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○第十五改正日本薬局方第一追補の制定に伴う試験法等に関する質疑応答集(Q&A)について

(平成21年9月29日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

第十五改正日本薬局方第一追補により改正された一般試験法等に関する質疑応答集(Q&A)を別添のとおりとりまとめましたので、貴管下関係業者へ品質管理業務の参考として活用されるよう周知方よろしくお願いいたします。

別添

第十五改正日本薬局方第一追補の制定に伴う試験法等に関する質疑応答集(Q&A)について

本Q&Aにおいて、「第十五改正日本薬局方(平成18年3月31日厚生労働省告示第285号)」を「15局」、「第十五改正日本薬局方第一追補(平成19年9月28日厚生労働省告示第316号)」を「第一追補」、とそれぞれ略する。

<一般試験法 微生物限度試験について>

Q1

15局の微生物限度試験法でバリデーション(適合性)を取得済みの試料について、第一追補の試験法での再バリデーションは必要であるか。

A1

試験法が異なるため、第一追補での適合性試験が必要である。試験設計に当たっては、改正前のバリデーションデータが参考となる。

Q2

「3~5日間培養する」とされている箇所がある。これは、3日間の培養で適不適を判定してよいか。

A2

培地性能試験及び適合性試験の培養時間は、それぞれ培地性能試験及び適合性試験の項で規定されている時間で判定を行うこと。

また、製品の試験において、規定されている培養時間のなかで最短の培養時間を採用する場合には、その妥当性を確認しておくことが必要である。

Q3

培地調製方法の培地滅菌後のpHが25℃での規定となっているが、実際に測定する場合、25℃に合わせて測定しなければいけないのか。25℃を外れて測定してもよい場合はpHの範囲はどうなるのか。

A3

基本的には室温に下げて測定することは差し支えないが、25℃に補正したpHとする。なお、カンテン培地は平板にして専用の電極を用いるか又は精製水を適量添加し、緩やかに撹拌した後で測定する。

Q4

「内用液剤及びX線造影剤の菌数の限度及び試験法について」(昭和51年4月1日薬発第297号)は現在も適用可能であると解釈しているが、その試験方法は第一追補の「微生物限度試験法」と異なっている。どちらの方法で試験を行ってもよいか。最終判定はどちらの試験方法とすべきか。

また、判定基準は、参考情報「非無菌医薬品の微生物学的品質特性」によらなくてもよいか。

A4

承認事項である場合は承認書の方法で行い、承認事項でない場合は第一追補の方法に従って実施することが望ましい。なお、日局の方法に従う場合、判定基準は、参考情報に従うことが望ましい。

Q5

Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について

医薬品各条の限度試験規格における細菌数/真菌数と第一追補の生菌数試験における総好気性微生物数/総真菌数の間にギャップがあるがどのように考えればよいか。

A5

各条に記載されている「細菌数」及び「真菌数」をそれぞれ、「総好気性微生物数」及び「総真菌数」と読みかえること。すなわち試験結果を記載する場合も「総好気性微生物数」及び「総真菌数」と記載することになる。

Q6

Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について

「4.2.試験菌の調製」における「シードロット培養管理手法(シードロットシステム)」という用語は何を意味しているのか。また、この管理方法についてどのような点に留意する必要があるか。

A6

「シードロット培養管理手法(シードロットシステム)」とは、保存菌株の継代回数を管理するためのシステムである。また、管理方法については、少なくとも次の事項に留意すること。培地性能試験や適合性試験に用いる試験菌株は、継代回数5回を超えて使用することはできない。菌株管理簿を作成して継代回数を管理すること。なお、保存機関から入手した菌株を復元して得られた培養物を、1世代目として数えること。

Q7

Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について

「4.2.試験菌の調製」における「標準化された安定な懸濁液」とはどのようなものをいうのか。

A7

「標準化された安定な懸濁液」とは、「あらかじめ生菌数がわかっていてかつ菌数が一定の状態で保たれていることが確認できている菌液」のことである。

各試験室で安定な菌液の調製及び保存法についてバリデートすれば、試験のたびに新鮮培養菌から菌液を調製しなくても、バリデートされた方法で調製および小分け保存した菌液を用時1本ずつ使用することが可能となる。また、市販品を使用する場合は、その安定性について確認を行うこと。

Q8

Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について

「4.培地性能及び測定法の適合性」に用いる試験菌は、標準化された安定な懸濁液を使用するのか、又は新鮮懸濁液を調製して使用することとなっているが、凍結菌をそのまま使用することでもよいか。

A8

A7を参照すること。

Q9

Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について

「4.2.試験菌の調製」で、Aspergillus niger又はBacillus subtilisは懸濁液を調製し、保証された期間内は2~8℃で保存できると規定されているが、Candida albicansも保存が可能であると理解してよいか。

A9

Aspergillus niger又はBacillus subtilisが、保証された期間内は2~8℃で保存できるとしているのは、胞子又は芽胞懸濁液を調製した場合のことである。

また、各試験室で安定性を確認した上であれば、いずれの試験菌についても「標準化された安定な懸濁液」を使用することは差し支えない。

Q10

Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について

「4.2.試験菌の調製」で、Aspergillus nigerの場合、胞子懸濁液を調製し、2~8℃で保存すれば保証された期間内は使用可能と記載されているが、2~8℃以外にも安定性の保てる保存条件は認められるか。

A10

各試験室で安定性を確認した上であれば、いずれの試験菌についても「標準化された安定な懸濁液」を使用することは差し支えない。

Q11

Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について

「4.5.4.2.1.カンテン平板混釈法」で、同じ容量に小分けしたカンテン培地を同時に滅菌後、冷室に保管して、後日、培地を溶解して使用する場合、1本が培地の性能試験に合格すれば他の日に溶解した培地は性能試験を実施せずに使用してもよいか。

A11

保存後に再溶解した培地について、性能試験を実施し適合性を確認した上であれば、確認された使用期限内で使用することは差し支えない。

また、カンテン培地の再溶解は、過熱による品質低下とコンタミネーションの可能性を避けるため、1回までとするのが望ましい。

Q12

Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について

「4.4.培地性能」で、「新鮮培養菌を用いて試験する場合は,有効性が確認された培地バッチで以前に得られた発育と同等の発育を示さなければならない」とあるが、具体的にどのようなことを考慮する必要があるか。

A12

「同等の発育」は、コロニーの大きさだけではなく、菌数も考慮する必要がある。なお、培地のメーカーが培地性能を保証した市販の生培地を、有効性が確認された培地として比較するという方法もある。

Q13

Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について

「4.4.培地性能」の試験の判定で、「有効性が確認された培地バッチで以前に得られた発育と同等の発育を示さなければならない」とあるが、具体的にどのように比較するのか。

A13

A12を参照すること。また、同時並行試験は必要なく、以前の試験結果(データ)と比較することで差し支えない。

Q14

Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について

「4.5.1.試料の調製」で、15局では、「試料溶液は調製後1時間以内に使用しなければならない.」とされていたが、第一追補では記載されていない。試料液を試験に供する時間制限について留意する事項はないか。

A14

試料液は、調製後1時間以内に試験に供するべきである。放置する必要がある場合には、菌数や菌叢に変化がないこと等の妥当性を確認しておく必要がある。

Q15

Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について

「4.5.1.試料の調製」における脂質製品で、「乳化に必要な最短の時間で温度を保ちながら注意深く混和する.」とあるが、加温する時間を必要最小限にすると理解してよいか。

A15

差し支えない。

なお、試料調製作業が製品に存在する微生物に影響を与える恐れがある場合には、その影響を確認しておく必要がある。

Q16

Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について

「4.5.1.試料の調製」における脂質製品で、15局では乳化に際し、「30分間以上試料を加温してはならない」とされており、第一追補では「必要な最短の時間」とされている。これは、第一追補において加温時間による微生物の影響を確認する必要が生じると考えられるが、「試験法の適合性」では、菌を接種するタイミングは試料液調製後であり、乳化時の加温時間は検証対象外である。加温時間による微生物の影響を確認することは求められていないと考えてよいか。

A16

試料液の調製作業が製品に存在する微生物に影響を与える恐れがある場合には、その影響を確認しておく必要がある。

Q17

Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について

「4.5.2.接種及び希釈」で、「試験菌懸濁液を4.5.1.で調製した試料液及び対照に加える」とされている一方、「試料による発育阻止が避けられない場合には、中和、希釈又はろ過の後に試験菌懸濁液を加えてもよい.」とされている。メンブランフィルター法を採用する場合も発育阻止がある場合とない場合では、試験菌懸濁液を接種するタイミングが異なると考えてよいか。

A17

基本的には、ろ過前の試料液に接種することが望ましい。発育阻止が認められた場合には、中和や希釈等の様々な手段を講じ、それでも発育阻止が避けられない場合には、中和、希釈又はろ過の後に試験菌懸濁液を加えてもよい。

Q18

Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について

「4.5.4.1.メンブランフィルター法」の洗浄操作で、「適量の希釈液でメンブランフィルターを洗浄する」とあるが、ここでいう希釈液とは試料調製時の溶解液又は希釈液と解釈し、適合性データ(バリデーション)を取得していれば、それと異なる希釈液を使用してもよいか。

A18

適合性が確認されていれば差し支えない。

Q19

Ⅱ.非無菌製品の微生物学的試験:特定微生物試験について

例えば、大腸菌の場合、15局では、「乳糖ブイヨンを加えて100mLとし,30~35℃で24~72時間培養する.増殖が認められた場合は,培養液を軽く振った後,・・・・」というように、ブイヨン(液体培地)で増殖が認められた場合、次の操作へ移行する手順となっていたが、第一追補ではカンテン培地上の集落の有無で判定すると記載されている。第一追補では、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地及びマッコンキー液体培地で培養後に、肉眼で確認できる菌の増殖がなかった場合でもマッコンキーカンテン培地での鑑別反応を試験することと考えてよいか。

A19

目視による濁りが観察されなくても菌が増殖している可能性があるので、必ず次の工程に進むこととなる。

Q20

Ⅱ.非無菌製品の微生物学的試験:特定微生物試験について

15局には微生物限度試験法のほかに、同じ微生物学的試験として「無菌試験法」が収載されている。無菌試験法では、液体培地中の菌の増殖を目視で観察し、濁りの有無により、適合/不適合の判定がなされる。特定微生物試験においても、前培養、選択培養に液体培地が用いられ、判定も目視による方法であり、無菌試験法と同じであることから、「目視による濁り」での判定は可能であると考えてよいか。また、試験法の適合性確認により、前培養及び選択培養の条件は、その妥当性が検証されると考えてよいか。

A20

無菌試験とは試験条件が異なるので、判定法も異なる。目視による濁りが観察されなくても菌が増殖している可能性があるので、必ず次の工程に進むこととなる。また、適合性試験において目視による観察が可能であっても、製品の試験では次の工程に進む必要がある。

Q21

Ⅱ.非無菌製品の微生物学的試験:特定微生物試験について

「3.3.培地の性能試験」で、市販生培地はバッチごとに試験するとあるが、その場合、メーカー成績書を性能試験結果として採用し、自社での試験を省略してもよいか。

A21

培地メーカーから、試験成績書等のデータを入手し、そのデータ等が信頼できるものであることを確認する必要がある。

Q22

Ⅱ.非無菌製品の微生物学的試験:特定微生物試験について

市販生培地を用いた場合、保管に関しては培地メーカーの有効期限を採用してよいか。

A22

有効期限設定に関する試験成績等より、有効期限の設定が妥当であることを確認する必要がある。

Q23

Ⅱ.非無菌製品の微生物学的試験:特定微生物試験について

「5.推奨される溶液及び培地」で、各培地の滅菌条件の部分において「確認されたサイクルで高圧蒸気滅菌する」とあるが、実際の操作としてはどのようなことが必要か。

液温が上がりにくいと思われる使用条件で滅菌したとき、バイオロジカルインジケーターが滅菌されていることを確認することで対応可能か。

A23

被滅菌物の温度を確認する必要がある。

国際調和テキストの本項は“Sterilise in an autoclave using a validated cycle”、無菌試験法では“Sterilise using a validated process”となっている。サイクル(cycle)=行程(process)であり、使用する培地は、物理学的にも微生物学的にもバリデートされた滅菌サイクルを用いて滅菌すること。

<医薬品各条 タルクについて>

Q24

タルクの基原に「本品はアスベストを含まない」と規定されているが、タルク製造会社(供給会社)又は外部試験機関の試験成績で確認してもよいか。

A24

タルク製造会社の成績、外部試験機関の信頼性が得られている場合は、外部機関の試験成績を確認することでよいが、その場合、その記録を保管しておくこと。