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○「と畜検査実施要領」の一部改正について

(平成16年4月6日)

(食安発第0406001号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)

と畜検査については、と畜場法第14条等法令の定めによるほか、検査の技術的運用の適正を期するため「と畜検査実施要領」(昭和47年5月27日付け環乳第48号厚生省環境衛生局長通知)に基づき実施してきたところです。

今般、食品衛生法等の一部を改正する法律(平成15年法律第55号)の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成15年政令第505号)等により、と畜場法施行令等の一部が改正されたところであり、標記要領についてもと畜検査における実態等に鑑み検査の技術的運用面について見直しを行い、別添のとおり改正することとしたので、御了知の上、対応方よろしくお願いします。

(別添)

昭和47年5月27日作成

平成16年4月6日改正

と畜検査実施要領

(一般規程)

第1 と畜場法(昭和28年法律第114号。以下「法」という。)第14条の規定による検査は、と畜場法施行令(昭和28年政令第216号)第8条及びと畜場法施行規則(昭和28年厚生省令第44号。以下「規則」という。)第14条の規定によるほか、この要領により行うものとする。

第2 検査は、獣畜、肉、内臓等の本来の色彩に変化を与えない適正で十分な量の光線の下で行うものとする。

第3 と畜検査員は、帳簿を備え、検査を行った獣畜の種類及び頭数並びに規則第16条第1号、第2号又は第3号に掲げる措置をとった場合には、その措置の内容、その措置をとった理由その他必要な事項を記録し、保存するものとする。

(生体検査)

第4 法第14条第1項の規定による検査は、次の各号により行うものとする。

1 獣畜は、清潔にし、付着したふん便、泥等不必要なものを除去して、正しくけい留させること。

2 検査は、安静にけい留した獣畜について、とさつの直前に行うこと。

3 検査は、獣体各部の見やすい構造の区画のある場所で行い、必要に応じて保定設備のある場所で行うこと。

4 と畜検査員は、病歴に関する情報を確認した上で、まず望診を行い、必要に応じて、触診、聴診等により異常の有無を調べ、異常を認めたときは、症状によりさらに精密な検査を行うこと。

(生体検査の結果に基づく措置)

第5 第4の検査を終了したときは、と畜検査員は、その結果により規則第16条第1号又は第4号に掲げる措置をとるほか、次の各号の措置をとるものとする。

1 疾病にかかり又はその疑いのある獣畜については、他の獣畜の処理がすべて終了した後に、当該獣畜のとさつ及び解体を行わせること。ただし、一般と畜場においては、施設内を著しく汚染するおそれがある等必要があると認められる場合は病畜と室で行わせること。また、当該獣畜について、治療等が継続して行われていることが判明した場合には、動物用医薬品等の使用禁止期間が遵守されていることをと畜検査申請書等により確認すること。

2 異常が認められなかった獣畜については、検査番号票(合札)等により、解体時に当該獣畜に由来する頭、枝肉及び内臓であることが確認できるよう措置をとること。ただし、明らかに確認できると認められる場合は、この限りでない。

(解体前の検査)

第6 法第14条第2項の規定による検査は、必要に応じ、次の各号により行うものとする。

1 血液の性状を観察し、異常を認めたときは、さらに精密な検査を行うこと。

2 法第13条第1項第2号又は第3号の規定によりとさつした獣畜については、まず一般外部検査を行った後、天然孔、排出物及び可視粘膜の状態についての検査並びに末梢血管から採取した血液の染色鏡検を行い、異常を認めたときは、その状態により、さらに精密な検査を行うこと。

(解体前の検査の結果に基づく措置)

第7 第6の検査を終了したときは、と畜検査員はそれぞれの結果により規則第16条第2号又は第4号に掲げる措置をとるものとする。

(と畜場外でとさつされた獣畜の扱い)

第8 法第13条第1項第2号又は第3号の規定によりとさつした獣畜については、他の獣畜の処理がすべて終了した後に、当該獣畜の解体を行わせること。ただし、一般と畜場においては、施設内を著しく汚染するおそれがある等必要があると認められる場合は病畜と室で行わせること。

(解体後の検査)

第9 法第14条第3項の規定による検査は、次の各号により行うものとする。

1 と畜検査員は、検査の際2個以上の検査刀を携帯し、病変部を切開するときは、当該病変部により肉、内臓、検査台、手指等を汚染しないように行い、1頭の検査ごと又は汚染の都度に、検査刀等の検査に用いる器具を、83℃以上の温湯により消毒すること。また、手指については、1頭の検査ごと又は汚染の都度に洗浄消毒すること。洗浄後、手を拭く場合は、使い捨て紙タオル等を用い、手指の再汚染を避けること。

2 と畜検査員は、次の部分について検査を行うこと。

(1) 血液

(2) 頭、舌、扁桃、咽喉及びこれらの部分のリンパ節並びに諸腺

(3) 肺、気管、気管支、縦隔膜及びこれらの部分のリンパ節並びに食道

(4) 心臓及び心膜

(5) 横隔膜

(6) 肝臓及びそのリンパ節並びに胆嚢

(7) 胃腸、腸間膜及びこれらの部分のリンパ節並びに大網

(8) 脾臓及びそのリンパ節

(9) 膵臓

(10) 腎臓及びそのリンパ節並びに膀胱

(11) 乳房及びそのリンパ節

(12) 精巣及び陰茎又は卵巣、子宮、膣及び外陰

(13) 枝肉及びその内外側に見られるリンパ節

(14) 尾

(15) 皮

(16) せき髄

(17) 胎盤

3 検査は、望診及び触診によるほか、必要に応じ切開することにより行うこととし、さらに、次の各部位については、次に掲げる点に留意して検査を行うこと。

(1) 頭

外側の咬筋を切開して検査を行うこと。また、下顎リンパ節、内外側咽頭後リンパ節、耳下腺リンパ節を細切して検査を行うこと。

(2) 心臓

心嚢(心外膜)を切開し、心臓外貌の望診を行うこと。縦軸に左右心室及び左右心房を切開して検査を行うこと。

(3) 肺

左右気管支リンパ節、前部縦隔リンパ節、中間部縦隔リンパ節、後部縦隔リンパ節を細切して検査を行うこと。

(4) 肝臓

肝門部のリンパ節を細切して検査を行うこと。肝実質の検査は望診及び触診によるほか、必要に応じて、肝臓の臓側面の左葉から右葉にむかい門脈にそって垂直に切開し、その切開面より胆管を縦に切開して検査を行うこと。

(5) 胃及び腸

望診及び触診によるほか、必要に応じて、腸間膜リンパ節等を細切して検査を行うこと。また、腸間膜リンパ節を細切する場合は、検査刀による消化管の損傷により内容物が漏出して消化管の漿膜面を汚染しないように行うこと。

なお、検査を行うに当たって、消化管内容物が漏出した場合及び消化管を切開する必要がある場合は、消化管内容物の漏出等により正常部位の汚染がおこらないように措置をとること。

(6) 腎臓

脂肪を分離し露出させて検査を行うこと。

(7) 乳房

乳房部ははく皮しないままと体から切除し、望診及び触診により異常の有無を確認すること。乳房は必要な場合を除き切開しないこととし、乳汁による汚染部位は完全に切り取ること。

なお、未経産牛の場合は乳房もはく皮を行い、枝肉と併せて検査を行うこと。

(8) 枝肉

左右枝肉の外見及び枝肉の内外側に存在する各リンパ節を、上方から下方にかけて望診及び触診し異常の有無を確認すること。リンパ節は必要な場合を除き切開しないこととし、潤滑油又は炎性産物等による汚染部位は完全に切り取ること。

4 検査を行うに当たっては、臓器等を傷つけることによる汚染を防止するため、原則として鉤を使用しないこと。また、臓器等を切開する場合には、他の臓器等の汚染がおこらないように措置をとること。

5 と畜検査員は、第2号及び第3号の検査を行う場合に必要があると認められる場合は、横隔膜又は頚部から肉片を採取鏡検し、肉、内臓又は枝肉深部のリンパ節を細切し、又は頭蓋を開き、頭部を縦断し、顔面を横断して検査を行うこと。

6 検査により異常を発見し、さらに精密な検査を行うときは、検査結果が確定するまで、その措置を保留するものとする。

(解体後の検査の結果に基づく措置)

第10 第9の検査を終了したときは、と畜検査員は、それぞれの結果により規則第16条第3号又は第4号に掲げる措置をとるものとする。

(廃棄を命じたもの等の消毒方法)

第11 規則第16条第3号又は第4号の規定により廃棄を命じたもの及び病毒に汚染された場所又は物件についての消毒方法は、別表又は別途定める基準に従うものとする。

別表

消毒方法の基準

消毒目的物

処理室、運搬車

けい留所、生体検査所通路その他の場所

ふん尿溜、汚水溝場廃水、その他

器具器械その他

体、肉、骨、内臓、血液皮等

汚物および胃腸内容物

接触者

一般消毒法

次亜塩素酸ソーダ(100―200PPM)又は逆性石けん(2%)両性石けん(0.5%)を散布、浸潤させ若しくは洗浄し、1時間以上経過した後に常水で十分に洗浄すること。

次亜塩素酸ソーダ(100~200PPM)逆性石けん(2%)両性石けん(0.5%)又はクレゾール石けん水(3%)石炭酸水(3%)クロール石灰水(5%)、土壌の場合はクロール石灰若しくは苛性ソーダ液(2~3%)を十分撒布すること。

クロール石灰、消石灰を用いるときは汚水量の1/10以上、クレゾール水又は石炭酸水を用いるときは汚水量と同量以上になるよう投入し撹拌して5時間以上放置すること。

1時間以上煮沸又は流通蒸気による消毒をするか若しくは30分以上1cm2/kg以上の加圧蒸気消毒をすること。ただしこの方法による消毒が困難な場合は逆性石けん(2%)両性石けん(0.5%)次亜塩素酸ソーダ(100~200PPM)クレゾール水(3%)に十分浸すこと。

適当な大きさに切断し、1時間以上煮沸又は、流通蒸気消毒するか焼却炉により焼却すること。薬物消毒によるときはクレゾール(3%)石炭酸水(3%)ホルマリン水(ホルマリン1:水34)に浸すこと。

焼却するか、クロール石灰又は消石灰を用いるときは汚物量のおよそ1/10以上クレゾール水又は石炭酸水を用いるときはおよそ汚物量の同量以上投入し撹拌して5時間以上経過した後他の場所に埋却すること。

手指は逆性石けん(2%)両性石けん(0.5%)クレゾール石けん水(3%)石炭酸水(1%)に十分浸した後、常水で洗浄すること。被服類は1時間以上煮沸するか又は、流通蒸気により、消毒するか、30分以上の加圧蒸気消毒をするか、若しくはクレゾール水(3%)ホルマリン水(ホルマリン1:水34)石炭酸水(3%)両性石けん(0.5%)に十分浸すこと。

炭疽等芽胞形成菌に対する消毒方法

次亜塩素酸ソーダ(5000PPM)又はホルマリン水(ホルマリン1:水34)を十分撒布、浸潤させ若しくは洗浄し数日にわたり3回以上反復実施し、最終回には常水で洗浄すること。

次亜塩素酸ソーダ(5000PPM)クロール石灰を十分撒布し、数日にわたり3回以上反復実施すること。土壌の場合は表面にクロール石灰又は消石灰を撒布してから深さ20~30cm掘起しこれを搬出した後、クロール石灰又は消石灰を撒布し、新しい土を入れること。搬出した土は焼却又は埋却すること。

次亜塩素酸ソーダ、クロール石灰を用い遊離塩素が十分残存するまで投入すること。

1時間以上煮沸又は流通蒸気による消毒をするか、若しくは30分以上1cm2/kg以上の加圧蒸気消毒をすること。ただし、この方法による消毒が困難な場合は、次亜塩素酸ソーダ(500~1000PPM)の水溶液に十分浸漬するか同(5000PPM)の水溶液、ホルマリン水(ホルマリン1:水34)で撒布浸潤若しくは洗浄すること。

焼却すること。血液等煮沸困難なものについては煮沸消毒を準用する。

焼却すること。血液等煮沸困難なものについては煮沸消毒を準用する。

手、腕等接触部附近を流温水と石けんブラシを用いて洗浄をくり返し、その後昇汞水(0.1%)に1分以上浸して流水で洗うこと。被服類は1時間以上煮沸するか又は30分以上の加圧蒸気による消毒をすること。安価な被服類は焼却すること。

前記消毒方法によらない時はこれと同等以上の効果がある場合に限り実施することができる。