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○医療機器の有効期間の設定と安定性試験に関する質疑応答集(Q&A)

(平成21年8月5日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室通知)

医療機器の有効期間の設定と安定性試験については、平成20年9月5日付け薬食機発第0905001号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知「医療機器の有効期間の設定と安定性試験について」により通知したところです。

今般、医療機器の有効期間の設定と安定性試験に関する質疑応答集(Q&A)を別添のとおり作成しましたので、御了知の上、貴管下関係業者に対し周知願います。

なお、本事務連絡の写しを各地方厚生局、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、日本医療機器産業連合会、米国医療機器・IVD工業会、欧州ビジネス協会医療機器委員会及び薬事法登録認証機関協議会あて送付することとしておりますことを申し添えます。

別添

医療機器の有効期間の設定と安定性試験に関する質疑応答集(Q&A)

Q1[(別添)1.]

有効期間が3年を越えるものについては、有効期間の設定が不要とあるが、この場合の添付資料概要3.4項の記載はどのようにすればよいのか。

A1

添付資料概要3.4項には、3年を超える有効期間がある品目である旨、及び設定した有効期間の根拠を説明すること。

Q2[(別添)2.]

「これまでの知見等から3年を超える安定性がよく知られているもの」とあるが、具体的にどのような場合があるのか。

A2

金属、セラミック、その他使用する材料に関して、文献や公的規格などにより経時的に安定であることを説明することができる場合、及び承認(認証)前例がある場合が該当する。

Q3[(別添)2.(1)]

生物由来製品又は特定生物由来製品に使用されている生物由来原材料以外の原材料のみが変更される場合、長期保存試験以外の安定性の評価は可能か。

A3

生物由来製品又は特定生物由来製品に使用されている生物由来原材料以外の原材料のみの変更で、且つ、当該原材料の変更が当該原材料及び生物由来原材料相互の安定性に影響を与えないことを合理的な理由により説明できるのであれば、長期保存試験によらない安定性の評価も可能である。

Q4[(別添)2.(2)]

新たな安定性試験データを要しない例として、既存の着色剤の追加があげられている。そのほかの添加剤(配合剤)においても同様に新たな安定性試験データを要しないと解釈して差し支えないか。

A4

着色剤に限らず、その他の添加剤についても、申請に係る製品と既存製品との相違が製品の安定性に影響しないことが説明できる場合であれば、差し支えない。なお、既存品との同等性については、配合目的、最終製品に及ぼす影響(製造工程中での反応の有無等)、配合量等についての比較が必要である。

Q5[(別添)2.(2)]

既存の着色剤、添加剤等は、自社製品に限らず承認又は認証の前例のある製品に使用されていることが確認できればよいか。

A5

前例は自社、他社を問わないが、例えば公的規格に適合しているなど、その同一性が説明できる必要がある。公的規格がない場合は、原材料規格が同一であること。

Q6[(別添)2.(2)]

コンタクトレンズ、眼内レンズについて、既存の着色剤、添加剤等を前例として用いる際の留意事項はあるか。

A6

着色剤が原材料の構成モノマーと共有結合性のものの場合、製品の品質への影響を検討する必要があり、単に着色剤の変更として取り扱うことは困難な場合がある。さらに、環状着色レンズに使用される着色剤については、事務連絡医療機器審査No.1(平成11年8月6日)にも留意すること。

Q7[(別添)2.(2)]

ポリ塩化ビニルやポリウレタンの組成として添加剤が使用されている場合、添加剤個々について前例があれば、安定性は証明されていると考えてよいか。

A7

添加剤個々について前例があることのみで、安定性が証明されているとは必ずしも限らない。個々の添加剤の前例に加え、配合目的、最終製品に及ぼす影響(製造工程中での反応の有無等)、配合量等についての比較が必要である。

Q8[(別添)2.(2)]

ガンマ線滅菌から電子線滅菌への変更、放射線滅菌からエチレンオキサイドガス滅菌への変更等、滅菌方法の特性により、材質の劣化が認められないと思われるものについては、新たな安定性試験は必要ないと考えてよいか。

A8

滅菌方法の特性により、材質の劣化が認められないと説明可能な場合はよい。それ以外の場合、例えば、エチレンオキサイドガス滅菌から放射線滅菌に変更となる場合には、変更後の滅菌による材質劣化について、検討する必要がある。

Q9[(別添)全般]

原材料の安定性が確保されているエチレンオキサイドガス滅菌の既存製品が放射線滅菌に変更になる場合、製造方法に関する資料に記載した線量分布の最大線量を踏まえた妥当な試験検体を使用した試験の結果を以って、その放射線滅菌製品の2年の安定性を保証できると考えてよいか。

A9

エチレンオキサイドガス滅菌で2年の安定性試験データを保持している製品について、製造方法に関する資料に記載した線量分布の最大線量を踏まえた妥当な試験検体のデータにおいて、大幅な劣化傾向がなく、エチレンオキサイドガス滅菌の安定性データと相関性が見られる場合、これらのデータで安定性の評価は可能な場合もある。

Q10[(別添)2.(2)]

一般的名称は異なるが、同等の用途の他の既存製品における同等の部位にて使用前例のある原材料に変更する場合についても、安定性が既に確認されている前例に該当すると考えてよいか。例えば、輸血セットのチューブに使用した原材料を、血液透析用の回路用チューブに使用する場合など。

A10

差し支えない。但し、滅菌方法の同等性や品目仕様が担保できることは説明をする必要がある。

Q11[(別添)2.(3)]

本通知が発出される前に実施している加速試験は、承認(認証)申請の添付資料として用いて良いとの理解でよいか。

A11

よい。通知発出前に実施された試験であっても受け入れ可能である。

Q12[(別添)2.(3)]

加速試験により安定性の推移が長期保存試験における推移と同等であることが推測できる場合の具体例は、通知で示された例示以外にもあるか。

A12

原材料に同等性が認められる場合(例えば、ポリ塩化ビニルの添加剤の配合量の変更で、その添加剤が安定性に影響しない場合)、既存製品の実時間試験データと加速試験データの推移が同等の傾向にあり、かつ既存製品と申請品の加速試験データの推移が同等の傾向にあることを示すことにより、申請品の実時間試験データの提出を要さない場合がある。

Q13[(別添)2.(3)]

安定性の評価を加速試験で行う場合、「アレニウスの反応速度係数」を用いることは可能か。

A13

汎用プラスチックの場合、温度を上げることにより経年劣化を加速させる「アレニウスの反応速度係数」は、経年劣化の要因が温度であり、熱による化学反応の影響を受けることが文献や原材料特性(熱重量分析など)により判明している場合に利用できる。

Q14[(別添)全般]

製品の状態ではなく、材料の段階で行われた試験データで安定性を評価することは可能か。

A14

可能である。但し、製品にするまでの工程も含めて検証し、最終的には製品の安定性を保証する必要がある。

Q15[(別添)2.(3)]

本項では、長期安定性試験結果を自社保有する必要があるケースを、具体的に例示しているということか。

A15

その通りである。

Q16[(別添)2.(3)]

「なお、長期保存試験によらず安定性の評価を行った場合には、承認(認証)取得後、長期安定性について確認し、QMS適合性調査等の際に調査権者等の求めに応じて直ちに提出できるようにしておくこと。」とあるが、結果が出る前にQMS適合性調査が入り、データを要求された場合はどうするのか。

A16

現在試験中である旨を説明し、試験計画書を提示すればよい。

Q17[(別添)2.(4)]

コンタクトレンズおよび眼内レンズについて、加速試験による安定性試験データを示す場合、承認基準もしくはISO法で示される手法により実施されれば、その試験方法の科学的根拠に基づく説明は不要であるか。

A17

標準的手法として知られているものであるため、科学的根拠に基づく説明は不要である。

Q18[(別添)2.(4)]

コンタクトレンズ、眼内レンズなど標準的手法が定められている場合、標準的手法に基づき加速試験で安定性の評価を行い有効期間を設定した場合についても、2.(3)と同様に承認(認証)取得後、長期安定性について確認し、QMS適合性調査等の際に調査権者等の求めに応じて直ちに提出できるようにしておくことと理解してよいか。

A18

よい。標準的手法に基づき、長期安定性について確認すること。

Q19[(別添)3.]

既存品目との比較で安定性試験不要と判断して(実時間及び加速試験データともに添付なし)申請した場合、また加速試験データで承認(認証)申請した場合において、承認(認証)審査過程にて追加の資料として実時間保存データが必要と判断された際には、資料不備として取り下げの対象とはならないと理解してよいか。また、有効期間の延長のための試験計画書を併せて追加することは可能か。

A19

すみやかに実保存試験データの提出が可能な場合、取り下げの対象とはならない。また、併せて有効期間延長のための試験計画書を追加提出することが可能である。ただし、当該承認(認証)申請では、審査期間中に追加資料を提出することで認められた有効期間までが、承認(認証)上の有効期間となるので、承認(認証)後、試験計画書に従い実施した試験が完了した時点で有効期間の延長のための手続きを行うこと。

Q20[(別添)3.]

現在申請している品目においても、審査の中で、追加の長期保存試験の計画書を添付することは可能か。

A20

可能である。ただし、審査終了する前に速やかに当該品目の審査担当者に連絡すること。

Q21[(別添)3.(1)]

「申請時に暫定的な有効期限を設定できるものは、…」とあるが、0時点のデータのみの添付で承認(認証)申請し、承認(認証)時までに、有効期限のデータを提出することは可能か。

A21

承認(認証)申請時においては、承認(認証)申請書の有効期間欄に0年と記載し、備考欄に長期保存試験が進行中であることを記載し、承認(認証)時までに、暫定有効期限(流通上問題のない期間)のための長期保存試験の結果を提出することの適切性は、製品の特性により判断が異なるため、事前に医薬品医療機器総合機構又は登録認証機関へ個別相談が必要である。

Q22[(別添)4.(1)]

新法下で承認(認証)された品目について、有効期間の延長だけを目的とした一部変更申請により有効期間を延長する場合、添付資料概要及び/又は添付資料については、該当箇所のみの記載で良いか。

A22

マル貯申請は、後発医療機器申請区分に該当するため、平成21年3月27日付け薬食機発第0327004号「後発医療機器の製造販売承認申請書添付資料作成に際し留意すべき事項について」に従って、該当する項目以外は項目ごと省略することが可能である。

原則として、下表に従ってまとめること。但し、申請する医療機器の特性に応じ必要な項目についても記載すること。

添付資料概要及び/又は添付資料作成項目

1.品目の総括

1.1 品目の概要

1.2 設計開発の経緯

1.3 外国における使用状況

2.基本要件と基本要件への適合性

2.1 参照規格一覧

2.2 基本要件及び適合性証拠

3.機器に関する情報

3.1 貯蔵方法及び有効期間

4.設計検証及び妥当性確認文書の概要

4.1 一般情報

4.1.1 規格への適合宣言

4.2 機器の設計の妥当性確認の概要

4.2.1 機器の安全性を裏付ける試験

4.2.1.1 安定性及び耐久性

認証品目では、マル貯申請扱いにはならないが、有効期間の延長だけを目的とした一部変更申請の場合は、下表に従ってまとめること。但し、申請する医療機器の特性に応じ必要な項目についても記載すること。

添付資料作成項目

1.品目の総括

2.基本要件と基本要件への適合性

2.1 参照規格一覧

2.2 基本要件及び適合性証拠

4.設計検証及び妥当性確認文書の要約

4.1 基本要件への適合性

4.1.1 規格への適合宣言

4.2 基本要件に適合することを示すために用いた規格への適合性

4.2.1 安定性及び耐久性

Q23[(別添)4.(2)]

既に承認を取得している製品の有効期間延長のマル貯申請の際に、試験計画書(長期保存試験)を添付することは可能か。

A23

可能である。

Q24[(別添)4.(2)]

「承認(認証)後において、さらに有効期間の延長を計画しているときは、承認(認証)申請書にその試験計画書を添付すること。」とされているが、既承認(認証)品目や申請済み審査中の品目は、試験計画書を添付せずに申請、承認(認証)されている場合がある。これら品目については、承認(認証)申請時に提出した添付資料概要等に当該試験計画が示されていたものであれば、軽微変更届による有効期間延長が可能であると考えてよいか。

A24

既承認(認証)品の場合、その審査の際に有効期間の延長を軽微変更届で行うことを想定して計画書を評価していないため、認められない。有効期間延長のみであれば、承認品目はマル貯申請、認証品目は有効期間延長の一部変更申請を行うこと。

また、審査中の品目の場合、当該品目の審査担当者へ相談すること。

Q25[(別添)4.(2)]

承認(認証)申請時に安定性又は耐久性に関する試験計画書を添付し、その内容が審査された品目において、有効期間延長のための軽微変更届出の際に、留意すべき事項は何か。

A25

有効期間延長のための軽微変更届においては、備考欄に、平成20年9月5日付け薬食機発第0905001号「医療機器の有効期間の設定と安定性試験について」の通知に基づく届出あることを記載すること。なお、承認(認証)書の表紙、鑑及び「有効期間を○年とする試験計画書を添付した」旨が記載されている備考欄の写しを軽微変更届書に添付すること。

Q26[(別添)4.(2)]

承認(認証)後にさらに有効期間の延長をするための安定性又は耐久性に関する試験が計画されている場合、承認(認証)申請書にその試験計画書を添付することとあるが、参考資料として添付することでよいか。

A26

参考資料ではなく、添付資料「ハ.安定性及び耐久性に関する資料」(認証の場合は、添付資料4.2.1項)として添付すること。

Q27[(別添)4.(2)]

生物由来製品又は特定生物由来製品に指定されている医療機器であっても、安定性試験の対象となっている原材料が生物由来原材料でない場合は、軽微変更届による有効期間の延長は可能か。

A27

当該原材料及び生物由来原材料相互の安定性に影響を与えないことを合理的な理由により説明できる場合は、生物由来製品又は特定生物由来製品に指定されている医療機器であっても、4.(2)の手続きに従い軽微変更届により有効期間の延長をすることは可能である。

Q28

同一製品ではあるが、使用部位が異なる品目についても、品目仕様が同じであれば軽微変更届にて有効期間の延長を行ってよいか。

例えば、PTCAカテーテルで、3年の有効期間を持っている既承認品を前例にして、原材料、品目仕様について同等性を説明出来るPTAカテーテルについて、有効期間の延長を軽微変更届で行うことは可能か。(また、ビリアリーステントとイリアックステント等デザインが同一で適用部位を拡大して販売している製品についても含む)

A28

原則一部変更申請が必要であるが、原材料、品目仕様について同等性を説明出来、かつ安定性試験項目の同等性等も説明出来れば可能な場合もあるため、医薬品医療機器総合機構又は登録認証機関へ相談すること。

Q29[(別添)4.(2)]

有効期間延長のための試験計画書を添付する場合において、申請書及び添付資料概要(認証の場合は添付資料)に記載すべき事項はあるか。また、どのようなことに注意するべきか。

A29

申請書備考欄に、「平成20年9月5日付け薬食機発第0905001号「医療機器の有効期間の設定と安定性試験について」に基づき、有効期間を○年とする試験計画書の添付がある」旨を記載すること。また、添付資料概要(承認基準あり及び認証申請においては添付資料)「4.2.1.6安定性及び耐久性」(認証の場合は、4.2.1項)の最後尾に、試験計画書の概要を記載すること。

試験計画書では、試験検体、試験項目、適否判定規格等を示し、「4.設計検証及び妥当性確認文書の概要」欄の「4.2.1.1安定性及び耐久性」では、その妥当性を説明すること。(認証の場合は、「4.設計検証及び妥当性確認文書の要約」欄の「4.2.1安定性及び耐久性」)

特に、次の点を踏まえ、考察説明すること。

①軽微変更届出による有効期間の延長が可能であることを推測できる考え方

②当該計画書に従った試験で有効期間の延長が可能となることの妥当性

③適否判定に使用する規格の妥当性

例えば

・これまでの結果から長期的安定性の推測が比較的容易か(当該製品による0時間と○年経過後の実データより、安定性の変化に大きな影響がない等)

・経時的な試験結果より、定量指標で劣化傾向や不明な変動傾向が見られるか(その場合、その劣化による変化量や実測値の試験精度・偏差等を基に評価する)

・設定した規格を満たすと推測した根拠(劣化傾向等を踏まえ、○年経過後の結果が合格と推測できる等)

なお、軽微変更届による有効期間の延長は、長期的な安定性の推測が容易ではない医療機器には適用されないことに留意すること。また、承認(認証)時の試験計画書に基づき、その後引き続き試験した長期保存試験において劣化傾向が見られた医療機器については、軽微変更届による有効期間の延長ではなく、承認品目はマル貯申請、認証品目は一部変更申請による有効期間の延長を検討すること。