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○行政処分を受けた保健師、助産師、看護師及び准看護師に対する再教育研修の実施について

(平成20年3月31日)

(医政発第0331013号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)

良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(平成18年法律第84号)において保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)(以下「保助看法」という。)の一部改正が行われ、安心、安全な医療の提供、国民の医療に対する信頼を確保するため、行政処分を受けた保健師、助産師、看護師(以下「保健師等」という。)及び准看護師に対して、再教育研修(以下「再教育」という。)を実施することとされたところであるが、今般、その具体的な内容等について、下記のとおり取りまとめたので通知する。

なお、この通知中、准看護師に対する再教育に係る部分は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言であることを申し添える。

貴職におかれては、下記の内容を御了知の上、貴管内の保健所設置市、特別区、医療機関及び関係団体等に周知願いたい。

1.再教育

保健師等に対する再教育は厚生労働大臣、准看護師に対する再教育は都道府県知事の命令に基づき行われるものである。

2.再教育の対象者

再教育の対象者となるのは、平成20年4月1日以降に戒告処分及び業務停止処分を受けたすべての保健師等及び准看護師並びに取消処分後に手続きを経て保健師等又は准看護師の再免許を受けようとする者である。

3.再教育の内容等

再教育は、下記の(1)の区分に従い、対象となるすべての保健師等及び取消処分後に手続きを経て保健師等の再免許を受けようとする者に対する集合研修、業務停止処分を受けた保健師等に対する課題研修、業務停止処分を受けた保健師等及び取消処分後に手続きを経て保健師等の再免許を受けようとする者に対する個別研修を行うものである。

なお、准看護師の再教育の内容は、「9.准看護師の再教育の内容等について」のとおりとする。

(1) 保健師等の再教育の内容は、職業倫理に係る内容及び医療安全を含む看護技術に係る内容とし、研修の形態は、原則として、以下のとおりとする。

① 戒告処分を受けた保健師等 集合研修

② 業務停止1年未満の処分を受けた保健師等 集合研修及び個別研修又は集合研修及び課題研修

③ 業務停止1年以上の処分を受けた保健師等及び取消処分後に手続きを経て保健師等の再免許を受けようとする者 集合研修及び個別研修

(2) 再教育に係る手数料(再教育を修了した旨の保健師籍、助産師籍又は看護師籍(以下、「保健師籍等」という。)への登録申請手数料は含まない。)は、以下に定める額とし、再教育の対象者は、集合研修終了後、該当する手数料を納付しなければならない。

① 戒告処分を受けた保健師等 7,850円

② 業務停止処分を受けた保健師等及び取消処分後に手続きを経て保健師等の再免許を受けようとする者 15,700円

4.集合研修

集合研修は、再教育の対象者すべてに対し、以下のように行う。

(1) 研修期間

集合研修の期間は、原則として、以下のとおりとする。

① 戒告処分を受けた保健師等 1日

② 業務停止処分を受けた保健師等及び取消処分後に手続きを経て保健師等の再免許を受けようとする者 2日

(2) 研修内容

集合研修の内容は、職業倫理及び看護技術のうち医療安全に関連する内容等とする。

5.課題研修

課題研修は、業務停止1年未満の処分を受けた保健師等の中で、業務停止期間が短期間である者及び処分事由が看護技術に直接関係しない者(以下、「課題研修対象者」という。)に対し、以下のように行う。

(1) 研修内容

課題研修の内容は、当該課題研修対象者が、現場に復帰後、国民に対し安心、安全で、質の高い医療及び看護を提供することに資するものとする。

(2) 課題研修修了報告書の提出

課題研修対象者は、課題研修修了後、氏名、生年月日、保健師籍等の登録番号・登録年月日(取消処分後に手続きを経て保健師等の再免許を受けようとする者を除く。)、課題研修の内容、その他必要な事項を記載した課題研修修了報告書を作成し、原則として、業務停止処分が終了する日の30日前までに厚生労働大臣まで提出すること。

なお、業務停止処分が3月以下の場合は、業務停止処分が終了する日の原則として14日前までに提出することとする。

6.個別研修

個別研修は、業務停止処分を受けた保健師等(課題研修対象者は除く。)(以下、「個別研修対象者」という。)及び取消処分後に手続きを経て保健師等の再免許を受けようとする者に対し、以下のように行う。

(1) 研修時間

個別研修の時間は、原則として、以下のとおりとする。

① 業務停止1年未満の処分を受けた保健師等のうち、課題研修対象者以外の者 20時間以上

② 業務停止1年以上2年未満の処分を受けた保健師等 80時間以上

③ 業務停止2年以上の処分を受けた保健師等及び取消処分後に手続きを経て保健師等の再免許を受けようとする者 120時間以上

(2) 研修内容

個別研修の内容は、見学やシミュレーターを用いた演習、カンファレンスへの参加、ボランティア活動等、当該個別研修対象者が、現場に復帰後、国民に対し安心、安全で、質の高い医療及び看護を提供するために役立つものとするが、免許の停止中又は失効した者であるので、業務独占行為を伴う実務研修は行うことができないものである。

(3) 助言指導者の選任

個別研修を受ける場合、個別研修対象者は個別研修対象者に対して、助言、指導等を行う者を選任の上、厚生労働大臣の指名を受けなければならない。(以下、当該厚生労働大臣の指名を受けた者を「助言指導者」という。)

(4) 助言指導者の要件

① 個別研修対象者と親族関係にない者であること。

② 保健師等免許取得後5年以上経過している者であること。

③ 助言、指導等を行うのに必要な知識・技術を有し、次のいずれかに該当する者であること。

ア 医療機関の看護管理者や看護教育担当者、医療安全管理担当者等。

イ 個別研修対象者が卒業した学校養成所等において、専任教員レベル以上の者

ウ 看護関係団体の卒後教育担当者等

エ 上記に掲げる者と同等以上の知識及び技術を有すると認められる者

ただし、助言指導者を複数選任する場合は、上記の①から③までの全ての要件を備えた助言指導者を必ず1人選任すれば足りることとするが、要件①については、他の助言指導者も必ず満たさなければならないものとする。

また、個別研修計画書及び個別研修修了報告書への署名は上記の全ての要件を備えた助言指導者が行うこととする。

なお、助言指導者に対しては、医療機関等の医療安全管理室や看護部門の教育委員会、学校長や看護関係団体の長等が組織として支援することが望ましい。

(5) 個別研修計画書の作成等

個別研修対象者は、助言指導者の協力を得て、氏名、生年月日、保健師籍等の登録番号・登録年月日(取消処分後に手続きを経て保健師等の再免許を受けようとする者を除く。)、個別研修の内容、個別研修の実施期間、助言指導者の氏名等を記載した個別研修計画書を作成し、当該計画書の内容が適切である旨の助言指導者の署名を受けた上で、原則として、個別研修を開始しようとする日の30日前までに厚生労働大臣まで提出すること。

なお、当該計画書の内容が適切でないと認められる場合には、厚生労働大臣が当該計画書の内容の変更を命じることがある。

(6) 個別研修修了報告書の提出

個別研修対象者は、個別研修を修了後、氏名、生年月日、保健師籍等の登録番号・登録年月日(取消処分後に手続きを経て再免許を受けようとする保健師等を除く。)、個別研修の内容、個別研修の開始・修了年月日、助言指導者の氏名及びその他必要な事項を記載した個別研修修了報告書を作成し、当該対象者が個別研修を修了したものと認める旨の助言指導者の署名を受けた上で、原則として、業務停止処分が終了する日の60日前までに厚生労働大臣まで提出すること。

個別研修修了報告書が適切と認められる場合、厚生労働大臣は個別研修修了証を交付する。

7.再教育を修了した旨の保健師籍等への登録

(1) 登録の申請手続

再教育を修了した保健師等が、再教育を修了した旨の保健師籍等への登録の申請を行う場合には、政令で定める額の手数料3,100円に相当する収入印紙を貼付した申請書に保健師等免許証の写しを添付した上で、厚生労働大臣まで提出することとする。

なお、個別研修対象者が申請を行う場合にあっては、保健師等免許証の写しに加えて、当該対象者に交付する研修修了証の写しを添付すること。

(2) 留意事項

再教育の命令を受けた保健師等であって、再教育を修了した旨の保健師籍等への登録を受けていない者については以下のような取扱いとする。

① 再教育を受けなかった保健師等については、保助看法第45条第1項に基づき、50万円以下の罰金刑の対象となる。

② 医療法(昭和23年法律第205号)第7条に基づき、再教育未修了の助産師は、助産所の管理者になることができない。

8.再教育の対象者に対する弁明の機会の付与等

再教育の対象者に対しては、行政手続法(平成5年法律第88号)の規定により不利益処分についての弁明の機会を付与する必要があるが、再教育に係る弁明の機会の付与については、当該対象者に対する保助看法第15条第14項の規定に基づく行政処分に係る意見の聴取又は弁明の聴取と併せて行うこととする。

9.准看護師の再教育の内容等について

准看護師に対する再教育については、保助看法第15条の2第2項、4項及び5項並びに保助看法第16条の規定に基づき都道府県が実施するものとする。なお、准看護師に対する再教育の実施については、保健師等の再教育の実施方法等を参考とされたい。

(1) 再教育の内容

准看護師に対する再教育は、倫理研修と技術研修を行うものであるが、再教育の具体的な内容については、都道府県知事が定めるものである。

(2) 手数料

手数料については、都道府県知事が定める額を納付すること。

(3) 再教育を修了した旨の准看護師籍への登録

登録の申請手続きについては、保健師等と同様とし、都道府県知事へ提出すること。

再教育の命令を受けた准看護師であって、再教育を修了した旨の准看護師籍への登録を受けていない者についての取り扱いは保健師等と同様とする。

10.関係通知の一部改正

「医師、歯科医師及び保健師等に対する不利益処分に係る意見の聴取等の実施について」(平成7年11月21日健政発第905号)の一部を別紙1のとおり改正し、「医師又は歯科医師に対する再教育研修の実施について」(平成19年3月30日医政発第0330002号)の一部を別紙2のとおり改正する。

(参考)

○ 再教育研修期間等

 

対象

研修期間及び報告書

集合研修

戒告処分を受けた保健師等

1日

業務停止処分を受けた保健師等及び取消処分後に手続きを経て保健師等の再免許を受けようとする者

2日

課題研修

業務停止1年未満の処分を受けた保健師等の中で業務停止期間が短期間である者及び処分事由が看護技術に直接関係しない者

報告書の提出期限は、原則、業務停止処分終了日30日前、業務停止処分が3月以下の場合は14日前

個別研修

業務停止1年未満の処分を受けた保健師等のうち課題研修対象者以外の者

20時間以上

業務停止1年以上2年未満の処分を受けた保健師等

80時間以上

業務停止2年以上の処分を受けた保健師等及び取消処分後に手続きを経て保健師等の再免許を受けようとする者

120時間以上

○ 個別研修計画書及び報告書の提出期限等

区分

内容

提出期限

計画書

氏名、保健師籍等の登録番号、研修内容、研修実施期間、助言指導者の氏名、署名 等(本文通知を参照)

原則、個別研修開始日30日前

報告書

氏名、保健師籍等の登録番号、研修内容、研修の開始・修了年月日、助言指導者の署名 等(本文通知を参照)

原則、業務停止終了日60日前

○ 再教育に係る手数料

区分

手数料

戒告処分を受けた保健師等

7,850円

業務停止処分を受けた保健師等及び取消処分後に手続きを経て保健師等の再免許を受けようとする者

15,700円

○ 保健師籍等への登録申請手数料

区分

手数料

再教育を修了した旨の登録申請

3,100円