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○家庭的保育事業の実施について

(平成21年10月30日)

(雇児発1030第2号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

家庭的保育事業については、かねてより保育対策等促進事業の実施について(平成20年6月9日雇児発第0609001号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)により行われているところであるが、今般、「児童福祉法の一部を改正する法律」(平成20年法律第85号。以下「改正法」という。)、「児童福祉法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」(平成21年政令第249号。以下「改正政令」という。)及び「児童福祉法施行規則等の一部を改正する省令」(平成21年厚生労働省令第150号。以下「改正省令」という。)によって整備された家庭的保育事業が平成22年度より実施されることに伴い、改正政令及び改正省令について情報提供するとともに、別紙のとおり「家庭的保育事業ガイドライン」を定めたので、通知する。

家庭的保育の実施に当たっては、本ガイドラインの事項に御留意のうえ、その適正な実施に特段の御配慮をお願いしたい。

また、都道府県におかれては、家庭的保育事業及び家庭的保育に類するものに対する指導監督については、児童福祉法(昭和22年法律第164号)及び児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号)の家庭的保育事業に係る規定のほか、本ガイドラインに沿って行うこととされたい。

なお、家庭的保育事業の国庫補助金の交付については、引き続き「保育対策等促進事業費の国庫補助について」(平成20年6月9日雇児発第0609001号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)により行うこととする。

本通知は地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的助言として発出するものであることを申し添える。

Ⅰ 改正政令の概要

第1 主な改正内容

1 児童福祉法施行令及び地方自治法施行令(改正政令第1条、第2条関係)

都道府県が処理することとされている事務で、指定都市、中核市等が処理することとされているもののうち、家庭的保育事業に係るものについて、規定の整備を行ったこと。

2 地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法施行令(改正政令第3条関係)

公営住宅立替事業における立替後の戸数についての特例の対象となる施設として、家庭的保育事業の用に供する施設等を追加したこと。

第2 施行時期

改正政令の施行期日は平成22年4月1日であるが、一部の規定については公布の日(平成21年10月21日)から施行するものであること。

Ⅱ 改正省令の概要

第1 改正の趣旨

改正法において、家庭的保育事業を法定化したところであるが、改正省令は、家庭的保育事業による保育を利用する乳幼児の健全な育成が図られ、その福祉を増進することを目的とし、乳幼児の人権に十分配慮するとともに、人格を尊重した保育が行われるために、その実施基準を定めるものである。また、併せて、関係省令について所要の改正を行うものである。

第2 児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号。以下「規則」という。)の改正内容(改正省令第2条関係)

1 家庭的保育者の要件(規則第1条の32、第36条の38関係)

(1) 次のいずれかに該当する者であって、市町村長が行う研修を修了した者であること。

・ 保育士

・ 保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認める者

(2) 心身ともに健全であること。

(3) 乳幼児の保育についての理解及び熱意を有していること。

(4) 乳幼児の保育に専念できること。

(5) 乳幼児の保育に関し虐待等の問題がないと認められること。

(6) 児童福祉法(昭和22年法律第164号)及び児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)等の規定により、罰金以上の刑に処せられたことがないなど、保育士の欠格要件に該当しないこと。

2 家庭的保育者の責務(規則第36条の38関係)

(1) 家庭的保育事業の目的を達成するために必要な知識及び技能の修得、維持及び向上に努めること。

(2) 保育を行っている乳幼児の国籍、信条、社会的身分又は保育料を負担するか否かによって、差別的取扱いをしてはならないこと。

(3) 保育を行っている乳幼児に対し、虐待その他当該児童の心身に有害な影響を与える行為をしてはならないこと。

3 事業の開始等(規則第36条の36、第36条の37関係)

(1) 事業開始の届出

市町村は、家庭的保育事業を行おうとするときは、その事業の開始前に、都道府県知事に、次に掲げる事項を届け出なければならないこと。

① 事業の種類及び内容

② 経営の責任者及び福祉の実務に当たる幹部職員の氏名及び経歴

③ 家庭的保育者の氏名、経歴及び住所

④ 事業の用に供する施設の名称、種類、所在地及び利用定員

⑤ 建物その他設備の規模及び構造並びにその図面

⑥ 事業開始の予定年月日

また、市町村は、事業開始の届出を行おうとするときは、収支予算書及び事業計画書を都道府県知事に提出しなければならないこと。(ただし、都道府県知事がインターネットを利用してこれらの内容を閲覧できる場合は、この限りでないこと。)

(2) 事業の廃止又は休止の届出

市町村は、家庭的保育事業を廃止し、又は休止しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に、次に掲げる事項を届け出なければならないこと。

① 事業廃止又は休止しようとする予定年月日

② 事業廃止又は休止の理由

③ 現に保育を受けている乳幼児に対する措置

④ 休止しようとする場合にあっては、休止の予定期間

4 情報提供(規則第36条の39関係)

家庭的保育事業を行う市町村は、次に掲げる事項を情報提供しなければならないこと。

① 家庭的保育者の氏名、保育士等の資格及び経験年数に関する事項

② 保育を行う居宅等の位置、施設及び設備の状況に関する事項

③ 家庭的保育事業の運営の状況に関する事項(保育する乳幼児の数、保育状況、家庭的保育補助者の状況、保育時間、保育の方針、家庭的保育者に対する支援体制に関する事項等)

④ 保育料の額に関する事項

⑤ 家庭的保育事業による保育の利用手続に関する事項

また、上記の情報の提供は、地域住民が当該情報を自由に利用できるような方法で行うものとすること。

5 事業の実施基準(規則第36条の38関係)

(1) 実施場所・設備基準

家庭的保育事業は、家庭的保育者の居宅その他の場所であって、次に掲げる要件を満たすものとして、市町村長が適当と認める場所で実施するものとすること。

① 乳幼児の保育を行う専用の部屋を有すること。

② 乳幼児の保育を行う部屋は、その面積が9.9m2以上であって、採光及び換気の状況が良好であること。ただし、3人を超えて保育する場合には、当該部屋の面積は、3人を超える児童1人につき3.3m2を加算した面積以上であること。

③ 衛生的な調理設備及び便所を有すること。

④ 事業実施場所の敷地内に幼児の遊戯等に適する広さの庭(これに代わるべき付近にある公園等の場所を含む。)を有すること。

⑤ 火災警報器及び消火器を設置するとともに、消火訓練及び避難訓練を定期的に実施すること。

(2) 配置基準

保育する乳幼児の数は3人以下であること。ただし、家庭的保育者が家庭的保育補助者(市町村が実施する研修を修了したものに限る。)とともに保育する場合には、5人以下であること。

(3) 保育の内容

・ 保育時間は、1日につき8時間を原則とし、乳幼児の保護者の労働時間その他家庭の状況等を考慮して定めること。

・ 保育の内容は、保育所保育指針(平成20年厚生労働省告示第141号)に準じることとし、家庭的保育事業の特性に留意して、保育する乳幼児の状態に応じた保育を行うこと。

(4) 市町村が行う体制整備

市町村は、家庭的保育事業が適正かつ確実に実施されるよう、保育所その他の関係機関等と連携を図り、次に掲げる業務を行わなければならないこと。

① 保護者の理解・協力

常に保育する乳幼児の保護者と密接な連絡をとり、保育の内容等について、その保護者の理解及び協力を得るよう努めること。

② 保育の内容への支援

家庭的保育者が乳幼児の状態に応じた保育を適切に行うことができるよう、保育の内容に関する相談、助言、巡回指導その他の必要な支援を行うこと。

③ 研修・交流

家庭的保育者の資質の向上等を図るため、研修の実施、家庭的保育者間の交流の促進等必要な措置を講じること。

④ 代替保育

家庭的保育者が病気、休暇等により保育が行うことができない場合に、当該家庭的保育者に代わって保育が行われるよう必要な体制を整えること。

⑤ 健康診断

・ 家庭的保育者が保育を行う乳幼児に対し、健康診断を実施するよう努めること。なお、必要に応じ梅毒反応検査を行わなければならないこと。

・ 保育を行う乳幼児の健康診断をした医師は、その結果必要な事項を母子健康手帳又は保育を行っている乳幼児の健康を記録する表に記入するとともに、必要に応じ当該乳幼児についての家庭的保育事業による保育を停止する等必要な手続をとることを、家庭的保育事業を行う市町村の長に勧告しなければならないこと。

・ 家庭的保育者の健康診断に当たっては、特に保育を行っている乳幼児の食事を調理する者につき、綿密な注意を払わなければならないこと。

⑥ 集団保育

家庭的保育者が保育を行う乳幼児について、当該乳幼児の年齢等に応じ必要があるときは、定期的に保育所における集団保育を体験させるための機会を設けるよう努めること。

⑦ 苦情への対応

・ 家庭的保育事業を利用する乳幼児の保護者等からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じること。

・ 家庭的保育事業に関して、都道府県から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行うこと。

6 衛生管理等(規則第36条の38関係)

(1) 乳幼児の使用する設備、食器等又は飲用に供する水については、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講じなければならないこと。

(2) 家庭的保育を行う場所において感染症が発生し、又はまん延しないように必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと。

(3) 家庭的保育事業を行う場所には、必要な医薬品その他の医療品を備えるとともに、それらの管理を適正に行わなければならないこと。

7 食事(規則第36条の38関係)

(1) 食事を提供するときは、その献立は、できる限り、変化に富み、保育を行っている乳幼児の健全な発育に必要な栄養量を含有するものでなければならないこと。

(2) 食事は、食品の種類及び調理方法について栄養並びに保育を行っている乳幼児の身体的状況及び嗜好を考慮したものでなければならないこと。

8 秘密保持等(規則第36条の38関係)

(1) 家庭的保育者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らしてはならないこと。

(2) 家庭的保育事業を行う市町村は、家庭的保育者であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じること。

第3 施行時期

改正省令の施行期日は平成22年4月1日であるが、一部の規定については公布の日(平成21年10月30日)から施行するものであること。

(別紙)

家庭的保育事業ガイドライン

第1 趣旨

このガイドラインは、家庭的保育事業の実施に当たり、遵守すべき事項を規定する児童福祉法(昭和22年法律第164号)及び児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号)のほか、留意すべき事項を定めるものであること。

第2 権利擁護・法令遵守について

1 法令遵守

家庭的保育を行う者(家庭的保育者、家庭的保育補助者及び家庭的保育支援者。以下「家庭的保育者等」という。)は、その役割や社会的責任を遂行するために、法令等を遵守し、家庭的保育を取り巻く社会情勢などを踏まえ、その専門性等の向上に努めること。

2 守秘義務

市町村長は、家庭的保育事業に係る実施要綱又は家庭的保育者と取り交わす委託契約書等において、家庭的保育事業に携わる者に対する守秘義務を記載すること。

第3 家庭的保育の実施体制

家庭的保育事業は、児童福祉法第24条の保育の実施義務として市町村が実施するものであり、家庭的保育者又は保育所等(児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生省令第63号)を満たす認可外保育施設を含む。以下「実施保育所」という。)を経営する者に委託するものとすること。

第4 情報提供について

1 方法

市町村は、家庭的保育事業を利用することを希望する保護者等が、適切に家庭的保育を利用できるよう、家庭的保育に関する必要な情報について、インターネットの利用、印刷物の配布、地域子育て支援拠点等での情報提供その他の適切な方法により周知が図られるよう必要な措置を講じること。

2 事項

情報提供する事項は次によること。

(1) 家庭的保育者等に関する事項

・家庭的保育者等の氏名、保育士等の資格及び家庭的保育者等の経験年数に関する事項

・保育を行う居宅等の位置(町名まで)及びその状況に関する事項

(2) 家庭的保育の内容等に関する事項

・保育実施日及び保育時間に関する事項

・保育料に関する事項

・保育の方針及び内容

・保育する乳幼児の数

・家庭的保育者に対する市町村・連携保育所(施設名及び住所)

・家庭的保育支援者(氏名、住所(町名まで)、資格及び家庭的保育者等の経験年数)による支援体制に関する事項

・家庭的保育の利用手続に関する事項

・家庭的保育者が加入している賠償責任保険に関する事項

第5 家庭的保育の実施について

1 事業の周知

市町村は、家庭的保育事業の周知を図り、家庭的保育事業が安定的に運営できるよう努めること。

2 対象児童

対象とする年齢は、地域の実情を踏まえ、市町村において適切に定めること。

また、対象となる乳幼児は、家庭的保育者又は家庭的保育補助者と三親等以内の親族関係にないこと。

3 定員及び家庭的保育者等の配置

家庭的保育者が1人で保育をするときは、保育する乳幼児の数は3人以下であること。家庭的保育補助者とともに2人以上で保育する場合には5人以下とすること。

3人以下の乳幼児を保育する場合であっても、家庭的保育者の他に、家庭的保育補助者や必要に応じて食事時間等に短時間の援助を受けて保育することが望ましいこと。

また、家庭的保育者が保育を実施する場合は、それぞれの年齢、発達を踏まえた保育が行われるよう配慮することが望ましいこと。

4 実施場所

(1) 保育を行う専用居室の基準等

保育を行う部屋は、面積9.9m2以上であって、採光及び換気の状況が良好であること。3人を超えて保育する場合は、3人を超える乳幼児1人につき3.3m2を加算すること。

(2) 設備

衛生的な調理設備及び便所を有すること。

居宅の敷地内に乳幼児の遊戯等に適する広さの庭を有するか、付近にこれに代わるべき公園、空き地、寺社境内等の開かれた空間があること。

(3) 地域資源の活用

保育の実施に当たっては、保育所園庭、地域子育て支援拠点、公園等の地域資源を積極的に活用し、乳幼児に必要な保育環境を整えること。

5 保育時間

保育時間は1日8時間を原則とし、乳幼児の保護者の就労状況その他家庭の状況、家庭的保育者の状況等を考慮して、保育実施日及び保育時間を市町村が定めること。

6 保育料

保育料は、保育の実施に要する費用を勘案し、かつ、利用者の家計に与える影響を考慮して市町村が定めること。

7 賠償責任保険

市町村は、家庭的保育者が事故等の発生による補償を円滑に行うことができるよう、家庭的保育者に賠償責任保険に加入させるか、市町村自らが加入することにより、補償の体制整備を図ること。

第6 家庭的保育者等について

1 家庭的保育者等の要件

(1) 家庭的保育者

ア 定義

家庭的保育者として市町村長の認定を受け家庭的保育を行う者

イ 要件

家庭的保育者は、次に掲げる要件に該当する者

・次のいずれかに該当する者であって、市町村長が行う研修(以下「基礎研修」いう。)[別添1]を修了した者

一 保育士

二 看護師、幼稚園教諭、その他の者が研修(以下「認定研修」という。)[別添1]を修了し、市町村長が家庭的保育者として適当と認める者

ただし、平成21年度に家庭的保育を実施していた者(補助者を除く)に必要な研修については、平成22年3月31日までに受講した研修をもって充てることにより、家庭的保育者とすることを可能とする。なお、その場合であっても平成23年度末までに本ガイドラインに基づく研修を受講すること。

ウ 留意事項

・市町村は、認定研修により家庭的保育者として認定する際は、研修における試験、レポートの提出、実習施設での評価等適切な方法により評価を行い、認定すること。

・市町村は、家庭的保育者に対する現任研修等により、適切に評価を行うこと。

・3歳以上児(年度途中で3歳に達した場合は当該年度末までの幼児を除く。)を対象に家庭的保育事業を実施する場合は、3歳以上児の発達や保育に関する内容に留意した研修を実施すること。

(2) 家庭的保育補助者

ア 定義

家庭的保育補助者として市町村長の認定を受け、家庭的保育者の下で家庭的保育を行う者

イ 要件

家庭的保育補助者は、次に掲げる要件に該当する者

・市町村長が実施する基礎研修を修了した者

・心身ともに健全であること。

・乳幼児の保育についての理解及び熱意並びに乳幼児に対する豊かな愛情を有していること。

・乳幼児の保育に専念できること。

・乳幼児の保育に関し虐待等の問題がないと認められること。

・児童福祉法及び児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の規定により、罰金以上の刑に処せられたことがないこと。

(3) 家庭的保育支援者

ア 定義

家庭的保育支援者として市町村長の認定を受け、家庭的保育者又は家庭的保育補助者に対し指導・支援を行う者

イ 要件

家庭的保育支援者は、次に掲げる要件に該当する者

・保育士であり10年以上の保育所における勤務又は家庭的保育の経験を有し、一定の研修を修了した者

・心身ともに健全であること。

・乳幼児の保育についての理解及び熱意並びに乳幼児に対する豊かな愛情を有していること。

・乳幼児の保育に関し虐待等の問題がないと認められること。

・児童福祉法及び児童売春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の規定により、罰金以上の刑に処せられたことがないこと。

2 家庭的保育者の認定等

(1) 申請

家庭的保育事業を行おうとする者は、事業を実施する住所地の市町村長に、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならないこと。

・家庭的保育者等の氏名、住所、年齢、資格及び健康状態

・家庭的保育者の居宅で保育を行う場合は、同居する家族等の氏名、年齢、続柄及び健康状態

・家庭的保育者が保育を行う居宅等の位置及び平面図

・家庭的保育者が保育を行うことができる曜日及び時間

(2) 認定

市町村長は、申請書を受理したときは、当該家庭的保育者等が適当であるかどうかを調査して、認定をし、又はしないことの決定を行わなければならないこと。

(3) 変更の届出

家庭的保育者等は、届け出た事項に変更が生じたときは、速やかに、その内容を市町村長に届け出ること。

(4) 認定取消

市町村長は、家庭的保育者等がその要件に該当しなくなったときは、認定を取り消すことができること。

第7 保育内容について

1 保育内容

家庭的保育は、保育所保育指針に準拠するとともに、保育所保育と異なる家庭的保育独自の保育内容に留意して保育を行うこと。[別添2]

2 保育の計画

家庭的保育者は、乳幼児の発達過程に応じた「保育の計画」及び「一日の保育内容」を作成し保育を行わなければならないこと。

3 記録の整備

家庭的保育者は、乳幼児の保育の状況に関する記録を整備しておかなければならないこと。

また、記録に基づき、自ら実践を振り返り、さらなる保育内容の向上に努めること。

4 食事

家庭的保育者は、乳幼児への食事の提供を行うときは、望ましい食習慣の定着を促すとともに、乳幼児の状態に応じた摂取法や摂取量のほか、食物アレルギー等への適切な対応に配慮すること。

なお、家庭的保育者又は家庭的保育補助者が、調理の間に保育を行うことができないときは、必要に応じて短時間の援助を受けることが望ましいこと。

第8 市町村が行う体制整備について

1 保育の内容への支援

保育する乳幼児の発達過程に応じた適切な保育が図られるよう、「保育の計画」や「一日の保育内容」を編成するに当たって必要な援助・指導を行うなど、保育の内容に関する支援を行うこと。

また、家庭的保育者間の相互の理解を深め、保育の質の向上のため、家庭的保育者間の交流や連携を図る機会を設けること。

2 巡回指導・相談

家庭的保育者の居宅等における保育の状況を把握するため、家庭的保育支援者等を少なくとも3か月に1回以上、さらに、家庭的保育者の状況に応じて、必要な都度、訪問させること。

また、家庭的保育者からの相談に応じ、必要な助言及び指導を行うことができる体制の整備を行うとともに、家庭的保育者の健康状況の把握を行うこと。

3 連携保育所の確保

家庭的保育者に対する支援の体制整備の一環として、連携保育所の確保にすること。

連携保育所を確保できない場合は、その他の適切な場所又は市町村自らが家庭的保育者に対する支援体制を図ること。

4 研修

家庭的保育者の資質の向上等を図るため、研修を実施する等の必要な体制整備を行うこと。

研修を実施する際は、他の市町村等と連携して実施するなど、効果的に実施すること。

また、研修の機会が確保されるよう必要な体制の整備に努めること。

なお、3歳以上児(年度途中で3歳に達した場合は当該年度末までの幼児を除く。)を対象に家庭的保育事業を実施する場合は、3歳以上児の発達や保育に関する内容に留意した研修を実施すること。

(1) 現任研修

ア フォローアップ研修[別添1]

主に、経験年数2年未満の家庭的保育者へのフォローアップを目的とした研修。(経験年数1年未満の者に対しては、少なくとも、2か月に1回以上実施することが望ましい。)

イ 現任研修[別添1]

すべての家庭的保育者を対象に、家庭的保育者の資質の向上を図るため、年に1回(分割して実施可)、必要な知識や技術の習得を目的とした研修。

(2) 指導者研修[別添1]

10年以上の保育所における勤務(基礎研修を受講した者)又は家庭的保育の経験を有する保育士を対象に、家庭的保育支援者などの家庭的保育の指導者となるために必要な知識や技術の修得を目的とした研修。

5 代替保育

家庭的保育者が病気、研修参加、休暇等により保育を行うことができない場合は、当該家庭的保育者に代わって、連携保育所、家庭的保育支援者、他の家庭的保育者、その他適当な方法により保育が行われるよう必要な体制の整備を行うこと。

6 集団保育

家庭的保育者が保育を行う幼児について、当該幼児の年齢等に応じて集団保育の必要があるときは、定期的に保育所において保育を体験することができるよう努めること。

7 苦情受付

家庭的保育を利用する乳幼児の保護者等からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置するとともに、連絡先について周知を図るなどの必要な措置を講じること。

苦情の公正な解決を図るために、苦情の解決に当たって当事者以外の者を関与させること。

8 他機関との連携

事業の実施に当たっては、乳幼児の心身の状態に応じた家庭的保育を実施するため、必要に応じて児童相談所、保育所、医療機関、保健所等の専門機関と密接に連携をとり、保育が円滑に行われるよう必要な体制の整備を行うこと。

第9 連携保育所等

連携保育所及び実施保育所は、市町村と連携し、以下の支援又は業務を行うよう努めること。

・家庭的保育者からの相談に応じ、必要な助言及び指導を行うこと。

・家庭的保育者が休暇等により保育が行われない場合に、当該家庭的保育者に代わって乳幼児の保育を行うこと。

・家庭的保育者が保育を行う幼児について、必要に応じて、定期的に当該幼児の年齢等に応じた集団保育を体験させること。

・家庭的保育者が保育を行う乳幼児について、健康診断を実施すること。

・その他、家庭的保育者が家庭的保育事業を行うために必要な支援を行うこと。

第10 保護者への対応について

1 保護者との連絡

保護者との連携においては、日々の乳幼児の状況を的確に把握するとともに、保護者と家庭的保育者とで日常の乳幼児の様子を適切に伝え合い、十分な説明に努めること。

2 保護者の相談への対応

家庭的保育者の保育に関する専門性を十分に活用し、子育て相談等の保護者への支援を通して保護者自身の子育て力の向上を積極的に支援すること。

3 虐待等への対応

保護者に不適切な養育等が疑われる場合には、速やかに、市町村や関係機関に通報するとともに、連携し適切な対応を図ること。

第11 安全対策について

1 健康診断等

市町村は、家庭的保育者等の健康診断を1年に1回実施するとともに、調理に携わる家庭的保育者については、概ね月1回検便を実施すること。

2 健康管理

家庭的保育者は、常に乳幼児の健康の状況に注意し、必要に応じて健康保持のための適切な対応を図ること。

3 事故やケガの防止と対応

家庭的保育者は、保育中の事故防止のため、乳幼児の心身の状態等を踏まえ、居宅等の安全点検に取り組み、安全確保の観点から保育環境の整備について適切に対応すること。

4 防災・防犯対策

家庭的保育者は、災害や不審者からの被害など不測の事態に備え、緊急時の連絡網を作成し、日頃から避難経路を確認するとともに、火災警報器及び消火器の設置や避難訓練の実施など防災、防犯等の健康及び安全を確保するため保育環境の整備について適切に対応すること。

5 緊急時の対応

家庭的保育者は、保護者及び他の連携する機関との緊急時の連絡体制を取るとともに、緊急時の対応マニュアルを作成すること。

また、保育中の体調不良、傷病及び傷害等が発生した場合に備え、乳幼児のかかりつけ医、連携保育所の嘱託医等、必要な体制整備について適切に対応すること。

第12 運営・管理について

家庭的保育者は、収支の状況を明らかにする帳簿その他の書類を整備し、適正な会計管理に努めなければならないこと。

第13 賠償責任保険について

家庭的保育者等は、事故等が発生した場合の補償を円滑に行うことができるよう、保険等への加入により、補償の体制整備について適切に対応すること。

[別添1]

家庭的保育者研修

1 基礎研修(すべての家庭的保育者に対する家庭的保育に必要な基礎的知識・技術等の習得)

[家庭的保育者の就業前研修]

科目名

区分

時間

内容

導入

家庭的保育の概要

講義

60分

① 家庭的保育の歴史的経緯

② 家庭的保育の特徴

③ 家庭的保育のリスクを回避するための課題

家庭的保育の基礎

乳幼児の発達と心理

講義

90分

① 発達とは

② 発達時期の区分と発達

③ ことばとコミュニケーション

④ 自分と他者

⑤ 手のはたらきと探索

⑥ 移動する力

⑦ こころと行動の発達を支える家庭的保育者の役割

 

食事と栄養

講義

60分

① 離乳の進め方に関する最近の動向

② 栄養バランスを考えた幼児期の食事作りのポイント

③ 食物アレルギー

④ 家庭的保育者が押さえる食育のポイント

 

小児保健Ⅰ

講義

60分

① 乳幼児の健康観察のポイント

② 発育と発達について

③ 衛生管理・消毒について

④ 薬の預かりについて

 

小児保健Ⅱ

講義

60分

① 子どもに多い症例とその対応

② 子どもに多い病気とその対応

③ 事故予防と対応

 

心肺蘇生法

実技

120分

 

家庭的保育の実際

家庭的保育の保育内容

講義・演習

120分

① 家庭的保育における保育内容

② 家庭的保育の1日の流れ

③ 異年齢保育

④ 新しく子どもを受け入れる際の留意点

⑤ 地域の社会資源の活用

⑥ 家庭的保育の記録

⑦ 保育の体制

家庭的保育の環境整備

講義

60分

① 保育環境を整える前に

② 家庭的保育に必要な環境とは

③ 環境チェックリスト

 

家庭的保育の運営と管理

講義

60分

① 情報提供

② 受託までの流れ

③ 家庭的保育の運営上必要な記録と報告

④ 個人事業主としての財務管理

 

安全の確保とリスクマネジメント

講義

60分

① 子どもの事故

② 子どもの事故の予防 保育上の留意点

③ 緊急時の連絡・対策・対応

④ リスクマネジメントと賠償責任

 

家庭的保育者の職業倫理と配慮事項

講義・演習

90分

① 家庭的保育者の職業倫理

② 家庭的保育者の自己管理

③ 家庭的保育者自身の家族との関係

④ 地域との関係

⑤ 保育所や様々な保育者との関係

⑥ 行政との関係

 

保護者への対応

講義・演習

90分

① 家庭的保育における保護者との関わりと対応

② 家庭的保育における保護者への対応の基本

③ 子育て支援における保護者への相談・助言の原則

④ 保護者への対応 ~事例を通して考える~

 

子ども虐待

講義

60分

① 子ども虐待への関心の高まり

② 子ども虐待とは

③ 子ども虐待の実態

④ 虐待が及ぼす影響

⑤ 子ども虐待の発見と通告

⑥ 虐待を受けた子どもに見られる行動特徴

⑦ 子どもが家で虐待を受けたと思われたならば

⑧ 家庭的保育で不適切な関わりを防ぐために

 

気になる子どもへの対応

講義

90分

① 気になる行動

② 気になる行動をする子どもの行動特徴

③ 気になる行動への対応の考え方

④ 気になる行動の原因とその対応

⑤ 保育者の役割

⑥ 遊び ―日本に伝承されてきた育児法を用いる―

研修を進める上で必要な講義

見学実習オリエンテーション

演習

30分~60分

① 見学実習のポイントと配慮

② 見学を引き受ける際の留意事項

グループ討議

演習

90分

① 討議の目的

② 討議の原則

③ 討議の効果

④ 討議のすすめ方

見学実習

実習

2日以上

複数の家庭的保育者のもとで家庭的保育を実習

① 保育日誌・家庭連絡帳の作成の仕方

② 実習日誌作成・提出

(実習のうち1日は家庭的保育の1日の流れを体験)

実施自治体の制度について(任意)

講義

60分~90分

① 連携保育所

② 関係機関

③ 地域資源

④ 巡回指導・監査指導等

⑤ 報告事項などについて

時間合計:21時間+2日以上

2 認定研修(保育の知識・技術等の習得)

科目名

時間

子ども家庭福祉

(「児童福祉・社会福祉」関連)

4時間

子どもの心身の発達と保育

(「発達心理学」関連)

8時間

子どもの健康管理

(「精神保健」・「小児保健」関連)

8時間

子どもの栄養管理

(「小児栄養」関連)

6時間

子どもの安全と環境

(「小児保健」・「養護原理」関連)

8時間

子どもの保育

(「保育原理」・「教育原理」関連)

6時間

保育実習(Ⅰ)

(連携保育所の3歳未満児クラス中心の実習)

48時間

保育実習(Ⅱ)

(連携保育所又は認可保育所において実習)[看護師、幼稚園教諭、家庭的保育経験者(1年以上)の者を除く。]

20日

看護師、幼稚園教諭、家庭的保育経験者(1年以上) 時間合計:88時間

家庭的保育経験のない者及び家庭的保育経験者(1年未満) 時間合計:88時間+20日

[看護師、幼稚園教諭を除く]

3 フォローアップ研修

[家庭的保育の経験年数2年未満の者]

目的・内容

(目的)

・基礎研修において修得した内容を実践した上での、疑問・悩みの解消

・関係する行政機関との連携関係の構築

・家庭的保育者間の連携関係の構築

(内容)

家庭的保育者からの相談・質問を中心とした研修

[例]

・保育内容の相談(異年齢保育等)

・避難経路の確保、避難訓練等の計画

・記録等の書類の作成方法

・経理方法等の指導 など