添付一覧
○身体障害認定基準の取扱い(身体障害認定要領)の一部改正について
(平成21年12月24日)
(障企発1224第1号)
(各都道府県・各指定都市・各中核市障害保健福祉主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長通知)
「身体障害認定基準」の取扱いについては、「身体障害認定基準の取扱い(身体障害認定要領)について」(平成15年1月10日障企発第0110001号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長通知)により取り扱っているところであるが、本日通知された「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)の一部改正について」(平成21年12月24日障発1224第2号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)による「身体障害認定基準」の改正箇所の取扱いについて定めるため、下記のとおりその一部を改正し、平成22年4月1日から適用することとしたので、留意の上、その取扱いに遺憾なきよう願いたい。
なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言(ガイドライン)として位置づけられるものである。
記
別紙「身体障害認定要領」に、別添のとおり「第11 肝臓機能障害」を追加する。
(別添)
身体障害認定要領
第11 肝臓機能障害
1 診断書の作成について
身体障害者診断書においては、疾患等により永続的に肝臓機能の著しい低下のある状態について、その障害程度を認定するために必要な事項を記載する。併せて障害程度の認定に関する意見を付す。
(1) 「総括表」について
ア 「障害名」について
「肝臓機能障害」と記載する。
イ 「原因となった疾病・外傷名」について
肝臓機能障害をきたした原因疾患名について、できる限り正確な名称を記載する。例えば単に「肝硬変」という記載にとどめることなく、「C型肝炎ウイルスに起因する肝硬変」「ウィルソン病による肝硬変」等のように種類の明らかなものは具体的に記載し、不明なときは疑わしい疾患名を記載する。
傷病発生年月日は初診日でもよく、それが不明確な場合は推定年月を記載する。
ウ 「参考となる経過・現症」について
傷病の発生から現状に至る経過及び現症について、障害認定のうえで参考となる事項を詳細に記載する。
現症については、別様式診断書「肝臓の機能障害の状態及び所見」の所見欄の内容はすべて具体的に記載することが必要である。
エ 「総合所見」について
経過及び現症からみて障害認定に必要な事項、特に肝臓機能、臨床症状、日常生活の制限の状態について明記し、併せて将来再認定の要否、時期等を必ず記載する。
(2) 「肝臓の機能障害の状態及び所見」について
ア 「肝臓機能障害の重症度」について
肝性脳症、腹水、血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値の各診断・検査結果について、Child―Pugh分類により点数を付し、その合計点数と血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値の項目における3点の有無を記載する。この場合において、肝性脳症の昏睡度分類については犬山シンポジウム(1981年)による。また、腹水については、原則として超音波検査、体重の増減、穿刺による排出量を勘案して見込まれる量が概ね1l以上を軽度、3l以上を中程度以上とするが、小児等の体重が概ね40kg以下の者については、薬剤によるコントロールが可能なものを軽度、薬剤によってコントロールできないものを中程度以上とする。
(参考)犬山シンポジウム(1981年)
昏睡度 |
精神症状 |
参考事項 |
Ⅰ |
睡眠―覚醒リズムの逆転 多幸気分、ときに抑うつ状態 だらしなく、気にもとめない態度 |
retrospectiveにしか判定できない場合が多い |
Ⅱ |
指南力(時・場所)障害、物を取り違える(confusion) 異常行動(例:お金をまく、化粧品をゴミ箱に捨てるなど) ときに傾眠状態(普通の呼びかけで開眼し、会話ができる) 無礼な言動があったりするが、医師の指示に従う態度をみせる |
興奮状態がない 尿、便失禁がない 羽ばたき振戦あり |
Ⅲ |
しばしば興奮状態または譫妄状態を伴い、反抗的態度をみせる 嗜眠状態(ほとんど眠っている) 外的刺激で開眼しうるが、医師の指示に従わない、または従えない(簡単な命令には応じうる) |
羽ばたき振戦あり(患者の協力が得られる場合) 指南力は高度に障害 |
Ⅳ |
昏睡(完全な意識の消失) 痛み刺激に反応する |
刺激に対して、払いのける動作、顔をしかめる等がみられる |
Ⅴ |
深昏睡 痛み刺激にもまったく反応しない |
|
肝臓機能障害の重症度は、90日以上(180日以内)の間隔をおいた連続する2回の検査により評価するものであり、それぞれの結果を記載する。
なお、既に実施した90日以前(最長180日まで)の検査の結果を第1回の結果とすることとして差し支えない。
イ 「障害の変動に関する因子」について
肝臓機能障害を悪化させる因子であるアルコールを、それぞれの検査日より前に180日以上摂取していないことについて、医師による確認を行う。また、それぞれの検査時において改善の可能性のある積極的治療を継続して実施しており、肝臓移植以外に改善が期待できないことについて、医師による確認を行う。
ウ 「肝臓移植」について
肝臓移植と抗免疫療法の実施の有無について記載する。複数回肝臓移植を行っている場合の実施年月日は、最初に実施した日付を記載する。
エ 「補完的な肝機能診断、症状に影響する病歴、日常生活活動の制限」について
(ア) 原発性肝がん、特発性細菌性腹膜炎、胃食道静脈瘤の治療の既往
医師による確定診断に基づく治療の既往とする。
(イ) 現在のB型肝炎又はC型肝炎ウイルスの持続的感染の確認
HBs抗原検査あるいはHCV―RNA検査によって確認する。
なお、持続的な感染については、180日以上の感染を意味する。
(ウ) 期間・回数・症状等の確認
7日等の期間、1日1時間、2回等の頻度、倦怠感・易疲労感・嘔吐・嘔気・有痛性筋けいれんの症状の確認は、カルテに基づく医師の判断によるものとする。
(エ) 日・月の取扱い
1日:0時から翌日の0時までを意味する。
1月:連続する30日を意味する。暦月ではない。
(オ) 月に7日以上
連続する30日の間に7日以上(連続していなくてもかまわない)を意味する。
2 障害程度の認定について
(1) 肝臓機能障害の認定は、肝臓機能を基本とし、肝臓機能不全に基づく臨床症状、治療の状況、日常生活活動の制限の程度によって行うものである。
(2) 肝臓機能検査、臨床症状、治療の状況と日常生活活動の制限の程度との間に極端な不均衡が認められる場合には、慎重な取扱いをして認定する必要がある。
(3) 患者の訴えが重視される所見項目があるので、診察に際しては、患者の主訴や症候等の診療録への記載に努めること。
(4) 肝臓移植術を行った者の障害程度の認定は、現在の肝臓機能検査の結果にかかわらず、抗免疫療法を実施しないと仮定した場合の状態で行うものである。
(5) 身体障害認定基準を満たす検査結果を得るため、必要な治療の時期を遅らせる等のことは、本認定制度の趣旨に合致しないことであり、厳に慎まれたい。
