修理を行った場合は、1装置につき「2 複雑なもの」により算定する。

I016 線副子

線副子とは、三内式線副子程度以上のものをいう。なお、三内式線副子程度に至らないものについては、それぞれの手術の所定点数中に含まれる。

I017 床副子

(1) 「1 簡単なもの」とは、次のものをいう。

イ 顎間固定用に歯科用ベースプレートを用いた床

ロ 出血創の保護と圧迫止血を目的としてレジン等で製作した床

ハ 手術にあたり製作したサージカルガイドプレート

(2) 「2 困難なもの」とは、次のものをいう。

イ 斜面板

ロ 咬合挙上副子

ハ 乳幼児の顎骨骨折に対してナイトガードとして口腔内に装着するマウスピース

ニ 固定用金属線による囲繞結紮に用いたレジン等で製作した床副子(無歯顎の高齢者や乳歯列を有する幼児などの顎骨骨髄炎において、腐骨摘出後欠損創に歯牙副子の応用ができない場合に限る。)

ホ 歯ぎしりに対する咬合床(アクチバトール式のものを除く。)

ヘ 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床(アクチバトール式を除き、医科の保険医療機関等からの診療情報提供料の算定に基づく場合に限る。)

(3) 「3 著しく困難なもの」とは、次のものをいう。

イ 咬合床副子

ロ 歯ぎしりに対する咬合床(アクチバトール式のもの。)

ハ 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床(アクチバトール式で、医科の保険医療機関等からの診療情報提供料に係る診療情報提供に基づく場合に限る。)

ニ 摂食機能療法に伴う舌接触補助床

(4) 「(2)のへ 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床(アクチバトール式を除く。)」及び「(3)のハ 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床(アクチバトール式)」の製作に当たって、確定診断が可能な医科歯科併設の病院である保険医療機関にあっては、院内での担当科からの情報提供に基づく口腔内装置治療に対する院内紹介を受けた場合に限り算定できる。

(5) 咬合床副子、滑面板を顎間固定装置として用いた場合は、区分番号M003に掲げる印象採得及び区分番号M005に掲げる装着の費用は1顎を単位として別に算定できる。

(6) 斜面板を製作する際の咬合採得は、斜面板の範囲に相当する歯数により区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロ 有床義歯」により算定する。

(7) 咬合挙上副子の装着後、咬合面にレジンを添加し調整した場合は1装置1回につき区分番号I017―2に掲げる床副子調整の「2 咬合挙上副子の場合」により算定する。ただし、区分番号M006に掲げる咬合採得の費用は算定できない。

(8) 歯ぎしり治療の補助として咬合を挙上し、軋音の発生を防止するために、咬合床(アクチバトール式のもの)を製作するに当たり、印象採得を行った場合は、1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のイの(2) 困難なもの」を、咬合採得を行った場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」を、装着を行った場合は区分番号M005に掲げる装着の「2のニの(2) 印象採得が困難なもの」により算定する。

(9) 歯ぎしりに対する咬合床(アクチバトール式のもの以外のもの)を製作するにあたり、区分番号M006に掲げる咬合採得の費用は所定点数に含まれ別に算定できないが、当該咬合床の製作に際し印象採得を行った場合は区分番号M003に掲げる印象採得の「2のイの(1) 簡単なもの」により、装着を行った場合は区分番号M005に掲げる装着の「2のニの(1) 印象採得が簡単なもの」により算定する。

(10) 咬合床(アクチバトール式のもの)の製作後に患者の都合等により診療を中止した場合の請求については、第12部歯冠修復物及び欠損補綴物料の製作後診療を中止した場合の請求と同様とする。

(11) 睡眠時無呼吸症候群の治療法として、確定診断が可能な医科の保険医療機関等からの診療情報提供料の算定に基づく口腔内装置治療の依頼を受けて、咬合床(口腔内装置)の製作にあたり印象採得を行った場合は、1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のロ 連合印象」を、咬合採得は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(3) 総義歯」を、装着を行った場合は区分番号M005に掲げる装着の「2のニの(3) 印象採得が著しく困難なもの」により算定する。

ただし、確定診断が可能な医科歯科併設の病院である保険医療機関にあっては、院内での担当科からの情報提供に基づく口腔内装置治療に対する院内紹介を受けた場合に限り算定できる。

口腔内装置の装着時又は装着後1月以内に、適合を図るための調整等が必要となり、口腔内装置の調整を行った場合は、1口腔につき区分番号I017―2に掲げる床副子調整の「1 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床の場合」により算定する。また、睡眠時無呼吸症候群の口腔内装置治療の紹介元保険医療機関からの情報提供に関する内容及び保険医療機関名等について診療録に記載するとともに情報提供に係る文書を添付すること。なお、医科歯科併設の病院である保険医療機関で算定した場合については、院内紹介を受けた情報提供の内容及び担当科名を診療録に記載するとともに、情報提供に係る文書を診療録に添付すること。

(12) 摂食機能療法に伴う舌接触補助床とは、脳血管疾患や口腔腫瘍等による摂食機能障害を有し、区分番号H001に掲げる摂食機能療法を現に算定している患者に対して、舌接触状態等を変化させて摂食・嚥下機能の改善を目的とするために装着する床又は有床義歯形態の補助床をいう。

(13) 舌接触補助床の製作にあたり印象採得を行った場合は、1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のロ 連合印象」を、咬合採得を行った場合は、区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」を、装着を行った場合は、区分番号M005に掲げる装着の「2のロの(2) 多数歯欠損」により算定する。なお、当該補助床の所定点数には、人工歯、鉤及びバー等の費用が含まれ、別に算定できない。

(14) 舌接触補助床の装着時又は装着後1月以内に、適合を図るための調整等が必要となり、補助床の調整を行った場合は、1口腔につき区分番号I017―2に掲げる床副子調整の「1 摂食機能療法に伴う舌接触補助床の場合」により算定する。

I017―2 床副子調整

(1) 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床又は摂食機能療法に伴う舌接触補助床の装着を行った後、適合を図るための調整等が必要となり、装着後1月以内に咬合床又は補助床の調整を行った場合は、1口腔1回に限り「1 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床又は摂食機能療法に伴う舌接触補助床の場合」により算定する。

(2) 咬合挙上副子を装着後、咬合面にレジンを添加し調整した場合は1口腔1回につき「2 咬合挙上副子の場合」により算定する。なお、咬合挙上副子の調整の費用は、月1回に限り算定できる。

(3) 「1 睡眠時無呼吸症候群の治療法としての咬合床又は摂食機能療法に伴う舌接触補助床の場合」及び「2 咬合挙上副子の場合」において調整を行った場合には、診療録に調整部位、調整方法等を記載した場合に限り算定できる。

I017―3 顎外固定

(1) 「1 簡単なもの」とは、おとがい帽を用いて顎外固定を行った場合をいう。

(2) 「2 困難なもの」とは、顎骨骨折の際に即時重合レジン、ギプス包帯等で顎外固定を行った場合又は歯科領域における習慣性顎関節脱臼の処置に際して顎帯による牽引又は固定を行った場合をいう。

I018 歯周治療用装置

(1) 歯周治療用装置とは、重度の歯周病で長期の治療期間が予測される歯周病の患者に対して、治療中の咀嚼機能の回復及び残存歯への咬合の負担の軽減等を目的とするために装着する冠形態又は床義歯形態の装置をいう。

(2) 「注1」の「歯周組織検査」とは、一連の歯周基本治療が終了した後、区分番号J063に掲げる歯周外科手術の「3 歯肉切除手術」、「4 歯肉剥離掻爬手術」又は「5 歯周組織再生誘導手術」の要否を診断するために行われる区分番号D002に掲げる歯周組織検査の「2 歯周精密検査」をいう。

(3) 冠形態のものを連結してブリッジタイプの装置を製作した場合は、ポンティック(ダミー)部分は1歯につき「1 冠形態のもの」の所定点数により算定する。

(4) 歯周治療用装置の所定点数には、印象採得、咬合採得、装着、調整指導、修理等の基本的な技術料及び床義歯型の床材料料等の基本的な保険医療材料料は所定点数に含まれ別に算定できない。なお、設計によって歯周治療用装置に付加される部分、すなわち人工歯、鉤及びバー等の費用については別途算定できる。

I019 歯冠修復物又は補綴物の除去

(1) 歯冠修復物又は補綴物の除去において、除去の費用を算定できる歯冠修復物又は補綴物は、歯冠継続歯及び第12部に掲げる充填、鋳造歯冠修復、帯環金属冠、ジャケット冠、支台築造であり、仮封セメント、ストッピング、テンポラリークラウン、リテーナー等は含まれない。なお、同一の歯牙について2個以上の歯冠修復物(支台築造を含む。)又は欠損補綴物の除去を一連に行った場合においては主たる、歯冠修復物(支台築造を含む。)又は欠損補綴物の除去に対する所定点数のみを算定する。

(2) ポンティック(ダミー)及び歯冠継続歯破損の場合において、その一部の人工歯を撤去することにより修理可能な場合又は有床義歯の鉤を除去し調整を行うことにより義歯調整の目的が達成される場合に限り、所定点数を算定できる。

(3) セメントの除去料は算定できない。

(4) 鉤歯の抜歯後あるいは鉤の破損等のために不適合となった鉤を連結部から切断した場合には、修理又は床裏装を前提としても除去料を算定する。

(5) 「2 困難なもの」の「困難なもの」とは、全部鋳造冠、当該歯牙が急性の歯髄炎若しくは歯根膜炎に罹患している場合であって、患者が苦痛を訴えるため除去が困難な鋳造歯冠修復物の除去をいう。

(6) 「2 困難なもの」により算定するものは、(5)の他、次のものをいう。

イ 金属ピンの撤去(1本につき)

ロ 滑面板の撤去

ハ 整復装置の撤去(3分の1顎につき)

ニ ポンティック(ダミー)のみの除去(切断部位1箇所につき)

ホ 歯冠修復物が連結して装着されている場合において、破損等のため連結部分を切断しなければ、一部の歯冠修復物を除去できないときの切断

ヘ 歯間に嵌入した有床義歯の除去に際し、除去が著しく困難なため当該義歯を切断して除去を行った場合

(7) 「3 根管内ポストを有する鋳造体の除去」の「根管内ポストを有する鋳造体」とは、歯根の長さの3分の1以上のポストにより根管内に維持を求めるために製作された鋳造体をいう。

(8) 根管内ポストを有する鋳造体の歯冠部が破折し、ポストのみを根管内に残留する状態にある鋳造体の除去についても、本区分の所定点数により算定する。

I021 根管内異物除去

(1) 当該費用を算定できる異物とは、根管内で破折したため除去が著しく困難なもの(リーマー等)をいう。

(2) 当該医療機関において行われた治療に基づく異物について除去を行った場合においては、当該点数を算定することはできない。

I022 有床義歯床下粘膜調整処置(1顎につき)

旧義歯が不適合で床裏装や再製が必要とされる場合に、床裏装や再製に着手した日以前において、有床義歯床下粘膜異常に対してそれを調整するために、旧義歯を調整しながら、粘膜調整材を用い有床義歯床下粘膜調整を行った場合は、当該義歯の調整を含めて、1顎1回につき算定する。なお、当該点数を算定している期間においては、区分番号B013の2に掲げる有床義歯管理料及びB013―2に掲げる有床義歯調整管理料は算定しない。

I023 心身医学療法

(1) 「心身医学療法」とは、心因性疾患を有する歯科領域の患者について、確定診断が可能な医科の保険医療機関からの診療情報提供料の算定に基づく歯科口腔領域に係る心因性疾患の治療の依頼(医科歯科併設の保険医療機関であって心因性疾患を有する歯科領域の患者について、確定診断が可能な医科診療科が設置されている場合は、院内紹介に係る文書に基づく紹介)を受けて、確定診断が可能な医科保険医療機関と連携して治療計画を策定し、当該治療計画に基づき身体的傷病と心理・社会的要因との関連を明らかにするとともに、当該患者に対して心理的影響を与えることにより、症状の改善又は傷病からの回復を図る自律訓練法等をいう。

(2) 心身医学療法は、当該療法に習熟した歯科医師によって確定診断が可能な医科の保険医療機関と連携して行われた場合に算定する。

(3) 初診時には診療時間が30分を超えた場合に限り算定できる。この場合において診療時間とは、歯科医師自らが患者に対して行う問診、理学的所見(視診、聴診、打診及び触診)及び当該心身医学療法に要する時間をいい、これら以外の診療に要する時間は含まない。なお、初診時に心身医学療法を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄に当該診療に要した時間を記載する。

(4) 心身医学療法を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の傷病名欄において、心身症による当該身体的傷病の傷病名の次に「(心身症)」と記載し、摘要欄には確定診断を行った医科の保険医療機関名(医科歯科併設の保険医療機関であって心因性疾患を有する歯科領域の患者について、確定診断が可能な医科診療科が設置されている場合は、確定診断を行った診療科名)、紹介年月日、治療の内容、実施時刻(開始時刻と終了時刻)を記載すること。

例 「舌痛症(心身症)」

(5) 心身医学療法を行った場合は、確定診断が可能な医科の保険医療機関からの診療情報提供料に基づく文書(医科歯科併設の保険医療機関であって心因性疾患を有する歯科領域の患者について、確定診断が可能な医科診療科が設置されている場合は、院内紹介に係る文書)を添付するとともに、治療の方法、内容、実施時刻(開始時刻と終了時刻)を診療録に記載する。

(6) 入院の日及び入院の期間の取扱いについては、入院基本料の取扱いの例による。

(7) 入院精神療法、通院精神療法又は標準型精神分析療法を算定している患者については、心身医学療法は算定できない。

I024 鼻腔栄養(1日につき)

医科点数表の区分番号J120に掲げる鼻腔栄養の例により算定する。

I025 酸素吸入(1日につき)

医科点数表の区分番号J024に掲げる酸素吸入の例により算定する。

I026 高気圧酸素治療(1日につき)

(1) 高気圧酸素治療は、次の疾患に対して行う場合に限り、1日につき所定点数を算定する。

イ 放射線又は抗癌剤治療と併用される悪性腫瘍

ロ 難治性潰瘍を伴う末梢循環障害

ハ 皮膚移植又は皮弁移植

ニ 口腔・顎・顔面領域の慢性難治性骨髄炎又は放射線壊死

(2) 2絶対気圧以上の治療圧力が1時間に満たないものについては、1日につき区分番号I025に掲げる酸素吸入により算定する。

(3) 高気圧酸素治療を行うに当たっては、関係学会より留意事項が示されているので、これらの留意事項を十分参考とすべきものである。

(4) 高気圧酸素療法と人工呼吸を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。

(5) 高気圧酸素治療に使用した酸素及び窒素の費用については、区分番号I082に掲げる酸素加算により算定する。

I027 人工呼吸

(1) 高気圧酸素療法と人工呼吸を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。

(2) 人工呼吸と医科点数表の区分番号D220に掲げる呼吸心拍監視、医科点数表の区分番号D223に掲げる経皮的動脈血酸素飽和度測定又は医科点数表の区分番号D225―2に掲げる非観血的連続血圧測定を同一日に行った場合は、これらに係る費用は人工呼吸の所定点数に含まれる。

(3) 人工呼吸と酸素吸入を併せて行った場合に使用した酸素及び窒素の費用については、区分番号I082に掲げる酸素加算により算定する。

I028 術後専門的口腔衛生処置(1口腔につき)

(1) 術後専門的口腔衛生処置は、「注」に規定する手術を行った入院患者であって、術後感染症、術後肺炎等の発現のおそれがあるものに対して、主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該患者の口腔の衛生状態にあわせて、口腔清掃用具等を用いて歯面、舌、口腔粘膜等の口腔清掃又は機械的歯面清掃を行った場合をいう。

(2) 主治の歯科医師は、術後専門的口腔衛生処置に関し、歯科衛生士に指示した内容を診療録に記載すること。また、当該処置を行った歯科衛生士は、歯科衛生士業務記録簿に当該処置内容を記録すること。

第2節 処置医療機器等加算

I082 酸素加算

医科点数表の区分番号J201に掲げる酸素加算の例により算定する。

第3節 特定薬剤料

I100 特定薬剤

(1) 1回の処置に特定薬剤を2種以上使用した場合であっても、使用した特定薬剤の合計価格から40円を控除した残りの額を10円で除して得た点数について1点未満の端数を切り上げて特定薬剤料を算定する。

(2) 特定薬剤を使用した場合であっても、1回の処置又は手術に使用した特定薬剤の合計価格が40円(4点)以下の場合は、特定薬剤料は算定できない。

(3) (1)及び(2)でいう1回の処置とは、処置の部に掲げられている各区分の所定点数を算定する単位を1回とする。

(4) 歯科用フラジオマイシン貼布剤は、歯科領域における抗生物質の使用基準の第3適応症並びに標準的使用法及び量の項のうち、「4 抜歯創(抜歯後の疼痛症を含む。)」及び「12 手術(手術後の処置の場合に限る。)」について使用する。なお、抜歯創に対する使用は、貼布剤1枚を標準とし、その他の適応症に際しては必要の限度において使用する。

(5) テトラ・コーチゾン軟膏及びヂヒドリン軟膏の使用量は、テラ・コートリル軟膏の場合と同様とする。

(6) プレステロン軟膏及びテラ・コートリル軟膏を抜歯窩に使用することは、軟膏の基剤が吸収されずに異物として残り治癒機転を妨げるので、歯科医学的に妥当ではない。

(7) 薬価基準第4部歯科用薬剤、外用薬(1)に収載されている薬剤のうち、軟組織疾患に使用する薬剤を外用薬として投与することは、歯科医師が自ら貼薬しなければ薬効が期待できない場合を除き認められる。

(8) 智歯周囲炎の歯肉弁切除を行った場合に使用した歯科用包帯剤(パック)の費用は算定できない。なお、歯科用包帯剤を歯の再植術に創面の保護の目的で使用した場合に限り特定薬剤として算定できる。ただし、ドライソケットの場合はこの限りではない。

第4節 特定保険薬剤料

I200 特定保険医療材料料

特定保険医療材料は、「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)の一部を改正する件」(平成22年厚生労働省告示第71号)の別表Ⅴ及びⅥに規定する特定保険医療材料により算定する。

第9部 手術

通則

1 「通則1」、「通則2」及び「通則3」は、手術料算定の内容には次の3通りあることを示しており、輸血料については、手術料の算定がなくとも単独で算定できる。

(1) 手術料(+薬剤料又は特定保険医療材料料等)

(2) 手術料+輸血料(+薬剤料又は特定保険医療材料料等)

(3) 輸血料(+薬剤料又は特定保険医療材料料等)

2 手術料の所定点数とは手術料の項に掲げられた点数及び注加算の合計点数をいい、通則の加算点数は含まない。

3 通則の加算方法は手術料の所定点数に通則中の各加算を足し合わせたものの合計で算定する。

4 手術当日に行われる手術(自己血輸血を除く。)に伴う処置(ギプスを除く。)、検査における診断穿刺・検体採取及び注射の手技料は、特に規定する場合を除き、術前、術後を問わず算定できない。また、内視鏡を用いた手術を行う場合、同時に行う内視鏡検査料は別に算定できない。ここでいう「診断穿刺・検体採取」とは、医科点数表の第3部第4節に掲げる診断穿刺・検体採取料に係るものである。

5 手術に当たって通常使用される保険医療材料(包帯、縫合糸(特殊縫合糸を含む。)等)、衛生材料(ガーゼ、脱脂綿及び絆創膏)、外皮用殺菌剤、患者の衣類の費用及び1回の手術に使用される総量価格が15円以下の薬剤の費用は手術の所定点数に含まれる。

ただし、別に厚生労働大臣が定める特定保険医療材料及び1回の手術に使用される特定薬剤の総量価格が40円を超える場合(特定薬剤にあっては、120点以上の手術又は特に規定する手術に使用した場合を除く。)は、当該手術の所定点数の他に当該特定保険医療材料及び特定薬剤の費用を算定できる。

6 「通則3」は、第1節に掲げられていない特殊な手術であって、同節に掲げられている手術のうち、最も近似する手術の所定点数により算定することが妥当であるものについては、その都度当局に内議の上、それらの所定点数を準用することができる趣旨の規定である。なお、歯肉息肉除去手術及び簡単な手術の費用は基本診療料に含まれ算定できない。

7 「通則5」による6歳未満の乳幼児又は著しく歯科診療が困難な障害者に対する加算及び「通則6」による極低出生体重児、新生児又は3歳未満の乳幼児に対する加算は、第1節の手術料の所定点数のみに対する加算である。

8 「通則5」における著しく歯科診療が困難な障害者の100分の50加算は、治療を直接行う歯科医師に加え、患者の障害に起因した行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢の保持を行うことを目的として、当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護師等が参画した場合等に算定するものであり、当該加算を算定した日の患者の状態を診療録に記載する。

9 「通則5」における加算において6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な障害者である場合の100分の50加算は、乳幼児加算のみを算定する。

10 「通則5」、「通則6」及び「通則9」の適用範囲は、第1節の手術料に定める手術のみであって、輸血料、手術医療機器等加算、薬剤料、特定薬剤料及び特定保険医療材料料に対しては適用されない。

11 この部における「主たる手術」とは、所定点数及び注による加算点数を合算した点数の高い手術をいう。

12 「通則8」の加算は、HIV―1抗体価(ウエスタンブロット法)若しくはHIV―2抗体価(ウエスタンブロット法)によってHIV抗体が陽性と認められた患者又はHIV―1核酸同定検査によってHIV―1核酸が確認された患者に対して観血的手術を行った場合に1回に限り算定する。ただし、同一日に複数の手術を行った場合は、主たる手術についてのみ加算する。

13 「通則9」の入院中の患者以外に対する手術の休日加算、時間外加算又は深夜加算は、医科点数表の例により算定する。

14 「通則9」の入院中の患者に対する手術の休日加算又は深夜加算は、医科点数表の例により算定する。

15 「通則9」の休日加算、時間外加算又は深夜加算の対象となる時間の取扱いは初診料と同様である。また、「通則9」の加算に係る適用の範囲及び「所定点数」については、「通則5」の加算の取扱いと同様である。

16 緊急のため保険医療機関の表示する診療時間以外の時間に手術を行った場合の時間外加算又は深夜加算は、既に1日の診療の後片付け等が終わった後で、特に手術する必要がある急患のため再度準備を開始する等相当の不測の労力に対する費用として時間外加算等を行う趣旨であるから、時間外であっても予定された手術を行った場合においては時間外等の加算は認められない。

17 「通則9」にいう「所定点数が150点」とは、各区分に規定してある所定点数が150点という趣旨である。ただし、その処置・手術が全体として一体と考えられる手術を行った場合には、個々の所定点数が150点に達しなくとも、それらの合算点数が150点以上のときは加算が認められる。

18 歯科領域における緊急疾病の場合(時間外)、例えば外傷時における手術で2本以上の歯を抜歯する場合であって、全体として一体と考えられる手術を行う場合においては、それぞれの抜歯の所定点数が150点に達しなくても、各抜歯の所定点数の合算点数が150点以上のときは、「通則9」の加算が認められる。

19 手術を開始した後、患者の病状の急変等やむを得ない事情により手術を中途で中絶せざるを得なかった場合においては、当該中絶までに施行した実態に最も近似する手術項目の所定点数により算定する。

20 「通則10」の加算は、次のいずれかに該当する患者に対して全身麻酔、硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を伴う観血的手術を行った場合に1回に限り算定する。ただし、同一日に複数の手術を行った場合は、主たる手術についてのみ加算する。

イ 感染症法に基づく医師から都道府県知事等への届出のための基準により医師により届け出が義務付けられているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症の患者(診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断がなされたもの。)

ロ HBs又はHBe抗原によって抗原が陽性と認められたB型肝炎患者

ハ HCV抗体価(定性、定量)によってHCV抗体が陽性と認められたC型肝炎患者

ニ 微生物学的検査により結核菌を排菌していることが術前に確認された結核患者

21 「通則12」でいう「特に規定する場合」とは、各区分における手術名の末尾に両側と記入したものを指す。なお、この場合において、両側にわたり手術を行う医療上の必要性がなく片側の手術のみを行った場合であっても、両側に係る所定点数を算定できる。

22 歯科訪問診療は常時寝たきりの状態等であって通院困難な療養中の患者について実施されるものであるが、消炎鎮痛、有床義歯の調整等の訪問診療で求められる診療の重要性を考慮し、当該患者に行った区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号J000に掲げる抜歯手術(「1 乳歯」、「2 前歯」及び「3 臼歯」に限る。)、区分番号J013に掲げる口腔内消炎手術(「2 歯肉膿瘍等」に限る。)、区分番号M029に掲げる有床義歯修理について所定点数に所定点数の100分の50を加算する。

23 「通則13」の神経移植術とは区分番号J101に掲げる神経移植術をいう。

24 「通則13」の同一手術野又は同一病巣の算定は、医科点数表の例により算定する。ただし、区分番号J000に掲げる抜歯手術から区分番号J004―3に掲げる歯の移植手術を単独で行う場合については、個々の区分により規定する算定単位に応じて算定を行うものとする。

25 同一手術野又は同一病巣に対して複数の手術を行った場合は、主たる手術の所定点数により算定し、従たる手術においては診療録に手術の名称、手術の内容、部位等を記載すること。

26 第9部に規定する以外の項目については、医科点数表の第2章第10部に掲げる手術の例により算定する。

第1節 手術料

J000 抜歯手術

(1) 抜歯の費用は、歯又は残根の全部を抜去した場合に算定する。

(2) 歯の破折片の除去に要する費用は、区分番号J073に掲げる口腔内軟組織異物(人工物)除去「1 簡単なもの」の所定点数により算定する。この場合、浸潤麻酔のもとに破折片を除去した場合には、区分番号K001に掲げる浸潤麻酔料及び使用麻酔薬剤料のそれぞれを算定する。

(3) 抜歯と同時に歯肉を剥離して歯槽骨整形手術等を行った場合の費用は、当該抜歯手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 「4 難抜歯」とは、歯根肥大、骨の癒着歯等に対して骨の開さく又は歯根分離術等を行った場合をいう。高血圧等の全身状態との関連から、単に抜歯にあたり注意を要する抜歯については、「4 難抜歯」に含まない。

(5) 難抜歯において、完全抜歯が困難となりやむを得ず抜歯を中止した場合における費用は、難抜歯の所定点数により算定する。

(6) 「5 埋伏歯」とは、骨性の完全埋伏歯又は歯冠部が3分の2以上の骨性埋伏である水平埋伏智歯をいう。

(7) 埋伏智歯の抜去に際し、第二大臼歯を抜去したのち当該埋伏智歯を抜去し、第二大臼歯を再植する術式は妥当でないので認められない。

(8) 埋伏智歯の隣接歯牙を抜去し、同時に埋伏(水平)智歯を抜去した場合は、抜去すべき隣接歯牙が難抜歯であるときは当該隣接歯牙について、難抜歯の所定点数により算定する。

(9) 抜歯の際、局所麻酔と併せて使用した抗生物質製剤の注射については、第6部注射の費用の算定方法により算定する。この場合の局所麻酔の費用は、当該抜歯手術の所定点数に含まれ別に算定できない。ただし、抜歯のための術前処置として手術野の消毒・麻酔等を行い、抜歯の態勢に入ったが、脳貧血等の患者の急変によりやむを得ず抜歯を中止した場合は、抜歯手術は算定できないが、麻酔料は別に算定できる。

J000―2 歯根分割掻爬術

歯周疾患を原因とせず髄床底の根管側枝を介する感染等を原因とする歯根分岐部の病変に対して、歯根分割を行い分岐部病変の掻爬を行って歯の保存を図った場合に、1歯単位で所定点数を算定する。

J000―3 上顎洞陥入歯除去術

(1) 「1 抜歯窩より行う場合」は、当該保険医療機関において行った治療に基づかない上顎洞へ陥入した歯の除去を、抜歯窩より行った場合に算定する。

(2) 「2 犬歯窩開さくによる場合」は、当該保険医療機関において行った治療に基づかない上顎洞へ陥入した歯の除去を、犬歯窩を開さくして行った場合に算定する。

(3) 当該保険医療機関において行った治療に基づき上顎等へ陥入した歯の除去に要する費用は、区分番号J000に掲げる抜歯手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

J001 ヘミセクション(分割抜歯)

(1) 複根歯において必要があって保存し得る歯根を残して分割抜歯を行った場合の費用は、所定点数により算定する。

(2) ヘミセクション(分割抜歯)と同時に歯肉を剥離して、歯槽骨整形手術等を行った場合の費用は、ヘミセクション(分割抜歯)の所定点数に含まれ別に算定できない。

J002 抜歯窩再掻爬手術

抜歯窩に対して再掻爬手術を行った場合は1歯に相当する抜歯窩を単位として所定点数を算定する。

J003 歯根嚢胞摘出手術

(1) 歯根嚢胞摘出手術において歯冠大とは、当該歯根嚢胞の原因歯となった歯の歯冠大をいう。

(2) 歯根嚢胞摘出手術と歯槽骨整形手術を同時に行った場合は、当該歯槽骨整形手術の費用は、歯根嚢胞摘出手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

J004 歯根端切除手術(1歯につき)

(1) 歯根端切除手術は1歯単位に算定する。また、歯根端切除手術と同時に行った根管充填については別に算定できる。

(2) 歯根端切除手術を行うに際して、歯根端切除部の根管の閉鎖を行った場合の費用は、歯根端切除手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 次の手術は認められない。

イ 乳歯に対する歯根端切除手術

ロ 歯冠修復物のある歯の歯根端切除手術を行った際における、根尖孔にレジン充填を行う術式

ハ 歯根端掻爬手術

(4) 当該保険医療機関において行った治療に基づかない、根管外に突出した異物又は顎骨内に存在する異物等を、骨の開さくを行って除去した場合は、同一の骨の開さくにおいて除去した異物の数にかかわらず、1回につき本区分の所定点数で算定する。なお、歯根端切除手術と同時に行った顎骨内異物除去の費用は、歯根端切除手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(5) 歯内治療では治療ができなかった根尖病巣を有する保存が可能な大臼歯であって、解剖学的な理由から歯根端切除手術が困難な症例に対して、歯の再植による根尖病巣の治療を行った場合は、診療録に部位及び算定の理由を記載し、本区分により算定する。なお、歯の移動を目的に含む場合は算定できない。

J004―2 歯の再植術

(1) 外傷性の歯の脱臼に対して歯の再植術を行った場合に算定する。

(2) 歯の再植術と併せて、同時に行った抜髄及び根管充填に係る費用は、区分番号I005に掲げる抜髄及び区分番号I008に掲げる根管充填の所定点数に限り別に算定できる。

(3) 幼若永久前歯の外傷性歯牙脱臼時に歯の再植術を行い、歯内療法を後日実施した場合には歯内療法に係る費用は別に算定できる。

(4) 診療録に、手術部位及び再植の理由を記載する。

J004―3 歯の移植手術

(1) 保存不適で抜歯した歯の抜歯窩に、同一患者から抜歯と同時に抜去した埋伏歯又は智歯を抜歯と同時に移植した場合に限り算定する。

(2) 歯の移植手術と一連で行った抜髄及び根管充填に係る費用は、区分番号I005に掲げる抜髄及び区分番号I008に掲げる根管充填に掲げる所定点数に限り別に算定できる。

(3) 診療録に、手術部位及び移植の理由を記載する。

J006 歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術

(1) 歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術の費用は、1歯に相当する範囲を単位として所定点数により算定する。

(2) 感染根管処置を行うに当たり、根管側壁、髄室側壁又は髄床底に穿孔がある場合に、当該穿孔の封鎖を歯肉の剥離を行って実施した場合は、本区分の所定点数及び保険医療材料料を算定する。

J007 顎骨切断端形成術

顎骨腫瘍の摘出等を行い、治癒後に口蓋補綴、顎補綴を行うに当たり顎骨断端の鋭縁等の整形手術を行った場合に算定する。

J008 歯肉、歯槽部腫瘍手術(エプーリスを含む)

歯肉、歯槽部腫瘍手術とは、歯肉又は歯槽部に生じた良性腫瘍又は嚢胞(歯根嚢胞を除く。)を摘出する手術をいう。

J009 浮動歯肉切除術

浮動歯肉切除術は、有床義歯を製作するに当たり義歯床の安定を阻害する浮動歯肉(義歯性線維腫(症)を含む。)の切除を行った場合に算定する。

J010 顎堤形成術

(1) 「1 簡単なもの」とは義歯の製作に当たり口腔前庭を拡張することにより顎堤の形成を行ったもの又は口腔前庭形成手術をいう。

(2) 「2 困難なもの(2分の1顎未満)」及び「3 困難なもの(2分の1顎以上)」とは、腫瘍摘出等による顎欠損に対して当該摘出術とは別の日に、骨移植及び人工骨の挿入等により顎堤の形成を行ったものをいう。

(3) (2)について、人工骨の挿入に要する費用については、「2 困難なもの」の所定点数に含まれる。

(4) 口腔外から骨片を採取して骨移植術を行った場合は、区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)の所定点数を併せて算定する。なお、骨片切採術の手技料は区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)の所定点数に含まれ、骨移植に用いる骨片をその必要があって2か所(例えば脛骨と骨盤)から切除した場合であっても当該骨の採取術に係る手技料は算定できない。

(5) 顎堤形成術の所定点数には、手術のために使用する床の製作に要する費用を含むものであるが、義歯を作成して手術のために使用した場合は別に有床義歯の所定点数を算定する。

J011 上顎結節形成術

上顎結節形成術は上顎臼後結節が偏平となっているものに対して、義歯の安定を図るために上顎結節部を形成した場合に算定する。

J012 おとがい神経移動術

おとがい神経移動術は、おとがい孔部まで歯槽骨吸収が及び、義歯装着時に神経圧迫痛があるため、義歯の装着ができないと判断される患者に対し、行った場合に算定する。

J013 口腔内消炎手術

(1) 口腔内消炎手術は炎症病巣に対して口腔内より消炎手術を行うものであり、同一病巣に対する消炎手術を同時に2以上実施しても、主たる手術の所定点数のみにより算定する。

(2) 辺縁性歯周炎の急性発作に対する消炎手術は、「2 歯肉膿瘍等」により算定する。

(3) 顎炎及び顎骨骨髄炎に対して骨の開さく等を行い、消炎を図った場合は、「4 顎炎又は顎骨骨髄炎等」の該当項目により算定する。なお、顎炎とは顎骨内の感染を初発とする広範囲にわたる炎症をいう。

(4) 本区分の算定に当たっては、部位、症状及び術式を診療録に記載すること。なお、切開排膿を行った場合の術式については、切開線の長さを記載する。

J015 口腔底腫瘍摘出術

「口腔底腫瘍摘出術」とは、口腔底に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。

J015―2 口腔底迷入下顎智歯除去術

(1) 「口腔底迷入下顎智歯除去術」は、当該保険医療機関において行った治療に基づかない口腔底に迷入した下顎智歯の摘出手術を行った場合に算定する。

(2) 当該保険医療機関において行った治療に基づく場合は、J000に掲げる抜歯手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。

J016 口腔底悪性腫瘍手術

(1) 口腔底悪性腫瘍手術その他の悪性腫瘍手術の加算の対象となる頚部郭清術(ネックディセクション)とは、単なる病変部のリンパ節の清掃ではなく、片側又は両側の頚部領域組織の徹底的な清掃を行う場合をいう。

(2) 他の手術に併せて行った頚部リンパ節の単なる郭清の加算は所定点数に含まれ別に算定できない。なお、単独に行った場合は、医科点数表の区分番号K627に掲げるリンパ節群郭清術の「2 頸部(深在性)」により算定する。

J017 舌腫瘍摘出術

「舌腫瘍摘出術」とは、舌に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。

J019 口蓋腫瘍摘出術

「口蓋腫瘍摘出術」とは、口蓋に生じた良性腫瘍又は嚢胞(歯根嚢胞を除く)を摘出する手術をいう。

J022 顎・口蓋裂形成手術

顎・口蓋裂形成手術の2次手術において、腸骨海綿骨移植を行った場合は、「3 顎裂を伴うもの」の所定点数に併せて、区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)の所定点数により算定する。

J024―3 軟口蓋形成手術

いびきに対する軟口蓋形成手術を行った場合に算定する。

J027 頬、口唇、舌小帯形成術

(1) 頬、口唇、舌小帯形成術は、次の場合に算定する。

イ 頬、口唇、舌小帯に対する形成手術を行った場合

ロ 頬、口唇、舌小帯に対する切離移動術を行った場合

ハ 小帯等を切除して開窓術を行った場合

ニ ピエール・ロバン症候群の患者に対し、舌の前方牽引を行った場合

(2) (1)に掲げる手術を、複数の小帯に対して行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。

J030 口唇腫瘍摘出術

「口唇腫瘍摘出術」とは、口唇に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。

J033 頬腫瘍摘出術

(1) 頬腫瘍摘出術とは、頬部に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。

(2) 下顎角部又は下顎枝に埋伏している下顎智歯を、口腔外より摘出を行った場合は、本区分により算定する。

J034 頬粘膜腫瘍摘出術

頬粘膜腫瘍摘出術とは、頬粘膜に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。

J036 術後性上顎嚢胞摘出術

「2 篩骨蜂巣に及ぶもの」とは、術後性上顎嚢胞摘出術のうち、手術の範囲が篩骨蜂巣にまで及ぶものをいう。

J037 上顎洞口腔瘻閉鎖術

(1) 「2 困難なもの」とは、陳旧性のもの又は減張切開等を必要とするものをいう。

(2) 上顎洞へ抜歯窩より穿孔がある場合の閉鎖手術については、新鮮創であっても減張切開等を必要とする場合は、上顎洞口腔瘻閉鎖術の「2 困難なもの」の所定点数により算定する。

(3) 「3 著しく困難なもの」とは、腫瘍摘出後等による比較的大きな穿孔に対して、粘膜弁移動術、粘膜移植術等により閉鎖を行うものをいう。なお、口腔粘膜弁の製作・移動術及び口腔粘膜移植術の費用は「3 著しく困難なもの」の所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 「3 著しく困難なもの」について植皮術を併せて行った場合は区分番号J089に掲げる分層植皮術、J089―2に掲げる全層植皮術又は区分番号J090に掲げる皮膚移植術(生体・培養)の所定点数を合算して算定する。

(5) 「3 著しく困難なもの」について、口腔粘膜弁及び口腔粘膜移植以外の区分番号J091に掲げる皮弁作成術、移動術、切断術、遷延皮弁術から区分番号J097に掲げる粘膜移植術までの手術を併せて行った場合は主たる手術の所定点数に従たる手術の所定点数の100分の50を加算して算定する。

(6) 腫瘍摘出等により上顎洞又は鼻腔に比較的大きな穿孔を生じた場合の閉鎖術は「3 著しく困難なもの」により算定する。

(7) 埋伏歯の抜去や顎骨骨内病巣を除去し、後日二次的に創腔の閉鎖を行った場合は、「1 簡単なもの」により算定する。

J041 下顎骨離断術

下顎骨骨折により、顎偏位のままで異常癒着を起し、咬合不全を伴っている場合に異常癒着部を離断し整復を行った場合は、本区分の所定点数により算定する。

J042 下顎骨悪性腫瘍手術

顎骨に生ずるエナメル上皮腫に対する手術は、「1 切除」又は「2 切断」の各区分により算定する。また、単胞性エナメル上皮腫の手術の場合も同様に「1 切除」又は「2 切断」の各区分により算定する。

J043 顎骨腫瘍摘出術(歯根嚢胞を除く。)

(1) 顎骨腫瘍摘出術とは、顎骨内に生じた良性腫瘍又は嚢胞(歯根嚢胞を除く。)を摘出する手術をいう。

(2) 萌出困難な歯牙に対して開窓術(歯槽骨及び被覆粘膜を切除する手術)を行った場合は、「1 長径3センチメートル未満」により算定する。

(3) 顎骨腫瘍摘出術と同時に行った原因歯の抜歯手術に要する費用は、顎骨腫瘍摘出術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 濾胞性歯嚢胞の摘出とともに原因歯の抜去を行った場合の抜歯手術の費用は、顎骨腫瘍摘出術の所定点数に含まれ別に算定できない。

J044 顎骨嚢胞開窓術

鶏卵大に達した歯根嚢胞を摘出する手術を行った場合は、本区分の所定点数により算定する。

J045 口蓋隆起形成術

義歯の装着に際して口蓋隆起が著しい障害となるような症例に対して、口蓋隆起を切除、整形した場合に算定する。

J046 下顎隆起形成術

義歯の装着に際して下顎隆起が著しい障害となるような症例に対して、下顎隆起を切除、整形した場合に算定する。

J047 腐骨除去手術

2歯までの範囲であれば顎骨に及ぶものであっても「1 歯槽部に限局するもの」により算定する。

J048 口腔外消炎手術

(1) 口腔外消炎手術における長さ(2センチメートル未満等)とは、膿瘍、蜂窩織炎等の大きさをいい、切開を加えた長さではない。

(2) 重症な顎炎等に対して複数の切開により、口腔外からの消炎手術を行った場合は、「2のイ 3分の1顎以上の範囲のもの」により算定する。

(3) 広範囲で極めて重症な顎炎等に対して、中・下頸部又は鎖骨上窩等を切開し、口腔外から消炎手術を行った場合は、「2のロ 全顎にわたるもの」により算定する。

J053 唾石摘出術

(1) 「1 表在性のもの」とは、導管開口部分付近に位置する唾石をいう。

(2) 「2 深在性のもの」とは、腺体付近の導管等に位置する唾石をいう。

(3) 外部より唾石及び唾液腺を併せて摘出したものについては、「2 深在性のもの」により算定する。

J059 耳下腺腫瘍摘出術

耳下腺腫瘍摘出術とは、耳下腺に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。

J063 歯周外科手術(1歯につき)

(1) 歯周外科手術とは、区分番号D002に掲げる歯周組織検査の「2 歯周精密検査」に規定する歯周精密検査の結果に基づき行われる歯周ポケット掻爬術、新付着手術、歯肉切除手術、歯肉剥離掻爬手術及び歯周組織再生誘導手術をいう。なお、歯周外科手術の実施にあたっては、「歯周病の診断と治療に関する指針」(平成19年11月日本歯科医学会)を参考とすること。

(2) 歯周外科手術と同時に行われる区分番号I011に掲げる歯周基本治療の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 歯周外科手術における縫合又はパックの費用はそれぞれの所定点数に含まれる。

(4) 「注4」の「簡単な暫間固定」とは、固定源となる歯を歯数に含めない4歯未満の暫間固定をいう。

(5) 歯周外科手術を伴う場合の固定源となる歯を歯数に含めない4歯以上の暫間固定の費用は、歯周外科手術とは別に区分番号I014に掲げる暫間固定の「2 困難なもの」の所定点数により算定する。

(6) 暫間固定に当たって印象採得を行った場合は1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「3 副子」を、咬合採得を行った場合は、1装置につき、装置の範囲に相当する歯数が8歯以下の場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(1) 少数歯欠損」、装置の範囲に相当する歯数が9歯以上は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」又は装置の範囲に相当する歯数が全歯にわたる場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(3) 総義歯」の所定点数を、装着を行った場合には1装置につき区分番号M005に掲げる装着の「3 副子の装着の場合」の所定点数及び装着材料料を算定できる。ただし、エナメルボンドシステムにより連結固定を行った場合は、装着料及び装着材料料は別に算定できない。

(7) 歯肉剥離掻爬手術と併せて、区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)を行った場合は、歯肉剥離掻爬手術及び区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)のそれぞれの所定点数を併せて算定する。

(8) 「5 歯周組織再生誘導手術」については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、区分番号D002に掲げる歯周組織検査の「2 歯周精密検査」に規定する歯周精密検査の結果に基づき、根分岐部病変又は垂直性骨欠損を有する歯に対して、吸収性膜又は非吸収性膜の固定を行った場合に、「イ 1次手術」の所定点数により算定する。また、「イ 1次手術」において、非吸収性膜を使用した場合であって、一定期間の経過観察後、非吸収性膜を除去した場合においては、「ロ 2次手術」の所定点数により算定する。なお、歯周組織再生材料料は、別に算定する。

(9) 「5 歯周組織再生誘導手術」は、エックス線撮影等により得られた術前の対象歯の根分岐部病変又は垂直性骨欠損の状態、手術部位、手術内容及びその他療養上特記すべき事項について、診療録に記載した場合に算定する。

(10) 「5 歯周組織再生誘導手術」を算定した場合は、「4 歯肉剥離掻爬手術」は別に算定できない。

(11) 区分番号I011―2に掲げる歯周病安定期治療を開始した日以降に行った場合は、所定点数の100分の30により算定する。

(12) 「注5」に規定する加算におけるレーザー照射とは、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、歯肉剥離掻爬手術又は歯周組織再生誘導手術において、明視下で蒸散により歯根面の歯石除去を行うことが可能なものとして保険適用となっているレーザーによる照射をいう。

J063―2 骨移植術(軟骨移植術を含む)

(1) 「1のイ 簡単なもの」とは、当該患者の口腔内から採取した骨片等の移植を行った場合をいう。

(2) 「1のロ 困難なもの」とは、当該患者の口腔外から採取した骨片等の移植を行った場合をいう。

(3) 「2 同種骨移植」とは、同種骨移植をいい、特定保険医療材料である人工骨等を用いた場合は算定できない。

(4) 骨移植術を行った場合は、他の手術の所定点数に骨移植術の所定点数を併せて算定できる。なお、骨移植術の所定点数には、骨片切採術の手技料は含まれ、骨移植術において骨移植に用いる骨片をその必要があって2箇所(例えば脛骨と骨盤)から切除した場合であっても当該採取にかかる手技料は別に算定できない。

(5) 移植術は、採取した骨片を複数箇所に移植した場合も、1回の算定とする。

(6) 「1 自家骨移植」の「ロ 困難なもの」において、骨片採取のみに終わり骨移植に至らない場合については、本区分を算定せず、区分番号J063―3に掲げる骨(軟骨)組織採取術を算定する。

(7) 自家骨軟骨移植術を行った場合は、本区分の「1のロ 困難なもの」により算定する。

(8) 同種骨移植を行うにあたっては、日本整形外科学会の作成した「整形外科移植に関するガイドライン」及び「冷凍ボーンバンクマニュアル」等のガイドラインを参考に、適切に行われることが望ましい。

J063―3 骨(軟骨)組織採取術

区分番号J063―2に掲げる骨移植術の「1のロ 困難なもの」の実施にあたり、骨片採取のみに終わり骨移植に至らなかった場合に限り算定する。

J064 歯肉歯槽粘膜形成手術

(1) 歯肉歯槽粘膜形成手術とは、歯周疾患の治療において、必要があって各号に掲げる手術を行った場合に算定する。なお、「1 歯肉弁根尖側移動術」から「3 歯肉弁側方移動術」までは1歯単位で算定し、「4 遊離歯肉移植術」及び「5 口腔前庭拡張術」は手術単位で算定するものとする。

(2) 「1 歯肉弁根尖側移動術」とは、付着歯肉の幅が狭い場合、又は歯周病で深いポケットが存在し、歯肉歯槽粘膜境を超えているような場合に付着歯肉の幅の増加及び歯周ポケットの除去を目的として行った場合に算定する。

(3) 「2 歯肉弁歯冠側移動術」とは、歯冠側へ歯肉弁を移動させ露出した歯根面の被覆を目的として行った場合に限り算定する。

(4) 「3 歯肉弁側方移動術」とは、歯肉退縮によって歯根面の露出している孤立した少数歯の露出部位に隣接歯の辺縁歯肉から側方に歯肉弁を移動させ露出した歯根面を修復することを目的として行った場合に算定する。

(5) 「4 遊離歯肉移植術」とは、歯肉の供給側より採取した移植片の歯肉を、付着させる移植側へ移植を行うものであり、転位歯等を抜去した際、隣在歯の歯根面が露出し、知覚過敏等の障害のおそれがあるときに手術を行った場合に算定する。ただし、粘膜面への移植は容易であるが、セメント質が露出している歯根面に対しての移植は困難である。

(6) 「5 口腔前庭拡張術」とは、頬舌側の口腔前庭が浅いために、十分なプラークコントロールが行えない場合又は歯冠修復物を装着するに際して付着歯肉の幅が著しく狭い場合において口腔前庭の拡張を行った場合に限り算定する。

(7) 「5 口腔前庭拡張術」と同時に行った小帯(頬、口唇、舌小帯等)の切離移動又は形成の費用は、口腔前庭拡張術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(8) 実施にあたっては、診療録に当該手術に関する要点(目的、症状、手術部位、手術術式等)を記載すること。

J066 歯槽骨骨折観血的整復術

歯槽骨骨折に対し、歯肉粘膜を剥離して観血的に歯槽骨の整復を行った場合に算定する。

J069 上顎骨形成術

(1) 「単純な場合」とは上顎骨発育不全症、外傷後の上顎骨後位癒着、上顎前突症、開咬症、過蓋咬合症等に対し、Le Fort Ⅰ型切離又は上顎骨部分切離により移動を図る場合をいう。

(2) 「複雑な場合及び2次的再建の場合」とは同様の症例に対し、Le Fort Ⅱ型又はLe Fort Ⅲ型切離により移動する場合及び悪性腫瘍手術等による上顎欠損症に対し2次的骨性再建を行う場合をいう。

J070 頬骨骨折観血的整復術

「頬骨骨折観血的整復術」とは、頬骨又は頬骨弓の骨折を観血的に整復する手術をいう。

J071 下顎骨折非観血的整復術

下顎骨折非観血的整復術の「注」の加算は三内式線副子以上を使用する連続歯牙結紮法を行った場合に算定し、これに至らない場合は、所定点数に含まれ別に算定できない。

J072―2 下顎関節突起骨折観血的手術

「2 両側」は、両側の下顎関節突起骨折について観血的に手術を行った場合に算定する。

J073 口腔内軟組織異物(人工物)除去術

(1) 「簡単なもの」とは異物(人工物)が比較的浅い組織内にあり、非観血的あるいは簡単な切開で除去できるものをいう。なお、歯の破折片の除去(う蝕除去に伴うものを除く。)に係る費用は、「1 簡単なもの」の所定点数により算定する。

(2) 「困難なもの」とは除去に当たって組織の剥離を必要とするものをいう。

(3) 「著しく困難なもの」とは異物の位置が確定できず、なおかつ深部に存在するため大きく深い切開等を必要とするものをいう。

(4) 口腔内軟組織異物(人工物)除去術は、異物の数にかかわらず所定点数を1回に限り算定する。ただし、当該除去物は同一術野で除去できるものに限る。

(5) 「1 簡単なもの」、「2 困難なもの」及び「3 著しく困難なもの」のうち、2以上を同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。

(6) 口腔組織にささっている魚骨を除去した場合の費用は、基本診療料に含まれ別に算定できない。

J074 顎骨内異物(挿入物を含む。)除去術

(1) 「1 簡単なもの」は、顎骨骨折における観血的整復、上顎骨形成術又は下顎骨形成術における顎骨の固定等に用いた金属線又はスクリューの除去を行った場合に算定する。

(2) 「2 困難なもの」は、顎骨骨折における観血的整復、上顎骨形成術又は下顎骨形成術における顎骨の固定等に用いた骨体固定金属板の撤去を行った場合に算定する。

J075 下顎骨形成術

下顎前突のとき下顎両側第一小臼歯を抜歯し、この部位で下顎骨を切断して後退させる下顎前突症手術は、「1 おとがい形成の場合」により算定する。

J076 顔面多発骨折観血的手術

顔面多発骨折観血的手術は上下顎が同時に骨折した場合等、複数の骨に対して観血的手術を行った場合に算定する。

J077 顎関節脱臼非観血的整復術

顎関節脱臼非観血的整復術は、片側につき、所定点数を算定する。

J080 顎関節授動術

(1) 徒手的授動術(パンピングを併用した場合)とは顎関節の運動障害を有する患者に対して、パンピング(顎関節腔に対する薬液の注入、洗浄)を行いながら、徒手的に顎関節の授動を図ったものをいう。

なお、この場合において関節腔に対する薬剤の注入を行った場合は、区分番号G007に掲げる関節腔内注射又は区分番号G008に掲げる滑液嚢穿刺後の注入を併せて算定する。

(2) 瘢痕性顎関節強直症に対する手術の費用は「3 開放授動術」により算定する。

(3) 筋突起過長による顎運動障害等で、筋突起形成術を行った場合の費用は「3 開放授動術」により算定する。

J082 歯科インプラント摘出術

他の医療機関で埋植した歯科インプラントを撤去した場合に、当該摘出物の種別に応じて算定する。

J083 顎骨インプラント摘出術

(1) 「顎骨インプラント」とは、腫瘍摘出後等による顎骨欠損に対して埋植した人工骨及び人工骨頭等の欠損補綴用人工材料(体内)をいう。

(2) 埋植した顎骨インプラントを感染による化膿や破折等の理由で、やむを得ず摘出した場合に行った顎骨インプラント摘出術は算定できる。ただし、当該医療機関において行われた治療に基づく異物(骨折手術に用いられた金属内副子等を除く。)について除去を行っても区分番号J073に掲げる口腔内軟組織異物(人工物)除去術、区分番号J074に掲げる顎骨内異物(挿入物を含む。)除去術及び区分番号J082に掲げる歯科インプラント摘出術においては、所定点数は算定できない。

J084 創傷処理

(1) 創傷処理とは、切・刺・割創又は挫創に対して切除、結紮又は縫合を行う場合の第1回治療のことである。

(2) 創傷が数か所あり、これを個々に縫合する場合は、近接した創傷についてはそれらの長さを合計して1つの創傷として取り扱い、他の手術の場合に比し著しい不均衡を生じないようにすること。

(3) 「注2」の「露出部」とは、顔面、頸部、上肢にあっては肘関節以下及び下肢にあっては膝関節以下(足底部を除く。)をいう。

(4) 「注3」のデブリードマンの加算は、汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに限り算定できる。

(5) 当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。

(6) 抜歯又は智歯歯肉弁切除等の術後、後出血を起こし簡単に止血(圧迫等により止血)できない場合における後出血処置の費用は「4 筋肉、臓器に達しないもの(長径5センチメートル未満)」により算定する。

(7) 口腔内における縫合術及び口腔外における縫合術(顔面創傷等の場合)の費用については、大きさ及び深さに応じ、各号の所定点数により算定する。

J084―2 小児創傷処理(6歳未満)

(1) 創傷処理とは、切・刺・割創又は挫創に対して切除、結紮又は縫合を行う場合の第1回治療のことである。

(2) 創傷が数か所あり、これを個々に縫合する場合は、近接した創傷についてはそれらの長さを合計して1つの創傷として取り扱い、他の手術の場合に比し著しい不均衡を生じないようにすること。

(3) 「注2」の「露出部」とは、顔面、頸部、上肢にあっては肘関節以下及び下肢にあっては膝関節以下(足底部を除く。)をいう。

(4) 「注3」のデブリードマンの加算は、汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに限り算定できる。

(5) 当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。

(6) 抜歯又は智歯歯肉弁切除等の術後、後出血を起こし簡単に止血(圧迫等により止血)できない場合における後出血処置の費用は「6 筋肉、臓器に達しないもの(長径2.5センチメートル以上5センチメートル未満)」により算定する。

(7) 口腔内における縫合術及び口腔外における縫合術(顔面創傷等の場合)の費用については、大きさ及び深さに応じ、各号の所定点数により算定する。

J085 デブリードマン

(1) 区分番号J089に掲げる全層、分層植皮術から区分番号J097に掲げる粘膜移植術までの手術を前提に行う場合にのみ算定する。

(2) 汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに算定する。また、繰り返し算定する場合は、植皮等の範囲(全身に占める割合)を診療報酬明細書の摘要欄に記入する。

(3) 「注2」の深部デブリードマン加算は、(2)でいう繰り返し算定される場合についても、要件をみたせば算定できる。

(4) 当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。

J086 上顎洞開窓術

当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。

J087 上顎洞根治手術

当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。

J088 リンパ節摘出術

当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。

J089 分層植皮術及びJ089―2 全層植皮術

デルマトームを使用した場合の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

J090 皮膚移植術(生体・培養)

(1) 皮膚提供者の皮膚採取料及び組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 生体皮膚を移植する場合においては、皮膚提供者から移植用皮膚を採取することに要する費用(皮膚提供者の皮膚採取料及び組織適合性試験の費用は除く。)については、各所定点数により算出し、皮膚移植術(生体・培養)の所定点数に加算する。

(3) 皮膚移植を行った保険医療機関と皮膚移植に用いる移植用皮膚を採取した保険医療機関が異なる場合の診療報酬の請求については、皮膚移植を行った保険医療機関で行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

(4) 皮膚を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。

J090―2 皮膚移植術(死体)

(1) 皮膚提供者の皮膚採取料及び組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 死体から死体皮膚を採取・保存するために要する全ての費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 皮膚を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。

J093 遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)

遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)を行うにあたり、微小血管自動縫合器を使用した場合、医科点数表の区分番号K936―3に掲げる微小血管自動縫合器加算の例により算定する。

J096 自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)

区分番号J096に掲げる自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)を行うにあたり、微小血管自動縫合器を使用した場合は、医科点数表の区分番号K936―3に掲げる微小血管自動縫合器加算の例により算定する。

J098 血管結紮術

当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。

J099 動脈形成術、吻合術

当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。

J099―2 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用埋込型カテーテル設置

医科点数表の区分番号K611に掲げる抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用埋込型カテーテル設置の例により算定する。

J100 血管移植術、バイパス移植術

当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。

J100―2 中心静脈栄養用埋込型カテーテル設置

医科点数表の区分番号K618に掲げる中心静脈栄養用埋込型カテーテル設置の例により算定する。

J101 神経移植術

当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。

J102 交感神経節切除術

(1) 疼痛等に対して、眼窩下孔部又はおとがい孔部で末梢神経遮断(挫滅又は切断)術を行った場合に算定する。

(2) おとがい孔部における末梢神経遮断(挫滅又は切断)術と同時に行ったおとがい孔閉鎖に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

J104 皮膚腫瘍冷凍凝固摘出術

口腔領域の皮膚(粘膜)腫瘍又は皮下(粘膜下)腫瘍に対して冷凍凝固摘出術を行った場合に算定する。

J104―2 皮膚悪性腫瘍切除術

(1) 皮膚悪性腫瘍切除術を行った場合において、リンパ節の郭清を伴う場合は「1」により算定し、病巣部のみを切除した場合は「2」により算定する。

(2) 「注」に規定する悪性黒色腫センチネルリンパ節加算については、以下の要件に留意し算定すること。

イ 触診及び画像診断の結果、遠隔転移が認められない悪性黒色腫であって、臨床的に所属リンパ節の腫大が確認されていない場合にのみ算定する。

ロ センチネルリンパ節生検に伴う放射性同意元素の薬剤料は、区分番号J201に掲げる薬剤により算定する。

ハ 摘出したセンチネルリンパ節の病理診断に係る費用は、第14部病理診断の所定点数により算定する。

J105 瘢痕拘縮形成手術

単なる拘縮に止まらず運動制限を伴うような外傷又は腫瘍摘出術等による瘢痕性拘縮の症例に対して、瘢痕拘縮形成手術を行った場合に算定する。

J106 気管切開術

(1) 口腔領域における腫瘍等による気管閉鎖で、気道確保のため救急的に気管切開を行った場合に算定する。ただし、手術に伴う一連の行為として気管切開を同時に行った場合は、主たる手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 気管切開術後カニューレを入れた数日間の処置(単なるカニューレの清拭ではないものに限る。)は、区分番号I009―2に掲げる創傷処置の「1 100平方センチメートル未満」により算定する。

(3) この際用いた気管切開後のテフロンチューブ等については医科点数表の例により算定する。

J107 気管切開孔閉鎖術

手術に伴い行われた気管切開又は救急的な気道確保のため行われた気管切開による切開孔を、当該気管切開を行った日とは別の日に閉鎖した場合に算定する。

J108 顔面神経麻痺形成手術

耳下腺悪性腫瘍摘出後の顔面神経麻痺に対して動的形成手術又は静的形成手術を行った場合に算定する。

第2節 輸血料

J200 輸血

医科点数表の区分番号K920に掲げる輸血の例により算定する。

J200―2 輸血管理料

医科点数表の区分番号K920―2に掲げる輸血管理料の例により算定する。

第3節 手術医療機器等加算

J200―5 画像等手術支援加算

(1) 画像等手術支援加算は、当該技術の補助により手術が行われた場合に算定するものであり、当該技術が用いられた場合であっても、手術が行われなかった場合は算定できない。

(2) ナビゲーションによる支援とは、手術前又は手術中に得た画像を手術の一過程において、手術を補助する目的で用いることをいう。

(3) 実物大臓器立体モデルによる支援とは、手術前又は手術中に得た画像等により作成された実物大臓器立体モデルを、手術を補助する目的で用いることをいう。

第4節 薬剤料

J201 薬剤

手術後の薬剤病巣撤布については、次の手術後に実施されたとき、その薬剤料を第9部手術第4節により併せて算定できる。

(1) 口腔領域の悪性腫瘍手術及びこれらに準ずる手術

(2) 顎骨及び顎関節の形成術

(3) 腐骨除去手術で広範囲のもの

(4) 口腔領域の複雑骨折に対する観血的整復手術及びこれらに準ずるような開放性外傷に対する手術

第5節 特定薬剤料

J300 特定薬剤

(1) 1回の手術に特定薬剤を2種以上使用した場合であっても、使用した特定薬剤の合計価格から40円を控除した残りの額を10円で除して得た点数について1点未満の端数を切り上げて特定薬剤料を算定する。

(2) 特定薬剤を使用した場合であっても、1回の手術に使用した特定薬剤の合計価格が40円以下の場合は、特定薬剤料は算定できない。

(3) (1)でいう1回の手術とは、手術の部に掲げられている各区分の所定点数を算定する単位を1回とする。

(4) 特定薬剤における生理食塩水及びアクリノールは、当該手術を行うに当たり入院を必要とする手術を行った際に、当該手術に使用される特定薬剤の総量価格が40円を超える場合に限り、当該手術の所定点数の他、その費用を算定する。

(5) その他については、区分番号I100に掲げる特定薬剤の(4)から(8)の例により算定する。

第6節 特定保険医療材料

J400 特定保険医療材料

当該手術の実施のために使用される特定保険医療材料については、材料価格を10円で除して得られた点数により算定する。

第10部 麻酔

通則

1 「通則2」、「通則3」及び「通則4」の規定は、第1節の所定点数(ただし、酸素及び窒素を使用した場合の加算を除く。)のみに適用されるものであり、第2節薬剤料に対しては適用されない。

2 「通則2」における著しく歯科診療が困難な障害者の100分の50加算は、治療を直接行う歯科医師に加え、患者の障害に起因した行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢の保持を行うことを目的として、当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護師等が参画した場合等に限り算定するものであり、当該加算を算定した日における患者の状態を診療録に記載する。

3 「通則2」における加算において6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な障害者である場合の100分の50加算は、乳幼児加算のみを算定する。

4 「通則4」における加算は、時間外加算等の適用される処置及び手術に伴って行われた麻酔に対して、第9部手術の時間外加算等と同様の取扱いで算定されるもので、当該処置及び手術の所定点数が150点に満たない場合の加算は認められない。

5 「通則4」における時間外加算等の取扱いは、初診料における場合と同様である。

6 麻酔の休日加算、時間外加算及び深夜加算は、これらの加算が算定できる緊急手術に伴い行われた麻酔についてのみ算定できる。

7 その他の麻酔法の選択について、従前から具体的な規定のないものについても、保険診療の原則に従い必要に応じ妥当適切な方法を選ぶべきものである。

8 第10部に規定する麻酔料以外の麻酔料の算定は医科点数表の例により算定する。

第1節 麻酔料

K001 浸潤麻酔、圧迫麻酔

(1) 第9部手術、所定点数が120点以上の処置、特に規定する処置、区分番号M001に掲げる歯冠形成の所定点数には、浸潤麻酔の費用が含まれ別に算定できない。

(2) う蝕症又は象牙質知覚過敏症等の歯に対する所定点数が120点未満の処置に浸潤麻酔を行った場合の費用は、術野又は病巣を単位として所定点数により算定する。

K002 吸入鎮静法

(1) 吸入鎮静法は、笑気等を用いてゲーデルの分類の麻酔深度の第1期において歯科手術等を行う場合に算定する。

(2) 吸入鎮静法において使用した麻酔薬剤(亜酸化窒素等)に係る費用の算定については、別に定める「酸素及び窒素の価格」(平成2年厚生省告示第41号)に基づき算定する。

(3) 酸素又は窒素の価格は、区分番号I025に掲げる酸素吸入及び医科点数表の区分番号L008に掲げるマスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔の注3の例により算定する。

K003 静脈内鎮静法

(1) 静脈内鎮静法は、歯科治療に対して非協力的な小児患者、歯科治療恐怖症の患者、歯科治療時に配慮すべき医科的全身疾患を有する患者等を対象として、薬剤を静脈内投与することにより鎮静状態を得る方法であり、歯科手術等を行う場合に算定する。

(2) 静脈内鎮静法を実施するに当たっては、「歯科診療における静脈内鎮静法ガイドライン」(平成21年9月日本歯科医学会)を参考にし、術前、術中及び術後の管理を十分に行い、当該管理記録を診療録に添付すること。

(3) 静脈内鎮静法を算定した場合は、区分番号K002に掲げる吸入鎮静法に係る費用は別に算定できない。

(4) 静脈内鎮静法において用いた薬剤に係る費用については、別途算定できる。

(5) 静脈内鎮静法を実施するに当たっては、緊急時に適切な対応ができるよう、あらかじめ医科の保険医療機関と連携していること。

第2節 薬剤料

K100 薬剤

1回の麻酔に麻酔薬剤を2種以上使用した場合であっても使用麻酔薬剤の合計薬価から40円を控除した残りの額を10円で除して得た点数につき1点未満の端数を切り上げて麻酔薬剤料を算定する。

第11部 放射線治療

医科点数表の第2章第12部に掲げる放射線治療(区分番号M000―2に掲げる放射性同位元素内用療法管理料、区分番号M001―2に掲げるガンマナイフによる定位放射線治療、区分番号M001―3に掲げる直線加速器による定位放射線治療、区分番号M002に掲げる全身照射及び区分番号M005に掲げる血液照射を除く。)の例により算定する。

第12部 歯冠修復及び欠損補綴

通則

1 歯冠修復及び欠損補綴の費用は、第1節中の各区分の注に「保険医療材料料を含むものとする。」等と規定されているものを除き、第1節の各区分の所定点数に第3節の保険医療材料料を合算して算定する。

2 歯冠修復及び欠損補綴を行った場合の費用の算定は、一連の歯冠修復及び欠損補綴の所定点数を併せて算定できる。

3 印象採得、咬合採得、仮床試適及び装着については、それぞれの診療行為を行った際に算定する。

4 歯冠修復の当日に行うう蝕処置の費用については、歯冠修復の所定点数に含まれ別に算定できない。

5 有床義歯、ブリッジ(前歯部の接着ブリッジを含む。以下同じ。)等において人工歯を使用した場合の当該人工歯の費用は人工歯を必要とする部位が両側にわたる場合は1組として、片側の場合は2分の1組として、それぞれ人工歯材料料として算定する。

6 「通則3」は、この部に規定していない歯冠修復及び欠損補綴であっても、この部に規定している歯冠修復及び欠損補綴のうち、最も近似する歯冠修復及び欠損補綴の所定点数により算定することが妥当であるものについては、その都度当局に内議の上、それらの所定点数を準用することができる趣旨の規定である。

7 「通則4」による乳幼児又は著しく歯科診療が困難な障害者に対する加算は、第1節の所定点数の100分の50を加算する。

8 「通則4」の著しく歯科診療が困難な障害者の100分の50加算は、治療を直接行う歯科医師に加え、患者の障害に起因した行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢の保持を行うことを目的として、当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護師等が参画した場合等に算定するものであり、当該加算を算定した日における患者の状態を診療録に記載する。

9 6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な障害者である場合(100分の50加算)は、乳幼児加算のみを算定する。

10 歯冠修復及び欠損補綴物の製作に係る一連の診療行為における歯肉圧排、歯肉整形、特定薬剤等の費用は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。

11 歯科訪問診療は常時寝たきりの状態等であって通院困難な療養中の患者について実施されるものであるが、消炎鎮痛、有床義歯の調整等の訪問診療で求められる診療の重要性を考慮し、当該患者に行った区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号J000に掲げる抜歯手術(「1 乳歯」、「2 前歯」及び「3 臼歯」に限る。)、区分番号J013に掲げる口腔内消炎手術(「2 歯肉膿瘍等」に限る。)及び区分番号M029に掲げる有床義歯修理について所定点数に所定点数の100分の50を加算する。

12 「通則7」でいう検査とは、区分番号D004に掲げる平行測定から区分番号D009に掲げる顎運動関連検査までをいう。

13 区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料(補綴物維持管理料)の「注1」に係る地方厚生(支)局長への届出を行っていない保険医療機関において、歯冠補綴物及びブリッジの製作を行い装着した場合については、当該歯冠補綴物及びブリッジに係る補綴関連検査、歯冠修復及び欠損補綴に係る一連の費用の所定点数の100分の70に相当する点数により算定する。また、当該歯冠補綴物等の製作に先立ち区分番号I008に掲げる根管充填を行った場合であっても、区分番号I008に掲げる根管充填の「注1」の加圧根管充填に係る加算の費用は算定できない。

14 保険給付外診療で製作された歯冠修復物及び欠損補綴物であって、後日、脱落した際の再装着の費用及び破損した場合の修理の費用は保険給付の再装着、修理と同一の場合であっても保険給付の対象には認められない。なお、他院で製作された歯冠修復物及びブリッジであって、装着後、区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の「注2」に規定する期間に相当する期間を経過したものについてはこの限りではない。

15 有床義歯製作中であって咬合採得後、試適を行う前に患者が理由なく来院しなくなった場合、患者の意思により治療を中止した場合又は患者が死亡した場合には、診療録に装着物の種類、試適予定日及び試適できなくなった理由等を記載するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に装着物の種類、試適予定日及び装着できなくなった理由(患者が理由なく来院しなくなった場合を除く。)を記載した場合に、製作された区分番号M020に掲げる鋳造鉤、区分番号M021に掲げる線鉤、区分番号M022に掲げるフック、スパー及び区分番号M023に掲げるバーにあっては、各区分の所定点数並びに特定保険医療材料である人工歯の費用の請求を行うことができるものとする。また、区分番号M007に掲げる仮床試適、区分番号M005に掲げる装着の費用は算定できない。なお、請求に当たっては、試適の予定日から起算して1月以上経過した上で行うものとする。ただし、患者が死亡した場合であって死亡が明らかな場合は、この限りでない。

16 患者が理由なく来院しなくなった場合、患者の意思により治療を中止した場合、患者が死亡した場合であって支台築造物、鋳造歯冠修復物、ジャケット冠、ブリッジ、有床義歯(鉤、バー、フック及びスパーを含む。)の製作がすでに行われているにもかかわらず装着ができない場合は診療録に装着物の種類、装着予定日及び装着できなくなった理由等を記載するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に装着物の種類、装着予定日及び装着できなくなった理由(患者が理由なく来院しなくなった場合を除く。)を記載した場合に、区分番号M002に掲げる支台築造、区分番号M010に掲げる鋳造歯冠修復、区分番号M011に掲げる前装鋳造冠、区分番号M014に掲げるジャケット冠、区分番号M015に掲げる硬質レジンジャケット冠、区分番号M017に掲げるポンティック(ダミー)、区分番号M018に掲げる有床義歯、区分番号M019に掲げる熱可塑性樹脂有床義歯、区分番号M020に掲げる鋳造鉤、区分番号M021に掲げる線鉤、区分番号M022に掲げるフック、スパー及び区分番号M023に掲げるバーの各区分に掲げる所定点数並びに特定保険医療材料料の請求を行うことができるものとする。また、区分番号M005に掲げる装着の費用及び装着材料料は算定できない。なお、請求に当たっては、装着の予定日から起算して1月以上経過した上で行うものとする。ただし、患者が死亡した場合であって死亡が明らかな場合は、この限りでない。

17 歯冠修復及び欠損補綴の場合、歯冠形成及び印象採得後、偶発的な事故等を原因とする外傷による歯冠形成歯の喪失等のやむを得ない場合は、当該歯に装着予定の完成している歯冠修復物及び欠損補綴物について診療録に歯冠修復物又は欠損補綴物の種類、装着予定日及び装着できなくなった理由等を記載するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に装着物の種類、装着予定日及び装着できなくなった理由を記載した場合に、区分番号M010に掲げる鋳造歯冠修復、区分番号M011に掲げる前装鋳造冠、区分番号M014に掲げるジャケット冠、区分番号M015に掲げる硬質レジンジャケット冠及び区分番号M017に掲げるポンティック(ダミー)の各区分に掲げる所定点数並びに特定保険医療材料料の請求を行うことができるものとする。なお、区分番号M005に掲げる装着の費用及び装着材料料は算定できない。

18 未来院請求後に患者が再び来院し、すでに未来院請求を行った区分番号M002に掲げる支台築造、区分番号M010に掲げる鋳造歯冠修復、区分番号M011に掲げる前装鋳造冠、区分番号M014に掲げるジャケット冠、区分番号M015に掲げる硬質レジンジャケット冠、区分番号M017に掲げるポンティック(ダミー)、区分番号M018に掲げる有床義歯、区分番号M019に掲げる熱可塑性樹脂有床義歯、区分番号M020に掲げる鋳造鉤、区分番号M021に掲げる線鉤、区分番号M022に掲げるフック、スパー及び区分番号M023に掲げるバーの装着を行う場合は、前記に掲げる各区分に係る費用は別に算定できない。なお、算定に当たっては、診療報酬明細書の摘要欄にその旨を記載すること。

19 火災等のために試適又は装着する前に消失した歯冠修復物及び欠損補綴物については、診療報酬として請求できない。

第1節 歯冠修復及び欠損補綴診療料

M000 補綴時診断料

(1) 補綴時診断料は、患者の当該初診における受診期間を通じ、新たな欠損補綴及び有床義歯の床裏装等を行う場合に、着手した日において1回に限り算定する。

(2) 新たに生じた欠損部の補綴に際し、既製の有床義歯に追加する場合は、有床義歯を新製する場合と同様に補綴時診断料を算定する。ただし、同一初診中で補綴時診断料を算定している場合であって、新たに欠損が生じた場合の補綴時診断に係る費用は、すでに算定を行った補綴時診断料に含まれ別に算定できない。

(3) 補綴時診断料の算定に当たっては、製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等についての要点を診療録に記載すること。

(4) 補綴時診断料を算定した場合には、補綴物の診断設計に基づき、患者に装着する予定の補綴物について、義歯、ブリッジ等の概要図、写真等を用いて患者に効果的に情報提供を行うこと。

(5) 補綴時診断料を算定した後、再度、補綴時診断料を算定すべき診断が必要となり診断を行った場合にあっては、新たに製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等についての要点を診療録に記載すること。なお、当該診断の費用は第1回目の診断の費用に含まれ別に算定できない。

M000―2 クラウン・ブリッジ維持管理料

(1) クラウン・ブリッジの維持管理を実施する保険医療機関は、クラウン・ブリッジの維持管理を開始する前月までに地方厚生(支)局長に届け出るものとする。なお、届出を行う場合には、「特掲診療料の施設基準及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の様式81を用いること。

(2) 「注1」の「歯冠補綴物」とは、区分番号M010に掲げる鋳造歯冠修復(「1 インレー」を除く。)、区分番号M011に掲げる前装鋳造冠、区分番号M014に掲げるジャケット冠、区分番号M015に掲げる硬質レジンジャケット冠をいう。なお、乳歯に対する歯冠修復及び欠損補綴及びすべての支台をインレーとするブリッジは、クラウン・ブリッジ維持管理の対象としない。

(3) 「注1」に規定する文書とは、当該維持管理の対象となる補綴物ごとに、保険医療機関名、開設者名、装着日、クラウン・ブリッジ維持管理料の趣旨、補綴部位等を明記したものをいう。なお、患者に対しクラウン・ブリッジ維持管理に係る説明を行い、患者に対し、その内容を文書により提供した場合に限り算定できる。ただし、同一日に複数の補綴物を装着した場合は、主たる補綴物の維持管理料に係る文書に集約して記載し、患者に対して提供しても差し支えない。なお、患者に提供した文書の写しを診療録に添付すること。

(4) 「注2」の「補綴関連検査」とは、区分番号D004に掲げる平行測定及び区分番号D008に掲げる顎運動関連検査に定める各検査をいう。

(5) クラウン・ブリッジ維持管理を行っている歯冠補綴物やブリッジを装着した歯に対して、充填を行った場合の一連の費用は当該維持管理料に含まれ別に算定できない。

(6) クラウン・ブリッジ維持管理を行っている歯冠補綴物やブリッジが離脱した場合の再装着に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できないが、再度の装着に使用した装着材料料については、別に算定できる。なお、再度の装着を行った場合には、診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に再度の装着を行った歯の部位、再度の装着日を記載すること。

(7) 「注1」の「歯冠補綴物又はブリッジ」を保険医療機関において装着した日から起算して1年を経過した日以降2年を経過した日までの間に、外傷、腫瘍等によりやむを得ず隣在歯を抜歯し、ブリッジを装着する場合には、その理由書、模型、エックス線フィルム又はその複製を地方厚生(支)局長に提出し、その判断を求めるものとする。また、添付模型の製作の費用は、基本診療料に含まれ、算定できないが、添付フィルム又はその複製については区分番号E100に掲げる歯牙、歯周組織、顎骨、口腔軟組織及び区分番号E300に掲げるフィルムに準じて算定して差し支えない。ただし、算定に当たっては診療報酬明細書の摘要欄に算定の理由を明記すること。

なお、歯冠補綴物又はブリッジを装着した歯の隣在歯が歯冠補綴物又はブリッジの装着時に歯周疾患に罹患している場合等においては、当該隣在歯の抜歯に伴う歯冠修復物又はブリッジの再製作に係る一連の費用は、クラウン・ブリッジ維持管理料に含まれ別に算定できない。

M001 歯冠形成

(1) 歯冠形成は、同一歯牙について、1回に限り歯冠形成が完了した日において算定する。なお、簡単な支台築造の費用、歯冠形成に付随して行われる麻酔等の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 歯冠形成完了後、完了した日とは別の日に当該歯に行われる麻酔の費用は別に算定できる。

(3) 「1 生活歯歯冠形成」の所定点数には歯冠形成に付随して行われる処置等の一連の費用は含まれるが、歯冠修復物の除去を行った場合の除去の費用は別に算定できる。

(4) 「1のイ 鋳造冠」及び「2のイ 鋳造冠」の鋳造冠とは、全部鋳造冠、前装鋳造冠、前歯の4分の3冠及び臼歯の5分の4冠をいう。

(5) 「鋳造冠」とは、全部鋳造冠、前装鋳造冠、前歯の4分の3冠、臼歯の5分の4冠等、全部鋳造冠方式又は全部鋳造冠に準ずる方式で製作する鋳造歯冠修復(例えば前歯において審美性の観点から唇側の歯質を一部露出させる場合)をいい、4面又は5面の鋳造歯冠修復のすべての場合が該当するものではない。

(6) 「1のロ ジャケット冠」及び「2のロ ジャケット冠」のジャケット冠とは、レジンジャケット冠及び硬質レジンジャケット冠をいう。

(7) 「注1」に規定する接着ブリッジとは、いわゆる従来型ブリッジと同様に支台装置、ポンティック、連結部より構成されるが、支台歯のうち少なくとも1歯(以下「接着ブリッジ支台歯」という。)の切削をエナメル質にとどめ、咬合力に対する抵抗形態、脱離力に対する維持形態を付与し、接着性レジンを用いて支台歯に支台装置を装着するものをいう。

(8) 接着ブリッジ支台歯に対する冠(以下「接着冠」という。)に係る歯冠形成は、「1のイ 鋳造冠」の前歯の4分の3冠に準じて算定する。

(9) メタルコアで支台築造を行った前装鋳造冠、全部鋳造冠及びジャケット冠に係る失活歯歯冠形成に限り所定点数に「注2」又は「注3」の加算を加算する。

(10) 「3 窩洞形成」の窩洞形成は1歯単位に算定する。したがって、同一歯牙に2箇所以上の窩洞の形成を行った場合も、窩洞の数にかかわらず所定点数を1回のみ算定する。

(11) 「注5」の加算におけるレーザー照射とは、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、充填処置のためのう蝕除去及び窩洞形成が可能なものとして保険適用となっているレーザーによる照射をいう。

(12) 「注5」の加算は、エアータービン等歯科用切削器具を用いることなく、レーザーを応用して疼痛の発現を抑制しながら、う蝕歯の充填処置のためのう蝕除去及び窩洞形成を行うことを評価したものであり、エアータービン等切削器具を用いた場合は、算定しない。

(13) 「3のイ 単純なもの」とは、隣接歯との接触面を含まない窩洞をいう。

(14) 「3のロ 複雑なもの」とは、隣接歯との接触面を含む窩洞をいう。

(15) 「1のハ 乳歯金属冠」及び「2のハ 乳歯金属冠」の乳歯金属冠は、既製の金属冠をいう。

(16) 燐酸セメント又はカルボキシレートセメント等のセメントにより充填を行うための窩洞形成は、「3のイ 単純なもの」により算定する。

(17) 可動性固定ブリッジ(半固定性ブリッジ)の可動性連結装置については、「3のロ 複雑なもの」により算定する。

(18) 歯冠修復物の脱落時において、軟化象牙質を除去して再形成を行った場合の軟化象牙質の除去の費用は、区分番号I000に掲げるう蝕処置により算定する。

M001―2 う蝕歯即時充填形成

(1) う蝕歯即時充填形成は、う歯に対して1日で当該歯の硬組織処置及び窩洞形成を完了し充填を行った場合に限り算定し、次回来院の際、充填を行う場合は該当しない。

(2) 2次う蝕によるう蝕症第1度、2次う蝕によるう蝕症第2度、2次う蝕によるう蝕症第3度において充填物を除去し、即時充填のための窩洞形成を行った場合は、う蝕歯即時充填形成により算定する。この場合の充填物の除去の費用は算定できない。

(3) 当該歯の歯冠修復物の除去に係る費用は別に算定できない。

(4) 「注1」の加算におけるレーザー照射とは、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、充填処置のためのう蝕除去及び窩洞形成が可能なものとして保険適用となっているレーザーによる照射をいう。

(5) 「注1」の加算は、エアータービン等歯科用切削器具を用いることなく、レーザーを応用して疼痛の発現を抑制しながら、う蝕歯のう蝕歯即時充填形成のためのう蝕除去及び窩洞形成を行うことを評価したものであり、エアータービン等切削器具を用いた場合は、算定しない。

M001―3 う蝕歯インレー修復形成

(1) う蝕歯インレー修復形成はう歯に対して1日で当該歯の硬組織処置及び窩洞形成を完了し、印象採得及び咬合採得までを行った場合に算定する。

(2) 2次う蝕によるう蝕症第1度、2次う蝕によるう蝕症第2度、2次う蝕によるう蝕症第3度において充填物を除去し、インレー修復のための窩洞形成を行った場合は、う蝕歯インレー修復形成により算定する。この場合の充填物の除去の費用は算定できない。

(3) 当該歯の歯冠修復物の除去に係る費用は算定できない。

M002 支台築造

(1) 「支台築造」とは、実質欠損の大きい失活歯に対して根管等により築造物を維持し、填塞又は被覆して支台歯形態に修復することをいう。

(2) 「メタルコア」とは、鋳造物により築造するものをいう。

(3) 「その他」とは、スクリューポスト(支台築造用)及び複合レジン(築造用)等により築造するものをいい、セメント等による簡単な支台築造は含まれない。

(4) 乳歯については、全部鋳造冠の歯冠形成、乳歯金属冠の歯冠形成及び窩洞形成における支台築造の費用は算定できない。

(5) メタルコアによる支台築造物を再装着した場合は、装着の費用として区分番号M005に掲げる装着の「1のロ その他」及び装着に係る保険医療材料料を算定できる。

(6) 歯冠修復を行うに当たり、メタルコアと全部鋳造冠等を同一模型上で製作し、1日で患者に装着することは、歯科医学的に適切であると認められる場合に限り認められ、常態として行うことは認められない。なお、この場合における印象採得に係る費用は、全部鋳造冠等により算定するものとし、支台築造印象に係る費用は算定できない。

M002―2 支台築造印象

(1) 「支台築造印象」とは、区分番号M002に掲げる支台築造の「1のイ 大臼歯」又は「1のロ 小臼歯及び前歯」の製作に当たって行う印象採得をいう。

(2) 支台築造印象料は、それぞれの製作物ごとに算定する。

M003 印象採得

(1) 印象採得料は、歯冠修復物、歯冠補綴物、欠損補綴物及び義歯修理に当たってそれぞれの製作物ごとに算定する。

(2) ブリッジの印象採得料の算定の時期は、間接法の場合は最初の印象採得の日とし、直接法の場合は支台装置を試適して印象採得を行った日とする。

(3) 印象採得の費用は、原則として歯冠修復及び欠損補綴に当たって印象採得又はろう型採得を行った際に製作物単位に算定する。ただし、ワンピースキャストブリッジ以外のその他のブリッジにあっては、支台装置ごとに「1のイ 単純印象」を、又は1装置ごとに「2のイの(1) 簡単なもの」を算定する。

(4) その他の印象採得は、次により算定する。

イ 「1のロ 連合印象」に該当するものは、鋳造歯冠修復、前装鋳造冠、硬質レジンジャケット冠において連合印象又は各個トレーを用いて行ったものである。

ロ 「その他のブリッジ」の印象採得について、一部の支台装置が鋳造歯冠修復又は前装鋳造冠である場合にその支台歯につき連合印象を行った場合は「1のロ 連合印象」の所定点数を算定する。

ハ 「2のイの(1) 簡単なもの」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴(ワンピースキャストブリッジを除く。)及び有床義歯修理等である。

ニ 9歯以上の欠損補綴及びケロイドにより口唇狭小で印象採得が困難な場合、又は分割印象等を行わなければ所期の目的を達し得ない場合は「2のイの(2) 困難なもの」により算定する。

ホ 欠損補綴で連合印象又は各個トレーを用いて行った場合、又は有床義歯床裏装の印象採得料は「2のロ 連合印象」により算定する。

ヘ 「2のハ 特殊印象」は、欠損補綴でレジン系印象材又はラバー系印象材等を用いてろう義歯により咬合圧印象を行った場合をいう。また、フレンジテクニック又はマイオモニターによる印象も本区分で算定する。

ト ケロイドにより口唇狭小の際に、連合印象又は特殊印象を行った場合は、「2のロ 連合印象」又は「2のハ 特殊印象」によりそれぞれの所定点数を算定する。

(5) ワンピースキャストブリッジの印象採得の費用は、1装置における支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計により算定する。

(6) ブリッジの製作に当たり、ワンピースキャストブリッジと同様の術式で支台歯形成から装着までを行う場合、やむを得ず複数個に分けて鋳造し連結の上、患者に装着した場合の印象採得は、「2のニ ワンピースキャストブリッジ」により算定する。

(7) 欠損補綴に係る連合印象及び特殊印象については、顎堤の状況や欠損形態にかかわらず所定点数により算定する。

M003―2 テンポラリークラウン

(1) テンポラリークラウンとは、前歯部の歯冠修復において、前装鋳造冠、ジャケット冠及び硬質レジンジャケット冠の装着までの間、暫間的に装着されるものをいう。

(2) テンポラリークラウンの費用は、1歯につき所定点数1回の算定とする。なお、歯冠修復装着までの修理等の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) テンポラリークラウンの製作及び装着に当たり使用される保険医療材料料は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) テンポラリークラウンの除去に係る費用は、別に算定できない。

M004 リテイナー

(1) リテイナーとは、ブリッジ(接着ブリッジを含む。)の製作過程において、支台歯の保護、支台歯及び隣在歯及び対合歯の移動防止並びに歯周組織の保護等のために、ブリッジの支台歯として歯冠形成を予定している歯又は歯冠形成を完了した歯について、ブリッジ装着までの間暫間的に装着されるものをいう。

(2) リテイナーの費用は、ブリッジの支台歯として歯冠形成を予定している歯又は歯冠形成を完了した歯について、当該歯を支台とするリテイナーを製作した場合に、当該歯の歯冠形成を算定した日からブリッジを装着するまでの期間において、1装置につき1回に限り算定する。なお、分割して製作した場合にあっても、ブリッジ1装置につき所定点数1回の算定とする。また、ブリッジ装着までの修理等の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) リテイナーの製作に当たり使用される保険医療材料料(人工歯を使用した場合の人工歯料を含む。)は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) リテイナーの装着に用いた仮着セメント料については、印象採得後リテイナー装着に係る算定と同時点のものに限り算定が認められる。また、必要があってブリッジの試適を行った場合のリテイナーの再装着についても同様とする。

M005 装着

(1) 装着は次により算定する。

イ 「2のロの(1) 少数歯欠損」及び「2のハの(1) 少数歯欠損」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴をいう。

ロ 「2のロの(2) 多数歯欠損」及び「2のハの(2) 多数歯欠損」に該当するものは、9歯より14歯欠損までの欠損補綴をいう。

ハ 「2のロの(3) 総義歯」及び「2のハの(3) 総義歯」に該当するものは、総義歯をいう。

(2) 有床義歯修理を行った場合の装着の費用は、「2のハ 有床義歯修理」の各区分により算定する。

(3) 装着の費用は、原則として歯冠修復物又は欠損補綴物を装着した際に製作物ごとに算定する。

ただし、ブリッジにあっては、装着に係る保険医療材料料についてのみ支台装置ごとに算定ができる。

(4) 歯間離開度検査、装着後の歯冠修復の調整等の費用は、装着の所定点数に含まれ別に算定できない。

(5) 前装鋳造冠の装着を行った場合の費用は、「1のイ 鋳造歯冠修復又は硬質レジンジャケット冠」により算定する。

(6) 「注1」又は「注2」による加算は、ワンピースキャストブリッジの製作に当たって生体との調和性をみるために装着日以前に仮着を行った場合に算定する。なお、仮着物の除去の費用は、算定できない。

(7) ワンピースキャストブリッジと同様の術式で支台歯形成から装着までを行う場合、やむを得ず複数個に分けて鋳造し連結の上、装着した場合の装着料は、「2のイの(1)の(一) 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が5歯以下の場合」又は「2のイの(1)の(二) 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が6歯以上の場合」により算定する。

(8) 咬合音検査の費用は、欠損補綴の装着の費用に含まれ別に算定できない。

M006 咬合採得

(1) 歯冠修復及び欠損補綴における咬合採得については、製作物ごとに算定する。

イ 「1 歯冠修復」に該当するものは、ブリッジの支台装置を除く歯冠修復

ロ 「2のイの(2) その他のブリッジ」に該当するものは、ワンピースキャストブリッジ以外のその他のブリッジ

ハ 「2のロの(1) 少数歯欠損」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴

ニ 「2のロの(2) 多数歯欠損」に該当するものは、9歯より14歯欠損までの欠損補綴

ホ 「2のロの(3) 総義歯」に該当するものは、総義歯

(2) 有床義歯を装着しない口蓋補綴及び顎補綴における咬合採得については、区分番号M025に掲げる口蓋補綴、顎補綴の「1 印象採得が困難なもの」を算定する場合は本区分の「2のロの(2) 多数歯欠損」の所定点数を、区分番号M025に掲げる口蓋補綴、顎補綴の「2 印象採得が著しく困難なもの」を算定する場合は本区分の「2のロの(3) 総義歯」の所定点数をそれぞれ咬合採得として算定する。また、副子における咬合採得については、当該副子の範囲に相当する歯数により、本区分の「2のロ 有床義歯」により算定する。

(3) 欠損補綴に係る咬合採得については、2回以上行っても顎堤の状況や欠損形態にかかわらず所定点数により算定する。

M007 仮床試適

(1) 仮床試適の費用は、仮床試適を行った際に製作物ごとに算定する。

(2) 仮床試適は次により算定する。

イ 「1 少数歯欠損」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴

ロ 「2 多数歯欠損」に該当するものは、9歯より14歯欠損までの欠損補綴

ハ 「3 総義歯」に該当するものは、総義歯

(3) 有床義歯を装着しない口蓋補綴及び顎補綴における仮床試適については、区分番号M025に掲げる口蓋補綴、顎補綴の「1 印象採得が困難なもの」又は「2 印象採得が著しく困難なもの」を算定する場合は本区分の「3 総義歯」の所定点数を算定する。

M008 ワンピースキャストブリッジの試適

(1) 前歯部に係るワンピースキャストブリッジの製作に当たり、鋳造物の適否等を診断するために試適を行った場合に算定する。

(2) その他のブリッジにおいては、前歯部に係る当該ブリッジの製作に当たり鋳造物等の適否等を診断するために、試適を行った場合は、「1 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が5歯以下の場合」に準じて算定する。

<歯冠修復>

M009 充填

(1) 「1 単純なもの」とは、隣接面を含まない窩洞に対して行う充填をいう。

(2) 「2 複雑なもの」とは、隣接面を含む窩洞に対して行う充填をいう。

(3) 充填の費用は窩洞数にかかわらず1歯単位で算定する。したがって、「1 単純なもの」を同一歯の複数窩洞に行った場合であっても、「1 単純なもの」の所定点数により算定する。

(4) 充填の費用は窩洞形態に応じ算定するものであるが、同一歯に「1 単純なもの」及び「2 複雑なもの」の窩洞が混在する場合は、「2 複雑なもの」の所定点数のみを算定する。

(5) 前歯部切端又は切端隅角のみのものは、「1 単純なもの」として算定する。

(6) 3面以上にわたる窩洞に硅酸セメント、硅燐酸セメント及び歯科充填用即時硬化レジンを行った場合は、「1 単純なもの」として算定する。

(7) 前歯部5級窩洞、臼歯部歯質くさび状欠損又は歯の根面部のう蝕等に対する充填は、いずれも「1 単純なもの」により算定する。

(8) 充填を行うに当たり窩洞形成を行った場合は、区分番号M001―2に掲げるう蝕歯即時充填形成の場合を除き、1歯につき区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」又は「3のロ 複雑なもの」の所定点数を算定する。

(9) 充填に使用した保険医療材料料は窩洞を単位として算定するが、同一歯面に複数の窩洞が存在する場合については1窩洞として取り扱う。

(10) 歯科充填用材料Ⅰの保険医療材料料を算定する歯科用複合レジン充填材料を用いて、窩洞の修復を行った場合は、次の取扱いとする。なお、印象採得又は咬合採得を行った場合は、1個につき区分番号M003に掲げる印象採得の「1 歯冠修復」又は区分番号M006に掲げる咬合採得の「1 歯冠修復」を、装着した場合は1個につき区分番号M005に掲げる装着の「1のロ その他」及び合着・接着材料料をそれぞれ算定する。

イ 単純なもの

「1 単純なもの」に掲げる所定点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅰの「(2) 複雑なもの」に係る点数を算定する。

ロ 複雑なもの

「2 複雑なもの」に掲げる所定点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅰの「(1) 単純なもの」に係る点数及び「(2) 複雑なもの」に係る点数を合算した点数を算定する。

(11) 歯科充填用材料Ⅱの保険医療材料料を算定する歯科用複合レジン充填材料を用いて、窩洞の修復を行った場合は、次の取扱いとする。なお、印象採得又は咬合採得を行った場合は、1個につき区分番号M003に掲げる印象採得の「1 歯冠修復」又は区分番号M006に掲げる咬合採得の「1 歯冠修復」を、装着した場合は1個につき区分番号M005に掲げる装着の「1のロ その他」及び合着・接着材料料をそれぞれ算定する。

イ 単純なもの

「1 単純なもの」に掲げる所定点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅱの「(2) 複雑なもの」に係る点数を算定する。

ロ 複雑なもの

「2 複雑なもの」に掲げる所定点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅱの「(1) 単純なもの」に係る点数及び「(2) 複雑なもの」に係る点数を合算した点数を算定する。

(12) 感染根管処置を行うに当たり、根管側壁、髄室側壁又は髄床底に穿孔がある場合であって封鎖を行った場合は、区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」と保険医療材料料により算定する。なお、形成を行った場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」の所定点数により算定する。

また、歯肉を剥離して行った場合は区分番号J006に掲げる歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術により算定する。

(13) 充填を行った場合の研磨の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

M010 鋳造歯冠修復

(1) 「1のイ 単純なもの」とは、隣接面を含まない窩洞に行うインレーをいう。

(2) 「1のロ 複雑なもの」とは、隣接面を含む窩洞に行うインレーをいう。

(3) 全部鋳造冠、前装鋳造冠、前歯の4分の3冠、臼歯の5分の4冠とは、全部鋳造冠方式又は全部鋳造冠に準ずる方式で製作する鋳造歯冠修復(例えば前歯において審美性の観点から唇側の歯質を一部露出させる場合)をいい、4面又は5面の鋳造歯冠修復のすべての場合が該当するものではない。

(4) 接着冠に係る鋳造歯冠修復及び保険医療材料料は、「2 4分の3冠」に準じて算定する。

(5) 5分の4冠としての鋳造歯冠修復は小臼歯への適用を原則とするが、ブリッジの製作に当たり、必要があって生活歯である大臼歯を支台として使用する場合についてはこの限りでない。

(6) 乳歯の歯冠修復は銀合金により行う。また、乳歯に対する鋳造歯冠修復については、交換期を考慮して鋳造歯冠修復を行うことは認められるが、乳歯の解剖学的特殊性を考慮して窩洞形成を行うこと。

(7) 可動性ブリッジ(半固定性ブリッジ)の可動性連結装置については、1装置につき「1のロ 複雑なもの」に準じて算定する。

(8) 鋳造歯冠修復の欠損部を鋳造歯冠修復によって修復することは、全部鋳造冠の場合を除き認められない。

(9) 智歯に対し必要がある場合には、鋳造歯冠修復を行って差し支えない。

(10) 歯槽中隔部に骨吸収及び肉芽を形成している下顎大臼歯を保存可能と診断した場合において、当該歯を近遠心根の中隔部において分離切断し、中隔部を掻爬するとともに、各根管に対し歯内療法を行った上で、近心根、遠心根にそれぞれ鋳造冠を製作し連結して装着する場合には、歯内療法については当該歯を単位として算定し、歯冠修復については製作物ごとに算定する。

なお、歯冠修復における保険医療材料料については、それぞれ小臼歯の材料料として算定する。

(11) コンビネーション・インレーを製作した場合は、それぞれの所定点数により算定する。

(12) 抜歯禁忌症で義歯製作の必要上、やむを得ず残根を残す場合であって、根の形態修正のみを行う場合は、区分番号I000に掲げるう蝕処置により算定する。

ただし、歯内療法により根の保存可能なものに適切な保存処置の上、鋳造歯冠修復で根面を被覆した場合には、歯冠形成については区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」、鋳造歯冠修復については本区分の「1のイ 単純なもの」及び保険医療材料料を算定する。また、歯科充填用材料Ⅰにより根面を被覆した場合には、歯冠形成の費用については区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」の所定点数を、充填の費用については区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」の所定点数及び保険医療材料料をそれぞれ算定する。

(13) 抜歯禁忌症以外であっても、必要があって、根管処置及び根面被覆処置が完了した残根上に、義歯の装着を行うことは認められる。

M011 前装鋳造冠

(1) 前装鋳造冠とは、全部鋳造冠方式で製作された歯冠修復物の唇面を硬質レジンで前装したものをいい、前歯に限り認められる。

(2) 前装鋳造冠及び前装鋳造ポンティック(ダミー)の前装部分の破損部分に対して、口腔内にて充填により補修を行った場合は、形成は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」、充填は区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」及び保険医療材料料により算定する。ただし、区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジの維持管理を算定している前装鋳造冠及び前装鋳造ポンティック(ダミー)の前装部分に行った修理の費用は、区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料に含まれ別に算定できない。

(3) 前装鋳造冠を装着するに当たっては、次により算定する。

イ 歯冠形成を行った場合は、1歯につき生活歯は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のイ 鋳造冠」及び区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注1」の加算点数を、失活歯は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のイ 鋳造冠」、区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注2」及び「注3」の加算点数を算定する。なお、支台築造を行った場合は区分番号M002に掲げる支台築造の「1 メタルコア」又は「2 その他」及び保険医療材料料を算定する。

ロ 印象採得を行った場合は、1歯につき区分番号M003に掲げる印象採得の「1のロ 連合印象」を算定する。

ハ 装着した場合は、1個につき区分番号M005に掲げる装着の「1のイ 鋳造歯冠修復又は硬質レジンジャケット冠」を算定する。

M014 ジャケット冠

(1) ジャケット冠はレジンジャケット冠のことをいう。

(2) 乳歯に対するジャケット冠についても所定点数を算定する。

(3) ジャケット冠を装着するに当たっては、次により算定する。

イ 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯に行う場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のロ ジャケット冠」を、失活歯に行った場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のロ ジャケット冠」及び区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注4」の加算を算定する。

ロ 印象採得を行った場合は1歯につき、区分番号M003に掲げる印象採得の「1のイ 単純印象」を算定する。

ハ 装着した場合は、1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1のロ その他」及び保険医療材料料を算定する。

(4) 歯科射出成形樹脂(歯冠用)を用いて、単層成形を行った場合は、ジャケット冠により算定する。

(5) 乳歯の前歯又は永久歯の前歯の歯冠部全体のエナメル質の一層を削除し、エナメルエッチング法を実施した後、クラウンフォームのビニールキャップに複合レジンを填入し、支台歯に圧接を行い、硬化後キャップを除去した上で、調整して歯冠修復を完成した場合は、歯冠形成の費用については区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のロ ジャケット冠」により、また、歯冠修復の費用についてはジャケット冠の所定点数により算定する。なお、この場合、使用した保険医療材料料は、歯科充填用材料Ⅰ又はⅡの「(1) 単純なもの」と「(2) 複雑なもの」を合算して算定する。

(6) 複合レジン冠を失活歯に行った場合は所定点数を算定する。なお、歯冠形成の費用は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のロ ジャケット冠」により算定する。

M015 硬質レジンジャケット冠

(1) 硬質レジンジャケット冠を装着する場合は、次により算定する。

イ 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のロ ジャケット冠」を、失活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のロ ジャケット冠」及び区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注4」の加算を算定する。

ロ 印象採得を行った場合は、1歯につき区分番号M003に掲げる印象採得の「1のイ 単純印象」又は区分番号M003に掲げる印象採得の「1のロ 連合印象」を算定する。

ハ 装着した場合は、1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1のイ 鋳造歯冠修復又は硬質レジンジャケット冠」及び保険医療材料料を算定する。

(2) 応分の咬合圧に耐えうる場合等に限り、小臼歯に対して硬質レジンジャケット冠により歯冠修復を行った場合には所定点数により算定する。

(3) 歯冠用強化ポリサルホン樹脂を用いて、歯科射出成形樹脂(歯冠用)とともに二層成形を行った場合は、硬質レジンジャケット冠により算定する。

M016 乳歯金属冠

(1) 乳歯金属冠は既製の金属冠をいう。

(2) 乳歯金属冠を装着するに当たっては、次により算定する。

イ 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のハ 乳歯金属冠」を、失活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のハ 乳歯金属冠」を算定する。

ロ 印象採得を行った場合は1歯につき、区分番号M003に掲げる印象採得の「1のイ 単純印象」を算定する。

ハ 装着した場合は、1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1のロ その他」及び保険医療材料料を算定する。

<欠損補綴>

M017 ポンティック(ダミー)

(1) 臼歯部におけるポンティック(ダミー)にレジン歯を使用することは認められないが、咬合面を金属で製作し、他の部分にレジン前装を施した場合に所定点数を算定する。

(2) 延長ブリッジの場合の7番ポンティック(ダミー)の保険医療材料料は小臼歯(鋳造ポンティック(ダミー)の保険医療材料料の小臼歯)に該当する保険医療材料料を算定する。

(3) 前装鋳造ポンティック(ダミー)とは、鋳造方式により製作されたポンティック(ダミー)の唇面を硬質レジンにより前装したものをいう。

(4) 前装鋳造ポンティック(ダミー)は、前歯の支台歯を前装鋳造冠又は4分の3冠により製作されたブリッジの前歯のものに限り認められる。ただし、3番、4番の2歯欠損については、小臼歯の前装鋳造ポンティック(ダミー)は算定できる。

(5) 可動性固定ブリッジ(半固定性ブリッジ)の可動性連結装置を使用した場合は、区分番号M010に掲げる鋳造歯冠修復の「1のロ 複雑なもの」及び区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のロ 複雑なもの」を算定する。

(6) ブリッジの製作に当たり支台歯の植立方向によりポンティック(ダミー)を分割して製作することは、認められない。

(7) ブリッジについては、次の適用による。

イ ブリッジの給付について

(イ) ブリッジは歯の欠損状況から「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)に示す方法で支台歯数等を定め製作する。

(ロ) 連続欠損の場合は、2歯までとする。ただし、中側切歯については連続4歯欠損まで認められる。

(ハ) 延長ブリッジは原則として認められない。ただし、第二大臼歯欠損の場合に、咬合状態及び支台歯の骨植状態を考慮し、半歯程度のポンティック(ダミー)を行う場合に限り認められる。

(ニ) 隣接歯の処置状況等からやむをえず延長ブリッジを行う場合にあっては、側切歯及び小臼歯1歯のみ認められる。

(ホ) 第三大臼歯をブリッジの支台歯とする場合は、歯冠、歯根の大きさや形態、傾斜、転位等を総合的に勘案した上で行うこと。

(ヘ) 接着ブリッジは、前歯部の1歯欠損症例において、接着ブリッジ支台歯を前歯部の生活歯に求める場合に認められる。

ロ ブリッジ設計の考え方

ブリッジの設計については、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)によること。

(8) 分割抜歯後のブリッジの製作

イ 第1、第2大臼歯を分割抜歯してブリッジの支台歯とすることは、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)の「5 咬合力の負担からみたブリッジの適応症と設計、4)その他(歯根を分割抜去した大臼歯に対するブリッジの適用について)」の項を参照し、残った歯冠、歯根の状態が歯科医学的に適切な場合に限り認められる。

なお、上顎第2大臼歯の遠心頬側根抜歯、下顎第2大臼歯の遠心根抜歯の場合の延長ポンティック(ダミー)は認められない。

ロ 分割抜歯を行った場合の指数は、次のとおりとする。

(イ) 下顎の場合、残った歯根はR=2、欠損部をポンティック(ダミー)としたときはF=4とする。

(ロ) 上顎の場合、残った歯根は1根につきRを1とするが、1根のみの支台歯は歯科医学的に適切と考えられないので認められない。ブリッジの支台歯となるのは、口蓋根と頬側の1根が残った場合、残った歯根はR=2、欠損部をポンティック(ダミー)としたときはF=4とする。また、頬側の2根のみが残った場合は口蓋根部のポンティック(ダミー)は必要とされないことから残った歯根はR=2のみとする。

例①(第1大臼歯の遠心根を抜歯した場合)

指数

2

4

6

 

 

歯種

6

6

7

 

r=8-4=4

 

 

F=4

R

2

 

6

 

4/3=1.3…

F

 

4

 

 

6の残した根も7のRもFの1/3を超えるので、この場合条件を満たしている。

例②(第1大臼歯の遠心根と第2大臼歯を抜歯した場合)

指数

2

4

6

4

 

指数

4

2

4

6

4

歯種

6

6

7

8

歯種

5

6

6

7

8

 

 

 

R

2

 

 

4

 

R

4

2

 

 

4

F

 

4

6

 

 

F

 

 

4

6

 

r=6-10<0で不可、5番も支台歯とする必要がある。

 

5番を支台歯として追加することで、r=10-10=0で可、5と6の残した根の和も8のRもFの1/3を超えるのでこの場合条件を満たしている。

ハ 上顎の第1又は第2大臼歯を3根のうち2根残して分割抜歯してブリッジの支台歯とする場合は、頬側2根を残した場合は大臼歯として、又頬側いずれか1根と口蓋根を残した場合は、支台歯としての小臼歯歯冠修復と小臼歯のポンティック(ダミー)として算定して差し支えない。単独冠として行う場合は、大臼歯の歯冠修復として算定して差し支えない。

ニ 下顎の第1又は第2大臼歯を近遠心2根のうち1根を残して分割抜歯してブリッジの支台とする場合は、1根を支台歯としての小臼歯歯冠修復と小臼歯ポンティック(ダミー)として算定して差し支えない。単独冠として行う場合は、小臼歯の歯冠修復として算定して差し支えない。

(9) ブリッジを装着するに当たり、ワンピースキャスト法により印象採得を行った場合は、1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のニの(1) 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が5歯以下の場合」又は区分「2のニの(2) 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が6歯以上の場合」を、それ以外の方法により支台装置の印象採得を行った場合は1歯につき区分番号M003に掲げる印象採得の「1のイ 単純印象」又は区分番号M003に掲げる印象採得の「1のロ 連合印象」を、ポンティック(ダミー)の印象採得を行った場合は1装置につき同区分「2のイの(1) 簡単なもの」を、咬合採得を行った場合は1装置につき区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のイの(1)の(一) 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が5歯以下の場合」又は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のイの(1)の(二) 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が6歯以上の場合」を、装着した場合は支台装置の装着については1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1のイ 鋳造歯冠修復又は硬質レジンジャケット冠」又は区分番号M005に掲げる装着の「1のロ その他」及び保険医療材料料を、ブリッジの装着については1装置につき区分番号M005に掲げる装着の「2のイ ブリッジ」の各区分の所定点数を算定する。

(10) 必要があって根を分離切断した下顎大臼歯を支台歯として使う場合の指数は「6」として大臼歯1歯の取扱いとする。ただし、分離切断したのであるから、実態に合わせて指数を減ずることを考慮すべきである。

(11) インレーを支台装置とするブリッジについては、窩洞形成を行った場合の費用は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のロ 複雑なもの」により算定する。なお、インレーを支台装置とするブリッジについては、区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の対象としないことから、区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の算定はできない。

(12) 「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)の判定条件におけるブリッジの1側の支台歯のRの総計が、隣接するダミーのF及びF・Sの総計の3分の1以上であるという判定条件bは延長ブリッジについては適用しない旨のただし書きは、延長したポンティック(ダミー)については片側に支台歯が存在しないのでそのポンティック(ダミー)のバランスは考慮しないとの意である。したがって、画像54 (3KB)別ウィンドウが開きます

の場合画像55 (1KB)別ウィンドウが開きます

部は判定条件bにかかわっていないので、基本となるブリッジ画像56 (3KB)別ウィンドウが開きます

において条件bを判定することになる。この場合は判定条件bを満たしていないので、画像57 (3KB)別ウィンドウが開きます
もブリッジの設計としては不適である。

(13) 「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)によると延長ブリッジの支台歯は2歯以上となっているが、これは回転力を軽減させるためであるから、支台歯が2歯以上であって条件が整っていれば、必ずしも支台歯は連続している必要はない。

(14) 可動性ブリッジ又はインレーを支台とするブリッジの指数は、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)に示した当該支台歯の歯種による指数を用いる。

(15) 欠損ではなく、1歯相当分の間隙のある場合のブリッジの設計において、ポンティック(ダミー)は両隣接支台歯の何れかの形態を模して決定するが、その指数については実態に応じ近似の歯種の指数とする。なお、半歯程度の間隙の場合は隙とする。

(16) 咬合緊密のため有床義歯が装着不可能な症例におけるブリッジの製作の必要性は、歯科医学的判断に待つべきものであるが、診療報酬請求の段階において個々の症例について客観的に妥当なものであるかどうかの判断が困難であるので、これが運用の円滑を期するため、(16)によりこの歯科医学的判断についてあらかじめ指導行政庁等の専門的意見によって調整を加えるものであり、保険者が承認を与えるものではない。

(17) 有床義歯では目的が達せられないか或いは嚥下吸引等の事故を起こす恐れが極めて大である場合であってブリッジを行う以外に方法がないときは、理由書、模型及びエックス線フィルム又はその複製を地方厚生(支)局長に提出し、当該ブリッジの適否を決する。

(18) 低位唇側転位の犬歯の抜歯後に生じた欠損部の間隙が側切歯、あるいはそれ以下しかない場合であっても、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)にあるポンティック(ダミー)の抵抗値(F値)を減じることは適切でない。

欠損部の間隙が側切歯半歯以下の極めて小さい場合については、側切歯又は第一小臼歯、あるいは双方の歯冠幅を僅かずつ拡大して歯冠修復を行い、場合によっては補綴隙等を行うことにより対応する。

犬歯のポンティック(ダミー)が必要な場合で、中切歯が既にブリッジの支台として使用されている等の理由で新たに支台として使用できない場合に限って、ブリッジの設計を「②3④⑤」に変更することは差し支えない。この場合、診療報酬明細書の摘要欄に中切歯の状況等を記載すること。

(19) 側切歯及び犬歯、あるいは犬歯及び第一小臼歯の2歯欠損であって、犬歯が低位唇側転位していたため間隙が1歯分しかない場合に限ってポンティック(ダミー)1歯のブリッジとして差し支えない。

ただし、製作するブリッジのポンティック(ダミー)の形を側切歯とするか犬歯とするかはそれぞれの症例によって異なるものと思われるが、形の如何によらずポンティック(ダミー)の抵抗値(F値)は犬歯の「5」として設計する。

この場合、診療報酬明細書の摘要欄に低位唇側転位の犬歯を含む欠損歯数と補綴歯数の不一致の旨記載すること。

(20) 矯正・先天性欠如等により、第一小臼歯が既に欠損している患者の第二小臼歯を抜歯した場合あるいは第二小臼歯が舌側に転位しているとき、第一小臼歯及び第二小臼歯を抜歯した場合で、間隙は1歯分しかないような小臼歯2歯の欠損であって間隙が狭い場合及び第一小臼歯、第二小臼歯、第一大臼歯欠損のブリッジにおいて、欠損歯数は3歯であるが、間隙のほうが1歯分程度小さく2歯分となる場合のブリッジについては、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)に従って実際の歯式どおり対応する。

ただし、保険適用の有無を確認することになるので、理由書、模型及びエックス線フィルム又はその複製を地方厚生(支)局長に提出してその適否を決するものとする。また、添付模型の製作の費用は、基本診療料に含まれ、算定できないが、添付フィルム又はその複製については、区分番号E100に掲げる歯牙、歯周組織、顎骨、口腔軟組織及び区分番号E300に掲げるフィルムにより算定して差し支えない。ただし、算定に当たっては、診療報酬明細書の摘要欄に算定の理由を明記すること。

(21) 6⑥⑦及び⑤⑥6のような分割延長ブリッジは原則として認められないが、前者については隣接する第二小臼歯が前方ブリッジの支台歯となっているか又は同歯にメタルボンド冠が装着されている症例、後者については隣接する第二大臼歯に金合金又は白金加金の全部鋳造冠が装着されている症例であって、補綴物を除去し、当該歯をブリッジの支台歯として使用することが困難であるため、当該歯の補綴物にレストを設定することによりブリッジの維持を求める構造となる場合はこの限りではない。

ただし、レストの設定に係る費用は算定できない。

M018 有床義歯

(1) 有床義歯については、歯の欠損状況や製作する義歯の形態にかかわらず、人工歯数に応じて所定点数を算定する。

(2) 欠損補綴に当たっての歯数の数え方については、欠損歯数によるものではなく、人工歯の数による。欠損歯が4歯であっても、人工歯の排列上5歯となる場合には、その歯数は5歯とする。

(3) 局部義歯のうち12歯から14歯については、あくまで残存歯があり、局部義歯として補綴を行った場合に限り算定する。なお、1床14歯の局部義歯の場合もあり得る。

(4) 欠損部の後方に天然歯のない場合に製作した義歯を遊離端義歯といい、また、遊離端義歯と中間義歯(欠損部の前後又は左右に天然歯のある場合に製作した義歯をいう。)とが混合している義歯を複合義歯という。

(5) 上顎左側第二大臼歯から上顎右側第二大臼歯が欠損している(欠損歯数14歯)症例において、歯冠の一部が露出した状態の埋伏智歯が残存している場合又は当然抜歯すべき症例のうち何らかの理由で抜歯不可能な場合は、智歯と無関係に総義歯同様の義歯を製作したときは、総義歯として算定する。

(6) 抜歯後1月を経過していなくても歯科医学的にみて適当であると認められる場合に限り、義歯の製作の費用は所定点数により算定する。

(7) 抜歯禁忌症以外の場合で、残根歯に対して歯内療法及び根面被覆処置が完了したものについて、必要があって義歯を製作した場合には、その費用は算定できる。

(8) 残根上の義歯をやむを得ず製作するに際し、残根歯の歯内療法後に行う根面被覆処置として、複合レジンを使用することは差し支えない。この場合、歯冠形成については区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」、充填については区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」及び保険医療材料料を算定する。

(9) 骨植堅固で保存可能な残根歯を利用したアタッチメントを使用した総義歯については算定できない。

(10) 前歯部の間隙のみがある場合、これを有床義歯の隙により補綴することは歯科医学的に適切でない。

(11) 小児義歯は原則として認められないが、後継永久歯が無く著しい言語障害及び咀嚼障害を伴う先天性無歯症、象牙質形成不全症、象牙質異形成症又はエナメル質形成不全症であって脆弱な乳歯の早期崩壊又は後継永久歯の先天欠損を伴う場合、外胚葉性異形成症、低フォスファターゼ症、パピヨン=ルフェブル症候群及び先天性好中球機能不全症、その他の先天性疾患により後継永久歯が無い場合若しくはこれに準ずる状態であって、小児義歯以外には咀嚼機能の改善・回復が困難な小児に対する小児義歯に限り、有床義歯により算定する。なお、小児義歯に係る費用を算定する場合は、診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に義歯の装着年月日、装着部位及び小児義歯が必要となった疾患名を記載すること。なお、先天性疾患以外の疾患により後継永久歯がない場合に準ずる状態であって、小児義歯以外には咀嚼機能の改善・回復が困難な小児に対して小児義歯を適用する場合においては、予め理由書及びエックス線フィルム又はその複製を地方厚生(支)局長に提出し、保険適用の適否を決するものとする。

(12) 模型上で抜歯後を推定して製作する即時義歯は認められるが、即時義歯の仮床試適に係る費用は算定できない。ただし、即時義歯とは長期的に使用できるものをいい、暫間義歯は算定できない。

なお、歯肉の退縮等により比較的早期に床裏装を行った場合は、区分番号M029に掲げる有床義歯修理により算定する。

(13) 有床義歯を1日で製作し装着することは、特殊な症例で歯科医学的に適切な場合に限り、その費用は算定できる。ただし、常態として1~2日で製作し装着を行うものの、装着後の調整指導を実施しない保険医療機関においては認められない。

M019 熱可塑性樹脂有床義歯

(1) 熱可塑性樹脂有床義歯とは、熱可塑性を有する、義歯床用ポリエーテルサルホン樹脂、義歯床用ポリサルホン樹脂、義歯床用強化ポリカーボネート樹脂又はアクリリック樹脂により製作された有床義歯であって、臨床上使用できる強度を有しているものをいう。

(2) 熱可塑性樹脂有床義歯については、歯の欠損状況や製作する義歯の形態にかかわらず、人工歯数に応じて所定点数を算定する。

M020 鋳造鉤

(1) 14カラット金合金による鉤は2歯欠損までの有床義歯の場合に限り算定できる。

(2) 保険医療材料料については、別に定める鋳造鉤の使用材料料により算定する。

(3) ローチのバークラスプ及び鋳造によるバックアクション鉤は両翼鉤として算定し、2歯以上にわたるバークラスプは、双歯鉤として算定する。

なお、保険医療材料料については、別に定める鋳造鉤の使用材料料の双歯鉤の大・小臼歯により算定する。

M021 線鉤

バックアクション鉤等に要する費用は、本区分の「1 双歯鉤」により算定する。

M023 バー

(1) 保持装置とは、孤立した中間欠損部分を補綴するため、局部義歯の鋳造バー又は屈曲バーと当該欠損部に用いる人工歯を連結するために使用される小連結子をいう。

(2) 鋳造バー、屈曲バーに保持装置を装着した場合は、その使用個数に応じて算定する。

(3) 緩圧式バーは「1 鋳造バー」又は「2 屈曲バー」により算定し、ケネディバーは「1 鋳造バー」により算定する。

(4) バー義歯が破損し、バーの取替えが必要な症例に限り新たなバーに要する費用は算定できる。

また、有床義歯修理の際に、新たにバーを付与した場合も歯科医学上適切な場合に限り算定できる。

(5) 有床義歯及び熱可塑性樹脂有床義歯の製作や床修理に際し、補強線を使用した場合の当該補強線に係る費用は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。

なお、補強線は、歯牙欠損部、残存歯牙の植立状態、対咬関係、顎堤の形態及び粘膜の性状等を勘案し、義歯の破損防止のために使用するものをいう。

M024 臼歯金属歯

局部義歯又は総義歯において臼歯金属歯を使用した場合には、区分番号M018に掲げる有床義歯の所定点数及び区分番号M024に掲げる臼歯金属歯の所定点数を合算して算定する。

M025 口蓋補綴、顎補綴

(1) 義歯を装着した口蓋補綴又は顎補綴を行った場合の費用は、義歯の費用と口蓋補綴又は顎補綴の費用をそれぞれ算定する。

(2) 口蓋裂に起因する鼻咽腔閉鎖機能不全による言語療法のため鼻咽腔閉鎖機能改善の必要があり、いわゆるスピーチエイド等の発音補整装置を装着した場合は本区分により算定する。

なお、当該装置の調整に要する費用は1回につき区分番号M029に掲げる有床義歯修理により算定する。

(3) 濾胞性歯嚢胞の摘出の際、術前にあらかじめ製作しておいた口蓋板の装着を行った場合は、「1 印象採得が困難なもの」により算定する。

(4) 舌の切除等の外科的療法を行った後の発音障害に対して、必要があって有床義歯に発音補助装置を付加して製作し装着した場合、当該発音補助装置については「1 印象採得が困難なもの」により算定する。ただし、区分番号M003に掲げる印象採得の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(5) 区分番号J022に掲げる顎・口蓋裂形成術を実施する患者に対して必要があってホッツ床(哺乳床)を装着した場合は、当該区分の「1 印象採得が困難なもの」により、同一の患者に対して3回を限度として算定する。ただし、印象採得、材料、装着、修理、調整等の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(6) 口腔外科領域における悪性腫瘍摘出術の術後、ラジウム照射を行うため、その保持と防禦を兼ねた特別な装置を製作し装着した場合には、当該所定点数の各区分により算定する。

<その他の技術>

(ろう着)

歯冠修復物及び欠損補綴物をろう着した場合の費用は、当該歯冠修復物及び欠損補綴物の製作等に係る所定点数に含まれ別に算定できない。

M026 補綴隙

(1) 補綴隙は、必要と認められる場合に限り前歯部にはレジン隙を、臼歯部には金属隙の使用が認められるが、その費用は、いずれも補綴隙の所定点数により算定する。なお、総義歯については認められない。

(2) 間隙が広く補綴物を必要とする場合は、金属冠に使用しても差し支えない。

<修理>

M029 有床義歯修理

(1) 有床義歯の修理の費用は、人工歯数に関係なく所定点数により算定する。この場合、修理に伴って鉤を新たに製作したときは、その鉤の費用については、鉤の所定点数により算定する。

(2) 有床義歯修理の場合において、例えば陶歯の破折脱落のため陶歯を新たに使用した場合、又は1歯を抜歯し、旧義歯床を延長して新たに1歯分の補綴をした場合の費用は、有床義歯修理と人工歯料の所定点数を合算して算定する。

(3) 破損した有床義歯を修理した後、新たに有床義歯を製作した場合の費用は、それぞれ所定点数により算定する。

(4) 鉤歯の抜歯又は鉤の破損等のため不適合となった鉤を連結部から切断した場合は、修理又は床裏装を前提に切断した場合に限り、除去料を算定する。

(5) 「注3」に規定する加算は、当該加算に係る施設基準に適合するものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、破損した有床義歯に係る診療を行い、修理のために患者から当該有床義歯を預かった場合であって、当該患者の求めに応じて、当該有床義歯を預かった日(以下「預かり日」という。)から起算して2日以内において、当該保険医療機関内に配置されている歯科技工士を活用して修理を行い、装着した場合に所定点数に加算する。なお、当該加算の算定に当たっては、預かり日、当該有床義歯の修理に係る指示を行った歯科医師名、修理を担当する歯科技工士名及び修理の内容を記載した文書を作成し、診療録に添付すること。

M030 有床義歯内面適合法

(1) 有床義歯内面適合法(有床義歯床裏装)は、アクリリック樹脂又は熱可塑性樹脂で製作された義歯床の粘膜面を一層削除し、新たに義歯床の床裏装を行った場合に当該義歯の人工歯数に応じ所定点数を算定する。

(2) 義歯が不適合で有床義歯を新たに製作することを前提に行った床裏装は、有床義歯修理の所定点数により算定する。

(3) 義歯破損に際し義歯修理のみにより当初の目的を達せられない場合、歯科医学的判断により、床裏装を行ったときは、修理及び有床義歯内面適合法(有床義歯床裏装)の点数をそれぞれ算定する。ただし、同一日に直接法により床裏装を行った場合の修理の費用は、有床義歯床裏装の所定点数に含まれる。

(4) 床裏装に際しての印象採得料は、区分番号M003に掲げる印象採得の「2のロ 連合印象」により算定する。

(5) 口蓋補綴を行い、有床義歯装着後、当該義歯不適合のため床裏装を行った場合は、「2 総義歯」により算定する。

(6) 有床義歯の換床を行った場合は、本区分により算定する。

M032 帯環金属冠修理

(1) 修理に際して同時に抜髄又は根管充填等の処置を行った場合は、それらの処置の費用はそれぞれの所定点数により算定する。

(2) 歯科医学的に適切なブリッジの修理については、当該ブリッジが別に定める材料価格基準に収載されている代用合金材料で製作されている場合は、「2 その他の合金冠」の所定点数に当該ブリッジのポンティック(ダミー)と支台歯の数の合計数を乗じて得た点数により算定する。

(3) ブリッジの修理に際し印象採得を行った場合は、1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のイの(1) 簡単なもの」により算定する。

(4) ブリッジの修理に際し装着を行った場合は、支台装置1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1のイ 鋳造歯冠修復又は硬質レジンジャケット冠」又は区分番号M005に掲げる装着の「1のロ その他」により、ブリッジ1装置につき区分番号M005に掲げる装着の「2のイ ブリッジ」の各区分の所定点数により算定する。ただし、口腔内においてポンティック(ダミー)部分を修理した場合の装着料の算定は認められない。

(5) 平成4年3月までに保険給付をされていたブリッジで同月までに装着されたものが、破損した場合の修理(保険給付の修理と同一の場合)あるいは脱落した際の再装着の費用は所定点数により算定する。

M033 金合金鉤修理

金合金鉤修理の所定点数は、14カラット金合金鋳造鉤以外の金合金鉤(従来の金鉤)について修理を行った場合に算定し、14カラット金合金鋳造鉤の修理は算定できない。

M034 歯冠継続歯修理

(1) 前歯部のポンティック(ダミー)の修理は、本区分により算定する。

(2) 咬合面が金属であるレジン裏装を行った臼歯部ブリッジのポンティック(ダミー)においてレジン裏装が脱落し、これを即時重合レジンで修理した場合は本区分により算定する。

(3) レジンジャケット冠の一部破損に対して、口腔内において即時硬化レジンで修理した場合は、本区分により算定する。

第13部 歯科矯正

通則

1 歯科矯正は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において行う別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常又は別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において行う顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る。)の手術の前後における療養に限り保険診療の対象とする。

2 歯科矯正の費用は、第1節の各区分の注に「保険医療材料料を含むものとする。」等と規定されている場合を除き、第1節の各区分の所定点数に第2節の保険医療材料料を合算して算定する。

3 区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料又は区分番号N001に掲げる顎口腔機能診断料の算定に基づく診断を行った患者に限り、別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常又は別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において行う顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る。)の手術の前後における療養として歯科矯正を行うことができる。

4 印象採得、咬合採得及び装着については、それぞれの診療行為を行った日に算定する。

5 歯科矯正料の項に掲げられていない歯科矯正のうち、特殊な歯科矯正の歯科矯正料は、その都度当局に内議し、最も近似する歯科矯正として準用が通知された算定方法により算定する。

6 歯科矯正においては、患者が任意に診療を中止し、1月を経過した後、再び同一症状又は同一病名で当該保険医療機関に受診した場合は、初診料は算定できない。

7 別に厚生労働大臣が定める疾患とは、次のものをいう。

(1) 唇顎口蓋裂

(2) ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)

(3) 鎖骨・頭蓋骨異形成

(4) クルーゾン症候群

(5) トリチャーコリンズ症候群

(6) ピエールロバン症候群

(7) ダウン症候群

(8) ラッセルシルバー症候群

(9) ターナー症候群

(10) ベックウィズ・ヴィードマン症候群

(11) 尖頭合指症

(12) ロンベルグ症候群

(13) 先天性ミオパチー

(14) 顔面半側肥大症

(15) エリス・ヴァン・クレベルド症候群

(16) 軟骨形成不全症

(17) 外胚葉異形成症

(18) 神経線維腫症

(19) 基底細胞母斑症候群

(20) ヌーナン症候群

(21) マルファン症候群

(22) プラダーウィリー症候群

(23) 顔面裂

(24) 筋ジストロフィー

(25) 大理石骨病

(26) 色素失調症

(27) 口―顔―指症候群

(28) メービウス症候群

(29) カブキ症候群

(30) クリッペル・トレノーネイ・ウェーバー症候群

(31) ウィリアムズ症候群

(32) ビンダー症候群

(33) スティックラー症候群

8 別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常に対する歯科矯正の療養は、当該疾患に係る育成医療及び更生医療を担当する保険医療機関からの情報提供等に基づき連携して行われるものである。

第1節 歯科矯正料

N000 歯科矯正診断料

(1) 歯科矯正診断料は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常が認められる場合であって、当該疾患の治療を行った医科の保険医療機関又は患者若しくはその家族からの情報及び資料により、当該患者が当該疾患を現に有することが確認された場合に限り算定する。

(2) 歯科矯正診断料は、別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常が認められる患者の口腔状態、顎骨の形態、成長及び発育等を分析するとともに、歯科矯正セファログラム、口腔内写真、顔面写真等を行い、これらの分析結果や評価等と過去に行った治療内容の評価と併せて可及的に長期的な予測を行った上で、治療計画書を作成し、患者又はその家族に対して、その内容について説明し、文書により提供した場合に算定する。なお、区分番号N003に掲げる歯科矯正セファログラム及び区分番号N004に掲げる模型調製の費用は別に算定できる。

(3) 別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常が認められる患者であって、顎切除等の手術を必要とするものに係る歯科矯正診断料については、当該手術を担当する保険医療機関名及び担当保険医氏名を治療計画書に記載する。

(4) 「注1」に規定する文書とは、次の内容を含むものをいう。

イ 全身性疾患の診断名、症状及び所見

ロ 口腔領域の症状及び所見(咬合異常の分類、唇顎口蓋裂がある場合は裂型、口腔の生理的機能の状態等)・ヘルマンの咬合発育段階等の歯年齢等

ハ 歯科矯正の治療として採用すべき療法、開始時期及び療養上の指導内容等

ニ 保険医療機関名、担当保険医氏名等

(5) 患者又はその家族に提供した文書の写しを診療録に添付すること。

(6) 歯科矯正診断料を算定する場合は、診療録に、患者又はその家族に提供した治療計画書の要点を記載すること。

(7) 歯科矯正診断料を算定した後、「注2」に掲げる歯科矯正診断料を算定した日から起算して6月以内の場合並びに区分番号N003に掲げる歯科矯正セファログラムに基づく分析及び歯列弓の分析を行わなかった場合には、歯科矯正診断料は、算定できない。

(8) 歯科矯正診断料の算定に係る歯列矯正は、歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関及び別に厚生労働大臣が定める疾患に係る育成医療及び更生医療等当該疾患に係る手術等を担当する保険医療機関の歯科医師又は医師との十分な連携を図り行うこと。

N001 顎口腔機能診断料

(1) 顎口腔機能診断料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関に限り算定する。

(2) 顎口腔機能診断料は、顎離断等の手術を必要とする顎変形症の患者の口腔状態、顎骨の形態、成長及び発育等について、咀嚼筋筋電図、下顎運動等の検査、歯科矯正セファログラム、口腔内写真、顔面写真及び予測模型等による評価又は分析を行い、これらの結果と既に行った治療内容の評価を併せて可及的に長期的な予測を行った上で、治療計画書を作成し、患者又はその家族に対して、その内容について説明し、文書により提供した場合に算定する。なお、区分番号N003に掲げる歯科矯正セファログラム及び区分番号N004に掲げる模型調製の費用は別に算定できる。

(3) 「注1」に規定する文書とは、次の内容を含むものをいう。

イ 全身性疾患の診断名、症状及び所見

ロ 口腔領域の症状及び所見(咬合異常の分類、唇顎口蓋裂がある場合は裂型、口腔の生理的機能の状態、頭蓋に対する上下顎骨の相対的位置関係の分類等)・ヘルマンの咬合発育段階等の歯年齢等

ハ 歯科矯正の治療として採用すべき療法、開始時期及び療養上の指導内容等

ニ 歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関及び顎離断等の手術を担当する保険医療機関が共同して作成した手術予定等年月日を含む治療計画書、計画策定及び変更年月日等

ホ 顎離断等の手術を担当する保険医療機関名及び担当保険医氏名

ヘ 歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関名、担当保険医氏名等

(4) 患者又はその家族に提供した文書の写しを診療録に添付すること。

(5) 顎口腔機能診断料を算定する場合は、診療録に、患者又はその家族に提供した治療計画書の要点を記載すること。

(6) 顎口腔機能診断料を算定した後、「注2」に掲げる顎口腔機能診断料を算定した日から起算して6月以内の場合並びに区分番号N003に掲げる歯科矯正セファログラムに基づく分析及び歯列弓の分析を行わなかった場合には、顎口腔機能診断料は算定できない。

(7) 顎口腔機能診断料の算定に係る歯科矯正及び顎離断等の手術は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関で実施される歯科矯正を担当する歯科医師及び顎離断等の手術を担当する保険医療機関の歯科医師又は医師の十分な連携の下に行い、これら一連の治療に関する記録は、当該療養を担当するそれぞれの歯科医師又は医師において保管すること。

N002 歯科矯正管理料

(1) 「注1」に規定する「計画的な歯科矯正管理」とは、歯と顎の変化及び移動の把握並びにそれに基づく治療計画の点検及び修正をいう。

また、「注1」に規定する「経過模型による歯の移動等の管理」とは、経過模型を製作し、過去に製作した経過模型と対比し、歯の移動等を把握することをいう。

(2) 「注1」に規定する「療養上必要な指導」とは、区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料の「注1」又は区分番号N001に掲げる顎口腔機能診断料の「注1」に規定する治療計画書に基づいた矯正装置の取扱い、口腔衛生、栄養、日常生活その他療養上必要な指導等をいう。

なお、療養上必要な指導を行った場合には、患者の症状の経過に応じて、既に行われた指導等の評価及びそれに基づいて行った指導の詳細な内容を診療録に記載する。

(3) 区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料の「注1」若しくは区分番号N001に掲げる顎口腔機能診断料の「注1」に規定する治療計画書が作成されていない場合又は当該保険医療機関において歯科矯正の動的治療が行われていない場合には、歯科矯正管理料は算定できない。

(4) 「注1」の「文書」とは、病名、症状、療養上必要な指導及び計画的な歯科矯正管理の状況(治療計画の策定及び変更年月日を含む。)、保険医療機関名、当該管理を行った主治の歯科医師の氏名、顎切除、顎離断等の手術を必要とする療養を行う場合においては、当該手術を担当する保険医療機関名及び担当保険医氏名等を記載したものをいう。

(5) 患者又はその家族に提供した文書の写しを診療録に添付すること。

(6) 歯科矯正管理料を算定する場合は、診療録に、患者又はその家族に提供した文書の要点を記載すること。

(7) 再診が電話等により行われた場合にあっては、歯科矯正管理料は算定できない。

(8) 歯科矯正管理を行った場合の説明等に使用した経過模型、口腔内写真、顔面写真等の費用は、歯科矯正管理料に含まれ別に算定できない。

(9) 保定における保定装置の調整の費用は、歯科矯正管理料に含まれる。

N003 歯科矯正セファログラム

(1) 歯科矯正セファログラムとは、焦点と被写体の中心及びフィルム面が常に一定の距離を保持し、かつ、エックス線の主線が両耳桿の延長線に対して、0度、90度又は45度に保てる規格の機器を用いて撮影したものをいう。

なお、常に一定の距離とは、個々の患者につき、焦点と被写体の中心及びフィルム面の距離が経年的に一定であることをいう。

(2) 一連とは、側貌、前後像、斜位像等の撮影を全て含むものである。

(3) 歯科矯正セファログラムに用いたフィルムに係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

N004 模型調製

(1) 平行模型は、咬合平面が水平になるよう製作したときに、顎態模型は、眼耳平面を基準として顎顔面頭蓋との関係を明らかにした模型を製作したときに算定する。

(2) プラスターベースは、平行模型及び顎態模型を一定の規格に維持した状態で長期にわたって保管する必要があるために用いるものである。プラスターベースの使用に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 平行模型は、歯科矯正を開始したとき、動的処置を開始したとき、マルチブラケット法を開始したとき、顎離断等の手術を開始したとき及び保定を開始したとき、それぞれ一回に限り算定する。

(4) 予測模型は、歯及び顎の移動後の咬合状態の予測を模型上にあらわしたものである。

(5) 予測模型は、歯科矯正の治療においてダイナミックポジショナー及びスプリングリテーナーを製作した場合にはそれぞれ一回算定する。なお、歯科矯正を開始したとき又は動的処置を開始したときは、いずれかについて1回に限り算定するものとし、顎離断等の手術を開始したときも1回に限り算定する。

(6) 製作した模型については、保定期間を含む一連の治療が終了した日の属する月の翌月の初日から起算して3年を保存期間とする。

N005 動的処置

(1) 動的処置とは、区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料の「注1」又は区分番号N001に掲げる顎口腔機能診断料の「注1」に規定する治療計画書に基づき策定された区分番号N008に掲げる装着の「注1」又は「注3」に規定する力系に関するチャートに基づき、矯正装置に用いた主線、弾線、スクリュー等の調整並びに床の削除及び添加により、歯及び顎の移動・拡大等を計画的に行うものとする。

(2) 動的処置の費用は、区分番号N008に掲げる装着の「1 装置」を算定した場合においては、当該費用に含まれ別に算定できない。なお、保定装置の使用期間中においても算定できない。

(3) 同一月内における装置の装着と日を異にして行った動的処置は、同一月内の第1回目として取り扱う。

N006 印象採得

(1) 歯科矯正における印象採得は、床装置、アクチバトール(FKO)等装置ごとに算定する。

(2) マルチブラケット装置の印象採得をステップⅠ、ステップⅡ、ステップⅢ及びステップⅣの各ステップにおいて行った場合は、各ステップにつき1回に限り算定する。

(3) 「2のイ 印象採得が簡単なもの」に該当するものは、先天性異常が軟組織に限局している場合をいう。

(4) 「2のロ 印象採得が困難なもの」に該当するものは、先天性異常が硬組織に及ぶ場合若しくは顎変形症の場合をいう。なお、硬組織に及ぶ場合とは、先天性異常として骨の欠損及び癒合不全、著しい顎の過成長及び劣成長を伴うものをいう。

(5) 「2のハ 印象採得が著しく困難なもの」に該当するものは、(4)に該当する場合であって前後又は側方の顎の狭窄を伴うため顎の拡大の必要がある場合又は残孔の状態にある場合をいう。

(6) リトラクター又はプロトラクターを製作するために顎顔面の採型を行った場合は、「2のハ 印象採得が著しく困難なもの」により算定する。

(7) 双線弧線装置を使用して歯科矯正を行う場合の第1回目の装置の印象採得の費用は本区分の「1 マルチブラケット装置」を、装着の費用は区分番号N008に掲げる装着の「1のロ 固定式装置」及び装置の費用は区分番号N018に掲げるマルチブラケット装置の「1のロ 4装置目以降の場合」により算定するものとし、第2回目以降の装置の費用については区分番号N018に掲げるマルチブラケット装置の「1のロ 4装置目以降の場合」のみを算定する。なお、区分番号N008に掲げる装着の「注1」又は「注3」の加算については、各区分の算定要件を満たしている場合に算定できる。

N007 咬合採得

(1) 歯科矯正における咬合採得は、床装置、アクチバトール(FKO)等装置ごとに算定する。

(2) マルチブラケット装置の場合は、算定できない。

(3) 「2 困難なもの」に該当するものは、先天性異常が硬組織に及ぶ場合若しくは顎変形症の場合であって前後又は側方の顎の狭窄を伴うため顎の拡大の必要がある場合をいう。

(4) 「3 構成咬合」とは、アクチバトール、ダイナミックポジショナーの製作のために筋の機能を賦活し、その装置が有効に働き得る咬合状態を採得するものをいう。

N008 装着

(1) 「1のイ 可撤式装置」に該当するものは、患者が自由に着脱できる床装置、アクチバトール、リトラクター等である。

(2) 「1のロ 固定式装置」に該当するものは、患者が自由に着脱できないリンガルアーチ、マルチブラケット装置、ポータータイプの拡大装置等である。

(3) 装置の装着料は、マルチブラケット装置を除き第1回目の装着時にのみ算定できる。

(4) マルチブラケット装置の装着料は、各ステップにつき1回に限り算定する。

(5) ポータータイプ又はスケレトンタイプの拡大装置に使用する帯環の装着に係る費用は、装置の装着に係る費用に含まれ別に算定できない。

(6) マルチブラケット装置の装着時の結紮に係る費用は、所定点数に含まれる。

(7) フォースシステムとは、歯及び顎の移動に関して負荷する矯正力の計画を立てることをいい、力系に関するチャートとは、フォースシステムを基にした矯正装置の選択及び設計のチャートをいう。

(8) メタルリテーナーを除いた保定装置の製作に当たって、フォースシステムを行った場合であっても、フォースシステムの費用は算定できない。

(9) 「注1」又は「注3」の加算を算定する場合は、診療録に、口腔内の状況、力系に関するチャート、治療装置の名称及び設計等を記載すること。

N009 撤去

ポータータイプの拡大装置の撤去の費用は、同装置を最終的に撤去する場合に1回に限り帯環の数に応じて算定する。

N010 セパレイティング

(1) セパレイティングとは、帯環を調製装着するため、歯間を離開させることをいい、相隣接する2歯間の接触面を1箇所として算定する。なお、これに使用した真鍮線等の撤去に要する費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 叢生(クラウディング)について、唇顎口蓋裂に起因した咬合異常の歯科矯正を行う際に歯の隣接面の削除を行った場合は、区分番号I000―2に掲げる咬合調整の各区分により算定する。

N011 結紮

マルチブラケット装置において結紮を行った場合にのみ算定する。

N012 床装置

マルチブラケット装置以外の装置については、次により算定する。

イ 「1 簡単なもの」については、顎の狭窄を伴わない場合に装着する装置について算定する。

ロ 「2 複雑なもの」については、前後又は側方の顎の狭窄を伴う場合又は残孔の状態にある場合に装着する装置について算定する。

N013 リトラクター

(1) 本区分に該当するものは、マンディブラリトラクター及びマキシラリリトラクターである。

(2) 「注」のスライディングプレートの製作のために行う印象採得、咬合採得、保険医療材料等の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

N014 プロトラクター

本区分に該当するものは、ホーンタイプ、フレームタイプ及びフェイスボウタイプの装置である。

N015 拡大装置

本区分に該当するものは、プレートタイプ、ポータータイプ、インナーボウタイプ及びスケレトンタイプの拡大装置である。

N016 アクチバトール(FKO)

本区分に該当するものは、アクチバトール及びダイナミックポジショナーである。

N017 リンガルアーチ

(1) 本区分に該当するものは、リンガルアーチ(舌側弧線装置)及びレビアルアーチ(唇側弧線装置)である。

(2) リンガルアーチにおいて、主線の前歯部分のみを再製作し、ろう着した場合は、区分番号N028に掲げる床装置修理により算定する。

N018 マルチブラケット装置

マルチブラケット装置については、次により算定する。

イ マルチブラケット装置とは、帯環及びダイレクトボンドブラケットを除いたアーチワイヤーをいう。

ロ ステップが進んだ場合には、前のステップに戻って算定できない。

ハ ステップⅠとは、レベリングを行うことをいう。

ニ ステップⅡとは、主として直径0.014~0.016インチのワイヤーを用いた前歯部の歯科矯正又は犬歯のリトラクションを行うことをいう。

ホ ステップⅢとは、主として直径0.016~0.018インチのワイヤー又は角ワイヤーを用いた側方歯部の歯科矯正を行うことをいう。

ヘ ステップⅣとは、主として直径0.016~0.018インチあるいはそれ以上のワイヤー又は角ワイヤーを用いた臼歯部の歯科矯正及び歯列弓全体の最終的な歯科矯正を行うことをいう。

ト セクショナルアーチを行う場合の第1回目の装置の印象採得の費用は区分番号N006に掲げる印象採得の「1 マルチブラケット装置」、装着の費用は区分番号N008に掲げる装着の「1のロ 固定式装置」及び装置の費用は本区分の「1のロ 4装置目以降の場合」に掲げる所定点数により算定するものとし、第2回目以降の装置の費用については、本区分の「1のロ 4装置目以降の場合」のみの算定とする。

なお、区分番号N008に掲げる装着の「注1」及び「注3」の加算については、各区分の算定要件を満たしている場合に算定できる。

N019 保定装置

(1) 保定装置とは、動的処置の終了後、移動させた歯及び顎を一定期間同位置に保持する装置をいう。

(2) 動的処置に使用した矯正装置をそのまま保定装置として使用した場合には、保定装置の費用は算定できない。

(3) メタルリテーナーは、前後又は側方の顎の狭窄を伴うため顎の拡大を行った後の保定を維持する場合であって、メタルリテーナーを使用する必要性がある場合に限って算定する。

(4) 「5 リンガルバー」に該当するものは、リンガルバー及びパラタルバーを使用する装置である。

N020 鉤

「2 複雑なもの」に該当するものは、アダムス鉤である。

N021 帯環

帯環製作の場合のろう着の費用は、当該各区分の所定点数に含まれるものであるが、帯環にチューブ、ブラケット等をろう着する場合の費用は、区分番号N027に掲げる矯正用ろう着により算定する。

N023 フック

本区分に該当するものは、リンガルボタン、クリーク、フック等であるが、チューブに付随していて新たなろう着の必要のないものは算定できない。

N024 弾線

弾線をリンガルアーチ等に用いるためにろう着を行った場合の費用は、区分番号N027に掲げる矯正用ろう着により算定する。

N025 トルキングアーチ

トルキングアーチについては、装着、結紮等の費用は別に算定できない。

N026 附加装置

(1) 附加装置には、保険医療材料等(交換用のエラスティクスを含む。)の費用を含む。

(2) 超弾性コイルスプリングを用いて顎間又は顎内固定を行った場合は、1箇所1個につき、「2 コイルスプリング」及び「4 アップライトスプリング」に掲げる所定点数を合算した点数により算定する。

N027 矯正用ろう着

本区分に該当するものは、通常のろう着、自在ろう着、電気熔接である。

なお、チューブ、ブラケット等を電気熔接する場合には、1個につき1か所として算定する。

N028 床装置修理

本区分に該当するものは、床装置の破損等であるが、床装置において動的処置の段階で床の添加を行う場合の床の添加に要する費用は、区分番号N005に掲げる動的処置に含まれ別に算定できない。

第14部 病理診断

通則

第14部に規定する病理診断に係る費用以外の費用の算定は、医科点数表の例により算定する。

病理診断・判断料

O001 口腔病理診断料

(1) 口腔病理診断料を算定できる保険医療機関は、病理診断を専ら担当する歯科医師又は医師が勤務する病院でなければならないが、年間の剖検数・生検数が十分にあること、剖検室等の設備や必要な機器等を備えていること、病理部門の要員を備えていること等を満たしていることが望ましい。

(2) 当該保険医療機関以外に勤務する病理診断を行う歯科医師又は医師が、保険医療機関に出向いて病理診断を行った場合等、当該保険医療機関における勤務の実態がない場合においては、口腔病理診断料は算定できない。

(3) 当該保険医療機関以外の保険医療機関(衛生検査所等を含む。)で作製した病理標本につき診断を行った場合には、月1回に限り所定点数を算定する。なお、患者が当該傷病につき当該保険医療機関を受診していない場合(テレパソロジーによる術中迅速病理組織標本作製を行う場合を除く。)においては、療養の給付の対象とならない。

別紙様式1

別紙様式2

別紙様式3

別添3

調剤報酬点数表に関する事項

<通則>

1 保険薬局は、当該保険薬局において調剤される医薬品の品質確保について万全を期さなければならない。

2 保険薬剤師は、投与日数が長期間にわたる処方せんによって調剤を行う場合であって、処方薬の長期保存の困難その他の理由によって分割して調剤する必要がある場合には、分割調剤を行うこと。

また、分割調剤を行う場合(上記の場合のほか、後発医薬品(ジェネリック医薬品)への変更が全て不可の場合の署名欄に処方医の署名又は記名・押印がない処方せん(以下「後発医薬品への変更が可能な処方せん」という。)を提出した患者の同意に基づき、処方せんに記載された先発医薬品を初めて後発医薬品に変更して調剤を行う場合であって、当該患者の希望により、分割調剤を行う場合を含む。)は、その総量は、当然処方せんに記載された用量を超えてはならず、また、第2回以後の調剤においては使用期間の日数(ただし、処方せん交付の日を含めて4日を超える場合は4日とする。)と用量(日分)に示された日数との和から第1回調剤日から起算して当該調剤日までの日数を差し引いた日分を超えては交付できない。例えば、4月3日交付、使用期間4日間、用量10日分の処方せんで4月4日に5日分の調剤を受け、次に10日に調剤を受けに来た場合は(10+4)-7=7であるから、残りの5日分を全部交付して差し支えないが、もし第2回の調剤を4月13日に受けに来た場合、(10+4)-10=4となるので4日分しか交付できない。

3 保険薬局において分割調剤を行い、当該薬局において調剤済みとならない場合は、処方せんに薬剤師法第26条に規定する事項及び分割理由等の必要な事項を記入し、調剤録を作成した後、処方せんを患者に返却すること。

4 「区分番号00」の「注3」の後発医薬品調剤体制加算、「区分番号01」の「注8」の加算(以下「後発医薬品調剤加算」という。)及び「区分番号14」の後発医薬品情報提供料の算定対象となる後発医薬品については、「診療報酬において加算等の算定対象となる後発医薬品について」(平成22年3月5日保医発0305第14号)を参照すること。

5 保険薬局は、薬局内の見やすい場所に調剤報酬点数表の一覧等を掲示するとともに、患者の求めに応じて、その内容を説明すること。

<調剤技術料>

区分00 調剤基本料

(1) 調剤基本料は、患者等が提出する処方せんの枚数に関係なく処方せんの受付1回につき算定する。なお、同一保険薬局において分割調剤を行う場合は、調剤基本料は初回のみ算定し、2回目以降については、「注4」又は「注5」のとおり算定するが、異なる保険薬局で分割調剤を行う場合は、各保険薬局においてそれぞれ調剤基本料を算定できる。

(2) 同一患者から同一日に複数の処方せんを受け付けた場合、同一保険医療機関の同一医師によって交付された処方せん又は同一の保険医療機関で一連の診療行為に基づいて交付された処方せんについては一括して受付1回と数える。

ただし、同一の保険医療機関から交付された場合であっても、歯科の処方せんについては歯科以外の処方せんと歯科の処方せんを別受付として算定できる。

(3) 2以上の異なる保険医療機関が交付した処方せんを同時に受け付けた場合においては、受付回数はそれぞれ数え2回以上とする。

(4) 処方せんの受付回数が月に4,000回を超える薬局に該当するか否かの取扱いは、次の基準による。ただし、受付回数の計算に当たり、「区分番号01」の「注4」の時間外加算、休日加算若しくは深夜加算若しくは「区分番号01」の「注5」の夜間・休日等加算を算定する調剤料に係る処方せん、「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料、「区分番号15の2」の在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料若しくは「区分番号15の3」の在宅患者緊急時等共同指導料の基となる調剤に係る処方せん又は介護保険法(平成9年法律第123号)に基づく指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表の「5」の居宅療養管理指導費のロの(2)若しくは指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号)別表の「5」の介護予防居宅療養管理指導費のロの(2)の基となる調剤に係る処方せんを受け付けた場合には、当該処方せんの受付は受付回数に含めないものとする。

ア 前年2月末日以降継続して保険薬局に指定されている薬局について

前年3月1日から当年2月末日までの12か月の受付回数が48,000回を超えるか否かで判定し、4月1日から翌年3月31日まで適用する。

イ 前年3月1日から前年11月30日までの間に新規に保険薬局に指定された薬局について

指定の日の属する月の翌月1日から当年2月末日までの受付回数が4,000回に月数を乗じて得た回数を超えるか否かで判定し、4月1日から翌年3月31日まで適用する。

ウ 前年12月1日以降に新規に保険薬局に指定された薬局について

指定の日の属する月の翌月1日から3か月間の受付回数が12,000回を超えるか否かで判定し、当該3か月の最終月の翌々月1日から翌年3月31日まで適用する。なお、適用開始までの間は40点を算定する。

(5) 特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が70%を超える薬局に該当するか否かの取扱いは、次の基準による。

ア 前年2月末日以降継続して保険薬局に指定されている薬局について

前年3月1日から当年2月末日までの12か月間に受け付けた処方せんのうち特定の保険医療機関に係るものの受付回数を、当該期間に受け付けたすべての処方せんの受付回数で除して得た割合が70%を超えるか否かで判定し、4月1日から翌年3月31日まで適用する。

イ 前年3月1日から前年11月30日までの間に新規に保険薬局に指定された薬局について

指定の日の属する月の翌月1日から当年2月末日までに受け付けた処方せんのうち特定の保険医療機関に係るものの受付回数を、当該期間に受け付けたすべての処方せんの受付回数で除して得た割合が70%を超えるか否かで判定し、4月1日から翌年3月31日まで適用する。

ウ 前年12月1日以降に新規に保険薬局に指定された薬局について

指定の日の属する月の翌月1日から3か月間に受け付けた処方せんのうち特定の保険医療機関に係るものの受付回数を、当該期間に受け付けたすべての処方せんの受付回数で除して得た割合が70%を超えるか否かで判定し、当該3か月の最終月の翌々月1日から翌年3月31日まで適用する。なお、適用開始までの間は40点を算定する。

(6) 開設者の変更(親から子へ、個人形態から法人形態へ、有限会社から株式会社へ等)又は薬局の改築等の理由により薬事法上の薬局の許可を取得し直し、保険薬局の指定について薬局の当該許可の日までの遡及指定が認められる場合は、(4)のウ及び(5)のウの記載にかかわらず、当該遡及指定前の実績に基づき調剤基本料を算定する。

(7) 「注4」については、長期投薬(14日分を超える投薬をいう。以下同じ。)に係る処方せんによって調剤を行う場合であって、処方薬の長期保存の困難その他の理由によって分割して調剤する必要があり、分割調剤を行った場合で、1処方せんの2回目以降の調剤を同一の保険薬局において2回目以降行った場合に算定する。

(8) 「注4」に係る分割調剤を行う場合は、処方せんの受付時に、当該処方せんを発行した医療機関等に対し照会を行うとともに、分割理由等の必要な事項を調剤録に記入すること。

(9) 「注5」については、後発医薬品への変更が可能な処方せんを提出した患者の同意に基づき、処方せんに記載された先発医薬品を初めて後発医薬品に変更して調剤を行う場合であって、当該患者の希望により分割調剤を行った場合で、同一の保険薬局において1処方せんの2回目の調剤を行った場合に限り算定する。この場合において、2回目の調剤を行う際には、先発医薬品から後発医薬品への変更による患者の体調の変化、副作用が疑われる症状の有無等を確認するとともに、患者の意向を踏まえ、後発医薬品又は変更前の先発医薬品の調剤を行うこととする。なお、その際に、所定の要件を満たせば、「区分番号10」の薬剤服用歴管理指導料及び「区分番号11」の薬剤情報提供料を算定できる。

(10) 「注5」に係る分割調剤を行った場合は、処方せんを発行した医療機関等にその旨を連絡するとともに、分割理由等の必要な事項を調剤録に記入すること。また、2回目の調剤の際に、患者の意向により変更前の先発医薬品の調剤を行った場合も、処方せんを発行した医療機関等にその旨を連絡するとともに、先発医薬品に再変更した理由等の必要な事項を調剤録に記入すること。

(11) 1処方せんについて、「注4」に係る分割調剤の2回目以降の調剤と「注5」に係る分割調剤の2回目の調剤を同一の保険薬局において同一日に行う場合にあっては、いずれか一方の分割調剤に係る点数のみを算定する。

区分01 調剤料

(1) 内服薬

ア 内服薬(浸煎薬及び湯薬を除く。以下同じ。)の調剤料については、内服用滴剤とそれ以外の内服薬とは所定単位及び所定点数が異なる。(内服用滴剤は「区分番号01」の「注1」による。)

イ 内服薬(内服用滴剤以外のもの)についての調剤料及び薬剤料の算定はそれぞれ「1剤」及び「1剤1日分」を所定単位とし、内服用滴剤についての調剤料及び薬剤料は「1調剤」を所定単位として算定するが、この場合の「1剤」とは、調剤料の算定の上で適切なものとして認められる単位をいうものであり、次の点に留意する。

(イ) 1回の処方において、2種類以上の薬剤を調剤する場合には、それぞれの内服薬を個別の薬包等に調剤しても、服用時点が同一であるものについては、1剤として算定する。

(ロ) 服用時点が同一である薬剤については、投与日数にかかわらず1剤として算定する。

(ハ) (イ)及び(ロ)における「服用時点が同一である」とは、2種類以上の薬剤について服用日1日を通じて服用時点(例えば「朝食後、夕食後服用」、「1日3回食後服用」、「就寝前服用」、「6時間毎服用」等)が同一であることをいう。また、食事を目安とする服用時点については、食前、食後及び食間の3区分とすることとし、服用時点が「食直前」、「食前30分」等であっても、調剤料の算定にあっては、「食前」とみなし、1剤として扱う。

(ニ) (イ)及び(ロ)にかかわらず、次の場合は、それぞれを別剤として算定できる。

① 配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合

② 内服用固形剤(錠剤、カプセル剤、散剤等)と内服用液剤の場合

③ 内服錠とチュアブル錠又は舌下錠等のように服用方法が異なる場合

ウ 内服薬の調剤料は、1回の処方せん受付について、4剤以上ある場合についても、3剤として算定する。ただし、この場合、内服用滴剤は剤数に含めないが、浸煎薬又は湯薬を同時に調剤した場合には、当該浸煎薬又は湯薬の調剤数を内服薬の剤数に含めることとする。

エ 同一薬局で同一処方せんを分割調剤した場合は、1回目の調剤から通算した日数に対応する点数から前回までに請求した点数を減じて得た点数により算定する。

オ 隔日投与等投与しない日がある処方に係る内服薬の調剤料は、実際の投与日数により算定する。

カ ドライシロップ剤を投与する場合において、調剤の際に溶解し、液剤(シロップ剤)にして患者に投与するときは内服用液剤として算定し、散剤としてそのまま投与するときは内服用固形剤として算定する。また、ドライシロップ剤を水に溶かして同時服用の他の液剤と一緒に投与する場合は1剤として算定し、ドライシロップ剤を散剤として、同時服用の他の固形剤(錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等)と一緒に投与する場合も1剤として算定する。

なお、「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」(平成22年3月5日保医発0305第12号)に基づき、ドライシロップ剤の医薬品から類似する別剤形の後発医薬品に変更して調剤する場合又は類似する別剤形の医薬品からドライシロップ剤の後発医薬品に変更して調剤する場合は、同通知の第2の4を参照すること。

キ 嚥下困難者用製剤加算は、嚥下障害等があって、市販されている剤形では薬剤の服用が困難な患者に対し、医師の了解を得た上で錠剤を砕く等剤形を加工した後調剤を行うことを評価するものである。

ク 剤形の加工は、薬剤の性質、製剤の特徴等についての薬学的な知識に基づいて行わなければならないこと。

ケ 嚥下困難者用製剤加算は、処方せん受付1回につき1回算定できるものであること。

コ 剤形を加工したものを用いて他の薬剤と計量混合した場合の計量混合調剤加算は算定できないものであること。

サ 嚥下困難者用製剤加算を算定した場合においては、一包化加算及び自家製剤加算は算定できないものであること。

シ 薬剤師が剤形の加工の必要を認め、医師の了解を得た後剤形の加工を行った場合は、その旨調剤録等に記載すること。

ス 一包化とは、服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤又は1剤であっても3種類以上の内服用固形剤が処方されているとき、その種類にかかわらず服用時点ごとに一包として患者に投与することをいう。なお、一包化に当たっては、錠剤等は直接の被包から取り出した後行うものである。

セ 一包化は、多種類の薬剤が投与されている患者においてしばしばみられる薬剤の飲み忘れ、飲み誤りを防止すること又は心身の特性により錠剤等を直接の被包から取り出して服用することが困難な患者に配慮することを目的とし、治療上の必要性が認められる場合に、医師の了解を得た上で行うものであること。

ソ 一包化加算は、処方せんの受付1回につき1回算定できるものであり、投与日数が56日分以下の場合には、一包化を行った投与日数が7又はその端数を増すごとに30点を加算した点数を、投与日数が57日分以上の場合には、投与日数にかかわらず270点を所定点数に加算する。

タ 薬剤師が一包化の必要を認め、医師の了解を得た後に一包化を行った場合は、その旨及び一包化の理由を調剤録等に記載すること。

チ 患者の服薬及び服用する薬剤の識別を容易にすること等の観点から、錠剤と散剤を別々に一包化した場合、臨時の投薬に係る内服用固形剤とそれ以外の内服用固形剤を別々に一包化した場合等も算定できるが、処方せんの受付1回につき1回に限り算定するものであること。

ツ 同一薬局で同一処方せんに係る分割調剤をした上で、2回目以降の調剤について一包化を行った場合は、1回目の調剤から通算した日数に対応する点数から前回までに請求した点数を減じて得た点数を所定点数に加算する。

テ 一包化加算を算定した場合においては、自家製剤加算(「区分番号01」の「注6」に規定する加算をいう。以下同じ。)及び計量混合加算(「区分番号01」の「注7」に規定する加算をいう。以下同じ。)は算定できないものであること。

ト 時間外加算、休日加算及び深夜加算の加算額を算定する場合の基礎額には、嚥下困難者用製剤加算及び一包化加算に係る加算分は含めないものであること。

ナ 内服用滴剤を調剤した場合の調剤料は、投薬日数にかかわらず、1調剤につき「注1」の所定点数を算定する。この場合の内服用滴剤とは、内服用の液剤であって、1回の使用量が極めて少量(1滴ないし数滴)であり、スポイト、滴瓶等により分割使用するものをいう。なお、当該薬剤の薬剤料は、1調剤分全量を1単位として薬剤料の項により算定するものであり、1剤1日分を所定単位とするものではない。

(2) 屯服薬

屯服薬の調剤料は、調剤した剤数、回数にかかわらず、1回の処方せん受付につき所定点数を算定する。

(3) 浸煎薬

ア 浸煎薬とは、生薬を薬局において浸煎し、液剤として製したものをいう。

イ 浸煎薬の調剤料は、日数にかかわらず、1調剤につき算定する。

ウ 浸煎薬の調剤料は、1回の処方せん受付について4調剤以上ある場合において、3調剤まで算定できる。ただし、内服薬又は湯薬を同時に調剤した場合には、内服薬については剤数を、湯薬については調剤数を浸煎薬の調剤数に含めることとする。

(4) 湯薬

ア 湯薬とは、薬局において2種以上の生薬(粗切、中切又は細切したもの)を混合調剤し、患者が服用するために煎じる量ごとに分包したものをいう。

イ 湯薬の調剤料は、1調剤につき投薬日数に応じて所定点数を算定する。

ウ 湯薬の調剤料は、1回の処方せん受付について4調剤以上ある場合において、3調剤まで算定できる。ただし、内服薬又は浸煎薬を同時に調剤した場合には、内服薬については剤数を、浸煎薬については調剤数を湯薬の調剤数に含めることとする。

(5) 注射薬

ア 注射薬の調剤料は、調剤した調剤数、日数にかかわらず、1回の処方せん受付につき所定点数を算定する。

イ 注射薬のうち支給できるものは、在宅医療における自己注射等のために投与される薬剤(インスリン製剤、ヒト成長ホルモン剤、遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤、活性化プロトロンビン複合体、乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体、自己連続携行式腹膜灌流用灌流液、在宅中心静脈栄養法用輸液、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤、性腺刺激ホルモン製剤、ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体、ソマトスタチンアナログ、顆粒球コロニー形成刺激因子製剤、インターフェロンアルファ製剤、インターフェロンベータ製剤、ブトルファノール製剤、ブプレノルフィン製剤、抗悪性腫瘍剤、グルカゴン製剤、ヒトソマトメジンC製剤、人工腎臓用透析液、血液凝固阻止剤、生理食塩水、プロスタグランジンI2製剤、塩酸モルヒネ製剤、エタネルセプト製剤、注射用水、ペグビソマント製剤、スマトリプタン製剤、クエン酸フェンタニル製剤、複方オキシコドン製剤、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム製剤、リン酸デキサメタゾンナトリウム製剤、メタスルホ安息香酸デキサメタゾンナトリウム製剤、プロトンポンプ阻害剤、H2遮断剤、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム製剤、トラネキサム酸製剤、フルルビプロフェンアキセチル製剤、メトクロプラミド製剤、プロクロルペラジン製剤、臭化ブチルスコポラミン製剤、グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L―システイン塩酸塩配合剤、アダリムマブ製剤、エリスロポエチン、ダルベポエチン及びテリパラチド製剤)に限る。

なお、「塩酸モルヒネ製剤」、「クエン酸フェンタニル製剤」及び「複方オキシコドン製剤」は、薬液が取り出せない構造で、かつ患者等が注入速度を変えることができない注入ポンプ等に、必要に応じて生理食塩水等で希釈の上充填して交付した場合に限る。ただし、患者又はその家族等の意を受け、かつ、これらの麻薬である注射薬の処方医の指示を受けた看護師が、患家に当該注射薬を持参し、患者の施用を補助する場合又は保険薬局の保険薬剤師が、患家に麻薬である注射薬を持参し、当該注射薬の処方医の指示を受けた看護師に手渡す場合は、この限りでない。

ウ イの「在宅中心静脈栄養法用輸液」とは、高カロリー輸液をいい、高カロリー輸液以外にビタミン剤、高カロリー輸液用微量元素製剤及び血液凝固阻止剤を投与することができる。

なお、上記イに掲げる薬剤のうち、処方医及び保険薬剤師の医学薬学的な判断に基づき適当と認められるものについて、在宅中心静脈栄養法用輸液に添加して投与することは差し支えない。

(7) 外用薬

ア 外用薬の調剤料は、投与日数にかかわらず、1調剤につき算定する。

イ 外用薬の調剤料は、1回の処方せん受付について4調剤以上ある場合において、3調剤まで算定できる。

ウ トローチについては、外用薬として算定する。

(8) 注射薬の無菌製剤処理

ア 「注2」の「無菌製剤処理」とは、無菌室・クリーンベンチ・安全キャビネット等の無菌環境の中で、無菌化した器具を使用し、無菌的な製剤を行うことをいう。

イ 注射薬調剤料の無菌製剤処理加算は、2以上の注射薬を無菌的に混合して、中心静脈栄養法用輸液又は抗悪性腫瘍剤を製剤した場合に算定し、中心静脈栄養法用輸液又は抗悪性腫瘍剤を1日分製剤する毎にそれぞれ40点又は50点を加算する。

ウ 抗悪性腫瘍剤として無菌製剤処理加算の対象になる薬剤は、悪性腫瘍等に対して用いる細胞毒性を有する注射剤として独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律第192号)第4条第5項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が指定した医薬品(平成16年厚生労働省告示第185号)において指定されたものをいう。

エ 無菌製剤処理加算は、2以上の中心静脈栄養法用輸液若しくは2以上の抗悪性腫瘍剤を同一日の使用のために製剤した場合又は中心静脈栄養法用輸液及び抗悪性腫瘍剤を合わせて1つの注射剤として製剤した場合においても、1日につき1回に限り、それぞれ40点若しくは50点又は50点を算定するものとする。

オ 無菌製剤処理を伴わない調剤であって、患者が施用時に混合するものについては、無菌製剤処理加算は算定できない。

(9) 麻薬、向精神薬、覚せい剤原料又は毒薬加算

ア 「向精神薬」とは、麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第2条第6号の規定に基づく同法別表第3に掲げる向精神薬をいう。

イ 本加算は、麻薬、向精神薬、覚せい剤原料又は毒薬を調剤する場合において、処方中に麻薬が含まれているときに1調剤行為につき70点、それ以外のときに1調剤行為につき8点を加算するものであり、処方中の麻薬、向精神薬、覚せい剤原料又は毒薬の品目数、投薬日数に関係なく当該所定点数を算定する。

ウ 使用した薬剤の成分が麻薬、覚せい剤原料又は毒薬であっても、その倍散の製剤若しくは予製剤等で規制含有量以下のため麻薬、覚せい剤原料又は毒薬の取扱いを受けていない場合は、本加算は算定できない。

エ 重複した規制を受けている薬剤については、当該薬剤が麻薬である場合は1調剤につき70点を算定し、それ以外の場合は1調剤につき8点を算定する。

オ 本加算は、内服薬のほか、屯服薬、注射薬、外用薬についても算定できる。

(10) 調剤技術料の時間外加算等

ア 時間外加算は調剤基本料を含めた調剤技術料の100分の100、休日加算は100分の140、深夜加算は100分の200であり、これらの加算は重複して算定できない。

イ 時間外加算等を算定する場合の基礎額(調剤基本料+調剤料)には、基準調剤加算及び後発医薬品調剤体制加算並びに後発医薬品調剤加算は含まれ、麻薬・向精神薬・覚せい剤原料・毒薬加算、自家製剤加算及び計量混合調剤加算は含まれない。

ウ 時間外加算

(イ) 各都道府県における保険薬局の開局時間の実態、患者の来局上の便宜等を考慮して、一定の時間以外の時間をもって時間外として取り扱うこととし、その標準は、概ね午前8時前と午後6時以降及び休日加算の対象となる休日以外の日を終日休業日とする保険薬局における当該休業日とする。

(ロ) (イ)により時間外とされる場合においても、当該保険薬局が常態として調剤応需の態勢をとり、開局時間内と同様な取扱いで調剤を行っているときは、時間外の取扱いとはしない。

(ハ) 時間外加算等を算定する保険薬局は開局時間を当該保険薬局の内側及び外側のわかりやすい場所に表示する。

(ニ) 「注4」のただし書に規定する時間外加算の特例の適用を受ける保険薬局とは、一般の保険薬局の開局時間以外の時間における救急医療の確保のため、国又は地方公共団体等の開設に係る専ら夜間における救急医療の確保のため設けられている保険薬局に限られる。

(ホ) 「注4」のただし書に規定する「別に厚生労働大臣が定める時間」とは、当該地域において一般の保険薬局が概ね調剤応需の態勢を解除し、翌日調剤応需の態勢を再開するまでの時間であって、深夜時間を除いた時間をいう。

エ 休日加算

(イ) 休日加算の対象となる休日とは、日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日をいう。なお、1月2日、3日、12月29日、30日及び31日は休日として取り扱う。

(ロ) 休日加算は次の患者について算定できるものとする。なお、①以外の理由により常態として又は臨時に当該休日に開局している保険薬局の開局時間内に調剤を受けた患者については算定できない。

① 地域医療の確保の観点から、救急医療対策の一環として設けられている施設、又は輪番制による休日当番保険薬局等、客観的に休日における救急医療の確保のために調剤を行っていると認められる保険薬局で調剤を受けた患者

② 当該休日を開局しないこととしている保険薬局で、又は当該休日に調剤を行っている保険薬局の開局時間以外の時間(深夜を除く。)に、急病等やむを得ない理由により調剤を受けた患者

オ 深夜加算

深夜加算は、次の患者について算定できるものとする。なお、(イ)以外の理由により常態として又は臨時に当該深夜時間帯を開局時間としている保険薬局において調剤を受けた患者については算定できない。

(イ) 地域医療の確保の観点から、救急医療対策の一環として設けられている施設、又は輪番制による深夜当番保険薬局等、客観的に深夜における救急医療の確保のために調剤を行っていると認められる保険薬局で調剤を受けた患者

(ロ) 深夜時間帯(午後10時から午前6時までの間)を開局時間としていない保険薬局、及び当該保険薬局の開局時間が深夜時間帯にまで及んでいる場合にあっては、当該開局時間と深夜時間帯とが重複していない時間に、急病等やむを得ない理由により調剤を受けた患者

(11) 調剤料の夜間・休日等加算

ア 夜間・休日等加算は、午後7時(土曜日にあっては午後1時)から午前8時までの間(休日加算の対象となる休日を除く。)又は休日加算の対象となる休日であって、保険薬局が表示する開局時間内の時間において調剤を行った場合に、処方せんの受付1回につき、調剤料の加算として算定する。ただし、時間外加算等の要件を満たす場合には、夜間・休日等加算ではなく、時間外加算等を算定する。

イ 夜間・休日等加算を算定する保険薬局は開局時間を当該保険薬局の内側及び外側のわかりやすい場所に表示するとともに、夜間・休日等加算の対象となる日及び受付時間帯を薬局内のわかりやすい場所に掲示する。また、平日又は土曜日に夜間・休日等加算を算定する患者については、処方せんの受付時間を当該患者の薬剤服用歴の記録又は調剤録に記載する。

(12) 自家製剤加算

ア 「注6」の自家製剤加算は、イの(1)に掲げる場合以外の場合においては、投薬量、投薬日数等に関係なく、自家製剤による1調剤行為に対し算定し、イの(1)に掲げる錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤又はエキス剤の内服薬(特別の乳幼児用製剤を行った場合を除く。)を自家製剤の上調剤した場合においては、自家製剤を行った投与日数が7又はその端数を増すごとに所定点数を算定する。

イ 本加算に係る自家製剤とは、個々の患者に対し市販されている医薬品の剤形では対応できない場合に、医師の指示に基づき、容易に服用できるよう調剤上の特殊な技術工夫(安定剤、溶解補助剤、懸濁剤等必要と認められる添加剤の使用、ろ過、加温、滅菌等)を行った次のような場合であり、既製剤を単に小分けする場合は該当しない。

(イ) 錠剤を粉砕して散剤とすること。

(ロ) 主薬を溶解して点眼剤を無菌に製すること。

(ハ) 主薬に基剤を加えて坐剤とすること。

ウ 「注6」のただし書に規定する「別に厚生労働大臣が定める薬剤」とは、薬価基準に収載されている薬剤と同一剤形及び同一規格を有する薬剤をいう。

エ 薬価基準に収載されている医薬品に溶媒、基剤等の賦形剤を加え、当該医薬品と異なる剤形の医薬品を自家製剤の上調剤した場合に、次の場合を除き自家製剤加算を算定できる。

(イ) 調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合

(ロ) 液剤を調剤する場合であって、薬事法上の承認事項において用時溶解して使用することとされている医薬品を交付時に溶解した場合

オ 割線のある錠剤を医師の指示に基づき分割した場合は、錠剤として算定する。ただし、分割した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合は算定できない。

カ 自家製剤加算を算定した場合には、計量混合調剤加算は算定できない。

キ 「予製剤」とは、あらかじめ想定される調剤のために、複数回分を製剤し、処方せん受付時に当該製剤を投与することをいう。

ク 「注6」のイ及びロの「特別の乳幼児用製剤を行った場合」とは、6歳未満の乳幼児(以下、「乳幼児」という。)に薬剤を調剤するときに、乳幼児が安全に、又は容易に服用できるように特別な工夫を施して製剤した場合をいう。

ケ 通常、成人又は6歳以上の小児に対しても行うような製剤を乳幼児に対して自家製剤として行った場合は、「注6」の「イ」により算定する。なお、通常、成人又は6歳以上の小児に対して矯味剤等を加える必要がない薬剤を乳幼児に対して調剤する場合において、薬剤師が必要性を認めて、処方医の了解を得た後で、単に矯味剤等を加えて製剤した場合であっても、「注6」の「ロ」を算定できる。

コ 自家製剤を行った場合には、賦形剤の名称、分量等を含め製剤工程を調剤録等に記載すること。

サ 自家製剤は、医薬品の特性を十分理解し、薬学的に問題ないと判断される場合に限り行うこと。

(13) 計量混合調剤加算

ア 「注7」の計量混合調剤加算は、薬価基準に収載されている2種類以上の医薬品(液剤、散剤若しくは顆粒剤又は軟・硬膏剤に限る。)を計量し、かつ、混合して、液剤、散剤若しくは顆粒剤として内服薬又は屯服薬を調剤した場合及び軟・硬膏剤等として外用薬を調剤した場合に、投薬量、投薬日数に関係なく、計量して混合するという1調剤行為に対し算定できる。なお、同注のただし書に規定する場合とは、次の場合をいう。

(イ) 液剤、散剤、顆粒剤、軟・硬膏剤について注6の自家製剤加算を算定した場合

(ロ) 薬価基準に収載されている薬剤と同一剤形及び同一規格を有する薬剤を調剤した場合

イ ドライシロップ剤を液剤と混合した場合は、計量混合調剤加算を算定するものとする。

ウ 「注7」のイの「特別の乳幼児用製剤を行った場合」とは、乳幼児に薬剤を調剤するときに、処方された医薬品が微量のため、そのままでは調剤又は服用が困難である場合において、医師の了解を得た上で賦形剤、矯味矯臭剤等を混合し、乳幼児が正確に、又は容易に服用できるようにした場合をいう。ただし、調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合はこの限りではない。

エ 計量混合調剤は、医薬品の特性を十分理解し、薬学的に問題ないと判断される場合に限り行うこと。

(14) 後発医薬品調剤加算

ア 「注8」の後発医薬品調剤加算は、一般名処方による処方せん又は後発医薬品への変更が可能な処方せんを受け付けた場合であって、保険薬局において患者の同意を得た上で後発医薬品を調剤した場合又は処方せんによる指示に基づき後発医薬品を調剤した場合(後発医薬品への変更が可能な処方せんを受け付けた場合で、患者の同意を得た上で、処方せんに記載された後発医薬品と異なる後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)を調剤した場合を含む。)のいずれの場合においても算定できる。

イ 内服薬(内服用滴剤を除く。)については1剤につき、その他のものについては1調剤につき、2点を加算する。なお、1剤に複数の後発医薬品が含まれている場合についても2点を加算するものとする。

ウ 後発医薬品への変更が可能な処方せんを受け付けた場合で、処方せんに記載された先発医薬品を後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)に変更して調剤した場合又は処方せんに記載された後発医薬品と異なる後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)を調剤した場合であって、後発医薬品調剤加算を算定する場合には、調剤した薬剤の銘柄(含量規格が異なる後発医薬品を調剤した場合にあっては含量規格を、類似する別剤形の後発医薬品を調剤した場合にあっては剤形を含む。)等について、当該処方せんを発行した保険医療機関に情報提供することとする。ただし、当該保険医療機関との間で、調剤した薬剤の銘柄等に係る情報提供の要否、方法、頻度等に関してあらかじめ合意が得られている場合は、当該合意に基づいた方法等により情報提供を行うことで差し支えない。

なお、処方せんに記載された医薬品を後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)に変更して調剤する場合は、「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」(平成22年3月5日保医発0305第12号)を参照すること。

<薬学管理料>

薬学管理等は、患者等のプライバシーに十分配慮した上で実施しなければならないものとする。

なお、患者に対する服薬指導、服薬支援等を行う際に、日付、曜日、服用時点等の別に薬剤を整理することができる資材(以下「服薬カレンダー」という。)を提供する場合にあっては、患者から実費を徴収しても差し支えない。

区分10 薬剤服用歴管理指導料

(1) 薬剤服用歴管理指導料は、保険薬剤師が、患者に対して、次に掲げる指導等のすべてを行った場合に算定する。

ア 患者ごとに作成した薬剤服用歴の記録に基づいて、処方された薬剤の重複投薬、相互作用、薬物アレルギー等を確認した上で、次に掲げる事項その他の事項を情報提供し、薬剤の服用に関し、基本的な説明を患者又はその家族等に行うこと。

(イ) 当該薬剤の名称(一般名処方による処方せん又は後発医薬品への変更が可能な処方せんの場合においては、現に調剤した薬剤の名称)、形状(色、剤形等)

(ロ) 用法、用量、効能、効果

(ハ) 副作用及び相互作用

(ニ) 服用及び保管取扱い上の注意事項

(ホ) 保険薬局の名称、情報提供を行った保険薬剤師の氏名

(ヘ) 保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等

イ 患者又はその家族等と対話することにより、当該患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化等の情報を収集し、その要点を薬剤服用歴の記録に記載するとともに、これに基づき、投与される薬剤の適正使用のために必要な服薬指導を行うこと。

(2) 薬剤服用歴管理指導料は、同一患者について第1回目の処方せん受付時から算定できる。

(3) 薬剤服用歴管理指導料を算定する場合は、薬剤服用歴の記録に、次の事項等を記載する。

ア 氏名・生年月日・性別・被保険者証の記号番号・住所・必要に応じて緊急時の連絡先等の患者についての記録

イ 処方した保険医療機関名及び保険医氏名・処方日・処方内容等の処方についての記録

ウ 調剤日・処方内容に関する照会の要点等の調剤についての記録

エ 患者の体質・アレルギー歴・副作用歴等の患者についての情報の記録

オ 患者又はその家族等からの相談事項の要点

カ 服薬状況

キ 患者の服薬中の体調の変化

ク 併用薬等(一般用医薬品、医薬部外品及びいわゆる健康食品を含む。)の情報

ケ 合併症を含む既往歴に関する情報

コ 他科受診の有無

サ 副作用が疑われる症状の有無

シ 飲食物(現に患者が服用している薬剤との相互作用が認められているものに限る。)の摂取状況等

ス 後発医薬品の使用に関する患者の意向

セ 服薬指導の要点

ソ 指導した保険薬剤師の氏名

(4) (3)のエからスまでの事項については、処方せんの受付後、薬を取りそろえる前に、患者等に確認するよう努めること。

(5) 薬剤服用歴の記録は、同一患者についてのすべての記録が必要に応じ直ちに参照できるよう保存・管理する。

(6) 薬剤に関する情報提供は、文書又はこれに準ずるものにより行うこととし、当該文書は、調剤を行ったすべての薬剤の情報が一覧できるようなものとする。ただし、調剤した薬剤をやむを得ず複数の薬袋に入れ交付する場合は、薬袋ごとに一覧できる文書とすることができる。

(7) 「これに準ずるもの」とは、視覚障害者に対する点字、カセットテープ又はボイスレコーダーへの録音その他のものをいう。

(8) 効能、効果、副作用及び相互作用に関する記載は、患者等が理解しやすい表現によるものとする。また、提供する情報の内容については正確を期すこととし、文書において薬剤の効能・効果等について誤解を招く表現を用いることや、調剤した薬剤と無関係の事項を記載しないこと。

(9) 情報提供に当たって、抗悪性腫瘍剤や複数の異なる薬効を有する薬剤等であって特に配慮が必要と考えられるものについては、情報提供の前に処方せん発行医に確認する等慎重に対応すること。

(10) 服薬指導は、処方せんの受付の都度、患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化(特に重大な副作用が発現するおそれがある医薬品については、当該副作用に係る自覚症状の有無及び当該症状の状況)を確認し、新たに収集した患者の情報を踏まえた上で行うものであり、その都度過去の薬歴を参照した上で、必要に応じて確認・指導内容を見直すこと。また、確認した内容及び行った指導の要点を、薬剤服用歴の記録に記載すること。なお、副作用に係る自覚症状の有無の確認に当たっては、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」(厚生労働省)等を参考とすること。

(11) 薬剤服用歴の記録は、最終の記入の日から起算して3年間保存する。

(12) 「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の処方せんによって調剤を行った場合に限り算定でき、それ以外の場合には算定できない。

(13) 麻薬管理指導加算

ア 麻薬管理指導加算は、当該患者又はその家族等に対して、電話等により定期的に、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の効果や副作用の有無の確認を行い、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。

イ 指導の要点は、薬剤服用歴の記録に記載すること。

(14) 重複投薬・相互作用防止加算

ア 重複投薬・相互作用防止加算は、薬剤服用歴の記録に基づき、併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)及び併用薬、飲食物等との相互作用を防止するために、処方医に対して連絡・確認を行った場合に算定する。処方医の同意を得て、処方の変更が行われた場合に「注3」のイを算定し、処方に変更が行われなかった場合は「注3」のロを算定する。

なお、薬剤服用歴管理指導料を算定していない場合は、当該加算は算定できない。

イ 薬剤の追加、投与期間の延長が行われた場合は、「注3」のイは算定できない。

ウ 重複投薬・相互作用防止加算の対象となる事項について、処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴の記録に記載すること。

エ 複数の保険医療機関又は複数の診療科で処方せんを交付された患者について、処方せんの受付時点が異なる場合であっても所定の要件を満たした場合は重複投薬・相互作用防止加算を算定できる。

オ 同時に複数の保険医療機関又は複数の診療科の処方せんを受け付け、複数の処方せんについて薬剤を変更した場合であっても、1回に限り「注3」のイを算定する。

カ 院内投薬と院外処方せんによる投薬に係る処方変更についても、重複投薬・相互作用防止加算は算定できる。

(15) 特定薬剤管理指導加算

ア 特定薬剤管理指導加算(「注4」に規定する加算をいう。以下同じ。)は、処方せんの受付の際に、特に安全管理が必要な医薬品について、患者の服用状況、効果の発現状況、注意すべき副作用に係る自覚症状の有無及び当該症状の状況、注意すべき併用薬の有無等について確認するとともに、過去の薬剤服用歴の記録を参照した上で、服用に際して注意すべき副作用やその対処方法、服用及び保管に係る取扱い上の注意事項等について詳細に説明し、必要な指導を行った場合に算定する。

なお、具体的な薬学的管理及び指導の内容については、「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」(日本薬剤師会)等を参照すること。

イ 特に安全管理が必要な医薬品とは、抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、不整脈用剤、抗てんかん剤、血液凝固阻止剤(ワルファリンカリウム、塩酸チクロピジン、硫酸クロピドグレル及びシロスタゾール並びにこれらと同様の薬理作用を有する成分を含有する内服薬に限る。)、ジギタリス製剤、テオフィリン製剤、カリウム製剤(注射薬に限る。)、精神神経用剤、糖尿病用剤、膵臓ホルモン剤及び抗HIV薬をいう。

ウ 特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合には、そのすべてについて必要な薬学的管理及び指導を行うこと。ただし、処方せんの受付1回につき1回に限り算定するものであること。

エ 対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点について、薬剤服用歴の記録に記載すること。

区分11 薬剤情報提供料

(1) 薬剤情報提供料は、1回の処方せん受付において調剤を行った薬剤について、その投薬を受ける患者等に対して、当該患者の求めに応じて、調剤日、当該薬剤の名称(一般名処方による処方せん又は後発医薬品への変更が可能な処方せんの場合においては、現に調剤した薬剤の名称)、用法、用量及び相互作用その他服用に際して注意すべき事項を患者の手帳に経時的に記載した場合に、月4回(当該薬局において継続して調剤を受けている患者であって、処方内容に変更があった場合には、上記にかかわらず処方ごとに月4回)を限度として算定する。

(2) 薬剤情報提供料は、調剤を行ったすべての薬剤についての情報提供を行った場合に算定する。また、類似する効能・効果を有する薬剤への変更の場合は算定できるが、薬剤の処方日数のみの変更の場合は、処方内容の変更には該当せず、算定できない。

(3) 「服用に際して注意すべき事項」とは、重大な副作用又は有害事象等を防止するために特に患者が服用時や日常生活上注意すべき事項、あるいは投薬された薬剤により発生すると考えられる症状(相互作用を含む。)等をいい、投薬された薬剤や病態に応じて、服用患者ごとに異なるものである。

(4) 「手帳」とは、経時的に薬剤の記録が記入でき、かつ次のアからウに掲げる事項を記録する欄がある薬剤の記録用の手帳をいう。

ア 患者の氏名、生年月日、連絡先等患者に関する記録

イ 患者のアレルギー歴、副作用歴等薬物療法の基礎となる記録

ウ 患者の主な既往歴等疾病に関する記録

(5) 手帳に初めて記載する保険薬局の場合には、保険薬局の名称、保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等を記載すること。

(6) 情報提供に当たって、抗悪性腫瘍剤や複数の異なる薬効を有する薬剤等であって特に配慮が必要と考えられるものについては、情報提供の前に処方せん発行医に確認する等慎重に対応すること。

(7) 情報提供に当たっては、患者に対して、保険医療機関を受診する際には、医師又は歯科医師に手帳を提示するよう指導を行うこと。また、患者が、保険医療機関や他の保険薬局から交付されたものを含め、複数の手帳を所有していないか確認するとともに、所有している場合には、次回の来局時にそれらを持参してもらうこととし、当該保険医療機関等で交付された薬剤の分も含め、当該患者の薬剤服用歴が同一の手帳で管理できるように、保険薬局において1冊にまとめること。

(8) 手帳を所有しているが処方せんの受付時に持参しなかった患者については、新たに手帳を交付して薬剤情報提供料を算定するのではなく、所有している手帳に貼付できるよう、必要な情報が記載された簡潔な文書(シール等)を交付するとともに、次回、当該シール等が貼付されていることを確認するよう努めること。なお、手帳を持参しなかった患者にシール等を交付した場合は、薬剤情報提供料は算定できない。

(9) 薬剤情報提供料を算定する場合は、その旨を薬剤服用歴等に記録する。

(10) 「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、算定できない。

区分13 長期投薬情報提供料

(1) 長期投薬情報提供料1

ア 長期投薬情報提供料1は、次に掲げる事項をすべて満たした場合に算定する。

(イ) 長期投薬に係る処方せんの受付時に、当該処方せん受付薬局が、当該処方せんに係る薬剤の服薬期間中にその使用に係る新たな重要な情報を知ったときは、患者又はその家族等に対して当該情報を提供することにつき、あらかじめ患者又はその家族等の同意を得ること。

(ロ) (イ)の情報を入手後、速やかに患者又はその家族等に対して実際に当該情報を提供し、注意を促すこと。

(ハ) 当該患者の次回の処方せんの受付時に、当該保険薬局の保険薬剤師が、提供した情報に関連した副作用の発現状況、注意事項の遵守状況等を確認し、必要な指導を行うこと。

イ アの(イ)の同意を得た場合には、その旨を当該患者の薬剤服用歴の記録に記載すること。

ウ 「重要な情報」とは、処方せん受付時に提供した薬剤情報以外の情報で新たに知り得た情報であって、当該患者の薬剤服用歴に基づき、服薬中の患者に重大な影響を与えると思われる事項のことであり、例えば、以下のような情報が挙げられる。

(イ) 医薬品緊急安全性情報

(ロ) 医薬品・医療機器等安全性情報

エ 情報提供に当たって、特に配慮が必要と考えられる薬剤については、情報提供の前に処方せん発行医に確認する等慎重に対応すること。

オ 患者の服薬期間中に新たに情報提供した事項については、薬剤服用歴等の記録に記載する。

カ 長期投薬情報提供料1は「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については算定できない。

(2) 長期投薬情報提供料2

ア 長期投薬情報提供料2は、次に掲げる事項をすべて満たした場合に算定する。

(イ) 当該長期投薬に係る処方せんにおける薬剤の服用期間中に、患者又はその家族等が保険薬局を訪れた際又は電話等により、当該処方薬剤に係る問い合わせがあった場合に、本情報提供料の算定について患者の同意を得た上で、薬剤師が患者の服薬状況等を確認すること。

(ロ) (イ)の際に患者又はその家族等に対して薬剤の適正な使用のための指導を行うこと。

(ハ) 当該患者の次回の処方せんの受付時(当初受付の処方せんと同一の疾病又は負傷に係るものに限る。)に当該保険薬局の薬剤師が再度服薬状況等の確認を行うこと。

イ 服薬期間中の「服薬状況等の確認」とは、患者の服薬状況や服薬期間中の体調変化等の確認を行うことをいう。

ウ 「当初受付の処方せんと同一の疾病又は負傷に係るもの」とは、当初受け付けた処方せんの処方と同様の処方又は処方された薬剤から一連の治療に基づくことが類推され、患者等から確認が得られたものをいう。

エ 長期投薬情報提供料2は、長期投薬に係る処方せんの初回受付時には算定できない。また、次回の処方せん受付日に薬剤服用歴管理指導料を算定した場合にあっては、同日に行った当該情報提供料に係る服薬状況等の確認及び必要な指導については、当該情報提供料は算定できない。ただし、同日前に行った確認及び指導については、算定できる。

オ 患者の服薬期間中及び処方せん受付時に確認した患者の服薬状況等及び指導事項については、薬剤服用歴等の記録に記載する。

カ 長期投薬情報提供料2は、「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については算定できない。

区分14 後発医薬品情報提供料

(1) 一般名処方による処方せん又は後発医薬品への変更が可能な処方せんを受け付けた場合において、次に掲げる事項その他の事項を、保険薬剤師が作成した文書(保険薬剤師が記載した手帳でも可とする。)又はこれに準ずるものにより交付し、患者の同意を得て、後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)を調剤した場合にその種類数にかかわらず10点を算定する。

ア 一般名

イ 剤形

ウ 規格

エ 内服薬にあっては、製剤の特性(普通製剤、腸溶性製剤、徐放性製剤等)

オ 備蓄医薬品の一覧とその品質(溶出性等)に関する情報

カ 先発医薬品との薬剤料の差に係る情報

キ 保険薬局の名称並びに保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等

(2) 後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)を調剤した場合には、調剤した薬剤の銘柄(含量規格が異なる後発医薬品を調剤した場合にあっては含量規格を、類似する別剤形の後発医薬品を調剤した場合にあっては剤形を含む。)等について、当該処方せんを発行した保険医療機関に情報提供することとする。ただし、当該保険医療機関との間で、調剤した薬剤の銘柄等に係る情報提供の要否、方法、頻度等に関してあらかじめ合意が得られている場合は、当該合意に基づいた方法等により情報提供を行うことで差し支えない。

(3) 過去に処方せんに記載された先発医薬品を後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)に変更して調剤し、後発医薬品情報提供料を算定した患者に対して、過去に提供した情報と同じ内容の情報を提供した場合は、算定できない。

(4) 後発医薬品情報提供料は、「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については算定できない。

区分14の2 外来服薬支援料

(1) 外来服薬支援料は、保険薬局の保険薬剤師が、自己による服薬管理が困難な外来の患者又はその家族等の求めに応じ、当該患者又はその家族等が持参した服薬中の薬剤について、治療上の必要性及び服薬管理に係る支援の必要性を判断し、当該薬剤の処方医にその必要性につき了解を得た上で、一包化や服薬カレンダーの活用等により薬剤を整理し、日々の服薬管理が容易になるよう支援した場合に、服薬支援1回につき算定する。なお、服薬管理を容易にするような整理を行わずに単に服薬指導を行っただけでは算定できない。

(2) 外来服薬支援を行うに当たっては、患者が、当該保険薬局で調剤した薬剤以外に他の保険薬局で調剤された薬剤や保険医療機関で院内投薬された薬剤を服用していないか確認し、極力これらの薬剤も含めて整理するよう努めること。また、実際にこれらの薬剤も含めて服薬支援を行う場合には、重複投薬、相互作用等の有無を確認し、処方医に必要な照会を行い、適切な措置を講じること。なお、患者に対する服薬中の薬剤の確認や処方医への照会等を行った上で、結果として、他の保険薬局で調剤された薬剤又は保険医療機関で院内投薬された薬剤のみについて服薬支援を行うこととなった場合(当該保険薬局で調剤を受けていない患者が持参した、他の保険薬局で調剤された薬剤や保険医療機関で院内投薬された薬剤について服薬支援を行う場合を含む。)でも算定できる。

(3) 外来服薬支援は、処方せんによらず、調剤済みの薬剤について服薬管理の支援を目的として行うものであるため、薬剤の一包化を行った場合でも、調剤技術料は算定できない。

(4) 薬剤の一包化による服薬支援は、多種類の薬剤が投与されている患者においてしばしばみられる薬剤の飲み忘れ、飲み誤りを防止すること又は心身の特性により錠剤等を直接の被包から取り出して服用することが困難な患者に配慮することを目的とし、治療上の必要性が認められる場合に行うものである点に留意する。

(5) 外来服薬支援料を算定する場合は、服薬支援に係る薬剤の処方医の了解を得た旨並びに当該薬剤の名称、服薬支援の内容及び理由を薬剤服用歴の記録に記載する。

(6) 外来服薬支援料は、「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については算定できない。また、現に他の保険医療機関又は保険薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行っている患者についても算定できない。

区分15 在宅患者訪問薬剤管理指導料

(1) 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものに対して、あらかじめ名称、所在地、開設者の氏名及び在宅患者訪問薬剤管理指導(以下「訪問薬剤管理指導」という。)を行う旨を地方厚生(支)局長に届け出た保険薬局の薬剤師が、医師の指示に基づき、薬学的管理指導計画を策定し、患家を訪問して、薬歴管理、服薬指導、服薬支援、薬剤服用状況及び薬剤保管状況の確認等の薬学的管理指導を行い、当該指示を行った医師に対して訪問結果について必要な情報提供を文書で行った場合に算定する。

(2) 在宅患者訪問薬剤管理指導料の「1」は、在宅での療養を行っている患者(同一建物居住者であるものを除く。)に対して、「2」は、在宅での療養を行っている患者であって同一建物居住者であるものに対して、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。

(3) 在宅での療養を行っている患者とは、保険医療機関又は介護老人保健施設で療養を行っている患者以外の患者をいう。ただし、「要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合」(平成20年厚生労働省告示第128号)、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」(平成18年3月31日保医発第0331002号)等に規定する場合を除き、患者が医師若しくは薬剤師の配置が義務付けられている病院、診療所、施設等に入院若しくは入所している場合又は現に他の保険医療機関若しくは保険薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行っている場合には、在宅患者訪問薬剤管理指導料は算定できない。

(4) 同一建物居住者とは、基本的には、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に掲げる建築物に居住する複数の者のことをいうが、具体的には、例えば以下のような患者のことをいう。

ア 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の4に規定する養護老人ホーム、老人福祉法第20条の6に規定する軽費老人ホーム、老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホーム、老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム、マンションなどの集合住宅等の施設に入居又は入所している複数の患者

イ 介護保険法第8条第9項に規定する短期入所生活介護、介護保険法第8条第17項に規定する小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第63条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、介護保険法第8条第18項に規定する認知症対応型共同生活介護、介護保険法第8条の2第9項に規定する介護予防短期入所生活介護、介護保険法第8条の2第16項に規定する介護予防小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第36号)第44条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、介護保険法第8条の2第17項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護などのサービスを受けている複数の患者

(5) 「薬学的管理指導計画」は、処方医から提供された診療状況を示す文書等に基づき、又は必要に応じ、処方医と相談するとともに、他の医療関係職種(歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等及び訪問看護ステーションの看護師等)との間で情報を共有しながら、患者の心身の特性及び処方薬剤を踏まえ策定されるものであり、薬剤の管理方法、処方薬剤の副作用、相互作用等を確認した上、実施すべき指導の内容、患家への訪問回数、訪問間隔等を記載する。

(6) 策定した薬学的管理指導計画書は、薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存すること。

(7) 薬学的管理指導計画は、原則として、患家を訪問する前に策定する。

(8) 訪問後、必要に応じ新たに得られた患者の情報を踏まえ計画の見直しを行うこと。

(9) 薬学的管理指導計画は少なくとも1月に1回は見直しを行うほか、処方薬剤の変更があった場合及び他職種から情報提供を受けた場合にも適宜見直しを行うこと。

(10) 必要に応じて、処方医以外の医療関係職種に対しても、訪問薬剤管理指導の結果及び当該医療関係職種による当該患者に対する療養上の指導に関する留意点について情報提供すること。

(11) 訪問薬剤管理指導は、当該保険薬局の調剤した薬剤の服用期間内に、患者の同意を得て実施する。なお、調剤を行っていない月に訪問薬剤管理指導を実施した場合は、当該調剤年月日及び投薬日数を調剤報酬明細書の摘要欄に記入する。

(12) 在宅患者訪問薬剤管理指導料を月2回以上算定する場合(がん末期患者及び中心静脈栄養法の対象患者に対するものを除く。)は、算定する日の間隔は6日以上とする。がん末期患者及び中心静脈栄養法の対象患者については、週2回かつ月8回に限り算定できる。

(13) 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の(3)の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。

ア 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名

イ 処方医から提供された情報の要点

ウ 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容(薬剤の保管状況、服薬状況、残薬の状況、投薬後の併用薬剤、投薬後の併診、副作用、重複服用、相互作用等に関する確認、実施した服薬支援措置等)

エ 処方医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点

オ 処方医以外の医療関係職種との間で情報を共有している場合にあっては、当該医療関係職種から提供された情報の要点及び当該医療関係職種に提供した訪問結果に関する情報の要点

(14) 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定した月においては、「区分番号10」の薬剤服用歴管理指導料(当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の処方せんによって調剤を行った場合を除く。)、「区分番号11」の薬剤情報提供料、「区分番号13」の長期投薬情報提供料、「区分番号14」の後発医薬品情報提供料、「区分番号14の2」の外来服薬支援料、「区分番号16」の調剤情報提供料又は「区分番号17」の服薬情報提供料(当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の処方せんによって調剤を行った場合を除く。)は算定できない。

(15) 麻薬管理指導加算

ア 麻薬管理指導加算は、麻薬の投薬が行われている患者に対して、定期的に、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛効果や副作用の有無の確認を行い、処方せん発行医に対して必要な情報提供を行った場合に算定する。

イ 「注2」の麻薬管理指導加算は、在宅患者訪問薬剤管理指導料が算定されていない場合は算定できない。

ウ 麻薬管理指導加算を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の(3)及び「区分番号15」の(13)の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。

(イ) 訪問に際して実施した麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、麻薬注射剤等の併用薬剤、疼痛緩和の状況、麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無などの確認等)

(ロ) 訪問に際して行った患者・家族への指導の要点(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)

(ハ) 処方医に対して提供した訪問結果に関する情報(麻薬の服薬状況、疼痛緩和及び副作用の状況、服薬指導の要点等に関する事項を含む。)の要点

(ニ) 患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項(都道府県知事に届け出た麻薬廃棄届の写しを薬剤服用歴の記録に添付することで差し支えない。)

(16) 「注3」に規定する交通費は実費とする。

区分15の2 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料

(1) 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの状態の急変等に伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導とは別に、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理指導を行い、当該保険医に対して訪問結果について必要な情報提供を文書で行った場合に、月4回に限り算定する。

(2) 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の(3)の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。

ア 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名

イ 当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医から緊急の要請があった日付及び当該要請の内容並びに当該要請に基づき訪問薬剤管理指導を実施した旨

ウ 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容(服薬状況、副作用、相互作用等に関する確認等を含む。)

エ 当該保険医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点

(3) 麻薬管理指導加算

ア 麻薬管理指導加算は、麻薬の投薬が行われている患者に対して、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛効果や副作用の有無の確認を行い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医に対して必要な情報提供を行った場合に算定する。

イ 「注2」の麻薬管理指導加算は、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料が算定されていない場合は算定できない。

ウ 麻薬管理指導加算を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の(3)及び「区分番号15の2」の(2)の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。

(イ) 訪問に際して実施した麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、麻薬注射剤等の併用薬剤、疼痛緩和の状況、麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無などの確認等)

(ロ) 訪問に際して行った患者・家族への指導の要点(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)

(ハ) 当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医に対して提供した訪問結果に関する情報(麻薬の服薬状況、疼痛緩和及び副作用の状況、服薬指導の要点等に関する事項を含む。)の要点

(ニ) 患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項(都道府県知事に届け出た麻薬廃棄届の写しを薬剤服用歴の記録に添付することで差し支えない。)

(4) 「注3」に規定する交通費は実費とする。

区分15の3 在宅患者緊急時等共同指導料

(1) 在宅患者緊急時等共同指導料は、在宅での療養を行っている患者の状態の急変や診療方針の変更等の際、当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等(居宅介護支援事業者の介護支援専門員を含む。以下同じ。)が一堂に会しカンファレンスを行うことで、より適切な治療方針を立てることが可能となるとともに、カンファレンスの参加者の間で診療方針の変更等の情報を的確に共有することができ、患者及び家族が安心して療養生活を送ることに資することから、そのような取組を評価するものである。

(2) 在宅患者緊急時等共同指導料は、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの病状の急変や、診療方針の大幅な変更等の必要が生じたことに伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、患家を訪問し、関係する医療関係職種等と共同でカンファレンスを行うとともに、共有した当該患者の診療情報及び当該カンファレンスの結果を踏まえ、計画的な訪問薬剤管理指導の内容に加えて患者に対し療養上必要な薬学的管理指導を行った場合に、月2回に限り算定する。なお、当該カンファレンスを行った日と異なる日に当該薬学的管理指導を行った場合でも算定できるが、当該カンファレンスを行った日以降速やかに薬学的管理指導を行うものであること。また、カンファレンス及びそれに基づく薬学的管理指導1回につき1回に限り算定するものであること。

(3) 当該カンファレンスは、原則として、患家で行うこととするが、患者又は家族が患家以外の場所でのカンファレンスを希望する場合はこの限りでない。

(4) 在宅患者緊急時等共同指導料を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の(3)の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。

ア カンファレンス及び薬学的管理指導の実施日、薬学的管理指導を行った薬剤師の氏名並びにカンファレンスに参加した医療関係職種等の氏名

イ 当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医から要請があって患家を訪問し、他の医療関係職種等と共同してカンファレンスを行い、その結果を踏まえて薬学的管理指導を実施した旨及びその理由

ウ カンファレンスの要点及びカンファレンスの結果を踏まえて実施した薬学的管理指導の内容(服薬状況、副作用、相互作用等に関する確認等を含む。)

エ 当該保険医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点

(5) 在宅患者緊急時等共同指導料を算定する場合は、「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料は別に算定できない。

(6) 麻薬管理指導加算

ア 麻薬管理指導加算は、麻薬の投薬が行われている患者に対して、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛効果や副作用の有無の確認を行い、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。

イ 「注2」の麻薬管理指導加算は、在宅患者緊急時等共同指導料が算定されていない場合は算定できない。

ウ 麻薬管理指導加算を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の(3)及び「区分番号15の3」の(4)の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。

(イ) 訪問に際して実施した麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、麻薬注射剤等の併用薬剤、疼痛緩和の状況、麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無などの確認等)

(ロ) 訪問に際して行った患者・家族への指導の要点(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)

(ハ) 当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医に対して提供した訪問結果に関する情報(麻薬の服薬状況、疼痛緩和及び副作用の状況、服薬指導の要点等に関する事項を含む。)の要点

(ニ) 患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項(都道府県知事に届け出た麻薬廃棄届の写しを薬剤服用歴の記録に添付することで差し支えない。)

区分15の4 退院時共同指導料

(1) 退院時共同指導料は、保険医療機関に入院中の患者について、当該患者の退院後の訪問薬剤管理指導を担う保険薬局として当該患者が指定する保険薬局の保険薬剤師が、当該患者が入院している保険医療機関(以下「入院保険医療機関」という。)に赴いて、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な薬剤に関する説明及び指導を、入院保険医療機関の保険医又は看護師等と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回(別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については2回)に限り算定できる。なお、ここでいう入院とは、第1章第2部通則5に定める入院期間が通算される入院のことをいう。

(2) 退院時共同指導料は、患者の家族等、退院後に患者の看護を担当する者に対して指導を行った場合にも算定できる。

(3) 退院時共同指導料を算定する場合は、当該患者の薬剤服用歴の記録に、入院保険医療機関において当該患者に対して行った服薬指導等の要点を記載する。また、患者又はその家族等に提供した文書の写しを薬剤服用歴の記録に添付すること。

(4) 退院時共同指導料は、退院後在宅での療養を行う患者が算定の対象となり、他の保険医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設に入院若しくは入所する患者又は死亡退院した患者については、対象とはならない。

区分16 調剤情報提供料

(1) 調剤情報提供料は、受け付けた処方せんが次に掲げる場合に該当し、調剤するに当たって薬学的な観点から疑義が生じた場合等において、当該処方せんを発行した医療機関等に情報提供の必要性を認め、患者の同意を得て、当該医療機関等に対し照会を行い、かつ、文書によりこの情報を提供した場合に算定する。

ア 投与日数が長期にわたる処方であって、吸湿性等の理由により薬剤の長期にわたる保存の困難性等から分割して調剤を行う必要を認める場合

イ 粉砕等の特殊な技術工夫により薬剤の体内動態への影響を認める場合

(2) 処方せんの記入上の疑義照会等では算定できない。

(3) 調剤情報提供料は、「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については算定できない。

区分17 服薬情報提供料

(1) 服薬情報提供料は、患者の服薬に関する情報を保険医療機関に提供することにより、医師の処方設計及び患者の服薬の継続又は中断の判断の参考とする等、保険医療機関と保険薬局の連携の下に医薬品の適正使用を推進することを目的とするものである。

(2) 服薬情報提供料は、次の場合において患者の同意を得て、現に患者が受診している保険医療機関に対して、当該患者の服薬状況について文書により提供したときに算定する。

ア 処方せん発行保険医療機関から情報提供の求めがあった場合

イ 薬剤服用歴に基づき保険薬局が患者の服薬に関する情報提供の必要性を認めた場合

(3) ここでいう「服薬状況」とは、患者が薬剤の用法及び用量に従って服薬しているか否かに関する状況のほか服薬期間中の体調の変化等の患者の訴えに関する情報を含むものであること。

(4) 患者1人につき同一月に2回以上服薬情報提供を行った場合においても、月1回のみの算定とする。ただし、2以上の保険医療機関又は診療科に対して服薬情報提供を行った場合は、当該保険医療機関又は診療科ごとに月1回に限り算定できる。

(5) 情報提供に当たっては、別紙様式1又はこれに準ずる様式の文書に必要事項を記載し、患者が現に診療を受けている保険医療機関に交付し、当該文書の写しを薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存しておく。

(6) 服薬指導情報提供加算

服薬指導情報提供加算は、患者の同意を得て、服薬状況に併せて現に患者が受診している保険医療機関に対して、当該患者に対する服薬指導の要点、患者の状態等を示す文書を添えて薬剤の適正使用に必要な情報を提供したときに算定する。この場合において、患者に自覚症状がある場合には、当該自覚症状が薬剤の副作用によるものか否かに関する分析結果も含めて情報提供することとし、また、患者に対する服薬指導は、当該分析結果を踏まえたものとする。なお、患者の自覚症状の分析に当たっては、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」(厚生労働省)等を参考とすることが望ましい。

(7) 服薬情報提供料は、「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については算定できない。

<薬剤料>

区分20 使用薬剤料

(1) 投薬時における薬剤の容器は、原則として保険薬局から患者へ貸与する。

ただし、患者が希望する場合には、患者から実費を徴収して容器を交付しても差し支えないが、患者が当該容器を返還した場合は、当該容器本体部が再使用できるものについては当該実費を返還する。

なお、患者に直接投薬する目的で製品化されている薬剤入りチューブ及び薬剤入り使い捨て容器のように再使用できない薬剤の容器については、患者に容器代金を負担させることはできない。

(2) 保険薬局が患者に喘息治療剤の施用のため小型吸入器及び鼻腔・口腔内治療剤の施用のため噴霧・吸入用器具(散粉器)を交付した場合は、患者にその実費を負担させて差し支えないが、患者が当該吸入器を返還した場合は当該実費を返還する。

(3) 被保険者が保険薬局より薬剤の交付を受け、持ち帰りの途中又は自宅において薬品を紛失したため(天災地変その他やむを得ない場合を除く。)再交付された処方せんに基づいて、保険薬局が調剤した場合は、当該薬剤の費用は、被保険者の負担とする。

(4) 内服用液剤を投与する際には常水(水道水、自然水)を使用するが、特に蒸留水を使用しなければならない理由があれば使用して差し支えない。

(5) 薬包紙、薬袋の費用は、別に徴収又は請求することはできない。

<特定保険医療材料料>

区分30 特定保険医療材料

(1) 保険薬局で交付できる特定保険医療材料とは、別表1に掲げるものとし、次に該当する器材については算定できない。

ア 別表2に掲げる薬剤の自己注射以外の目的で患者が使用する注射器

イ 自己連続携行式腹膜灌流以外の目的で患者が使用する腹膜透析液交換セット

ウ 在宅中心静脈栄養法以外の目的で患者が使用する在宅中心静脈栄養用輸液セット

エ 在宅成分栄養経管栄養法以外の目的で患者が使用する在宅寝たきり患者処置用栄養用ディスポーザブルカテーテル

(2) 「在宅中心静脈栄養用輸液セット」とは、体外式カテーテル又は埋込式カテーテルに接続して使用するチューブセット(輸液バッグ、輸液ライン(フィルター、プラグ、延長チューブ、フーバー針を含む。)、注射器及び穿刺針を含む。)をいう。

別表1

○ インスリン製剤、ヒト成長ホルモン剤、遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤(活性化プロトロンビン複合体及び乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体を含む。)、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤、性腺刺激ホルモン製剤、ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体、ソマトスタチンアナログ、顆粒球コロニー形成刺激因子製剤、インターフェロンアルファ製剤、インターフェロンベータ製剤、ブトルファノール製剤、ブプレノルフィン製剤、抗悪性腫瘍剤、グルカゴン製剤、エタネルセプト製剤、ヒトソマトメジンC製剤、ペグビソマント製剤、スマトリプタン製剤及びグリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L―システイン塩酸塩配合剤の自己注射のために用いるディスポーザブル注射器(針を含む。)

○ 万年筆型注入器用注射針

○ 自己連続携行式腹膜灌流のために用いる腹膜透析液交換セット

○ 在宅中心静脈栄養用輸液セット

○ 在宅寝たきり患者処置用栄養用ディスポーザブルカテーテル

○ 携帯型ディスポーザブル注入ポンプ

別表2

インスリン製剤

ヒト成長ホルモン剤

遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤

遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤

乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤

遺伝子組換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤

乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤(活性化プロトロンビン複合体及び乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体を含む。)

性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤

性腺刺激ホルモン製剤

ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体

ソマトスタチンアナログ

顆粒球コロニー形成刺激因子製剤

インターフェロンアルファ製剤

インターフェロンベータ製剤

ブトルファノール製剤

ブプレノルフィン製剤

抗悪性腫瘍剤

グルカゴン製剤

ヒトソマトメジンC製剤

エタネルセプト製剤

ペグビソマント製剤

スマトリプタン製剤

グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L―システイン塩酸塩配合剤

(別紙様式1)